主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求をいずれも棄却する。 第2 事案の概要(略称・用語は,新たに定義するもののほか,原判決のものを用いる。) 1 フランス法人を究極の親会社とするグループ法人に属し,音楽事業を目的とする日本法人であって,法人税法2条10号の「同族会社」に当たる被控訴人は,本件各事業年度(平成20年12月期~平成24年12月期)に係る法人税の確定申告において,当該グループ法人に属する外国法人からの本件借入れに係る支払利息(本件利息)の額を損金の額に算入して申告したところ,麻布税務署長(処分行政庁)は,本件利息の損金算入は被控訴人の法人税の負担を不当に減少させるものであるとして,法人税法132条1項に基づき,その原因となる行為を否認して被控訴人の所得金額を加算し,本件各事業年度に係る法人税の各更正処分(本件各更正処分)及び平成20年12月期を除く各事業年度に係る過少申告加算税の各賦課決定処分(本件各賦課決定処分。これらと本件各更正処分とを併せて「本件各更正処分等」)をした。 本件は,被控訴人が,本件借入れは被控訴人を含むグループ法人の組織再編の一環として行われた正当な事業目的を有する経済的合理性がある取引であり,本件各更正処分等は法人税法132条1項の要件を欠く違法な処分であると主張して,控訴人(国)を相手に,本件各更正処分等の取消しを求める事案である。 2 原審は,被控訴人の請求をいずれも認容したところ,控訴人が控訴した。 3 関係法令の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張の要旨は,後記4のとおり当審における当事者の補充主張を付加し,次のとおり補正 をいずれも認容したところ,控訴人が控訴した。 3 関係法令の定め,前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張の要旨は,後記4のとおり当審における当事者の補充主張を付加し,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2 事案の概要等」1,3から5までに記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 原判決4頁15行目末尾に改行して次のとおり加える。 「UMKKは,会社法上の株式会社であり,取締役会設置会社,監査役設置会社,会計監査人設置会社であった(乙2)。」⑵ 原判決6頁10行目の「UMB」の次に次のとおり加える。 「UniversalMusicBeteiligungsverwaltungsGMBH」⑶ 原判決6頁26行目の末尾に次のとおり加える。 「なお,MGBKKは,昭和62年に設立された①音楽著作権及び映像著作権の管理,②書籍,雑誌及び楽譜の企画,編集,発行等を目的とする会社法上の株式会社であり,取締役会設置会社,監査役設置会社であった(甲15)。」⑷ 原判決7頁8行目末尾に次のとおり加える。 「なお,UMPKKは,昭和40年に設立された作詞家・作曲家の著作権,又は実演家の著作隣接権,出版権,翻訳権の取得及び譲渡・使用許諾並びに利用及び出版に関する業務等を目的とする会社法上の株式会社であり,取締役会設置会社,監査役設置会社であった(甲16)。」⑸ 原判決7頁16行目末尾に次のとおり加える。 「なお,V2Jは,会社法上の株式会社であった(乙29,弁論の全趣旨)。」⑹ 原判決17頁14行目の「麻布税務署長は」の次に次のとおり加える。 「,本件借入れ及び本件利息の計上は経済的合理性が認められず,本件利息の損金算入を容認した場合には, の全趣旨)。」⑹ 原判決17頁14行目の「麻布税務署長は」の次に次のとおり加える。 「,本件借入れ及び本件利息の計上は経済的合理性が認められず,本件利息の損金算入を容認した場合には,法人税の負担を不当に減少させる結果となるものと認められるとし,法人税法132条1項に基づき,本件利息をUMIFに対する寄附金に該当するものとして,平成20年12月期から平成22年12月期までの各事業年度に係る所得金額を計算し」 ⑺ 原判決17頁17行目の「をした」の次に「(甲4~6)」を加える。 ⑻ 原判決18頁6行目の「麻布税務署長は」の次に次のとおり加える。 「,本件一連の行為は経済的合理性が認められず,これを容認した場合には,本件利息の損金算入により法人税の負担を不当に減少させる結果となるものと認められるとし,法人税法132条1項に基づき,本件借入れ及び本件利息をなかったものとして,平成23年12月期の事業年度に係る所得金額を計算し」⑼ 原判決18頁8行目の「をした」の次に「(甲119)」を加える。 ⑽ 原判決18頁20行目の「第2事件第1回口頭弁論期日」を「原審第2事件第1回口頭弁論期日」に改める。 ⑾ 原判決19頁2行目の「麻布税務署長は」の次に次のとおり加える。 「,本件一連の行為は経済的合理性が認められず,これを容認した場合には,本件利息の損金算入により法人税の負担を不当に減少させる結果となるものと認められるとし,法人税法132条1項に基づき,本件借入れ及び本件利息をなかったものとして,平成24年12月期の事業年度に係る所得金額を計算し」⑿ 原判決19頁3・4行目の「をした」の次に「(甲190)」を加える。 ⒀ 原判決19頁14行目冒頭から同頁16行目末尾までを次のとお 成24年12月期の事業年度に係る所得金額を計算し」⑿ 原判決19頁3・4行目の「をした」の次に「(甲190)」を加える。 ⒀ 原判決19頁14行目冒頭から同頁16行目末尾までを次のとおり改める。 「法人税法132条1項にいう「その法人の行為又は計算」(以下,この要件を「行為・計算要件」という。)で,「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」(以下,この要件を「不当性要件」という。)の該当性⒁ 原判決別紙2について次のとおり補正する。 ア原判決65頁の「平成23年12月期賦課決定処分」の項の「内容」欄の「平成22年12月期」を「平成23年12月期」に改める。 イ原判決66頁の「目的②」,「目的④」,「目的⑤」,「目的⑦」の項の各「内容」欄の「日本法人」を「日本の関連会社」にそれぞれ改める。 ウ原判決66頁の「目的⑥」の項の「内容」欄を次のとおり改める。 「業務系統と資本系統の統一を図ることにより経営を合理化・効率化すること(以下,「目的⑥〔前半〕」という。),及びUMOの余剰資金を減少させること(以下「目的⑥〔後半〕」という。)」エ原判決68頁の「本件組織再編取引」の項の「内容」欄の「,本件増資」を削る。 ⒂ 原判決別紙7(原判決75頁)の「摘要」欄の「MGBBK」を「MGBKK」に改める。 ⒃ 原判決別紙8について次のとおり補正する。 ア原判決78頁9行目の「取引」の次に「(独立当事者間の通常の取引)」を加える。 イ原判決96頁8行目の「仮に予備的主張2を前提としても」の次に次のとおり加える。 「,本件借入れの経済的合理性の有無を判断するに当たっては,本件再編成等スキーム 」を加える。 イ原判決96頁8行目の「仮に予備的主張2を前提としても」の次に次のとおり加える。 「,本件借入れの経済的合理性の有無を判断するに当たっては,本件再編成等スキームの内容や本件再編成等スキームに基づいて本件借入れと一体的に行われた本件設立,本件増資,本件買収及び本件合併等,本件借入れに係る周辺事情,関連事情をも踏まえて判断すべきであるから」ウ原判決97頁16行目,同98頁6行目,同104頁9行目,10行目,13行目,15行目,18行目及び23行目の「日本法人」を「日本の関連会社」にそれぞれ改める。 エ原判決107頁11行目,13行目,同108頁3行目の「日本法人」を「日本の関連会社」に,同頁11行目の「日本法人を」を「日本の関連会社を」に,同頁11・12行目の「日本法人と英国法人との間の」を「日本の関連会社と上記英国法人との間の」に,それぞれ改める。 4 当審における当事者の補充主張当審における当事者の補充主張は,本判決別紙2のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,被控訴人の請求はいずれも理由があるから認容すべきであると判断する。その理由は,次のとおりである(なお,以下の説示において,括弧書きで引用した前提事実又は認定事実は,本判決による補正後のものである。)。 2 認定事実認定事実は,当審における当事者の補充主張を踏まえて,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3 当裁判所の判断」1に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 原判決21頁15・16行目の「MGBMusicPublishing」を「BMGMusicPublishing」に改める。 ⑵ 原判決30頁1行目末尾に改行して次のとおり る。 ⑴ 原判決21頁15・16行目の「MGBMusicPublishing」を「BMGMusicPublishing」に改める。 ⑵ 原判決30頁1行目末尾に改行して次のとおり加える。 「⑸ 本件組織再編取引等に至る経緯及び実行状況アヴィヴェンディ・グループは,シーグラムとの合併によりユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG部門)を擁することになった平成12年(2000年)以降,企業買収を繰り返して複数の音楽会社グループを傘下に組み入れる一方,UMG部門の子会社数の増加やグループ内の資本関係の複雑化に対応するため,1つの国に1つの持株会社(統括会社)を設置し,その傘下に事業会社等を所属させ,法人数を減らすとともに,各国の会社に適切なレベルの負債を配分する(各国のグループ内で資本と負債のバランスを適正にする)との基本方針の下で,法人数を減らすとともに資本関係を整理するための組織再編を行っていた(認定事実⑴イ~エ)。 イ平成18年(2006年)1月,UMKKが,UMGTとの間で本件CMS合意をし,これに基づいてUMGTを介してヴィヴェンディに円余剰資金を預け入れたこと等から,ヴィヴェンディ・グループは,同年4月頃,上 記円余剰資金に起因する純投資リスクを解消すること等の財務上の目的のため,日本においてヘッジを行うことを検討した(認定事実⑵ウ,甲96,116)。 ウ平成18年(2006年)9月から平成19年(2007年)9月までの間に行われたヴィヴェンディ・グループによる企業買収により,音楽出版会社であるMGBKK(日本法人)がMGBBV(ポリグラムの完全子会社であるオランダ法人)の完全子会社となり,V2J(日本法人)がCMH(ポリグラムの完全子会社である英国法人) 買収により,音楽出版会社であるMGBKK(日本法人)がMGBBV(ポリグラムの完全子会社であるオランダ法人)の完全子会社となり,V2J(日本法人)がCMH(ポリグラムの完全子会社である英国法人)の間接の完全子会社となった。これにより,UMG部門は,日本において,異なる親会社と資本関係を有する本件各日本法人(UMKK,MGBKK,V2J)を有し,2つの音楽出版会社(UMPKK(UMKKの子会社),MGBKK)を有することになった(前提事実⑴・⑵,認定事実⑴ウ)。 また,UMG部門のオランダ法人(UIMBV,ポリグラム等)は,企業買収等のための資金の借入れにより,平成17年(2005年)及び平成18年(2006年)に負債が急激に増加し,平成19年(2007年)における法人の企業間負債は34億ユーロを超える状態(このうち約31億ユーロは,UIMBV又はポリグラムのUMGT又はUMIFに対する負債である。)となり,UIMBV及びポリグラムにおいては支払利息が営業利益を上回る状態にあった(認定事実⑴ウ,同⑷,甲76〔別紙3〕)。 エヴィヴェンディ・グループは,平成20年(2008年)7月23日付けで,要旨次の記載がある「ユニバーサル・ミュージック・グループ・インターナショナルジャパンリストラクチャリング〔日本組織再編〕」と題する書面(乙15)を作成し,遅くとも同日までに,本件8つの目的(次の①~⑧と同旨の目的)を達成するため,本件組織再編取引等を行う計画(本件再編成等スキーム)を策定した(甲76,96,乙15)。 再編成の目的① オランダの借入金のレベルを減少させるための資金を調達すること。 ② 日本における会社関係を1つの会社の傘下にまとめること。 ③ 日本 再編成の目的① オランダの借入金のレベルを減少させるための資金を調達すること。 ② 日本における会社関係を1つの会社の傘下にまとめること。 ③ 日本における音楽出版会社を1つの法人にまとめること。 ④ 日本から円余剰資金を移転させ,ヴィヴェンディが為替リスクのヘッジをすることなく,ユーロ市場での投資活動を可能ならしめること。 ⑤ 日本の資本構造に借入金を発生させること。 ⑥ (配当制限のある英国から余剰資金を移転させ,また,その資本構造を英国の役員による経営管理体制に適合させるため)日本のオペレーションを英国管轄下に置くこと。 ⑦ 米国税制の観点から柔軟性を有する日本の企業体を活用すること。 ⑧ 現在検討中で将来起こり得る可能性のある第三者の日本の音楽企業の買収と,ユニバーサル・ミュージック・グループの音楽企業との結合に対応すること(交渉の完了とデューディリジェンスが必要である。)。 再編成のステップ① ステップ1CMHは,1億5250万ユーロを出資してオランダに持株会社を設立し,当該持株会社は1億5250万ユーロを出資して日本に持株会社(以下「GK1」という。)を設立する。その後,GK1は,最小限の資本で新たな日本の持株会社(以下「GK2」という。)を立ち上げる。 GK1は,1億5250万ユーロを取得して,オランダの持株会社の100%子会社となり,かつ,GK2の100%親会社となる。 ② ステップ2GK1は,UMIFから6億ユーロを借り入れ,ステップ1の出資金と合わせた資金から7億5000万ユーロをUMTCに支払い,UMKK株式を譲り受ける。UMIFは,このステップにおいて必要な資 GK1は,UMIFから6億ユーロを借り入れ,ステップ1の出資金と合わせた資金から7億5000万ユーロをUMTCに支払い,UMKK株式を譲り受ける。UMIFは,このステップにおいて必要な資金をヴィヴェンデ ィからの借入れを通じて獲得し,この借入れはGK1からUMIFへの借入金の返済と同じ条件で実行される(ステップ2a)。 UMTCは,グループ上流のオランダ関係会社の債務を返済するため,当該ステップで受け取る7億5000万ユーロの譲渡収入を当該関係会社に還流する(ステップ2a)。 GK1は,UMIFから750万ユーロを借り入れ,当該借入資金と合わせて1000万ユーロをオランダ法人であるMGBBVに支払い,MGBKK株式を譲り受ける。UMIFは,このステップにおいて必要な資金をヴィヴェンディからの借入れを通じて獲得し,この借入れはGK1からUMIFへの借入金の返済と同じ条件で実行される(ステップ2b)。 MGBBVは,グループ上流のオランダ関係会社の債務を返済するために,当該ステップで受け取る1000万ユーロの譲渡収入を当該関係会社に還流する(ステップ2b)。 GK1は,1ユーロをV2に支払い,V2J株式を譲り受ける(ステップ2c)。 ③ ステップ3GK1は,UMKKを吸収合併し,ステップ2a及びステップ2bで負うことになったUMIFに対する債務のうち1億5000万ユーロを,UMKKの有していた余剰資金から返済する。 ④ ステップ4UMPKK及びMGBKKは,GK2に吸収合併され,GK2が存続会社となる。 ⑤ ステップ5GK1は,UMIFから借り入れた資金を元に,ターゲット企業の公正市場価格を同企業の株主に支払い,ターゲット Kは,GK2に吸収合併され,GK2が存続会社となる。 ⑤ ステップ5GK1は,UMIFから借り入れた資金を元に,ターゲット企業の公正市場価格を同企業の株主に支払い,ターゲット企業の発行済み全株式を譲り受ける。日本の過小資本税制に適合させるべく,GK1がUMIFに対して負 っている債務の25%の返済を行うという目的で,GK1の株主からGK1に対し資本払込みが行われる(起こり得るステップ5a)。 GK1は,ターゲット企業を吸収合併する(起こり得るステップ5b)。 オ CMHL(CMH(英国法人)が設立した完全子会社)は,平成20年10月7日,完全子会社として,被控訴人を資本金200万円により設立した(前提事実⑷ア)。被控訴人の定款には,①被控訴人の業務は,業務を執行する社員が決定する,②被控訴人の業務を執行する社員は,CMHLとする旨の定めがある(甲27)。 カ被控訴人は,本件設立後,本件CMS合意と同様の内容によりヴィヴェンディ・グループのCMSに参加し(認定事実⑵オ),被控訴人の業務執行社員であるCMHL(当時の職務執行者はA)が,遅くとも平成20年10月28日までに,次の点を承認した(甲9,27,29,73,76)。なお,UMGの依頼に基づいて同月24日までに実施されたダフ・アンド・フェルプス株式会社によるUMKKの株式価値算定分析(乙19)においては,同年8月31日時点におけるUMKK株式の評価額の総額は1144億1900 ① 本件増資② 本件借入れ(20年の返済期間は,被控訴人の平成20年度の税引き後利益の予想に基づき,本件借入れのうち,300億円は期限前返済した上,残額は被控訴人が事業により稼得する利益を原資として15年6か月で返済できるとの試算 返済期間は,被控訴人の平成20年度の税引き後利益の予想に基づき,本件借入れのうち,300億円は期限前返済した上,残額は被控訴人が事業により稼得する利益を原資として15年6か月で返済できるとの試算をして決定された。)③ UMKK,MGBKK及びV2Jの株式取得キ UMKKは,平成20年10月29日,取締役会を開催し,被控訴人に対するUMKK株式の譲渡の承認等を決議した(乙35)。 ク被控訴人は,平成20年10月29日,A外2名出席の下,マネジメント・コミッティー(MANEGEMENTCOMMITTEE。経営委員 会)を開催し,次のとおり決議した(末尾括弧内の記載は,その決議がされた時刻である。)。 ① 被控訴人がマネジメント・コミッティーを置き,その経営に関するすべての重要事項につき審議及び決定を行う旨の業務執行規程(乙37)の採択(同日午前9時58分~午前10時00分)② 本件増資及びこれに伴う定款変更等(同日午前11時00分~午前11時02分)③ 本件借入れ(同日午前11時02分~午前11時04分)④ UMKK株式,MGBKK株式,V2J株式の各取得(同日午前11時04分~午前11時06分)ケ被控訴人は,平成20年(2008年)10月29日,次の各行為をした。 ① CMHLから295億円の追加出資(本件増資)を受け,UMIFから(UMIFがヴィヴェンディから借り入れた)866億6132万円の本件貸付け(本件借入れ)を受けた(前提事実⑷イ・ウ)。 ② 本件借入れと本件増資による出資金を原資として,同日,本件買収(UMKK株式を代金1144億1800万円で取得),本件MGBKK買収(MGBKK株式を代金14億6900万 ⑷イ・ウ)。 ② 本件借入れと本件増資による出資金を原資として,同日,本件買収(UMKK株式を代金1144億1800万円で取得),本件MGBKK買収(MGBKK株式を代金14億6900万円で取得)及び本件V2J買収(V2J株式を代金2000ポンド(32万円)で取得)を行った(前提事実⑷エ~カ)。 ③ 上記①・②の資金面に関する取引(本件財務関連取引,本件資金決済)を行った(前提事実⑸・⑹)。 なお,本件財務関連取引は,ヴィヴェンディ・グループのCMS(資金集中管理制度)に基づき,上記①・②の各取引に関する資金決済に加え,グループ法人間の貸借等に関する資金決済を併せて実施されたものである(甲76〔別紙4〕)。ヴィヴェンディは,本件財務関連取引の結果,本件ユーロ・円 通貨スワップ取引及び本件ポンド・ユーロ通貨スワップ取引を終了させ,円とユーロの金利差によって生じる年間約800万ユーロの手数料等を支払う必要がなくなり,上記の円資金の代わりにユーロ資金を保有することができることとなった(甲76,乙61)。 コ被控訴人は,平成20年11月6日,その完全子会社として,UMPGK(ユニバーサル・ミュージック・パブリッシング合同会社)を設立し(本件UMPGK設立),平成21年1月,UMKKの吸収合併(本件合併)をした(前提事実⑷キ・ク)。 サ UMPGKは,平成21年7月1日,UMPKK及びMGBKKの吸収合併(本件UMPGK合併)をした(前提事実⑷ケ)。」⑶ 原判決30頁2行目の「⑸」を「⑹」に改める。 ⑷ 原判決31頁6行目の「⑹」を「⑺」に,同頁16行目及び同頁18行目の「負債を負担させる」を「債務を負担させる」にそれぞれ改める。 ⑸ 原判決31頁19行目の「⑺」を「⑻ 」に改める。 ⑷ 原判決31頁6行目の「⑹」を「⑺」に,同頁16行目及び同頁18行目の「負債を負担させる」を「債務を負担させる」にそれぞれ改める。 ⑸ 原判決31頁19行目の「⑺」を「⑻」に改める。 3 事実認定の補足説明前記2の認定事実に関する事実認定の補足説明は,当審における当事者の補充主張を踏まえて,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中「第 3 当裁判所の判断」2に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 原判決32頁13行目冒頭から同頁14行目末尾までを次のとおり改める。 「3 事実認定の補足説明⑴ 認定事実⑵エ・カ(ヴィヴェンディのヘッジポリシー等)について控訴人は,ヴィヴェンディが為替リスクのヘッジを行うポリシーを有し,実際に為替リスクのヘッジのために通貨スワップ取引をしていたと認める客観的証拠はない旨を主張する。 しかし,認定事実⑵エ・カに沿うB陳述書(甲76,96)の記載部分は, 具体的かつ詳細であり,他の証拠(甲20~22)や当事者間に争いのない事実等(なお,平成20年10月の本件財務関連取引前にUMOが約2億ポンドの余剰資金を有していた事実は,控訴人が被控訴人の主張事実を自認していたものである。)と整合すること,上記記載部分の信用性を否定すべき的確な証拠もないことに照らすと,控訴人の指摘する点をしんしゃくしても,その信用性は十分である。 したがって,控訴人の上記主張は採用できない。 ⑵ 認定事実⑸(本件8つの目的と本件再編成等スキーム)について」⑵ 原判決34頁19行目の「となっていた。(認定事実⑴イ,ウ)。」を「となっていた(前提事実⑴イ,オ,認定事実⑴イ,ウ)。」に,同36頁2行目の「負債を負わ 本件再編成等スキーム)について」⑵ 原判決34頁19行目の「となっていた。(認定事実⑴イ,ウ)。」を「となっていた(前提事実⑴イ,オ,認定事実⑴イ,ウ)。」に,同36頁2行目の「負債を負わせること」を「債務を負わせること」にそれぞれ改める。 ⑶ 原判決37頁6・7行目の「世界各国のグループ法人」を「UMG部門の各国のグループ法人」に,同頁12行目の「チェック・ザ・ボックス規則が適用され,」を「チェック・ザ・ボックス規則により」に改め,同頁16行目の「場合には」の次に「,会社法上」を加え,同頁17行目の「社員間の合意で業務執行を行い得るなど,」を「社員は,定款に別段の定めがある場合を除き,その過半数の決定をもって,会社の業務を執行することができ(常務については,各社員が単独で行うことができる。),業務を執行する社員が会社を代表するとされるなど,株式会社との対比において」に改める。 ⑷ 原判決37頁26行目冒頭から同38頁13行目末尾までを次のとおり改める。 「ウ次に,ヴィヴェンディ・グループが策定した本件再編成等スキーム及びこれに基づいて実行された本件組織再編取引等が,B陳述書等の説明にある本件8つの目的を達成するためのものといえるか否かについて,検討する。」⑸同頁15行目の「(前提事実 ⑷,⑸,甲76,乙15)」を「(掲記の前提事実のほか,全体につき,甲76,96,乙15,61)」にそれぞれ改める。 ⑹ 原判決38頁16改め,同行目から同39頁1行目までの次の各点を次のとおり補正する。 ア原判決38頁16行目の「CMHの完全子会社として」を「CMHは,その完全子会社として」に改める。 イ原判決38頁17行目の「CMHLの完全子会社として」を「CMHLは,その完 ア原判決38頁16行目の「CMHの完全子会社として」を「CMHは,その完全子会社として」に改める。 イ原判決38頁17行目の「CMHLの完全子会社として」を「CMHLは,その完全子会社として」に改める。 ウ原判決38頁18行目の「(本件設立)」を「(本件設立。前提事実⑴エ・カ,同⑷ア)。本件設立の際,被控訴人の定款には,①被控訴人の業務は,業務を執行する社員が決定する,②被控訴人の業務を執行する社員は,CMHLとする旨が定められた」に改める。 エ原判決38頁19行目の「(本件増資)」を「(本件増資,前提事実⑷イ)」に改める。 オ原判決39頁1行目の「(本件UMPGK設立)」を「(本件UMPGK設立。前提事実⑷キ)」に改める。 ⑺ 原判決改め,同頁4行目から同頁10行目までの次の各点を次のとおり補正する。 ア原判決39頁4行目の「となった」の次に「(前提事実⑷ウ)」を加える。 イ原判決39頁8行目の「(本件買収)」を「(本件買収。前提事実⑷エ)」に改める。 ウ原判決39頁9行目の「(本件MGBKK買収)」を「(本件MGBKK買収。前提事実⑷オ)」に改める。 エ原判決39頁10行目の「(本件V2J買収)」を「(本件V2J買収。 前提事実⑷カ)」に改める。 ⑻ 原判決39改め,同頁21行目から同40頁3行目までの次の各点を次のとおり補正する。 ア原判決39頁21行目の「(前提事実⑸ウ)」を「(前提事実⑵エ・ケ,同⑸ウ)」に改める。 イ原判決39頁26行目の「(前提事実⑸エ)」を「(前提事実⑵エ,同⑸エ)」に改める。 ウ原判決40頁2行目の「合計約9億5875万ユーロであり,UIMBV」を「合計約9億710 イ原判決39頁26行目の「(前提事実⑸エ)」を「(前提事実⑵エ,同⑸エ)」に改める。 ウ原判決40頁2行目の「合計約9億5875万ユーロであり,UIMBV」を「合計約9億7108万ユーロである。これは,B陳述書等で説明されているUIMBV」に改める。 エ原判決40頁3行目の「借入金債務」の次に「(約31億ユーロ)」を加える。 ⑼ 原判決同頁6行目の「(本件合併)」を「(本件合併。前提事実⑷ク)」に,同頁11行目の「となった。(前提事実⑺)」を「となった(前提事実⑺)。」にそれぞれ改める。 ⑽ 原判決40,同頁13行目の「(本件UMPGK合併)」を「(本件UMPGK合併。前提事実⑷ケ)」にそれぞれ改める。 ⑾にそれぞれ改め,同頁16行目から同41頁1行目までの次の各点を次のとおり補正する。 ア原判決40頁16行目の「原告を設立し」を「被控訴人が設立され」に改める。 イ原判決40頁17・18行目の「本件各日本法人を全て原告の完全子会社とすることで」を「被控訴人が本件各日本法人を完全子会社とすることで」に改める。 ウ原判決40頁25行目の「CMHLを」を「CMHLが」に改める。 エ原判決40頁26行目の「設立した」を「設立された」に改める。 オ原判決41頁1行目の「日本法人」を「日本の関連会社」に改める。 ⑿ 原判決同頁9行目の「合計約9億5875万ユーロ」を「合計約9億7108万ユーロ」にそれぞれ改める。 ⒀ 原判決41にそれぞれ改め,同頁22行目から同頁25行目までの次の各点を次のとおり補正する。 ア原判決41頁22行目の「原告を合同会社として設立したこと」を「被控訴人が合同会社として設立されたこと」に改め ぞれ改め,同頁22行目から同頁25行目までの次の各点を次のとおり補正する。 ア原判決41頁22行目の「原告を合同会社として設立したこと」を「被控訴人が合同会社として設立されたこと」に改める。 イ原判決41頁22・23行目の「米国税制上のチェック・ボックス規則が適用され,」を「米国税制上のチェック・ザ・ボックス規則による」に改める。 ウ原判決41頁24行目の「また」の次に「,被控訴人が合同会社とされ,CMHLが唯一の業務執行社員とされたこと等により」を加える。 エ原判決41頁25行目の「こととなった。(目的⑦及び目的⑧)」を「こととなった(目的⑦及び目的⑧)。」に改め,同行目の末尾に改行して次のとおり加える。 したがって,ヴィヴェンディ・グループが策定した本件再編成等スキーム及びこれに基づいて実行された本件組織再編取引等は,本件8つの目的を全て達成することができるものであったといえる。」⒁ 原判決41頁26行目冒頭から同42頁6行目末尾までを次のとおり改める。 「エ以上によれば,本件組織再編取引等の前において,ヴィヴェンディ・グループは,本件8つの目的のいずれに関しても,これを裏付ける客観的な事情が存在しており(前記イ),また,ヴィヴェンディ・グループが策定した本件再編成等スキーム及びこれに基づいて実行された本件組織再編取引等は,本件8つの目的を全て達成することができるものであった(前記ウ)とい えることに照らすと,本件再編成等スキームを策定するに当たり本件8つの目的が設定されており,これに基づく本件組織再編取引等は本件8つの目的を同時に達成することを企図したものである旨のB陳述書等の説明部分は,信用することができる。 これに対し,控訴人は,B陳述書 が設定されており,これに基づく本件組織再編取引等は本件8つの目的を同時に達成することを企図したものである旨のB陳述書等の説明部分は,信用することができる。 これに対し,控訴人は,B陳述書等の上記説明部分につき,そもそもBが本件再編成等スキームの策定等に関与した者ではなく,その説明に係る事実関係も客観的に明らかであるとはいい難いこと等から,信用することができない旨を主張する。しかし,Bはヴィヴェンディの税務部の一員としてヴィヴェンディ・グループによる日本での組織再編取引に係る議論に関与していた者であること(甲76),以上に説示したとおり,本件組織再編取引等の前において,本件8つの目的の設定の理由となり得る諸事情が存在していたと認められることに照らし,控訴人の上記主張は採用できない。 オ控訴人は,三菱東京UFJ銀行欧州業務部(以下「欧州業務部」という。)作成のメモによれば,ヴィヴェンディが,本件資金決済を実行するに当たり,欧州業務部に対し,本件組織再編取引等の目的につき,UMKKが毎期,税引前利益で40百万ユーロを計上していることを踏まえ,今回の取引の目的はUMKKの資本を約750百万ユーロ減少させ,約600百万ユーロの債務超過にさせ,税引前利益をわずか12~15百万ユーロにすることにあると説明していたことからすると,本件組織再編取引等とその一部である本件借入れには,租税回避目的があったことが客観的に明らかである旨を主張し,これに沿う証拠(乙51,88~90)もある。 この点,欧州業務部作成の欧州業務部メモ(乙51〔3・4枚目〕)には,①控訴人の上記主張に係るヴィヴェンディの説明内容と同旨の記載(以下「記載部分①」という。)があり,更に,②ヴィヴェンディの計画として,要旨「ヴィヴェンディがUMKKに750~ 3・4枚目〕)には,①控訴人の上記主張に係るヴィヴェンディの説明内容と同旨の記載(以下「記載部分①」という。)があり,更に,②ヴィヴェンディの計画として,要旨「ヴィヴェンディがUMKKに750~800百万ユーロを貸し付け,UMKKが同日付けで配当としてヴィヴェンディに返金する。これにより,UMKK は,ヴィヴェンディに対して,150百万ユーロの貸付ポジションではなく,600~650百万ユーロの借入ポジションとなる。」との記載(以下「記載部分②」という。)がある。 しかし,前提事実,認定事実及び掲記の証拠によれば,ヴィヴェンディ・グループが作成した本件再編成等スキームに関する文書(乙15)には,記載部分②と同様の金額が見られるものの(認定事実⑸エを参照),ヴィヴェンディ・グループが策定した本件再編成等スキーム(前提事実⑶~⑸)では,ヴィヴェンディのUMKKに対する貸付け及びUMKKからヴィヴェンディに対する配当の実施は予定されていないこと,欧州業務部担当者は,ヴィヴェンディ・グループの担当者からヴィヴェンディの上記計画についての説明を受けるに当たり資金のフローチャート程度の資料しか受け取っておらず(乙88),欧州業務部メモ(乙51)の記載全体をみると,ヴィヴェンディ・グループの800百万ユーロ相当の円の日中資金立替取引に関し,被控訴人以外に子会社5法人(フランス,オランダ法人)も関与すること等の説明を受けたこともうかがわれること,欧州業務部メモが本件再編成等スキームの策定(遅くとも平成20年(2008年)7月23日頃。認定事実⑸エ参照)の後である平成20年(2008年)10月22日に作成されたものであったことに照らすと,記載部分②は,ヴィヴェンディ・グループ担当者の欧州業務部担当者に対する本件再編成等スキームの説 事実⑸エ参照)の後である平成20年(2008年)10月22日に作成されたものであったことに照らすと,記載部分②は,ヴィヴェンディ・グループ担当者の欧州業務部担当者に対する本件再編成等スキームの説明として不正確であり,欧州業務部担当者において上記説明のうちの一部を要約したものといわざるを得ない。そうすると,記載部分①についても,同様に,欧州業務部担当者において,目的についての上記説明の一部を要約したものである可能性が否定し難い。 かえって,証拠(乙51,90)によれば,欧州業務部メモが添付された三菱東京UFJ銀行渋谷支社法人第一部法人第二課(以下「法人第二課」という。)作成の「ユニバーサルミュージック㈱親会社口座日中資金立替取引許容申請(都度)の件」と題する文書(乙51〔1・2枚目〕)には,「ヴィヴ ェンディは,UMKKとヴィヴェンディとの間に存在する中間持株会社を整理して資本関係を簡潔にする目的,及び,グローバルの資金運用効率化の観点から,UMKKの資本を900百万ユーロ減資し,750百万ユーロの資金不足状況にして,同額750百万ユーロをUMKKに貸し付けることで(結果,資金移動はなし),当社の税前利益を12~15百万ユーロまで減少することを計画している」,「UMKKとしては上記取引をユーロ建てで行うと,為替差損経常のリスクがあることから円での取引を希望し,かつ,親会社サイドは上記取引が1日で行われることを希望しているため,全てのオペレーションが日本で行われることを希望する」旨の記載が存在する。また,UMKKの取締役は,法人第二課担当者に対し,本件資金決済の経緯・目的等として,資本関係を簡潔にするため,当社株式を数社間で売買することで直接ヴィヴェンディの子会社としたいなどと説明していたこと(乙90)が認められ ,法人第二課担当者に対し,本件資金決済の経緯・目的等として,資本関係を簡潔にするため,当社株式を数社間で売買することで直接ヴィヴェンディの子会社としたいなどと説明していたこと(乙90)が認められる。これらの事情も併せ考慮すれば,ヴィヴェンディ・グループ担当者は,欧州業務部担当者に対し,本件資金決済の経緯・目的につき,UMKKの取締役の法人第二課担当者に対する説明と同様の内容を説明したものの,欧州業務部の担当者において,本件8つの目的のうち特に目的⑤(日本の関連会社の資本構成に負債を導入すること等)に着目し,その点をメモに残した可能性が否定できない(これに対し,法人第二課の担当者は,欧州業務部メモのほか,UMKKの取締役の上記説明を踏まえ,目的②,目的④,目的⑥〔前半〕にも着目したことがうかがわれる。)。そうすると,記載部分①は,特に目的⑤のみの観点から,ヴィヴェンディ・グループ担当者の説明の一部を要約したものである可能性が否定できない。また,以上に説示したところに照らせば,欧州業務部メモの記載内容及びこれからうかがわれるヴィヴェンディ・グループ担当者の説明内容をもって,日本の関連会社の資本構成に負債を導入することの目的が,税負担の減少のみであったと推認することもできない。 以上を総合すれば,欧州業務部メモ(乙51〔3枚目〕)の記載のみをも って,本件組織再編取引等とその一部である本件借入れが租税回避目的で行われたとか,税負担の減少のみを目的として行われたと断ずることはできない。控訴人の上記主張は採用できない。」 4 争点⑴(法人税法132条1項の行為・計算要件及び不当性要件該当性)について⑴ 行為・計算要件について控訴人は,同族会社間等による複数の行為又は計算が積み重なることによって税負担減 点⑴(法人税法132条1項の行為・計算要件及び不当性要件該当性)について⑴ 行為・計算要件について控訴人は,同族会社間等による複数の行為又は計算が積み重なることによって税負担減少結果が生じている場合には,当該複数の行為又は計算を一体として「その法人の行為又は計算」に該当すると解し得るとした上,本件一連の行為は,被控訴人を中心とするヴィヴェンディ・グループ法人の行為として,それぞれ先行する行為を前提として積み重ねられた行為であり,その結果,UMKKないし被控訴人の欠損金額が増加し,又は課税対象所得や法人税額が減少したのであるから,本件一連の行為が一体として税負担減少結果を生じさせたものとして「その法人の行為又は計算」に当たり(主位的主張),少なくとも本件一連の行為のうち本件設立を除く各行為が「その法人の行為又は計算」に当たる(予備的主張1)と主張する。 しかし,法人税法132条1項に基づく同族会社等の行為又は計算の否認は,同族会社等の行為又は計算で,これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときに,当該法人税の関係においてのみ,否認された上記行為又は計算に代えて課税庁の適正と認めるところに従い課税を行うというものであるところ,前提事実によれば,①被控訴人は,本件各事業年度において,UMIFに対して本件借入れに基づき支払った本件利息の額を本件各事業年度における損金の額に算入し,所得金額が減少した結果,法人税の負担が減少したこと(前提事実⑺),②これに対し,麻布税務署長(処分行政庁)は,法人税法132条1項に基づき,本件利息をUMIFに対する寄附金に該当するものとし又は本件借入れ及び本 件利息をなかったものとして,本件各事業年度に係る所得金額を計算し,本件各 政庁)は,法人税法132条1項に基づき,本件利息をUMIFに対する寄附金に該当するものとし又は本件借入れ及び本 件利息をなかったものとして,本件各事業年度に係る所得金額を計算し,本件各更正処分をしたこと(前提事実⑻)に照らすと,麻布税務署長(処分行政庁)は,法人税法132条1項に基づき本件借入れを否認し,否認された本件借入れに代えてその適正と認めるところとして,被控訴人が本件各事業年度における損金の額に算入した本件利息の額を本件各事業年度の所得金額に加算することとして,本件各更正処分をしたものということができる。 そうすると,本件各事業年度における被控訴人の法人税につき,これを容認した場合には法人税の負担を減少させる結果となる「その法人の行為又は計算」は,本件借入れであると認められる。このことは,本件各更正処分等の根拠及び適法性に関する控訴人の主張(原判決別紙9)に照らしても明らかである。 これに対し,控訴人主張に係る本件一連の行為又はこのうち本件設立を除く各行為は,以上に説示したところに照らし,本件借入れを除けば,これを容認したとしても,本件各事業年度における被控訴人の法人税の負担を減少させる結果となるとは認められない。そうすると,本件借入れ以外の控訴人主張に係る上記各行為は,本件各更正処分の適法性を検討するに当たり,法人税法132条1項に基づく同族会社等の行為計算の否認の対象となる「その法人の行為又は計算」に当たるとはいえない。 したがって,控訴人の上記主張(主位的主張及び予備的主張1)は,その余の点を検討するまでもなく,いずれも採用することができない。 以上によれば,本件借入れにつき,法人税法132条1項の不当性要件該当性を検討することになる(控訴人の予備的主張2)。 ⑵ 不 点を検討するまでもなく,いずれも採用することができない。 以上によれば,本件借入れにつき,法人税法132条1項の不当性要件該当性を検討することになる(控訴人の予備的主張2)。 ⑵ 不当性要件の判断枠組みについてア法人税法132条1項は,少数の株主又は社員が支配する同族会社等においては法人税の負担を不当に減少させるような行為又は計算が行われやすいことに鑑み,税負担の公平を維持するため,同族会社等に係る法人税 の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われた場合に,これを正常な行為又は計算に引き直して法人税の更正又は決定を行う権限を税務署長に認めたものである。このような同条の趣旨及び目的からすれば,同族会社等の行為又は計算が同項にいう「これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」か否かは,専ら経済的,実質的見地において当該行為又は計算が純粋経済人として不自然,不合理なものと認められるか否か,すなわち経済的合理性を欠くか否かという客観的,合理的基準に従って判断すべきものと解される(したがって,上記のような経済的合理性を欠く同族会社等の行為又は計算が,同族会社であるためにされた不自然,不合理な租税負担の不当回避行為として,不当性要件に該当することになる。)。 そして,同族会社が当該同族会社の株主等又はその関連会社からした金銭の無担保借入れが不当性要件に該当するか否かについては,当該借入れの目的,金額,期間等の融資条件,無担保としたことの理由等を踏まえた個別,具体的な事案に即した検討を要するものというべきである。特に,上記のような借入れが当該同族会社の属する企業集団の再編等(以下「企業再編等」という。)の一環として行われた場合においては,組織 た個別,具体的な事案に即した検討を要するものというべきである。特に,上記のような借入れが当該同族会社の属する企業集団の再編等(以下「企業再編等」という。)の一環として行われた場合においては,組織再編成を含む企業再編等は,その形態や方法が複雑かつ多様であるため,これを利用する巧妙な租税回避行為が行われやすく,租税回避の手段として濫用されるおそれがあること等に照らすと,①当該借入れを伴う企業再編等が,通常は想定されない企業再編等の手順や方法に基づいたり,実態とは乖離した形式を作出したりするなど,不自然なものであるかどうか,②税負担の減少以外にそのような借入れを伴う企業再編等を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情も考慮した上で,当該借入れが経済的合理性を欠くか否かを判断すべきである。このことは,国際的な企業集団の再編等の一環としてされた当該借入れについて も同様である。 イこれに対し,被控訴人は,法人税法132条1項の不当性要件につき,経済合理性基準を踏まえて,法人税の負担が減少するという利益を除けば当該行為又は計算によって得られる経済的利益がおよそないといえるか,あるいは,当該行為又は計算を行う必要性を全く欠いているといえるかという観点から判断すべき旨を主張する。 しかしながら,組織再編成を含む企業再編等は,その形態や方法が複雑かつ多様であり,基本的には,いかなる必要性に基づいてどのような形態,方法で行うかにつき当該企業集団の自律的判断に委ねられるものであるが,前記のとおりこれを利用する巧妙な租税回避行為が行われやすく,租税回避の手段として濫用されるおそれがあること,企業再編等の一環として行われる行為につき,何らかの事業目的等を作出し又は付加することも比較的容易で これを利用する巧妙な租税回避行為が行われやすく,租税回避の手段として濫用されるおそれがあること,企業再編等の一環として行われる行為につき,何らかの事業目的等を作出し又は付加することも比較的容易であること等からすると,企業再編等の一環として行われた同族会社の行為又は計算の不当性要件該当性を上記のような観点から判断することになれば,当該行為又は計算を行う必要性のほとんどが租税回避目的であって,税負担の減少以外の経済的利益がごく僅かである場合でも,経済的合理性があるとされかねない。このようなことは,不当性要件の的確な判別を困難にするものとして,法人税法132条の趣旨及び目的に反し,相当でもない。このようなこと等に鑑みると,企業再編等の一環として同族会社が当該同族会社の株主等又はその関連会社からした金銭の無担保借入れが経済的合理性を欠くか否かについては,被控訴人の主張するような観点から判断するのではなく,上記ア①及び②の事情をも考慮して,総合的に判断するのが相当である。以上に反する被控訴人の主張は採用できない。 ウ他方,控訴人は,上記ア②の事情(税負担の減少以外にそのような借入れを伴う企業再編等を行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事 由が存在するかどうか)につき,正当で合理的な事業目的等が具体的かつ客観的に示されなければならない旨を主張する。 しかし,そもそも何をもって事業目的等が具体的かつ客観的に示されたというのかが一義的なものとはいい難い上,上記ア及びイで説示したところによれば,上記ア②の事情は,企業再編等の一環として同族会社が当該同族会社の株主等又はその関連会社からした金銭の無担保借入れが経済的合理性を欠くか否かを判断する際の考慮事情の一つにすぎず,それ自体が評価的要素を含んでいると解され, 編等の一環として同族会社が当該同族会社の株主等又はその関連会社からした金銭の無担保借入れが経済的合理性を欠くか否かを判断する際の考慮事情の一つにすぎず,それ自体が評価的要素を含んでいると解され,例えば,当該同族会社が主張する企業再編等を行うことの事業目的等が具体的かつ客観的でない場合には,これを行うことの「合理的な理由」となる事業目的等が存在するとはいえないと評価することも可能であること等に照らすと,あえて上記ア②の事情を控訴人の主張するように限定する必要はないし,そのような限定をすることが相当ともいえない。控訴人の上記主張は採用できない。 なお,控訴人は,本件における不当性要件の判断枠組みとして,経済的合理性を欠く場合には,独立当事者間の通常の取引と異なっている場合なども含まれ得る旨主張する。しかし,例えば,単なる金銭の借入れであれば,独立当事者間の通常の取引を想定することもできるが,当該借入れが企業再編等の一環として行われた場合には,企業再編等自体が,その形態や方法が複雑かつ多様であり,基本的には,いかなる必要性に基づいてどのような形態,方法で行うかにつき当該企業集団の自律的判断に委ねられるものであることからすると,独立当事者間の通常の取引に相当する企業再編等の形態,方法を想定することは極めて困難である。そうすると,本件における不当性要件の判断枠組みとして,控訴人の上記主張のように解するのは相当でなく,控訴人の上記主張は採用できない。 ⑶ 当てはめについてア前提事実及び認定事実によれば,本件借入れは,被控訴人がUMIFか ら本件各日本法人の株式の購入代金等に使用する目的で元金を866億6132万円とし,利息を平成26年(2014年)10月29日までは年6.8%,同日以降は年5.9%として無 がUMIFか ら本件各日本法人の株式の購入代金等に使用する目的で元金を866億6132万円とし,利息を平成26年(2014年)10月29日までは年6.8%,同日以降は年5.9%として無担保で借り受けたものであり(前提事実⑷ウ),本件8つの目的を達成するための本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等の一環として行われたものである。 以下では,前記⑵の不当性要件の判断枠組みを踏まえて,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等が,通常は想定されない企業再編等の手順や方法に基づいたり,実態とは乖離した形式を作出したりするなど,不自然なものであるかどうか,②税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するかどうか等の事情をみた上で,借入れの目的,金額,期間等の融資条件,無担保としたことの理由等をも併せ考慮し,本件借入れが専ら経済的,実質的見地において純粋経済人として不自然,不合理なものと認められるか否か,すなわち経済的合理性を欠くか否かを検討する。 イ本件再編スキームに基づく本件組織再編取引等に関する事情前提事実及び認定事実によれば,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,被控訴人が,①CMH(英国法人)の完全子会社であるCMHL(オランダ法人)の完全子会社として設立され(本件設立),②CMHLから295億円の追加出資を受け(本件増資),③UMIFから866億6132万円を上記アで説示した融資条件で借り入れ(本件借入れ),④上記追加出資金と本件借入れの元金を原資として,本件各日本法人の全株式の取得,すなわちUMKK株式の取得(本件買収),本件MGBKK株式の取得(本件MGBKK買収),V2J株式の取得(本件V2J買収)をする(これらに伴う本件財務 を原資として,本件各日本法人の全株式の取得,すなわちUMKK株式の取得(本件買収),本件MGBKK株式の取得(本件MGBKK買収),V2J株式の取得(本件V2J買収)をする(これらに伴う本件財務関連取引により,本件買収及び本件MGBKK買収の代金に相当する金員が各売主からオランダ法人であるUIMBV又はポリグラムに貸し付けられ,UMGT 又はUMIFに対する債務の返済に充てられる。),その後,被控訴人が,⑤UMKKを吸収合併し(本件合併),⑥被控訴人の完全子会社であるUMPGKがUMPKK及びMGBKKを吸収合併する(本件UMPGK合併)というものである。そして,このような本件再編成等スキームは,大要,○ア日本の関連会社の経営の合理化として,○a日本の関連会社の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係を整理し,法人数を減らすという目的(目的②,目的③及び目的⑥〔前半〕),○b米国税制上の対応や柔軟かつ機動的な事業運営の観点から,日本の関連会社を合同会社とし,当時検討されていた日本における音楽会社の買収に備えるという目的(目的⑦及び目的⑧),○イUMG部門のオランダ法人の負債軽減及び○ウ日本の関連会社の財務の合理化として,○c日本の関連会社の円余剰資金やUMOの余剰資金を解消し,ヴィヴェンディによる為替リスクのヘッジを不要とするとともに,日本の関連会社の資本構成に負債を導入し,UMG部門のオランダ法人の負債を軽減するための資金を調達するという目的(目的①,目的④,目的⑤,目的⑥〔後半〕)から成る本件8つの目的を目的とするものである。 まず,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,○a日本の関連会社の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係を整理し,法人数を減らすという を目的とするものである。 まず,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,○a日本の関連会社の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係を整理し,法人数を減らすという目的(目的②,目的③及び目的⑥〔前半〕)の観点からみると,次の事情に照らし,不自然なものとはいえず,税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するということができる。 a ヴィヴェンディ・グループは,平成12年(2000年)以降,次々に企業買収を繰り返し,その結果,UMG部門の子会社数が増加し,グループ内の資本関係も複雑化したことから,1つの国に1つの持株会社(統括会社)を設置し,その傘下に事業会社等を所属させ,法人 数を減らすとともに,各国の会社に適切なレベルの負債を配分する(各国のグループ内で資本と負債のバランスを適正にする)との基本方針の下で,法人数を減らすとともに資本関係を整理するための組織再編を行ってきた(認定事実⑸ア)。 そして,UMG部門の本件各日本法人については,遅くとも平成19年(2007年)9月までに,UMKKがUMTC(オランダ法人)の完全子会社であり,MGBKKがMGBBV(オランダ法人)の完全子会社であり,V2JがV2(英国法人)の完全子会社(CMHの間接的な完全子会社)であったため,それぞれ異なる親会社と資本関係を有し,日本という1つの国にUMPKKとMGBKKという2つの音楽出版会社が存在する状態となった(認定事実⑸ウ)が,本件各日本法人に対する事業遂行上の指揮監督は,UMGI(UMG部門において,北米及び南米を除く地域における音楽事業の業務管理を統括する英国法人)が行っていた(認定事実⑴オ)。 b 一般に,世界における地域経済圏の存在を踏まえて,地域ごと は,UMGI(UMG部門において,北米及び南米を除く地域における音楽事業の業務管理を統括する英国法人)が行っていた(認定事実⑴オ)。 b 一般に,世界における地域経済圏の存在を踏まえて,地域ごとの海外拠点を統括する統括会社を設置することは,当該地域経済圏におけるグループ企業(企業集団)の商流の一本化や間接部門(経理,人事,システム,事業管理等)の合理化を通じて,グループ傘下の企業収益の向上に寄与するものとされている(甲71)。また,資本関係は親会社が子会社に対して事業遂行上の指揮監督を及ぼす根拠となるものであるから,企業集団における親子会社間の重層的な資本関係が簡素化されれば,重要な意思決定に係る手続の短縮などのメリットがあるといえ,あえて複雑な資本関係のままとする経済的理由は通常考え難い。同種の事業を行う複数の会社を統合して1つの会社とすることや,企業集団における資本関係と事業遂行上の指揮監督関係との間にそごがみられる場合にこれらを一致させることも,経営の効率化や管 理コストの低減の観点から,その必要性,合理性を認めることができる(なお,UMPKKとMGBKKのような音楽出版会社については,音楽著作物の著作権を扱っているため,著作権の一元的な管理という観点からも,複数の音楽出版会社を統合する必要性は高いといえる。)。 c 以上のほか,後記のとおりの一般的なデット・プッシュ・ダウンの理解やUMG部門のオランダ法人の負債を軽減するための資金の調達の必要性等をも併せ考慮すれば,本件再編成等スキームにおいて,被控訴人が英国法人の完全子会社であるCMHLの完全子会社として設立され,出資金や借入金を原資として本件各日本法人の親会社(特に,UMKKとMGBKKのそれは,オランダ法人である。)から本件各日本法人の株式を取得し の完全子会社であるCMHLの完全子会社として設立され,出資金や借入金を原資として本件各日本法人の親会社(特に,UMKKとMGBKKのそれは,オランダ法人である。)から本件各日本法人の株式を取得し,本件各日本法人をその傘下の事業会社とすることや,被控訴人がUMKKを吸収合併し,被控訴人の完全子会社であるUMPGKがUMPKK及びMGBKKを吸収合併することは,一般に想定される企業再編等の手順や方法に基づくものといえ,控訴人指摘に係る事情(被控訴人が,本件合併前は事業活動を行っておらず,その設立からわずか3か月程度で本件合併を行ったこと(前提事実⑷ク),本件合併前のUMKKと本件合併後の被控訴人とでその経営組織,事業内容及び従業員数等に大きな変更はないこと(認定事実⑹参照),被控訴人が,取得したUMKK株式を本件合併後に抱合い株式消滅損失として消却処理したこと(前提事実⑷ク等)をもって実態と乖離した形式を作出するものとは断じ難く,不自然なものとはいえない。 また,以上の諸点に鑑みれば,日本の関連会社の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係を整理し,法人数を減らすという目的(目的②,目的③及び目的⑥〔前半〕)は,本件再編成等スキー ムにつき,税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由に当たるということができる。 d そして,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等が,日本の関連会社に係る資本関係の整理という観点からみて,UMG部門の日本における統括会社である被控訴人(ひいては,その完全子会社になった後,被控訴人に吸収合併されることになるUMKK)に税負担の減少以外の経済的利益をもたらすものであったことは,後記dで説示するとおりである。 次に,本件再編成等スキームに基 完全子会社になった後,被控訴人に吸収合併されることになるUMKK)に税負担の減少以外の経済的利益をもたらすものであったことは,後記dで説示するとおりである。 次に,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,○b米国税制上の対応や柔軟かつ機動的な事業運営の観点から,日本の関連会社を合同会社とし,当時検討されていた日本における音楽会社の買収に備えるという目的(目的⑦及び目的⑧)の観点からみると,次の事情に照らし,不自然なものとはいえず,税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するということができる。 a 平成19年9月頃までにヴィヴェンディ・グループのUMG部門に属することとなった本件各日本法人は,いずれも会社法上の株式会社であり(前提事実⑴ア,同⑵シ・ト),米国法人であるUMGの被支配外国法人であるUIMBVの子会社は,米国税制上チェック・ザ・ボックス規則による構成員課税を選択することができなかった本件各日本法人を除き,いずれも米国税制上構成員課税を選択したことにより,当該子会社間での売買や利息の支払等はUIMBVの所得とみなされていなかった(認定事実⑻)。 また,UMKKは,取締役会設置会社,監査役設置会社,会計監査人設置会社であった(前提事実⑴イ)。 bUMG部門の日本における統括会社の組織形態を合同会社とした 場合には,UIMBVの他の子会社と同様,米国税制上チェック・ザ・ボックス規則により構成員課税を選択することができるようになり(認定事実⑻),UIMBVの子会社間における売買や利息の支払等について米国法人UMGの課税対象所得に合算されないという税務上のメリットがあった。また,合同会社は,会社法上,株主総会,取締役及び監査役等の設置義務がなく,社員 子会社間における売買や利息の支払等について米国法人UMGの課税対象所得に合算されないという税務上のメリットがあった。また,合同会社は,会社法上,株主総会,取締役及び監査役等の設置義務がなく,社員は,定款に別段の定めがある場合を除き,その過半数の決定をもって,会社の業務を執行することができ(常務については,各社員が単独で行うことができる。),業務を執行する社員が会社を代表するなどとされているから,株式会社との対比においてより機動的な事業運営が可能となる。現に被控訴人は,本件設立に当たり,合同会社とされ,その定款には,①被控訴人の業務は,業務を執行する社員が決定する,②被控訴人の業務を執行する社員は,CMHLとする旨が定められた(認定事実⑸オ)。そして,ヴィヴェンディ・グループは,平成24年(2012年)にEMIレコーズの買収を行っている(認定事実⑴エ)。 c 以上によれば,本件再編成等スキームにおいて,英国法人の完全子会社であるCMHLの完全子会社として設立された被控訴人が合同会社とされたことは,不自然なものではなく,日本の関連会社を合同会社とし,当時検討されていた日本における音楽会社の買収に備えるという目的(目的⑦及び目的⑧)は,本件再編成等スキームにつき,税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由に当たるということができる。 d そして,で説示したところ及び上記a~cで説示したところに照らすと,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,日本の関連会社の経営の合理化という観点からみて,資本関係の簡素化のほか,経営の効率化や管理コストの低減が期待できるものであっ て,また,UMGを最上位とするUMG部門における米国税制上のメリットも認められるものであったから,UMG部門の日本に 簡素化のほか,経営の効率化や管理コストの低減が期待できるものであっ て,また,UMGを最上位とするUMG部門における米国税制上のメリットも認められるものであったから,UMG部門の日本における統括会社である被控訴人(ひいては,その完全子会社になった後,被控訴人に吸収合併されることになるUMKK)に税負担の減少以外の経済的利益をもたらすものであったといえる。 さらに,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,○c日本の関連会社の円余剰資金やUMOの余剰資金を解消し,ヴィヴェンディによる為替リスクのヘッジを不要とするともに,日本の関連会社の資本構成に負債を導入し,UMG部門のオランダ法人の負債を軽減するための資金を調達するという目的(目的①,目的④,目的⑤,目的⑥〔後半〕)の観点からみても,次の事情に照らし,不自然なものとはいえず,税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するということができる。 aUMG部門のオランダ法人であるUIMBV及びポリグラムは,企業買収等のための資金の借入れにより多額の負債を抱え,平成19年(2007年)において,UMGT又はUMIFに対する負債が約31億ユーロに上り,支払利息が営業利益を上回っている状況であった(認定事実⑸ウ)。これに対し,UMKKは,平成18年12月期から平成20年12月期までの営業利益が約74~111億円と多額であるが,支払利息は約110~460万円と極めて少ない状況にあり,平成20年8月31日時点におけるUMKK株式の評価額の総額は1144億1900万円と算定されていた(認定事実⑶ア,同⑸カ)。 b ヴィヴェンディ・グループのCMS(資金集中管理制度)においては,UMGT及びUMIFがその統括会社とされているところ, 額は1144億1900万円と算定されていた(認定事実⑶ア,同⑸カ)。 b ヴィヴェンディ・グループのCMS(資金集中管理制度)においては,UMGT及びUMIFがその統括会社とされているところ,外部の金融機関からの借入れ等の金融取引はヴィヴェンディが一括して 実行するものとされ,このように調達された資金をUMGT又はUMIFを通じてヴィヴェンディ・グループ法人に貸し付けるものとされていた。このことからすると,UMGT又はUMIFから貸付けを受ける各法人の財務状況は,外部の金融機関から借入れを行うヴィヴェンディ(又はヴィヴェンディ・グループ全体)の信用力に少なからず影響があるものと推認される。 ヴィヴェンディは,UMGTを通じて貸し付けられた①UMKKの余剰資金(約363億円)及び②UMOの余剰資金(約2億ポンド)を外部の金融機関に①円建て及び②ポンド建てで預金していたところ,ヘッジポリシー(為替レートの変動により,連結貸借対照表に計上する外貨建ての金融資産の価値が目減りし,又は外貨建ての負債が増加するという貸借対照表リスクをヘッジするための為替ヘッジを行うポリシー)を有していたことから,①本件ユーロ・円通貨スワップ取引及び②本件ポンド・ユーロ通貨スワップ取引を行っていた。 ヴィヴェンディは,通貨スワップ取引の仕組み上,本件ユーロ・円通貨スワップ取引につき,円とユーロの金利差に基づく手数料(年間約800万ユーロ)を上記金融機関に対して支払うべきこととなっており(したがって,ユーロの高い金利により得られる利益を享受することができなかった。),本件ポンド・ユーロ通貨スワップ取引についても,将来,ユーロの金利が上昇するなどして両通貨の金利差が生じた場合には,上記のような手数料負担が生じる可能性があった(以上につ ことができなかった。),本件ポンド・ユーロ通貨スワップ取引についても,将来,ユーロの金利が上昇するなどして両通貨の金利差が生じた場合には,上記のような手数料負担が生じる可能性があった(以上につき,認定事実⑵エ・カ)。 c 本件財務関連取引は,ヴィヴェンディ・グループのCMSに基づき,①本件増資,本件借入れ,本件買収,本件MGBKK買収及び本件V2J買収に関する資金決済に加え,②グループ法人間の貸借等に関する資金決済を併せて実施するものであったところ(認定事実⑸ケ③), 上記②のグループ法人間の貸借等の実体が存在しなかったというべき的確な証拠はない。そして,本件財務関連取引は,これが行われた時期(平成20年10月)及びこれに対する三菱東京UFJ銀行の検討内容(乙51,88~91)等に照らすと,三菱東京UFJ銀行とヴィヴェンディ・グループのいずれにとってもリスク(貸倒リスク・信用リスク)が発生しないよう配慮されたものであったといえる。 d 一般に,企業グループ(企業集団)において借入金の返済に係る経済的負担を資本関係の下流にある子会社に負担させる場合(いわゆるデット・プッシュ・ダウン)において,その経済的負担をグループ内のどの子会社に負わせるのかについては,財務上の観点からは,規模が大きく多額の利益を計上している事業会社に対してより多くの債務を負担させることが合理的であるとされている(認定事実⑺)。 また,企業グループにおいて導入されるCMSは,プーリングサービス(グループ内の統括会社の銀行口座とグループ法人の銀行口座の間で,資金移動を自動的に行うこと),ネッティング(グループ法人間の支払を,銀行を通さず統括会社・グループ法人間の貸借に付け替えて清算すること)等を行うことにより,財務・経理業務の合理化やリスク管理 で,資金移動を自動的に行うこと),ネッティング(グループ法人間の支払を,銀行を通さず統括会社・グループ法人間の貸借に付け替えて清算すること)等を行うことにより,財務・経理業務の合理化やリスク管理の高度化を図るだけでなく,グループ法人間における資金余剰と資金不足とを相殺してグループ全体の所要資金量を低減させる効果(所要資金量の低減)や,グループ法人の余剰資金を集中させてより有利な資金運用を可能とする効果(資金運用の合理化)を生じさせるものとされている(認定事実⑵イ)。 e 以上に加え,前記のとおりの日本の関連会社の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係の整理の必要性等をも併せ考慮すれば,次の点を指摘することができる。 CMSを導入しているヴィヴェンディ・グループにおいて,支払 利息が営業利益を超え,負債の経済的負担が過度に重くなっているUMG部門のオランダ法人(UIMBV及びポリグラム)のUMGT又はUMIFに対する負債を減少させるため,UMG部門の日本における統括会社として設立された被控訴人が,本件各日本法人の親会社(特に,UMKKとMGBKKのそれは,オランダ法人である。)から本件各日本法人の株式を買い取り,各売主がその代金に相当する金員をオランダ法人であるUIMBV又はポリグラムに貸し付け,UIMBV及びポリグラムがUMGT又はUMIFに対する上記負債(債務)を返済することや,被控訴人が,上記の日本法人の買取資金を調達するため,ヴィヴェンディ・グループのCMSの統括会社であるUMIFから本件借入れを行うこと(多額の営業利益を計上し支払利息が極めて少ない日本の関連会社が債務を負うこと)は,いわゆるデット・プッシュ・ダウンとして,規模が大きく多額の利益を計上している日本の関連会社に対してUMG部門に (多額の営業利益を計上し支払利息が極めて少ない日本の関連会社が債務を負うこと)は,いわゆるデット・プッシュ・ダウンとして,規模が大きく多額の利益を計上している日本の関連会社に対してUMG部門における企業買収のために経済的負担が過度に重くなっているオランダ法人の負債の一部を負担させ,ヴィヴェンディ・グループのCMSにおいて外部の金融機関からの借入れ等の金融取引を一括して行っていたヴィヴェンディの対外的な信用力を高め,ヴィヴェンディ・グループ全体の財務態勢の強化に資するものであるから,資金効率の最大化を可能とするものとして,財務上の観点からみて,不自然とはいえず,その必要性,合理性を認めることができる。 なお,オランダ法人であるUIMBV及びポリグラムがUMGT又はUMIFに対する債務を返済しても,その返済資金(本件買収又は本件MGBKK買収の代金)を貸し付けたUMTC又はMGBBVに対する債務は残存することになるが,オランダ法人の子会社 間の債務と,ヴィヴェンディ・グループのCMSの統括会社であるUMGT又はUMIFに対する債務とでは,UIMBV及びポリグラムの財務状況がヴィヴェンディ(又はヴィヴェンディ・グループ全体)の対外的な信用力に及ぼす影響に差異があることは否定できないから,これらのオランダ法人がUMGT又はUMIFに対する借入金債務の約3割を返済したことにより,ヴィヴェンディ(又はヴィヴェンディ・グループ)の信用力は相応に向上したものということができる。 ⒝ 被控訴人がUMKK及びMGBKKを買収する資金を調達するための本件増資及び本件借入れにつき,その原資としてUMO及びUMKKの余剰資金を活用することは,ヴィヴェンディ・グループのCMSにおいて外部の金融機関からの借入れ等の金融取引を一括して行 達するための本件増資及び本件借入れにつき,その原資としてUMO及びUMKKの余剰資金を活用することは,ヴィヴェンディ・グループのCMSにおいて外部の金融機関からの借入れ等の金融取引を一括して行っていたヴィヴェンディの本件ユーロ・円通貨スワップ取引及び本件ポンド・ユーロ通貨スワップ取引を終了させ,これらの取引に係る手数料の負担を免れ,資産管理のコストを軽減させるとともに,円資金等に代えてユーロ資金を保有することができるようにするものである。また,本件資金決済と併せて他のグループ法人間の貸借等に関する資金決済を同時に実施すること(本件財務関連取引)は,貸倒リスクや信用リスクを回避し,これに要する費用を軽減させることができるものである(これらの資金決済に現実の資金の移動を伴わない帳簿決済が含まれていることのみをもって,その実体がないとはいえない。)。そうすると,いずれの点も,ヴィヴェンディ・グループ全体の資金効率の最大化や財務リスクの最適化を可能とするものとして,財務上の観点からみて,不自然とはいえず,その必要性,合理性を認めることができる。 なお,被控訴人のUMIFに対する本件借入れに係る返済は円で 取引等の後も,為替リスクのヘッジの必要性自体は残存しているが,ヴィヴェンディは,300億円を超える余剰資金に係る通貨スワップ取引が解消されたことで,円とユーロの金利差によって生じる年間約800万ユーロの手数料等を支払う必要がなくなった上,上記の円資金の代わりに,本件財務関連取引によって得られたユーロ資金を保有することができることとなったのであるから(認定事実⑸ケ③),ヴィヴェンディ・グループにおける資金調達のコストが軽減され,財務状況が改善されたものということができる。 ⒞ 以上によれば,日本の関連会社の円余剰資金 こととなったのであるから(認定事実⑸ケ③),ヴィヴェンディ・グループにおける資金調達のコストが軽減され,財務状況が改善されたものということができる。 ⒞ 以上によれば,日本の関連会社の円余剰資金やUMOの余剰資金を解消し,ヴィヴェンディによる為替リスクのヘッジを不要とするとともに,日本の関連会社の資本構成に負債を導入し,UMG部門のオランダ法人の負債を軽減するための資金を調達するという目的(目的①,目的④,目的⑤,目的⑥〔後半〕)は,本件再編成等スキームにつき,税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由に当たるということができる。 f そして,上記a~eで説示したところによれば,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,UMG部門のオランダ法人の負債軽減及び日本の関連会社の財務の合理化という観点からみた場合,被控訴人に本件借入れに係る債務の負担及び利息の支払といった経済的負担をもたらす面があることは否定できないが,他方で,前記e⒝のとおり,これによってヴィヴェンディの対外的な信用力が高められ,資金調達のコストが軽減されるなど,ヴィヴェンディ・グループ全体の財務態勢が強化される結果,被控訴人は,ヴィヴェンディ・グループのCMS(資金集中管理制度)に基づき,ヴィヴェンディの信用力を利用して,個別に資金調達をする場合と比べて大規模かつ 円滑な資金調達を行い得ることになるのであり,被控訴人(ひいては,その完全子会社になった後,被控訴人に吸収合併されることになるUMKK)にこのような税負担の減少以外の経済的利益をもたらすものであったということができる。 このように,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,本件8つの目的を○ア日本の関連会社の経営の合理化,○イUM 外の経済的利益をもたらすものであったということができる。 このように,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,本件8つの目的を○ア日本の関連会社の経営の合理化,○イUMG部門のオランダ法人の負債軽減及び○ウ日本の関連会社の財務の合理化という観点から分けて検討してみても,不自然なものではなく,税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在するといえ,被控訴人(ひいては,その完全子会社になった後,被控訴人に吸収合併されることになるUMKK)に税負担の減少以外の経済的利益をもたらすものといえるのであるから,本件8つの目的を同時に達成しようとしたものという観点からみれば,より一層,不自然なものではなく,税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在し,被控訴人(ひいては,その完全子会社になった後,被控訴人に吸収合併されることになるUMKK)に税負担の減少以外の経済的利益をもたらすものであるということができる。 ウ本件借入れに関する事情 前提事実及び認定事実を踏まえて,本件借入れに関する事情を個別に検討すると,次の点を指摘することができる。 a 本件借入れの目的は,本件各日本法人の株式の購入代金及び関連費前記イで説示したところに照らし,本件再編成等スキームの一部を成すものとして,その必要性,合理性を認めることができる。 b 本件借入れの金額(約866億円)は,UMKK株式の買収(本件買収)及びMGBKK株式の買収(本件MGBKK買収)に要する購入 資金(前者が1144億1800万円,後者が14億6900万円)のうち,本件増資(295億円)では足りない分を賄うためのものである。 上 本件MGBKK買収)に要する購入 資金(前者が1144億1800万円,後者が14億6900万円)のうち,本件増資(295億円)では足りない分を賄うためのものである。 上記購入資金の大部分を占めるUMKK株式の価格は,ダフ・アンド・フェルプス株式会社による株式価値算定分析において平成20年(2008年)8月31日時点におけるUMKK株式の評価額の総額が1144億1900万円とされたことを踏まえたものであり(認定事実⑸カ),その価格が不当に高額であるとは認められない。 したがって,本件借入れの上記金額は,上記aの目的のために必要かつ相当な金額であると認められる。 c 本件借入れの返済条件につき,①利息の利率は,借入れ後6年間は年6.8%,それ以降は年5.9%とされ,②返済期限は,本件借入れの20年後である令和10年(2028年)10月29日であるが,借入れ後1年までは300億円の限度で借入金の一部の返済が可能であり,借入れ後6年以降はいつでも借入金の全部又は一部の返済ができるものとされ また,UMKKは,被控訴人に吸収合併される前の3事業年度において,営業利益を約74~111億円計上していたところア),本件借入れにより生ずる支払利息(年約40億円)は,本件合併によりUMKKの事業を承継する被控訴人がその営業利益によって賄うことができる範囲内のものとされた。また,20年の返済期間は,被控訴人の平成20年度の税引き後利益の予想に基づく試算に基づいて決定された(認定事実⑸カ)。現に被控訴人による本件借入れの利息の支払が困難になったなどの事情はうかがわれないことをも併せ考慮すれば,本件借入れに当たり,元本の返済又は利息の支払が困難になるおそれがあったとは認められない。 に被控訴人による本件借入れの利息の支払が困難になったなどの事情はうかがわれないことをも併せ考慮すれば,本件借入れに当たり,元本の返済又は利息の支払が困難になるおそれがあったとは認められない。 以上によれば,本件借入れの融資条件は,被控訴人にとって不当に不利益となるものとは認められない。 d 被控訴人は,UMIFから本件借入れを行うに当たり,担保を提供していない。これは,被控訴人が,本件設立後,UMKKに係る本件CMS合意と同様の内容により,ヴィヴェンディ・グループのCMSに参加したこと(認定事実⑵オ),本件借入れの目的が被控訴人において平成20年8月31日当時において約1144億円の価値を有していたUMKK株式を含む本件各日本法人の株式を取得することとされていたこと(上記a),本件借入れの借入条件が本件合併によりUMKKを承継した被控訴人の営業利益によって返済可能な範囲で定められたこと(上記c)を踏まえたものであり,本件借入れが無担保で行われたことは,不自然ではなく,合理的な理由があるということができる。 e 被控訴人は,本件借入れにより貸借対照表上の純資産がマイナスで債務超過となっている(認定事実⑶イ)が,被控訴人の資金調達は,専ら本件CMS合意に基づきヴィヴェンディの信用力によって行われるから,本件借入れにより被控訴人の資金調達への影響が生ずるおそれはなく,上記の財務状態であることから直ちに外部の金融機関に対する信用力の低下や倒産リスクを生じることはないということができる。 また,音楽事業の関係者や社会一般に対しては,本件合併前のUMKKと比べて事業内容等が異なるものではないとの説明がされており(認定事実⑹),本件合併後の被控訴人に対する社会的信用が従前と比べ また,音楽事業の関係者や社会一般に対しては,本件合併前のUMKKと比べて事業内容等が異なるものではないとの説明がされており(認定事実⑹),本件合併後の被控訴人に対する社会的信用が従前と比べて損なわれたとの事情はうかがわれない。 以上によれば,前記イで説示したところに加え,本件借入れに関する事情を個別に検討したところに照らしてみても,本件借入れが専ら経済的,実質的見地において純粋経済人として不自然,不合 理なもの,すなわち経済的合理性を欠くものであるというべき事情は見当たらない。 エ小括以上の諸点を総合すれば,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等は,不自然なものではなく,税負担の減少以外にこれを行うことの合理的な理由となる事業目的その他の事由が存在したと認められる。このことは,控訴人主張のように被控訴人とUMKKを経済的,実質的に一体のものとみて,本件組織再編取引等の前のUMKKの状況からその後の被控訴人の状況への変化を捉えたとしても,異なるものではない。 そして,以上に加え,本件借入れの目的,金額,期間等の融資条件,無担保としたことの理由等を個別に検討したところに照らしてみても,本件借入れが専ら経済的,実質的見地において純粋経済人として不自然,不合理なもの,すなわち経済的合理性を欠くものであるというべき事情は見当たらない。 そうすると,本件借入れは,同族会社であるためにされた不自然,不合理な租税負担の不当回避行為とはいえず,法人税法132条1項にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たらないと解するのが相当である。 オ控訴人の主張について控訴人は,次の諸点(以下,各項ごとに「控訴人の主張a」などと略称する。 人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に当たらないと解するのが相当である。 オ控訴人の主張について控訴人は,次の諸点(以下,各項ごとに「控訴人の主張a」などと略称する。)に照らすと,本件借入れは,極めて異常で変則的なものであり,これを行ったことにつき租税回避以外に正当で合理的な事業目的等はなかったから,経済的合理性を欠く不当なものであったと認められる旨を主張する。 a 本件一連の行為前のUMKKの資産・負債の状況と本件一連の行為後の被控訴人の資産・負債の状況とを比較した結果,本件借入れの借 入条件の内容等に照らすと,本件組織再編取引等を行うスキームの中で,被控訴人には,実質的に資金需要がなかったにもかかわらず,グループ内の組織再編により買収資金という見かけ上の資金需要が作出された(本判決別紙2の1⑵ア・オ)。 b 本件組織再編取引等のキャッシュフローは,巨額の資金を被控訴人を含むグループ内で還流させるだけのものであり,本件借入れのうち300億円は,UMKKないし控訴人がヴィヴェンディ・グループに貸し付けた余剰資金300億円を回収して充てることができた(本判決別紙2の1⑵ア・ウ,原判決別紙8の1(控訴人の主張の要旨)⑷)。 c そもそも負債を導入されること自体には,税負担の減少以外には経済的な利益がない上,企業グループ内の取引として実行されるデット・プッシュ・ダウンは,当該グループにとって新たな収益性が外部から流入するわけではなく,当該子法人としても,グループ内の被買収企業としても,実質的な資金需要があるとはいえないことが多いから,当該子法人にとって借入れに係る負債の導入それ自体が経済的な犠牲を強いられるものでしかなく,このことは,UMKKから形式的にも実質的にも新たな資産を取得していない があるとはいえないことが多いから,当該子法人にとって借入れに係る負債の導入それ自体が経済的な犠牲を強いられるものでしかなく,このことは,UMKKから形式的にも実質的にも新たな資産を取得していない被控訴人についても同様である。オランダ法人の負債軽減を図ること(目的①)やヴィヴェンディ・グループの財務を合理化すること(目的④・⑤)は,UMKKないし被控訴人にとって経済合理性があることとは直接結びつくものではないか,間接的ないし抽象的な利益でUMKKないし被控訴人の犠牲を上回るものではない(本判決別紙2の1⑵イ・ウ・オ,原判決別紙8の1(控訴人の主張の要旨)⑹ア・ウ)。 d 被控訴人の主張する日本の関連会社の経営の合理化に関する目的は(目的②・③・⑥~⑧)は,極めて抽象的である上,本件一連の行 為前後を通じて,本件各日本法人ではヴィヴェンディの指揮・命令の下で機動的かつ合理的な事業活動が行われ,UMKKと被控訴人とで事業実態に全く変更がないこと,重要な意思決定に係る手続の短縮等のメリットが生じているか不明であること等に照らすと,UMKKないし被控訴人の組織再編自体が,事業実態に変化をもたらさないように設計されたみせかけのものにすぎない。このようなことからすれば,株式会社であるUMKKを合同会社に組織変更すれば足り,本件合併に先立って本件買収をするのは迂遠である(本判決別紙2の1⑵エ,原判決別紙8の1(控訴人の主張の要旨)⑷イ・ウ・⑹イ)。 e 本件借入れは,その当時いわゆるペーパーカンパニーであった被控訴人が,無担保で約866億円もの多額の融資を受けるものであり,本件資金決済が被控訴人のマネジメント・コミッティーの意思決定の前に実行されていることからしても,同族会社でなければ通常なし得 控訴人の主張aについて もの多額の融資を受けるものであり,本件資金決済が被控訴人のマネジメント・コミッティーの意思決定の前に実行されていることからしても,同族会社でなければ通常なし得 控訴人の主張aについて同族会社が当該同族会社の株主等又はその関連会社からした金銭の無担保借入れが経済的合理性を欠くか否かを判断するに当たっては,前記⑵アのとおり,個別,具体的な事案に即した検討が必要であり,当該借入れの目的,金額,期間等の融資条件,無担保としたことの理由及びその同族会社の置かれた状況その他の諸事情(特に,上記のような借入れが当該同族会社の属する企業集団の再編等の一環として行われた場合には,前記⑵ア①及び②の事情を含む。)を総合的に考慮すべきであるから,仮にその同族会社単体でみたときには当面の資金需要がなかったとしても,当該企業集団として,企業集団全体の財務マネジメントその他の経営判断から,その同族会社において他の企業を買収する資金を負 担することが合理的に必要となるような場合には,その同族会社にとっても合理的な資金需要になると考えられる。 そもそもヴィヴェンディは,平成12年(2000年)以降,企業買収を繰り返して複数の音楽会社グループを傘下に組み入れる一方,UMG部門の子会社数の増加やグループ内の資本関係の複雑化に対応するため,1つの国に1つの持株会社(統括会社)を設置し,その傘下に事業会社等を所属させ,法人数を減らすとともに,各国の会社に適切なレベルの負債を配分する(各国のグループ内で資本と負債のバランスを適正にする)との基本方針の下で,法人数を減らすとともに資本関係を整理するための組織再編を行っていた(認定事実⑸ア)。そして,UMG部門に属することになった本件各日本法人は,それぞれ異なる親会社と資本関係(オランダ法人又は英国法 法人数を減らすとともに資本関係を整理するための組織再編を行っていた(認定事実⑸ア)。そして,UMG部門に属することになった本件各日本法人は,それぞれ異なる親会社と資本関係(オランダ法人又は英国法人)を有し(他方,事業遂行上の指揮監督は英国法人が行っていた。),日本という1つの国にUMPKKとMGBKKという2つの音楽出版会社が存在する状態となっており(認定事実⑴オ,同⑸ウ),また,UMG部門のオランダ法人であるUIMBV及びポリグラムは,企業買収等のための資金の借入れにより多額の負債を抱え,支払利息が営業利益を超え,負債の経済的負担が過度に重くなっていた(認定事実⑸ウ)。 このような状況の下で,日本の関連会社の資本関係及びこれに対する事業遂行上の指揮監督関係を整理し,法人数を減らすという目的(目的②,目的③及び目的⑥〔前半〕),日本の関連会社の資本構成に負債を導入し,UMG部門のオランダ法人の負債を軽減するための資金を調達するという目的(目的①,目的⑤)のため,被控訴人が,UMG部門の日本における統括会社として,英国法人の完全子会社であるCMHLの完全子会社として設立され,出資金や借入金を原資として本件各日本法人の親会社(特に,UMKKとMGBKKのそれは,オランダ法人であ る。)から本件各日本法人の株式を買い取り(これにより本件各日本法人をその傘下の事業会社とした。),各売主がその代金に相当する金員をオランダ法人であるUIMBV又はポリグラムに貸し付け,UIMBV及びポリグラムがUMGT又はUMIFに対する上記負債(債務)を返済することとし,更に被控訴人がUMKKを吸収合併し,被控訴人の完全子会社であるUMPGKがUMPKK及びMGBKKを吸収合併することとしたことは,前記とおりである。 そうすると,本 )を返済することとし,更に被控訴人がUMKKを吸収合併し,被控訴人の完全子会社であるUMPGKがUMPKK及びMGBKKを吸収合併することとしたことは,前記とおりである。 そうすると,本件再編成等スキームに係る本件8つの目的のうち,前掲各目的は,上記のようなヴィヴェンディ・グループの実情に即したものであり,グループ全体の財務マネジメントやその他の観点から,本件借入れが不合理とはいえないから,控訴人の主張aで指摘された事情のみをもって,本件組織再編取引等を行うスキームの中で,被控訴人には,実質的に資金需要がなかったにもかかわらず,グループ内の組織再編により買収資金という見かけ上の資金需要が作出されたということはできない。 したがって,控訴人の主張a は採用することができない。 控訴人の主張bについて本件組織再編取引等のキャッシュフローに当たる本件財務関連取引が実体のないものといえないことは,前記また,本件借入れの金額が必要かつ相当な金額であったことは,前記ウで説示したとおりであり(なお,控訴人指摘に係る余剰資金300億円は,UMKKがUMGTを介してヴィヴェンディに貸し付けたものであり(認定事実⑵エ),そもそも本件合併前に被控訴人が利用することができるものであったとはいえない。),被控訴人が,本件借入れの前に300億円の期限前返済を予定し(認定事実⑸カ),現に平成21年3月31日,本件借入れに係る元金のうち300億円を返済したこと (前提事実⑺ア)は,上記判断を妨げるものではない。 したがって,控訴人の主張bは,採用することができない。 控訴人の主張cについて本件再編成等スキームにおいて,被控訴人は,本件借入れに係る借入金(866億6132万円)等を原資として本件各日本法人の親会社か の主張bは,採用することができない。 控訴人の主張cについて本件再編成等スキームにおいて,被控訴人は,本件借入れに係る借入金(866億6132万円)等を原資として本件各日本法人の親会社から本件各日本法人の株式を買い取り,本件各日本法人をその傘下の事業会社とし,被控訴人がUMKKを吸収合併することが予定されており,UMKK株式が平成20年8月31日当時において約1144億円の価値を有していたこと(前提事実⑷),資本金200万円で設立された被控訴人は,UMKKを吸収合併した後,UMKKと同程度の規模の営業利益を計上していること(認定事実⑶)等に照らすと,被控訴人とUMKKがUMG部門に属することや被控訴人が取得したUMKK株式を本件合併後に抱合い株式消滅損失として消却処理したこと(前提事実をもって,本件合併によりUMKKを承継した被控訴人がUMKKから形式的にも実質的にも新たな資産を取得していないとはいえない。 そして,本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等が,UMG部門のオランダ法人の負債軽減及び日本の関連会社の財務の合理化という観点からみた場合,被控訴人に本件借入れに係る債務の負担及び利息の支払といった経済的負担をもたらす面があることは否定できないが,なお被控訴人に税負担の減少以外の経済的利益をもたらすものであったといえることは,前記で説示したとおりである。 したがって,控訴人の主張cは,採用することができない。 控訴人の主張dについて本件8つの目的のうち,日本の関連会社の経営の合理化に関する目的(目的②・③・⑥~⑧)が,極めて抽象的であるとか,本件再編成等ス 説示したところに照らし,明らかである。 そして,仮に控訴人主張のように,被控訴人がUMKK株式を取得した後に本件合 (目的②・③・⑥~⑧)が,極めて抽象的であるとか,本件再編成等ス 説示したところに照らし,明らかである。 そして,仮に控訴人主張のように,被控訴人がUMKK株式を取得した後に本件合併をするのではなく,株式会社であるUMKKが他の本件各日本法人を買収して合同会社に組織変更した場合には,UMKKがUMTC(オランダ法人)の完全子会社であることから,オランダ法人の子会社であった日本の関連法人を英国法人の資本下に置き,業務系統と資本系統の統一を図るという目的(目的⑥〔前半〕)を達成することができないし,日本の関連会社の資本構成に負債を導入し,UMG部門のオランダ法人の負債を軽減するための資金を調達するという目的(目的①,目的⑤)も達成することができなくなる。 また,仮に被控訴人が本件買収を経ずにUMKKを吸収合併した場合には,UMKKの完全親会社であったUMTCに対して被控訴人の持分の割当て又は金銭等の交付をすることが必要となるのであるから(会社法751条1項2号~4号参照),被控訴人がUMTCに対して本件買収(UMKK株式の買取り)をした上でUMKKを吸収合併することが直ちに迂遠であるとはいえない。 したがって,控訴人の主張dは,採用することができない。 控訴人の主張eについて控訴人の指摘に係る被控訴人の意思決定の点については,認定事実によれば,被控訴人は,平成20年10月28日当時,その業務執行社員であったCMHL(職務執行者はA)が,遅くとも同日までに,本件増資,本件借入れ及び本件各日本法人の株式取得を承認していたところ(認定事実⑸カ),同月29日,被控訴人にマネジメント・コミッティーを置く旨の業務執行規程を採択し,マネジメント・コミッティーにおいて本件増資,本件借入れ及び本件各日本法人の株式取得 していたところ(認定事実⑸カ),同月29日,被控訴人にマネジメント・コミッティーを置く旨の業務執行規程を採択し,マネジメント・コミッティーにおいて本件増資,本件借入れ及び本件各日本法人の株式取得の実施を決議 したものである(認定事実⑸ク)。そうすると,同月29日における被控訴人のマネジメント・コミッティーの上記各決議の前に本件資金決済が開始されていたとしても(前提事実⑹),被控訴人の意思決定前にその実行がされたということはできない。 また,その余の点については,本件借入れが本件再編成等スキームに基づく本件組織再編取引等の一環として行われた以上,これがヴィヴェンディ・グループであることを前提に行われたことは否定し難いが,このような事情を踏まえ,本件借入れの目的,金額,期間等の融資条件,無担保としたことの理由等を個別に検討しても,本件借入れが同族会社であるためにされた不自然,不合理な租税負担の不当回避行為であるといえないことは,前記イ~エで説示したとおりである。 したがって,控訴人の主張eは,採用することができない。 よって,控訴人の主張は,いずれも採用することができない。 ⑷ 結論以上によれば,被控訴人による本件借入れが法人税法132条1項の不当性要件に該当するとは認められない。 したがって,被控訴人による本件借入れが法人税法132条1項の不当性要件に該当することを前提としてされた本件各更正処分等は,いずれも違法である。 5 よって,被控訴人の請求はいずれも理由があり,これと同旨の原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官秋吉仁美 当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第5民事部 裁判長裁判官秋吉仁美 裁判官林史高 裁判官篠原絵理は,転補のため,署名押印できない。 裁判長裁判官秋吉仁美 (別紙1) 省略 (別紙2)当審における当事者の補充主張 1 控訴人の主張⑴ 法人税法132条1項の不当性要件については,原判決も説示する経済合理性基準(「専ら経済的,実質的見地において,当該行為又は計算が純粋経済人として不自然,不合理なものと認められるか否か,すなわち経済的合理性を欠くか否かという客観的,合理的基準」をいう。以下同じ)を踏まえ,①同族会社の具体的な行為・計算が異常ないし変則的であるといえるか否か,②その行為・計算を行ったことにつき租税回避以外に正当で合理的な理由ないし事業目的(以下「事業目的等」という。)があったと認められるか否か(その事業目的等が当該同族会社自身に経済的利益をもたらすものであることが客観的,具体的に示されていることを前提に,行為・計算の異常性の程度との関係や税負担の減少の目的との主従関係等を考慮して,租税回避以外の事業目的等が正当なものといえるか否か)によって判断すべきである。そして,このような判断枠組みは,国際的企業グループ内の取引,特に多数のグループ内企業が介在する組織再編に関連する複雑な取引において,複数の事業目的等が設定されている場合であっても,異なるところはない。 以上と異なる解釈を述べる原判決には誤りがある。 ⑵ 上記⑴の解釈を前提として本件についてみると,次のア~オ いて,複数の事業目的等が設定されている場合であっても,異なるところはない。 以上と異なる解釈を述べる原判決には誤りがある。 ⑵ 上記⑴の解釈を前提として本件についてみると,次のア~オの事情に照らせば,本件組織再編取引等及びその一部である本件借入れは,①極めて異常で変則的なものであり,②これを行ったことにつき租税回避以外に正当で合理的な理由ないし事業目的はなかったから,経済的合理性を欠く「不当」なものであったと認められる。したがって,法人税法132条1項の不当性要件 該当性が認められる。 ア本件借入れは,本件組織再編取引等を行うスキームの中で,日本国内で音楽事業を行うヴィヴェンディ・グループ法人である被控訴人においては,実質的に資金需要がなかったにもかかわらず,グループ内の組織再編により買収資金という見かけ上の資金需要を作出する,すなわち被控訴人において意味のない本件買収,本件合併を行うというだけでそのために巨額の借入(本件借入れ)を発生させたものである。このことは,日本国内で音楽事業を行うヴィヴェンディ・グループ法人であったUMKKは,平成18年12月期に約74億円,平成19年12月期に約75億円の営業利益を計上し,実質的に固定的な負債も有しておらず,実質的に約866億円もの借入れをする資金需要がなかったにもかかわらず,本件一連の行為後にUMKKと入れ替わった被控訴人は,本件借入れによって固定的な負債約866億円が新たに生じる一方,本件合併の結果,その取得に係るUMKK株式が消却処理されて消滅したため,実質的,経済的に何ら得るものもなく,財務上約545億円の債務超過となり,本件借入れに基づく本件利息の発生により年間数十億円の利益が減少することが見込まれることになったこと,借入条件としても,UMKK 的,経済的に何ら得るものもなく,財務上約545億円の債務超過となり,本件借入れに基づく本件利息の発生により年間数十億円の利益が減少することが見込まれることになったこと,借入条件としても,UMKK株式の購入代金等に充てなければならないという制限が課せられたことから明らかである。そして,利息を負担すること自体も,税負担の減少を除けば,単に営業利益を失うことでしかなく,被控訴人にとって経済的不利益である。 また,本件組織再編取引等のキャッシュフローは,巨額の資金を被控訴人を含むグループ内で還流させるだけのものであり,三菱東京UFJ銀行渋谷明治通店から外部への資金の流れが一切ないし,本件借入れのうち300億円は,UMKKないし被控訴人がヴィヴェンディ・グループに貸し付けた余剰資金300億円を回収することなく(その回収が可能であったことは,被控訴人が,平成21年3月31日,UMGTから307億80 00万円の返済を受け,これを原資に本件借入れの元本のうち300億円を返済期限前の繰上返済をしたことから裏付けられる。),新たに借り入れたものである。 以上の事情に照らすと,本件組織再編取引等に係る本件借入れは,資金需要の側面からも,資金の流れの側面からも,資金調達の方法の側面からも,通常であれば行われることがない,極めて異常で変則的なものというべきである。 イ被控訴人の主張する日本の関連法人の資本構成に負債を導入するなどの目的(目的⑤)は,それ自体が日本の関連会社の資本構成に負債を導入するものであり,必然的にその負債に係る利息を支払うこととなって被控訴人の税負担を減少させることになるものであり,三菱東京UFJ銀行パリ支店作成の欧州業務部メモ(乙51[3枚目])の記載内容等からしても,本件組織再編取引等と 負債に係る利息を支払うこととなって被控訴人の税負担を減少させることになるものであり,三菱東京UFJ銀行パリ支店作成の欧州業務部メモ(乙51[3枚目])の記載内容等からしても,本件組織再編取引等とその一部である本件借入れには,租税回避目的があったことは客観的に明らかである。 ウ被控訴人の主張するオランダ関連会社の負債軽減に関する目的(目的①)及び日本の関連会社の財務の合理化に関する目的(目的④・⑤)は,日本の関連会社に負債を導入することを直接の目的としており,租税回避目的のほかには,被控訴人に経済的な犠牲を強いるものでしかなく,正当で合理的な事業目的等となるための前提を欠いており(税負担の減少の目的と直結した不可分一体のものである。),本件にみられる行為の極めて高い異常性・変則性を正当化し得るものではない。このことは,次の事情に照らして明らかである。○アそもそも負債を導入されること自体には,税負担の減少以外には経済的な利益がなく,ただ経済的な犠牲を強いられるだけのものでしかないところ,企業グループ内の取引として実行されるデット・プッシュ・ダウンは,当該グループにとって新たな収益性が外部から流入するわけではなく,当該子法人としても,グループ内の被買収企業とし ても,実質的な資金需要があるとはいえないことが多いから,当該子法人にとって借入れに係る負債の導入それ自体が経済的な犠牲を強いられるものでしかない。○イヴィヴェンディが為替リスクのヘッジを行うポリシーを有し,実際に為替リスクのヘッジのために通貨スワップ取引をしていたと認める客観的証拠はなく,当該為替リスクのヘッジに係るコストが本件組織再編取引等によって軽減されることとなる根拠も説明できていない。また,ヴィヴェンディが,資金需要のない日本の関連会社である被控訴 認める客観的証拠はなく,当該為替リスクのヘッジに係るコストが本件組織再編取引等によって軽減されることとなる根拠も説明できていない。また,ヴィヴェンディが,資金需要のない日本の関連会社である被控訴人に約866億円を貸し付け,これを原資の一部として本件買収に係る対価を支払わせた上,300億円の期限前返済をさせることで,UMKKないし被控訴人が有していた「余剰資金」300億円を根こそぎ回収し,親会社として得られるリターンを上回るリターンを獲得し,反面,子会社である被控訴人は,本来は支払う必要のない上記リターンの支払をし,しかも約566億円の借入金を負わされることで,多大な経済的犠牲を強いられている。 エ被控訴人の主張する日本の関連会社の経営の合理化に関する目的(目的②・③・⑥~⑧)は,極めて抽象的であり,見せかけの資金需要を作出するという異常で変則的な行為をする必要があったなどと認められず,UMKKないし被控訴人の組織再編自体が,事業実態に変化をもたらさないように設計されたみせかけのものというべきであり,極めて高い本件借入れの異常性・変則性を正当化し得るものではなく,これが主たる目的であったともいえない。このことは,次の点から明らかである。○アヴィヴェンディ・グループでは,完全親会社であるヴィヴェンディの指揮・命令の下で本件組織再編取引等の前から機動的かつ合理的な事業活動が行われており,本件組織再編取引においては,被控訴人がUMKKの全ての事業と従業員,役員を引き継ぎ,その内部の事業部の部署名も多くが引き継がれるなど,その事業実態に全く変更がなく,経営の合理化を図ろうとする実態 はなかったから,事業実態の変更を伴わない資本関係の整理にとどまっていた。○イ本件一連の行為の結果として,重要な意思決定に係る手続の短縮 に全く変更がなく,経営の合理化を図ろうとする実態 はなかったから,事業実態の変更を伴わない資本関係の整理にとどまっていた。○イ本件一連の行為の結果として,重要な意思決定に係る手続の短縮等のメリットが生じているかは明らかでなく,経営の効率化や管理コストの低減の観点から,経済的合理性を有するとはいえないし,米国税制上のメリットは,日本国内で音楽事業を行うUMKK及び被控訴人とは関係のないものであってどのようなメリットがあるか明らかでない。 オ被控訴人がUMKK株式を取得し,本件合併によってUMKKの資産や事業を取得したことについては,被控訴人が取得したUMKK株式が結局消却処理されており,形式的にも実質的にも新たな資産を取得したわけでなかった点を看過すべきでない。また,UMKK株式の買収価格が正常であったとしても,本件組織再編取引等によってヴィヴェンディ・グループの日本における事業会社がUMKKから被控訴人に入れ替わるだけである点からすれば,UMKK株式の買収価格分だけ実体のない資金需要が作出されたものにすぎず,UMKK株式の買収価格が正常であったことをもって,本件借入れや本件組織再編取引等が日本法人であるUMKKないし被控訴人に経済的な犠牲を強いるだけのものであったことを否定することはできない。 2 被控訴人の主張⑴ 法人税法132条1項の不当性要件については,納税者の経営判断の当否に課税庁の独自の視点で過度に踏み込んで判断してはならず,経済合理性基準を踏まえて,法人税の負担が減少するという利益を除けば当該行為又は計算によって得られる経済的利益がおよそないといえるか,あるいは,当該行為又は計算を行う必要性を全く欠いているといえるかという観点から判断すべきである。控訴人の主張する不当性要件の判断枠組みに 又は計算によって得られる経済的利益がおよそないといえるか,あるいは,当該行為又は計算を行う必要性を全く欠いているといえるかという観点から判断すべきである。控訴人の主張する不当性要件の判断枠組みに関する解釈は,独自の見解であり,失当である。 ⑵ 次の点に照らすと,本件借入れを含む本件組織再編取引等の本件8つの目 的は合理的で手段も相当であり,本件借入れが被控訴人にとって経済的合理性を有することは明らかである。 ア本件借入れは,独立当事者間の経済条件で行われた取引であり,被控訴人が,本件借入れによって得た資金を用いて,本件買収及び本件合併を行うことにより,UMKKの企業価値の全体(1144億1800万円相当)及びかかる企業価値から収益を生む力という経済的価値が新たに被控訴人に流入している。本件借入れにより生ずる支払利息(年約40億円)は,UMKKの事業をそのまま承継する被控訴人が営業利益によって賄うことができる範囲内のものであったし,被控訴人の貸借対照表上の純資産がマイナスで債務超過の状態になっていることは,被控訴人の資金調達が専らCMSに基づきヴィヴェンディの信用力によって行われることから,外部の金融機関に対する信用力の低下や倒産リスクを生じさせるものではない。 また,本件組織再編取引等における資金の移動については,本件財務関連取引が私法上有効に存在する取引であること(この点は控訴人も争っていない。),決裁は個々の取引の履行として行うものであること等からすると,個々の取引について各取引当事者にとっての取引の必要性がおよそないとはいえず,個々の取引の履行(決済・支払)が集積した結果として資金がヴィヴェンディ・グループ内でのみ短時間で流れたとしても,異常ないし変則的であるとはいえない。むしろ,リーマ の必要性がおよそないとはいえず,個々の取引の履行(決済・支払)が集積した結果として資金がヴィヴェンディ・グループ内でのみ短時間で流れたとしても,異常ないし変則的であるとはいえない。むしろ,リーマン・ブラザーズが破綻した平成20年9月直後の金融危機の最中において,三菱東京UFJ銀行とヴィヴェンディ・グループのいずれにとっても貸倒リスク・信用リスクが発生しないように設計されたものであるから,ヴィヴェンディ・グループが本件組織再編取引等のために三菱東京UFJ銀行の複数の口座を開設し,短時間に同口座内で資金を移動させることは,何ら異常ないし変則的ではない。また,ヴィヴェンディ・グループに余剰資金300億円を貸し 付けていたのはUMKKであるから,被控訴人がUMKKのUMGTへの貸付を回収し,自己の資金として本件買収に使用することは不可能である。 以上によれば,本件借入れは,被控訴人に経済的犠牲を強いるだけのものとはいえず,異常で変則的であるとはいえない。 イ一般に,企業グループにおいて借入金の返済に係る経済的負担を資本関係の下流にある子会社に負担させる場合において,その経済的負担をグループ内のどの子会社に負わせるかは,財務上の観点から,規模が大きく多額の利益を計上している事業会社に対してより多くの債務を負担させることが合理的であるとされており,財務上の観点から設定された目的⑤は,それが結果的に税負担の減少を伴ったとしても,被控訴人の本件借入れが租税回避目的で行われたことを推認させる事情にはならない。また,欧州業務部メモ(乙51〔3枚目〕)は,取引内容や資金の流れという本件組織再編取引等の核心部分について,実際の取引内容や当時の組織再編計画の内容(乙15)と異なる記載がされていること,その作成者がヴィヴェンデ モ(乙51〔3枚目〕)は,取引内容や資金の流れという本件組織再編取引等の核心部分について,実際の取引内容や当時の組織再編計画の内容(乙15)と異なる記載がされていること,その作成者がヴィヴェンディの財務担当者との口頭のやり取りを元に作成したものにすぎないこと等に照らし,信用性を欠いている。以上に加え,財務上の目的と税務上の目的は別個であること等からすれば,欧州業務部メモの記載をもって,被控訴人に租税回避目的があったとはいえない。 ウオランダ関連会社の負債軽減に関する目的(目的①)及び日本の関連会社の財務の合理化に関する目的(目的④・⑤)は,ヴィヴェンディ・グループ全体の財務体制を強化するものであり,被控訴人にとっても上記の利益を確実に享受することができる点で,被控訴人に経済的利益をもたらすものである。○ア本件借入れにより被控訴人が得た資金は,本件買収に使用され,その後被控訴人は本件合併を行い,UMKKの資産負債の全体(UMKKの企業価値の全体)を包括承継したのであるから,形式的にも実質的にも被控訴人に資金需要がなかったとはいえないこと,そもそもデット ・プッシュ・ダウンを用いて企業グループ外の企業を被買収企業として買収する場合には正当で合理的な事業目的が認められることが多いのであり(このことは控訴人も認めている。),本件組織再編取引等は,被控訴人の観点からすれば,デット・プッシュ・ダウンを用いてグループ外の企業を被買収企業として買収する場合と比べて,買収ビークル単体の経済的利益の有無に何ら違いをもたらすものでないこと等に照らすと,経済的犠牲を強いられるだけとはいえない。○イヴィヴェンディのヘッジポリシー等については,B陳述書(甲76,96)等の関係証拠によって認定できるし,ヴィヴェンディ・グループの為替リス に照らすと,経済的犠牲を強いられるだけとはいえない。○イヴィヴェンディのヘッジポリシー等については,B陳述書(甲76,96)等の関係証拠によって認定できるし,ヴィヴェンディ・グループの為替リスクのヘッジに係るコストが本件組織再編取引等によって軽減されることは,既に主張したとおりである(原判決別紙8(原告の主張の要旨)⑷エ(原判決111~114頁)参照)。 エ日本の関連会社の経営の合理化に関する目的(目的②・③・⑥~⑧)については,資本関係の簡素化,経営の効率化・管理コストの低減,著作権の一元的な管理,将来の企業買収等に備えた機動的な事業運営等の観点から合理性を有し,日本における統括会社である被控訴人にとっても経済的利益をもたらすものである。そもそも組織再編等の行為により事業上のメリットが生じるか否かは,本質的にその企業内部のその企業固有の専門的かつ高度な経営上の問題であり,部外者の第三者が評価できる立場にないから,納税者の経営判断を原則として尊重すべきである上,○アUMKKと被控訴人が本件組織再編取引等の前後で事業の実体に変化がないのは,被控訴人がUMKKと合併したためであること,○イ合同会社が株式会社に比して運営費用や事務負担等,様々な点で有利なことは会社法の規定から明らかであり,米国税制上のメリットに関する控訴人の主張はヴィヴェンディ・グループにとっての合理性を否定するものではないこと等に照らすと,控訴人の主張⑵エの点をもって,上記目的の合理性を否定することはできない。 オ被控訴人は,本件借入れにより資金を得て,これを本件買収に使用し,その後本件合併を行い,UMKKの資産負債の全体(UMKKの企業価値の全体)を包括承継したのであるから,UMKK株式の消却処理により何らかの経済的価値の流入が り資金を得て,これを本件買収に使用し,その後本件合併を行い,UMKKの資産負債の全体(UMKKの企業価値の全体)を包括承継したのであるから,UMKK株式の消却処理により何らかの経済的価値の流入がなかったことにはならず,形式的にも実質的にも被控訴人に資金需要があったといえる。 以上
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