平成23(む)154 窃盗被疑事件

裁判年月日・裁判所
平成23年8月23日 高知地方裁判所 高知簡易裁判所
ファイル
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判決文本文1,808 文字)

 決定被疑者甲上記の者に対する窃盗被疑事件について,平成23年8月19日高知簡易裁判所裁判官がした勾留の裁判に対し,同月22日弁護人稲田知江子から準抗告の申立てがあったので,当裁判所は,次のとおり決定する。主文原裁判を取り消す。本件勾留請求を却下する。理由第1 本件準抗告の趣旨及び理由(略)第2 当裁判所の判断 1 本件被疑事実の要旨は,被疑者が店員として勤務するリサイクルショップにおいてギター1本を窃取したというものである。 2 一件記録によれば,被疑者が本件被疑事実を犯したことを疑うに足りる相当な理由が認められる。 また,被疑者が被害店舗からギターを買い取ったもので,盗んではいないなどと本件被疑事実を否認していること,かかる被疑者の供述は関係者の供述と整合しないことなどからすれば,被疑者には関係者に働きかけるなどして,罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるものと認められる。そして,上記の事情に加え,被疑者が執行猶予期間中であることやその生活状況などに照らせば,弁護人が指摘する諸事情を考慮しても,被疑者が逃亡すると疑うに足りる相当な理由が認められる。 3 しかしながら,本件については以下の事情が認められる。 被疑者は,本件逮捕に先立ち,本件被疑事実に係る犯行後数週間内に同じ店舗からインパクトドライバを窃取したという本件被疑事実に密接に関連する被 疑事実(以下「別件被疑事実」という。)で,平成23年7月28日に逮捕され,同月30日に勾留されて,同年8月8日に10日間の勾留延長決定がなされ,勾留期間満期である同月18日まで勾留された上で,処分保留で釈放されたという経緯をたどっている。ところが,別件被疑事実については,遅くとも勾留延長決定の翌日である同月9 日間の勾留延長決定がなされ,勾留期間満期である同月18日まで勾留された上で,処分保留で釈放されたという経緯をたどっている。ところが,別件被疑事実については,遅くとも勾留延長決定の翌日である同月9日時点において,延長決定の主たる理由であったと思われる被疑者が所持していたインパクトドライバと被害品の同一性を立証する証拠ないしはそれに準じる重要な客観証拠の収集ができる見込みがないことが判明していた(なお,検察官は,同月8日の勾留延長請求の時点でこの証拠の収集を延長請求の理由の一つとしてあげているが,この証拠が被疑者の犯人性を立証する上で重要であることは当然分かっていたのであるから,警察に確認してこれらの捜査の進捗状況を把握した上で勾留延長請求を行うべきであったと考えられる。)。他方で,その時点で,被疑者は,別件被疑事実については実質的に供述をしない状態であったと認められるから,捜査機関としては,同時点において,さらに被疑者を勾留する理由はなくなったというべきである。ところが,捜査機関は,被疑者の身柄拘束を続け,主として被疑者の取調べを重ね,最終的に被疑者を処分保留で釈放するに至っている。 一方で,遅くとも同月9日の時点において,被疑者の本件被疑事実に対する嫌疑は明らかになっていたと認められるから,捜査機関が本件被疑事実を立件しようとするのであれば,この時点で本件被疑事実について被疑者を逮捕し,捜査を進めることが可能であったものである。 このように捜査機関において,別件被疑事実について,被疑者の身柄拘束が20日以上と必要以上の長期間に及んでおり,本来,本件被疑事実の捜査に充てる期間が十分にあったにもかかわらず,その捜査が尽くせていないのであるから,それに伴う不利益を被疑者のみに負わせるのは相当でない。そうすると,被疑者には前記2記載の罪 本来,本件被疑事実の捜査に充てる期間が十分にあったにもかかわらず,その捜査が尽くせていないのであるから,それに伴う不利益を被疑者のみに負わせるのは相当でない。そうすると,被疑者には前記2記載の罪証隠滅や逃亡のおそれがあることを踏まえても,本件被疑事実について勾留をする必要性があるとは認められない。   4 よって,本件準抗告の申立ては理由があるから,刑事訴訟法432条,426条2項により,主文のとおり決定する。平成23年8月23日高知地方裁判所刑事部裁判長裁判官平出喜一裁判官大橋弘治裁判官平山俊輔

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