【DRY-RUN】○ 主文 一 原告の請求をいずれも棄却する。 二 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 一 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨 (一) 被告が昭和五二年八月二七日付で原告に対してした別表(一)の更正
○ 主文一原告の請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実一当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨(一) 被告が昭和五二年八月二七日付で原告に対してした別表(一)の更正額欄記載の物品税の更正処分中別表(一)の申告額欄記載の金額を越える部分並びに別表(一)の加算税額欄記載の各加算税の賦課決定処分は、いずれもこれを取消す。 (二) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 請求の趣旨に対する答弁主文と同旨。 二原告の請求原因 1 原告は古物商を営む者であるが、原告が昭和四九年七月ないし昭和五一年一一月に小売した貴石製品等について、被告に対し別表(一)の申告額欄記載のとおり物品税納税の申告をしたところ、被告は昭和五二年八月二七日付で原告に対し、別表(一)の更正額欄及び加算税額欄記載のとおり物品税更正並びに加算税賦課決定処分(以下本件処分という)をした。 2 原告は昭和五二年一〇月二四日付で被告に対し本件処分について異議申立をしたところ、被告は昭和五三年一月一七日付で原告に対して右異議申立をいずれも棄却する旨の決定をした。 3 そこで、原告は昭和五三年二月一三日付で国税不服審判所長に対し審査請求をしたところ、同所長は昭和五五年四月一日付で右審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をし、右裁決書謄本は同年五月一九日原告に送達された。 4 しかし、本件処分には後記のとおり法律の適用並びに前提事実の認定を誤つた違法があるから、その取消を求める。 三請求原因に対する被告の認否 1 請求原因1項ないし3項は認める。 2 同4項は争う。 四被告の主張―本件処分の根拠 1 物品税の課税標準額等について(一) 破告の調査によれば、原告が昭和四九年七月ないし昭和五一年一一月に小売した物品税法別表「課税物品表」第一種(以下第一種という)第一号ないし第 ―本件処分の根拠 1 物品税の課税標準額等について(一) 破告の調査によれば、原告が昭和四九年七月ないし昭和五一年一一月に小売した物品税法別表「課税物品表」第一種(以下第一種という)第一号ないし第五号に掲げる課税物品について、別表(一)記載のとおり申告漏れの事実が判明したので、被告は当該物品税及び加算税について本件処分をした。 (二) ちなみに、本件処分においては小売価格が不明なために一部推計課税によつており、本件処分を実額課税分と推計課税分とに区別しその課税標準額等の月別明細について整理すると別表(二)記載のとおりとなつて、別表(二)の「内」書きは物品税法一五条二項の規定の適用に係る課税物品を示している。 2 推計課税の必要性について(一) 被告は原告の物品税調査に際し、原告の営業に関する事実上の責任者であるAから、原告の備付けている唯一の帳簿として呈示を受けた古物台帳を検討したところ、課税物品の販売業者は物品税法三六条及び同法施行令五二条四項で記帳義務があるにも拘わらず右古物台帳には販売価格を記載しているものと記載していないものがあり、又購入価格は記載しているものの販売年月日のみ記載し販売価格が不明のもの、あるいは一括して購入したため個々の購入価格が明らかでないもの等、記帳が極めて不正確であつた。 (二) そこで、被告は、担当職員をして、Aに対してこれら不明な事項について質問調査を行わせたところ、Aは、他の関係帳票類が一切ないため販売及び購入価格が不明である旨供述し、かつ第一種の物品の在庫調査も拒否する等極めて調査に非協力的であつたため、被告は実額調査の途を絶たれることとなつた。 (三) したがつて、被告は已むを得ず、これら価格不明のものについてはその売渡人の反面調査を実施することにより個々の購入価格を把握し、この購入価格を基礎とし 告は実額調査の途を絶たれることとなつた。 (三) したがつて、被告は已むを得ず、これら価格不明のものについてはその売渡人の反面調査を実施することにより個々の購入価格を把握し、この購入価格を基礎として販売価格(小売価格)を推計するのがより実額に近似した合理的方法であると判断した。 3 推計課税の合理性について(一) 原告の古物台帳に基づいて、原告が昭和四九年ないし五〇年中に小売した第一種の物品中、小売価格及び購入価格が共に記載されているものを歴年毎に貴石製品、真珠製品、貴金属製品及びべつこう製品等の品目別に分類して各別に合計したうえ、それぞれの合計小売価額に対する合計購入価額の割合(以下適用率という)を求めると、別表(三)記載のとおりとなる。 (二) そこで、被告は、原告が昭和四九年七月から昭和五〇年一二月までの間に小売した第一種の物品のうち小売価格が明らかでないものについては、当該物品の購入価格に該当年次の適用率を乗じて小売価格を推計した。 (三) 原告の古物台帳によれば、原告が昭和五一年中に小売した第一種の物品中、小売価格及び購入価格が共に記載されているものは僅か九個しか認められず、これに基づく適用率は合理性を欠くと考えられるから、原告が昭和五一年一月から同年一一月までに小売した第一種の物品のうち小売価格が明らかでないものについては、当該物品の購入価格に直近の昭和五〇年の適用率を乗じて小売価格を推計した。 五被告の主張に対する原告の認否 1 被告の主張1項は否認する。原告の昭和四九年七月から昭和五一年一一月までの貴石製品等の課税標準額等は別表(一)の申告額欄記載のとおりである。 2 同2項及び3項は争う。物品税については税の性格上推計課税は許されないし、仮に許されるとしても推計課税の合理性を欠く。 六原告の主張―本件処分の違法事由 (一)の申告額欄記載のとおりである。 2 同2項及び3項は争う。物品税については税の性格上推計課税は許されないし、仮に許されるとしても推計課税の合理性を欠く。 六原告の主張―本件処分の違法事由 1 古物に対する物品税課税の不許(一) 古物の小売に対する課税は二重加税であつて許されない。 (1) 物品税は消費税ではあるが、それ故に消費の度ごとに課税することがその本質的要請であるとはいえない。 (2) 物品税が消費税であるといつても、物品税における課税の対象は物品に化体した担税力であり、物品税は一種の物件税でもあるから、同じ物品に対して小売過程に登場する限りその都度課税するのは二重課税というべきである。 (3) 沿革的にも、物品税については、その創設当初は小売課税と移出課税の二方式をとつていたこともあり、書画及び骨とうを除いて移出課税方式に統一したこともある。 (4) そして、現行法上も、第一種の物品については小売課税方式とし、第二種の物品については一回限りの課税を原則とする移出課税方式としていることにみられるように、いずれの課税方式が物品税の基本的性格といえるものではない。 したがつて、原則としては本件におけるごとく二重課税とすることは許されるべきでなく、二重課税をするためには特別な事由を要するとしなければならないが、本件においてはかかる事由の主張はない。 (5) 以上のとおり、物品税の性質及び沿革に照らし、古物の小売に対する課税は二重課税であり許されない。 (二) 古物の小売に対する課税は第二種の物品に対する課税方法に照らして不公平・不平等であつて許されない。 (1) 第一種の物品についてのみ消費の度ごとに課税するというのは、第二種の物品に対する課税方法に照らして不公平・不平等である。 (2) すなわち、第二種の物品中には、たとえば貴金属製の時 されない。 (1) 第一種の物品についてのみ消費の度ごとに課税するというのは、第二種の物品に対する課税方法に照らして不公平・不平等である。 (2) すなわち、第二種の物品中には、たとえば貴金属製の時計など第一種の物品を原材料として製造されるものが含まれているが、この場合、同じ貴金属であつてもそのまま小売に供される場合には第一種の物品として小売の度ごとに課税されるが、これを原材料として製造される時計類は第二種の物品として移出に際して一回課税されるのみであり、この間の不公平・不平等は明らかである。 (3) したがつて、第一種の物品についてのみ小売課税方式をとり、古物の小売に対しても課税することは、租税が公平に課されるべき大原則に反するもので違法である。 2 物品税についての推計課税の不許(一) 物品税はその本質において間接消費税とされ、消費者がその究極的な担税者とされており、販売業者は徴税の便宜上納税義務者とされているに過ぎない。 (二) このように、物品税の実質的な負担者は物品の消費者であるから、単にこれを消費者より取立てて納税を代位するに過ぎない立場にある販売業者に対して、消費者に対するのと同様に推計課税により納税を強制することは、理論上実質上の根拠を欠き恣意に過ぎるもので許されない。 (三) また実際的にも、物品税については推計課税を認めなくても、所得税と違つて課税の方法を移出課税方式とするなどの手段があるから、その目的を達するに著しい支障や不公平を生じることはない。 (四) したがつて、物品税については推計課税は許されず、本件処分のうち推計課税によるものは違法である。 3 推計課税の合理性の欠如(一) 本件におけるように課税物品が古物である場合には、骨とう的価値、使用状況、暇疵の有無等により個々の物品の価格に大きな差異をきたすため、そも によるものは違法である。 3 推計課税の合理性の欠如(一) 本件におけるように課税物品が古物である場合には、骨とう的価値、使用状況、暇疵の有無等により個々の物品の価格に大きな差異をきたすため、そもそも推計課税になじまず、その結果被告主張のごとき適用率による推計方法は合理性がない。 (二) 更に、被告は、昭和四九年の真珠製品等、貴金属製品等、昭和五〇年の真珠製品等、貴金属製品等、べつこう製品等の各適用率を算出するに当たり、それぞれについて、四個、一四個、四個、一二個、一個の物品によつているが(別表(三)参照)、前述の古物の価格の個別性の大きさに鑑み、このような僅少な個数で算出された適用率に合理性があるとは到底考えられない。 4 課税物品該当性の判断の誤り(一) 被告は、別表(四)記載の物品については、物品税法別表「課税物品表の適用に関する通則」(以下通則という)二号所定の結合物品に該当すると解し、小売価格より不課税物品部分の価格を控除せず、小売価格全体を課税標準額として課税処分をした。 (二) ところで、右結合物品とは、製造の当初より一定の機能、用途を目的として複数の物品を有機的に結合させて加工したもので、個々の部分に分解しては予定の機能、用途を有さないものをいい、たとえば、金製の吸い口と竹とを使用したキセル、貴金属製のカツプ部分と木製の台とからなる優勝杯などがこれに当たる。 (三) しかし、レンズとメガネ枠、ベルトとバツクル、皮金具とキセル入れはいずれも別個に製造され、それぞれ独立した機能と価値を有するものであり、個々の消費者の必要と嗜好により組合わせて使用されるに過ぎないものであるから、いずれも第一種の課税物品と不課税物品を組合わせたものではあるが、通則二号所定の結合物品には当たらない。 (四) なお、国税局においても、たとえばバツク 組合わせて使用されるに過ぎないものであるから、いずれも第一種の課税物品と不課税物品を組合わせたものではあるが、通則二号所定の結合物品には当たらない。 (四) なお、国税局においても、たとえばバツクルとバンドを同時に販売する場合の取扱いについて、バツクルとバンドを同時に販売する場合であつても、バツクルだけについて課否を判定すべき旨指示している(物品税法基本通達別表1「課税物品の取扱い」3の4参照)。 (五) このように、別表(四)記載の物品は、いずれも第一種の課税物品と不課税物品を組合わせたものではあるが、通則二号所定の結合物品には当たらず、小売価格より不課税物品部分の価格を控除した残額に課税すべきであるのに、本体処分のうち別表(四)記載の物品に関する分については、結合物品として小売価格全体に対して課税した違法がある。 5 返還に伴う物品税の控除(一) 物品税法二八条は、同条所定の物品について一旦小売した後返還を受けた場合、それが同条所定の要件を充たすときは物品税を控除する旨規定している。 (二) 本件においても、原告が本件処分の対象期間中に小売して返還を受けた別表(五)記載の物品については、いずれも買戻し約定付で小売をしたものであり、物品税法二八条所定の物品税控除の要件を充たすものである。 (三) そして、この点は、原告の右期間中の古物台帳に必要な記載をしており、被告においても容易に判明したものであるから、被告が本件処分を行うに当たり、質問検査、帳簿の調査等により原告の営業内容を把握し、課税額の算出を行う場合には、その税額の控除を行うべき事情があるか否かを調査し、控除さるべき実質的要件を充たすものと認められるときは、これを算出し控除する措置を講ずべきであつたのに、これを無視ないし看過して控除しなかつた違法がある。 (四) なお、別表(五) るか否かを調査し、控除さるべき実質的要件を充たすものと認められるときは、これを算出し控除する措置を講ずべきであつたのに、これを無視ないし看過して控除しなかつた違法がある。 (四) なお、別表(五)記載のとおり、本件において課税物品の返還に伴い控除されるべき税額は、総額で一九九万六六〇〇円に達している。 七原告の主張に対する被告の反論 1 古物に対する物品税課税について古物であつても法定の課税原因が発生する限り物品税の課税を免れないことは、既に最高裁判決(昭和四四年(行ツ)第七三号・昭和四七年一二月一九日第三小法廷判決)が示しているところである。 2 物品税についての推計課税について物品税法は推計課税に関する明文の規定を有しないものの、推計課税の必要性がありかつその計算方法に合理性が担保されている限り推計課税を行い得ることは、数多の判決が示しているところである。 3 課税物品該当性について(一) 通則二号所定の結合物品とは、二個以上の物品が一体となり一個の商品として取引される場合であつて、一個又は一組の物品で二以上の機能又は用途を有するものを指称し(物品税法基本通達別表一第二条)、必ずしも原告の主張するように、「製造の当初より一定の機能、用途を目的として複数の物品を有機的に結合させて加工したもので、個々の部分に分解しては予定の機能、用途を有さない場合」に限られるものではない。 (二) そこで、別表(四)記載の物品について検討すると、皮革製ベルト付の白金又は金製バツクルは、一個のベルトとしてズボン等の保持の用途と装飾等の用途(身辺用細貨類)を有するものであり、レンズ付べつこう製メガネ枠は、一個のメガネとして視力矯正の機能と装飾等の機能(身辺用細貨類)を有するものであり、ワニ皮金具付の象牙製キセル入れは、一個の喫煙用具としてきざみタバコ等の るものであり、レンズ付べつこう製メガネ枠は、一個のメガネとして視力矯正の機能と装飾等の機能(身辺用細貨類)を有するものであり、ワニ皮金具付の象牙製キセル入れは、一個の喫煙用具としてきざみタバコ等の保管等の機能と装飾等を目的とする機能を有するものであり、いずれも購入及び小売の各段階とも各別に価格の区分表示はなされておらず、各別に小売されることは全く予定されていないものであつて、かえつて購入及び小売の各段階とも一個の商品として価格が決定され、一個の商品として小売されていることから、右各物品が結合物品に該当することは明らかである。 (三) 右のとおり、別表(四)記載の物品はいずれも結合物品に該当するところ、通則二号によると、一個の物品で二以上の機能又は用途を有する結合物品は、これに性能、機能、用途その他についての重要な特性を与える物品のみから成るものとみなされており、結合物品中重要な特性が課税物品に該当すると認められる場合には、全体が課税物品とみなされることになるが、右各物品は次のとおりいずれも重要な特性が課税物品に該当することから、全体が課税物品とみなされることになる。 (1) レンズ付のべつこう製メガネ枠右物品が新品である場合には、レンズは近視又は乱視等の矯正の用に供されるものであるが、これが古物として取引されるときには、消費者は視力矯正用としてのレンズに価値を見出すものではなく、専らメガネ枠の奢侈性等の有価値に期待している場合が通常であり、課税物品たるべつこう製のメガネ枠が重要な特性を有するものである。 (2) 皮革製ベルト付の白金又は金製バツクル古物である右物品中の皮革製のベルトは、素材的にみて多数の者の使用による損傷等によつてその価値が減少するのが通常であり、主たる価値は白金又は金製のバツクルにある。 (3) ワニ皮金具付の象牙 ツクル古物である右物品中の皮革製のベルトは、素材的にみて多数の者の使用による損傷等によつてその価値が減少するのが通常であり、主たる価値は白金又は金製のバツクルにある。 (3) ワニ皮金具付の象牙製キセル入れ右物品はキセル入れを主たる用途とするものであり、皮金具はキセル入れの付加価値を高めるために添加されたものに過ぎないうえ、古物である右物品中のワニ皮金具についても、素材的にみて多数の者の使用による損傷等によりその価値が減少するのが通常であり、主たる価値は象牙製のキセル入れにある。 4 返還に伴う物品税の控除について物品税法二八条一項及び二九条一項は、小売した第一種の課税物品の返還を受けた場合、小売後使用又は消費されたものである場合を除き、返還の日の属する月以後の提出期限内に提出する納税申告書にこれを記載して申告すれば、その物品税額に相当する金額を控除すると規定している。ところが、原告は、これらの規定に基づく申告等の手続きを全くとつていないため、返還控除の要件を充たしていないことは明らかである。 八証拠(省略)○ 理由一本件処分の存在等請求原因1項ないし3項は当事者間に争いがない。 二古物に対する物品税課税 1 二重課税該当性(一) 原告は、古物の小売に対して物品税を課税することは、二重課税であつて許されないと主張する。 (二) 物品税の本質は消費税であり、新しく作り出された価値たる商品それ自体を課税原因として把握するものではなく、個々の物品の使用・消費という事実に示される消費者の担税力に着目して、その消費者に課税せんとするものであるから、第一種の物品について消費者がこれを買受ける行為があるならば、それがたとえ古物であつても、そこに顕示される消費者の所得の存在が推認され、これに担税力が認められるとして課税の対象とされるのであ から、第一種の物品について消費者がこれを買受ける行為があるならば、それがたとえ古物であつても、そこに顕示される消費者の所得の存在が推認され、これに担税力が認められるとして課税の対象とされるのであり、かかる取引行為が存在する以上、それが何回繰り返されようともその都度課税されることは当然のことといわなければならない。 (三) したがつて、第一種の物品たる古物に対してその小売ごとに課税したとしても、法律上の物品税の負担者はあくまでも当該物品を新たに買受けた第二次の消費者であるから、かかる取引事象に課税されることを捉えて二重課税というのは当たらず、原告の前記主張は失当である。 2 第二種の物品に対する課税方法との対比(一) 原告は、古物の小売に対して物品税を課税することは、第二種の物品に対する課税方法に照らして不公平・不平等であつて許されないと主張する。 (二) 現行の物品税法は、貴石、貴金属製品のように趣味・嗜好性が高く使用による価値の減少が小さいものを第一種の物品として、小売の段階で課税する小売課税方式を採用し、電気製品等の規格量産的で使用による価値の減少の大きいものを第二種の物品として、製造場から移出する段階で課税する移出課税方式を採用しているということができる。 (三) ところで、物品税の消費税としての本質からすれば、消費税の課税方法としては消費の最後の段階、すなわち消費者の消費行為を直接に捉えて課税する方法(直接消費税)が最も適当といえる。しかし、このような直接消費税の方法による課税は課税技術上容易でないから、消費以前の段階で消費者以外の者に課税するところの間接消費税の方法によつているのであり、その意味では消費者の消費行為に直近した段階で課税する小売課税方式が最も理想的な課税方式といえるが、多種多様な課税物品のすべてを小売課税方式と 課税するところの間接消費税の方法によつているのであり、その意味では消費者の消費行為に直近した段階で課税する小売課税方式が最も理想的な課税方式といえるが、多種多様な課税物品のすべてを小売課税方式とすることは、かえつて徴税費の増大と課税技術上多くの困難が伴う場合も生じるので、個々の物品の種類、性状、市場流通形態等を考慮して、徴税の合理化と課税の適正が期せられるように物品税法上の考慮が払われている。 (四) まず徴税の合理化の要請からすると、規格量産的な物品は比較的小数かつ大規模な工場で生産されることが多いから、製造場から移出された段階で課税する移出課税方式の方が、徴税効率及び課税物件の確実な捕捉の点で小売課税方式よりはるかにすぐれており、他方、趣味・嗜好性の高い物品は比較的零細な手工業者によつて製造加工されるものが多いため、移出課税方式をとることが課税技術上も決してプラスにはならず、むしろ消費税の原則的課税方法たる小売課税方式を採用するのが妥当といえる。 (五) 次に課税の適正化の要請からすると、使用による価値の減少の小さいものを第一種の物品として、小売課税方式によつて小売ごとに課税することとし、逆に使用による価値の減少の大きいものを第二種の物品として、移出課税方式によつて製造場より移出された段階での一回限りの課税とすることについては、消費税の本質からいつても妥当な措置といえよう。 (六) 以上のとおり、物品税の本質は消費税であり、消費のごとに課税される小売課税方式が原則的課税方法といえるが、第二種の物品についても小売課税方式とすることは徴税費の増大を来たし課税技術上も多くの困難を伴うことを考えれば、使用による価値の減少の小さいものが多く含まれている第一種の物品について小売課税方式とし、使用による価値の減少の大きいものが多く含まれている第 増大を来たし課税技術上も多くの困難を伴うことを考えれば、使用による価値の減少の小さいものが多く含まれている第一種の物品について小売課税方式とし、使用による価値の減少の大きいものが多く含まれている第二種の物品について移出課税方式とすることには合理性があり、その間に課税方式の差異によつて課税上著しく公平の観念に反するものとは認められず、原告の前記主張も失当である。 三原告の申告漏れ成立に争いがない甲第一、二号証、乙第一号証の一ないし三、第二号証の一ないし四、証人B及び同Aの各証言によれば、原告は、古物の販売の場合には物品税の賦課はないとの考えのもとに、昭和四九年七月から昭和五一年一一月までの間に小売りした第一種第一号ないし第五号に掲げる物品について、その号別及び品目ごとの品名並びに品名ごとの数量及び課税標準たる金額の記載を欠く申告書を提出したが、物品税の納税申告を必要とする小売の月別の号別、品目番号、数量、販売価格(一部推計の方法によつているが、この点は後記のとおり)は別表(二)記載のとおりであることが認められ、右認定を妨げるに足る証拠はない。 四推計による課税の適否 1 物品税について推計課税の許容性(一) 実定法上推計課税に関する規定は、昭和二五年法律第七一号・同第七二号によつて、所得税法四六条の二第三項(現行二五六条)及び法人税法三一条の四第二項(現行一三一条)として追加されたのであるが、しかし、このような実定法上の根拠規定を欠く場合においても、信頼しうる調査資料を欠くために実額調査のできない場合に、適当な合理的な推計の方法をもつて課税標準額を算定することを禁止するものでないことは、納税義務者の課税標準額を捕捉するのに十分な資料がないだけで課税を見合わせることの許されないことからいつても、当然の事理であり(最高裁第二小法廷昭和 標準額を算定することを禁止するものでないことは、納税義務者の課税標準額を捕捉するのに十分な資料がないだけで課税を見合わせることの許されないことからいつても、当然の事理であり(最高裁第二小法廷昭和三九年一一月一三日判決・訟務月報一一巻二号三一二頁参照)、このことは、推計課税についての根拠規定を欠いている現行の物品税法のもとでも同様と解せられる。 (二) すなわち、物品税法三六条及び四六条四号は、課税物品の納税義務者である販売業者等に対し記帳義務を課し、課税物品の販売等に関する一定の事実を帳簿に正確に記載しなければならない旨定めて、その違反に対して罰則を設け、更に、物品税法四一条一項一号及び四六条七号は、課税庁の職員に右販売業者等に対する質問検査権を与え、右販売業者等が右職員の質問に答えなかつたり検査を拒んだりした場合に罰則を設けているが、右販売業者等の右各規定違反による帳簿書類の不備や課税調査の非協力等によつて物品税の課税標準額が明らかでない場合、実額計算をなし得ないが、そのため物品税の課税ができないということでは、課税の公平が保てないし、課税庁の責務上もこれを放置することは許されず、物品税についても推計課税が許されるといわねばならない。 2 推計課税の必要性と合理性(一) 前掲甲第一、第二号証、証人A及び同Bの各証言によれば、被告の主張2項の(一)及び(二)の各事実が認められ、右認定を妨げる証拠はない。 右事実によれば、原告の古物台帳の記載が課税物品の販売者として義務づけられている記帳すべき内容のうえからみて極めて不正確であるうえ、課税物品の在庫調査も拒否されるなど、被告としては原告が小売りした第一種の物品の物品税の課税標準を実額で把握し得ないことが明らかであり、被告が已むを得ず購入先等の反面調査を実施するなどして個々の購入価格等を把 庫調査も拒否されるなど、被告としては原告が小売りした第一種の物品の物品税の課税標準を実額で把握し得ないことが明らかであり、被告が已むを得ず購入先等の反面調査を実施するなどして個々の購入価格等を把握し、小売価格を推計する方法によつたことについて何ら違法な点はなく、推計の必要性が優に認められる。 (二) 前掲甲第一、第二号証、乙第一号証の一ないし三、乙第二号証の一ないし四、成立に争いがない乙第三号証及び証人Bの証言によれば、被告の主張3項の(一)ないし(三)の各事実が認められる。 右事実によると、貴石製石、真珠製品、貴金属製品及びべつこう製品等のそれぞれの合計小売価格に対する合計購入価格の割合(適用率)を算定し、その昭和四九年及び五〇年分の算定表が別表(三)であること、前記のとおり反面調査により把握し得た個々の購入価格に右適用率を乗じて小売価格を推計する方法は、原告店舗の小売の実態を反映したものとして合理性が認められる。 (三) 原告は、別表(三)の数量欄に掲げられた個数が貴石製品を除きいずれも僅少の個数であり、その算出された適用率には合理性が認められないと主張する。 しかし別表(三)記載の昭和五〇年のべつこう製品等の一個については、本件処分中に販売事績がなかつたため結果的にその適用率は用いられておらず、また、同表の真珠製品については、昭和四九年分及び昭和五〇年分の販売事績がいずれも四個と少ないが、昭和四九年分及び昭和五〇年分の各適用率がそれぞれ一四八パーセント及び一五一パーセントと極めて近似した数値を示しており、このことからも真珠製品の適用率に合理性を疑わせるもののないことが裏付けられているといいうる。 そして、本件処分に当たつて大部分の適用を占める貴石製品及び貴金属製品の適用率は十分な販売事績から算出されたものであり、本件の推計は全体として 性を疑わせるもののないことが裏付けられているといいうる。 そして、本件処分に当たつて大部分の適用を占める貴石製品及び貴金属製品の適用率は十分な販売事績から算出されたものであり、本件の推計は全体として合理性に富むものであることが認められる。 五課税物品該当性 1 原告は、申告漏れ物品のうち別表(四)に掲げる物品についての課税標準額を争う。 ところで、課税物品表の適用については、別段の定めがあるものを除き、同表記載の物品に他の物品を結合した物品を含むとされており(通則二号)、ここに結合した物品とは、二個以上の物品が一体となり一個の商品として取引される場合であつて、当該商品が二種以上の機能又は用途を有するものを指称すると解せられる。 2 そこで、別表(四)記載の物品についてみるに、ベルト付の白金又は金製バツクルは、一個のベルトとしてズボン等の保持の用途と装飾等の用途(身辺用細貨類)を有するものであり、レンズ付のべつこう製メガネ枠は、メガネとして視力の矯正の機能と装飾等の機能(身辺用細貨類)を有するものであり、ワニ皮金具付の象牙製キセル入れは、一個の喫煙用具としてきざみタバコ等の保管等の機能と装飾等を目的とする機能を有するものであり、しかも、前掲甲第一、第二号証及び証人Aの証言によれば、右各物品については、購入及び小売の各段階とも各別に価格の区分表示がなされておらず、購入当初から各別に小売することを全く予定していなかつたものと窺われ、現に一個の商品として小売りされているのであるから、購入及び小売の各段階とも一個の商品として価格が決定され、一個の商品として小売されたものと認めるべきものであつて、右各物品が結合物品に該当することは明らかである。 3 右のとおり別表(四)記載の物品はいずれも結合物品に該当するところ、通則二号によれば、結合物品は性状、 小売されたものと認めるべきものであつて、右各物品が結合物品に該当することは明らかである。 3 右のとおり別表(四)記載の物品はいずれも結合物品に該当するところ、通則二号によれば、結合物品は性状、機能、用途その他についての重要な特性を与える物品のみから成るものとみなされ、結合物品中重要な特性が課税物品表第一種の物品に該当すると認められる場合には全体が課税の対象とされることになるが、右各物品は次のとおりいずれも重要な特性が課税物品表第一種の番号三及び四号に該当すると認められ、不課税物品部分も含めた一個の商品全体が課税物品とみなされることになるので、本件処分のうち別表(四)記載の物品に関する分についても違法な点はない。 (一) レンズ付のべつこう製メガネ枠視力の矯正を目的とするレンズに着目してメガネを購入しようとする消費者は、眼鏡店等で検眼のうえ自分の度数に合つた新品のメガネを購入するのが通例であるが、本件のように古物店でレンズ付のべつこう製メガネ粋を購入する消費者は、視力矯正用としてのレンズに価値を見出すのではなく、専らべつこう製のメガネ粋の価値に着目して購入するのが通常であるから、課税物品たるべつこう製のメガネ枠が重要な特性を有するものと考えられ、第一種四号の物品である。 (二) 皮革製ベルト付の白金又は金製バツクル別表(四)の記載のベルト付のバツクルは、その小売価格が一一万円(ワニ皮ベルト付の白金製バツクル)及び四万九〇〇〇円(オーストリツチ皮黒バンド付の金製バツクル)とかなり高価な品物であるところ、古物である皮革製のベルトは第一次購入者の使用による損傷等も考えられ、皮革製ベルト部分の価格が前記価格のうちの大きな部分を占めるとは到底考えることができず、むしろ主たる価値は白金又は金製のバツクルにあるものというべく、右物品の第二次購入者 使用による損傷等も考えられ、皮革製ベルト部分の価格が前記価格のうちの大きな部分を占めるとは到底考えることができず、むしろ主たる価値は白金又は金製のバツクルにあるものというべく、右物品の第二次購入者は白金又は金製のバツクルの価値に注目して高価な商品を買受けたものと思料されるから、右物品は課税物品たる白金又は金製のバツクルが重要な特性を有するものであると認められ、第一種三号の物品である。 (三) ワニ皮金具付の象牙製キセル入れ右物品はキセル入れを主たる用途とするものであり、ワニ皮金具はキセル入れの付加価値を高めるために添加されたものに過ぎないとみられるうえ、古物である右物品中のワニ皮金具についても、素材的にみて第一次購入者の使用による損傷等によりその価値が減少しているのが通常であり、主たる価値は象牙製キセル入れにあるものというべく、右物品の第二次購入者も主として象牙製キセル入れの価値に着目して購入したものと窺われるので、右物品も課税物品たる象牙製キセル入れが重要な特性を有するものというべきで、第一種四号の物品である。 六返還に伴う物品税の控除関係 1 原告は、別表(五)記載の物品について物品税法二八条一項所定の返還控除の要件を充たしており、本件処分には原告の物品税額の算定に当たつて返還控除を考慮しなかつた違法があると主張する。 2 ところで、物品税法二八条一項及び二九条一項は、小売した第一種の物品の返還を受けた場合、小売後使用又は消費されたものである場合を除き、返還の日の属する月以後の提出期限内に提出する納税申告書にこれを記載して申告すれば、その物品税額に相当する金額を控除すると規定し、更に、物品税法二八条四項、同法施行令四六条三項は、その提出する納税申告書には、当該控除を受けようとする物品税額に相当する金額の計算に関する書類、すなわち当 物品税額に相当する金額を控除すると規定し、更に、物品税法二八条四項、同法施行令四六条三項は、その提出する納税申告書には、当該控除を受けようとする物品税額に相当する金額の計算に関する書類、すなわち当該返還の事実を証する書類に基づき、物品の号別、品目ごとの品名、税率区分の異なることの数量、価格及び物品税額並びにその合計等の計算書類を添付することを要すると規定している。 3 したがつて、原告において真実返還を受けた課税物品があり、その返還控除を求めるのであれば、返還による物品税の控除の要件に従つた事実を証する書類に基づき作成した計算書類を添付して申告すべきであり、右申告がない以上被告としては返還控除を考慮する余地がないのであるから、被告が本件処分において返還控除を考慮しなかつたことに何らの違法もない。 七物品税の課税標準額以上認定の原告が昭和四九年七月ないし五一年一一月に物品税の課税対象物品を小売した金額(別表(二)、但し一部前記適用率による推計が含まれる)によつて、同期間内の申告漏れの第一種の物品の課税標準額及び税額(過少申告加算税を含む)を算出すると、別表(一)の更正額欄記載のとおりであることが認められる。 八結論以上の次第で本件処分に原告主張の違法はなく、適法になされたものであることが認められるから、原告の本訴請求は理由がないので棄却することとし、訴訟費用の負担につき行訴法七条、民訴法八九条を適用のうえ、主文のとおり判決する。 (裁判官志水義文紙浦健二梅山光法)別表(一)(二)(五)(省略)
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