- 1 -主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 第1事件(1) 処分行政庁が平成21年3月11日付けで原告に対してした公文書非公開処分を取り消す。 (2) 処分行政庁が平成21年4月13日付けで原告に対してした公文書非公開処分を取り消す。 (3) 処分行政庁が平成21年4月27日付けで原告に対してした公文書非公開処分(ただし,「A学級の平成19年度,平成20年度の予決算書及び会計書類の全て」に係る部分を除く。)を取り消す。 (4) 処分行政庁が平成21年5月7日付けで原告に対してした公文書非公開処分を取り消す。 2 第2事件(1) 処分行政庁が平成21年6月17日付けで原告に対してした公文書非公開処分を取り消す。 (2) 処分行政庁が平成21年6月18日付けで原告に対してした公文書非公開処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,東京都渋谷区(以下「渋谷区」という。)内に住所を有する原告が,処分行政庁に対し,渋谷区情報公開条例(平成元年渋谷区条例第39号。以下「本件条例」という。)に基づき,6回にわたり,A学級に関する文書の公開の請求をしたところ(以下「本件各公開請求」と総称する。),処分行政庁から,原告が本件各公開請求において公開を求めた各文書(以下「本件各文書」と総 - 2 -称する。)は,本件条例6条3号ア(公にすることにより当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの)及び同条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当し,又は同号イ(上記のおそれがあるもの)に該当するとして,本件各文書を公開しない旨の各決定(以下「本件各非公開決定」という。)を受け 機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当し,又は同号イ(上記のおそれがあるもの)に該当するとして,本件各文書を公開しない旨の各決定(以下「本件各非公開決定」という。)を受けたため,原告が,本件各非公開決定には本件各文書が上記各事由に該当しないのに非公開とした違法及び理由付記が不備である違法があるとして,本件各非公開決定(ただし,訴え提起後の一部公開に伴う訴えの一部取下げに係る請求1(3)の括弧内の部分を除く。)の取消しを求めている事案である。 1 本件条例の定め(甲2)(1) 実施機関(2条1号)及び請求権者(5条)ア本件条例において,実施機関とは,渋谷区長,渋谷区教育委員会等をいう(2条1号)。 イ渋谷区内に住所を有する者(1号)等は,実施機関に公文書の公開を請求することができる(5条)。 (2) 公文書の公開原則及び公開しないことができる情報(6条)実施機関は,5条の規定による公開の請求(以下「公開請求」という。)があったときは,公開請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報(以下「非公開情報」という。)が記録されている場合を除き,公開請求者に対し,当該公文書を公開しなければならない。 ア (略)(1号及び2号)イ法人等の正当な利益に関する情報(3号ア)法人その他の団体(国,独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律2条1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。),地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。以下「法人等」という。)に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって, - 3 -公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。ただし,人の生命,健康,生活又は財産を保護す 当該事業に関する情報であって, - 3 -公にすることにより,当該法人等又は当該個人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの。ただし,人の生命,健康,生活又は財産を保護するため,公開することが必要であると認められる情報を除く。 ウ (略)(3号イ,4号,5号及び6号ア)エ契約,交渉又は争訟に係る事務に関する情報(6号イ)実施機関,国,独立行政法人等,他の地方公共団体又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって,公にすることにより,契約,交渉又は争訟に係る事務に関し,実施機関,国,独立行政法人等,他の地方公共団体又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれその他当該事務又は事業の性質上,当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものオ (略)(6号ウ及びエ)(3) 請求に対する決定等(9条)ア公開する旨の決定(1項)実施機関は,公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開するときは,その旨の決定をし,公開請求者に対し,その旨並びに公開をする日時及び場所を書面により通知しなければならない。 イ公開しない旨の決定(2項)実施機関は,公開請求に係る公文書の全部を公開しないときは,公開をしない旨の決定をし,公開請求者に対し,その旨を書面により通知しなければならない。 (4) 公開決定等の期限(9条の2第1項本文)上記(3)ア又はイの決定は,当該公開請求書を受理した日から起算して15日以内にしなければならない。 (5) 理由付記(9条の3第1項) - 4 -実施機関は,上記(3)ア又はイの規定により公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しないときは,公開請求者に対し,当該各項に規定する書面によりその理由を示さなければなら 第1項) - 4 -実施機関は,上記(3)ア又はイの規定により公開請求に係る公文書の全部又は一部を公開しないときは,公開請求者に対し,当該各項に規定する書面によりその理由を示さなければならない。この場合において,当該理由の提示は,公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が,当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない。 2 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告は,渋谷区内に住所を有する者である。 (2) 渋谷区教育委員会(以下「区教育委員会」という。)は,学校法人B学園(以下「B学園」という。)に対し,同法人によるA学級の運営のために,平成20年3月21日付けで,D小学校の余裕教室(空き教室)の目的外使用を許可し(以下,この処分を「別件許可処分」という。),かつ,その使用料を免除した(以下,この処分を「別件免除処分」といい,これらの処分を「別件各処分」と総称する。)。 原告外21名(以下「原告ら」という。)は,別件各処分は公立小学校の施設を私立インターナショナルスクールに無償で貸与するものであって違法であるなどとして,平成20年9月25日付けで,被告及び渋谷区長(以下「被告ら」ともいう。)に対する住民訴訟(東京地方裁判所平成○年(行ウ)第○号。以下「別件住民訴訟」という。)の訴状(以下「別件訴状」という。)を東京地方裁判所に対し提出した。別件訴状及び平成20年10月22日付けの訴状訂正申立書(以下「別件訴状訂正申立書」という。)によれば,別件住民訴訟において,原告らは,被告に対し,主位的に区教育委員会による別件許可処分の取消しを,予備的に同委員会による別件免除処分の取消しを求め,渋谷区長に対し,E外5名に対する1億061 よれば,別件住民訴訟において,原告らは,被告に対し,主位的に区教育委員会による別件許可処分の取消しを,予備的に同委員会による別件免除処分の取消しを求め,渋谷区長に対し,E外5名に対する1億0618万8000円の損害賠償の請求をすることを求めた。(乙4の1・2)(3) 原告は,平成21年2月25日,処分行政庁に対し,「D小学校C学級 - 5 -に関する住民訴訟の被告側準備書面(1)のp15~p16の以下の部「同学園のすべての児童が裕福な家庭の児童ではないし,それらの児童については奨学金や寄付の募集等で対処しているところであって」とあるが,このことを裏付又は証明する文書」(以下「本件文書1」という。)の公開請求(以下「本件公開請求1」という。)をしたところ,処分行政庁は,同年3月11日付けで,本件文書1は,その内容が本件条例6条3号ア(公にすることにより当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの)及び同条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書1を公開しない旨の決定(以下「本件非公開決定1」という。)をした(なお,その通知書の理由中には「条例第6号第6号イ」との記載があるが,後続の括弧内の記載も併せれば,これが「条例第6条第6号イ」を誤記したものであることは明らかである。)。(甲1の1,乙1の1)(4) 原告は,平成21年3月30日,処分行政庁に対し,「①東京地方裁判所平成○年(行ウ)第○号行政財産使用許可取消等(住民訴訟)請求事件の被告側準備書面(1)の3頁の3(1)に,「平成17年9月,渋谷区長は,在日トルコ共和国大使館から,トルコ人の子弟を中心とした子供達のための教育施設の提供についての協力要請を受けた」とあ 請求事件の被告側準備書面(1)の3頁の3(1)に,「平成17年9月,渋谷区長は,在日トルコ共和国大使館から,トルコ人の子弟を中心とした子供達のための教育施設の提供についての協力要請を受けた」とあるが,本件協力要請を裏付けする文書全て。②同じく3頁の3(2)に,「同年11月,渋谷区長は上記協力要請に対し前向きに検討したい旨,及び当該提供施設については,在日トルコ共和国大使館から距離が近く,児童数減少により余裕教室の発生している区立D小学校を検討対象としている旨を,同大使館に対し伝える」とあるが,本件を同大使館に伝えたことを裏付けする文書の全て。③同じく3頁の3(2)に,「そのように同小学校の施設を提供することが現実に可能かどうかを,教育委員会で検討するようにF教育長(以下「教育長」という。)に依頼した。」とあるが,本件依頼を裏付ける文書の全て。④同じく4頁の3(4) - 6 -に,「渋谷区長は,上記教育委員会からの報告を受け,平成18年6月,在日トルコ共和国大使館に対し,上記(3)アないしクの条件を付した上で,D小学校の施設の一部を,トルコ人の子弟を中心とした子供たちのための教育施設として提供可能である旨を伝えた。」とあるが,本件を伝えたことを裏付ける文書の全て」(以下,上記①ないし④の文書を「本件文書2①」ないし「本件文書2④」といい,これらを併せて「本件文書2」という。)の公開請求(以下「本件公開請求2」という。)をしたところ,処分行政庁は,平成21年4月13日付けで,本件文書2は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書2を公開しない旨の決定(以下「本件非公開決定2」という。)をした。(甲1の2,乙1の2)(5 ,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書2を公開しない旨の決定(以下「本件非公開決定2」という。)をした。(甲1の2,乙1の2)(5) 原告は,平成21年4月13日,処分行政庁に対し,①「平成21年3月31日の時点で,A学級に就学する児童の人数と国籍がわかる書類」,②「A学級の平成19年度,平成20年度の予決算書及び会計書類の全て」(以下,上記①の文書を「本件文書3①」,上記②の文書を「本件文書3②」といい,これらを併せて「本件文書3」という。)の公開請求(以下「本件公開請求3」という。)をしたところ,処分行政庁は,平成21年4月27日付けで,本件文書3は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書3を公開しない旨の決定(以下「本件非公開決定3」という。)をした。(甲1の3,乙1の3)(6) 原告は,平成21年4月20日,処分行政庁に対し,①「平成21年4月1日より,D小学校における行政財産使用許可の相手方が,学校法人B学園からC学級設立準備会に変更された。本件変更の経緯を記録してある教育委員会内の文書全て」,②「本件変更の決定(決議)を記録してある教育委員 - 7 -会内の文書全て」,③「本行政財産使用許可の相手方であるC学級設立準備会の内容が判る文書。(設立年月日,役員の氏名・国籍,事務所の所在地,連絡先,会則等)」,④「使用料の算定根拠がわかる文書全て」及び⑤「使用料の納入方法がわかる文書。(例えば,翌月分を毎月末日限り払うのか,年4回払いなのか,全額一括前納なのか等)」(以下,上記①ないし⑤の文書を「本件文書4①」ないし「本件文書4⑤」といい,これらを 用料の納入方法がわかる文書。(例えば,翌月分を毎月末日限り払うのか,年4回払いなのか,全額一括前納なのか等)」(以下,上記①ないし⑤の文書を「本件文書4①」ないし「本件文書4⑤」といい,これらを併せて「本件文書4」という。)の公開請求(以下「本件公開請求4」という。)をしたところ,処分行政庁は,同年5月7日付けで,本件文書4は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書4を公開しない旨の決定(以下「本件非公開決定4」という。)をした。 (甲1の4,乙1の4)(7) 原告は,平成21年6月3日,処分行政庁に対し,「平成21年4月1日からのA学級の使用許可の相手方が,学校法人B学園からC学級設立準備会に変更されたが,本件の検討,決裁に関する文書の全て」(以下「本件文書5」という。)の公開請求(以下「本件公開請求5」という。)をしたところ,処分行政庁は,同年6月17日付けで,本件文書5は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書5を公開しない旨の決定(以下「本件非公開決定5」という。)をした。(甲7の1,乙2の1)(8) 原告は,平成21年6月4日,処分行政庁に対し,「平成21年3月19日付,A学級に関する行政財産使用料減免申請書の結果が判る書類一式(渋谷区教育委員会が減免したのかどうかが判る書類)」(以下「本件文書6」という。)の公開請求(以下「本件公開請求6」という。)をしたところ,処分行政庁は,平成21年6月18日付けで,本件文書6は,その内容が本件条例 - 8 -6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当 )の公開請求(以下「本件公開請求6」という。)をしたところ,処分行政庁は,平成21年6月18日付けで,本件文書6は,その内容が本件条例 - 8 -6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書6を公開しない旨の決定(以下「本件非公開決定6」という。)をした。(甲7の2,乙2の2)(9) 原告は,平成21年5月18日,被告に対し,本件非公開決定1ないし本件非公開決定4の各取消しを求めて本件第1事件に係る訴えを提起した。 (顕著な事実)(10) 原告は,平成21年9月17日付けの訴えの変更申立書において,本件非公開決定3の取消しを求める訴えのうち,本件文書3②に係る部分の訴えを取り下げ,被告はこれに同意した。(顕著な事実)(11) 原告は,平成21年10月28日,被告に対し,本件非公開決定5及び本件非公開決定6の各取消しを求めて本件第2事件に係る訴えを提起した。 (顕著な事実) 3 争点(1) 本件各文書の本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)該当性(2) 本件文書1の本件条例6条3号ア(公にすることにより当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの)該当性(3) 本件各非公開決定に係る理由付記の適法性(4) 本件各公開請求に係る公文書公開請求権の濫用の有無 4 争点に関する当事者の主張の要旨(1) 争点(1)(本件各文書の本件条例6条6号イ該当性)についてア被告の主張の要旨(ア) 本件条例6条6号イが,争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるものについて非開示情報としているのは,実施機関が一方当事 ついてア被告の主張の要旨(ア) 本件条例6条6号イが,争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるものについて非開示情報としているのは,実施機関が一方当事者として争訟に対処するための情報が - 9 -公開されると,それが正規の交渉等の場を経ないで相手方当事者に伝わる等して,紛争の公正,円滑な解決を妨げるおそれがあるからであると解される。そして,それが現に係属中の民事訴訟における証拠資料となるべきものや,当該訴訟の処理の仕方,手法,当該訴訟の解決の手の内が示されている情報である場合は,これが公開されると,現在及び将来の当該訴訟の遂行に著しい支障を生ずることになる。とりわけ,証拠資料については,当事者は,当該訴訟の訴訟活動の中で,これを証拠として提出するか否か,提出するならばどの時期にどのような形で提出するか等について,当該訴訟の進行状況等を勘案しながら,自由に判断することができるのであり,情報公開手続により対象文書が無制限に公開されることとなると,当該当事者の訴訟上の地位を不当に害することになる。 (イ) 本件各文書は別件住民訴訟における被告ら(被告及び渋谷区長)の主張に関する証拠資料となるべき文書であり,しかも,本件の原告は別件住民訴訟の原告でもあるから,それが公開されれば,別件住民訴訟における被告らの訴訟上の地位を不当に害することになることは明らかである。したがって,本件文書1は,本件条例6条6号イに該当する。 具体的には,本件文書1及び本件文書3①は,別件住民訴訟において,原告らの主張に対し被告ら(被告及び渋谷区長)がした理由付き否認の当該理由を裏付ける文書,本件文書2は別件住民訴訟において被告らの主張した事実の経緯を裏付ける文書,本件文書4ないし本件文書6は,別件住民訴訟にお 対し被告ら(被告及び渋谷区長)がした理由付き否認の当該理由を裏付ける文書,本件文書2は別件住民訴訟において被告らの主張した事実の経緯を裏付ける文書,本件文書4ないし本件文書6は,別件住民訴訟において原告らが求釈明をした事実に関係する文書であるところ,別件住民訴訟の経過によれば,本件各非公開決定の時点で,区教育委員会が本件各非公開決定の対象とされた文書を公開すると,別件住民訴訟の当事者である被告ら(被告及び渋谷区長)が訴訟追行権・攻撃防御権に基づき,当該文書の提出の要否,提出するとした場合の時期 - 10 -について自由な判断をする前に,原告らが本件各文書を入手できてしまうことになり,その結果,本件各非公開決定時の被告らの別件住民訴訟における訴訟活動の自由が妨害されると認められた。 (ウ) 原告の指摘に係る最高裁平成8年(行ツ)第236号同11年11月19日第二小法廷判決・民集53巻8号1862頁の事案は,不開示情報を「争訟の方針に関する情報」と定めた逗子市情報公開条例を対象とするものであって,本件と事案を異にするし,また,原告の主張する情報公開審査会の答申の事案は,本件条例6条6号イと同様の文言である行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)5条6号ロの「争訟に係る事務に関し」との規定を何らの根拠もなく「争訟の方針に関する情報」と限定解釈したものであり,本件の参考とはならない。 (エ) 原告は,本件各文書が本件条例6条6号イに該当するとの判断は,請求者が別件住民訴訟の当事者であるという請求者個人の事情に基づくものであり,請求者個人の事情に基づき情報公開の可否を決定することは情報公開制度の構造と矛盾する旨主張するが,処分行政庁は,本件各公開請求の請求者が,別件住民訴訟の当事者又は関係者であっても, づくものであり,請求者個人の事情に基づき情報公開の可否を決定することは情報公開制度の構造と矛盾する旨主張するが,処分行政庁は,本件各公開請求の請求者が,別件住民訴訟の当事者又は関係者であっても,これらの者以外の者であっても,当該文書が公開されれば,それが当該訴訟の相手方当事者に渡るおそれがあるという点では何ら変わりがないことから本件各非公開決定を行ったのであり,請求者が別件住民訴訟の当事者であることを理由に上記処分を行ったものではないから,原告の上記主張は前提を誤るものである。 また,原告は,民事訴訟における当事者性を強調することは,住民自治を全く無視したものであると主張するが,地方公共団体が訴訟の当事者となった以上,原告である住民との間では,民事訴訟における二当事者対立構造が成立するのであり,そのような対立構造の中で最大限の攻 - 11 -撃防御を尽くすことが法の予定するところであって,民事訴訟における当事者性・当事者としての権利は,被告である地方公共団体も当然有することになるのであるから,原告の上記主張は相当ではない。 さらに,原告は,住民訴訟に関する情報を本件条例6条6号イに該当するとして非公開にすることは,住民監査請求及び住民訴訟を遂行する上での証拠収集の途を閉ざすことになると主張するが,住民訴訟が係属した以上,訴訟手続において,必要な情報を取得する途が法定されていることからすれば,上記主張は失当である。 イ原告の主張の要旨(ア) 本件条例6条6号イと同様のいわゆる事務事業情報を非公開情報と定めた逗子市情報公開条例5条2号ウにつき,前掲最高裁平成11年11月19日第二小法廷判決は,同号ウの規定にいう「争訟の方針に関する情報」は,争訟の帰すうに影響を与える情報のすべてを指すものと解するのは相当ではない旨判示し 条2号ウにつき,前掲最高裁平成11年11月19日第二小法廷判決は,同号ウの規定にいう「争訟の方針に関する情報」は,争訟の帰すうに影響を与える情報のすべてを指すものと解するのは相当ではない旨判示し,また,本件条例6条6号イとほぼ同じ文言である情報公開法5条6号ロにつき,情報公開審査会は,「争訟に係る事務」とは,一般には現在提起され又は提起されることが想定されている争訟についての対処方針の策定やそのために必要な事実調査などその追行に関する事務を指すと答申している。 本件条例6条6号イは,実施機関の紛争の処理の仕方,手法,訴訟解決の手の内が知られることを防止するための規定であり,同号イにいう「争訟に係る事務」とは,一般には現在提起され又は提起されることが想定されている争訟についての対処方針の策定や,そのために必要な事実調査などその追行に関する事務を指すことは明らかであり,本件各文書は,いずれもそのような事務に関するものではないから,本件条例6条6号イに該当しない。 (イ) 被告は,証拠資料になり得る文書ならば同号イに該当する旨主張す - 12 -るが,本件条例6条6号イが「不当に害するおそれ」として強い制限を設けていること,情報公開審査会の上記答申は当該条文が濫用されることに強い懸念を示したこと,被告の解釈によれば訴訟で提出され得る文書はすべて同号イに該当することになるが,それは本件条例の目的に反することにかんがみれば,被告の上記解釈は情報公開制度の趣旨・目的に反する誤った解釈である。 また,被告は,本件各公開請求の請求者である原告が別件住民訴訟の原告であることから,本件条例6条6号イの事由があるとしているが,情報公開制度の構造に照らせば,公文書を非公開にするかどうかを決定するに当たっては,請求者に関する事情は全く考慮されず, 件住民訴訟の原告であることから,本件条例6条6号イの事由があるとしているが,情報公開制度の構造に照らせば,公文書を非公開にするかどうかを決定するに当たっては,請求者に関する事情は全く考慮されず,誰が公文書を請求しても同じ処分にならなければならないはずであり,被告の上記主張は,情報公開制度の構造と矛盾しており相当ではない。 さらに,被告は,訴訟における当事者としての地位を強調するが,住民自治の観点からすれば,地方公共団体の住民は,地方公共団体に対して参加をしていく権利を有するのであって,地方公共団体と住民は,本来,「当事者」という互いに対立する立場ではないはずであるから,当事者性を殊更に強調する被告の主張は,住民自治を無視したもので失当である。 加えて,被告は,住民訴訟の提起後に住民訴訟に関する文書の公開請求をすることは本件条例6条6号イに該当すると主張するが,地方公共団体の機関又は職員の違法な財務会計上の行為又は怠る事実の是正を求めて,その地方公共団体の住民が,住民監査請求を経て提起することができる住民訴訟の制度において,違法な財務会計上の行為又は怠る事実の証拠はほとんど行政側が保有しており,住民がそれを取得する唯一の方法が情報公開請求制度であるといった現状を基にすれば,上記主張は,地方自治の本旨に基づいて法律によって定められた住民監査請求制度や - 13 -住民訴訟制度を否定することにもなりかねないものであって,到底認められるものではない。 (2) 争点(2)(本件文書1の本件条例6条3号ア該当性)についてア被告の主張の要旨本件条例6条3号アのいわゆる法人等情報が非開示情報とされているのは,法人等に関する情報には,営業秘密等のように,それが公開されると当該法人等の権利利益を害するおそれがあるものがあり,原則とし 旨本件条例6条3号アのいわゆる法人等情報が非開示情報とされているのは,法人等に関する情報には,営業秘密等のように,それが公開されると当該法人等の権利利益を害するおそれがあるものがあり,原則として法人等が有する権利利益は,行政庁による情報開示によって害されるべきではないとの考え方に基づくものである。そして,同号アの「権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれ」の有無は,その情報の性質や法人等の性格,権利利益の内容等に応じて判断されるべきであると解される。 本件文書1は,別件住民訴訟において問題となっているB学園の運営するA学級に在籍する児童に係る奨学金に関する文書であることは明らかであるところ,そもそも奨学金は,児童等が学校教育を受けるに当たって受ける一定の援助であり,その支給の可否や支給額,支給率等は,当該家庭の収入その他の生活状況等を反映する点が大きいため,当該家庭にしてみれば,それが公開されることを望まないのが一般的であり,公開されることを全く予期していないものであって,これが公開されることとなると,保護者等の動揺が生じたり,B学園に対する不信感を生み出しかねないから,これを公開することがB学園の正当な利益を害する結果となることは明らかである。よって,本件文書1は,本件条例6条3号アに該当する。 イ原告の主張の要旨本件条例6条3号アの定めるようないわゆる法人等情報については,法人等の正当な利益が害されることが,客観的に明らかでなければならないところ,奨学金や寄附の募集は多くの学校法人で行われていることであり,また,その事実の多くは,ホームページ等で公表されているところであっ - 14 -て,B学園の奨学金や寄附の募集に関する情報が明らかになったとしても,B学園にとっての不利益は特段考えられず,B学園の正当な 事実の多くは,ホームページ等で公表されているところであっ - 14 -て,B学園の奨学金や寄附の募集に関する情報が明らかになったとしても,B学園にとっての不利益は特段考えられず,B学園の正当な利益が害されることが客観的に明らかであるとはいえない。したがって,本件文書1は,本件条例6条3号アに該当しない。 原告は,B学園の生徒の個々の家庭の奨学金の支給の可否や支給額に関する文書の公開を求めているのではなく,B学園の奨学金制度,支給率等を示す文書の公開を求めているにすぎず,このような文書が公開されたからといって,どの生徒が奨学金を受給しているのかについて具体的に分かるはずもないから,公開されても保護者等に動揺が広がるおそれはない。 B学園に対しては,A学級に関し渋谷区民の多額の税金が用いられており,区が区政に関し区民に説明する責務を全うするという本件条例の目的からは,B学園の奨学金に関する文書は公開されなければならない。 (3) 争点(3)(本件各非公開決定に係る理由付記の適法性)についてア被告の主張の要旨本件条例9条の3第1項は,公文書非公開決定の際の理由付記を義務付けるとともに,「当該理由の提示は,公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が,当該書面の記載自体から理解され得るものでなければならない」と定めているが,その趣旨は,実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保して,その恣意を抑制するとともに,非開示の理由を開示請求者に知らせることによって,その不服申立てに便宜を与えることであると解される。そして,公開しないとする根拠がどの程度具体的に記載されていれば,当該書面の記載自体から理解され得ることになるかについては,個別具体的な事情に基づき判断されることになるが,たとえ,非開示理由の記載が単に非開示の根拠規定や 根拠がどの程度具体的に記載されていれば,当該書面の記載自体から理解され得ることになるかについては,個別具体的な事情に基づき判断されることになるが,たとえ,非開示理由の記載が単に非開示の根拠規定や当該規定の内容を示すだけであっても,当該開示請求書の記載と相まって,非開示理由がどの事由に該当するのかをその根拠とともに了知し得る場合には,非開示の根拠規定や当該 - 15 -規定の内容を示すだけでも理由付記として十分であると解される(最高裁平成4年(行ツ)第48号同年12月10日第一小法廷判決・裁判集民事166号733頁参照)ところ,本件各非公開決定の理由欄には,根拠となる条文の記載に加え,本件条例6条6号イについては,当該条文のうち,「争訟に係る事務」に関し,「実施機関の当事者としての地位」を不当に害するおそれのあるものに該当する旨を示している上,本件各公開請求に係る請求書の「公文書を特定するために必要な事項」には,本件文書1が,B学園の運営するA学級に在籍する児童に係る奨学金に関する文書であり,かつ,別件住民訴訟における被告らの主張に関する証拠資料となるべき文書であることを了知し得る記載,本件文書2ないし本件文書6が,別件住民訴訟における被告らの主張に関する証拠資料となるべき文書であることを了知し得る記載がされているのであり,各非公開決定通知書の「公開することができない理由」と各公開請求書の「公文書を特定するために必要な事項」の記載を照らし合わせれば,本件各文書が非公開とされた理由については,自ずと了知し得るものとなる。よって,本件各非公開決定の理由付記は十分なものである。 イ原告の主張の要旨拒否処分の理由付記については,拒否処分を伝達する文書の記載のみによって,申請者に了知し得る程度の理由の記載が必要であると解されると 開決定の理由付記は十分なものである。 イ原告の主張の要旨拒否処分の理由付記については,拒否処分を伝達する文書の記載のみによって,申請者に了知し得る程度の理由の記載が必要であると解されるところ,本件各非公開決定においては,理由欄に,単に本件条例の条文が記載されているだけであり,当該文書を公開することが,どのようにして被告の当事者としての地位を不当に害するかについて,具体的な理由が何ら示されておらず,本件条例9条の3第1項が求める理由付記としては不十分である。 被告主張のような,非開示理由の記載が単に非開示の根拠規定や当該規定の内容を示すだけであっても,開示請求書の記載と相まって非開示理由 - 16 -がどの理由に該当するのかをその根拠とともに了知し得るような場合とは,極めて例外的にしか認められないところ,本件では,当該文書を公開することがなぜ被告の当事者としての地位を不当に害するのか等について具体的な理由が何ら示されておらず,被告がどのような具体的理由で非公開と判断したのか,明確に認識し得る程度に説明がされていないから,この極めて例外的な場合には当たらない。 (4) 争点(4)(本件各公開請求に係る公文書公開請求権の濫用の有無)についてア被告の主張の要旨本件条例4条は,公文書の公開を請求する権利を濫用することなく,本件条例の目的に即し,適正な請求に努めなければならない旨定めている。 本件条例に基づく情報公開請求は,公正で開かれた区政の進展を図るべく,区の区民に対する説明責任が果たされるように行使されるべきであって,区民の知る権利も,そのような観点から保障されるべきであるところ,本件各公開請求は,いずれも別件住民訴訟の被告である本件の被告及び渋谷区長の主張に係る文書の公開を請求しているものであって,別件住民訴訟 の知る権利も,そのような観点から保障されるべきであるところ,本件各公開請求は,いずれも別件住民訴訟の被告である本件の被告及び渋谷区長の主張に係る文書の公開を請求しているものであって,別件住民訴訟の原告でもある本件の原告が,別件住民訴訟の遂行のために行っていることは明らかである。そして,ある住民訴訟で争点となっている財務会計行為に係る行政庁の説明責任については,当該住民訴訟の手続の中で果たされるべきであり,そのような行政庁の説明に関し,司法の判断がされるべきものであるから,ある住民訴訟が現に裁判所に係属している以上,当該住民訴訟で争点となっている財務会計行為に係る情報や公文書の開示を求めることはもはや情報公開条例の目的のらち外にあるというべきである。 したがって,本件各公開請求は,本件条例の目的に即して公正に行われている情報公開請求とはいい難く,本件条例4条に反し,情報公開請求権を濫用して行われたものというべきである。 - 17 -イ原告の主張の要旨(ア) 本件条例4条は,努力規定であり,法的効力はないから,文書不開示決定という侵害的な行政作用の根拠とはなり得ない。 (イ) 本件条例に基づく情報公開請求においては,請求対象文書の利用目的は問われておらず,権利濫用は問題となり得ない。むしろ,住民訴訟の遂行目的のために情報公開請求を行うことは一般に行われていることである。原告の本件各公開請求は,区民の知る権利を保障するとともに,区が区政に関し区民に説明する責務を全うし,公正で開かれた区政の進展を図るという情報公開制度の目的にかなうものであり,権利濫用と非難されるいわれはない。 第3 争点に対する判断 1 前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 (1)ア原告外21名(原告ら)は であり,権利濫用と非難されるいわれはない。 第3 争点に対する判断 1 前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められる。 (1)ア原告外21名(原告ら)は,B学園の運営するA学級のためのD小学校の余裕教室(空き教室)の目的外使用に係る区教育委員会による別件各処分は,公立小学校の施設を私立インターナショナルスクールに無償で貸与するものであって違法であるなどとして,平成20年9月25日付けで,別件訴状(乙4の1)を東京地方裁判所に対し提出し,被告及び渋谷区長(被告ら)に対する住民訴訟を提起した。別件住民訴訟において,原告らは,被告に対し,主位的に区教育委員会による別件許可処分の取消しを,予備的に同委員会による別件免除処分の取消しを求め,渋谷区長に対し,E外5名に対する1億0618万8000円の損害賠償の請求をすることを求めた。 イ別件訴状には,次の各記載がある。 ① 施設の使用の目的につき,「教育委員会は,B学園に対するD小学校内施設の提供をもって,「渋谷区とトルコ共和国の子供達の国際交流を - 18 -目的とする」「C学級の設置」であるとしているが,以上の経緯から明らかなとおり,渋谷区長の意向によりD小学校内施設をB学園に無償提供するとの結論がまず先にあり,これを可能にする理屈として「C学級の設置」との名目が作られたにすぎないのである。」との記載(5頁)② B学園につき,「B学園は,(中略)Gとの名称でインターナショナルスクールを運営することを目的としており,(中略)平成15年4月1日に開校した横浜市鶴見区所在のGを「横浜校」と称し,D小学校内のGを「渋谷校」と称している。」,「B学園が運営するGは,裕福な家庭の子供達のみを対象とし,北米式カリキュラムによる英語教育を行うインター 校した横浜市鶴見区所在のGを「横浜校」と称し,D小学校内のGを「渋谷校」と称している。」,「B学園が運営するGは,裕福な家庭の子供達のみを対象とし,北米式カリキュラムによる英語教育を行うインターナショナルスクールである。トルコ共和国とのつながりは唯一,実質的経営者がトルコ人であるというだけである。」との記載(5ないし7頁)③ 別件各処分につき,「入学の初年度には約220万円,その後も毎年約160万円もの高額の学費を徴収する事業者に運営を任せ,極めて裕福な家庭の児童にしか門戸を開かず,裕福でない家庭の児童は閉め出して教育も国際交流の機会も与えないのであるから,公立小学校の用途又は目的に著しく違反することは明らかである。」との記載(9頁)(以上につき,乙4の1・2)(2) 別件住民訴訟においては,平成20年10月28日,別件訴状及び別件訴状訂正申立書の被告らに対する送達がされ,併せて,同年12月5日に第1回口頭弁論期日が指定されたことの通知とともに,同年11月28日までに答弁書を提出することの催告がされた。(乙4の3)(3)ア被告及び渋谷区長は,平成20年11月28日,別件住民訴訟の答弁書(乙5。以下「別件答弁書」という。)を提出した。別件答弁書には,本案前の答弁及び主張並びに別件訴状記載の請求原因に対する認否が記載されている。 - 19 -イ別件答弁書には,次の各記載がある。 ① 「渋谷区長の意向によりD小学校内施設をB学園に無償提供するとの結論がまず先にあり,これを可能にする理屈として「C学級の設置」との名目が作られたとの点は,否認する」との記載(8頁)② 「B学園とトルコ共和国とのつながりは唯一,実質的経営者がトルコ人であるだけであるとの点は否認する」,「B学園からは,平成20年3月28日付で,同日現 れたとの点は,否認する」との記載(8頁)② 「B学園とトルコ共和国とのつながりは唯一,実質的経営者がトルコ人であるだけであるとの点は否認する」,「B学園からは,平成20年3月28日付で,同日現在,A学級には26人のトルコ人の児童が在籍している旨の報告を受けている」との記載(10頁)(4) 別件住民訴訟の第1回口頭弁論期日は,平成20年12月5日に開かれ,原告らが別件訴状及び別件訴状訂正申立書を,被告らが別件答弁書をそれぞれ陳述し,次回期日までに,原告らは別件答弁書に対する反論を記載した準備書面を提出し,被告らは本案の主張を記載した準備書面を提出することとされた。(弁論の全趣旨)(5)ア被告らは,平成21年2月16日,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の準備書面(1)(乙6の1。以下「別件被告ら準備書面(1)」という。)を提出した。別件被告ら準備書面(1)には,事実の経緯に関する主張及び別件各処分の適法性に関する主張等が記載されている。 イ別件被告ら準備書面(1)には,次の各記載がある。 ① 「平成17年9月,渋谷区長は,在日トルコ共和国大使館から,トルコ人の子弟を中心とした子供たちのための教育施設の提供についての協力要請を受けた」との記載(3頁)② 「同年11月,渋谷区長は,上記協力要請に対し前向きに検討したい旨,及び当該提供施設については,在日トルコ共和国大使館からの距離が近く,児童数減少により余裕教室の発生している区立D小学校を検討対象として考えている旨を,同大使館に対し伝えるとともに,そのように同小学校の施設を提供することが現実に可能かどうかを,教育委員会 - 20 -で検討するようF教育委員会教育長(以下「教育長」という。)に対し依頼した」との記載(3頁)③ 「渋谷区長は,上記教育委員会からの報告を受け とが現実に可能かどうかを,教育委員会 - 20 -で検討するようF教育委員会教育長(以下「教育長」という。)に対し依頼した」との記載(3頁)③ 「渋谷区長は,上記教育委員会からの報告を受け,平成18年6月,在日トルコ共和国大使館に対し,上記(3)アないしクの条件を付した上で,D小学校の施設の一部を,トルコ人の子弟を中心とした子供たちのための教育施設として提供可能である旨を伝えた」との記載(4頁)④ 「原告らは,B学園が高額な入学金及び授業料を徴し,裕福な家庭の児童のみを受け容れ,そうでない児童を締め出していることから,公益性がない旨主張するようであるが,同学園のすべての児童が裕福な家庭の児童ではないし,それら児童については,奨学金や寄付の募集等で対処しているところであって」との記載(15,16頁)(以上につき,乙6の1)(6) 平成21年2月18日ころ,原告らは,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の第1準備書面(乙7の1。以下「別件原告ら第1準備書面」という。)を提出した。別件原告ら第1準備書面には,被告らの答弁書における本案前の主張に対する反論が記載されている。(乙7の1)(7) 別件住民訴訟の第2回口頭弁論期日は,平成21年2月20日に開かれ,原告らが別件原告ら第1準備書面を,被告らが別件被告ら準備書面(1)をそれぞれ陳述し,次回期日までに,被告らは,①A学級の学校教育法上の位置付け及び同法による各種学校設置認可との関係等についての主張及び②別件原告ら第1準備書面に対する再反論を記載した準備書面を提出することとされた。(弁論の全趣旨)(8) 原告は,平成21年2月25日,処分行政庁に対し,「D小学校C学級に関する住民訴訟の被告側準備書面(1)のp15~p16の以下の部「同学園のすべての児童が裕福な家庭の児童で 弁論の全趣旨)(8) 原告は,平成21年2月25日,処分行政庁に対し,「D小学校C学級に関する住民訴訟の被告側準備書面(1)のp15~p16の以下の部「同学園のすべての児童が裕福な家庭の児童ではないし,それらの児童については奨学金や寄付の募集等で対処しているところであって」とあるが,このことを - 21 -裏付又は証明する文書」(本件文書1)を対象として,本件公開請求1をした。(乙1の1)(9) 処分行政庁は,本件公開請求1(上記(8))に対し,公開請求対象文書は「A学級奨学金給与状況 2009年3月6日」であるとした上で(本件第1事件被告準備書面(1)別紙の1),平成21年3月11日,原告に対し,本件文書1は,その内容が本件条例6条3号ア(公にすることにより当該法人の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの)及び同条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書1を非公開とする旨の本件非公開決定1をした。(甲1の1)(10) 被告らは,平成21年3月16日,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の準備書面(2)(乙6の2。以下「別件被告ら準備書面(2)」という。)を提出した。 別件被告ら準備書面(2)には,上記(7)①の事項に関する主張が記載されている。 (以上につき,乙6の2)(11) 原告は,平成21年3月30日,処分行政庁に対し,「①東京地方裁判所平成○年(行ウ)第○号行政財産使用許可取消等(住民訴訟)請求事件の被告側準備書面(1)の3頁の3(1)に,「平成17年9月,渋谷区長は,在日トルコ共和国大使館から,トルコ人の子弟を中心とした子供達のための教育施設の提供についての協力要請を受 住民訴訟)請求事件の被告側準備書面(1)の3頁の3(1)に,「平成17年9月,渋谷区長は,在日トルコ共和国大使館から,トルコ人の子弟を中心とした子供達のための教育施設の提供についての協力要請を受けた」とあるが,本件協力要請を裏付けする文書全て。②同じく3頁の3(2)に,「同年11月,渋谷区長は上記協力要請に対し前向きに検討したい旨,及び当該提供施設については,在日トルコ共和国大使館から距離が近く,児童数減少により余裕教室の発生している区立D小学校を検討対象としている旨を,同大使館に対し伝える」とあるが,本件を同大使館に伝えたことを裏付けする文書の全て。③同じく3頁の3(2)に,「そのように同小学校の施設を提供することが現実に可能かど - 22 -うかを,教育委員会で検討するようにF教育長(以下「教育長」という。)に依頼した。」とあるが,本件依頼を裏付ける文書の全て。④同じく4頁の3(4)に,「渋谷区長は,上記教育委員会からの報告を受け,平成18年6月,在日トルコ共和国大使館に対し,上記(3)アないしクの条件を付した上で,D小学校の施設の一部を,トルコ人の子弟を中心とした子供たちのための教育施設として提供可能である旨を伝えた。」とあるが,本件を伝えたことを裏付ける文書の全て」(本件文書2)を対象として,本件公開請求2をした。(乙1の2)(12) 処分行政庁は,本件公開請求2(上記(11))に対し,公開請求対象文書は,本件文書2①ないし④につき「D小学校におけるトルコ共和国との国際交流のための施設提供についてのこれまでの経緯について」,本件文書2④につき「トルコ共和国・フィンランド共和国との海外都市,文化交流訪問団の記録」であるとした上で(本件第1事件被告準備書面(1)別紙の2),平成21年4月13日,原告に対し,本件文書2は 本件文書2④につき「トルコ共和国・フィンランド共和国との海外都市,文化交流訪問団の記録」であるとした上で(本件第1事件被告準備書面(1)別紙の2),平成21年4月13日,原告に対し,本件文書2は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書2を非公開とする旨の本件非公開決定2をした。(甲1の2)(13) 原告は,平成21年4月13日,処分行政庁に対し,①「平成21年3月31日の時点で,A学級に就学する児童の人数と国籍がわかる書類」,②「A学級の平成19年度,平成20年度の予決算書及び会計書類の全て」(本件文書3)を対象として,本件公開請求3をした。(乙1の3)(14)ア原告らは,平成21年4月17日ころ,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の準備書面(2)(乙7の2。以下「別件原告ら準備書面(2)」という。)を提出した。別件原告ら準備書面(2)には,(ア)別件被告ら準備書面(1)及び別件被告ら準備書面(2)に対する反論のほか,(イ)被告らに対する求釈明事項が記載されている。(乙7の2) - 23 -イ別件原告ら準備書面(2)には,上記(5)イ①及び②の主張に対する反論として,次の記載がある。 「この主張では,前向きに検討するというもので決定的なものではなかったとの印象を与える(中略)。しかし,監査結果(甲22)では「渋谷区長はトルコ大使館に対し,余裕教室のあるD小学校において,施設の提供に協力していきたい旨伝える。」と認定しており(19頁),前向きに検討するという段階を踏み越えて,ほぼ確定的な回答をしている。被告の主張によれば,トルコ大使館への上記回答とほぼ同時期に(前後関係は不明),D小学校の施設を提供が現実に可能 おり(19頁),前向きに検討するという段階を踏み越えて,ほぼ確定的な回答をしている。被告の主張によれば,トルコ大使館への上記回答とほぼ同時期に(前後関係は不明),D小学校の施設を提供が現実に可能かどうか,教育委員会で検討するようF教育長に依頼したとのことである。要するに,渋谷区長は,D小学校の施設を提供が現実に可能かどうか教育委員会での検討が始まる前に,トルコ大使館に対して,ほぼ確定的な回答をしているのである。」との記載(5,6頁)ウまた,別件原告ら準備書面(2)には,被告らに対する求釈明事項として,次の各記載がある。 ① 「被告は,施設提供がトルコ大使からの正式な要請によるものである旨主張するが,文書によるものかどうか不明である。被告は,平成17年11月に,渋谷区長が,トルコ共和国大使館に対し,協力要請に前向きに検討すること,D小学校を検討対象としていることなどを伝えた旨主張するが,文書による回答か,口頭による回答か不明である。また,被告は,渋谷区長は,D小学校の施設を提供することが現実に可能かどうか,教育委員会で検討するよう教育長に依頼した旨主張するが,これも文書か,口頭か不明である。さらに,被告は,平成18年6月に,トルコ共和国大使館に対し,D小学校の施設の一部を提供することが可能であると伝えた旨主張するが,やはり文書か口頭か不明である」とした上で,(a)「上記4点について,文書か口頭かを明らかにされたい」,(b) - 24 -「文書であれば,当該文書を提出されたい」,(c)「口頭であったのであれば,どのような場で,誰と誰との間で,どのような会話がなされたのか明らかにされたい」,(d)「口頭であった場合,要請や指示,回答などが正式のものかどうかは,何をもって判断しているのかを明らかにされたい」との釈明を求める旨 誰との間で,どのような会話がなされたのか明らかにされたい」,(d)「口頭であった場合,要請や指示,回答などが正式のものかどうかは,何をもって判断しているのかを明らかにされたい」との釈明を求める旨の記載(13,14頁)② 「被告は,平成18年6月15日,教育長は,渋谷区長に対し,一定の条件の下であれば提供可能である旨報告した旨主張する」とした上で,(a)「この報告は,文書か口頭かを明らかにされたい」,(b)「文書であれば,当該文書を提出されたい」,(c)「口頭であれば,どのような場で,どのような報告がなされたのか明らかにされたい」との釈明を求める旨の記載(14頁)③ 「被告は,B学園のすべての児童が裕福な家庭の児童ではないし,それら児童については,奨学金や寄附の募集等で対処している旨主張する。 この主張を見る限り,被告は奨学金や寄附の募集について把握しているものと思われる」とした上で,(a)「奨学金を受けている者は何名いるのか」,「どのような団体から,月額ないし年額いくらの奨学金を受けているのか」,(b)「授業料の免除を受けている者はいるのか」,「いるとすると,何名いるのか」,(c)「寄附の場合には,全体の収入になるのであり,個々の児童の授業料の免除などとは直接結びつかないと思われるが,高額の授業料と寄附の募集とは,どのような関係になるのか」との釈明を求める旨の記載(14,15頁)④ 「被告は,B学園はトルコ共和国から補助金の交付を受けていない旨主張する」とした上で,(a)「トルコ共和国から補助金の交付を受けていないことは,いつ,どのようにして確認したのか」,(b)「B学園は,平成19年に,神奈川県から5,007,000円の,横浜市から985,000円の補助金を受けているが,被告はこのことを知っているか」 - 25 - のようにして確認したのか」,(b)「B学園は,平成19年に,神奈川県から5,007,000円の,横浜市から985,000円の補助金を受けているが,被告はこのことを知っているか」 - 25 -との釈明を求める旨の記載(15頁)⑤ 「渋谷区行政財産使用許可書(甲1)によれば,使用期間は平成20年4月1日~平成21年3月31日となっている」とした上で,(a)「平成21年4月1日以降についての使用については許可したのか」,(b)「許可したとすれば,いつか」,「その場合,従前の許可と内容が異なるところがあるか」,「異なるところがあるとすると,どこが,どのように変わったのか」との釈明を求める旨の記載(15頁)。 (以上につき,乙7の2)(15) 被告らは,平成21年4月20日,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の準備書面(3)(乙6の3。以下「別件被告ら準備書面(3)」という。)を提出した。 別件被告ら準備書面(3)には,別件答弁書で被告らがした本案前の答弁に関する補充の主張が記載されている。 (以上につき,乙6の3)(16)ア原告らは,平成21年4月20日ころ,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の準備書面(3)(乙7の3。以下「別件原告ら準備書面(3)」という。)を提出した。 イ別件原告ら準備書面(3)には,A学級に関する平成21年4月1日以降の当該施設の使用の許否について,上記(14)イ⑤のとおり釈明を求めていたところ,渋谷区教育委員会が,C学級設立準備会に対し,平成21年3月16日付けで申請のあった渋谷区行政財産の使用について許可する方針であることが判明した旨記載され(1頁),「渋谷区行政財産使用許可書案」と題する書面が別紙として添付されている。 ウまた,別件原告ら準備書面(3)には,被告らに対する求釈明事項として 許可する方針であることが判明した旨記載され(1頁),「渋谷区行政財産使用許可書案」と題する書面が別紙として添付されている。 ウまた,別件原告ら準備書面(3)には,被告らに対する求釈明事項として,①C学級設立準備会への使用許可について,(a)使用許可をしたのか,(b)使用許可をしたとすれば,その時期,条件などは別紙と同一か,②C学級設立準備会について,(a)いかなる団体か,(b)法人格の有無,(c)法人 - 26 -格がある場合,設立の根拠となる法律と設立の時期,(d)法人格がない場合,代表者以外の構成員,(e)規約等の有無,(f)今後法人格を取得する予定の有無,(g)C学級設立準備会とB学園との関係,③C学級設立準備会の代表者Hについて,(a)経歴,(b)B学園の理事であったHと同一人物かどうか,④A学級について,(a)C学級設立準備会との関係,(b)B学園との現在又は過去の関係,⑤平成21年4月1日以降の授業などについて,(a)平成21年4月1日以降,C学級での授業は行われているのか,(b)行われている場合,その対象,教育内容,教職員,授業料などは,基本的にはA学級と同一と考えてよいのか,(c)異なるところがあるとすると,どのような点か,⑥使用許可の相手方について,B学園からC学級設立準備会に変更した理由及び経過,⑦使用料について,(a)その年額1276万4244円の算定方法,(b)従前無償であったものを有償にした理由,⑧使用面積について,(a)従前は454.25㎡であったものが,今回は490.40㎡となっているが,どの部分が増えたのか,(b)面積が増えた理由,⑨使用期間について,平成21年4月1日から平成22年3月31日までの1年間にした理由,⑩特記事項を追加した理由につき,釈明を求める旨が記載されている(1ないし3頁 たのか,(b)面積が増えた理由,⑨使用期間について,平成21年4月1日から平成22年3月31日までの1年間にした理由,⑩特記事項を追加した理由につき,釈明を求める旨が記載されている(1ないし3頁)。 (以上につき,乙7の3)(17) 原告は,平成21年4月20日,処分行政庁に対し,①「平成21年4月1日より,D小学校における行政財産使用許可の相手方が,学校法人B学園からC学級設立準備会に変更された。本件変更の経緯を記録してある教育委員会内の文書全て」,②「本件変更の決定(決議)を記録してある教育委員会内の文書全て」,③「本行政財産使用許可の相手方であるC学級設立準備会の内容が判る文書。(設立年月日,役員の氏名・国籍,事務所の所在地,連絡先,会則等)」,④「使用料の算定根拠がわかる文書全て。⑤使用料の納入方法がわかる文書。(例えば,翌月分を毎月末日限り払うのか,年4回 - 27 -払いなのか,全額一括前納なのか等)」(本件文書4)を対象として,本件公開請求4をした。(乙1の4)(18) 別件住民訴訟の第3回口頭弁論期日は,平成21年4月23日に開かれ,原告らが別件原告ら準備書面(2)及び別件原告ら準備書面(3)を,被告らが,別件被告ら準備書面(2)及び別件被告ら準備書面(3)をそれぞれ陳述し,次回期日までに,被告らは原告らからの求釈明に対する回答の書面を提出し,原告らはその回答を踏まえて準備書面を提出することとされた。(弁論の全趣旨)(19) 処分行政庁は,本件公開請求3(上記(13))に対し,本件文書3①につき,公開請求対象文書は「A学級奨学金給与状況 2009年3月31日」であるとした上で(本件第1事件被告準備書面(1)別紙の3),平成21年4月27日,原告に対し,本件文書3は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟 文書は「A学級奨学金給与状況 2009年3月31日」であるとした上で(本件第1事件被告準備書面(1)別紙の3),平成21年4月27日,原告に対し,本件文書3は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書3を非公開とする旨の本件非公開決定3をした。(甲1の3)(20) 処分行政庁は,本件公開請求4(上記(17))に対し,公開請求対象文書は,(a)本件文書4①及び②につき起案文書「D小学校へのC学級の設置に係る,行政財産使用許可の協議について」(平成21年3月16日作成)及び起案文書「D小学校へのC学級の設置に係る,行政財産使用許可について」(同日作成),(b)本件文書4③につき「特定非営利活動法人I 設立趣意書」及び「特定非営利活動法人 C学級設立総会議事録」,(c)本件文書4④につき起案文書「D小学校へのC学級の設置に係る,行政財産使用許可の協議について」(同日作成)及び起案文書「D小学校へのC学級の設置に係る,行政財産使用料について」(同月19日作成),(d)本件文書4⑤につき起案文書「D小学校へのC学級の設置に係る,行政財産使用料について」(同月23日作成)であるとした上で(本件第1事件被告準備書面(1)別紙の4), - 28 -平成21年5月7日,原告に対し,本件文書4は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書4を非公開とする旨の本件非公開決定4をした。(甲1の4)(21)ア原告らは,平成21年5月7日ころ,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の準備書面(4)(乙7の4。以下「別件原告ら準備書面(4)」とい 非公開とする旨の本件非公開決定4をした。(甲1の4)(21)ア原告らは,平成21年5月7日ころ,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の準備書面(4)(乙7の4。以下「別件原告ら準備書面(4)」という。)を提出した。 イ別件原告ら準備書面(4)の第1には,(ア)「C学級設立準備会は,渋谷区教育委員会に対し,平成21年3月16日付けにて渋谷区行政財産使用許可申請書を提出し,さらに,「NPO法人の設立を準備しておりますが,財政的な余裕が十分でないこと」を理由として同年3月19日付けにて行政財産使用料減免申請書を提出している」とした上,(イ)求釈明事項として,①C学級設立準備会による上記の行政財産使用料減免申請は認められたかどうか,②使用料減免が認められた場合,使用料の算定方法,③年額1276万4244円(月額106万3687円)という使用料は,C学級設立準備会による上記の行政財産使用料減免申請が認められたことにより減額された使用料か,あるいは,これが認められず減額されないままの使用料か,④使用料減免が認められた場合の理由について釈明を求める旨が記載されている(1,2頁)。 ウ別件原告ら準備書面(4)の第2には,(ア)「C学級準備会は,NPO法人の設立を準備しているとして,渋谷区教育委員会に対し,特定非営利活動法人Iの設立趣意書を提出している」とした上で,(イ)求釈明事項として,①設立趣意書には,学校法人B学園の運営を「今まで裏から支えてきた」保護者と教職員らが「A学級の運営を自ら主体的に行う」とあるが,(a)運営を裏から支えてきたという保護者及び教職員の具体的な活動内容,(b)運営を自ら主体的に行うという保護者及び教職員の具体的な活動内容, - 29 -(c)上記(a)の活動内容と(b)の活動内容の違いは何か,②設立趣意書に 護者及び教職員の具体的な活動内容,(b)運営を自ら主体的に行うという保護者及び教職員の具体的な活動内容, - 29 -(c)上記(a)の活動内容と(b)の活動内容の違いは何か,②設立趣意書によれば,「平成21年3月31日をもって学校法人B学園がA学級の運営から離れることになりました」とされているが,(a)B学園が運営から離れることになった理由,(b)B学園から,A学級の運営から離れることになった旨の連絡を受けたか,(c)連絡を受けたとすれば,いつ,誰が,誰から連絡を受けたのか,(d)B学園がA学級の運営から離れることになった旨をD小学校及び在籍児童の保護者等に連絡したか,(e)連絡したとすれば,いつ,誰が,誰に連絡したのか,③設立趣意書によれば,「外国人子弟と日本人子弟に対して教育及び国際交流に関する事業を行」うとされているが,そうだとすると,A学級には日本人の子供たちの入学も認められるのか,④A学級に日本人の子供たちの入学が認められないとすれば,設立趣意書の事業目的は誤りか,⑤設立趣意書によれば,A学級の意義は,外国人の子供たちと日本人の子供たちが「日常的に交流できる」こととされているが,具体的にはどのようなカリキュラムによって日常的交流がなされているのか,⑥設立趣意書によれば,この約2年間のA学級における「交流と教育の成果は評価され」ているとされているが,(a)具体的な成果の内容,(b)誰(あるいは機関)がどのような評価をしたのか,⑦設立趣意書によれば,A学級の運営主体は,平成21年3月31日までがB学園であり,同年4月1日からC学級準備会となっているようであるが,(a)平成21年3月31日の時点でA学級に在籍した児童数及びその国籍を明らかにし,これを裏付ける資料を提出すること,(b)平成21年4月1日以降,A学級に在籍 学級準備会となっているようであるが,(a)平成21年3月31日の時点でA学級に在籍した児童数及びその国籍を明らかにし,これを裏付ける資料を提出すること,(b)平成21年4月1日以降,A学級に在籍する児童数及びその国籍に変動があったか,あったとすれば児童数及びその国籍を明らかにし,これを裏付ける資料を提出すること,(c)平成21年3月31日の時点でA学級に在籍した児童のうち奨学金や寄附などによって入学金,授業料等の諸費用を減免されていた児童数及びその国籍を明らかにし,奨学金や寄附などによって入学金,授業料 - 30 -等の諸費用を減免する対応がされていたことを裏付ける資料を提出すること,(d)平成21年4月1日以降,A学級に在籍する児童のうち奨学金や寄附などによって入学金,授業料等の諸費用を減免されている児童数及びその国籍に変動があったかどうか及びあったとすれば,児童数及びその国籍を明らかにし,同日以降も奨学金や寄附などによって入学金,授業料等の諸費用を減免する対応がなされていることを裏付ける資料を提出することを求める旨が記載されている(2ないし4頁)。 エ別件原告ら準備書面(4)の第3には,「被告は,A学級では「入学金や授業料の収入は,寄付金とともに殆ど全て教員の人件費,教材費等必要経費に充てられている」ことを理由として「本件使用料免除の持つ公益上の必要性は極めて高い」と主張する」とした上で,求釈明事項として,A学級の平成19年度及び平成20年度の収支を裏付ける決算書を含む会計書類の提出を求める旨が記載されている(4頁)。 (以上につき,乙7の4)(22) 原告は,平成21年5月18日,本件非公開決定1ないし本件非公開決定4の取消しを求める訴え(本件第1事件)を提起した。 (23)ア被告らは,平成21年5月25日,別 につき,乙7の4)(22) 原告は,平成21年5月18日,本件非公開決定1ないし本件非公開決定4の取消しを求める訴え(本件第1事件)を提起した。 (23)ア被告らは,平成21年5月25日,別件住民訴訟の準備書面(4)(乙6の4。以下「別件被告ら準備書面(4)」という。)を提出した。別件被告ら準備書面(4)には,別件原告ら準備書面(2),別件原告ら準備書面(3)及び別件原告ら準備書面(4)に記載された原告の求釈明事項についての回答が記載されている。 イ別件被告ら準備書面(4)には,C学級設立準備会に対する使用許可をした旨,その日付及び条件等,C学級設立準備会に対する使用料の算定方法,上記使用料を免除したこと,使用許可の相手方をB学園からC学級設立準備会に変更した理由は,使用許可申請がC学級設立準備会からされたためであること,B学園がA学級の経営を離れた理由につき,B学園から法人 - 31 -運営上の理由である旨聞いていること等が記載されている(5ないし8頁)。 ウまた,別件被告ら準備書面(4)には,B学園からの聴取結果として,平成21年3月31日現在の在籍児童数とその国籍が記載されている(10頁)。 エさらに,別件被告ら準備書面(4)には,B学園の児童に対する奨学金及び授業料免除の状況について,B学園からの聴取結果として,奨学金を受けている児童の人数と額,授業料免除を受けている児童の人数と授業料の一部又は全部のいずれの免除を受けているかの別が記載されている(11頁)。 (以上につき,乙6の4)(24) 原告は,平成21年6月3日,処分行政庁に対し,「平成21年4月1日からのA学級の使用許可の相手方が,学校法人B学園からC学級設立準備会に変更されたが,本件の検討,決裁に関する文書の全て」(本件文書 原告は,平成21年6月3日,処分行政庁に対し,「平成21年4月1日からのA学級の使用許可の相手方が,学校法人B学園からC学級設立準備会に変更されたが,本件の検討,決裁に関する文書の全て」(本件文書5)を対象として,本件公開請求5をした。(乙2の1)(25) 原告は,平成21年6月4日,処分行政庁に対し,「平成21年3月19日付,A学級に関する行政財産使用料減免申請書の結果が判る書類一式(渋谷区教育委員会が減免したのかどうかが判る書類)」(本件文書6)を対象として,本件公開請求6をした。(乙2の2)(26) 処分行政庁は,本件公開請求5(上記(24))に対し,公開請求対象文書は「D小学校へのC学級の設置に係る,行政財産使用許可の協議について」(平成21年3月16日作成)及び「D小学校へのC学級の設置に係る,行政財産使用許可について」(同日作成)であるとした上で(本件第2事件答弁書別紙の1),平成21年6月17日,原告に対し,本件文書5は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書5を非公開とする旨の本件非公開決定5をした。(甲7の1)(27) 処分行政庁は,本件公開請求6(上記(25))に対し,公開請求対象文書 - 32 -は「D小学校へのC学級の設置に係る,行政財産使用料について」(平成21年3月19日作成)及び「D小学校へのC学級の設置に係る,行政財産使用料について」(同月23日作成)であるとした上で(本件第2事件答弁書別紙の2),平成21年6月18日,原告に対し,本件文書6は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して 紙の2),平成21年6月18日,原告に対し,本件文書6は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由を付して,本件文書6を非公開とする旨の本件非公開決定6をした。(甲7の2)(28)ア原告らは,平成21年6月19日ころ,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の準備書面(5)(乙7の5。以下「別件原告ら準備書面(5)」という。)を提出した。 別件原告ら準備書面(5)には,別件被告ら準備書面(4)による被告らの回答を前提とした主張,被告らに対する更なる求釈明事項,別件被告ら準備書面(3)に対する反論等が記載されている。 イ別件原告ら準備書面(5)には,別件被告ら準備書面(4)による被告らの回答を前提とした主張として,区教育委員会とB学園は,B学園がA学級の運営をしていることの違法性を自認していたがゆえに,使用許可の名あて人をB学園からC学級設立準備会に変更したのであり,名あて人の変更こそが別件許可処分が違法であることの自白にほかならない旨(2,3頁)及び「仮に被告の釈明が真実だとすれば,そのB学園は,「法人運営上の理由」から,わずか2年でC学級の運営を放り出したことになる。被告は,「B学園によるA学級の運営」が「トルコ共和国大使館から正式に要請を受けて行われるもの」であることをもって,その公共性・公益性を強調し,本件許可処分が適法であると主張する。とすれば,そのB学園がC学級の運営を放り出した以上は,その正当性も失われるのであり,翻ってみれば,わずか2年で運営を放り出すような一民間事業者を名宛人とした本件許可処分は,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があり,かつ,事実に - 33 -対する評価が明らかに合理性を欠くものといわざるをえない」旨 運営を放り出すような一民間事業者を名宛人とした本件許可処分は,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があり,かつ,事実に - 33 -対する評価が明らかに合理性を欠くものといわざるをえない」旨(6,7頁)記載されている。 (以上につき,乙7の5)(29) 別件住民訴訟の第4回口頭弁論期日は,平成21年6月25日に開かれ,原告らが別件原告ら準備書面(4)及び別件原告ら準備書面(5)を,被告らが,別件被告ら準備書面(4)をそれぞれ陳述し,次回期日までに,原告らから別件原告ら準備書面(5)の求釈明事項を補充する書面を提出し,被告らから補充された求釈明事項に対する回答の書面を提出することとされた。(弁論の全趣旨)(30)ア原告らは,平成21年7月8日ころ,別件住民訴訟の準備書面(6)(乙7の6。以下「別件原告ら準備書面(6)」という。)を提出した。 別件原告ら準備書面(6)には,別件原告ら準備書面(5)の求釈明事項に新たな求釈明事項を加えたものをまとめたとして,12項目,41問にわたる求釈明事項が記載されていた。 イ別件原告ら準備書面(6)には,求釈明の必要性として,被告らは,別件許可処分の名あて人がB学園であることこそを適法性のよりどころとしていたが,平成21年度の使用許可処分の名あて人がB学園ではなくなったことは,B学園を名あて人とした別件許可処分が違法であることを被告自身が認識したことをうかがわせるものである等とした上,「平成21年度の使用許可の名宛人がB学園ではなくなった理由,平成21年度の使用許可の名宛人たるC学級設立準備会とB学園との関係,神奈川県から行政指導を受けたB学園が,その対応を被告と協議していた内容等についての上記求釈明事項は,B学園に対する本件許可処分が違法であるか否か,本件許可処分の違法性 設立準備会とB学園との関係,神奈川県から行政指導を受けたB学園が,その対応を被告と協議していた内容等についての上記求釈明事項は,B学園に対する本件許可処分が違法であるか否か,本件許可処分の違法性を被告が認識していたか否かに関わる重要な事項である。 よって,上記求釈明事項はまさに本件の争点に関するものであり,その必要性が認められることは明らかである」旨が記載されている(6頁)。 - 34 -ウ別件原告ら準備書面(6)には,求釈明事項の補充として,被告は,別件被告ら準備書面(4)において,C学級設立準備会に対しても使用料免除をした理由として,「従前のB学園に対して行った本件使用料免除と同じ理由である」と釈明し,「C学級設立準備会とB学園との関係は,別の団体である」と釈明しているが,それにもかかわらず,C学級設立準備会に対する使用料免除の理由が,B学園に対する使用料免除の理由と同じである理由は何かについて釈明を求める旨が記載されている(4,5頁)。 (以上につき,乙7の6)(31) 被告らは,平成21年8月10日,東京地方裁判所に,別件住民訴訟の準備書面(5)(乙6の5。以下「別件被告ら準備書面(5)」という。)を提出した。 別件被告ら準備書面(5)には,別件原告ら準備書面(6)に記載された求釈明事項に対する回答が記載されていた。 (以上につき,乙6の5)(32) 原告は,平成21年10月28日,本件非公開決定5及び本件非公開決定6の各取消しを求める訴え(本件第2事件)を提起した。 本件第2事件については,同月30日,本件第1事件に併合する旨の決定がされている。 (33) 本件口頭弁論終結時において,別件住民訴訟は,東京地方裁判所に係属中である。なお,別件住民訴訟において,原告らは,平成21年12月22日付けの 第1事件に併合する旨の決定がされている。 (33) 本件口頭弁論終結時において,別件住民訴訟は,東京地方裁判所に係属中である。なお,別件住民訴訟において,原告らは,平成21年12月22日付けの請求の減縮申立書をもって,渋谷区長に対する請求について,同区長がEほか5名に請求すべき金額を,9711万1000円に減縮し,同区長はこれに同意した。(乙4の5,弁論の全趣旨) 2 争点(1)(本件各文書の本件条例6条6号イ該当性)について(1) 本件条例6条6号イが「争訟に係る事務に関し,実施機関…の…当事者としての地位を不当に害するおそれ」を当該事務に関する情報が記録されている公文書の非開示事由として定めている趣旨は,実施機関側が一方当事者と - 35 -して争訟に対処するための内部的な方針に関する情報が公開されると,それが正規の交渉等の場を経ないで相手方当事者に伝わるなどして,紛争の公正,円滑な解決を妨げるおそれがあるからであると解され(最高裁平成8年(行ツ)第236号同11年11月19日第二小法廷判決・民集53巻8号1862頁参照),また,同号の規定内容(実施機関以外に国又は他の地方公共団体等の事務又は事業に関する情報を対象としていること)及び同号イの上記趣旨にかんがみると,同号イにいう「実施機関…の…当事者としての地位」とは,当該文書に係る実施機関の所属する地方公共団体である渋谷区(被告)又はその執行機関(及び同条例上の実施機関)である渋谷区長が住民訴訟の当事者となっている場合の同区(被告)又は同区長の当事者としての地位を含むものと解される。そして,同号イの上記趣旨に照らすと,同号イにいう「争訟に係る事務」とは,現在提起され又は提起されることが想定されている争訟についての対処方針の策定や,そのために必要な事実調査などの争訟の される。そして,同号イの上記趣旨に照らすと,同号イにいう「争訟に係る事務」とは,現在提起され又は提起されることが想定されている争訟についての対処方針の策定や,そのために必要な事実調査などの争訟の追行に関する事務をいうものと解するのが相当である(なお,前掲最高裁判決の事案における市情報公開条例の当該不開示事由の文言は,「争訟…の方針…その他市等の機関が行う事務…に関する情報であって,公開することにより当該事務…又は将来の同種の事務…の目的を失わせるもの又は公正かつ円滑な執行を著しく妨げるもの」であって,本件条例の上記不開示事由の文言とは異なる。)。 他方,取消訴訟等の行政事件訴訟(以下,単に「訴訟」というときは,行政事件訴訟を指すものとする。)において,行政事件訴訟法に定めがない事項については,民事訴訟の例によるものと定められており(同法7条),弁論主義が適用されることから,主張事実をどのような証拠方法で立証するかは第一次的には当事者の責任と権能によることになり(同法24条の職権による証拠調べが必要となるのは当事者の申し出た証拠により十分な心証が得られない場合に限られるものと解される(最高裁昭和24年(オ)第333号同 - 36 -28年12月24日第一小法廷判決・民集7巻13号1604頁参照)。),また,主張及び証拠といった攻撃防御方法の提出時期は,適時提出主義(民訴法156条)の見地から合理的な範囲内で,当事者の選択にゆだねられているものといえる。したがって,当事者は,訴訟における手続上の地位として,その主張事実について立証を要する場合には,最も効果的な立証方法を選択し,適時提出主義の見地から合理的な範囲内で,訴訟の進行上最も効果的な時期に証拠の申出をすることができるものと解される。そして,訴訟において適切な立証を適切な時 場合には,最も効果的な立証方法を選択し,適時提出主義の見地から合理的な範囲内で,訴訟の進行上最も効果的な時期に証拠の申出をすることができるものと解される。そして,訴訟において適切な立証を適切な時期にすることができなければ,当該当事者の当該訴訟における地位は著しく不利になり,争訟の公正,円滑な解決が妨げられると考えられることからすれば,訴訟の重要な争点に係る事実についての立証方法及びその提出時期の選択の方針は,当該訴訟についての対処方針に当たり,その方針を策定したり,そのために必要な事実を調査したりすることは,当該訴訟の追行に関する事務であって,本件条例6条6号イにいう「争訟に係る事務」に該当するものと解するのが相当である。 (2) 前記1の認定事実及び上記(1)を前提に,本件各公開請求の対象文書及び本件各非公開決定当時の別件住民訴訟の状況について個別に検討する。 ア本件公開請求1について前記1(5),(7)及び(8)によれば,本件公開請求1は,平成21年2月16日に被告らが提出し,同月20日の別件住民訴訟の第2回口頭弁論期日で陳述された別件被告ら準備書面(1)に記載された被告らの主張内容(前記1(5)イ④)を裏付ける文書の公開を求めるものである。そして,前記1(1)及び(5)によれば,原告らは,別件訴状において,A学級を運営するB学園が高額の学費を徴収する事業者であり,裕福でない家庭の児童を閉め出していることを,別件各処分の違法性の理由の一つとして挙げており(前記1(1)イ③),被告らの前記1(5)イ④の主張は,この点に対する反論として主張されたものであり,別件各処分の違法性という別件住民訴訟の争 - 37 -点と密接に関係する主張であることが認められる。また,前記1(5)ないし(7),(14)及び(23)エによれば,本 して主張されたものであり,別件各処分の違法性という別件住民訴訟の争 - 37 -点と密接に関係する主張であることが認められる。また,前記1(5)ないし(7),(14)及び(23)エによれば,本件非公開決定1がされた平成21年3月11日(本件公開請求1の日から起算して15日目の日)当時,別件住民訴訟において,原告らからは,前記1(5)イ④の被告らの主張に対する具体的な認否反論等はされていなかったが,その後,同年4月17日ころに提出された別件原告ら準備書面(2)において,被告らの上記主張に関する求釈明がされ,同年5月25日に提出された別件被告ら準備書面(4)で,それに対する回答がされたことが認められる。 イ本件公開請求2について前記1(5),(7)及び(11)によれば,本件公開請求2は,本件公開請求1と同様,別件被告ら準備書面(1)に記載された被告らの主張内容(前記1(5)イ①ないし③)を裏付ける文書の公開を求めるものである。そして,前記1(1),(3)及び(5)によれば,原告らは,別件訴状において,別件各処分について,D小学校の施設をB学園に無償提供するとの結論がまず先にあり,これを可能にする理屈として「C学級」との名目が作られたにすぎないことを別件許可処分等の違法性の根拠の一つとして主張しており(前記1(1)イ),被告らの前記1(5)イ①ないし③の主張は,別件答弁書でした原告らの上記主張を否認する旨の主張(前記1(3)イ①)に加えて,渋谷区長がトルコ共和国大使館からトルコ人子弟等の子供たちのための教育施設に関する協力要請を受け,渋谷区教育委員会内で検討するなどした結果,D小学校の施設の一部を提供可能である旨トルコ共和国大使館側に伝えたという経緯をいうものであって,B学園に対する施設の無償提供という結論が先にあった旨の原告 谷区教育委員会内で検討するなどした結果,D小学校の施設の一部を提供可能である旨トルコ共和国大使館側に伝えたという経緯をいうものであって,B学園に対する施設の無償提供という結論が先にあった旨の原告らの前記1(1)イ①の主張に対する反論となるものであり,別件各処分の違法性という別件住民訴訟の争点に密接に関係する主張であることが認められる。また,前記1(5)ないし(12)及び(14)によれば,本件非公開決定2がされた平成21年4月13日(本件公開請求2 - 38 -の日から起算して15日目の日)当時,別件住民訴訟において,原告らからは,被告らの上記主張に対する具体的な認否反論等はされていなかったが,その後,同年4月17日ころに提出された別件原告ら準備書面(2)において,上記主張に対する反論及びこれに関する求釈明がされたことが認められる。 ウ本件公開請求3について前記1(3),(4)及び(13)によれば,本件公開請求3のうち,本件文書3①に係る部分は,平成20年11月28日に被告らが提出し,同年12月5日の別件住民訴訟の第1回口頭弁論期日で陳述された別件答弁書に記載された被告らの主張内容(前記1(3)イ②)について,異なる時点における状況を裏付ける文書の公開を求めるものである。そして,前記1(1)及び(3)によれば,被告らは,別件各処分の適法性の根拠として,A学級が,①渋谷区とトルコ共和国のイスタンブール市のウスキュダル区との友好協定を前提とし,トルコ共和国大使館からの正式の依頼に基づいて設置されたものであるとの主張や②地域住民やD小学校の児童とB学園の児童やその家族等との国際交流を目的とした施設であるとの主張(乙6の1の10,11頁)をしており,これに対し,原告らは,別件訴状において,A学級の実態はトルコ共和国とのつながりの 校の児童とB学園の児童やその家族等との国際交流を目的とした施設であるとの主張(乙6の1の10,11頁)をしており,これに対し,原告らは,別件訴状において,A学級の実態はトルコ共和国とのつながりの薄いインターナショナルスクールである旨を主張したところ(前記1(1)イ②),被告らの前記1(3)イ②の主張(多数のトルコ人児童が在籍しているとの主張)は,原告らの上記主張に対する再反論となるもので,別件住民訴訟の争点と密接に関係する主張であったことが認められる。また,前記1(3)ないし(19),(21)ウ及び(23)ウによれば,本件非公開決定3がされた平成21年4月27日(本件公開請求3の日から起算して15日目の日)当時,別件住民訴訟において,原告らからは,被告らの前記1(3)イ②の主張に対する具体的な認否反論等はされていなかったが,同年5月7日ころ提出された別件原告ら準備書面 - 39 -(4)において,本件公開請求3と同じ同年3月31日時点の児童数及びその国籍についての求釈明がされ,同年5月25日に提出された別件被告ら準備書面(4)で,これに対する回答がされたことが認められる。 エ本件公開請求4について前記1(14),(16)及び(17)によれば,本件公開請求4は,原告らが,平成21年4月1日以降のA学級に係る使用許可に関し,同月20日ころに提出した別件原告ら準備書面(3)に求釈明事項として記載し,被告らに回答を求めた内容と同様の内容の文書の公開を求めるものであり,いずれも,平成21年4月以降のA学級に係る使用許可の相手方が変更された経緯に関する事実を証する文書又は同使用許可について使用料が免除されたことに関する事実を証する文書であると認められる。そして,前記1(28)及び(30)によれば,原告らは,本件非公開決定4の後,別件 緯に関する事実を証する文書又は同使用許可について使用料が免除されたことに関する事実を証する文書であると認められる。そして,前記1(28)及び(30)によれば,原告らは,本件非公開決定4の後,別件住民訴訟において,①同月からA学級に係る使用許可の相手方が変更されたことは,別件各処分が違法であることを被告らが自認したものと評価できる旨主張するとともに,②被告らは別件許可処分の名あて人がB学園であることをその適法性のよりどころとしていたが,平成21年度の使用許可の名あて人がB学園でなくなったことからすれば,この点に係る求釈明は,別件住民訴訟の争点に関するものである旨主張し(前記1(28)イ及び(30)イ),③B学園に対する使用料免除の理由とC学級設立準備会に対する使用料免除の理由が同じである理由につき求釈明をしている(前記1(30)ウ)のであり,仮に,原告らの主張どおり平成21年3月までの使用許可に違法の疑いが強いことが同年4月以降の使用許可の相手方を変更した理由であるとすると,このことは,別件各処分の違法性を基礎付ける重要な事実となること,また,上記③の理由の内容によっては,別件許可処分の適法性の根拠を弾劾する重要な事実になることからすれば,同月以降のA学級に係る使用許可の相手方等が変更された経緯に関する事実及び使用料免除の理由に関する - 40 -事実は,別件住民訴訟の争点である別件各処分の適法性に関係する重要な事実であることが認められる。また,前記1(1)ないし(21)によれば,別件住民訴訟において,原告らが同月以降のA学級に係る使用許可について初めて言及したのは,同月17日ころに提出された別件原告ら準備書面(2)においてであり,その使用許可の具体的内容を明らかにするよう求めたのは同月20日ころに提出された別件原告ら準備書面 許可について初めて言及したのは,同月17日ころに提出された別件原告ら準備書面(2)においてであり,その使用許可の具体的内容を明らかにするよう求めたのは同月20日ころに提出された別件原告ら準備書面(3)においてである。 そして,本件非公開決定4がされた平成21年5月7日当時(本件公開請求4の日から起算して18日目の日),被告らは,同年4月23日に行われた別件住民訴訟の第3回口頭弁論期日において,別件原告ら準備書面(2)及び別件原告ら準備書面(3)に記載された求釈明事項について次回期日の相応の期間前までに回答をするものとされ,その回答期限前において回答内容を検討中の状況にあったことが認められる。 オ本件公開請求5について前記1(23)及び(24)によれば,本件公開請求5は,平成21年5月25日に被告らが提出した別件被告ら準備書面(4)に記載された原告らの求釈明に対する被告らの回答に係る事実を証する文書の公開を求めるものである。そして,上記エのとおり,原告らは,本件非公開決定5の後,同年4月からA学級に係る使用許可の相手方が変更になったことは,別件各処分が違法であることを被告らが自認したものと評価できる旨及びこの点に係る求釈明は別件住民訴訟の争点に関するものである旨主張しているのであり,同月以降のA学級に係る使用許可の相手方等が変更された経緯に関する事実は,別件住民訴訟の争点である別件許可処分等の適法性に関係する重要な事実であることが認められる。また,前記1(23)ないし(28)によれば,本件非公開決定5がされた同年6月17日当時(本件公開請求5の日から起算して15日目の日),別件住民訴訟においては,被告ら準備書面(4)に記載された回答に対する原告らからの主張等はされていなかった。 - 41 -カ本件公開請求6について 請求5の日から起算して15日目の日),別件住民訴訟においては,被告ら準備書面(4)に記載された回答に対する原告らからの主張等はされていなかった。 - 41 -カ本件公開請求6について前記1(23)及び(25)によれば,本件公開請求6は,平成21年5月25日に被告らが提出した別件被告ら準備書面(4)に記載された原告らの求釈明に対する被告らの回答に係る事実を証する文書の公開を求めるものである。そして,上記エのとおり,原告らは,本件非公開決定6の後,B学園に対する使用料免除の理由とC学級設立準備会に対する使用料免除の理由が同じである理由につき求釈明をしているのであり,A学級に係る使用料免除の理由に関する事実は,別件住民訴訟の争点に関係する重要な事実であることが認められる。また,前記1(23)ないし(28)によれば,本件非公開決定6がされた同年6月18日当時(本件公開請求6の日から起算して15日目の日),別件住民訴訟においては,被告ら準備書面(4)に記載された回答に対する原告らからの主張等はされていなかった。 (3) 上記(2)アないしウによれば,本件公開請求1ないし3の対象文書は,いずれも,別件住民訴訟の争点と密接に関係する事実に関する被告らの主張を裏付ける文書であること及び上記各文書に係る各非公開決定の当時(これらの決定の日はいずれも本件条例9条の2に定められた公開決定等の期限の日であったことが認められる。),別件住民訴訟においては,被告らの上記主張がされて間もない時期で,当該主張に対する原告側の具体的な主張の内容はいまだ明らかになっていない時期であったことがそれぞれ認められる。また,上記(2)エないしカによれば,本件公開請求4ないし6の対象文書は,いずれも,別件住民訴訟の争点と密接に関係する事実(平成21年4月以降A学 なっていない時期であったことがそれぞれ認められる。また,上記(2)エないしカによれば,本件公開請求4ないし6の対象文書は,いずれも,別件住民訴訟の争点と密接に関係する事実(平成21年4月以降A学級に係る使用許可の相手方が変更された経緯及び使用料が免除された理由)に関する原告らの求釈明において被告らが回答を求められた事項に係る事実を証する文書であること及び上記各文書に係る非公開決定の当時(これらの決定の日はいずれも本件条例9条の2に定められた公開決定等の期限の日であったことが認められる。),原告らはいまだ上記事実について具体的 - 42 -な主張をしていない時期であったことが認められる。 これらの事実経過に徴すると,仮に,本件各非公開決定の時点で,本件各文書が公開された場合には,別件住民訴訟の重要な争点に密接に関係する事実であって被告らの主張又は求釈明への回答の対象となるべきものについて,被告らが当該事実に関連する事情又は他の証拠及び当該事実に関する相手方(原告ら)の主張に関する調査検討をする機会を与えられないまま,当該事実に係る書証の内容が正規の交渉・訴訟手続等の場を経ないで相手方に伝わるおそれがあり,原告らがその時点で当該書証の内容を知ることになれば,被告らとしては,別件住民訴訟において,上記の調査検討の機会を奪われ,当該事実についての最も効果的な立証方法及びその提出時期を選択することが困難になるという結果を招来することとなる。そして,上記(1)のとおり,このような訴訟の重要な争点に係る事実についての立証方法及びその提出時期の選択の方針は,当該訴訟についての対処方針に当たり,その方針の策定及びそのための事実調査は,前記「争訟に係る事務」に該当するものであるところ,被告らは,上記の時点で本件各文書が公開されれば,本来その時点 方針は,当該訴訟についての対処方針に当たり,その方針の策定及びそのための事実調査は,前記「争訟に係る事務」に該当するものであるところ,被告らは,上記の時点で本件各文書が公開されれば,本来その時点で行い得る当該事実に関する立証に係る方針の策定やそのための事実調査を行うことを妨げられ,その結果,別件住民訴訟における被告及びその執行機関である渋谷区長の訴訟上の「当事者としての地位を不当に害」されることとなり,紛争の公正,円滑な解決が妨げられるおそれがあったといわなければならない。 したがって,本件各非公開決定の時点において,本件各文書が公開されれば,別件住民訴訟における「争訟に係る事務」に関し,当該各文書に係る実施機関の所属する地方公共団体である被告及びその執行機関(及び同条例上の実施機関)である渋谷区長の当該住民訴訟における「当事者としての地位を不当に害するおそれ」があったということができるから,本件各文書には,本件条例6条6号イに該当する非公開事由があったというべきである。 - 43 -(4) 以上に対し,原告は,本件各非公開決定において,公開請求者が別件住民訴訟の原告であることから,本件各文書が本件条例6条6号イに該当するとされていることが,情報公開制度の構造と矛盾する旨主張する。しかし,本件条例6条6号イのように別件の争訟における実施機関の当事者としての地位が不当に害されるおそれを要件とする不開示事由の該当性に関する個別の判断において,公開請求者が当該争訟の相手方当事者であるか否かという事情がそのおそれの有無の判断に事実上の影響を及ぼし得ることは,当該条例の定めの性質上,個別事案の判断として別段不合理なことではなく,そのような定めを置いた情報公開条例の趣旨・構造に反するものとは解されないので,原告の上記主張は理由がない。 及ぼし得ることは,当該条例の定めの性質上,個別事案の判断として別段不合理なことではなく,そのような定めを置いた情報公開条例の趣旨・構造に反するものとは解されないので,原告の上記主張は理由がない。 また,原告は,訴訟における当事者性を強調することは,住民自治の原則を無視したものである旨主張するが,本件条例6条6号イの規定は,特に争訟の種類を限定しておらず,争訟全般における実施機関側の当事者としての地位一般を保護したものと解するのが相当であるところ,住民訴訟制度も通常の民事訴訟と同様に当事者対立構造が採られている以上,住民訴訟の被告側にも当事者としての地位が認められ,その地位が当該規定の保護の対象となるものと解されるので,原告の上記主張は理由がない。 さらに,原告は,住民訴訟の提起後に住民訴訟に関する文書の情報公開が認められなくなることは,本件条例が定める情報公開制度及び住民訴訟制度の趣旨・目的に反する旨主張するが,上記(1)ないし(3)において説示したところから明らかなとおり,上記(3)においては,単に本件各文書が別件住民訴訟の証拠となり得る文書であること及び別件住民訴訟が提起されていることのみから直ちに本件各文書の本件条例6条6号イ該当性が認められるとするのではなく,本件の具体的な事実経過等を前提として,本件各文書と別件住民訴訟の争点との関係及び本件各非公開決定時における別件住民訴訟の進行状況等の諸事情を総合考慮した上で,本件各非公開決定時における同号イ該 - 44 -当性を個別的に判断したものであり,本件各非公開決定が適法であるとされるのもその限度においてであるから,原告の上記主張は本件の事案における上記(3)の判断を左右するものではない。 なお,原告のその余の主張も,上記(3)の判断を左右するものとは認められない。 れるのもその限度においてであるから,原告の上記主張は本件の事案における上記(3)の判断を左右するものではない。 なお,原告のその余の主張も,上記(3)の判断を左右するものとは認められない。 3 争点(3)(本件各非公開決定に係る理由付記の適法性)について(1) 本件条例9条2項は,実施機関は,公開請求に係る公文書の全部を公開しないときは,当該文書を公開しない旨の決定をし,公開請求者に対し,その旨を書面により通知しなければならないと定め,同条例9条の3第1項は,その場合において,実施機関は,当該書面によりその理由を示さなければならず,また,当該理由の提示は,公開しないこととする根拠規定及び当該規定を適用する根拠が,非公開決定の通知書面の記載自体から理解され得るものでなければならないと定めている。一般に,法令が行政処分に理由を付記すべきものとしている場合に,どの程度の記載をすべきかは,処分の性質と理由付記を命じた各法令の趣旨・目的に照らしてこれを決定すべきところ(最高裁平成4年(行ツ)第48号同年12月10日第一小法廷判決・裁判集民事166号773頁,最高裁昭和36年(オ)第84号同38年5月31日第二小法廷判決・民集17巻4号617頁参照),本件条例が,上記のように,公開請求に係る文書を公開しない旨の決定の通知書に,その理由を付記すベきものとしているのは,同条例に基づく公文書の公開請求制度が,公正で開かれた区政の進展を図ることを目的とするものであって(同条例1条),実施機関においては,公文書の公開を求める権利が十分に尊重されるように同条例を解釈し,運用しなければならないとされていること(同条例3条)にかんがみ,非公開理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに,非公開の理由を公開請求者 同条例を解釈し,運用しなければならないとされていること(同条例3条)にかんがみ,非公開理由の有無について実施機関の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに,非公開の理由を公開請求者に知らせることによって,その不服申立てに便宜を与える趣旨に出たものであると解 - 45 -される(前掲最高裁平成4年12月10日第一小法廷判決参照)。 そして,このような理由付記制度の趣旨にかんがみれば,公文書の非公開決定通知書に付記すべき理由としては,公開請求者において,本件条例6条各号所定の非公開事由のどれに該当するのかをその根拠とともに了知し得るものでなければならず,その理由として非公開の根拠規定が示されている場合において,その記載が本件条例9条の3第1項の要求する理由付記として十分であるといえるためには,当該公文書の種類,性質等(当該根拠規定中の具体的な該当事由の記載を含む。)と相まって公開請求者がそれらを当然知り得るといえる場合でなければならないというべきである(前掲最高裁平成4年12月10日第一小法廷判決参照)。 (2) 本件各非公開決定において,処分行政庁は,非公開の理由として,本件条例6条6号イに該当することを理由とするものについては,「本件文書は,その内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するため」との理由を付しており,非公開の根拠規定のみならず,当該根拠規定中の具体的な該当事由として,本件各文書が,本件条例6条6号イ所定の事由のうち,争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるものであることを示している。そして,本件の原告は,別件住民訴訟の原告の一人でもある上,前記1(8)及び(11)の事実によれば,本件文書 に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるものであることを示している。そして,本件の原告は,別件住民訴訟の原告の一人でもある上,前記1(8)及び(11)の事実によれば,本件文書1及び本件文書2については,別件住民訴訟の争点と密接な関係のある文書の公開を求めていることが,公開請求の対象文書の記載自体から明らかであり,また,本件文書3①及び本件文書4ないし6についても,前記1の別件住民訴訟の経過によれば,公開請求者たる原告において,当然に別件住民訴訟の争点と密接な関係のある文書であることを知りつつ上記各文書の公開請求をしたものと認められる。そうすると,別件住民訴訟の原告でもある本件各公開請求の請求者たる原告にとって,本件各非公開決定の通知書における理 - 46 -由の記載(非公開の根拠規定の記載に加え,当該根拠規定中の具体的な該当事由の記載)は,当該各請求の対象とされた本件各文書の種類,性質(別件住民訴訟の争点と密接な関係のある情報が記載された文書であること)と相まって,本件条例6条各号所定の非公開事由のどれに該当するのか及びその根拠(本件各文書が,公開されることにより,別件住民訴訟における争訟に係る事務に関し被告及び渋谷区長の当事者としての地位を不当に害するおそれがあることから,本件条例6条6号イに該当するとの理由で非公開とされたこと)を当然知り得る内容のものであったということができる。 したがって,本件各非公開決定に付された,本件各文書の内容が本件条例6条6号イ(争訟に係る事務に関し,実施機関の当事者としての地位を不当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由は,本件事案における同条例9条の3第1項の要求する理由付記としては十分であるということができる。 なお,本件非公開決定1については,上記の理由のほ 当に害するおそれがあるもの)に該当するとの理由は,本件事案における同条例9条の3第1項の要求する理由付記としては十分であるということができる。 なお,本件非公開決定1については,上記の理由のほか,本件条例6条3号アに関する理由が付記されているが,前記2のとおり,本件非公開決定1は,本件文書1が同条6号イに該当するものとして非公開の要件を満たしており,上記のとおり,同決定に付された非公開の理由が本件事案における理由付記としては十分であるといえる以上,上記(1)の理由付記の趣旨において欠けるところがあるとはいえないから,同条3号アに関する理由付記の程度について検討するまでもなく,本件非公開決定1の理由付記に同決定の違法を招来する瑕疵は存しないものというべきである。 4 以上によれば,その余の点(争点(2)(本件文書1の本件条例6条3号ア該当性)及び争点(4)(本件各公開請求に係る公文書公開請求権の濫用の有無)について判断するまでもなく,本件各非公開決定は,いずれも適法であり,取り消すべき違法はないというべきである。 5 よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用 - 47 -の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判官小海隆則 裁判官須 賀 康太郎 裁判長裁判官岩井伸晃は,転補のため署名押印することができない。 裁判官小海隆則
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