平成15(行ウ)32等 所得税更正処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成17年2月24日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文35,105 文字)

主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告が平成14年2月27日付けの平成11年分所得税の更正・加算税の賦課決定通知書(新所特第205号)で原告P1に対してした,同原告の平成11年分所得税に係る更正処分のうち納税すべき税額157万1400円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 2 被告が平成14年2月27日付けの平成11年分所得税の更正・加算税の賦課決定通知書(新所特第204号)で原告P2に対してした,同原告の平成11年分所得税に係る更正処分のうち納付すべき税額14万0900円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 3 被告が平成14年4月26日付けで原告P3に対してした,同原告の平成11年分所得税に係る更正処分のうち納付すべき税額83万6500円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,修正申告書に外国税額控除に関する所得税法95条4項所定の記載事項を記載するなどして修正申告をした原告らが,被告から,原告らの確定申告書には同項所定の記載事項の記載等がなかったので,外国税額控除を認めるための要件を欠くとして,所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから,上記各処分は違法であると主張して,その取消しを求めている事案である。 1 所得税法等の定め(1) 外国税額控除についてア所得税法95条(平成11年法律第160号による改正前のもの。以下,同条につき同じ。)は外国税額控除について規定しているが,これによれば,居住者が各 (1) 外国税額控除についてア所得税法95条(平成11年法律第160号による改正前のもの。以下,同条につき同じ。)は外国税額控除について規定しているが,これによれば,居住者が各年において外国所得税(外国の法令により課される所得税に相当する税で政令で定めるものをいう。)を納付することとなる場合には,同法89条から92条まで(税率及び配当控除)の規定により計算したその年分の所得税の額のうち,その年において生じた所得でその源泉が国外にあるものに対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下「控除限度額」という。)を限度として,その外国所得税の額をその年分の所得税の額から控除するものとされている(同法95条1項)。 そして,所得税法施行令(平成14年政令第103号による改正前のもの。以下同じ。)222条1項は,所得税法95条1項に規定する政令で定めるところにより計算した金額について,居住者のその年分の所得税の額(同条の規定を適用しないで計算した場合の所得税の額とし,附帯税を除く。)に,その年分の所得総額のうちにその年分の国外所得総額の占める割合を乗じて計算した金額とする旨規定している。 イa 上記所得税法95条1項の規定は,確定申告書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載があり,かつ,外国所得税を課されたことを証する書類その他大蔵省令で定める書類の添附がある場合に限り,適用するものとされ,また,この場合において,同項の規定による控除をされるべき金額は,当該金額として記載された金額を限度とするものとされている(同条4項)。 なお,所得税法において,「確定申告書」とは,同法第2編第5章第2節第1款及び第2款(確定申告)(同法166条に として記載された金額を限度とするものとされている(同条4項)。 なお,所得税法において,「確定申告書」とは,同法第2編第5章第2節第1款及び第2款(確定申告)(同法166条において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)を指し(同法2条1項37号),また,「修正申告書」とは,国税通則法19条3項(修正申告書)に規定する修正申告書を指す(所得税法2条1項39号)ものとされている。 b 税務署長は,同法95条1項の規定による控除をされるべきこととなる金額の全部又は一部につき同条4項の記載又は書類の添附がない確定申告書の提出があった場合においても,その記載又は書類の添附がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは,その記載又は書類の添附がなかった金額につき同条1項の規定を適用することができるものとされている(同条6項)。 (2) 給与所得と退職所得について所得税法において,給与所得とは,俸給,給料,賃金,歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下,同条において「給与等」という。)に係る所得をいうものとされ(同法28条1項),給与所得の金額は,その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とするものとされている(同条2項)。 これに対し,退職所得とは,退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下,同条において「退職手当等」という。)に係る所得をいうものとされ(同法30条1項),退職所得の金額は,その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とするものとされている(同条2項)。 2 前提となる事実(1) 外国 条1項),退職所得の金額は,その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とするものとされている(同条2項)。 2 前提となる事実(1) 外国法人からの報酬の支払ア原告らは,いずれも,米国法人であるFUJIMAU.S.A.,INC(以下「米国フジマ社」という。)の役員であった。 米国フジマ社は,平成11年12月に解散し,原告らは,同社の役員を退任した。 (甲39,乙4,弁論の全趣旨)イ原告P1は,平成11年に米国フジマ社から40万ドルの報酬を受け,米国で源泉徴収された12万ドルを除いた残りの3390万8000円について,同年12月24日,同原告の銀行口座に送金を受けた。 原告P2は,平成11年に米国フジマ社から40万ドルの報酬を受け,米国で源泉徴収された12万ドルを除いた残りの3390万8000円について,同年12月24日,同原告の銀行口座に送金を受けた。 原告P3は,平成11年に米国フジマ社から20万ドルの報酬を受け,米国で源泉徴収された6万ドルを除いた残りの1695万4000円について,同年12月27日,同原告の銀行口座に送金を受けた。 (甲22,23,24の1・2,25ないし27,39)(以下,原告らが米国フジマ社から受けた上記各報酬を「本件各報酬」という。)(2) 本件訴訟に至る経緯(これらの事実は,当事者間に争いがない。)ア各原告の申告及びこれに対する課税処分等の経緯は,原告P1は別表1に,原告P2は別表2に,原告P3は別表3にそれぞれ記載のとおりである。 イa 原告らは,平成11年分の所得税の確定申告に 各原告の申告及びこれに対する課税処分等の経緯は,原告P1は別表1に,原告P2は別表2に,原告P3は別表3にそれぞれ記載のとおりである。 イa 原告らは,平成11年分の所得税の確定申告において,本件各報酬を給与所得として申告しておらず,そのため,原告らの提出した各確定申告書には,外国税額控除に関する所得税法95条4項所定の事項の記載や書類の添付はされていなかった。 b 原告らは,平成11年分の所得税の修正申告により,本件各報酬を給与所得として申告するとともに,各修正申告書に,所得税法95条4項所定の事項を記載し,必要書類を添付した。 c これに対し,被告は,外国税額控除を認めるためには,確定申告書に所得税法95条4項所定の記載事項が記載され,かつ,必要書類が添付されていることが要件であるところ,原告らについてはこの要件を欠くとして外国税額控除を認めず,原告らに対し,前記「第1 請求」掲記の各更正処分及び各過少申告加算税の賦課決定処分をした(以下,原告らに対するこれらの処分を併せて「本件各課税処分」という。)。 3 本件各課税処分の根拠及び適法性(被告の主張)(1) 原告P1関係ア原告P1に対する更正処分の根拠原告P1の平成11年分の所得税の課税標準及び納付すべき税額は,以下のとおりである。 a 総所得金額 5287万1400円当該金額は,下記(a)及び(b)の各金額の合計額であり,原告P1が修正申告書に記載した総所得金額と同額である。 (a) 給与所得の金額 5286万8000円当該金額は,下 原告P1が修正申告書に記載した総所得金額と同額である。 (a) 給与所得の金額 5286万8000円当該金額は,下記ⅰ及びⅱの各給与収入金額の合計額5744万円から所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同条2項の規定に基づいて控除した後の金額であり,原告P1が修正申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 ⅰ 株式会社フジマ 900万円ⅱ 米国フジマ社 4844万円(b) 雑所得の金額3400円当該金額は,原告P1が修正申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 b 所得控除の額の合計額 310万6019円当該金額は,原告P1が修正申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 c 課税総所得金額 4976万5000円当該金額は,上記aの総所得金額5287万1400円から,上記bの所得控除の額の合計額310万6019円を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)であり,原告P1が修正申告書に記載した課税総所得金額と同額である。 d 納付すべき税額 1499万8700円当該金額は,下記(a)の金額から下記(b)及び(c)の各金額を差し引いた後の金 d 納付すべき税額 1499万8700円当該金額は,下記(a)の金額から下記(b)及び(c)の各金額を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (a) 課税総所得金額に対する税額 1592万3050円当該金額は,上記cの課税総所得金額4976万5000円に,所得税法89条1項所定の税率(ただし,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号)4条の特例を適用したもの。)を乗じて算出した金額であり,原告P1が修正申告書に記載した課税総所得金額に対する税額と同額である。 (b) 定率減税額 25万円当該金額は,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律6条2項の規定により計算した金額であり,原告P1が修正申告書に記載した定率減税額と同額である。 (c) 源泉徴収税額 67万4280円当該金額は,原告P1が修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 イ原告P1に対する更正処分の適法性原告P1の平成11年分の所得税に関し,その納付すべき税額は上記アdのとおり1499万8700円であるところ,同原告に対する更正処分における納付すべき税額は,これと同額の1499万8700円であるから,同更正処分は適法である。 し,その納付すべき税額は上記アdのとおり1499万8700円であるところ,同原告に対する更正処分における納付すべき税額は,これと同額の1499万8700円であるから,同更正処分は適法である。 ウ原告P1に対する過少申告加算税賦課決定処分の根拠及び適法性原告P1に対する更正処分に関する過少申告加算税の額は,国税通則法65条1項により,上記アdの納付すべき税額1499万8700円から修正申告書に記載された納付すべき税額157万1400円を差し引いた金額1342万円(ただし,同法118条3項の規定により,1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の10の割合を乗じて算出した金額134万2000円と,同法65条2項により,上記の新たに納付すべき税額1342万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額67万1000円との合計額201万3000円である。 しかるところ,原告P1に対する過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額は,これと同額の201万3000円であるから,同賦課決定処分は適法である。 (2) 原告P2関係ア原告P2に対する更正処分の根拠原告P2の平成11年分の所得税の課税標準及び納付すべき税額は,以下のとおりである。なお,金額の前の△は損失の金額を表す。 a 総所得金額 4559万5877円当該金額は,下記(a)ないし(d)の各金額の合計額であり,原告P2が修正申告書に記載した総所得金額と同額である。 (a) 不動産所得の金額 △370万4989円当該金額は, ,原告P2が修正申告書に記載した総所得金額と同額である。 (a) 不動産所得の金額 △370万4989円当該金額は,原告P2が修正申告書に記載した不動産所得の金額(損失額)と同額である。 (b) 給与所得の金額 5172万8000円当該金額は,下記ⅰ及びⅱの各給与収入金額の合計額5624万円から,所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同条2項の規定に基づいて控除した後の金額であり,原告P2が修正申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 ⅰ 株式会社フジマ 780万円ⅱ 米国フジマ社 4844万円(c) 雑所得の金額5400円当該金額は,原告P2が修正申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 (d) 純損失の繰越控除の金額 △243万2534円当該金額は,原告P2が修正申告書に記載した純損失の繰越控除の金額と同額である。 b 所得控除の額の合計額 147万4840円当該金額は,原告P2が修正申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 c 課税総所得金額 4412万1000円当該金額は,上記aの総所得金額 記載した所得控除の額の合計額と同額である。 c 課税総所得金額 4412万1000円当該金額は,上記aの総所得金額4559万5877円から,上記bの所得控除の額の合計額147万4840円を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)であり,原告P2が修正申告書に記載した課税総所得金額と同額である。 d 納付すべき税額 1292万5000円当該金額は,下記(a)の金額から下記(b)及び(c)の各金額を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (a) 課税総所得金額に対する税額 1383万4770円当該金額は,上記cの課税総所得金額4412万1000円に,所得税法89条1項の税率(ただし,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律4条の特例を適用したもの。)を乗じて算出した金額であり,原告P2が修正申告書に記載した課税総所得金額に対する税額と同額である。 (b) 定率減税額 25万円当該金額は,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律6条2項の規定により計算した金額である。 (c) 源泉徴収税額 65万9760円当該 軽減措置に関する法律6条2項の規定により計算した金額である。 (c) 源泉徴収税額 65万9760円当該金額は,原告P2が修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 イ原告P2に対する更正処分の適法性原告P2の平成11年分の所得税に関し,その納付すべき税額は上記アdのとおり1292万5000円であるところ,同原告に対する更正処分における納付すべき税額は,これと同額の1292万5000円であるから,同更正処分は適法である。 ウ原告P2に対する過少申告加算税賦課決定処分の根拠及び適法性原告P2に対する更正処分に関する過少申告加算税の額は,国税通則法65条1項により,上記アdの納付すべき税額1292万5000円から修正申告書に記載された納付すべき税額14万0900円を差し引いた金額1278万円(ただし,同法118条3項の規定により,1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の10の割合を乗じて算出した金額127万8000円と,同法65条2項により,上記の新たに納付すべき税額1278万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額63万9000円との合計額191万7000円である。 しかるところ,原告P2に対する過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額は,これと同額の191万7000円であるから,同賦課決定処分は適法である。 (3) 原告P3関係ア原告P3に対する更正処分の根拠原告P3の平成11年分の所得税の課税標準及び納付すべき税額は,以下のとおりである。 a 総所得金額 ア原告P3に対する更正処分の根拠原告P3の平成11年分の所得税の課税標準及び納付すべき税額は,以下のとおりである。 a 総所得金額 2646万4630円当該金額は,下記(a)及び(b)の各金額の合計額であり,原告P3が修正申告書に記載した総所得の金額と同額である。 (a) 給与所得の金額 2558万4000円当該金額は,下記ⅰ及びⅱの各給与収入金額の合計額2872万円から,所得税法28条3項に規定する給与所得控除額を同条2項の規定に基づいて控除した後の金額であり,原告P3が修正申告書に記載した給与所得の金額と同額である。 ⅰ 株式会社フジマ 450万円ⅱ 米国フジマ社 2422万円(b) 雑所得の金額 88万0630円当該金額は,原告P3が修正申告書に記載した雑所得の金額と同額である。 b 所得控除の額の合計額 83万4004円当該金額は,原告P3が修正申告書に記載した所得控除の額の合計額と同額である。 c 課税総所得金額 2563万円当該金額は,上記aの総所得金額2646万4630円から,上記bの所得控除の額の合計額83万4004円を控除した後の金額(ただし 2563万円当該金額は,上記aの総所得金額2646万4630円から,上記bの所得控除の額の合計額83万4004円を控除した後の金額(ただし,国税通則法118条1項の規定により1000円未満の端数を切り捨てた後のもの。)であり,原告P3が修正申告書に記載した課税総所得金額と同額である。 d 納付すべき税額 653万7600円当該金額は,下記(a)の金額から下記(b)及び(c)の各金額を差し引いた後の金額(ただし,国税通則法119条1項の規定により100円未満の端数を切り捨てた後のもの。)である。 (a) 課税総所得金額に対する税額 699万3100円当該金額は,上記cの課税総所得金額2563万円に所得税法89条1項の税率(ただし,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律4条の特例を適用したもの。)を乗じて算出した金額であり,原告P3が修正申告書に記載した課税総所得金額に対する税額と同額である。 (b) 定率減税額 25万円当該金額は,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律6条2項の規定により計算した金額であり,原告P3が修正申告書に記載した定率減税額と同額である。 (c) 源泉徴収税額 20万5440円当該金額は,原告P3が修正申告書に記載した源泉徴収税額と同 る。 (c) 源泉徴収税額 20万5440円当該金額は,原告P3が修正申告書に記載した源泉徴収税額と同額である。 イ原告P3に対する更正処分の適法性原告P3の平成11年分の所得税に関し,その納付すべき税額は上記アdのとおり653万7600円であるところ,同原告に対する更正処分における納付すべき税額は,これと同額の653万7600円であるから,同更正処分は適法である。 ウ原告P3に対する過少申告加算税賦課決定処分の根拠及び適法性原告P3に対する更正処分に関する過少申告加算税の額は,国税通則法65条1項により,上記アdの納付すべき税額653万7600円から修正申告書に記載された納付すべき税額83万6500円を差し引いた金額570万円(ただし,同法118条3項の規定により,1万円未満の端数を切り捨てた後のもの。)に100分の10の割合を乗じて算出した金額57万円と,同法65条2項により,上記の新たに納付すべき税額570万円に100分の5の割合を乗じて算出した金額28万5000円との合計額85万5000円である。 しかるところ,原告P3に対する過少申告加算税賦課決定処分における過少申告加算税の額は,これと同額の85万5000円であるから,同賦課決定処分は適法である。 4 当事者の主張(被告の主張)(1) 原告らの平成11年分の所得税に外国税額控除が認められないことア外国税額控除制度の意義a 所得税法所定の外国税額控除制度とは,国際的二重課税を排除するためのもので,居住者が外国で外国所得税を課された場合に,その額を一定の いことア外国税額控除制度の意義a 所得税法所定の外国税額控除制度とは,国際的二重課税を排除するためのもので,居住者が外国で外国所得税を課された場合に,その額を一定の限度において我が国の所得税及び地方税の額から控除するものである。 b 国家は,国家主権の派生としての課税権を有しているが,その課税権の行使として行う所得課税において,国民に対し,その者が全世界で稼得したすべての所得を課税対象とすることができる。これは,「各人はどこに在るかを問わず本国法の適用を受けるべきである」との属人主義に由来するものである。他方,国民が外国において経済活動を行った場合,当該外国は,その課税権を行使し,当該国民に対し,当該外国における経済活動により稼得した所得を課税対象とすることができる。これは,「領国内で生じたことは領国法に従うべきである」との属地主義に由来するものである。ここにおいて,国際的二重課税が発生する。 しかし,国家がその課税権を広く行使することが認められている以上,国際的二重課税にいかに対処するかは,本来的にはそれぞれの国家の立法政策,租税政策に属する事柄であって,国際的二重課税排除のために外国税額控除を認めることは,当該国家の義務ではない。国家は一定の政策的考慮に基づいて,外国税額控除を認めたり認めなかったりすることができるし,また,外国税額控除を認める場合であっても,それに一定の制限を附することができる。そのため,各国が国際的二重課税に対して何らの対処もせず,それぞれ課税を行うことも,法理論上は何ら問題ない。国際的二重課税は,我が国の国際的競争力の維持発展のため資本輸出中立性を確保するという政策目的の実現のために排除が要請されるのであり,外国税額控除制度は,かかる政策 とも,法理論上は何ら問題ない。国際的二重課税は,我が国の国際的競争力の維持発展のため資本輸出中立性を確保するという政策目的の実現のために排除が要請されるのであり,外国税額控除制度は,かかる政策目的の実現のために課税を減免するという,国家による一方的な恩恵的措置にすぎないのである。 しかしながら,国民又は国内企業の外国での経済活動が活発な国においては,国際的二重課税排除のために何らかの措置を講ずるのが通例であり,我が国も,国際的二重課税排除を目的として,外国税額控除制度を設けている。これは,国際的二重課税が,国民又は国内企業の海外進出を阻害し,国際的競争力の維持発展という国家の政策目的に反するからにほかならない。すなわち,国際的競争力の維持発展のためには,国民又は国内企業の国際的経済活動に対して税制がそれを阻害することなく,租税以外の考慮のみによって取引やその形態が決定されるべきであるとする経済的中立性,殊に,投資を国内で行うか国外で行うかの選択に課税が影響を及ぼさないという資本輸出中立性が要請される。 我が国は,かかる政策的要請に応え,国際的二重課税を排除することを目的として,外国税額控除制度を設けたものである。 イ外国税額控除制度の仕組みa 外国税額控除の対象額外国税額控除は,外国税額について,その控除を無制限に認めるものではなく,前記「所得税法等の定め」(1)アのとおり,各年において納付の確定した外国税額と所得税の控除限度額のいずれか低い金額を限度として,当年分の所得税の額から控除するものである(所得税法95条1項,同法施行令222条)。そのため,当年分の外国税額と所得税の控除限度額とが一致すれば,外国所得税の全額が控除され,外 金額を限度として,当年分の所得税の額から控除するものである(所得税法95条1項,同法施行令222条)。そのため,当年分の外国税額と所得税の控除限度額とが一致すれば,外国所得税の全額が控除され,外国税額控除の計算は当年分において完結するが,一般には,当年分の外国税額と所得税の控除限度額とは一致せず,差額が生じるため,このままでは国際的な二重課税の排除という制度趣旨は貫徹されない。 そこで,この差額について,以下のような取扱いがされている。 (a) 外国税額が所得税の控除限度額を超える場合外国税額が当年分の所得税の控除限度額を超える場合は,その超える部分の金額について,地方税の控除限度額を控除する(地方税法(平成15年法律第9号による改正前のもの。以下同じ。)37条の2,314条の7)。そして,これで控除し切れない金額,すなわち,控除限度超過額については,さらに,その前年以前3年内の控除余裕額を,古い年分から,所得税の控除余裕額,地方税の控除余裕額の順に,当年に繰り越し,それぞれの金額を控除する(所得税法95条2項,同法施行令223条,224条)。 (b) 外国税額が所得税の控除限度額に満たない場合逆に,外国税額が当年分の所得税の控除限度額に満たず,当年において所得税の控除余裕額を生じた場合は,その前年以前3年内の各年の外国税額のうち,その各年の所得税の控除限度額及び地方税の控除限度額の合計を超える金額(以下「控除限度超過額」という。)を,古い年分から順次当年に繰り越し,当年分の所得税の計算上控除する(所得税法95条3項,同法施行令225条)。 b 控除限度額を設けた趣旨上記aのとおり 。)を,古い年分から順次当年に繰り越し,当年分の所得税の計算上控除する(所得税法95条3項,同法施行令225条)。 b 控除限度額を設けた趣旨上記aのとおり,我が国の外国税額控除制度は,外国税額についてその控除を無制限に認めるものではなく,控除限度額を設けており,控除限度超過額は,当年分の税額からは控除されない。これは,外国税額控除制度の趣旨,目的に照らせば当然の措置であって,納税者に対し不当に財産上の不利益を課すものではない。 すなわち,外国税額控除制度は,国際的二重課税の排除が目的であるから,外国政府が我が国よりも高い税率で課した税額のすべてを控除する必要はない。逆に,控除限度超過額の控除を認めることは,我が国の負担において当該外国政府に有利な措置を講ずることとなり,我が国の国際的競争力の維持発展という外国税額控除制度の趣旨,目的に反し,国際的競争力の立場を逆転させるという不合理が生ずることとなる。控除限度額は,かかる観点から設けられたもので,外国税額控除制度の趣旨,目的に照らせば当然の措置であって,OECDモデル租税条約においても,外国税額控除制度について,控除限度額が設けられている(同条約23条(B)1)。 外国税額控除制度は,我が国の国際的競争力の維持発展を図るために課税を減免するという,政策的考慮により設けられた制度であり,このことを反映し,かかる政策的考慮を超える適用を制限するため,控除限度額が設けられているものである。 c 控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用の趣旨上記aのとおり,我が国の外国税額控除制度は,控除限度額を設けるとともに,控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用 除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用の趣旨上記aのとおり,我が国の外国税額控除制度は,控除限度額を設けるとともに,控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用を認めている。 これは,外国所得の発生時期と外国税額の納付時期とのずれを調整し,外国税額控除を適正に行うもので,国際的二重課税を排除して資本輸出中立性を確保するという,外国税額控除制度の政策目的の実現のために重要なものである。 すなわち,我が国における所得計算は発生主義を基調として行われ,他方,外国税額控除制度は,その年において納付することとなった外国税額を控除限度額の範囲内で控除するものであるが,外国所得の発生時期とこれに課される外国税額の納付時期は,必ずしも一致するとは限らない。そのため,例えば,1年目に外国所得が発生し,我が国においてこれに対する所得税も課されたが,現地国では2年目に外国税額を課し,その年において納付することとなった場合,1年目では控除限度額が算定されるが,納付することとなった外国税額がないため外国税額控除はなく,また,2年目は納付することとなった外国税額はあるが控除限度額がないので,外国税額控除は認められないこととなる。しかしこれでは,外国税額控除が適正に行われたとはいえず,国際的二重課税を排除して資本輸出中立性を確保するという,外国税額控除制度の政策目的が実現できない。 控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用は,こうした不都合を解消し,外国税額控除を適正に行い,もって資本輸出中立性の確保という外国税額控除制度の政策目的を実現するものであって,同制度の根幹を支える重要なものである。 ウ外国税額控除に関する手続要件 除を適正に行い,もって資本輸出中立性の確保という外国税額控除制度の政策目的を実現するものであって,同制度の根幹を支える重要なものである。 ウ外国税額控除に関する手続要件a 意義外国税額控除が認められるためには,前記「所得税法等の定め」(1)イaのとおり,手続要件として,確定申告書に所得税法95条1項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載をし,かつ,外国所得税を課されたことを証する書類その他大蔵省令で定める書類を添付することが必要とされている(所得税法95条4項)。 そして,所得税法の規定上,「確定申告書」という文言に修正申告書が含まれないことは明らかであるから(所得税法2条37号,39号),修正申告書に所要事項が記載され,かつ,必要書類が添付されていたとしても,確定申告書にそれらが欠けていれば,手続要件を欠くものとして,外国税額控除は認められない。 b 所得税法95条4項が外国税額控除の適用を確定申告書に所定事項の記載等がある場合に限定している趣旨所得税法95条4項が同条1項の規定する外国税額控除の適用を,確定申告書に所定事項の記載等がある場合に限定しているのは,税額の計算の安定を確保し,もって租税法律関係の明確化を図るという,合理的な目的によるものである。 すなわち,外国税額控除制度においては控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用が認められているため,ある年分の所得税について外国税額控除があるか否か,あるとすればその額はいくらかという点は,その年分の所得税の税額のみならず,翌年以降の分の所得税の税額にも影響を及ぼすものである。 したがって,ある年分の所得税について いて外国税額控除があるか否か,あるとすればその額はいくらかという点は,その年分の所得税の税額のみならず,翌年以降の分の所得税の税額にも影響を及ぼすものである。 したがって,ある年分の所得税について,これらの点が確定申告によりいったん確定した後,修正申告により変更されることを認めると,当該修正申告により,当年分の所得税の税額のみならず,翌年以降の分の所得税の税額をも計算し直さなければならない。こうした事態が税額の計算を不安定にし,課税事務に混乱をきたすとともに,租税法律関係を不明確なものとすることは明らかである。そこで,所得税法95条4項は,外国税額控除に関し,修正申告による変更を認めないこととしているのである。 c 所得税法95条6項所定の「やむを得ない事情」の意義外国税額控除に関しては,上記bのとおり,税額の計算の安定を確保し,租税法律関係の明確化を図る趣旨で,手続要件として,確定申告書に所得税法95条4項所定の事項の記載や書類の添付がされていることが要請されている(所得税法95条4項)。 しかし,この原則を厳格に貫くと,ときに当を失する場合も予想されるため,その例外として,前記「所得税法等の定め」(1)イbのとおり,税務署長は,所得税法95条4項所定の事項の記載又は書類の添付を欠く確定申告書の提出があった場合においても,その記載又は書類の添付がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは,その記載又は書類の添付がなかった金額につき,同条1項の規定を適用することができるものとされている(同条6項)。 このように,所得税法95条6項は,税額の計算の安定を確保し,租税法律関係の明確化を図る重要規定である同条4項の例外を認めるものであるから,そ るものとされている(同条6項)。 このように,所得税法95条6項は,税額の計算の安定を確保し,租税法律関係の明確化を図る重要規定である同条4項の例外を認めるものであるから,その適用をみだりに認めることはできない。そうすると,同条6項所定の「やむを得ない事情」の意義は,厳格に解すべきであって,少なくとも,文理に反して拡張解釈することは許されない。 したがって,所得税法95条6項所定の「やむを得ない事情」とは,その文言に忠実に解釈し,納税者の責めに帰することのできない事情をいうと解すべきである。 エ本件への当てはめa 原告らが外国税額控除に関する手続要件を欠くこと(a) 原告らは,原告らの平成11年分の所得税について,各確定申告書に所得税法95条4項所定の事項を記載せず,かつ,同項所定の書類を添付しなかったものであるから,同条4項に違反し,外国税額控除に関する手続要件を欠くことは明白である。したがって,原告らの平成11年分の所得税について,外国税額控除は認められない。 (b) この点に関し,原告らは,外国税額控除制度において控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用が認められていることは,同制度にとって派生的なものにすぎないから,これを理由に,外国税額控除に関して修正申告による変更を認めないことには合理性がなく,所得税法95条4項は,憲法29条,31条及び13条に違反する旨主張する。 しかし,そもそも外国税額控除制度は,我が国の国際的競争力の維持発展のため,資本輸出中立性を確保するという政策目的に基づき,課税を減免するという,国家による一方的な恩恵的措置であり,その要件をいかに規定するかは国 外国税額控除制度は,我が国の国際的競争力の維持発展のため,資本輸出中立性を確保するという政策目的に基づき,課税を減免するという,国家による一方的な恩恵的措置であり,その要件をいかに規定するかは国家の立法政策,租税政策に属する事柄である。したがって,その手続要件を定める所得税法95条4項が憲法29条,31条及び13条に違反する旨の原告らの主張は,それ自体失当である。 この点をおくとしても,外国税額控除に関して修正申告による変更を認めない所得税法95条4項は,外国税額控除制度が控除限度額を設けるとともに,控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用を認めていることに伴い,税額の計算の安定を確保し,もって租税法律関係の明確化を図るという合理的な目的に基づく規定である。そして,上記イb及びcのとおり,控除限度額も,控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用も,外国税額控除の政策目的を実現するために重要なものであるから,これらが,外国税額控除にとって派生的な事柄であるとして,外国税額控除に関して修正申告による変更を認めないことには合理性がない旨の原告らの主張は,誤りといわざるを得ない。 (c) なお,原告らは,所得税法95条4項の規定する確定申告とは,その所得に対する最初の申告行為を指すものと解すべきであるから,原告らの提出した修正申告書は所得税法95条4項の規定する確定申告書に該当する旨主張するが,争う。 b 原告らには所得税法95条6項所定の「やむを得ない事情」は認められないこと(a) 原告らは,所得税法95条6項所定の「やむを得ない事情」を基礎付ける事実であるとして,本件各報酬については,米国で既に外国所得税を納付しており,米国フジマ社に関する経 と(a) 原告らは,所得税法95条6項所定の「やむを得ない事情」を基礎付ける事実であるとして,本件各報酬については,米国で既に外国所得税を納付しており,米国フジマ社に関する経理事務を委任された税理士からも,会計税務上必要な手続は完了した旨をファックスで伝えられていたことなどから,我が国で更に所得として申告する必要はないと誤解していた旨主張する。 しかし,原告らは,かつて原告らの平成3年分の所得税の確定申告をした際,米国フジマ社から給付を受けた金員について,米国で既に外国所得税を納付していたにもかかわらず,我が国で更に所得として申告しているのであるから,こうした経験に照らし,ある所得について米国で既に外国所得税を納付しても,直ちに我が国での申告が不要とはならないことは認識していたと思われ,少なくとも認識することは容易であったといえる。 また,原告らの主張にある上記ファックスは,平成12年2月4日付けのP4税理士名義で作成された原告P1あてのファックスをいうものと思われるが,当該ファックスには,「2法人清算手続はとりまして通知が来るのを待っております。だいたい60日間位かかります。会計税務必要な手続は完了しております。」などと記載されている。これらの内容に照らし,上記「会計税務必要な手続は完了しております。」との文言は,米国フジマ社に関し清算に伴い必要とされる会計税務上の手続が完了した旨をいうにすぎないものであるから,当該ファックスは,何ら原告らの主張の根拠とならない。 加えて,原告らは,原告らの平成11年分の所得税について確定申告をする際,その申告手続を税務の専門家である税理士に委任して行っており,当該税理士に相談してその助言,指導を仰 加えて,原告らは,原告らの平成11年分の所得税について確定申告をする際,その申告手続を税務の専門家である税理士に委任して行っており,当該税理士に相談してその助言,指導を仰いでおけば,本件各報酬もその対象として確定申告をしたものと思われ,原告らが本件各報酬を申告の対象から除外したことは,原告らが当該税理士に相談もせず,軽率にも本件各報酬は申告の対象にならないと即断した結果であるというほかない。 したがって,原告らが本件各報酬を申告の対象から除外したことが,原告らの責めに帰することのできないものとはいえず,原告らに所得税法95条6項所定の「やむを得ない事情」は認められない。 (b) また,原告らは,所得税法95条6項と同趣旨の規定である法人税法69条18項に関し,同項所定の「やむを得ない事情」があると認めることができる場合の例を示した法人税基本通達16-3-1の注記を指摘したうえ,当該注記の趣旨について,外国税額の控除というのが複雑で申告の必要があるか否かが不明であることは一般にやむを得ないという理解のもとに,確定申告への記載を欠いた等の過誤のある申告について,外国税額控除を認めたものであるとして,これをも根拠として,原告らには所得税法95条6項所定の「やむを得ない事情」が認められる旨主張する。 しかし,法人税基本通達16-3-1の注記は,各国の税制が一様でないこともあって,内国法人が諸外国において納付する各種の税の中には,我が国において税額控除の対象となる外国法人税に該当するかどうかの判定が難しいものもあると考えられるので,法人がやむを得ずそのような判定の難しいものを税額控除の対象から外して申告するというようなことも生じ,そのようなやむを得 象となる外国法人税に該当するかどうかの判定が難しいものもあると考えられるので,法人がやむを得ずそのような判定の難しいものを税額控除の対象から外して申告するというようなことも生じ,そのようなやむを得ない事情がある場合には,税法上用意されている宥恕規定を適用することにより,実態に合った取扱いをすることとされたものであって,原告らが主張するような,外国税額の控除というのが複雑で申告の必要があるか否かが不明であることは一般にやむを得ないという理解に基づくものではない。 そして,本件各報酬は,原告らが米国フジマ社から給付を受けた役員報酬であり,その性質上,我が国において税額控除の対象となる外国所得税に該当することに疑義を抱くようなものではないから,法人税基本通達16-3-1の注記の趣旨は全く当てはまらない。 したがって,法人税基本通達16-3-1の注記を根拠とする原告らの主張は失当である。 (2) 本件各報酬が退職所得に当たらないことア退職所得の意義所得税法30条1項は,前記「所得税法等の定め」(2)のとおり,退職所得とは,退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいうものと規定している。 そして,ある金員が,「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に当たるためには,それが,①退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること,②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること,③一時金として支払われることの各要件を備えることが必要であり,また,「これらの性質を有する給与」に当たるためには,それが形式的には上記各要件 いしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること,③一時金として支払われることの各要件を備えることが必要であり,また,「これらの性質を有する給与」に当たるためには,それが形式的には上記各要件のすべてを備えていなくても,実質的にみてこれらの要件の要求するところに適合し,課税上,上記「退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とするものであることを必要とすると解される(最高裁昭和58年9月9日第二小法廷判決・民集37巻7号962頁参照)。 イ米国フジマ社が本件各報酬を計上した経緯にかんがみて,本件各報酬が退職によって初めて給付されたものとはいえないこと上記アのとおり,ある金員が退職所得に当たるためには,退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること又は実質的にこの要件に適合することが必要である。 しかるところ,本件各報酬は,米国フジマ社が原告らに給付した役員報酬であるが,米国フジマ社の平成8年12月期,平成9年12月期,平成10年12月期及び平成11年6月期における所得額等を本件に関連する限度で取りまとめた結果は,別表4記載のとおりであって,米国フジマ社は,平成11年6月期において,約100万ドルの投資売却益を取得するととともに,これに見合う100万ドルの役員報酬を本件各報酬として計上している。 その経緯をふえんすれば,以下のとおりである。すなわち,米国フジマ社は,投資事業を主たる業務とするものであるが,平成10年12月期に,三井SBDアメリカファンド90-1(以下「本件パートナーシップ」という。)を介して232万5226ドルの不動産投資をしていたところ,本件パートナーシップは,平成11年3月に2個の不動産物件を売却して売却益を得たた カファンド90-1(以下「本件パートナーシップ」という。)を介して232万5226ドルの不動産投資をしていたところ,本件パートナーシップは,平成11年3月に2個の不動産物件を売却して売却益を得たため,同年4月21日付けで,米国フジマ社に合計330万ドル(198万ドル+132万ドル)を現金で分配した。このことは,米国フジマ社の同年6月期の現金資産が約335万ドル増加したことからも認められる。 米国フジマ社は,こうして平成11年6月期に97万4774ドル(330万ドル-232万5226ドル)の投資売却益を取得したため,同期に100万ドルの役員報酬を本件各報酬として計上したものである。 そして,米国フジマ社が解散したのは平成11年12月であるから,本件各報酬は,米国フジマ社が,解散の6か月前である平成11年6月期において,その事業活動の成果として利益を取得したことを契機として給付が決定され,その後これが実行されて給付されたもの,端的にいえば,その期に利益が生じたために,その一部を賞与として役員に支給したにすぎないものであって,その給付は,米国フジマ社の解散に伴い原告らが退職したこととは無関係になされたものである。この点は,本件各報酬が,平成11年6月期において,未払報酬として経理処理されていることからも明らかである。 したがって,本件各報酬は,米国フジマ社の解散に伴い原告らが退職したことを原因とし,退職によって初めて給付された(退職しなければ給付されなかった)ものとは到底いえず,退職所得に当たらないことは明らかである。 ウ原告らの主張に対する反論a 原告らは,本件各報酬の給付は,米国フジマ社の解散を前提として,その最終処理のために行われたものであるとし,本件 ないことは明らかである。 ウ原告らの主張に対する反論a 原告らは,本件各報酬の給付は,米国フジマ社の解散を前提として,その最終処理のために行われたものであるとし,本件各報酬は,米国フジマ社の解散に伴う清算手続の一環として,残余財産の処分として給付されたものであるから,退職所得に当たる旨主張する。 しかし,法人が解散すればその役員は退職するが,逆に,役員が退職しても法人が解散するとは限らず,まして,当然に残余財産の処分が行われるものでもないから,法人の解散とその役員の退職が必ずしも連動しないことは明らかである。そうであるとすれば,本件各報酬が米国フジマ社の解散を原因とし,残余財産の処分として給付されたとしても,そのことをもって,原告らの退職を原因として給付されたと評価することはできない。のみならず,本件各報酬が米国フジマ社の解散を原因とし,残余財産の処分が行われて初めて給付される性質のものとすれば,仮に原告らのうちに米国フジマ社の解散前に退職した者がいた場合,その者に対しては本件各報酬は給付されなかったことになるが,そのようなものを,退職を原因とする(退職すれば支払われる)給付と評価し得ないことは明らかである。この点で既に,原告らの主張は失当というほかない。 この点をおくとしても,本件各報酬の給付は米国フジマ社の解散の6か月前である平成11年6月期に既に決定されており,しかも,その原資となる現金330万ドルは同年4月21日付けで入金されていたから,本件各報酬は,本来,同期中に給付されるべきであり,かつ,それは容易であった。ところが,その給付時期が何らかの事情で遅れ,米国フジマ社が解散して原告らが退職した時期に給付されたにすぎない。すなわち,本件各報酬の給付は, 期中に給付されるべきであり,かつ,それは容易であった。ところが,その給付時期が何らかの事情で遅れ,米国フジマ社が解散して原告らが退職した時期に給付されたにすぎない。すなわち,本件各報酬の給付は,本来,米国フジマ社の解散及びこれに伴う原告らの退職を待つことなく行われるべきであったもので,両者が連動すべき事情は何も見当たらない。この点,原告らは,本件各報酬が計上された時点で,米国フジマ社の解散及びこれに伴う原告らの退職も決定されていたことを指摘するが,そのためになぜ両者が連動すべきことになるのか,全く明らかではない。 さらに,米国フジマ社は,平成11年6月期には既に本件各報酬の給付を決定しながら,他方,原告P1は,その後の同年7月12日付けで,P4税理士に対し,「清算時期については,「三井不動産販売パートナーシップの清算完了後速やかに」と承知しておりますが,清算方法についてはタックスプランニングについて十分説明を受けた上で慎重に意思決定していきたいと考えておりますので,ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。」などと申し入れている。このことからも,本件各報酬の給付が,米国フジマ社の清算手続とは別個のものであることは明らかである。 b したがって,本件各報酬は米国フジマ社の解散に伴う原告らの退職を契機に給付されたもので,退職所得に当たる旨の原告らの主張は,失当というべきである。 (原告らの主張)(1) 原告らの平成11年分の所得税に外国税額控除が認められるべきことア原告らの提出した修正申告書が所得税法95条4項の規定する確定申告書に該当すること(その1)。 a 被告は,所得税法95条4項が同条1項の規定する外国税額控除の適用を,確定申告書に所定事項の記載等が 修正申告書が所得税法95条4項の規定する確定申告書に該当すること(その1)。 a 被告は,所得税法95条4項が同条1項の規定する外国税額控除の適用を,確定申告書に所定事項の記載等がある場合に限定しているのは,税額の計算の安定を確保し,もって租税法律関係の明確化を図るという,合理的な目的によるものである旨主張する。 (a) しかし,原告らに関しては,平成11年分より後に外国所得税を納付したことはないのであるから,同年分の所得税の修正申告に際して,外国税額控除を主張したからといって,現実的に,被告の主張するような計算のやり直しが生じることはない。 (b) また,申告に誤りが生じることは避け難いものであり,その訂正手段として修正申告を行う必要が生じることは不可避である。そして,例えば,配当の申告漏れがあった際には,修正申告の際にも配当控除が認められているように,修正申告においても,申告漏れをした所得に適用される控除は一般に認められているのである。しかるに,外国税額控除という重大な控除が修正申告の際に認められないと,税金を二重に支払わざるを得ないことになるが,これでは外国での投資は無意味になってしまい,著しく不合理である。 (c) 次に,外国税額控除制度において,控除限度額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用を認めることに合理性があり,修正申告による外国税額控除を認めると,翌年以降の分の所得税の税額をも計算し直さなければならないとしても,そのような翌年以降の分の所得税の税額の計算のし直しは,特に困難なことではないし,それを認めたとしても,租税の全体に大きく影響することは考えられず,修正申告による外国税額控除を否定する合理的な根拠となり得ない。 (d) そ し直しは,特に困難なことではないし,それを認めたとしても,租税の全体に大きく影響することは考えられず,修正申告による外国税額控除を否定する合理的な根拠となり得ない。 (d) そして,税額の計算が不安定になるという点に関してみれば,所得税法95条6項と同趣旨の規定である法人税法69条18項に関する法人税基本通達16-3-1の注記にいう「やむを得ない事情」があった場合の例における修正申告の際には,当然,そうした問題が生じているはずであり,その意味で絶対的に避けなければならない不都合ではない。 (e) さらに,減価償却方法の誤りなど数年にわたり,税額計算に変更が生じることはままあることであり,実務上は数年にわたって申告を訂正するなどということも珍しいことではない。しかも,控除限度超過額又は控除余裕額の繰越使用も3年以内しか認められないのである。このように,控除限度額超過額等の繰越使用の議論は,派生的なものにすぎず,これを理由に,修正申告による外国税額控除の可否を論じるのは本末転倒である。 すなわち,修正申告を認める以上,この程度の税額の計算の不安定性は不可避であり,それをもって,修正申告において外国税額控除を認めない理由とすることはできない。 b 以上のとおり,当初の確定申告の際でなければ,外国税額控除が認められないとすることには,合理性がなく,被告の主張するような,税額の計算の安定を確保し,もって租税法律関係の明確化を図るためという理由は,修正申告において外国税額控除を認めないことの根拠とは到底なり得ないものである。 このような,根拠のない理由により,原告らに重大な財産上の損害を与える法律は,本質的には,憲法29条,31条及び13条に違反 を認めないことの根拠とは到底なり得ないものである。 このような,根拠のない理由により,原告らに重大な財産上の損害を与える法律は,本質的には,憲法29条,31条及び13条に違反するものである。 したがって,所得税法95条4項にいう「確定申告書」には,修正申告書も含まれるものと解すべきであり,少なくとも,本件の原告らのような,悪意のない過誤による修正申告書は,同項の「確定申告書」に含まれると解すべきである。 イ原告らの提出した修正申告書が所得税法95条4項の規定する確定申告書に該当すること(その2)本件において,原告らは,本件各報酬が退職所得であることから,源泉分離課税の対象であると認識したため,所得の申告と外国税額控除との双方を失念したものである。 そして,所得税法95条4項の規定は,所得を申告している場合の規定であり,本件のようにその所得の申告自体を失念した場合の規定ではない。すなわち,同項の規定する確定申告とは,その所得に対する最初の申告行為を指すものと解すべきであり,本件のように税務調査でその所得の申告の失念が発見された場合には,原告らのした修正申告がその所得に関する初めての申告行為である以上,同修正申告に係る修正申告書が同項の規定する確定申告書に当たると解されるべきである。 ウ原告らには所得税法95条6項所定の「やむを得ない事情」が認められることa 原告らが,確定申告に際して外国税額控除を主張しなかったのは,①原告らは本件各報酬を退職所得と認識していたところ(原告らがこのように認識したことについては,P4税理士の平成12年2月4日付けのファックスに役員退職金との記載があったことからもやむを得ないものであ 原告らは本件各報酬を退職所得と認識していたところ(原告らがこのように認識したことについては,P4税理士の平成12年2月4日付けのファックスに役員退職金との記載があったことからもやむを得ないものである。),我が国では退職所得に対する所得税は源泉徴収されているので,別途申告の必要がないものと誤解していたこと,②原告らは既に相応と思われる高額の税金を米国で支払っていること,③原告P1はP4税理士から,会計税務に必要な手続は完了した旨のファックスを受領したこと,④米国での源泉徴収票が手元に送付されておらず,税務調査が入って初めて取り寄せたこと,⑤米国と我が国における会計士・税理士をやむを得ず変更し,両者の連携が取れなかったことによるものであり,特に,本件では,原告らには確定申告時に外国所得税の納付に関する書類がなかったのであり,それ自体に原告らの落ち度はない。そして,素人である原告らには専門家であるP4税理士に問い合わせる義務もないのであるから,所得税法95条6項所定のやむを得ない事情が存したということができる。 b 所得税法95条6項と同趣旨の規定である法人税法69条18項所定の「やむを得ない事情」があると認めることができる場合の例を示した法人税基本通達16-3-1の注記において,外国法人税に該当するか否かを誤った場合は「やむを得ない事情」に当たるものとして取り扱うことができるものとされているが,これは,外国税額の控除というのが複雑で,申告の必要があるか否かが不明であることは一般にやむを得ないという理解のもとに,確定申告書への記載を欠く等の過誤のある申告について,外国税額控除を認めたものである。 c 以上の諸事情に照らせば,本件においては,所得税法95条6項にいうやむを得ない事情があるというべきである。 く等の過誤のある申告について,外国税額控除を認めたものである。 c 以上の諸事情に照らせば,本件においては,所得税法95条6項にいうやむを得ない事情があるというべきである。 (2) 本件各報酬が退職所得に当たることア原告らは,米国フジマ社を通じて,不動産投資を業とする本件パートナーシップに200万ドルを,FujimaRealEstateManagementU.S.A.,Inc(以下「フジマ不動産管理(米国)株式会社」といい,米国フジマ社と併せて「米国フジマ社等」という。)を通じて,本件パートナーシップに300万ドルをそれぞれ投資していた。 そして,本件パートナーシップは,平成11年3月に2個の不動産物件を売却して売却益を得たため,同年4月21日付けで,米国フジマ社に132万ドル,フジマ不動産管理(米国)株式会社に198万ドルの合計330万ドルを現金で分配した。 本件パートナーシップは,その所有するすべて又は実質的にすべての不動産を売却したときには解散するものとされていたが(パートナーシップ契約書(甲31)3条3.02(c)),これとともに,本件パートナーシップにほとんどの資産を持ち込んでいた米国フジマ社及びフジマ不動産管理(米国)株式会社も,解散せざるを得なくなるものであった。 このように,本件パートナーシップによる土地の売却と米国フジマ社等の解散とは必然的に関連することが想定されていたが,実際にも,原告らは,米国フジマ社等を解散させることと,本件パートナーシップによる土地の売却とを関連付けていたのである。すなわち,原告らによる米国フジマ社等の解散及び解散に伴い会社資産を個人に分配しようという意思決定並びに本件パートナーシップによる不動 件パートナーシップによる土地の売却とを関連付けていたのである。すなわち,原告らによる米国フジマ社等の解散及び解散に伴い会社資産を個人に分配しようという意思決定並びに本件パートナーシップによる不動産の売却及びその解散とは,トータルなものとして理解されていたのであり,たまたま利益が出たからこれを分配し,その後に米国フジマ社等を解散したというものではない。 イこのことは,米国フジマ社等が平成11年4月22日付けで,三井不動産販売株式会社国際事業部業務グループから,本件パートナーシップが清算になる旨の通知を受けたことに伴い,原告P1が,同日付けで,P4税理士に対して米国フジマ社等の清算を依頼していることや,米国フジマ社等が,同年6月25日付けで,同税理士から会社閉鎖に伴う会計処理手数料の請求を受け,同年7月15日にその支払を完了していることからも明らかである。 この事実からしても,原告らに対する本件各報酬の支払は,米国フジマ社の解散を前提として,その最終処理のために行われたものであり,本件各報酬が雇傭関係ないしそれに類する関係の終了の際に支給されるものとして退職金であったことは明らかである。これは,P4税理士の平成12年2月4日付けのファックスに役員退職金との記載があることからも明らかである。 ウこれに対し,被告は,米国フジマ社が平成11年6月期に本件各報酬が未払報酬として経理処理されていることを根拠に,本件各報酬は退職所得ではない旨主張するが,上記イのとおり,原告らは平成11年4月22日の時点で,米国フジマ社の解散と,それに当然付随する退職を決定していたのであるから,本件各報酬は退職を契機として支払われるものであることに変わりはない。 また,上記経理処理が記載された米国フジマ社 マ社の解散と,それに当然付随する退職を決定していたのであるから,本件各報酬は退職を契機として支払われるものであることに変わりはない。 また,上記経理処理が記載された米国フジマ社の平成11年6月期の連邦法人所得税申告書(乙19)の2頁には,これが最終申告書であることが明記されているのであるから,これをもって同社が解散し,役員が退職することは申告書上も明白であり,同申告書に役員報酬と記載されていたとしても,これは最終申告書における報酬の記載であり,退職金に該当することは明らかである。 エ以上のとおりであるから,本件各報酬は退職所得に当たると解すべきである。 なお,原告らが,修正申告において,このような主張をしなかったのは,税務調査の際に,担当者から,社内規定がないと退職金としては認められないとの誤った教示を受けたことなどによるものである。 (3) 本件各報酬が退職所得に当たり,かつ,外国税額控除が認められるとすると,原告らの納付すべき税額は,別表5の各「申告納税額」欄のとおりとなる。 5 争点以上によれば,本件の争点は,次のとおりである。 (1) 原告らの平成11年分の所得税に外国税額控除が認められるか否か。 (争点1)(2) 本件各報酬は給与所得と退職所得のいずれに当たるか。 (争点2)第3 争点に対する判断 1 争点1について(1) 所得税法95条4項の規定する確定申告書の意義等ア所得税法95条1項の規定する外国税額控除が認められるためには,前記「所得税法等の定め」(1)イaのとおり,確定申告書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載をし,かつ,外国所得税を課されたこ する外国税額控除が認められるためには,前記「所得税法等の定め」(1)イaのとおり,確定申告書に同項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細の記載をし,かつ,外国所得税を課されたことを証する書類その他大蔵省令で定める書類を添付することが必要とされている(同条4項)。 そして,所得税法において,「確定申告書」には修正申告書は含まれないから(同法2条1項37号,39号),仮に修正申告書に同法94条4項所定の事項が記載され,かつ,必要書類が添付されていたとしても,確定申告書にそれらが欠けていれば,同項の定める手続は履践されていないというべきである。 しかるに,前記「前提となる事実」(2)のとおり,原告らは,平成11年分の所得税の修正申告により,本件各報酬を給与所得として申告するとともに,各修正申告書に,同法95条4項所定の事項を記載し,必要書類を添付したものの,原告らの提出した同年分の所得税の各確定申告書には,同項所定の事項の記載や書類の添付はされていなかった。 イこの点に関し,原告らは,確定申告書に所定の事項の記載等を要求することには合理性がなく,所得税法95条4項の規定をその文言どおり解釈する限り,憲法29条,31条及び13条に違反するといわざるを得ないから,同項にいう「確定申告書」には修正申告書も含まれるものと解すべきであると主張する(前記「原告らの主張」(1)ア)。 a しかしながら,そもそも国際的二重課税にいかに対処するかは,立法政策に属する事柄であって,我が国の国際的競争力の維持発展のため資本輸出中立性を確保するという政策目的から,外国税額控除の制度が設けられるとしても,それは国家による恩恵的な措置であって,その要件をどのように定めるかも,立法政策 国の国際的競争力の維持発展のため資本輸出中立性を確保するという政策目的から,外国税額控除の制度が設けられるとしても,それは国家による恩恵的な措置であって,その要件をどのように定めるかも,立法政策に属するものと解するのが相当である。 b このような観点から,所得税法95条4項の規定は,確定申告書に所定の事項の記載等があった場合に限って,同条1項の規定を適用して外国税額控除を認めることとしたものであるが,かかる限定がされたのは,外国税額控除制度において控除限度額が設けられるとともに(同条1項,同法施行令222条),控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用が認められていることから(所得税法95条2項,3項,同法施行令223条ないし225条),税額の計算の安定を確保し,もって租税法律関係の明確化を図るためである。そして,控除限度額を設けるとともに,控除限度超過額又は控除余裕額の翌年以降の繰越使用を認めることが,外国税額控除制度の政策目的を実現するうえで重要なものであることは,前記「被告の主張」(1)イのとおりであることをも考慮すれば,所得税法95条4項の規定が,確定申告書に所定の事項の記載等があった場合に限って,同条1項の規定を適用して外国税額控除を認めるものとしていることが,不合理であるということはできない。 なお,原告らは,減価償却方法に誤りがあった場合など,数年にわたり税額計算に変更が生じることは他にもあると主張するが,上記aのとおり外国税額控除の要件をどのように定めるかは立法政策の問題であることに照らせば,原告らの主張する事情を考慮したとしても,所得税法95条4項の規定の合理性に関する上記の判断が左右されるものではない。 c 以上のことからすると,所得税法95条4項の規定が 照らせば,原告らの主張する事情を考慮したとしても,所得税法95条4項の規定の合理性に関する上記の判断が左右されるものではない。 c 以上のことからすると,所得税法95条4項の規定が憲法29条等に違反するということはできない。 したがって,同項が憲法に違反することを前提に,同項にいう「確定申告書」には修正申告書も含まれるものと解すべきであるとする原告らの上記主張は,その前提を欠き,理由がない。 ウまた,原告らは,所得税法95条4項の規定は,所得を申告している場合の規定であり,その所得の申告自体を失念した場合の規定ではないから,同項の規定する確定申告とは,その所得に対する最初の申告行為を指すものと解すべきである旨主張するが(前記「原告らの主張」(1)イ),同項の文言を離れた独自の見解といわざるを得ず,採用することはできない。 したがって,上記のような解釈を前提に,原告らの提出した各修正申告書が同項の規定する確定申告書に当たる旨の原告らの主張も,前提を欠くから,理由がない。 エ以上のとおりであるから,原告らの平成11年分の所得税については,所得税法95条4項の規定する外国税額控除を受けるための手続要件が備わっていないこととなる。 (2) 所得税法95条6項の規定するやむを得ない事情の有無ア原告らは,平成11年分の所得税の各確定申告書に所得税法95条4項所定の事項の記載や書類の添付をしなかったことについては,同条6項の規定するやむを得ない事情があった旨主張するので,この点について検討する。 a 原告らは,本件各報酬を退職所得と認識していたものであるが,我が国では退職所得に対する所得税は源泉徴収されているので,別途申告の必要が った旨主張するので,この点について検討する。 a 原告らは,本件各報酬を退職所得と認識していたものであるが,我が国では退職所得に対する所得税は源泉徴収されているので,別途申告の必要がないものと誤解していた旨主張し,原告P1作成の報告書及び平成13年12月27日付けの被告あての上申書(乙4)にはこれに沿う記載がある。 しかしながら,米国の課税権と我が国の課税権が別個のものであり,本件各報酬に係る所得税が米国で源泉徴収されたからといって,我が国で別途当該所得の申告の必要がなくなるものでないことは,自明の事柄である。 また,我が国で源泉徴収がされるのは,給与所得でも同様であるところ(所得税法183条1項),証拠(乙1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,原告らは,平成3年分の所得税の確定申告をした際,米国フジマ社又はフジマ不動産管理(米国)株式会社から給付を受けた金員について,米国で既に外国所得税を納付していたにもかかわらず,我が国で更に給与所得として申告するとともに,確定申告書に外国税額控除を受けるべき金額を記載していたことが認められる。 これらの事情に照らすと,原告P1の報告書等の上記記載を信用することはできず,他に,原告らが上記主張のような誤解をしていたことを認めるに足りる証拠はないし,また,仮に原告らがこのような誤解をしていたとしても,それがやむを得ないものであったと認めることはできない。 b 原告らは,原告P1がP4税理士から,会計税務に必要な手続は完了した旨のファックスを受領したので,本件各報酬に係る我が国での税務手続も終わったものと理解した旨主張し,原告P1作成の報告書(甲39)及び被告あての上申書(乙4)にはこれに沿う記載がある。 は完了した旨のファックスを受領したので,本件各報酬に係る我が国での税務手続も終わったものと理解した旨主張し,原告P1作成の報告書(甲39)及び被告あての上申書(乙4)にはこれに沿う記載がある。 しかしながら,証拠(甲33,34の1・2,35の1,39)によれば,原告らがP4税理士に対して依頼したのは,米国フジマ社等の清算手続とこれに伴う米国での課税関係等の処理であって,原告らは我が国での税金の申告については別の税理士に依頼していたことが認められる。 そして,証拠(甲21,乙4)によれば,P4税理士の平成12年2月4日付けの原告P1あてのファックスには,「米国フジマ社等の清算手続はとりまして通知が来るのを待っております。だいたい60日間位かかります。会計税務の必要な手続は完了しております。」という趣旨の記載がされていることが認められるところ,この記載内容に照らすと,上記「会計税務の必要な手続は完了しております。」との文言は,米国フジマ社等の清算に伴って必要とされる米国における会計税務上の手続が完了したことを意味するにすぎず,これをもって,本件各報酬に係る我が国での税務手続をも終わったことを意味しているものと認めることはできない。 これらの事情に照らすと,原告P1の報告書等の上記記載を信用することはできず,他に,上記主張事実を認めるに足りる証拠はない。 c 原告らは,確定申告時に外国所得税の納付に関する書類が手元になかったことを主張する。 しかしながら,原告らは,前記「前提となる事実」(1)のとおり,平成11年12月中に本件各報酬(米国で源泉徴収された額を除いたもの。)の送金を受けており,また,証拠(甲21,乙4ないし7)によれば, しかしながら,原告らは,前記「前提となる事実」(1)のとおり,平成11年12月中に本件各報酬(米国で源泉徴収された額を除いたもの。)の送金を受けており,また,証拠(甲21,乙4ないし7)によれば,P4税理士の平成12年2月4日付けのファックスには,「役員退職金の明細に関して,税務当局より連絡があれば提出致しますが,それまで私共の方でファイルしておきます」旨が記載されていたこと及び原告らは平成11年分の確定申告の手続をP5税理士に委任していたことが,それぞれ認められるのであって,これらの事実に照らせば,原告らが平成11年分の所得税の各確定申告書に所得税法95条4項所定の事項を記載し,必要書類を添付してこれらを提出することに,格別の困難があったとは認め難い。 そうであるとすれば,上記主張のような事情があったとしても,これをもって,所得税法95条6項の規定するやむを得ない事情に当たると解することはできない。 d 原告らは,既に高額の税金を米国で支払っていることや,米国と我が国における会計士・税理士をやむを得ず変更し,両者の連携が取れなかったことを主張するが,かかる事情があったとしても,上記aないしcで検討したところによれば,原告らが各確定申告書に所得税法95条4項所定の事項を記載し,必要書類を添付してこれらを提出することが困難であったとは認め難い。 e 原告らは,法人税基本通達16-3-1の注記を引用して,その主張の根拠とするが,本件各報酬は,その性質に照らすと,我が国において税額控除の対象となる外国所得税に該当するか否かの判定に困難を来すものとはいい難いから,本件は,上記通達の注記が想定しているような事案ではない。 イ以上のとおり,原告らの主張する事情をもってしては,原告らの 外国所得税に該当するか否かの判定に困難を来すものとはいい難いから,本件は,上記通達の注記が想定しているような事案ではない。 イ以上のとおり,原告らの主張する事情をもってしては,原告らの提出した平成11年分の所得税の各確定申告書に所得税法95条4項所定の事項の記載や書類の添付がなかったことがやむを得ない事情によるものであると認めることはできず,他にかかる事情が存することを認めるに足りる証拠はない。 (3) よって,原告らの平成11年分の所得税について,外国税額控除は認められないこととなる。 2 争点2について(1) 所得税法30条1項は,退職所得とは,退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与に係る所得をいうものと規定しているところ,ある金員が「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に当たるというためには,それが,①退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること,②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること,③一時金として支払われることの各要件を備えることが必要であり,また,「これらの性質を有する給与」に当たるというためには,それが形式的には上記各要件のすべてを備えていなくても,実質的にみてこれらの要件の要求するところに適合し,課税上,「退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とするものであることを要すると解するのが相当である(最高裁昭和58年9月9日第二小法廷判決・民集37巻7号962頁参照)。 そこで,本件各報酬が上記①の要件(退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること)を備えているか否かについて検討する。 (2) 前記「前提となる 頁参照)。 そこで,本件各報酬が上記①の要件(退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること)を備えているか否かについて検討する。 (2) 前記「前提となる事実」(1),証拠(甲20,21,28ないし33,34の1・2,35の1・2,36の1・2,39,乙4,16ないし19)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア原告P2は,父原告P3及び母P6の子である。原告P1は,平成元年,原告P2と婚姻するとともに,原告P3及びP6と養子縁組した。 イ原告らは,海外で不動産投資をすることとし,平成2年,米国において,米国フジマ社等を設立した。米国フジマ社については,原告P1及び原告P2がそれぞれ50パーセントずつの株式を保有し,フジマ不動産管理(米国)株式会社については,P6が100パーセントの株式を保有していたが,その後,米国フジマ社は,フジマ不動産管理(米国)株式会社の株式を購入して,同社を子会社とした。 原告らは,いずれも,米国フジマ社の役員であった。 ウ原告らは,平成2年ころ,不動産投資を業とする本件パートナーシップに対し,米国フジマ社を通じて200万ドルを,フジマ不動産管理(米国)株式会社を通じて300万ドルをそれぞれ投資した。また,米国フジマ社等の資産のほとんどは,本件パートナーシップに投資された。 なお,本件パートナーシップに係る契約(3条3.02(c))では,本件パートナーシップのすべて又は実質的にすべての資産を売却し,売却代金をパートナーに分配したときは,本件パートナーシップは解散するものとされていた。 (甲31,36の1・2)エ本件パートナーシップは,平成11年3月,その保 却し,売却代金をパートナーに分配したときは,本件パートナーシップは解散するものとされていた。 (甲31,36の1・2)エ本件パートナーシップは,平成11年3月,その保有する2個の不動産物件を売却して売却益を得たため,同年4月21日付けで,米国フジマ社に132万ドル,フジマ不動産管理(米国)株式会社に198万ドルの合計330万ドルを現金で分配した。 そして,本件パートナーシップは,上記不動産物件の売却により,その所有するすべての物件が売却済みとなったため,清算に向けた作業が行われることとなった。 (甲32)オ原告P1は,同月22日付けで,三井不動産販売株式会社国際事業部業務グループから,上記エのとおり,本件パートナーシップが清算される旨の通知を受けたため,同日付けで,P4税理士に対し,本件パートナーシップの清算完了後に,米国フジマ社等を清算したい旨告げ,米国フジマ社等の清算手続とこれに伴う米国での課税関係等の処理を依頼し,同年7月15日,その手数料を支払った。 カ米国フジマ社は,別表4記載のとおり,平成8年12月期以降格別の利益を上げておらず,役員に対する報酬の支払もなかったが,平成11年4月に上記エの分配を受けたため,同年6月期に97万4774ドルの投資売却益を取得し,同期に100万ドルの役員報酬を本件各報酬として計上した。しかし,本件各報酬は,同期において,未払報酬として経理処理された。 なお,上記のような経理関係が記載された米国フジマ社の平成11年6月期の連邦法人所得税申告書には,これが最終申告書であることが明記されていた。 マ社の平成11年6月期の連邦法人所得税申告書には,これが最終申告書であることが明記されていた。 (乙16ないし19)キ原告P1は,平成11年7月12日付けで,P4税理士に対し,「(米国フジマ社等の)清算時期については,「三井不動産販売パートナーシップの清算完了後速やかに」と承知しておりますが,清算方法についてはタックスプランニングについて十分説明を受けたうえで慎重に意思決定していきたいと考えておりますので,ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。」と告げた。 (甲32,33,34の1・2,35の1・2)ク原告P1は,同年12月15日付けで,P4税理士に対し,「役員退職金振込後,残った資金は投資金回収ということで日本の口座へすべて集中し,ニューヨークの口座は年内にすべて閉鎖したいと思います。何か支障はありますでしょうか。」と問い合わせた。これに対し,P4税理士は,同日付けで,原告P1に対し,「役員退職金振込後,残った資金は本年度中に日本の口座に移してください。 ニューヨークの口座は,退職金支払後,速やかに閉鎖してください。」と答えた。 (乙4)ケ原告らは,前記「前提となる事実」(1)のとおり,同年12月24日又は同月27日,それぞれ米国フジマ社から,本件各報酬(米国で源泉徴収された額を除いたもの。)の送金を受けた。 そして,米国フジマ社 提となる事実」(1)のとおり,同年12月24日又は同月27日,それぞれ米国フジマ社から,本件各報酬(米国で源泉徴収された額を除いたもの。)の送金を受けた。 そして,米国フジマ社は,平成11年12月に解散し,原告らは,同社の役員を退任した。 コ原告P1は,平成12年2月4日付けのファックスで,P4税理士に対し,米国フジマ社等の清算手続の進行状況を問い合わせた。 これに対し,P4税理士は,同日付けのファックスで,原告P1に対し,「米国フジマ社等の清算手続はとりまして,通知が来るのを待っております。 役員退職金の明細に関して,税務当局より連絡があれば提出致しますが,それまで私共の方でファイルしておきます」旨が記載されていた。 (甲20,21)サ米国カリフォルニア州の営業権税委員会は,同年9月6日付けないし同月12日付けで,米国フジマ社等に対し,銀行及び会社税法により課せられるすべての税金が支払われたこと等を証明する旨の文書を送付した。 これを受けて,P4税理士は,同年10月19日付けで,原告P1に対し,上記各文書を送付するとともに,これにより米国フジマ社等の清算手続はすべて完了したことを告げた。 (甲28ないし30)(3)ア上記(2)の事実によれば,本件パートナーシップに係る契約では,本件パートナーシップのすべて又は実質的にすべての資産を売却し,売却代金をパートナーに分配したときは,本件パートナーシップ (3)ア上記(2)の事実によれば,本件パートナーシップに係る契約では,本件パートナーシップのすべて又は実質的にすべての資産を売却し,売却代金をパートナーに分配したときは,本件パートナーシップは解散するものとされており,他方で,米国フジマ社等の資産のほとんどは本件パートナーシップに投資されていたこと,本件パートナーシップは平成11年3月に行った2個の不動産物件の売却により,その所有するすべての物件を売却したため,清算に向けた作業が行われることとなったが,原告P1は,これを知ると直ちに,P4税理士に対して米国フジマ社等を清算する意向を示し,その手続を依頼したこと,米国フジマ社の同年6月期の連邦法人所得税申告書には,これが最終申告書であることが明記されていたこと,原告P1とP4税理士とのやり取りにおいて,本件各報酬は役員退職金と称されていたことが,それぞれ認められる。 これらの事実に照らすと,原告らは,本件パートナーシップの解散に伴い,米国フジマ社等を解散することを想定していたところ,現に,本件パートナーシップが清算手続へ移行したことから,原告P1は平成11年4月の時点で,米国フジマ社等を解散して清算することを決定したことが認められる。 イしかしながら,他方で,米国フジマ社は,本件パートナーシップから平成11年4月に売却益の分配を受けたことから,同年6月期に100万ドル近い投資売却益を計上し,これに伴い,原告らに本件各報酬を給付することを,同期において既に決定していたものであるから,本来であれば,原告らの役員退任の有無にかかわらず,本件各報酬は,同期中に原告らに支払われる筋合いのものであった(結局,同期において原告らには支払われなかったが,本件各報酬は未払報酬として経理処理された。)。 任の有無にかかわらず,本件各報酬は,同期中に原告らに支払われる筋合いのものであった(結局,同期において原告らには支払われなかったが,本件各報酬は未払報酬として経理処理された。)。 また,原告P1は,その後の同年7月12日付けで,P4税理士に対し,米国フジマ社等の清算方法については,タックスプランニングについて十分説明を受けたうえで慎重に意思決定していきたいと考えている旨述べており,この事実に照らすと,同時点においても,米国フジマ社等の解散の具体的な時期,すなわち原告らが米国フジマ社の役員を退任する時期は定まっていなかったものと認められる。 そして,現実にも,米国フジマ社が解散し,原告らが同社の役員を退任したのは,平成11年6月期から半年も後の同年12月であった。 なお,本件各報酬が支払われた時期は,原告らの米国フジマ社の役員退任の時期に近接しているが,本件各報酬を支払うことは,上記のとおり,既に同年6月期に決まっており,本件各報酬が同期において未払報酬として経理処理されていたことに照らすと,単に本件各報酬の支払が遅れていたにすぎないと認められるから,上記各時期が近接していることをもって,本件各報酬が原告らの役員退任を契機に給付されたものということはできない。 ウ上記イの諸事情に照らすと,本件各報酬の給付が決定された平成11年6月期において,米国フジマ社の解散やこれに伴う原告らの役員退任が予定されていたとはいえ,本件各報酬は,米国フジマ社の解散を契機として,原告らの役員退任という事実によって初めて給付されたものというよりは,むしろ,平成11年6月期に米国フジマ社が利益を上げたことを契機として給付が決定されたものと認めるのが相当である。 そうであると いう事実によって初めて給付されたものというよりは,むしろ,平成11年6月期に米国フジマ社が利益を上げたことを契機として給付が決定されたものと認めるのが相当である。 そうであるとすれば,本件各報酬が退職所得に当たると認めることはできない。そして,本件各報酬は,原告らの役員としての職務執行の対価としての性質を有するものであるから,給与所得に該当するものと解するのが相当である。 第4 結論以上のとおり,原告らの本訴請求は,いずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官市村陽典裁判官石井浩裁判官矢口俊哉

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