【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人竹下伝吉、同山田利輔の上告理由第一点について 一 論旨は、まず、旧
主文本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由上告代理人竹下伝吉、同山田利輔の上告理由第一点について一論旨は、まず、旧所得税法(昭和二二年法律第二七号)一〇条の六は、債権が回収不能となつた場合の救済措置を定めるが、事業所得についてはその適用をことさら除外していること、旧所得税法には所得税法(昭和四〇年法律第三三号)五一条二項(上告理由に一項とあるのは誤記と認める)のごとき貸倒れ等により債権が回収不能となつた場合の救済措置がなんら定められていないこと等を理由として、旧所得税法は、事業所得については、いわゆる現実収入主義をとつたものであり、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ)が本件係争の未収の利息・損害金は同法一〇条一項にいう「収入すべき金額」にあたるとしたのは、同条の解釈適用を誤つたものであり、ひいて租税法律主義を定めた憲法の趣旨にも違反する旨を主張する。 しかし、昭和三七年法律四四号による改正前の旧所得税法のもとにおいても、従前の実務は、事業上の貸倒れ損失が事業遂行上の不可避的な損失であることを考慮して、その損失額を、当該貸倒れの事実が生じた年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入すべきものとして来たのであり、かかる取扱いは、同法九条一項四号、一〇条二項の解釈として不合理であるということはできない(所得税法五一条二項は、その趣旨を確認した規定と解すべきである)。昭和三七年法律第四四号による旧所得税法一〇条の六の改正において、同法九条一項各号掲記の所得類型のうち、とくに四号の事業所得のみを除いて、当該所得の計算の基礎となる収入金額の全部または一部が回収不能となつた場合の救済措置が定められたことは所論のとお- 1 -りであるが、それは、事業上 類型のうち、とくに四号の事業所得のみを除いて、当該所得の計算の基礎となる収入金額の全部または一部が回収不能となつた場合の救済措置が定められたことは所論のとお- 1 -りであるが、それは、事業上の貸倒れ損失については、前述のような救済が可能であつたからにほかならない。したがつて、旧所得税法一〇条の六が事業所得について適用されず、また、所得税法五一条二項に相当する規定が旧所得税法に存しないからといつて、なんら所論のように解すべき根拠とはならない。 その他、論旨がその根拠として主張するところは、以上に説示するところと異なる解釈を前提とするもので、違憲の主張もその前提を欠き、論旨はすべて採用できない。 二次に、論旨は、前記の主張が排斥を免れないとしても、事実上回収の可能性の乏しい債権は、旧所得税法一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当しないものというべく、本件係争の利息・損害金債権が右にいう「収入すべき金額」にあたるとした原判決には、同条の解釈適用を誤つた違法がある、と主張する。 しかし、履行期の到来した利息・損害金債権は、もとより、旧所得税法一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当するものというべく、もし後日において、その回収が不能となつた場合は、別途に救済を受けうる途があるのである。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。 同第二点について論旨は原判決に審理不尽の違法があると主張するが、そのいうところは、前記第一点につき説示したところと異なる見地に立つて原判決を攻撃するもので、採用のかぎりでない。 同第三点について論旨は原判決のした認定には経験則違背の違法があると主張するが、そのいうところは原判決の傍論を非難するにすぎない。のみならず、原判決挙示の証拠によればその認定判断は首肯することができ、その過程にも所論の違 原判決のした認定には経験則違背の違法があると主張するが、そのいうところは原判決の傍論を非難するにすぎない。のみならず、原判決挙示の証拠によればその認定判断は首肯することができ、その過程にも所論の違法は認められない。 論旨は採用できない。 - 2 -同第四点について論旨は、原判決が、利息制限法による制限超過の利息・損害金であつても、履行期の到来したものは、旧所得税法一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当するとしたのは、同条の解釈適用を誤つたものであり、ひいて審理不尽の違法を免れない、と主張する。 よつて按ずるに、利息制限法による制限超過の利息・損害金は、その約定の履行期が到来しても、なお未収であるかぎり、旧所得税法一〇条一項にいう「収入すべき金額」に該当せず、課税の対象となるべき所得を構成しないものと解すべきことは、当裁判所の判例とするところであつて(昭和四三年(行ツ)第二五号同四六年一一月九日第三小法廷判決・民集二五巻八号一一二〇頁)、右制限超過分の利息・損害金が未収の状態においてもなお課税の対象となるとした原判決には、この点において、同条項の解釈を誤つた違法があるといわなければならない。 しかしながら、本件において、原判決の確定するところによれば、(一)上告人と訴外Dとの間の消費貸借は、利息制限法施行前の昭和二八年六月二五日に契約されたものであるから、同法附則四項により旧利息制限法(明治一〇年太政官布告第六六号)の適用を受けるものであり、右消費貸借における遅延損害金の約定が公序良俗に違反すると認むべき特段の事情が確定されない以上、右損害金の約定は有効というべく、また、(二)訴外Eとの間の準消費貸借は、利息制限法施行後において、従前の貸付元金に当日までの利息を加えたものを改めて貸付元金とし、利息を年一割八分、期限後の遅延損害 損害金の約定は有効というべく、また、(二)訴外Eとの間の準消費貸借は、利息制限法施行後において、従前の貸付元金に当日までの利息を加えたものを改めて貸付元金とし、利息を年一割八分、期限後の遅延損害金を日歩九銭八厘と約定したというのであつて、これによると、右約定の利息・損害金の利率は、利息制限法による法定の制限を超えるものでないことが明らかであり、以上、訴外人両名のいずれに対する関係においても、本件約定の利息・損害金は法定の制限内にとどまるから、前記法条の解釈に関する違法は原判決に影響を及ぼさない。原判決は、その結論において結局相当であり、- 3 -論旨は理由なきに帰する。 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官岡原昌男裁判官色川幸太郎裁判官村上朝一裁判官小川信雄- 4 -
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