- 1 - 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実 及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人は,控訴人に対し,4億2835万6603円並びに原判決別紙うち金目録の「金額」欄記載の各金額に対する同目録「起算日」欄記載の各日から各支払済みまで,平成18年12月31日までは年4.1%の割合による金員,平成19年1月1日から同年12月31日までは年4.4%の割合による金員,平成20年1月1日から同年12月31日までは年4.7%の割合による金員及び平成21年1月1日以降については年7.3%又は地方税法附則3条の2第1項に規定する特例基準割合のいずれか低い割合による金員を支払え。 第2 事案の概要1(1) 控訴人(原告)は,東京都新宿区において,大学を設置して経営している。 (2) 被控訴人(被告)は,昭和61年12月2日,原判決別紙物件目録1記載1~5の各土地(本件土地1。各土地を,その番号を用いて「本件土地1-1」のようにいう。)及び原判決別紙物件目録2記載1~4の各土地(本件土地2。各土地を,その番号を用いて「本件土地2-1」のようにいう。)から成る地区について,東京都市計画特定街区に関する都市計画の決定(本件都市計画決定)をし,その旨を告示した。 (3) 控訴人は,平成2年までに本件土地1及び本件土地2-4を取得し,以後,これらの土地を所有しており,本件土地1及び本件土地2(本件土地)には,平成7年以降,原判決別紙配置図記載のとおり,原判決別紙物件目録3記載の建物(本件建物)が存し,控訴人は遅くとも同年以降,本件建物の- 2 -うち専有部分1の部分( び本件土地2(本件土地)には,平成7年以降,原判決別紙配置図記載のとおり,原判決別紙物件目録3記載の建物(本件建物)が存し,控訴人は遅くとも同年以降,本件建物の- 2 -うち専有部分1の部分(教育棟)を所有し,同2の部分(商業用ビル)及び同3の部分(本件駐車場)の共有持分を有している(本件土地1の地表部分のうち,教育棟の地上部分の直下付近の部分が教育棟敷地部分,その余の部分が本件広場)。 (4) 固定資産税等の賦課決定及び納税ア被控訴人は,控訴人に対し,原判決別表1の「賦課決定の日」欄記載の各日に,本件土地のうち控訴人が所有者であるもの及び本件建物に属する区分所有に係る家屋で控訴人が所有者であるものについて,本件土地1に関し固定資産税の課税の対象となる地積を同別表の「地積」欄記載のとおり認定して,同別表の「税額」欄記載のとおり平成15年度から平成20年度まで固定資産税及び都市計画税(固定資産税等)の賦課決定をした。 これらの賦課決定における本件土地に関する課税に当たっては,実地調査等の結果に基づき,本件土地を一画地の宅地として取り扱った上で,①本件土地1-1のうち教育棟の地上部分の直下及びその周辺の部分4180. 82㎡,本件土地1-4並びに本件土地1-5の各地積を合計したものを教育棟敷地部分の総地積とし,これについては,本件駐車場及び教育棟において課税の対象とされる部分と教育棟において非課税とされる部分との床面積の割合によりあん分をし,②本件土地1-1のその余の466.18㎡,本件土地1-2及び本件土地1-3の各地積を合計したものを本件広場の総地積とし,これについては,本件建物において課税の対象とされる部分と非課税とされる部分との床面積の割合によりあん分をして,それぞれにつき課税の対象となる地積の認定がされた。 したものを本件広場の総地積とし,これについては,本件建物において課税の対象とされる部分と非課税とされる部分との床面積の割合によりあん分をして,それぞれにつき課税の対象となる地積の認定がされた。 その後,被控訴人は,地方税法417条1項に基づく本件建物に係る価格等の修正をした結果,平成19年9月10日,原判決別表2の「H19. 9.10」欄記載のとおり,平成15年度から平成18年度までの固定資産税等の賦課額を減ずる処分をした。 - 3 -さらに,被控訴人は,平成20年10月6日に行った本件建物の使用の状況に関する調査の結果に基づき,原判決別表3記載のとおり,本件土地1に関し課税の対象となる地積の認定を改め,その地積に基づいて,平成15年度については平成21年6月10日に,平成16年度から平成20年度までについては平成21年5月8日に,原判決別表2の「H21.5. 8」欄及び「H21.6.10」欄記載のとおり,それぞれ固定資産税等の賦課額を減ずる処分をした。 イ控訴人は,平成15年度から平成20年度までの固定資産税等について,原判決別表4記載のとおり納付し,平成21年度の固定資産税等も納付した。 2 本件は,控訴人が,平成15年度から平成21年度までに控訴人が所有者である本件土地1に対して被控訴人がした固定資産税等の賦課決定(上記1(4)ア記載のとおり賦課額を減ずる処分がされた後のもの。本件処分)の一部は地方税法上非課税とされる固定資産に対してされたことなどの重大な瑕疵があるから無効であるとして,被控訴人に対し,控訴人が平成15年度から平成21年度までの固定資産税等として被控訴人に納付した金員の一部の還付及び還付加算金の支払を求める事案である。 控訴人が本件処分の無効事由として主張すると ,控訴人が平成15年度から平成21年度までの固定資産税等として被控訴人に納付した金員の一部の還付及び還付加算金の支払を求める事案である。 控訴人が本件処分の無効事由として主張するところの要点は,次のとおりである。 (1) 本件土地1全体に係る本件処分の効力本件土地1は,その全部が,文部科学省に校地として届出済みである上,教育棟内にある控訴人の新宿校舎には本件広場以外に学校教育法の運用上必要とされる「空地」はなく,現実にも本件広場は学生や教職員の休息,通路,イベント等に利用されており,本件広場を他の者が歩行するなどするのは本件都市計画決定による都市計画法上の規制の結果であるから,教育棟敷地部分のみならず,本件広場も含めた本件土地1は,全てが校地である。 - 4 -したがって,本件土地1は,地方税法上課税すべきではないことが明記されている「直接教育の用に供する固定資産」に該当するというべきであって,本件処分には,このような同法上の規定に反した重大な瑕疵があるから,本件処分は無効というべきである。 (2) 教育棟敷地部分に係る本件処分の効力についてア被控訴人は,教育棟敷地部分から本件土地1-2を除外しているが,本件土地1-2上にも教育棟の一部が存することは明らかであり,本件土地1-2のうちのこの部分及び教育棟の東側外壁から相当な距離の幅部分までは,教育棟の敷地というべきである。 また,本件土地1-1のうち教育棟敷地部分に属するものとされる部分についても,本件広場との間の南北にわたる境界線は,教育棟の東側外壁からの距離が一定しないところ,建物の敷地が外壁から一定の距離でないという理由はない。 したがって,教育棟敷地部分は,教育棟の敷地として位置及び地積を誤っている 界線は,教育棟の東側外壁からの距離が一定しないところ,建物の敷地が外壁から一定の距離でないという理由はない。 したがって,教育棟敷地部分は,教育棟の敷地として位置及び地積を誤っているから,本件処分はその課税要件を誤ったものとして違法である。 イ家屋に課税の対象とされる部分と非課税とされる部分とがある場合に,その敷地にどのように固定資産税を課税するかについて,課税の対象とされる部分と非課税とされる部分との床面積の割合により単純にあん分した比率で課税することには,法令上の根拠がない。 また,教育棟につき課税の対象とされる部分の大半は地下の駐車場であるところ,単位床面積当たりの利用価値ないし価格に雲泥の差があることを無視して,単純な床面積比だけで敷地の課税割合を決めるのは,法的根拠を欠くばかりでなく,明白に不当である。 ウ本件処分中の教育棟敷地部分に係る部分には,前記ア及びイという重大(かつ明白)な瑕疵があるから,無効である。 (3) 本件広場に係る本件処分の効力- 5 -ア本件広場は,校地として直接教育の用に供するものであるとともに,公共の用に供する道路でもあるから,いずれにしても地方税法が定める非課税物件に該当するというべきである。 イ本件土地1-1及び本件土地1-2の教育棟敷地部分に属するとされる部分は,教育棟の敷地として位置及び地積を誤っているから,本件広場についても同様の誤りがあるというべきである。 ウ本件広場に対する固定資産税について,本件建物の総床面積のうち課税の対象とされる部分と非課税とされる部分との床面積の割合によりあん分して課税することには,法令上の根拠がないばかりか,不合理であって,許されない。 本件広場については,地下駐車場等は 税の対象とされる部分と非課税とされる部分との床面積の割合によりあん分して課税することには,法令上の根拠がないばかりか,不合理であって,許されない。 本件広場については,地下駐車場等は別として,その上にいかなる家屋も存在しないのに,他の土地上の家屋のため課税できるとする法的根拠はないというべきである。 エ本件広場の全部が校地又は公共の用に供された道路ではないとしても,控訴人の学生や教職員が公道と教育棟1階東側出入口との間で出入りするためには,公道から教育棟1階東側出入口まで本件広場を通行する以外の方法はなく,教育棟1階東側出入口と本件広場の3か所の出入口との間には,3か所の出入口それぞれの幅で通路があるというべきであり,これに相当する732.19㎡の部分については,校舎である教育棟への通路として「直接教育の用に供する固定資産」に該当することが明らかである。 オ本件処分中の本件広場に係る部分には,前記ア~エという重大(かつ明白)な瑕疵があるから,無効である。 (4) 原判決別紙本件南側空地部分において赤色に着色された本件土地1-1の南側部分(本件南側空地部分)に係る課税処分の効力についてア本件南側空地部分(235.11㎡)は,本件都市計画決定がされて以来,歩道として公共の用に供されている。すなわち,本件南側空地部分の- 6 -更に南には公道があるが,その公道の北側の路端寄りに設けられた本来の歩道には,新宿区が有料の駐輪場を設けているため,通行はほとんどできず,本件南側空地部分が公共の用に供された歩道として一般公衆に利用されている実情にある。 したがって,本件南側空地部分は,現に歩道として公共の用に供されている道路であり,非課税物件に該当するというべきであって,本件処分中の本件 道として一般公衆に利用されている実情にある。 したがって,本件南側空地部分は,現に歩道として公共の用に供されている道路であり,非課税物件に該当するというべきであって,本件処分中の本件南側空地部分に係る部分は,課税すべきでない物件に課税をしたものとして重大(かつ明白)な瑕疵があるから,無効である。 イまた,処分行政庁は,本件南側空地部分を教育棟の敷地の一部として取り扱い,法令上の根拠がないにもかかわらず,家屋の課税の対象とされる部分と非課税とされる部分との床面積の割合によりあん分して課税したものであって,本件処分中の本件南側空地部分に係る部分は,無効である。 (5) 教育棟中のA大学学園生活協同組合(本件生協)の事務室部分に係る本件処分の効力について控訴人は,平成15年以前から,教育棟の一部を,本件生協が無償で使用することを許可してきた(床面積478.64㎡)。その目的は,本件生協に教育棟の一部分を使用させることで,控訴人の教職員,学生・生徒の福利厚生を支援することであり,本件生協の活動もその目的に沿ってされている。 すなわち,これは,控訴人が本来行うべき事業を,本件生協に業務委託しているものである。 被控訴人は,本件生協の使用する部分を収益事業に使用されているもの(課税対象)とみなし,平成15年以前から固定資産税等を課税し,控訴人はこれに従って納税していたが,控訴人が本件生協に無償で使用させている部分は,地方税法348条2項9号に規定する「直接教育の用に供する固定資産」に該当する。 被控訴人は,本件生協の使用する部分のうち,食堂として使用されている- 7 -部分等合計440.54㎡については,後に非課税決定をして誤納金を還付したものの,事務室として使用されている部分合計38.1 訴人は,本件生協の使用する部分のうち,食堂として使用されている- 7 -部分等合計440.54㎡については,後に非課税決定をして誤納金を還付したものの,事務室として使用されている部分合計38.10㎡(非課税とされた場合には,共有持分の割合を考慮すると3.34㎡に相当)については,なお,収益部分であるとして誤納金の還付請求に応じなかった。 しかしながら,事務室がなければ,帳簿の記帳,給与計算,食材等の発注もできず,本件生協の運営は不可能であり,事務室を食堂等の他の本件生協の使用する部分と分けて扱う合理的な理由は存在せず,事務室も当然に非課税とすべきである。処分行政庁が生協事務所部分についてした本件処分は,重大(かつ明白)な瑕疵があるため無効である。 3 原審は,(1) 地方税法348条2項本文は,同項各号に該当する固定資産については,固定資産税を課することができない旨定めるところ,このような規定が設けられた趣旨は,公用又は公共の用等に供されている固定資産について,その性格や用途にかんがみ,当該公用又は公共の用等に供する固定資産の確保という政策目的の実現のために,例外的に当該固定資産を非課税とする点にあると解され,同項9号にいう「学校法人がその設置する学校において直接教育の用に供する固定資産」については,その文理に即して,当該学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されることを常態とする固定資産をいうと解するのが相当であり,そのような固定資産に該当するか否かは,単に私立学校等の校地として所定の届出等がされているかによってではなく,当該固定資産の使用の実態に基づいて判断するのが相当であるところ,本件土地1のうち本件広場については,その使用の実態に照らし,そこにおいて学校教育の目的とする教育活動が れているかによってではなく,当該固定資産の使用の実態に基づいて判断するのが相当であるところ,本件土地1のうち本件広場については,その使用の実態に照らし,そこにおいて学校教育の目的とする教育活動が実施されることが常態とされていたと認めることはできず,本件土地1全体も,「学校法人がその設置する学校において直接教育の用に供する固定資産」に該当するとはいえないから,本件土地1全体を非課税としなかった本件処分に重大な瑕疵がある- 8 -とはいえない,(2)ア被控訴人は,本件土地について,これを一画地の宅地と認めた上で,土地の地表部分の使用の実態に着目し,主として学校の用に供する部分(教育棟敷地部分),商業施設の用に供する部分及び公開空地の部分(本件広場)に分けて,それぞれの部分に対する固定資産税の賦課の方法を定めたものであるところ,地方税法388条1項の規定に基づいて定められた固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号)においては,宅地の評価に係る画地計算法(別表第3)で,各筆の宅地の評点数を求める際の基準となる画地の認定に関し,隣接する2筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,これらを合わせる必要がある場合においては,その一体を成している部分の宅地ごとに一画地とするものとされており,これに基づいて定められた東京都固定資産(土地)評価事務取扱要領(昭和38年主税局長決定(38主課固発第174号))においても同趣旨の定めがされているのであって,これらの定めるところに格別同法の規定に反すると解すべき点は見当たらず,被控訴人において本件土地を一画地の宅地と認めたことをもって,直ちに違法なものと認めることはできないし,公用又は公共の用等に供されている固定資産につき政策的に固定資産税の賦課に関する特例を定めた同法348 において本件土地を一画地の宅地と認めたことをもって,直ちに違法なものと認めることはできないし,公用又は公共の用等に供されている固定資産につき政策的に固定資産税の賦課に関する特例を定めた同法348条2項本文の規定との関係においては,一般に,家屋の存する土地の用途については,当該家屋の用途に応じてこれを判断するのが相当と解され,また,同条3項の規定の趣旨に照らすと,例えば当該家屋が部分により課税の対象とされる用途と非課税とされる用途とに区分して使用されている場合には,それぞれの用途に使用されている部分の床面積の割合に応じて当該土地もそれぞれの用途に使用されていると解するのが相当というべきであり,本件土地につき被控訴人の採用することとした固定資産税の賦課の方法は,控訴人側の意向を考慮して,主にその地表部分の使用の在り方を基準に,これを更に区分して取り扱うこととしたもので,そのような実際的な取- 9 -扱いをもって,直ちに違法なものと認めることはできない,イ教育棟は,筆界との関係においては,本件土地1-2の上にもその一部が存するが,教育棟敷地部分と本件広場から成る本件土地1は,いずれも控訴人が所有者であって,それぞれの部分の地積に係る数値のいかんは,同一所有者に係る固定資産税の賦課額を上記の実際的な取扱いに従って計算するに当たっての中間的な係数の認定の問題に帰すること等に照らすと,当該地積に係る数値の認定につき合理性を欠くというべき事情が存するのでなければ,これに基づき課税がされたことに重大な瑕疵があるとまではいえないというべきであるところ,控訴人と被控訴人は,本件土地に対する課税の在り方について協議を重ね,控訴人の提出した求積図(乙47。本件求積図)に基づいて,教育棟敷地部分及び本件広場それぞれの総地積の確定を行っているが,本件求積 控訴人と被控訴人は,本件土地に対する課税の在り方について協議を重ね,控訴人の提出した求積図(乙47。本件求積図)に基づいて,教育棟敷地部分及び本件広場それぞれの総地積の確定を行っているが,本件求積図では,本件土地1-1のうち教育棟の東側の出入口の南側部分(本件教育棟出入口南側部分)が公開空地の部分に属するものとされる範囲には含められておらず,教育棟の敷地の部分に属するものとして扱われており,これを上記のように扱うことには厳密に論ずれば疑問が残るものというべきであるが,本件土地1-2のうちその上に教育棟の一部が存する部分は,14.54㎡を超えないのに対し,本件教育棟出入口南側部分は,狭く見ても40㎡を超えるものと認められるから,これらの事情からすると,教育棟敷地部分及び本件広場の地積に係る数値として認定されたところについては,合理性を欠くというべき事情が存するとまではいえず,これらの数値に基づき課税がされたことに重大な瑕疵があるとまではいえない,ウ被控訴人は,教育棟敷地部分について,本件駐車場及び教育棟の課税の対象とされる部分と教育棟の非課税とされる部分との床面積によりあん分して教育棟敷地部分に係る本件処分をしたものであるところ,家屋の存する土地につきこのようにあん分の方法により固定資産税を賦課することをもって直ちに違法なものと認めることはできず,家屋の存する土地についての地方税法348条2項本文- 10 -の規定の適用については,当該家屋の使用の実態に応じて当該土地も使用されているものとしてあん分の方法により対応することが相当と解され,当該家屋の各使用に係る部分の利用価値ないし価格に応じなければならないと解すべき根拠は見当たらない,(3)ア本件広場が地方税法348条2項9号にいう「学校法人がその設置する学校において直 当該家屋の各使用に係る部分の利用価値ないし価格に応じなければならないと解すべき根拠は見当たらない,(3)ア本件広場が地方税法348条2項9号にいう「学校法人がその設置する学校において直接教育の用に供する固定資産」に該当するとはいえないことは,上記のとおりであり,また,同項5号にいう「公共の用に供する道路」については,その文理に即して,現に広く不特定多数人の交通の用に供されている道をいうと解するのが相当であり,同条3項の規定に照らすと,そのような固定資産に該当するか否かは,当該固定資産の使用の実態に基づいて判断するのが相当であるところ,その使用の実態に照らし,本件広場については,現に広く不特定多数人の交通の用に供されている道に当たるとは認めることができず,同条2項5号にいう「公共の用に供する道路」に該当するとはいえない,イ原判決別紙本件広場通路部分は,単に公道から本件広場への3つの出入口と教育棟東側1階出入口とを図面上結ぶものにすぎず,この部分が,使用の実態において,本件広場の他の部分とは異なって,控訴人の主張するような通路であると認めるに足りる証拠はなく,そこにおいて学校教育の目的とする教育活動が実施されることが常態とされていたと認めることはできない,(4) 本件土地1-1の南側にあるコミュニティー道路中の北側の路端寄りに設けられた歩道(本件北側歩道)と本件南側空地部分の接線は排水溝をもって画され,段差のある部分もある上,本件北側歩道上に設けられた駐輪場の駐輪スペースは白線で区切られ,歩行者が通行する幅員は確保されており,上記コミュニティー道路の南側の路端寄りに設けられた歩道(本件南側歩道)上には歩行者の通行を妨げるような駐輪場等の存在を認めることはできないことも考慮すると,一般の歩行者が本件南側空地部分を通行 ,上記コミュニティー道路の南側の路端寄りに設けられた歩道(本件南側歩道)上には歩行者の通行を妨げるような駐輪場等の存在を認めることはできないことも考慮すると,一般の歩行者が本件南側空地部分を通行せざるを得- 11 -ない状態にあるとはいえず,かえって,本件南側空地部分は,本件都市計画決定に係る有効空地中の青空空地又は青空空地(緑化)の一部として設けられたことが認められることなどからすると,本件南側空地部分が「公共の用に供する道路」に該当するとはいえない,(5) 本件生協の行う事業を全て当然に教育活動の実施に当たるものということはできず,主として本件生協の管理等に係る事務の処理のために使用されていたと推認される事務室については,そこにおいて上記に述べたような教育活動が実施されることが常態とされていたとは認め難いというべきであるなどと判示して,控訴人の請求を棄却した。 これに対して,控訴人が控訴した。 4 関係法令の定め,前提事実,争点及び争点に対する当事者の主張の要点は,後記5に当審における控訴人の主張を付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1~4に記載のとおりであるから,これを引用する。 5 当審における控訴人の主張(1) 本件土地1全体について原審は,本件土地1全体につき,地方税法348条2項9号の非課税の固定資産には該当しないと判示するが,その理由とするところは,次のとおり理由がない。 ア原審は,同号にいう「学校法人がその設置する学校において直接教育の用に供する固定資産」は,当該学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されることを常態とする固定資産をいうと解するのが相当であると判示するが,同号には,教育活動が「常態」となって に供する固定資産」は,当該学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されることを常態とする固定資産をいうと解するのが相当であると判示するが,同号には,教育活動が「常態」となっているという表現はない。これを原審のように解釈することは,明らかに法律の拡大解釈(厳密には非課税規定なので縮小解釈)であり,租税法律主義に違反するというべきである。また,原審は,「常態」の意義について- 12 -何ら判示していないから,理由不備であるし,「専ら」という意味で使用しているのであれば,「専ら」と明示している同項3号と同一に解釈するものであって,明白に違法である。「直接教育の用に供する固定資産」には,「教育活動のために通常必要とされる固定資産」も含まれると解すべきである。 イ原審は,「本件広場を使用する者は学生や教職員に限られているわけではなく,本件広場の位置関係やそこに設置されている施設等に照らしても,日常的に,商業用ビルを利用する者やその他α○号線(○号線)及びα×号線(×号線)を通行する者が使用していることがうかがわれる」と判示するが,次のとおり,いずれも理由がない。 (ア) 本件広場の使用の実態が上記のようになっているのは,本件都市計画決定における特定街区の指定に伴い,本件広場が公衆の通行できる場所として法律上強制されているからであって,これは「公用制限」又は「公用負担」の反射的利益にすぎず,直接教育の用に供する固定資産である性格を排除するものではない。 (イ) 原審は,地方税法348条3項についても言及するが,同項は,固定資産の所有者が自らの意思で,同条2項各号の目的以外の目的に使用する場合のことを規定したものであって,法律によって強制される上記のような場合には適用がなく,特に本件では,同項 及するが,同項は,固定資産の所有者が自らの意思で,同条2項各号の目的以外の目的に使用する場合のことを規定したものであって,法律によって強制される上記のような場合には適用がなく,特に本件では,同項9号の固定資産を,法の強制によって併せて同項5号の資産として使用させるものであるから,同条3項の適用は考えられない。また,そもそも控訴人は本件広場を使用させているものではない。 (ウ) 「直接教育の用に供する固定資産」に「教育活動のために通常必要とされる固定資産」が含まれると解する以上,本件広場がこれに当たることは明らかである。その判断において,教育棟の出入口利用者とそれ以外の利用者の人数を比較することには何の意味もない。問題とされる- 13 -べきなのは,公道から教育棟出入口への通路が日常的に使用されているかどうかであり,比較すべきなのは教育棟の他の出入口の使用であり,他の利用者の使用ではない。 ウ原審は,本件広場は本件建物全体の「前庭」として使用されていると判示するところ,「前庭」という用語の意味は不明確であるものの,「庭」という以上,商業ビル所有者も本件広場に何らかの私法的用益権を有すると解するほかないが,商業用ビルの所有者も利用者もそのような私法的用益権を何ら有するものではなく,単に本件広場の「公用制限」の反射的利益によって通行しているにすぎない。 (2) 教育棟敷地部分について原審は,教育棟敷地部分に関する判示において,種々の判断を示すが,次のとおり多くの誤りがある。 ア原審は,被控訴人が本件土地全体を一画地の宅地と認めたことにつき「直ちに違法なものと認めることはできない。」と判示する。 しかし,原審の固定資産評価基準別表第3の引用は誤っており,正しくは「一筆の宅地又は隣接 土地全体を一画地の宅地と認めたことにつき「直ちに違法なものと認めることはできない。」と判示する。 しかし,原審の固定資産評価基準別表第3の引用は誤っており,正しくは「一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,これを一体をなしていると認められる部分に区分し,又はこれらを合わせる必要がある場合においては,その一体をなしている部分の宅地ごとに一画地とする」であって,一体をなしていると認めるためには,2筆以上の宅地が「その形状,利用状況等からみて一体をなしている」と認められることが必要であり,その場合に,一画地と認定できるというのが,上記別表3の規定である。 原審は,本件土地全体に一棟の本件建物が建築されていることをもって,「形状,利用状況等」からみて一体であると認定したものと思われるが,他方で,「本件土地の地表部分は,大きく,教育棟敷地部分,商業用の敷地部分及び地上に家屋が存しない本件広場の3つに分けられる」と認定し- 14 -ており,明らかに理由に齟齬がある。常識としても,商業用の敷地と法により公衆の通行を強制され,建物も建てられない本件広場が,利用状況において一体であると認識することはできない。 また,本件土地は第三者が所有する土地を含むものであり,本件建物は区分所有建物であるから,本件土地を一画地とみて評価することはできるが,これを一体とみて課税することは許されない。 イ原審は,「教育棟敷地部分について,本件駐車場及び教育棟の課税の対象とされる部分と教育棟の非課税とされる部分との床面積によりあん分して教育棟敷地部分に係る本件処分をした」ことは,「直ちに違法なものと認めることはできない」と判示し,その理由として,① 家屋に課税床面積と非課税面積がある場合に とされる部分との床面積によりあん分して教育棟敷地部分に係る本件処分をした」ことは,「直ちに違法なものと認めることはできない」と判示し,その理由として,① 家屋に課税床面積と非課税面積がある場合には,その敷地もその床面積の割合に応じて,それぞれの用途に使用されていると解するのが相当であること,② 昭和35年の自治庁管理官回答(以下「本件回答」という。)は,土地と建物の課税の整合性の疑問が残り,課税実務上は,遅くとも平成15年当時には修正する考え方が有力であったこと,③ 上記の課税方法は,十分に合理的であることを掲げる。 しかし,控訴人は,原審において,繰り返し,上記課税方法を定める法令はないから,租税法律主義に反し,本件処分は無効であると主張したにもかかわらず,原審は,法令の存否につき何も判示しておらず,明らかに判断の脱漏である。原審は,地方税法348条2項本文及び3項を引用して,建物に課税される床面積と非課税床面積がある場合は,その敷地もそれぞれの割合で,それぞれの用途に供されていると解するのが「相当」と判示するが,同条2項及び3項にはそのような規定はない。 原審は,本件回答が家屋についてはその使用の実態に応じてあん分して固定資産税の賦課の在り方を決すべき旨述べていることとの整合性を問題とするが,本件回答は,建物に関する課税とその敷地に関する課税を明確- 15 -に区別して記載したものであって,原審のように整合性を問題とする余地はない。また,本件回答は,地方税法を所管していた自治庁の責任者の公表した回答であり,通達と同視できるものであるから,これを課税実務において一方的に修正することは,課税要件明確化の要請に反し,租税法律主義に反する。 ウ原審は,本件土地1-2の上に教育棟の一部が存することを認め と同視できるものであるから,これを課税実務において一方的に修正することは,課税要件明確化の要請に反し,租税法律主義に反する。 ウ原審は,本件土地1-2の上に教育棟の一部が存することを認めつつ,その部分は14.54㎡を超えないところ,本件教育棟出入口南側部分は,狭く見ても40㎡を超えるものと認められ,この部分は教育棟敷地とされているから,被控訴人が教育棟の地積とした数値に基づく課税は「重大な瑕疵があるとまではいえない」と判示し,その理由として,2筆の土地が同一所有者である場合,それぞれの地積のいかんは賦課額を計算するに当たっての「中間的係数の問題に帰する」とする。 しかし,控訴人は,原審において,何度も教育棟と本件広場の位置が特定されていないと主張したが,原審は,教育棟敷地の場所的位置を特定しておらず,明らかに判断の脱漏である。 また,原審は,本件土地1-2のうち,教育棟の一部が存する部分は,14.54㎡を超えないと断じ,証拠として,甲第11号証の1,2を掲げるが,これらからは,本件土地1-2の部分が14.45㎡を超えないとは断定できず,証拠不十分の認定である上,上記認定は,教育棟の東側の外壁直下までの地積を認定したものと考えられるところ,教育棟の敷地は,外壁直下だけではなく,教育棟を「物理的,機能的に維持管理するために通常必要とされる」部分まで,直接教育の用に供する資産というべきである。 さらに,原審は,本件教育棟出入口南側部分につき,その地積を狭く見ても40㎡を超えると認定するが,上記証拠からそのような認定をすることはできない。 - 16 -エ原審は,本件土地1-2のうち教育棟の存する地積が本件教育棟出入口南側部分の地積を下廻っている場合は,中間的係数の認定問題にすぎないと のような認定をすることはできない。 - 16 -エ原審は,本件土地1-2のうち教育棟の存する地積が本件教育棟出入口南側部分の地積を下廻っている場合は,中間的係数の認定問題にすぎないと断定するが,本件土地1-1について減税する根拠も,本件土地1-2について増税する根拠も示さず,課税することは,明らかに租税法律主義に違反するものであって,両土地が同一所有者か否かは関係ない。 また,原審は,本件教育棟出入口南側部分を,教育棟敷地の部分とすることに「疑問が残る」としているだけであって,教育棟敷地でないものを教育棟敷地としたと認定したわけではないから,単なる疑問をもって,本件土地1-2の教育棟敷地と地積のバランスがとれているとすることは,明らかに理由不備である。 さらに,原審の上記課税方式は,1筆ごとに課税するという地方税法の原則に違反している。同法349条は,課税標準を土地課税台帳の登録価格とし,同法381条,不動産登記法34条は,登録価格は,地番(筆)ごとに登録することと規定しているから,土地については,固定資産税は,筆ごとに課税することが原則であり,固定資産税評価基準別表第3の本文においても,一画地も,登録された1筆の宅地によるものと定めるところである。 オ原審は,教育棟に存在する建物のうち,収益部分はその大半が地下にあることを考慮しなくても不当ではない旨判示するが,誤っている。 土地に対する固定資産税は,土地の時価により課税される(地方税法341条5号)ところ,土地の時価は,そこに建築可能な建物の価値を中心に決まることは常識である。教育棟敷地に存する建物のうち,収益部分は大半が地下にしか存在しないが,原審は,この地下に収益部分があることだけで,教育棟敷地に課税できるとす に建築可能な建物の価値を中心に決まることは常識である。教育棟敷地に存する建物のうち,収益部分は大半が地下にしか存在しないが,原審は,この地下に収益部分があることだけで,教育棟敷地に課税できるとするものである。しかし,建物の地下部分の価格が,建物の地上部分の価格と比較して,格段に低価であることは常識である。上記収益部分は,大半が地下にしかないのであるから,教- 17 -育棟敷地地下部分の価格のみによって課税されるべきである。 (3) 本件広場について原審は,公共の用に供する道路とは,「現に広く不特定多数人の交通の用に供されている道」と解するのが相当であり,本件広場には,植え込み,ステージ,スタンド型灰皿等があり,「専ら交通の用に供されているわけではなく」,平成20年4月9日の調査では「商業用ビル及び教育棟から本件広場に入ってきた者が,全体の64.8%であった」から,現に広く不特定多数人の交通の用に供されている道に当たるとは認められないと判示するが,全く不当である。 まず,地方税法348条2項5号は,単に「公共の用に供する道路」と規定するだけであって,そこに「広く」などの定めはない。次に,原審は,本件広場の利用者のうち,商業用ビル及び教育棟以外から本件広場に入ってきた者は,35.2%にすぎないから,「広く」不特定多数人といえないとするが,これは2121人に相当する上,平日の午前8時から午後9時までの人数であり,本件広場は24時間開放されているから,24時間では2121人をはるかに超えることは明らかであり,そのような数の公衆の通行は,明らかに不特定多数の通行であるから,仮に「広く」不特定多数人の交通の用と解するにしても,本件広場がこれに当たることは自明である。 原審は,本件広場には,植え込み,ステー 数の公衆の通行は,明らかに不特定多数の通行であるから,仮に「広く」不特定多数人の交通の用と解するにしても,本件広場がこれに当たることは自明である。 原審は,本件広場には,植え込み,ステージ,ベンチ,スタンド形灰皿があるから,本件広場は「専ら交通の用に供されているわけではない」と判示するが,本件広場の形状からして,上記設備があっても,それにより公衆の通行が妨害されない限り,全体として公衆用道路と評価することができる。 仮に,上記設備のため,本件広場の一部に公衆の通行を妨げる部分が生ずるとしても,それは本件広場の一部にすぎず,大半は広場状の空地であり通行可能である。そして,通行可能で公衆用道路と認められる部分の位置,地積の特定は課税する被控訴人が行うべきであって,その特定がされていない本- 18 -件では,本件広場全体が公共の用に供する道路として,非課税とされるべきである。 原審は,原判決別紙本件広場通路部分は,単に本件広場の3つの出入口と教育棟東側出入口を図面上結ぶものにすぎず,「この部分が,本件広場の他の部分と異なって,通路であると認めるに足りる根拠はない」と判示するが,教育棟東側出入口に公道から出入りするためには,本件広場の3つの出入口を出入りするしかないことは証拠上明白であり,その場合,それぞれ本件広場の3つの出入口と教育棟東側出入口間を直行していることは明らかである。 そして,通路か否かは,非課税対象の範囲の問題であり,現実にその通路として使われている限り,柵とか外縁石で区画されていなくても通路である。 (4) 本件南側空地について原審は,本件北側歩道は,排水溝をもって画され「歩行者が通行する幅員は確保されており」,一般の歩行者が本件南側空地を歩行せざるを得ない状態にあるとはいえないとして,本 本件南側空地について原審は,本件北側歩道は,排水溝をもって画され「歩行者が通行する幅員は確保されており」,一般の歩行者が本件南側空地を歩行せざるを得ない状態にあるとはいえないとして,本件南側空地を「公衆の用に供する道路」に該当しないと判示する。 しかし,まず,排水溝は金属の網状の蓋で覆われており,本件南側空地と本件北側歩道間の排水溝は歩行者にとって歩行障害となるものではなく連続したものである。また,本件北側歩道上には,有料駐輪場部分に白線が引かれているものの,その範囲は公道の歩道の大半であって,その白線の外側の歩道部分は,場所によっては,わずかに約30~40㎝程度であって,通行する幅員が確保されている状態ではない。現地で見分すると,本件北側歩道を通行する歩道者はなく,歩道の代わりに全員が本件南側空地を歩行している状況であり,原審の判断は誤っている。 (5) 生協事務室について原審は,本件生協の事務室において「教育活動が実施されることが常態とされていたとは認め難い」と判示するが,本件生協の事業は,控訴人の教育- 19 -活動を支える書籍販売,食堂等の事業が97%程度を占めているから,このような事業の事務処理のために使用されていた本件生協の事務室は教育活動が実施されるために使用されていたことが「常態」であったというべきであり,原審の判断は誤っている。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求には理由がないと判断する。その理由は,後記2のとおり付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 当審における控訴人の主張に鑑み,理由を付加する。 (1) 控訴人は,本件土地1全体につき,地方税法348条2項9号の非課税の 裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 2 当審における控訴人の主張に鑑み,理由を付加する。 (1) 控訴人は,本件土地1全体につき,地方税法348条2項9号の非課税の固定資産には該当しないとした原審の判断につき,その理由とするところは理由がないとし,その根拠として,上記第2の5(1)ア~ウのとおり主張する。 しかし,控訴人の上記主張は,次のとおり,いずれも理由がない。 ア控訴人は,原審が,同号にいう「学校法人がその設置する学校において直接教育の用に供する固定資産」とは,「当該学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されることを常態とする固定資産」をいうと解するのが相当であると判示するが,同号には,「常態」とという表現はなく,このように解釈することは,租税法律主義に違反するというべきであるなどと主張する。 しかし,地方税法は,固定資産税について,341条以下において,固定資産税に関する用語の意義や納税義務者等を詳細に規定しており,土地については,その所有者が,市町村(都)に対し,固定資産税の納税義務を負担することとし,同法348条は,その例外として,固定資産税の非課税の範囲を定めているものである。そして,本件土地には,教育棟,商業ビル及び駐車場という性質の異なる部分を有する本件建物が存している- 20 -ことから,控訴人の所有する本件土地1及び本件土地2-4について,固定資産税等の賦課の方法を具体的にどのようにするかが問題となるのであって,その際,固定資産税の非課税の範囲について定めた同条2項の規定の意義を合理的に解釈する必要が生じるのは当然である。そうすると,引用に係る原判決が,同項本文の趣旨及び納税義務の公平な分担等も考慮した上で,同項9号にいう「 課税の範囲について定めた同条2項の規定の意義を合理的に解釈する必要が生じるのは当然である。そうすると,引用に係る原判決が,同項本文の趣旨及び納税義務の公平な分担等も考慮した上で,同項9号にいう「学校法人がその設置する学校において直接教育の用に供する固定資産」を,「当該学校において教科の履修その他学校教育の目的とする教育活動が実施されることを常態とする固定資産をいうと解するのが相当である。」と解釈したことは,合理的な解釈の範囲内のことである。租税法律主義は,租税法規の合理的な解釈の余地を一切認めないものではなく,上記の解釈は何ら租税法律主義に反するものではない。 また,「常態」とは普通の状態という意味であって,同項9号にいう「学校法人がその設置する学校において直接教育の用に供する固定資産」の意義を殊更限定したものではない。逆に,控訴人が主張する「教育活動のために通常必要とされる固定資産」というのは,「直接教育の用に供する固定資産」の意義を拡張するものであって,不当である。 イ控訴人は,本件広場について,日常的に,商業用ビルを利用する者やその他○号線及び×号線を通行する者が使用していることがうかがわれるとの原審の判示について,理由がないと主張する。 しかし,原審は,上記のような非課税の固定資産に該当するか否かは,当該固定資産の「使用の実態」に基づいて判断するのが相当とした上で,その「使用の実態」について上記のような点を認定し,これに照らせば,本件広場が「学校法人がその設置する学校において直接教育の用に供する固定資産」に該当するとはいえないと判示したものである。この判断において,使用の法的根拠や権原の有無,内容が問題となるものではないから,本件広場が,本件都市計画決定における特定街区の指定に伴い,公衆の通- 21 - るとはいえないと判示したものである。この判断において,使用の法的根拠や権原の有無,内容が問題となるものではないから,本件広場が,本件都市計画決定における特定街区の指定に伴い,公衆の通- 21 -行できる場所として法律上強制されていることは直接関係がない。なお,原審は,地方税法348条3項が本件に適用されると判示したものではなく,同条2項の解釈をするに当たって同条3項を参照したにすぎないから,同項に係る控訴人の主張は,原判決を正解しないものである。そして,使用の法的根拠がどうあれ,使用の実態が原審の認定したとおりであることによれば,本件広場が同条2項9号に当たらないとした原審の判断は,正当である。控訴人の上記主張は,いずれも理由がない。 ウ控訴人は,原審が本件広場は本件建物全体の「前庭」として使用されていると判示したことについて批判するが,これも「使用の実態」をいうにすぎないものであり,控訴人の主張は,上記結論を左右するものではない(なお,原判決が用いた「前庭」という言葉は,確かに明確を欠くところがあり,「前庭」は正面玄関の前の庭であるが,本件広場への出口は裏玄関であるとの指摘もある(甲35)けれども,その趣旨とするところは相当である。)。 (2) 控訴人は,教育棟敷地部分に関する原審の判示には,多くの誤りがあるとして,その根拠して,上記第2の5(2)ア~オのとおり主張する。 しかし,控訴人の上記主張は,次のとおり,いずれも理由がない。 ア控訴人は,原審が,被控訴人が本件土地全体を一画地の宅地と認めたことにつき「直ちに違法なものと認めることはできない。」と判示したが,その際,固定資産評価基準別表第3の引用を誤っており,一体をなしていると認めるためには,2筆以上の宅地が「その形状,利用状況等からみて一 き「直ちに違法なものと認めることはできない。」と判示したが,その際,固定資産評価基準別表第3の引用を誤っており,一体をなしていると認めるためには,2筆以上の宅地が「その形状,利用状況等からみて一体をなしている」と認められることが必要であるなどと主張する。 しかし,本件土地については,一の地区として本件都市計画決定がされ,本件土地には1棟の本件建物が存するのであるから,本件土地がその形状,利用状況等からみて一体をなしていることは明らかである。控訴人は,原審は,他方で,「本件土地の地表部分は,大きく,教育棟敷地部分,商業- 22 -用の敷地部分及び地上に家屋が存しない本件広場の3つに分けられる」と認定しており,明らかに理由に齟齬があるとも主張するが,原審は「本件土地につき被控訴人の採用することとした固定資産税の賦課の方法は,地下部分の使用の実態をも総合的に考慮すれば理論上は一画地の宅地としてその全体にわたって存する本件建物の各部分の用途に応じて使用されていると評価することも可能であると考えられる本件土地について,控訴人側の意向を考慮して,主にその地表部分の使用の在り方を基準に,これを更に区分して取り扱うこととしたもので」あり,「そのような実際的な取扱いをもって,直ちに違法なものと認めることはできない。」としているのであるから,原審の判断に齟齬はなく,控訴人の主張は,理由がない。 なお,控訴人は,本件土地が第三者の所有する土地を含み,本件建物が区分所有建物であることから,本件土地を一画地とみて評価することはできるが,これを一体とみて課税することは許されないとも主張するが,もとより課税は個別に行われるのであって,理由がない。 イ控訴人は,原審が「教育棟敷地部分について,本件駐車場及び教育棟の課税の対象とされ 一体とみて課税することは許されないとも主張するが,もとより課税は個別に行われるのであって,理由がない。 イ控訴人は,原審が「教育棟敷地部分について,本件駐車場及び教育棟の課税の対象とされる部分と教育棟の非課税とされる部分との床面積によりあん分して教育棟敷地部分に係る本件処分をした」ことは,「直ちに違法なものと認めることはできない」と判示した理由について批判する。 しかし,本件処分における固定資産税の賦課の方法は,租税法律主義に反しないと解すべきことは,上記(1)アにおいて判示したのと同様である。 本件回答は,控訴人が主張するとおり,建物に関する課税と土地に関する課税とを区別して記載しているが,原審は,本件回答が建物と土地とで異なった取扱いをすること自体,整合性がないと判示したものであって,その指摘は正当である。控訴人は,本件回答は通達と同視できると主張するが,そのように解する合理的根拠はなく,法規の正当な解釈に従って運用を変更することは,租税法律主義に反するものではない。 - 23 -ウ控訴人は,原審が,本件土地1-2の上に教育棟の一部が存することを認めつつ,その部分は14.54㎡を超えないところ,本件土地1-1にある教育棟東側出入口南部分は,狭く見ても40㎡を超えるものと認められ,この部分は教育棟敷地とされているから,被控訴人が教育棟の地積とした数値に基づく課税は「重大な瑕疵があるとまではいえない」と判示したが,教育棟敷地の場所的位置を特定しておらず,明らかに判断の脱漏であるなどと主張する。 しかし,本件処分における固定資産税の賦課の方法が合理的であることは,上記のとおりであり,本件土地1は,いずれも控訴人の所有であるから,教育棟敷地の場所を厳密に特定しなくても,本件処分について重大な瑕疵 ,本件処分における固定資産税の賦課の方法が合理的であることは,上記のとおりであり,本件土地1は,いずれも控訴人の所有であるから,教育棟敷地の場所を厳密に特定しなくても,本件処分について重大な瑕疵があるとはいえない。したがって,判決理由として不十分とはいえないから,原審の判断に脱漏はない。 また,証拠(甲11の1,2)によれば,本件土地1-2のうちその上に教育棟の一部が存する部分(本件土地1-2のうち教育棟の敷地である部分ではない。)が14.45㎡を超えないことは明らかであり,教育棟東側出入口南側部分(その範囲は,原判決別紙本件教育棟出入口南側部分の黄色着色部分)につき,その地積を狭く見ても40㎡を超えるとする判断も,上記証拠によって容易に計算可能である。 エ控訴人は,本件土地1-2のうち教育棟の存する地積が本件教育棟出入口南側部分の地積を下廻っている場合は,中間的係数の認定問題にすぎないと断定するが,明らかに租税法律主義に違反するものであって,このことは,両土地が同一所有者か否かは関係ないなどと主張する。 しかし,本件土地を一画地の宅地と認めたことをもって,直ちに違法なものと認められないことや,それが租税法律主義に違反しないことは,上記のとおりである。控訴人は,1筆ごとに課税するという地方税法の原則に違反しているとも主張するが,むしろ,できる限り筆単位で課税するた- 24 -めに,本件土地1-2を教育棟の敷地部分とそれ以外の部分に分断しないように控訴人に有利な方向で「実際的な取扱い」をしたものであって,このような課税方法に租税法律主義に反する重大な瑕疵があるとまではいえない。そして,原審は,このような「実際的な取扱い」に従って計算をするに当たって「中間的な認定の問題に帰する」と述べたにすぎないのであ ような課税方法に租税法律主義に反する重大な瑕疵があるとまではいえない。そして,原審は,このような「実際的な取扱い」に従って計算をするに当たって「中間的な認定の問題に帰する」と述べたにすぎないのであり,このような方法を正面から容認したものではない。 オ控訴人は,教育棟に存在する建物のうち,収益部分はその大半が地下にあることを考慮しなくても不当ではないとした原審の判断は誤っていると主張する。 しかし,引用に係る原判決が判示するとおり,建物の各使用に係る部分の利用価値ないし価格に応じなければならないと解すべき根拠は見いだせない。 (3) 控訴人は,公共の用に供する道路とは「現に広く不特定多数人の交通の用に供されている道」と解するのが相当であり,本件広場はこれに当たるとは認められないとの原審の判断は不当であるなどと主張する。 しかし,そもそも,本件広場は,その形状からして,「道路」ないし「道」という概念に当たらない上,地方税法348条2項5号にいう「公共の用に供する道路」の意義についての原審の判断は,同項の趣旨及び納税義務の公平な分担等を考慮すれば,控訴人の主張するような事情を考慮しても,相当であって,本件広場が同号にいう「公共の用に供する道路」に該当するとはいえないというべきである。 また,原判決別紙本件広場通路部分が通路と認められないことは,原判決の判示するとおりである。 (4) 控訴人は,本件南側空地部分を「公衆の用に供する道路」に該当しないとした原審の判断は誤っているなどと主張する。 しかし,本件南側空地部分は,その南側のコミュニティ道路との位置関係- 25 -に照らし,また,これが本件都市計画決定に係る有効空地中の青空空地又は青空空地(緑地)の一部として設けられたものであ しかし,本件南側空地部分は,その南側のコミュニティ道路との位置関係- 25 -に照らし,また,これが本件都市計画決定に係る有効空地中の青空空地又は青空空地(緑地)の一部として設けられたものであり,通路とすることを予定したものではないことに鑑みると,仮に,控訴人の主張するような使用実態があったとしても,上記判断を左右するものではない。 (5) 控訴人は,本件生協の事務室において「教育活動が実施されることが常態とされていたとは認めがたい」とした原審の判断は誤っていると主張する。 しかし,控訴人の主張によっても,本件生協の事業には多様なものが含まれているのであって,そのような事業の性質を単に売上高の割合によって一義的に定めるのは困難である。そうすると,本件生協事務室については「教育活動が実施されることが常態とされていたとは認め難い」との原審の判断は不相当とはいえず,本件生協の事務室部分に係る本件処分に重大かつ明白な瑕疵があるとはいえない。 3 以上によれば,原判決は正当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第2民事部 裁判長裁判官大橋寛明 裁判官佐久間政和 裁判官見米正
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