主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 主位的請求(1) 被告が平成14年10月11日付け国近整住整第153号をもって原告株式会社確認検査機構アネックスに対してした業務停止処分及び同日付け国近整住整第155号をもって原告株式会社確認検査機構アネックスに対してした監督命令を取り消す。 (2) 被告が平成14年10月11日付け国近整住整第154号をもって原告株式会社京都確認検査機構に対してした業務停止処分及び同日付け国近整住整第155号をもって原告京都確認検査機構に対してした監督命令を取り消す。 2 予備的請求(1) 被告が平成14年10月11日付け国近整住整第153号をもって原告株式会社確認検査機構アネックスに対してした業務停止処分のうち確認の業務に係る部分及び同日付け国近整住整第155号をもって原告株式会社確認検査機構アネックスに対してした監督命令のうち確認の業務に係る部分を取り消す。 (2) 被告が平成14年10月11日付け国近整住整第154号をもって原告株式会社京都確認検査機構に対してした業務停止処分のうち確認の業務に係る部分及び同日付け国近整住整第155号をもって原告京都確認検査機構に対してした監督命令のうち確認の業務に係る部分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,指定確認検査機関である原告らにおいて確認検査員が実地に行うべき検査業務を補助員に単独で行わせていたなどとして,被告が原告らに対しそれぞれ1か月の業務停止処分及び監督命令処分をしたところ,原告らが,これらの処分は建築基準法の解釈を誤ってされたもので違法であるなどと主張して,これらの処分の取消しを求めた抗告訴訟である。 1 関係法令の定め 業務停止処分及び監督命令処分をしたところ,原告らが,これらの処分は建築基準法の解釈を誤ってされたもので違法であるなどと主張して,これらの処分の取消しを求めた抗告訴訟である。 1 関係法令の定め(1) 建築確認,完了検査及び中間検査ア概要建築基準法(以下「法」という。)は,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉を増進することを目的として,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めており(1条),建築物等が建築基準関係規定(法並びにこれに基づく命令及び条例の規定(建築基準法令の規定)その他建築物の敷地,構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。法6条1項参照)に適合することを確保するための制度として,建築物の建築等に関する申請及び確認(6条。以下「建築確認」という。),建築物に関する完了検査(7条。以下「完了検査」という。)及び建築物に関する中間検査(7条の3。以下「中間検査」という。)を規定している。 イ建築確認法6条によれば,建築主は,建築物を建築しようとする場合等においては,当該工事に着手する前に,その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け,確認済証の交付を受けなければならず(同条1項),建築主事は,その申請書を受理した場合においては,申請に係る建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査し,審査の結果に基づいて建築基準関係規定に適合することを確認したときは,当該申請者に確認済証を交付しなければならない(同条4項)とされている。そして,この確認済証の交付を受けた後でなければ,当該建築物の建築等の工事をすることができな 定に適合することを確認したときは,当該申請者に確認済証を交付しなければならない(同条4項)とされている。そして,この確認済証の交付を受けた後でなければ,当該建築物の建築等の工事をすることができないとされている(同条6項)。 ウ完了検査法7条によれば,建築主は,工事を完了したときは,建築主事の検査を申請しなければならず(同条1項),建築主事がその申請を受理した場合においては,建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員(建築主事等)は,当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければならず(同条4項),その検査をした場合において,当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは,当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない(同条5項)などとされている。そして,建築主は,原則として,この検査済証の交付を受けた後でなければ,当該建築物を使用等してはならないとされている(法7条の6)。 エ中間検査法7条の3によれば,特定行政庁(法2条32号にいう市町村長又は都道府県知事)は,その地方の建築物の建築の動向又は工事に関する状況その他の事情を勘案して,区域,期間及び建築物の構造,用途又は規模を限り,建築物に関する工事の工程のうち当該工事の施工中に建築主事が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査することが必要なものを特定工程として指定するものとされ(法7条の3第1項),建築主は,工事が特定工程を含む場合において,当該特定工程に係る工事を終えたときは,建築主事の検査を申請しなければならず(同条2項),建築主事がその申請を受理した場合においては,建築主事等は,当該申請に係る工事中の建築物等が む場合において,当該特定工程に係る工事を終えたときは,建築主事の検査を申請しなければならず(同条2項),建築主事がその申請を受理した場合においては,建築主事等は,当該申請に係る工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合するかどうかを検査しなければならず(同条4項),その検査をした場合において,工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは,当該建築主に対して中間検査合格証を交付しなければならない(同条5項)とされている。そして,特定行政庁が指定する特定工程後の工程に係る工事は,中間検査合格証の交付を受けた後でなければ,施工してはならないとされている(同条6項)。 (2) 指定確認検査機関による建築確認,完了検査及び中間検査ア概要平成10年法律第100号(以下「改正法」ということがある。)による改正前の建築基準法の下においては,建築確認は建築主事が,完了検査は建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員が,それぞれ行うこととされていたが,上記法改正により,建築確認,完了検査のほか,新たに建築物に関する中間検査の制度が設けられた上,法77条の18から法77条の21までの規定の定めるところにより国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者(指定確認検査機関)も建築確認,完了検査及び中間検査をすることができることとなった(法6条の2,7条の2,7条の4)。 イ指定確認検査機関による建築確認法6条の2によれば,建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,指定確認検査機関の確認を受け,確認済証の交付を受けたときは,当該確認は建築主事による確認(法6条1項)と,当該確認済証は建築主事による確認済証(同条項)とみなす(法6条の2第 であることについて,指定確認検査機関の確認を受け,確認済証の交付を受けたときは,当該確認は建築主事による確認(法6条1項)と,当該確認済証は建築主事による確認済証(同条項)とみなす(法6条の2第1項)とされている。 ウ指定確認検査機関による完了検査法7条の2によれば,指定確認検査機関が当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかの検査を引き受けた場合には,建築主による建築主事に対する検査の申請は要せず(法7条の2第1項),指定確認検査機関が,当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは,当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならず,この場合,当該検査済証は建築主事等による検査済証とみなす(法7条の2第5項)とされている。 エ指定確認検査機関による中間検査法7条の4によれば,工事が特定工程を含む場合において,指定確認検査機関が当該特定工程に係る工事を終えた後の工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合するかどうかの検査を引き受けたときには,建築主による建築主事に対する検査の申請は要せず(法7条の4第1項),指定確認検査機関が,その検査をした場合において,特定工程に係る工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合すると認めたときは,当該建築主に対して中間検査合格証を交付しなければならず(同条3項),この中間検査合格証は建築主事等による中間検査合格証とみなす(法7条の4第4項)とされている。 (3) 指定確認検査機関ア指定について指定確認検査機関の指定は,建築確認又は完了検査及び中間検査(これらを総称して「確認検査」という。)の業務を行おうとする者からの,業務区分や確認検査業務を行う区 ア指定について指定確認検査機関の指定は,建築確認又は完了検査及び中間検査(これらを総称して「確認検査」という。)の業務を行おうとする者からの,業務区分や確認検査業務を行う区域(業務区域)を定めてする申請に基づき(法77条の18第1,2項,建築基準法に基づく指定資格検定機関等に関する省令(平成11年建設省令第13号。平成14年国土交通省令第120号による改正前のもの。以下「指定機関省令」という。)15条),国土交通大臣又は都道府県知事が,その者の欠格事由の有無(法77条の19)や指定の基準への適合の有無(法77条の20)を判断して行う。 国土交通大臣は,2以上の都道府県の区域において確認検査の業務を行おうとする者の指定をするが(法6条の2第2項,7条の2第2項),この権限のうち,確認検査の業務を1の地方整備局の管轄区域のみにおいて行う指定確認検査機関に関するものは,当該地方整備局長に委任している(法96の2,指定機関省令80条)。また,都道府県知事は,1の都道府県の区域において確認検査の業務を行おうとする者の指定をする(法6条の2第2項,7条の2第2項。以下,国土交通大臣,地方整備局長及び都道府県知事を総称して「国土交通大臣等」という。)。 指定の基準としては,確認検査員(職員である者に限る。)の数が,確認検査を行おうとする建築物の種類,規模及び数に応じて国土交通省令で定める数以上であること(法77条の20第1号),職員,確認検査の業務の実施の方法その他の事項についての確認検査の業務の実施に関する計画が,確認検査の業務の適確な実施のために適切なものであること(同条2号),確認検査の業務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的基礎を有するものであること(同条3号),法人に 施に関する計画が,確認検査の業務の適確な実施のために適切なものであること(同条2号),確認検査の業務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的基礎を有するものであること(同条3号),法人にあっては役員,法人の種類に応じて国土交通省令で定める構成員又は職員(確認検査員を含む。)の構成が,法人以外の者にあってはその者及びその職員の構成が,確認検査の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること,等が規定されている。 指定確認検査機関は,業務区域を増加しようとするときは,国土交通大臣等の認可を受けなければならず(法77条の22第1項),また,業務区域を減少したときは,その旨を国土交通大臣等に届け出なければならない(同条2項)。 指定確認検査機関及びその職員で確認検査の業務に従事するものは,刑法その他の罰則の適用については,法令により公務に従事する職員とみなされる(法77条の25第2項)。 イ確認検査の方法(ア) 法等の定め法は,指定確認検査機関による確認検査の方法につき,「指定確認検査機関は,確認検査を行うときは,国土交通省令で定める方法に従い,確認検査員に確認検査を実施させなければならない。」と規定している(法77条の24第1項)。 これを受けて,指定機関省令23条1項1号は,法6条の2第1項(法87条1項において準用する場合を含む。)の規定による確認(建築確認)の方法について,指定機関省令23条1項2号は,法88条1項又は2項において準用する法6条の2第1項の規定による確認(建築確認)の方法について,指定機関省令23条1項3号は,法7条の2第1項(法87条の2又は法88条1項若しくは2項において準用する場合を含む。 項において準用する法6条の2第1項の規定による確認(建築確認)の方法について,指定機関省令23条1項3号は,法7条の2第1項(法87条の2又は法88条1項若しくは2項において準用する場合を含む。)又は法7条の4第1項(法87条の2又は法88条1項において準用する場合を含む。)の検査(完了検査又は中間検査)の方法について,それぞれ規定しているが,指定機関省令のこれらの規定は,建築確認の方法については,所定の図書及び書面をもって行うことを規定している(23条1項1号,2号)のに対し,完了検査又は中間検査の方法については,次のとおり実地に行うことをも規定している(23条1項3号)。 「3 法第7条の2第1項(法第87条の2又は法第88条第1項若しくは第2項において準用する場合を含む。)又は法第7条の4第1項(法第87条の2又は法第88条第1項において準用する場合を含む。)の検査次のイからハまでに定める方法イ施行規則別記第19号様式の第二面から第四面まで又は施行規則別記第26号様式の第二面から第四面までに記載すべき事項が記載された図書及び施行規則第4条第1項第3号又は第4条の8第1項第3号の規定により特定行政庁が申請書に添えるべき書類として規則において定める書類に記載すべきものとされる事項が記載された図書をもって行うこと。 ロ法第7条の5の適用に係る場合にあっては屋根の小屋組の工事終了時,構造耐力上主要な軸組若しくは耐力壁の工事終了時,基礎の配筋(鉄筋コンクリート造の基礎の場合に限る。)の工事終了時その他特定行政庁が必要と認めて指定する工程の終了時における当該建築物に係る構造耐力上主要な部分の軸組,仕口その他の接合部,鉄筋部分等を写した写真を求めること。 限る。)の工事終了時その他特定行政庁が必要と認めて指定する工程の終了時における当該建築物に係る構造耐力上主要な部分の軸組,仕口その他の接合部,鉄筋部分等を写した写真を求めること。 ハ実地に行うこと。」指定確認検査機関は,確認検査を行うべきことを求められたときは,正当な理由がある場合を除き,遅滞なく,確認検査を行わなければならないとされる(法77条の26)。 (イ) 確認検査員確認検査員は,国土交通大臣が行う建築基準適合判定資格者検定(法5条)に合格した者で,同大臣の登録を受けた者(法77条の58第1項)から指定確認検査機関により選任される(法77条の24第2項)。 なお,建築基準適合判定資格者検定は,一級建築士試験に合格した者で,建築行政又は確認検査の業務その他これに類する業務で政令で定めるものに関して2年以上の実務経験を有する者に限って受検資格が認められ(法5条3項),その合格率は約36パーセント(平成13年。乙4)である。 (ウ) 補助員補助員については,法令には特に定めはないが,指定確認検査機関指定準則(平成11年4月28日付け建設省住指発201号,建設省住街発48号住宅局長通達の別紙1の別添。以下「準則」という。)において,確認検査員以外の確認検査の業務を行う職員を補助員とした上で(準則第2の1),機関の職員以外のものを補助員として確認検査の業務に従事させてはならず,また,補助員が行う業務は,補助的なものに限り,補助員単独で確認検査を行ってはならないとしている(準則第3の三)。 (エ) 確認検査業務規程指定確認検査機関は,確認検査の業務に関する規程(確認検査業務規 に限り,補助員単独で確認検査を行ってはならないとしている(準則第3の三)。 (エ) 確認検査業務規程指定確認検査機関は,確認検査の業務に関する規程(確認検査業務規程)を定め,国土交通大臣等の認可を受けなければならない(法77条の27)。 ウ監督命令,報告,検査等国土交通大臣等は,確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは,その指定に係る指定確認検査機関に対し,確認検査の業務に関し監督上必要な命令をすることができる(法77条の30)。 国土交通大臣等は,確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは,その指定に係る指定確認検査機関に対し確認検査の業務に関し必要な報告を求め,又はその職員に,指定確認検査機関の事務所に立ち入り,確認検査の業務の状況若しくは帳簿,書類その他の物件を検査させ,若しくは関係者に質問させることができる(法77条の31第1項)。 なお,京都府においては,平成14年4月,法77条の31の規定により京都府知事が同知事の指定に係る指定確認検査機関に対し確認検査の業務に関し必要な報告を求め,又はその職員に,機関の事務所に立ち入り,検査さることについて必要な事項を定めるものとして,京都府指定確認検査機関検査監督規程が定められ,同規程6条は,知事が指名する職員は,毎年度1回以上機関の事務所に立ち入り,確認検査の業務の状況若しくは帳簿,書類その他の物件を検査し,若しくは関係者に質問をするものとし(1項),この検査を行う場合にあっては,検査日の7日前までに当該機関に連絡しなければならない(2項)と規定している(乙6)。 エ指定の取消し等国土交通大臣等は,その指定に係 項),この検査を行う場合にあっては,検査日の7日前までに当該機関に連絡しなければならない(2項)と規定している(乙6)。 エ指定の取消し等国土交通大臣等は,その指定に係る指定確認検査機関が確認検査員に関する法77条の24第1項から第3項までの規定に違反したとき,法77条の27第1項の認可を受けた確認検査業務規程によらないで確認検査を行ったとき等法77条の35第2項各号の一に該当するときは,その指定を取り消し,又は期間を定めて確認検査の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる(法77条の35第2項)。 (4) 指定確認検査機関の処分等に対する不服申立て建築基準法令の規定による特定行政庁,建築主事若しくは建築監視員又は指定確認検査機関の処分又はこれに係る不作為に不服がある者は,行政不服審査法3条2項に規定する処分庁又は不作為庁が,特定行政庁,建築主事又は建築監視員である場合にあっては当該市町村又は都道府県の建築審査会に,指定確認検査機関である場合にあっては当該処分又は不作為に係る建築物又は工作物について法6条1項(法87条1項,87条の2又は88条1項若しくは2項において準用する場合を含む。)の規定による確認をする権限を有する建築主事が置かれた市町村又は都道府県の建築審査会に対して審査請求をすることができる(法94条1項)。建築審査会の裁決に不服がある者は,国土交通大臣に対して再審査請求をすることができる(法95条)。 法94条1項に規定する処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができない(法96条)。 (5) 特定行政庁に対する指示等国土交通大臣は,都道府県知事がこの法律若しくはこれに基づく命 対する建築審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができない(法96条)。 (5) 特定行政庁に対する指示等国土交通大臣は,都道府県知事がこの法律若しくはこれに基づく命令の規定に違反し,又はこれらの規定に基づく処分を怠っている場合において,これらにより多数の者の生命又は身体に重大な危害が発生するおそれがあると認めるときは,当該都道府県知事に対して,期限を定めて,必要な措置をとるべきことを指示することができる(法17条9項)。 2 前提事実(以下,原告株式会社京都確認検査機構を「原告京都確認検査機構」と,原告株式会社確認検査機構アネックスを「原告アネックス」と,それぞれいう。)(1) 原告京都確認検査機構ア原告京都確認検査機構は,法に基づく指定確認検査機関としての建築確認及び検査に関する業務等を目的とする株式会社である(争いがない。)。同原告は,平成14年5月,京都南部支所を設置した(乙9)。 イ原告京都確認検査機構に対する指定の状況(ア) 京都府知事は,平成11年8月17日付け京都府指令1建第598号をもって,業務区域を京都市,宇治市,城陽市,向日市,長岡京市,α及びβの全域,指定の期間を平成11年8月17日から5年間として,原告京都確認検査機構を法6条の2第1項及び7条の2第1項に規定する指定確認検査機関に指定した(争いがない。)。 (イ) 京都府知事は,平成13年5月1日付け京都府指令3建第296号をもって,原告京都確認検査機構からの,業務区域の増加の範囲を八幡市,京田辺市,γ,δ,ε,ζ,η,θ,ι,κ,λ,亀岡市,μ,ν,ξ,π,σ,τとする業務区域増加認可申請に対する認可をした(争いがない。)。 (ウ) ,業務区域の増加の範囲を八幡市,京田辺市,γ,δ,ε,ζ,η,θ,ι,κ,λ,亀岡市,μ,ν,ξ,π,σ,τとする業務区域増加認可申請に対する認可をした(争いがない。)。 (ウ) 被告は,平成14年9月6日付け国近整京市建築第1号をもって,業務区域を滋賀県,京都府,大阪府,兵庫県,奈良県及び和歌山県の全域,指定の有効期間を平成14年9月6日から5年間として,原告京都確認検査機構を法6条の2第1項及び7条の2第1項に基づき,指定確認検査機関として指定した(争いがない。)。 ウ京都府職員による立入検査京都府職員は,平成14年5月24日,原告京都確認検査機構に対する立入検査を実施した。検査内容は,「建築基準法第4章の2第2節(指定確認検査機関)について」とされ,検査時間は同日の午後1時から午後3時までの2時間とされ,京都府は,原告京都確認検査機構に対し,立入検査の約1週間程度前に電話連絡をしてその旨告げていた(争いがない)。なお,調査事項には,「補助員は,単独で確認検査を行っていない(補助的業務のみ。)。」という事項が含まれていた(甲33,34)。 (2) 原告アネックスア原告アネックスは,法に基づく指定確認検査機関としての建築確認及び検査に関する業務等を目的とする株式会社である(争いがない。)。 イ原告アネックスに対する指定の状況被告は,平成14年2月1日付け国近整滋宅地第1号をもって,業務区域を滋賀県,奈良県,京都府及び大阪府の全域,指定の有効期間を平成14年2月2日から5年間として,原告アネックスを法6条の2第1項及び7条の2第1項に基づき,指定確認検査機関として指定した(争いがない。)。 (3) 日本イーアールアイ株式会社(以 間を平成14年2月2日から5年間として,原告アネックスを法6条の2第1項及び7条の2第1項に基づき,指定確認検査機関として指定した(争いがない。)。 (3) 日本イーアールアイ株式会社(以下「ERI」という。)に対する立入検査,行政処分等ア ERIは,法に基づく指定確認検査機関,住宅の品質確保の促進等に関する法律(以下「住宅品質確保法」という。)に基づく指定住宅性能評価機関として,それぞれ国土交通大臣に指定されていたものであるが,平成14年7月から8月にかけて,同社が法及び住宅品質確保法に違反して業務を行っている疑いがあるとの通報があった。そこで,国土交通省職員が,同年9月24日,法77条の31第1項及び住宅品質確保法19条1項に基づき,同社本社及び大阪支店に臨場して立入検査を実施した。その結果,法との関係では,調査を行った382物件中41物件について,確認検査員以外の職員(補助員)に単独で完了検査を行わせていたことが判明し,このような取扱いが本社を含めた広い範囲で行われているものと認められた。このようなことから,国土交通大臣は,同年10月4日,ERIに対し,法77条の24第1項違反を理由として,法77条の35第2項1号に基づき,確認検査に係る契約の新規締結,当該契約締結のための交渉等の業務を1か月間停止する旨命じるとともに,法77条の30に基づき,業務改善計画書の提出等の措置を講ずるよう命ずる旨の監督命令を行った(争いがない。)。 イなお,住宅品質確保法との関係では,同法による住宅性能評価制度の開始(平成12年10月3日)から約8か月が経過した平成13年6月,制度運用状況の調査のため,主要な機関に対し,立入検査が行われ,その一環として,ERIに対しても,同月11日,同法に基づく立入検査が行われたが 12年10月3日)から約8か月が経過した平成13年6月,制度運用状況の調査のため,主要な機関に対し,立入検査が行われ,その一環として,ERIに対しても,同月11日,同法に基づく立入検査が行われたが,その際,評価員以外の職員(補助員)に単独で住宅性能評価を行わせていたことが判明し,適正な業務実施の確保について行政指導した経緯があった。しかるに,上記アの立入検査の結果,調査を行った28物件中7物件について,評価員以外の職員(補助員)に単独で住宅性能評価を行わせていたこと等が判明したことから,国土交通大臣は,平成14年10月4日,ERIに対し,同法12条1項違反を理由として,同法21条2項1号に基づき,住宅性能評価に係る契約の新規締結,当該契約締結のための交渉等の業務を1か月間停止する旨命じるとともに,同法18条に基づき,監督命令を行った(争いがない。)。 (4) 原告らに対する立入検査等ア概要上記(3)のとおり,ERIにおいて確認検査員以外の職員(補助員)に単独で検査を行わせていたこと等が判明したことから,国土交通省では,同様の問題が他にも生じていないかどうかを調査する必要を認め,平成14年9月30日,国土交通大臣あるいはその権限の委任を受けた地方整備局長の指定に係る他の指定確認検査機関(19機関)に対し,一斉に立入検査を実施した(甲32)。その結果,被告指定に係る指定確認検査機関である原告ら2社及び関東地方整備局長指定に係る指定確認検査機関である株式会社住宅性能評価センターにおいて,ERI同様,確認検査員以外の職員(補助員)に単独で完了検査を行わせていたことが判明した。他方,その余の16機関については,大阪府や兵庫県もその業務区域とする財団法人日本建築センター,財団法人日本建築総合試験所,株 査員以外の職員(補助員)に単独で完了検査を行わせていたことが判明した。他方,その余の16機関については,大阪府や兵庫県もその業務区域とする財団法人日本建築センター,財団法人日本建築総合試験所,株式会社西日本住宅評価センター,ビューローベリタスジャパン株式会社,株式会社都市居住評価センターも含めて,確認検査員以外の職員(補助員)に単独で検査(完了検査)を行わせるなどといった事情は認められなかった(争いがない。)。 イ原告京都確認検査機構に対する立入検査等近畿地方整備局長は,平成14年9月30日,近畿地方整備局職員に原告京都確認検査機構本社に立ち入らせ,関係書類の提出を受け,関係者から事情を聴取し,代表取締役に事実を確認して確認書を提出させるなどの検査等を行わせた。その結果,同社が同年3月18日,22日及び25日に行った完了検査119件のうち80件については,確認検査員が現場に赴くことなく,補助員のみで実地検査を行い,検査済証を交付していたことが判明した。なお,その際,同原告のa代表取締役に確認したところ,少なくとも平成13年5月からこの立入検査時までに同原告が行った完了検査のうちかなりの部分が補助員のみで実地検査を行っていたことを認めた。このようなことから,近畿地方整備局職員が現在もそのような取扱いをしていることについては是正すべき旨を伝達したところ,同代表取締役は,確認検査員の高齢化があり,現地検査は危険性を伴うものがあることから,それらを考慮して若い補助員で実地検査を行い,その報告(写真を含む。)を基に資格のある確認検査員が判定を行うこともやむを得ないことであったと弁明した(争いがない。)。 ウ原告アネックスに対する立入検査等近畿地方整備局長は,平成14年9月30日, のある確認検査員が判定を行うこともやむを得ないことであったと弁明した(争いがない。)。 ウ原告アネックスに対する立入検査等近畿地方整備局長は,平成14年9月30日,近畿地方整備局職員に原告アネックス本社に立ち入らせ,関係書類の提出を受け,関係者から事情を聴取し,代表取締役に事実を確認して確認書を提出させるなどの検査等を行わせた。その結果,同原告が同年8月中の数日間に行った完了検査45件のうち26件については,確認検査員が実地に赴くことなく,確認検査員以外の者のみで実地検査を行い,検査済証を交付していたことが判明した。なお,その際,同社のb代表取締役に確認したところ,少なくとも同年6月からこの立入検査時までに同原告が行った完了検査のうちかなりの部分が確認検査員以外の者のみで実地検査を行っていたことを認めた。このようなことから,近畿地方整備局職員が現在もそのような取扱いをしていることについては,是正すべき旨を伝達したところ,同代表取締役は,法令違反は認めつつも,検査の民間開放の趣旨を実現するには,少ない有資格者だけでは対応が無理で,円滑な経済活動に支障が生じるとか,建築基準適合判定資格者検定が難しく合格者が少ないなどと,法令違反となった背景等について説明した(争いがない。)。 (5) 原告らに対する行政処分ア原告京都確認検査機構に対する行政処分(ア) 業務停止処分被告は,原告京都確認検査機構に対し,平成14年10月11日付け国近整住整第154号をもって,法77条の35第2項の規定により平成14年10月25日から1か月間確認検査の業務の停止を命ずる旨の処分(以下「本件業務停止処分2」という。)をした。 本件業務停止処分2の処分 法77条の35第2項の規定により平成14年10月25日から1か月間確認検査の業務の停止を命ずる旨の処分(以下「本件業務停止処分2」という。)をした。 本件業務停止処分2の処分理由は,原告京都確認検査機構は,法77条の24第1項の規定により,指定確認検査機関は,確認検査を行うときは,国土交通省令で定める方法に従い,確認検査員に確認検査を実施させなければならないにもかかわらず,確認検査員以外の者に完了検査を実施させており,これが法77条の35第2項1号に該当するというものであり,この業務の停止期間中,次の各号の行為を行えないものとされた(争いがない。)。 ① 確認検査に係る契約を新たに締結する行為② 既に締結した契約の変更により,確認検査の業務を追加する行為③ 業務の停止の期間満了後において前各号の行為を実施するための見積り,交渉等の行為(イ) 監督命令処分被告は,原告京都確認検査機構に対し,平成14年10月11日付け国近整住整第155号をもって,法77条の30の規定に基づき,業務改善計画書の提出,業務の実施状況に関する定期的な報告及び確認検査員以外の者に中間検査又は完了検査を実施させた建築物等についての検査の実施の措置を講ずることを命ずる旨の監督命令処分(以下「本件監督命令処分2」という。)をした(争いがない。)。 イ原告アネックスに対する行政処分(ア) 業務停止処分被告は,原告アネックスに対し,平成14年10月11日付け国近整住整第153号をもって,法77条の35第2項の規定により平成14年10月25日から1か月間確認検査の業務の停止を命ずる旨の処分(以下「本件業 ,原告アネックスに対し,平成14年10月11日付け国近整住整第153号をもって,法77条の35第2項の規定により平成14年10月25日から1か月間確認検査の業務の停止を命ずる旨の処分(以下「本件業務停止処分1」という。)をした。 本件業務停止処分1の処分理由は,原告アネックスは,法77条の24第1項の規定により,指定確認検査機関は,確認検査を行うときは,国土交通省令で定める方法に従い,確認検査員に確認検査を実施させなければならないにもかかわらず,確認検査員以外の者に完了検査を実施させており,これが法77条の35第2項1号に該当するというものであり,この業務の停止期間中,次の各号の行為を行えないものとされた(争いがない。)。 ① 確認検査に係る契約を新たに締結する行為② 既に締結した契約の変更により,確認検査の業務を追加する行為③ 業務の停止の期間満了後において前各号の行為を実施するための見積り,交渉等の行為(イ) 監督命令処分被告は,原告アネックスに対し,平成14年10月11日付け国近整住整第155号をもって,法77条の30の規定に基づき,業務改善計画書の提出,業務の実施状況に関する定期的な報告及び確認検査員以外の者に中間検査又は完了検査を実施させた建築物等についての検査の実施の措置を講ずることを命ずる旨の監督命令処分(以下「本件監督命令処分1」といい,本件業務停止処分1,2及び本件監督命令処分1,2を合わせて,「本件各処分」という。)をした(争いがない。)。 ウ関東地方整備局長の対応関東地方整備局長指定に係る株式会社住宅性能評価センターにおいても,確認検査員以外の職員(補助員)に単 」という。)をした(争いがない。)。 ウ関東地方整備局長の対応関東地方整備局長指定に係る株式会社住宅性能評価センターにおいても,確認検査員以外の職員(補助員)に単独で完了検査を行わせていたことが判明したことから,関東地方整備局長は,同社に対し,平成14年10月11日付けで,被告が原告らに対してしたのと同様の業務停止処分及び監督命令処分を行った(乙7)。 (6) 本件各処分後の原告らの対応確認検査員を全件検査に立ち会わせるために,原告らにおいては,新たに確認検査員を多数雇用した。新規雇用した確認検査員は,長年実務を離れていたり,体力的な問題があったり,既に自動車の運転をやめていたりという事情があったため,単身で検査業務に出向くことができず,補助員と2人1組となって検査場所を巡回している(証人c,d)。 第3 争点 1 原告らに法77条の24第1項違反があるか 2 本件各処分は裁量権の範囲を逸脱し違法か 3 本件各処分は行政手続法に違反し違法か第4 争点に対する当事者の主張 1 原告らに法77条の24第1項違反があるか(1) 原告らの主張ア法77条の24第1項の規定の意義法77条の24第1項の規定は,確認検査員を確認検査の実施主体として規定しているのみで,確認検査員が確認検査を実施するに当たり補助者を使用することは法令上禁止されていない。どのような場合に確認検査員に確認検査を実施させたということができるかについては,当該確認検査の実態を考慮して実質的に判断すべきである。 しかるところ,法は,確認検査員について従来の建築主事に増して高い技術審査能力を有する者であることを要求することにより(77条の24第2項, 慮して実質的に判断すべきである。 しかるところ,法は,確認検査員について従来の建築主事に増して高い技術審査能力を有する者であることを要求することにより(77条の24第2項,77条の58第1項,5条3項),確認検査実施主体の質的な水準を担保しており,補助員についても,準則において「職員」であることが要求されていることから,指定確認検査機関内部における継続的な指導,教育により質的な向上を図ることが期待され,補助員の質についても一定水準を確保する仕組みが取られている。 また,法は,指定確認検査機関が一定数以上の職員である確認検査員を置かなければならないことを規定することにより(77条の20第1号),指定確認検査機関全体としての技術能力を量的な面で担保しようとしていることに加えて,準則は,補助員を合わせた確認検査業務従事者員数の最低限を定めており,法令は,技術審査能力の高い確認検査員が内部的教育等により一定の水準を予定された補助員数名を使用して確認検査を行うことを予定しているということができる。その上で,準則は,業務体制についても厳格な規定を置いている。さらに,法は,指定確認検査機関の契約締結の自由を制限しているところ(法77条の26),確認検査員の確保が容易でない実態に照らせば,補助員の十分な活用なくして指定確認検査機関のこのような責務を全うすることはできない。 これらによれば,法令は,確認検査員が補助員を十分に活用しながら確認検査業務を総括して行うことを許容する趣旨と解すべきであり,法77条の24第1項にいう「確認検査員に確認検査を実施させ」るとは,確認検査員は自己の責任において自己の名をもって確認検査を総括して実施しなければならず,具体的な実施方法については指定機関省令23条等の確認検査に関する法令の 確認検査員に確認検査を実施させ」るとは,確認検査員は自己の責任において自己の名をもって確認検査を総括して実施しなければならず,具体的な実施方法については指定機関省令23条等の確認検査に関する法令の要求を満たすに可能な範囲で補助員の使用を妨げないが,補助員のみで確認検査業務を完結させてはならないという趣旨のものと解すべきである。 準則中,補助員の業務は補助的なものでなければならないという規定については,杓子定規な字義解釈により「補助的」な業務を申請内容の事前チェックや寸法計測などの業務に限定するのであれば,法律及び省令を超えた制限を課すものであり違法無効である。また,補助員単独で確認検査を行ってはならないという規定については,確認検査員が補助員による単独検査後に説明・報告を受けて総括的責任をもって判断する場合をも含むというのであれば違法無効である。 イ指定機関省令23条1項3号ハの規定の意義指定機関省令23条1項3号ハは「実地に行うこと」と規定しているが,同号は現場に行かないで検査を終了してしまうことを禁じる趣旨にすぎず,誰が現場に行くべきかについては規定しておらず,これについてはあくまでも法77条の24第1項の解釈に帰するところ,以下のとおり,補助員のみが実地に赴き確認検査員がこれを総括して判断することをもって足りると解すべきである。 第1に,指定機関省令23条1項3号のイ及びロにおいては,一定の図書及び写真をもって行うことが定められており,同号ハにいう実地検査における検査内容については,補助員に対する事前の一般的あるいは具体的な指示及び内部教育等と事後の説明・報告により検査の確実を期すことが十分に可能であるから,必ず確認検査員自身が実地検査をしなければならない必要性は認 ついては,補助員に対する事前の一般的あるいは具体的な指示及び内部教育等と事後の説明・報告により検査の確実を期すことが十分に可能であるから,必ず確認検査員自身が実地検査をしなければならない必要性は認められない。検査業務においては,実際には,実地に行うこと(機械的な計測やある設備の存在不存在の目視)の前に,何を計測し,何を目視しなければならないかという判断作業すなわち実地に行うのでない判断作業が存在するのであり,これこそが検査を適正なものにする最重要の作業であり,この作業が誤りなく行われれば,あとはどうやって計測,目視の対象を認識するかということが残るだけなのである。法77条の24第1項の適合性は,当該検査業務全体を考慮して初めて判断することができるものであり,指定機関省令23条1項3号ハの規定の存在が,補助員のみによる実地検査を直ちに法77条の24第1項違反とするものではない。かえって,同項により確認検査員に実施させなければならないとされる中には「確認」も含まれているところ,確認については確認検査員が補助員を用い総括して適法に行うことができることに疑いはないのであるから,この点からしても,検査についてこれと異なる解釈をする余地はないというべきである。 第2に,従来から検査については「建築主事等」すなわち建築主事のみならず委任を受けた吏員も実施主体とされ,単に建築主事から委任を受けた吏員が単独で行うことができるものとされていたこととの均衡上,検査の一部である実地検査部分を補助員が単独で行うことが許されるのは当然といわなければならない。 実際の技術審査能力について何らの担保もない吏員が単独で検査を行ってきて格別技術審査能力の不足を認めなかったことからも,法は,補助員による実地検査を容認していると解されるのである。 ない。 実際の技術審査能力について何らの担保もない吏員が単独で検査を行ってきて格別技術審査能力の不足を認めなかったことからも,法は,補助員による実地検査を容認していると解されるのである。 第3に,確認検査員の十分な確保は極めて難しいことは立法段階から明らかであったのであり,一方で,十分な質を備えた補助員の確保は努力次第で可能であるということが改正法の補助員制度を支える立法事実である。実地検査は目視や寸法計測により行われるのであり,「吏員」同様,補助員で十分にまかなえるのである。 この点,平成6年8月付け総務庁行政監察局による建築行政監察結果報告書は,建築行政の合理的な執行を確保する観点から,建築確認・検査の実施状況,既存建築物の安全対策の実施状況及び建築行政の実施体制を調査したものであるが,その中において,現在の実態においては,体制上の余裕がないなどとして,中間検査及び完了検査により建築物の適法性及び安全性を十分に確保することは難しい状況となっていること,建築主事設置公共団体の中には,工事完了届により適法な施工が行われていると判断される場合には,現場検査を省略し,検査済証を交付しているもの,市町村に工事完了検査の事実調査を委託しているものなど,工事完了検査の合理化措置を講じているものがみられ,特に支障も生じていないことから,建築主事等は工事完了届が提出された4号建築物(法6条1項4号の建築物。以下同じ。)すべてについて自ら現場検査を実施する必要性に乏しいことなど,完了検査が省力化,合理化されている実例が紹介されている。このような立法事実と改正法の趣旨を直視すれば,改正法は,以前において現場検査を行わずに完了検査がされていた事実があり,そのような検査も法的に許される余地があることを前提として規定された されている。このような立法事実と改正法の趣旨を直視すれば,改正法は,以前において現場検査を行わずに完了検査がされていた事実があり,そのような検査も法的に許される余地があることを前提として規定されたものであり,改正法が確認検査員自らが実地に赴いて検査を行うことを要請したとは考えられないというべきである。 ウ原告らに法77条の24第1項違反がないこと(ア) 原告京都確認検査機構原告京都確認検査機構においては,補助員が単独で実地検査に行くときでも,経験年数,技術力のある者(一級建築士,二級建築士資格保有者であれば実務経験4年以上の者,建築士資格を保有しない者であればおおむね実務経験7年以上の者)を検査部の補助員として業務に従事させており,検査を担当することができる補助員は,一級建築士受験資格又は二級建築士受験資格に相当する技術者に限られている(そのほとんどが一級建築士又は二級建築士であって10年以上の実務経験を積んだ者であり,建築士の資格がない場合でも設計監理の経験を7年以上積んだ者である。)ところ,これらの補助員が目視,寸法計測,写真撮影等を行うにつき技術検査能力に何ら問題はない。 検査の実施に当たっては,確認検査員は,実地検査を担当する補助員に対し,調査前に,確認図書を基に,用途地域の特性,防火地域の特性,道路寸法,建物配置(空寸法),道路・隣地・北側等の状況,土地の高低差,建物高さ,防火設備の設置状況等,現場で目視,寸法計測,写真撮影を行うことに対してのポイントとなる部分につき指示を与えている。また,建物の構造,規模からこれらの指示事項につき現場で目視,寸法計測,写真撮影等を十分に行うことのできる補助員の人選,人数,調査時間につき指示を与えている。このようにして 分につき指示を与えている。また,建物の構造,規模からこれらの指示事項につき現場で目視,寸法計測,写真撮影等を十分に行うことのできる補助員の人選,人数,調査時間につき指示を与えている。このようにして,確認検査員から建物の特殊性に適応した補助員が派遣された上で,その補助員は調査ポイントにつきあらかじめ指示を受け,現場では目視,寸法計測,写真撮影等という裁量の余地のない業務を行っている。そして,補助員は,帰社後,確認検査員に状況報告を行い,確認検査員と各項目につき問題点等の有無の検討を行い,問題点があれば確認検査員が問題箇所を指摘した上で補助員に再度現場に行かせ,又は確認検査員自ら現場に行き再調査を行っている。そのほか,原告京都確認検査機構においては,補助員の育成,実力向上を目的とした研修会を行うなどしている。 以上のとおり,原告京都確認検査機構においては,経験年数,技術力ともに兼ね備えた者を検査担当補助員に選任した上,日ごろから検査業務につき研修を重ね,確認検査員が建物の構造,規模により補助員の人選,人数を決定した上,事前に調査のポイント箇所について補助員に指示を与え,補助員は現場での調査後に確認検査員に問題点の報告を行っているのであり,補助員による現場での調査のみで検査が完了することはないのである。したがって,原告京都確認検査機構には,法77条の24第1項違反はない。 (イ) 原告アネックス原告アネックスにおいては,補助員が単独で実地検査に行くときでも,経験年数,技術力のある者(一級建築士,二級建築士資格保有者であれば実務経験4年以上の者,建築士資格を保有しない者であればおおむね実務経験7年以上の者)を検査部の補助員として業務に従事させており,検査を担当することができる補助員 築士,二級建築士資格保有者であれば実務経験4年以上の者,建築士資格を保有しない者であればおおむね実務経験7年以上の者)を検査部の補助員として業務に従事させており,検査を担当することができる補助員が目視,寸法計測,写真撮影等を行うにつき技術検査能力に何ら問題はない。 検査の実施に当たっては,確認検査員は,実地検査を担当する補助員に対し,調査前に,確認図書を基に,用途地域の特性,防火地域の特性等のポイントとなる部分につき指示を与えている。また,建物の構造,規模からこれらの指示事項につき現場で目視,寸法計測,写真撮影等を十分に行うことのできる補助員の人選,人数,調査時間につき指示を与えている。そして,補助員は,単独で現場に行く場合でも,確認検査員に対し検査調書の提出を義務付けられており,調査後検査調書とともに調査内容の報告を行っている。このように,原告アネックスにおいては,経験年数,技術力も十分有する補助員が,現場で目視,寸法計測,写真撮影を行い,帰社後に確認検査員に状況報告を行い,確認検査員と各項目につき問題点等の有無の検討を行い,問題点があれば確認検査員が問題箇所を指摘した上で補助員に再度現場に行かせ,又は確認検査員自ら現場に行き再調査を行っている。そのほか,原告アネックスにおいては,教材,資料を配布して補助員の能力,資質の向上を目的とした各種勉強会を行っているほか,同原告の補助員は原告京都確認検査機構の研修会にも参加している。 以上のとおり,原告アネックスにおいては,経験年数,技術力ともに兼ね備えた者を検査担当補助員に選任した上,日ごろから検査業務につき研修を重ね,確認検査員が建物の構造,規模により補助員の人選,人数を決定した上,事前に調査のポイント箇所について補助員に指示を与え,補助員は た者を検査担当補助員に選任した上,日ごろから検査業務につき研修を重ね,確認検査員が建物の構造,規模により補助員の人選,人数を決定した上,事前に調査のポイント箇所について補助員に指示を与え,補助員は現場での調査後に検査調書を確認検査員に提出し問題点の報告を行っているのであり,補助員による現場での調査のみで検査が完了することはないのである。したがって,原告アネックスには,法77条の24第1項違反はない。 エ被告の主張について(ア) 法令が,補助員の存在を前提としながら(あるいは少なくとも否定せずに),これに対する資格要件や公的コントロールに関する定めを設けなかったのは,確認検査員に対する厳格な資格要件や公的コントロールにより,その配下の補助員も含め,確認検査の中立・公正性を確保することを予定しているからである。みなし公務員規定によって補助員にも秘密保持義務の適用・収賄罪の適用があるため,指定確認検査機関は,補助員に対し,単なる従業員である場合とは異なり,強力に組織上のコントロールを及ぼさざるを得ない。これは,建築主事が吏員に対し及ぼすコントロールといささかも異ならないのである。 (イ) 確認検査は,申請書において建築物等が建築基準関係規定に適合しているか否かの判断を行うものであり,極めて専門技術的な能力が要求されるのに対し,中間検査,完了検査における建築基準関係規定への適合性判断の相当部分は,設計図書どおりに工事が施工されているか否かの判断で足りるのであり,建築確認と比較してはるかに容易な作業である。そして,確認図面に適合しているかどうかを単純な寸法計測等により検査することこそが完了検査における実地検査の内容であり,必ずしも確認検査員のみが行える専門技術性を要するものではない。むしろ,検査実施 して,確認図面に適合しているかどうかを単純な寸法計測等により検査することこそが完了検査における実地検査の内容であり,必ずしも確認検査員のみが行える専門技術性を要するものではない。むしろ,検査実施に当たって重要なのは,確認図面や報告により事前に当該建築物の何をチェックするかという準備行為である。したがって,完了検査において,実地検査は必ずしもその本質的内容であるということはできず,むしろ,質的に補助的なものである。また,改正法により中間検査が導入されたことにより,構造安全性や断熱性能,設備配管,防災については既に検査済みであるため,完了検査の意義は相対的に小さくなっているといい得る。したがって,実質的にみれば,実地検査は,補助員が行うにふさわしい業務ということができる。 (ウ) 被告は,原告らにおいて確認検査員が総括して検査業務がされているか否か疑義があるとする。 しかしながら,検査の立会については明るい時間帯に行う必要があることからおおむね午後5時までに終了させることとなるものの,検査の立会が終了して会社に戻ってから,補助員による当日の検査内容を報告し合い,問題の有無の確認等を総括し,合否を判定するのであり,たといそれが午後8時になろうが,それ以降になろうが,顧客の要望を優先し,臨機応変に対応しているのであって,件数が多いからといって総括を行っていないというのは,被告の憶測にすぎない。 また,完了検査申請書が施行規則の別記第19号様式であるとしても,審査手続等は指定確認検査機関が自主的に扱えるものとされており,同様式の検査欄又は決裁欄に押捺されなければならないものではない。原告京都確認検査機構における完了検査申請書の扱いは,確認済証番号の転記による確認申請正本の照合や,検査立 に扱えるものとされており,同様式の検査欄又は決裁欄に押捺されなければならないものではない。原告京都確認検査機構における完了検査申請書の扱いは,確認済証番号の転記による確認申請正本の照合や,検査立会の日時,検査立会者,検査済証の受領者を特定することにある。検査の内容や決裁は,一覧性を高めるため,別途,検査受付表に記録されて保存されている。この検査受付表によると,検査対象物件ごとの建築主,工事内容等の他,合否又は保留の区別,保留の場合その理由などが記載されており,このような方法でもって総括を行っているのである。したがって,ことさら,完了検査申請書に検査及び決裁の記載がなければならないというものではない。 さらに,完了検査の申請書には工事監理報告書が第4面として添付されているのが通常であり,これには工事監理者による工事監理の状況が詳細に記載されており,これを確認することで検査の問題点が適確に把握できるところ,原告京都確認検査機構においては,補助員は,これをも含む翌日の検査対象物件の全件を調査し,確認検査員であるc検査部長に問題点の有無について報告をし,c部長は,工事監理報告書が提出されており,かつ,補助員からの報告と割当時に自らチェックした内容を基にして疑義が全くなかった場合にのみ,検査済証を用意して補助員を現場に赴かせているのであるから,実地検査の当日に検査済証を交付している物件があったとしても,総括方式としては何の疑義もない。また,原告アネックスにおいても,確認検査員であるd検査部長が,対象物件,検査補助員の性格,能力に応じて検査補助員の割り振りを考え,検査補助員において事前に申立て書類により確認,調査を行った上d部長と協議を行い,その上で現場に赴いて目視,計測を行い,その結果が工事監理状況報告書,チェックシー 応じて検査補助員の割り振りを考え,検査補助員において事前に申立て書類により確認,調査を行った上d部長と協議を行い,その上で現場に赴いて目視,計測を行い,その結果が工事監理状況報告書,チェックシート及び申込提出書類と照合して不備がなければ合格検査済証を交付しているのであるから,同様に,総括方式としては何の疑義もない。 そもそも,確認検査員による総括を担保するのは,① 自らの名と責任で検査を行う,② 自らの判断で各補助員へ配点を行う,③ 補助員に対する指揮命令権を有している,という形式面と,指揮命令を受ける補助員が必要な技術審査能力を有しているという実質面であるところ,原告らが実施していた完了検査においては,上記①ないし③を満たし,指揮監督下にある補助員に対し,目視計測の結果問題なしと認識した場合という条件を付した上で,検査済証の交付という対外的行為をすることをあらかじめ許しているにすぎず,補助員が行っているのも,あくまでも目視計測の結果当該建築物が図面と相違ないという技術的かつ裁量性のない判定にとどまるのであるから,原告らの検査方法は確認検査員による総括の実体を有するものである。 (エ) 原告らは,その総括方式について適法性の認識の下に業務を行ってきたが,本件各処分が行われたことから,急遽,確認検査員を雇用してすべての検査に確認検査員が同行する扱いとしたところ,確認検査員を現地に赴かせたからといって,例えば検査結果の保留率が高くなったなどの事情は一切なかった。なお,改正法施行時から今日に至るまで確認検査員の採用が困難であるという状況は変わらないのであり,原告らにおいても,実働に耐え得る確認検査員の調達は極めて難しい状況にあり,新たに採用した確認検査員は単独で現場検査を実施することが困難であり,補助 採用が困難であるという状況は変わらないのであり,原告らにおいても,実働に耐え得る確認検査員の調達は極めて難しい状況にあり,新たに採用した確認検査員は単独で現場検査を実施することが困難であり,補助員とともに現場検査に赴いている。 (2) 被告の主張ア法文の検討法は,指定確認検査機関による確認検査の方法につき,国土交通省令に定める方法に従い,確認検査員に確認検査を実施させなければならない旨規定し(法77条の24第1項),これを受けた指定機関省令23条1項3号ハは,検査の方法として,「実地に行うこと」と明記している。そうすると,法等が指定確認検査機関による確認検査は確認検査員が自ら現地に赴いて行うことを予定していることは,その条文の文言に照らして明らかである。 また,建築主事に申請された検査に関しては,建築主事のみならず,その委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員が行う旨,法により明確に定められている(法7条4項,法7条の3第4項)のに対し,補助員については,そのような定めはもとより,法には何らの言及もない。 イ実質的検討(ア) 建築確認,検査の事務は,裁量の余地が基本的にはなく,技術的・定型的な処理になじみやすい面が多いことなどから,改正法により,民間企業等(指定確認検査機関)が行政に代わってこれを行う仕組みが取り入れられたが,そもそも,建築確認,検査は,行政処分であるばかりか,極めて公共性が高いものであるから,建築基準関係規定の適合性を判断するのに十分な審査能力があることに加え,公的コントロールが強く要請されるというべきである。しかるところ,確認検査員に対しては,前記第2の1(3)イ(イ)のとおり,建築基準関係規定の適合性を判断するのに十分な な審査能力があることに加え,公的コントロールが強く要請されるというべきである。しかるところ,確認検査員に対しては,前記第2の1(3)イ(イ)のとおり,建築基準関係規定の適合性を判断するのに十分な能力,資格が要求され,かつ,十分な把握,コントロールをし得る制度が法により創設され,公的コントロールの下,中立,公正性が確保されている。これに対し,補助員については,法令上,十分な資格,能力が要求されているわけではなく,届出,登録の制度はもとより,欠格事由や補助員に対する制裁に関する規定もないから,国土交通大臣等により,十分な把握ができておらず,十分な公的コントロールはなく,制度的に,中立・公正性の確保はなされていない。 (イ) 法令上補助員が確認検査業務に関与することを否定した規定はないから,補助員も確認検査業務に一定程度関与し得るものとは考えられるが,上記のとおりの確認検査員と補助員の法令の定めの差異,すなわち,その審査能力と公的コントロールの違いにかんがみると,確認検査業務は,確認検査員がその重要な部分を行わなければならず,補助員はあくまでも補助的な部分を行い得るにとどまると解すべきである。 (ウ) 完了検査は,建築基準関係規定に適合した建築物の建築を確保するための行政上のチェックとしては最終のものであり,これに合格すればその建築物は建築基準関係規定に適合していることが最終的に公権的に判断確定される極めて重要な意味を有するものであるから,単に建築物が建築確認の際に提出された図面に適合しているかどうかを単純な寸法計測等により検査すれば足りるというものではなく,実際に存在する建築物及びその敷地のすべてを対象として,建築基準関係規定の一切に適合するものであるかどうかを判断する必要があるというべきである。このこと 等により検査すれば足りるというものではなく,実際に存在する建築物及びその敷地のすべてを対象として,建築基準関係規定の一切に適合するものであるかどうかを判断する必要があるというべきである。このことは,建築確認が建築物の計画について書面審査として建築基準関係規定適合性を判断するものであるのに対し,建築物の細部の部分は工事の施工過程において決定される場合が少なくないことからも明らかである。したがって,検査業務においては,実地に赴き,実際に存在する建築物及びその敷地を現実に目で見て見分し,建築基準関係規定適合性を判断することが極めて重要な意義を有するのであり,実地検査こそが検査業務の本質的内容というべきである。 なお,改正法によって創設された中間検査制度は,建築物の安全性確保のために,適切な工事監理が行われていない蓋然性の高い建築物等を対象として特定工程の指定を行い,当該建築物について施工段階における現場検査の受検を義務化したというものであって,検査の充実・徹底により建築物の安全性を確保するための制度である。また,この中間検査は特定行政庁ごとに区域,期間及び建築物の構造,用途又は規模を限り,工事の工程のうち検査が必要なものを特定工程として指定した場合に行われるにすぎず,この指定の仕方次第では,中間検査の対象から外れる建築物も生じ得るから,中間検査制度が創設されたからといって,すべての建築物,すべての工程について必ず中間検査がされるというものでもない。このような中間検査制度の趣旨,在り方からすると,中間検査制度が創設されたからといって,完了検査の重要性が軽減されるという関係にないことは明らかである。 ウ原告らについて法77条の24第1項違反があること以上のとおり,条文の文言・体裁や実質的見地 って,完了検査の重要性が軽減されるという関係にないことは明らかである。 ウ原告らについて法77条の24第1項違反があること以上のとおり,条文の文言・体裁や実質的見地からの検討にかんがみれば,法77条の24第1項は,指定確認検査機関の確認検査においては確認検査員が自ら実地に赴いて検査を行うことを要請していると解すべきである。しかるに,原告京都確認検査機構については,平成14年3月18日,22日及び25日に行った完了検査119件のうち80件については,確認検査員が実地に赴くことなく,補助員が実地に赴いただけで行われていたというのであるから,同原告に法77条の24第1項違反があることは明白である。また,原告アネックスについては,平成14年8月中の数日間に行った完了検査45件のうち26件については,確認検査員が実地に赴くことなく,補助員が実地に赴いただけで行われていたというのであるから,同原告に法77条の24第1項違反があることは明白である。 エ原告らの主張について(ア) 原告らは,法77条の24第1項にいう「確認検査員に確認検査を実施させ」るとは,確認検査員は自己の責任において自己の名をもって確認検査を総括して実施しなければならず,具体的な実施方法については確認検査に関する法令の要求(特に方法について定める指定機関省令23条)を満たすに可能な範囲で補助員の使用を妨げないが,補助員のみで確認検査業務を完成させてはならないということであるなどと主張する。 (イ) しかしながら,補助員には,建築基準関係規定の適合性を判断するのに十分な審査能力を有している保障など全くないのであるから,確認検査員の指導等のみにより検査の確実を期すことは極めて困難である。また,建築主事に申請 ,補助員には,建築基準関係規定の適合性を判断するのに十分な審査能力を有している保障など全くないのであるから,確認検査員の指導等のみにより検査の確実を期すことは極めて困難である。また,建築主事に申請された検査については,建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員(建築主事等)が行うものとされているところ(法7条4項,7条の3第4項),これらの吏員については補助員同様その資格等を定めた規定はないものの,これらの吏員は,地方公共団体における建築部局等の職員であり,地方公務員法の適用を受けるから,法令等及び上司の職務上の命令に従う義務を課され(地方公務員法32条),これに従わない場合,懲戒処分を受けることもあるのであり(同法29条1項2号),これら吏員に対しては,建築主事による組織法上の直接の公的コントロールが確保されている上,委任における責任関係も明確である。これに対し,少なくとも原告らについてみても,補助員は,確認検査員個人ではなく指定確認検査機関である原告らが雇用しているものとうかがわれ,確認検査員と補助員との責任関係,すなわち,どの補助員の行為の責任をどの確認検査員が負うのかは,必ずしも明確ではなく,したがって,原告らにおいて,補助員に対し,確認検査員に対する公的コントロール等が及んでいるとみることはできない。 (ウ) 原告らは,改正法を支える立法事実として総務庁行政監察局作成の平成6年8月付け建築行政監察結果報告書を援用するが,改正法は,同報告書にも言及されているように,建築行政の実施体制が十分に確保されていない状況にあることを踏まえて,それまで特定行政庁の建築主事が行ってきた確認検査業務について,新たに,必要な審査能力を備える公正中立な民間機関(指定確認検査機関)も行うことができるようにしたもの いない状況にあることを踏まえて,それまで特定行政庁の建築主事が行ってきた確認検査業務について,新たに,必要な審査能力を備える公正中立な民間機関(指定確認検査機関)も行うことができるようにしたものである。すなわち,法は,従前の建築行政の実施体制の不十分さを是正すべく,指定確認検査機関に対し,建築確認・検査を開放したものであって,このような法改正の経緯に照らせば,上記報告書で紹介されている旧法下における「省力化」,「合理化」された運用の実例が改正法を支える立法事実であるなどといえないことは明らかである。 また,原告らは,立入検査を受けた直後に,確認検査員を新たに雇って新しい体制を組んでおり,確認検査員の確保が困難であるとはいい難い。 (エ) 原告らにおいて,補助員が行った完了検査について,次のとおり,確認検査員が原告らの主張するように「総括」して自らの責任において検査業務がされているか否か多分に疑義がある。 すなわち,原告京都確認検査機構においては,確認検査員とされるcは,平成14年3月25日には,午前10時から少なくとも午後3時半すぎまでは,京都市φ,ψ,ωの4か所において,マンションその他の建築物等5件について,自ら完了検査に従事したほか,その余に27件の完了検査の「総括」を行ったこととされている。また,原告アネックスについてみても,例えば,確認検査員とされるdは,同年8月30日には,午後1時半から少なくとも午後5時すぎまで,滋賀県彦根市及び草津市の2か所において,自ら3件の完了検査に従事したほか,その余に9件の完了検査の「総括」を行ったこととされている。このように,原告らにおいては,1人の確認検査員がかなり多数の完了検査に自ら従事しあるいは「総括」した扱いとなっているが,その したほか,その余に9件の完了検査の「総括」を行ったこととされている。このように,原告らにおいては,1人の確認検査員がかなり多数の完了検査に自ら従事しあるいは「総括」した扱いとなっているが,その件数等からして,別途建築確認や中間検査の業務も行いながら,さらに,すべての完了検査について,実質的に「総括」し得たとは到底考えられないというべきである。 また,仮に確認検査員による総括・決裁がされているとすれば,完了検査申請書(この様式は,施行規則において別記第19号様式として定められている。)下部の検査欄又は決裁欄において,確認検査員の印が押捺されるなどされていてしかるべきであるところ,殊に原告京都確認検査機構においては,確認検査員と思しき者の押印は全くない。 さらに,原告らにおいては,実地に赴いて完了検査を行った当日中に検査済証を交付しているケースが非常に多いのが実態であるところ,その検査件数・検査に係る建築物等の所在地等を考慮すれば,夕刻以降に検査を終えていったん原告らの会社に戻った後,「総括」を行った上で,再度各地の建築主等を訪ねて検査済証を交付して回っているとは考え難いし,また,「総括」に当てられる時間も,夕刻以降の決して長くない時間であるから,確認検査員によって「総括」がされているとの原告らの主張には,なお疑義がある。 結局,原告らが実施していた検査の実態は,補助員が主に書面上の事前審査を行った上,単独で実地検査に赴き,その判断で検査済証を交付するという,補助員のみで検査が完結するものであり,確認検査員は,実地検査の前に書類に目を通し,事前審査の際に質問があれば補助員に指導,回答するものの,そうでない場合は一般的な指摘や指導をする程度で済ませ,現地から帰った補助員の結果報告 のであり,確認検査員は,実地検査の前に書類に目を通し,事前審査の際に質問があれば補助員に指導,回答するものの,そうでない場合は一般的な指摘や指導をする程度で済ませ,現地から帰った補助員の結果報告を受けてチェックないし確認をするといった程度のものであり,これらに費やされる時間は短時間であって,原告らが主張するような「総括」が十分に行われていたということはできない。 2 本件各処分は裁量権の範囲を逸脱し違法か(1) 原告らの主張ア実質的違法性の欠如前記1(1)ウのとおり,原告京都確認検査機構においては,検査業務に当たる補助員は,そのほとんどが一級建築士又は二級建築士であって10年以上の実務経験を積んだ者であり,建築士の資格がない場合でも設計監理の経験を7年以上積んだ者を補助員として現場に向かわせており,無資格者でかつ経験のない者が現場で検査業務に当たることはない。これは原告アネックスにおいても同様である。 また,原告京都確認検査機構は,補助員に対して研修会を開き研鑽を積ませており,原告アネックスにおいても,教材,資料を配付して勉強会を開き,補助員の能力,資質の向上に努めている。他方で,行政機関においては,検査事務を行う吏員は必ずしも建築士の資格を持たないばかりか,検査業務の実務経験に乏しい者であることが多い。これらの事情からすると,原告らにおいて補助員が行う現地での検査業務は,客観的にみても,また,行政機関の行う検査業務との比較においても,検査の目的を十分達成することができる方法により行われている。 また,原告京都確認検査機構においては,確認検査員は,現場での検査業務に先立ち,検査対象物件の性質等に応じて最も適切な補助員を検査に向かわせるよう配点し,検査に向かう事前段階におい また,原告京都確認検査機構においては,確認検査員は,現場での検査業務に先立ち,検査対象物件の性質等に応じて最も適切な補助員を検査に向かわせるよう配点し,検査に向かう事前段階において補助員に対し必要に応じて検査すべき点を指示しており,補助員は,このような指示に基づき,現場で必要箇所の目視,寸法計測,写真撮影等を行っている。その上で,補助員が検査現場において問題点を発見したときは,補助員は,その問題点を余すところなく持ち帰り,確認検査員が補助員と検討し,確認検査員において問題があると判断した場合には,再度補助員を現場に向かわせ,又は自ら現場に赴くなどしており,補助員の判断のみで検査業務が完結することはない。このように,確認検査員は,事前段階における補助員への指示を中核に,これと前後の指導を合わせ,最終的に検査業務を総括しているのであり,このことは,原告アネックスにおいても同様である。 以上のとおりであるから,原告らの行う検査業務は,客観的にも,また,行政機関の行う検査事務との比較においても,法の目的(1条)にかなうものであって,実質的には何ら違法性のないものである。したがって,本件各処分は,何ら違法性のない行為について不利益を課すものであるから,裁量権の範囲を逸脱し,違法である。 イ比例原則違反被告は,前記アのとおり実質的違法性のない行為について,原告らに対し,改善・是正等の勧告及び命令(法77条の30,77条の33)といった手続を一切履践することなく,いきなり1か月の業務停止命令という極めて重い処分を課したものであり,同処分の結果,原告らにおいてはもとより各自治体の確認検査業務の停滞をもたらすなどといった重大な影響を及ぼすことになるものである。このような処分は,必要な 令という極めて重い処分を課したものであり,同処分の結果,原告らにおいてはもとより各自治体の確認検査業務の停滞をもたらすなどといった重大な影響を及ぼすことになるものである。このような処分は,必要な範囲を超え,また,他に採り得る手段があるにもかかわらずされたものであって,比例原則に反し,被告に与えられた裁量権を逸脱する。 ウ公平性の欠如(ア) 京都府の取扱い原告京都確認検査機構は,京都府から,補助員が現場において実地検査をすることについて何ら指導されたことはなく,平成14年5月24日に同原告に対して行われた立入検査においても,検査体制について何らの指導を受けなかった。かえって,原告京都確認検査機構は,知事指定の時から,申請を断らずに受けるよう指導があった。これらのことから,原告京都確認検査機構は,同原告の行っている業務体制に了承を得ているものと受け止めていた。 (イ) 大阪府における実態大阪府知事指定の指定確認検査機関であり,関西随一の規模である財団法人大阪建築防災センター建築確認検査機構(以下「大阪建築防災センター」という。)では,建築基準検査員による「総括」方式の下に公募による建築基準検査員により実地検査が行われており,平成11年度ないし平成14年度の検査業務のうち建築基準検査員単独での現場検査の割合は,それぞれ34パーセント,57パーセント,71パーセント及び68パーセントとなっていて,補助員活用を積極的に推進している。しかるに,大阪建築防災センターに関しては,被告による法17条9項に基づく措置はとられていない。大阪建築防災センターが大阪府25パーセント,大阪市25パーセント,その他(大阪府建築士会,大阪府建築士事務所協会,大阪府建設業協会等 関しては,被告による法17条9項に基づく措置はとられていない。大阪建築防災センターが大阪府25パーセント,大阪市25パーセント,その他(大阪府建築士会,大阪府建築士事務所協会,大阪府建設業協会等)50パーセントの出資による財団法人で半ば公的な側面を有することからすれば,大阪建築防災センターに関しては法17条9項に基づく大阪府知事への指示は行われず,純粋民間確認検査機関である原告らに対してのみ本件各処分が行われたのは,不平等である。 (ウ) 兵庫県における運用兵庫県においては,平成14年2月,兵庫県県土整備部まちづくり局建築指導課長により,検査業務の増大により建築基準適合判定資格者(確認検査員)のみの検査業務に支障を来しかねない状況になっていることにかんがみ,同課において国土交通省担当者と電話協議をした上で,当面の措置として,平成17年3月31日までの間,現場検査員の運用規程として「兵庫県指定確認検査機関の現地検査員の運用規程」が制定された。これによれば,現地検査は確認検査員が行うことを原則とするが,やむを得ず補助員に行わせる場合は,次の基準によるものとされ,その基準として,① 一級建築士で建築確認の実務経験が2年以上の補助員(常勤)にあっては延面積が2000平方メートル以内の建築物,② 一級建築士で建築確認の実務経験が2年未満の補助員(常勤)にあっては,延面積が500平方メートル以内の建築物,③ 一級建築士の補助員(非常勤)については,型式認定住宅及び木造2階建の建築物(法6条1項4号の建築物),の各検査を行うことができるとされている。 兵庫県が現実に上記運用規程に基づく運用を行っていたのであれば,兵庫県の指定確認検査機関に対しても,法17条9項に基づく知事への指示を通じ 検査を行うことができるとされている。 兵庫県が現実に上記運用規程に基づく運用を行っていたのであれば,兵庫県の指定確認検査機関に対しても,法17条9項に基づく知事への指示を通じて何らかの処分が必要となるべきところ何らの行政処分も行われていない。 (エ) 奈良県における実態知事指定の確認検査機関である財団法人なら建築住宅センター(以下「なら建築住宅センター」という。)では,平成14年3月ころまで,補助員が単独で現場検査を行い,合格保留又は不合格の場合は協議の上同センターにおいて対応するといういわゆる「総括」方式による完了検査を実施しており,奈良県も同センターの方式を認識,認容していた。 (オ) 地方自治法245条の4,245条の5の規定による助言,是正の要求等以上のとおり,大阪府,兵庫県及び奈良県においては,知事指定に係る指定確認検査機関において,原告らと同様のいわゆる総括方式による運用がされていたところ,いずれについても,地方自治法245条の5の規定に基づく是正の要求がされておらず,また,少なくとも,大阪府及び奈良県については,同法245条の4の規定に基づく技術的な助言や見解が示されたこともない。これらからすれば,被告は,都道府県知事指定に係る指定確認検査機関の総括方式を意図的に見逃しているとしかいえない。このように,違法状態があれば,法17条9項の規定に限定されず,地方自治法245条の4,同条の5の規定によるまでもなく,国の地方公共団体に対する是正が可能な方途はいくらでも存するにもかかわらず,知事指定の指定確認検査機関に対しては何らの是正措置もとっておらず,原告らに対してのみ本件各処分を行っている。 (カ) 結論 正が可能な方途はいくらでも存するにもかかわらず,知事指定の指定確認検査機関に対しては何らの是正措置もとっておらず,原告らに対してのみ本件各処分を行っている。 (カ) 結論以上のとおり,本件各処分は,他の府県における取扱いとの内容の整合性が保てず,行政において,知事指定か大臣ないし地方整備局長指定かにより矛盾した措置,指導を行うものであって,恣意的,不公平な処分であり,裁量権の範囲を逸脱したものである。 エ緊急性,重大性の欠如本件業務停止処分1及び本件業務停止処分2(以下「本件各業務停止処分」という。)自体,処分の日から業務停止の効力発生の日まで2週間を設けており,緊急性・重大性を認めていない。 オ結論以上のとおり,本件各処分は,実質的には何ら違法性のない行為に対し,業務停止1か月などという重大な不利益を課すものであり,他の府県における取扱いとの整合性を欠く恣意的,不公平なものであって,本件各処分自体が緊急性,重大性を認めていないこと,他に採り得る手段の存することにかんがみれば,社会通念上是認される範囲を超えるものとして,裁量権の逸脱,濫用に当たるというべきである。 カ本件各処分のうち確認業務に係る部分についての裁量権の逸脱(予備的請求原因)(ア) 本件各処分の対象とされたのは確認検査業務であるところ,確認業務と検査業務は,それが行われる時期,対象,方法が異なり,業務の内容も全く異質のものであり,そのうち,確認業務は,工事着工前にその建築物の設計図書が建築基準関係規定に適合しているか否かの判断であって,補助員をして実地に行うといった概念が入る余地はない。しかるに,本件各処分は,確認検査員以外の者に完了 業務は,工事着工前にその建築物の設計図書が建築基準関係規定に適合しているか否かの判断であって,補助員をして実地に行うといった概念が入る余地はない。しかるに,本件各処分は,確認検査員以外の者に完了検査を実施させたことを理由として,確認業務と検査業務の両者を渾然一体として処分の対象としているのであって,処分の必要のない確認業務をもその理由も開示せずに処分の対象とするものであるから,本件各処分のうち少なくとも確認業務に係る部分は,行政手続法14条にも違反し,必要以上の不利益を課すものとして,裁量権の逸脱がある。 (イ) 被告は,確認業務と検査業務は,内容として密接な関係があり,確認業務も検査業務と同様に停止しなければ,建築確認の新規契約がされ後日の検査業務の準備的な行為となるから,検査業務の業務停止処分について実効性を確保するには確認業務の業務停止の必要性は高いと主張するが,建築確認と完了検査を別の機関に依頼することは可能であって実際上も行われていることであり,また,確認業務が検査業務の準備行為であるということもできない。さらに,法77条の35第2項も,「業務の全部又は一部の」と規定することにより,確認業務と検査業務を区別して必要的,段階的に業務停止の処分を行うみちを定めている。なお,被告が援用する建築士法は,業務の停止又は免許若しくは登録の取消しは行い得ても,一部の業務停止という方途を認めていない(10条1項,26条1項,2項)。 キ被告の主張について被告の主張は,指定機関省令23条1項3号ハについて確認検査員が実地に行わなければならないとの解釈を前提とするものであるところ,法は確認検査員が自ら実地検査を行うことまでをも要求していないから,被告の主張はその前提を欠くものである。また,被告 いて確認検査員が実地に行わなければならないとの解釈を前提とするものであるところ,法は確認検査員が自ら実地検査を行うことまでをも要求していないから,被告の主張はその前提を欠くものである。また,被告の主張は,補助員単独による完了検査が建築基準関係規定に違反した建築を惹起するという趣旨のものと解されるが,原告らにおいては,完了検査が行われたにもかかわらず違法建築物が建築されてしまうことがないよう細心の留意をしているのであり,完了検査を行った住宅金融公庫の融資対象建築物を対象に再確認を行った結果,建築基準関係規定に違反する建築物は見当たらなかった。また,確認・検査の業務が民間に開放された平成11年以降,京都市における違反建築の発生率は,過去にない水準にまで減少し続けており,この点における原告京都確認検査機構の貢献は大きい。 (2) 被告の主張ア裁量権の逸脱・濫用について法77条の35第2項1号によれば,国土交通大臣等は,指定確認検査機関が法77条の24第1項の規定に違反して確認検査を行った場合,その指定を取り消し,又は期間を定めて確認検査の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる旨定められているが,この規定は,指定確認検査機関が法の定める方法によることなく確認検査を行ったことから,もはや確認検査という極めて公共性の高い行政事務を行わせるのに適格性を有しないものと認められる場合には,指定確認検査機関の指定を取り消し,そうまでいえないとしても,一定期間確認検査業務の停止を命じて,一定の制裁を与えるとともに反省を促し,これによって確認検査業務が適正に行われることを期するものである。 また,法77条の30によれば,国土交通大臣等は,確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するため必 に反省を促し,これによって確認検査業務が適正に行われることを期するものである。 また,法77条の30によれば,国土交通大臣等は,確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるときは,その指定に係る指定確認検査機関に対し,確認検査の業務に関し監督上必要な命令をすることができる旨定められているが,この規定もまた,確認検査が極めて公共性の高い行政事務であることを踏まえ,そのような確認検査業務の適正を確保しようとしたものである。 このようなことからすると,指定確認検査機関が法77条の24第1項の規定に違反して確認検査を行った場合に,その指定を取り消し,又は確認検査業務の停止を命ずるかどうか,確認検査業務の停止を命ずるとして,その範囲や期間をどの程度にするか,更には,監督上必要な命令をするかどうか,監督上必要な命令をするとしてどのような内容の命令をするかということは,違法行為の違法性の程度,違法行為の態様,違法行為がもたらす影響等,諸般の事情を考慮し,法77条の35第2項又は法77条の30の規定の趣旨に照らして判断すべきものであるところ,その判断は,指定確認検査機関の指定権者である国土交通大臣等の合理的な裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。 したがって,国土交通大臣等がその裁量権の行使としてした指定確認検査機関に対する業務停止処分,監督命令処分は,それが社会通念上著しく妥当を欠いて裁量権を付与した目的を逸脱し,これを濫用したと認められる場合でない限り,その裁量権の範囲内にあるものとして,違法とならないものというべきである。 イ違法性の重大性原告らは,完了検査につき,確認検査員が実地に赴くことなく,補助員が実地に赴いただけで行っ 内にあるものとして,違法とならないものというべきである。 イ違法性の重大性原告らは,完了検査につき,確認検査員が実地に赴くことなく,補助員が実地に赴いただけで行っていたというのであるが,完了検査は,既に述べたとおり,建築基準関係規定に適合した建築物の建築を確保するための行政上のチェックとしては最終のものであり,これに合格すればその建築物は建築基準関係規定に適合していることが最終的に公権的に判断確定されることから,極めて重要な意義を有するものであるから,単に建築物が建築確認の際に提出された図面に適合しているかどうかを単純な寸法計測等により検査すれば足りるというものではなく,実際に存在する建築物及びその敷地のすべてを対象として,建築基準関係規定の一切に適合するものであるかどうかを判断する必要があり,そのためには,実地に赴くことが極めて重要であって,完了検査における本質的な内容とさえいい得るものである。 このような完了検査における実地検査の重要性に照らせば,原告らの違反行為はそれ自体,重大で,公共性が強く要請される確認検査業務にあって,同業務,ひいてはこれを行う指定確認検査機関そのものに対する国民の信頼を著しく害しかねない行為である。 ウ原告らによる違法行為の態様とその影響等(ア) 原告京都確認検査機構原告京都確認検査機構については,判明したものに限定しても,約7割(119件中80件)にも上る件数の完了検査が違法に行われていた上(ちなみに,ERIにおいては,382件中41件,約11パーセントが違法にされていたが,原告京都確認検査機構は,その6倍を超える割合で違法な完了検査を行っていた。),代表取締役の申告等から,これらが組織的・恒常的に行 においては,382件中41件,約11パーセントが違法にされていたが,原告京都確認検査機構は,その6倍を超える割合で違法な完了検査を行っていた。),代表取締役の申告等から,これらが組織的・恒常的に行われていたことが優に推認された。 また,被告職員による立入検査に先立ってされた,京都府職員による立入検査において,同職員から,補助員単独ではなく,確認検査員と同行の上実地検査を実施するよう指導されたにもかかわらず,これに応じることなく,なお違法な検査を続けていたのである。 (イ) 原告アネックス原告アネックスについては,判明したものに限定しても,半数を優に超える件数(45件中26件)の完了検査が違法に行われていた上(ちなみに,ERIと比較しても,その5倍を超える割合で違法な完了検査がされていた。),代表取締役の申告等から,これらが組織的・恒常的に行われていたことが優に推認された。 (ウ) 他の指定確認検査機関との比較国土交通大臣あるいはその権限の委任を受けた地方整備局長の指定に係る指定確認検査機関(20機関)のうち,補助員に単独で実地検査をさせて違法な完了検査に及んでいたのは,わずか4機関のみであり,その余の16機関においては違法な完了検査を行っているとは認められなかった。原告らが指摘するように,指定確認検査機関において確認検査員の確保が困難であるとすると,上記のように大部分の指定確認検査機関においては決して容易ではない努力をして何とか確認検査員を確保し適法に完了検査を行っているということになるが,仮にそうだとすると,そのような努力すらせずに,漫然と違法な完了検査を継続している原告らの行為は,これらと対比して,なおのこと悪質というべきであり,これ 適法に完了検査を行っているということになるが,仮にそうだとすると,そのような努力すらせずに,漫然と違法な完了検査を継続している原告らの行為は,これらと対比して,なおのこと悪質というべきであり,これを放置して見逃すということになれば,適法に完了検査を行っている他の指定確認検査機関に対し,法遵守の意欲を減退させ,同種の違法行為を誘発させるおそれがあり,ひいては,国民の生命,健康及び財産に対し,当該建築物に起因した危害が及ぶなどして,公共の福祉を損なう結果ともなりかねない(法1条参照)。 エ処分の内容について本件各業務停止処分は,いずれもその期間が1か月であるが,法77条の35第2項による処分は,指定の取消しまで含めて許容されるものであり,確認検査員の処分(法77条の62)とは異なり業務停止期間の制限もないから,本件各業務停止処分は法77条の35による処分としては最も寛容な処分の部類に入るものである。しかも,確認検査業務の一切を停止させるわけではなく,その間に行い得ない行為を限定し,既に締結した契約に基づく確認検査等に関してはなお行い得るものとして,原告らと既に契約を締結している消費者の保護等についても十分な考慮を払っている。 なお,本件監督命令処分1及び本件監督命令処分2(以下「本件各監督命令処分」という。)についても,原告らによる法77条の24第1項違反を将来に向かって是正させ,過去の同種違反行為を是正させるため,必要にして十分な措置を講ずるように命じている。 オ処分の方法について本件各業務停止処分につき処分の日から業務執行の停止の効力発生の日までに2週間を設けたのは,原告らの違法行為の重大性等にとらわれることなく,本件各処分に対する原告らの準備の便宜, 本件各業務停止処分につき処分の日から業務執行の停止の効力発生の日までに2週間を設けたのは,原告らの違法行為の重大性等にとらわれることなく,本件各処分に対する原告らの準備の便宜,特に原告らの顧客への周知等の必要性にも十分に配慮したものであるから,これをもって,被告が裁量権を適切に行使したということはできても,被告の裁量権の逸脱,濫用を裏付けるものということはできない。 カ本件各処分のうち確認業務に係る部分と裁量権の逸脱,濫用(原告らの予備的請求原因について)原告らは,本件各業務停止処分のうち確認業務についてされた部分は,必要以上の不利益を課すものとして,裁量権の逸脱があるなどと主張する。 建築物の建築確認,中間検査,完了検査は対象となる建築物の計画から完成までの過程に関連した一連の事務である上,中間検査及び完了検査においては建築確認に要した図書の一部を用いるなど(指定機関省令23条1項3号イ),確認業務と検査業務は,内容として密接な関係もある。このようなことから,建築確認と検査をそれぞれ別の指定確認検査機関に申請することは制度上は可能であるとしても,現実には,事務処理の便宜等をも考慮して,建築確認と検査とを同一の指定確認検査機関に依頼する場合が極めて多いところ,検査業務の新規契約やそのための事前の交渉等の業務を1か月間停止したとしても,確認業務も同様に停止しなければ,建築確認の新規契約は行われることとなり,現実には,それが後日の検査業務の準備的な行為となるから,このような行為を許せば,結局のところ,検査業務の新規契約やそのための事前の交渉等の業務を停止した趣旨を没却することとなる。したがって,検査業務に違法行為があった場合でも,確認業務も合わせて業務停止する必要性は, を許せば,結局のところ,検査業務の新規契約やそのための事前の交渉等の業務を停止した趣旨を没却することとなる。したがって,検査業務に違法行為があった場合でも,確認業務も合わせて業務停止する必要性は,業務停止処分の実効性確保の見地にかんがみれば極めて高いというべきであり,しかも,原告らの違法行為が重大で悪質であることに照らすと,なおさらである。 また,法は,指定確認検査機関制度について,確認業務と検査業務とを特段区別せず,「確認検査」として一体的にとらえており(法77条の18参照),法77条の35第2項は,同項各号の1つに該当する場合,指定確認検査機関の「指定を取り消し,又は期間を定めて確認検査の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。」と規定することにより,確認業務と検査業務とを区別することなく,これらを一体として業務停止に処することを許容している。純粋に民間の経済活動として設計や監理等の業務を行うにすぎない建築士や建築士事務所に対する処分ですら,このような業務全体あるいは事務所そのものの閉鎖にわたる処分が許されていること(建築士法10条,26条)にかんがみれば,確認検査の行政事務を代行している指定確認検査機関においては,なおさら確認業務と検査業務を区別せずに一体として処分等がされることも許されるというべきである。 以上のとおり,そもそも,確認検査においては,検査業務のみならず確認業務についても合わせて処分する必要性が類型的に高い上,本件においては,原告らの違法行為の重大性,悪質性等から,その必要性は一段と高い。これに対して,法は,確認検査を一体として扱っており,他の類似の法制度との比較からしても,検査業務のみならず確認業務について処分しても,上記の必要性との対比において,許されるというべき 一段と高い。これに対して,法は,確認検査を一体として扱っており,他の類似の法制度との比較からしても,検査業務のみならず確認業務について処分しても,上記の必要性との対比において,許されるというべきである。 キ原告らの比例原則違反の主張について以上述べたところからすれば,本件各処分が比例原則に違反する旨の原告らの主張が採用できないことは明らかである。 ク原告らの公平性の欠如の主張について(ア) 京都府は,平成14年5月24日に原告京都確認検査機構に対して立入検査を行った際,c検査部長により,4号建築物に関する完了検査について一部補助員が単独で実地検査を実施している旨の説明がされたことから,検査担当職員(京都府土木建築部建築指導課建築指導主任e)は,c部長に対し,検査に当たっては補助員単独ではなく確認検査員と同行の上実施するよう口頭で指導し,さらに,立入検査の講評の際にも,a代表取締役に対し,同様の口頭指導を行ったものであり,何らの指導もしなかったものでないことはもとより,補助員単独による実地検査を容認するような指導を行った事実もない。 また,被告と京都府知事とは別の主体であるから,被告がした処分と京都府の対応を単純に比較して平等,不平等を論じるのは相当ではない。かえって,原告京都確認検査機構は,京都府職員による上記口頭の指導にもかかわらず補助員単独による実地検査を継続していたものであるから,これを基礎事実としてされた被告による本件各処分は,京都府の取扱いと比較して不平等でもなければ同一の事実につき二重に不利益を与えるものでもない。 (イ) 原告らの主張するとおり,大阪建築防災センターで補助員単独による実地検査が行われていたとしても(もっとも, 平等でもなければ同一の事実につき二重に不利益を与えるものでもない。 (イ) 原告らの主張するとおり,大阪建築防災センターで補助員単独による実地検査が行われていたとしても(もっとも,原告らの主張によっても,大阪建築防災センターの取扱いに対する大阪府の関与の有無やその程度・態様については,必ずしも明らかではない。),法の所管行政庁である国土交通省(地方整備局)はそのような取扱いがされていることを全く知らなかったのであり,これを容認していたものではない。 また,大阪建築防災センターは,大阪府知事指定に係る指定確認検査機関であり,これに対する行政処分も大阪府知事が行うべきものであるから,同知事が同センターに対して何らの行政処分をしていないことと被告が原告らに対し本件各処分をしたこととを単純に比較して,平等・不平等を論じること自体,相当でない。 さらに,法17条9項に基づく都道府県知事への指示と業務停止処分や監督命令処分は,その要件を異にするから,都道府県知事に対して上記指示をしていないことと本件各処分をしたことを単純に比較して平等,不平等を論じることは相当でない(ちなみに,国土交通省においては,本件各処分に先立つ平成14年10月9日に開催された建築主務課長会議において,各都道府県に対し,補助員単独による検査の実施が法77条の24に違反するとの見解を示している。)。 なお,大阪建築防災センターにおいても,建築基準検査員の人選方針として,一級建築士の資格を有し,実務経歴7年以上であることを条件の1つとして掲げているところ,原告らによれば,原告京都確認検査機構においては,一級建築士学科試験に合格しただけで建築士資格を持たない者にまでも検査担当補助員として単独で実地検査を であることを条件の1つとして掲げているところ,原告らによれば,原告京都確認検査機構においては,一級建築士学科試験に合格しただけで建築士資格を持たない者にまでも検査担当補助員として単独で実地検査をさせていたというのであり,原告アネックスにおいても,二級建築士にすぎない者に検査担当補助員として単独で実地検査をさせていたというのであって,原告らにおいては,大阪建築防災センターにおいてすら許容していない態様で補助員単独による実地検査を行っていたものである。 (ウ) 兵庫県においては,平成14年2月7日付けで「兵庫県指定確認検査機関の現地検査員の運用規程」が定められ,同運用規程に基づいて,補助員単独による実地検査を一定の条件下で許す運用がされていたが,国土交通省(地方整備局)はそのような取扱いがされていることを全く知らなかったのであり,これを容認していたものではなく,同規程は,同年10月31日付けで廃止された。 また,兵庫県の指定確認検査機関に対して何らの行政処分が行われていないとしても,被告と兵庫県知事とは別の主体であるから,両者を単純に比較して平等・不平等を論じること自体,相当でない。 さらに,法17条9項に基づく指示をしていないことと本件各処分をしたことを単純に比較して平等,不平等を論じることが相当でないことは,前記のとおりである。 なお,同運用規程によっても,補助員単独による現地検査はやむを得ない場合に限って許される上,建築物の確認については最低でも一級建築士の資格を有することをその条件としている(同規程第2の1の(1)ないし(3))ところ,原告らにおいては同運用規程においてすら許容していない態様で補助員単独による実地検査を行っていたものである。 有することをその条件としている(同規程第2の1の(1)ないし(3))ところ,原告らにおいては同運用規程においてすら許容していない態様で補助員単独による実地検査を行っていたものである。 (エ) 国土交通省(地方整備局)は,なら建築住宅センターにおいて原告らが主張するような取扱いがされていることについては,全く知らなかった。 なら建築住宅センターは,奈良県知事指定に係る指定確認検査機関であり,これに対する行政処分も奈良県知事が行うべきものであるから,奈良県知事が同センターに対して何らの行政処分をしていないことと被告が原告らに対し本件各処分をしたこととを単純に比較して,平等・不平等を論じること自体,相当でない。 (オ) 以上のとおり,本件各処分が他団体との公平性にもとる処分であるとの原告らの主張は,すべて失当である。 3 本件各処分は行政手続法に違反し違法か(1) 原告らの主張ア行政手続法13条1項2号,30条違反本件各処分は,被処分者である原告らの営業の自由を侵害する度合いが極めて高いものであるから,行政手続法2条4号にいう「不利益処分」に該当し,同法13条1項2号により事前に弁明の機会を付与しなければならない。もっとも,同条2項1号は,公益上,緊急に不利益処分をする必要があるため,意見陳述のための手続を執ることができないときは,同条1項の規定は適用しない旨規定しているが,本件各処分は,切迫した危険に対処し危害の発生や被害の拡大を防止する必要がある場合でもなければ,現状をそのまま放置し,見逃すと,いつ危険の事態が生じないとも限らない場合ともいえないし,手続を経ていると時機を失し有効に対処できなくなる場合ともいえず,速やかに不利益処分をすることが でもなければ,現状をそのまま放置し,見逃すと,いつ危険の事態が生じないとも限らない場合ともいえないし,手続を経ていると時機を失し有効に対処できなくなる場合ともいえず,速やかに不利益処分をすることが必要であったとはおよそいえないから,「緊急に不利益処分を行う必要がある」ということはできない。 しかるに,被告は,平成14年9月30日に行われた立入検査の前後を通じ,原告らに対し,一切弁明の機会を付与することなく,また,同法30条の定める弁明の機会の付与についての書面による通知をすることもなく,立入検査日のわずか11日後である同年10月11日に突然本件各処分を行ったものであるから,本件各処分は,行政手続法13条1項2号及び30条に違反する。 そして,本件においては,原告らに弁明の機会が付与されていれば,原告らの行為には何ら実質的違法性がないことが明らかとなって,本件各処分がされなかった可能性が極めて高いことからすれば,弁明の機会の付与が処分の結果に影響を及ぼす可能性があったということができるから,上記の行政手続法違反は本件各処分の違法事由になるというべきである。 なお,被告は,原告らに対しては近畿地方整備局職員による立入検査時に事情聴取を行い,その際それなりの弁明をしているのであるから,本件各処分に際しては原告らに弁明の機会が与えられていたというが,事前の書面による通知を欠き,十分な準備の期間も与えられなかった下においての「それなりの弁明」が行政手続法上要求されている弁明の機会ということができないことは明らかである。 イ本件各処分に行政手続法が適用されない旨の被告の主張について(ア) 行政手続法4条3項の違憲性行政手続法4条3項において,指定 は明らかである。 イ本件各処分に行政手続法が適用されない旨の被告の主張について(ア) 行政手続法4条3項の違憲性行政手続法4条3項において,指定機関に対してのみされる監督処分が適用除外となっているのは,指定機関を行政代行者と考え,「国等と当該指定機関との監督関係については,いわば,行政庁内部の関係とみることができる」という考え方による。しかし,憲法31条以下の適正手続の保障は行政作用全般に及ぶものであり,行政手続法は,憲法31条以下の適正手続の保障を実現すべく制定されたものであるから,その適用除外を定める同法4条3項の合憲性については,慎重に判断しなければならない。しかるところ,指定機関は私人であることから,一定の処分を除く監督処分につき一律に適用除外としたことは,立法論的に問題がある。また,処分については適用除外としながら,行政指導については適用対象としているなどの不均衡も問題である。そうすると,同項は,正に行政側の便宜のためだけの規定であり,憲法31条の理念にかんがみれば,その合憲性は疑わしい。 仮に,行政手続法4条3項の存在自体は憲法に反しないものであったとしても,前記のとおり,行政手続法は,憲法31条の適正手続の保障を実現すべく制定されたものであるから,その適用除外を定める行政手続法4条3項は制限的に解釈されるべきである。 被告は,原告らに対し,適正手続の保障については行政手続法4条3項の適用により原告らは公務員と同様に弁明の機会なしとしながら,その業務については民間企業だから信用性がないといって総括方式は認められないというが,これは行政統制の便宜のために原告らから適正手続の保障を奪い,民間蔑視により総括方式を認めないものであって, ら,その業務については民間企業だから信用性がないといって総括方式は認められないというが,これは行政統制の便宜のために原告らから適正手続の保障を奪い,民間蔑視により総括方式を認めないものであって,自己に都合の良い2つの基準を使い分けているにすぎない。 (イ) 行政手続法4条3項にいう「行政上の事務について・・・指定を受けた者」該当性行政手続法4条3項が定める要件は,指定して行政上の事務を行わせること,みなし公務員規定が置かれていること,の2点のみであり,これに該当するものとしては,次のような非営利的かつ独占的な権限の行使を行う指定機関が想定されていた。 ① 原権限庁の行政処分権限が指定機関に委任され,行政組織法上の委任と同様の現象と解することができること② 指定機関は,全国又は一定地域に1つに限るとされ独占的事務をゆだねられ,反面,原権限庁は指定に伴い委任された権限を行わない構造となっていること③ 指定の相手方は公益法人に限定され,営利法人は許容されないこと④ 指定機関は,法令の定めた額を手数料として徴収するが,これは,法令が指定機関の費用補填のためにその収入として帰属させたにすぎないことしかるに,指定確認検査機関は,原権限庁の処分権限に加えて,処分とみなされる業務を行うことが認められる法的な仕組みがとられており(業務の開放),独占的に事務をゆだねられるのではなく(原権限庁の権限行使も停止しない。),複数の機関が指定され,競争的条件で業務展開することが期待されており,営利的な株式会社等も指定の対象となり,手数料について政令等で一律に定めず,各機関の創意工夫により任意に決定する余地が与えられている 数の機関が指定され,競争的条件で業務展開することが期待されており,営利的な株式会社等も指定の対象となり,手数料について政令等で一律に定めず,各機関の創意工夫により任意に決定する余地が与えられているなど,全く法的性質を異にし,自らの営業の自由の行使として行政上の事務と同等のものとみなされる業務を行うことが認められているのであって,行政上の事務として行政権限を代行するものではない。したがって,指定確認検査機関は,行政手続法4条3項にいう「行政上の事務について・・・指定を受けた者」に該当しない。 (ウ) 行政手続法4条3項括弧書き該当性行政手続法4条3項括弧書きは,① 指定取消処分,② 指定機関が法人である場合の役員解任命令,③ 指定機関の当該事務に従事する職員の解任命令,の各処分は,適用除外とならないとするが,これは,監督上の処分であっても,「侵害度の高い」ものであることから,適用除外とはしないものとされたものである。 前述のように,行政手続法の適用除外は正に憲法上の原則に対する例外として制限的に解釈されるべきであるから,行政手続法4条3項括弧書きは制限列挙と解すべきではなく例示列挙と解すべきであり,同項括弧書き列挙事項以外の事項であっても,法人自体にとって極めて「侵害度の高い」ものについては,同項括弧書きにより,同法の適用除外とならないと解すべきである。 民間の株式会社である原告らにとって1月間の業務停止処分等を命じる本件各処分は,原告らの営業の自由を制限する度合いが極めて高い処分といえるのであり,行政手続法4条3項括弧書きに定める指定取消処分等と同様,極めて「侵害度の高い」ものであるから,同項括弧書きにより同条3項の適用はなく(すなわち同法の適用除外とな が極めて高い処分といえるのであり,行政手続法4条3項括弧書きに定める指定取消処分等と同様,極めて「侵害度の高い」ものであるから,同項括弧書きにより同条3項の適用はなく(すなわち同法の適用除外とならず),同法第3章の適用が認められると解すべきである。 (2) 被告の主張ア行政手続法4条3項の合憲性行政手続については,それが刑事手続でないとの理由のみで,そのすべてが当然に憲法31条の保障の枠外にあると判断することは相当ではないが,同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても,一般に,行政手続は,刑事手続とその性質においておのずから差異があり,また,行政目的に応じて多種多様であるから,常に必ず行政処分の相手方に告知,弁解,防御の機会を与えることを必要とするものではない。最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁も,およそすべての行政処分について弁明の機会を与えることを要求したものでないことは,その判示からも明らかである。 行政庁は,法律の規定によって与えられた事務を遂行する責任を負っているが,試験,登録等の技術的又は定型的な事務であって民間が行うことがなじむものについては,当該法律の規定に基づき,行政庁以外の者(指定機関)に当該事務の全部又は一部を行わせている。この場合,このような指定機関は,行政庁に代わって当該事務を行っているものであり,その限りにおいて,国等と当該指定機関との関係については,いわば,行政庁内部の関係とみることができることから,当該指定機関に関する監督上の処分については,行政手続法第3章等につき,一部を除き,適用除外としたのが同法4条3項である。 このようなことからすると,行政手続法4条3項は,仮に憲法31条 指定機関に関する監督上の処分については,行政手続法第3章等につき,一部を除き,適用除外としたのが同法4条3項である。 このようなことからすると,行政手続法4条3項は,仮に憲法31条の保障が及ぶとしても,同条に違反するものではない。 イ行政手続法4条3項該当性行政手続法4条3項は,「行政庁が法律の規定に基づく…検査…その他の行政上の事務について当該法律に基づきその全部又は一部を行わせる者を指定した場合において,その指定を受けた者…又は職員その他の者が当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるときは,その指定を受けた者に対し当該法律に基づいて当該事務に関し監督上される処分…については,次章及び第3章の規定は,適用しない。」と規定している。 ここで,「行わせる」というのは「代行させる」という意味に解されるところ,法は,指定確認検査機関の確認済証,検査済証,中間検査合格証を建築主事の確認済証,あるいは建築主事等の検査済証,中間検査合格証とみなすと定める(法6条の2第1項,7条の2第5項,7条の4第4項)などして,確認検査の行政事務を指定確認検査機関に代行させる制度を採っている。また,法によれば,指定確認検査機関の処分に不服がある者は,建築審査会に対して審査請求をすることができ(法94条1項),建築審査会の裁決に不服がある者は国土交通大臣に対して再審査請求をすることができるとされており(法95条),この点は建築主事の処分に不服がある者がし得る不服申立てと基本的には異ならない(法94条1項,95条)。したがって,指定確認検査機関の行う確認検査業務は,行政事務にほかならず,これを指定確認検査機関に「行わせている」ものというべきである。なお,指定確認検査機関は,法77 (法94条1項,95条)。したがって,指定確認検査機関の行う確認検査業務は,行政事務にほかならず,これを指定確認検査機関に「行わせている」ものというべきである。なお,指定確認検査機関は,法77条の18に規定される指定(法6条の2第1項(法87条1項,法87条の2又は法88条1項若しくは2項において準用する場合を含む。)又は法7条の2第1項(法87条の2又は法88条1項若しくは2項において準用する場合を含む。)に規定する指定)を受けることにより,確認(建築確認)・検査(中間検査,完了検査を含む。)を行うことが認められ,これにより国土交通大臣と指定確認検査機関との間にはいわば行政組織内の権限の監督に当たる監督関係が設定されるのであり,行政手続法4条3項の指定機関に該当することは明らかである。 そして,指定確認検査機関やその職員にみなし公務員の規定があるから(法77条の25第2項),「その指定を受けた者…又は職員その他の者が当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるとき」にも該当する。 さらに,本件各処分は,いずれも「その指定を受けた者に対し当該法律に基づいて当該事務に関し監督上される処分」であることは明白である。 なお,行政手続法4条3項括弧書きには,「当該指定を取り消す処分,その指定を受けた者が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる処分又はその指定を受けた者の当該事務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。」とあるところ,その文言からして限定列挙と解するのが素直であるし,同一の項中で「試験,検査,検定,登録その他の行政上の事務」という用語も用いられ,そちらについては例示列挙であることが文言上明記されていることとの比較からしても,同項括弧書きは限定列挙であると解すべき の項中で「試験,検査,検定,登録その他の行政上の事務」という用語も用いられ,そちらについては例示列挙であることが文言上明記されていることとの比較からしても,同項括弧書きは限定列挙であると解すべきである。また,現に原告らと同様の法77条の24第1項違反により原告らと同様の業務停止処分等を受けた「民間の株式会社」であるERI及び株式会社住宅性能評価センターは,倒産の危機に瀕することもなく,1か月間の業務停止処分の後,検査方法の改善等の措置をして業務を再開しているから,本件各処分が原告らの主張するように極めて侵害度の高いものということはできない。したがって,本件各処分が行政手続法4条3項括弧書きに該当しないことは明らかである。 以上のとおり,本件各処分は,行政手続法4条3項の要件を満たすから,同法第3章の適用はなく,したがって,原告らの主張する同法13条1項2号,30条の適用もない。 なお,改正法により指定確認検査機関の制度が新設されたのは,建築確認や検査等の充実,効率化に当たり,行政の十分な実施体制が確保できない状況等を背景として,これまで特定行政庁の建築主事が行ってきた確認検査事務について,新たに必要な審査能力を備える公正中立な民間機関にもこれを行わせることとしたためであり,指定確認検査機関は,行政事務である確認検査事務を代行する機関として公正中立性が強く要請される結果,指定確認検査機関及びその職員にはみなし公務員の規定が置かれたのであるから,行政手続法4条3項の適用があることは,改正法の趣旨に沿うものである。 また,原告らに対しては,近畿地方整備局職員による立入検査時に事情聴取を行い,その際,原告らはそれなりの弁明をしているのであるから,本件各処分に際しては,原告らには既に弁明の る。 また,原告らに対しては,近畿地方整備局職員による立入検査時に事情聴取を行い,その際,原告らはそれなりの弁明をしているのであるから,本件各処分に際しては,原告らには既に弁明の機会を与えられている。 第5 当裁判所の判断 1 原告らに法77条の24第1項違反があるか(1) 前記第2の1のとおり,法は,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉を増進することを目的として,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めるとともに,建築物が建築基準関係規定に適合することを確保するための制度として,建築確認,完了検査及び中間検査を規定しており,建築主は,建築物を建築等しようとする場合,当該工事に着工する前に,その計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて建築確認を受けて確認済証の交付を受けなければならず,当該工事を完了したときは,建築物の使用に先立って,完了検査を受けて検査済証の交付を受けなければならず,また,当該工事が特定行政庁の指定する特定工程を含む場合は,当該特定工程に係る工事を終えたときに,特定行政庁の指定する特定工程後の工程に係る工事を施工するに先立って,中間検査を受けて中間検査合格証の交付を受けなければならないものとしている。 また,法は,建築確認及び確認済証の交付は建築主事が,完了検査及び検査済証の交付は建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員(建築主事等)が,中間検査及び中間検査合格証の交付は建築主事等がこれを行うものと規定するとともに,指定確認検査機関の制度を設け,建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,指定確認検査機関の確認を受け,確認済証の交付を受けたときは,当該確認は建築主事による確認と,当該確認済 指定確認検査機関の制度を設け,建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,指定確認検査機関の確認を受け,確認済証の交付を受けたときは,当該確認は建築主事による確認と,当該確認済証は建築主事による確認済証とみなし(法6条の2第1項),指定確認検査機関が完了検査を引き受けた場合には,建築主による建築主事に対する検査の申請は要せず(法7条の2第1項),指定確認検査機関が,当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは,当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならず,この場合,当該検査済証は建築主事等による検査済証(法7条5項)とみなし(法7条の2第5項),また,指定確認検査機関が中間検査を引き受けたときには,建築主による建築主事に対する検査の申請は要せず(法7条の4第1項),指定確認検査機関が,特定工程に係る工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合すると認めたときは,当該建築主に対して中間検査合格証を交付しなければならず(同条3項),この中間検査合格証は建築主事等による中間検査合格証(法7条の3第5項)とみなす(法7条の4第4項)と規定している。そして,指定確認検査機関の処分又はこれに係る不作為に対する不服については,建築主事の処分又はこれに係る不作為に対する不服と同様,建築審査会に対する審査請求及び国土交通大臣に対する再審査請求をすることができるものとされ(法94条1項,95条),当該処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができないものと規定している(法96条)。 この指定確認検査機関による建築確認,完了検査及び中間検査の制度は,平成10年法律第100号による建築基準法の改正により創設されたものである ができないものと規定している(法96条)。 この指定確認検査機関による建築確認,完了検査及び中間検査の制度は,平成10年法律第100号による建築基準法の改正により創設されたものであるが,その趣旨については,建築行政の執行体制が不十分である現状を踏まえ,これまで特定行政庁の建築主事が行ってきた確認検査事務について,新たに必要な審査能力を備える公正,中立な民間機関もこれを行うことができるものとすることによって,全体としての執行体制を強化することにあるとされている(甲13の1,乙17)。 このような観点から,法は,指定確認検査機関について,確認検査員の制度を設け,指定確認検査機関が確認検査を行うときは,国土交通省令で定める方法に従い,確認検査員に確認検査を実施させなければならない旨規定する(法77条の24第1項)とともに,確認検査員の選任について,法77条の58第1項の建築基準適合判定資格者検定に合格してその登録を受けた者のうちから選任しなければならないものとし(法77条の24第2項),建築基準適合判定資格者検定の受験資格については,一級建築士試験に合格した者で,建築行政又は確認検査の業務等に関して2年以上の実務経験を有する者に限定している(法5条3項)。また,職員である確認検査員の数が確認検査を行おうとする建築物の種類,規模及び数に応じて国土交通省令で定める数以上であることを指定確認検査機関の指定の基準の一つとして規定している(法77条の20第1号)。そのほか,法は,指定確認検査機関の指定の基準として,職員,確認検査の業務の実施の方法その他の事項についての確認検査の業務の実施に関する計画が,確認検査の業務の適確な実施のために適切なものであること,確認検査の業務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的基礎 業務の実施の方法その他の事項についての確認検査の業務の実施に関する計画が,確認検査の業務の適確な実施のために適切なものであること,確認検査の業務の実施に関する計画を適確に実施するに足りる経理的基礎を有するものであること,法人にあっては役員,法人の種類に応じて国土交通省令で定める構成員又は職員(確認検査員を含む。)の構成が,法人以外の者にあってはその者及びその職員の構成が,確認検査の業務の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること,等を指定の基準として規定する(同項2号ないし6号)とともに,指定確認検査機関及びその職員で確認検査の業務に従事するものは,刑法その他の罰則の適用については,法令により公務に従事する職員とみなす旨規定し(法77条の25第2項),指定確認検査機関は,確認検査を行うべきことを求められたときは,正当な理由がある場合を除き,遅滞なく,確認検査を行わなければならない旨規定している(法77条の26)。 このような法改正の趣旨及び改正法の規定にかんがみると,法は,全体としての建築行政の執行体制の強化を図る観点から,行政上の事務としての性質を有する確認検査事務を指定確認検査機関がその業務として行うことができるものとし,一方で,建築基準適合判定資格者である確認検査員をして当該確認検査業務を実施させるものとし,また,職員である確認検査員の数が確認検査を行おうとする建築物の種類,規模及び数に応じて所定数以上であることを指定の基準の一つとすること等により,当該業務の実施に必要な審査能力の確保を図るとともに,他方で,指定確認検査機関及びその職員で確認検査の業務に従事するものを罰則の適用について公務員とみなすものとし,法人の役員等の構成を指定の基準として規定すること等により,指定確認検査機関の組織構成としての中立 確認検査機関及びその職員で確認検査の業務に従事するものを罰則の適用について公務員とみなすものとし,法人の役員等の構成を指定の基準として規定すること等により,指定確認検査機関の組織構成としての中立性及び業務運営の在り方としての公平性を制度上担保しようとしているものと解される(甲13の1)。これらにかんがみると,法77条の24第1項は,確認検査業務を指定確認検査機関が行う場合においても,当該確認検査は建築基準適合判定資格者である確認検査員に限ってこれを実施することができるものとする趣旨であると解される。 もっとも,確認検査員による確認検査の実施に当たって確認検査員以外の者(補助員)が関与することそれ自体を禁止した法令の規定はなく,建築主事又は建築主事等による確認検査事務の実施の場合との対比においても,確認検査員が確認検査を実施するに当たり確認検査員以外の者を使用すること自体は法の許容するところと解される。 しかしながら,指定確認検査機関における確認検査に関する上記のような法規制の在り方及びその趣旨からすれば,確認検査員が確認検査を実施するに当たり確認検査員以外の者(補助員)を使用する場合においても,当該補助員の関与の程度,態様は補助的なものに限られるというべきであって,当該確認検査を全体として評価すれば確認検査員が自らこれを行ったものと同視し得るような実体を備えたものでなければならないと解すべきである。 (2) ところで,前記第2の1のとおり,法77条の24第1項の規定を受けて,指定機関省令23条1項1号は,法6条の2第1項(法87条1項において準用する場合を含む。)の規定による確認(建築確認)の方法について,指定機関省令23条1項2号は,法88条1項又は2項において準用する法6条の2第1項の規定による 条の2第1項(法87条1項において準用する場合を含む。)の規定による確認(建築確認)の方法について,指定機関省令23条1項2号は,法88条1項又は2項において準用する法6条の2第1項の規定による確認(建築確認)の方法について,指定機関省令23条1項3号は,法7条の2第1項(法87条の2又は法88条1項若しくは2項において準用する場合を含む。)又は法7条の4第1項(法87条の2又は法88条1項において準用する場合を含む。)の検査(完了検査又は中間検査)の方法について,それぞれ規定しているが,指定機関省令のこれらの規定は,建築確認の方法については,専ら所定の図書及び書面をもって行うことを規定しているのに対し,完了検査又は中間検査の方法については,所定の図書をもって行うこと(同令23条1項3号イ),写真を求めること(中間検査の場合。同号ロ)に加えて,「実地に行うこと」(同号ハ)と規定している。その趣旨は,建築確認が当該工事に着手する前にその建築物の計画が建築基準関係規定に適合するかどうかを審査するものであって,確認申請書に明示すべき事項が建築基準法施行規則に定められ,当該事項について審査がされる仕組みがとられているのに対し,完了検査又は中間検査は,当該工事を完了したとき又は当該特定工程に係る工事を終えたときに,当該工事に係る建築物及びその敷地又は当該工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合するかどうかを検査するものであって,建築物の細部は工事の施工過程において決定されることが少なくなく,建築確認の対象とならない程度の計画の変更も往々にしてある実状にかんがみても,当該建築物及びその敷地を実地に検査する必要が大きいことにあると解される(乙12参照)。特に,完了検査については,建築基準関係規定に適合する建築物の建築を確保するための行政上の規 状にかんがみても,当該建築物及びその敷地を実地に検査する必要が大きいことにあると解される(乙12参照)。特に,完了検査については,建築基準関係規定に適合する建築物の建築を確保するための行政上の規制として最終のものであり,実際に存在する建築物及びその敷地を対象として,建築基準関係規定の一切に適合するものであるかどうかを検査するものであるから,特定工程に係る工事についての中間検査制度が創設されたからといって,その重要性が減殺されるものではないというべきである。 そうであるとすれば,中間検査又は完了検査においては,実地検査こそがその本質的内容を成すものであるということができるのであって,指定確認検査機関における確認検査に関する前記のような法規制の在り方及びその趣旨からすれば,法77条の24第1項及び指定機関省令23条1項3号ハの規定は,完了検査又は中間検査の方法として,確認検査員が自ら実地に行うことを予定しているものと解されるのであり,実地検査に当たり確認検査員以外の者(補助員)を使用する余地を認めるとしても,確認検査員が自ら実地検査を行ったものと同視し得るような場合に限られるものと解すべきである。また,そのように解することが,建築物の敷地,構造,設備及び用途に関する最低の基準を定めて,国民の生命,健康及び財産の保護を図り,もって公共の福祉の増進に資するという法の目的にも沿うものというべきである。 (3) 原告らは,法77条の24第1項にいう「確認検査員に確認検査を実施させ」るとは,確認検査員は自己の責任において自己の名をもって確認検査を総括して実施しなければならず,具体的な実施方法については確認検査に関する法令の要求を満たすに可能な範囲で補助員の使用を妨げないが,補助員のみで確認検査業務を完成させてはならないというこ 確認検査を総括して実施しなければならず,具体的な実施方法については確認検査に関する法令の要求を満たすに可能な範囲で補助員の使用を妨げないが,補助員のみで確認検査業務を完成させてはならないということであり,指定機関省令23条1項3号ハは,現場に行かないで検査を終了してしまうことを禁じる趣旨にすぎず,補助員のみが実地に赴き確認検査員がこれを総括して判断することをもって足りると解すべきであると主張する。 しかしながら,法77条の24第1項についての上記のような解釈は,法が,行政上の事務としての性質を有する確認検査事務を指定確認検査機関がその業務として行うことができるものとするに当たり,建築基準適合判定資格者である確認検査員をして当該確認検査業務を実施させるものとすることにより,当該業務の実施に必要な審査能力の確保を図ろうとした趣旨を没却するものというべきである。 この点,原告らは,平成6年8月付け総務庁行政監察局による建築行政監察結果報告書(甲83)を援用して,指定確認検査機関に関する法の規定は,以前において現場検査を行わずに完了検査がされていた事実があり,そのような検査も法的に許される余地があることを前提として規定されたものであるなどとし,また,確認検査員の確保が容易でない実態からも,法が確認検査員自らが実地に赴いて検査を行うことを要請したとは考えられないなどと主張する。 確かに,上記建築行政監察結果報告書には,体制上の余裕がないなどとして,完了検査を実施していない建築主事もあり,検査済証の交付率は確認件数の40パーセントにも満たない状況にあることなど,現在の実態においては,中間検査及び完了検査により建築物の適法性及び安全性を十分に確保することは難しい状況となっているなどといった指摘がされ,建築主 の40パーセントにも満たない状況にあることなど,現在の実態においては,中間検査及び完了検査により建築物の適法性及び安全性を十分に確保することは難しい状況となっているなどといった指摘がされ,建築主事設置公共団体の中には,工事監理者を活用して現場検査を省略し検査済証を交付している例,市町村を活用して4号建築物に係る現場検査を委託している例など,工事完了検査を効率的に実施している例がみられるとして,完了検査が省力化,合理化されている例が紹介されている。また,甲13の1,2によれば,改正法の立法過程において,指定確認検査機関制度発足当初のいわゆる過渡期には確認検査員の確保が困難な状況があることが意識されていた事実が認められる。 しかしながら,前記のとおり,改正法は,上記建築行政監察結果報告書にも指摘するように建築行政の執行体制が十分に確保されていない状況にあることを踏まえて,それまで特定行政庁の建築主事が行ってきた確認検査業務について,新たに,必要な審査能力を備える公正中立な民間機関(指定確認検査機関)も行うことができるようにすることによって,全体としての執行体制を強化することを図ったものであって,このことは,改正法の立法経緯(甲13の1,2参照)のみならず改正後の法の規定からも明らかというべきである。また,確認検査員の確保の困難さについても,必要な審査能力を確保するためにも確認検査員の資格要件は避け難いのであって,指定確認検査機関制度発足当初のやむを得ない過渡的な状況として理解すべきものとされていたということができる(甲13の1,2)。 これらによれば,前記のとおり,法77条の24第1項及び指定機関省令23条1項3号ハの規定は,完了検査又は中間検査の方法として,確認検査員が自ら実地に行うことを予定しているもの 2)。 これらによれば,前記のとおり,法77条の24第1項及び指定機関省令23条1項3号ハの規定は,完了検査又は中間検査の方法として,確認検査員が自ら実地に行うことを予定しているものと解するのが,立法趣旨に沿うものというべきであって,原告らの前記主張を採用することはできない。 なお,指定確認検査機関制度の発足当初,一部の府県において,完了検査等の方法として補助員が単独で実地検査を行うといった運用をも容認するかのような取扱いがみられたことは後記のとおりであるが,そうであるからといって,改正法がそのような取扱いを容認する趣旨で立法されたということもできない。 (4) 前記第2の2の前提事実に加えて甲121(枝番を含む。),125,126,133(枝番を含む。),乙8ないし11,乙24の1,2,証人c,同d及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア原告京都確認検査機構においては,平成14年当時(ただし,本件各処分がされるまでの間をいう。以下同じ。),おおむね確認検査員9名,補助員17名の体制で確認業務を行っており,そのうち本社における検査業務は確認検査員1名(c検査担当取締役)及び補助員4名で行っていた。補助員のうち3名は一級建築士の資格を有し,1名は一級建築士学科試験合格者であるが建築士の資格を有するものではなかった。 イ原告京都確認検査機構(本社)における当時の検査業務の体制は,大要,次のとおりとされていた。① 検査の申請を受けると,申請書に工事監理報告書が添付されているか否かを確認し,添付されていない場合は,申請者に対して工事監理報告書の提出を求める。② 実地検査予定日の前々日に,確認検査員(c)において,検査対象建築物を一覧表にし,検査対象建築物の規模を中心に,構 かを確認し,添付されていない場合は,申請者に対して工事監理報告書の提出を求める。② 実地検査予定日の前々日に,確認検査員(c)において,検査対象建築物を一覧表にし,検査対象建築物の規模を中心に,構造,用途,物件の所在地,補助員の年齢,資格,経験等を検討の上,どの物件にどの補助員を向かわせるかの割当てを決定する,③ 実地検査予定日の前日に確認検査員において補助員に対し検査対象建築物の指示をし,補助員において割り当てられた対象物件につき申請書類を調査した上,確認検査員に対して各物件の問題点の有無について報告する。④確認検査員は,補助員からの報告と物件割当時に自らチェックした内容を基にして,疑義が全くなかった場合には補助員にあらかじめ検査済証を交付するが,工事監理報告書が提出されていない場合には,原則としてあらかじめ検査済証を交付することをしない。これに対し,補助員からの報告又は確認検査員のチェックにおいて問題点があった場合,確認検査員は補助員に対して検査における注意点を指示する。⑤ 補助員は,当日,現地に赴いて,目視及び寸法計測により検査を行い,問題がないと判断すれば,現地で工事監理者に検査済証を交付する。⑥ 補助員は,実地検査を終えて帰社すると,確認検査員に対し,検査の結果を報告する。問題点があった物件については,補助員にその状況を報告させた上,確認検査員において,補助員が撮影した写真を基に問題点の把握をし,その上で指示事項を補助員に伝達し,問題点が改善されれば検査済証を交付することを許可する。 ウ平成14年当時,原告京都確認検査機構(本社)においては,1日当たり30件ないし40件の完了検査(実地検査)業務を処理しており,検査業務に従事していた確認検査員又は補助員1人当たりの担当件数は5件ないし7件であったが,確認検 検査機構(本社)においては,1日当たり30件ないし40件の完了検査(実地検査)業務を処理しており,検査業務に従事していた確認検査員又は補助員1人当たりの担当件数は5件ないし7件であったが,確認検査員は大規模な物件を担当することから割当件数は少なかった。確認検査員は,午後4時から午後4時30分ころの間に帰社し,補助員は午後4時30分から午後5時ころの間に帰社するのが通常であり,確認検査員は,補助員が帰社するまでの間に,翌日の検査物件について自ら目を通してチェックした上,帰社した補助員に対して検査対象建築物の指示をしていた。補助員は,帰社すると,翌日の検査物件について,工事監理報告書を含む申請書類を調査し,問題点があれば確認検査員に指摘して指示,指導を受けたが,「これで検査ができる。」旨の報告を確認検査員にした場合には,確認検査員は,申請書に工事監理報告書が添付されていないものを除いて,補助員にあらかじめ検査済証を交付していた。この確認検査員と補助員による翌日の実地検査のための打合せに要する時間は全体で大体1時間以内であった。補助員は,検査済証を持参して現地に赴き,敷地と道路の関係,道路斜線,北側斜線,階段幅,手摺,内装制限等の検査事項について,目視及び寸法計測による実地検査を行い,その結果問題がないと判断すれば,現地で工事監理者に検査済証を交付しており,現地を見なければ判断することができないような事項も含めて,あらかじめ確認検査員に対して実地検査の結果を報告してその判断を仰ぐことはなかった。また,1件当たりの実地検査に要する時間は10分ないし15分程度であった。もっとも,実地検査の結果補助員が判断に迷う場合は検査済証の交付を留保して持ち帰るものとされていたが,留保になるのは月に500件から600件の完了検査のうち10件程度であった し15分程度であった。もっとも,実地検査の結果補助員が判断に迷う場合は検査済証の交付を留保して持ち帰るものとされていたが,留保になるのは月に500件から600件の完了検査のうち10件程度であった。補助員は,実地検査から帰社すると,実地検査の結果を確認検査員に報告し,確認検査員による確認を受けていたが,これに要する時間も,完了検査の場合,補助員1人当たり15分程度であった。補助員は,検査済証の交付を留保した物件については,自ら撮影した写真を示すなどして報告を行い,確認検査員が具体的な指示をしていたが,換気扇に防火ダンパーが入っていないなどといった程度のものについては,工事監理者に写真を提出させるだけで検査済証を交付し,また,再度の実地検査を行う場合であっても,状況によっては確認検査員自ら現地に赴くこともあったが,簡単なものについては補助員を現地に行かせてその判断により検査済証を交付することもあった。 エ原告アネックスにおいては,平成14年当時,おおむね確認検査員8名,補助員18名の体制で確認業務を行っており,そのうち検査業務は確認検査員1名(d検査部長)及び補助員4名で行っていた。補助員のうち3名は一級建築士の資格を有し,1名は二級建築士の資格を有していた。 オ原告アネックスにおける当時の検査業務の体制は,大要,次のとおりとされていた。① 検査の申請がされると,提出書類に不足がなければこれを受け付け,検査予約台帳に検査希望日,申込者側の立会者,連絡先等を記載するとともに,確認検査員(d)において,検査対象建築物の規模,用途,物件の所在地,補助員の年齢,資格,経験等を考慮して,検査を担当する確認検査員又は補助員の割り振りを決める。② 補助員は,割り振られた検査対象物件全件について申請書類に目を通し,調査,確認 ,用途,物件の所在地,補助員の年齢,資格,経験等を考慮して,検査を担当する確認検査員又は補助員の割り振りを決める。② 補助員は,割り振られた検査対象物件全件について申請書類に目を通し,調査,確認を行い,疑義点があれば確認検査員に相談し,確認検査員において助言,指導を行う。③ 補助員は,あらかじめ検査済証を持参して実地検査に赴き,敷地と道路の関係及び敷地形状,敷地内の建物配備,高さや斜線制限,建物内の仕上げ,階段寸法等の防災,避難関係を目視,計測し,その結果が工事監理報告書,チェックシート及び申請書類と照合して不備がなければ,検査済証を立会者に交付し,不備があれば当該箇所を記載した検査結果通知書を交付して是正を促す。④ 補助員は,検査結果通知書とは別に検査調書を作成し,帰社すると,結果検査報告書,検査調書に現場で撮影された写真を添えて実地検査の内容,結果を確認検査員に報告し,確認検査員は,その内容を確認の上,問題がないと判断すれば検査部長決裁を行う。 ⑤ 補助員が検査済証の交付を留保した場合には,不備箇所が是正された後に再度補助員又は確認検査員が再度の実地検査を行い,補助員が再度の実地検査を行った場合には,問題箇所が是正されたという書類報告が提出された段階で,確認検査員が内容を確認の上検査部長決裁を行う。 カ平成14年当時,原告アネックス本社検査部においては,確認検査員であるd検査部長と2名の補助員が検査業務を行っており,補助員のうち1名は一級建築士,もう1名は二級建築士の資格を有していた。1日当たりの検査(完了検査に係る実地検査)の件数は12件程度であり,1人当たりの処理件数は4件程度であった。確認検査員(d)は,検査物件のすべてについて申請書類に目を通し,検査対象建築物の規模,用途,物件の所在地,補助員の年齢,資格, 査)の件数は12件程度であり,1人当たりの処理件数は4件程度であった。確認検査員(d)は,検査物件のすべてについて申請書類に目を通し,検査対象建築物の規模,用途,物件の所在地,補助員の年齢,資格,経験等を考慮して,確認検査員又は補助員に対する割り振りを決定し,補助員に対して割り振られた物件に係る申請書類を渡す際にその全件について検査済証を交付していた。補助員は,実地検査から帰社すると,割り振られた物件について,工事監理報告書を含む申請書類を調査,確認し,問題があると思えば,確認検査員に相談しており,その際,確認検査員が書類の下調べや工事監理報告書のチェック等といったことについての一般的な指導をすることはあったが,案件によってはこの相談,指導の手続が全く行われないものもあった。補助員は,検査済証を持参して現地に赴き,道路,敷地の形状や高さ,敷地内における建物の配置,高さ,建物内部の仕上げ,避難関係,階段寸法等を目視又は寸法計測により検査し,問題がないと判断すれば,立会者に現地で検査済証を交付しており,その交付に先立って確認検査員に対し実地検査の結果を報告してその判断を仰ぐことはなかった。これに対し,補助員が問題があると判断した場合には,当該箇所を記載した検査結果通知書を立会人に交付して是正を促した上,検査済証の交付を留保して帰社し,確認検査員に報告していた。そして,立会者ないし工事監理者から是正結果報告が出てくると,写真判定ができる場合は写真判定で済ませ,それができない場合には,再度実地検査を行っていたが,その場合も,手が空いているときは確認検査員が現地に赴くこともあったものの,それ以外の場合は補助員が赴いていた。なお,実地検査の結果検査済証の交付が留保になるのは,月に250件から300件の完了検査のうち10件程度であった。確認検査 認検査員が現地に赴くこともあったものの,それ以外の場合は補助員が赴いていた。なお,実地検査の結果検査済証の交付が留保になるのは,月に250件から300件の完了検査のうち10件程度であった。確認検査員(d)は午後4時ころ帰社し,午後6時30分ころ退社するまでの間,自身の検査の整理に30分,検査対象物件の補助員への割り振り及び補助員との事前の相談に40分から50分程度を当て,その余の時間を事後の報告,確認に当てており,確認検査員が検査物件の割り振りを行う時間と補助員から相談を受ける時間は,併せて40分から50分程度であった。 キ近畿地方整備局長は,平成14年9月30日,近畿地方整備局職員に原告京都確認検査機構本社に立ち入らせ,関係書類の提出を受け,関係者から事情を聴取し,代表取締役に事実を確認して確認書を提出させるなどの検査等を行わせた。その結果,同年3月に実施された完了検査451件のうち348件(77パーセント)について補助員のみで実地検査が行われていることが確認され,また,同社が同年3月18日,22日及び25日に行った完了検査119件(同月18日が39件,同月22日が42件,同月25日が38件)のうち80件(同月18日が26件,同月22日が25件,同月25日が29件)については,補助員のみで実地検査を行っていたことが確認された。その際,f総務部長は,確認検査件数が多く確認検査員だけでは処理することができないため補助員のみで実地検査を行い,その報告を受けて確認検査員が判断する方法により完了検査を行っていること,特に同年5月以降はかなりの部分が補助員のみで完了検査に係る実地検査をしていたことを認め,また,a代表取締役も,確認検査員以外の補助員のみで完了検査に係る実地検査を行っていることを認めた上,同年5月に京都南部支所を開 なりの部分が補助員のみで完了検査に係る実地検査をしていたことを認め,また,a代表取締役も,確認検査員以外の補助員のみで完了検査に係る実地検査を行っていることを認めた上,同年5月に京都南部支所を開設し確認検査員を分割したこと,検査件数が増加したことなどの要因により,そのころから完了検査に係る実地検査のかなりの部分が補助員のみによる検査となり,立入検査当時もそのような方法による検査を行っていたことを認めた。近畿地方整備局職員が現在もそのような取扱いをしていることについては是正すべき旨を伝達したところ,a代表取締役は,確認検査員の高齢化があり,現地検査は危険性を伴うものがあることから,それらを考慮すると,若い補助員で実地検査を行い,その報告(写真を含む。)を基に資格のある確認検査員が判定を行うこともやむを得ないことであったと弁明した。 ク近畿地方整備局長は,平成14年9月30日,近畿地方整備局職員に原告アネックス本社に立ち入らせ,関係書類の提出を受け,関係者から事情を聴取し,代表取締役に事実を確認して確認書を提出させるなどの検査等を行わせた。その結果,原告アネックスが同年8月中の数日間に行った完了検査45件のうち26件について確認検査員以外の者のみで実地検査を行っていたこと,また,その26件のほとんどを当時同原告の従業員ではなかった2名の者(うち1名は原告京都確認検査機構に所属)が行っていたことが確認された。その際,b代表取締役は,主として検査件数の増加した平成14年6月以降同様の検査が行われており,立入検査当時も行われている旨回答した。近畿地方整備局職員が現在もそのような取扱いをしていることについては是正すべき旨を伝達したところ,b代表取締役は,法令違反は認めつつも,検査の民間開放の趣旨を実現するには,少ない有資格者だけ した。近畿地方整備局職員が現在もそのような取扱いをしていることについては是正すべき旨を伝達したところ,b代表取締役は,法令違反は認めつつも,検査の民間開放の趣旨を実現するには,少ない有資格者だけでは対応が無理で,円滑な経済活動に支障が生じるとか,建築基準適合判定資格者検定が難しく合格者が少ないなどと,法令違反となった背景等について説明した。 (5) 前記(4)キのとおり,原告京都確認検査機構においては,少なくとも平成14年3月18日,22日及び25日に行った完了検査に係る実地検査119件のうち80件については,確認検査員以外の補助員が単独で行っていた事実が認められるところ,前記(4)アないしウにおいて認定した事実関係によれば,同原告(本社)においては,平成14年当時,補助員が単独で実地検査を行う場合,事前に確認検査員が検査対象物件に係る申請書類に目を通し,また,当該補助員が申請書類に基づく調査の結果問題点を指摘した場合には確認検査員において指示,指導を行うものの,補助員が問題点がないと判断した場合には,申請書類に工事監理報告書が添付されていない場合を除いて,確認検査員から事前に検査済証の交付を受けて実地検査に赴き,現地において目視,寸法計測による検査を行った結果,問題がないと判断すれば,あらかじめ確認検査員に報告してその判断を仰ぐことなく,現地で工事監理者に検査済証を交付し,問題があると判断した場合には,検査済証の交付を留保して帰社し,その結果を確認検査員に報告するといった運用が行われていたというのであり,上記80件の実地検査についても上記のような方法,態様で行われたものと推認される。しかも,前記事実関係によれば,1日当たりの実地検査の処理件数が30件ないし40件という状況の下で確認検査員と補助員による実地検査のための事前打 ても上記のような方法,態様で行われたものと推認される。しかも,前記事実関係によれば,1日当たりの実地検査の処理件数が30件ないし40件という状況の下で確認検査員と補助員による実地検査のための事前打合せに要する時間は全体で大体1時間以内であったというのであり,また,実地検査の結果検査済証の交付が留保になるのは月に500件から600件の完了検査のうち10件程度であったなどというのである。 これらにかんがみると,原告京都確認検査機構においては,完了検査のうちの実地検査部分を補助員が単独で行っていたというにとどまらず,申請書類の審査から検査済証の交付に至るまでの全過程を確認検査員の総括的指導の下に補助員自らの判断において行っていたということができるのであって,その実態は補助員が確認検査員と完了検査業務を分担していたというに等しく,完了検査への補助員の関与の程度,態様が補助的なものにすぎないとは到底いい難い。確認検査員が個々の検査物件について補助員に対し検査手順及びチェックポイント等を具体的かつ詳細に指示し,実地検査の結果を自ら確認の上,検査済証を交付するか否かについての判断を最終的に行うなどといった検査体制が確立されていたなどというのであればともかく,上記認定のような運用実態の下においては,補助員が単独で行った実地検査について確認検査員が自らこれを行ったものと同視し得るような特段の事情があるとは到底いうことができない。 そうであるとすれば,原告京都確認検査機構については法77条の24第1項の規定に違反する事実があったというべきである。 また,前記(4)クのとおり,原告アネックスにおいては,少なくとも平成14年8月中の数日間に行った完了検査に係る実地検査45件のうち26件については,確認検査員以外の補 うべきである。 また,前記(4)クのとおり,原告アネックスにおいては,少なくとも平成14年8月中の数日間に行った完了検査に係る実地検査45件のうち26件については,確認検査員以外の補助員が単独で行っていた事実が認められるところ,前記(4)エないしカにおいて認定した事実関係によれば,同原告においては,平成14年当時,補助員が単独で実地検査を行う場合,事前に確認検査員が検査対象物件に係る申請書類に目を通し,また,当該補助員が申請書類に基づく調査をして問題があると考えた場合には,相談を受けた確認検査員において一般的な指導をすることもあったが,この相談,指導の手続が全く行われないものもあり,補助員は,検査物件の割り振りを受ける際にあらかじめ交付された検査済証を持参して実地検査に赴き,現地において目視,寸法計測による検査を行った結果,問題がないと判断すれば,あらかじめ確認検査員に報告してその判断を仰ぐことなく,立会者に現地で検査済証を交付し,問題があると判断した場合には,当該箇所を記載した検査結果通知書を立会人に交付して是正を促した上,検査済証の交付を留保して帰社し,確認検査員に報告するといった運用が行われていたというのであり,上記26件の実地検査についても上記のような方法,態様で行われたものと推認される。しかも,前記事実関係によれば,1日当たりの実地検査の処理件数が12件程度という状況の下で確認検査員による検査物件の割り振りと補助員による実地検査のための事前相談に要する時間は40分ないし50分程度であったというのであり,また,実地検査の結果検査済証の交付が留保になるのは月に250件から300件の完了検査のうち10件程度であったなどというのである。 これらにかんがみると,原告アネックスにおいても,原告京都確認検査機 結果検査済証の交付が留保になるのは月に250件から300件の完了検査のうち10件程度であったなどというのである。 これらにかんがみると,原告アネックスにおいても,原告京都確認検査機構と同様に,完了検査のうちの実地検査部分を補助員が単独で行っていたというにとどまらず,申請書類の審査から検査済証の交付に至るまでの全過程を確認検査員の総括的指導の下に補助員自らの判断において行っていたということができるのであって,その実態は補助員が確認検査員と完了検査業務を分担していたというに等しく,完了検査への補助員の関与の程度,態様が補助的なものにすぎないとは到底いい難い。上記認定のような運用実態の下においては,補助員が単独で行った実地検査について確認検査員が自らこれを行ったものと同視し得るような特段の事情があるとは到底いうことができない。 そうであるとすれば,原告アネックスについては法77条の24第1項の規定に違反する事実があったというべきである。 2 本件各処分は裁量権の範囲を逸脱し違法か(1) 前記1において認定説示したところによれば,原告らについて法77条の24第1項の規定に違反する事実があったと認められるから,原告らが法77条の35第2項1号にいう「法77条の24第1項の規定に違反したとき」に該当することは明らかであるのみならず,法77条の30にいう「確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要があると認めるとき」にも該当するというべきである。 しかるところ,前記事実関係によれば,原告らは,いずれも,法77条の24第1項,指定機関省令23条1項3号ハの規定に違反して,確認検査員以外の補助員に単独で実地検査を行わせていたのみならず,その態様は,申請書類の審査から検査済証の交付に至るま いずれも,法77条の24第1項,指定機関省令23条1項3号ハの規定に違反して,確認検査員以外の補助員に単独で実地検査を行わせていたのみならず,その態様は,申請書類の審査から検査済証の交付に至るまでの完了検査の全過程を確認検査員の総括的指導の下に補助員自らの判断において行わせていたというものであって,補助員に確認検査員と並んで完了検査業務を分担させていたというに等しい実態を有するものであったというのであり,しかも,原告京都確認検査機構にあっては,平成14年3月に実施された完了検査451件のうち348件(77パーセント)について補助員のみによる実地検査が行われており,同年5月以降同年9月30日の立入検査時までの間はかなりの部分について補助員のみで実地検査をしていたなどというのであり,また,原告アネックスにおいても,同年8月中の数日間に行った完了検査45件のうち26件(58パーセント)について確認検査員以外の者のみで実地検査を行っており,少なくとも同年6月以降同年9月30日の立入検査時までの間同様の検査が行われていたなどというのである。さらに,原告京都確認検査機構においては,実地検査を単独で行っていた補助員の中に建築士の資格を有しない者が含まれており,原告アネックスにおいては,従業員でない者が含まれていたというのである。 上記のような違反行為の内容,態様,程度等にかんがみると,原告らの法77条の24第1項違反は,重大かつ悪質なものであったといわざるを得ない。 この点,原告らは,原告らの行う検査業務は,客観的にも,また,行政機関の行う検査事務との比較においても,法の目的(1条)にかなうものであって,実質的には何ら違法性のないものであるなどと主張する。 しかしながら,以上説示したような原告らの検査業務の実 機関の行う検査事務との比較においても,法の目的(1条)にかなうものであって,実質的には何ら違法性のないものであるなどと主張する。 しかしながら,以上説示したような原告らの検査業務の実施態様は,法が,行政上の事務としての性質を有する確認検査事務を指定確認検査機関がその業務として行うことができるものとするに当たり,建築基準適合判定資格者である確認検査員をして当該確認検査業務を実施させるものとすることにより,当該業務の実施に必要な審査能力の確保を図ろうとした趣旨を没却するものであって,法の目的を阻害するものといわざるを得ない。 他方で,原告らに対する本件各業務停止処分の内容は,前記第2の2(5)ア(ア)及び同イ(ア)のとおり,いずれも処分の日から2週間後の平成14年10月25日から1か月間確認検査の業務の停止を命ずるものであって,甲91及び弁論の全趣旨からうかがわれる2か月の業務停止処分を受けた指定確認検査機関の停止期間満了後の確認検査数の推移に照らすと,本件各業務停止処分により原告らが受けるであろう不利益は決して軽微であるとはいい切れない。また,甲65によれば,原告アネックスが平成14年4月1日から同年10月15日までの間に完了検査を行った住宅金融公庫の融資対象建築物を対象に完了検査が適切に行われているか否か再確認をした結果,建築基準関係規定に違反する建築物は見当たらなかった事実が認められる。 しかしながら,これらの事情をしんしゃくしても,以上説示したような原告らの違反行為の重大性,悪質性に加えて,国土交通大臣あるいはその権限の委任を受けた地方整備局長の指定に係る指定確認検査機関(20機関)のうち,立入検査の結果補助員に単独で実地検査を行わせていたことが判明したのは,原告らを含めて4機関にすぎない 大臣あるいはその権限の委任を受けた地方整備局長の指定に係る指定確認検査機関(20機関)のうち,立入検査の結果補助員に単独で実地検査を行わせていたことが判明したのは,原告らを含めて4機関にすぎないこと(甲32,乙7)などを併せ考えると,本件各業務停止処分が重きに失する等,社会通念上著しく妥当性を欠き,被告の裁量権の範囲を逸脱し,又はその濫用があったということはできないというべきである。 また,本件各監督命令処分の内容も,前記第2の2(5)ア(イ)及び同イ(イ)のとおり,原告らに業務改善計画書の提出,業務の実施状況に関する定期的な報告及び確認検査員以外の者に中間検査又は完了検査を実施させた建築物等についての検査の実施の措置を講ずることを命ずるものであって,以上説示したところに照らすと,確認検査の業務の公正かつ適確な実施を確保するため必要かつ相当なものというべきであって,被告の裁量権の範囲を逸脱し,又はその濫用があったということはできない。 この点,原告らは,被告は,実質的違法性のない行為に対して,改善・是正等の勧告及び命令(法77条の30,77条の33)といった手続を一切履践することなく,いきなり1か月の業務停止命令という極めて重い処分を課したものであり,同処分の結果,原告らにおいてはもとより各自治体の確認検査業務の停滞をもたらすなどといった重大な影響を及ぼすことになるものであるから,このような処分は,必要な範囲を超え,また他に採り得る手段があるにもかかわらずされたものであって,比例原則に反し,被告に与えられた裁量権を逸脱するなどと主張する。 しかしながら,以上説示したとおり,本件各処分の理由とされた原告らの違反行為は,改正法の趣旨を没却し,法の目的を阻害する重大かつ悪質なものというべきであるから 脱するなどと主張する。 しかしながら,以上説示したとおり,本件各処分の理由とされた原告らの違反行為は,改正法の趣旨を没却し,法の目的を阻害する重大かつ悪質なものというべきであるから,それが実質的違法性を欠くことを前提とする原告らの主張は,その前提において失当というべきである。このことに加えて,前記第2の2(1)ウの事実及び乙21の1,2によれば,本件各処分の契機となった近畿地方整備局職員による立入検査(平成14年9月30日)に先立って,同年5月24日に京都府職員による原告京都確認検査機構に対する立入検査が行われた際,c検査部長から一部補助員が単独で実地検査を実施している旨の説明がされたことから,検査担当職員からcに対し,検査は補助員単独ではなく確認検査員が同行の上実施するよう口頭で指導し,さらに,立入検査の講評の際にも,a代表取締役に対し,補助員の技量向上と複数チェックの観点から確認検査員と補助員のペアによる検査実施を原則とするよう伝えた事実が認められるのであって,このことをもしんしゃくすれば,本件各処分が比例原則に反する旨の原告らの上記主張を採用することはできない。 また,原告らは,本件各業務停止処分自体,処分の日から業務停止の効力発生の日まで2週間を設けており,緊急性・重大性を認めていないなどと主張するが,本件各業務停止処分につき処分の日から業務執行の停止の効力発生の日までに2週間を設けたのは,本件各業務停止処分を受ける原告らの準備の便宜,原告らの顧客への周知等の必要性に配慮したものであることは容易に推認されるから,このことのゆえに本件各業務停止処分が緊急性等を欠くものとして裁量権の逸脱又は濫用に当たるということはできない。 (2) 原告らは,本件各処分は,他の府県における取扱いとの内容の整合性 から,このことのゆえに本件各業務停止処分が緊急性等を欠くものとして裁量権の逸脱又は濫用に当たるということはできない。 (2) 原告らは,本件各処分は,他の府県における取扱いとの内容の整合性が保てず,行政において,知事指定か大臣ないし地方整備局長指定かにより矛盾した措置,指導を行うものであって,恣意的,不公平な処分であり,裁量権の範囲を逸脱したものであるなどと主張する。 確かに,甲15,132,乙16の1ないし3,乙26の1,2,証人g及び弁論の全趣旨によれば,兵庫県県土整備部まちづくり局建築指導課においては,神戸市を始め中間検査対象が拡大されるなど検査業務が増大したことにより,建築基準適合判定資格者(確認検査員)だけの検査業務に支障を来しかねない状況になっていることにかんがみ,平成14年2月7日付けで「兵庫県指定確認検査機関の現地検査員の運用規程」を制定し,当面の措置として,平成17年3月31日までの間,これにより運用することとしたこと,同運用規程によれば,現地における検査は確認検査員が行うことを原則とするが,やむを得ず補助員に行わせる場合は,次の基準によるものとされ,その基準として,① 一級建築士で建築確認の実務経験が2年以上の補助員(常勤)にあっては,延面積が2000平方メートル以内の建築物の検査を行うことができる,② 一級建築士で建築確認の実務経験が2年未満の補助員(常勤)にあっては,延面積が500平方メートル以内の建築物の検査を行うことができる,③ 一級建築士の補助員(非常勤)にあっては,型式認定住宅及び木造2階建の建築物(法6条1項4号の建築物)の検査を行うことができるが,この場合,補助員(非常勤)については,当該指定確認検査機関と長期的な雇用契約により身分が確定していること,などと規定され,また,現 建の建築物(法6条1項4号の建築物)の検査を行うことができるが,この場合,補助員(非常勤)については,当該指定確認検査機関と長期的な雇用契約により身分が確定していること,などと規定され,また,現地検査員は,当該指定確認検査機関が定めるチェックシートを用いて建築基準法等関係法令に適合しているかどうかの現地検査を行い,チェックシートにより現地検査の結果を確認検査員に報告し,確認検査員はその報告により検査の適否を判断し,中間検査合格証及び検査済証を交付するものとする,木造2階建の建築物(法6条1項4号建築物)及び型式認定住宅の現地検査については,工事監理者に検査申請書に工事写真を添付させ,現地検査を行うものとする,などと規定されていること,兵庫県県土整備部まちづくり局建築指導課は,同運用規程を制定するに当たり,課長補佐において国土交通省に電話で照会したこと,その後,確認検査員以外の者による現地検査が法77条の24第1項の規定に違反するとの国土交通省の見解が示されたことから,同運用規程は平成14年10月31日付けで廃止されたこと,以上の事実が認められる。 また,甲14(枝番を含む。),67,99ないし105及び弁論の全趣旨によれば,大阪府知事の指定に係る指定確認検査機関である大阪建築防災センターにおいて,平成11年7月から確認検査業務を開始するに当たり,社団法人大阪府建築士会,社団法人大阪府建築士事務所協会及び社団法人日本建築家協会近畿支部との共催により,建築基準検査員講習会を開催し,建築基準検査員(現場補助員)を募集したこと,大阪建築防災センターは,社団法人大阪府建築士会,社団法人大阪府建築士事務所協会又は社団法人日本建築家協会近畿支部のいずれかに所属している者で,一級建築士の資格を有し,実務経歴7年以上の者又は法令事務所制 築防災センターは,社団法人大阪府建築士会,社団法人大阪府建築士事務所協会又は社団法人日本建築家協会近畿支部のいずれかに所属している者で,一級建築士の資格を有し,実務経歴7年以上の者又は法令事務所制度による法令有資格者及び構造法令有資格者を建築基準検査員(現場補助員)として,平成14年ころまで,確認検査員の指示の下に実地検査に当たらせていたこと,平成11年度から平成14年度までの各年度における検査業務のうちの建築基準検査員単独での実地検査の割合は,それぞれ34パーセント,57パーセント,71パーセント及び68パーセントであったこと,建築基準検査員が実地検査を行う場合は,建築基準検査員は,検査マニュアルに基づいて現場確認を行い,その結果を確認検査員に報告し,確認検査員において建築基準検査員の報告内容を確認し,必要があれば確認検査員が現場へ赴くか工事監理者を事務所に呼んで是正措置等を講じた上,検査済証を交付する取扱いをしていたこと,以上の事実が認められる。 また,甲92ないし98及び弁論の全趣旨によれば,奈良県知事の指定に係る指定確認検査機関であるなら建築住宅センターにおいても,一級建築士資格を取得後10年以上の建築に関する実務経験を有する者であって,社団法人奈良県建築士会,社団法人日本建築家協会近畿支部奈良会の会員又は社団法人奈良県建設業協会,社団法人奈良県建築士事務所協会,奈良県建築協同組合の会員若しくは組合員である組織に勤務する者又は住宅性能保障制度検査員の資格を有する者を検査補助員として,平成14年ころまで,確認検査員の指示の下に実地検査に当たらせていたこと,平成13年9月当時,奈良県においては,なら建築住宅センターにおける確認検査業務の実施状況につき,現状において検査補助員1名による検査はやむを得ないとの認識を有 下に実地検査に当たらせていたこと,平成13年9月当時,奈良県においては,なら建築住宅センターにおける確認検査業務の実施状況につき,現状において検査補助員1名による検査はやむを得ないとの認識を有していたこと,以上の事実が認められる。 これらの事実関係によれば,少なくとも,平成14年ころまで,兵庫県,大阪府及び奈良県では,知事指定に係る指定確認検査機関において,確認検査機関以外の補助員が単独で実地検査を行う運用が行われており,また,少なくとも兵庫県及び奈良県においては,このような運用をやむを得ないものとして容認していたものということができる。もっとも,兵庫県県土整備部まちづくり局建築指導課が前記「兵庫県指定確認検査機関の現地検査員の運用規程」を制定するに当たり,国土交通省に電話で照会した事実は,前記認定のとおりであるが,その際,同省が同運用規程に記載されたような運用を積極的に是認した事実を認めるに足りる的確な証拠はない(甲71及び証人gによっても,その際の同省の対応については明確な否定的意見は示されなかったというものである。)。また,本件各処分の契機となった近畿地方整備局職員による立入検査に先立って,京都府職員による原告京都確認検査機構に対する立入検査が行われた際,検査担当職員から検査は補助員単独ではなく確認検査員が同行の上実施するよう口頭で指導がされたことは,前記(1)において認定したとおりであり,京都府が当時確認検査員以外の補助員が単独で実地検査を行うことを積極的に容認していた事実を認めるに足りる的確な証拠はない。 しかしながら,指定確認検査機関における確認検査に関する法規制の在り方及びその趣旨からすれば,法77条の24第1項及び指定機関省令23条1項3号ハの規定は,完了検査又は中間検査の方法として,確認 しかしながら,指定確認検査機関における確認検査に関する法規制の在り方及びその趣旨からすれば,法77条の24第1項及び指定機関省令23条1項3号ハの規定は,完了検査又は中間検査の方法として,確認検査員が自ら実地に行うことを予定しているものと解されるのであり,実地検査に当たり確認検査員以外の者(補助員)を使用する余地を認めるとしても,確認検査員が自ら実地検査を行ったものと同視し得るような場合に限られるものと解すべきであることは,既に説示したとおりである。このことに加えて,原告らにおいては,確認検査員以外の補助員に単独で実地検査を行わせていたのみならず,その態様は,申請書類の審査から検査済証の交付に至るまでの完了検査の全過程を確認検査員の総括的指導の下に補助員自らの判断において行わせていたというものであって,補助員に確認検査員と並んで完了検査業務を分担させていたというに等しい実態を有するものであったというのであり,しかも,原告京都確認検査機構においては,実地検査を単独で行っていた補助員の中に建築士の資格を有しない者が含まれており,原告アネックスにおいては,従業員でない者が含まれていたというのであって,このような運用は,前記「兵庫県指定確認検査機関の現地検査員の運用規程」によっても許容され得ないものというべきであり,大阪建築防災センターやなら建築住宅センターにおいても想定されていなかったものというべきである。 そうであるとすれば,たとい大阪建築防災センターやなら建築住宅センターあるいは兵庫県知事の指定に係る指定確認検査機関に対して法77条の24第1項の規定に違反したことを理由とする法77条の35第2項に基づく処分ないし法77条の30に基づく命令がされた形跡がなく,また,兵庫県,大阪府や奈良県に対して法17条9項に基づく指示 77条の24第1項の規定に違反したことを理由とする法77条の35第2項に基づく処分ないし法77条の30に基づく命令がされた形跡がなく,また,兵庫県,大阪府や奈良県に対して法17条9項に基づく指示等がされた形跡がないとしても,原告らに対してされた本件各処分が,公平性を欠き,裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものであるということはできない。 (3) 原告らは,本件各処分は,確認検査員以外の者に完了検査を実施させたことを理由として,確認業務と検査業務の両者を渾然一体として処分の対象としているのであって,処分の必要のない確認業務をもその理由も開示せずに処分の対象とするものであるから,本件各処分のうち少なくとも確認業務に係る部分は,行政手続法14条にも違反し,必要以上の不利益を課すものとして,裁量権の逸脱があるなどと主張する。 しかしながら,建築物についての建築確認,中間検査及び完了検査は,建築物の計画から工事の完了までの過程を対象にした一連の事務である上,中間検査及び完了検査においては建築確認に要した図書の一部を用いるなど確認業務と検査業務は内容的にも密接な関係にある。のみならず,乙23の1ないし3及び弁論の全趣旨によれば,原告京都確認検査機構においては平成14年3月に行った完了検査279件に係る建築物のうち278件についてその建築確認を行い,また,原告アネックスにおいても,同年8月に行った完了検査78件に係る建築物のうち72件についてその建築確認を行っている事実が認められる。これらによれば,検査業務に係る法の規定違反を理由に業務停止処分を行う場合においても当該処分の実効性を確保するために確認業務をも業務停止の対象とする必要性は高いというべきであり,原告らの違反行為の重大性,悪質性にもかんがみると,本件各処分のうち確認業 停止処分を行う場合においても当該処分の実効性を確保するために確認業務をも業務停止の対象とする必要性は高いというべきであり,原告らの違反行為の重大性,悪質性にもかんがみると,本件各処分のうち確認業務に係る部分が,必要以上の不利益を課すものとして,裁量権の逸脱又は濫用があるということはできない(なお,本件各処分に行政手続法14条の規定が適用されないと解すべきことは,後に説示するとおりである。)。 (4) 結論以上のとおりであるから,本件各処分について裁量権を逸脱し又は濫用があった旨の原告らの主張を採用することはできない。 3 本件各処分は行政手続法に違反し違法か(1) 行政手続については,それが刑事手続ではないとの理由のみで,そのすべてが当然に憲法31条の保障の枠外にあると判断することは相当ではないが,同条による保障が及ぶと解すべき場合であっても,一般に,行政手続は,刑事手続とその性質においておのずから差異があり,また,行政目的に応じて多種多様であるから,行政処分の相手方に事前の告知,弁解,防御の機会を与えるかどうかは,行政処分により制限を受ける権利利益の内容,性質,制限の程度,行政処分により達成しようとする公益の内容,程度,緊急性等を総合較量して決定されるべきものであって,常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではない(最高裁昭和61年(行ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻第5号437頁参照)。 ところで,行政手続法4条3項は,「行政庁が法律の規定に基づく試験,検査,検定,登録その他の行政上の事務について当該法律に基づきその全部又は一部を行わせる者を指定した場合において,その指定を受けた者(その者が法人である場合にあっては,その役員)又は職員その他の者が当該事 検定,登録その他の行政上の事務について当該法律に基づきその全部又は一部を行わせる者を指定した場合において,その指定を受けた者(その者が法人である場合にあっては,その役員)又は職員その他の者が当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるときは,その指定を受けた者に対し当該法律に基づいて当該事務に関し監督上される処分(当該指定を取り消す処分,その指定を受けた者が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる処分又はその指定を受けた者の当該事務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。)については,次章及び第3章の規定は,適用しない。」と規定している。同項の趣旨については,試験,登録等の技術的又は定型的な事務であって行政庁以外の者が行うことになじむものについて法律が行政庁以外の者に当該事務の全部又は一部を行わせるものとしている場合,当該行政庁以外の者は,行政庁に代わって当該事務を行っているものであり,その限りにおいて,国等と当該行政庁以外の者との関係については,行政庁内部の関係とみることができることから,当該行政庁以外の者に関する監督上の処分については,そのような関係を解消する場合を除いて,当該行政上の事務の遂行上公益の確保を優先させる見地から,同法第2章及び第3章の規定を適用しないこととしたものであると解される(乙22参照)。 このような行政手続法4条3項の趣旨からすれば,同項は何ら憲法31条に反するものではないというべきである。 (2) 前記1(1)において説示したとおり,法は,建築確認及び確認済証の交付は建築主事が,完了検査及び検査済証の交付は建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員(建築主事等)が,中間検査及び中間検査合格証の交付は建築主事等がこれを行うものと規定するとともに,指定確 が,完了検査及び検査済証の交付は建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の吏員(建築主事等)が,中間検査及び中間検査合格証の交付は建築主事等がこれを行うものと規定するとともに,指定確認検査機関の制度を設け,建築物の計画が建築基準関係規定に適合するものであることについて,指定確認検査機関の確認を受け,確認済証の交付を受けたときは,当該確認は建築主事による確認と,当該確認済証は建築主事による確認済証とみなし(法6条の2第1項),指定確認検査機関が完了検査を引き受けた場合には,建築主による建築主事に対する検査の申請は要せず(法7条の2第1項),指定確認検査機関が,当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは,当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならず,この場合,当該検査済証は建築主事等による検査済証(法7条5項)とみなし(法7条の2第5項),また,指定確認検査機関が中間検査を引き受けたときには,建築主による建築主事に対する検査の申請は要せず(法7条の4第1項),指定確認検査機関が,特定工程に係る工事中の建築物等が建築基準関係規定に適合すると認めたときは,当該建築主に対して中間検査合格証を交付しなければならず(同条3項),この中間検査合格証は建築主事等による中間検査合格証(法7条の3第5項)とみなす(法7条の4第4項)と規定している。そして,指定確認検査機関の処分又はこれに係る不作為に対する不服については,建築主事の処分又はこれに係る不作為に対する不服と同様,建築審査会に対する審査請求及び国土交通大臣に対する再審査請求をすることができるものとされ(法94条1項,95条),当該処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができ 土交通大臣に対する再審査請求をすることができるものとされ(法94条1項,95条),当該処分の取消しの訴えは,当該処分についての審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ,提起することができないものと規定している(法96条)。さらに,指定確認検査機関及びその職員で確認検査の業務に従事するものは,刑法その他の罰則の適用については,法令により公務に従事する職員とみなす旨規定し(法77条の25第2項),指定確認検査機関は,確認検査を行うべきことを求められたときは,正当な理由がある場合を除き,遅滞なく,確認検査を行わなければならない旨規定している(法77条の26)。この指定確認検査機関による建築確認,完了検査及び中間検査の制度は,建築行政の執行体制が不十分である現状を踏まえ,これまで特定行政庁の建築主事が行ってきた確認検査事務について,新たに必要な審査能力を備える公正,中立な民間機関もこれを行うことができるものとすることによって,全体としての執行体制を強化することを趣旨として設けられたものであることも,既に説示したとおりである。 このような指定確認検査機関に関する法の規定の趣旨,内容からすれば,指定確認検査機関は,法に基づき行政上の事務の性質を有する確認検査事務をその業務として行うことについて国土交通大臣若しくはその委任を受けた者又は都道府県知事の指定を受けた者であって,かつ,法により指定確認検査機関及びその職員で確認検査の業務に従事するものは刑法その他の罰則の適用については法令により公務に従事する職員とみなされているのであるから,指定確認検査機関は,行政手続法4条3項にいう「行政庁が法律の規定に基づく試験,検査,検定,登録その他の行政上の事務について当該法律に基づきその全部又は一部を行わせる者を指定した場合において,そ ,指定確認検査機関は,行政手続法4条3項にいう「行政庁が法律の規定に基づく試験,検査,検定,登録その他の行政上の事務について当該法律に基づきその全部又は一部を行わせる者を指定した場合において,その指定を受けた者(その者が法人である場合にあっては,その役員)又は職員その他の者が当該事務に従事することに関し公務に従事する職員とみなされるとき」に該当することが明らかであるというべきである。したがって,本件各処分については,同項にいう「その指定を受けた者に対し当該法律に基づいて当該事務に関し監督上される処分(当該指定を取り消す処分,その指定を受けた者が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる処分又はその指定を受けた者の当該事務に従事する者の解任を命ずる処分を除く。)」に該当するものとして,同法13条,14条及び30条の規定は適用されないものと解すべきである。 (3) 原告らは,指定確認検査機関は,原権限庁(建築主事等)の処分権限に加えて,処分とみなされる業務を行うことが認められる法的な仕組みがとられており(業務の開放),独占的に事務をゆだねられるのではなく(原権限庁の権限行使も停止しない。),複数の機関が指定され,競争的条件で業務展開することが期待されており,営利的な株式会社等も指定の対象となり,手数料について政令等で一律に定めず,各機関の創意工夫により任意に決定する余地が与えられているなど,全く法的性質を異にし,自らの営業の自由の行使として行政上の事務と同等のものとみなされる業務を行うことが認められているのであって,行政上の事務として行政権限を代行するものではないから,行政手続法4条3項にいう「行政上の事務について・・・指定を受けた者」に該当しないなどと主張する。 しかしながら,前記(1)において説示した行政手続 政権限を代行するものではないから,行政手続法4条3項にいう「行政上の事務について・・・指定を受けた者」に該当しないなどと主張する。 しかしながら,前記(1)において説示した行政手続法4条3項の趣旨からしても,同項を原告らの主張するように限定的に解する根拠は見いだせず,また,前記(1)に説示したところによれば,憲法31条の規定からそのような解釈が導かれるものでもないというべきである。 また,原告らは,行政手続法4条3項括弧書きにいう「当該指定を取り消す処分,その指定を受けた者が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる処分又はその指定を受けた者の当該事務に従事する者の解任を命ずる処分」の規定は例示列挙と解すべきであり,当該列挙事項以外の事項であっても法人自体にとって極めて侵害度の高いものについては行政手続法の適用除外とならないと解すべきであるなどと主張する。 しかしながら,そのような解釈は,そもそも行政手続法4条3項の規定の文理からして困難である上,前記(1)において説示した同項の趣旨からしても相当とはいい難い。 (4) 以上のとおりであるから,本件各処分について行政手続法13条,30条が適用されることを前提とする原告らの主張は,その余の点について判断するまでもなく,採用することができない。 第6 結論以上によれば,原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官田中健治裁判官小野裕信は差 裁判長裁判官西川知一郎裁判官田中健治裁判官小野裕信は差し支えのため署名押印することができない裁判長裁判官西川知一郎
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