平成19(あ)1890 死体遺棄,銃砲刀剣類所持等取締法違反,殺人被告事件

裁判年月日・裁判所
平成21年2月10日 最高裁判所第三小法廷 決定 棄却 福岡高等裁判所 那覇支部
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判決文本文1,634 文字)

- 1 -主文本件上告を棄却する。 当審における未決勾留日数中390日を本刑に算入する。 理由 弁護人渡邉靖子の上告趣意は,違憲をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,同法411条を適用すべきものとは認められない。 よって,同法414条,386条1項3号,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。なお,裁判官田原睦夫の補足意見がある。 裁判官田原睦夫の補足意見は,次のとおりである。 私は,本件は法廷意見どおり上告を棄却すべきものと考えるが,弁護人の所論にかんがみ補足意見を述べる。 弁護人は,上告趣意書第三において,原審において,原審弁護人が事実取調べとして,一審において黙秘していた被告人につき,事実関係をも含む被告人質問を請求したのに対し,被告人質問の範囲を情状のみに制限したことが,憲法並びに市民的及び政治的権利に関する国際規約に違反する旨主張するが,それは単なる法令違背の主張にすぎず,適法な上告理由に該らないのであり,また,一審で供述の機会の存した被告人に原審において事実関係についての供述の機会を与えなかったとしても,それが訴訟手続の法令違背に該らないことは,当審の判例(最高裁昭和58年(あ)第1436号同59年9月20日第一小法廷決定・刑集38巻9号281- 2 -0頁,最高裁昭和62年(あ)第406号同年10月30日第二小法廷決定・刑集41巻7号309頁)に徴し明らかである。 しかし,本件は,借金の件で被告人方を夫婦で訪れた被害者のうち,被告人によって妻が殺害され,夫も同所でほぼ同時刻に死亡し,被告人はその両名の死体を共犯者と共に遺棄した事案であるところ,夫の死因は証拠上解明 ,本件は,借金の件で被告人方を夫婦で訪れた被害者のうち,被告人によって妻が殺害され,夫も同所でほぼ同時刻に死亡し,被告人はその両名の死体を共犯者と共に遺棄した事案であるところ,夫の死因は証拠上解明されておらず,また,被害者夫婦が被告人方を訪れた後殺害され,又は死亡するに至る迄の経緯に関する証拠は,他に目撃者がいないこともあって被告人の供述に基づかざるを得ないところ,被告人が一審で被害者らの死亡への関与を否認し,黙秘したこともあって,捜査段階における簡単な内容の被告人の供述調書が2通存するのみであり,被害者と被告人との間で具体的にどのようなやりとりがあり,如何なる経緯で被告人が殺害に及び,また夫が死亡するに至ったのかについて殆ど解明されていない。 原審は,かかる状況にも拘わらず,原審弁護人が殺人の事実に関する無罪主張の具体的根拠及び経緯,死体遺棄の事実に関する経過等を立証趣旨として被告人質問を請求したのに対して,その範囲を上記のとおり死体遺棄に関する心情に係る部分に限定した。しかし,被告人による被害者殺害の有無に係る事情及び遺棄した死体の死因の如何は,被告人の量刑等を考えるうえで極めて重要な事情であって,審理手続において,それらの事実関係を出来る限り解明することは,刑事司法の重要な機能であり,事後審たる控訴審においても,その点は異ならないと考える。かかる観点からすれば,上記のとおり,量刑に関する重要な事実が未解明な本件において,一審で黙秘していた被告人が,事実関係についても原審弁護人の被告人質問に応じて供述しようとするのであれば,それを採用して,被告人に事実関係についても供述の機会を与えることが望ましかったと言えよう。 - 3 -(裁判長裁判官堀籠幸男裁判官藤田宙靖裁判官那須弘平裁判官田原睦夫裁判官近藤崇晴) 被告人に事実関係についても供述の機会を与えることが望ましかったと言えよう。 - 3 -(裁判長裁判官堀籠幸男裁判官藤田宙靖裁判官那須弘平裁判官田原睦夫裁判官近藤崇晴)

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