昭和23(れ)454 物価統制令違反

裁判年月日・裁判所
昭和24年4月6日 最高裁判所大法廷 判決 破棄差戻 仙台高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を仙台高等裁判所に差戻す。          理    由  弁護人鍛治利一同遠藤周蔵上告趣意第一点について。  原判決は、その事実摘示第一の

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判決文本文2,476 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を仙台高等裁判所に差戻す。 理由 弁護人鍛治利一同遠藤周蔵上告趣意第一点について。 原判決は、その事実摘示第一の(イ)の犯罪事実認定の証拠として、被告人の第一審公判廷における自白のみを採つていることは、正に所論のとおりである。惟うに、憲法第三八条第三項(刑訴応急措置法第一〇条第三項も同様)の自白の内には、公判廷における被告人の自白は之を含まないと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第一六八号同年七月二九日大法廷判決)。而して、前記判例はその一つの理由として「なお、公判廷の自白は裁判所の直接審理に基くものである。従つて、裁判所の面前でなされる自白は、被告人の発言、挙動、顔色、態度並びにこれらの変化等からも、その真実に合するか、否か、又、自発的な任意のものであるか、否かは、多くの場合において裁判所が他の証拠を持つまでもなく、自ら判断し得るものと言わなければならない。又、公判廷外の自白は、それ自身既に完結している自白であつて、果していかなる状態において、いかなる事情の下に、いかなる動機から、いかにして供述が形成されたかの経路は全く不明であるが、公判廷の自白は、裁判所の面前で親しくつぎつぎに供述が展開されて行くものであるから、現行法の下では、裁判所はその心証が得られるまで種々の面と観点から被告人を根掘り葉掘り十分訊問することもできるのである。そして、若し裁判所が心証を得なければ自白は固より証拠価値がなく、裁判所が心証を得たときに初めて自白は証拠として役立つのである。従つて、公判廷における被告人の自白が、裁判所の自白心証によつて真実に合するものと認められる場合には、公判廷外における被告人の自白とは異り、更に他の補強証拠を要せずして犯 は証拠として役立つのである。従つて、公判廷における被告人の自白が、裁判所の自白心証によつて真実に合するものと認められる場合には、公判廷外における被告人の自白とは異り、更に他の補強証拠を要せずして犯罪事実の認定ができ- 1 -ると解するのが相当である。」 と判示していることから容易に判断し得る如く、右判例に示す「公判廷における被告人の自白」とはその自白を断罪の証拠に採つた、その裁判所の公判廷における被告人の自白を指すのであつて、従つて、右裁判所以外の裁判所の公判廷における被告人の自白は、仮令それが第一審裁判所のものであつても、之を包含せしむる趣旨ではない。左れば、所論の第一審における被告人の自白のみを採つて断罪の証拠にした原判決は、正に所論の如く憲法第三八条第三項(及び刑訴応急措置法第一〇条第三項)違反の判決であつて、此点に関する論旨は理由あり。而して右違反は事実の確定に影響を及ぼすべきものであるから、他の論旨に対する判断を省略し、刑訴施行法第二条及び旧刑訴第四四七条同第四四八条の二に従い、主文のとおり判決する。 此判決は塚崎、沢田、井上、栗山、小谷各裁判官の本判決の理由に対する反対意見(その各反対意見は、前掲当裁判所昭和二三年(れ)第一六八号、同年七月二九日大法廷判決右各裁判官所述意見引用)並びに齊藤裁判官の次に掲ぐる反対意見を除き、その他は裁判官一致の意見に依るものである。 裁判官齊藤悠輔の反対意見は次のとおりである。 旧刑訴第三三六条(新刑訴第三一七条)に「事実ノ認定ハ証拠ニ依ル」とある「事実」には一般公知の事実のごとき証明を要しない事実は、これに包含されない。 従つて旧刑訴第三六〇条第一項(新刑訴第三三五条参照)所定の罪となるべき事実を証拠によつて認めた理由を説明するにも、その事実が一般公知の事実のごとき証明を要しない事実で 事実は、これに包含されない。 従つて旧刑訴第三六〇条第一項(新刑訴第三三五条参照)所定の罪となるべき事実を証拠によつて認めた理由を説明するにも、その事実が一般公知の事実のごとき証明を要しない事実であるときは、ただその証明を要しない事実である旨説明するを以て足り、証拠を挙示するの要なきこと論を待たない。そして事件を終局的に審判する公判廷における検察官の公訴事実に関する主張を認めて争わない被告人の供述すなわち自白にして、訴訟関係人において異議なく、裁判所も亦たこれを被告人の真意に出で且つ真実に合致するものと認め得るときは、検察官の主張事実は、一般- 2 -公開の下当事者合同審究を経た裁判上顕著な事実として証明を要しないものというべきである。憲法第三八条末項の規定は、証拠就中自白の証拠価値(多数説のごとく証拠の成立従つて能力に関する規定ではない。多数説は証拠能力と証拠価値とを混同し且つ証拠価値について供述たる証拠すなわち自白の外裁判官の五官の作用による被告人の発言、挙動、顔色、態度並びにこれらの変化等検証の結果をも証拠としている。) に関する規定で証明を要しない事項に適用はない。故に裁判所を拘束しない意味におけるいわゆる「アレンメント」の制度は毫も憲法違反ではない。 新刑訴第三一九条第三項による第二項の規定は、訴訟法理上全く理由なき、反民主的で、非経済的で且つ道義に副はない制限であつてもとより旧法による本件には適用がない。そして、公判期日における訴訟手続で公判調書に記載されたものは、公判調書のみによつてこれを証明することを得るもので反証を許さない。従つて公判調書に記載された第一審公判における被告人の自白は第二審においても有効たるべきである。 検察官福尾彌太郎関与昭和二四年四月六日最高裁判所大法廷裁判長 つて公判調書に記載された第一審公判における被告人の自白は第二審においても有効たるべきである。 検察官福尾彌太郎関与昭和二四年四月六日最高裁判所大法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官長谷川太一郎裁判官沢田竹治郎裁判官霜山精一裁判官井上登裁判官栗山茂裁判官真野毅裁判官小谷勝重- 3 -裁判官島保裁判官齊藤悠輔裁判官藤田八郎裁判官岩松三郎裁判官河村又介- 4 -

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