- 1 -主文 被告は,原告に対し,14万6926円,並びに,うち1750円に対する,,平成6年7月16日からうち1万0599円に対する同年10月15日からうち1万1001円に対する平成7年4月15日から,うち2万2200円に対する平成8年4月16日から,うち2万2200円に対する平成9年4月16日から,うち2万2200円に対する平成10年4月16日から,うち1万8835円に対する平成11年2月16日から,及び,うち2万円に対する平成18年8月24日から各支払済みまで各年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用はこれを3分し,その2を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決の主文1項は,仮に執行することができる。 ,。 被告が20万円の担保を供するときは前項の仮執行を免れることができる 事実及び理由 第1請求 被告は,原告に対し,36万2864円,及び,うち別紙「原告の未受給年金の一覧表1」の「差引未受給年金額合計」欄の各金額に対する同別紙の「遅延損害金の期間(年5分の割合による金員」欄の各期間につき年5分の割合)による金員を支払え。 被告は,原告に対し,別紙「原告の未受給年金の一覧表2」の「遅延金額合計」欄の各金額に対する同別紙の「遅延損害金の期間(年5分の割合による金員」欄の各期間につき年5分の割合による金員を支払え。 ) 被告は,原告に対し,別紙「原告の未受給年金の一覧表3」の「遅延金額合計」欄の各金額に対する同別紙の「遅延損害金の期間(年5分の割合による金員」欄の各期間につき年5分の割合による金員を支払え。 ) 被告は,原告に対し,330万円及びこれに対する平成18年8月24日か- 2 -ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 による金員」欄の各期間につき年5分の割合による金員を支払え。 ) 被告は,原告に対し,330万円及びこれに対する平成18年8月24日か- 2 -ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 仮執行宣言(被告は,担保を条件とする仮執行免脱宣言及び執行開始時期を被告に対する判決正本送達の日から14日を経過した日とすることを求めた)。 第2事案の概要原告は,老齢厚生年金の受給権を取得し,社会保険庁長官(以下「社保庁長官」という)から被保険者期間を当初298月と裁定され,後に確認請求を。 経て被保険者期間を301月とする再裁定を受けたところ,これを不服としてした審査請求が棄却された後の再審査請求が認められた結果,被保険者期間を308月とする再々裁定を受けたが,上記確認請求の日から5年より前の分の年金は受給権の時効消滅を理由に支給を拒絶された。 本件は,原告が,厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(平成19年法律第111号。以下「年金時効特例法」という)附則2条,年金時効特例法1条の適用又は準用を前提に,上記再々裁。 定による支給額と現実の支給額との差額の老齢厚生年金及びこれに対する遅延損害金又はこれと選択的に,社会保険事務所職員等には事務所間照会をすべきであるのにこれを怠った違法があるなどとして,国家賠償法(以下「国賠法」という)1条1項に基づき,上記差額と同額及びこれに対する遅延損害金の。 支払を求めるとともに,同項に基づき,慰謝料,弁護士費用及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案である。 容易に認定することのできる事実( )原告 原告は,昭和▲年▲月▲日に出生し,昭和44年9月から平成6年2月まで兵庫県西宮市所在の株式会社A(以下「A」という)に勤務していた者。 ,, 容易に認定することのできる事実( )原告 原告は,昭和▲年▲月▲日に出生し,昭和44年9月から平成6年2月まで兵庫県西宮市所在の株式会社A(以下「A」という)に勤務していた者。 ,,(「」でありまた昭和24年12月から昭和26年2月まで以下本件期間という)の間,兵庫県姫路市(以下「姫路市」という)に本店を置くB。 。 - 3 -株式会社(以下「B」という)に勤務していたと主張する者である。 。 なお,B(C本社,D営業所又はE支店,F営業所)及びAは,厚生年金保険法以下厚年法という6条1項1号規定の適用事業所であるた(「」。)(だし,後記のとおり,Bについてはその適用開始時期につき争いがある。以上,甲21,乙13の2,弁論の全趣旨。 )( )事実経過 ア原告は,平成6年2月7日,老齢厚生年金及び老齢基礎年金の受給資格を取得し,同年3月7日,姫路社会保険事務所(以下「姫路事務所」といい,以降,各社会保険事務所は単に「事務所」という)を通じて,西宮。 社会保険事務所長(以下「西宮事務所長」という)に対し,昭和25年。 3月1日から昭和26年2月1日までの間,B(ただし,原告は「○○」と表記)に勤務していたとして,厚年法31条に基づき厚生年金保険被。 保険者期間調査申請書を提出し厚生年金保険の被保険者の資格以下被,(「保険者資格」という)の取得及び喪失について確認請求をした(乙1。 。 )これに対し,姫路事務所は,平成6年4月1日付けで,Bについて同事務所の厚生年金保険被保険者名簿(以下「被保険者名簿」という)を調。 べたが,原告の名前は昭和25年3月1日ないし同年6月30日以外は見当たらない旨回答した(甲6。上記回答前に別の回答をしたか否かは措く。なお,姫路事務所保管 (以下「被保険者名簿」という)を調。 べたが,原告の名前は昭和25年3月1日ないし同年6月30日以外は見当たらない旨回答した(甲6。上記回答前に別の回答をしたか否かは措く。なお,姫路事務所保管のBの被保険者名簿には,原告は,昭和2。)5年3月1日に被保険者資格を取得し,同年6月30日に同資格を喪失した旨記載されている(乙2。 )イ原告は,平成6年4月18日,姫路又は西宮事務所に対し,国民年金・厚生年金保険老齢給付裁定請求書を提出したが,その際,原告は,当初,同裁定請求書にB(同様に「○○」と表記)での勤務期間を昭和25年。 3月1日ないし昭和26年2月1日と記載し,その後,勤務期間の終期を昭和25年6月30日と訂正し,さらに同社の勤務期間として,同年12- 4 -月9日ないし昭和26年2月1日を追加記載した(甲21,23。 )この間,姫路事務所からの整備依頼の結果,社会保険業務センター(以下「業務センター」という)が管理するマイクロフィルム化された原告。 の厚生年金保険被保険者台帳(以下「被保険者台帳」という)上,上記。 の昭和25年3月1日資格取得,同年6月30日資格喪失のほか,同年12月9日を資格取得日,昭和26年2月1日を資格喪失日とする記載があることが判明した(乙10の3。 )これを受け,社保庁長官は,平成6年6月9日,原告について,同年2月7日を受給権発生日とし,被保険者期間324月を算定の基礎とする老齢基礎年金,及び,被保険者期間298月(Bにおける昭和25年3月分ないし同年5月分,同年12月分及び昭和26年1月分の計5か月分に,Aにおける293月を合計したもの)を算定の基礎とする老齢厚生年金を(「」,「」裁定した以下6年裁定といい前記合計5か月分を6年裁定期間という。乙23,弁論の全 計5か月分に,Aにおける293月を合計したもの)を算定の基礎とする老齢厚生年金を(「」,「」裁定した以下6年裁定といい前記合計5か月分を6年裁定期間という。乙23,弁論の全趣旨。 )ウ原告は,平成16年3月22日,社会保険労務士G(以下「G社労士」という)を代理人として,姫路事務所を通じて,西宮事務所長に対し,。 本件期間のうち昭和24年12月ないし昭和25年9月のB作成名義に係る各月の原告の給与明細写し,及び,同社作成によると原告が主張する同年10月,11月の原告の給与明細写し(以下,併せて「本件給与明細」という,並びに,同社のC本社,D営業所,F営業所及びH営業所の。)(「」。)住所及び電話番号の記載のある封筒裏面の写し以下本件封筒というを添付した上,昭和24年12月(日は不明)から昭和26年2月1日。 までBに勤務したとする厚生年金保険被保険者期間調査申請書を提出して,確認請求をした。 ,,,なお本件給与明細には昭和25年1月分から同年11月分について厚生年金保険料(以下「保険料」という)が給与から天引きされている。 - 5 -旨の記載があった(以上,甲5,乙3の1ないし3の3,4,5。 )エ姫路事務所は,平成16年3月24日,本件封筒に記載されたF及びD営業所の所在地(神戸市α(当時,大阪市β)をそれぞれ管轄する三宮)及び堀江事務所に対し,本件期間におけるBを事業所とする原告の被保険者記録の有無について照会したところ,同月31日ころ,三宮事務所の喪失被保険者ファイルにおいて,BF営業所を事業所として,昭和26年2月1日から同月25日までの1か月分(同年2月分)について原告の被保険者期間が確認されて被保険者記録が補正され,平成16年4月2日,その旨の回答がなされた(乙5, 営業所を事業所として,昭和26年2月1日から同月25日までの1か月分(同年2月分)について原告の被保険者期間が確認されて被保険者記録が補正され,平成16年4月2日,その旨の回答がなされた(乙5,6の1・2,7の1,8。 )一方,堀江事務所からは,同年3月30日,該当事業所が見あたらない旨の回答を受け,同年4月2日付けの再度の照会に対しても,同月15日付けで同様の回答がなされた(乙7の2,9の1・2。 )オ姫路事務所は,平成16年4月23日,堀江事務所の近隣に所在する大手前事務所に対し,昭和24年ないし昭和26年におけるBを事業所とす,,る原告の被保険者記録の有無について照会したところ同事務所においてBE支店(大阪市γ(当時)δ所在)を事業所として,昭和25年10月1日資格取得,昭和26年2月1日資格喪失と記載された被保険者名簿が存在することが確認されて(これにより,新たに原告の昭和25年10月分及び同年11月分の被保険者期間が確認された)原告の被保険者記録。 が補正され,平成16年5月20日ころ,原告にも上記エの1か月分を含む新たに判明した被保険者資格の得喪状況が記載された同月17日付けの回答書が送付された(乙11の1・2,12,13の1・2,18。 )カ原告は,平成16年6月11日,被保険者記録の追加・訂正を求めて再裁定願書を西宮事務所に提出したところ,社保庁長官は,同年7月15日付けで,被保険者期間324月を算定の基礎とする老齢基礎年金,及び,被保険者期間301月(6年裁定で認められた被保険者期間298月に,- 6 -上記エ,オにおいて新たに判明した昭和25年10月,11月分及び昭和26年2月分の合計3か月分を追加したもの)を算定の基礎とする老齢厚生年金を支給する旨の再裁定をした(以下「16年裁定」といい,前記合 エ,オにおいて新たに判明した昭和25年10月,11月分及び昭和26年2月分の合計3か月分を追加したもの)を算定の基礎とする老齢厚生年金を支給する旨の再裁定をした(以下「16年裁定」といい,前記合計3か月分を「16年裁定期間」という。乙14,17の1・2。 )キ被告は,原告に対し,平成16年8月13日,平成11年2月分から平成16年5月分までの16年裁定に基づく年金額と6年裁定に基づく年金額との差額分として,別紙「平成16年7月の再裁定により平成16年8月に支払った年金額」のとおり,12万0916円(老齢厚生年金)を支払った(乙27,弁論の全趣旨。 )ク原告は,平成16年8月6日付けで,兵庫社会保険事務局社会保険審査官に対して,16年裁定を不服として審査請求したところ,同審査官は,,(,平成17年1月28日付けで上記審査請求を棄却する決定をした甲2乙18。 )ケ原告は,前記決定を不服として,平成17年4月5日付けで,社会保険審査会に対し再審査請求をしたところ,同審査会は,本件期間は厚生年金保険の被保険者期間であったと推認するのが相当であるとして,平成18年4月28日付けで,上記再審査請求を認容し,16年裁定のうち被保険者期間301月を算定の基礎とした老齢厚生年金支給裁定部分を取り消す旨の裁決をした(甲1,乙19。 )コ社保庁長官は,原告に対し,平成18年6月22日付けで,被保険者期間324月を算定の基礎とする老齢基礎年金,及び,被保険者期間308月(16年裁定で認められた被保険者期間301月に,昭和24年12月分ないし昭和25年2月分,及び,同年6月分ないし9月分の合計7か月分を追加したもの)を算定の基礎とする老齢厚生年金を支給する旨の裁定をした(以下「本件裁定」といい,前記合計7か月分を「本件裁定期間」とい 昭和25年2月分,及び,同年6月分ないし9月分の合計7か月分を追加したもの)を算定の基礎とする老齢厚生年金を支給する旨の裁定をした(以下「本件裁定」といい,前記合計7か月分を「本件裁定期間」という。甲8。 )- 7 -サ被告は,原告に対し,平成18年8月15日,平成11年2月分から平成18年5月分までの本件裁定に基づく年金額と16年裁定に基づく年金額との差額分として,別紙「平成18年6月の再裁定により平成18年8月に支払った年金額」のとおり,38万7616円(老齢厚生年金)を支払った(乙26,弁論の全趣旨。 )( )原告に対する年金給付 原告がこれまでに受給した老齢基礎年金及び老齢厚生年金の各支給日及び各支給額は,それぞれ,別紙「○Iにかかる老齢基礎・厚生年金の支給内訳について」の「支給.月日」欄の各年月日及び「支給金額(①-②-③」)欄の各金額のとおりであり,介護保険料額及び源泉徴収税額を含めた額は,同別紙の「支給金額(①-②-③」欄中の「支給総額①」欄の各金額のと)おりである(甲16,調査嘱託の結果。 ) 関係法令の定め( )厚年法(昭和29年法律第115号。ただし,昭和60年法律第34号国 民年金法等の一部を改正する法律による改正後のもの)。 ア老齢厚生年金の受給権,,老齢厚生年金の受給権は被保険者期間を有する者が65歳以上であり保険料納付済期間(国民年金法5条2項に規定する保険料納付済期間であり,厚生年金の被保険者としての被保険者期間はこれに含まれる)と保。 険料免除期間(同条3項に規定する保険料免除期間)とを合算した期間が25年以上である場合に発生する(42条,3条1項1号,同項2号,国民年金法7条1項2号,5条1項1号。 )イ適用事業所一定の事業の事業所又は事務所であって,常時5人以 期間)とを合算した期間が25年以上である場合に発生する(42条,3条1項1号,同項2号,国民年金法7条1項2号,5条1項1号。 )イ適用事業所一定の事業の事業所又は事務所であって,常時5人以上の従業員を使用するものは,適用事業所とする(6条1項1号。適用事業所の事業主等)は,被保険者資格の取得及び喪失並びに報酬月額及び賞与額に関する事項- 8 -を社保庁長官に届け出なければならない(27条。 )ウ被保険者適用事業所に使用される70歳未満の者は,厚生年金保険の被保険者とされ(9条,この場合,被保険者は,適用事業所に使用されるに至った)等の日に被保険者資格を取得し(13条,その事業所に使用されなくな)ったとき等の日の翌日に同資格を喪失する(14条。 )エ被保険者期間被保険者期間を計算する場合には,月によるものとし,被保険者資格を取得した月から同資格を喪失した月の前月までを算入するとされている(19条1項。また,被保険者資格を取得した月に同資格を喪失したと)きは,その月を1か月として被保険者期間に算入する(同条2項。 )オ被保険者記録社保庁長官は,被保険者に関する原簿を備え,これに被保険者の氏名,被保険者資格の取得及び喪失の年月日,標準報酬その他厚生労働省令で定める事項を記録しなければならない(28条。 )カ被保険者資格の取得,喪失の確認被保険者資格の取得及び喪失は,社保庁長官の確認によってその効力を生ずる(18条1項)が,確認権限については,社会保険事務所長に委任されている(4条,厚生年金保険法施行令1条1項5号,同条2項。こ)の確認は,適用事業所の事業主による届出(27条,被保険者又は被保)険者であった者による確認の請求(31条1項)又は社保庁長官の職権により行う(18条2項。 )キ保険給付を ,同条2項。こ)の確認は,適用事業所の事業主による届出(27条,被保険者又は被保)険者であった者による確認の請求(31条1項)又は社保庁長官の職権により行う(18条2項。 )キ保険給付を受ける権利保険給付を受ける権利は,受給権者の請求に基づいて,社保庁長官が裁定する(33条。 )ク老齢厚生年金の受給額- 9 -被保険者であった全期間の平均標準報酬額の1000分の5.481に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて得た額である(43条1項。 )ケ老齢厚生年金の支払期月老齢厚生年金は,毎年2月,4月,6月,8月,10月及び12月の6期に,それぞれその前月分までを支払う(36条3項本文。ただし,前)支払期月に支払うべきであった年金等は,支払期月でない月であっても,支払うものとする(同項ただし書。 )( )年金時効特例法(平成19年7月6日施行) ア1条(厚年法による保険給付・2条(国民年金法による給付))社保庁長官は,平成19年7月6日において,厚年法による保険給付若しくは国民年金法による給付を受ける権利を有する者又は同日より前において当該権利を有していた者について,厚年法28条又は国民年金法14条の規定により記録した事項の訂正がなされた上で当該保険給付又は給付を受ける権利に係る裁定(裁定の訂正を含む)が行われた場合において。 は,その裁定による当該記録した事項の訂正に係る保険給付又は給付を受ける権利に基づき支払期月ごとに又は一時金として支払うものとされる保険給付又は給付の支給を受ける権利について当該裁定の日までに消滅時効が完成した場合においても,当該権利に基づく保険給付又は給付を支払うものとする。 イ5条年金時効特例法の実施のための手続その他その執行について必要な細則は,厚生労働省令で定める。 ウ附 滅時効が完成した場合においても,当該権利に基づく保険給付又は給付を支払うものとする。 イ5条年金時効特例法の実施のための手続その他その執行について必要な細則は,厚生労働省令で定める。 ウ附則2条年金時効特例法1条,2条の規定は,平成19年7月6日より前に厚年法28条又は国民年金法14条の規定により記録した事項の訂正がなされた場合における当該訂正に係る保険給付又は給付について準用する。 - 10 -( )厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する (。 。 法律施行規則平成19年厚生労働省令第94号平成19年7月6日施行以下「年金時効特例法施行規則」という)。 ア1条1項年金時効特例法附則2条において準用する同法1条の規定により支払うものとされる保険給付又は同法2条の規定により支払うものとされる給付(平成19年7月6日より前に当該保険給付又は当該給付を受ける権利に係る裁定(裁定の訂正を含む)が行われたものに限る。以下「施行前裁。 定特例給付」という)について,当該施行前裁定特例給付の支給を受け。 ようとする者は氏名生年月日及び住所同項1号基礎年金番号同,,(),(項2号,並びに,支給を受けようとする同特例給付の年金証書の年金コ)ード(同項3号)を記載した書類を,社保庁長官に対し提出するものとする。 イ4条社保庁長官は,施行前裁定特例給付に関する処分を行ったときは,文書でその内容を同特例給付の支給を受けようとする者に通知しなければならない。 原告の請求の内容( )前記第1,1の請求 ア本件裁定が認めた被保険者期間を基礎として算定した平成6年3月分ないし平成11年1月分の老齢厚生年金の合計額から既払額を控除した残額(年金時効特例法上の施行前裁定特例給付に 記第1,1の請求 ア本件裁定が認めた被保険者期間を基礎として算定した平成6年3月分ないし平成11年1月分の老齢厚生年金の合計額から既払額を控除した残額(年金時効特例法上の施行前裁定特例給付に該当)及びこれに対する遅延損害金請求(遅延損害金請求の起算日は,別紙「原告の未受給年金の一覧表1」の各「対象期間」欄の各最終2月分の弁済期の翌日(平成6年3月分及び各最終2月分以外は一部請求))イ国賠法1条1項に基づく上記アと同額の損害賠償請求- 11 -(アとイは選択的併合)( )前記第1,2の請求 ア前記第2,1( )キの差額支払分に対する確定遅延損害金請求(起算日 は,別紙「原告の未受給年金の一覧表2」の各「対象期間」欄の各最終2月分の弁済期の翌日各最終2月分以外は一部請求なお同別紙の平()。 ,「成16年4月~平成16年5月」の対象期間における「遅延損害金の期間(年5分の割合による金員」欄の「平成16年4月16日」は「平成),16年6月16日」の誤記と解される)。 イ国賠法1条1項に基づく上記アと同額の損害賠償請求(アとイは選択的併合)( )前記第1,3の請求 ア前記第2,1( )サの差額支払分に対する確定遅延損害金請求(起算日 は,別紙「原告の未受給年金の一覧表3」の各「対象期間」欄の各最終2月分の弁済期の翌日(各最終2月分以外は一部請求))イ国賠法1条1項に基づく上記アと同額の損害賠償請求(アとイは選択的併合)( )前記第1,4の請求 ()()国賠法1条1項に基づく慰謝料300万円及び弁護士費用30万円並びにこれに対する遅延損害金の請求 主たる争点( )年金受給権に基づく請求 ア施行前裁定特例給付の支給における社保庁長官の処分の要否(争点1) 料300万円及び弁護士費用30万円並びにこれに対する遅延損害金の請求 主たる争点( )年金受給権に基づく請求 ア施行前裁定特例給付の支給における社保庁長官の処分の要否(争点1)イ施行前裁定特例給付及び一般の老齢厚生年金の遅延損害金の起算点(争点2)( )国家賠償請求 ア社保庁長官又は社会保険事務所職員らの職務上の義務違反の有無(争点- 12 -3)イ損害額(争点4) 当事者の主張( )争点1 (原告の主張)ア年金時効特例法施行規則4条の「処分」の対象となる者は,同法施行日前に被保険者記録の訂正がされ,かつ,それに基づき給付を受ける権利に係る裁定を受けていた者である(同法附則1条,2条。そして,この裁)定の対象となる老齢厚生年金を受給する権利たる基本権たる受給権の内容は年金の種類受給権の取得年月支給開始年月支給すべき年金額被,,,,(告も年金額がその内容に含まれることを自認している)等であり,実際。 に支給すべき年金額を月数で除せば,各支払期月に支払われるべき具体的な年金を受給する権利たる支分権たる受給権に基づく年金額が計算できるという極めて具体的な内容をもったものであり,同裁定においては,支分権たる受給権の時効消滅の有無にかかわらず,前記訂正を受けた支給開始時点からの年金額が裁定し直され,同法に基づき新たに受給権者が請求できる年金額は,被保険者記録の訂正に基づく厚年法33条に基づく裁定と訂正前の同裁定の差額として一義的に確定する。 したがって,年金時効特例法は,単に消滅時効が完成していても消滅時効制度の適用をしないことを定めたにすぎず,同法の実施のための手続その他その執行について必要な細則を厚生労働省令で定めるとする同法5条も,新たな公権力の行使としての処分の創 効が完成していても消滅時効制度の適用をしないことを定めたにすぎず,同法の実施のための手続その他その執行について必要な細則を厚生労働省令で定めるとする同法5条も,新たな公権力の行使としての処分の創設を省令で定めることを認める趣旨のものではないから,同法施行規則4条の「処分」とは,単に引き算の結果を示すだけの意味しかなく,国民の権利の範囲を新たに確定するという実質を全く有しない。本件裁定の裁定書(甲8)もこのような解釈に基づくものであり,注意的に平成11年1月以前分の年金は消滅時効のた- 13 -め支払額の計算基礎とならない旨の記載がなされているだけである。 イ被告の主張によれば,施行前裁定特例給付は,年金時効特例法施行規則により創設された処分となるが,これは規則を法律の上位に置くものであり許されない。本件訴訟においても,従前の法律の定めにより適法に開始された手続が,法律の明確な授権もなく覆滅させられ,訴権を不当に剥奪されるいわれはない。 被告は,厚年法33条の裁定と年金時効特例法施行規則4条の処分は確認の対象が異なると主張するが,前記のとおり,基本権たる受給権は極めて具体的な内容を有し,かつ,支給日も法定されていることから,支分権たる受給権について実質的な意味での「処分」は不要である。また,時効消滅分の年金額も引き算で容易に算出できるから,被告の主張は全くの形式論をいうにすぎない。 また,被告は,時効消滅分について,支給対象とならないため裁定の際にはその具体的な金額が計算,確定されていない旨主張するが,6年裁定及び16年裁定のいずれにおいても,時効消滅分である平成11年1月以前の年金額について,支給開始月の平成6年3月分から年金額が裁定し直されていることと整合しない。 ウしたがって,原告は,年金時効特例法施行規則1条1項の手続を ても,時効消滅分である平成11年1月以前の年金額について,支給開始月の平成6年3月分から年金額が裁定し直されていることと整合しない。 ウしたがって,原告は,年金時効特例法施行規則1条1項の手続を経て同法施行規則4条の処分を受けることなく,被告に対し,前記第1,1の未払老齢厚生年金の支払を請求できる。 (被告の主張)ア原告は,年金時効特例法附則2条の対象者に該当するところ,同法施行規則1条1項の規定する事項を記載した書類を社保庁長官に対して提出し,社保庁長官の処分を受けて初めて,消滅時効により支給を受けられなかった平成6年3月分から平成11年1月分までの増額分の施行前裁定特,。 例給付について具体的な権利を取得しその支払を請求することができる- 14 -このように社保庁長官の処分が必要とされたのは,年金記録を管理している行政庁において施行前裁定特例給付に係る支給,不支給あるいは支給額の判断について第一次判断権を行使する機会を保障するためであるから,年金時効特例法は,同特例給付に係る具体的な保険給付の支給を受ける権利については,専ら社保庁長官に対する請求手続及びこれに対する社保庁長官の処分という手続を通じてのみ確定されることを予定しているというべきである。そのため,社保庁長官の処分(支給,不支給の判断,支給額の判断)に不服がある場合には,同処分の取消請求等の抗告訴訟によ,,,,りこれを争うべきでありこれを争うことなく直接当事者訴訟により同特例給付に係る保険給付の請求をすることはできない。 イ厚年法33条の裁定は,基本権たる受給権の発生要件の存否や金額等につき公権的に確認する行為であり,本件においても,本件裁定の裁定書に「平成11年1月以前分の年金は5年以上経過しているため消滅時効によりお支払いする額の計算の基礎 る受給権の発生要件の存否や金額等につき公権的に確認する行為であり,本件においても,本件裁定の裁定書に「平成11年1月以前分の年金は5年以上経過しているため消滅時効によりお支払いする額の計算の基礎とはなりません」と記載されているとお。 り,平成11年1月以前分の具体的な年金額については,対応する支分権たる受給権が時効消滅していることが確認され支給の対象とならないため,同裁定時点において,その具体的な金額は計算,確定されていない。 一方,年金時効特例法施行規則4条の「処分」は,平成11年1月以前分の支分権たる受給権につき,その具体的金額を確認するものであり,時効消滅分について特に法律を制定して保険給付の支給を受ける権利を認めたものであるから,給付の法的確実性を担保するなどのために当該給付の存否,内容について社保庁長官の確認行為を要するという立法政策がとられたものであり,そのことは,同条が「処分」と明記し,受給権者に対する通知を定めていることからも明らかである。 したがって,施行前裁定特例給付に係る給付を求める訴えは訴えの利益を欠き,却下を免れない。 - 15 -( )争点2 (原告の主張)ア支分権たる受給権に基づく請求権に係る遅延損害金は,2か月毎の支払期の都度その2か月分について支払期が到来し,その翌日から発生する。 イ被告は,原告が施行前裁定特例給付の支給の前提である社保庁長官の処分を受けていないから遅延損害金は発生しないと主張するが,本件は,社保庁長官の故意又は過失による違法な裁定により本来の支給時期に支給を受け得なかったものであるから,当然にその遅滞により発生した損害の賠償を求めうる。 したがって,未支給年金元本の支給方法と遅延賠償は全く別問題であって,およそ訴え却下の問題とはなり得ない。 (被告の主張)ア前記のと あるから,当然にその遅滞により発生した損害の賠償を求めうる。 したがって,未支給年金元本の支給方法と遅延賠償は全く別問題であって,およそ訴え却下の問題とはなり得ない。 (被告の主張)ア前記のとおり,原告は社保庁長官の処分を受けて初めて施行前裁定特例,,給付の具体的な権利を取得しその支払を請求することができることから同処分を受けていない本件では,同特例給付についての遅延損害金は発生していない。 イ(ア)また,基本権たる受給権は,厚年法42条所定の要件充足により当然発生し,支分権たる受給権は,同法36条3項本文の規定する各支払(),。 ,期月毎年偶数月の到来によりその前月分までが発生するしかし厚年法33条の裁定は,基本権たる受給権の発生要件の存否や金額等につき公権的に確認する確認行為であるから,実際に年金の支給を受けるには,受給権者が,基本権たる受給権について社保庁長官に対し裁定請求をし,社保庁長官から裁定を受ける必要があるため,既に支払期月が到来し支分権たる受給権が発生し,かつ,裁定請求がされていたとしても,基本権たる受給権について現に裁定を受けていなければ支給を受けることはできず,具体的な年金支払債務が履行遅滞に陥ることはない。 - 16 -(イ)さらに,裁定がされた場合であっても,厚年法36条3項本文のとおり,支分権たる受給権は裁定後に到来する最初の支払期月において,その前月分までのものが支払われるのが原則である。 そして,裁定時点で既に支払期月が到来している支分権たる受給権については速やかに支払がされるべきであるから,同項ただし書は,これらについて裁定後に到来する支払期月を待たずに支払われる旨規定するが,具体的な支払期限については定めておらず,各支払期月以外の月においても事務処理に要する時間を踏まえた るから,同項ただし書は,これらについて裁定後に到来する支払期月を待たずに支払われる旨規定するが,具体的な支払期限については定めておらず,各支払期月以外の月においても事務処理に要する時間を踏まえた上で速やかに支払うことを求める趣旨であると解すべきである。 (「」。),,社会保険庁以下社保庁というは以上の厚年法の定めから支払日を毎月15日(土曜,日曜及び祭日の時は,その前日)とし,会計処理を含めた事務処理に要する時間を考慮して,裁定を行った時期に応じ,支払時期を明確にした事務処理スケジュールを作成してこれに従った支払を行っているものであり,これは厚年法36条3項ただし書の趣旨に沿うものである。 (ウ)本件でも,6年裁定の後,厚年法36条3項ただし書規定の「前支払期月に支払うべきであった年金」たる平成6年3月分ないし5月分の年金は,支払期月ではない月であるものの,6年裁定がされた直近の同年7月に支払われている。 また,同年6月から平成16年5月分までの差額分,及び,同年6月分から平成18年5月分までの差額分は,それぞれ平成16年,平成18年の8月に支払われており,これらはいずれも,上記事務処理スケジュール上「前支払期月(平成16年6月及び平成18年6月)に支払,うべきであった年金」である差額分の裁定がされた後に最初に到来する支払月が支払期月(8月)に該当したため支払われたものであるから,遅滞がないことは明らかである。 - 17 -(エ)したがって,原告に対する支分権たる受給権に基づく支払債務は履行遅滞に陥っていない。 ( )争点3 (原告の主張)ア社保庁・社会保険事務所職員らは,被保険者記録の誤記,記載・入力漏れ等や事業主からの届出について,事後的なチェックも含め万全の措置を講じなければならず,また ( )争点3 (原告の主張)ア社保庁・社会保険事務所職員らは,被保険者記録の誤記,記載・入力漏れ等や事業主からの届出について,事後的なチェックも含め万全の措置を講じなければならず,また,被保険者からの申立てがあったときは調査を尽くさなければならないなど,被保険者記録を正確に作成・管理すべき極めて重い職務上の注意義務を負っている。 イ昭和24,25年時点の違法Bの適用事業所を管轄していた姫路,大手前,三宮事務所等の担当職員らは,著しく上記注意義務を怠り,Bからの原告の被保険者資格の届出について,記載漏れ,入力漏れ等といった単純かつ初歩的な誤りを犯して,本件期間のうち,昭和24年12月分から昭和25年2月分まで,及び,同年6月分から9月分までの各期間(本件裁定期間)に係る被保険者期間の存在を被保険者記録上に記載ないし入力しなかった過失,さらには,これらの記載ないし入力の正確性についてチェックを怠った過失がある。 かかる過失は,原告が昭和24年12月から昭和25年11月まで厚生年金保険の被保険者となるべき者であったこと,原告は,上記期間の間,同一内容の仕事に従事していたと推認されるところ,原告に対してBが一定期間のみを排除して保険者に届け出たと解することは不自然であること,その後の年金問題の調査の過程で被保険者記録の業務管理に膨大な数にのぼる過誤があったこと,実際に同一の事業者番号を重複使用するという単純ミスにより,原告の被保険者記録に適用事業所として原告と無関係な有限会社J(以下「J」という)と記載されたことからも明らかであ。 る。 - 18 -ウ平成6年時点の違法(ア)原告は,当時,本件期間の間,Bから支給された給与から保険料が控除されて納付され続けてきたことや,Bの本社は姫路市であるが,勤務先は大阪や神戸の事業 。 - 18 -ウ平成6年時点の違法(ア)原告は,当時,本件期間の間,Bから支給された給与から保険料が控除されて納付され続けてきたことや,Bの本社は姫路市であるが,勤務先は大阪や神戸の事業所であったことを申し立てていた。一方,昭和25年3月分から同年5月分までの被保険者記録は,原告が勤務していないC本社で発見され,しかも,オンラインによる一括管理から漏れており,姫路事務所の被保険者名簿によって初めて確認され,その後,さらにマイクロフィルムを確認すると,E支店における同年12月分及び昭和26年1月分の被保険者期間の記載がある被保険者台帳が発見され,また,遅くとも昭和33年ころには,社保庁の年金記録の作成・管理のずさんさを社保庁及び社会保険事務所の職員らも認識していた。 これらの事実から,姫路及び西宮事務所の職員ら並びに平成6年の裁定事務に携わった社保庁長官及びその補助を行う社保庁職員らは,原告の本件期間の被保険者情報がオンラインシステムから欠落しており,社会保険事務所ごとに手作業による確認を進めなければならないことが明らかになった以上,大阪市内及び神戸市内の各社会保険事務所に原告の被保険者期間について照会を行うべき具体的注意義務が発生したのに,漫然,これを行わなかった過失により,大手前事務所保管の被保険者名簿に係るE支店の昭和25年10月分及び11月分,並びに,三宮事務所保管の被保険者名簿に係るF営業所の昭和26年2月分の各被保険者期間を確認できなかった違法がある。 (イ)さらには,上記(ア)の事実関係を前提とすると,上記姫路事務所の,,職員等は前記のとおりオンラインシステムからの欠落が判明したこと被保険者名簿の個別調査により,原告の申立内容に沿う形で断片的に被保険者期間の存在が明らかになり,被保険者記録の作成・管理のず ,,職員等は前記のとおりオンラインシステムからの欠落が判明したこと被保険者名簿の個別調査により,原告の申立内容に沿う形で断片的に被保険者期間の存在が明らかになり,被保険者記録の作成・管理のずさんさが明らかとなったこと,原告の一時退職やBによる保険料の不納付を- 19 -疑うべき事情は全く存在しなかったことから,原告の申し立てたBでの就労期間を真実と認め,被保険者記録を原告の申立てに従って訂正すべき義務が生じていたにもかかわらず,火災による書類不備により確認が不能であると回答したり原告に資料の提出を要求するなど,不当に原告に立証責任を押しつけ訂正に応じなかった故意又は過失による違法がある。 エ平成16年時点の違法前記のオンラインシステムからの欠落や原告の申立内容に沿う被保険者期間の断片的発見により,被保険者記録の作成・管理のずさんさが明らかになったこと,平成16年には,大手前及び三宮事務所の各被保険者記録,,の存在が明らかになり原告の申立内容の信憑性がますます高まったこと大手前事務所保管のE支店に係る被保険者名簿上の被保険者期間とマイクロフィルムに記載された被保険者台帳上の被保険者期間にずれがあり,被保険者記録の作成・管理がずさんであったことがますます明らかになったこと,原告が本件給与明細を提出し,これと被保険者名簿から明らかになった記録とを併せると,原告が本件期間の間,Bに雇用されて給与の支給を受け,その中から保険料を控除されていたこと,その間の昭和25年3月分から同年5月分まで及び同年10月分から昭和26年2月分まではBから政府に保険料が納付されていることが客観的に動かしようのない事実となり,他方,本件期間のうち上記期間を除くその余の期間についてもBによる保険料の不納付を窺わせる事情は何ら存在しなかったこと等から から政府に保険料が納付されていることが客観的に動かしようのない事実となり,他方,本件期間のうち上記期間を除くその余の期間についてもBによる保険料の不納付を窺わせる事情は何ら存在しなかったこと等からすれば,原告の申立内容に従って被保険者記録を訂正すべき義務が生じていたにもかかわらず,不当に原告に立証責任を押しつけ,訂正に応じなかった故意又は過失による違法がある。 オ消滅時効の主張による違法,,本訴提起の前後を通じて社保庁及び被告は消滅時効を主張してきたが- 20 -年金時効特例法が急遽成立・施行されるに至ったことは,被保険者記録に不備があることを棚に上げて消滅時効の主張をすることが著しく社会正義に反するものであるという評価を国民が下したものであるから,上記消滅時効の主張は,社保庁及び被告の判断の重大な過誤であって,信義則上も許されず違法たるを免れないものであり,当然に慰謝料請求権を発生させる。 (被告の主張)ア昭和24,25年当時の違法(ア)原告は,原告の被保険者記録について,社保庁長官又は社会保険事務所職員らが記載及び入力漏れ又は入力ミスといった誤りを犯して,本件裁定期間における被保険者期間の存在を被保険者記録上に正確に記載ないし入力しなかった過失,さらには,これらに対するチェックを怠った過失があると主張する。 aしかし,被保険者記録は,事業主の届出を前提とする(厚年法27条)ところ,仮に給与明細書において保険料が源泉徴収されていたとしても,事業主が資格取得の届出を行わなかった場合,社保庁が原告を被保険者として確認する機会はなく,被保険者記録がない場合は,社保庁等が被保険者資格の取得や喪失等を把握することができないため,被保険者記録が存在しなくてもやむをえない。 原告については,時期によって,BのC本社,E支店,F はなく,被保険者記録がない場合は,社保庁等が被保険者資格の取得や喪失等を把握することができないため,被保険者記録が存在しなくてもやむをえない。 原告については,時期によって,BのC本社,E支店,F営業所と異なる営業所がそれぞれ適用事業所となっており,E支店自体の場所の移転も窺われるから,それらの異動や移転の際に資格喪失届のみがなされ,資格取得届が漏れた可能性も考えられる。 bまた,姫路事務所におけるBC本社に係る被保険者名簿によれば,昭和25年1月20日の資格取得届後,同年3月1日に原告を含む複数の者の資格取得届があったと窺われるから,昭和24年12月にB- 21 -が原告の資格取得届をしたとはいえない。 さらに,大手前事務所におけるBE支店に係る被保険者名簿によれば,同支店の健康保険の適用年月日が昭和25年10月1日となっているところ,厚生年金保険の届出は,事業所が開設して適用事業所となった際に行う必要があり,実際に同時にされることが多いことに照,,らすと同日までは事業所自体が厚年法の適用事業所となっておらず,。 ,この間原告は被保険者資格を取得していないと推測される同様に三宮事務所のBF営業所に係る被保険者名簿についても,健康保険の記号番号1番の者の資格取得年月日である昭和26年2月1日までは,原告が被保険者資格を取得することはなかったと推測される。 cしたがって,本件裁定期間については,そもそもBが原告について資格取得届を行ったことを認める根拠を欠いていることから,資格取得届を行ったことを前提とする原告の主張は失当である。 (イ)また,東灘,加古川及び尼崎事務所については,昭和25年3月1日から同年6月30日までの間の原告に係る適用事業所名をJとした誤りがあるが,これは過去にBについて使用した番号を誤って新た る。 (イ)また,東灘,加古川及び尼崎事務所については,昭和25年3月1日から同年6月30日までの間の原告に係る適用事業所名をJとした誤りがあるが,これは過去にBについて使用した番号を誤って新たに適用事業所となったJに用いたことによるものであり,原告の被保険者記録。 ,,,をJとして記録したものではないまた上記誤記は被保険者の氏名資格の取得喪失等の記録等には影響が無く,年金の算定に影響を及ぼすものではないから,被保険者記録の管理事務処理上,決定的な過誤ではないというべきであるし,少なくとも,被保険者に損害を生じさせるものではない。 イ平成6年当時の違法(ア)原告は,原告の被保険者記録について,オンラインシステムからの完全な欠落という杜撰な管理を前提として,大阪市内及び神戸市内の各社会保険事務所に対し照会を行うべき具体的注意義務が発生していたの- 22 -にこれを行わなかったため,大手前事務所保管の被保険者名簿のE支店に係る被保険者期間(昭和25年10,11月)及び三宮事務所保管の被保険者名簿のF営業所に係る被保険者期間(昭和26年2月)を確認できなかった違法,並びに,被保険者記録を原告の申立てに従って訂正すべき義務があったにもかかわらず,不当に原告に立証責任を押しつけ訂正に応じなかった違法があると主張する。 (イ)しかし,原告のBに係る被保険者記録のように,昭和29年4月以前に被保険者資格を喪失している記録については,原則として磁気テープに収録せずマイクロフィルムで管理することとされたためオンライン化されなかったものであるが,マイクロフィルムの記録の存在はオンライン端末から判明しうるから,これをもってオンラインシステムからの完全な欠落であるとする原告の主張は失当である。 そもそも,平成6年3月7日の原告の確認 であるが,マイクロフィルムの記録の存在はオンライン端末から判明しうるから,これをもってオンラインシステムからの完全な欠落であるとする原告の主張は失当である。 そもそも,平成6年3月7日の原告の確認請求は,事業所の所在地をC本社のみとするものであった。また,同年4月18日の裁定請求に際し,姫路又は西宮事務所がオンライン検索の結果存在が判明したと思われるマイクロフィルム化された被保険者台帳を確認したところ,BのE支店における被保険者記録の存在が確認されているが,平成6年当時,C本社に加えて,マイクロフィルムにより判明したE支店の他には勤務地を特定するような申出は原告からはなかった。原告は,当時,Bの本社が姫路市にあることから,本社取扱いという考えの下,姫路市を事業所所在地として申立てていたというべきである。 そうすると,平成6年当時,社会保険事務所職員には,C本社,E支店の他に,原告が勤務していた事業所を具体的に特定する手がかりは何らなかったといえ,それにもかかわらず,事務所間照会を行う職務上の義務があったということはできない。 (ウ)また,前記のとおり,本件裁定により認められた被保険者期間につ- 23 -いては事業主の届出が漏れていた可能性も否定できないから,原告の一時退職やBによる保険料の不納付を疑うべき事情がなかったという原告の前提自体失当であり,この前提をもとに被保険者記録を原告の申立てに従って訂正すべき義務があるとする原告の主張は根拠を欠く。 ウ平成16年当時の違法(ア)原告は,昭和24,25年当時及び平成6年当時の違法とほぼ同様の理由を述べた上,平成16年には,本件給与明細や大手前及び三宮事務所における各被保険者期間の発見などから,被保険者記録を原告の申立てに従って訂正すべき義務があったにもかかわらず,不当に原告に立 様の理由を述べた上,平成16年には,本件給与明細や大手前及び三宮事務所における各被保険者期間の発見などから,被保険者記録を原告の申立てに従って訂正すべき義務があったにもかかわらず,不当に原告に立証責任を押しつけ訂正に応じなかった故意又は過失による同様の違法があると主張する。 (イ)しかし,厚生年金保険は,適用事業所の事業主が被保険者の資格取得等の届出を行い,保険料についても被保険者負担分と事業主負担分を,,併せて納付する義務を負っているため給与明細等が提出されていてもこれにより,事業主が当該本人の被保険者資格取得等の届出を行ったことや保険料を被告に納付した事実を裏付けることにはならない。なお,厚生年金保険は社会保険であり,保険料の納入がないにもかかわらず,当該期間を被保険者期間とすることは相当ではない。社保庁は,被保険者記録に記載がない期間,すなわち,社保庁長官が事業主に保険料の納付告知ができなかった期間について被保険者期間とすることができないとの取扱いをしているが,上記の点からしてこのような取扱いには合理性がある。 また,16年裁定期間の発見は,原告が持参した本件封筒を手かがりに事務所間照会を行ったことによるものであるから,上記発見の事実をもって,原告のBでの被保険者期間に関する申立て全体の信憑性が高まるものではない。 - 24 -そして,社会保険事務所が被保険者に対して客観的な資料を求めるケースは,オンラインデータの検索,マイクロフィルムの記録調査,本人が職歴として記載した事業所を管轄する社会保険事務所の被保険者名簿等の検索等によっても判明しない場合に,被保険者記録を検索するための手がかりを求めるものであるから,被保険者の提出資料を手がかりとして検索した結果,被保険者記録が発見されなかった場合には,その提出資料のみ 等によっても判明しない場合に,被保険者記録を検索するための手がかりを求めるものであるから,被保険者の提出資料を手がかりとして検索した結果,被保険者記録が発見されなかった場合には,その提出資料のみによって被保険者資格の内容が変更されることは想定しがたい。 エ消滅時効の主張による違法年金時効特例法の施行により,消滅時効の主張が信義則に反するか否かということは訴訟の帰趨に何ら影響を及ぼすものではなくなった。 ( )争点4 (原告の主張)ア(ア)本件裁定が認めた被保険者期間を基礎として算定した平成6年3月分ないし平成11年1月分の老齢厚生年金の合計額から既払額を控除した残額(年金時効特例法上の施行前裁定特例給付に該当)は,別紙「原告の未受給年金の一覧表1」の「差引未受給年金額合計」欄の各金額の合計額である36万2864円であり,これに対する遅延損害金の起算,「()」点はそれぞれ同別紙遅延損害金の期間年5分の割合による金員欄の各期間のとおりである。 ,,,遅延損害金の始期については厳密には2か月ごとの支払期の都度その2か月分について支払期が到来し,その翌日から遅延損害金が発生するが,便宜,同別紙の「対象期間」欄の各最終2月分の支払期の翌日とする(平成6年3月分は,同月分の支払期の翌日である。 。)(イ)また,16年裁定期間について,16年裁定に基づき,平成16年8月13日に支給された差額分に対する同日までの確定遅延損害金は,- 25 -別紙「原告の未受給年金の一覧表2」の「遅延金額合計」欄の各金額に対する同別紙の「遅延損害金の期間(年5分の割合による金員」欄の)各期間につき年5分の割合による金員を合計した額である。 遅延損害金の始期については,同様に,基本的に1年ごとにまとめる形で,同別紙の「対象期 紙の「遅延損害金の期間(年5分の割合による金員」欄の)各期間につき年5分の割合による金員を合計した額である。 遅延損害金の始期については,同様に,基本的に1年ごとにまとめる形で,同別紙の「対象期間」欄の各最終2月分の支払期の翌日とする。 (ウ)さらに,本件裁定期間について,本件裁定に基づき,平成18年8月15日に支給された差額分に対する同日までの確定遅延損害金は,別紙「原告の未受給年金の一覧表3」の「遅延金額合計」欄の各金額に対する同別紙の「遅延損害金の期間(年5分の割合による金員」欄の各)期間につき年5分の割合による金員を合計した額である。 遅延損害金の始期については,同様に,同別紙の「対象期間」欄の各最終2月分の支払期の翌日とする。 (エ)以上より,これらの金員を合計した額が国賠法1条1項に基づく損害賠償請求における未受給年金に係る損害額である(なお,争点1,2に係る年金受給権についても,同額の請求とする。 。),,,イ他に原告は社保庁及び社会保険事務所職員らの違法な取扱いにより約13年間にわたり,正当な老齢厚生年金が支払われずに日夜心労を味わうとともに生活に支障を受けてきたものであり,これらの原告の被った一切の精神的損害に対する慰謝料は300万円が相当である。 ウ本訴請求に係る弁護士費用は30万円が相当である。 (被告の主張)争う。 第3当裁判所の判断 争点1について( )原告は年金時効特例法の施行日(平成19年7月6日)前において厚年法 による保険給付を受ける権利を有していたところ,前記第2,1( )コのと - 26 -おり,平成18年6月22日付けで,社保庁長官により,老齢厚生年金の算定の基礎となる被保険者期間を301月から308月と訂正された上で本件裁定を受けている(厚年法33条)ことか と - 26 -おり,平成18年6月22日付けで,社保庁長官により,老齢厚生年金の算定の基礎となる被保険者期間を301月から308月と訂正された上で本件裁定を受けている(厚年法33条)ことから,同施行日前に同法28条の規定により記録した事項の訂正がなされた上で当該保険給付を受ける権利に係る裁定が行われたが,原告が西宮事務所長に対して厚生年金保険被保険者期間調査申請書を提出した平成16年3月22日から5年より前に支払期の到来した老齢厚生年金(前記のとおり,老齢厚生年金は各偶数月にその前月分までを支払うこととされているから,平成11年1月分までである)は,。 ,,会計法30条後段31条1項後段により消滅時効が完成したといえるので原告は,年金時効特例法附則2条の準用する同法1条の規定する対象者に該当する。 そして,年金時効特例法5条の定めを受けた同法施行規則1条1項は,同法附則2条の準用する同法1条の規定により支払うものとされる保険給付(施行前裁定特例給付)を受けようとする者は,氏名,生年月日及び住所,基礎年金番号等を記載した書類を社保庁長官に提出するものと規定し,同法施行規則4条は,社保庁長官が同特例給付に関する処分を行ったときは,その内容につき,同特例給付の支給を受けようとする者に対する文書による通知を要求している。 被告は,かかる年金時効特例法及び同法施行規則の定めについて,施行前裁定特例給付の支給につき,専ら社保庁長官に対する上記定めによる請求手続及びこれに対する社保庁長官の処分という手続を通じてのみ確定されることを予定しており,社保庁長官の処分を受けて初めて同特例給付について具体的な権利を取得するものであって,社保庁長官の処分に不服がある場合には同処分に対する抗告訴訟によりこれを争うべきであり,これらを経ずに直接,当 ,社保庁長官の処分を受けて初めて同特例給付について具体的な権利を取得するものであって,社保庁長官の処分に不服がある場合には同処分に対する抗告訴訟によりこれを争うべきであり,これらを経ずに直接,当事者訴訟によって同特例給付に係る保険給付の請求をすることはできないと主張するので,以下,検討する。 - 27 -( )ア「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(行政事件訴訟法3 」条2項)とは,公権力の主体たる国又は地方公共団体が法令の規定に基づき行う行為のうち,その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められるものをいう(最高裁判所昭和39年10月29日第一小法廷判決・民集18巻8号1809頁。 ),,,イ厚年法33条は保険給付を受ける権利は受給権者の請求に基づいて社保庁長官が裁定する旨規定するが,これは画一公平な処理により無用の紛争を防止し,給付の法的確実性を担保するため,その権利の発生要件の存否や金額等につき社保庁長官が公権的に確認するのが相当であるとの見地から,基本権たる受給権について,社保庁長官による裁定を受けて初めて厚生年金の支給が可能となる旨を明らかにしたものであり,同裁定により直接国民の権利の範囲を確定することが法律上認められるものとして,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たる(最高裁判所平成7年11月7日第三小法廷判決・民集49巻9号2829頁参照。 )一方,年金時効特例法5条による委任を受けて制定された同法施行規則1条及び4条は,同条に「施行前裁定特例給付に関する処分」との文言があることも考慮すると,同特例給付の支給を受けようとする被保険者の法的地位は,すでに厚年法33条の裁定により基本権たる受給権の確認を経ている点で年金時効特例法施行後に上記 付に関する処分」との文言があることも考慮すると,同特例給付の支給を受けようとする被保険者の法的地位は,すでに厚年法33条の裁定により基本権たる受給権の確認を経ている点で年金時効特例法施行後に上記裁定を受ける受給権者(同法1条の対象者)とは異なるものの,同法が,受給権者に対して,消滅時効期間の経過によりいったん法律上当然に消滅した支分権たる受給権について特に時効消滅の効果を覆滅しその給付を請求できる法的根拠を付与すること,,,を目的とするものであることにかんがみ改めて厚年法33条と同様に紛争防止及び給付の法的確実性の担保を図るべく,給付の可否,内容等につき社保庁長官が公権的に確認するのが相当であるとの見地から,同特例給付を受けようとする被保険者の申請に基づき,社保庁長官が支分権たる- 28 -受給権の存否,内容等について確認処分をすることによって初めて,具体的にその支払を請求することが可能となるものとしたと解することができる。なお,年金時効特例法及び同法施行規則その他関連法令中には,同法施行規則4条の「処分」に対する不服申立ての方法や争訟方法等について直接定めた規定はないものの,これは,不服申立て等についてはその一般法たる行政不服審査法及び行政事件訴訟法の規定によることを意味するにすぎず「処分」の処分性を否定する理由にはならない。 ,そうすると,年金時効特例法施行規則4条の「処分,すなわち被保険」者の申請に基づき社保庁長官のする上記確認処分は,それにより国民の権利の範囲を確定することが法律上認められるものというべきであるから,「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるとともに,同条の「処分」を受けない限り,施行前裁定特例給付の支給を求めることはできないものというべきである。 ウしたがって,本件においても 「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」に当たるとともに,同条の「処分」を受けない限り,施行前裁定特例給付の支給を求めることはできないものというべきである。 ウしたがって,本件においても,年金時効特例法施行規則4条の「処分」を受けていない原告(弁論の全趣旨)は,施行前裁定特例給付の支給を請求することはできないから,老齢厚生年金受給権に基づく原告の未払年金請求(前記第2,3( )アの請求)は理由がない。被告は,原告は同法施 行規則1条1項の手続を経て同法施行規則4条の「処分」を受けていないから,上記訴えは訴えの利益を欠き不適法である旨主張するが,被告のいう手続及び処分の欠缺は,原告が現時点で請求可能な具体的な給付請求権を有するか否かにかかわる本案の問題というべきであるから,採用できない。 ,,( )ア原告は年金時効特例法に基づき新たに受給権者が請求できる年金額は 被保険者記録の訂正に基づく厚年法33条の裁定と訂正前の同裁定との差額として一義的に確定するため,同法施行規則4条の「処分」は,単に引き算の結果を示すだけの意味しかなく,国民の権利の範囲を新たに確定す- 29 -る実質を有しないため処分性はなく,したがって,支給要件でもない旨主張する。 この点につき,基本権たる受給権の内容は,年金の種類,受給権の取得年月日,支給開始年月のみならず支給すべき年金額も含むが,この年金額は被保険者の被保険者期間及びその間の平均標準報酬額を基準として計算(),した厚年法43条1項場合の1年当たりの年金額を意味するにすぎず各支払期月の到来毎に発生する支分権たる受給権とはその内容を異にするものである。また,証拠(甲8,乙17)によれば,厚年法33条の裁定通知書の基本額欄及び年金額欄には,消滅時効期間が経過した分についても, 月の到来毎に発生する支分権たる受給権とはその内容を異にするものである。また,証拠(甲8,乙17)によれば,厚年法33条の裁定通知書の基本額欄及び年金額欄には,消滅時効期間が経過した分についても,物価スライドに応じた具体的な年金額が年額単位で記載されていることが認められるが,これも上記にいう支給すべき年金額を意味するにすぎず,同条の裁定において支分権たる受給権が確認の対象となることまでをも意味するものではない。加えて,裁定のうち時効消滅したとされた部分について,当時,消滅時効の有無を争うことなく,その年金額だけを争う利益があったとも思われず,年金時効特例法施行規則4条の「処分」が支分権たる受給権の支給要件たる行政処分ではないとすると,現時点において,その年金額を係争する方法が不分明となる(当事者訴訟が許されると,。)。 しても既存の裁定との整合性が問題となるといった不都合も生じるしたがって,原告主張のとおり,被保険者記録の訂正に基づく裁定と訂正前の裁定との差額が計算できるとしても,それは計算上可能であることを意味するにすぎず,厚年法33条の裁定において支分権たる受給権も確認の対象であることを意味するものではないから,上記原告の主張は採用できない。 イまた,原告は,施行前裁定特例給付の支給に係る社保庁長官の処分は,年金時効特例法施行規則により創設された処分であり,被告の主張は規則を法律の上位に置くものとして許されないと主張するが,前記のとおり,- 30 -同法施行規則4条の「処分」は,同法5条による「この法律の実施のための手続その他その執行」の一内容として同法による委任を受けて制定されたものであり,同法施行規則4条自体は,直接には,社保庁長官が同特例給付に関する処分を行った場合における同特例給付の申請者に対する処分内容の 他その執行」の一内容として同法による委任を受けて制定されたものであり,同法施行規則4条自体は,直接には,社保庁長官が同特例給付に関する処分を行った場合における同特例給付の申請者に対する処分内容の文書による通知の要求といった手続的事項について規定したものではあるが,その前提として,当然,当該処分を行い得る根拠を与えるものであるから,上記原告の主張は失当である。 ウ原告は,年金時効特例法が本件訴訟係属中に施行されたことにより,適法な訴訟係属が失われ,訴権を不当に侵害される旨主張する。本訴との関係で上記主張がいかなる意味を持つかは明確ではないが,前記のとおり,同法施行規則4条の「処分」を受けていなくとも本件訴えが不適法となるものではない。 また,上記「処分」を受けていないため請求に理由がないとされる点についても,同法施行前において,原告に対する老齢厚生年金の消滅時効の主張が信義則違反等の理由により許されなかったと仮定すると,同法の施行により,原告は,実体法上時効消滅の効果の覆滅という利益を受ける反面,同法施行規則4条の「処分」を受けないと施行前裁定特例給付を受けられないという新たな制約を課せられることになったといえるが,現実に原告に要求されるのは,同法施行規則1条1項1号ないし3号所定の事項を記載した書類の提出程度にとどまり,これをもって,同法が違憲であるか又は同法施行規則が同法等に違反するとはいえない。上記仮定が成り立たないとすると,原告は,同法施行前においても消滅時効の完成した老齢厚生年金の支給を請求できなかったのであるから,同法施行後,同部分の老齢厚生年金の支給請求が上記「処分」の不存在のため棄却されても新たな不利益を受けることにはならない。 争点2について- 31 -( )ア前記のとおり,施行前裁定特例給付に基づく未支 部分の老齢厚生年金の支給請求が上記「処分」の不存在のため棄却されても新たな不利益を受けることにはならない。 争点2について- 31 -( )ア前記のとおり,施行前裁定特例給付に基づく未支給年金の支払請求には 理由がない以上,これに対する遅延損害金も発生しない。 イ一方,原告は,16年裁定及び本件裁定に基づいて追加給付された年金部分について,前記のとおりその追加支給自体が遅滞してなされたものである旨主張するので,以下,検討する。 厚年法36条3項ただし書は,前支払期月に支払うべきであった年金等は,支払期月でない月であっても支払うものとする旨規定し,これは,裁定が初めて求められた場合と再裁定(再々裁定等,当初裁定後の一切の裁定又は裁定の訂正を含む)の場合との双方に適用される規定と解される。 一方で,再裁定の場合には当初の裁定時点において再裁定の内容の裁定がなされていた場合には給付されたであろう支払期月に遡って遅延損害金を,,付して年金を支給するなどの特別の規定がない以上は再裁定の場合にも公権的に年金額を確認する裁定の後に初めて年金受給権が発生すると解さざるを得ない以上,同項ただし書の規定を超えて,再裁定について,再裁定以前の期間についての遅延損害金の支払を求める原告の請求には理由がないものといわざるを得ない。 また,16年裁定及び本件裁定がなされた日から実際の支払日までの時,,(,)間的な接着性についてみても前記認定事実のほか 証拠 乙31 及び弁論の全趣旨によれば,16年裁定及び本件裁定に係る追加給付分の支払は,多数存在する支払期月をすぎた裁定や再裁定に係る年金給付について事務処理の煩を考慮しつつ可及的に速やかな給付を図るために策定された事務処理スケジュールに従った給付がなされていたのであり,16年裁 ,多数存在する支払期月をすぎた裁定や再裁定に係る年金給付について事務処理の煩を考慮しつつ可及的に速やかな給付を図るために策定された事務処理スケジュールに従った給付がなされていたのであり,16年裁定及び本件裁定における具体的な給付日をみても,上記各裁定の日の次の支払期月であったというのであるから,何ら遅滞はないものというべきである。厚年法36条3項ただし書も,速やかな支給を行わせるべく,支払期月でない月であっても支払うこととする旨規定しているところ,これ- 32 -は,文言上も,事務処理の煩の考慮といった点からも,裁定又は再裁定の日を含む月中に支払うべきこと等までをも規定したものとは考えられず,通常の合理的な事務処理期間を経た後に速やかに支給すべきことを義務付けた規定にとどまり,これが支払期月でない場合には支払期月でないことを理由に支給をことさら次の支払期月まで待たざるを得なくなるような事態を避ける点に意味があるにすぎないものというべきである。 ( )よって,追加支給分についての遅延損害金の支払を求める原告の請求(前 記第23( )及び( )の各アの各請求にも理由がないことに帰着する仮,),( に,16年裁定又は本件裁定に至ったことに社保庁長官等の過失があり,本来の給付の時期に遅れたというのであれば,厚年法に規定がない以上,年金の給付としてではなく,後記のとおり,遅延損害金相当部分について,国家賠償を求めていくほかはないものといわざるを得ない。 。) 争点3について( )原告は,社保庁・社会保険事務所職員らは,被保険者記録を正確に作成・ 管理すべき極めて重い職務上の注意義務を負っているとした上,昭和24,25年時点の違法として,Bの適用事業所を管轄していた姫路,大手前,三宮事務所の担当職員らは,B ,被保険者記録を正確に作成・ 管理すべき極めて重い職務上の注意義務を負っているとした上,昭和24,25年時点の違法として,Bの適用事業所を管轄していた姫路,大手前,三宮事務所の担当職員らは,Bによる原告の被保険者資格の届出に対し,記載漏れや入力漏れ等により,本件裁定期間において原告が被保険者資格を有することを記載ないし入力せず,さらには記載ないし入力の正確性についてチェックを怠ったとして,上記注意義務に違反した旨主張する。 ( )前記第2,1( )の事実,並びに,証拠(甲1,3ないし5,7,9ない し15,17ないし20,22の1・2,23ないし25,乙4,5,21の1ないし21の6,22の1ないし22の6,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告のBにおける勤務形態原告は,昭和24年3月ころ,Bに雇用され,同年11月までは大阪市- 33 -γ(現ε)所在のBのE支店又はD営業所において,仮雇いのような待遇で月1回給料を支給されていたが給与明細を渡されることはなかった前,(記認定のとおり原告の被保険者記録にはE支店住所・大阪市γ現,「」((ε )とあるのに対し,本件封筒には「D営業所(住所・大阪市β)と)」あり,名称及び住所の変更があった可能性はあるが,同時期に大阪に複数。 ,,「」の事業所が併存していたとは考えられない以下便宜常にD営業所という。その後,昭和24年12月からBにおいて本雇いの形態とな。)り,神戸市α(現ζ)所在の同社のF営業所において昭和26年2月まで勤務し,給与の支給を受けていた。なお,昭和24年12月から昭和25年11月の1年間(本件給与明細の期間)における原告に対する給与支払額はほぼ一定である(原告がその間に陸上部門から海運 6年2月まで勤務し,給与の支給を受けていた。なお,昭和24年12月から昭和25年11月の1年間(本件給与明細の期間)における原告に対する給与支払額はほぼ一定である(原告がその間に陸上部門から海運部門に移行して船員労働に従事するようになったり,本雇いから仮雇いへの変更等の勤務形態の変更があったりした状況は窺われない。 。)イ被保険者記録の管理方法の変遷(ア)昭和17年6月から実施された厚生年金制度の前身である労働者年金保険制度(昭和19年に厚生年金保険と名称変更)では,当初,厚生省の外局である保険院(後に内局である保険局に改組)が,地方庁から進達された事業者からの被保険者資格の特喪等の届出書に基づき被保険者台帳及び被保険者台帳索引票を作成し,全国の被保険者記録を一元的に管理していた。 終戦直前のころ,被保険者台帳を地方庁に移管し,保険局は前記索引票のみを,地方庁は上記届出書に基づき作成された被保険者名簿と被保険者台帳とを整理することとなった。その結果,被保険者が都道府県を異にして転職した場合は,1枚の被保険者台帳に集約することが困難となり,被保険者台帳が複数枚作成される者も生じた。 終戦後,地方庁における被保険者台帳を,現に被保険者資格を有する- 34 -者に関する現存台帳とすでに同資格を喪失した者に関する喪失台帳に大別し,昭和29年の厚年法の制定を経て記録事務の機械化が実施される昭和32年9月までの間に,重複記録の整理統合等を行った。 (イ)昭和32年4月1日,被保険者に関する記録事務を機械化して中央に集約することを目的とし,保険局に年金業務室(後の業務センター)が設置され,社会保険出張所(後の社会保険事務所)で管理する被保険者台帳を年金業務室に移管するとともに,いわゆるパンチカード方式が。 ,,導入されたこれに 険局に年金業務室(後の業務センター)が設置され,社会保険出張所(後の社会保険事務所)で管理する被保険者台帳を年金業務室に移管するとともに,いわゆるパンチカード方式が。 ,,導入されたこれにより社会保険出張所において被保険者記録の確認改訂等を行ったときはその情報が進達され,数字化してパンチカードにせん孔されて管理され,また,既存の被保険者台帳記録のパンチカード化も行われた。 その後,昭和37年3月に電子計算組織が導入され,現存台帳は順次磁気テープに収録された。一方,喪失台帳についてはマイクロフィルム化されて,業務センターにおいて管理されることとなった。さらに,昭和58年には,全社会保険事務所を結ぶオンラインシステムが完成し,被保険者期間や標準報酬月額等を社会保険事務所の窓口装置のディスプレイ画面に即時に表示することが可能となった。 (ウ)平成9年1月に基礎年金番号が導入され,それまで各年金制度毎に付与されていた年金番号が各被保険者毎に一つの基礎年金番号に統合され一元管理されることになった。社保庁は,過去の公的年金制度の加入の有無及び2つ以上の年金手帳の所有の有無の回答を求めるなどの方法で上記統合作業をしたが,後記のとおり統合できない多数の被保険者記録が残った。 ウ原告の被保険者記録の確認経緯(ア)a原告の依頼を受けたG社労士が,平成5年12月ころ,老齢基礎年金及び老齢厚生年金の裁定請求をする準備のため,原告の被保険者- 35 -期間の有無を確認したところ,本件期間が老齢厚生年金の被保険者期間として記録されていないことが判明した。 そのため,原告は,平成6年1月から同年3月にかけて,同月7日の確認請求を含め,G社労士を通じて書面により,また自ら西宮及び姫路事務所に対し架電するなどにより,被保険者期間の有無について被保 た。 そのため,原告は,平成6年1月から同年3月にかけて,同月7日の確認請求を含め,G社労士を通じて書面により,また自ら西宮及び姫路事務所に対し架電するなどにより,被保険者期間の有無について被保険者記録の再調査を求めたところ,当初は上記各事務所から被保険者期間は見当たらない旨の回答がなされたが,原告がさらに再調査を求めたところ,昭和25年3月1日から同年6月30日までのBのC本社における被保険者期間(同年3月分ないし同年5月分)が発見されたとの回答がなされた。また,その調査の過程において,原告の年金手帳番号が「XXXX-XXXXXX(姫路)と「YYYY-」YYYYYY(西宮)の2つ発見され,原告が重複者であることが」判明し,新しい番号である後者の番号が取り消され(原告本人は姫路の番号が取り消されたと供述するが,甲20号証に照らし,採用しない。原告の記憶違いと考えられる,平成6年2月25日,年金手。)帳の再交付を受けた。 なお,原告及びG社労士は,対応した上記各事務所の職員に対し,原告が昭和24年3月ころから同年11月ころまでD営業所で勤務していたこと,その後,同年12月から本雇いとなり,昭和26年2月までF営業所において勤務したこと等のBにおける原告の勤務形態について説明していた。 bこの点,被告は,平成6年3月7日の確認請求当時における原告の申立内容について,適用事業所の所在地をC本社とするのみであったと主張するところ,確かに,証拠(乙1)によれば,原告が上記確認請求時に提出した厚生年金保険被保険者期間調査申請書には「事業所の所在地」欄に「姫路市」とのみ記載されていることが認められる。 - 36 -しかし,証拠(甲23,原告本人)によれば,原告は,主にG社労士を通じて,上記平成6年の確認請求等における社会保険事務所と の所在地」欄に「姫路市」とのみ記載されていることが認められる。 - 36 -しかし,証拠(甲23,原告本人)によれば,原告は,主にG社労士を通じて,上記平成6年の確認請求等における社会保険事務所とのやりとりを行っていたが,同社労士に対してはBでの就業場所につき,,十分説明していたことが認められ同一の使用者に雇用されていても就業場所(事業所)を管轄する社会保険事務所毎に被保険者記録が作成保管されていることがあることを知悉する同社労士が,社会保険事務所職員に対し,Bの本社所在地のみを告げ,原告の実際の就業場所(D及びF営業所)について説明しないことは考えられない。 また,被告の主張からすると,社会保険事務所職員の方からは原告に対して実際の就業場所の確認をしなかったと考えるほかないが(これがなされたのに,原告があえて事実と異なる説明をすることはあり得ない,少なくとも原告自身は,Bで就労していた間の被保険者。)記録がなかったことから再調査を求めたのであるから,社会保険事務所職員とのやりとりの中で,尋ねられなくとも同社での就業形態を説明したと考えるのが合理的である。 さらには,平成16年3月22日の確認請求の際の厚生年金保険被保険者期間調査申請書には,本件封筒の他,勤務事業所は姫路市η所在のBであるが原告の勤務地はF及びD営業所であった旨記載されたG社労士作成の文書が添付されているにもかかわらず同申請書の事,「業所の所在地」欄にも「姫路市η」としか記載されていないこと(乙3の1・2)からすると,平成6年3月7日の確認請求時の同調査申請書の「事業所の所在地」欄にB本社のある姫路市と記載された経緯は不明であるが,この一事をもって同確認請求当時,原告及び同社労士がBでの原告の勤務形態について説明していたとの上記認定が左右されることは の「事業所の所在地」欄にB本社のある姫路市と記載された経緯は不明であるが,この一事をもって同確認請求当時,原告及び同社労士がBでの原告の勤務形態について説明していたとの上記認定が左右されることはないというべきである。 また,被告は,原告の調査依頼に対する被告の対応について,平成- 37 -6年3月7日の確認請求(乙1)の際に,姫路事務所の被保険者名簿(乙2)を確認して同年4月1日付けの回答(甲6)をした旨主張するが,証拠(甲6,乙1)及び弁論の全趣旨によれば,上記確認請求の際に提出された厚生年金保険被保険者期間調査申請書上には「原票(名簿)に見当たらず」とのゴム印が押されていること,昭和25年3月1日から同年6月30日までの間以外は被保険者期間が見当たらないとの回答がなされたのは,前記認定のとおり上記確認請求から約1月弱も経過した後であることからして,当初から被保険者名簿(乙2)の内容を確認して回答した旨の上記被告の主張を採用することはできない。 (イ)a原告は,上記平成6年4月1日付けの回答を受け,当面判明したものだけで裁定請求をすることとしたが,上記3か月分の被保険者期間が発見されたこともあり,改めて調査を要請したところ,業務センターの管理するマイクロフィルムにおいて,昭和25年12月9日から昭和26年2月1日までのBのD営業所における被保険者期間(昭),,和25年12月分及び昭和26年1月分が確認されたため原告は裁定請求書に記載する勤務期間について,前記5か月分の各被保険者期間の発見にしたがい,修正ないし追加した。 bこの点につき,被告は,BのD営業所の存在及び所在が初めて確認されたのは,平成16年に原告が本件封筒を提出した時点であると主張し,証拠(甲21,乙10の1)によれば,裁定請求書に追加記載された昭 この点につき,被告は,BのD営業所の存在及び所在が初めて確認されたのは,平成16年に原告が本件封筒を提出した時点であると主張し,証拠(甲21,乙10の1)によれば,裁定請求書に追加記載された昭和25年12月9日から昭和26年2月1日までの被保険者期間(前記第2,1( )イ。上記マイクロフィルムの発見を受けた姫 路事務所の指示によるものと推測される)に係る適用事業所の所在。 地が「姫路市」と記載されていること,平成16年4月21日付けで姫路事務所が業務センターに対しファクシミリ送信した原告の被保険- 38 -,「()者記録の整備願には上記被保険者期間について事業所不明確認のため,旧台帳の写し添付願います」と記載されていることが認められ,平成6年当時においては,姫路事務所の職員がBのD営業所の存在を認識していなかった可能性がないとはいえない。 しかし,上記マイクロフィルムにおいては,昭和25年3月1日から同年6月30日までの被保険者期間と同年12月9日から昭和26年2月1日までの被保険者期間が明確に区別されて記載された上,前者の被保険者期間と異なり後者の被保険者期間の適用事業所について明確に「E支店」と記載されていること(乙10の3,被保険者期)間のみならず当該被保険者期間に係る適用事業所がどこであるかも被保険者記録に登録すべき基本的情報であるといえることからして,上記マイクロフィルムが業務センターから姫路事務所にファクシミリ送信又は郵送された可能性は十分考えられ,少なくとも,業務センターの職員は姫路事務所の職員とのやりとりにおいて,被保険者期間の内容のみならず当該被保険者期間に係る適用事業所がどこであるかについても同職員に対し伝達したものと推測される上記裁定請求書の姫。 「路市」との記載も,姫路事務所の職員 とりにおいて,被保険者期間の内容のみならず当該被保険者期間に係る適用事業所がどこであるかについても同職員に対し伝達したものと推測される上記裁定請求書の姫。 「路市」との記載も,姫路事務所の職員が適用事業所がどこであるかを重要視せず昭和25年3月1日から同年6月30日までの被保険者期間に係る適用事業所に合わせて記載させた可能性も必ずしも否定できないこと,整備願における事業所が不明であるとの記載についても,平成6年以降における上記マイクロフィルムの写しの廃棄,紛失等の可能性もあることからすると,これらの記載は上記認定を左右するものではない(仮に上記マイクロフィルムが姫路事務所の職員にファクシミリ送信又は郵送されず,業務センターの職員も適用事業所について伝達せず姫路事務所の職員もそれを確認しなかったとすると,上記職員らは,被保険者記録の基本的情報の伝達・確認を怠ったというべ- 39 -きであり,それ自体が固有の職務上の義務違反を構成しうるものである。 。)(ウ)さらに,原告は,本件期間のうちのその余の期間についても,西宮事務所等に対して調査を依頼したが,同事務所職員は,火事による記録の焼失等により調査は困難である旨述べて原告に証拠の提出を促すなどして,調査依頼に応じることはなく,平成6年6月9日,社保庁長官により6年裁定がなされた。その後も,原告は,西宮事務所等に対し調査を依頼することもあったが,同事務所等の対応は変わらなかった。 (エ)原告は,平成16年2月ころ,引越しのため家財道具を整理していた際に本件給与明細を発見し,同年3月ころ,西宮及び姫路事務所に対し,G社労士を通じて被保険者期間の再調査を依頼したところ,同年5月20日ころ,姫路事務所から,新たに昭和25年10月,11月及び昭和26年2月分が被保険者期間であると ころ,西宮及び姫路事務所に対し,G社労士を通じて被保険者期間の再調査を依頼したところ,同年5月20日ころ,姫路事務所から,新たに昭和25年10月,11月及び昭和26年2月分が被保険者期間であると確認され年金を再裁定する必要があるため手続をとるよう求める旨の回答書が送付された(なお,本件給与明細は,その体裁等からしてもすべてが実際にBから原告に交付された真正な給与明細と認められる。 。)これに対し,原告は,本件給与明細という確たる証拠が出てきた以上は,本件期間について全て被保険者期間であると認めるのが当然であるとして抗議したが,埒があかないため,平成16年6月11日,再裁定願書を提出したところ,同年7月15日付けで,社保庁長官により16年裁定がなされた。 (オ)原告は,平成16年9月ころ,姫路以東から大阪市北部までに至る8か所の社会保険事務所に対し,原告の被保険者期間の有無について照会したところ,三宮,福島及び天満事務所からは回答がなく,淀川及び大手前事務所における原告の被保険者期間は昭和25年10月1日ないし昭和26年2月1日の4か月分のみであり,東灘,加古川及び尼崎事- 40 -,,,務所においてはオンラインシステムにおいて上記4か月の期間の他昭和25年3月1日ないし同年6月30日の間の3か月,及び,昭和26年2月1日ないし同月25日の1か月の合計4か月分の被保険者期間が確認されたが,前記3か月分については,その適用事業所がJとされていた。かかる適用事業所の記載に対し,原告はすぐに,Jにおいて勤務したことはない旨抗議した。 (カ)東灘事務所は,平成18年1月25日付けで,加古川事務所は同月24日付けで,原告に対し,それぞれ昭和25年3月1日ないし同年6月30日の被保険者期間における適用事業所名をBでなくJと誤 た。 (カ)東灘事務所は,平成18年1月25日付けで,加古川事務所は同月24日付けで,原告に対し,それぞれ昭和25年3月1日ないし同年6月30日の被保険者期間における適用事業所名をBでなくJと誤って記載したことについて謝罪する旨の文書を送付し,原告は,同事務所送付に係る文書を平成18年1月25日に,東灘事務所送付に係る文書を同月26日に受領した。 ,,,また東灘事務所送付に係る文書には上記誤りが生じた原因として昭和28年にBが社会保険の資格を喪失して昭和37年にJが同資格を,,取得した際に一度使用した番号は二度と使用しないという運用を誤りBがかつて使用していた事業所記号をJに付してしまったことによるものである旨記載されていた。 エ社保庁の被保険者記録の管理等に対する批判の高まり(ア)新聞記事a平成18年ころから平成19年にかけて,社保庁が管理する年金記録(被保険者記録)に多数の誤りがあるなど,社保庁の年金記録管理。 ,体制がずさんであるとの新聞報道等が繰り返しなされたその中には平成9年に導入された基礎年金番号が付与されていない加入記録(いわゆる宙に浮いた年金記録)が平成18年6月時点で約5000万件にのぼり,そのうち少なくとも約1800万件が年金支給年齢に達している者の被保険者記録であったこと,平成13年4月から平成19- 41 -年2月までの約6年間において,年金の支給が開始された人のうちで社保庁が年金額を訂正した件数(支給漏れ)が約22万件であったこと,保険料を納めた記憶があるのに被保険者記録がないとされる可能性がある記録(いわゆる消えた年金記録)が約100万件と見込まれること等が記載されていた。 bその主たる原因として,各社の新聞記事は,以下のものをあげている。 (a)被保険者記録のオンライン 能性がある記録(いわゆる消えた年金記録)が約100万件と見込まれること等が記載されていた。 bその主たる原因として,各社の新聞記事は,以下のものをあげている。 (a)被保険者記録のオンライン化に当たって手書きの記録をコンピューターに入力する際に,被保険者の氏名の読み方を誤ってカタカナ入力する等のミスがあったり,適用事業所側が社保庁に提出した書類に誤った記載がなされていた。 (b)基礎年金番号が付与される前までは年金制度間で異なる番号を付与され,また,転職の度に異なる年金番号が付されることも多かったこと,転職や勤務期間が短期間にとどまるもの等については,それらが数十年前のことであることが多いこともあり,裁定請求の際に被保険者が上記転職等について届出を失念する場合があった。 (c)年金を請求する際の社会保険事務所職員とのやりとりに当たっても,本人の記憶と社保庁の記録とを突き合わせて確認することが必要であるが,社会保険事務所職員が本人の請求をうのみにしてよく確認せずに裁定請求書を受け付けることが多かった。 cまた,年金記録が統合された場合も,未払分の年金について,社保庁側から消滅時効を主張されることがあり,その場合は実際に支給を受けられた額は記録の訂正を申し出た時点から5年分だけ遡った額にとどまることも記載されていた。 他に,昭和32年に被保険者記録の管理のためにパンチカードシステムによる管理方法が導入された翌年の昭和33年度における行政管- 42 -理庁(現在の総務省行政評価局)による行政監察において,同システ,,,ムの管理方法の複雑さ等から被保険者記録の中には氏名生年月日資格取得月日等の誤り,又は資格期間及び標準報酬月額の誤計算が発見されているとの報告がなされ,被保険者記録の整備について一層の努力を払う必要があ 法の複雑さ等から被保険者記録の中には氏名生年月日資格取得月日等の誤り,又は資格期間及び標準報酬月額の誤計算が発見されているとの報告がなされ,被保険者記録の整備について一層の努力を払う必要がある旨の勧告もなされていたが,以降,再調査や被保険者記録の管理に係る行政監察が行われることはなかったこと,その原因として,昭和37年におけるオンライン化により誤り等はなくなったものと過信した可能性があること等が記載されていた。 (イ)年金記録問題検証委員会(以下「検証委員会」という)による報。 告a検証委員会は,年金記録問題発生の経緯,原因,責任の所在等について調査・検証を行うために,行政評価・監視の機能を有する総務大臣の下に設置され,外部の有識者7名の委員により構成された委員会である。同委員会は,平成19年6月14日に第1回会合を開催し,同年7月10日に中間段階の発表を行い,その中で「途方もない数,」,「」,の未統合記録などの存在コンピュータ上の記録の正確性の問題「保険料の納付等が台帳等に記録されていない問題」を解明すべき事象と捉えた上,計11回の委員会会合,ワーキンググループ会合・委員懇談会等を開催し,専門家として5名の参与の参画も得て,年金記録の管理に関するシステム,業務運営,コンプライアンスの視点から調査・検証活動を重ね,以下のbないしfのとおり,その結果を報告した。 b年金記録問題発生の根本にある問題検証委員会は,上記の問題点として,年金番号統合の際における氏名・生年月日等の情報を本人に確認する仕組みを設けなかったこと,当面の使用頻度が低いとして,昭和29年以前の厚生年金保険の記録- 43 -(昭和62年時点で約1430万件)を磁気テープ・オンライン化せずにマイクロフィルム化するにとどめたこと,被保険者記録の管理 面の使用頻度が低いとして,昭和29年以前の厚生年金保険の記録- 43 -(昭和62年時点で約1430万件)を磁気テープ・オンライン化せずにマイクロフィルム化するにとどめたこと,被保険者記録の管理方式が変更される度,それ以前の被保険者記録における氏名・生年月日等の不備について訂正・補充を怠ってきたこと,多くの職員も被保険者記録の誤りが相当あることを漠然と認識していたが,これを定量的に把握・検証等する組織的取組みは行われなかったこと等,厚生労働省及び社保庁に,被保険者記録の正確性を確保することに対する重要性の認識が欠けていたことを指摘した。 その上で,社保庁は,年金保険料の納付の有無や職歴等について最もよく知る本人が年金給付の裁定請求時や相談時などのため来庁した際に,社保庁の保有している記録と突き合わせて確認し,齟齬があれば直せばよいという事務処理上の考え方(以下,このような考え方を「裁定時主義」という)を採用してきたが,社保庁は被保険者等に。 関する記録の作成の過程全般にわたって,記録の正確性を常に確保する業務運営を行うべきであり,裁定請求に至るまでの間も本人に定期的に被保険者記録を確認する仕組みを制度的に設けるべきであって,国民に対しても被保険者記録の確認を求め,わかりやすく情報提供するなどして繰り返し努力すべきであったとした。 c約5000万件の宙に浮いた被保険者記録について(a)検証委員会は,サンプル記録(7840件)の分析の結果,上記の被保険者記録のうち,住民基本台帳ネットワークシステムとの照合により,生存の可能性が高いことが判明した者の被保険者記録は33.6パーセント,死亡が判明した者等の同記録,年金受給の対象とならないと考えられる同記録,及び,サンプル抽出日(平成18年6月1日)以降の基礎年金番号に統合済みの同記 判明した者の被保険者記録は33.6パーセント,死亡が判明した者等の同記録,年金受給の対象とならないと考えられる同記録,及び,サンプル抽出日(平成18年6月1日)以降の基礎年金番号に統合済みの同記録は併せて27.9パーセント,婚姻等により氏名を変更していると考えられ- 44 -る者の同記録,オンラインへの入力ミスなどがあったと考えられる同記録,平成14年8月以前に死亡したと考えられる同記録は,併せて38.5パーセントであるとした。 その上で,生存の可能性が高いことが判明した者の被保険者記録が未統合のまま残ったのは,社保庁は平成10年度から平成18年度にかけて,複数の年金手帳記号番号を有していると思われる55歳(平成9年1月時点)までの被保険者(約1818万人)に対して順次照会したが,56歳(同時点)以上の者に対しては数年のうちに裁定請求がなされることになるのでその時に処理できると考え上記照会を実施しなかったこと,上記照会に対し回答がなかった者や照会文書が送達不能で返戻された者(併せて約565万人)について,再送付や住所の再確認等のための特段の措置を執らなかったことが主な原因であるとした。 (b)また,死亡判明者及び年金受給者非該当と考えられる者等の被保険者記録が未統合のまま残ったのは,社保庁が死亡情報を把握していないものがあり,把握できるものについても上記宙に浮いた被保険者記録と区別して整理してこなかったこと,オンライン上で把握できる脱退手当金等を受給した者や被保険者期間のない者の同記録についても同様に区別して整理してこなかったことが主な原因であるとした。 ,,,(c)さらにオンラインへの入力ミス等についてはオンライン上氏名,生年月日又は性別がそもそも空欄であるものがあること,オンラインへ入力する際の転記ミス,漢 主な原因であるとした。 ,,,(c)さらにオンラインへの入力ミス等についてはオンライン上氏名,生年月日又は性別がそもそも空欄であるものがあること,オンラインへ入力する際の転記ミス,漢字を一定のルールで自動的にカナに変換する漢字カナ自動変換辞書システムの使用により,誤った読み方のままでカナ氏名が入力された被保険者記録が発生したこと,生年月日について,1日から9日を「1日」などのようにまと- 45 -めて「1日「10日「20日「30日」と記載した時期が」,」,」,あったことが不正確な記録の発生原因の例として挙げられている。 そして,上記のオンライン上の被保険者記録の不備は,昭和32年10月から開始された厚生年金保険についてのパンチカード入力方式による被保険者記録などを基に磁気テープに入力する際の過程において入力ミスなどが生じ,これらの誤った被保険者記録がそのままオンライン上に残ったことに基づくものであるとした上,その原因について,年金手帳記号番号中心のシステム設計等が行われ,被保険者記録の管理にとって重要な情報である氏名,生年月日,性別及び住所が軽視され,特に氏名はその表記や読み方が一生の間に変わる者もいるため,長期間にわたってその情報の正確な管理・把握に困難が伴うことを認識して対応すべきであったにもかかわらず,前記の漢字カナ自動変換辞書システムを使用してカナ氏名入力を行った結果,誤った読み方のままでカナ氏名が入力されたこと,同システムに係るプログラムや関係資料,オンライン化等の記録管理方式の変更時における不備データに関する昭和59年の調査結果などの年金記録の管理に係る重要な作業に関する記録や資料が引き継がれてこなかったこと,社保庁は上記不備データの存在を認識していたが,裁定時主義が根底にあったために,オ タに関する昭和59年の調査結果などの年金記録の管理に係る重要な作業に関する記録や資料が引き継がれてこなかったこと,社保庁は上記不備データの存在を認識していたが,裁定時主義が根底にあったために,オンライン化以降,平成9年1月の基礎年金番号導入までに,誤った被保険者記録の訂正・補充を重点的に行うべきであったにもかかわらず,前記のとおり,平成10年度から平成18年度の照会作業においても未回答の者に対して再照会等をしない等して,これらを行わなかったこと,被保険者記録の管理に関するコンピューターシステムの開発・運用,,についても長期間にわたり特定の開発事業者に依存してきたため社保庁内部の人材育成が不十分であり,システムの仕様等に係る意- 46 -思決定を業者に依存するものとなり,社保庁自身にシステムの設計・評価・改善等を行う姿勢が欠けていたことを挙げている。 また,被保険者記録の転記・入力の際に二重チェックの不徹底があり,年金手帳記号番号や基礎年金番号の重複発行防止対策についても,資格取得届の内容を十分確認することなく付番するなど徹底していたとは言い難い実態があったとした。 (d)社会保険事務所における年金相談等の対応についても,二度目の相談で被保険者記録が判明したものもあり,相談の結果,被保険者記録の訂正がなされた者のうち約20パーセントは再裁定手続がとられており,当初の裁定時に丁寧な聞き取りや詳細な被保険者記録の調査が十分に行われていないことが窺われるとした。 (e)社保庁本庁の監査部門が行う内部監査や社会保険事務局が社会保険事務所に対して行う地方監査等もいずれも不十分であり,不正事故防止のための特段の積極的な取組みも平成15年度までは行われていなかった。 (f)検証委員会が27社会保険事務局・215社会保険事務所にお, 対して行う地方監査等もいずれも不十分であり,不正事故防止のための特段の積極的な取組みも平成15年度までは行われていなかった。 (f)検証委員会が27社会保険事務局・215社会保険事務所にお,,ける年金記録の保管状況を調査した結果厚生年金保険については2社会保険事務局・7社会保険事務所が戦災等により一部の記録を消失したとしている。また,国民年金については,3社会保険事務所が国民年金手帳記号番号払出簿を全く保管していないとしている。 d約1430万件(昭和62年3月時点)のコンピュータ未収録の被保険者記録についてこれらは,被保険者資格を昭和29年4月1日以前に失い昭和34年3月31日までに再取得していない者に関する被保険者台帳であって,磁気テープに収録されず,マイクロフィルムにより管理されてい- 47 -る記録であり,サンプル記録(2700件)の分析の結果,その記録が使用されてオンライン化されたものが15.2パーセント存在することから,社保庁が使用頻度が低いとして早期にオンライン化に取り組まなかったことは問題であるとした。 e消えた年金記録について原因の一つとして,社保庁職員等の関係者による保険料の横領行為が考えられるとして,社保庁の調査によりすでに判明していた横領等事案のうち特に詳細な検討を要するとしたもの(12件)について調査を行った結果,領収証書が不正に使用されるなど,不正行為防止のための内部事務管理体制が不十分であったこと,また,給付拒否者や特例納付に係る事務の仕組みを悪用したり,保険料免除申請書の偽造等の横領が発覚しにくい手口が利用されていた事案も認められる等とした。 その上で,未納者に対して催告を行うため横領等は必ず発覚する仕組みになっていると社保庁が主張する点についても,未納者に対する催告は適宜行う仕組 にくい手口が利用されていた事案も認められる等とした。 その上で,未納者に対して催告を行うため横領等は必ず発覚する仕組みになっていると社保庁が主張する点についても,未納者に対する催告は適宜行う仕組みであった時期もあり未納者全員に対して完全に実施されていたものではないこと,特例納付に係る保険料や納付拒否者に係る場合などは催告等が行われない仕組みとなっていたことから,横領等が必ず発覚すると言い切ることはできないとし,事務処理上のミスの他,横領等が一つの原因となっている可能性は否定できないとした。 f被保険者記録問題発生の間接的な要因社保庁は,上記のような被保険者記録問題発生の直接的な要因を助長し,又はその背景となっていた要因として,社保庁職員の三層構造に伴う問題,職員団体の問題,地方事務官制度に係る問題等の結果,組織としてのガバナンスが決定的に欠如しており,人事政策や人事育- 48 -成上の取組みが不十分であったこと,全国統一的な業務処理の視点が欠けていたこと等を挙げている。 ( )前記第2,1の認定事実に上記認定事実を併せ,昭和24,25年当時に おいて,社保庁・社会保険事務所職員らについて,本件裁定期間における原告の被保険者期間の存在を記載ないし入力せず,又は記載ないし入力の正確性についてチェックを怠り,上記注意義務に違反したといえるか否かを検討する。 ア昭和24,25年当時は,被保険者台帳及び被保険者名簿が地方庁にすでに移管された状態にあったところ,終戦直後の混乱期において都道府県毎に転職を繰り返した者も多く,これらの者については複数の台帳に番号が付されて登録されることも多かったと推測される。 ,,()しかし原告は本件期間昭和24年12月から昭和26年2月までの間,BのF営業所において本雇いとして勤務してい は複数の台帳に番号が付されて登録されることも多かったと推測される。 ,,()しかし原告は本件期間昭和24年12月から昭和26年2月までの間,BのF営業所において本雇いとして勤務していたにもかかわらず,前記のとおり,原告に係る被保険者名簿等が姫路,三宮及び大手前の3事務所にまたがって保管され,しかも,そこには6年裁定期間及び16年裁定期間の合計8か月分の被保険者期間が断続的に記載されていること,オンラインシステム上,昭和25年3月1日ないし同年6月30日の被保険者期間に係る適用事業所について,BではなくJと誤って記録されていること,業務センター保管のマイクロフィルム化された原告の被保険者台帳の記録も,適用事業所がF営業所ではなくD営業所とされた上,その被保険者期間(昭和25年12月9日から昭和26年2月1日まで)は,大手前事務所等の被保険者名簿に記載された同営業所に係る被保険者期間(昭),和25年10月1日から昭和26年2月1日までと異なっていること等原告に係る被保険者記録の正確性に疑問を生じさせる事情が存する。 また,前記のとおり,検証委員会の報告においても,被保険者記録のオンライン化の際等に被保険者の氏名,生年月日等を間違って入力すること- 49 -があり,それに対するチェック体制も不十分であったこと,社保庁全体として,裁定時主義等に見られるように被保険者記録の正確性の保持に対する意識が低かったこと等が指摘されているのであって,これらの事情からすれば,昭和24,25年当時,Bの適用事業所から原告の被保険者資格取得の届出を受けた社会保険出張所の職員が,原告の被保険者期間の記録に際し,正確な入力ないしチェックを怠った可能性は否定できない。 しかし,本件裁定期間における原告の被保険者記録の作成管理の過程において,社保 を受けた社会保険出張所の職員が,原告の被保険者期間の記録に際し,正確な入力ないしチェックを怠った可能性は否定できない。 しかし,本件裁定期間における原告の被保険者記録の作成管理の過程において,社保庁又は社会保険出張所ないし社会保険事務所の職員らに何らかの過誤(昭和32年以降の記録事務の機械化等の過程での過誤の可能性もあり,原告主張の昭和24,25年当時に限定するのは合理的根拠に乏しい)があったとしても,その時期,関与した職員及び過誤の態様を特。 定することは全くできない。国賠法1条1項に基づく損害賠償請求が認められるためには,常に公務員の違法行為の時期,態様等が厳密に特定されることを要するものではなく,ある程度概括的であったり,択一的であっても許されることがあるとしても,本件の場合,行為の時期,行為主体及び行為態様の点で余りに漠然としすぎており,同項の責任の基礎となる公。 ,務員の違法行為として認めるに必要な特定を欠くというべきであるなお昭和24,25年当時,原告の被保険者記録に関し,社会保険出張所等の職員らに記載ミス又はチェックミスがあったと仮定しても,それによる被告の損害賠償債務は,除斥期間の経過により消滅しているといわざるを得ない。 イしたがって,昭和24,25年当時における本件裁定期間に係る原告の被保険者記録の作成管理上の過誤を理由に被告の損害賠償義務を認めるのは困難であり,仮に検討の対象をその後の被保険者記録の機械化の過程の時期まで広げたとしても,結論は左右されない。 ( )次に,原告は,原告の被保険者記録について,オンラインシステム上から - 50 -完全に欠落しているにもかかわらず,西宮及び姫路事務所の職員や16年裁定に関わった社保庁長官及びその補助職員らは,大阪市内及び神戸市内の各社会保険事務所に対して照会 システム上から - 50 -完全に欠落しているにもかかわらず,西宮及び姫路事務所の職員や16年裁定に関わった社保庁長官及びその補助職員らは,大阪市内及び神戸市内の各社会保険事務所に対して照会を行うべき具体的注意義務が発生していたのにこれを行わなかったため,平成6年時点において16年裁定期間における原告の被保険者期間の存在を確認できなかったことが違法である旨主張するので,この点について検討する。 ア前記第3,3( )ウ(ア)aのとおり,原告は,老齢基礎年金及び老齢厚 生年金の受給権取得を控え,平成6年1月から同年3月にかけて,G社労士を通じて西宮及び姫路事務所に対し,原告の被保険者期間の確認請求等をして調査を求めた際,原告が本件期間以前は仮雇いとしてD営業所で勤務し,本件期間中は本雇いとしてF営業所において勤務したことを西宮及び姫路事務所の職員に対して告げており,また,原告が同月7日に確認請求をした際,当初は原告の被保険者記録(オンラインシステム上の被保険者記録のことであったと考えられる)は見当たらない旨の回答が姫路事。 務所からなされたが,その後,原告の求めにより姫路事務所の被保険者名簿を調査したところ,BのC本社における昭和25年3月1日から同年6月30日までの被保険者期間が発見され,オンラインシステム上以外にも原告が被保険者期間を有する可能性を窺わせる事情が生じた。 加えて,前記第2,1( )イ認定のとおり,平成6年4月18日に原告 が裁定請求した際,業務センターの保管するマイクロフィルム化された原告の被保険者台帳において,原告が勤務したことがあると主張するD営業所における昭和25年12月9日から昭和26年2月1日までの被保険者期間が発見されており,これにより,姫路事務所の職員は,BのD営業所の存在を明確に認識したと 告が勤務したことがあると主張するD営業所における昭和25年12月9日から昭和26年2月1日までの被保険者期間が発見されており,これにより,姫路事務所の職員は,BのD営業所の存在を明確に認識したといえる。また,G社労士及び原告が,D及びF営業所で勤務していたことを西宮及び姫路事務所の職員に対して告げていたのは前記のとおりである(この点につき,被告は,BのD及びF営業所- 51 -の存在及び所在が初めて確認されたのは,平成16年に原告が本件封筒を提出した時点であり,平成6年時点では,原告が自己の勤務地をC本社であると申し立てるにすぎなかったため把握できなかった旨主張するが,これが失当であることは前記第3,3( )ウ(ア)及び同(イ)のとおりであ る。 。)以上の諸事情に加え,年金が定年退職後等の生活の安定のために必須のものであり,その年金支給の基礎となる被保険者記録の正確性を維持することは極めて重要であって,社保庁及び社会保険事務所職員らは,そのために被保険者からの確認請求等に対し真摯に対応することはもちろんのこと,自ら積極的に正確性の検査・調査を行うことが要請されていると解されることを勘案すると,西宮及び姫路事務所の職員は,オンラインシステムからの被保険者記録の欠落の可能性が十分に窺われる原告について,その勤務時期はともかくとして原告が勤務したことがあると主張するD営業所の存在が明らかになり,しかも,原告は本件期間の間はBのF営業所において勤務していたと説明していたのであるから,原告に対する関係で,少なくとも,同各営業所を管轄する各社会保険事務所を把握すべく,原告に対して同各営業所の所在地を確認した上,これらにつき管轄を有すると予想される各社会保険事務所に対し,原告の被保険者記録の有無について。 ,事務所間照会を行うべき 社会保険事務所を把握すべく,原告に対して同各営業所の所在地を確認した上,これらにつき管轄を有すると予想される各社会保険事務所に対し,原告の被保険者記録の有無について。 ,事務所間照会を行うべき職務上の義務があったというべきであるそして前記のとおり,社保庁及び社会保険事務所が自らは被保険者記録の正確な保持を怠っていたにもかかわらず,営業所の正確な所在地や管轄事務所の特定を被保険者に依存して,被保険者が申し出た勤務地を管轄する事務所,,に対してのみ事務所間照会をすれば足りるとするのは妥当ではなく現に前記のとおり,原告については,オンラインシステム上以外にも被保険者期間を有する可能性が窺われ,結果的にも業務センターのマイクロフィルムの記載と大手前事務所等の保管する被保険者記録が異なっていたという- 52 -のであるから,少なくとも,神戸市及び大阪市を管轄する全事務所に対して事務所間照会をすべき義務があったものというべきである。 しかるに,西宮及び姫路事務所は,かかる事務所間照会を行わず,社保庁長官も,それまでに被保険者記録の存在が確認された昭和25年3月分から同年5月分,並びに,同年12月分及び昭和26年1月分(6年裁定期間)のみを被保険者期間であるとして6年裁定を行ったものであり,もしこの時点で西宮ないし姫路事務所が上記事務所間照会を行っていれば,三宮事務所におけるBのF営業所に係る昭和26年2月1日から同月25日までの原告の被保険者記録及び大手前事務所におけるBのD営業所に係る昭和25年10月1日から昭和26年2月1日までの原告の被保険者記,(),録が発見され発見された当該被保険者期間16年裁定期間について被保険者期間であるとして,既にした確認処分が変更された上,被保険者期間301月を算定の基礎とする老齢厚生年 険者記,(),録が発見され発見された当該被保険者期間16年裁定期間について被保険者期間であるとして,既にした確認処分が変更された上,被保険者期間301月を算定の基礎とする老齢厚生年金の裁定がなされたことはほぼ確実であったということができる。 イ(ア)もっとも,本件裁定期間については,その後の前記認定の平成16年に至るまでの事務所間照会によっても結局発見することができなかったことからして,上記事務所間照会がなされていれば発見することができたとはいえない。 (イ)原告は,前記のオンラインシステムからの原告の被保険者記録の欠落,6年裁定期間のみならず16年裁定期間についても原告の申立内容に従った形で原告の被保険者期間の存在が断片的に明らかになっていったこと,原告の一時退職やBによる保険料の不納付を窺わせる事情がないこと等から,平成6年当時において,16年裁定期間のみならず本件裁定期間についても,原告の申立内容に従って被保険者記録を訂正すべき義務が生じていた旨主張する。 この点について,本件期間における原告の被保険者記録の存在状況を- 53 -検討するに,昭和24年12月分から昭和25年2月分までは被保険者記録なし,同年3月分から同年5月分までは同記録あり,同年6月分から同年9月分までは同記録なし,同年10月分から昭和26年2月分までは同記録ありとなっている。 そして,本件裁定期間のうち,昭和24年12月分から昭和25年2月分については,平成6年当時,社保庁及び社会保険事務所側に上記期間における原告のBでの就業を裏付ける資料が存在していたとは考えられず(その存在を窺わせる証拠はない,また,16年裁定時と異な。)り,原告の就業及び保険料の天引きを示す本件給与明細はまだ提出されていなかったことからすると,本件期間中,原 在していたとは考えられず(その存在を窺わせる証拠はない,また,16年裁定時と異な。)り,原告の就業及び保険料の天引きを示す本件給与明細はまだ提出されていなかったことからすると,本件期間中,原告の一時退職やBによる保険料不納付を疑わせる証拠がないことを考慮しても,平成6年の段階では,西宮及び姫路事務所の職員又は社保庁長官等について,昭和24年12月分から昭和25年2月分までについて,被保険者期間であるとして被保険者記録を訂正し又は裁定すべき職務上の義務が生じていたとまでいうことはできない。 また,昭和25年6月分から同年9月分までについても,社保庁及び社会保険事務所側に上記期間における原告の就業を裏付ける資料が存在したとは考えられず,いまだ原告から本件給与明細の提出もなかったことは上記と同様であること,同年5月分までの被保険者期間の適用事業所がC本社であるのに対し,同年10月分以降の適用事業所はこれと異なるD営業所であること,D営業所の適用事業所の開始は記録上は同年10月1日とされており(乙12,22の5・6,同年6月1日当時)は適用事業所ではなかったと窺われること等の諸事情を勘案すると,原告は本件期間の間はBのF営業所において勤務し,その職務内容も同一であったこと,6年裁定後に,6年裁定期間のみならず16年裁定期間についても原告の申立てに沿った形で被保険者記録が順次確認されてい- 54 -ったこと,Bが,本件期間のうち昭和25年6月分から同年9月分のみをあえて排除して届け出たと解することは不自然であること,本件期間を通じ,原告の一時退職やBによる保険料不納付を疑わせる証拠がないこと等を考慮しても,平成6年当時において,昭和25年6月分ないし同年9月分の被保険者期間に係る期間について,原告がBで雇用されていたことが確認で 一時退職やBによる保険料不納付を疑わせる証拠がないこと等を考慮しても,平成6年当時において,昭和25年6月分ないし同年9月分の被保険者期間に係る期間について,原告がBで雇用されていたことが確認できないと判断することが明らかに不合理であるとはいえないから,西宮及び姫路事務所の職員又は社保庁長官について,上記被保険者期間の存在を認めて被保険者記録を訂正し又は裁定すべき職務上の義務が生じていたとまでいうことはできない。 ( )原告は,平成16年当時の違法として,平成6年当時の事情に加え,16 年裁定期間についても原告の申立内容に従った形で被保険者記録が発見されたことや本件給与明細の提出等によって保険料天引きや納付の事実が裏付けられたこと等から,西宮及び姫路事務所の職員や16年裁定に関わった社保庁長官及びその補助職員らが,原告の申立内容に従って被保険者記録を訂正すべき義務が生じていたにもかかわらず,不当に原告に立証責任を押しつけ訂正に応じなかったことが違法である旨主張する。 ア前記第2,1( )ウのとおり,平成16年当時においては,平成6年当 時と異なり,昭和24年12月分から昭和25年11月分までの原告のBでの勤務,及び,同年1月分から同年11月分までの原告の保険料天引きを裏付ける本件給与明細という客観的な資料が発見されており,昭和24年12月分についても,本件給与明細上は保険料は天引きされてはいないものの,原告が同月7日にBから本雇いとされたことが窺われること(甲5,乙4)や他の期間において継続的に保険料が天引きされていること等も併せると,当月分については給与から天引きせずに他の方法によりB又は原告が保険料を支払った可能性もあるといえる。また,6年裁定後も,6年裁定期間のみならず16年裁定期間についても原告の申立内容に沿う- と,当月分については給与から天引きせずに他の方法によりB又は原告が保険料を支払った可能性もあるといえる。また,6年裁定後も,6年裁定期間のみならず16年裁定期間についても原告の申立内容に沿う- 55 -形で原告の被保険者記録が発見されてきていた。 前記の平成6年当時に判明していた諸事情に加えて,平成16年当時は本件給与明細が提出され,16年裁定期間についての原告の被保険者記録も発見されていたこと等も併せると,社会保険事務所長及びその補助職員らは,原告の申立内容に従って,本件裁定期間についても被保険者期間であるとして被保険者記録を訂正(確認処分の職権変更)をすべき原告に対する職務上の義務があり,社保庁長官も,それを前提として被保険者期間308月を算定の基礎とする老齢厚生年金の裁定をなすべき原告に対する職務上の義務があったというべきである。 イ(ア)被告は,給与明細等が提出されていても,これにより,事業主が当該本人の被保険者資格取得等の届出を行ったことや保険料の納付を裏付けるものではない旨主張する。 事業主による被保険者資格取得の届出及び保険料の納付は,被保険者資格取得の要件ではなく(厚年法9条,13条。被保険者資格取得の確認は,被保険者の請求又は職権によってもできる(同法31条1項,1)。),(),,8条2項被保険者期間の算定にも影響せず同法19条また保険料の不納付が被保険者資格の喪失事由になるわけでもない(同法14条。もっとも,保険料徴収権が時効消滅すると,当該保険料に係る)被保険者期間に基づく保険給付は行われない(同法75条本文。 )したがって,保険料が不納付の場合,保険料徴収権の2年の消滅時効期間(同法92条)が経過した後に,当該保険料に係る被保険者期間の確認をしても,被保険者期間に基づく年金給付をすることは 5条本文。 )したがって,保険料が不納付の場合,保険料徴収権の2年の消滅時効期間(同法92条)が経過した後に,当該保険料に係る被保険者期間の確認をしても,被保険者期間に基づく年金給付をすることはできないから厚生年金保険の保険給付及び保険料の納付の特例等に関する法律平((成19年法律第131号)施行前の平成6年又は平成16年当時は,同法による特例は認められない,本件において,被保険者期間の訂正。)及び裁定請求に対する裁定に当たり,上記2年の消滅時効期間がとうに- 56 -経過した昭和24,25年当時の原告に係る保険料の納付の有無を考慮することは少なくとも実質的には違法といえず,国賠法1条1項の適用上も違法の評価を受けないとも解される。 しかし,このような見地から検討しても,保険料天引きの記載のある給与明細は,保険料の領収書等とは異なり事業主から被告への保険料納付を直接裏付けるものではないものの,老齢厚生年金の制度上,事業主が給与から保険料を天引きしてまとめて納付することになっている以,,上その記録の管理を十分に行ってこなかった被告の責任を棚に上げて被保険者に対し,被保険者が本来預かり知ることのない事業主から被告への保険料の納付の有無について過度に立証の負担を負わせることは酷にすぎ,不納付の事実が明確であるならば格別,本件給与明細程度の証拠の提出があれば保険料の納付があったものと推認すべきであるから,給与明細等により保険料を天引きされ又は他の資料等により保険料納付のための出捐をしたと認められる場合は,社会保険事務所長及びその補助職員ら又は社保庁長官は,事業主による不納付等の事実を推認するに足りる特段の事情のない限り,被保険者記録を訂正し又はそれに従った裁定をすべき職務上の義務があったというべきである。 (イ)この点, 助職員ら又は社保庁長官は,事業主による不納付等の事実を推認するに足りる特段の事情のない限り,被保険者記録を訂正し又はそれに従った裁定をすべき職務上の義務があったというべきである。 (イ)この点,被告は,BのD営業所やF営業所が適用事業所とされた時期はそれぞれ昭和25年10月1日及び昭和26年2月1日であり,それ以前は適用事業所ではなく,姫路事務所の保管するBのC本社に係る被保険者名簿の記載からもBが昭和24年12月に原告の資格取得届をしたとはいえないから,本件裁定期間は被保険者期間には含まれない旨主張するようである。 しかしながら,昭和25年10月1日までの間は,D営業所やF営業所が適用事業所ではなかったがために,原告について,給与の支払や人事管理を一括して把握していたC本社を適用事業所として届出がなされ- 57 -ていた可能性も考えられ,その期間が同年3月1日から同年6月30日までにとどまり,それ以外の期間の届出はなかったものと積極的に認定すべき資料はない(姫路事務所の保管するBのC本社に係る被保険者名簿(乙2)によると,同年1月20日を資格取得年月日とする数名の届出の後に原告以下の数名について同年3月1日を資格取得年月日として届出がなされたことが窺われるが,上記同年1月20日の届出が健康保険の記号番号1番の者であることを認めるに足りる証拠はなく,Bが昭和24年12月に原告の資格取得届をしなかったということはできない)上,前記のような被告の杜撰な被保険者記録の管理も併せて考慮。 ,。 すればかかる事情は上記特段の事情足り得ないものというべきである(ウ)また,被告は,社会保険事務所が被保険者に対して客観的な資料の提出を求めるのは被保険者記録を検索するための手がかりを求めるためのものにすぎないから,被保険者記録が発見されなか いうべきである(ウ)また,被告は,社会保険事務所が被保険者に対して客観的な資料の提出を求めるのは被保険者記録を検索するための手がかりを求めるためのものにすぎないから,被保険者記録が発見されなかった場合にはその提出資料のみによって被保険者期間と認めることはできない旨主張する。しかし,既存の被保険者記録を絶対視するに等しい被告の主張は,既存の被保険者記録の無謬性が肯定されるなら正当といえるが,前記の検証委員会の報告にもあるとおり,被保険者記録の管理及びその記載内容の正確性に問題があることはもはや動かし難い事実であるから,被告の主張はその前提を欠くものである。 かえって,社保庁や各社会保険事務所の職員ら自身も,行政監察の結果や被保険者記録の保管方法に係るパンチカード方式やオンラインシステムへの移行の際の作業を通じて,被保険者記録が必ずしも正確には記載されていないことを認識していたというべきところ,それでありながら被保険者記録が常に正確であることを当然の前提とするかのように,被保険者が雇用関係の存在等につき客観性,信頼性のある資料を提供してもそれ自体には被保険者期間認定の資料としての価値を認めず,被保- 58 -険者記録が発見されない限り被保険者期間の追加訂正等を認めないとする画一的かつ硬直的な運用をし続けてきたことは不適切であったというべきである。 ( )原告は,本訴提起の前後を通じて,社保庁又は被告が消滅時効を主張した ことは,年金時効特例法の成立・施行に照らしても信義則上許されないもので違法たるを免れない旨主張するが,前記認定に係る本件の事実関係の下においては,社保庁長官のした裁定や社会保険事務所職員の措置等に違法な点はあるが,これらの者が,形式的にも実質的にも一見して明らかに違法な法解釈を採用し,あるいは,全く資料に基づ 本件の事実関係の下においては,社保庁長官のした裁定や社会保険事務所職員の措置等に違法な点はあるが,これらの者が,形式的にも実質的にも一見して明らかに違法な法解釈を採用し,あるいは,全く資料に基づかない事実認定をし,または,原告による社保庁長官の裁定に対する不服申立てや訴訟提起を積極的に妨害するなどして,原告による老齢厚生年金支給請求権の行使を期待できない状況を作出したという特別の事情は認められないから,社保庁の職員又は被告指定代理人等による会計法に基づく訴訟外及び訴訟上の消滅時効の主張が信義則に違反し,国賠法1条1項の適用上違法となるものとはいえない。 争点4について( )ア(ア)前記のとおり,社保庁長官は,6年裁定のなされた平成6年6月9 日時点において,被保険者期間301月を算定の基礎とする老齢厚生年金の裁定をなすべき義務,及び,16年裁定のなされた平成16年7月15日時点において,被保険者期間308月を算定の基礎とする老齢厚生年金の裁定をなすべき義務をそれぞれ怠ったといえるところ,かかる裁定がなされていた場合に原告が得られていた老齢厚生年金の額(ただし,介護保険料額及び源泉徴収税額を控除する前の額である)は,別。 紙「○嘱託事項( )について(平成6年6月9日付けで被保険者期間3 01月を算定の基礎として裁定が行われた場合」の「支給金額(①+)②」欄中の「老齢厚生年金②」欄の各金額のとおりであり(調査嘱)()託の結果,他方,実際に原告が受給した老齢厚生年金の額(同様に,)- 59 -介護保険料額及び源泉徴収税額を控除する前の額である)は,前記第。 2,1( )キ及び同サの受給額の他は,別紙「Iに対する老齢厚生年金 の支給額」の各「1回分」欄の各金額のとおりである。 そうすると,6年裁定において裁定され を控除する前の額である)は,前記第。 2,1( )キ及び同サの受給額の他は,別紙「Iに対する老齢厚生年金 の支給額」の各「1回分」欄の各金額のとおりである。 そうすると,6年裁定において裁定されるべきであった被保険者期間3か月分に係る消滅時効期間経過分(平成6年3月分ないし平成11年1月分)の各増差額及びその合計額は,別紙「3か月分に係る時効期間経過分の差額」の「差額」欄の各金額のとおりとなり,16年裁定において裁定されるべきであった被保険者期間7か月分に係る上記消滅時効期間経過分の各増差額及びその合計額は,別紙「7か月分に係る時効期間経過分の差額」の「差額」欄の各金額のとおりとなる。 (イ)また,上記3か月分に係る消滅時効期間非経過分(平成11年2月分ないし平成16年5月分)の差額は,別紙「3か月分に係る時効期間非経過分の差額」の「差額」欄の各金額のとおりであり,上記7か月分に係る上記消滅時効期間非経過分の差額は,別紙「7か月分に係る時効期間非経過分の差額」の「差額」欄の各金額のとおりとなる。 イしたがって,上記消滅時効期間経過分に係る原告の被った損害額及びその合計額は別紙損害額1の損害額欄の各金額のとおりとなる別,「」「」(紙「7か月分に係る時効期間経過分の差額」の「差額」欄の各金額については,16年裁定において裁定されていたとしても,すでに支分権たる受給権が時効消滅しており,前記のとおり,社保庁による時効消滅の主張が信義則に反するものといえないことからして,上記各金額について損害が発生したということはできない。また,年金時効特例法の施行及び原告による同法施行規則1条1項の手続履践の有無は,上記損害に関係するものではない。 。)そして,別紙「損害額1」の「損害額」欄の各金額に対する遅延損害金は, い。また,年金時効特例法の施行及び原告による同法施行規則1条1項の手続履践の有無は,上記損害に関係するものではない。 。)そして,別紙「損害額1」の「損害額」欄の各金額に対する遅延損害金は,不法行為時である6年裁定後に到来する各支払期月における各支払日- 60 -からそれぞれ発生する(6年裁定時点で支払期月の到来している平成6年3月分についても,同年4,5月分と共に同年7月15日に支払われている)ところ,原告が,同遅延損害金の起算日を,同別紙の「対象期間」。 欄の各期間中の最終支払期月における支払期の翌日とするとして,その一部を請求するにとどめていることから,認容すべき同遅延損害金の発生期間は,同別紙の「遅延損害金の期間(年5分の割合による」欄の各期間)のとおりとなる。 ウまた,前記3か月分に係る消滅時効期間非経過分の差額は,別紙「損害額2」の「増額元本分」欄の各金額のとおりであるところ,前記の原告の一部請求の趣旨によれば,これらに対する遅延損害金の発生期間は,同別紙の「遅延損害金の期間(年5分の割合による」欄の各期間のとおりと)なり,認容すべき各対象期間の確定遅延損害金の額及びその合計額は,同別紙の「確定遅延損害金」欄の各金額(1円未満切り捨て)のとおりと。 なる。 同様に,前記7か月分に係る消滅時効期間非経過分の差額は,別紙「損害額3」の「増額元本分」欄の各金額のとおりであるところ,前記の原告の一部請求の趣旨によれば,これらに対する遅延損害金の発生期間は,同別紙の「遅延損害金の期間(年5分の割合による」欄の各期間のとおり)となり,認容すべき各対象期間の確定遅延損害金の額及びその合計額は,同別紙の「確定遅延損害金」欄の各金額(1円未満切り捨て)のとおり。 となる(確定遅延損害金合計は1万8141円。 )( )原 となり,認容すべき各対象期間の確定遅延損害金の額及びその合計額は,同別紙の「確定遅延損害金」欄の各金額(1円未満切り捨て)のとおり。 となる(確定遅延損害金合計は1万8141円。 )( )原告は慰謝料も請求するが,前記認定に係る本件の事実関係の下では,上 記のとおりの財産的損害の賠償が認められる以上,前記認定の各公務員の違法行為による精神的損害も一応回復されたものとみるのが相当であるから,原告の慰謝料請求は理由がない。 ( )証拠(原告本人)によれば,原告は,原告訴訟代理人との間で本訴の認容 - 61 -額の10パーセント相当額を弁護士費用として支払う旨合意したことが認められ,この事実に前記認定の各公務員の違法行為の内容及び認容額等の諸般の事情を総合すると,同違法行為と相当因果関係のある弁護士費用は2万円と認める(遅延損害金の起算日は,原告主張の訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成18年8月24日である。 。)第4 結論 以上より,原告の請求は主文1項掲記の限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所第2民事部裁判長裁判官佐藤明裁判官菊池章裁判官重高啓
▼ クリックして全文を表示