昭和24(れ)1585 傷害致死、傷害

裁判年月日・裁判所
昭和24年11月17日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。          理    由  弁護人志方篤上告趣意について。  原判決の認定した事実によれば、被告人は東京都台東区a町b番地飲食店レスト ラン、スター

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判決文本文1,444 文字)

主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人志方篤上告趣意について。 原判決の認定した事実によれば、被告人は東京都台東区a町b番地飲食店レストラン、スターことC方に居合せたとき判示第一の傷害の被害者露店商Dの弟、Aから戸外で商談するよう要求せられ、これを上野附近の露店街を根城とするいわゆるテキ屋数名が被告人に対し喧嘩を売りに来たものと判断し、刃渡約八寸の肉切庖丁を携えて戸外に現われ、これを見て逃げ出した右Aを追つて道路上に到り所携の庖丁を揮つてまず同人の頭部に斬り付け治療約三週間を要する左顱頂部切創を負わせ、更に逃げる同人を追跡して同区cd番地先露店街路上で靴修繕用の台金を持ち出した同人と互に得物をかざして相対峙し一進一退の状況にあつた際、同人といわゆる兄弟分の間柄にあつた露店商Bがこれを救わんとして素手で被告人に飛び掛かつて来るや、これを迎えて咄嵯に前記庖丁で同人の下腹部を突き刺し、因つて同人に対し長さ約四糎深さ腸骨窩に達し腸間膜の動脈を損傷する刺傷を負はせこれに基く失血のため同人をして死亡するに至らしめたというのである。右一連の事実関係の中、被告人がAと互に得物をかざして相対峠し一進一退の状況にあつたという一瞬時だけを切り離して観察すれば、被害者Bが被告人に飛び掛つて来たことは、或は所論のように被告人にとつて「急迫不正の侵害」とも見え、又被告人が右Bの下腸部を突刺したことも「自己ノ権利ヲ防衛スル為メ已ム事ヲ得ザルニ出テタル行為」と見られ得る観がないでもない。しかし、原審の認定したように被告人がテキ屋数名を相手として売られた喧嘩を買うつもりで肉切庖丁を携えてはじめた闘争が進展していつた一段階として見るならば、闘争中における形勢の幾変転は通常必然のことであつて、被告人がAと相対峙していたとき同 数名を相手として売られた喧嘩を買うつもりで肉切庖丁を携えてはじめた闘争が進展していつた一段階として見るならば、闘争中における形勢の幾変転は通常必然のことであつて、被告人がAと相対峙していたとき同人を救わんとしてテキ屋の一人である- 1 -Bが被告人に飛び掛つて来るようなことは数名を相手として喧嘩をする被告人の当然予期したところでもあり、かかる危険には被告人が進んで身をさらしたものに外ならない。しかのみならず、Bは、Aを救わんとしたもので被告人に攻撃を加えんとしたものではなく、しかも素手で飛び掛つて来たに過ぎないのである。さればこれを目して被告人に対する「急迫不正の侵害」とはいい得ないのである。又被告人がBを刺したのは、既にAの頭部に斬り付け更に追跡後引続き行つた行為であるから、喧嘩相手の一人に対して加えた闘争上の反撃に過ぎないものと見うるのであつてこれを目して「自己ノ権利ヲ防衛スル為メ己ムヲ得ザルニ出テタル行為」と断ずることはできないのである。そして原審認定の事実は原判決挙示の証拠に照らしこれを肯認するに難くないのであり、原審が弁護人の正当防衛の主張を排斥したのも前説示と同旨の見解に出たものと認められるのである。されば原判決には所論のような違法はなく論旨は理由がない。 よつて旧刑訴四四六条に従い主文の通り判決する。 この判決は裁判官全員の一致した意見である。 検察官十蔵寺宗雄関与昭和二四年一一月一七日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官岩松三郎裁判官沢田竹治郎裁判官真野毅裁判官斎藤悠輔- 2 - 沢田竹治郎裁判官 真野毅裁判官 斎藤悠輔

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