平成16年10月28日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成15年(行ウ)第26ないし第31号申告所得税更正処分取消等請求各事件(以下,それぞれの事件を事件番号に即して「26号事件」のように表記する。)口頭弁論終結の日平成16年7月8日判決 主文 1(26号事件)(1) 26号事件被告が,平成14年2月8日付けでした,26号事件原告の平成11年分所得税の更正処分(ただし,平成14年3月4日付け更正処分によって減額された後のもの)のうち総所得金額を2383万3875円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成14年3月4日付け変更決定処分によって減額された後のもの)をいずれも取り消す。 (2) 26号事件被告が,平成14年2月8日付けでした,26号事件原告の平成12年分所得税の更正処分(ただし,平成14年3月4日付け更正処分によって減額された後のもの)のうち総所得金額を3090万4538円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成14年3月4日付け変更決定処分によって減額された後のもの)をいずれも取り消す。 2(27号事件)(1) 本件訴えのうち,27号事件被告が,平成13年3月13日付けでした,27号事件原告の平成9年分及び平成10年分各所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち平成16年4月9日付け更正処分及び変更決定処分によってそれぞれ減額された部分の取消しを求める部分を却下する。 (2) 27号事件被告が,平成13年3月13日付けでした,27号事件原告の平成9年分所得税の更正処分(ただし,平成16年4月9日付け更正処分によって減額された後のもの)のうち総所得金額を5870万5428円として計算した額を超える部分及び過少申告 した,27号事件原告の平成9年分所得税の更正処分(ただし,平成16年4月9日付け更正処分によって減額された後のもの)のうち総所得金額を5870万5428円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成16年4月9日付け変更決定処分によって減額された後のもの)をいずれも取り消す。 (3) 27号事件被告が,平成13年3月13日付けでした,27号事件原告の平成10年分所得税の更正処分(ただし,平成16年4月9日付け更正処分によって減額された後のもの)のうち総所得金額を3435万1416円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成16年4月9日付け変更決定処分によって減額された後のもの)をいずれも取り消す。 (4) 27号事件被告が,平成13年3月13日付けでした,27号事件原告の平成11年分所得税の更正処分のうち総所得金額を5289万0138円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (5) 27号事件原告のその余の請求を棄却する。 3(28号事件)(1) 28号事件被告が,平成13年12月10日付けでした,28号事件原告の平成10年分所得税の更正処分のうち総所得金額を4397万5316円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (2) 28号事件被告が,平成13年12月10日付けでした,28号事件原告の平成11年分所得税の更正処分のうち総所得金額を5144万7646円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (3) 28号事件被告が,平成13年12月10日付けでした,28号事件原告の平成12年分所得税の更正処分のうち総所得金額を3552万9074円として計算した額を超える部分 処分をいずれも取り消す。 (3) 28号事件被告が,平成13年12月10日付けでした,28号事件原告の平成12年分所得税の更正処分のうち総所得金額を3552万9074円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 4(29号事件)(1) 本件訴えのうち,29号事件被告が,平成13年12月10日付けでした,29号事件原告の平成12年分所得税の更正処分のうち総所得金額を5426万0410円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求める部分を却下する。 (2) 29号事件被告が,平成13年12月10日付けでした,29号事件原告の平成10年分所得税の更正処分のうち総所得金額を7135万9781円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (3) 29号事件被告が,平成13年12月10日付けでした,29号事件原告の平成11年分所得税の更正処分のうち総所得金額を9400万6096円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 5(30号事件)(1) 30号事件被告が,平成13年12月27日付けでした,30号事件原告の平成10年分所得税の更正処分のうち総所得金額を1027万2784円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (2) 30号事件被告が,平成13年12月27日付けでした,30号事件原告の平成11年分所得税の更正処分のうち総所得金額を5430万3281円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (3) 30号事件被告が,平成13年12月27日付けでした,30号事件原告の平成12年分所得税の更正処分(ただし,平成14年6月10日付け更正処分によ 過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (3) 30号事件被告が,平成13年12月27日付けでした,30号事件原告の平成12年分所得税の更正処分(ただし,平成14年6月10日付け更正処分によって減額された後のもの)のうち総所得金額を6598万4055円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成14年6月10日付け変更決定処分によって減額された後のもの)をいずれも取り消す。 6(31号事件)(1) 千種税務署長が,平成13年12月25日付けでした,31号事件原告の平成10年分所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうちそれぞれ総所得金額を8843万2057円として計算した額を超える部分をいずれも取り消す。 (2) 千種税務署長が,平成13年12月25日付けでした,31号事件原告の平成11年分所得税の更正処分のうち総所得金額を1億1898万3789円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (3) 千種税務署長が,平成13年12月25日付けでした,31号事件原告の平成12年分所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうちそれぞれ総所得金額を1億1212万4270円として計算した額を超える部分をいずれも取り消す。 7 訴訟費用は,26号事件原告及び同事件被告にそれぞれ生じた費用は同事件被告の,28号事件原告及び同事件被告にそれぞれ生じた費用は同事件被告の,30号事件原告及び同事件被告にそれぞれ生じた費用は同事件被告の,31号事件原告及び同事件被告にそれぞれ生じた費用は同事件被告の各負担とし,27号事件原告及び同事件被告にそれぞれ生じた費用は,これを4分し,その3を同事件被告の,その余を同事件原告の各負担とし,29号事件原告及び同事件被告にそれぞれ生じた 費用は同事件被告の各負担とし,27号事件原告及び同事件被告にそれぞれ生じた費用は,これを4分し,その3を同事件被告の,その余を同事件原告の各負担とし,29号事件原告及び同事件被告にそれぞれ生じた費用は,これを3分し,その2を同事件被告の,その余を同事件原告の各負担とする。 事実及び理由 第1 原告らの請求 1 26号事件原告主文1項と同旨 2 27号事件原告(1) 27号事件被告が,平成13年3月13日付けでした,27号事件原告の平成9年分所得税の更正処分のうち総所得金額を5870万5428円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (2) 27号事件被告が,平成13年3月13日付けでした,27号事件原告の平成10年分所得税の更正処分のうち総所得金額を3435万1416円として計算した額を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 (3) 主文2項(4)と同旨(4) 27号事件被告が,平成13年3月13日付けでした,27号事件原告の平成9年分以降の所得税の青色申告承認取消処分を取り消す。 3 28号事件原告主文3項と同旨 4 29号事件原告(1) 主文4項(2)と同旨(2) 主文4項(3)と同旨(3) 29号事件被告が,平成13年12月10日付けでした,29号事件原告の平成12年分所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分のうち総所得金額を5426万0410円として計算した額を超える部分をいずれも取り消す。 5 30号事件原告主文5項と同旨 6 31号事件原告主文6項と同旨第2 事案の概要本件は,原告らが,それぞれ組合員となっている民法上の組合が行った航空機リース事業による所得が不動産所得(所得税法26条1項)に当たると主張し 旨 6 31号事件原告主文6項と同旨第2 事案の概要本件は,原告らが,それぞれ組合員となっている民法上の組合が行った航空機リース事業による所得が不動産所得(所得税法26条1項)に当たると主張して,その減価償却費等を損金計上して所得税の確定申告を行ったのに対し,課税庁である被告ら(31号事件は事務承継前の税務署長。以下,特に断らない限り,「被告ら」と総称する。)が,原告らの締結した組合契約は民法上の組合契約ではなく,利益配当契約にすぎないことなどを理由に,同所得は雑所得(同法35条1項)であって損益通算は許されないと主張して,原告らに対し,更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行い,さらに27号事件原告に対しては,青色申告承認の取消処分を行ったことから,原告らが,それぞれ,これらの処分(更正処分については,原告らが認める総所得金額を前提として計算された額を超える部分)の取消しを求めた抗告訴訟である。 1 前提事実(1) 課税の経緯ア原告らが,前記各年分の所得税についてした確定申告,更正の請求,異議申立て及び審査請求,被告らがした更正処分,過少申告加算税賦課決定処分,青色申告承認取消処分(27号事件)及び異議決定並びに国税不服審判所長がした審査裁決の経緯は,別表1ないし6記載のとおりである(以下,原告らに対する更正処分及び過少申告賦課決定処分を「本件各更正処分等」といい,27号事件原告に対する青色申告承認取消処分を「本件承認取消処分」という。)。 イ被告らによる本件各更正処分等の根拠となった認定に係る原告らの総所得金額は,それぞれ別表7ないし12記載のとおりであり,不動産所得に係る収入金額及び必要経費の内訳は,それぞれ別表13ないし18記載のとおりである。 (2) 本件各事業の概要ア野村バブコックアンドブラウン株式会社(以 7ないし12記載のとおりであり,不動産所得に係る収入金額及び必要経費の内訳は,それぞれ別表13ないし18記載のとおりである。 (2) 本件各事業の概要ア野村バブコックアンドブラウン株式会社(以下「NBB」という。)は,平成11年6月ころから,個人を対象として,民法上の組合による航空機リース事業(以下「本件各事業」と総称する。)への参加を勧誘し,原告らに対しても,「航空機賃貸事業のご案内」と題するパンフレット(以下「ご案内」という。)等を示して,本件各事業への参加を勧誘した。 イ本件各事業においては,原告らが,それぞれ,別表19ないし21記載のとおり,NBBの100パーセント子会社及びそれ以外の多数の者とともに,エヌビービー・ヨーク・リース事業組合1号(26号事件原告),エヌビービー・ヒースロー・リース事業組合1号(27号,28号,29号事件各原告。以下「ヒースロー事業組合」という。),エヌビービー・ホーランド・リース事業組合1号(28号,29号,31号事件各原告。以下「ホーランド事業組合」という。),エヌビービー・ヒースロー・リース事業組合6号(28号事件原告),エヌビービー・ロイヤル・リース事業組合1号(30号事件原告。以下「ロイヤル事業組合」という。)及びエヌビービー・ユーケー・リース事業組合5号の各組合(30号事件原告。以下,これらの各組合を「本件各組合」,その組合員を「本件各組合員」,その契約を「本件各組合契約」,その契約によって業務執行を委任されたNBBの100パーセント子会社を「本件各業務執行会社」と総称する。)契約を締結した上,別表20記載のとおり,それぞれの出資金と金融機関(以下「本件各金融機関」と総称する。)からの借入金(以下,借入れに係る契約を「本件各ローン契約」と総称する。)を用いて,航空機を所有する会社( 上,別表20記載のとおり,それぞれの出資金と金融機関(以下「本件各金融機関」と総称する。)からの借入金(以下,借入れに係る契約を「本件各ローン契約」と総称する。)を用いて,航空機を所有する会社(以下「本件各航空機購入元」と総称する。)から航空機1機(以下「本件各航空機」と総称する。)を購入し(以下,これらの売買契約を「本件各航空機売買契約」と総称する。),これを航空会社(以下「本件各航空会社」と総称する。)にリースして,本件各航空会社から得るリース料収入を上記借入金の元本・利子の返済に充てるとともに,残余を本件各組合員に分配し(以下,これらを「リース料分配金」という。),リース期間終了後の本件各航空機売却時には,売却代金をもって借入金残額の返済に充て,なお余剰が生じた場合には,本件各組合員に分配する(以下,これらを「売却代金分配金」といい,リース料分配金と併せて「分配金」ともいう。)ことが予定されていた。 なお,本件各組合は,上記の6組合から成るが,そのうち,ホーランド事業組合を除く5つの組合については,その契約内容が酷似しており,ホーランド事業組合のそれについても,後記のとおり,一部異なる点が存在するものの,基本的には類似しているため,争点を判断するに当たっては,ヒースロー事業組合をもって本件各組合を代表させるとともに,ホーランド事業組合における相違点を付加的な判断対象とする。 (3) 関連法令及び通達の抜粋ア不動産所得税関係(ア) 所得税法26条1項不動産所得とは,不動産,不動産の上に存する権利,船舶又は航空機(以下この項において「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。 (イ) 所得税基本通達26 て「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。 (イ) 所得税基本通達26-3(よう船契約に係る所得)いわゆる裸よう船契約に係る所得は,法第26条第1項に規定する船舶の貸付けによる所得に該当し,船員とともに利用させるいわゆる定期よう船契約又は航海よう船契約に係る所得は,事業所得又は雑所得に該当する。 航空機の貸付けに係る所得についても,これに準ずる。 イ組合の所得計算について(ア) 所得税基本通達36・37共-19(任意組合の事業に係る利益等の帰属の時期等)任意組合(民法第667条《組合契約》の規定による組合をいう。以下36・37共-20において同じ。)の組合員の当該組合の事業に係る利益の額又は損失の額は,当該組合の計算期間を基として計算し,当該計算期間の終了する日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。ただし,当該組合が毎年1回以上一定の時期において組合事業の損益を計算しない場合には,その年中における当該組合の事業に係る利益の額又は損失の額を,その年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。 (イ) 所得税基本通達36・37共-20(任意組合の事業に係る利益等の額の計算)36・37共-19により任意組合の組合員の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する利益の額又は損失の額は,次の(1)の方法により計算する。ただし,その者が継続して次の(2)又は(3)の方法により計算している場合には,その計算を認めるものとする。 (1) 当該組合の収入金額,支出金額,資産,負債等を,組合契約又は民法第674条《損益分配の割合》の規定による損益分配の割合(以下この項 法により計算している場合には,その計算を認めるものとする。 (1) 当該組合の収入金額,支出金額,資産,負債等を,組合契約又は民法第674条《損益分配の割合》の規定による損益分配の割合(以下この項において「分配割合」という。)に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法(以下略) 2 本件の争点(1) 本件各事業における減価償却費等の損益通算の可否(全事件に共通)ア課税要件についての事実認定の在り方イ本件各事業の内容と経済的合理性ウ本件各組合契約の法的性質-民法上の組合契約か(原告らの主張),利益配当契約か(被告らの主位的主張)。 エ上同-ホーランド事業組合についてオ本件各組合契約が民法上の組合契約と認められたとしても,民法93条ただし書ないし同法94条1項に基づいて無効か(被告らの仮定的主張その1)。 カ本件各組合契約が匿名組合契約と認められたとしても,本件各事業に係る所得は雑所得に当たるか(被告らの仮定的主張その2)。 キ本件各組合契約が民法上の組合契約と認められたとしても,本件各事業に係る所得は雑所得に当たるか(被告らの仮定的主張その3)。 (2) 本件承認取消処分の適法性(27号事件)(3) 平成12年分の所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求める訴えの利益(29号事件) 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)ア(課税要件についての事実認定の在り方)について(被告ら)ア所得に対する課税は,私法上の行為によって現実に発生している経済効果に即して行われるものであるから,第一義的には私法の適用を受ける経済取引の存在を前提として行われるが,その意義内容については,契約書の記載等を単に表面的,形式的に判断するのは相当ではなく,契約当事者の真意とその実体に照らした真実の法律関係に立ち の適用を受ける経済取引の存在を前提として行われるが,その意義内容については,契約書の記載等を単に表面的,形式的に判断するのは相当ではなく,契約当事者の真意とその実体に照らした真実の法律関係に立ち入って判断すべきであって,その結果,契約書の記載等の表面に現れた法律関係と異なる課税要件該当事実を認定し,課税が行われるのは当然のことである。 イ殊に,契約書の記載等において,契約当事者の真意と異なる記載がされ,契約書等の記載内容と契約当事者間における合意の実質が異なる場合(あるいは,租税回避を目的とする場合のように,意図的に,真に意図している経済関係とは異なる法形式を仮装した場合)には,租税負担の公平の見地からも,取引の経済実体を考慮した実質的な合意内容に従って契約等を解釈し,その真に意図している私法上の法律関係を前提として課税要件への当てはめを行うべきであり,かかる解釈・認定は,租税法律主義が要請する法的安定性,予測可能性に何ら反するものではない。 このことは,本件と類似する大阪高等裁判所平成12年1月18日判決・訟務月報47巻12号3767頁及び東京地方裁判所平成15年5月22日判決・公刊物未登載(以下,これらを「映画フィルム判決」という。)においても,承認されている。 (原告ら)ア租税は,公共サービスの資金を調達するために,国民の富の一部を国家の手に移すものであるから,その賦課・徴収は必ず法律の根拠に基づいて行われなければならない(租税法律主義。憲法84条)。 そして,今日の複雑な経済社会においては,各種の経済上の取引や事実の租税効果について十分な法的安定性と予測可能性とを保障しなければならないから,法の解釈及び事実認定は,租税法律主義にのっとり,納税者に対して十分な法的安定性と予測可能性とを保障し得るようになされなければ 効果について十分な法的安定性と予測可能性とを保障しなければならないから,法の解釈及び事実認定は,租税法律主義にのっとり,納税者に対して十分な法的安定性と予測可能性とを保障し得るようになされなければならない。 イところで,課税は,私法上の行為によって現実に発生している経済効果に即してなされるものであり,それらの効果は第一次的には私法によって規律されるから,租税法規が課税要件として私法上におけると同じ概念を用いている場合,租税法律主義の要請たる法的安定性と予測可能性の観点から,特に別意に解すべきことが租税法規の明文又はその趣旨から明らかな場合を除き,当該課税要件の意義は私法上におけると同一の意義に解釈すべきである。 また,当該行為の課税要件への該当性を判断する場合にも,その事実認定は私法上におけるそれと同一でなければならず,当事者が選択した法形式が私法上有効に成立しているにもかかわらず,課税庁が「事実認定」の名の下にこれを否認し,その経済的目的なりに即して他の法形式に引き直して課税することは,明文規定のない租税回避行為の否認を行うものとして許されない。 (2) 争点(1)イ(本件各事業の内容と経済的合理性)について(被告ら)ア民法上の組合という体裁がとられた理由(ア) NBBNBBは,自社単独で航空機リース事業を営むノウハウを有している会社であるが,単独で本件各事業を行った場合は,資金調達のコストが高くつくなど事業としてのうま味がないため,原告らの締結した契約関係において,「民法上の組合」の体裁がとられたのである。すなわち,NBBが単独で航空機リース事業を行った場合は,一般投資家からの資金に相当する金員も借入金によってまかなわなければならず,この金員についても本件各ローン契約と同様の条件によって借入れを行った場合には,高利率 独で航空機リース事業を行った場合は,一般投資家からの資金に相当する金員も借入金によってまかなわなければならず,この金員についても本件各ローン契約と同様の条件によって借入れを行った場合には,高利率の借入利息を負担しなければならない上,航空機の売却価格が低額となった場合には損失を被る危険をおかさなければならないこととなる。 これに対して,民法上の組合の形式を採った場合には,NBBは,「一般組合員」から,極めて資金調達コストの安い出資金を獲得することにより,銀行からの借入金については,ノン・リコースの合意を伴うローン契約を締結することが可能となり,その責任を組合が得るリース料債権及び航空機の売却価格の範囲に限定することができ,航空機が低額でしか売却できなかった場合のリスクを負担しないでよいことになる上,リース料金に対する一定割合の委託事務に対する報酬(2パーセント)及び経営援助に対する報酬(1パーセント)をも獲得することができる。 (イ) 原告ら一般組合員原告ら一般組合員が得る利益は,実際に受け取る現金(キャッシュ・フロー・ベース)で見る限り,例えばヒースロー事業組合において,航空機が低額(例えば1550万ドルないし2250万ドル)でしか売却できなかった場合に大きな損失(約マイナス68.5ないしマイナス5.0パーセント)を被るリスクがある割には,想定売却価格の2575万ドルで航空機が売却できた場合であっても,得られる利益(約24.4パーセント)が大きいとはいえない。 これに対して,キャッシュ・フロー・ベースの利益に損益通算により課税額の減少によって得られる利益を加味した実質利益について見ると,航空機が想定売却価格の約60パーセントの価格でしか売却できなかった場合,キャッシュ・フロー・ベースでの利益率が,大幅なマイナス(約マイナス68. て得られる利益を加味した実質利益について見ると,航空機が想定売却価格の約60パーセントの価格でしか売却できなかった場合,キャッシュ・フロー・ベースでの利益率が,大幅なマイナス(約マイナス68. 5パーセント)であっても,実質利益ベースでの利益率では,なお利益を確保できる(約4.8パーセント)のである。視点を変えれば,別表22のとおり,本件各事業においては,リース期間終了以前に得られるリース料分配金及び損益通算の利益の総額をもって,当初の出資金額に見合うだけの経済的利益を確実に回収することができる構造になっている。 加えて,前記のとおり,銀行からの借入金については,ノン・リコースの合意を伴う本件各ローン契約により借入れをするため,「一般組合員」の責任も限定されたものになり,「一般組合員」にとって安全性の高い点においても,魅力的な投資対象といえるのである。 (ウ) 本件各金融機関本件各ローン契約の相手方である本件各金融機関にとっては,上記のいわゆるノン・リコースの合意を伴う本件各ローン契約により,航空機が低額でしか売却できなかった場合に,債務全額の返済を受けられない危険は負うものの,高い利率による利息の支払を受けることができ,メリットの大きい契約である。 (エ) 小括以上のとおり,民法上の組合の体裁をとることによって,一般組合員が損益通算により他の所得に係る課税額の減少によって利益を得ることができれば,NBBないしNBB関連会社は,最小のリスクで大きな利益を得ることができることになる。換言すれば,民法上の組合の体裁を採ることにより,本来他の所得に係る税額として,一般組合員が国に納めるはずであった税額を,NBBないしNBB関連会社,一般組合員及び本件各金融機関等が分け合うことによって,税の納付を受けられなかった国を除き,本件各契約の関係 に係る税額として,一般組合員が国に納めるはずであった税額を,NBBないしNBB関連会社,一般組合員及び本件各金融機関等が分け合うことによって,税の納付を受けられなかった国を除き,本件各契約の関係者の全てが,大きな利益を得ようとしている。 イ民法上の組合契約と矛盾する条項が置かれた理由一般組合員は,資金調達と課税額減少効果を除いては本件各事業についての関心が薄く,自ら航空機リース事業を営む意思はないのであるが,万が一,NBBないしNBB関連会社である本件各業務執行会社との間に利害対立が生じ,組合契約の体裁が逆手に取られた場合に備えて,NBBないし本件各業務執行会社は,民法の組合に関する規定のうち,NBBないし本件各業務執行会社が単独で航空機リース事業を営むに当たって障害となる規定である検査権及び解任権を排除する特約を,本件各組合契約書等の条項として盛り込んだものである。そして,その条項は,本件各契約の実体を語るものである。 ウ原告らの主張に対する反論原告らは,本件各事業が,リース料分配金と売却代金分配金だけでも利益を得ることができる旨主張するが,上記主張は,想定売却価格で売却できた場合を前提とした主張であるところ,航空機の売却価格が想定売却価格を上回った事例は,32例中6件(18.8パーセント)にすぎず,リース終了時に航空機売却代金をもって出資金元本(ドル・ベース)すら回収できなかった事例も40パーセント以上存在していたとされるから,キャッシュ・フロー・ベースで観察する限り,本件各事業にあっては,上記分配金額は当初の出資額にさえ満たない可能性が相当に高いと推察され,一般投資家が簡単に出資を決定できない極めてハイリスクな契約であることが明らかである。 また,原告らは,「本件各事業を含むNBBの紹介事案については,当初出資額を上回 い可能性が相当に高いと推察され,一般投資家が簡単に出資を決定できない極めてハイリスクな契約であることが明らかである。 また,原告らは,「本件各事業を含むNBBの紹介事案については,当初出資額を上回る回収ができた事案は半数以上存在する」などと主張するが,その根拠として提出された書面(甲全6)は,「1997年1月以降で,米ドル・ベースで回収出資金額が当初出資金額を上回り,利益が出た案件をリストアップしたもの」とされながら,NBBが関与・組成している本件と同種の航空機リース事業に係る投資案件全体の母体数が明らかとされておらず,「当初出資額を上回る回収ができた事案は半数以上存在する」ことを裏付けるものではない。むしろ,NBBの担当者が,NBBには本件業務執行会社のような会社が200社から250社ある旨述べていることに照らせば,上記書面が挙げる19件という数字が仮に正しいとしても,実際には当初出資額を上回らなかった投資案件がこの件数よりも多く存在したと考えられるところであり,「「キャッシュ・フロー・ベースの利益」でも,経済的な利益を生じる可能性が高い事業である」とは到底いえない。 さらに,原告らは,事業の経済的合理性の判断において課税効果も織り込むことは通常の経済人であれば当然である旨主張する。なるほど,一定の取引を行う場合に,いかなる課税関係を生ずるかを検討することは,取引の考慮要素となり得るが,本件では,他の所得に掛かる課税額を減少させることを目的として,その契約実体とは異なる外形を利用した場合に,当事者の真意に合致する実質的な法律関係に基づいて課税することが問題となっているから,原告らの上記主張は適切な反論にはなっていない。 本件各契約は,民法上の組合の外形を作出することによって,一般組合員に出資総額を大幅に上回る多額の借入金利子費用と巨 税することが問題となっているから,原告らの上記主張は適切な反論にはなっていない。 本件各契約は,民法上の組合の外形を作出することによって,一般組合員に出資総額を大幅に上回る多額の借入金利子費用と巨額の減価償却費を「創出」し,これらを他の所得と損益通算することによって,これに由来する利益をNBBないしその関連会社などが享受するものであり,我が国の租税歳入を侵食するものである。この点につき,原告らは,租税軽減目的があるからこそ,そのための法形式を選択した当事者の効果意思が認められる旨主張するが,その引用する東京高等裁判所平成11年6月21日判決・判タ1023号165頁は,当事者が意図した法律関係を形成する法形式が2つ存在し,当事者が選択し得た事案であり,本件では,原告ら及び本件各業務執行会社が採用できる法形式は,利益配当契約のみであって,これと異なる経済的目的を異にする民法上の組合契約は選択できないから,事案を異にする。 (原告ら)被告らの主張は争う。 ア経済的合理性を議論することの意義そもそも,租税法律主義の下においては,租税の賦課・徴収は必ず法律の根拠に基づいて行われなければならず,その定める課税要件事実を充足した場合に限って適法となるものであるから,事業に経済的合理性を要求する被告らの前記主張は,本件各更正処分等を基礎付ける法的根拠となり得るものではない。それにもかかわらず,被告らがかかる主張を展開している目的は,裁判所に対し,本件各事業が単なる租税回避目的の不合理な事業であるという先入観を植え付け,租税回避目的の行為は否認されても仕方がないという印象を与えようとするものである。 イ本件各事業の必要性・経済的有用性旅客機を始めとする航空機は1機が数十億円から百数十億円にも上るものであり,これを購入し長期間にわたって れても仕方がないという印象を与えようとするものである。 イ本件各事業の必要性・経済的有用性旅客機を始めとする航空機は1機が数十億円から百数十億円にも上るものであり,これを購入し長期間にわたって保有し続けるためには,莫大な資金力を必要とする。加えて,航空機も不動産と同様に(又は,それ以上に)市場価格の変動がある。そのため,世界有数の航空会社であっても,全てを自己資金や銀行融資で航空機を購入し,保有を継続することは,事実上不可能であり,その多くをリース機でまかなっている。しかし,航空機リースを専門とするリース会社にとっても,航空機を多数購入し,長期間保有することは,資金的にも資産価値の下落リスクからも更に不可能である。かかる事情から,必然的に,航空機リース会社とは別に,本件各事業のように複数人で組合を組成して共同出資と借入れを行い,航空機を買い付け,これを航空会社にリースするという事業形態が古くから世界中で行われてきたのである。 かかる航空機リース事業がなければ,多くの航空会社にとって運航に供する航空機の激減を招き,ひいては旅行業界や輸送業界等のビジネスが成立しないという事態を招くことになる。 ウキャッシュ・フロー・ベースでの合理性本件各事業のリース料年率は,マネジメント・フィー(事務手数料)差引後で11.35パーセントにも上るのであり,この数値は,都心における商業ビル等のリース料率と比較すれば数倍にも達する高い数値である。したがって,本件各事業は,リース料の点からは極めて収益性の高い事業であるといえる。加えて,本件各事業の終了時に航空機が想定売却価格以上の高値で売却できた場合には,多額の売却益をも得られるのである。被告らは,想定売却価格で売却しても当初出資額の124.4パーセントにすぎないと主張するが,不動産と比較すれば,価格上 想定売却価格以上の高値で売却できた場合には,多額の売却益をも得られるのである。被告らは,想定売却価格で売却しても当初出資額の124.4パーセントにすぎないと主張するが,不動産と比較すれば,価格上昇が見込めること自体希少価値があり,この数値は決して低いとはいえない。 次に,被告らは,事業の投資価値をキャッシュ・フロー・ベースと課税額減少効果に区別し,損益通算による課税額減少効果が本件各事業を事業たらしめる上で重要不可欠な要素となっている旨主張する。しかしながら,そもそも,両者を区別して捉えなければならない理由について全く論証されておらず,被告らの上記主張はそれ自体およそ論理性に欠けるものである。合理的経済人であれば,納税義務を考慮することなしには,いかなる重要な経済的意思決定もなし得ないところ,被告らの上記主張は,事業を開始するに当たり課税額減少効果を見込むことは一切許されないというに等しく,経済的常識に反し合理性がない。しかも,本件各事業を含むNBBの紹介案件においては,当初出資額を上回る回収ができた事案は半数以上存在しており(甲全6),キャッシュ・フロー・ベースの利益でも,経済的な利益を生じる可能性が高い事業であることは明らかである。 なお,被告らは,「当初の出資額の回収が確実に見込める」か否か等を基準として,事業としての経済合理性がないかのような主張も展開しているが,そもそも民法上の組合による事業であると否とにかかわらず,出資金を元手とするいかなる事業も,利益が上がれば出資額よりも大きいリターンを得る一方,逆に利益が上がらなければ出資額も戻らないリスクを負担するものであり,当然に出資額全額が確実に返済されるという性質のものではない。出資額の全額が確実に回収されなければ経済合理性がないとの被告らの主張によれば,リスクの高い事業は も戻らないリスクを負担するものであり,当然に出資額全額が確実に返済されるという性質のものではない。出資額の全額が確実に回収されなければ経済合理性がないとの被告らの主張によれば,リスクの高い事業は,およそ経済合理性のない事業ということになるが,かかる主張は非常識である。 しかも,本件各組合員は,民法上の組合を組成することで相当程度の出資金を集めることができ,これにより金融機関から多額の借入れを行うことが可能となり,本件各組合員が個人では購入することができない本件各航空機を購入することができることになる。その結果,高額なリース料収入を得ることができ,借入金利や元本の一部を弁済したとしても高額のリース料分配金を得ることが可能となり,さらに,本件各航空機が高値で売却できた場合には,多額の売却代金分配金も得ることができる(レバレッジ効果)。これに対して,本件各金融機関からの借入れに対する弁済は一定額であるから,売却代金から当該弁済や各種手数料を返済した残額がそのまま組合員への分配となる。 このように,本件各事業は,一定の出資金を効率よく利用して,手元資金のみでは獲得することができない高額のリース料と航空機の値上り益を獲得することを目的とする,経済的に極めて合理的な事業である。 エ課税額減少効果の意味被告らは,本件各事業は,民法上の組合の体裁をとることにより,多額の借入金利子費用や減価償却費を「創出」している旨主張するが,本件各組合は,現に本件各航空機の購入費用を本件各金融機関から借り入れており,その利子を本件各組合が支払うのは当然のことであって,何ら「創出」された費用ではないし,減価償却費は,企業会計原則によって計上しなければならない費用であって,これも何ら「創出」された損失ではない。本件各事業により借入金利子費用や減価償却費が発生した以上 「創出」された費用ではないし,減価償却費は,企業会計原則によって計上しなければならない費用であって,これも何ら「創出」された損失ではない。本件各事業により借入金利子費用や減価償却費が発生した以上,これが必要経費となるのは当然であり,所得税法及び所得税基本通達の明文規定に従い不動産所得に分類し,所得税法の明文規定により損益通算が認められている所得との損益通算を行うのも,また当然である。したがって,所得税法や所得税基本通達の定める課税要件に該当する限り,そのことを前提として事業の経済合理性を検討すべきことは当然であり,損益通算による利益とその他の利益を区別した上で利益額の多寡を比較することには何の意味もなく,被告らの上記主張は失当である。 なお,当事者が選択した行為の経済合理性及び租税負担軽減目的と効果意思の関係については,仮に,当事者が選択した法形式には租税軽減目的以外の経済的合理性が認められない場合でも,これをもって当事者の効果意思が欠如した仮装行為であるということはできず,むしろ租税軽減目的があるからこそ,そのための法形式を選択した当事者の効果意思が強く認められるという関係にある(前掲東京高等裁判所平成11年6月21日判決)のであって,本件各事業には経済合理性がなく租税負担の軽減が目的であるという被告らの主張は,何ら原告らの選択した法形式に係る効果意思の存在を否定する根拠となるものではなく,むしろ原告らの選択した法形式に係る効果意思の存在を裏付けるというべきであって,本件各更正処分等を正当化する理由となるものではない。 さらに,被告らは,別表22を根拠として,本件各事業においては,「本件航空機にかかるリースが終了する前に,当初の出資金額にほぼ見合うだけの経済的利益を確実に回収できる構造になっている」と決め付けている。しかしなが ,別表22を根拠として,本件各事業においては,「本件航空機にかかるリースが終了する前に,当初の出資金額にほぼ見合うだけの経済的利益を確実に回収できる構造になっている」と決め付けている。しかしながら,同表は,航空機の市況の変化や為替変動等の要因があることを前提として,いくつかの想定が記載されているのであり,本件各事業は航空機リース市場の動向によりリース料減額を余儀なくされるリスク,航空機売却市場価格低下により譲渡損が生じるリスク,賃借人の倒産リスク,為替リスク等様々な事業環境の変化によるリスクがあり,被告らのいう「経済的効果」や「利益」が上がる場合も上がらない場合もある。したがって,本件各事業は,あたかも,出資をすれば当然に一定の「経済効果」や「利益」が得られる事業ではなく,被告らの主張は,極めて不当である。 (3) 争点(1)ウ(本件各組合契約の法的性質)について(被告ら)本件各組合は,民法上の組合(任意組合)の形式を採っているが,当事者の意図及び実体を考慮すれば,原告らの締結した契約関係は,以下のとおり,「共同ノ事業」を営むことを要件とする民法上の組合契約とは認められず,実質的には,NBBの子会社であって本件各組合契約に基づいて業務執行を委ねられた本件各業務執行会社との間で締結された利益配当契約と認めるのが相当である。 ア民法上の組合の成立要件-共同事業性民法上の組合とは,税法上,民法667条1項の規定による組合をいうが,同項が,「組合契約ハ各当事者カ出資ヲ為シテ共同ノ事業ヲ営ムコトヲ約スルニ因リテ其ノ効力ヲ生ス」と定めていることから明らかなように,その組合契約の成立要件は,①2人以上の当事者の存在,②各当事者が出資すること,③共同事業を営む目的の存在,④各当事者の意思の合致である。そして,一般組合員が業務執行権を ることから明らかなように,その組合契約の成立要件は,①2人以上の当事者の存在,②各当事者が出資すること,③共同事業を営む目的の存在,④各当事者の意思の合致である。そして,一般組合員が業務執行権を一部の業務執行組合員に委託してこれを専行させる場合であっても,民法上の組合であるためには,一般組合員が,組合の業務や財産状況を検査する権限と,業務執行組合員を一定の条件の下に解任する権限とを保有しているだけではなく,共同事業を営む目的の存在を要する。 このことは,民法上の組合と商法上の匿名組合のいずれに該当するかが問題となった「南山興産事件」に関する名古屋地方裁判所昭和60年3月25日判決・税務訴訟資料144号741頁が,「民法上の組合契約(殊に講学上の内的組合)と商法上の匿名組合とは,共同事業性の有無及び組合財産が共有か否かにその区別が存する」と判示していることからも明らかである(控訴審及び上告審にて維持)。 イ本件各組合契約についての個別的検討(ア) 検査権について民法673条に基づく検査権は,同法671条によって準用される同法645条の規定する報告請求権よりもさらに積極的であって,自ら組合に赴き,帳簿その他書類を検閲し,財産の有無を調査することができることを内容としている。そして,この権利は,直接業務執行に関与しない一般組合員の利益を保護するためのものであるから,特約をもって奪うことはできない。したがって,検査権を保有しない特約があるときは,共同事業を営むという組合の本質が失われ,その関係はもはや民法上の組合ではないというべきである。 ところが,本件各組合契約12条1項は,「各組合員は,合理的な理由を記載した書面により,業務執行者に対して組合の運営及び組合財産の状況について報告を求めることができ,業務執行者は速やかにこれに応じるも ろが,本件各組合契約12条1項は,「各組合員は,合理的な理由を記載した書面により,業務執行者に対して組合の運営及び組合財産の状況について報告を求めることができ,業務執行者は速やかにこれに応じるものとする。但し,これに要する費用は当該組合員の負担とする。」と定めている。このように,組合員の検査権より,いわば程度の弱い権利である報告請求権については明文で規定した上で,権利行使の条件まで明示しながら,検査権については,その権利行使の方法,条件等について一切規定を設けず,むしろ,同8条1項は,「業務執行者以外の組合員は本契約に定めるもののほか,何ら業務についての権限を有しない。」と定めていることに照らせば,本件各組合契約にあっては,検査権を原告らである「一般組合員」に対して保障せず,これを排除する趣旨であると解される。 したがって,このような本件各組合契約書の条項によれば,本件各契約は,民法上の典型契約としての組合契約ではないことが明らかである。 (イ) 解任権について民法672条1項は,「組合契約ヲ以テ一人又ハ数人ノ組合員ニ業務ノ執行ヲ委任シタルトキハ其組合員ハ正当ノ事由アルニ非サレハ辞任ヲ為スコトヲ得ス又解任セラルルコトナシ」,2項は,「正当ノ事由ニ因リテ解任ヲ為スニハ他ノ組合員ノ一致アルコトヲ要ス」とそれぞれ定め,民法上の組合における業務執行組合員を一定の要件の下に解任する権限を組合員に保障している。 しかしながら,①本件各組合契約においては,本件各業務執行会社が「唯一」の業務執行者であると定められ,他の組合員は「業務執行者以外の組合員は本契約に定めるもののほか,何ら業務についての権限を有しない」(8条1項)とされ,本件各業務執行会社以外の業務執行者を選任する手続が規定されていないこと,②これらの条項を変更するには,「組合員全員の書 約に定めるもののほか,何ら業務についての権限を有しない」(8条1項)とされ,本件各業務執行会社以外の業務執行者を選任する手続が規定されていないこと,②これらの条項を変更するには,「組合員全員の書面による合意」(26条)が必要とされていること,③業務執行者の辞任に関しては,「業務執行者は,正当の事由により業務執行者以外の組合員全員の書面による同意を得たときのほか,辞任することができない」(同8条3項)との規定が置かれているのに対して,解任に関する規定は設けられていないこと,④本件各事業の遂行に不可欠な本件各ローン契約書には,「業務執行会社は,本契約及び運用関連文書類に基づくすべての組合の義務が履行終了するまでの間,組合の業務執行者であり続ける」旨を本件各金融機関に対して誓約する規定が置かれており,仮にこうした誓約が遵守されなかった場合には,この違約を是正するよう求める旨の通知を出すなどの条件の下で,元金及び利子の未払分全額の履行期限が到来することが規定されていること(同書7.1(c),(d),7.2),これらの点に照らせば,本件各組合契約は,原告ら「一般組合員」に,本件各業務執行会社の解任権を付与せず,これを排除する趣旨と解せられる。 さらに,本件各事業は,本件各業務執行会社が本件各ローン契約及び本件各リース契約の保証人であるNBBと親子会社の関係にあることを始め,他の関連当事者と特殊な関係にあるからこそ成立しているスキームであり,一般組合員が業務執行者の地位に就いたのでは,本件各事業が到底機能し得ないことは明らかであり,このことは,本件各事業への勧誘に当たって示された「ご案内」も前提とし,本件各ローン契約の上記条項もそのことを前提としている。そうだとすると,仮に,法的には,本件各組合契約が解任権の存在を否定していないとしても,一般 業への勧誘に当たって示された「ご案内」も前提とし,本件各ローン契約の上記条項もそのことを前提としている。そうだとすると,仮に,法的には,本件各組合契約が解任権の存在を否定していないとしても,一般組合員が解任権を行使することをおよそ何人も想定していないことは明らかであるから,この権利は形骸化しており,形式上存在しているにすぎないものとして,共同事業性の判断においては,法的に付与されていない場合と同視すべきである。 したがって,本件各業務執行会社を「唯一」の業務執行者として,原告らである「一般組合員」に解任権を認めない本件各組合契約は,民法上の典型契約としての組合契約ではないことが明らかである。 (ウ) 組合員としての責任について民法上の組合にあっては,組合の債権者は,組合に対する債権の全額について組合財産から弁済を請求する権利を有するとともに,民法675条により,組合員各人が,その持分割合に応じて,組合に対する債権者に対して,人的・無限責任を負うのが原則とされている。 しかし,本件各組合契約においては,次のとおり,原告ら「一般組合員」の責任は制限されており,実質的には,当初の出資以外の責任を負っておらず,共同事業者としてのリスクを負わない仕組みになっており,本件各組合契約が,本件各事業を「共同ノ事業」とする契約ではないことを示している。このことは,「ご案内」が,投資のリスクとして,専ら出資金の回収に係るリスクのみを考慮要素として挙げていることからも明らかである。 a 本件各ローン契約に関する責任本件各ローン契約によれば,各組合員の責任は,本件各ローン契約3.1(e)及び3.5に係るものを除き,受領総額(担保を構成する資産から得られる金員を指し,航空会社から受領するリース料,航空機の売却価格などが含まれる。)に対する各組合員の持分の範囲 ローン契約3.1(e)及び3.5に係るものを除き,受領総額(担保を構成する資産から得られる金員を指し,航空会社から受領するリース料,航空機の売却価格などが含まれる。)に対する各組合員の持分の範囲に限定され,また,本件各ローン契約3.1(e)及び3.5に係る責任は,各組合員の組合資産に対する持分の範囲に限定される。したがって,原告ら一般組合員が,本件各金融機関から直接ローン契約上の責任を追及されることはあり得ない。 b 本件各リース契約に関する責任本件各組合が,NBBとの間で締結した,本件各組合の本件各金融機関に対する借入金返済債務及び本件各航空会社に対するリース契約上の債務について保証を委託する旨の契約(以下「本件各保証委託契約」という。)の10条によれば,原告ら一般組合員は,NBBに対し,NBBが保証したリース契約上の債務による求償債務に関し,組合と連帯して責任を負うとされているが,本件各リース契約における主たる債務は,本件各航空機の引渡債務であって,すでに本件各航空機は,本件各リース契約の成立以前から本件各航空会社に賃貸されているから,引渡債務の不履行はない上,航空機が墜落等した場合の責任についても,本件各リース契約上,「航空会社は,リース期間中,自己の費用で航空機に対する保険を維持するものとする」とされているから,保険によってカバーされる。したがって,リース契約上の賃貸債務が不履行となり,それに関連する責任が追及される可能性もない。 (エ) 不動産特定共同事業の標準的約款との比較について原告らは,民法上の組合を予定している上記標準的約款と本件各組合契約との共通性を根拠に本件各組合が民法上の組合である旨主張するが,解任権及び検査権について,上記約款と本件各組合契約の条項は定め方が異なっており,原告らの主張は失当である。 ウ 的約款と本件各組合契約との共通性を根拠に本件各組合が民法上の組合である旨主張するが,解任権及び検査権について,上記約款と本件各組合契約の条項は定め方が異なっており,原告らの主張は失当である。 ウ本件各航空機の所有権の帰属本件各組合契約書,本件各リース契約書,本件各航空機売買契約書等に記載された条項によれば,次のとおり,原告ら一般組合員は,本件各航空機の所有者としての権能を有しておらず,また,前述したように,本件各航空機の所有者としてのリスクも負担していないのであるから,本件各業務執行会社が本件各航空機を単独所有しているというほかない。 すなわち,本件各航空機は,本件各組合契約の成立前から本件各航空会社に既にリースされており,リース期間中は,「組合は,担保資産に新たな担保権を設定しない。」(本件各ローン契約5.2(c))とされ,リース契約終了後は,ローン借入金返還債務の残額を返済するため,他に売却されることが予定されているから,原告ら一般組合員が所有権者として本件各航空機の使用・収益・処分を行う権能を具体的に行使し得る場面は,本件各航空機の購入と売却である。 そのうち,本件各航空機の購入については,本件各組合契約締結以前に,NBB及びその関連会社によって交渉され,内容が決定済みであって,本件各航空機購入元から購入するとともに,即日,本件各航空会社にリースされることになるのであるから,原告ら一般組合員は,本件各航空機の購入手続に一切関与しない。また,売却についても,本件各組合契約13条1項によれば,「業務執行者の提案に基づき出資割合の過半数以上を有する組合員の書面による同意」によって,本件各航空機全部の売却ができるとされており,本件各業務執行会社の提案がその前提条件とされていることに照らすと,わずか0.005ないし0.05パーセント 上を有する組合員の書面による同意」によって,本件各航空機全部の売却ができるとされており,本件各業務執行会社の提案がその前提条件とされていることに照らすと,わずか0.005ないし0.05パーセント程度の出資者にすぎない本件各業務執行会社の意思に反して,原告ら一般組合員が全員の一致をもってしても本件各航空機の売却を決定することは不可能である。 エ当事者の真意NBBや本件各業務執行会社の側では,原告ら一般組合員を純然たる投資家として扱っており,また,原告ら一般組合員においても,投資家として投資を行い,それによって経済的利益を獲得することにしか関心がなく,共同事業の経営に積極的に参加する意思など全く存在しない。NBBや本件各業務執行会社は,そのことを十分に認識した上で,民法上の組合という法形式を形だけ使用したものであるといえる。このことは,次の点から明らかである。すなわち,(ア) 原告らは,本件各組合契約を締結するに当たって,NBBから前記「ご案内」を示されているから,その意思形成の基礎は,「ご案内」の記載内容にあると考えられるところ,「ご案内」では,本件各業務執行会社が本件各組合の業務執行者となることを当然の前提としており,「一般組合員」が業務執行者の業務執行に対する監督を行う方法についての言及はなく,本件各事業は,NBB関連子会社すなわち本件各業務執行会社が参加し,かつ,NBBが航空会社に対してリース契約の履行を保証することによって初めて成り立つ取引である旨が明示されている。そうすると,原告ら一般組合員が,本件各業務執行会社に対する監督権を行使して,検査権や解任権を行使するといった事態は,およそ想定されていない。 (イ) また,「ご案内」には,原告ら一般組合員は「投資家」と表現されており,本件各事業については,航空機リース事業の 権を行使して,検査権や解任権を行使するといった事態は,およそ想定されていない。 (イ) また,「ご案内」には,原告ら一般組合員は「投資家」と表現されており,本件各事業については,航空機リース事業のごく概略的な仕組みなどの簡略かつ一般的な説明しかなく,航空機リース事業経営上の留意点や航空機リース事業業界の慣行,航空機市場の動向,想定売却価格で売却される可能性の程度などの航空機リース事業を主体的に営むために必要と考えられる事項についての記述は一切存在しない。 (ウ) その一方で,「ご案内」には,本件各事業に参加した場合の税務上の取扱いに関する記述,組合員の死亡時等の地位の承継に関する記述などが詳細に記載され,また,本件各事業に参加した場合の投資効果に関する「任意組合損益・現金分配試算表」については,減価償却方法の選択(定率法か定額法か)に応じて,複数の組合せが記載されており,これが専ら課税上の利益を得ることができることを売り物にした商品であるといえる。 しかも,原告ら一般組合員の職業は,航空機の賃貸や売買などとは何ら関係がなく,本件各事業を主体的に営むための専門的知識や経験を有しているとは考えられないことや,NBBが不特定多数の大衆を相手に投資家を募集したという原告らが参加するに至った経緯や,その結果,相互に面識を有しないという個性的な人間関係の不存在の事実に照らしても,原告らに航空機の賃貸事業を共同して行う意思があったとは認められない。 (エ) さらに,「一般組合員」が本件各事業に関連して受領した契約書は,本件各組合契約書以外は,そのほとんどが英文で記載されており,その膨大な契約条項の数や内容の複雑性に照らせば,契約内容を正確に理解することは極めて困難である。しかも,これらの契約書の翻訳は存在しない上,契約書自体すら「一般組合員」に が英文で記載されており,その膨大な契約条項の数や内容の複雑性に照らせば,契約内容を正確に理解することは極めて困難である。しかも,これらの契約書の翻訳は存在しない上,契約書自体すら「一般組合員」に交付されていないものがあるから,原告らが,本件各組合と関係当事者との間で締結された契約内容を具体的に認識していたとは考え難い。また,そうした契約の中には,業務執行者を変更しないことの誓約とか,金融機関の同意がない限り本件各組合契約を変更しないこととするなど,「一般組合員」が主体的に組合業務に参加する意思を有するのであれば当然に了知しておく必要があると考えられる条項も含まれているにもかかわらず,そうした内容が原告ら「一般組合員」に対して示されていた状況もない。 オ小括-利益配当契約以上のとおり,本件各組合契約には,共同事業性が認められないから,それは,いわゆる利益配当契約ではあり得ても,組合契約足り得ないと解される。すなわち,利益配当契約の成立要件は,①当事者の一方が相手方のために金銭を交付(資金提供)することの合意,②金銭の交付を受けた当事者が,交付された金銭を運用し,その運用利益を金銭交付者に分配するとともに,運用終了時には,清算後残った金銭を金銭交付者に返還する旨の合意であると考えられるところ,本件においては,①本件各契約書及び「ご案内」等の記載内容に照らせば,「一般組合員」とされる原告らが,NBBないし本件各業務執行会社の管理する預金口座に振り込む方法で本件各業務執行会社に現金を交付することとされているから,当事者の一方が相手方のために金銭を交付する合意が存在したと認められ,②金銭の交付を受けた本件各業務執行会社が,交付された金銭を本件各事業のために運用し,その運用利益を「リース料分配金」として原告らに分配するとともに,リース期間 を交付する合意が存在したと認められ,②金銭の交付を受けた本件各業務執行会社が,交付された金銭を本件各事業のために運用し,その運用利益を「リース料分配金」として原告らに分配するとともに,リース期間終了時には,「売却代金分配金」として,清算後に残った金銭のうち,当初の交付金額に満つるまでの分は当初の交付金の返還として,それを上回る分は運用利益として,それぞれ分配する旨の合意が存在したものと認められる。 したがって,原告らの締結した契約関係は,民法上の組合契約ではなく,利益配当契約と認めるべきである。本件各組合契約書の表題や前文が組合契約の用語を用いているのは,所得税を減少させるために,外観上,航空機の賃貸事業を共同の事業とする民法上の組合の形式を整えたものにすぎない。 (原告ら)被告らの主張は争う。 本件各組合は,以下のとおり,私法上の民法上の組合の成立要件を充足しており,民法上の組合として私法上有効に成立していることは明らかである。 ア民法上の組合の成立要件-共同事業性民法667条1項によれば,民法上の組合が成立するためには,2人以上の当事者が,①出資することと,②共同事業を営むことについて合意することが必要であり,かつ,これで足りる。 そして,民法上の組合の成立要件である共同事業性が認められるためには,各当事者が組合の目的たる事業の遂行に関与する権利を持つことを要するが,共同事業性が認められるためには,民法672条が「組合契約ヲ以テ一人又ハ数人ノ組合員ニ業務ノ執行ヲ委任シタルトキハ」と明文で規定していることからも明らかなとおり,各組合員は業務執行権を一部の組合員に委託して専行させることもできるのであるから,各組合員が,①検査権(民法673条),及び②業務執行組合員の解任権(同法672条1項,2項)を有していれば足り,一定の「意図」 務執行権を一部の組合員に委託して専行させることもできるのであるから,各組合員が,①検査権(民法673条),及び②業務執行組合員の解任権(同法672条1項,2項)を有していれば足り,一定の「意図」や「目的」あるいは「動機」などの主観的要素は,民法上の組合が有効に成立するための要件ではない。 この点について,被告らは,「南山興産事件」に関する名古屋地裁判決を引用して,民法上の組合と商法上の匿名組合の区別基準として,a共同事業性の有無,b組合財産の共同所有性の有無の2点を挙げ,この2点が民法上の組合の成立要件であるかのような主張を展開している。しかしながら,bの組合財産の共同所有性は,組合財産が組合員の共同所有であれば,これが匿名組合とはなり得ないという限りで,匿名組合と民法上の組合との区別基準として作用し得るのみであって,組合員の一人が財産を単独所有していても,なお民法上の組合たる性質を失わないことは,大審院大正6年5月23日判決・民録23輯917頁以降,わが国の裁判例が一貫して判示しているところである。 したがって,本件各組合が,民法上の組合として有効に成立するためには,「目的」等や検査権及び解任権を超えた「共同事業性」,「組合財産の共同所有性」は必要ではなく,その要件は,本件各組合の組合員が,①本件各組合契約に従い出資すること,及び②本件各事業を営むことについて合意することのみであるところ,本件各組合契約5条によれば,本件各組合員は,本件各組合契約記載の出資額に相当する金銭を出資することを合意し,現に出資金を出資しているのであるから,民法上の組合の上記成立要件のうち①を満たしている(②については,次のイで検討する。)。 以上のとおり,被告らの主位的主張は,いずれも民法の解釈からかけ離れた独自の見解に立脚した主張であって,民法上の組合 の組合の上記成立要件のうち①を満たしている(②については,次のイで検討する。)。 以上のとおり,被告らの主位的主張は,いずれも民法の解釈からかけ離れた独自の見解に立脚した主張であって,民法上の組合の私法上の成立要件を無視して課税庁の立場から独自の要件を恣意的に創設し,その創設した要件を充足しないことを理由として本件各組合を民法上の組合ではないと主張するものである。このような私法上の要件を無視した被告らの主張は,まさに主張自体失当であり,かつ,予測可能性と法的安定性を趣旨とする租税法律主義に反するものである。 イ本件各組合契約についての個別的検討(ア) 検査権について民法673条の定める検査権は,各組合員が当然に有する権利であり,組合契約によっても奪うことができない組合員固有の権利である。そして,本件各組合契約が民法上の組合(任意組合)の成立を目的として締結されたことは,本件各組合契約の標題及び前文の記載のみからも明白である。 そうすると,検査権を排除する意思が明確でない限り,各組合員が検査権を保有すると解すべきところ,本件各組合契約には,一般組合員が検査権を有することを否定する趣旨の条項は一切存しないのであるから,本件各組合の一般組合員が検査権を有していることは明白である。 この点に関し,被告らは,本件各組合契約12条1項の報告請求権に関する規定を根拠に,一般組合員の検査権を排除する趣旨である旨主張する。しかしながら,本件各組合契約に基づき各組合員が有する業務執行組合員に対する報告請求権は,組合に委任の規定が準用されることに基づくものであって,検査権とは別個の内容を有する権利であるから,報告請求権についていかなる定めがあろうとも,それが報告請求権とは別個の権利である検査権の存否の解釈に影響を及ぼすものではない。しかも,本件各組合 って,検査権とは別個の内容を有する権利であるから,報告請求権についていかなる定めがあろうとも,それが報告請求権とは別個の権利である検査権の存否の解釈に影響を及ぼすものではない。しかも,本件各組合契約12条1項は,報告請求権の権利行使の方法や条件について定めた規定であるに過ぎないのである。そもそも,仮に,組合契約中に検査権を否定する条項が存するならば,各組合員の権利を保護する見地から,信義則上,当該条項は無効と扱われるべきである。 したがって,被告らの上記主張は,私法上の契約解釈の基本原則に反する不合理かつ恣意的なものであって,失当である。 (イ) 解任権について民法は,業務執行組合員に対する解任権について,正当な理由のある場合であって,かつ,他の組合員の全員一致によってのみ行使することができると定める(672条1項,2項)。このように一般組合員による解任権の行使が厳格に制限されているのは,組合契約により一部の組合員に業務執行を担当させることが,組合の目的を達成するための重要な手段であることによるが,他方,一般組合員が業務執行組合員を解任することすらできないとすれば,業務執行組合員の専横を抑止することができないから,民法上の組合における一般組合員は,当然に業務執行組合員の解任権を有するとされている。そして,本件各組合契約が民法上の組合の成立を目的として締結されたことは,本件各組合契約の標題及び前文の記載のみからも明白であり,かつ,本件各組合契約のいずれの条項を見ても,一般組合員は解任権を有しない旨を定める規定は存在しないのであるから,本件各組合の一般組合員が解任権を有していることも明白である。 この点について,被告らは,本件各組合契約8条1項の「組合員はその一致により,○○○○(注:業務執行会社)を本組合の唯一の業務執行者と定め」と 組合の一般組合員が解任権を有していることも明白である。 この点について,被告らは,本件各組合契約8条1項の「組合員はその一致により,○○○○(注:業務執行会社)を本組合の唯一の業務執行者と定め」との文言を根拠に,解任権が一般組合員に付与されていない旨主張する。しかしながら,上記「唯一」とは,『ただ一人』という意味であり,単独の業務執行者を選定する場合に一般に用いられる文言であり,本件各組合の組成時に業務執行会社以外の共同業務執行者が存在しないことを明記したものであるにすぎず,解任権を否定する趣旨ではない。このことは,本件各組合契約8条3項が本件各業務執行会社の辞任について定め,また,同18条2項1号が本件各業務執行会社の脱退について定め,さらには,同19条前段が本件各業務執行会社の除名について定めていることからも明らかである。 また,被告らは,本件各ローン契約において,本件各組合が本件各金融機関に対し,債務完済までの間,本件各業務執行会社が本件各業務執行者として存続することを約していることを根拠として,解任権の存在を予定していないと主張する。しかしながら,上記の条項は,むしろ一般組合員が本件各業務執行会社を業務執行者から解任し得ることを前提として,金融機関として借主の状態を把握するため,本件各ローンの残高が存する期間に限定して規定したものであって,一般組合員による解任権を否定するものでは全くない。そもそも,かかる趣旨の条項は,取引社会における金融実務として一般的なものであり,同条項から,各組合員が解任権の存在を予定していないことが推測されるものではない。 さらに,被告らは,本件各契約は,相互に関連し合い全体として一体の構造をなしており,他の関連当事者と特殊な関係にあることからこそ成立しているスキームであり,一般組合員が業務執行者の地 ものではない。 さらに,被告らは,本件各契約は,相互に関連し合い全体として一体の構造をなしており,他の関連当事者と特殊な関係にあることからこそ成立しているスキームであり,一般組合員が業務執行者の地位に就いたのでは,本件各事業は到底機能し得えないから,解任権が行使されることはないことを前提として成立している旨主張する。しかしながら,組合契約において一部の組合員に業務執行を担当させることは,それが組合の目的を達成するための重要な手段であることを意味するのであり,何ら異常なものではないから,解任権が容易に行使されることは,そもそも民法上も想定されていない。このことからも,たとえ解任権の行使が「想定されていない」としても,これをもって解任権が「付与されていない」との結論が導かれるものではないことは明らかである。 (ウ) 組合員としての責任について被告らは,本件各ローン契約上,原告らが無限責任を負担していないことをとらえて共同事業性がない旨主張するが,共同事業性が認められるためには,各組合員が業務執行の検査権及び業務執行者の解任権を有していることで必要十分であるから,上記主張自体失当である上,そもそも民法上の組合の債務に対する組合員個人の責任は,組合契約によって分担割合を定め得る性質のものであって,その割合は単に組合内部の関係のみに限定されるものではなく,組合の債権者に対しても主張することができるものとされている。しかも,被告らが主張する本件各組合員の責任は,あくまでも本件各金融機関に対するものにすぎず,それ以外の第三者との関係では,本件各組合員が無限責任を負担することはいうまでもない。 (エ) 不動産特定共同事業の標準的約款との比較について不動産特定共同事業法は,各当事者が出資を行い,その出資による共同事業として,そのうちの一人にその業 が無限責任を負担することはいうまでもない。 (エ) 不動産特定共同事業の標準的約款との比較について不動産特定共同事業法は,各当事者が出資を行い,その出資による共同事業として,そのうちの一人にその業務の執行を委任して不動産の賃貸借を行い,これにより生ずる収益の分配を行うことを約する組合契約を明文で認めている(2条2項,3項1号)。この契約は,いうまでもなく民法上の組合契約としての法的性質を有するが,かかる民法上の組合の業務執行者たる事業者が不動産特定共同事業を行う場合,主務大臣(内閣総理大臣ないし国土交通大臣)若しくは都道府県知事の許可を要し(3条1項,49条),かかる許可に際し,主務大臣は,当該共同事業契約に係る約款の内容を審査するものとされている(3条,5条2項4号)。そして,同法に関する通達「『不動産特定共同事業の監督に当たっての留意事項について』の廃止について」(平成12年金監第940号・建設省経動発第32号)第2-2(1)は,約款の審査を行うに当たり,財団法人土地総合研究所による「不動産特定共同事業の約款等に係る研究会報告書」(平成7年3月)等を基準として用いることを指示しているところ,同報告書には,標準的約款(案)が掲載されている。 ところで,標準的約款1条は,本件各組合契約前文と同趣旨であるが,その解説書には,契約に規定されていない部分は,民法の組合契約に関する規定が適用される旨の記述がある。次に,「唯一の業務執行組合員の」選任及びこれに対する業務執行の委任に関する標準的約款2条1項は,本件各組合契約8条1項に対応するものであるが,上記報告書は,業務執行組合員の規定をもって民法上の組合特有の規定であると指摘している。また,標準的約款は,業務執行組合員に相当する理事長が組合の目的を達成するために必要な一切の権限を有するこ が,上記報告書は,業務執行組合員の規定をもって民法上の組合特有の規定であると指摘している。また,標準的約款は,業務執行組合員に相当する理事長が組合の目的を達成するために必要な一切の権限を有することを定めている(3条2項,5条,12条,7条,9条1項)のに対し,一般組合員は業務執行に関する権限を一切有していない。 そうすると,標準的約款との比較においても,本件各組合契約が民法上の組合契約に当たらないとの被告らの主張が,およそ不合理かつ異常であることが明らかである。 ウ本件各航空機の所有権の帰属被告らは,本件各航空機が本件各業務執行者の単独所有であると主張し,そのことを理由に本件各組合における共同事業性を否定する。しかしながら,民法上の組合であっても組合財産の共同所有性が存しない場合はあり得る(内的組合)のであり,組合財産の共同所有性は民法上の組合の成立要件ではないから,上記主張はそれ自体失当である。 そもそも,本件各航空機売買契約は,同契約書,本件各組合社員総会議事録,本件各航空機の引渡しを証する書面などに照らせば,本件各組合を買主として有効に成立したことは疑いの余地がない。そして,本件各航空機の抵当権設定登録,本件各航空機の購入資金の原資などによれば,本件各組合が本件各航空機を所有していることが明らかである。このことは,本件各組合が,本件各航空会社との間で本件各航空機のリース契約を締結する方法により「使用」し,これに基づいて賃料を受け取る方法によって「収益」を得ていること,また,本件各組合においては,本件各航空機を売却する際には,出資割合の過半数を有する組合員の同意が必要とされており(本件各組合契約書13条1項),所有権の機能の重要な一部分である「処分」の権限は一般組合員に帰属している(現に,ヒースロー事業組合は,各組合員から処 合の過半数を有する組合員の同意が必要とされており(本件各組合契約書13条1項),所有権の機能の重要な一部分である「処分」の権限は一般組合員に帰属している(現に,ヒースロー事業組合は,各組合員から処分に関する同意書を取得した上で,航空機を処分している。)ことからも明らかである。 他方,本件各業務執行会社は,出資割合の過半数を有する組合員の同意を得ない限り,かかる「処分」すらできないのであるから,被告ら主張のように,本件各業務執行会社が本件各航空機を単独所有していると認める余地はない。 また,被告らは,「一般組合員は本件各航空機の所有者としてのリスクを負担していない」と主張する。しかしながら,所有者としてのリスク負担の態様は,本件各組合員と本件各業務執行会社との間に何らの相違もなく,本件各業務執行会社は,本件各航空機の単独所有者としてのリスクなどを負ってはいない。この点においても,被告らの主張はおよそ不合理である。 エ当事者の真意被告らは,原告らは航空機のリース事業を共同の事業として営む「意図」がなく,「NBBないし本件各業務執行会社」が自ら独自に航空機リース事業を営む真意であることは明らかであると主張する。しかしながら,かかる被告らの主張も,私法上の効果意思の理解を誤る独自の主張であり,主張自体失当である。 すなわち,被告らは「共同事業を営む意思」の内容について,あたかも「本件各組合の運営に主体的に関わる意思」や「組合事業の経営自体に積極的に参加する意思」が必要であるかのように主張し,その意思がないから原告らには「共同事業を営む意思」がなく,本件各組合契約は成立していないと主張するが,民法上,組合の業務執行の方法として業務執行者を選任して行うことが当然に認められていること(670条2項)からも明らかなとおり,民法上の組合契約の成立 ,本件各組合契約は成立していないと主張するが,民法上,組合の業務執行の方法として業務執行者を選任して行うことが当然に認められていること(670条2項)からも明らかなとおり,民法上の組合契約の成立要件として,一般組合員が組合の運営等に「主体的」または「積極的」に関わる意思を有していることなどは,一切要求されていない。本件各事業を営むことを目的として締結された本件各組合契約が有効に成立するために必要な契約当事者の「共同事業を営む意思」とは,「複数の組合員が出資し,その出資金及び金融機関からの借入金によって航空機を購入し,それを航空会社に賃貸してそのリース料を受領し,最終的には航空機を売却して事業を終了する」意思にほかならず,原告ら組合員にこの意思があることは,本件各組合契約の契約書及び「ご案内」の記述からも明らかである。 この点に関して,被告らは,「ご案内」の記載内容を援用するが,「ご案内」には,その全体24頁の3分の2以上にわたって航空機リース事業の仕組みや賃貸条件等の説明が記載されており,税効果の試算等は18頁から21頁及び最終頁の僅か5頁にすぎない。その中でも,本件各事業においては,11.35パーセントという極めて高いリース料年率や航空機売却が成功した場合には多額の分配金が得られることが,まさに事業目的として記載されているのである。このように,「ご案内」を客観的に読めば,勧誘されたものが「専ら課税上の損益通算の利益を得ることができることを売り物にした商品」であるとの被告らの主張が誤りであることは,一見して明らかである。また,「ご案内」には,本件各航空機の鑑定価格として5社による見積将来価格などが記載されており(11頁),「本件各航空機が想定売却価格で売却される可能性の程度や航空機市場の動向等についての説明が一切ない」との被告らの主 ,本件各航空機の鑑定価格として5社による見積将来価格などが記載されており(11頁),「本件各航空機が想定売却価格で売却される可能性の程度や航空機市場の動向等についての説明が一切ない」との被告らの主張が誤りであることも,明らかである。 なお,数年も先に本件各航空機が想定売却価格で売却される可能性の有無を判断することが非常に困難であることはいうまでもなく,将来の航空機市場の動向なども,誰にも正確に予測することはできない。仮に被告らの主張が,民法上の組合契約の要件として,このように予測することができない将来の事象を書面にて明示的に説明することを求めるものであるならば,もともと不確実な事象について不確実な予測を述べることを要求するものであり,各組合員に誤解を与える危険すらあるから,極めて不当である。 オ小括-利益配当契約との被告らの主張の不当性被告らは,当初,「複数の当事者間で行われた個々の契約が存在するとしても,全体があらかじめ計画された一連不可分のスキームであるならば,その法的実質に即して,全体を一体のものとして判断すべきであり,そのような一連の取引は,個々の契約がそのとおり実行されていたとしても,そのことゆえに各契約が各契約所定の内容のものとして当然に有効となるものではない。 本件各契約は,一体のものとして判断し,その実体に従って認定すべきである。」旨主張していたが,そもそも,実際の取引社会において,複数の当事者間で,複数の契約が,時間的に近接する範囲内で締結される場面は多々あるが,かかる場合に,これら複数の契約を一体として一個の契約に引き直すという契約解釈論は,私法上存在しないのであり(最高裁判所平成8年11月12日第三小法廷判決・民集50巻10号2673頁),被告らが引用している映画フィルム判決も個々の契約ごとにその有効性を判断し という契約解釈論は,私法上存在しないのであり(最高裁判所平成8年11月12日第三小法廷判決・民集50巻10号2673頁),被告らが引用している映画フィルム判決も個々の契約ごとにその有効性を判断している。 その後,被告らは,第8準備書面において従前の主張を変更し,本件各組合契約のみが「利益配当契約」に当たると主張し,その前提として本件各組合契約は不成立又は無効であり,本件各事業は本件各業務執行会社の単独事業である旨主張するに至ったが,このような主張の変遷自体が,被告らが「事実認定による否認」を十分に理解することなく本件各更正処分等を行ったことを端的に示しており,この事実だけでもその違法性を基礎付けるというべきである。 この点,前記のとおり,本件各組合契約は民法上の組合契約の成立要件を満たし,有効に成立している以上,これと相容れない利益配当契約なる契約が成立する余地がないことは明らかであって,被告らの主張はその前提において既に誤っているが,これに加え,被告らによる利益配当契約の成立に関する主張は,それ自体が失当であり,主張としての意味をなしていない。 すなわち,被告らは,民法上の組合契約とも商法上の匿名組合契約とも異なる別個の類型の非典型契約として利益配当契約の成立を主張し,その成立要件(要件事実)は,①当事者の一方が相手方のために金銭を交付することの合意の存在,②金銭の交付を受けた当事者が,交付された金銭を運用し,その運用利益を金銭交付者に分配するとともに,運用終了時には,清算後残った金銭を金銭交付者に返還する旨の合意の存在であると主張する。 しかしながら,被告らの主張する利益配当契約の成立要件とは,まさに匿名組合契約の成立要件にほかならず,それを匿名組合契約とは異なる利益配当契約であると主張すること自体が失当であるといわざるを得ない。 しかしながら,被告らの主張する利益配当契約の成立要件とは,まさに匿名組合契約の成立要件にほかならず,それを匿名組合契約とは異なる利益配当契約であると主張すること自体が失当であるといわざるを得ない。すなわち,匿名組合契約の成立要件は,二当事者間において,①一方の当事者が相手方当事者のために出資すること,②出資を受けた当事者は,営業から生ずる利益を出資した当事者に対して分配することを合意することであるが,これはまさに被告らが主張する利益配当契約の要件と同一である。にもかかわらず,被告らは,主位的には,匿名組合契約とは異なる利益配当契約の成立を主張しており,明らかに不当である。 (4) 争点(1)エ(ホーランド事業組合について)について(28号事件被告兼29号事件被告,31号事件被告)ホーランド事業組合についても,組合の実質やスキームは他の組合と何ら異なることはなく,共同事業性も共同所有性も認められない。 アホーランド事業組合に係る契約内容の相違点ホーランド事業組合に係る契約内容は,おおむねそれ以外の組合のそれと同様であるが,以下の点で異なる。 (ア) ローン契約,抵当権設定契約及び保証譲渡契約ホーランド事業組合は,同組合の組合契約締結と同日に,株式会社さくら銀行本店(以下「さくら本店」という。)との間において,さくら本店を貸主,ホーランド事業組合を借主とするローン契約を締結したが,他の組合とは異なり,航空機を目的とする抵当権設定契約やリース料等を担保目的とする保証譲渡契約は締結していない。他方,ホーランド事業組合は,NBBとの間で,保証委託契約に基づきNBBに対して負担する求償債務を被担保債務とし,担保の目的を航空機とする契約を締結している。 (イ) 保証委託契約,ローン保証契約及びリース保証契約ホーランド事業組合は,同組合に係る 託契約に基づきNBBに対して負担する求償債務を被担保債務とし,担保の目的を航空機とする契約を締結している。 (イ) 保証委託契約,ローン保証契約及びリース保証契約ホーランド事業組合は,同組合に係る組合契約締結と同日に,NBBとの間で,さくら本店に対する借入金返済債務について保証を委託する保証委託契約を締結し,NBBは,同契約に基づき,さくら本店に対して,借入金返済債務を連帯保証する旨の保証書を差し入れた上,上記ローン契約の中で,連帯保証契約を締結しているが,他の組合と異なり,上記保証委託契約には,リース契約上の債務についての保証を委託する内容は含まれておらず,NBBが,リース先であるエア・ホーランドに対して,リース契約上の債務を保証する旨のリース保証契約を締結した事実もない。 (ウ) 事務委託契約他の組合と異なり,ホーランド事業組合の業務執行会社であるNBBハーグは,さくら本店との間で,NBBハーグの業務執行者としての事務の一部をさくら本店に対して委託する旨の事務委任契約を締結した事実はない。 イ共同事業性以下のとおり,ホーランド事業組合においても,他の組合と同様,共同事業性は否定されるべきである。 (ア) 業務執行権の独占と解任権前記ローン契約には,「金融機関の書面による事前の同意がない限り,組合規約を修正,変更しない」旨の合意はなく,また,「業務執行会社は,本契約及び運用関連文書類に基づくすべての組合の義務が履行終了するまでの間,組合の業務執行者であり続ける」との誓約,同誓約が遵守されなかった場合には,期限が到来する旨の規定は存しないが,これ以外は他の組合と同様であり,業務執行会社によって業務権限が独占されていること,解任権が認められていないことについては,何ら異ならない。 (イ) 組合員の責任前記ローン契約には,「組合は いが,これ以外は他の組合と同様であり,業務執行会社によって業務権限が独占されていること,解任権が認められていないことについては,何ら異ならない。 (イ) 組合員の責任前記ローン契約には,「組合は,受領総額すなわち担保を構成する資産から得られる金員の範囲内でのみ銀行に対するローンを返済すれば足りる」とのノン・リコースの合意はない。 しかし,ホーランド事業組合は,NBBとの間で保証委託契約を締結し,同契約に基づき,NBBは,さくら本店に対して「ホーランド事業組合がさくら本店に対して負担する一切の債務について,ホーランド事業組合と連帯して保証債務を負う」とされ,上記ローン契約においても連帯保証債務を負う旨合意しているから,さくら本店は,連帯保証人たるNBBの信用を重視して上記ローン契約を締結したものであり,仮にローン契約上の債務の支払が不足する場合にも,あえて一般組合個人に請求する事態は想定できない。そして,NBBが連帯保証債務を履行した場合,ホーランド事業組合に対して求償権を取得するが,上記保証委託契約によれば,組合に対して求償権を行使することはできるものの,組合員に対して請求することはできないとされ,例外的に請求が認められる場合も,そうした事態が実際に生じる可能性は極めて小さいと考えられるから(5条),ノン・リコースの合意と実質上異ならない。 (ウ) 保証料の定め他の組合についての各保証委託契約には保証料の規定がないのに対し,ホーランド事業組合についての上記保証委託契約には,保証料の規定があるが,航空機売却代金の精算の際に,保証料は出資者に対する分配に劣後していることから,その支払がなされることは想定されておらず,この点も他の組合と異ならない。 ウ共同所有性前記ローン契約には,他の組合に係る契約のように,担保提供した航空機につ 対する分配に劣後していることから,その支払がなされることは想定されておらず,この点も他の組合と異ならない。 ウ共同所有性前記ローン契約には,他の組合に係る契約のように,担保提供した航空機について新たな担保権の設定を禁止する旨の規定はないが,ホーランド事業組合がNBBと締結した航空機抵当保証契約によれば,ホーランド事業組合は,「いずれかの「効力発生文書」に明記されているか,許可されているもの以外には,『担保財産』について本保証書の担保より優位な,または同順位の抵当や他の担保権利を与えてはならない。」とされており,同様の制限がある。 また,上記航空機抵当保証契約には,「組合は,抵当権者(NBB)の事前の書面による同意ないままに,本保証契約に基づく組合の権利,利益又は義務を譲渡する権利を有しない。」と定められており,実質的に譲渡する権限が制限されている。 そうすると,ホーランド事業組合においても,購入された航空機を組合員が共同所有しているとはいえない。 (28号,29号,31号各事件原告)28号事件被告兼29号事件被告及び31号事件被告の主張のうち,アの事実は認めるが,その余は争う。ホーランド事業組合が民法上の組合としての性格を有することは,他の組合と同様である。 ア共同事業性(ア) 業務執行権の独占及び解任権上記被告の主張が失当であることは,争点(1)ウについての原告らの主張イのとおりである。 (イ) 組合員の責任また,ノン・リコースの合意と実質上異ならない旨の上記被告の主張については,保証委託契約書の文言とローン契約の文言がNBBの信用を重視したことを論理的に導くものではないから失当であり,また,事態を想定していないことと法的責任を混同しており,明らかに不当である。 被告らは,保証委託契約書5条などを引用して,組合員個人の責任 用を重視したことを論理的に導くものではないから失当であり,また,事態を想定していないことと法的責任を混同しており,明らかに不当である。 被告らは,保証委託契約書5条などを引用して,組合員個人の責任が追及されることは事実上ない旨主張するが,そもそも,同条は,「但し,(1)原契約(ローン契約)締結後の法令,規制の変更に起因するさくら本店の追加コストをホーランド事業組合が補償する義務,(2)原契約締結後に法令の変更,組合員の住所移転その他の事情により金利の支払に源泉税が課せられることとされた場合に,ホーランド事業組合がさくら本店に対し源泉税額を上乗せして支払をなす義務,及び(3)期限の延長により延長期間中の金利が発生することとなったことに伴い,原契約上のホーランド事業組合の支払義務が増加した場合に,同組合がさくら本店に対して支払をなす義務については」,NBBは組合員個人に対して求償権を行使できることが明記されている。また,ご案内にも,「NBB…求償権の担保として,…組合の財産に抵当権を設定します。また,NBBはリース期間中一定の保証料をいただきます。…以下のようなコスト・税・金利等はノンリコースの例外となり,最終的に組合員の負担となります。」と明示し,各組合員が個人的な責任を負うことが示されており,被告の主張は失当である。 (ウ) 保証料の定めホーランド事業組合についての前記保証委託契約に上記被告の主張に係る保証料の定めがあることは認める。NBBは,ホーランド事業組合から実際に保証料を受領しており,上記被告の主張は失当である。 イ共同所有性担保権設定契約において,担保資産について新たな担保権を設定しない旨の規定を設けることは,実務上通常行われていることであって,そのような規定を設けたからといって,担保権設定者による担保資産の所有を否定 保権設定契約において,担保資産について新たな担保権を設定しない旨の規定を設けることは,実務上通常行われていることであって,そのような規定を設けたからといって,担保権設定者による担保資産の所有を否定することにならないことは自明である。 また,被告は,同意なくして同証書に基づく権利,利益又は義務を譲渡しないものとする規定を援用するが,これは,契約上の地位の譲渡に関する条項であって,航空機の売却とは無関係である。 (5) 争点(1)オ(本件各組合契約は無効か-被告らの仮定的主張その1)について(被告ら)仮に,本件各組合契約が民法上の組合契約と認められたとしても,契約当事者であり,「一般組合員」でもある原告ら及び本件各業務執行会社は,真に組合契約を締結する意思(内心的効果意思)を欠くため,同各契約は心裡留保(民法93条ただし書)ないし通謀虚偽表示(同法94条1項)として無効である。 すなわち,仮に,原告らにおいて,契約書に記載された本件各組合契約の成立に向けた形式的な意思表示があり,組合契約についての合意が成立しているとしても,原告らには,それ以上,真に組合として共同の事業を営む意思があるわけではなく,本件各組合契約は,他の所得区分に係る所得を減少させる目的からその外形が仮装されたものにすぎず,真意としては前記のいわゆる利益配当契約を結ぶ意思であったと認められる。そして,このような原告らの意思表示は内心的効果意思を欠き,そのことは他の「一般組合員」及び本件各業務執行会社も十分承知していることであるから,組合契約に係る意思表示は心裡留保ないし通謀虚偽表示として無効であって,原告らは,本件各組合の組合員とはいえない。 (原告ら)被告らの主張は争う。 被告らは,本件各組合契約は,心裡留保又は通謀虚偽表示として無効であると主張するが 謀虚偽表示として無効であって,原告らは,本件各組合の組合員とはいえない。 (原告ら)被告らの主張は争う。 被告らは,本件各組合契約は,心裡留保又は通謀虚偽表示として無効であると主張するが,以下のとおり,本件においては,心裡留保又は通謀虚偽表示の要件に該当する事実は一切存在せず,被告らの上記主張には何らの根拠もない。 ア心裡留保の不存在心裡留保により,契約が無効となるための要件は,①意思表示が存在すること,②表示上の効果意思と内心の意思とが一致しないこと,③表意者がその不一致を知っていること,④契約の相手方がその不一致を知っていたこと又は知ることができたことであるところ,本件においては,原告らにおいて②の要件を充足しておらず,本件各組合契約が心裡留保により無効となる余地はない。すなわち,被告らは,原告らには「真に組合として共同の事業を営む意思」がなかったと主張しているが,そこで繰り返し主張する原告らの「真意」とは,単なる興味や目的のレベルのものであり,私法において契約が有効に成立するために要求される効果意思とは全く別次元のものである。本件各組合契約における効果意思としては,「複数の組合員が出資し,その出資金及び金融機関からの借入金により航空機を購入し,それを航空会社に賃貸してそのリース料を受領し,最終的には航空機を売却して事業を終了する」という内容で十分であり,それ以外には何らの主観的要素も必要ではない。原告らがこの意味での効果意思を有していることは明らかであり,本件各組合契約において,表示上の効果意思と内心の意思との不一致は存在しない。 このように,被告らの主張は,私法上の要件たる効果意思とは異なる主観的要素を取り上げ,かかる主観的要素をもって心裡留保の要件たる「表示上の効果意思と内心の意思の不一致」(前記②)を主張する しない。 このように,被告らの主張は,私法上の要件たる効果意思とは異なる主観的要素を取り上げ,かかる主観的要素をもって心裡留保の要件たる「表示上の効果意思と内心の意思の不一致」(前記②)を主張するものであって,失当である。 イ通謀虚偽表示の不存在通謀虚偽表示により,契約が無効となるための要件は,①意思表示が存在すること,②表示上の効果意思と内心の意思とが一致しないこと,③表意者がその不一致を知っていること,④内心の意思と異なる意思を表示することについて相手方と通謀していることであるところ,上記②の要件は,心裡留保の要件と同一であるから,前同様に,被告らの上記主張は,失当である。 (6) 争点(1)カ(匿名組合契約に基づく分配金は雑所得か-被告らの仮定的主張その2)について(被告ら)商法上の匿名組合とは,当事者の一方(匿名組合員)が相手方(営業者)の営業のために出資し,相手方がその営業から生ずる利益を分配することを約する契約である(同法535条)が,旧所得税法1条2項3号の匿名組合性が争われた事案において,最高裁判所は,出資者が隠れた事業者として事業に参加し,その利益の配当を受ける意思を有することを必要としている(同裁判所昭和36年10月27日第二小法廷判決・民集15巻9号2357頁,同裁判所昭和37年10月2日第三小法廷判決・税務訴訟資料36号938頁)。本件各組合契約においては,原告ら一般組合員の関心は,専ら本件各事業から得られる利益の分配にあり,同事業に参加する意思などなかったから,本件各組合契約は,匿名組合契約とは認められないが,仮に,本件各契約が匿名組合契約と認められたとしても,以下のとおり,原告らが得る分配金は雑所得である。また,損失については配賦されないが,配賦されるとしてもその所得区分は雑所得である。 ア所得税基 仮に,本件各契約が匿名組合契約と認められたとしても,以下のとおり,原告らが得る分配金は雑所得である。また,損失については配賦されないが,配賦されるとしてもその所得区分は雑所得である。 ア所得税基本通達上の扱い匿名組合の組合員の得る所得の所得区分について税法上の規定はないものの,所得税基本通達36・37共-21第1文本文は,「匿名組合の組合員が当該組合の営業者から受ける利益の分配は,当該営業者の営業の内容に従い,事業所得又はその他の各種所得とする。」と定めている。これは,匿名組合員が匿名組合から受ける所得は,当該事業に参加したことに基づいて受ける所得の一部ともみることができるが,他方では,匿名組合への出資に対するリターン,すなわち,一種の資産所得としての性格も有していると考えられることによる。したがって,組合員が営業者の事業に参加しているという実体が存在しないような場合には,組合員の得る所得の区分を,営業者の営業内容を基準に判断する必要性も合理性も乏しいため,当該組合員の活動内容に着目して所得区分を判断すべきである。 上記通達の第1文ただし書が,「ただし,営業の利益の有無にかかわらず一定額又は出資額に対する一定割合により分配を受けるものは,貸金の利子として事業所得又は雑所得とする。」と定めているのは,本来の匿名組合員は,隠れた事業者として事業に基づく利益の配当を受けるものであるから,利益の有無にかかわらず利益の配当を受ける場合,その利益はもはや共同事業に基づく利益の配当とはいえないから,その所得分類について,営業者の営業を基準に判断することは相当でないことによるものである。 このような通達の趣旨に照らせば,上記通達の第1文ただし書は,上記通達第1文本文を適用しない場合の一例を示したものにすぎないというべきであり,ただし書の文言には直 は相当でないことによるものである。 このような通達の趣旨に照らせば,上記通達の第1文ただし書は,上記通達第1文本文を適用しない場合の一例を示したものにすぎないというべきであり,ただし書の文言には直接該当しない場合でも,匿名組合員が営業者の事業に参加したことに基づく利益の分配とは認められないものについては,第1文本文の適用はないと解される。例えば,営業者の営む営業上の利益が生じていないにもかかわらず,営業者から組合員に分配される利益は,およそ共同事業に基づく利益の分配とはいえないから,たとえ,その額が一定でなくても,第1文ただし書の適用を受けると解釈すべきである。 イ本件への当てはめ原告らには,本件各事業に参加する意思がなく,事業に参加しているという実体も存在しない。しかも,リース期間中(の少なくとも当初の数年間)は,リース料収入を借入金利息及び減価償却費の合計額が上回っているのであるから,収益の分配を行うことはできないにもかかわらず,現金を出資割合に応じて分配しており,このような分配は,営業による利益の有無にかかわらず,分配された金員と評価するほかない。したがって,原告らが得る分配金自体の性質に着目してその所得区分を判断すべきであり,「リース料分配金」は雑所得に当たるというべきである。 そして,本件各組合においては,営業者の営業が損失のみを生じている状態であるにもかかわらず,営業者の得た利益の一部が分配金として分配されているのであるが,そのような損益の分配は,匿名組合としての損益の分配とは認められない。また,本件各組合においては,当事者が計算上の損失を一般組合員に配賦することを欲していたとしても,当事者は,経済的・法的な義務に基づき損失を一般組合員に分担させるという意思を持たず,計算上の損失を帳簿上一般組合員に付け替えることを欲し 算上の損失を一般組合員に配賦することを欲していたとしても,当事者は,経済的・法的な義務に基づき損失を一般組合員に分担させるという意思を持たず,計算上の損失を帳簿上一般組合員に付け替えることを欲していたにすぎないのであるから,当事者間で損失配賦の合意があったとは認められず,所得計算上の必要経費として一般組合員に配賦されることはないというべきである。 (原告ら)被告らの主張は争う。 ア所得税基本通達の適用対象通達は,厳密にいえば行政庁の解釈を示したものであり,法的拘束力を有するものではないが,実際には,日々の租税行政は通達に依拠して行われており,法源と同様の機能を果たしている。したがって,通達の場合にも,これによる画一的な事務処理が確立している場合に,特段の合理的な理由が無く,特定の者に対してのみ通達によらない課税を行うことは平等原則に違反するものであって違法というべきところ,被告らは,匿名組合の組合員の得る所得の所得区分に関する所得税基本通達36・37共-21の適用対象を「一種の共同事業」が形成されているものに限定しているが,そのような要件は上記通達になく,匿名組合に該当するか否かは,商法535条の要件を充足するかにかかるのであるから,被告らの主張は根拠がない。 そもそも,匿名組合と民法上の組合の相違点は共同事業性の有無にあるのであるから,匿名組合員が営業者の営業に参加し,営業者と共同の意思で営業をする場合には,むしろ民法上の組合であって匿名組合ではない。 イ本件各組合からの分配金の性質被告らは,原告らが本件各組合から受領した分配金は,雑所得に該当する旨主張するが,同主張は,当該営業者の営業の内容に従って所得の性質が定まる旨明文で規定する所得税基本通達36・37共-21第1文本文に反するものであり,通達の意味を没却し,法 金は,雑所得に該当する旨主張するが,同主張は,当該営業者の営業の内容に従って所得の性質が定まる旨明文で規定する所得税基本通達36・37共-21第1文本文に反するものであり,通達の意味を没却し,法的安定性及び予測可能性を根底から覆す不当なものである。 また,利益とは,各営業年度の期末における利益に基づく分配であるところ,「リース料分配金」は,利益の配分ではなく,出資金の払戻し,すなわち残余財産分配請求権の前受金として,組合員の出資割合に応じて分配したものであって,利益の分配ではないから,同通達ただし書が適用される余地はない。 ウ損失の税法上の扱い被告らは,本件においては損失配賦の合意があったとは認められず,所得計算上の必要経費として一般組合員に損失が配賦されることはない旨主張するが,損失が私法上の取引行為の結果生じるものであって,当事者の意思によってその発生や帰属が左右されるものではないことを忘れた主張であり,失当である。 (7) 争点(1)キ(民法上の組合契約に基づく分配金は雑所得か-被告らの仮定主張その3)について(被告ら)仮に,本件各組合契約が民法上の組合契約と認められるとしても,以下のとおり,原告らが得る分配金は雑所得である。また,損失については配賦されないが,配賦されるとしてもその所得区分は雑所得であるというべきである。 ア所得税基本通達上の扱い民法上の組合の組合員が得る所得の計算や所得区分については,税法上何らの規定もないが,所得税基本通達36・37共-20は,民法上の組合員の得る所得の所得区分を組合の事業内容に従って判断することを前提としている。 しかし,各組合員が共同して組合事業に参加し,当該事業に使用される組合財産を他の組合員とともに共有し,当該事業に対して無限責任を負う典型的な組合にあっては,組合の共同 断することを前提としている。 しかし,各組合員が共同して組合事業に参加し,当該事業に使用される組合財産を他の組合員とともに共有し,当該事業に対して無限責任を負う典型的な組合にあっては,組合の共同事業から生じた損益について,個人で事業を行う場合と異なる扱いをする必要がないため,各組合員に配賦される損益の所得区分を組合の事業内容に従って判断すべきであるが,こうした趣旨の妥当しない組合については,組合員の得る所得の所得区分を組合の共同事業の内容に従って判断する必要性も合理性も乏しいため,当該組合員の活動内容に着目して判断すべきものである。 イ本件への当てはめこれを本件についてみるに,①本件各事業は,NBBないし本件各業務執行会社によって行われ,「一般組合員」は事業に関与せず,②組合財産たる本件各航空機は本件各業務執行会社の単独所有に帰し,「一般組合員」には所有権が認められない上,③「一般組合員」は,本件各ローン契約及び本件各リース契約のいずれについても,実質的に責任を負わないことなどに照らすと,④「一般組合員」の地位は,実質的には出資者・投資家としての地位と変わらず,当該所得の性質そのものに着目して所得区分を判断すべき場合に当たるから,原告らが得る「リース料分配金」は雑所得というべきである。 また,原告らが,本件各組合から損失の配賦を受けることはないが,仮に損失の配賦を受けるとしても,分配金の場合と同様の理由から,その所得区分は雑所得であり,他の所得との損益通算は認められない。 (原告ら)被告らの主張は争う。 ア所得税法上の扱い所得税法26条1項は,「不動産所得とは,不動産,不動産の上に存する権利,船舶又は航空機(略)の貸付け(略)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。」と明文で規定しているから, 得税法26条1項は,「不動産所得とは,不動産,不動産の上に存する権利,船舶又は航空機(略)の貸付け(略)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。」と明文で規定しているから,航空機の貸付けによる所得は不動産所得に当たることは明らかで,これが雑所得であると解する余地はない。 そして,民法上の組合は,あくまで契約関係であり,私法上,独立した権利義務の帰属主体となるものではないから,これを通じて行った私法上の取引の法的効果やこれに基づく経済効果は,全て個々の組合員に帰属する。課税は,私法上の行為によって発生する経済効果に即してなされるのであるから,組合ではなく個々の組合員が納税義務者となり,組合を通じて行った取引による所得区分も,当然,組合員が自ら行ったものとして扱われることになる。したがって,民法上の組合が航空機の貸付けを行うことによる所得は,組合員がこれを行うことによる所得となり,その区分は不動産所得となる。この帰結は,法律によるものであり,通達によって変更される余地はない。 イ所得税基本通達上の扱い上記のように,所得税基本通達を援用しての被告らの主張は,それ自体失当というべきであるが,同通達の解釈上も,アで述べたところからすれば,誤りであることが明らかである。 (8) 争点(2)(本件承認取消処分の適法性-27号事件)について(27号事件被告)以下のとおり,本件承認取消処分は,所得税法150条1項1号に基づいて適法に行われている。 ア帳簿書類の備付け等の欠如27号事件原告は,原処分調査担当者の求めに応じ,①不動産所得に係る計算表(以下「本件計算表」という。),②本件組合契約書,③平成9年7月30日付け印鑑証明書,④同年8月1日付けNBBからの出資金振込みに関する明細書,⑤同月5日付け金銭借用証書,⑥同 産所得に係る計算表(以下「本件計算表」という。),②本件組合契約書,③平成9年7月30日付け印鑑証明書,④同年8月1日付けNBBからの出資金振込みに関する明細書,⑤同月5日付け金銭借用証書,⑥同月8日付け民法上の組合出資完了報告書,⑦平成10年1月26日付け現金分配のご案内,⑧無表題(本件組合の第1期における27号事件原告に係る会計報告),⑨普通預金通帳(あさひ銀行名古屋駅前支店・口座番号○○○○),⑩同(あさひ銀行名古屋駅前支店・口座番号○○○○)の各書類を提示した上,不動産所得に係る帳簿書類はすべて提示した旨及び現金出納帳などの帳簿書類は作成していない旨を申述したものであるが,以下に述べるように,上記原告については,所得税法148条1項に規定する帳簿書類の備付け,記録及び保存があったとは認められない。 (ア) 所得税法148条1項の委任を受けた所得税法施行規則57条は,「青色申告者は,青色申告書を提出することができる年分の不動産所得の金額……が正確に計算できるように次の各号に掲げる資産,負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引……を正規の簿記の原則に従い,整然と,かつ,明りように記録し,その記録に基づき,貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。」と規定するところ,同条にいう「整然と,かつ,明りように記録する」とは,すべての取引を秩序的に記録し,また,同一取引につき数種の帳簿に記載されるような場合にはその各帳簿への相互関係を明らかにし,かつ,各取引の性格,金額等が容易に識別できるように記録することをいうものと解される。 しかるところ,本件計算表は,「正規の簿記の原則」に従った記載をしていない上,その記載内容は,「整然と,かつ,明りように記録」されたものでもない。現に,上記原告自身,訴状において,入出金に関して銀行口座を経 ろ,本件計算表は,「正規の簿記の原則」に従った記載をしていない上,その記載内容は,「整然と,かつ,明りように記録」されたものでもない。現に,上記原告自身,訴状において,入出金に関して銀行口座を経由するものとそうでないもの(現金取引)があることを自認しているが,本件計算表にはそれらの区別が記載されていない。 (イ) また,所得税法施行規則56条1項ただし書は,一定の帳簿書類については,財務大臣の定める簡易な記録の方法及び記載事項によることができる旨規定しているが,同規定を受けて記録方法及び記載事項等を定める昭和42年8月31日大蔵省告示第112号(以下「大蔵省告示」という。)3項1号は,所得税法施行規則56条1項ただし書の規定の適用を受けるものは,「必要な帳簿を備え,その取引を別表第1各号の表の第2欄に定めるところにより,整然と,かつ,明りょうに記録しなければならない。」と規定しているところ,本件計算表の「不動産収入」,「租税公課」,「損害保険料」,「支払手数料」,「その他の経費」,「借入金利子」の各欄の記載事項は,大蔵省告示3項1号が「帳簿」に記載すべきとしている事項の大部分を欠落していることが明らかであり,「帳簿」に該当しない。 (ウ) 次に,②ないし⑩は,その内容及び体裁に照らし,いずれも,証ひょう書類に該当するため,それ自体で,あるいは,本件計算表と一体となって,「帳簿」に該当することはない。 仮に,①ないし⑩の全体をもってすれば,大蔵省告示3項1号が「帳簿」に記載すべきものと定めている,取引の年月日,事由,相手方及び金額等の事項を特定することが不可能ではないとしても,大蔵省告示3項1号は,取引を,帳簿に「整然と,かつ,明りように記録」しなければならない旨規定しており,その意義については,所得税法施行規則57条の場合と同様に, することが不可能ではないとしても,大蔵省告示3項1号は,取引を,帳簿に「整然と,かつ,明りように記録」しなければならない旨規定しており,その意義については,所得税法施行規則57条の場合と同様に,すべての取引を秩序的に記録し,また,同一取引につき数種の帳簿に記載されるような場合にはその各帳簿への相互関係を明らかにし,かつ,各取引の性格,金額等が容易に識別できるように記録することをいうものと解されるところ,①ないし⑩に記載された内容については,相互の対応関係が明示されているわけでもなく,各取引の性格,金額等が容易に識別できるように記録されているとも認められないから,「整然と,かつ,明りように記録」したものでない。 (エ) そして,①ないし⑩以外に「帳簿」と認められるものの備付け,記録,保存がなされていたとも認められないため,所得税法150条1項1号に基づく本件承認取消処分は適法である。 イ理由附記最高裁判所昭和49年4月25日第一小法廷判決・民集28巻3号405頁は,「旧法人税法(昭和40年法律第34号による改正前のもの)25条8項3号におけるように該当号数を示しただけでは取消しの基因となった具体的事実を知ることができない場合には,通知書に当該号数を附記するのみでは足りず,右基因事実自体についても処分の相手方が具体的に知りうる程度に特定して摘示しなければならないものと解するのが相当である。」と判示するが,本件承認取消処分における通知書には,取消しの基因となった事実等について,「帳簿書類の提示を求めたが現金出納帳などの帳簿書類は作成していない旨申し立て,大蔵省令で定める事項を記載した帳簿書類を提示しなかった」,「所得税法150条1項1号に定める取消事由に該当する事実があったと認められる」などと記載され,その内容は,取消しの基因事実自体 旨申し立て,大蔵省令で定める事項を記載した帳簿書類を提示しなかった」,「所得税法150条1項1号に定める取消事由に該当する事実があったと認められる」などと記載され,その内容は,取消しの基因事実自体について処分の相手方が具体的に知り得る程度に特定していることが明らかであるから,理由附記に欠けるところはない。 ウ適正手続上記原告は,①指示権の行使が可能であるにもかかわらず,指示権を適切に行使せずに本件承認取消処分を行ったことは裁量権の適切な行使をしないものとして適正手続に反する旨主張する。 しかし,名古屋高等裁判所金沢支部平成3年10月28日判決・税務訴訟資料186号1164頁(同判決は,最高裁判所平成4年4月7日第三小法廷判決・税務訴訟資料189号56頁で維持された。)によれば,帳簿書類の備付け不備を理由として青色申告承認取消処分を行うに際して,一定期間を設けてその是正を求めたり,事前警告を行う等の必要はないことが明らかであり,原処分調査担当者が指示又は指導をしないことが青色申告承認取消処分を違法とするものではなく,上記主張は失当である。 また,上記原告は,②国税庁長官が定める平成12年7月3日付け事務運営指針「個人の青色申告の承認の取消しについて」に定める取扱基準(「税務調査に当たり帳簿書類の提示を再三にわたり求めたにもかかわらず調査対象者が正当な理由なくその提示を拒否した場合」を指す。以下「本件取扱基準」という。)をもって「青色申告承認を取り消そうとする場合には,例外なく遵守しなければならない取扱基準であ」る旨主張する。 しかし,本件取扱基準は,納税者が帳簿書類を保存している(と推認される)にもかかわらず,調査担当者に提示しない場合に,ただ一回の提示要求のみで青色申告承認取消処分を行うのは相当ではないため,再三の提示要求を行うよ 基準は,納税者が帳簿書類を保存している(と推認される)にもかかわらず,調査担当者に提示しない場合に,ただ一回の提示要求のみで青色申告承認取消処分を行うのは相当ではないため,再三の提示要求を行うよう定められたものであり,納税者が保存していないと自ら申し立てているにもかかわらず,あえて再三にわたって提示を求めるなどという無意味な行為を要求する趣旨の規定ではない。したがって,本件で再三の提示要求が行われていないとしても,本件取扱基準に反するものではなく,上記主張は失当である。 エ処分権濫用の不存在上記原告は,本件承認取消処分は,同日付けで行われた課税処分の理由の記載を省略する目的で行われたもので,処分権の濫用である旨主張する。 しかし,本件承認取消処分が,課税処分の理由記載を省略する目的で行われたものでないことは明らかであり,上記主張は失当である。 (27号事件原告)27号事件被告の主張は争う。 ア帳簿書類等の備付け27号事件原告は,本件計算表の他,減価償却資産関係の資料,銀行通帳,上記計算表を明らかにする領収書等をすべて保存しており,必要な帳簿書類等の要件を満たしていた。 この点について,27号事件被告は,銀行口座を経由しない現金取引の存在を指摘しているが,平成9年分の不動産所得に係る取引のうち,本件各事業に係る現金取引は存在せず,不動産賃貸業に係る現金取引についても,わずか4件(うち3件は下水道受益者負担金の各7000円,残り1件は,固定資産税の支払18万2860円)にすぎず,これらは領収書等により,取引年月日,金額,相手方ともに明確にされている。 上記被告は,帳簿書類の備付け,記録及び保存が,所得税法148条1項に規定する大蔵省令に従って行われていないことが確認できた旨主張するが,次に述べるとおり,そのような確認は,到底 明確にされている。 上記被告は,帳簿書類の備付け,記録及び保存が,所得税法148条1項に規定する大蔵省令に従って行われていないことが確認できた旨主張するが,次に述べるとおり,そのような確認は,到底十分になされていなかったのであるから,上記被告の主張は,この点においても失当である。 すなわち,本件では,税務調査において,帳簿書類の備付け,記録及び保存の状況が確認されたのはたった一度きりで,しかも,当該調査においては,上記原告により提示された帳簿書類等の内容が検証されたにすぎず,青色申告承認に必要な帳簿書類の備付け,記録及び保存が行われているかどうかという観点からなされたものとすらいえないものである。このように,たった一度きり,しかも,上記原告が青色申告承認の要件を充足しているか否かが検証されたとは到底認められない不十分な調査によって,所得税法148条1項に規定する大蔵省令に従って帳簿書類の備付け,記録及び保存が行われているかどうかなど,到底確認できるはずがない。 なお,上記被告は,上記原告が,調査担当者に対して「帳簿書類をすべて提示した旨申述し」たと主張するが,そもそも,それ自体,事実に反している。 このような重要かつ基本的な事実関係についてすら事実誤認が存在すること自体,上記被告による「確認」がいかに杜撰なものであったかを示しているといわなければならない。 イ理由附記の欠如所得税法150条2項が,税務署長が青色申告承認取消処分を行うに当たって「処分の基因となった事実」の附記を求めた趣旨は,青色申告承認取消処分が納税者に対する制裁処分として青色申告制度の特典を剥奪するものであるから,処分庁の判断の慎重と公正妥当を期して処分庁の恣意を抑制するとともに,取消処分の基因たる事実を相手方に知らせることによって,その者に対し不服申立ての便宜を与 申告制度の特典を剥奪するものであるから,処分庁の判断の慎重と公正妥当を期して処分庁の恣意を抑制するとともに,取消処分の基因たる事実を相手方に知らせることによって,その者に対し不服申立ての便宜を与えるところにある。したがって,その事実は,その記載自体によって取消処分を行う必要性・相当性の有無が客観的に判断できる程度,すなわち,具体的にいつからいつまでの期間におけるいかなる帳簿,書類の備付けないし記録が不備であるか,あるいは,保存がなされていないかを特定し得る程度に記載しなければならないところ,本件承認取消処分においては,「現金出納帳などの帳簿書類を作成していない旨申し立てられ,ほかに大蔵省令に定める事項を記載した帳簿書類を提示されませんでした。」と記載されているのみであるから,不十分というべきである。 ウ適正手続違反所得税法148条2項が定める納税者に対する指示権は,青色申告者の帳簿の備置,記録及び保存について定める同条1項を受けて規定されているものであり,「備置,記録及び保存」のすべてに及ぶことは明白であり,かつ,同項は,指示権の行使対象を限定していない。 したがって,指示権は帳簿書類等が存在することを前提とするとか,本件は上記規定が妥当する場面でないとの上記被告の主張は根拠がない。また,青色申告承認取消処分も指示権も,行政庁の裁量行為であるところ,行政庁が裁量権を適切に行使すべき義務を負うことはいうまでもないから,指示権を適切に行使することなく,青色申告承認取消処分を行うことは,適正手続に反する。 そもそも,所得税法150条1項1号が青色申告の承認取消事由としているのは,あくまでも所定の帳簿書類の「備付け,記録又は保存がなされていないこと」であり,「提示しないこと」ではない。にもかかわらず,本件取扱基準1項が定められたのは,税 色申告の承認取消事由としているのは,あくまでも所定の帳簿書類の「備付け,記録又は保存がなされていないこと」であり,「提示しないこと」ではない。にもかかわらず,本件取扱基準1項が定められたのは,税務調査において,客観的に「帳簿書類の備付け,記録又は保存がなされていないこと」を確認することは困難であることから,実務上,本件取扱基準1項の手続を遵守することによって,その限りにおいて「備付け,記録又は保存がない」と認定することを許容したものと解さざるを得ない。このような本件取扱基準1項の趣旨に鑑みれば,税務調査において青色申告承認取消処分が問題となり得る場合には,例外なく,本件取扱基準1項の手続を厳格に遵守することが要請され,かかる手続を遵守した場合に限り,「帳簿書類の備付け,記録又は保存がない」ことを認定し,青色申告承認取消処分をすることが許容されていると解すべきことは当然である(なお,本件取扱基準1項が定める手続は,「帳簿書類の提示を再三にわたり求め」れば足りるから,極めて容易に充足可能である)。 したがって,本件取扱基準1項の遵守を怠った場合には,そもそも同項に定める手続要件を充足せず,「帳簿書類の備付け,記録又は保存がない」として青色申告承認の取消処分を行うことが許されないこともまた,当然である。なぜなら,このように解さなければ,税務調査において,調査担当者から再三にわたり帳簿書類の提示を求められた場合とそうでない場合とが混在することになり,その結果,本件取扱基準に定める「真に青色申告書を提出するにふさわしくない場合」か否かの認定が恣意的となり,税務調査の恣意性を排除するために定められた本件取扱基準は死文化し,税務調査の客観性・公平性ひいては課税の客観性・公平性を保つことは到底不可能となるからである(本件取扱基準が,何ら例外事由を なり,税務調査の恣意性を排除するために定められた本件取扱基準は死文化し,税務調査の客観性・公平性ひいては課税の客観性・公平性を保つことは到底不可能となるからである(本件取扱基準が,何ら例外事由を認めていない点を銘記すべきである)。 本件において,調査担当者が,上記原告に対する税務調査の際に,「帳簿書類の提示を再三にわたり求め」ていないことは,上記被告も明らかに争わないところであり,本件承認取消処分が,本件取扱基準1項を遵守することなくなされたものであることは明らかである。 エ処分権の濫用上記原告は,本件の航空機リース事業を,平成9年から開始していたところ,本件承認取消処分及び上記原告に係る本件各更正処分等は,平成11年9月に行われた税務調査後,1年6か月を経過した平成13年3月になって,突然なされたものであり,この間,上記被告から上記原告に対して,指示や指導はおろか,何らの連絡もなされなかった。税務調査においては,平成8年分の調査も行われていたのであるから,青色申告承認取消処分を行おうと思えば(その適法性はさておくとしても),平成13年3月まで待たなくとも税務調査の直後に行うことが十分可能であったはずである。 このように,本件承認取消処分に至る経緯に鑑みれば,同処分の目的が,本来の目的ではなく,更正処分の理由附記を省略する目的であったことは,もはや客観的に明らかであると言わざるを得ない。 この点について,上記被告は,「青色申告承認取消処分と課税処分が同時に行われることは,何ら不自然なことではない」との一般論・抽象論を述べるだけで,具体的な経緯について何らの反論もなし得ていないが,このこと自体,本件承認取消処分が,処分権の濫用によりなされたものであることを雄弁に物語っている。 すなわち,27号事件は,今回の一連の事件のうち更正処分がな 緯について何らの反論もなし得ていないが,このこと自体,本件承認取消処分が,処分権の濫用によりなされたものであることを雄弁に物語っている。 すなわち,27号事件は,今回の一連の事件のうち更正処分がなされた最初の事件であり,26号,30号,31号の各事件における本件各更正処分等は,いずれも,上記原告が上記被告に異議申立てを行い,これに対して上記被告が異議決定を行った平成13年8月6日よりも後になされたものである(27号事件の後で処分が最も早かった31号事件について上記処分がなされたのは,本件承認取消処分の9か月後である平成13年12月25日である。)。 そして,27号事件と26号,30号,31号の各事件は,いずれも更正処分の背景となる事案が共通しているから,被告らとしては,これら後続する事件について更正処分を行うに当たっては,単に,27号事件の異議決定書に記載された決定理由を記載すれば足りたのである(このことは,27号事件の異議決定書に記載された認定事実及び理由の骨子と,26号,30号,31号の各事件の更正処分に当たって附記された認定事実及び理由の骨子が,ほとんど同じであることからも裏付けられる。)。 以上の経緯に鑑みれば,27号事件については,平成13年3月に至り,上記被告が,同月15日までに更正処分を行う必要性に迫られ,附記すべき理由を検討・準備するだけの時間的余裕がなかったため,やむを得ず,便宜的に,何ら取消事由の存在しない青色申告承認を取り消すことで,更正処分の理由附記を免れたという事実が浮き彫りとなる。 したがって,本件承認取消処分が,処分権を濫用してなされた違法な処分であることも,また一層明白であるから,同処分は直ちに取り消されなければならない。 (9) 争点(3)(平成12年分の所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分 分権を濫用してなされた違法な処分であることも,また一層明白であるから,同処分は直ちに取り消されなければならない。 (9) 争点(3)(平成12年分の所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求める訴えの利益-29号事件)について(29号事件被告)ア過少申告加算税賦課決定処分の不存在29号事件原告は,平成13年12月10日付けでした平成12年分の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求めるが,同過少申告加算税賦課決定処分はなされておらず,処分の外形すらないから,これに係る訴えは不適法である。 イ減額更正処分不服申立てに当たっては,単に処分が不服であるというだけでなく,その処分によって自己の権利又は法律上の利益が害されていることが必要であり(行政事件訴訟法9条,10条参照),減額更正には不服申立ての利益がないと解されているところ,上記原告に対する平成12年分所得税の更正処分は,納付すべき税額を減少させる処分であり,行政庁の公権力の行使によって直接自己の権利又は法律上の利益を侵害するものではないため,訴えの利益が認められない。 ウ不服申立前置の欠如国税に関する処分(国税通則法80条2項に規定する処分を除く。)で不服申立てをすることができるものについては,異議申立て,審査請求の2段階の不服申立てを経由し,異議決定及び審査裁決を経た後でなければ訴えを提起することができないとされているところ(国税通則法115条1項本文),前審手続としての不服申立てが不適法であるため,不服申立手続においても本案審理を受けることなく却下されたときは,上記の不服申立てを経ているということはできない(最高裁判所昭和30年1月28日第二小法廷判決・民集9巻1号60頁)。 しかるところ,平成12年分所得税の更正処分に対する上 ことなく却下されたときは,上記の不服申立てを経ているということはできない(最高裁判所昭和30年1月28日第二小法廷判決・民集9巻1号60頁)。 しかるところ,平成12年分所得税の更正処分に対する上記原告の異議申立ては,国税通則法75条1項に規定する不服申立てをすることができる処分には当たらないことを理由として不適法なものであるとして却下されているから,これに係る訴えは,不服申立ての前置を欠く不適法なものといわざるを得ない。 (29号事件原告)29号事件被告の主張は争う。 ア訴えの利益の存在税務訴訟における訴えの利益は,処分の適法性の保障の見地から広く認めるべきである。また,減額更正又は減額再更正の中には,申告又は更正に係る課税標準の一部又は全部の取消しと新たな課税要件事実の認定に伴う課税標準の加算とが複合して行われ,その結果として課税標準の中身が入れ替わる場合があるから,このような場合には,全体としての「納付すべき税額」が減額されていても,課税標準たる所得金額の加算や新たな課税要件事実の認定がなされている部分に関する限りは,「納付すべき税額」が増額された場合と同様,納税者に不利益な処分であり,その取消しを求める訴えの利益があると解される。 本件において,上記原告に対する平成12年分所得税の更正処分は,全体としての「納付すべき税額」こそ減額されているものの,所得金額のうち不動産所得の金額については新たな課税要件事実の認定に基づいて増額されており,また,雑所得を構成する課税要件事実としても新たな事実が認定されている。 したがって,上記更正処分は,新たな課税要件事実が認定されている部分について,原告に不利益な処分であることは明らかであり,その取消しを求める訴えには,訴えの利益がある。 イ更正の請求を経る必要性の欠如一般に, 記更正処分は,新たな課税要件事実が認定されている部分について,原告に不利益な処分であることは明らかであり,その取消しを求める訴えには,訴えの利益がある。 イ更正の請求を経る必要性の欠如一般に,更正又は再更正は,申告又は更正によって確定した税額を変更するのみでなく,課税標準の内容を変更する(課税標準の中身を入れ替える)ことが少なくない。とすれば,原則として,申告又は更正は,更正又は再更正によって効力を失い,税額及び課税標準は,更正又は再更正によって改めて確定し直されるものと解すべきである。 なお,国税通則法29条は,①増額の更正又は再更正は,既に確定した納付すべき金額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさないこと(1項),②減額の更正又は再更正は,それにより減少した税額に係る部分以外の部分の国税についての納税義務に影響を及ぼさないこと(2項)を定めるが,これらの規定は,上記解釈の結果生じ得る租税法律関係の不安定を解消するために設けられたものであって,更正又は再更正が申告又は更正・決定による課税標準の中身を変えることがあるという事実を否定するものではない。 したがって,申告納税額を減額する更正処分において,課税標準の一部又は全部を取り消した部分については,当該更正処分により改めて確定し直されたものと解すべきであるから,重ねて国税通則法23条所定の更正の請求を行う必要はない。 ウ不服申立手続の経由上記原告は,平成14年5月29日,上記被告に対し,平成10年分,同11年分所得税の更正処分と併せて,平成12年分所得税の更正処分についても,国税不服審判所長に対して審査請求を行った。しかるに,本件審査請求から3か月を経過した本訴提起時に至っても,なお,国税不服審判所長が何らの決定又は裁決をしなかったため,上記原告は本訴に についても,国税不服審判所長に対して審査請求を行った。しかるに,本件審査請求から3か月を経過した本訴提起時に至っても,なお,国税不服審判所長が何らの決定又は裁決をしなかったため,上記原告は本訴に及んだものである。 なお,上記被告は,最高裁判所昭和30年1月28日第二小法廷判決・民集9巻1号60頁を援用して,前審手続としての不服申立てが不適法であるため,不服申立手続においても本案審理を受けることなく却下されたときは,不服申立てを経ているということはできない旨主張する。 しかしながら,適法な不服申立てが誤って却下された場合は,不服申立前置の要件を充たしていると解すべきところ(最高裁判所昭和36年7月21日第二小法廷判決・民集15巻7号1966頁),本件において,上記原告は,上記のとおり,平成12年分所得税の更正処分についても不服申立ての利益を有していたのであるから,これに対する異議申立ては適法なものであった。しかるに,上記被告のした異議決定は,誤った法解釈により,上記原告による異議申立てを違法に却下したのであるのであるから,同異議申立ては,上記被告がいう「前審手続としての不服申立てが不適法である」場合にそもそも当たらないばかりでなく,誤った異議決定により違法に却下されたのであるから,不服申立前置の要件を充たしていると解すべきである。 第3 当裁判所の判断 1 課税要件についての事実認定の在り方(争点(1)ア)について(1) 我が国の憲法84条は,「あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と規定し,他の近代憲法と同様,国民は法律の根拠に基づくことなく租税を賦課されることはないとの租税法律主義の原則を宣明しているが,その重要な機能は,国民に対して経済活動における法的安定性と予測可能性 規定し,他の近代憲法と同様,国民は法律の根拠に基づくことなく租税を賦課されることはないとの租税法律主義の原則を宣明しているが,その重要な機能は,国民に対して経済活動における法的安定性と予測可能性を与えることにあることはいうまでもない。 その観点からすれば,租税賦課の根拠となるべき法令すなわち租税法は,国法秩序の一部を構成するものであるから,そこで用いられている概念は,基本的には他の国法のそれと整合する意味内容が与えられるべきであり,租税法における目的論的解釈の名の下に,一般法の概念と矛盾・抵触するものであってはならないというべきである。 そうすると,租税法は国民の私的経済活動ないし経済現象を課税対象とするものであるが,これらについては,第一次的に私法によって規律されているから,その意味内容も,まず私法によって解釈されなければならない。 (2) ところで,国民が一定の経済的目的を達成しようとする場合,私法上は複数の手段,形式が考えられる場合があるが,私的自治の原則ないし契約自由の原則が存在する以上,当該国民は,どのような法的手段,法的形式を用いるかについて,選択の自由を有するというべきである。このことは,他の法的手段,形式を選択すれば税負担を求められるのに,選択の結果,これを免れる場合であっても基本的には同様というべきである。 もっとも,特段の合理的理由がないのに,通常は用いられることのない法的手段,形式を選択することによって,所期の経済的効果を達成しつつ,通常用いられる法律行為に対応する課税要件の充足を免れ,税負担を減少させあるいは排除する場合には,租税回避行為としてその有効性が問題となり得るが,前記の租税法律主義の観点からは,このような場合であっても,当該法的手段,形式が私法上は有効であることを前提としつつ,租税法上はこれを有効と扱 合には,租税回避行為としてその有効性が問題となり得るが,前記の租税法律主義の観点からは,このような場合であっても,当該法的手段,形式が私法上は有効であることを前提としつつ,租税法上はこれを有効と扱わず,同一の経済目的を達成するために通常用いられる法的手段,形式に対応する課税要件が充足したものとして扱うためには,これを許容する法律上の根拠を要すると解すべきである。 (3) 以上の理は,原告ら及び被告らの双方共,格別異論を唱えるものではないと考えられるが,本件において問題となるのは,①当事者の締結した契約解釈の在り方,②契約書等の外形的資料から離れた「真意」の認定の可否などである。 一般論としては,法律行為の解釈とは当事者の合理的意思の所在を探求するものであるから,通常は用いられることのない契約類型の内容を把握するに当たっては,契約条項を個々的に検討するだけでなく,他の条項と関連づけて検討しなければ,契約全体としての意味を正確に理解することができない場合が稀ではなく,そのような場合には,明示的な文言にもかかわらず,これを制限的に解釈し,あるいは逆に条項と条項の「行間」に明示されていない合意内容を読み込む必要が生ずることもあり得るというべきである。また,契約書等の外形的資料は,それらが唯一絶対的な判断材料というわけではないから,隠された当事者の合意内容がどのようなものであるか(この場合,契約書は処分証書としての性格を有しないことになる。),あるいは表示行為から推測される効果意思と真の内心的効果意思との異同を明らかにする必要を生ずる場合もあり得るというべきである。以上のような作業は,被告らの主張するとおり,当事者の真意の所在を明らかにするという事実認定の問題であり,これに即して課税要件の充足を検討するものであるから,租税法律主義に反するもので うべきである。以上のような作業は,被告らの主張するとおり,当事者の真意の所在を明らかにするという事実認定の問題であり,これに即して課税要件の充足を検討するものであるから,租税法律主義に反するものでないことは明らかである。 しかしながら,このことは,動機,意図などの主観的事情によって,通常は用いられることのない契約類型であるか否かを判断することを相当とするものではなく,まして,税負担を伴わないあるいは税負担が軽減されること(本件各組合契約がこのような場合に該当するかについては,後に検討するとおりである。)を根拠に,直ちに通常は用いられることのない契約類型と判断した上,税負担を伴うあるいは税負担が重い契約類型こそが当事者の真意であると認定することを許すものでもない。なぜなら,現代社会における合理的経済人にとって,税負担を考慮することなく法的手段,形式を選択することこそ経済原則に反するものであり,何らかの意味で税負担を考慮するのがむしろ通常であると考えられるから,このような検討結果を経て選択した契約類型が真意に反するものと認定されるのであれば,それは事実認定の名の下に,法的根拠のない法律行為の否認を行うのと異ならないとの非難を免れ難いというべきである。 したがって,選択された契約類型における「当事者の真意の探求」は,当該契約類型や契約内容自体に着目し,それが当事者が達成しようとした法的・経済的目的を達成する上で,社会通念上著しく複雑,迂遠なものであって,到底その合理性を肯認できないものであるか否かの客観的な見地から判断した上で,行われるべきものである。 (4) 本件において,原告らは,いずれも,業務執行会社を含む他の組合員らとの連名により,「任意組合契約書」と題し,しかも,前文において,日本国の民法上の組合を設立する旨が記載されている本件各 る。 (4) 本件において,原告らは,いずれも,業務執行会社を含む他の組合員らとの連名により,「任意組合契約書」と題し,しかも,前文において,日本国の民法上の組合を設立する旨が記載されている本件各組合契約書(甲AないしFの各1)を作成,取り交わしているところ,原告らの達成しようとする経済的目的に照らして,そのような契約類型を選択することが著しく不合理といえるか,それらの契約の意味が,真実は民法上の組合契約を締結するものではなく,利益配当契約にとどまるものと解し得るかなどが争点となっているので,以下,順次判断する。 2 本件の各争点((1)イないしキ)を判断する上で必要となる事実関係前提事実に証拠(後掲)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 (1) 本件各事業における契約内容の概要(前記のとおり,本件各組合に係る契約内容はホーランド事業組合に係る契約が一部異なるほかは,ほとんど同様の内容であるため,以下においては,特に断りのない限り,ヒースロー事業組合に係る契約をもって代表させる。なお,原文が外国語によるものについては,基本的に当事者の提出に係る訳文によった。)ア本件各組合契約(甲AないしFの各1)原告らは,他の組合員及びNBBの100パーセント子会社との連名により,別表20の「組合契約(契約①)」欄記載のとおり,本件各組合契約を締結している(ただし,その「締結日」は,その時点までに全組合員の署名押印をもらうことを見込んであらかじめ定められた日である。乙全5)。 「前文別紙組合員一覧表記載の者は,以下の条項に従って日本国の民法上の組合(略)を成立させ,本組合を通じて別紙航空機の概要に記載されたボーイング757-200ETOPS型航空機1機……を取得し,かつ,本件航空機を賃貸し,もって本件航空機の取得,賃貸,管 国の民法上の組合(略)を成立させ,本組合を通じて別紙航空機の概要に記載されたボーイング757-200ETOPS型航空機1機……を取得し,かつ,本件航空機を賃貸し,もって本件航空機の取得,賃貸,管理及び売却等に関する事業への参加をなし,同事業を組合員全員の共同事業として行うため,本任意組合契約(略)を締結する。 2条(目的)本組合は,組合事業として以下の事業(略)をなし,もって組合員相互の利益を図ることを目的とする。 (1) 各組合員がそれぞれ本契約で定められた額の現金を出資し,(2) 本組合が,金融機関より本件航空機購入代金の一部の支払を使途として28,500,000米ドルを超えない金員を借入れ(略)(なお,当該借入契約に基づく金融機関の本組合に対する債権を担保するため,本件航空機,そのリース料債権その他の権利に適当な担保権を設定する他,野村バブコックアンドブラウン株式会社(以下,「NBB」という)に保証を委託し,当該保証委託契約に基づくNBBの本組合に対する債権を担保するため,本件航空機,そのリース料債権その他の権利に適当な担保権を設定する),(3) 上記(1)の出資金及び上記(2)の借入金をもって,本件航空機をケイマン諸島法人ロンドン・カンパニー・リミテッド(略)より取得し,(4) 本件航空機を英国法人英国航空(略)又はその他の賃借人に対しリースをなし,(5) かつ,(4)のリース終了後は本件航空機の売却等の処分をなし,(6) もって,本組合を通じて,本件航空機の取得,賃貸,管理,売却及びこれに付帯する一切の事業を行う。 3条(本組合の発足時期)本組合は,平成9年8月7日をもって,別紙組合員一覧表記載の者を組合員として発足する。 4条(組合の存続期間)本組合の存続期間は,本契約に別に定める場合のほか,第3条に定められ 本組合の発足時期)本組合は,平成9年8月7日をもって,別紙組合員一覧表記載の者を組合員として発足する。 4条(組合の存続期間)本組合の存続期間は,本契約に別に定める場合のほか,第3条に定められた本組合発足の日から7年とする。但し,第13条1項に基づいて,第8条1項により指名される業務執行者(略)がその延長を提案し,かつ,第5条2項に定義する出資割合の過半数を有する組合員の書面による同意が得られた場合には,これを延長するものとする。 5条(出資及び持分) 1 各組合員は,別紙組合員一覧表に出資額として米ドルをもって表示された金額(略)をそれぞれ本組合に出資する。 2 各組合員は,組合財産につき,別紙組合員一覧表に出資割合として表示された持分を有する(略)。 8条(業務執行者) 1 組合員はその一致により,……エヌビービードーバー有限会社を本組合の唯一の業務執行者と定め,業務執行者に対し本組合の目的達成のため本組合又は組合員全員の名において下記事業を含む一切の本組合の業務執行を委任するものとし,業務執行者以外の組合員は本契約に定めるもののほか,何ら業務についての権限を有しない。 (1) 本組合の設立及び管理・運営に関する事項(2) 本組合を通じての本件航空機の取得,賃貸(略),管理及び売却等に関する事項(3) 本組合の損益及び財産の分配に関する事項(4) 会計帳簿及び記録等の作成及び保管等,本組合の会計に関する事項((5)から(9)まで略)(10) その他,本組合の目的達成のために必要な一切の事項2(略) 3 業務執行者の任期は,本組合の存続期間とする。業務執行者は,正当の事由により業務執行者以外の組合員全員の書面による同意を得たときのほか,辞任することができない。 4 業務執行者は,本事業による事業収益をいかなる意味においても の存続期間とする。業務執行者は,正当の事由により業務執行者以外の組合員全員の書面による同意を得たときのほか,辞任することができない。 4 業務執行者は,本事業による事業収益をいかなる意味においても保証するものではなく,本組合の事業結果について責任を負わない。 5 業務執行者は,本組合より,本組合の業務執行に対する報酬として月額10,710米ドル相当額(略)の支払を受けることができる。 9条(事業年度)本組合の事業年度は,1月1日に始まり同年の12月31日をもって終了する。(以下略)10条(損益及び運用収入の分配) 1 業務執行者は,本事業から生ずる損益を,各組合員に対し,その出資割合に応じて分配する。かかる損益分配の計算は,各事業年度毎に行われるものとする。 2 業務執行者は,本事業から生じる運用収入を,各組合員にその出資割合に応じて支払うものとする。(以下略) 3 本事業につき損失が生じたか否かにかかわらず,各組合員は第2条(2)の金融機関と本組合との借入契約に基づき,(1)契約締結後の法令・規制の変更(略)に起因して金融機関の追加コストが発生することとなり,(2)契約締結後に法令の変更,組合員の住所移転その他の事情により金利支払に源泉税が課せられ,もしくは,(3)期限の延長により延長期間中の金利が発生することとなったことに伴い,借入契約上の本組合の支払義務が増加した場合,又は,航空当局による耐空性改善命令の発行により,航空機に一定の修理・改良等が行われ,第2条(4)記載のリース契約の規定に基づき,本組合に支払い義務が生じた場合には,増加または支払金額として業務執行者が合理的に決定する金額を,業務執行者の請求によりその出資割合に従い直ちに追加出資する義務を負う。 4(略)11条(会計及び事業報告)業務執行者は,各事業年度毎に組 または支払金額として業務執行者が合理的に決定する金額を,業務執行者の請求によりその出資割合に従い直ちに追加出資する義務を負う。 4(略)11条(会計及び事業報告)業務執行者は,各事業年度毎に組合事業につき,貸借対照表及び損益計算書を作成し各事業年度終了後60日以内に各組合員に送付して報告する。 12条(報告請求権) 1 各組合員は,合理的な理由を記載した書面により,業務執行者に対して組合の運営及び組合財産の状況について報告を求めることができ,業務執行者は速やかにこれに応じるものとする。但し,これに要する費用は当該組合員の負担とする。 2 業務執行者は,必要があると認めるとき又は出資割合の過半数以上を有する組合員からの請求があったときは,少なくとも30日前に各組合員に対し書面による通知を発して組合員集会を招集することができる。組合員集会において,業務執行者は,本組合の運営及び組合財産の状況につき報告することができ,また組合員は,業務執行者に対しそれにつき意見を述べることができる。 13条(重要事項に関する特則) 1 以下に掲げる事項についての決定は,業務執行者の提案に基づき出資割合の過半数以上を有する組合員の書面による同意によってなされるものとする。 (1) 本件航空機全部の売却(2) 本組合の存続期間の延長 2 第22条(4)号に基づく本組合の解散についての決定は,業務執行者の提案に基づき組合員全員の書面による同意によってなされるものとする。 16条(脱退) 1 本契約中に明示的に規定する場合を除き,組合員は,已むことを得ざる事由が生じかつ業務執行者よりあらかじめ書面による同意を得た場合を除き,本組合を脱退しないものとする。 2 本契約中に明示的に規定する場合に加えて,組合員が以下の一つに該当する場合には,当該組合員は本組合から脱 つ業務執行者よりあらかじめ書面による同意を得た場合を除き,本組合を脱退しないものとする。 2 本契約中に明示的に規定する場合に加えて,組合員が以下の一つに該当する場合には,当該組合員は本組合から脱退する。 (1) 組合員に対し,破産,会社更正,和議,会社整理もしくは特別清算の手続が開始したとき。 (2) 第7条2項及び第19条に基づく除名3(略)17条(組合員の死亡) 1 組合員が死亡した場合には,死亡した組合員の組合員たる地位は,業務執行者の書面による同意を条件として,相続人または受遺者に承継される。業務執行者は,上記の同意に際し,組合員たる地位その他本組合に関する権利義務を承継することができる相続人または受遺者の人数等について条件を付することができる。業務執行者のかかる同意を得て組合員たる地位が承継される場合,承継人(略)は,本契約に拘束されることを承認することによって組合員たる地位を取得する。 (以下略)19条(除名)組合員が本契約の規定の一にでも違反したとき,または本組合の信用を著しく失墜させるおそれのあるとき等正当の事由がある場合には,他の組合員は,その全員の書面による同意をもって当該組合員を除名することができる。 業務執行者は除名した組合員に対し,遅滞なくその旨を通知する。 22条(解散)本組合は,次の各号に掲げる場合に解散する。 (1) 第4条の存続期間が満了した場合。 (2) 第13条1項に従い,本件航空機全部を売却した場合。 (3) 本組合の目的達成が不可能となった場合。 (4) 第13条2項に従い,組合員の全員が解散に同意した場合。 26条(契約の変更)本契約は,組合員全員の書面による合意により変更することができるものとする。 イ本件各ローン契約(甲A2の1・2,B2の1ないし3,DないしFの各2の1・2)別表 した場合。 26条(契約の変更)本契約は,組合員全員の書面による合意により変更することができるものとする。 イ本件各ローン契約(甲A2の1・2,B2の1ないし3,DないしFの各2の1・2)別表20の「ローン契約(契約⑤)」欄記載のとおり,本件各組合契約の締結日と同時又はその後数日内に,本件各金融機関を貸主,本件各組合を借主,別表21の「借入金額」欄記載の金額を融資金額とする本件各ローン契約が締結されている。 同契約書には,次の条項がある。 (ア) 金融機関の同意がない限り本件各組合契約等を変更しないこと「5条-表明,保証及び誓約5.2(d) 本借主は,本件代理人の事前の書面による同意を得ない限り,自らが締結した又は今後締結することとなる本件組合契約の改訂,変更,更改又は差換を行わないものとし,またそれらの改訂,変更,更改又は差換に対する同意を与えないものとする。また,本借主はいずれの本件融資関連書類又は本件保険に基づいても同意の許諾を行わないものとし,任意の本件融資関連書類又は本件保険の当事者を,それら書類等に基づくそれぞれの義務から免除しないものとする。ただし,業務執行組合員は,他の組合員の追加,交替,退会又は除籍を認めるために組合契約の何らかの改訂に対し同意を与える権利を有するものとする。 5.4(c) 業務執行組合員は,本件代理人の事前の書面による同意を得ない限り,自らが締結した又は今後締結することとなる本件融資関連書類若しくは組合契約の改訂,変更,更改又は差換を行わないものとし,またそれらの改訂,変更,更改又は差換に対する同意を与えないものとする。また,業務執行組合員は,いずれの本件融資関連書類又は本件保険に基づいても同意の許諾を行わないものとし,任意の本件融資関連書類又は本件保険の当事者を,それら書類等に基づくそれぞ 与えないものとする。また,業務執行組合員は,いずれの本件融資関連書類又は本件保険に基づいても同意の許諾を行わないものとし,任意の本件融資関連書類又は本件保険の当事者を,それら書類等に基づくそれぞれの義務から免除しないものとする。ただし,業務執行組合員は,他の組合員の追加,交替,退会又は除籍を認めるために組合契約の何らかの改訂に対し同意を与える権利を有するものとする。」(イ) 業務執行会社は組合の業務が終了するまで業務執行者であり続けること「5.5 業務執行組合員は,本契約の有効期間中,本件代表者及び各本銀行に対し,業務執行組合員は本件組合契約の条項に従って同契約に基づく業務執行組合員としての義務及び任務を履行し,かつ本契約及びその他の本件融資関連書類に基づく本借主の全ての債務が完全に充足されるまでは本借主の業務執行組合員として存続することをここに誓約し,かつこれを引き受けるものである。 (略)7条-契約解除7.1 本件解除事由以下に述べる事由の1つ又は2つ以上が発生し,かつ継続している間は;(略)(c) 本借主,業務執行組合員又は本件保証人が当事者となっているいずれかの本件融資関連書類に基づくその誓約事項,履行事項又は債務(略)の適切な履行及び遵守に違背し,かつ当該不履行が本銀行の権利,権益及び立場を著しく損ない,かつ当該不履行(略)が,本件代理人が本借主にこれを是正するように求めた書面通知から30日以内に是正されないこと;又は,(d) 本借主,業務執行組合員又は本件保証人が当事者となっているいずれかの本件融資関連書類において行った(又は行ったとみなされる)表明,保証又は陳述が(当該表明等がなされた日において,又はなされたとみなされた日当日において),虚偽又は不正確であることが証明され,かつ当該不履行が本銀 類において行った(又は行ったとみなされる)表明,保証又は陳述が(当該表明等がなされた日において,又はなされたとみなされた日当日において),虚偽又は不正確であることが証明され,かつ当該不履行が本銀行の権利,権益及び立場を著しく損ない,かつ当該不履行(救済不能な場合を除く)が,本件代理人が本借主にこれを是正するように求めた書面通知から30日以内に是正されないこと;又は(略)もし本件終了事由が継続している場合はその後いつでも,本件代理人又は(事情に応じて)本件担保受託者は,もし本件幹事グループからそのように指示されれば,本借主に対して書面通知をなすことにより,下記第7.2項に定める措置のうち全て又はその一部を実行できる。ただし,もし本件債務不履行事由が発生しかつ継続している場合は,本銀行及び本件代理人は,本件担保書類の実行と同時又はそれ以前に,第6.1(b)(i)号及び第2.7(a)(i)号に基づく各権利を行使するものとする。 7.2 救済措置第7.1項に述べた段階的措置は以下のとおりである。 (a) 本件代理人は,本借主に対する書面による通知を以て,本件ファシリティが直ちに将来的に解除される旨を宣言することができ,これを以て本件ファシリティは解除され,かつ各本銀行の本件コミットメントはゼロまで減縮されるものとする。及び/又は(b) 本件代理人は,本借主に対する書面による通知を以て,その時点で本件融資の元本残高及び発生利息が直ちに支払期日が到来することを宣言することができるものとし,これを以て当該債権は,本契約に基づく債権として表明された他の全ての金額と共に,直ちにその支払期日が到来するものとする。及び/又は(c) 本件代理人及び/又は本件担保受託者は,本件担保書類の全て又は任意の一部の権利及び本銀行の権利を強制執行できるもの た他の全ての金額と共に,直ちにその支払期日が到来するものとする。及び/又は(c) 本件代理人及び/又は本件担保受託者は,本件担保書類の全て又は任意の一部の権利及び本銀行の権利を強制執行できるものとする。」(ウ) ノン・リコースに関する合意「第2条-本件ファシリティ2.5 元本の返済及び本件融資の延長(略)(b) 本件再マーケティング期間延長(ⅰ) 本件解約事由又は本件期限利益喪失事由のいずれも発生しておらず,かつ継続していないことを条件として,本借主は,本航空機の再販売又は再資金調達が行われるよう,本件バルーン金額につき,当該支払期日から6ヶ月後を限度として,その支払を遅らせることができるものとする。(以下略。なお,本件バルーン金額とは,最終弁済期日における借入残高をいう。)2.6 利息(a) 総則.本借主は,本件代理人に対し,本銀行の勘定において,本件金利にて本件融資の未払元本金額を対象とした利息を支払うものとし,その対象期間は本件融資の日(略)から,本件融資が全額返済された日(略)までとする。当該利息の本借主による支払は,後払いにより,各本件融資支払期日および元本の繰上げ返済が行われたその他の日に行われるものとする(略)。但し,本件再マーケティング期間(略)中の各本件融資支払期日当日に支払われることとなる利息は,当該日当日には支払われず,その代わりに当該本件融資支払期日当日の本件融資の未払元本残高(および事情に応じて本件バルーン金額)に上乗せされるものとし,かつ,もし任意の本件融資支払期日当日において当該本件融資支払期日当日に支払われるべき利息を上乗せすることによって,本件バルーン金額が$14,310,000を超える場合,未払利息のうち本件バルーン金額が前記の該当金額を超えることの原因となる該当部分は,本件 期日当日に支払われるべき利息を上乗せすることによって,本件バルーン金額が$14,310,000を超える場合,未払利息のうち本件バルーン金額が前記の該当金額を超えることの原因となる該当部分は,本件バルーン金額に上乗せされないものとし,その代わり該当する本件融資支払期日当日に支払われるものとする。(以下略)3条-制限付遡及権3.1 制限付遡及権ベース(略)(c) 本契約又は他の本件融資関連書類の他の条項に拘わらず(略),本契約及び他の本件融資関連書類に基づく本借主の債務,責任及び補償を原因として又はこれに関して,本借主が本銀行……に支払うべきこととされる金額(略)については,本借主はこれを,本件担保物件を構成している財産(略)……を唯一の原資として支払うものとし,かつ,本借主がいずれかの者から本件受取額の何らかの金額を受領又は回収し(略),かつこれを本銀行……に対して支払わなかった場合,及び第3.1(e)号及び第3.5号が定める場合を除き,本借主は,本銀行……に対して(略)支払われるべきとされる(略)当該金額については人的責任を負わないものとする。 (略)(e) 適用事態が発生した場合,本借主は当該適用事態を原因として,本銀行……が被ったあらゆる損失,損害,責任,請求又は費用(略)について,全面的な人的責任を負うものとし,かつ本借主はこれらについて(略)本銀行及び本件代表者を防御し,補償するものとする。かつ各本銀行及び本件代表者は,当該適用事態が発生した場合,何らの制約を負うことなく当該損失,損害,責任,請求又は費用について,本借主及びその資産の全てを相手取って,その権利及び救済手段の全てを自由に追及できるものとする。 本契約第3.1(e)号の目的において,「適用事態」とは,下記(ⅰ)から(ⅳ)のいずれかを意味する。 ( 主及びその資産の全てを相手取って,その権利及び救済手段の全てを自由に追及できるものとする。 本契約第3.1(e)号の目的において,「適用事態」とは,下記(ⅰ)から(ⅳ)のいずれかを意味する。 (ⅰ) 本契約又は本借主若しくは業務執行組合員が当事者となっている他の本件融資関連書類が意図する取引,又は義務の履行に関し,本借主又は業務執行組合員の詐害行為又は故意の不法行為のうち,本契約又は本借主若しくは業務執行組合員が当事者となっている他の本件融資関連書類が意図する取引,本契約又は本借主若しくは業務執行組合員が当事者となっている他の本件融資関連書類に基づく本件借主若しくは業務執行組合員の義務の履行に関するもの;又は(ⅱ) 本契約又は本借主又は業務執行組合員が当事者となっている他の本件融資関連書類中において,本借主又は業務執行組合員が本件代表者又は本銀行に対して行った又は与えた事実関係の表明,保証又は陳述につき,それらが行われた又は与えられた時点において,重大な点で不正確であるもの;又は(ⅲ) 第5.2(a)号,5.2(c)号又は6.1(b)(ⅰ)号及び6.1(b)(ⅱ)(aa)号における本借主の誓約についての本借主による違反;又は(ⅳ) 第5.4(a)号に含まれる本件業務執行組合員の誓約についての本件業務執行組合員による違反(f) 本契約又は本件融資関連書類に基づく本借主の義務,債務又は補償(3.1(e)及び3.5に従って行われるものは除く)に関する各組合員の責任は,組合契約に従って決定される本件受取金額における当該組合員の持分相当額にのみ限定される。かつ,3.1(e)及び3.5に基づく本件組合の債務,責任又は補償に関する各組合員の責任は,本借主の資産,権利及び権益における当該組合員の持分相当分にのみ限定される。なお,本銀行…… み限定される。かつ,3.1(e)及び3.5に基づく本件組合の債務,責任又は補償に関する各組合員の責任は,本借主の資産,権利及び権益における当該組合員の持分相当分にのみ限定される。なお,本銀行……は,契約又は法の効果に基づき組合員に対し有する他の権利については明確に放棄する。 (略)3.5 遡及責任第3.1項に含まれる人的責任の制限は,本借主の以下の責任については適用されないものとする:(a) 第2.6(a)号の第2番目の但書きに従って元本に加えられていないかわりに,本件再マーケティング期間中の各本件融資支払期日当日においてその支払期日が到来する利息(略)を支払う責任(略)第3スケジュール(目録)ローン分割返済最初の時期英国航空に対するB757-200一機のオペレーティング・リース/ローン返済スケジュール(略)貸金引出日 1997年8月11日貸付額 2615万4773.87ドル利率 7.4500%(L+100bp(注:これは銀行間金利に1%を上乗せする趣旨))先取り手数料 13万773.87ドル(0.50%)(略)2003年3月30日日数 29日債務返済 311.513.18利息額 82.393.78元本返済額 229.119.40残高 13.499.999.38」(略)ウ抵当権設定契約及び譲渡担保契約(乙B5,6)本件各ローン契約に基づく借入金返済債務を被担保債権,担保の目的を本件各航空機とする抵当権設定契約及び担保の目的を本件各航空会社から受領するリース料等とする譲渡担保権設定契約(保証譲渡契約)が,別表20の「抵当権設定契約(契約⑥)」欄及び「保 債権,担保の目的を本件各航空機とする抵当権設定契約及び担保の目的を本件各航空会社から受領するリース料等とする譲渡担保権設定契約(保証譲渡契約)が,別表20の「抵当権設定契約(契約⑥)」欄及び「保証譲渡契約(契約⑦)」欄記載のとおり,本件各ローン契約締結日当日又はその翌日付けで,本件各組合を設定者,本件各金融機関を権利者として,締結されている。 (ア) 抵当権設定契約「前文本航空機抵当権設定契約は,1997年8月11日に,(1) 日本国の民法に基づく組合契約(パートナーシップ契約)により組成された任意組合(パートナーシップ)で,主たる事務所を,日本国……気付に置く,NBBヒースローリース組合1号として活動する組合員(「抵当権設定者」)と(2) スイス国の法律に基づき組成された銀行で,英国……に所在し,各受益者の担保受託者として行動するクレディ・スイス・ファースト・ボストンロンドン支店(「抵当権者」)との間で捺印証書の形式で締結され,(A) ローン契約書に基づき,原貸主は,抵当権設定者が航空機を取得するための資金として,抵当権設定者に最高US$28,500,000までの融資の便益を与えることに同意している。 (以下略)(イ) 譲渡担保契約前文本保証譲渡証書は,1997年8月11日に,以下の当事者間で締結される。 (1) 日本国の民法の下で組合契約によって設立され,主たる事務所を……気付けに置く任意組合であるNBBヒースローリース組合1号として行為する組合員(以下「譲渡人」という),(2) スイス国の法律に基づき組織され,英国……に所在する銀行であり,各受益者の受託者として行為するクレディ・スイス・ファースト・ボストンロンドン支店(以下「譲受人」という。),及び(3) スイス国の法律に基づき組織され,……に所在する銀行であり, する銀行であり,各受益者の受託者として行為するクレディ・スイス・ファースト・ボストンロンドン支店(以下「譲受人」という。),及び(3) スイス国の法律に基づき組織され,……に所在する銀行であり,預かり人であるクレディ・スイス・ファースト・ボストン東京支店。 (略) 2 補償金額支払いの誓約(略)(c) ローン契約3条に従い譲渡人が保証債務に対する人的責任を負う場合,またはローン契約3条に基づき譲受人および受益者もしくはそのいずれかが,譲渡人および/またはその資産に関して司法的措置またはその他の措置もしくは手続きを取るもしくはその他の権利もしくは救済策を行使する権利を明示的に与えられている場合を除き,本保証譲渡証書は,譲受人に対して,譲渡資産の償還請求および本保証譲渡証書による保証の実施に関する訴訟以外,いかなる償還請求または訴訟を譲渡人および/またはその資産に対して行う権利を与えるものではない。 (以下略)」エ本件各航空機売買契約(甲AないしFの各3の1・2)本件各航空機購入元を売主,本件各組合を買主として,本件各航空機をそれぞれ1機購入する内容の本件各航空機売買契約が,別表20の「航空機売買契約(契約⑧)」欄記載のとおり,本件各組合契約締結後数日内に,締結されている。 「前文本航空機売買契約は,1997年8月11日付で以下の当事者間で締結された。 1 ケイマン諸島法に基づいて組織されたケイマン諸島の会社で,本店を,……に有する,ロンドン・カンパニー・リミテッド(「本件売主」);及び 2 日本の民法に基づいて組合契約により設立された任意組合で,本店を日本国……に有する,エヌ・ビー・ビー・ヒースロー・リース事業組合1号として行為する組合員(「本件買主」)。 (以下略)」なお,本件各航空機売買契約のうちには,「譲渡人,譲受人 た任意組合で,本店を日本国……に有する,エヌ・ビー・ビー・ヒースロー・リース事業組合1号として行為する組合員(「本件買主」)。 (以下略)」なお,本件各航空機売買契約のうちには,「譲渡人,譲受人,業務執行者及び本件賃借人の間の更改契約に従い,原修正リース契約(譲渡人と航空機賃借人との間のリース契約)に一定の修正が加えられ,原修正リース契約は譲受人のために更改される予定である。」との前文を有するものがある。 オリース契約の更改契約(甲A4の1ないし4,B4の1・2,C4の1ないし3,DないしFの各4の1・2,乙B7ないし9)本件各組合を新賃貸人(被移転者),本件各航空会社を賃借人,本件各航空機購入元を旧賃貸人として,本件各航空機購入元と本件各航空会社との間で締結された「原リース契約」の当事者が交替する旨の更改契約(以下「本件各リース契約」という。)が,別表20の「リース契約(契約⑨)」欄記載のとおり,本件各航空機売買契約と同日付けで締結されている。 本件各リース契約における「リース期間」,「月額リース料」は,別表21の同欄記載のとおりである。 (ア) 原リース契約「13 保険(A) 本件借主は,本件リース期間中に本件航空機のすべての損失又は損害についてのリスクを負担する。 (B) 本件借主は,本件リース期間中及び本件航空機が本件リース期間終了時に第15条に基づいて再販売されるまでの間,別紙2によって規定される保険責任証書についてはこれを有効に保持し,別紙2によって規定される保険については自らの費用と支出において有効に維持するものとする。 (以下略)」(イ) 本件各リース契約「4条更改(略)4.2 リース契約の更改「買取契約」に基づく「本件航空機」及びそれに関連する特定の付属的権利のロンドン・カンパニーに 。 (以下略)」(イ) 本件各リース契約「4条更改(略)4.2 リース契約の更改「買取契約」に基づく「本件航空機」及びそれに関連する特定の付属的権利のロンドン・カンパニーによる被移転者への売却の成就と同時に,「原リース契約」は,以下の効果を有する形で,本契約に従って当事者代替されるものとする(その日時が「有効日時」である):(略)(c) 本件賃借人は:(ⅰ) 「有効日時」以降有効になる形で,「本件航空機」をリースにより取得し,「リース契約」に基づく本件賃借人の一切の義務を被移転者の利益のために履行するものとし;かつ(ⅱ) 「リース契約」に記載される″本件賃借人″による約束,誓約,表明及び保証の文言において(あたかも「リース契約」における″本件賃貸人″についての一切の言及が被移転者についての言及であるがごとく),「有効日時」以降又は「有効日時」において(略)被移転者に対し約束,誓約,表明及び保証を行うものとする。(以下略)(d) 被移転者は:(ⅰ) 「有効日時」以降有効となる形で,「本件航空機」を本件賃借人に対してリースするものとし;(ⅱ) 「有効日時」において有効となる形で,「リース契約」に基づく本件賃貸人の一切の誓約及び義務を本件賃借人の利益のために履行する(略)ものとし;かつ(ⅲ) 「リース契約」に記載される″本件賃貸人″による約束,誓約,表明及び保証の文言において(あたかも「リース契約」における″本件賃貸人″についての一切の言及が被移転者についての言及であるがごとく),「有効日時」以降又は「有効日時」において(略)本件賃借人に対し約束,誓約,表明及び保証を行うものとする。(以下略)」カ本件各保証委託契約,ローン保証契約及びリース保証契約(ア) 本件各組合を委託者,NBBを受託者として, 」において(略)本件賃借人に対し約束,誓約,表明及び保証を行うものとする。(以下略)」カ本件各保証委託契約,ローン保証契約及びリース保証契約(ア) 本件各組合を委託者,NBBを受託者として,本件各組合がローン契約に基づいて本件各金融機関に対して負担する債務及びリース契約(の更改契約)に基づいて本件各航空会社に対して負担する債務の保証をすることを委託する旨の本件各保証委託契約が,別表20の「保証委託契約(契約⑩)」欄記載のとおり,本件各組合契約締結日と同日付けないしその後数日内に締結されている。 NBBの取得する求償権には,次の特約がある(乙B10)。 「第5条(求償権の制限)甲(NBB)は,金消主債務及び原金消契約に関し,本契約第3条及び第4条に規定する求償債務の履行を乙(本件各組合)の組合員に対して求めることはできないものとする。但し,(1)原金消契約締結後の法令・規制の変更(中央銀行による準備預金率の引上げ,資本適正基準の変更等を含む)に起因する丙(本件各金融機関)の追加コストを原金消契約上乙が補償する義務,(2)原金消契約締結後に法令の変更,組合員の住所移転その他の事情により金利の支払いに源泉税が課せられることとされた場合に,乙が丙に対し,源泉税額を上乗せして支払をなす義務,及び(3)原金消契約に基づく支払期限延長により,延長期間中の金利が発生することとなったことに伴い,原金消契約上の乙(本件各組合)の支払義務が増加した場合の求償権についてはこの限りではない。」(イ) NBBは,別表20の「ローン保証契約(契約⑪)」欄記載のとおり,本件各保証委託契約締結日と同日ないしその前後の日に,本件各金融機関との間で,ローン保証契約(以下「本件各ローン保証契約」という。)を締結している(乙B11,11の1)。 「4 本件保証人は, り,本件各保証委託契約締結日と同日ないしその前後の日に,本件各金融機関との間で,ローン保証契約(以下「本件各ローン保証契約」という。)を締結している(乙B11,11の1)。 「4 本件保証人は,保証のなされた金額について,唯一のあるいは主たる債務者として責任を負うとみなされる。 5 本件保証における本件保証人の責任と義務は,被保証金額全額についての適正かつ正当な弁済がなされた場合,及び……本件保証受託機関による承諾を得て(略)本件保証人であることを完全に免れ,あるいは解約した場合を除き,いかなる行為,不作為,不履行,その他の事情にも関わらず有効に存続する。(以下略)」(ウ) また,NBBは,別表20の「リース保証契約(契約⑫)」欄記載のとおり,本件各保証委託契約締結日と同日ないしその前後の日に,本件各航空会社との間で,リース保証契約を締結している(乙B12,12の1)。 「前文……リース契約により企図される取引に賃借人が参加する条件として,NBBには,リース契約に含まれている,債務者に対して適用されるすべての誓約事項,同意事項および条件を債務者が履行および遵守することを保証することが要求される。(以下略)」キ本件各業務委託契約及び本件経営援助契約(ア) 本件各業務執行会社を委託者とし,NBBを受託者として,本件各組合の管理事務(会計帳簿の作成,損益計算その他の会計処理,リース事業に基づく金銭の受領及び当該金銭の各組合員への分配に関する事務行為等)を委託し,委託事務に対する報酬として本件航空機リース料の2パーセントに相当する金額をNBBに対して業務委託報酬として支払う旨の業務委託契約が,別表20の「業務委託契約(契約②)」欄記載のとおり,本件各組合契約締結日と同日付けないしその後数日内に締結されている(乙B3)。 (イ) また, に対して業務委託報酬として支払う旨の業務委託契約が,別表20の「業務委託契約(契約②)」欄記載のとおり,本件各組合契約締結日と同日付けないしその後数日内に締結されている(乙B3)。 (イ) また,NBBは,平成8年1月1日付けで,バブコック・アンド・ブラウン・エアクラフト・マネージメント社(以下「BBAM」という。)との間で,BBAMが本件各事業の運営に関し経営援助を行い,その報酬として本件航空機リース料の1パーセントに相当する金額を受け取ることを内容とする経営援助契約(以下「本件経営援助契約」という。)を締結している(乙全1,1の2)。なお,BBAMは,バブコップ・アンド・ブラウン社(以下「BB」という。)の100パーセント子会社である。 ク本件各航空機再販売委託契約(乙B13,13の1)本件各組合を委託者,BBAMを受託者とし,リース契約終了後の本件航空機を再販売及び処分する際の独占的代理店となること,これに対し,航空機の処分代金の3パーセント(又は2.5パーセント)の手数料(処分代金が想定売却価格を超える場合は,想定売却価格超過分の40パーセント(又は25パーセント)の手数料をさらに加算する。)を支払うことを内容とする本件各航空機再販売委託契約(以下「本件各航空機再販売契約」という。)が,別表20の「航空機再販売契約(契約⑬)」欄記載のとおり,航空機売買契約と同日付け又はその後数日内に締結されている。 ケ事務委任契約(乙B4)本件各業務執行会社(のいくつか)を委任者,本件各金融機関を受任者として,本件各組合の業務執行者としての事務の一部を本件各金融機関に対して委託する旨の事務委任契約(以下「本件各事務委任契約」という。)が,別表20の「事務委任契約(契約④)」欄記載のとおり,締結されている。 コ航空機リース事業の「ご案内 一部を本件各金融機関に対して委託する旨の事務委任契約(以下「本件各事務委任契約」という。)が,別表20の「事務委任契約(契約④)」欄記載のとおり,締結されている。 コ航空機リース事業の「ご案内」(乙AないしFの各2)NBB作成に係るご案内は,「1初めに,2航空機賃貸事業の仕組み,3税務上の取り扱い,4組合員の死亡・破産の際の取り決め,5航空機賃貸事業の実例,6試算表および投資のリスク,7終わりに」の7章からなり,投資効果試算表が添付された文書であるところ,その概要は,以下のとおりである。 1 初めに(1頁)「このたびは,投資家ご本人(以下,文中では,「個人投資家」,あるいは,賃貸人となる任意組合の「個人組合員」とさせていただきます)による航空機賃貸事業への投資およびそれに伴うタックス・プラニングの考え方をご説明させていただきたく,本書をとりまとめましたので,ご一読下さるようお願い申し上げます。 航空機賃貸事業……では,投資家が航空機を購入した上,航空会社へ貸し付けます。航空機の貸付から生じる所得は不動産所得に分類され,課税上他の所得と合算されます。 (NBB)は,航空機の仕入れ・組成から事業終了時の売却までの一貫したサービス機能を有する会社として,航空機賃貸事業への投資機会を提供させていただきますので,よろしくご検討の程お願い申しあげます。」 2 本件各事業の仕組み(2,3頁)以下に関する説明が記載されている。 (1) 民法上の組合を使用する仕組み① 個人投資家及びNBB関連会社を組合員とする日本の民法上の民法上の組合を組成すること② 民法上の組合は,金融機関から航空機の物件金額の約65ないし75パーセントを借り入れること,金融機関は,民法上の組合が所有する航空機及びリース料受取債権等に担保権を設定すること③ 個人組合員及び 民法上の組合は,金融機関から航空機の物件金額の約65ないし75パーセントを借り入れること,金融機関は,民法上の組合が所有する航空機及びリース料受取債権等に担保権を設定すること③ 個人組合員及びNBB関連会社は,航空機の物件金額の約25ないし35パーセント及び②の借入手数料を出資すること④ 民法上の組合は,借入金と出資金で航空機を購入すること⑤ 民法上の組合は,航空機を航空会社にリースすること⑥ 民法上の組合は,リース終了後返還された航空機を売却ないし再リースすること以上のほか,NBB関連会社が業務執行者になること(2) その他の仕組み航空機リース事業の仕組みとしては,民法上の組合を使用するほか,個人投資家が単独で所有する仕組みや複数の個人投資家が共有する仕組みが考えられるが,賃借人にとっては,リース期間中航空機の使用を妨げられないことが重要であり,個人組合員及びNBB関連会社が組合員となる民法上の組合が最良の仕組みであること 3 税務上の取り扱い(4ないし6頁)航空機のリースによる所得が,所得税法上,不動産所得に分類され,他の所得と合算されて所得税及び住民税が課税されること,この不動産所得の計算上,損失が生じた場合には,所得税法に従って他の所得と損益通算を行うことができること,また,航空機の取得の日以後5年を超えて譲渡された場合,その売却による所得が長期譲渡所得に分類される(譲渡所得の金額の2分の1が他の所得と合算される。)ことなどについての説明が記載されている。 4 組合員の死亡および破産の際の取り決め(7,8頁)民法上,組合員の死亡は民法上の組合からの強制脱退事由であり,組合員たる地位は相続されないが,本件各事業では,民法上の組合契約により,業務執行者の同意を条件に相続人が持分を引き継ぐことを規定する予定であること, の死亡は民法上の組合からの強制脱退事由であり,組合員たる地位は相続されないが,本件各事業では,民法上の組合契約により,業務執行者の同意を条件に相続人が持分を引き継ぐことを規定する予定であること,組合員としての地位を第三者に売却その他譲渡することは禁止されることなどについての説明が記載されている。 5 航空機賃貸事業の実例(9ないし16頁)3660万8000ドルの航空機を購入して約5年8か月間リースし,リース終了時において2575万ドルで売却する場合について,その出資金総額が1070万2735ドルであること,借入金総額が2616万7000ドル(物件金額の71.48パーセント)であること,ノン・リコースの借入金を予定しているが,ローン契約締結後に法令等の変更により銀行がローンを維持するために追加で負担するコストや,法令の変更により金利の支払いに源泉税が課されることになった場合の税金や販売活動期間中の金利については組合員の負担になること,月間リース料が35万7000ドルであること,マネージメントフィーが月間リース料の3パーセントであること,航空機が全壊した場合には機体保険が支払われ手数料等の負担があること,賃借人が倒産した場合のリスク,耐空性改善命令がなされた場合の負担,減価償却についてリース期間が残使用期間とみなされることなどの説明が記載され,さらに,これらは現時点で予想されるおおよその概要であり,最終条件は,賃借人や金融機関との交渉や金融情勢等によって決定されること,想定売却価格は,その価格で売却することを保証するものでないことが注記されている。 6 試算表および投資のリスク(17ないし23頁)上記の実例について100万ドルを出資した場合の不動産所得,譲渡所得及び現金分配の試算と,本件各事業以外からの年間課税所得が1億円ある場合に る。 6 試算表および投資のリスク(17ないし23頁)上記の実例について100万ドルを出資した場合の不動産所得,譲渡所得及び現金分配の試算と,本件各事業以外からの年間課税所得が1億円ある場合に本件各事業に100万ドルを出資したときの投資効果とリスクについての試算(減価償却につき定額法によった場合と定率法によった場合)が記載されている。 すなわち,投資を行う前の所得税及び住民税を合わせた7年間分の合計税額が4億0964万円であるのに対し,投資を行った場合のそれは3億6045万8000円であり,賃貸事業からの受取現金1億4182万5000円を加えると,税引後の受取現金は,前者が2億9036円であるのに対し,後者は4億8136万7000円であり,1億9100万7000円増額となるが,このうち出資金1億1400万円を控除した7700万7000円が本件各事業の投資効果であること(このほか,事業税軽減のメリットもある。)が説明され,他方,リスクとしては,リース終了時における売却金額の低下,為替リスク,航空会社の信用リスク,航空機墜落のリスク(ただし,航空会社によって機体保険が付保される。),税制の変更や税務当局による異なった見解によるリスクなどが説明されている。 7 終わりに(24頁)本件各事業への投資には,上記のようなリスクと利点があり,投資家自身で検討等をした上で決めることを求める内容が記載されている。 8 投資効果試算表(別表)リース期間満了時における飛行機の売却想定価格として,2950万ドル,2575万ドル,2250万ドル,1900万ドル,1550万ドル,1329万8130ドルの例を挙げて,予想される為替レートの変動による投資効果が試算された表が添付されている。 (2) ホーランド事業組合に係る契約内容契約内容は,他の組合に係る契約 550万ドル,1329万8130ドルの例を挙げて,予想される為替レートの変動による投資効果が試算された表が添付されている。 (2) ホーランド事業組合に係る契約内容契約内容は,他の組合に係る契約とほぼ同様であるが,以下の点が異なる。 アローン契約,抵当権設定契約及び譲渡担保契約について(ア) ホーランド事業組合については,同組合の組合契約(甲C1)締結日と同日付けで,さくら本店を貸主,ホーランド事業組合を借主,NBBを連帯保証人とするローン契約(金銭消費貸借契約。甲C2)が締結されているものの,他の組合の場合とは異なり,「金融機関の同意がない限り組合契約を変更しない旨」及び「業務執行会社は組合の業務が終了するまで業務執行者であり続ける」旨の規定は存しない。 また,上記ローン契約には,ノン・リコースに関する規定はないが,NBBは,さくら本店に対して「NBBホーランド1号がさくら本店に対して負担する一切の債務について,NBBホーランド1号と連帯して保証債務を負う」旨の保証書(乙C7)を差し入れた上,上記ローン契約において,「保証人は,債務者がこの約定によって貴行に対し負担するいっさいの債務について,債務者と連帯して保証債務を負(う)」旨約している。 (イ) ホーランド事業組合については,他の組合の場合とは異なり,さくら本店との間で,航空機を対象とする抵当権設定契約やリース料債権を対象とする譲渡担保契約は締結されていない。 その代わりに,組合契約締結日の翌日付けで,ホーランド事業組合を設定者,NBBを権利者とし,保証委託契約に基づいてNBBに対して負担する求償債務を被担保債務とし,担保の目的を航空機とする航空機保証抵当設定契約(乙C4の1・2)が締結されている。 「7.1 本件パートナーシップは,本件抵当権者との間において以下のとおり合意 負担する求償債務を被担保債務とし,担保の目的を航空機とする航空機保証抵当設定契約(乙C4の1・2)が締結されている。 「7.1 本件パートナーシップは,本件抵当権者との間において以下のとおり合意する。 (a) 本件パートナーシップは,いずれかの効力発生文書において明記され又は許可されているもの以外は,本件抵当目的物について,本件契約により設定される本件抵当権より優位又は同順位の抵当権やその他の担保権を設定し,与えてはならない。又,下記……の場合を除き,本件抵当権に劣後する抵当権やその他の担保権(略)を設定し,与えてはならない。 (略)14.2 本件パートナーシップは,本件抵当権者の事前の書面による同意なくして,本件契約に基づく自己の権利,利益及び義務を譲渡することはできない。(以下略)」イ保証委託契約,ローン保証契約及びリース保証契約(ア) ホーランド事業組合については,組合契約締結と同日に,同組合を委託者,NBBを受託者とし,さくら本店に対する同組合の借入金返済債務について保証を委託する保証委託契約(乙C6)が締結され,これに基づき,NBBは,前記のとおり,さくら本店に対して,借入金返済債務によって負担する一切の債務を連帯保証する旨の保証書を差し入れた上,前記ローン契約の中で同組合の負担する債務につき連帯保証する旨約している。 上記保証委託契約は,NBBによる代位弁済(2条),NBBによる代位弁済が行われた場合における求償権の範囲(3条),NBBによる事前求償権(4条)などを定めているところ,組合員に対する求償権について,次のとおり定めている。 「5条(求償権の制限)甲(NBB)は,主債務に関し,本契約第3条及び第4条に規定する求償債務の履行を乙(ホーランド事業組合)の組合員に対して求めることはできないものとする。但し り定めている。 「5条(求償権の制限)甲(NBB)は,主債務に関し,本契約第3条及び第4条に規定する求償債務の履行を乙(ホーランド事業組合)の組合員に対して求めることはできないものとする。但し,(1)原契約締結後の法令・規制の変更(略)に起因する丙(さくら本店)の追加コストを原契約上乙が補償する義務,(2)原契約締結後に法令の変更,組合員の住所移転その他の事情により金利の支払いに源泉税が課せられることとされた場合に,乙が丙に対し,源泉税額を上乗せして支払をなす義務,及び(3)期限の延長により延長期間中の金利が発生することとなったことに伴い,原契約上の乙の支払義務が増加した場合に,乙が丙に対して支払をなす義務については,この限りではない。」(イ) 上記保証委託契約11条は,同組合がNBBに対して保証料を支払う旨規定しているところ,航空会社であるエア・ホーランドの倒産に伴うリース契約の期限前解約に係る組合員に対する通知文書(乙C9)において,ホーランド事業組合の業務執行者であるNBBハーグ及びNBBは,航空機売却代金の清算について,以下の優先順位で返済に充当する旨表明している。 ① 最終元利金返済② 整備費用の不足額に関するNBBらから組合への貸付の返済③ 借入金継続に関する銀行への手数料の支払④ リース期間中の組合の管理費用の実費⑤ NBBが立て替える2000年2月末及び3月末の元利金返済額をNBBへ返済⑥ NBBが立て替える元利金返済額の不足額のNBBへの支払⑦ 「売却価格-①-②-③-④-⑤-⑥」を出資者へ分配⑧ 売却価格が「当初想定売却価格+②+③+④+⑤+⑥」を超える場合,リース期間中のマネージメント・フィーから上記④の実費を控除した金額を業務執行者に支払⑨ NBBへの保証料の支払⑩ 更に余剰部分がある場合,出 当初想定売却価格+②+③+④+⑤+⑥」を超える場合,リース期間中のマネージメント・フィーから上記④の実費を控除した金額を業務執行者に支払⑨ NBBへの保証料の支払⑩ 更に余剰部分がある場合,出資者に分配する。 ウ事務委任契約他の組合の場合とは異なり,ホーランド事業組合の業務執行会社であるNBBハーグが,さくら本店との間で,同組合の業務執行者としての事務の一部をさくら本店に対して委託する旨の事務委任契約を締結した事実はない。 (3) 本件各事業の概要及び当事者の目的(甲全11の1・2,12の1ないし13,13,14の1ないし17,15,16の1ないし15,乙全3ないし9,B1,C9,イ1,ロ2,ハないしヘの各1,ニの2)ア航空機は,小型のものを除き,1機が十数億円から数十億円することから,長期間にわたって保有し続けるには,莫大な資金を要する上,市場価格の下落というリスクを避けるため,航空会社は,かなりの運航をリース機でまかなっている。航空会社に航空機をリースすることを業とするリース会社としても,航空機を所有するために莫大な資金を要することは同様である。 そのため,各国において,共同出資によって航空機を買い付け,航空会社にリースする事業が行われてきたが,特にアメリカにおいて,税制上の優遇措置を利用できる組合を結成し,これが主体となって航空機リース事業を展開するレバレッジド・リースが増加してきた。 イ本件各事業は,原告らが,それぞれ,NBBの100パーセント子会社及びそれ以外の多数の者とともに,本件各組合を成立させ,それぞれの出資金と本件各金融機関からのローン借入金を元に,本件各航空機購入元から本件各航空機1機を購入し,これを本件各航空会社にリースして,同社から得るリース料収入を上記ローン借入金の元本・利子の返済に充てるとともに, 各金融機関からのローン借入金を元に,本件各航空機購入元から本件各航空機1機を購入し,これを本件各航空会社にリースして,同社から得るリース料収入を上記ローン借入金の元本・利子の返済に充てるとともに,残余を本件各組合員に分配し,リース期間終了後の本件各航空機売却時には,航空機売却代金をもってローン借入金残額の返済に充て,なお余剰が生じた場合には,本件各組合員に分配することが予定されている。 この経済的側面を,原告ら一般組合員と業務執行組合員であるNBBの子会社(本件各業務執行会社)とに分けて検討するに,まず,一般組合員は,本件各航空機を本件各航空会社に高率でリースすることによって,報酬・管理料を控除した後も1年間で出資額の1割を超えるリース料分配金を受け取り,リース期間終了後も高額に本件各航空機を売却することができた場合には,これによって利益を得る(キャッシュ・フロー・ベース)ことが期待できるとともに,リース期間において8年(主として金属製にして最大離陸重量が130トン以下で5.7トンを超える狭胴機)ないし10年間(同じく最大離陸重量が130トンを超える広胴機)の法定耐用年数(中古航空機の場合はリース期間に対応した見積り耐用年数)に基づく減価償却費等の費用を他の課税所得と損益通算することによって,仮にリース期間終了後の売却の際に損失が生じた場合でも,それが大きなものでない限り損失を被らないのが通例である(実質利益ベース)と見込まれている。 そして,本件各業務執行会社は,単独で航空機購入資金を借り入れた場合には,高額の利息を負担しなければならないが,一般組合員を募ってこれらと共に民法上の組合を結成し,これを主体としてリース事業を展開すれば,資金調達コストを大幅に削減することができ,また航空機を低額でしか売却できない場合のリスクを組合員全体 ,一般組合員を募ってこれらと共に民法上の組合を結成し,これを主体としてリース事業を展開すれば,資金調達コストを大幅に削減することができ,また航空機を低額でしか売却できない場合のリスクを組合員全体に分散させることができる上,上記の一般組合員と同様の利益のほかに,業務執行の事務を受任することによる報酬・管理料を得ることが可能となる。 ウ上記のように,仮にキャッシュ・フロー・ベースで損失が生じても,多くの場合,実質利益ベースでは損失とならない原因は,航空機の法定耐用年数(すなわち税法上の減価償却期間)が経済的耐用年数よりかなり短期であるため,多額の減価償却費を計上でき(所得税法2条1項19号,37条1項,49条,同法施行令6条5号,120条1項2号,129条,減価償却資産の耐用年数等に関する省令1条1項1号,同別表第1),かつ民法上の組合方式による航空機リース事業であれば,これによる所得は不動産所得とされて(所得税基本通達36・37共-19,同-20),各組合員は他の所得と損益相殺することができ(所得税法69条1項),その結果,リース期間中は相当額の節税効果を生ずること,最終的な売却価額がその時点における帳簿価格を超える場合には,その差額は譲渡所得として課税の対象となるが,長期譲渡所得の要件(取得の日以後5年を経過して譲渡された場合。所得税法33条3項)を満たせば,課税標準の計算において優遇される(同法22条2項2号)ことに求められる。 すなわち,本件各航空機のような小型でない航空機は,一般的に,メンテナンスが確実になされ,部品の交換も頻繁になされるため,長い場合で50年程度使用できるものもあるが,平均すると25年から30年程度使用することができ(もっとも,旅客機として使用できる期間はそれよりは短く,それ以後は貨物機として使用されるこ されるため,長い場合で50年程度使用できるものもあるが,平均すると25年から30年程度使用することができ(もっとも,旅客機として使用できる期間はそれよりは短く,それ以後は貨物機として使用されることがあり,また,先進国においては騒音規制が厳しいため,それ以前に使用できなくなる場合もある。),法定耐用年数よりかなり長期である。 エ本件各事業の仕組みとしては,民法上の組合を成立させる場合以外にも,個人投資家が単独で航空機を所有する仕組みや,複数の個人投資家が航空機を共有する仕組みが考えられるが,航空会社にとっては,リース期間中航空機の安定的使用の確保が重要であるところ,このような仕組みでは航空機を購入するための借入金の返済が確実に行われるかが不確実であり,仮に返済が滞った場合には,担保に供されている当該航空機に対する担保権実行等によって,運航に支障を生ずる事態が予想されるため,航空会社がリースに応じない可能性が高い。そのため,本件では,NBBが,原則として,本件各組合に融資した本件各金融機関に対して本件各ローン契約に基づく債務を連帯保証し,かつ本件各航空会社との間でリース契約に基づく債務を保証した上,本件各組合の業務執行は,NBBの子会社である本件各業務執行会社が独占的に行う仕組みを採用している。 なお,NBBは,昭和61年に,野村證券株式会社及びBBによって設立された資本金10億円の株式会社であり,工作機械等の機械,各種機器,自動車,航空機,映画,不動産,知的財産権のリース,賃貸借及び売買,金融業務,投資業務等をその目的としている。そして,本件各業務執行会社は,NBBから資本金300万円の100パーセントの出資を得て設立された有限会社であり,その取締役2名はいずれもNBBの取締役が兼任し,その本店所在地は,NBBの本店所在地と同一で 件各業務執行会社は,NBBから資本金300万円の100パーセントの出資を得て設立された有限会社であり,その取締役2名はいずれもNBBの取締役が兼任し,その本店所在地は,NBBの本店所在地と同一である。 他方,BBAMは,BBの100パーセント子会社であり,本件各航空機の販売に関し,本件各組合との間で,本件各航空機再販売契約が締結され,BBAMが,本件各航空機を市場に販売する際の唯一の代理店となり,また,NBBとの間で本件各経営援助契約を締結して,NBBの事業運営に関し経営援助を行い,その報酬として本件航空機のリース料の1パーセントに相当する金額を受け取ることが合意されている。 オ本件各事業は,まずNBBがBBやBBAMからの情報を得て企画し,他方,主にBBが交渉を担当して本件各契約の大枠について合意が得られ,リース契約の内容が決められてから,上記のように出資者の勧誘,募集が行われ,作成された本件各組合契約に組合員となることを決意した出資者らの署名を得て,実行に移されるという手順をたどっている。 原告らは,その多くはNBBや野村證券株式会社の顧客担当者等から紹介を受け,NBBの名古屋事務所の職員によって,ご案内と航空機マーケット等の資料を示され,事業内容や事業が不動産賃貸と比べてリース料が高いことや税制面でのメリット及びリスクの説明を受け,これに参加することを決意して,それぞれの本件各組合契約書に持ち回りで署名押印している。 なお,原告らは,本件各組合契約締結前は,航空機リース事業の経験はないが,不動産賃貸業や投資についての関心を有していた。また,原告らは,本件各組合契約書とご案内以外には,本件各リース契約の英文の契約書の写しを受け取っている者もあるが,その都度,全文を和訳したものは作成されていない。 カヒースロー事業組合において た,原告らは,本件各組合契約書とご案内以外には,本件各リース契約の英文の契約書の写しを受け取っている者もあるが,その都度,全文を和訳したものは作成されていない。 カヒースロー事業組合において,金融機関に本件航空機を代物弁済する際に一般組合員の同意を得,ロイヤル事業組合において,賃貸先を選定しリース条件を変更する際に一般組合員の同意を得ているが,いずれも本件各更正処分等の後になされている。また,ホーランド事業組合において,リース契約を期限前に解約して別の会社に航空機を再リースした際は,一般組合員に対して経過報告をするにとどめ,不服のある一般組合員に対しては,出資持分の買取りに応じたにとどまっている。 (4) 本件各事業における金銭の流れ等ア出資原告らは,本件各組合契約に基づき,各自の出資額を,本件各組合の口座に振り込んでいる(甲全7,8の各1及び2,10)。 イ融資及び本件各航空機の売買代金の支払本件各金融機関は,NBBの担当者との間で,本件各航空機が,リース先の国において,正規に登録されているかどうかを確認し,その航空機の価値を評価し,リース料が確実に支払われるかについて検討した上,本件各ローン契約を締結し,あらかじめ指示された本件各航空機購入元の口座に送金した。本件各組合としては,この送金をもって本件各航空機の売買代金一部の支払としている(甲全9,10,B2の1・2,乙全6)。 残金については,本件各組合の口座から,本件各航空機購入元の口座に直接送金されている(甲全8,10)。 ウリース料の支払と借入金の返済本件各航空会社は,本件各リース契約に基づき,本件各組合の口座に,毎月リース料を送金している(甲全10)。 その後,本件各組合の口座から,本件ローン(消費貸借)契約によって定められた返済計画書のとおり,毎月,本件各 ,本件各リース契約に基づき,本件各組合の口座に,毎月リース料を送金している(甲全10)。 その後,本件各組合の口座から,本件ローン(消費貸借)契約によって定められた返済計画書のとおり,毎月,本件各金融機関の口座に返済金が振り込んで支払われている(甲全10,B2の1・2)。 3 争点(1)イ(本件各事業の内容と経済的合理性)について(1) 被告らの主張の位置づけ被告らは,本件各組合が民法上の組合という体裁を採ることにより,関係当事者の全てが大きな利益を上げているが,これは,本来,一般組合員が国に納めるべき税金を分け合うことによってもたらされたものであること,すなわち,本件各事業は,キャッシュ・フロー・ベースでは利益を上げることができず,民法上の組合の外形を作出することによって,巨額の減価償却費等を創出し,他の所得との損益相殺を行うことによって得られる課税上の利益によって初めて成立するものである旨主張する。 上記の経済的(不)合理性に関する主張の法律的な意味は必ずしも明確とはいえないが,要するに,本件各組合契約は,租税回避の目的でなされた異常な契約類型であり,隠された当事者の合意内容ないし真意を探求すれば,民法上の組合契約としては不成立ないし無効(民法93条ただし書ないし94条1項)であって,その実体は利益配当契約と認めるべきものであるとの主張と理解できるから,民法上の組合契約としての本件各組合契約の不成立ないし無効を基礎付ける間接事実の主張に位置づけるのが相当である。 そこで,争点(1)ウないしカを判断する前提として,①本件各事業は,キャッシュ・フロー・ベースでは,利益を上げることが困難であり,課税上の利益を考慮することによって初めて成立する経済的合理性を欠くものであるか,②本件各事業を行うに当たり,民法上の組合契約という法形式は,通常 ・フロー・ベースでは,利益を上げることが困難であり,課税上の利益を考慮することによって初めて成立する経済的合理性を欠くものであるか,②本件各事業を行うに当たり,民法上の組合契約という法形式は,通常は用いられない契約類型であるかについて検討を加えることとする。 (2) 本件各事業の経済的合理性(①)についてア前記認定事実(2(1)コ)のとおり,「ご案内」(乙AないしFの各2)の最終頁には,リース期間満了時における飛行機の売却想定価格として,2950万ドル,2575万ドル,2250万ドル,1900万ドル,1550万ドル,1329万8130ドルの例を挙げて,予想される為替レートの変動による投資効果が試算された表が添付されているところ,これによれば,リース期間満了時における為替相場が1ドル114円であることを前提にすると,売却額が2250万ドルの場合には損益通算を考慮しなければ出資額の約5パーセントの損失が生じること,2575万ドルの場合には同じく約24.4パーセントの利益が生じること,さらに,1550万ドルの場合には同じく約68.5パーセントの損失が生ずるが,その場合でも,出資者に本件各事業以外の年間課税所得が1億円あれば,損益相殺により4.8パーセントの経済的利益を得られることが示されている。 もっとも,この試算結果は,リース期間終了時における航空機の市場,為替相場,本件各組合契約以後の出資者の課税所得の多寡によって,大きく影響を受けるものであり,一般論としては,損益通算の対象となる他の課税所得が多ければ,出資者に損失が生じる可能性は低くなるが,条件次第では,キャッシュ・フロー・ベースでも高額の利益を得ることが可能であることを示している。実際にも,証拠(甲全6,39)によれば,1997年1月以降キャッシュ・フロー・ベースで出資金額を上回 条件次第では,キャッシュ・フロー・ベースでも高額の利益を得ることが可能であることを示している。実際にも,証拠(甲全6,39)によれば,1997年1月以降キャッシュ・フロー・ベースで出資金額を上回った案件20件の回収率は,100.13パーセントから181.17パーセントまで幅があったことが認められる。 そうすると,本件各事業においては,キャッシュ・フロー・ベースでは,損失が生じる可能性が相当ある一方,高額の利益を得る可能性もあるから,それ自体でも,投資としての経済的合理性が存在することを否定できず,被告らの主張するように他の課税所得との損益通算を考慮して初めて成立するものと断定することはできない(なお,被告らは,実際には当初出資額を上回らなかった投資案件が,上回った件数よりも多く存在する旨主張するが,それを裏付ける証拠はない上,仮に,被告らの主張のとおりであるとしても,それだけでは上記判断を覆すには足りない。)。 イこの点に関し,被告らは,事業を行うに当たり,他の所得の存在による課税額の減少効果を織り込むことが当該事業の経済的合理性を損なうかのごとく主張する。 しかしながら,まず,減価償却の点については,そもそも,本件各航空機のような航空機は,航空会社にリース・賃貸され,継続的に使用されることによって,その資産価値が次第に減少していく性質を有しているから,その所有者としては,将来の転売の際に現実化する損失を見込んで,所有する期間に対応した各年度に費用としての減価償却を行う必要があることは会計理論に照らしても疑いを容れない。実際にも,本件各航空機は,1機十数億円から数十億円という高額の代金で購入されているところ,その市場価格は,世界情勢などの要因によって大きく影響を受け,想定価格以上の価格で売却できるか否かは不透明であることから,航 空機は,1機十数億円から数十億円という高額の代金で購入されているところ,その市場価格は,世界情勢などの要因によって大きく影響を受け,想定価格以上の価格で売却できるか否かは不透明であることから,航空機の所有者が減価償却費を経費として計上し,それによる税額の減少を見込むことが許されないのであれば,世界における航空機の主要な供給源の一つであるリース事業を展開することは著しく困難になることが容易に予想される。 もっとも,前記のとおり,航空機については,我が国における法定耐用年数が経済的なそれと比較してかなり短期間に定められているため,各年度の償却金額が経済的な資産価値の減少を上回ることが常態となっているが,その差額は,所有者に確定的に帰属するものではなく,最終的な処分時において譲渡所得という形で清算され得ることが明らかである(長期譲渡所得の要件を満たした場合に,総所得金額の計算上優遇されるのは,このような場合には累進課税の適用を緩和するのが相当と考えられたことによる。)。 また,他の所得との損益通算の点について,所得税法69条は,ある所得(資産性所得に属する不動産所得,山林所得及び譲渡所得並びに資産勤労結合所得の性質を有する事業所得)の金額の計算上生じた損失を,他の所得の金額から控除する旨定めているところ,これは,所得の性質上不相当と考えられるもの(雑所得)を除き,総合所得税の建前を具体化したものと考えられ,税制の在り方として何ら不当なものとはいえない。 そうすると,合理的経済人が,減価償却費と損益通算による所得の減少を考慮して,事業計画を策定することは,ごく自然なことと考えられる上,上記のとおり,いったんは課税の対象から外れた経済的利益も,最終的には課税の対象となるものであり,ただ,現実の納税額の総額が減少するのは,前記の所得税法が採って とは,ごく自然なことと考えられる上,上記のとおり,いったんは課税の対象から外れた経済的利益も,最終的には課税の対象となるものであり,ただ,現実の納税額の総額が減少するのは,前記の所得税法が採っている累進課税制度,長期譲渡所得の優遇措置などを適用した結果にすぎないというべきである。したがって,本件各事業が経済的合理性を欠く旨の被告らの主張は,採用できない。 (3) 法形式の異常性(②)についてア前記のとおり,原告ら一般組合員が本件各事業に参加した主目的は,リース料や本件各航空機の売却益を持分に応じて取得し,さらに,本件各航空機の減価償却費等の費用を損益通算することによる利益を得ることにあると推認することができるところ,課税上の利益の点を除けば,同様の効果は,原告らが本件各業務執行会社(ないしNBB)に出資し,同社が航空機リース事業を展開して,これによって得られた利益を出資の割合に応じて配当する旨の利益配当契約によって達成することが可能と考えられる。 また,法形式だけに着目するのであれば,利益配当契約を採用した場合,本件各金融機関との間のローン契約,抵当権設定契約,本件各航空機購入元との間の本件購入契約,本件各航空会社との間のリース契約などは,本件各業務執行会社(ないしNBB)の単独名義で締結することができ,本件各航空機の売却も同社が自由に行うことができ,出資者も,同社に対する債権者としての地位を有するのみであるから,仮に事業によって出資額を超える損失を被ったとしても,それは同社が負担すべきものであって,出資者の追加責任が問題となる余地はないから,契約形式,契約条項は,本件の場合と比較して,簡明になることは確実である。そうすると,民法上の組合契約の法形式は,利益配当契約と比較して,やや迂遠ないし複雑であるとの印象を受けることは否定で から,契約形式,契約条項は,本件の場合と比較して,簡明になることは確実である。そうすると,民法上の組合契約の法形式は,利益配当契約と比較して,やや迂遠ないし複雑であるとの印象を受けることは否定できない。 イしかしながら,前記のとおり,一定の経済的目的を達成する上で,複数の法形式が考えられる場合に,税制上のメリットを考慮してその選択を行うこと自体は,何ら異常,不当なことではないというべきである。 加えて,単なる利益配当契約にあっては,その内容にもよるが,一般には出資者に対する事業者の善管注意義務を肯認することは困難であるから,事業者の判断に軽率な点があったとしても,出資者は,これによって生じた損失について,事業者の責任を問うことはできず,まして,本件各組合契約のように,重要事項の決定に出資者の意見を反映させる手続を設けることは,通常は考えられないというべきである。そうすると,民法上の組合契約の形式を採ることによって,単なる利益配当契約よりも出資者の利益に配慮することが可能となり,事業者側としても,出資者を募ることが容易となることが考えられるから,このような効果上の相違点に鑑みれば,多少の迂遠さ,複雑さを考慮したとしても,民法上の組合契約が,通常は用いられることのない法形式であるということはできない。 (4) 小括そうすると,本件各事業が経済的合理性を欠き,これを達成する上で,民法上の組合契約の法形式は通常は用いられないものであるとは到底いえない(むしろ,通常の合理的経済人にとっては合理性を有するといえる。)から,本件各契約の内容を検討するに当たっては,使用された文言に則した文理解釈を中心として行うのが相当である。 4 争点(1)ウ(本件各組合契約の法的性質)について(1) 民法上の組合契約の成立要件について民法667条1項は,「組 当たっては,使用された文言に則した文理解釈を中心として行うのが相当である。 4 争点(1)ウ(本件各組合契約の法的性質)について(1) 民法上の組合契約の成立要件について民法667条1項は,「組合契約ハ各当事者カ出資ヲ為シテ共同ノ事業ヲ営ムコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス」と定め,組合契約が有効に成立するためには,①2人以上の当事者の存在,②各当事者が出資をすることを合意したこと,③各当事者が共同の事業を営むことについて合意したことの各要件が必要であることを明らかにしている。このうち,本件各組合が①と②の要件を満たしていることは,前記認定事実(2(1)ア,(2)及び(4)ア)のとおり,原告らを含む本件各組合員らが,共同で出資することを約し,現にその出資をしていることから明らかである。 ところで,③の合意が認められるためには,a共同で営む事業の内容(組合の目的)についての合意と,bその事業を共同で営むことについての合意とを要するところ,aの事業内容の合意については,前記認定事実(2(1)ア)のとおり,本件各組合契約2条によってその存在を認めることができるが,b「事業を共同で営む」というためには,まず,(ⅰ)各当事者が当該組合の事業の遂行に関与し得る権利をもつことが必要というべきであるから,同法673条に基づいて組合の業務や財産状況を検査する権利と,業務執行を1人又は数人の組合員に委任したときに,正当の事由がある場合には同法672条1項に基づいて業務執行組合員を解任する権利を有している必要があると解されるし,次に,(ⅱ)各当事者が事業の成功に何らかの利害関係を有することが必要であるから,例えば,営利事業を目的とする団体が,これによる利益を特定の者だけで配分し,他の者が全くこれに関与しない場合(いわゆる獅子組合)は,共同事業性が否定される らかの利害関係を有することが必要であるから,例えば,営利事業を目的とする団体が,これによる利益を特定の者だけで配分し,他の者が全くこれに関与しない場合(いわゆる獅子組合)は,共同事業性が否定されるから,民法上の組合としての性格を有しないといわざるを得ない(これに反し,内部的に出資額以上の損失を負担しない当事者がいたとしても,共同事業性に反するものとはいえない。)。 したがって,本件各組合契約が民法上の組合契約の性質を有するかは,原告らを含む一般組合員らが上記の検査権及び解任権を有するか否か並びに事業の成功に利害関係を有するか否かにかかるというべきところ,被告らは共同事業性を否定しているので,次項以下において,この点を判断する。 (2) 検査権についてア民法673条は,「各組合員ハ組合ノ業務ヲ執行スル権利ヲ有セサルトキト雖モ其業務及ヒ組合財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得」と定める。これは,組合契約によって業務執行組合員を定めたときは,各組合員は具体的な業務執行に関与することができないものの,組合の事業は各組合員全体の事業であるとの性質を失うものではなく,またその事業の成否は各組合員の利害に影響するところが大であることから,業務執行組合員による業務執行を監督するために,少なくとも,検査権を有する必要があると考えられたことによる。 したがって,民法上の組合である以上は,この権利は特約をもっても剥奪することはできないというべきである。もっとも,このことは,かかる特約が無効であることを意味するものではなく(一般に債権に関する規定は任意法規と解される以上,検査権を排除する特約がなされたとしても,それ自体の効力を否定できない。),かかる特約によって共同事業を営むという本質が失われるから,もはやその契約は民法上の組合契約としての性格を喪失すると解するこ 検査権を排除する特約がなされたとしても,それ自体の効力を否定できない。),かかる特約によって共同事業を営むという本質が失われるから,もはやその契約は民法上の組合契約としての性格を喪失すると解することになる。 しかるところ,前記のとおり,本件各組合契約においては,その標題及び前文において,「任意組合契約書」,「民法上の組合を成立」とか「本任意組合契約を締結する。」との用語が使用されており,少なくとも外形上は民法上の組合契約であることをうかがわせるところ,全文を精査しても,業務執行に携わらない一般組合員の検査権を排除した条項は見当たらない。そうすると,契約において特段の合意がなされていない以上,その部分は民法の規定によって規律されることは当然であるから,同法673条によって本件各組合の一般組合員が前記の検査権を有することは明らかというべきである。 イこの点について,被告らは,①本件各組合契約は,12条1項において,検査権よりもいわば程度の弱い権利である報告請求権に関する明文の規定を設けていること,②同8条1項において,一般組合員が業務についての権限を有しない旨定めていることを根拠に,本件各組合にあっては,検査権を一般組合員に対して保障せず,これを排除する趣旨である旨主張する。 そこで,まず①について検討するに,前記認定事実のとおり,本件各組合契約12条1項は,「各組合員は,合理的な理由を記載した書面により,業務執行者に対して組合の運営及び組合財産の状況について報告を求めることができ,業務執行者は速やかにこれに応じるものとする。但し,これに要する費用は当該組合員の負担とする。」と定めている。これは,民法671条によって準用される同法645条が定める受任者の報告義務(委任者の請求があるときに委任事務処理状況の経過・てん末を報告する義務)とそ 費用は当該組合員の負担とする。」と定めている。これは,民法671条によって準用される同法645条が定める受任者の報告義務(委任者の請求があるときに委任事務処理状況の経過・てん末を報告する義務)とその内容が基本的に同じであることに照らすと,それを各組合員の権利として明示するとともに,その方法を具体的に示したものと解される。これに対し,検査権は,組合の本質的な性格に基づき,各組合員が,自ら組合に赴き,帳簿その他書類を検閲し,財産の有無を調査することができる能動的な権限であって,事務処理の委託を受けた業務執行組合員から報告を受けるという受動的な権利にとどまるものではないから,その法的根拠と性質を異にするものと解される。したがって,報告請求権をもって検査権よりも「いわば程度の弱い権利」と位置づけることは,両者を同質のものとみているとしか考えられないから,被告らの上記主張は,既にその前提において誤っているといわざるを得ない。まして「程度の弱い」権利が明文で定められているからといって,直ちに強い権利の存在を否定する理由になるものではない。 次に②について検討するに,本件各組合契約8条1項は,「業務執行者以外の組合員は本契約に定めるもののほか,何ら業務についての権限を有しない。」と定めているところ,一般に,民法上の組合における「業務執行」の範囲にどのようなものが含まれるかについては,組合の目的や結合形態に応じて定まるもので,一律に確定することはできないが,民法673条が「各組合員ハ組合ノ業務ヲ執行スル権利ヲ有セサルトキト雖モ其業務及ヒ組合財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得」と定め,業務執行と検査を区別していることや,業務の執行を委任した場合にこそ業務執行を監督するために検査権が必要になることに照らせば,少なくとも,業務執行を一部の者に委任する旨の組合契 スルコトヲ得」と定め,業務執行と検査を区別していることや,業務の執行を委任した場合にこそ業務執行を監督するために検査権が必要になることに照らせば,少なくとも,業務執行を一部の者に委任する旨の組合契約が締結された場合の「業務」には,検査権の行使を含まないと解するほかない。そうすると,組合契約によって,一般組合員は原則として業務についての権限を有しない旨定めたとしても,それをもって検査権の存在を否定する趣旨であると解することはできない。 ウしたがって,本件各組合契約においては,一般組合員による検査権が排除されているとの被告らの前記主張は採用の余地がないから,原告ら一般組合員は,前記検査権を保有していると認めるのが相当である。 (3) 解任権についてア民法672条1項は,「組合契約ヲ以テ1人又ハ数人ノ組合員ニ業務ノ執行ヲ委任シタトキハ其組合員ハ正当ノ事由アルニ非サレハ辞任ヲ為スコトヲ得ス又解任セラルルコトナシ」と,同条2項は,「正当ノ事由ニ因リテ解任ヲ為スニハ他ノ組合員ノ一致アルコトヲ要ス」とそれぞれ定めている。これは,組合契約によって業務執行を一部の組合員に委任したときは,業務執行組合員と一般組合員との関係は委任類似の関係に立つので,基本的には委任に関する規定を準用しつつ(民法671条),組合の共同事業遂行のために業務執行が任せられた以上,みだりにその辞任や解任を認めると,その地位が不安定となってかえって事業の達成の支障となることが予想されるので,民法651条については準用せず,その特則として辞任及び解任の自由を制限するとともに,他方で,どのような事由が生じても一般組合員が業務執行組合員を解任することができないとすれば,業務執行組合員の専横を抑止することができず,業務執行に対する監督権が無に帰する事態も想定されることから,両者の要 のような事由が生じても一般組合員が業務執行組合員を解任することができないとすれば,業務執行組合員の専横を抑止することができず,業務執行に対する監督権が無に帰する事態も想定されることから,両者の要請を調整し,正当な事由の存在と他の組合員の一致という厳格な制限を設けた上で,一般組合員に解任権を保障することにしたものと解される。 しかして,本件各組合契約は,本件各業務執行会社に業務執行を委ねている(8条)ところ,これは,航空機リース事業に通じた本件各業務執行会社に業務を委ね,その機動的な執行を可能とすることによって目的を達成しようとするものと解されるが,全文を精査しても,一般組合員が本件各業務執行会社を解任する権利を排除する旨を定めた条項は見当たらない。そうすると,検査権と同様,本件各組合の一般組合員が,民法672条2項に定める業務執行組合員の解任権を有していることは明らかというべきである。 イこの点についても,被告らは,①本件各組合契約8条1項においては,業務執行会社が「唯一」の業務執行者であり,他の一般組合員は「何ら業務についての権限を有しない」とされ(8条1項),本件各業務執行会社以外の業務執行者を選任する手続が規定されていないこと,②これらの条項を変更するためには,「組合員全員の書面による合意」が必要とされていること(26条),③本件各業務執行会社の辞任については条項が置かれているのに,解任について触れた条項は存在しないこと,④本件各ローン契約中に,組合の義務の履行が終了するまで,本件各業務執行会社が業務執行者であり続ける旨定められていることなどを根拠に,解任権が一般組合員に付与されていない旨主張した上,さらに,⑤本件各事業は,本件各業務執行会社が業務執行者の地位にあることによって初めて成立するスキームであって,一般組合員が業務 ことなどを根拠に,解任権が一般組合員に付与されていない旨主張した上,さらに,⑤本件各事業は,本件各業務執行会社が業務執行者の地位にあることによって初めて成立するスキームであって,一般組合員が業務執行者の地位に就いた場合には,同事業は到底機能しないから,仮に本件各組合契約が法的には解任権を否定していないとしても,何人も本件各業務執行会社の解任を想定していないので,法的に付与されていない場合と同視すべきである旨主張する。 そこで,まず①について検討するに,上記契約条項にいう「唯一」の用語は,一般に,1人の業務執行者を選定する場合に用いられる文言であって,『ただ一人』という意味で使用されるのが通例であり,決して本件各組合の存続期間中,本件各業務執行会社の業務執行者としての地位が確固不動のものであることを意味するものではない。このことは,本件各組合契約が,例外的ではあれ本件各業務執行会社の辞任について定めていること(8条3項),同じく本件各業務執行会社の組合脱退について定めていること(16条2項1号),本件各業務執行会社の除名について定めていること(19条前段),さらに,不動産特定共同事業の標準的約款(案)は,民法上の組合の性質を有する不動産特定共同事業に関するものであるが,その2条1項が「組合員は,不動産特定共同事業者である〇〇を組合の唯一の業務執行組合員(理事長)として選任し,本組合の事業に必要な業務の執行を委任する。」と定めつつ,同条2項(2)が,「理事長が,…等正当の事由がある場合に,理事長を除く本組合員全員の一致によって解任され」ることを定めていること(甲全19,20)などからも明らかである。したがって,本件各組合契約8条1項の条項が,解任権を排除する趣旨のものであると解することはできない。 次に,②について検討するに,複数の当事 定めていること(甲全19,20)などからも明らかである。したがって,本件各組合契約8条1項の条項が,解任権を排除する趣旨のものであると解することはできない。 次に,②について検討するに,複数の当事者によって締結された契約の内容を変更するためには,これによって利害関係を有するに至った契約当事者全員の変更合意が必要となることは,契約の一般理論として当然であり,本件各組合契約26条は,このことを確認したものにすぎないと解されるから,これをもって,一般組合員の解任権を否定する根拠とすることはできない。 また,③については,民法672条1項が辞任の要件として,「正当ノ事由」を定めているのに対し,本件各組合契約8条3項は,これに加えて「業務執行者以外の組合員全員の書面による同意」をも要求している点で特約としての意味があり,したがって,辞任についての条項を特に設ける必要があったと考えられるから,解任についての条項がないからといって,解任権を否定する趣旨と解することはできない。 さらに,④について検討するに,確かに,本件各組合は,その目的(本件各組合契約2条)に照らせば,金融機関から借入れすること,すなわち本件各ローン契約を締結することを予定していたと認められるところ,本件各ローン契約5.5によれば,本件各業務執行会社は,本件各金融機関に対し,同契約に基づく債務が弁済されるなどの時期までは,本件各組合の業務執行者の地位にとどまることを誓約しており,同7条によれば,その誓約に反した場合であって,かつその不履行が本件各金融機関の権利等を著しく損ない,しかも,30日以内に是正されない場合には,期限の利益が失われることを定めている。しかしながら,一般組合員によって本件各業務執行会社が解任されたとしても,代わって選任された業務執行組合員ないしこれが選任されない 日以内に是正されない場合には,期限の利益が失われることを定めている。しかしながら,一般組合員によって本件各業務執行会社が解任されたとしても,代わって選任された業務執行組合員ないしこれが選任されない場合は組合員全員による業務執行が本件各金融機関の権利等を著しく害しない限りは,期限の利益を喪失する事態に至らないのであるから,上記の条項が本件各組合における業務執行者の解任権を否定する趣旨のものとは解されないこと,そもそも本件各ローン契約は,本件各業務執行会社が本件各組合の業務執行として金融機関との間で締結した契約であって,本件各組合契約とは別個の契約であるから,上記の条項から本件各組合契約の趣旨を解釈することは相当でないこと,上記の条項は,金融取引の際に合意される一般的な条項であって,要するに,本件各金融機関が本件各組合への貸付けを行う背景には,本件各業務執行会社(及びその親会社であるNBB)との信頼関係が存在していることを確認し,それが維持できない状態になった場合には,貸付金返還債権を行使し得ることを定めることによって,本件各金融機関の利益を守ろうとするものと解されるから,一般組合員が本件各業務執行会社を解任しようとする動きを間接的に牽制する機能を有することは否定できないものの,そのような条項があるからといって法的に上記解任権が否定されるという解釈を導くことはできないと考えられること,以上を総合すると,被告らの上記主張は採用できない。 最後に,⑤について検討するに,なるほど,本件各事業が通常予想される範囲内で進捗する限り(すなわち,本件各業務執行会社と一般組合員の利害が鋭く対立する事態に至らない限り),一般組合員によって解任権の行使が行われる事態は想定し難いというべきであるが,そもそも,一般の組合契約においても,一部の組合員に業務執行 行会社と一般組合員の利害が鋭く対立する事態に至らない限り),一般組合員によって解任権の行使が行われる事態は想定し難いというべきであるが,そもそも,一般の組合契約においても,一部の組合員に業務執行を担当させる場合には,その業務執行組合員は一般組合員からの信頼に基づいて選任されたのであるから,両者の間に利害衝突が生じない限り,解任権の行使が行われることは考え難い点では共通しており(前記のとおり,民法上も,他の組合員からいつでも解任され得るというのでは,その地位が不安定となり業務執行の成果を期待できないことから,他の組合員の全員の一致と正当の事由という厳格な要件の存在を必要としている。),結局,本件各組合において特に解任権の行使が事実上考え難いということは,本件各業務執行会社と一般組合員とでは,航空機リース事業のノウハウの蓄積において隔絶しており,他の一般組合員は自らこれを展開するだけの能力を有しないという事実を反映しているにすぎないと考えられるから,そのこと故に,本件各組合契約において解任権が排除されていると解することはできない。 ウよって,本件各契約においては,原告ら一般組合員が本件各業務執行会社の解任権を認めておらず,仮に法的には認めていたとしても,否定している場合と同視すべきである旨の被告らの主張は採用できない。 (4) 本件各事業の成功についての利害関係について前記前提事実(2)及び前記認定事実2(1)ア(10条),イ記載のとおり,本件各組合においては,本件各事業から生ずる利益及び運用収入は,本件各組合員の出資割合に応じて分配されることになっているから,原告らを含む組合員全員が,本件各組合の事業の成功について利害関係を有していることが明らかである。 (5) 利益配当契約該当性についてこの点について,被告らは,①本件各組合にお とになっているから,原告らを含む組合員全員が,本件各組合の事業の成功について利害関係を有していることが明らかである。 (5) 利益配当契約該当性についてこの点について,被告らは,①本件各組合においては,原告ら一般組合員の責任が制限されていること,②本件各組合が購入する本件各航空機は,本件各業務執行会社の単独所有に属し,原告ら一般組合員は所有者としての権能を有しないこと,③原告ら一般組合員は,本件各事業に積極的に参加する意思を欠き,投資家として経済的利益を獲得することにしか興味がなく,NBBや本件各業務執行会社側もそのようなものとして扱っていることなどを理由に,本件各組合契約は,民法上の組合契約とは別個の契約類型である利益配当契約の性質を有する旨主張する。 被告らの上記主張は,本件各組合契約が民法上の組合契約の成立要件を欠くとの主張であるのか,利益配当契約であることを推認させる間接事実としての主張であるのか,必ずしも明確ではないものの,以下の検討結果のとおり,どちらであっても採用することができない。 ア責任制限について(ア) 民法675条は,「組合ノ債権者ハ其債権発生ノ当時組合員ノ損失分担ノ割合ヲ知ラサリシトキハ各組合員ニ対シ均一部分ニ付キ其権利ヲ行フコトヲ得」と定め,組合債務について各組合員が一定の割合で個人的に責任を負うことを定めている。これは,民法上の組合においては,組合員全員が共同して事業を行うものとされ,その業務執行権限も本来各組合員の固有の権利であって,組合員は自らの出資した財産を運用して共同事業を遂行し,それによって生じた収益を享受することや,組合財産の独立性が極めて不完全で,組合員によって自由に処分し得ることなどから,各組合員に無限の人的責任を負担させることが相当と考えられたことによる。 (イ) そこで,まず,本 収益を享受することや,組合財産の独立性が極めて不完全で,組合員によって自由に処分し得ることなどから,各組合員に無限の人的責任を負担させることが相当と考えられたことによる。 (イ) そこで,まず,本件各ローン契約における一般組合員の責任制限について検討するに,前記認定事実2(1)イのとおり,原則として,各組合員の責任は,受領総額(担保を構成する資産から得られる金員を指し,航空会社から受領するリース料,航空機の売却代金などが含まれる。)に対する各組合員の持分の範囲に限定され(3.1(f)),本件各組合の責任も受領総額に限定されている(3.1(c)。ノン・リコースの合意)。もっとも,例外的に,①業務執行組合員等による不法行為などの適用事態を原因として生じた債務(3.1(e))及び②1431万ドル(ヒースロー事業組合の場合)を超過する再マーケティング期間の利子債務(3.5(a))については,本件各組合の責任は受領総額に限定されないものの,その場合にも各組合員の責任の範囲は組合財産に対する持分の範囲に限定されている(3.1(f))。 また,前記認定事実2(1)カ(イ)のとおり,本件各ローン保証契約において,NBBは,保証のなされた金額について,唯一のあるいは主たる債務者として責任を負うとみなされ,本件保証におけるその責任と義務は,原則としていかなる行為,不作為,不履行,その他の事情にもかかわらず有効に存続するとされていることから,ノン・リコースの例外の場合にもNBBが本件各組合の保証人としての責任を負うと解されるところ,前記認定事実2(1)カ(ア)のとおり,本件各保証委託契約においては,NBBが保証債務を履行した場合であっても,原則として本件各組合員に求償することができず,これが可能となるのは,(1)本件各ローン契約後の法令等の変更に起因する おり,本件各保証委託契約においては,NBBが保証債務を履行した場合であっても,原則として本件各組合員に求償することができず,これが可能となるのは,(1)本件各ローン契約後の法令等の変更に起因する本件各金融機関の追加コストを本件各組合が補償する義務,(2)本件各ローン契約後の法令等の変更に起因して金利の支払に源泉税が課せられることとなった場合に,本件各組合が金融機関に源泉税額を上乗せして支払う義務,(3)本件各ローン保証契約に基づく支払期限延長により,延長期間中の金利が発生し,本件各組合の支払義務が増加する場合の義務に限定されている。 そうすると,本件各組合においては,原告ら一般組合員が,本件各ローン契約及び本件各ローン保証契約に基づいて,出資額以上の責任を追求される事態は,通常は想定し難いといわざるを得ない(ヒースロー事業組合において,当初設定されるバルーン金額は1350万ドルであって,上記の1431万ドルとの差額が81万ドル存在するところ,本件各ローン契約上,返済期限を延長できるのは最大6か月であるから,返済期限が延長されている期間の利率が「第3スケジュール」記載のものと同じであると仮定すると,利息総額は約52万2000ドルとなり,上記差額を超えることは通常は生じないと考えられる。)。 しかしながら,上記のような事態が想定し難いのは,あくまでも事実上のものにすぎない上,このように責任を限定する旨の合意をした場合には,一般的に,当該債務者は,債務の引き当てとなる責任財産を毀滅させたり減少させてはならない義務を負い,その義務に反した債務者は,特に約定がなくとも,責任財産に限定されることなく損害賠償義務を負担すると解される(甲全5にも同様の見解が示されている。)ところ,本件各組合が組合財産を毀滅又は減少させた場合には,その責任は組合財 特に約定がなくとも,責任財産に限定されることなく損害賠償義務を負担すると解される(甲全5にも同様の見解が示されている。)ところ,本件各組合が組合財産を毀滅又は減少させた場合には,その責任は組合財産に限定されないのであるから,本件各組合の保証人としてこのような債務を履行したNBBからの求償権について,原告ら一般組合員は,その責任の限定を主張できないと解される。 (ウ) 次に,本件各リース契約に基づく一般組合員の責任制限について検討するに,その主な債務である本件各航空会社に対する本件各航空機の引渡債務については,すでに本件各リース契約の成立以前から当該航空機は本件各航空会社に賃貸されているから,通常はその不履行は想定し難い(このような場合,占有移転の意思表示で履行が完了する。)が,航空会社の倒産等によって,賃借人を変更しなければならなくなった場合などについては,引渡債務の現実的な履行が問題となる余地がある。 また,賃貸人としての本件各組合の責任は,前記のとおり,原リース契約及び本件各リース契約によれば,賃借人である本件各航空会社は,リース期間中の本件各航空機の損失又は損害のリスクを負担するとともに,その費用を負担して機体保険を付することとされているから,通常は問題となる余地がないと考えられる(もっとも,本件各航空会社の負担する保険料は,リース料の設定に際して当然考慮されるであろうから,経済的な観点からは,本件各組合が保険料の負担と無関係とはいえない。)が,例えば,賃借人の責に帰すべき事由によることなく航空機が墜落等した場合には,所有者として,これによって損害を被った第三者に対する賠償責任が生ずることが考えられる。 さらに,本件各組合は,本件各リース契約上,上記以外にも,民間航空管理局(CAA)又は航空当局により求められる強制的修正に要 これによって損害を被った第三者に対する賠償責任が生ずることが考えられる。 さらに,本件各組合は,本件各リース契約上,上記以外にも,民間航空管理局(CAA)又は航空当局により求められる強制的修正に要する費用の一定割合を負担する債務,賃貸人が行う検査に対して,賃借人が提供した人的資源等の費用を負担する債務等を負担することが考えられ,これらの債務を保証人であるNBBが履行した場合には,求償債務を負うことになる。 (エ) 以上のとおり,例外的な場合ではあるものの,一般組合員である原告らが出資額を超えて責任を負担することがあることは否定できないというべきである上,そもそも,一口に民法上の組合といっても,その実態において,構成員相互間における人的結合の色彩の強い団体から構成員から独立した社団的色彩を帯びる団体に至るまで幅広く存在し,後者の場合には,実際に組合の運営に当たっている業務執行組合員だけに人的・無限責任を負担させるのが妥当な場合もあり得るから,ある組合員はその出資額を超えて損失を負担しない旨の内部的な合意があれば,その効力を否定する理由はないし,また,特定の債権者との間で組合員の責任を限定する旨の個別的合意が成立した場合に,それによって他の債権者に対する責任が影響を受けることはないから,当該組合契約が民法上の組合契約の性格を失うものではないと解される。 イ本件各航空機の所有権の帰属について(ア) 民法668条は,「各組合員ノ出資其他ノ組合財産ハ総組合員ノ共有ニ属ス」と定めているところ,被告らは,本件各組合によって購入された本件各航空機は本件各業務執行会社の単独所有に属すると主張し,その具体的理由として,本件各航空機は,本件各組合契約成立前から本件各航空会社にリースされ,その期間中は処分が制限されているから,所有権者としての権能を発 各業務執行会社の単独所有に属すると主張し,その具体的理由として,本件各航空機は,本件各組合契約成立前から本件各航空会社にリースされ,その期間中は処分が制限されているから,所有権者としての権能を発揮する場面は,購入と売却に限られるところ,前者については,本件各組合契約締結以前に,NBB及びその関連会社によって内容が決定されており,後者についても,本件各業務執行会社の提案が要件とされているから,その意思に反して行うことができないことを挙げる。 なるほど,本件各事業については,あらかじめNBB等による交渉によって賃貸の相手方が特定され,その契約内容等についても確定していて,本件各組合契約締結後にこれらについて再度交渉したり,変更する余地は事実上存在しないのが実態であることは否定できない。 (イ) しかしながら,上記のように条件が整ったリース契約を是認し,これに基づくリース料分配金を受け取ることは,まさしく所有権の内容である「収益」権能の現れと考えられ,自ら賃借人を選定し,自らの交渉によって契約内容を定めなければ所有権者とはいえないとの立論が相当でないことは明らかである。 また,本件各組合においては,本件各航空機を売却する際には,出資割合の過半数を有する組合員の同意が必要とされており(本件各組合契約書13条1項),一般組合員が所有権の機能の重要な一部分である「処分」権能を有していることは明らかである。もっとも,このような売却を行うためには,本件各業務執行会社の「提案」に基づくことも要求されているが,この条項は,世界における航空機需要に関する知識やその売却についてのノウハウを有する本件各業務執行会社のイニシアティブを尊重することが,本件各組合の目的を達成する上で最も有効と考えられたことを反映したものと解されるから,そもそも一般組合員との利害対 売却についてのノウハウを有する本件各業務執行会社のイニシアティブを尊重することが,本件各組合の目的を達成する上で最も有効と考えられたことを反映したものと解されるから,そもそも一般組合員との利害対立は想定されていないというべきである。仮に,一般組合員の意向とその利益に反するような「提案」を行い,あるいはこれらに沿った「提案」を行わない場合には,当該業務執行会社は,一般組合員に対して負担する善管注意義務(民法671条によって準用される644条)を怠ったというべきであるから,解任についての正当な理由を満たすことになり,また,損害賠償責任を負担することも考えられ,最終的には組合員の意向と利益に沿った売却が実現され得るから,上記条項の存在をもって,本件各業務執行会社の単独所有を基礎付けるものといえないことは明らかである。 (ウ) そもそも,組合員の共有に属する組合財産といえども,当該組合の目的を達成すべく行われる業務執行の一環として処分されることがあるところ,このような場合には,当該組合契約等によって定められた業務執行の方法・手続によるべきであるから,業務執行者が選任された場合には,原則としてその判断によって処分され得ることは当然であり(組合財産の共有性は,その対価の上に各組合員の持分を認めることで満たされると考えられる。),ただ,本件各組合においては,本件各航空機がリース事業の目的物であり,いわば基本財産ともいうべき重要性を有していることから,上記条項は,その処分に際して慎重な手続を特則として定めたものと解される。 そうすると,いずれの観点からしても,本件各航空機が本件各業務執行会社の単独所有に属するとの被告らの前記主張は採用できない。 ウ当事者の意図について被告らは,原告ら一般組合員は,本件各事業に積極的に参加する意思を欠き,投資家 も,本件各航空機が本件各業務執行会社の単独所有に属するとの被告らの前記主張は採用できない。 ウ当事者の意図について被告らは,原告ら一般組合員は,本件各事業に積極的に参加する意思を欠き,投資家として経済的利益を獲得することにしか興味がなく,NBBや本件各業務執行会社側もそのようなものとして扱っている旨主張するところ,確かに,原告ら一般組合員の主目的は,リース料や本件各航空機の売却益を持分に応じて取得し,さらに,本件各航空機の減価償却費等の費用を損益通算することによる利益を得ることにあることは容易に推認できる(これに対し,本件各業務執行会社の主目的は,業務執行に対する報酬を受け取ることにあると推認することができる。)。 しかしながら,被告らの上記主張が,民法上の組合契約が成立するために,一般組合員が当該事業を「積極的」ないし「主体的」に「営む」あるいは「参加する」意思を有すること,すなわち「自ら」事業に携わる意思を要求するものであるならば,共同事業性を組合契約の成立要件とする民法においても,組合契約をもって業務の執行を特定の者に委任することを認めており(670条2項),そのような場合には,委任した一般組合員は業務執行権を有しないとされていることに照らすと,法に規定されていない成立要件を付加するものであるとの批判を免れ難いというべきである上,原告ら一般組合員の目的が専ら上記のような経済的利益の追求にあるのは,本件各事業執行会社(ないしNBB)が,本件各組合の事業目的である航空機リース事業に関するノウハウを蓄積しており,同社に業務執行を委ねることこそその目的達成に最も有効であると考えられたことによるものと推認できるから,このような実態があるからといって,本件各組合の共同事業性を否定することはできない。 (6) 小括以上の検討結果によれ とこそその目的達成に最も有効であると考えられたことによるものと推認できるから,このような実態があるからといって,本件各組合の共同事業性を否定することはできない。 (6) 小括以上の検討結果によれば,本件各組合契約は,民法上の組合契約の成立要件を充足しており,これとは契約類型の異なる利益配当契約と認めることはできない(ちなみに,本件各組合契約中の損益及び運用収入の分配(10条),重要事項の特則(13条),脱退(16条),解散(22条)などの諸条項は,利益配当契約としては理解困難である。)ので,本件各組合は,民法上の組合に当たると判断するのが相当である。 5 争点(1)エ(前同-ホーランド事業組合)について(1) 28号事件被告兼29号事件被告及び31号事件被告は,ホーランド事業組合に係る諸契約と他の組合に係るそれらとでいくつかの点で異なるものの,基本的には両者の内容,特徴は同一であって,共同事業性,共同所有性が存在しないから,同組合は民法上の組合とは認められない旨主張する。 具体的には,①ホーランド事業組合に係るローン契約においては,金融機関の同意なく組合規約を変更できないこと,組合の債務が完済されるまで,業務執行会社が業務執行者の地位にとどまることについての条項は存在しないものの,同組合契約において,業務執行権限が業務執行会社(NBBハーグ)によって独占され,一般組合員による解任権が認められていないことは他の組合の場合と異ならないこと,②ホーランド事業組合とさくら本店とのローン契約には,ノン・リコースの合意が存在しないものの,ホーランド事業組合は,NBBとの間で保証委託契約を締結し,同契約に基づき,NBBは,さくら本店に対して,ホーランド事業組合が負担する一切の債務について,連帯保証する旨約しているところ,さくら本店は,NBBの信 組合は,NBBとの間で保証委託契約を締結し,同契約に基づき,NBBは,さくら本店に対して,ホーランド事業組合が負担する一切の債務について,連帯保証する旨約しているところ,さくら本店は,NBBの信用を重視して上記ローン契約を締結したのであるから,仮にローン契約上の債務の支払が不足する場合にも,あえて一般組合員個人に請求することは想定できず,また,NBBが連帯保証債務を履行した場合,ホーランド事業組合に対して求償権を取得するところ,上記保証委託契約によれば,原則として組合員個人に対して請求することはできず,例外的に請求できる場合も,そうした事態が実際に生じる可能性は極めて小さいと考えられることに照らすと,ノン・リコースの合意と実質上異ならないこと,③ホーランド事業組合がNBBと締結した航空機抵当保証契約には,ホーランド事業組合は,「いずれかの「効力発生文書」に明記されているか,許可されているもの以外には,『担保財産』について本保証書の担保より優位な,または同順位の抵当や他の担保権利を与えてはならない。」と,また,「組合は,抵当権者(NBB)の事前の書面による同意ないままに,本保証契約に基づく組合の権利,利益又は義務を譲渡する権利を有しない。」とそれぞれ定められており,実質的に航空機を処分権限が制限されていること,以上のように主張する。 (2) そこで,検討する。 ア業務執行権,解任権(①)についてホーランド事業組合において,業務執行権が「唯一の」業務執行会社であるNBBハーグに委ねられていることは,その他の組合と同様である(甲C1)が,同組合契約において,一般組合員による解任権が否定されているとは認め難いことは,争点(1)ウに対する判断(4(3))で示したとおりであり,ホーランド事業組合とその他の組合とで異なる点も,その結論を補強する 契約において,一般組合員による解任権が否定されているとは認め難いことは,争点(1)ウに対する判断(4(3))で示したとおりであり,ホーランド事業組合とその他の組合とで異なる点も,その結論を補強するものではあり得ても,これを弱めるものでないことは明らかである。 イ一般組合員の責任制限(②)についてホーランド事業組合の一般組合員の責任が限定されているとしても,同組合の共同事業性を否定することができず,利益配当契約であることを基礎付けるものでないことは,争点(1)ウに対する判断(4(5)ア)で示したとおりであり,まして,同組合に係るローン契約にノン・リコースに関する条項が存在しないにもかかわらず,NBBが連帯保証人であることから,さくら本店が一般組合員に請求することは事実上想定し難いとして,同条項が存在する場合と同視するのは,法的責任の有無と事実上の可能性とを混同するものとの批判を免れ難い(事実上の可能性としても,NBBが連帯保証債務を履行した上で求償する場合に責任が制限されるのであれば,さくら本店は,NBBからの要請によって,一般組合員に請求を行う事態は十分に考えられるというべきである。)。 ウ共同所有性(③)について証拠(乙C4の1・2)によれば,ホーランド事業組合がNBBと締結した航空機抵当保証契約中に,28号事件被告兼29号事件被告及び31号事件被告主張に係る各条項が存在していることが認められる。 しかしながら,担保権設定契約において,担保資産について優先順位あるいは同順位の新たな担保権を設定することを禁止する旨の条項を設けることは,担保権者が把握した担保価値を保全する趣旨から通常行われていることであって,そのような条項が設けられたからといって,担保財産についての担保権設定者の所有権を否定することはできない。 また,「組合は, 担保権者が把握した担保価値を保全する趣旨から通常行われていることであって,そのような条項が設けられたからといって,担保財産についての担保権設定者の所有権を否定することはできない。 また,「組合は,抵当権者(NBB)の事前の書面による同意ないままに,本保証契約に基づく組合の権利,利益又は義務を譲渡する権利を有しない。」との条項についても,契約上の地位の譲渡に関する条項であって,航空機の処分権限の有無とは無関係である。 いずれにしても,上記各条項が,上記被告が主張するような,業務執行会社による単独所有を基礎付けるものでないことは明らかである。 (3) 以上によれば,ホーランド事業組合に係る組合契約についても,民法上の組合契約として成立していると認めるのが相当である。 6 争点(1)オ(本件各組合契約が民法上の組合契約と認められたとしても,心裡留保又は虚偽表示により無効か)について(1) 被告らは,契約当事者である原告ら及び本件各業務執行会社は,組合として共同の事業を営む意思はなく,所得額を減少させる目的でその外形を仮装したものに過ぎず,真意としては利益配当契約を締結する意思を有していたにすぎないから,民法上の組合契約締結について内心的効果意思を欠くとして,民法93条ただし書ないし94条1項に基づき,同契約は無効である旨主張する(仮定的主張その1)。 (2) しかしながら,民法93条ただし書又は同法94条1項に基づいて当該意思表示が無効となるためには,表示上の(表示行為から推測される)効果意思と内心的効果意思が一致しないことを要するところ,前記判断のとおり,民法上の組合契約の成立において必要とされる効果意思は,①共同出資を行うことについての意思と,②共同の事業を営むことについての意思であり,②については,業務執行組合員を選任した場合には,解 とおり,民法上の組合契約の成立において必要とされる効果意思は,①共同出資を行うことについての意思と,②共同の事業を営むことについての意思であり,②については,業務執行組合員を選任した場合には,解任権及び検査権を有すること及び共同で行う事業によって当事者が利害関係を有することについての認識・合意で足りると解すべきである。そして,原告らを始めとする本件各組合の組合員らが,このような意思を有していると認められることは,既に4及び5で判示したところである。 被告らは,前記のとおり,組合契約における共同事業性の要件として,各組合員が「自ら」事業の執行に当たる意思を必要とした上で,原告ら一般組合員はこのような意思を欠くと主張するものと解されるが,その前提が誤っている以上,採用することはできない。 7 争点(1)カ,キ(本件各組合契約が匿名組合ないし民法上の組合契約と認められたとしても,本件各事業に係る収益は雑所得に当たるか)について(1) 本件各組合が商法上の匿名組合であることを前提とする主張(被告らの仮定的主張その2)について被告らは,本件各組合契約は商法上の匿名組合契約(同法535条)とは認められないと主張しつつ,仮にこれが認められても,これによって原告らが得る分配金が雑所得に当たると主張する。しかしながら,原告らも,本件各組合が上記匿名組合に該当するとの主張を行う意思がないことを表明しており(第5回口頭弁論調書),結局,当事者双方共,本件各組合が上記匿名組合の性質を有することを基礎付ける具体的な事実の主張,立証をしないのであるから,これを前提とする被告らの上記主張は,そもそも判断の対象とすることができない(ちなみに,本件各組合契約が民法上の組合契約と認められることは,既に判示したとおりである。)。 (2) 本件各組合が民法上の組合である する被告らの上記主張は,そもそも判断の対象とすることができない(ちなみに,本件各組合契約が民法上の組合契約と認められることは,既に判示したとおりである。)。 (2) 本件各組合が民法上の組合であることを前提とする主張(被告らの仮定的主張その3)についてア税法上,人格のない社団等(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるもの)は,その構成員等の存在から離れた団体としての性格に着目して法人税の課税客体とされている(法人税法2条8号,3条)のに対し,民法上の組合については,法人格を有せず,税法にも特別の規定がないことから,課税客体とされることはない。 しかして,前記のとおり,民法上の組合においては共同事業性が認められ,組合財産は実質的に組合員の共有に属し,各組合員が業務執行に関与する権限を有し,さらに,利益と損失は原則として各組合員の出資に応じて分配がなされることに照らすと,組合の事業によって得られた所得については,組合員が実質上の帰属主体と考えることができるので,組合存続中はその利益が組合員に分配されたか組合内部に留保されたかを問わず,組合員の個人所得として課税の対象となると解される。そうすると,組合員の上記個人所得の所得区分は,組合の事業内容によって定まることになる。 以上は,基本通達36・37共-20(民法上の組合の事業に係る利益等の額の計算)も前提としていると考えられる。 イこの点について,被告らは,上記の扱いは,各組合員が共同して組合事業に参加し,当該事業に使用される組合財産を他の組合員とともに共有し,当該事業に対して無限責任を負う典型的な組合の場合には妥当するが,こうした趣旨の妥当しない組合については,当該組合員の活動内容に着目して判断すべきものであるとの前提に立って,①本件各事業は,NBBないし本件各業務執行 責任を負う典型的な組合の場合には妥当するが,こうした趣旨の妥当しない組合については,当該組合員の活動内容に着目して判断すべきものであるとの前提に立って,①本件各事業は,NBBないし本件各業務執行会社によって行われ,一般組合員は事業に関与せず,②組合財産たる本件各航空機は本件各業務執行会社の単独所有に帰し,③一般組合員は,本件各ローン契約及び本件各リース契約のいずれについても,実質的に責任を負わず,④一般組合員の地位は,実質的には出資者・投資家としての地位と変わらないなどの事情に照らすと,当該所得の性質そのものに着目して所得区分を判断すべき場合に当たり,原告らが得る「リース料分配金」は雑所得である旨主張する。 確かに,民法上の組合といえども,組合員全員が自ら業務執行に当たるものから,特定の者に業務執行を任せてその在り方に関心を持たない組合員が圧倒的に多い組合まで,その具体的態様はさまざまなものがあるから,実態に照らしてその所得区分を検討すべきであるとの主張も,一つの見識を示すものとして傾聴に値しよう。 しかしながら,上記基本通達の内容は,このような主張に沿ったものとなっていないことに照らすと,課税当局は,民法上の組合に当たると判断されれば,組合の事業内容によって組合員個人の所得区分が決定されるとの前提で税務行政を行っていたと推測できるところ,本件において,上記のような主張に基づく課税を行うことは,平等原則に反するおそれを否定できない。 また,被告らの上記主張によれば,組合員が組合事業に関与する程度,責任の実質的負担状況,その組合員の具体的関心などによって,組合を区別した上,その所得区分を判断することになるが,業務執行に対してどの程度の関与,関心等があった場合に,典型的な民法上の組合に当たるのかが明確でなく(なお,本件各組合においても, どによって,組合を区別した上,その所得区分を判断することになるが,業務執行に対してどの程度の関与,関心等があった場合に,典型的な民法上の組合に当たるのかが明確でなく(なお,本件各組合においても,前記のとおり,原告ら一般組合員が検査権及び解任権を有し,本件各航空機の処分に当たって決議し,例外的とはいえ,出資額を超える責任を負うことがあり得るのであるから,上記①ないし④の要素を満たさず,被告らの考え方によっても,組合の事業内容によって所得区分を定めるべきであると解し得ないものではない。),ひいては租税法律関係の不安定をもたらしかねない(ちなみに,一つの組合の中に,業務執行に具体的に携わっている組合員とそうでない組合員とが併存している場合,両者の所得区分が異なるような解釈は採り得ないというべきである。)。そもそも,上記組合に関する規定は民法にしかなく,その民法には,業務執行組合員を選任する組合とそうでない組合の区別はあっても,それ以外の区別を定めた規定はない。そうすると,法令上の根拠がないにもかかわらず,課税効果を異にするような解釈を行うことは,租税法律主義に反するおそれがあるといわざるを得ない。 以上のとおり,いずれの見地からしても,被告らの上記主張は採用できない。 ウしたがって,民法上の組合である本件各組合が行う本件各事業による収益が不動産所得に区分されることは明らかである(所得税法26条1項)から,原告らの本件各事業による所得も,不動産所得に区分されるべきものであり,これが雑所得に当たると解することはできない。 8 争点(2)(本件承認取消処分の適法性)について(1) 前提事実及び証拠(甲ロ3,4,乙ロ1ないし3)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア名古屋中税務署国際調査情報官α(以下「α」という。)は,平成 消処分の適法性)について(1) 前提事実及び証拠(甲ロ3,4,乙ロ1ないし3)並びに弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア名古屋中税務署国際調査情報官α(以下「α」という。)は,平成11年9月8日,27号事件原告の所得税について調査すべく,同人の税務申告に関与する税理士β(以下「β税理士」という。)と連絡を取り,航空機の貸付けに関する不動産所得関係書類を用意するように依頼した。 イ αは,γ上席調査官とともに,同月24日,27号事件原告が代表取締役をしている株式会社ε(名古屋市中村区a町b-c)を訪れ,β税理士立会いの下,同原告に面会した。αが,どのように所得を計算して申告をしたのかについて尋ねたところ,同原告は,ヒースロー事業組合の決算報告書に組合員全体の損益と自分の投資分の損益が出ているので,それをβ税理士に渡して,同税理士がメモを作成したこと,岡崎市に所有しているマンションの収支計算も税理士によるメモしか作成しておらず,それ以外に記帳したものはないことなどを説明した。 そこで,αが,所得税の確定申告に係る帳簿書類の提示を求めたところ,同原告は,以下の書類を提示した。αらが,同原告及びβ税理士に対して,これで全部か,記帳はされていないかを確認したところ,同原告及びβ税理士は,これだけであると述べた。 ①不動産所得と題された本件計算表②本件組合契約書③平成9年7月30日付け印鑑証明書(NBBドーバーの取締役δの印鑑に係るもの)④同年8月1日付けNBBからの出資金の振込みに関する明細書⑤同月5日付け金銭借用証書⑥同月8日付け任意組合出資完了報告書⑦平成10年1月26日付け現金分配のご案内⑧日付不詳のエヌビービー・ヒースロー組合の第1期における同原告に係る会計報告⑨普通預金通帳(あさひ銀行名古屋駅前支店の口座番号 け任意組合出資完了報告書⑦平成10年1月26日付け現金分配のご案内⑧日付不詳のエヌビービー・ヒースロー組合の第1期における同原告に係る会計報告⑨普通預金通帳(あさひ銀行名古屋駅前支店の口座番号○○○○)⑩同(同口座番号○○○○)ウ本件計算表には,「9.12.31」の日付けが付されているほか,以下のとおりの記載がある。 『 <貸家> <航空機><不動産収入> 1~12月 3,672,000 9,618,842<租税公課> 固定資産税 182,860 ―<損害保険料> 住宅総合保険 67,080 ―<支払手数料> 735振込手数料344,083<減価償却費> 償却明細より 2,674,243 26,447,791<その他の経費>下水道負担金 21,000 104,318<借入金利子>(貸家)H9・1・1現在借入残高94,820,553…①H9・12・31 〃 91,852,846…②H9・1・1~H9・12・31までに支払ったローンの合計5,541,480461,790×12ケ月①-②=2,967,707…1年間の元金利息部分5,541,480-2,967,707=2,573,773…③(航空機)H9・12・31現在借入利子合計4,760,403…④(ε借入利息を含む)(以下略) (航空機)H9・12・31現在借入利子合計4,760,403…④(ε借入利息を含む)(以下略) 』エ 27号事件原告の平成9年中の取引のうち,航空機リースに係る取引は,すべて銀行口座を介して行われており,現金取引はなかった。岡崎市のマンションの賃貸事業に係る取引の多くも,銀行口座を介した取引であり,①4月22日,8月26日及び12月29日の各下水道受益者負担金の支払(各7000円),②5月19日の固定資産税の支払(18万2860円)のみが現金取引であったところ,これらについては,領収書等により,取引年月日,金額,相手方が明らかである。 オ 27号事件被告は,平成13年3月13日,本件承認取消処分をなし,同通知書をそのころ27号事件原告に送付した。同通知書には,「あなたの青色申告については,所得税法第150条第1項第1号に定める取消事由に該当する事実があったと認められますので,その事実があったと認められる9年分以降の青色申告の承認を取消します。」と記載され,(取消しの基因となった事実)として,「……平成11年9月24日,当税務署の調査担当者が,あなたが代表取締役を努(務)める㈱εの事務所において,あなたに平成9年分の青色申告に係る帳簿書類(略)の提示を求めました。しかしながら,あなたは航空機リース関連書類,国内不動産関係書類,預金通帳を提示されたのみで,現金出納張などの帳簿書類を作成していない旨申し立てられ,ほかに大蔵省令に定める事項を記載した帳簿書類を提示されませんでした。以上の事実は,帳簿書類の備付け,記録,又は保存が所得税法第148条≪略≫に規定する大蔵省令に定めるところに従って行われていないこと に大蔵省令に定める事項を記載した帳簿書類を提示されませんでした。以上の事実は,帳簿書類の備付け,記録,又は保存が所得税法第148条≪略≫に規定する大蔵省令に定めるところに従って行われていないことになります。したがって,所得税法150条≪略≫第1項第1号に該当します。」と記載されている。 (2) 法定の帳簿書類の備付け等についてア所得税法148条1項の委任を受けた所得税法施行規則57条は,「青色申告者は,青色申告書を提出することができる年分の不動産所得の金額……が正確に計算できるように次の各号に掲げる資産,負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引……を正規の簿記の原則に従い,整然と,かつ,明りように記録し,その記録に基づき,貸借対照表及び損益計算書を作成しなければならない。」と規定する。 ここにいう,「正規の簿記の原則に従い,整然と,かつ,明りように記録」するとは,所得金額が正確に計算できるように,資産,負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引を,定められた会計処理の方法に基づいて,組織的かつ秩序的に記録することを意味するところ,本件計算表は,上記(1)ウのとおり,取引を一括して記載しており,この要件を満たさないことは明らかであり,(1)イの②ないし⑩の各文書も,記録の原資料となるべき証ひょう書類の一部にすぎないから,この要件を満たす記録とはいえず,また,これらを本件計算表と一体を成すものと見ても,この要件を満たすとは到底いえない。 イもっとも,所得税法施行規則56条1項ただし書は,一定の帳簿書類については,大蔵大臣の定める簡易な記録の方法及び記載事項によることができる旨定めているところ,これを受けた大蔵省告示(「所得税法施行規則第56条第1項,第58条第1項及び第61条第1項に規定する記録の方法及び記載事項,取引に関する事項並びに科目」 事項によることができる旨定めているところ,これを受けた大蔵省告示(「所得税法施行規則第56条第1項,第58条第1項及び第61条第1項に規定する記録の方法及び記載事項,取引に関する事項並びに科目」(昭和42年8月31日号外大蔵省告示第112号))3項1号は,「必要な帳簿を備え,その取引を別表第1各号の表の第2欄に定めるところにより,整然と,かつ,明りように記録しなければならない。」と規定し,同表は,ⅰ現金出納等に関する事項は,現金取引の年月日,事由,出納先及び金額並びに日日の残高を記載することを要するが,少額な取引又は保存している伝票,領収書等によりその内容を確認できる取引については,賃貸料,雑収入及びその他の入金並びに費用及びその他の出金に区分して,それぞれ日日の合計金額のみを一括記載することができること,ⅱ減価償却資産に関する事項は,その資産の種類ごとに,それぞれその取得又は支出の年月日,取得又は支出の相手方,数量,取得価額又は支出金額及びその年の年初の償却後の価額並びにその年中におけるその他の取引の年月日,事由,相手方及び金額を記載することを要するが,年末においてその年中の取引を一括記載することができること,ⅲ賃貸料等の収入に関する事項は,それぞれ適宜な科目に区分して,それぞれその取引の年月日,事由,相手方及び金額を,ⅳ費用に関する事項は,雇人費,青色専従者給与額,公租公課のようにそれぞれ適宜な科目に区分して,それぞれの取引の年月日,事由,支払先及び金額を記載するが,少額な費用については,その科目ごとに,日日の合計金額のみを一括記載することも,また,現実に出金した時に記載することができ,この場合には年末における費用の未払額及び前払額を記載すること,以上のように定めている。 しかしながら,本件計算表は,上記認定のとおり,「不動産 ることも,また,現実に出金した時に記載することができ,この場合には年末における費用の未払額及び前払額を記載すること,以上のように定めている。 しかしながら,本件計算表は,上記認定のとおり,「不動産収入」,「租税公課」,「損害保険料」,「支払手数料」,「その他の経費」及び「借入金利子」について,平成9年1月1日から同年12月31日までの合計をまとめたものにすぎず,現金取引の年月日,事由,出納先及び金額並びに日日の残高又は日日の金額(ⅰ)や,賃貸料等の収入に関して,それぞれ適宜な科目に区分して,それぞれその取引の年月日,事由,相手方及び金額(ⅲ)や,経費に関して,その取引の年月日,事由,支払先及び金額(ⅳ)を記載したものとはいえないから,簡易な方法として認められる上記の記録と認めることもできない。また,(1)イの②ないし⑩の各文書も,これらのみとしてはもちろん,本件計算表と一体を成すものと見ても,上記要件を満たす記録とはいえない。 ウこの点について,27号事件原告は,本件計算表に係る計算の過程を明らかにする資料等をすべて保存しているにもかかわらず,27号事件被告の担当調査官らは,一度しか帳簿書類の確認を行わず,その内容も,青色申告承認に必要な帳簿書類の備付け等がなされているかという観点から行われたものではなかった旨主張する。 しかしながら,27号事件原告が(1)イの②ないし⑩の各文書のほかにも本件計算表に係る計算の過程を明らかにする資料等を保存しているのであれば,上記各文書と同時に提示するのが自然であるにもかかわらず,提示されたのは法定の要件を満たすとはいえない上記各文書だけであった上,そもそも,青色申告の制度は,納税者が自ら所得金額及び税額を把握,計算し,自主的に申告して納税する制度の下で,適正かつ公平な課税を実現するために不可欠な 満たすとはいえない上記各文書だけであった上,そもそも,青色申告の制度は,納税者が自ら所得金額及び税額を把握,計算し,自主的に申告して納税する制度の下で,適正かつ公平な課税を実現するために不可欠な帳簿書類を備え付けて,これに取引を忠実に記載し,かつこれを保存する(所得税法148条1項,法人税法126条1項)者について,青色申告を承認し,その納税者に対して,種々の特典を与えるものであるから(最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決・集民152号93頁),整然かつ明りょうに記録された帳簿が作成,保存されていることを要し,領収書等も原資料を精査することによって取引内容が判明するとしても,これに替えることができるものではない。 (3) 理由附記について青色申告承認取消処分をする場合には,取消処分の基因となった事実が取消事由のどれに該当するかを付記した書面をもって通知することが必要とされている(所得税法150条2項,法人税法127条3項)。これは,青色申告承認の取消しが,承認を得た者の種々の特典をはく奪する不利益処分であることから,取消事由の有無に関する処分庁の判断における慎重さと公正妥当性を担保してその恣意を抑制するとともに,取消しの理由を相手方に知らしめることによって,その不服申立てに便宜を与えるためであると解される。したがって,該当号数を示しただけでは取消しの基因となった具体的事実を知ることができない場合には,通知書に当該号数を示しただけでは足りず,その基因となった事実についても相手方が具体的に知り得る程度に特定して摘示しなければならないというべきである(最高裁判所昭和49年4月25日第一小法廷判決・民集28巻3号405頁)。 しかして,上記認定に係る(1)オの事実によれば,27号事件原告に対する通知書には,取消しの根拠となる号数 いうべきである(最高裁判所昭和49年4月25日第一小法廷判決・民集28巻3号405頁)。 しかして,上記認定に係る(1)オの事実によれば,27号事件原告に対する通知書には,取消しの根拠となる号数だけではなく,その基因となった事実についても具体的に記載されており,所得税法150条2項の要請を満たすと判断するのが相当である。 この点について,27号事件原告は,(1)オの記載だけでは,不備又は保存義務違反とされたのがいつの期間の帳簿書類であるのか,不備又は保存義務違反とされた帳簿等が何かが不明である旨主張するが,前者については平成9年分の帳簿と特定されており,後者についても,「あなたは航空機リース関連書類,国内不動産関係書類,預金通帳を示されたのみで,現金出納張などの帳簿書類を作成していない旨申し立てられ,ほかに大蔵省令に定める事項を記載した帳簿書類を提示されませんでした。」と記載されており,27号事件原告が提示した書類だけでは法定の帳簿書類として不十分であることが示されているのであるから,理由附記の要件を満たすというほかなく,上記主張は採用できない。 (4) 適正手続違反について27号事件原告は,①所得税法148条2項の定める指示権の行使が可能であるにもかかわらず,これを適切に行使せずに青色申告承認取消処分を行うことは,適正手続に反する,②本件取扱基準1項は,青色申告承認の取消処分をする場合には例外なく遵守すべきところ,本件ではこれが遵守されていないなどと主張する。 そこで,まず①について検討するに,所得税法148条2項は,「納税地の所轄税務署長は,必要があると認めるときは,第143条の承認を受けている居住者に対し,その者の同条に規定する業務に係る帳簿書類について必要な指示をすることができる。」と定めており,その「必要があると認めるとき 長は,必要があると認めるときは,第143条の承認を受けている居住者に対し,その者の同条に規定する業務に係る帳簿書類について必要な指示をすることができる。」と定めており,その「必要があると認めるときは……指示をすることができる」の文言に照らしても,同項は,税務署長による青色申告者に対する一般的な指示権限を定めたものにすぎないと解するのが相当であること,同法150条1項は,同項各号所定の事由があるときは,青色申告の承認を取り消すことができると定め,同条2項は,その手続要件として前記の理由附記を定めているものの,指示権の適切な行使については何ら触れるところがないから,これをも手続要件としていると解釈するのは困難であること,以上に照らせば,27号事件被告が,帳簿書類の提示等について上記指示権を適切に行使しなかったとしても,本件承認取消処分が違法となるものではないと判断するのが相当である。 次に,②について検討するに,本件取扱基準は,事務の在り方に関する内部的な取決めであって,これの不履行が直ちに違法をもたらすものではないと考えられる上,同基準1項は,納税者が帳簿書類を保存している(と推認される)にもかかわらず,調査担当者に提示しない場合に,ただ1回の提示要求のみで青色申告承認取消処分を行うのは相当でないため,再三の提示要求を行うよう定められたものと解され,納税者が保存していないと自ら申し立てているにもかかわらず,あえて再三にわたって提示を求めるなどという無意味な行為を要求する趣旨の規定ではないと判断することができる。 したがって,上記主張も採用できない。 (5) 処分権の濫用について27号事件原告は,27号事件被告の担当調査官による税務調査の後1年半の間何らの指示も連絡もなく,突然に本件青色申告承認取消処分が行われたもので,その目的は,同日 い。 (5) 処分権の濫用について27号事件原告は,27号事件被告の担当調査官による税務調査の後1年半の間何らの指示も連絡もなく,突然に本件青色申告承認取消処分が行われたもので,その目的は,同日付けで行われた更正処分の理由の記載を省略することにあったので,処分権の濫用である旨主張するところ,確かに,迅速に処分がなされることが望ましいとはいえようが,所得税法150条1項本文が取消事由が認められる年までさかのぼって青色申告承認を取り消すことを認めていることに照らせば,調査後1年半の間何ら処分がなかったからといって,そのことをもって処分の違法事由と解することはできず,また,仮に本件承認取消処分の目的の一つに,更正処分の理由の記載を省略することがあったとしても,前記のとおり,所得税法150条1項1号所定の青色申告承認取消事由の存在が認められる以上,青色申告承認を受けた者に認められる理由附記に関する利益を喪失したというべきであるから,処分権の濫用に当たると認めることはできない。 9 争点(3)(平成12年分の所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求める訴えの利益-29号事件)について(1) 抗告訴訟とは,行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう(行政事件訴訟法3条1項)ところ,同訴訟は,民衆訴訟や機関訴訟などの客観訴訟と異なり,「法律上の利益を有する者」に限って提起することができるとされている(同法9条)。したがって,処分取消訴訟についても,当該処分によって自己の権利又は法律上の利益を害され,あるいはそのおそれがあり,その取消しによって上記権利又は利益が回復,保全される場合に,その提起が許されるものであるから,およそ,原告の法律上の権利,利益を害するおそれのないような処分については,そもそもこれを取り消すべき利益がなく, よって上記権利又は利益が回復,保全される場合に,その提起が許されるものであるから,およそ,原告の法律上の権利,利益を害するおそれのないような処分については,そもそもこれを取り消すべき利益がなく,かかる処分の取消訴訟は不適法というべきである。 (2) ところで,前記前提事実(1)ア中の別表4によれば,29号事件原告は,平成12年分の所得税について,平成13年3月13日,不動産所得マイナス5288万7390円,利子所得28万3972円,配当所得9585万0900円,給与所得1127万5700円,雑所得4375万2240円,総合短期譲渡所得5983万8936円,総所得金額1億5811万4358円,申告納税額2971万8100円として確定申告をしたところ,29号事件被告は,同年12月10日,不動産所得0円,利子所得0円,雑所得1130万1001円,総合短期譲渡所得0円,総所得金額1億1842万7601円,納付すべき税額1503万3900円(配当所得及び給与所得は確定申告と同じ)とする更正処分をしたこと,過少申告加算税の賦課決定処分はなされていないこと,これら処分について不服があるとして,29号事件原告が,平成14年2月7日,異議を申し立てたところ,29号事件被告が,同年4月30日付けで異議を却下したこと,さらに,審査請求を申し立てたが,取り下げていること,以上の事実が明らかである。 そうすると,まず,29号事件原告の平成12年分所得税に係る過少申告加算税賦課決定処分は,そもそも存在しないのであるから,その取消しを求める請求は,本来は理由がないというべきであるが,証拠(甲ニ2)によれば,同賦課決定処分については,29号事件原告による異議申立ての対象となっていないことが認められるから,国税通則法115条1項本文に定める不服申立て前置の要件を満た きであるが,証拠(甲ニ2)によれば,同賦課決定処分については,29号事件原告による異議申立ての対象となっていないことが認められるから,国税通則法115条1項本文に定める不服申立て前置の要件を満たしていないことが明らかである。したがって,同取消請求に係る訴えは不適法である。 次に,納税額の減額をもたらす更正処分については,一般に,減額の理由のいかんにかかわらず,その実質は,当初の確定申告による納税義務の一部取消処分であり,それによって納税者に有利な効果をもたらすものであるから,前記のとおり,その取消しを求める訴えの利益を有しないと解すべきである(最高裁判所昭和56年4月24日第二小法廷判決・民集35巻3号672頁参照)ところ,29号事件原告が取消しを求める上記更正処分は,納税額を減額するものであるから,同取消請求に係る訴えも不適法である。 (3) この点について,29号事件原告は,減額更正処分の中にも,申告又は更正に係る課税標準の一部又は全部の取消しと新たな課税要件事実の認定に伴う課税標準の加算とが複合して行われ,その結果として課税標準の中身が入れ替わる場合があるから,このような場合には,全体としての「納付すべき税額」が減額されていても,課税標準たる所得金額の加算や新たな課税要件事実の認定がなされている部分に関する限りは,「納付すべき税額」が増額された場合と同様,納税者に不利益な処分であり,その取消しを求める訴えの利益がある旨主張する。 しかしながら,確定申告といい更正処分といい,1種類の税については1個の納税義務を確定するものであり,個々の課税理由ごとに納税義務が確定するものではないから,これに対する争訟の対象は,納付すべき税額の適否であると解すべきである(総額主義に拠った最高裁判所平成4年2月18日第三小法廷判決・民集46巻2号7 税理由ごとに納税義務が確定するものではないから,これに対する争訟の対象は,納付すべき税額の適否であると解すべきである(総額主義に拠った最高裁判所平成4年2月18日第三小法廷判決・民集46巻2号77頁等参照)。したがって,個々の課税理由の中に,納税者に不利益なものが含まれているとしても,結論に相当する納付すべき税額の減少をもたらす処分に対する取消しの訴えの利益を基礎付けるものではないと判断するのが相当であり(前掲最高裁判所昭和56年4月24日第二小法廷判決参照),29号事件原告の上記主張は採用できない。 減額更正等によって取り消された部分の取消しの利益なお,27号事件原告の平成9年分及び平成10年分の所得税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分は,平成16年4月9日付け減額更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の変更決定処分によって一部取り消されているところ,その部分については,元の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分による法的効果(納税義務の確定)が消滅し,もはやこれを取り消す利益が失われたというべきであるから,その部分の取消しを求める訴えも不適法である。 11 結論以上の次第で,27号事件原告の平成9年分及び平成10年分の各所得税及び過少申告加算税賦課決定処分について取消しを求める訴えのうち平成16年4月9日付け減額更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の変更決定処分によって減額された部分についての訴え並びに29号事件原告の平成12年分所得税更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分の取消しを求める訴えは,いずれも不適法であるから却下することとし,27号事件原告に係る青色申告承認取消処分の取消しを求める請求については,理由がないから棄却することとし,その余の請求については,いずれも理由があるから認容することとし,訴訟費用の 却下することとし,27号事件原告に係る青色申告承認取消処分の取消しを求める請求については,理由がないから棄却することとし,その余の請求については,いずれも理由があるから認容することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,64条本文を適用して,主文のとおり,判決する。(別表省略)名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官舟橋恭子裁判官尾河吉久
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