平成28年4月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成26年(ワ)第9920号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成28年3月16日判決原告株式会社モトロニクス同訴訟代理人弁護士朝倉正幸被告森川産業株式会社同訴訟代理人弁護士二宮麻里子同 秀島晶博 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 被告は,別紙被告製品目録記載の各製品を製造し,使用し,譲渡し,貸し渡し,若しくは輸出し,又は譲渡若しくは貸渡しの申出をしてはならない。 2 被告は,別紙被告製品目録記載の各製品を廃棄せよ。 3 被告は,原告に対し,4356万円及びこれに対する平成26年5月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は,別紙被告製品目録記載の各製品につき販売又はメンテナンスの勧誘をするに際して,別紙原告顧客情報(1)及び同(2)を使用してはならない。 5 被告は,原告に対し,別紙原告顧客情報(1)及び同(2)を廃棄し,また,別紙原告顧客文書を返還せよ。 6 被告は,「原告は商社にすぎないから,別紙被告製品目録記載のプリント基板の加工装置は,原告の開発した製品ではない。もともと被告の開発製品だ。」との虚偽の事実を告知し,又は流布してはならない。 7 訴訟費用は被告の負担とする。 8 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は,名称を「ワークの加工装置」とする発明についての特許権(特許第4343391号)を有する原告が,被告に対し,①被告が製造,販売又は 告の負担とする。 8 仮執行宣言第2 事案の概要 1 本件は,名称を「ワークの加工装置」とする発明についての特許権(特許第4343391号)を有する原告が,被告に対し,①被告が製造,販売又は販売の申出をしているプリント基板加工装置(X線基準穴明け機)である別紙被告製品目録記載の被告製品1ないし5(以下「被告製品1」ないし「被告製品5」といい,併せて「被告各製品」という。)が上記特許権(請求項1)の技術的範囲に属すると主張して,特許法100条1項及び2項に基づき被告各製品の製造,使用,譲渡,貸渡し,輸出,貸渡し・販売の申出の差止め及び廃棄を求めるとともに,不法行為に基づく損害賠償請求として3630万円(弁護士費用330万円を含む。)及びこれに対する不法行為の後の日である平成26年5月20日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,②原告が被告に対して開示した指示書・注文書等に記載された原告の取引先名,住所,担当者名,販売した機械の型名・仕様等の情報が原告の営業秘密に当たり,これを被告が競業目的で使用することが不正競争防止法(以下「不競法」という。)2条1項7号の不正競争に該当し,被告各製品の販売によって原告の営業上の利益が侵害されたと主張して,不競法3条1項及び2項に基づき上記情報の使用の差止め及び上記情報の廃棄を求めるとともに,不競法4条及び5条2項に基づく損害賠償請求として726万円(弁護士費用66万円含む。)及びこれに対する平成26年5月20日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求め(主位的請求),また,③被告が原告の取引先等に対し,「原告は単なる商社であり,被告各製品は原告の開発した製品ではない」などと虚偽事実を告知した行為が不競法2条1項14 による遅延損害金の支払を求め(主位的請求),また,③被告が原告の取引先等に対し,「原告は単なる商社であり,被告各製品は原告の開発した製品ではない」などと虚偽事実を告知した行為が不競法2条1項14号(平成27年法律第54号による改正前のもの。以下同じ。)の不正競争に当たり,虚偽告知を用いた被告の営業活動によ り原告の営業上の利益が侵害されると主張して,不競法3条1項に基づき虚偽事実の告知又は流布の差止めを求めるとともに,不競法4条及び5条2項に基づく損害賠償請求として上記②と同額の支払を求め(上記営業秘密に係る不正競争に基づく損害賠償請求に対する予備的請求),さらに④契約上の返還義務又は所有権に基づき,指示書,注文書,注文請書,取引先担当者の名刺及び被告が作成した顧客リスト等の文書の返還を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがない事実又は文中掲記した証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 当事者ア原告原告は,電子機器及び同部品の製造,加工,販売,修理等を業とする株式会社である。 イ被告被告は,鋳物製品の製造,加工及び販売並びに電子精密機械,通信機器,自動制御装置,計測機器,動力機器及びプラントの設計,製作,据付,販売等を業とする株式会社である。(乙1)(2) 原告の有する特許権原告は,次の内容の特許権(請求項の数6。以下,同特許権又は特許を「本件特許権」又は「本件特許」と,本件特許に係る明細書及び図面を「本件明細書等」といい,その内容は末尾に添付した特許公報記載のとおりである。)の特許権者である。 発明の名称:ワークの加工装置特許番号:特許第4343391号出願日:平成12年4月7日出願番号:特願2000-106343登録 である。)の特許権者である。 発明の名称:ワークの加工装置特許番号:特許第4343391号出願日:平成12年4月7日出願番号:特願2000-106343登録日:平成21年7月17日 (3) 本件特許(請求項1)に係る発明の内容本件特許(請求項1)に係る特許請求の範囲の記載は末尾添付の特許公報該当欄記載のとおりである(以下,請求項1記載の発明を「本件発明」という。)。 (4) 本件発明の構成要件本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,それぞれの記号に従い「構成要件A」などという。)。 A 撮像装置及び加工具が搭載された移動ユニットと,当該移動ユニットを一次元方向にスライド移動させる駆動手段と,前記駆動手段により移動された前記移動ユニットの一次元位置を検出するリニアスケール又はロータリエンコーダと,を具備し,前記移動ユニットに搭載された加工具をワーク上の所望位置へ移動させた後,該加工具を動作させて前記ワークの所望位置を加工するように構成されたワークの加工装置において,B 設定値の間隔にある少なくとも2つの基準位置マークが形成されたサブプレートを前記一次元方向に沿って配置し,C 前記サブプレートに形成された2つの基準位置マークを,前記移動ユニットに搭載された撮像装置で撮像して,基準位置マーク間の距離を前記リニアスケール又はロータリエンコーダで測定して測定値を求め,D この測定値に対する前記設定値の比率に基づいて,リニアスケール又はロータリエンコーダで測定される前記加工具の位置を補正するE ことを特徴とするワークの加工装置。 (5) 被告各製品及び被告の行為ア被告は,被告製品1,2及び4を製造し,平成23年冬頃,イビデン株式会社(以 測定される前記加工具の位置を補正するE ことを特徴とするワークの加工装置。 (5) 被告各製品及び被告の行為ア被告は,被告製品1,2及び4を製造し,平成23年冬頃,イビデン株式会社(以下「イビデン」という。)に対し,被告製品2を1台販売し,平成25年3月19日,中華人民共和国(以下「中国」という。)で開か れたショーに被告製品1を2台出展して,そのまま中国の企業2社に1台ずつ販売し,同年9月頃,協栄産業株式会社(以下「協栄産業」という。)に対し,被告製品2を1台販売した。(甲5,弁論の全趣旨)イ被告は,被告製品3及び5について,カタログを作成して宣伝をしたことがあるが,製造したことはない。(甲55の1・2,弁論の全趣旨)ウ被告製品1,2及び4は,構成要件A,C及びDを充足する。 (6) 調停の経緯等ア原告は,昭和59年頃から,被告に対し,機械類の製作等を委託していたが,その委託内容は,平成2年頃から,プリント基板加工装置であるX線基準穴明け機の設計及び製造が主体となった。 イ被告は,平成9年頃からDX-330という機種のX線基準穴明け機を,平成11年頃からDX-4H2という機種のX線基準穴明け機を,それぞれ開発・製造し,それらを原告が販売した。 平成17年には,DX-4H2の廉価版であるDX-4H2Eの開発が開始され,原告は,平成18年9月,DX-4H2Eの販売を開始した。 ウ被告は,平成21年8月6日,原告に対し機械製作請負代金の支払等を求める訴えを提起した。これに対し,原告は,被告に対し損害賠償金の支払を求める反訴及び設計図面等の引渡しを求める訴えを提起した。 エ上記ウの各事件は調停手続(以下「本件調停手続」という。)に付され,平成24年3月13日,原告が被告に対し和解金6000万円 金の支払を求める反訴及び設計図面等の引渡しを求める訴えを提起した。 エ上記ウの各事件は調停手続(以下「本件調停手続」という。)に付され,平成24年3月13日,原告が被告に対し和解金6000万円を支払うこと,調停成立の日から5年間,原告が被告に対し,対価を支払うことで図面の交付を請求できることなどを内容とする調停が成立した。同調停の調停条項(乙7)には次の記載がある(以下,同調停を「本件調停」,同調停条項を「本件調停条項」という。)。 「8 原告と被告は,これまでの原告と被告との取引の過程で作成された図面に基づいて,互いに開発,製作,販売,メンテナンスを行うことが できることを確認する(ただし,不正競争防止法が適用される場合については,この限りでない。)。」(乙6,7,33) 3 争点(1) 本件特許権侵害に基づく請求の可否ア被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか否か(ア) 被告各製品の構成(イ) 構成要件B,Eの充足性イ無効の抗弁の成否(ア) 公然実施による新規性喪失の有無(イ) サポート要件違反,明確性要件違反,実施可能要件違反の有無ウ本件調停による原告の許諾ないし権利不行使合意の存否エ権利濫用の抗弁の成否オ損害発生の有無及びその額(2) 営業秘密の不正使用又は虚偽告知に基づく請求の可否ア営業秘密該当性イ被告による営業秘密の使用の有無及び虚偽告知の有無ウ損害発生の有無及びその額(3) 文書返還義務の存否第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)ア(被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか否か)について〔原告の主張〕(1) 被告各製品の構成について被告各製品の構成は次のとおりである。 a 撮像装置及び加工具が搭載 争点(1)ア(被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか否か)について〔原告の主張〕(1) 被告各製品の構成について被告各製品の構成は次のとおりである。 a 撮像装置及び加工具が搭載された移動ユニットと,当該移動ユニットを一次元方向にスライド移動させる駆動手段と,プリント基板を吸着固定する移動テーブルと,当該移動テーブルを一 次元方向にスライド移動させる駆動手段と,前記駆動手段により移動された前記移動ユニット及び移動テーブルの一次元位置を検出するロータリエンコーダを具備し,前記移動ユニットに搭載された加工具をワーク上の所望位置へ移動させた後,該加工具を動作させて前記ワークの所望位置を加工するように構成されたワークの加工装置において,b 設定値の間隔にある13個の基準位置マーク(左ユニット用13個,右ユニット用13個の計26個)の構成されたサブプレートが一次元方向に沿って配置されている。 c 前記サブプレートに形成された基準位置マークを,前記移動ユニットに搭載された撮像装置で撮像して,基準位置マーク間の距離を前記ロータリエンコーダで測定して測定値を求める。 d 前記測定値に対する前記設定値の比率に基づいて,ロータリエンコーダで測定される前記加工具の位置を補正する。 e 上記aないしdの構成を有することを特徴とするプリント基板の加工装置である。 (2) 構成要件B,Eの充足性について本件発明の構成要件Bは,設定値の間隔にある少なくとも二つの基準位置マークが形成されたサブプレートを一次元的方向に沿って配置するものであるところ,被告各製品は,設定値の間隔にある13個(左ユニット用13個,右ユニット用13個の計26個)の基準位置マークが形成されたサブプレートが,一次元方向に沿って配置されている(構成 するものであるところ,被告各製品は,設定値の間隔にある13個(左ユニット用13個,右ユニット用13個の計26個)の基準位置マークが形成されたサブプレートが,一次元方向に沿って配置されている(構成b)。よって,被告各製品は,本件発明の構成要件Bを充足する。 そして,被告は,被告各製品が構成要件A,C,Dを充足することを認めているから,被告各製品は構成要件Eを充足する。 (3) 被告の主張に対する反論 ア被告は,本件発明のサブプレートについて,膨張率が極めて小さい材質が使用されたサブプレートに限定される旨主張するが,本件明細書等の次の各記載からすると,そのような限定がされていないことは明らかであるから,被告の上記主張は失当である。 「【0045】また上記した実施形態では,サブプレート14として,温度変化による膨張率の極めて小さい材質のものを使用する例について説明したが,サブプレート14の材質として,プリント基板10の材質と同一,或いは,同一の温度膨張率を有する材質を使用すれば,プリント基板10自体の周囲温度による伸縮に起因して生じる誤差をも補正することが出来るようになり,よりガイド穴の穿孔位置精度を向上させることが可能となる。 【0046】即ち,周囲温度が変化すると,プリント基板10自体もまた温度により伸縮するので,サブプレート14をプリント基板10と同一の材質,或いは同一の温度膨張率を有する材質で形成することにより,温度変化がもたらすプリント基板10の伸縮を補正することができる。これにより,より高精度なガイド穴の穿孔が可能となる。」イまた,本件発明は,少なくとも二つの基準位置マークが形成されたサブプレートであれば足り,それ以上の基準位置マークの有無は本件発明の構成要件該当性に係わりがない。 ウ被 穿孔が可能となる。」イまた,本件発明は,少なくとも二つの基準位置マークが形成されたサブプレートであれば足り,それ以上の基準位置マークの有無は本件発明の構成要件該当性に係わりがない。 ウ被告は,本件発明の実施品であるDX-4H2ではなく,DX-4H2Eを改良したものが被告製品1,2及び4であるから,被告製品1,2及び4は本件発明を充足しないかのような主張をしているが,DX-4H2Eは,DX-4H2においてリニアスケールであった位置検出の方法をロータリエンコーダに変更し,リニアスケールをやめる代わりにサブプレート上の基準位置マークの個数を増やしたものであって,その変更部分は本 件発明の構成要件の充足性には影響しないから,DX-4H2Eも本件発明の構成要件を充足している。 〔被告の主張〕(1) 被告各製品の構成についてア被告製品1,2及び4が,原告の主張する構成a,c及びdを有することは認める。被告製品3及び5は今後開発する予定のものであり,構成が確定していない。 なお,本件発明は原告の製品DX-4H2に使用されている技術であるが,被告製品1,2及び4は,DX-4H2ではなく,DX-4H2Eを改良して製作したものである。 イ被告製品1,2及び4において,サブプレートは,一次元方向ではなく,2次元方向に沿って配置されているから,構成bを有しておらず,そのため構成eも有しない。また,被告製品1,2及び4のサブプレートは,膨張率が少ないものに限定されるわけではなく,膨張率が判明している素材であれば,膨張率にかかわらず,どのような素材のものであってもよい点に特徴がある。 (2) 構成要件B,Eの充足性についてア本件発明の「サブプレート」について(ア)本件明細書等には次の各記載がある。 「【0013 ず,どのような素材のものであってもよい点に特徴がある。 (2) 構成要件B,Eの充足性についてア本件発明の「サブプレート」について(ア)本件明細書等には次の各記載がある。 「【0013】【発明が解決しようとする課題】・・・温度変化に起因して移動ユニット103a,103bに搭載されるドリル105a,105b間の距離の精度が悪くなることがあり,ガイド穴の穴明け位置に位置ズレを引き起こすという問題が発生していた。」「【0015】 【課題を解決するための手段】・・・前記サブプレートに形成された上記基準位置マークを,前記リニアスケール又はロータリエンコーダで測定し,この測定された距離に対する前記設定値の比率に基づいて,リニアスケール又はロータリエンコーダで測定される前記加工具による加工位置を補正することが特徴である。」「【0018】前記サブプレートは,温度変化による膨張率が極めて小さい材質を使用して構成されることが好ましい。・・・」(イ)上記(ア)の各記載からすると,本件発明は,膨張率が極めて小さいために温度変化による影響を極力受けない(マーク間の距離に変動を極力生じさせない)材質を使用して構成されたサブプレート上に形成された2点のマーク間の距離を指標として,加工具の位置ズレを防ぐものである。そのため,本件発明においては,サブプレートは,膨張率が極めて小さい材質でなければならない。 したがって,構成要件Bにおける「サブプレート」は,「膨張率が極めて小さい材質のサブプレート」と限定的に解釈すべきである。 イ構成要件B,Eの充足性について上記アのとおり,構成要件Bの「サブプレート」は膨張率が極めて小さい材質のものに限定されるが,被告製品1,2及び4のサブプレートはSUS304と べきである。 イ構成要件B,Eの充足性について上記アのとおり,構成要件Bの「サブプレート」は膨張率が極めて小さい材質のものに限定されるが,被告製品1,2及び4のサブプレートはSUS304というステンレス鋼を使用しており,この熱膨張率は被加工物の熱膨張率に比較して熱膨張を無視できるほどに極めて小さいものではない。 また,前記(1)イのとおり,被告製品1,2及び4では,サブプレートは,一次元方向ではなく,2次元方向に沿って配置されている。 以上から,被告製品1,2及び4は構成要件Bを充足せず,したがって, 構成要件Eも充足しない。 2 争点(1)イ(無効の抗弁の成否)について〔被告の主張〕(1) 公然実施による新規性喪失の有無についてア本件特許にかかる技術は,本件特許出願の1年程前から,原告の委託を受けて被告が開発・製造した製品において使用され,8社に対して販売されていた。それに加え,販売した製品に添付された取扱説明書には,本件発明の根幹部分であるサブプレートとその補正方法の具体的記述が存在する。そうすると,販売された製品(機械)を媒介として,本件発明が不特定人に知られうる状態におかれていたのみならず,本件発明の技術が記載された取扱説明書も不特定人が閲覧できる状態にあった。 よって,本件発明は,出願前に公然実施されていた発明であって特許法29条1項2号に該当するものであり,無効事由がある。 イ原告は,本件特許出願(平成12年4月7 日)前に販売していたDX-4H2(旧製品)は本件発明の実施品ではないから公然実施に当たらないと主張するが,仮に,原告が主張するように,DX-4H2(旧製品)では,各移動ユニットが一つの基準位置マークしか測定していなかったとしても,二つの移動ユニットが協働して本件特許の技 実施に当たらないと主張するが,仮に,原告が主張するように,DX-4H2(旧製品)では,各移動ユニットが一つの基準位置マークしか測定していなかったとしても,二つの移動ユニットが協働して本件特許の技術を実現していたのであるから,上記旧製品は,少なくとも本件特許の請求項2及び3の実施品に該当する。そして,二つの移動ユニットが協働する請求項2又は3の発明において,移動ユニットを一つに変更すると本件発明になるから,当業者は,DX-4H2(旧製品)から本件発明を容易に想到できた。 また,DX-4H2(旧製品)において,1本のリニアスケールの左の原点から左の基準位置マーク,右の原点から右の基準位置マークという形で,1本のリニアスケール上の左右の原点から基準位置マークの距離を計測していたのであれば,リニアスケール自体の長さは固定値であるので, 各原点からの各基準位置マークの距離を測定すれば当然に左右の基準位置マークの距離を算定することができるから,これは,直接に左右の基準位置マークの距離を実測することと同じである。そうすると,DX-4H2(旧製品)は本件発明を実施しているというべきであり,仮にそうでないとしても,当業者は上記技術から本件発明を容易に想到できた。 そうすると,DX-4H2(旧製品)が製造販売されていたという事実からして,本件発明は新規性及び進歩性を欠き,無効事由があるというべきである。 (2) サポート要件違反,明確性要件違反,実施可能要件違反の有無ア本件発明の目的は,「周囲温度の変化に関わらず,常に,高精度にプリント基板を加工することができるプリント基板の加工装置を提供すること」(本件明細書等の段落【0014】)である。 そして,本件明細書等には,本件発明の上記目的を実現するための実施例として,温度変 ント基板を加工することができるプリント基板の加工装置を提供すること」(本件明細書等の段落【0014】)である。 そして,本件明細書等には,本件発明の上記目的を実現するための実施例として,温度変化による伸縮が極めて小さい(もしくは熱膨張を実質的に無視できる)材質からなるサブプレート14に形成された二つの基準位置マーク15a,15b間の距離と,この距離をリニアスケール9により検出した値(測定値)との差から誤差データを取得し,この誤差データに基づいてドリル5a,5bの穿孔位置を補正することが開示されている(段落【0029】及び【0032】)。すなわち,基準位置マーク15a,15bの距離L1は,温度変化の影響を受けていない極めて信頼できる基準値を提供するものである。 一方,サブプレート14の基準位置マーク15a,15bの距離L1をリニアスケール9により実測した値(測定値)L2は,移動ユニット3a,3bを構成する各種部品の,温度変化による伸縮や,カメラの見え方に起因して発生した誤差ΔLを含んだ値(L2=L1+ΔL)であり,この誤差ΔLは,距離L2に比例すると考えられる。 以上から,本件発明の目的を達成するためには,移動ユニット3a,3bを構成する各種部品の,温度変化による伸縮や,カメラの見え方に起因して発生する誤差ΔLを検出できること,及びこの誤差ΔLに基づいてプリント基板10のガイド穴マーク間の距離Mを上記誤差ΔLに対応して補正できることが必須となる。換言すれば,移動ユニット3a,3bを構成する各種部品の温度変化による伸縮や,カメラの見え方に起因して発生する誤差(ΔL=L2-L1)を検出するための構成,つまり温度変化の影響を受けない,極めて信頼できる値(基準値)L1を提供するためのサブプレートが必須である よる伸縮や,カメラの見え方に起因して発生する誤差(ΔL=L2-L1)を検出するための構成,つまり温度変化の影響を受けない,極めて信頼できる値(基準値)L1を提供するためのサブプレートが必須である。 ところが,本件明細書等の請求項1には,サブプレートについて,「設定値の間隔にある少なくとも2つの基準位置マークが形成されたサブプレート」と記載されており,温度変化により伸縮する材料で構成されたサブプレートが排除されておらず,本件発明は,温度変化の影響を受けない,極めて信頼できる基準値L1を提供できない構成を含んでいるから,本件発明の目的を達成できない。 イまた,本件明細書等の段落【0045】及び【0046】には,上記とは異なり,「プリント基板10の材質と同一,或いは,同一の温度膨張率を有する材質」をサブプレートに使用する実施例が記載されている。 しかし,本件発明のサブプレートの構成は「設定値の間隔にある少なくとも2つの基準位置マークが形成されたサブプレート」であって,サブプレートの材質が,プリント基板と同一の温度膨張率を有する材質であるとの限定はされていない。そして,プリント基板と同一の温度膨張率を有する材質でサブプレートを構成した場合に,いかなる方法でガイド穴の穴明け位置が温度変化によるドリル105a,105b間の距離の精度を補正して高精度な位置決めでプリント基板を加工できるのか,またプリント基板10自体の周囲温度による伸縮に起因して生じる誤差をも補正すること ができるのかが開示されておらず,本件発明の目的を達成するための構成が当業者が容易に実施できる程度に開示されていない。 したがって,本件発明は,この実施例で支持された発明ともいえないのであって,その目的を達成できない。 ウ以上のとおり,本件明細 めの構成が当業者が容易に実施できる程度に開示されていない。 したがって,本件発明は,この実施例で支持された発明ともいえないのであって,その目的を達成できない。 ウ以上のとおり,本件明細書等の「設定値の間隔にある少なくとも2つの基準位置マークが形成されたサブプレート」なる記載は,発明の詳細な説明の実施例により支持されたサブプレートの材質ではないから,本件明細書等は,特許法第36条6項1号及び2号に違反するものである。 エまた,本件明細書等には,「設定値の間隔にある少なくとも2つの基準位置マークが形成されたサブプレート」を用いることにより本件発明の目的である「周囲温度の変化に関わらず,常に,高精度にプリント基板を加工すること」を可能にするための実施例が,当業者が容易に実施できる程度に記載されていないから,本件明細書等の記載は,特許法36条4項に違反する。 〔原告の主張〕(1) 公然実施による新規性喪失の有無についてア本件発明の不実施原告は,本件特許出願(平成12年4月7 日)前の平成11年6月9日から,DX-4H2(旧製品)を販売していたが,同製品は,本件発明の構成を備えていなかったから,公然実施の事実はない。 すなわち,DX-4H2(旧製品)では,基準位置マークは各移動ユニットにつき1個であり,その使用目的は,各移動ユニットを決められた位置にあるサブプレートの基準位置マークの穴位置に移動し,サブプレートの穴を計測して,あらかじめ登録した基準値と今回計測した数値を比較し,そのズレ量を演算してピッチ補正(移動ユニットの基準位置のずれ補正)を行うのもので,本件発明におけるサブプレートとは目的と構成を異にす るものであった。つまり,DX-4H2(旧製品)における補正は,移動ユニットの移動距離に対す の基準位置のずれ補正)を行うのもので,本件発明におけるサブプレートとは目的と構成を異にす るものであった。つまり,DX-4H2(旧製品)における補正は,移動ユニットの移動距離に対する比率によるピッチ補正ではなく,基準位置をオフセットするピンポイントでのピッチ補正であり,移動距離に対応していないため,サブプレートの基準位置マーク間のピッチは合うが,実際の加工範囲においてもオフセットする固定値のみの補正になり,移動距離に対する比率での補正ができないものであった。したがって,DX-4H2(旧製品)は,構成要件B,C及びDを充足しない。そして,原告は,本件特許出願後の平成17年6月29日から,本件発明の構成を備えたDX-4H2(新製品)を販売開始し,同年10月25日からDX-4H2(新製品)の廉価版であり,本件発明の構成を備えるDX-4H2Eが製造された。その後,平成20年9月26日に原告・被告間で紛争が発生した頃から,DX-4H2Eについて,原告はDX-524,被告はMXD-21(被告製品1)と型名のみを変えて製造を行ってきた。そして,被告製品2ないし5は被告製品1をベースとしたものである。 イ公然ではないこと仮に本件特許出願前に原告が販売していた製品が本件発明の実施品であったとしても,次のとおり十分秘密性が保たれていたから,公然実施には当たらない。 (ア) 原告は,被告のいう8社と秘密保持の合意をしていた。原告は,本件発明を含め機械装置の構造及び詳細機能に係る情報が,原告の競合他社に漏洩することを警戒していたから,顧客に対し,営業時,設置時,設置後において,これらの情報を「秘密」として取り扱うよう要請し,顧客はこれに応じた。特に,本件発明は,穴明け位置精度を飛躍的に改善するものであるため,一層「秘密」として取り 対し,営業時,設置時,設置後において,これらの情報を「秘密」として取り扱うよう要請し,顧客はこれに応じた。特に,本件発明は,穴明け位置精度を飛躍的に改善するものであるため,一層「秘密」として取り扱うよう要請した。そして,原告の顧客も,原告に対し,原告の機械を設置したことを当該顧客の競合他社に漏洩することを禁じ,原告はこれに応じていた。このよう に,原告と原告の顧客との間で秘密保持の合意がされていた。 (イ) X線基準穴明け機における本件発明の実施部分は,装置内部の機構及び制御ソフトとして組み込まれている部分であるので,外観からその技術内容を認識することはできない。本件発明の技術内容を把握するには,X線で撮像し基準の穴を見なければならないが,基準の穴にはゴミの混入を防ぐためにカバーがされているから,外部から確認することはできないし,サブプレートは機械内部で演算され,動作するため,第三者は勿論,作業者であってもその技術内容について認識することはできない。 また,X線基準穴明け機はX線装置を装備しているので,機械内は放射線管理区域であり,みだりに分解等をすると作業者は被爆するおそれがあること,本件発明の実施部分の分解作業は機械の精度に甚大な障害を与えるおそれがあることなどから,分解作業は,原告又は原告監督下での第三者しかできないことなどを顧客に伝え,顧客も了解していたので,顧客自身も本件発明の内容を知ることはできなかった。 (ウ) 原告が指摘する取扱説明書には,基本的なタッチパネル画面の操作方法の説明が記載されているにすぎず,具体的な補正方法は記載されていないから,上記取扱説明書を閲覧しても本件発明の内容を知ることはできない。 (2) サポート要件違反,明確性要件違反,実施可能要件違反の有無被告の主張は争う。周囲 体的な補正方法は記載されていないから,上記取扱説明書を閲覧しても本件発明の内容を知ることはできない。 (2) サポート要件違反,明確性要件違反,実施可能要件違反の有無被告の主張は争う。周囲温度の変化等に起因してワークの加工位置にズレが生じた場合にこれを補正するためには,周囲温度の変化等の影響を除去した基準のスケールを使用することが必要であるが,本件発明は,この基準のスケールをサブプレートに形成された二つの基準位置マークとして設定したものである。そして,基準のスケールは,周囲温度の変化等が発生した場合にも,常にその値が確認できるものであることが必要条件である。被告のいう「①膨張率が極めて小さい材質のサブプレートと②膨張率がワークと略同 一の温度膨張係数を有する材質のサブプレート」は,上記基準のスケールの必要条件を容易に満たすものであるが,これに限定する必要はなく,サブプレートの熱膨張係数が分かっている場合には温度補正の計算を行うことにより,その値が確認できるので基準のスケールとして使用できることは,当業者であれば容易に理解できる。 したがって,温度変化により伸縮する材料で構成されたサブプレートでは本件発明の目的を達成できないことを前提とする被告の主張は失当である。 3 争点(1)ウ(本件調停による原告の許諾ないし権利不行使合意の存否)について〔被告の主張〕(1) 原告と被告との間において,「原告と被告は,これまでの原告と被告との取引の過程で作成された図面に基づいて,互いに開発,製作,販売,メンテナンスを行うことができることを確認する」旨の条項(8項)を含む本件調停条項により調停が成立している。 本件調停条項8項は,原告及び被告が電子機器メーカーとして互いに切磋琢磨し,自由競争を行えるようにするための できることを確認する」旨の条項(8項)を含む本件調停条項により調停が成立している。 本件調停条項8項は,原告及び被告が電子機器メーカーとして互いに切磋琢磨し,自由競争を行えるようにするためのものである。原告は,原告と被告との間で紛争が生じる遙か前に本件特許出願をしており,本件調停に係る訴え提起時には,本件特許の登録を受けていたというのであるから,上記8項の趣旨を十分に認識した上で,本件特許を有していることを前提として本件調停に合意したのである。 (2) そして,本件調停条項8項によれば,被告は,それまでに作成した図面に基づき,製品の開発,製造,販売等を行うことができる。本件特許は,原告から依頼を受けて被告が開発した技術であり,同技術を使用して,原告製品であるDX-4H2及びその後継機種であるDX-4H2Eの図面が作成されている。とすれば,原告が本件特許権を有しているか否かにかかわらず,また,開発発注書(甲9)に「開発研究にかかる成果は,その全てを原告が 所有する」旨の文言があるか否かにかかわらず,本件調停条項8項に基づき,被告が,これまでの原告と被告との間の取引の経過で作成されたこれらの図面を用いて,新製品を開発することは,当然に認められるものである。 〔原告の主張〕(1) 本件調停条項8項は,被告が本件発明を実施する根拠とはなり得ない。本件調停において,原告は,被告が図面に基づき機械を製造することを認めたにすぎず,工業所有権の使用まで認めたものではない。 (2) 本件調停条項8項は,両者が電子機器メーカーとして互いに切磋琢磨し,自由競争を行えるようにするために考えられた条項である。もっとも,自由競争といっても,一定のルールのもとに行うべきであることは当然であり,被告が本件発明を使用するためには,原告との間 に切磋琢磨し,自由競争を行えるようにするために考えられた条項である。もっとも,自由競争といっても,一定のルールのもとに行うべきであることは当然であり,被告が本件発明を使用するためには,原告との間で実施許諾契約を締結する必要があると原告は考えていた。 このことは,本件調停条項の7項に,原告が,被告に対し,図面一式の交付を受ける場合には35万円もの費用を支払う旨規定されていることに照らしても,被告が,無償で本件発明を使用することができるとするのは,あまりに不公平であることからも明らかである。 本件発明は,本件調停条項のいう「図面」とは性格が異なる技術であり,本件特許権は,図面の使用とは異なる権利である。もとより原告は,本件発明は本件調停とは係わりがないものと理解していた。 原告が,本件調停に合意したのは,本件発明の存在とは係わりのない事情によるものである。そして,本件発明にかかる図面は,何十種類もの原告,被告間で取引をしていた機種のうちのわずか二機種にすぎないうえに,原告が後継機種であるDX-4H2Eを標準機としてラインナップした後は,DX-4H2は製造しなくなっており,実質は一機種であった。 (3) 原告は,原告と被告との間の紛争が生じる遥か前に本件特許を出願しており,本件調停の前身である訴え提起時には,本件特許の登録を受けていた。 本件発明は公表されており,原告がこれを秘密にしていたものではない。原告は,本件特許を出願したことについて,被告の元取締役の乙ⅰ部長に伝えていたし,被告の工場入り口に掲示されていたDX-4H2EのカタログにはPAT.Pと記載されている。 (4) なお,被告は,本件発明は,原告から依頼を受けて,被告が開発した技術であると主張しているが,本件発明は原告が発明したものであり,原告は被告に機 カタログにはPAT.Pと記載されている。 (4) なお,被告は,本件発明は,原告から依頼を受けて,被告が開発した技術であると主張しているが,本件発明は原告が発明したものであり,原告は被告に機械の設計を依頼したにすぎない。 4 争点(1)エ(権利濫用の抗弁の成否)について〔被告の主張〕本件特許は,原告の依頼を受けて被告が開発を行った技術について,すでに同技術を使用した製品を製造,販売しているにもかかわらず,原告が被告に無断で出願したものである。そして,その後,原告と被告との間で訴訟が係属している間も原告はその存在を秘匿し,本件調停において本件発明内容を含む図面の使用を認める合意をしたことからも分かるように,被告が本件特許権を使用することを当然の前提として本件調停が成立した。 このような経緯に照らすと,原告が,被告に対し,本件特許権に係る請求をすることは,本件調停を反故にしようとするものであって,権利の濫用に当たり許されない。 〔原告の主張〕争う。本件特許は原告の前代表取締役である甲ⅰ(以下「甲ⅰ前代表」という。)が発明したものであって,被告が開発したものではない。また,原告は,本件調停において図面の使用を認めたにすぎず,特許権の使用を認めたものではない。さらに,原告は,本件特許出願の事実を,被告の乙ⅰ部長に伝えていたし,被告の工場入口の壁にはPAT.Pと記載された原告のDX-4H2Eのカタログが掲示されていた。 5 争点(1)オ(損害発生の有無及びその額-本件特許権侵害に基づく請求に関し) について〔原告の主張〕(1) 被告各製品の販売による原告の損害ア被告の売上高被告による被告各製品の販売台数は4台であり,被告が被告各製品を販売したことにより得た売上金額は,合計9800万円 告の主張〕(1) 被告各製品の販売による原告の損害ア被告の売上高被告による被告各製品の販売台数は4台であり,被告が被告各製品を販売したことにより得た売上金額は,合計9800万円を下らない。被告は,被告製品1を中国企業2社に2000万円で1台ずつ,被告製品2(MXD-41UL)1台をイビデンに3800万円で,被告製品2(MXD-41)1台を協栄産業に2000万円で売却した。 イ製造原価6500万円を上回らない。 ウその余の費用の控除被告は,新たな投資や人件費の増加を要することなく被告各製品を製造販売できたから,金型費用や販売費及び一般管理費を利益から控除するのは相当ではない。 エ被告が得た利益は3300万円である。 (9800万円-6500万円=3300万円)そして,被告が被告各製品の販売により得た利益額3300万円は,特許法102条2項により原告の損害額と推定される。 (2) 弁護士費用本件訴訟追行に当たって相当な弁護士費用は,上記損害賠償請求額3300万円の10%である330万円である。 (3) したがって,損害の合計額は3630万円となる。 〔被告の主張〕(1) 被告各製品の販売による原告の損害についてア販売価格 中国企業2社に対する販売価格は各1300万円,協栄産業に対する販売価格は1800万円であった。 イ製造原価おおむね認める。 ウその余の費用の控除否認ないし争う。被告は,被告製品1,2及び4の開発及び製造のために,測長器の購入費用として1300万円,工場の設備費用として300万円以上,全ての機材の校正費用として100万円以上,キャドの新規購入費用として130万円を支出し,さらに開発者を新たに雇用している。 このように,被告は, て1300万円,工場の設備費用として300万円以上,全ての機材の校正費用として100万円以上,キャドの新規購入費用として130万円を支出し,さらに開発者を新たに雇用している。 このように,被告は,被告製品1,2及び4を新規開発するために,少なく見積もっても2000万円を優に超える額を支出した。 (2) 弁護士費用については争う。 6 争点(2)ア(営業秘密該当性)について〔原告の主張〕(1) 原告は,原告と被告との間の請負契約に基づき被告が顧客に対し完成品を直送する必要があったことから,被告に対し,別紙原告顧客情報(1)及び同(2)(以下「原告顧客情報」という。)を開示した。 (2) 原告顧客情報は,次のとおり,営業秘密に該当する。 ア秘密管理性原告顧客情報の内容は,顧客に,どのような機械が納入されたかという情報を含むものであり,性質上,秘密情報であることが明らかである。 そして,原告は,原告顧客情報が競合他社に漏れることを防ぐために秘密として管理しており,被告に交付した指示書,注文書,注文請書などの控えをそのままひとまとめにして,保管管理者の施錠してある机の引出に慎重に保管している。 また,原告顧客情報が秘密情報であることは被告も認識していたが,原 告は,念のため,部外秘であること及び取扱に注意を要することを被告の乙ⅰ部長に口頭で伝えた。 イ有用性原告顧客情報には,各会社の担当者名,部署名,連絡先まで含まれているところ,具体的な担当者名および連絡先を知らずに営業活動をしても顧客に門前払いされることから,営業活動上,担当者名等の情報は有用である。 ウ非公知原告顧客情報は非公知である。 〔被告の主張〕(1) 別紙原告顧客情報(1)が記載されていると原告が主張する別紙1ないし1 営業活動上,担当者名等の情報は有用である。 ウ非公知原告顧客情報は非公知である。 〔被告の主張〕(1) 別紙原告顧客情報(1)が記載されていると原告が主張する別紙1ないし19の指示書又は注文書(以下「本件指示書等」という。)が,原告から被告に開示され,被告が保有していたことは認めるが,被告は,原告からデータベース化された情報の開示を受けたことはないし,被告が,原告から開示を受けた情報をデータベース化したこともない。 (2) 原告顧客情報が営業秘密に該当するという原告の主張は,次のとおり否認ないし争う。 ア秘密管理性について原告は,顧客から注文を受けると,当該顧客の要望に合わせて機械の仕様変更を行って製造するために必要な指示内容を本件指示書等に記載し,被告に送付した。本件指示書等には,多岐にわたる指示内容が記載されており,被告の技術開発にかかわる従業員や発注業務を行う従業員など,多くの者が閲覧することが想定されるものである。加えて,原告と被告との間で,ファクシミリで本件指示書等のやり取りがされていたが,当時の被告の機器部門は社屋2階の大部屋に所在しており,流体機器ブロック及びその資材部門,製造部,産業機械部という,設計,資材,製造等にかかわ る従業員が同一フロアーで業務に従事しており,少なくとも20余名が一つのファクシミリを共同で使用し,また1階の製造現場では10余名の従業員が作業をしていたが,部品材料の入荷確認のため,日常的に,2階に設置されたファクシミリを見に来ていた。そのため,ファクシミリの書類受けに印字されて置かれていた本件指示書等は,当該文書にかかる業務に無関係な被告の従業員までもが自由にその内容を見ることが可能であった。原告も上記事情を理解していたにもかかわらず,被告が受信した 類受けに印字されて置かれていた本件指示書等は,当該文書にかかる業務に無関係な被告の従業員までもが自由にその内容を見ることが可能であった。原告も上記事情を理解していたにもかかわらず,被告が受信した本件指示書等には「部外秘」「営業秘密」等の記載をしていなかった。このような状態では,本件指示書等にアクセスした者は,営業秘密が記載されているものと認識することはできない。 したがって,原告顧客情報が記載された本件指示書等は,秘密管理されていなかった。 イ有用性について争う。 ウ非公知性について争う。本件指示書等に記載された顧客に係る情報は,市販されている「プリント回路メーカー総覧」(乙9)に掲載されている。また,穴明け機を必要とするメーカーについては,インターネットで「矢野経済研究所」のホームページから一覧を申込むことで,有償で情報を取得することもできる。さらに,被告は,秘密保持義務を負うことなく原告から本件指示書等の送信を受けている。なお,原告と被告との間で秘密保持契約(甲54)が締結されていたが,これは技術的な事項を念頭においたもので,顧客情報を対象としたものではない。 よって,原告顧客情報は非公知ではない。 7 争点(2)イ(被告による営業秘密の使用の有無及び虚偽告知の有無)について〔原告の主張〕 (1) 営業秘密の保有者からその営業秘密を示された場合において,不正の競業その他不正の利益を得る目的で,その営業秘密を使用する行為は,不正競争行為である(不競法2条1項7号)。 被告は,原告顧客情報にある取引先に,被告各製品の販売を目的として,被告各製品のパンフレットを送付し,又は電話,ファクシミリ送信などを利用して,被告各製品の説明をし,もって購入を勧誘し,また,原告が納入したプリン 情報にある取引先に,被告各製品の販売を目的として,被告各製品のパンフレットを送付し,又は電話,ファクシミリ送信などを利用して,被告各製品の説明をし,もって購入を勧誘し,また,原告が納入したプリント基板の加工装置のメンテナンスの勧誘をするなどして,原告顧客情報を使用した。 (2) 被告は,平成22年2月頃から,原告の取引先を含む業者に対し,「原告は商社にすぎないから,別紙被告製品目録記載のプリント基板の加工装置は,原告の開発した製品ではない。原告は代理店にすぎない。もともと被告の開発製品だ。」との虚偽の事実を告げ,又は流布し,被告各製品の販売行為やメンテナンスの勧誘行為を行っている。 この虚偽の事実の告知行為は,原告顧客情報の使用行為に前後して行われた。 (3) 被告による具体的な営業秘密の使用行為及び虚偽の事実の告知流布行為は次のとおりである。 ① 株式会社ヤマモトエレクトロニクス(以下「ヤマモトエレクトロニクス」という。)被告は,ヤマモトエレクトロニクスの技術課長である丙ⅰ氏に対し,挨拶状(甲7の1)及び被告の取扱い製品のパンフレット(甲7の2ないし4)を直接送付した。このことは平成22年2月8日に判明し,丙ⅰ氏は,同日,原告の担当者に上記挨拶状及びパンフレットを交付した。 挨拶状(甲7の1)の内容をみると,「平素は格別のお引き立てを賜わり,厚く御礼申し上げます。」との記載や,前提を述べずにいきなり「この度,株式会社モリカワは,・・・取り扱うこととなりました。」という記載 があることから,初めて連絡する相手に対するものではなく,従前,何らかのつながりを有していたことを前提としたものとなっている。そうすると,上記挨拶状及びパンフレットは,被告が原告の下請けとしての立場において顧客と関係があったことを踏 対するものではなく,従前,何らかのつながりを有していたことを前提としたものとなっている。そうすると,上記挨拶状及びパンフレットは,被告が原告の下請けとしての立場において顧客と関係があったことを踏まえ,今後,独自に新機種の新規受注やメンテナンス等を取り扱うことになったことを知らせるものであることは明らかである。 さらに,上記挨拶状の内容から,被告は,同趣旨の挨拶状を,従前,原告の下請け会社として関係していた取引先に対し,広範囲に送付したことがうかがわれる。 ② 沖プリンテッドサーキット株式会社(以下「沖プリンテッド」という。)被告は,沖プリンテッドの技術開発チームの丙ⅱ氏に対し,挨拶状及び被告の取扱い製品のパンフレット(甲7の1ないし4と同様のもの)を直接送付した。このことについて,丙ⅱ氏が,平成22年2月9日,原告の担当者に対し,「どういうことですか。」と尋ねた(甲6の2の②。「B00209H」との記載があるが,「B」は201の意味であり,「B00209」は2010年2月9日,「H」は原告の担当者の頭文字(H=甲ⅱ)を意味する。甲6の2について以下同様。)。 ③ エルナー株式会社(以下「エルナー」という。)浅井工場被告は,エルナー浅井工場のプリント回路事業部製造グループ整備係である丁ⅵ氏に対し,挨拶状及び被告の取扱い製品のパンフレット(甲7の1ないし4と同様のもの)を直接送付した。原告は,平成22年2月8日,丁ⅵ氏から当該事実を口頭で確認した(甲6の2の③)。 ④ イビデン樹脂株式会社(以下「イビデン樹脂」という。)被告は,イビデン樹脂の丙ⅲ部長に対し,挨拶状及び被告の取扱い製品のパンフレット(甲7の1ないし4と同様のもの)を直接送付した。原告は,平成22年2月12日,丙ⅲ部長から当該事実を口頭で確認した。 ビデン樹脂の丙ⅲ部長に対し,挨拶状及び被告の取扱い製品のパンフレット(甲7の1ないし4と同様のもの)を直接送付した。原告は,平成22年2月12日,丙ⅲ部長から当該事実を口頭で確認した。 ⑤ パナソニック電工郡山株式会社(以下「パナソニック」という。)被告は,パナソニックの技術課の丙ⅳ氏に対し,挨拶状及び被告の取扱い製品のパンフレット(甲7の1ないし4と同様のもの)を直接送付した。 原告は,平成22年2月18日,丙ⅳ氏から当該事実を口頭で確認した(甲6の2の⑤)。 ⑥ 株式会社メイコー本社(以下「メイコー」という。)被告の乙ⅱ(以下「乙ⅱ」という。)及び乙ⅲ並びに株式会社モリカワ(以下「モリカワ」という。)の乙ⅳ(以下「乙ⅳ」という。)らが,平成22年8月20日,メイコーの設備技術部事業の丙ⅵ氏を訪ね,被告の取扱い製品の説明を行った。原告は,その後まもなく,丙ⅵ氏から当該事実を口頭で確認した。 ⑦ イビデン被告は,イビデンの開発技術グループの丙ⅶ氏に対し,機械は被告の製品で,直接修理することも何の問題もないと説明した。原告は,平成22年9月26日,丙ⅶ氏から当該事実を口頭で確認した(甲6の2の⑦)。 ⑧ イビデン原告が,平成22年9月29日に,イビデンの技術統括部生産技術グループの丙ⅷ氏を訪問し,修理の状況の確認を行っている最中,被告担当者と遭遇したことから,問いただしたところ,修理を行っている途中であると返答があった(甲6の2の⑧)。 ⑨ 株式会社山本製作所(以下「山本製作所」という。)被告は,山本製作所の現場宛に原告製品の修理等について問合せをした。 原告は,平成22年12月2日,山本製作所の技術課の丙ⅸ課長から当該事実を口頭で確認した(甲6の2の⑨)。 ⑩ パナソニック被告は,パナソニックの 現場宛に原告製品の修理等について問合せをした。 原告は,平成22年12月2日,山本製作所の技術課の丙ⅸ課長から当該事実を口頭で確認した(甲6の2の⑨)。 ⑩ パナソニック被告は,パナソニックの技術課の丙ⅳ氏に新年の挨拶状を送付した。原 告は,このことを平成23年1月14日に知った(甲6の2の⑩)。 ⑪ 協栄産業被告は,協栄産業の技術課の丙ⅹ氏に新年の挨拶状を送付した。原告は,このことを平成23年1月14日に知った。丙ⅹ氏は,挨拶状と封筒は破棄したが(甲8の4の右下メモ),その内容は,大日本印刷株式会社(以下「大日本印刷」という。)に送付された挨拶状(甲8の2)と同じ内容であったと述べた。 ⑫ 大日本印刷被告は,大日本印刷の技術の丁ⅰ氏に新年の挨拶状を送付した。原告は,このことを平成23年1月17日に知り,丁ⅰ氏から上記送付物(甲8の1ないし3)を入手した。 上記挨拶状をみると,「あけましておめでとうございます」の次にすぐ,「昨年より,森川ブランドとして,X線基準穴明機『MXDシリーズ』の生産・販売を開始致しました。」という文章があることから,被告が原告の下請けであったことをふまえて送付したものであることが明らかである。 ⑬ イビデン樹脂イビデン樹脂の本社の丙ⅲ部長が,平成22年10月29日,原告に対し,被告にカメラ交換修理を発注した旨及び被告とイビデン樹脂との間で修理に係る契約を締結した旨伝えた。原告は,平成23年4月5日,丙ⅲ部長から上記事実を口頭で確認した(甲6の2の⑬)。 ⑭ 日本エレクトロニクス株式会社(以下「日本エレクトロニクス」という。)原告が,平成23年5月18日,日本エレクトロニクスの丁ⅱ氏に電話をしたところ,原告が見積りを提出していた震災の復旧工事について,被告が受注して工事を行 社(以下「日本エレクトロニクス」という。)原告が,平成23年5月18日,日本エレクトロニクスの丁ⅱ氏に電話をしたところ,原告が見積りを提出していた震災の復旧工事について,被告が受注して工事を行ったことが分かった。 また,原告が,平成25年2月26日,営業で日本エレクトロニクスを訪問した際,上記の件について確認をしたところ,被告が日本エレクトロ ニクスを挨拶訪問し,「原告と縁は切れているが製造元は被告である」旨説明し,復旧工事を行ったことが発覚した(甲6の2の⑭)。 ⑮ 皆見電子工業株式会社(以下「皆見電子」という。)原告は,皆見電子に対して移設の見積りを提出していたが,皆見電子は,三晃技研工業株式会社(以下「三晃技研」という。)という商社を通じて被告に発注した。原告は,このことを平成23年5月20日に知った。 原告が,平成24年7月12日,皆見電子の丁ⅲ社長及び製造部の丁ⅳ課長と面談し,被告へ発注した経緯を確認したところ,「原告は商社であり,装置製造元は被告であるとの説明を受けた。また原告と被告の関係が解消しているのは知らなかったため,装置メーカーが被告であり,原告は販売元の一つであると思った。そのため,三晃技研の取引ルートも正式なルートであると思い,見積りを原告から取っていたが,三晃技研から相見積りを取ったところ,三晃技研のほうが安かったため,三晃技研経由で被告に発注した。」との説明を受けた(甲6の2の⑮)。 ⑯ イビデン被告が,平成22年9月頃,イビデンに対し,機械は被告製品である旨説明したことから,イビデンは,被告に対し,自動投入機付のMXD-41(被告製品2)を発注した。原告は,平成23年5月25日,イビデンの丁ⅴ氏から当該事実を口頭で確認した(甲6の2の⑯)。 ⑰ エルナーエルナーが,原告製 ,被告に対し,自動投入機付のMXD-41(被告製品2)を発注した。原告は,平成23年5月25日,イビデンの丁ⅴ氏から当該事実を口頭で確認した(甲6の2の⑯)。 ⑰ エルナーエルナーが,原告製品の改造について,原告と被告の双方から見積りをとり,被告に発注した。原告は,平成23年7月25日,エルナーの丁ⅵ氏から上記事実を口頭で確認した(甲6の2の⑰)。 ⑱ 矢橋大理石株式会社(以下「矢橋大理石」という。)被告が,矢橋大理石を挨拶訪問し,「イビデンの原告製品のメンテナンスを被告が現在行っている。また,原告より安く,即対応できる。原告は 商社的なもので,被告がもともと製造元であり,メーカーとして対応できる。」と伝え,さらに原告との関係が破綻した件については,原告が酷い会社で,今後,公的機関での闘争も充分に勝つ分があるなどと説明した。 原告は,平成23年7月13日,矢橋大理石の丁ⅶ氏から上記事実を口頭で確認した(甲6の2の⑱)。 ⑲ 伊原電子工業株式会社(以下「伊原電子」という。)被告が,三晃技研とともに,伊原電子を挨拶のため訪問し,「原告は商社で被告はメーカーでメンテを含めて安心できる。」などと説明した。原告は,平成23年7月13日,伊原電子の丁ⅷ氏から上記事実を口頭で確認した。 原告が,平成25年11月5日,伊原電子を訪問して上記内容を書面にすることを依頼したところ,伊原電子から,「当社の主要取引先である商社に不利なうえに当社に有益なことが無いため文書として提出することは不可となりました。」という内容の電子メールが原告に届いた。この商社とは三晃技研のことであり,この内容からも,被告が不当なことを行っていると伊原電子も判断したと思われる(甲6の2の⑲)。 ⑳ 山本製作所被告は,平成23年8月,山本製作所の 告に届いた。この商社とは三晃技研のことであり,この内容からも,被告が不当なことを行っていると伊原電子も判断したと思われる(甲6の2の⑲)。 ⑳ 山本製作所被告は,平成23年8月,山本製作所の生産技術の丙ⅸ氏を訪問し,X線穴明け機の売込みを行った上,現行機のメンテナンスも可能であり,また,原告の特許には抵触しない旨述べ,価格や部材納期についても協力可能であると説明した。原告は,平成23年9月21日,丙ⅸ氏から上記事実を口頭で確認した(甲6の2の⑳)。 ㉑日本セミトロン株式会社(以下「日本セミトロン」という。)被告は,原告のものとほとんど同じ仕様書(甲21)を日本セミトロンに渡し,日本セミトロンは被告に見積りを依頼した。原告は,平成23年10月5日,日本セミトロンの丁ⅸ氏から上記事実を口頭で確認した。 ㉒パナソニック原告が,刻印機の見積りをパナソニックに提出していたが,パナソニックは,被告に発注した。これは,被告が原告顧客情報を使用してパナソニックの担当者と接触した結果である。また,パナソニックは,平成23年1月頃から2,3件の修理を被告に発注していた。原告は,同年12月14日,パナソニックの丙ⅳ氏から上記発注の事実を確認した。 被告は,前記⑤のように,再三に渡り,パナソニックに対し,原告製品の修理及び新規製品に係る営業を繰り返していた。被告が,原告と被告の関係が解消していることを説明しなかったため,パナソニックは何の問題もないと思い被告に発注したと言っていた(甲6の2の㉒)。 ㉓山本製作所被告は,山本製作所の生産技術の丙ⅸ氏に対し,JPCAShow2012出展の案内(甲18の1・2)を送付した。原告は,平成24年5月23日,丙ⅸ氏から上記事実を口頭で確認した(甲18の1の右下欄メモ)。 ㉔ 作所の生産技術の丙ⅸ氏に対し,JPCAShow2012出展の案内(甲18の1・2)を送付した。原告は,平成24年5月23日,丙ⅸ氏から上記事実を口頭で確認した(甲18の1の右下欄メモ)。 ㉔田中貴金属工業株式会社(以下「田中貴金属」という。)被告は,田中貴金属の製造の丁ⅹ氏に,「原告とは縁が切れている。DX-4H2の製造元は被告で,新規製作,現行機の修理・部品供給が可能である。是非,お引合い頂きたい」との内容で,被告製品1及び2の販売促進並びに原告製品の修理・オーバーホールの案内をした。原告は,平成24年7月9日,田中貴金属の戊ⅰ氏から上記事実を口頭で確認した(甲6の2の㉔)。 ㉕大日本印刷被告は,大日本印刷の技術の丁ⅰ氏に対し,突然電話をかけ,原告製品について修理,点検の案内を行った。また,被告製品1及び2の案内も行った。原告は,平成24年8月3日,丁ⅰ氏から上記事実を口頭で確認し た(甲6の2の㉕)。 ㉖パナソニック被告は,パナソニックの製造の丙ⅳ氏を挨拶訪問した。原告は,平成25年1月25日,丙ⅳ氏から上記事実を口頭で確認した(甲6の2の㉖)。 ㉗日本シイエムケイマルチ株式会社(以下「日本シイエムケイ」という。)原告が,平成25年2月18日,日本シイエムケイにおいて修理作業をしていたところ,被告が原告の作業に割って入った。原告は,被告に対し,電話で直接抗議したが,被告はこれを無視し,最後まで原告の作業を妨害した(甲26)。 ㉘松和産業株式会社(以下「松和産業」という。)原告が,平成23年5月28日,松和産業に納入した機械を借用するために松和産業を訪問したところ,被告が同年3月29日に定期点検を実施したことが発覚した。 原告が,同年6月3日,松和産業の戊ⅱ専務及び戊ⅲ氏にその経緯 5月28日,松和産業に納入した機械を借用するために松和産業を訪問したところ,被告が同年3月29日に定期点検を実施したことが発覚した。 原告が,同年6月3日,松和産業の戊ⅱ専務及び戊ⅲ氏にその経緯を確認したところ,「原告と被告が業務提携を解消したことは伝えられていたが,もともと被告と原告は関係会社と認識しており,関係自体を解消したことを知らされていなかったため,被告において原告の機械の定期点検ができると言われ,三晃技研経由での被告によるメンテナンスは正規ルートであると思い,平成23年3月29日に定期点検を実施した。但し,定期点検表などは期待していた物が出なかったため,原告で実施していた定期点検表を参考例として被告に渡し,同等のものを要求した。」と説明を受けた(甲6の2の㉘)。 ㉙協栄産業協栄産業では,平成24年7月頃から原告製品を入れ替える旨の話があり,原告は,その所有するデモ機を用いて加工テストを完了し,協栄産業から,上記デモ機に問題がない旨の連絡を受けていた。 しかし,原告が協栄産業に見積りを提出した後の同年12月頃,突然,被告が,協栄産業に対し,電話をかけて原告製品の修理及び被告製品1,2の売り込みをしたことを受け,協栄産業が,上記被告製品と原告の製品は,機械の性能が同等と考えて相見積りをとったところ,上記被告製品の方が低価格であった。そして,協栄産業の担当者の戊ⅳ氏は,平成25年6月11日,原告に対し,被告製品2(MXD-41)を発注したと伝えた(甲6の2の㉙)。 〔被告の主張〕(1) すべて否認する。被告は,原告から交付された本件指示書等記載の情報を使用して,取引先に勧誘するなどの行為をしたことはない。また,虚偽の事実を告知・流布したことはない。 (2) 原告が主張する具体的な営業秘密の使 。被告は,原告から交付された本件指示書等記載の情報を使用して,取引先に勧誘するなどの行為をしたことはない。また,虚偽の事実を告知・流布したことはない。 (2) 原告が主張する具体的な営業秘密の使用行為及び虚偽の事実の告知流布行為に関する認否及び被告の主張は次のとおりである。 ① ヤマモトエレクトロニクスについて否認する。挨拶状やパンフレットを送付したのはモリカワであり,被告とは別会社である。 モリカワが,当時,パンフレットを送付した相手には,次の2種類があった。一つは,モリカワが被告の事業(プリント基板製造関連装置の販売事業)を引き継ぐにあたって,モリカワの以前からの取引商社である三晃技研及び訴外株式会社豊通マシナリー(以下,併せて「訴外商社ら」という。)に,「プリント回路メーカー総覧」及び訴外商社らが保有する取引先情報に基づき,選定してもらった会社である。もう一つは,モリカワが上記事業を引き継ぐ前に,原告に修理などを依頼したにもかかわらず,何らかの理由で対応されなかったことから,困って被告に直接電話をしてきた会社である。なお,被告は,原告からの委託を受けて機械の製造をしていたときでも,直接,顧客に製品を納入していたし,製造者として納入し た機械に自社のプレートを付けていたから,納入先が被告の所在を知ることは容易である。 そして,前者の方法で選定された会社だけでも100社を超えていたことから,モリカワにおいてパンフレット送付を担当した者も,個々の会社への送付名義については記憶が定かではなく,丙ⅰ氏宛に送ったか否かについて確認ができなかった。 原告は,挨拶状の内容が,従来何らかのつながりがあることを前提としたものであると主張するが,「平素は・・・」との文言は,ビジネス文書としての一般的な作法として,初めて ついて確認ができなかった。 原告は,挨拶状の内容が,従来何らかのつながりがあることを前提としたものであると主張するが,「平素は・・・」との文言は,ビジネス文書としての一般的な作法として,初めて連絡する相手にも使われる文言であるし,「この度,株式会社モリカワは・・・取扱うこととなりました。」との記載は,初めて連絡する相手に対する挨拶として不自然ではなく,被告が原告の下請けの立場であったことをふまえていると評価できるものではない。また,パンフレットの送付先は,訴外商社らの選定に基づくものであり,原告の取引先の広範囲に送付したものではない。 ② 沖プリンテッドについてパンフレットなどを送付したのは,被告ではなくモリカワである。沖プリンテッドは,機械にトラブルが発生したにもかかわらず原告が対応しなかったため,対応に困って被告に直接電話をしてきたので,被告は,その際,担当者名を知った。なお,原告から開示された別紙7の指示書(甲4の7)には,丙ⅱ氏の名前は記載されていないため,指示書の記載から丙ⅱ氏を知ることはできない。 ③ エルナー浅井工場についてパンフレットなどを送付したのは,被告ではなくモリカワである。 エルナーも,沖プリンテッド同様,機械にトラブルが発生したにもかかわらず原告が対応しなかったため,困って被告に直接電話をしてきた。被告は,その際,担当者名を知った。 ④ イビデン樹脂についてパンフレットなどを送付したのは,被告ではなくモリカワである。また,モリカワの担当者の記憶によれば,丙ⅲ部長宛ではなく,「イビデン樹脂御中」として送付した。 ⑤ パナソニックについてパンフレットなどを送付したのは,被告ではなくモリカワである。 パナソニックも,納入した機械にトラブルが発生したにもかか はなく,「イビデン樹脂御中」として送付した。 ⑤ パナソニックについてパンフレットなどを送付したのは,被告ではなくモリカワである。 パナソニックも,納入した機械にトラブルが発生したにもかかわらず原告が対応しなかったため,困って被告に直接電話をしてきた。被告は,その際,担当者名を知った。 ⑥ メイコーについてモリカワが,電話で,被告各製品以外の他の装置の紹介をするためにメイコーに問い合わせた際,担当者が丙ⅵ氏であることを知った。そこで,モリカワが,丙ⅵ氏に電話をまわしてもらったところ,原告から原告と被告との間の係争の話を聞いていた丙ⅵ氏から,事実関係を説明するよう要請された。そのため,モリカワの乙ⅳがメイコーを訪問するに当たり,被告の乙ⅲと乙ⅱが同行した。なお,原告から開示された別紙4の指示書(甲4の4)には,丙ⅵ氏の名前は記載されていないから,上記指示書の記載から丙ⅵ氏を知ることはできない。 ⑦ イビデンについて原告がどの時点の行為について主張しているのか不明であるが,丙ⅶ氏に対し説明をしたのは被告ではなくモリカワである。 そして,モリカワは,被告が製造元なので修理は対応可能であると言ったことはあるものの,被告の製品であると言ったことはない。 なお,イビデンの青柳事業場から,機械納入後の原告の対応が悪く装置が稼働できなかったとして,被告の千曲工場に対して修理の依頼がされ,被告が,製造者として上記依頼に対応したことがある。また,その後,イ ビデンから電話があり,原告ではなく被告が修理を行った経緯を教えてほしいと依頼され,イビデンの中央事業所に赴き,上記経緯を説明したことがあるが,被告の行為はこれにとどまる。 ⑧ イビデンについて認める。平成22年5月24日,イビデン樹脂の電子加工部の てほしいと依頼され,イビデンの中央事業所に赴き,上記経緯を説明したことがあるが,被告の行為はこれにとどまる。 ⑧ イビデンについて認める。平成22年5月24日,イビデン樹脂の電子加工部の担当課長から被告に対し,電話で修理の依頼があった。同人の説明によれば,現行機に不具合があり原告に修理を依頼したが,原告では修理できないと言われたため,被告に電話をしたとのことであった。そこで,被告は,同月26日,上記担当課長を訪問して修理のための打合せを行い,取引を開始することになった。かかる経緯で,イビデンの各設備の修理要請に対応していたところ,被告担当者と原告が遭遇したのである。 ⑨ 山本製作所について不知。モリカワが,「プリント回路メーカー総覧」を見て山本製作所に電話をし,X線基準穴明け機関係の担当者の名前を問い合わせたところ,教えてもらえなかったことはあるが,積極的に連絡をしたことはない。なお,山本製作所はヤマモトエレクトロニクスの関連会社である。 ⑩ パナソニックについて挨拶状を送付したのは被告ではなくモリカワである。 モリカワは,⑤記載の経緯で,丙ⅳ氏と知り合いとなっていたことから,新年の挨拶をしたにすぎない。 ⑪ 協栄産業について挨拶状を送付したのは被告ではなくモリカワである。また,丙ⅹ氏個人を名宛人として送ったものではない。 協栄産業は,訴外商社らに,「プリント回路メーカー総覧」及び訴外商社らの有する取引先情報に基づき,選定してもらった会社の一つである。 ⑫ 大日本印刷について 挨拶状を送付したのは被告ではなくモリカワである。 モリカワは,大日本印刷に電話で担当者を問い合わせたところ,丁ⅰ氏を紹介され,挨拶のために訪問したことがあったことから,丁ⅰ氏に対し,新年の挨拶状を 拶状を送付したのは被告ではなくモリカワである。 モリカワは,大日本印刷に電話で担当者を問い合わせたところ,丁ⅰ氏を紹介され,挨拶のために訪問したことがあったことから,丁ⅰ氏に対し,新年の挨拶状を送付した。 挨拶状には,「昨年より,森川ブランドとして…」との記載はあるが,この文章は,被告が行っていた機械の販売などをモリカワが引継いだことをうかがわせることはあっても,被告が原告の下請けであったことを踏まえた,若しくは裏付けるものとは読めない。 ⑬ イビデン樹脂についてイビデン樹脂からカメラ交換修理の発注があったことは事実であるが,受注したのは被告ではなくモリカワである。 また,契約は単にカメラの交換修理にとどまる。⑧のとおり,モリカワとイビデン樹脂との間には取引関係があったために,発注があったものである。また,カメラ交換修理については,イビデン樹脂が,被告と原告の部品を比較したところ,被告の部品の方が原告のものよりもかなり安価であったことから,被告を選定したにすぎない。 ⑭ 日本エレクトロニクスついて被告が復旧工事(オーバーホール)を行ったことは認めるが,被告が「原告と縁は切れている」などと言ったことは否認し,その余は不知。 被告は,あくまでも,日本エレクトロニクスから要請があったためにオーバーホールを実施したにすぎない。その際に,原告との取引を停止又は止めたと言ったことはあるが「縁が切れている」と言ったことはない。なお,被告が製造元であること自体は事実である。 ⑮ 皆見電子について被告が,三晃技研を通して,皆見電子から発注を受けたことは認め,その余は不知ないし否認する。 皆見電子は,三晃技研から紹介された会社である。交渉(見積りの提出及び皆見電子との契約)は三晃技研に担当してもらっ 電子から発注を受けたことは認め,その余は不知ないし否認する。 皆見電子は,三晃技研から紹介された会社である。交渉(見積りの提出及び皆見電子との契約)は三晃技研に担当してもらっていたため,両者の間でどのような説明がされていたのかは知らない。 ⑯ イビデンについてイビデンが被告に発注したことは否認し,発覚した経緯や原告が確認したことは,不知。イビデンから受注したのは被告ではなくモリカワである。 イビデンとモリカワの間には,⑧の経緯で取引関係があったことから,イビデンの河間工場に被告製品2を新規導入する話に発展したものである。そして,被告は,従来機ではなく全くの新規製品を開発して納入した。 なお,被告は,原告から開示された別紙2の指示書(甲4の2)記載の担当者名を使用していない。 ⑰ エルナーについて被告に発注があったことは認め,その余は不知。エルナーは,原告の対応が悪かったとの理由で,モリカワ若しくは被告に修理を依頼してきたのである。その関係で,被告が改造を受注した。 ⑱ 矢橋大理石について矢橋大理石は,イビデンと関係の深い会社であり,修理などに関する原告の対応が悪く困っていたところ,イビデンから情報を得て被告を知り,直接,被告に対して修理を依頼した。 被告は,矢橋大理石に対し,原告が商社であると言ったり,原告より価格が安いなどと言ったことはないし,公的機関での闘争も充分に勝つ分があるなどと言ったこともない。 ⑲ 伊原電子について被告が,三晃技研とともに伊原電子に挨拶のため訪問したことは認め,被告が,「原告は商社で被告はメーカーでメンテを含めて安心できる。」と説明したことは否認する。その余は,全て不知。 被告は,三晃技研から依頼を受けて,伊原電子を訪問した ことは認め,被告が,「原告は商社で被告はメーカーでメンテを含めて安心できる。」と説明したことは否認する。その余は,全て不知。 被告は,三晃技研から依頼を受けて,伊原電子を訪問した。また,被告は,伊原電子に対し,原告はメーカーであるとした上で,原告と被告との関係を説明し,被告自身も修理やメンテナンスを行うことが可能であると説明したことはある。 ⑳ 山本製作所について被告が,平成23年8月,山本製作所の丙ⅸ氏を訪問したことは認めるが,説明内容は否認する。 被告は,本件調停時には原告特許の存在を認識していなかったから,山本製作所への訪問時に特許に言及することは不可能であった。被告は,「ご使用のDX-4H2の修理及びメンテナンスはできますが,モトロニクス様でしていただけるならそちらでお願いします。もし対応ができずお困りでしたらお声掛け下さい。」と言ったにすぎない。 なお,被告が丙ⅸ氏を訪問したのは,山本製作所の関連会社であるヤマモトエレクトロニクスの担当者から丙ⅸ氏を紹介されたためである。もっとも,丙ⅸ氏は,当時,すでに担当を外れていたため,新しい担当者を紹介された。 ㉑日本セミトロンについて被告が日本セミトロンに仕様書を渡したことは認めるが,同仕様書の内容が原告のものとほとんど同じか否かについては不知。 日本セミトロンの丁ⅸ社長から,被告の千曲工場に対し,直接,見積り依頼があったことから,見積書及び仕様書を渡したにすぎない。 ㉒パナソニックについてパナソニックが被告に刻印機の発注をしたこと,被告が原告製品の修理をしたことは認めるが,その余は否認ないし不知。 ⑤のとおり,パナソニックは,修理要請などに対する原告の対応が悪かったため,被告に修理を依頼していた。そこで,被告は,製造者として修 製品の修理をしたことは認めるが,その余は否認ないし不知。 ⑤のとおり,パナソニックは,修理要請などに対する原告の対応が悪かったため,被告に修理を依頼していた。そこで,被告は,製造者として修 理を行ったが,丙ⅳ氏に対しては,原告との関係が解消していることも含め,しっかりと説明していた。 ㉓山本製作所について丙ⅸ氏にJPCAShow2012出展の案内を送ったことは認める。 これは,⑳の経緯で丙ⅸ氏を知ったため,カタログを送ったものである。 ㉔田中貴金属について丁ⅹ氏に案内をしたこと及び「原告とは縁が切れている」と言ったことは否認する。被告は,田中貴金属の丁ⅹ氏に会ったことはない。被告が会ったのは,PK製造マネージャー,PK製造リーダー,製造支援室担当者の3名である。被告は,田中貴金属に対し,原告との間の取引を止めているとは言ったが,原告と縁が切れていると言ったことはない。また,新機材の販売促進と原告製品の修理が可能であると言ったことはあるが,これは,本件調停における合意に基づいて行ったものである。 ㉕大日本印刷について丁ⅰ氏に修理・点検の案内をしたこと,被告製品1及び2の案内をしたことは認め,電話が突然であったことは否認する。 被告の担当者が個人的に丁ⅰ氏を知っており,過去に何回か丁ⅰ氏に会ったことがあったため,定期的に電話をしていた。その中で,修理などの案内を行ったものである。 ㉖パナソニックについて丙ⅳ氏を挨拶訪問したことは認める。⑤及び㉒のとおり,パナソニックから,修理の依頼を受けたり,被告の製品の受注を受けるなどの関係があったことから,新年の挨拶のために訪問した。 ㉗日本シイエムケイについて被告が修理をしたことは認め,その余は全て否認する。 日本シイエムケイが,原告に対 製品の受注を受けるなどの関係があったことから,新年の挨拶のために訪問した。 ㉗日本シイエムケイについて被告が修理をしたことは認め,その余は全て否認する。 日本シイエムケイが,原告に対し修理を依頼したものの,なかなか直ら なかったことから,被告の乙ⅱ宛に直接,修理の依頼をしてきたため,被告が修理を実施したのであって,原告の作業に割って入ったものではない。 その際,原告の担当者も修理が成功したことを喜んでいた。原告から,被告に対する抗議の電話は一切来ていない。 ㉘松和産業について被告が定期点検を実施したことは認めるが,定期点検をしたのは,平成25年3月28日である。その余は不知。 ㉙協栄産業について被告が,平成24年12月頃,被告製品1及び2の売り込みをしたことは認め,その余は不知。 協栄産業は,「プリント回路メーカー総覧」から選出した会社であるが,担当者がわからなかったため電話で問合せをしたところ,戊ⅳ氏を紹介されたものである。なお,原告から開示された指示書(甲4の8)には,戊ⅳ氏の名前は記載されていない。 8 争点(2)ウ(損害発生の有無及びその額-営業秘密の不正使用又は虚偽告知に基づく請求に関し)について〔原告の主張〕(1) 営業秘密の不正使用又は虚偽告知による損害被告は,原告顧客情報を使用して顧客との交渉を開始し,また,虚偽の事実を告知し,その結果,原告製品と競合する被告各製品を販売したことから,原告は,被告による原告顧客情報使用の不正競争行為によって損害を受けた。 そして,前記5の〔原告の主張〕のとおり,本件特許権侵害により被告が得た利益は3300万円であるところ,被告の不正競争行為によって被告が得た利益は少なくともこの2割相当額の660万円であるから,不競法5条2項により, 告の主張〕のとおり,本件特許権侵害により被告が得た利益は3300万円であるところ,被告の不正競争行為によって被告が得た利益は少なくともこの2割相当額の660万円であるから,不競法5条2項により,原告は660万円の損害を受けたと推定される。 原告は,主位的に原告顧客情報の使用に係る不正競争行為に基づき,予備 的に虚偽告知に係る不正競争行為に基づいて請求する。 (2) 弁護士費用本件訴訟追行に当たって相当な弁護士費用は,上記損害賠償請求額660万円の10%である66万円である。 (3) 合計額したがって,損害の合計額は726万円となる。 〔被告の主張〕(1) 営業秘密の不正使用又は虚偽告知による損害について否認ないし争う。被告の利益額は3300万円ではない。 (2) 弁護士費用について争う。 9 争点(3)(文書返還義務の存否)について〔原告の主張〕別紙原告顧客文書記載の文書(以下「原告顧客文書」という。)は,被告が原告顧客情報に基づいて作成したものである。 被告は,下請けとして,原告顧客情報を原告から開示され保有していたが,被告は原告顧客情報を記載した原告顧客文書を,原告との間の下請契約が平成20年11月10日に解消されたにもかかわらず,原告に返還していない。 被告は,下請契約が解消された場合には,原告に原告顧客文書を返還すべき義務を負う。また,原告は,原告顧客文書の所有権を有する。 したがって,原告は,被告に対し,原告顧客文書の返還請求権を有する。 〔被告の主張〕否認ないし争う。原告顧客文書は存在しない。仮に存在したとしても,理論的には作成したとされる被告の所有物になるものである。 そもそも,被告は原告の下請けではなく,対等の立場で,製品を製作していた。また,原告と被告との間の契約 は存在しない。仮に存在したとしても,理論的には作成したとされる被告の所有物になるものである。 そもそも,被告は原告の下請けではなく,対等の立場で,製品を製作していた。また,原告と被告との間の契約が解消された場合に,被告が文書の返還義 務を負うべき法的根拠がなく,少なくともそのような合意は存在しなかった。 さらに,原告の主張によれば,被告が作成したとされる原告顧客文書の所有権が原告に帰属する法的根拠がない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 第4 当裁判所の判断 1 認定事実前記第2,2の前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められ,同認定を覆すに足りる証拠はない。 (1) 原被告間の取引の経緯ア原告は,昭和59年頃から,被告に対し,機械類の製作等を委託していたが,その委託内容は,平成2年頃以降,プリント基板加工装置であるX線基準穴明け機の設計及び製造を主体とするものになった。 イ原告と被告は,平成10年3月5日,秘密保持契約を締結した。同契約において,被告は,原告が被告に開示したか又は被告が原告のための設計・製造等の業務を通じて知得した「回路基板およびその製造方法,回路基板事業並びに本件設備及び本件業務に関する原告の機密的又は専有的情報」について,開示日から5年間秘密として保持し,目的外使用をしないことを約した。なお,上記「本件業務」とは,「原告の回路基板製造用の特定設備又はその構成機器・部品・ソフトウェア(本件設備)の構想・設計・製図・製作・著作・試作・加工・組立・調整および/または改善の業務の全部またはその一部」をいう。(甲54)ウ原告は,平成11年6月9日,X線基準穴明け機DX-4H2の販売を開始した。DX-4H2は,原告の委託により被告が開発・製造したもので たは改善の業務の全部またはその一部」をいう。(甲54)ウ原告は,平成11年6月9日,X線基準穴明け機DX-4H2の販売を開始した。DX-4H2は,原告の委託により被告が開発・製造したものである。原告は,本件特許出願日(平成12年4月7日)より前に,沖プリンテッド,田中貴金属,松下電工株式会社ら8社以上の顧客に対し,少なくとも10台のDX-4H2を納入した。(甲56) エ原告は,平成17年6月,DX-4H2のサブプレートの形状などの仕様を変更し,同月29日以降は,仕様変更後のDX-4H2を販売した。 なお,仕様変更の前後を通じ,DX-4H2の出荷台数は合計111台であった。(甲79,80の1・2,甲81,82,86)オ原告及び被告は,平成17年,DX-4H2の廉価版であるDX-4H2Eの開発を開始した。被告は,原告の委託のもとでDX-4H2Eを製造し,原告は,平成18年9月,同機種の販売を開始した。 カ被告のグループ会社であるモリカワは,平成22年2月,被告の設計・製造する電子機器類の販売窓口となった旨及び被告の製造するプリント基板製造関連機器の販売,メンテナンス,改造,修理を取り扱う旨を記載した案内文書並びに被告製品1のパンフレットを営業先に配布し,被告製品1の売り込みを開始した。(甲7の1ないし3)(2) 原被告間の紛争の経緯ア被告は,原告との取引関係において,試験研究費の支払を受けていないことや低収益であることなどが問題であると考え,平成19年8月3日,原告に対し,過去5年分の研究費(約1億5千万円)を請求したい旨,また,正常なパートナーとして関係を改善したい旨を提案した。(乙19)イその後,原告と被告は,事業売却や買収を含めた企業提携の可能性を検討するなどしたものの,原告から具体的 円)を請求したい旨,また,正常なパートナーとして関係を改善したい旨を提案した。(乙19)イその後,原告と被告は,事業売却や買収を含めた企業提携の可能性を検討するなどしたものの,原告から具体的な提案はされなかった。そこで,被告は,平成20年1月15日,原告に対し,事業売却及び買収の議論を白紙に戻し,原告との業務提携を解消する旨通知し,また,2億円を超える未回収金の早期支払いを求めた。これに対し,原告は,同月25日,被告に対し,2億円で被告から事業譲渡を受ける旨提案するなどしたが,その後も,開発費用の額や支払時期,未回収金の額などについて意見の相違があり,原告と被告が合意に至ることはなかった。(乙19ないし32,甲75) ウ原告は,平成20年12月15日,被告を相手方として,被告が原告に請求している1億8891万2390円の債務の不存在の確認を求めて,調停を申し立てたが,同調停は不成立で終了した。(乙32)(3) 本件調停手続ア被告は,平成21年8月6日,原告に対し,機械製作請負代金等1億7033万8760円の支払を求める訴えを提起した。(乙43)イこれに対し,原告は,平成22年1月15日,原被告間の機械製作請負契約において,被告の納期遅延等の債務不履行や瑕疵などがあったと主張して,被告に対し損害賠償金等1億2276万5000円の支払を求める反訴を提起した。また,原告は,同年10月22日,被告に対し,原被告間の機械製作請負契約に基づいて被告が平成21年3月以前に製造した170台の機械(DX-4H2及びDX-4H2Eを含む。)の設計図面等の引渡しを求める訴えを提起した。そして,これらの事件は,平成23年,本件調停手続に付された。(乙6,7,33)ウ平成24年3月13日,原告が被告に対し和解金60 4H2Eを含む。)の設計図面等の引渡しを求める訴えを提起した。そして,これらの事件は,平成23年,本件調停手続に付された。(乙6,7,33)ウ平成24年3月13日,原告が被告に対し和解金6000万円を支払うこと,調停成立の日から5年間,原告が被告に対し,対価(図面1枚当たり2000円,図面一式の場合は35万円)を支払うことで図面の交付を請求できることなどを内容とする本件調停が成立した。 エ本件調停条項には次の各条項(8項,11項)がある。なお,各条項における「原告(反訴被告)」は本件における被告,「被告(反訴原告)」は本件における原告を指す。 「8 原告(反訴被告)と被告(本訴原告)は,これまでの原告と被告との取引の過程で作成された図面に基づいて,互いに開発,製作,販売,メンテナンスを行うことができることを確認する(ただし,不正競争防止法が適用される場合については,この限りでない。)。」「11 原告(反訴被告)及び被告(反訴原告)は,原告と被告との間には, 本調停条項に定めるもののほか,何ら債権債務のないことを相互に確認する(ただし,不正競争防止法が適用される場合については,この限りではない。)。」(乙7)オ当時原告代表者であった甲ⅰ前代表が,本件調停手続に出頭した。甲ⅰ前代表は,本件調停の担当裁判官から,図面の所有権を確定することなく和解すること及び図面の所有権と知的財産権は関係がない旨の説明を受けた。甲ⅰ前代表は,本件調停条項8項は,原告及び被告ともに,自由競争のもとに,不競法に反しない限り,図面に基づいて機械を製造,販売等することができるという内容であると認識していた。(証人甲ⅰ前代表)カ当時被告の非常勤取締役であり,本件調停手続に主体的に関与した乙ⅴ(以下「乙ⅴ」という。)は,原告が本件 て機械を製造,販売等することができるという内容であると認識していた。(証人甲ⅰ前代表)カ当時被告の非常勤取締役であり,本件調停手続に主体的に関与した乙ⅴ(以下「乙ⅴ」という。)は,原告が本件特許権を有していることを本件調停が成立した時点で聞いたことはなかった。 被告は,本件調停において譲歩するとしても,原告から少なくとも1億円の支払を受けたいと考えていたが,早期に解決することにメリットがあること,被告も図面に基づいて機械の製造やメンテナンスができることを踏まえ,6000万円での本件調停に応じることとした。 本件調停手続においては,原告が,当初,原告の製品と競合する製品を被告が製造・販売することを嫌忌したものの,調停における交渉を経て,双方ともに図面に基づいて開発・製造・販売・メンテナンスをすることができるが,相手方に対する加害目的での不正競争はしないという趣旨で,本件調停条項8項が合意されたものと,被告は認識していた。(乙35,37の2,4,乙40,41,47,50,51,証人乙ⅴ) 2 争点(1)(本件特許権侵害に基づく請求の可否)について事案に鑑み,争点(1)ウ(本件調停による原告の許諾ないし権利不行使合意の存否)について判断する。 (1) 原告及び被告は,本件調停において,「原告と被告は,これまでの原告と 被告との取引の過程で作成された図面に基づいて,互いに開発,製作,販売,メンテナンスを行うことができることを確認する(ただし,不正競争防止法が適用される場合については,この限りでない。)。」とする規定(8項)を含む本件調停条項に合意しているところ,被告は,同項は,原告及び被告が,本件特許を実施する場合も含め,原告と被告との間の取引過程で作成された図面に基づいて製品を開発・製造等できることを意味すると主 を含む本件調停条項に合意しているところ,被告は,同項は,原告及び被告が,本件特許を実施する場合も含め,原告と被告との間の取引過程で作成された図面に基づいて製品を開発・製造等できることを意味すると主張し,他方で,原告は,被告が本件特許を実施できることまでは意味しないと主張しているので,以下,本件調停条項8項の意義について検討する。 (2) 前記1(3)で認定した事実によれば,①本件調停手続に原告代表者として関与していた甲ⅰ前代表が,不競法に抵触しなければ,それまでに被告が作成した図面に基づいて,被告が機械を製造,販売等することを認めるという意思をもって本件調停条項に合意したと認められること,②他方,本件調停手続に主体的に関与した乙ⅴは,原告が本件特許権を有していることを本件調停が成立した時点で聞いていなかったため,被告としては,原被告間の紛争の早期解決を図る目的に加え,被告自身,不競法に抵触するようなことさえなければ,今後もそれまでに製作した図面に基づいて機械を製造,販売等することができるからこそ,和解金額について相当に譲歩した6000万円という金額で本件調停条項に合意したものと認められること,③本件調停条項8項が,不競法が適用される場合をあえて明示的に除外しているにもかかわらず,特許権の行使に関しては何ら触れていないこと,このことからすると,本件調停手続において,当事者らは,被告が上記図面に基づいて製造,販売する製品について原告が特許権を行使するような事態は全く想定していなかったことが推認できること,④仮に,原告が主張するように,本件調停手続において原告が本件特許権を有していることを裁判所に伝え,特許権を実施する場合を除外する意思をもって本件調停条項に合意していたとするならば,特許権の扱いについて本件調停手続において議論されている 続において原告が本件特許権を有していることを裁判所に伝え,特許権を実施する場合を除外する意思をもって本件調停条項に合意していたとするならば,特許権の扱いについて本件調停手続において議論されているべきところ,本 件訴訟に提出された全ての証拠を精査しても,そのような事実は何らうかがわれないこと,⑤証拠(乙39,40,42)によれば,本件調停時の代理人間の交渉は,本件調停により,被告がDX-4H2及びDX-4H2Eを製造,販売できることを前提として行われていたことが認められることを総合すると,本件調停条項8項は,原被告間の取引において作成された図面(DX-4H2及びDX-4H2Eの図面を含む。)を基として製品を開発,製造,販売及びメンテナンスすることを相互に許諾し,仮に一方当事者が何らかの知的財産権を有する場合であっても,相手方が,上記図面に基づいて開発・製造・販売・メンテナンスをしている限り,相手方に対しその権利行使をしない意思で合意されたと認めることが相当である。 そうすると,原告は,被告が,本件調停における合意に基づき,DX-4H2及びDX-4H2Eの図面をもとに開発,製造,販売及びメンテナンスをしている限り,被告に対して本件特許権を行使することはできないというべきである。 そして,被告製品1,2及び4が,DX-4H2又はその後継機種であるDX-4H2Eを基に製造されたものであることは当事者間に争いがない。 そうすると,被告製品1,2及び4は,DX-4H2又はDX-4H2Eの図面を基にして開発された製品であるということができるから,被告製品1,2及び4が本件特許を実施するものであったとしても,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 また,前記1(3)エのとおり,本件調停条項には,原告と被告との間に るから,被告製品1,2及び4が本件特許を実施するものであったとしても,原告は,被告に対し,本件特許権を行使することができない。 また,前記1(3)エのとおり,本件調停条項には,原告と被告との間に債権債務関係がないことを確認する内容のいわゆる完全清算条項があり(11項),被告は,本件調停成立時において,原告に対する債権を有していない旨確認しているから,被告が本件調停成立以前に被告製品2を製作し販売した行為が,本件特許権に抵触する行為であったとしても,原告は被告に対し,損害賠償請求をすることができないと認めるのが相当である。 (3) 原告の主張に対する判断この点に関して原告は,本件調停条項8項は,図面に基づいて機械を製造することを認めたものにすぎず,特許権の実施まで許諾することを意味しないところ,本件発明の構成要件C及びDはソフトウェアで実現されるものであって図面には記載されていないから,被告が,図面に基づいて製品を製造したとしても,本件発明の実施品を製造することはできないなどと主張する。 しかし,本件調停条項8条所定の「図面」には,原告が本件発明の実施品であると主張するDX-4H2(仕様変更後)及びDX-4H2Eの図面が含まれているのであるから,原告が,当該図面を用いて製品を開発・製造・販売することを被告に許諾したということは,たとえDX-4H2,DX-4H2Eの同等品又はこれらを基に開発した製品が本件発明の技術的範囲に属しているとしても,上記図面に基づいて製造・販売する限り,それを許諾したことに他ならない。仮に,本件調停条項が本件特許を実施する場合を除外するものであったとすると,被告は,原告との取引における主力製品であるX線基準穴明け機の最新機種であったDX-4H2Eを製造・販売できないということになるから, 停条項が本件特許を実施する場合を除外するものであったとすると,被告は,原告との取引における主力製品であるX線基準穴明け機の最新機種であったDX-4H2Eを製造・販売できないということになるから,その後の自由競争を担保するために設けられた本件調停条項8項の趣旨に反し,相当でない。 また,原告は,被告は本件特許権の存在を知っていたし,本件調停手続において担当裁判官に本件特許権を有している旨伝えたなどと主張しているが,これは,当事者双方が本件特許権の存在を認識し,その権利行使が制限されないという前提で,本件調停条項8項が合意されたものである旨の主張であると考えられる。 しかし,本件調停手続において,原告と被告との間で,本件調停条項8項から原告の有する特許権に抵触する場合を除外する旨の合意がされたことを認めるに足りる証拠はない。また,仮に,当事者双方が本件特許権の存在を認識していたことが認められたとしても,本件調停条項において,不競法が 適用される場合をあえて明文で除外しているにもかかわらず,特許権に抵触する場合を除外する旨の明文規定がないことは,被告が図面に基づいて開発,製造,販売及びメンテナンスをしている限り,原告は本件特許権を行使しない意思をもって本件調停に合意をしたことをうかがわせるというべきである。 さらには,証拠(乙35,37の4,乙39,40,42)によれば,本件調停手続において,被告代理人が,裁判所から原告・被告ともに特許を有していないことを前提に双方が機械を製造できる方向で解決したい旨の説明を受けたこと,当時の原告代理人は,被告代理人に対し,DX-4H2及びDX-4H2Eを含めた九つの製品を競合禁止製品として和解条項に記載することを求めたが,被告代理人は,それらの機械が被告にとって主力製品であることを理由 代理人は,被告代理人に対し,DX-4H2及びDX-4H2Eを含めた九つの製品を競合禁止製品として和解条項に記載することを求めたが,被告代理人は,それらの機械が被告にとって主力製品であることを理由に拒否し,裁判所からの提案に従って双方とも製造,販売する権利を有する旨の確認をするよう希望したことが認められる。 したがって,原告の上記主張は採用することができない。 (4) よって,その余の点について判断するまでもなく,本件特許権侵害に基づく原告の請求は理由がない。 3 争点(2)ア及びイ(営業秘密の不正使用に基づく請求の可否)について事案に鑑み,争点(2)ア(営業秘密該当性)及び争点(2)イのうち営業秘密の不正使用に係る部分(被告による営業秘密の使用の有無)について判断する。 (1) 争点(2)ア(営業秘密該当性)についてア秘密管理性の有無不競法上の営業秘密に該当するためには,不競法2条6項にいう「秘密として管理されている」ことが必要であり,このようにいえるためには,当該情報にアクセスした者に当該情報が営業秘密であることが認識できるようにしていることや,当該情報にアクセスできる者が限定されていることなど,当該情報に接した者が,これが秘密として管理されていることを認識し得る程度に秘密として管理している実体があったといえることが必 要というべきである。 これを本件について検討するに,証拠(乙45の1,証人乙ⅱ,証人乙ⅳ,証人甲ⅰ前代表,原告代表者)によれば,本件指示書等には「部外秘」「秘密」などの秘密情報が記載されていることを示す印字や押印がされていなかったこと,原告は,本件指示書等をファクシミリで被告に送信していたが,被告が本件指示書等の受信に用いたファクシミリは,原告との取引に関与する産業機械の部署のみなら ことを示す印字や押印がされていなかったこと,原告は,本件指示書等をファクシミリで被告に送信していたが,被告が本件指示書等の受信に用いたファクシミリは,原告との取引に関与する産業機械の部署のみならず,流体機械部門やバルブを担当する部署も共通して使用しており,原告から本件指示書等を受領する担当者以外の被告従業員も,本件指示書等を容易に見ることができたこと及び原告は上記ファクシミリの設置状況を認識していたことが認められる。これらを総合すると,本件指示書等に記載された顧客情報に接した者が,これが秘密として管理されていることを認識し得る程度に秘密として管理している実体があったとは認められず,したがって,本件指示書等に記載された原告顧客情報について,秘密管理性があったということはできない。 イこの点に関して原告は,情報の性質上秘密であることは明らかであるから本件指示書等に「部外秘」といった記載がなかったとしても秘密管理性は損なわれない旨主張するが,商品の販売実績等として販売台数や機種,販売先等を公表することは一般的にあり得ることであって,情報の性質上秘密とすべき情報であるとまではいえない。 また,原告代表者は,本件口頭弁論期日における本人尋問において,原告社内においては,原告顧客情報を原告代表者及び担当者のみが閲覧等できるものとして管理し,また,被告に対しては,被告の乙ⅰ部長に「秘密情報なので大切に保管してくれ」と伝え,平成10年に被告との間で秘密保持契約を締結していた旨供述したが,前記1(1)イのとおり原告と被告は平成10年に秘密保持契約を締結していたものの,同契約における秘密保持の対象は技術的な情報に限られており,顧客情報は秘密保持の対象とさ れていなかったし,原告が被告に対して本件指示書等を交付するに当たり,特定の 結していたものの,同契約における秘密保持の対象は技術的な情報に限られており,顧客情報は秘密保持の対象とさ れていなかったし,原告が被告に対して本件指示書等を交付するに当たり,特定の被告従業員に面談して直接交付したり,受領者を特定しかつ同人以外の者は開封しないように注記した上で郵送したり,事前に電話等で連絡をして特定の被告従業員がその他の従業員等にその内容を見られることなく確実に本件指示書等を受領するように指示した上でファクシミリ送信するなどの方法を取ることも容易であったにもかかわらず,何ら原告顧客情報を秘匿するための交付方法をとることもなく,また本件指示書等に「秘密」である旨の表示もすることなく,漫然と担当者以外も日常的に目にする可能性があるファクシミリ機に宛てて送付していたことに照らすと,原告社内において原告顧客情報が秘密管理されていた事実及び原告代表者が被告の乙ⅰ部長に対し,「大切に保管してくれ」と伝えていた事実が認められたとしてもなお,原告顧客情報に秘密管理性があったと認めることはできない。 (2) 被告による営業秘密の使用の有無(争点(2)イのうち営業秘密の不正使用に係る部分)についてア原告は,被告が原告顧客情報を使用して被告製品の営業をした旨主張するのに対し,被告は,そもそも営業をしたのは被告ではなくモリカワであり,また,被告のみならずモリカワも原告顧客情報を使用していないと主張している。 イそこで検討するに,証拠(甲6ないし8〔枝番を含む。〕,甲53,原告代表者)によれば,顧客にパンフレットを送付するなどの営業活動を行ったのは,被告ではなくモリカワであることが認められる。 この点に関して原告は,モリカワが被告と実質的に同一である旨の主張もしているが,本件全証拠を精査しても,これを認めるに足りる どの営業活動を行ったのは,被告ではなくモリカワであることが認められる。 この点に関して原告は,モリカワが被告と実質的に同一である旨の主張もしているが,本件全証拠を精査しても,これを認めるに足りる証拠はなく,かえって,証拠(証人乙ⅳ,証人乙ⅴ)によれば,モリカワは,被告の製品以外の商品も扱っていること,被告は,モリカワに対して営業相手 や方法などの指示を基本的にしていないことが認められる。そうすると,モリカワが被告と実質的に同一であり,モリカワの行為が被告の行為と同視できるなどということはできず,また,モリカワの行為が被告の指示により行われたものであるということもできない。 なお,証拠(甲11の3,甲76)によれば,乙ⅳは,モリカワ名義の名刺と被告名義の名刺の双方を使用したことがあることが認められるが,証拠(乙52,証人乙ⅳ)によれば,乙ⅳは,平成23年7月1日にモリカワから被告に転籍したことが認められ,転籍に応じて被告名義の名刺を使用するようになったことが推認されるから,乙ⅳがモリカワ名義の名刺及び被告名義の名刺を使用したことがあることをもって,モリカワと被告が実質的に同一であるということはできない。 ウそして,本件口頭弁論期日における証人尋問において,モリカワの従業員として被告の製品の営業を担当した証人乙ⅳが,営業を行うに当たり,以前から知っていたリワーク装置の販売先である業界の会社や,「プリント回路メーカー総覧」から選定した会社,それ以前に被告に対して問い合わせをしてきた会社に対し,挨拶状及び被告製品1等のパンフレット(甲7の1ないし4)を送付したこと,その際,担当者名がわからない場合には担当者名を記載せずに会社宛に送付したこと,被告から本件指示書等や顧客名簿を受領したことはないこと,大日本印刷については「 ト(甲7の1ないし4)を送付したこと,その際,担当者名がわからない場合には担当者名を記載せずに会社宛に送付したこと,被告から本件指示書等や顧客名簿を受領したことはないこと,大日本印刷については「プリント回路メーカー総覧」に基づいて電話をかけたところ,X線穴明け機の担当者の紹介を受けた旨証言し,また,被告の従業員であり,DX-4H2の設計・製造に関与した証人乙ⅱが,平成22年5月頃,イビデンの丙ⅶ氏から被告に電話連絡があり,原告が修理を行っているが不具合の原因がはっきりしないので見に来てもらえないかと言われたことから,イビデンを訪問したことや,原告との取引関係が継続していた間は顧客からの修理依頼は原告経由で来ていたが,原告との取引関係が終了した後は,顧客から直 接メンテナンス依頼の連絡が来ることがあった旨証言しており,いずれの証言もそれぞれ具体的で不自然ではなく信用できるものである。 そうすると,モリカワは,モリカワ又は被告が以前から有していた取引先の情報や,プリント回路メーカー総覧に記載された情報を用いて営業活動をしていたと認めることが相当であるから,モリカワが,原告顧客情報を使用して営業したという事実を認めることはできない。 エこの点に関して原告は,被告による原告顧客情報の使用行為として前記第3,7〔原告の主張〕(3)ると,モリカワは,原告顧客情報を使用しなくとも営業先の会社名及び住所を知ることができたといえるし,担当者名についても,顧客の方から連絡があった場合には顧客から知ることができ,また,営業先の会社に電話をかけた際に担当者の名前を教えてもらうこともできる上,メンテナンスについては,原告から納入済みの製品を見て,顧客が製造元である被告に連絡をしてくることはあり得ることであるから,①ないし㉙の行為が全て けた際に担当者の名前を教えてもらうこともできる上,メンテナンスについては,原告から納入済みの製品を見て,顧客が製造元である被告に連絡をしてくることはあり得ることであるから,①ないし㉙の行為が全て事実であると認められたとしても,これらの行為をもって被告又はモリカワが,原告顧客情報を使用したと認めることはできない。 また,原告は,モリカワが顧客に送付した挨拶状(甲7の1)について,「平素は格別のお引き立てを賜わり,厚く御礼申し上げます。」と記載されていることや,前提を述べずにいきなり「この度,株式会社モリカワは,・・・取り扱うこととなりました。」という記載があることから,これらの記載は初めて連絡する相手に対するものではなく,従前何らかのつながりを有していたことを前提としたものであるなどと主張する。 しかし,取引を現に有していない相手方に対して営業活動をするに当たり,いわゆるビジネスマナーとして「平素は格別のお引き立てを賜わり,厚く御礼申し上げます。」という挨拶を述べることは何ら不自然ではないし,「この度,株式会社モリカワは,・・・取り扱うこととなりました。」と いう表現からは,モリカワが新しく被告の製品のメンテナンスや新規受注を扱うことになったことを相手方に通知し,取引の開始を促す趣旨であることが読み取れるところ,同表現は,被告が製造した製品を使用している者であるか否かにかかわらず初めて連絡をする相手方に対するものとして不自然なものではない。 さらに,原告は,モリカワが大日本印刷に送付した新年の挨拶状(甲8の2)について,「昨年より,森川ブランドとして,X線基準穴明機『MXDシリーズ』の生産・販売を開始致しました。」という記載があることから,被告が原告の下請けであったことを踏まえて送付したものである旨の主張をしている 年より,森川ブランドとして,X線基準穴明機『MXDシリーズ』の生産・販売を開始致しました。」という記載があることから,被告が原告の下請けであったことを踏まえて送付したものである旨の主張をしているが,下請けであったことを踏まえたものである旨の主張の趣旨は判然としないものの,上記表現は,被告が原告から委託を受けて機械を製造していたという過去の経緯を知らない相手方に対する表現であると考えても何ら不自然ではない。 オしたがって,被告が,原告顧客情報を使用して自ら又はモリカワをして営業行為をしたと認めることはできない。 (3) 以上のとおり,その余の点について判断するまでもなく,営業秘密の不正使用に基づく原告の請求には理由がない。 4 争点(2)イ(虚偽告知に基づく請求の可否)について(1) まず,被告による虚偽告知の有無について検討するに,原告は,被告が「原告は商社にすぎないから,別紙被告製品目録記載のプリント基板の加工装置は,原告の開発した製品ではない。原告は代理店にすぎない。もともと被告の開発製品だ。」との虚偽の事実を告げ,又は流布したと主張し,具体的な原告顧客情報の使用行為又は虚偽の事実の告知流布行為として前記第3,7〔原告の主張〕(3)の①ないし㉙の各行為を主張しているところ,原告の主張をみると,①ないし㉙の各行為のうち,上記事実の告知又は流布行為に関係する行為に当たる可能性があるものは,⑦⑭⑮⑯⑱⑲㉔の各行為であると認 められる。 (2) そこで,⑦⑭⑮⑯⑱⑲㉔の各行為の有無及びその内容について検討する。 ア証拠(甲6の2,甲53,原告代表者)によれば,原告代表者又は原告従業員が,⑦イビデンの丙ⅶ氏から,平成22年9月26日,「森川の戊ⅴ,乙ⅱから,機械は森川製品と説明を受けた。直接修理も可能と言って 拠(甲6の2,甲53,原告代表者)によれば,原告代表者又は原告従業員が,⑦イビデンの丙ⅶ氏から,平成22年9月26日,「森川の戊ⅴ,乙ⅱから,機械は森川製品と説明を受けた。直接修理も可能と言っていた。」と言われたこと,⑭日本エレクトロニクスの丁ⅱ氏から,平成25年2月26日,「森川から製造元は森川製と聞いている。」と言われたこと,⑮皆見電子の丁ⅲ社長らから,平成24年7月12日,「三晃技研から,モトロが商社,森川が製造元との関係を説明された。」と言われたこと,⑯イビデンの丁ⅴ氏から,平成23年5月25日,被告が製造元で原告は販売先であると認識していると言われたこと,⑱矢橋大理石の丁ⅶ氏から,平成23年7月13日,「森川が挨拶に来た。」「モトロより安く即対応する。」「モトロが酷い会社で今後,公的機関での闘争も充分に勝つ分があり特にモトロは商社,森川はメーカーとして対応が出来る。」と言われたこと,⑲伊原電子の丁ⅷ氏から,平成23年7月13日,「三晃とモリカワが挨拶に来た。モトロは商社で森川はメーカーでメンテを含めて安心できると,森川の有利な事を言っていたが本当か。」と言われたこと及び㉔田中貴金属の戊ⅰ氏から,平成24年7月9日,被告から丁ⅹ氏宛に「DX-4H2の製造元は森川で新規製作,現行機の修理・部品供給が可能」「是非お引合い頂きたい」という内容の電話があったと言われたことが認められる。 イ上記アの顧客の各発言の内容をみると,仮に上記各発言のとおりの事実があったと認められたとしても,前記1(1)及び(3)のとおり,原告が販売していたDX-4H2等の機械の製造元は被告であること,製造元である被告がDX-4H2等の機械を修理することは技術的に可能であること及び本件調停後は,本件調停条項8項に基づいて,被告がDX-4H2等の -4H2等の機械の製造元は被告であること,製造元である被告がDX-4H2等の機械を修理することは技術的に可能であること及び本件調停後は,本件調停条項8項に基づいて,被告がDX-4H2等の 機械の新規製作やメンテナンスをすることができることに照らすと,「機械は森川製品」であること(⑦),被告がDX-4H2等の機械の「製造元」であること(⑭⑯),被告において機械の「新規製作,現行機の修理・部品供給が可能」であること(⑦㉔。なお「現行機」はDX-4H2等の原告が販売した機械を指すものと認められる。)については,いずれも虚偽の事実であるとまではいえない。 そうすると,上記アの顧客の発言のうち,⑦⑭⑯㉔は,被告が虚偽の事実の告知又は流布をしていたことの裏付けとはならない。 ウもっとも,前記1(1)のとおり,被告は原告の委託によりDX-4H2の製造をしていたのであって,原告が商社で被告がメーカーという関係にあったものではないから,⑮⑱⑲の顧客の各発言にあるように原告が商社である旨の説明がされていたとすれば,それは虚偽の事実の告知に当たる可能性がないではない。 しかし,上記アの各発言は,顧客の担当者が聞いた話を伝聞又は再伝聞として原告代表者又は原告従業員が聞いたというものにすぎないところ,上記アの各発言において,顧客が,被告従業員の発言を正確に再現しようとしていたとしても,伝聞の過程において誤りが混入する蓋然性は十分あること,「被告が製造元である」旨の説明を聞いた顧客が,販売元である原告は商社のような働きをしていたものであると理解,認識して,「原告が商社である」旨の説明を受けたと発言した可能性も否定できないことから,上記伝聞又は再伝聞の内容が,被告従業員による発言を正確に再現したものであると認めるに足りない。 また,⑮に 認識して,「原告が商社である」旨の説明を受けたと発言した可能性も否定できないことから,上記伝聞又は再伝聞の内容が,被告従業員による発言を正確に再現したものであると認めるに足りない。 また,⑮については,顧客に対して説明をしたのは三晃技研であって被告ではないし,⑲についても,顧客に対して説明をしたのは三晃技研及びモリカワである。そうすると,上記⑮⑲については,そもそも被告従業員の発言であると認めるに足りない。 さらに,前記3で判示したとおり,モリカワの行為を被告の行為と同一視することはできず,また,被告が,モリカワ及び三晃技研に対し,上記説明をするよう指示したことを認めるに足りる証拠もない。 そして,モリカワの従業員である証人乙ⅳの証言によれば,モリカワが,伊原電子に対し,「原告がメーカーで,被告が製造元」である旨説明したことが認められるところ,この説明は真実に合致しており,虚偽の事実ではない。 この点に関して原告は,被告による虚偽告知の事実を証するものとして,匿名の某社専務取締役が作成した文書(甲91)を提出しており,同文書には,被告から「もともとモトロニクスは販売していただけで,装置を製造したのは森川産業(株)であるので機械自体をよく知っているし,安くメンテナンスもしますよ。更に商社経由で取引することも問題はありません。」と説明を受けた旨及び被告にDX-4H2Eの定期点検を依頼した旨が記載されている。同記載のうち,被告がDX-4H2Eを製造したこと自体は事実であって虚偽の事実ではない。もっとも,原告はメーカーとしてDX-4H2Eの製造に関与していたから,被告従業員が「販売していただけ」という発言をしていたとすれば,当該発言は虚偽の事実の告知に当たる可能性がないとはいえないものの,被告は上記事実を否定しており X-4H2Eの製造に関与していたから,被告従業員が「販売していただけ」という発言をしていたとすれば,当該発言は虚偽の事実の告知に当たる可能性がないとはいえないものの,被告は上記事実を否定しており,発言者も日時も特定されていない匿名人作成の上記文書をもって,被告の従業員が顧客に対し上記発言をしたと認めることはできない。 エしたがって,被告が,虚偽の事実の告知及び流布行為をしたと認めることはできないから,虚偽告知に係る原告の請求には理由がない。 5 争点(3)(文書返還義務の存否)について原告は,被告が下請けとして原告顧客文書を保有していたところ,下請契約が解消された場合には原告顧客文書を原告に返還すべき義務を負う旨主張する。 そして,別紙原告顧客文書の記載からすると,原告顧客文書には,原告から 開示された指示書,注文書及び注文請書(本件指示書等を含む),顧客の担当者の名刺及び被告が作成した納入先リストなどの顧客情報を記載した文書が含まれると解されるところ,原被告間の契約において,契約終了時に,被告が原告に対し,原告顧客文書を引渡す義務を負う旨の合意があったことについて,原告は具体的な主張をしておらず,また,上記合意があったことを認めるに足りる証拠はない。 原告は,原告顧客文書の所有権に基づき返還を請求する旨の主張もしているが,指示書,注文書及び注文請書は,ファクシミリ送信されたものであれば,それが印刷された用紙の所有権は被告が有するものであるし,仮に文書を直接交付したことがあったとしても,指示や注文の内容が記載された当該用紙は,通常の取引において返還を予定しないものであるから,交付時に譲渡されたというべきであるので,やはり被告が所有権を有する。また,名刺はそれを受領した被告が所有権を有するし,被告が作成した文 該用紙は,通常の取引において返還を予定しないものであるから,交付時に譲渡されたというべきであるので,やはり被告が所有権を有する。また,名刺はそれを受領した被告が所有権を有するし,被告が作成した文書の所有権は,作成者である被告にあるというべきである。 したがって,被告が原告顧客文書を保有していることが認められたとしても,被告は,これを原告に返還する義務を負わないから,文書返還に係る原告の請求には理由がない。 6 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部 裁判長裁判官 東海林保 裁判官 瀬孝 裁判官 勝又来未子 別紙被告製品目録 被告製品1多穴振分式X線ガイド穴明け機 MXD-21被告製品2多穴振分式X線ガイド穴明け機 MXD-41,MXD-41UL被告製品3MCD-2100スピンドルCCD穴明け装置被告製品4MXD-2100被告製品5MXD-4100 別紙原告顧客情報(1) 原告が取引先からの注文に応じ,被告を下請として製造させた原告製品の納入を,当該取引先へ指示した別紙1ないし19に示す指示書又は注文書と題する文書に記載された原告の取引先の名称,住所,担当者の担当部署,電話番号,取引対象となった機械の型名,その仕様,付属品,納入日などの情報又はこれらをデータベース化した情報 示す指示書又は注文書と題する文書に記載された原告の取引先の名称,住所,担当者の担当部署,電話番号,取引対象となった機械の型名,その仕様,付属品,納入日などの情報又はこれらをデータベース化した情報 別紙原告顧客情報(2) 原告顧客情報(1)以外の原告の取引先からの注文に応じ,被告を下請けとして製造させた原告製品の納入を,当該取引先へ指示した別紙1ないし19と同様な指示書,注文書又は注文請書と題する文書に記載された原告の取引先の名称,住所,担当者の担当部署,電話番号,取引対象となった機械の型名,その仕様,付属品,納入日などの情報又はこれらをデータベース化した情報 別紙原告顧客文書 原告顧客情報の開示された指示書,注文書,注文請書と題する文書,当該取引先担当者の肩書,担当部署,電話番号などが記載された名刺,及びこれらの事項を納入先リストとして被告が作成した文書など,被告がまとめた原告顧客文書 (別紙1ないし19及び末尾添付の特許公報は省略)
▼ クリックして全文を表示