平成27(ワ)13602 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年12月26日 東京地方裁判所
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判決文本文13,023 文字)

平成28年12月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成27年(ワ)第13602号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成28年11月7日判決 主文 1 被告Aは,原告に対し,247万4761円及びこれに対する平成27年5月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用中,原告に生じた費用はこれを106分し,その87を原告の,その余を被告Aの負担とし,被告Aに生じた費用はこれを53分し,その34を原告の,その余を被告Aの負担とし,被告Bに生じた費用は原告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求被告らは,原告に対し,連帯して,689万0854円及びこれに対する平成27年5月29日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,サッカーの社会人リーグにおける試合中,原告が,相手チームに所属する被告Aから左脛部を蹴られたことにより,左下腿脛骨骨折,左下腿腓骨骨折の傷害を負ったと主張し,被告A及び同人を指導監督すべき相手チームの代表者である被告Bに対し,共同不法行為(民法719条1項前段)に基づき,合計689万0854円の損害賠償金及びこれに対する不法行為後の日の平成27年5月29日(被告らに対する訴状送達日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(争いがないか後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実) 原告は,当時サッカーのC社会人4部リーグに所属するチーム「D」のメンバーであった。 被告らは,当時同リーグに所属するチーム「E」のメンバーであり, 論の全趣旨により認められる事実) 原告は,当時サッカーのC社会人4部リーグに所属するチーム「D」のメンバーであった。 被告らは,当時同リーグに所属するチーム「E」のメンバーであり,被告Bが同チームの代表を務めていた。(争いがない)DとEは,平成24年6月9日,F市内のサッカー場において対戦した。 被告A(背番号10)は前半から,原告は後半から出場した。 試合の後半,Dの選手が,自陣右サイド奥(自陣側)から,自陣右サイド前方(相手陣側)に向かってボールを蹴り出した。 原告は,その蹴り出されたボールを右の太腿でトラップして手前に落とし,もう一度ボールを左足で蹴ろうとしたところ,そこに走り込んで来た被告Aが伸ばした左足の裏側と,原告の左脛部とが接触した。 このプレーにより原告が倒れたため,試合は一時中断され,原告はG病院に救急搬送された。(以下,被告Aの上記プレーを「本件行為」と,上記接触事故を「本件事故」という。)(争いがない,甲2,甲22,乙1,乙3)⑶ 本件事故により,原告は,左下腿脛骨及び左下腿腓骨骨折の傷害を負った。 (甲16,弁論の全趣旨) 2 争点及び当事者の主張⑴ 被告Aの不法行為責任ア原告の受傷について故意又は過失があるか(争点1)(原告の主張)被告Aの本件行為は,原告に向かって走っていき,その勢いのままに,スパイクシューズを履いた足の裏を向けて突き出すというものであり,故意に原告の左脛部を蹴ったと推認される。 仮に故意によるものでないとしても,スパイクシューズを履いた足の裏という危険な個所を原告の方に向けて突き出すことにより,原告が負傷する結果となることは容易に予見できたというべきであり,少なくと も過失があったことは明らかである。 (被告らの いた足の裏という危険な個所を原告の方に向けて突き出すことにより,原告が負傷する結果となることは容易に予見できたというべきであり,少なくと も過失があったことは明らかである。 (被告らの主張)被告Aは,原告の足を蹴ろうとしたものではなく,原告が不完全にトラップして足下から離れたボールを蹴り出そうと左足を伸ばしたものであり,被告Aの左足の動きに遅れて原告がボールに向かって左足を蹴り出したため,被告Aの左足の裏側に原告が左脛部を蹴り込むようになってしまったものである。 被告Aにとって,抽象的な身体の接触については予見できても,上記のようにして原告に傷害結果が発生することまで予見することは不可能であるし,結果を回避することも不可能であったから,被告Aには故意も過失もない。 イ本件行為について違法性が阻却されるか(争点2)(被告らの主張)サッカーは,試合中に選手同士がボールの獲得をめぐり足と足を接触し合う局面が当然に予想されるスポーツであり,接触の結果,相手選手が怪我をする危険性が内在するのであるから,競技の過程で被害者が受傷したとしても,加害者が故意又は重大な過失によりルールに反したと認められるような特段の事情がない限り,被害者も当該危険を受忍したものとして,違法性を欠くというべきである。 本件行為に対しては,審判による警告処分はもとより,ファウルの判定すらされていないことからしても,サッカー競技規則上反則であると判断されるものではなく,スポーツ競技の枠内の行為であると評価すべき行為であり,社会的相当性の範囲内の行為として違法性を欠くというべきである。 (原告の主張)サッカーは身体的接触を伴うスポーツであり,一定の負傷は想定され ているものではあるが,それはあくまでルール 的相当性の範囲内の行為として違法性を欠くというべきである。 (原告の主張)サッカーは身体的接触を伴うスポーツであり,一定の負傷は想定され ているものではあるが,それはあくまでルールの範囲内のプレーにより負傷した場合であり,少なくとも重大なルール違反を伴うプレーにより負傷した場合をも許容するものではない。 サッカー競技規則においては,相手競技者を蹴ったり,蹴ろうとする行為を,不用意に,無謀に,又は過剰な力で犯した場合には直接フリーキックが与えられるとされ,また相手競技者に対して過剰な力や粗暴な行為を加えた場合は著しく不正なファウルプレーに当たるとされているところ,本件行為は上記ルールに明らかに反する行為であり,軽微なルール違反ということはできない。 また,原告が左脛部に装着していたレガースを破損して骨折をもたらすほどの結果が生じていることからして,サッカーで想定される範囲を大きく逸脱する力を加えたものであったといえる。 したがって,被告Aの行為は,スポーツ行為に附随する危険として許容される範囲を逸脱する違法な行為である。 ウ損害の発生及びその額(争点3)(原告の主張)①治療費,交通費36万円,②慰謝料500万円,③休業損害,逸失利益100万円,④訴訟準備費用3万0854円,⑤弁護士費用50万円(被告らの主張)争う。 エ過失相殺の当否(争点4)(被告らの主張)本件事故及び受傷結果は,被告Aに遅れて原告がボールを蹴り出そうとしたことにより,原告の左足が被告Aの左足の裏側にたたきこまれてしまったことが原因で生じたものであり,原告のプレーに起因す る割合が大きいと言わざるを得ないから,相応の過失相殺がなされるべきである。 (原告の主張) 被告Aの左足の裏側にたたきこまれてしまったことが原因で生じたものであり,原告のプレーに起因す る割合が大きいと言わざるを得ないから,相応の過失相殺がなされるべきである。 (原告の主張)本件事故は,被告Aの無謀行為にもっぱら起因するのであって,過失相殺は認められるべきではない。 ⑵ 被告Bの不法行為責任(争点5)(原告の主張)被告BはEの代表者であるから,メンバーが適切な注意を払って競技に当たるよう指導監督する義務があり,本件においてこれを怠ったことは不法行為に当たるというべきである。 (被告Bの主張)争う。 第3 争点についての判断 1 争点1(被告Aの故意又は過失の有無)⑴ 前提事実,証拠(甲2,甲14,甲15,甲22,甲37,乙1から乙3まで,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件事故の詳細な状況は以下のとおりである。 ア原告は,Eが2点先行している状況下で,後半の途中から出場した。 イ本件事故の直前,Eの選手がD陣内でフリーキックを行い,キーパーが弾いたこぼれ球を,Dの選手が,自陣右サイド奥から自陣右サイド前方へと蹴り出した。 その時点で,D陣内でフリーキックが行われたために両チームのほとんどの選手がD陣内にいたことから,Dがボールを保持した場合には,カウンター攻撃を狙ってE陣内に攻め込もうという戦況にあった。 ウ自陣前方中央付近にいた原告は,右サイドに移動してボールに追いついて右太腿でボールをトラップし,自身の体よりも1メートルほど前方にボ ールを落とすと,バウンドして膝の辺りの高さまで浮いたボールを左足で蹴ろうとして,軸足である右足を横向きにして踏み込み,左足を振り上げた。 他方,被告Aは,カウンター攻撃を阻むべく,原告の方に走り込んでくる と,バウンドして膝の辺りの高さまで浮いたボールを左足で蹴ろうとして,軸足である右足を横向きにして踏み込み,左足を振り上げた。 他方,被告Aは,カウンター攻撃を阻むべく,原告の方に走り込んでくると,その勢いを維持したまま,左膝を真っ直ぐに伸ばし,膝の辺りの高さまでつま先を振り上げるように突き出して,足の裏側を原告の下腿部の方に向ける体勢になった。 ボールは原告の左足が触れるよりもわずかに早く被告Aの左足の左側面付近に当たってはじき出されたものの,上記のとおり,被告Aが左足の裏側を原告の下腿部の方に向けて突き出していたため,振り上げた原告の左脛部がちょうど被告Aが伸ばした左足の裏側に入り込む位置関係になり,原告はその左脛部で被告Aの左足のスパイクシューズの裏側を勢いよく蹴り上げ,反対に,被告Aはその左足のスパイクシューズの裏側で原告の左脛部を下方に向けて勢いよく蹴りつけることになった。 その結果,原告が左脛部に装着していたレガースが割れて脛骨及び腓骨が折れ,原告の左脛部がつま先側に湾曲するほどの力が加わった。 エ本件事故により原告はその場に倒れ込み,試合は一時中断されたが,本件行為に対して審判によるファウル判定,警告及び退場処分はなく,原告がフィールド外に運び出されると,ドロップボール(競技規則のどこにも規定されていない理由によって一時的にプレーを停止したときにプレーを再開する方法)により試合が再開された。 ⑵ 原告は,本件行為の時点では原告がボールをコントロールしている状況にあったことに加えて,被告Aが,体を投げ出し,足の裏側を向けるなど,原告の安全性を顧みていないことや,ボールをミートしにいっていないことなどから,本件行為は,故意に原告の左足を狙った行為であると主張し,原告もそのように供述している。 しかしな るなど,原告の安全性を顧みていないことや,ボールをミートしにいっていないことなどから,本件行為は,故意に原告の左足を狙った行為であると主張し,原告もそのように供述している。 しかしながら,上記⑴によれば,ボールは原告の前方1メートルほど離れた位置に落下しており,必ずしも原告がボールをコントロールしていたといえる状況にはないし,ミートはしていないながらも被告Aがボールに触れて弾き出していることに加えて,審判がファウルの判定すらしていないことなどから客観的に考察すれば,被告Aがボールに対して挑んだのではなく,故意に原告の左足を狙って本件行為に及んだとまで断定することはできない。 もっとも,被告Aが原告のところまで走り込んでいった時点では,原告が先にボールに追いついてトラップし,次の動作に入ろうとしている状況にあった上に,甲22及び乙3によれば,原告が左足を振り上げる動作と,被告Aが左足を伸ばす動作とがほぼ同時に開始されていることからすると,被告Aは,トラップして手前に落ちたボールを原告が蹴り出そうと足を振り上げることは当然認識,予見していたはずである。 それにもかかわらず,被告Aは,走り込んで来た勢いを維持しながら,膝の辺りの高さまでつま先を振り上げるようにして,足の裏側を原告の下腿部の位置する方に向けて突き出しているのであって,そのような行為に及べば,具体的な接触部位や傷害の程度についてはともかく,スパイクシューズを履いている自身の足の裏が,ボールを蹴ろうとする原告の左足に接触し,原告に何らかの傷害を負わせることは十分に予見できたというべきである。 そうであれば,無理をして足を出すべきかどうかを見計らい,原告との接触を回避することも十分可能であったというべきであって,少なくとも被告Aに過失があったことは明らかである。 たというべきである。 そうであれば,無理をして足を出すべきかどうかを見計らい,原告との接触を回避することも十分可能であったというべきであって,少なくとも被告Aに過失があったことは明らかである。 本件行為の態様からすれば,被告Aは,カウンター攻撃を阻む意図のもと,足が届かない可能性を承知の上で,半ば強引にボールに挑んだとの評価を免れない。 ⑶ これに対し,被告らは,被告Aが先にボールを蹴り出した後に,勢いよくボールを蹴り出そうとした原告の足が自身の足の裏に入り込んでくる ことまで予見することは不可能であるなどと主張する。 しかしながら,上記のとおり,原告がまずボールに追いついてトラップした後,被告Aが左足を伸ばす動作と原告が左足を振り上げる動作はほぼ同時に開始されているのであって,あたかも被告Aがボールを蹴り出した後に原告が左足を振り上げたかのような状況にはなく,被告らの主張はその前提を異にするものであって,採用することはできない。 2 争点2(本件行為の違法性が阻却されるか)⑴ 被告らは,サッカーは競技者同士の身体的接触による危険を包含しており,競技中に被害者が受傷した場合であっても,加害者に故意又は重大な過失によりルールに反したと認められるような特段の事情がない限り,被害者も当該危険を受忍したものといえ,違法性を欠くと主張する。 確かに,サッカーは,ボールを蹴るなどして相手陣内まで運び,相手ゴールを奪った得点数を競うという競技であるから,試合中に,相手チームの選手との間で足を使ってボールを取り合うプレーも想定されているのであり,スパイクシューズを履いた足同士が接触し,これにより負傷する危険性が内在するものである。 そうであれば,サッカーの試合に出場する者は,このような危険を一定程度は引き受けた上で試合に出 るのであり,スパイクシューズを履いた足同士が接触し,これにより負傷する危険性が内在するものである。 そうであれば,サッカーの試合に出場する者は,このような危険を一定程度は引き受けた上で試合に出場しているということができるから,たとえ故意又は過失により相手チームの選手に負傷させる行為をしたとしても,そのような行為は,社会的相当性の範囲内の行為として違法性が否定される余地があるというべきである。 そして,社会的相当性の範囲内の行為か否かについては,当該加害行為の態様,方法が競技規則に照らして相当なものであったかどうかという点のみならず,競技において通常生じうる負傷の範囲にとどまるものであるかどうか,加害者の過失の程度などの諸要素を総合考慮して判断すべきである。 ⑵ ところで,サッカー競技規則(国際サッカー評議会が毎年制定し,国際サ ッカー連盟(FIFA),又は同連盟に加盟する大陸連盟及び同連盟に加盟する協会下で行われるサッカー競技すべてに通用する規則)12条においては,ファウルと不正行為について,以下のとおり定められている。(甲21,甲40,乙8)すなわち,①競技者が,不用意に,無謀に,又は過剰な力で,相手競技者を蹴り,若しくは蹴ろうとする,相手競技者に飛びかかる,相手競技者をチャージするなどしたと主審が判断した場合,直接フリーキックが相手チームに与えられる,②競技者が,著しく不正なファウルプレーや乱暴な行為をした場合は,懲戒の罰則として,退場を命じられる。 被告Aによる本件行為には,本件事故時点において主審によりファウルや反則行為との判定はされていないことから,これを当時に遡って競技規則に違反する行為であったということはできない。原告も本人尋問において述べているように,本件事故時のようなプレーの局面で,被告Aの や反則行為との判定はされていないことから,これを当時に遡って競技規則に違反する行為であったということはできない。原告も本人尋問において述べているように,本件事故時のようなプレーの局面で,被告Aの立場に置かれた選手が足を出してボールに触れようとすること自体は,相手選手にかわされる危険を伴うために戦術として不利になりうることはあっても,これが競技規則上想定されていない行為とまでいうことはできない。 しかしながら,被告Aは,原告がボールを蹴るために足を振り上げるであろうことを認識,予見していたにも関わらず,走ってきた勢いを維持しながら,膝の辺りの高さまで左足を振り上げるようにして,左足の裏側を原告の下腿部の位置する方に向ける行為に及んでおり,このような行為が原告に傷害を負わせる危険性の高い行為であることに疑いはない。 左下腿脛骨及び腓骨の骨折という重篤な結果が生じていることからしても,被告Aの本件行為は,原告が足を振り上げる力の方向とは反対方向に相当強い力を加えるものであったと推察される。 そうすると,そもそも本件行為のような態様で強引にボールに挑む必要があったのか否か甚だ疑問であり,競技規則12条に規定されている反則行為 のうち,不用意,すなわち注意,配慮又は慎重さを欠いた状態で相手競技者を蹴る行為であるとか,相手競技者に飛びかかる行為であると判定され,あるいは著しく不正なファウルプレー,すなわちボールに挑むときに相手方競技者に対して過剰な力を加えたものであると判定され,退場処分が科されるということも考えられる行為であったと評価できる。 そして,原告は,左下腿脛骨及び腓骨という下腿部の枢要部分を骨折した上に,入院手術及びその後長期間にわたるリハビリ通院を要するほどの傷害を負っているのであり,相手競技者と足が接触することに きる。 そして,原告は,左下腿脛骨及び腓骨という下腿部の枢要部分を骨折した上に,入院手術及びその後長期間にわたるリハビリ通院を要するほどの傷害を負っているのであり,相手競技者と足が接触することによって,打撲や擦過傷などを負うことは通常ありえても,骨折により入院手術を余儀なくされるような傷害を負うことは,常識的に考えて,競技中に通常生じうる傷害結果とは到底認められないものである。 被告Aは,不用意にも足の裏側を原告に対して突き出すような態勢で挑んだために原告に傷害を負わせているのであって,故意までは認められないとしても,被告Aの過失は軽過失にとどまるものとはいえない。 ⑶ 以上の諸事情を総合すると,被告Aの本件行為は,社会的相当性の範囲を超える行為であって,違法性は阻却されないというべきである。 3 争点3(損害の発生及びその額)⑴ 治療費,交通費についてア証拠によれば,原告の入通院状況について,以下の事実が認められる。 本件事故日である平成24年6月9日から同月23日までの間,G病院の整形外科において入院治療に当たり,脛骨にチタンを入れて固定する髄内釘の手術を行った。これにより,医療費として10万3249円を支払った。(甲2,甲37) 退院後の平成24年6月25日,同月26日,同月28日,同年7月2日に,H病院のリハビリ科及び整形外科を受診してリハビリ及び診療を行い,外来診療費2万0440円を支払った。(甲3の1から5まで) 平成24年6月29日から同年11月6日までの間,I病院にリハビリのため通院し,平成24年11月7日から同月14日までの間,同病院に入院して髄内釘を固定するビスを調整する手術を行い,平成24年11月16日から平成25年8月12日まで再びリハビリのため通院し(ただし,平成2 ,平成24年11月7日から同月14日までの間,同病院に入院して髄内釘を固定するビスを調整する手術を行い,平成24年11月16日から平成25年8月12日まで再びリハビリのため通院し(ただし,平成25年2月,3月,5月,7月は通院がなく,4月,6月,8月の通院は1回ずつにとどまるなど,2月以降は月あたりの通院日数が大きく減少している。),平成25年9月4日から同月9日まで同病院に入院して髄内釘を摘出する手術を行い,平成25年9月12日及び同月18日の2日間通院をした。これらの診療費として,合計22万3860円を支払った。(甲4,甲5,甲8,甲37,原告本人)原告は,その後しばらく通院していなかったものの,平成27年3月5日にJ整形外科を受診し,医療費として1680円を支払った。 (甲6)イアないしによれば,原告は,左下腿脛骨及び腓骨の骨折により入院手術をして治療に当たり,その後は術後のリハビリ治療を継続していたことが認められ,G病院,H病院及びI病院における治療費等は,いずれも本件事故と相当因果関係を有する損害ということができる。(なお,交通費に関する的確な立証はなく,採用しない。)もっとも,平成25年2月以降はリハビリ目的でのI病院への通院も大きく減少しており,同年9月4日のI病院における髄内釘の摘出のための入院時の質問事項に対して,日常生活で体が不自由だと感じることはないとの回答をしていて(乙7),同年9月19日以降は,平成27年3月5日にJ整形外科に赴くまで,約1年6か月近い期間が開いている。 また,同整形外科の受診目的について,原告は,I病院においてもはや画期的な治療が提示されていなかったと述べたり,同整形外科においては,再手術により骨の変形を修復する方法について説明を受けたと述べている。 以上を総合すると, について,原告は,I病院においてもはや画期的な治療が提示されていなかったと述べたり,同整形外科においては,再手術により骨の変形を修復する方法について説明を受けたと述べている。 以上を総合すると,同整形外科への通院は,本件事故による治療行為と して通常必要なものということはできず,本件事故との相当因果関係を認めることはできない。 ウないしの合計34万7549円である。 ⑵ 慰謝料について本件事故により,原告は左下腿脛骨及び腓骨の骨折という重傷を負っており,とりわけ受傷時及び当初の手術入院時の肉体的,精神的苦痛は,察するに余りあるものである。 そして,原告は,髄内釘の摘出等も含めて合計29日間の入院に加え,リハビリを中心とする合計64日間(通院期間としては451日)の通院(J整形外科を除く。)を余儀なくされ,その間7か月以上の休職,休暇を余儀なくされた。(甲9,甲10)上記⑴イで指摘したところによれば,リハビリ治療により,遅くとも髄内釘の摘出手術を受けた平成25年9月ころには概ね症状は固定していたものとみられるが,①左足関節の可動域制限(背屈について,右他動20度に対し,左他動10度,右自動20度に対し,左自動5度),②左両下腿骨々折部の膨隆及び著しい圧痛,③左足関節荷重背屈時の左下腿外側の疼痛,④軽度内反位での変形治癒といった後遺障害を認めるとの後遺障害診断書が作成されている。(甲16)①については,屈曲と伸展の両方の可動域制限を計測していないものであること,②③は,左下腿骨髄浮腫の診断書等(甲32から甲35の2)によっても,骨髄浮腫と上記後遺障害診断書にいう圧痛,疼痛との関連性は必ずしも明らかでなく,自覚症状を中心とするものにとどまること,④は,外見上の変形等をいうもので,必ずしもそれ自体で①と 5の2)によっても,骨髄浮腫と上記後遺障害診断書にいう圧痛,疼痛との関連性は必ずしも明らかでなく,自覚症状を中心とするものにとどまること,④は,外見上の変形等をいうもので,必ずしもそれ自体で①とは別個の機能障害を導くものであるかどうかは明らかでないことなどが指摘でき,被告らが指摘するとおり,労働者災害補償保険法施行規則別表第1障害等級表における等級に 該当するものであるかどうか疑問の余地はあるが,少なくとも上記後遺障害診断がなされていることについては,慰謝料の算定の上で考慮する必要がある。 他方で,本件事故はスポーツ競技中の事故であり,負傷等の危険は一定程度原告も引き受けた上で試合に出場しているといえることや,ボールに対して無理に挑んだという非難は否めないものの,被告Aが故意に原告を負傷させたとまでは認められないことなども考慮に入れるべきである。 以上の諸事情を総合考慮すると,慰謝料の額としては,170万円が相当である。 ⑶ 休業損害等について原告は,入通院期間中の平成24年6月9日から同年9月6日までは病気休暇,同月7日から平成25年1月28日までは病気休職により,勤務先であるKを休業したことから,平成24年9月から平成25年6月分までの給与及び賞与合計64万4220円が減額支給された。(甲9,甲10)少なくとも上記期間中は,本件事故による入通院により休業することもやむを得ないものであったといえることから,上記給与等64万4200円の減額分については本件と相当因果関係を有する損害といえる。 原告は,これらに加えて,賞与や残業手当の額も含めれば休業中の得べかりし給与等は少なくとも100万円を下らないなどと主張するが,上記減額分に賞与の減額分も含まれていることは証拠上明らかであるし,時間外労働は具体的な勤務状 賞与や残業手当の額も含めれば休業中の得べかりし給与等は少なくとも100万円を下らないなどと主張するが,上記減額分に賞与の減額分も含まれていることは証拠上明らかであるし,時間外労働は具体的な勤務状況に応じてその要否が定まるものであるから,これを当然に得られたはずの利益であるということはできない。 なお,原告の主張には,後遺障害に伴う逸失利益についても上記100万円に含めて主張するものと理解される部分もあるが,上記⑵の後遺障害の診断のみから当然に労働能力の喪失を導くことはできず,この点は,上記慰謝料額において考慮する限度にとどめた。 ⑷ 訴訟準備費用について原告は,本件訴訟提起に先立ち,文書料として,各病院に対して5792円を支払ったことが認められ(甲11の1から甲13まで),これは損害賠償請求訴訟を提起するために通常要すべき費用として,相当因果関係を有する損害といえる。 弁護士会照会制度の利用に要した費用は,⑹の弁護士費用に含ませて考えるのが相当であり,ここでは別途損害に含めない。 ⑸ 損益相殺について原告は,本件事故により,L組合を通じて加入していた家族傷害保険の保険金として44万2800円を受け取っており(甲20),これは本件事故による損害をてん補するものであるから,損害額から控除すべきである。 ⑹ 弁護士費用について本件について相当因果関係を有する弁護士費用としては,上記⑴ないし⑸を差し引き計算した225万4761円の約1割の22万円が相当である。 4 過失相殺の当否(争点4)被告らは,被告Aが先にボールを蹴り出した後に,原告の左足が被告Aの左足の裏に入り込んでいることから,本件事故は原告に起因するところが大きいなどとして,過失相殺が相当であると主張する。 しかしながら,被告の過失につい にボールを蹴り出した後に,原告の左足が被告Aの左足の裏に入り込んでいることから,本件事故は原告に起因するところが大きいなどとして,過失相殺が相当であると主張する。 しかしながら,被告の過失について言及した上記1のとおり,原告は,先にボールをトラップし,ボールを蹴り出すための動作を開始していた状況にあり,本件事故直前に原告が左足を振り上げる動作と,被告Aが左足を伸ばす動作とがほぼ同時に開始されていることからすると,原告の方が被告Aの動きを見てボールへの接触を控えるべきであったなどという状況にはない。そうすると,原告が不注意にも自身の左足を出したがために本件事故が起きたなどということはできず,過失相殺を講じることが相当とはいえない。 5 被告Bの責任(争点5) 原告は,被告Bが指導監督義務を怠ったと主張し,これにより被告Bに不法行為が成立すると主張する。 しかしながら,Eは社会人サッカーチームであり,代表であるがゆえに,当然にチーム内の個々の選手の試合中のプレーに関して一般的に指導,監督義務があるといえるものではない。 また,被告Aの本件行為について被告Bが指示ないし命令をしたとか,日ごろ被告Aが本件行為のようなプレーを繰り返しており,本件も予測できたにも関わらず漫然と指導,監督を怠ったなど,本件行為に即した具体的な注意義務違反の主張立証がされているともいえない。 したがって,原告の主張を採用することはできない。 6 その他の争点原告は,被告らが,正当な理由なく被告Aの住所を原告に対して回答しなかった行為も不法行為に当たると主張する。 証拠(甲7,甲17から甲19まで)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,原告代理人を通じて弁護士法23条の2に基づきMサッカー連盟に対して照会をしたところ,平成26年9月11日,同 と主張する。 証拠(甲7,甲17から甲19まで)及び弁論の全趣旨によれば,原告は,原告代理人を通じて弁護士法23条の2に基づきMサッカー連盟に対して照会をしたところ,平成26年9月11日,同連盟は被告Aの住所は不明との回答をしたこと,そのため,原告代理人が今度は被告Bに対して被告Aの住所を同条に基づき照会したところ,被告Bは,平成26年11月18日,プライバシー保護を理由に回答できない旨応答し,原告代理人からの電話での問い合わせに対してもこれを回答しなかったこと,そして,被告Bは,原告代理人が被告Bの勤務するNに対して同条に基づく照会をしたことを契機に,平成27年2月16日に至ってこれを開示したことが認められる。 以上によれば,被告Aが自身の住所につき回答を拒否していたことを認めるに足りる証拠はない。 また,被告Bについても,最終的には被告Aの住所を回答するに至っている。 当初はプライバシー情報でもあり,回答の是非について判断がつきかねる状 況にあったものの,その後勤務先の助言もあり,回答して差し支えないものと理解できたものとも考えられるところであって,このような経過に照らせば,被告Bが当初回答しなかった行為をもって,違法な回答拒否行為ということはできない。 したがって,被告らが被告Aの住所を開示しなかったことをもって不法行為とする原告の主張を採用することはできない。 7 結論よって,原告の請求は,被告Aに対する請求のうち,247万4761円及びこれに対する平成27年5月29日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を請求する限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却することとし,被告Bに対する請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第 損害金を請求する限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないから棄却することとし,被告Bに対する請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第48部裁判官池田幸司

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