平成23(行ケ)10331 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年5月23日 知的財産高等裁判所 2部 判決 請求棄却
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- 1 -平成24年5月23日判決言渡平成23年(行ケ)第10331号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年4月25日判決 原告パスカルエンジニアリング株式会社 訴訟代理人弁理士深見久郎 森田俊雄 吉田昌司 荒川伸夫 佐々木 眞 人 高橋智洋 被告株式会社コスメック 主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 原告が求めた判決特許庁が無効2009-800108号事件について平成23年9月6日にした審決を取り消す。 - 2 -第2 事案の概要本件は,被告からの無効審判請求に基づき原告の特許を無効とする審決の取消訴訟である。審判における争点は,訂正後の請求項1ないし5に係る発明の進歩性の有無であるが,本件訴訟では,上記請求項1に係る発明の進歩性の有無についての審決の判断の当否のみが争われている。 1 特許庁における手続の経緯原告は,名称を「クランプ装置」とする発明の特許権者である(特許第4217539号,平成15年6月2日特許出願,平成20年11月14日特許登録,請求項の数は7)。 これに対し,被告は,平成21年5月25日,請求項1ないし7の発明に係る特許につき無効審判請求をしたところ(無効2009-800108号),原告による訂正を経て,特許庁は,平成22年3月24日,上記訂正を認め,原告の請求を不成立とする審決(第1次審決)をした。そこで,被告が第1次審決の取消しを求めて訴えを提起したところ(当庁平成22年(行ケ)第10131号),平成23年1月27日,請求項1及び3の発明には の請求を不成立とする審決(第1次審決)をした。そこで,被告が第1次審決の取消しを求めて訴えを提起したところ(当庁平成22年(行ケ)第10131号),平成23年1月27日,請求項1及び3の発明には進歩性が認められず,請求項2,4,5の発明についても発明限定事項について検討した上で改めてその進歩性を判断すべきであるとの理由で,第1次審決を取り消す判決があり,確定した。原告は,平成23年3月22日,特許請求の範囲の記載の一部及び発明の詳細な説明の記載の一部を改める旨の本件訂正請求をした。 特許庁は,平成23年9月6日,「訂正を認める。特許第4217539号の請求項1~5に係る発明についての特許を無効とする。」との審決をし,この審決の謄本は同月15日に原告に送達された。 2 本件発明の要旨本件発明は,機械加工に供するワーク等を固定するクランプ装置に関する発明で,本件訂正後の請求項1ないし5の特許請求の範囲は以下のとおりである。 【請求項1(本件発明1)】 - 3 -「ベースに固定されたクランプ本体と,このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと,出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において,前記クランプ本体は,油圧給排用の油圧ポートと,前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と,この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と,前記油路の途中部に形成され,前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し,前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴とを有し,前記流量調整弁は,前記油路の途中部に形成された弁孔と,この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部と,弁体部の基端に連なる の長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴とを有し,前記流量調整弁は,前記油路の途中部に形成された弁孔と,この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部と,弁体部の基端に連なる軸部とを有し,この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と,前記油圧シリンダの油室側の小径部と,前記クランプ本体の側面側の基部とを有し,前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと,前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え,前記基部に,前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され,前記基部及び前記軸部は,前記クランプ本体から外側に露出し,前記弁部材は,この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し,前記油路は,前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と,前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み,前記弁部材は,前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と, - 4 -このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し,前記バイパス流路は,前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と,前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し,前記シール部材は,前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられる,ことを特徴とするクランプ装置。」【請求項2(本件発明2)】「前記弁体部に,油圧を微調整する為の切欠状の溝部であって,先端側ほど溝の深さが深い溝部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。」【請求項3(本件発明 請求項2(本件発明2)】「前記弁体部に,油圧を微調整する為の切欠状の溝部であって,先端側ほど溝の深さが深い溝部が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のクランプ装置。」【請求項3(本件発明3)】「ベースに固定されるクランプ本体と,このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと,出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する油圧シリンダとを有するクランプ装置において,前記クランプ本体は,油圧給排用の油圧ポートと,前記油圧ポートおよび前記油圧シリンダに接続された油圧給排用の油路と,この油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁と,前記油路の途中部に形成され,前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し,前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に形成された装着穴とを有し,前記流量調整弁は,前記油路の途中部に形成された弁座と,この弁座に対向する弁体部と,弁体部の基端に連なる軸部とを有し,この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材と,前記油圧シリンダの油室側の小径部と,前記クランプ本体の側面側の基部とを有 - 5 -し,前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと,前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部とを備え,前記基部に,前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され,前記基部及び前記軸部は,前記クランプ本体から外側に露出し,前記弁部材は,この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し,前記油路は,前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と,前記油 外側に露出し,前記弁部材は,この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し,前記油路は,前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と,前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路とを含み,前記弁部材は,前記弁体部と弁座との間の隙間をバイパスするバイパス流路と,このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し,前記バイパス流路は,前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と,前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し,前記シール部材は,前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられる,ことを特徴とするクランプ装置。」【請求項4(本件発明4)】「前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のクランプ装置。」【請求項5(本件発明5)】「前記弁部材に,油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ,このエア抜き弁は,前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と,前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のクランプ装置。」 3 審判で主張された無効理由 - 6 -(1) 無効理由1本件発明1,3は,下記刊行物記載の周知技術に,流量調節弁の周知技術及び弁ケースの周知技術を適用することにより,本件出願当時,当業者において容易に発明することができたもので,進歩性がない。 【引用刊行物】特開2001-107914号公報(甲34)(2) 無効理由2本件発明2は,前記(1)の刊行物記載の周知技術に,前記流量調節弁の周知技術,弁ケースの周 たもので,進歩性がない。 【引用刊行物】特開2001-107914号公報(甲34)(2) 無効理由2本件発明2は,前記(1)の刊行物記載の周知技術に,前記流量調節弁の周知技術,弁ケースの周知技術及び切欠き状の溝部の周知技術を適用することにより,本件出願当時,当業者において容易に発明することができたもので,進歩性がない。 (3) 無効理由3本件発明4は,前記(1)の刊行物記載の周知技術に,前記流量調節弁の周知技術,弁ケースの周知技術,切欠き状の溝部の周知技術及び防塵カバーの周知技術を適用することにより,本件出願当時,当業者において容易に発明することができたもので,進歩性がない。 (4) 無効理由4本件発明5は,前記(1)の刊行物記載の周知技術に,前記流量調節弁の周知技術,弁ケースの周知技術,切欠き状の溝部の周知技術及びエア抜き弁の周知技術を適用することにより,本件出願当時,当業者において容易に発明することができたもので,進歩性がない。 4 審決の理由の要点【引用刊行物記載の発明(甲第34号証発明)】「固定側部材100に固定されたシリンダチューブ1及びロッドカバー7と,このシリンダチューブ1及びロッドカバー7に摺動可能に貫通されたピストンロッド44とを有するクランプシリンダにおいて,前記ロッドカバー7には,圧流体を給排するために,側面7aに側面配管ポート15a,15b,取付け面12に端面配管ポート17a,17bが設けられ,一方 - 7 -の側面配管ポート15aは,前側シリンダ室P1に連通する第1連通路16aに連通し,他方の側面配管ポート15bは,流体通過孔4b及び連絡溝26を介して後側シリンダ室P2に連通する第2連通路16bに連通しており,端面配管ポート17a,17bは各側面配管ポート15a,15bに連通して 他方の側面配管ポート15bは,流体通過孔4b及び連絡溝26を介して後側シリンダ室P2に連通する第2連通路16bに連通しており,端面配管ポート17a,17bは各側面配管ポート15a,15bに連通しているクランプシリンダ。」【甲第34号証発明と本件発明1の一致点(本件発明2ないし4についても同様。)】「ベースに固定されたクランプ本体と,このクランプ本体に進退可能に装着された出力ロッドと,出力ロッドを進出側と退入側の少なくとも一方に駆動する流体圧シリンダとを有するクランプ装置において,前記クランプ本体は,流体圧給排用の流体圧ポートと,前記流体圧ポートおよび前記流体圧シリンダに接続された流体圧給排用の流路とを有するクランプ装置」である点。 【甲第34号証発明と本件発明1の相違点】・相違点1本件発明1は,「油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁」を有し,その流量調整弁は「前記油路の途中部に形成された弁孔と,この弁孔に少なくとも部分的に挿入される弁体部と,弁体部の基端に連なる軸部とを有し,この弁体部が弁孔に接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁孔との間の隙間を調節可能な弁部材と,前記油圧シリンダの油室側の小径部と,前記クランプ本体の側面側の基部とを有し,前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと,前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え,前記基部に,前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され,前記基部および前記軸部は,前記クランプ本体から外側に露出し,前記弁部材は,この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し,前記弁部材は,前記弁体 - 8 -部と弁孔との間の 軸部は,前記クランプ本体から外側に露出し,前記弁部材は,この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し,前記弁部材は,前記弁体 - 8 -部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と,このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し,前記バイパス流路は,前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と,前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し,前記シール部材は,前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられ」ているのに対し,甲第34号証発明は,そのような流量調整弁を有していない点。 ・相違点2本件発明1のクランプ本体は,「前記油路の途中部に形成され,前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し,前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴」を有し,油路は,装着穴により,「前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と,前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路と」に分かれているのに対して,甲第34号証発明は,ロッドカバー7の側面7aに形成された側面配管ポート15a,15b及び該側面配管ポート15a,15bから延びる第1連通路16a,第2連通路16bを備えるものの,流量調節弁を有しておらず,したがって,上記構成を備えていない点。 ・相違点3本件発明1は,作動流体が「油」であり,流体圧シリンダが「油圧シリンダ」であり,流体圧ポートが「油圧ポート」であるのに対し,甲第34号証発明は,作動流体が不明である点。 【甲第34号証発明と本件発明1の相違点に係る構成の容易想到性の判断等】「(2-1)相違点1についてまず,甲第34号証発明のクランプシリンダに流量調整 4号証発明は,作動流体が不明である点。 【甲第34号証発明と本件発明1の相違点に係る構成の容易想到性の判断等】「(2-1)相違点1についてまず,甲第34号証発明のクランプシリンダに流量調整弁を内蔵するという動機付けの存否について検討する。 甲第1号証には,甲第34号証発明と同一の技術分野であるクランプシリンダにおいて,複数の油圧クランプの作動速度を選択的かつ個別に制御するために,シリンダ本体18内に流量制御手段26を形成することが記載されている(上記記載事項さ(判決注:甲第1号証の4欄48~53行)参照)。 - 9 -甲第2号証には,甲第34号証発明と同一の技術分野であるクランプシリンダにおいて,シリンダ装置に開閉部材と調整スロットル(流量制御弁に相当)を内蔵することが記載されており,調整スロットルにより流量を調整することで,ピストンロッド2を早く押し出すことが可能となっている(上記記載事項ち,つ(判決注:段落【0037】,【0041】)参照)。 よって,甲第1号証及び甲第2号証の上記記載事項を参酌すると,ピストンロッドの作動速度を制御するために,クランプシリンダのシリンダ本体内に流量制御弁を設けることは,従来周知の技術であるといえる。 そうすると,甲第34号証発明のクランプシリンダにおいても,ピストンロッド44の作動速度を調整することが好適であることは,容易に理解できることであるから,甲第34号証発明のクランプシリンダに流量調整弁を内蔵するという動機付けは,十分存在するといえる。 次に,甲第34号証発明のクランプシリンダに甲第65号証の流量調整弁を適用することの容易想到性について検討する。 甲第1号証及び甲第2号証に関する上記記載事項さ~つ(判決注:甲第1号証の4欄48~53行,5欄11~24行,甲第2号証の段落【0 65号証の流量調整弁を適用することの容易想到性について検討する。 甲第1号証及び甲第2号証に関する上記記載事項さ~つ(判決注:甲第1号証の4欄48~53行,5欄11~24行,甲第2号証の段落【0001】,【0037】,【0041】)を参酌すると,クランプシリンダに一般的に用いられる流量調整弁は,クランプを駆動するための油圧を給排する油路に設けられ,クランプに固定されるピストンロッドの作動領域において,ピストンロッドの作動速度を調整するものであることが理解できる。 一方,甲第65号証の流量調整弁は,逆止弁と絞り弁とが一体化された逆止弁および絞り弁ユニット6を設け,ピストン棒8の作動途中で通路を切り換えてクッション作用を奏する流体圧シリンダに関するものであり,具体的には,ピストン3の移動によるピストン棒8の行程の終端附近では,ピストン棒8のクッションリング13が室10内に侵入することにより,そこに存在する通路が閉じられ,シリンダ室から流体が排出されるのが阻止されるとともに,この閉じられた通路とは別の通路26を経由して流体が流れ,通路26から室10への間に設けられたユニット6が,その内部を流れる流体の流量を調整するものと認められる。逆止弁および絞り弁ユニット6は,より具体的には,上記の通路26から室10へ流体が流れる場合には,逆止弁であるボール弁が閉じた状態で絞り弁により流量を調整し,シリンダ室内から排出される流体に絞り抵抗を付与してピストン3及びピストン棒8の作動速度が遅くなるように制御する一方,ピストン棒8の戻り行程では,逆止弁が開いて室10からの自由流れを許容するものである。また,行程の終端附近以外のピストン棒8の作動領域では,ピストン棒8のクッションリング13が室10内に侵入しないことにより,そこに存在する通路が開かれ,この通路を主 の自由流れを許容するものである。また,行程の終端附近以外のピストン棒8の作動領域では,ピストン棒8のクッションリング13が室10内に侵入しないことにより,そこに存在する通路が開かれ,この通路を主体としてユニット6をほとんど経由せずに流体が流れる。 したがって,甲第65号証の解決課題とされるピストン3のクッション作用は,ピストン棒8に設けられたクッションリング13の動作によって,行程の終端附近で流体が流れる通路が通路26に切り換えられ,その後,通路26を流れる流体の流量を,逆止弁と絞り弁とが一体化された逆止弁および絞り弁ユニット6が調整することによって達成されるものと認められる。 - 10 -そして,逆止弁および絞り弁ユニット6は,ピストン棒8の作動の全領域に亘って作動するものでないが,流体の流路が通路26に切り換えられた後に,クッションリング13の動作とは関係なく,一方向においては逆止弁が閉じた状態で絞り弁により流量を調整する一方,他方向においては逆止弁が開いて自由流れを許容するという,一般的な絞り弁としての機能を果たしているものであり,その限りにおいて,甲第1号証及び甲第2号証に開示された周知の流量調整弁と機能的に何ら相違しないものと解される。 そうすると,甲第65号証の流量調整弁に接した当業者は,逆止弁および絞り弁ユニット6が,ピストン棒8の作動の全領域に亘って作動するものでないとしても,一方向においては逆止弁が閉じた状態で絞り弁にて流量を調整する一方,他方向においては逆止弁が開いて自由流れを許容するという,周知の流量調整弁の一形態である絞り弁として技術的に把握できるものといわなければならない。 そして,甲第65号証には,流路を流れる流体の流量を調整可能な流量調整弁として,シリンダと連通する通路26と給排通路12の間に,弁座を る絞り弁として技術的に把握できるものといわなければならない。 そして,甲第65号証には,流路を流れる流体の流量を調整可能な流量調整弁として,シリンダと連通する通路26と給排通路12の間に,弁座を構成する上部孔25を有する孔を設け,この上部孔25に挿入される最上端部32を有する上部部材28と,上部部材28がはまり込んで内部に逆止弁室29を形成する下部部材27とを有し,この上部部材28を上部孔25に接近/離隔する方向に移動させ,最上端部32と上部孔25との間の隙間を調節する操作部(切込み37)を備えた逆止弁および絞り弁ユニット6を,前記孔に装着したものであって,前記逆止弁および絞り弁ユニット6は,前記最上端部32と前記上部孔25との間の隙間をバイパスする,前記逆止弁室29から前記孔が延びる方向に延びるように前記逆止弁および絞り弁ユニット6の内側に形成された孔33と,前記逆止弁室29から上部部材28の側面に設けられた通路36と,この逆止弁室29から孔33への流れを閉止する球弁34と,前記逆止弁および絞り弁ユニット6の外周面と周囲との間をシールするために,前記通路36に対して前記逆止弁および絞り弁ユニット6の根元側にOリング30を備えたもの,つまり,本件発明1の用語を使用して記載すると,油路を流れる油の流量を調整可能な流量調整弁として,油圧シリンダに連なる第2油路と油圧ポートと接続する第1油路の間に,弁孔を有する装着穴を設け,この弁孔に挿入される弁体部を有する,つまり,弁体部の基端に連なる軸部も有する上部部材28と,上部部材28がはまり込んで内部に逆止弁室29を形成する下部部材27とを有し,この弁体部を弁孔に接近/離隔する方向に移動させ,弁体部と弁孔との間の隙間を調節する操作部(切込み37)を備えた弁部材を,前記装着穴に装着したものであって,前 弁室29を形成する下部部材27とを有し,この弁体部を弁孔に接近/離隔する方向に移動させ,弁体部と弁孔との間の隙間を調節する操作部(切込み37)を備えた弁部材を,前記装着穴に装着したものであって,前記弁部材は,前記弁体部と前記弁孔との間の隙間をバイパスする,前記逆止弁室29から前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁部材の内側に形成された第1部分と,前記逆止弁室29から放射状に径方向外側に延びるように設けられた第2部分と,この逆止弁室29から第1部分への流れを閉止する逆止弁と,前記弁部材の外周面と周囲との間をシールするために,前記第2部分に対して前記弁部材の基端側にシール部材を備えたものが記載されている。 また,流量調整弁の取付け構造において,装着穴に螺合する小径部と該小径部より径が大き - 11 -く,装着穴から外部に突出する部位を有する弁ケースに,弁ケース内周面との間をシールするために弁部材の外周面にシール部材を装着した弁部材を,弁部材の操作部が弁ケースから突出するように螺着する技術は,甲第58号証(実願昭61-42224号(実開昭62-153406号)のマイクロフィルム)のアダプタ9,20とニードル弁14,23の取付け構造,及び甲第42号証(特開平6-249214号公報)のニードルホルダ25とニードル26の取付け構造として記載されているように周知の技術である。 したがって,甲第34号証発明のクランプシリンダにおいて,ピストンロッドの作動速度を調整する観点から,流量調整弁を内蔵するという動機付けが存するから,甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁を装着することは,当業者が容易に想到できるものであり,その際,前記周知の弁ケースを使用して装着する技術を利用することも,当業者が適宜なし得たものである。 リンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁を装着することは,当業者が容易に想到できるものであり,その際,前記周知の弁ケースを使用して装着する技術を利用することも,当業者が適宜なし得たものである。 よって,甲第34号証発明に,甲第65号証に記載された流量調整弁を装着する際,上記周知の弁ケースを使用して装着することにより,上記相違点1に係る本願発明1のように構成することは,当業者が容易に想到し得たものである。 この点について,原告は,上記・・・に摘記したように主張しているが(判決注:弁ケースを設けたことによるメリットに係る主張),上記のとおり,前記甲第58号証及び甲第42号証に示されるように,流量調整弁の取付け構造として,弁ケースを介在させる技術は従来周知の技術であり,その効果も予測しうるものであるから,原告の主張は採用できない。 (2-2)相違点2について甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁を装着する際,流量調整弁の装着穴を,クランプシリンダに対してどのように配置するかは,装着穴の加工性,流量調整弁の操作性等考慮して,当業者が適宜設計しえたものである。 甲第65号証には,逆止弁および絞り弁ユニット6を装着する孔を,シリンダヘッドの側面に開口し,ピストン棒8の長手方向と交差する方向に延びるように形成することが図面に記載ないし示唆されている。また,甲第34号証の第1連通路16a及び第2連通路16bは,ロッドカバー7の側面7aに開口する側面配管ポート15a,15b,及び取付け面12に開口する端面配管ポート17a,17bと連通するようにT字状となっており(・・・段落【0008】及び図1参照),構造上配管ポートには,配管のみならず,弁などの他の部材を装着しうること(甲第2号証の図9参照),及び甲第65号証の ,17bと連通するようにT字状となっており(・・・段落【0008】及び図1参照),構造上配管ポートには,配管のみならず,弁などの他の部材を装着しうること(甲第2号証の図9参照),及び甲第65号証の逆止弁および絞り弁ユニット6を設ける,上部孔25を有する孔と,通路26とがT字状となっていること(上記記載事項き,く(判決注:甲65の2頁3欄40行~4欄36行,2頁4欄37行~3頁5欄10行)及び図2参照)から,当業者であれば,甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁を装着する際,甲第34号証に記載された側面配管ポート15a,15bに,甲第65号証の逆止弁および絞りユニット6を装着するように,流量調整弁を設けることも容易に想到しうるものであり,装着穴をクランプ本体の側面におけるベースよりも上方に位置する部 - 12 -分に開口し,出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成することに格別の困難性はない。 なお,相違点2の油路が,装着穴により,『前記油圧ポートと前記装着穴の内周面とを接続する第1油路と,前記油圧シリンダの油室に連なる第2油路と』に分かれている点は,結局,装着穴が『前記油路の途中部に形成され』たものであることを油路側の観点で記載しただけであると認められ,・・・甲第65号証に記載された流量調整弁の構成として特定されている事項にすぎない。 この点について,原告は,・・・平成23年3月22日付の訂正により,本件発明における『装着穴』の位置が特定され,この特定により,『側面配管ポート15a,15b』に流量調整弁を設けるしかなく,甲第34号証発明に甲第32号証発明(審決注:『甲第65号証発明』と内容として同じ。)を組み合わせて本件発明を得ることには,阻害要因が存在する旨,主張している。 しかし, 量調整弁を設けるしかなく,甲第34号証発明に甲第32号証発明(審決注:『甲第65号証発明』と内容として同じ。)を組み合わせて本件発明を得ることには,阻害要因が存在する旨,主張している。 しかし,本件発明1の装着穴は,『油路の途中部に形成され,前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し,前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された』と規定されているだけであり,甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁(ユニット6)を適用しようとする場合も,その位置が側面配管ポート15a,15bに限定されるものではなく,例えば,弁部材が出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着できるのであれば,油圧シリンダの油室から両配管ポートの分岐箇所までの適宜の位置に流量調整弁を設けること(例えば,甲第34号証発明の側面配管ポート15a,15bの流路に対して,他の側面位置から装着穴を設けたり,或いは,甲第34号証では,流体圧給排用の流路について側面配管ポートを側面に設ける以上には特定されていないから,甲第34号証に記載の側面配管ポート15a,15bを装着穴とし,他の側面位置に側面配管ポートを設けて,装着穴と連通させること)も検討可能であるから,甲第34号証発明が配管接続の自由度を増大させていることは,当業者による前記適用を阻害する理由となるものではない。 (2-3)相違点3について流体圧シリンダとして作動流体を油とし,油圧シリンダ及び油圧ポートとすることは,周知・慣用の事項であり,クランプ装置においても,油圧シリンダを使用することは通常行われていることであるから,甲第34号証発明の作動流体を油とし,流体圧シリンダを油圧シリンダとし,流体圧ポートを油圧ポートとすることに,格別の困難性はない。 いても,油圧シリンダを使用することは通常行われていることであるから,甲第34号証発明の作動流体を油とし,流体圧シリンダを油圧シリンダとし,流体圧ポートを油圧ポートとすることに,格別の困難性はない。 (2-4)効果について本件発明1が,甲第34号証及び甲第65号証に記載された発明並びに上記周知の技術から当業者が予測できないような格別顕著な作用・効果を奏するとはいえない。 (3)小括したがって,本件発明1は,甲第34号証及び甲第65号証に記載された発明並びに上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」 - 13 -【甲第34号証発明と本件発明2の相違点(相違点1ないし3に加えて)】・相違点4本件発明2は,前記弁体部に,油圧を微調整する為の切欠状の溝部であって,先端側ほど溝の深さが深い溝部が形成されたのに対し,甲第34号証発明は,その点が明らかでない点。 【甲第34号証発明と本件発明2の相違点に係る構成の容易想到性判断】「上記相違点1~3については上記(判決注:甲第34号証発明と本件発明1の相違点に係る構成の容易想到性判断)において検討したので,以下に上記相違点4について検討する。 流量調整弁において,弁体部に,流量を微調整する為の切欠状の溝部であって,先端側ほど溝の深さが深い溝部が形成されたものは,甲第11号証の段落【0029】の『図7,8は,弁部材8の部分8bが,この場合,その外周面の直径的に反対側の位置に形成される二つの縦方向凹所または溝23を有する中実の円筒形要素によって構成される,別の実施例を示す。この場合,各縦方向溝23はそれぞれ,円筒形部分8bの頂端から底端まで,ゼロ値から予定の値まで直線的に増加する深さの,弁部材8の部分8bの全長に亘ってV字形断面を有する(図7)。』との記 例を示す。この場合,各縦方向溝23はそれぞれ,円筒形部分8bの頂端から底端まで,ゼロ値から予定の値まで直線的に増加する深さの,弁部材8の部分8bの全長に亘ってV字形断面を有する(図7)。』との記載及び図7~8,甲第12号証の段落【0001】の『弁の調整円錐体にして,調整円錐体の周囲面に,調整円錐体の長手軸に沿って断面積が増加するほぼV字形の溝が設けられている調整円錐体に関する。』との記載及び図1~2,甲第13号証の段落【0018】~【0020】の『12は制御弁であって,前記閉止弁10の下端部に螺合接着されており,前記開口部5の軸線とその軸線を一致させて,開口部5に摺動自在に気密に嵌合支持されるとともに,周面には先端に向かって断面積が比例的に増加する流量調節用の断面円弧状の溝12aが形成されている。』との記載及び図3,並びに甲第17号証の『合成樹脂製のコマ本体1の軸2の末端に水栓類Aの弁口4の内径よりやや小さい外径を有する制御弁脚5を作り付けに形成し,該制御弁脚5の基部周面に環状の凹凸部7を設け,その制御弁脚5の周面に軸方向に平行し,かつ内下方に傾斜する斜溝8を備えた水栓類に於ける節水コマ。』(明細書第1頁第5~10行)との記載及び第2図などから明らかなように周知の技術である。 よって,相違点4に係る本件発明2の構成は,甲第34号証発明に,甲第65号証に記載された発明を適用するにあたって,上記周知の技術を適用することによって,当業者が容易になし得たものである。」「したがって,本件発明2は,甲第34号証及び甲第65号証に記載された発明並びに上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」【甲第34号証発明と本件発明3の相違点(相違点2,3に加えて)】・相違点1' - 14 -本件発明3は,「油路を流 周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」【甲第34号証発明と本件発明3の相違点(相違点2,3に加えて)】・相違点1' - 14 -本件発明3は,「油路を流れる油圧の流量を調節可能な流量調整弁」を有し,その流量調整弁は「前記油路の途中部に形成された弁座と,この弁座に対向する弁体部と,弁体部の基端に連なる軸部とを有し,この弁体部が弁座に対して接近/離隔する方向にクランプ本体に相対移動可能に設けられ弁体部と弁座との間の隙間を調節可能な弁部材と,前記油圧シリンダの油室側の小径部と,前記クランプ本体の側面側の基部とを有し,前記小径部が前記装着穴に内嵌状に螺合される弁ケースと,前記弁部材の外周面と前記弁ケースの内周面との間をシールするために前記弁部材に設けられたシール部材とを備え,前記基部に,前記軸部が前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着され,前記基部および前記軸部は,前記クランプ本体から外側に露出し,前記弁部材は,この弁部材をクランプ本体に対して前記接近/離隔方向に相対移動させる為の操作部を有し,前記弁部材は,前記弁体部と弁孔との間の隙間をバイパスするバイパス流路と,このバイパス流路を一方向にのみ閉止する逆止弁をさらに有し,前記バイパス流路は,前記装着穴が延びる方向に延びるように前記弁体部の内側に形成された第1部分と,前記第1部分から放射状に径方向外側へ延びるように形成された第2部分とを有し,前記シール部材は,前記第2部分に対して前記弁部材の基端側に設けられ」ているのに対し,甲第34号証発明は,そのような流量調整弁を有していない点。 【甲第34号証発明と本件発明3の相違点に係る構成の容易想到性判断】「上記相違点2及び3については上記・・・(判決注:甲第34号証発明と本件発明1の相違点に係る構 な流量調整弁を有していない点。 【甲第34号証発明と本件発明3の相違点に係る構成の容易想到性判断】「上記相違点2及び3については上記・・・(判決注:甲第34号証発明と本件発明1の相違点に係る構成の容易想到性判断)において検討したので,相違点1’について検討する。 まず,相違点1と相違点1’の比較してみると,相違点1,つまり,本件発明1の流量調整弁は『弁孔』を有し,弁体部が『この弁孔に少なくとも部分的に挿入される』ものであるのに対して,相違点1’,つまり,本件発明3の流量調整弁は『弁座』を有し,弁体部が『弁座に対向する』ものである点で相違する。 しかし,両者は流量調整弁として,周知の構成であるから,相違点1’に係る本件発明3の構成は,甲第34号証発明に,甲第65号証に記載された発明を適用するにあたって,上記周知の技術を適用することによって,当業者が容易になし得たものである。」「したがって,本件発明3は,甲第34号証及び甲第65号証に記載された発明並びに上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。」 - 15 -【甲第34号証発明と本件発明4の相違点(相違点1',2,3に加えて)】・相違点5本件発明4は,前記流量調整弁を部分的に覆う防塵カバーが設けられたのに対し,甲第34号証発明は,その点が明らかではない点。 【甲第34号証発明と本件発明4の相違点に係る構成の容易想到性判断】「上記相違点1’,2及び3については上記・・・(判決注:甲第34号証発明と本件発明3の相違点に係る構成の容易想到性判断)において検討したので,以下に上記相違点5について検討する。 外部に一部が露出している弁部材において,弁の当該露出部を部分的に覆う防塵カバーを設けることは,甲第18号証の段落【0013】及び図1,甲第19 検討したので,以下に上記相違点5について検討する。 外部に一部が露出している弁部材において,弁の当該露出部を部分的に覆う防塵カバーを設けることは,甲第18号証の段落【0013】及び図1,甲第19号証の図1,並びに甲第20号証の図1に記載されているように周知の技術である。 よって,相違点5に係る本件発明4の構成は,甲第34号証発明に,甲第65号証に記載された発明を適用するにあたって,上記周知の技術を適用することによって,当業者が容易になし得たものである。」【甲第34号証発明と本件発明5の相違点(相違点1又は1',2,3に加えて)】・相違点6本件発明5は,前記弁部材に,油圧中に混入したエアを排出する為のエア抜き弁が設けられ,このエア抜き弁は,前記油路に連通するエア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と,前記弁部材に螺着され前記エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なネジ部材とを備えたのに対し,甲第34号証発明は,その点が明らかではない点。 【甲第34号証発明と本件発明5の相違点に係る構成の容易想到性判断】「上記相違点1,1’,2及び3については上記・・・(判決注:甲第34号証発明と本件発明1の相違点に係る構成の容易想到性判断,あるいは,甲第34号証発明と本件発明3の相違点に係る構成の容易想到性判断)において検討したので,以下に上記相違点6について検討する。 弁部材に,液体に混入したエアを排出するため,エア抜き機構を設けることは,甲第25号証の第2欄第52~56行及び図,甲第29号証の請求項1及び図1に記載されているように周知の技術である。 また,エア抜き機構として,エア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と,エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なねじ部材とを有するものは,甲第24号証の段落【0 - 知の技術である。 また,エア抜き機構として,エア抜き孔を閉止可能なエア抜き用弁体と,エア抜き用弁体をエア抜き孔を閉止する方向に押圧可能なねじ部材とを有するものは,甲第24号証の段落【0 - 16 -038】~【0039】及び図4,甲第25号証の第2欄第52~62行及び図面,甲第26号証の段落【0020】及び図4~5,並びに甲第27号証の第1図に記載されているように周知の技術である。 よって,相違点6に係る本件発明5の構成は,甲第34号証発明に,甲第65号証に記載された発明を適用するにあたって,上記周知の技術を適用することによって,当業者が容易になし得たものである。」 第3 原告主張の審決取消事由以下のとおり,審決がした相違点1,2に係る構成の容易想到性判断は誤りである。 1 甲第65号証の流量調整弁であるユニット6は,「弁ケース」を加えなくてもその機能を発揮し得るものであるところ,これを甲第34号証発明のクランプシリンダに内蔵させる場合でも,「弁ケース」を加えずにそのまま取り付ければ足りる。 また,上記ユニット6は,シリンダヘッド4に完全に埋設されるものであって,あえて装着穴から外部に突出する「弁ケース」を設ける必要はない。 ところが,審決は,具体的な根拠を示すことなく,「流量調整弁の取付け構造において,装着穴に螺合する小径部と該小径部より径が大きく,装着穴から外部に突出する部位を有する弁ケースに,弁ケース内周面との間をシールするために弁部材の操作部が弁ケースから突出するように螺着する技術は,甲第58号証・・・及び甲第42号証・・・として記載されているように周知の技術である。したがって,甲第34号証発明のクランプシリンダにおいて,ピストンロッドの作動速度を調整する観点から,流量調整弁を内蔵するという動機付けが存するから, ・・として記載されているように周知の技術である。したがって,甲第34号証発明のクランプシリンダにおいて,ピストンロッドの作動速度を調整する観点から,流量調整弁を内蔵するという動機付けが存するから,甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁を装着することは,当業者が容易に想到できるものであり,その際,前記周知の弁ケースを使用して装着する技術を利用することも,当業者が適宜なし得たものである。」(37,38頁)としており,かかる判断は誤りである。 加えて,審決が周知技術の裏付けとして引用する甲第42,第58号証は,いずれも単なるニードル弁を開示するものにすぎず,バイパス流路を備えた本件発明1 - 17 -や甲第65号証の流量調整弁とは構造が異なる。バイパス流路を備えた流量調整弁をクランプ装置本体に設けるに当たって,流量調整弁に「弁ケース」を加える周知技術は存在しないのであって,かかる周知技術を認定した点でも,審決の上記判断は誤りである。 結局,審決がした相違点1に係る構成の容易想到性判断は誤りである。 2(1) そもそも,本件発明1は,本件明細書に記載のとおり,「特許文献1(判決注:米国特許第5695177号明細書,甲1)に記載のクランプ装置においては,水平に延びる油路に対して垂直方向にニードルバルブを突入させるために,出力ロッドの近傍部にニードルバルブが上方から装着されており,油圧の流量を調整する際にニードルバルブを操作しにくい」(段落【0007】),「特許文献2(判決注:特開2000-145724号公報,甲2)に記載のクランプ装置においては,・・・油圧の流量調整の為の構成が複雑になるし,・・・クランプ本体のサイズをコンパクトにすることが困難な場合もある。・・・さらに,この調整スロットルは出力ロッドの )に記載のクランプ装置においては,・・・油圧の流量調整の為の構成が複雑になるし,・・・クランプ本体のサイズをコンパクトにすることが困難な場合もある。・・・さらに,この調整スロットルは出力ロッドの近傍部に上方から装着されるため,特許文献1のクランプ装置と同様に操作性の面で不利な場合がある。」(段落【0008】)という従来技術の欠点を解決するべく,「油圧の流量を容易且つ確実に微調整可能に構成すること,流量調整の為の構成を簡単化してその構成を含むクランプ本体をコンパクトにすること,油圧の流量を調整するために操作される部材の操作性を向上させる」(段落【0009】)目的で,「前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように形成された装着穴」を「クランプ本体」に形成し,「装着穴」に「弁ケース」を内嵌状に螺合させ,「弁ケース」の基部に「弁部材」の軸部を出力ロッドの長手方向と交差する方向に螺着させ,「弁部材」をクランプ本体に対して接近/離隔方向に相対移動させるための「操作部」を形成するという構成を採用したものである。 上記の技術的課題及び解決手段は,甲第34号証にも,審決が引用するその余の文献にも記載も示唆もされていない。 また,甲第1,第2号証から読み取れるのは,流量調整弁をクランプ装置に内蔵 - 18 -させるという動機付けのみであって,流量調整弁の操作性を良くするために,側面から流量調整弁を装着するという構成を採用する動機付けを甲第1,第2号証から読み取ることはできない。したがって,甲第1,第2号証の記載事項を参酌しても,上方から流量調整弁を装着する構成に想到することができるだけで,側面から流量調整弁を装着するという構成に至る動機がない。したがって,「甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁を装着する を装着する構成に想到することができるだけで,側面から流量調整弁を装着するという構成に至る動機がない。したがって,「甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁を装着する際,甲第34号証に記載された側面配管ポート15a,15bに,甲第65号証の逆止弁および絞りユニット6を装着するように,流量調整弁を設けることも容易に想到しうる」(38頁)との審決の判断は,かかる構成に改める動機付けを欠くにもかかわらず後知恵に基づいてされたものである。なお,甲第2号証の図9は,同書証の発明の出願当時の従来技術を示すものにすぎず,クランプ装置本体に流量調整弁(上方から操作する。)を外付けする趣旨のものであって,クランプ装置本体に流量調整弁を内蔵するものではない。 また,容易想到性判断に関しては,甲第34号証発明のクランプシリンダの側面に流量調整弁を物理的に装着できるだけでは不十分である。 (2) 本件訂正により,本件発明1では,流量調整弁の取付位置が甲第34号証発明のクランプ装置の側面配管ポート15a,15bに相当する位置に限定されている。また,甲第65号証の流量調整弁であるユニット6は,流路と同一の方向になるように,流路の曲がり角に向かって装着されるものであるから,甲第34号証発明のクランプシリンダにユニット6を追加するとすれば,クランプアーム45側のT字状をなす流路と同一の方向になるようにするべく,側面配管ポート15a,15bにユニット6を装着するほかはない(側方から「装着穴」を設けてユニット6を追加する場合。甲第34号証発明のクランプシリンダには,T字状の流路の曲がり角が5個所あるが,シリンダヘッド21側の2個所は本件訂正の結果,ユニット6を取り付けることはできないし,クランプアーム45側の3個所のうち,ピストンロッド ランプシリンダには,T字状の流路の曲がり角が5個所あるが,シリンダヘッド21側の2個所は本件訂正の結果,ユニット6を取り付けることはできないし,クランプアーム45側の3個所のうち,ピストンロッド44に近い2個所は,ロッドカバー7の上方からユニット6を取り付け - 19 -るしかない。)。 そして,甲第34号証のクランプシリンダの側面配管ポート15a,15bの流路に対して,同流路の側面の同ポート以外の位置に,流量調整弁の「装着穴」を設けるとした場合には,「装着穴」とその先の流路が異なる方向を向き,流量調整弁が機能を発揮できなくなる。したがって,当業者としては,この場合,どの位置に,どのような構造の「装着穴」を設けたらよいのか分からない。 しかるに,審決は,上記限定を看過して,相違点2に関する原告の主張につき,「甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁(ユニット6)を適用しようとする場合も,その位置が側面配管ポート15a,15bに限定されるものではなく,例えば,・・・油圧シリンダの油室から両配管ポートの分岐個所までの適宜の位置に流量調整弁を設けること(例えば,甲第34号証発明の側面配管ポート15a,15bの流路に対して,他の側面位置から装着穴を設けたり,・・・)も検討可能である」と説示したが(39頁),この判断は誤りである。 (3) クランプシリンダにおける配管の自由度を増大させつつ,甲第65号証の流量調整弁を甲第34号証発明のクランプシリンダに内蔵させるのであれば,同クランプシリンダの第2連通路16bに対してロッドカバー7の上方から流量調整弁を差し込むように装着するのが自然な設計である。本件明細書において先行技術として引用されている甲第1,第2号証のクランプ装置でも,クランプ本体に対して上方から してロッドカバー7の上方から流量調整弁を差し込むように装着するのが自然な設計である。本件明細書において先行技術として引用されている甲第1,第2号証のクランプ装置でも,クランプ本体に対して上方から流量調整弁が取り付けられている。ところが,審決は,「当業者であれば,甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁を装着する際,甲第34号証に記載された側面配管ポート15a,15bに,甲第65号証の逆止弁およびユニット6を装着する・・・ように,流量調整弁を設けることも容易に想到し得るものであ」るとしたが(38頁),この判断は上記の自然な設計に反するもので,誤りである。 (4) 第1次取消訴訟の判決で判示されているように,甲第34号証発明では, - 20 -クランプシリンダの側面配管ポート15a,15b及び端面配管ポート17a,17bに配管を接続できるようにして配管接続の自由度を増大させている。側面配管ポート15a,15bを流量調整弁の「装着穴」にしてしまうと,かかる配管接続の自由度の増大を図ることができなくなるから,甲第34号証発明の趣旨に反する。 したがって,側面配管ポート15a,15bを「装着穴」とすることには阻害要因がある。また,甲第34号証発明の側面配管ポート15a,15bに流量調整弁を取り付けることができることを所与の前提として,かかる場合でも配管の自由度が確保できるか否かを検討するのは,不当な後知恵による事後分析にすぎない。そうすると,相違点2に関してした,「甲第34号証発明が配管接続の自由度を増大させていることは,当業者による前記適用を阻害する理由となるものではない。」(39頁)との審決の判断は誤りである。 (5) 結局,審決がした相違点2に係る構成の容易想到性判断は誤りである。 3 したがって,審 とは,当業者による前記適用を阻害する理由となるものではない。」(39頁)との審決の判断は誤りである。 (5) 結局,審決がした相違点2に係る構成の容易想到性判断は誤りである。 3 したがって,審決がした相違点1,2に係る構成の容易想到性判断は誤りである。 第4 取消事由に対する被告の反論 1 甲第34号証発明のクランプシリンダのようなクランプ装置の流体圧シリンダに弁ケースを介して流量調整弁を装着することは,甲第3,第4,第42,第44,第58,第68号証に記載されているように,当業者の周知・慣用技術であり,かかる構成を採用し得ることは当業者に自明な事柄にすぎない。したがって,審決に周知技術の認定の誤りはないし,相違点1に係る構成の容易想到性判断にも誤りはない。 2(1) 原告は,甲第34号証発明のクランプシリンダに流量調整弁を装着するとすれば,側面配管ポート15a,15bに装着するほかないが,かかる構成に改めるには阻害要因がある旨を主張する。 しかしながら,そもそも,本件発明1の装着穴48は,「油路(40,41)の途 - 21 -中部に形成され,前記クランプ本体(2)の側面における前記ベース(10)よりも上方に位置する部分に開口し,前記出力ロッド(3)の長手方向と交差する方向に延びるように形成された」とされているだけで,その配置構造が具体的に特定されていない。本件発明1の「クランプ本体(2)の側面におけるベース(10)よりも上方に位置する部分」も,クランプ本体2の上部外周の360度にわたる周面のうちどの部分であるのか特定されておらず(本件明細書の図3参照),また上部外周面に形成された前後左右の4つの側面のうちのどの側面であるのかも特定されていない。また,本件発明1の「出力ロッド(3)の長手方向と交差する方向」は,出力ロ らず(本件明細書の図3参照),また上部外周面に形成された前後左右の4つの側面のうちのどの側面であるのかも特定されていない。また,本件発明1の「出力ロッド(3)の長手方向と交差する方向」は,出力ロッド3の中心軸を通る垂直面と交差する方向を含む概念であるが,上記垂直面は無数に存在し,したがって当該垂直面に交差する方向も無数に存在するから,上記交差方向を特定できない。そうすると,流体調整弁の装着穴48の配置構造は,本件明細書の図2,3(甲34の図1,2も同様。)に記載された態様に限定されたものではない。 また,甲第34号証発明のクランプシリンダに流量調整弁を装着する場合に,装着場所が側面配管ポート15a,15bに限られるものではない。すなわち,当業者であれば,甲第32,第65号証の図2のユニット6を周知の流量調整弁と認識し,シリンダ室P1から第1連通路16aを経て両配管ポート15a,17aの分岐箇所までの位置で,ロッドカバー7の側面から上記流量調整弁を装着することを自然に想定する。これにより,側面配管ポート15aとは異なるロッドカバー側面に設けた装着穴に流量調整弁が取り付けられ,このとき,上記装着穴はピストンロッド44の中心軸を通る垂直面と交差する。あるいは,ロッドカバー7の角部の側面から流量調整弁を装着して,ピストンロッド44の中心軸を通る垂直面と交差するように配置することも可能である。これらのほかにも,ロッドカバー7の側面の多くの個所で流量調整弁及び装着穴を設けることが可能であるから,装着場所が側面配管ポート15a,15bに限られるものではない。 (2) 甲第65号証のユニット6のような流量調整弁をクランプ装置本体に取 - 22 -り付ける場合,シリンダの長手方向と交差する方向に取り付けるのは当業者に周知である。したがって,ロッ い。 (2) 甲第65号証のユニット6のような流量調整弁をクランプ装置本体に取 - 22 -り付ける場合,シリンダの長手方向と交差する方向に取り付けるのは当業者に周知である。したがって,ロッドカバー7の上方(クランプアーム45側)から下方(ヘッドカバー21側)に向かって流量調整弁を取り付けるのが自然な設計であるなどとはいえない。 (3) 本件発明1においては,油圧シリンダの油室から両配管ポートの分岐個所までの適宜の位置に流量調整弁を設けているのであって,甲第34号証発明において配管接続の自由度を増大させていることは,甲第34号証発明のクランプシリンダに甲第32,第65号証に記載の発明を阻害する理由にならない。 (4) 仮に甲第34号証発明のクランプシリンダが配管接続の自由度を増しているものであるとしても,かかる自由度が増加するのは,クランプ装置を使用しない状態に限られる。 すなわち,甲第34号証発明のクランプシリンダには側面配管ポート及び端面配管ポートの2つの配管ポートが設けられているが,ハウジング又はケーシングにT字状の通路を設けて,そのT字状の通路のアングル流路のエルボ部分に流量調整弁を挿入することは,周知・慣用技術にすぎない。当業者であれば,甲第34号証の図1から,上記のT字状の通路とアングル流路とを認識し,側面配管ポート15bを流量調整弁の装着穴(弁部材装着用のネジ孔S)として使用するとともに,端面配管ポート17bを圧油の給排ポート(圧力ポートP)として使用することを,極めて自然に想定できる。そして,そのクランプ装置を使用していない状態(固定部材に取り付ける前の状態,未使用状態)では,上記2種類のポートのうちの一方を圧油給排ポートとして選択し,他方をプラグ等で塞ぐことにより,側面配管ポート式のクランプ装置(甲57の図 いない状態(固定部材に取り付ける前の状態,未使用状態)では,上記2種類のポートのうちの一方を圧油給排ポートとして選択し,他方をプラグ等で塞ぐことにより,側面配管ポート式のクランプ装置(甲57の図12参照)と端面配管ポート式のクランプ装置(甲57の図13参照)の2種類のクランプ装置を1種類のクランプ装置で兼用できるのであって,配管接続の自由度が高い。 他方,固定側部材100にクランプシリンダを固定するときに,固定部材100内に油路を形成して,端面配管ポート17a又は17bに同油路を接続した場合に - 23 -は,側面配管ポート15a,15bにプラグをネジ止めすることになるのであって,この側面配管ポート15a,15bに新たに油圧配管(油路)を接続する必要はない。このとおり,クランプ装置を固定側部材に固定する場合(使用状態)には,配管接続のシステムが既に選択,構築されて当該接続状態が維持されることになるから,側面配管ポートと端面配管ポートのいずれか一方を油路の接続先として任意に選択する余地がない。 ところで,クランプ装置本体に流量調整弁を内蔵させる十分な動機付けがあるから,固定側部材100にクランプ装置が固定された使用状態において,当業者は,側面配管ポート15b又は15aにプラグがネジ止めされた上記クランプ装置を見ることにより,このプラグに代えて,側面配管ポート15b又は15aに甲第32,第65号証の「流量調整弁ユニット6」を装着することを,極めて自然に想定する。 したがって,審決の相違点2に係る構成の容易想到性判断にも誤りはない。 第5 当裁判所の判断 1 甲第1,第2号証(米国特許第5695177号明細書,特開2000-145724号公報)の記載に照らせば,ピストンロッドの作動速度を制御するべく,甲第34号発明のクランプシ 5 当裁判所の判断 1 甲第1,第2号証(米国特許第5695177号明細書,特開2000-145724号公報)の記載に照らせば,ピストンロッドの作動速度を制御するべく,甲第34号発明のクランプシリンダのシリンダ本体(シリンダチューブ1)の内部に,甲第1,第2号証に記載されているような周知の流量調整弁を取り付ける動機付けがあり,また甲第65号証(実公昭47-7330号公報)の流量調整弁であるユニット6の機能と上記周知の流量調整弁の機能の共通性にかんがみれば,本件出願当時,当業者において,甲第34号証に上記周知技術及び甲第65号証に記載された技術的事項を適用して,相違点1に係る構成に容易に想到できたものである。 これに対し,原告は,甲第65号証のユニット6にあえて「弁ケース」を設ける必要がないなどと主張する。しかしながら,甲第3,第4,第42,第44,第58,第68号証に記載されているように,クランプ装置の流体圧シリンダに弁ケースを介して流量調整弁を設けることは当業者の周知・慣用技術であり,かかる構成 - 24 -を採用し得ることは当業者に自明な事柄にすぎない。また,クランプシリンダのシリンダ本体内にバイパス流路が設けられているとしても,弁ケースを介する流量調整弁を設ける上で支障があるわけではないし,上記のとおりクランプ装置の流体圧シリンダに弁ケースを介して流量調整弁を設けることは当業者の周知・慣用技術にすぎないから,相違点1に係る構成の容易想到性についての前記結論が左右されるものではない。 2(1) 本件明細書(甲68)の段落【0007】ないし【0009】のとおり,本件発明1の技術的課題はクランプ装置の小型化(コンパクト化)及び操作性の向上にあるところ,甲第34号証には,解決すべき技術的課題に関し,「従来のクランプシリンダは,① ないし【0009】のとおり,本件発明1の技術的課題はクランプ装置の小型化(コンパクト化)及び操作性の向上にあるところ,甲第34号証には,解決すべき技術的課題に関し,「従来のクランプシリンダは,①シリンダチューブの前端にロッドカバーの嵌入軸部をOリングを介してシリンダ孔に嵌め込んで両者間をシールし,そのロッドカバーの背面が,機械ベースなどの固定側部材への取付け面となっているもの・・・,②シリンダチューブとロッドカバーとが一体成形されていてロッドカバー背面が機械ベースなどの固定側部材への取付け面となっているもの・・・が知られている。」(段落【0002】),「前記①のクランプシリンダでは,・・・Oリング溝形成のために,嵌入軸部の軸線方向長さがある程度必要となる。そのため,シリンダ孔内を軸線方向に移動するピストンの有効ストロークを一定にした場合,前記Oリング溝形成に要する嵌入軸部の軸線方向長さだけシリンダ全長が長くなり,コンパクトさに欠ける問題があった。一方,前記②ではそのような問題はない・・・。」(段落【0003】)との記載があるから,流量調整弁の設置個所に関してではないものの,クランプ装置全体の小型化(コンパクト化)が技術的課題として考慮されていることは明らかである。そして,甲第34号証発明では,固定側部材100よりも上方に位置するクランプシリンダのロッドカバー7の側面に側面配管ポート15a,15bを設ける構成が開示され,このポートに逆止弁を設けるときは,逆止弁の軸部がクランプロッドの長手方向と交差するようにされるのであって,甲第34号証発明と本件発明1との間で技術的課題の相違があるとしても,甲第34号証発明に周知の流量調整弁 - 25 -を組み合わせ,相違点2に係る構成に至る動機付けに欠けるものではない。 そして,審決が説示すると 件発明1との間で技術的課題の相違があるとしても,甲第34号証発明に周知の流量調整弁 - 25 -を組み合わせ,相違点2に係る構成に至る動機付けに欠けるものではない。 そして,審決が説示するとおり,「甲第34号証発明のクランプシリンダに,甲第65号証に開示された流量調整弁を装着する際,流量調整弁の装着穴を,クランプシリンダに対してどのように配置するかは,装着穴の加工性,流量調整弁の操作性等考慮して,当業者が適宜設計しえたものである」から,甲第34号証発明のクランプシリンダの油路と甲第65号証のクッション装置付きシリンダの通路の構造の類似性に照らし,当業者において相違点2を解消することは容易であるということができる。 (2) この点,原告は,甲第34号証発明のクランプシリンダに流量調整弁を装着するとすれば,側面配管ポート15a,15bに装着するほかないが,かかる構成に改めるには阻害要因がある旨を主張する。 しかしながら,甲第65号証(又は甲32)の流量調整弁は当業者に周知の絞り弁にすぎず,これを甲第34号証発明のクランプシリンダの油路の途中に設ける場合に,設置個所(装着箇所)をロッドカバー7の側面の開口部である側面配管ポート15a,15bに限る理由はなく,「油路の途中部に形成され,前記クランプ本体の側面における前記ベースよりも上方に位置する部分に開口し,前記出力ロッドの長手方向と交差する方向に延びるように」装着穴を形成することができるのであれば,流路(油路)の適宜の箇所に装着穴を設けて,これに流量調整弁を装着することができるというべきである。甲第65号証の図1,2には,流路(油路)が直角に曲がっている角に流量調整弁であるユニット6が設けられる様子が示されているが,クランプ装置に流量調整弁を内蔵させる際に,流量調整弁の構造や機能に応 る。甲第65号証の図1,2には,流路(油路)が直角に曲がっている角に流量調整弁であるユニット6が設けられる様子が示されているが,クランプ装置に流量調整弁を内蔵させる際に,流量調整弁の構造や機能に応じて,流路の形状,配置を適宜変更することは,当業者が通常行う設計的事項にすぎないから,甲第34号証発明のクランプシリンダにユニット6を内蔵させて,流体の流量を調整しようとする場合に,ユニット6の設置個所を流路の曲がり角の1つがある側面配管ポート15a,15bに限らなければならないものではない。そうすると,原告の上記主張はその前提を欠くから,採用することができない。 - 26 -(3) 結局,審決がした相違点2に係る構成の容易想到性判断に誤りはない。 したがって,審決の本件発明1の進歩性判断に原告主張の誤りはない。 第6 結論以上によれば,原告が主張する取消事由は理由がないから,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官塩月秀平 裁判官真辺朋子 裁判官田邉 実

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