平成18(行ウ)20 文書不開示処分取消及び文書開示処分給付請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年12月6日 広島地方裁判所 情報公開
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判決文本文10,342 文字)

- 1 -主文 本件訴えのうち、農林水産大臣に対して、原告が平成18年1月10日付けで開示請求をした別紙文書目録記載の文書についての開示決定をするよう義務付けることを求める部分を却下する。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求 農林水産大臣が原告に対し平成18年2月13日付けでなした別紙文書目録記載の文書を開示しないとの処分を取り消す。 農林水産大臣は、原告が平成18年1月10日付けで開示の請求をした別紙文書目録記載の文書について開示決定をせよ(以下、本項に係る訴えを「本件義務付けの訴え」という。 )第2事案の概要原告が、平成18年1月10日、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「法」という)に基づき農林水産大臣に対して別紙文書目録記載の文書(以下「本件文書」という)の開示を請求し、同大臣から同年2月13日付けで不開示処分(以下「本件処分」という)を受けたところ、同処分が違法であるとしてその取消しを求めるとともに、同文書の開示の義務付けを求める事案である。 前提事実(証拠により認定した事実はその証拠を該当箇所に掲記する)(1)本件処分等ア原告は、農林水産大臣に対し、平成18年1月10日、法3条に基づき、本件文書を開示するように請求した。 イ農林水産大臣は、アの開示請求に対して同年2月13日付けで本件処分をし、同処分の通知書は同月15日に原告に到達した(弁論の全趣旨。不開)- 2 -示の理由は、本件文書の存否を答えるだけで法5条2号イに該当する不開示情報を開示するのと同様の結果が生じることから、法8条に該当するということにある(甲1 。 )(2)農薬登録制度の概要農薬取締法2条1項は「製造者(注・農薬を製造し、又は加工する者)又は 開示情報を開示するのと同様の結果が生じることから、法8条に該当するということにある(甲1 。 )(2)農薬登録制度の概要農薬取締法2条1項は「製造者(注・農薬を製造し、又は加工する者)又は輸入者(注・農薬を輸入する者)は、農薬について、農林水産大臣の登録を受けなければ、これを製造し若しくは加工し、又は輸入してはならない」と規定し、同条2項は「前項の登録の申請は(中略)申請書、農薬の薬効、、薬害、毒性及び残留性に関する試験成績を記載した書類並びに農薬の見本を提出して、これをしなければならない」と規定する。 農林水産大臣は、農薬の登録申請を受けたときは、独立行政法人農薬検査所(現・独立行政法人農林水産消費安全技術センター。以下では「農薬検査所」という)に農薬の見本について検査をさせ、その結果同法3条1項各号に該当する場合を除いて当該農薬の登録を行うこととされていた(同法2条3項。 )以上の農薬の登録に係る制度を「農薬登録制度」という。 (3)利用権確認文書について「農薬の登録申請における試験成績について(平成12年11月24日付け農」林水産省農産園芸局長通知。以下「本件通知」という)は、(2)の試験成績を記載した書類につき、試験成績の代替を認めている。試験成績の代替とは、「農薬の登録申請において提出することとされている試験成績の一部が、既に他の登録申請において提出されており、かつ、これらの試験成績を当該申請に係る農薬の試験成績として利用することができると認められる場合には、申請者は、別記様式による試験成績代替書を当該試験成績に代えて提出することができる」というものである。 そして、試験成績の代替において「利用しようとする試験成績を提出した- 3 -者が当該申請者と異なる場合にあっては、当該申請者は、利用しようとする試験成 提出することができる」というものである。 そして、試験成績の代替において「利用しようとする試験成績を提出した- 3 -者が当該申請者と異なる場合にあっては、当該申請者は、利用しようとする試験成績を提出した者が当該試験成績を利用して差し支えない旨を記した書類を添付しなければならない」とされている(以下当該書類を「同意書」という。 )さらに、その同意書発行権限の基礎となる試験成績の代替についての利用権(排他的利用権)は移転されることがあるため、運用上、その移転された時点において、新たに当該試験成績の利用権を有することとなった者から利用権を有することを示す文書(以下「利用権確認文書」という)が農薬検査所に対して提出されている。利用権確認文書は、同意書の信用性を高めることで、申請手続の円滑化、迅速化を図ることを目的として任意に提出されるものであり、行政庁が提出を義務付けているものではない。 法8条、5条2号イの規定法は、5条2号イにおいて、法人その他の団体(以下「法人等」という)に関する情報であって公にすることにより当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを不開示情報であると規定したうえ、8条において「開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が、存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、行政機関の長は、当該行政文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる」と定めている。 争点及び当事者の主張本件の争点は本件処分の適法性であり、当事者の主張は次のとおりである。 (1)被告の主張ア本件処分の適法性(ア)本件文書の存否を答えることによって明らかになる情報本件文書の存否を答えることによって、グリホサート液剤(以下「本件農薬」という)の のとおりである。 (1)被告の主張ア本件処分の適法性(ア)本件文書の存否を答えることによって明らかになる情報本件文書の存否を答えることによって、グリホサート液剤(以下「本件農薬」という)の試験成績(以下「本件試験成績」という)がP1と- 4 -P2(以下「P2社」という)との共有であるか否か、P2社が本件試験成績について利用権を有するか否かという情報(以下「本件情報」という)が明らかになる。 (イ)利用権の帰属に関する情報が法5条2号イに該当すること試験成績は、長期間にわたり膨大な資金を投下して得られ、維持するためのコストも必要なものであるから(乙4・25、26、87~89頁、そ)れ自体が極めて価値の高い財産である。したがって、①ある企業が特定の農薬の試験成績の利用権を有するか否かは当該企業の企業価値にかかわってくるものであり、その利用権をどのように利用しているかということは当該企業の経営状況を推察させる。 ②また、利用権を有するか否かは、当該企業が特定の農薬の登録を取得していた場合はその取得に当たり、既に他の登録申請において提出された試験成績を利用したものであるか否かを推察させるものである。 これは当該農薬に対する投下資本の多寡にかかわってくるため、当該企業が当該農薬を販売するときに、農薬買取者との間の販売交渉での重要な情報となりうる。 ③利用権が二者の共有であることが明らかになった場合、両者が製造等している農薬が同一のものであることが推知され、当該農薬の購入者が両者の双方又はいずれか一方に対して価格交渉を行い、他方の製造等に係る同一の成分を有する農薬の存在を根拠にこれまでよりも低い購入価格を提示することにより、両者の双方又はいずれか一方の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。両者の双方又はいず 等に係る同一の成分を有する農薬の存在を根拠にこれまでよりも低い購入価格を提示することにより、両者の双方又はいずれか一方の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある。両者の双方又はいずれか一方から同意書の発行を受けた第三者に上記購入者が対する関係でも同様である。 以上のとおり、農薬の試験成績の利用権の帰属に関する情報は、企業の経営を左右する重要な経営情報であり、その企業の秘密に属すること- 5 -である(農林水産大臣は、農薬の登録に当たり、既に他の登録申請において提出された試験成績を利用したものであるか否かを公表していない。 )(ウ)本件につき法8条、5条2号イの事由があること以上によれば、本件情報が明らかになることによりP2社及び当該試験成績を利用して農薬の登録申請を行った者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるから、本件には法8条、5条2号イの事由があり、本件処分は適法である。 (エ)原告の主張に対する反論a原告の個別的事情について(a)法は、何人に対しても等しく、開示請求の理由・利用目的・利害関係の有無等の個別的な事情を問うことなく開示請求権を認めて。 いる(3条)から、個別的な事情に関する原告の主張は失当である(b)法8条、5条2号イ該当性の判断に当たり、本件試験成績の利用権が共有であるかどうかは無関係である。 bP2社が正当な利益を有しないことについて(a)農薬登録の無効について①無効の主張に理由がないこと本件試験成績の代替の同意が真の利用権者によって与えられたものでないことは、農薬取締法2条3項、3条1項の規定する事由に当たらないから、農薬登録の無効をいう原告の主張は失当である。 ②農薬登録の有効性は本件処分の違法性に影響を与えないこと利用権確認文書である本件文書の存否 薬取締法2条3項、3条1項の規定する事由に当たらないから、農薬登録の無効をいう原告の主張は失当である。 ②農薬登録の有効性は本件処分の違法性に影響を与えないこと利用権確認文書である本件文書の存否を答えることによって明らかになる情報が法人等の正当な利益を害するおそれがあることは、農薬登録の有効性とは無関係である。 (b)P2社が権利者でないことについて- 6 -法5条2号イ該当性の判断に当たっては、法人等の正当な利益を害する「おそれ」があるか否かを判断する。この「おそれ」は、法人等の正当な利益を害する蓋然性があれば足りるというべきである。 そして、一般的、類型的にいって、利用権確認文書の記載から試験成績の帰属等の情報が明らかになるのであるから、利用権確認文書の存否を明らかにすることによって法人等の正当な利益を害する蓋然性がある。したがって、P2社が本件試験成績の権利者でないことは、法5条2号イ該当性の判断に影響を及ぼさない。 イ本件義務付けの訴えの適法性アで主張したとおり本件取消しの訴えには理由がないから、本件義務付け訴訟は不適法である(行訴法37条の3の1項2号。 )(2)原告の主張アP1に係る組合契約、合弁事業契約及びP2社の除名(ア)原告は農薬の輸出入、販売等を業とする株式会社である。 (イ)原告は、平成2年10月1日、P2社ほか5社の法人とともに、農薬登録を取得した本件農薬の日本国における非食用農薬登録及び食用農薬登録並びに販売に関する組合契約(組合の名称は「P1)を締結した。同」契約において、試験成績等に係る権利はP1に帰属するものとした。 (ウ)上記7社は、平成3年6月22日、合弁事業契約を締結し、平成13年6月22日にこれを改定した(以下、改定後の合弁事業契約を「本件合弁事業契約」という。 )同契約におい に帰属するものとした。 (ウ)上記7社は、平成3年6月22日、合弁事業契約を締結し、平成13年6月22日にこれを改定した(以下、改定後の合弁事業契約を「本件合弁事業契約」という。 )同契約においては、①7社が協力して本件農薬の日本国における農薬登録の取得及びその農薬登録の適用拡大・更新並びに輸出価格の決定、P1に帰属する試験成績、調査結果等の維持・管理及び運用等を達成することを目的とすること、②本件農薬の農薬登録に必要な試験研究、調査及び資料の収集・サンプルの提供等に関連して知り得た情報・秘密に- 7 -ついては、契約当事者の全員の承諾を得た場合を除き、これを第三者に漏洩又は窃用してはならないことなどが合意された。 (エ)P2社は、P1の組合員ではない有限会社P3ほか3社が平成15年11月に農薬登録申請をするに際し、本件試験成績を代替利用することについて同意書を発行しその前提として本件文書を作成提出した。しかし、この同意書の発行に関し、P2社を除くP1組合員は、一切承諾しておらず、当該行為は本件合弁事業契約上の義務に反するものであるから、P2社を除く残りのP1組合員は、平成16年8月3日、全員一致をもってP2社の除名を決議し、同月20日、同社を除名する旨の意思表示をした。 イ本件処分の適法性については争う。 (ア)一般に、利用権確認文書の開示により法人等の正当な利益が害されるおそれはないことa経営状況が推察されるおそれなどについて、被告の経営状況の推察という主張は、極めて漠然とした指摘であり利用権の帰属に関する情報が開示されることによってP2社の権利、競争上の地位、正当な利益が害されるということはできない。 b農薬買取者との販売交渉に与える影響について試験成績は膨大な資金を投下して得られるものであるから、試験成績の代替の よってP2社の権利、競争上の地位、正当な利益が害されるということはできない。 b農薬買取者との販売交渉に与える影響について試験成績は膨大な資金を投下して得られるものであるから、試験成績の代替の同意を受けた場合は相当の対価を提供していることが推察される。したがって、試験成績を自ら保有する企業であるか、他社から入手した企業であるかということで、農薬買取者との販売交渉において差異が生ずることはない。 c利用権確認文書に利用権の帰属の証明力がないこと利用権確認文書が同意書の発行権限を明らかにし、同意書の信用性を高めるものであるとすれば、利用権確認文書は利用権の移転元企業が作成した文書でなければならない。本件文書は利用権の移転を受け- 8 -たと主張するP2社が作成したものに過ぎないから、利用権の帰属についての証明力はない。 (イ)原告に関する個別的事情a原告が本件試験成績についての権利者(当事者)であることP1は本件試験成績の利用権者であり、原告はその組合員であるから、本件文書の開示を原告に対して拒否する理由はない。 b民法の規定と同じ内容であること本件試験成績はP1の財産であり、同会は日本国法を準拠法とする民法上の組合である(甲2・15条。したがって、P1の財産は総組)合員の共有に属する(民法668条。つまり、本件文書は民法668条と)同じことを述べているに過ぎず、何ら、通常一般に知りえない情報ではない。 (ウ)P2社が正当な利益を有しないことa農薬登録が無効であることP1は組合であり、各組合員は組合財産である試験成績の利用権の使用・収益の方法を共有者の持分の過半数による協議に従って行うこととされている(民法252条本文)から、一組合員に過ぎないP2社が協議を経ることなく試験成績の代替に同意することはできない。 処分 の使用・収益の方法を共有者の持分の過半数による協議に従って行うこととされている(民法252条本文)から、一組合員に過ぎないP2社が協議を経ることなく試験成績の代替に同意することはできない。 処分庁は、一組合員に過ぎないP2社が作成した本件文書をもって利用権の確認ができたとしているところ、P2社には本件試験成績の代替について単独で同意する権限がないのであるから、当該農薬登録は違法・無効である(農薬取締法2条2項の「試験成績を記載した書面」の提出がないことになるから農薬登録申請の適法要件を満たさない。 )したがって、P2社や同社の同意書の発行を受けた者の農薬登録は何ら法的保護に値しないから、法8条、5条2号イの事由はない。 - 9 -b本件文書は無権利者が作成したものであること本件文書はP2社が無権限で作成したものであるから、これが開示されることによってP2社その他の法人等の正当な利益なるものが害されるおそれはそもそも存在しない。 ウ本件義務付けの訴えの適法性イで主張したとおりであるから、本件義務付けの訴えは適法である。 第3争点に対する判断 認定事実証拠(乙4)及び弁論の全趣旨によれば以下の各事実が認められる。 (1)ア農薬の開発は、目的にかなう化合物を探索することから始まり、効果、毒性・残留性などの試験を経て、農薬取締法2条1項所定の農薬登録を受けたうえで製造、販売される。最終的に新農薬として成功する確率は現在では2~3万分の1、1剤を開発するのにはおよそ8~10年の期間と40~50億円の経費(化学合成農薬の場合)を必要とするといわれている。 イ農薬の開発にはリスクが伴うものであり、例えば、毒性試験の中でも慢性毒性試験はその結果がまとまるまで約3年の期間と数億円単位の費用が必要で、そこで問題が生ずると開発を中止するこ といわれている。 イ農薬の開発にはリスクが伴うものであり、例えば、毒性試験の中でも慢性毒性試験はその結果がまとまるまで約3年の期間と数億円単位の費用が必要で、そこで問題が生ずると開発を中止することになり、開発をしていた企業は大きな痛手を受けることになる。 ウさらに、農薬登録にはこれを維持するコストも必要になる。 (2)農薬の開発に要する莫大な費用等はその多くが試験成績を取得するために費やされているため、農薬の価格もこれに大きく左右される。 (3)農林水産大臣においては、農薬登録申請において提出された試験成績の利用権の帰属に関する情報を一般に公開しないこととしている。なお、他にそのような情報が一般に公開されているものと認めるに足りる証拠はない。 判断 (1)当裁判所の判断- 10 -ア試験成績の帰属に関する情報が明らかになることによって法人等の正当な利益が害されるおそれがあること1の認定事実によれば、以下のようにいうことができる。 (ア)農薬の開発には試験成績を作成するまでの段階で8~10年、化学合成農薬の場合で40~50億円という莫大な期間ないしコストを要するのであるから、農薬の試験成績は極めて重要な財産的価値を有するということができる。その帰属のいかんは農薬登録申請者や試験成績の帰属主体の経営を左右する重要な経営情報であり、また、試験成績の帰属に関する情報が公になれば、農薬の登録申請者等が当該農薬の登録に必要な試験成績を保有しているかどうか、当該試験成績の利用権をどのようにして入手したかといった経営上重要な情報が明らかとなり、競合他社等によって当該農薬に関する競争上重要な情報が推察されるおそれがある。 すなわち、この点は被告が前記第2の3(1)ア(イ)(4頁以下)において主張するとおりである(ただし③を除く。したがって 競合他社等によって当該農薬に関する競争上重要な情報が推察されるおそれがある。 すなわち、この点は被告が前記第2の3(1)ア(イ)(4頁以下)において主張するとおりである(ただし③を除く。したがって、上記利用)権が帰属しているかどうかについては、これが帰属していないことをも含めて保護されるべき情報であるということができる。 また、試験成績の帰属主体(本件ではP1及びP2社がこれに該当しうる)にとっては、仮に試験成績の帰属主体に関する情報が一般に法5条2号イに該当しないものとすれば、農薬を購入しようとする者が、法3条に基づき利用権確認文書の開示を請求することによって、当該農薬と同一の目的を達しうる複数の農薬の試験成績の帰属主体を知ることが可能になり、これら複数の帰属主体を天秤にかけて有利な交渉をすることができることになるから、購入者のそのような行動によって、試験成績の帰属主体の競争上の地位を低下させることになる。 (イ)前記のとおり試験成績には試験成績の帰属主体や農薬の登録申請者の経営を左右するほどの極めて重要な財産的価値があるため、その情報が- 11 -公になることによって競争上の地位が低下することによる打撃は甚大なものになりうるというだけでなく、試験成績の帰属に関する情報は一般に公開されているものではなく、また、利用権確認文書の提出は任意に行われているものに過ぎず試験成績の帰属主体や農薬の登録申請者が同文書を公にされることを甘受すべき法的地位にあるとはいえないことをふまえれば、試験成績の帰属に関する情報を企業秘密として保持することは、当該帰属主体にとって法的に保護された正当な利益であって、単なる事実上の期待にとどまるものではないというべきである。 (ウ)以上によれば、農薬の試験成績の帰属に関する情報は、これを公にすることによって 該帰属主体にとって法的に保護された正当な利益であって、単なる事実上の期待にとどまるものではないというべきである。 (ウ)以上によれば、農薬の試験成績の帰属に関する情報は、これを公にすることによって、①農薬の登録申請者及び②当該農薬の試験成績の帰属主体が事業を営むうえでの権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるというべきである。 イ本件文書の存否を答えるだけでアの情報が明らかになること本件文書は、原告により「P2が作成した『○○』と題する書面(試験成績がP1とP2社との共有である旨を記載した書面)一式」として特定されているものであるから、その存否を答えるだけで試験成績の帰属を開示することになる。 ウ法8条、5条2号イ該当性以上のとおり、試験成績の帰属に関する情報が明らかになることによって法人等の正当な利益が害されるおそれがあるところ、本件文書の存否を答えるだけで試験成績の帰属に関する情報を開示することになるから、本件においては法8条、5条2号イの事由があり、本件処分は適法であって、原告の請求のうち本件処分の取消しを求める部分は理由がない。 (2)原告の主張についてア利用権確認文書には利用権の帰属の証明力がないという主張について原告はP2社が作成したとする利用権確認文書は利用権移転元が発行す- 12 -るものではないことから試験成績の帰属についての証明力を欠くと主張する。 利用権確認文書は、同意書の発行者が自らが利用権の主体であることを証明すべき文書として農林水産大臣に提出するものであるから、第三者にとって、利用権の帰属主体を知る手掛かりになるものである。したがって、利用権確認文書が利用権移転元によって発行されるものでないことを理由に法5条1号イに該当することが否定されるものではない。 よってこの点に関する原告の 主体を知る手掛かりになるものである。したがって、利用権確認文書が利用権移転元によって発行されるものでないことを理由に法5条1号イに該当することが否定されるものではない。 よってこの点に関する原告の主張は採用できない。 イ原告に関する個別的事情について法は、何人に対しても等しく、開示請求の理由・利用目的・利害関係の有無等の個別的な事情を問うことなく開示請求権を認めている(3条)のであるから、個別事情に関する原告の主張(民法の規定と同じ内容であ「ること」という第2・3(2)イ(イ)b〔9頁〕の主張も、原告とP1及びP2社との個別的な関係を前提とする主張であると解される)は全て失当である。 ウP2社等が正当な利益を有しないことについて(ア)農薬登録の無効の主張について農薬登録の有効・無効が法8条、5条2号イ該当性の判断を左右するものとは解されないから、この点に関する原告の主張は失当である。 (イ)本件文書が無権限で発行されたものであることについて、a原告は、本件文書はP2社が無権限で発行したものであることからP2社及び農薬登録申請者には本件情報が開示されることによって害されるべき正当な利益は存在しないと主張する。 b(1)ア(ア)(11頁)で述べたとおり、試験成績の利用権等の帰属に関する情報は、帰属するという情報であるか帰属しないという情報であるかにかかわらず、法5条2号イに該当する。そして、P2社が利用- 13 -権を有するか否かにかかわらず、本件文書の存否を答えるだけでP2社及びP1に試験成績の利用権等が帰属するか否かを知るための手掛かりを与える結果となることに変わりはない。したがって、P2社の利用権の有無は、法8条、5条2号イ該当性に関する前記判断を左右するものではない。 c以上によれば、この点に関する原告の前記主張 手掛かりを与える結果となることに変わりはない。したがって、P2社の利用権の有無は、法8条、5条2号イ該当性に関する前記判断を左右するものではない。 c以上によれば、この点に関する原告の前記主張は採用できない。 (3)本件義務付けの訴えについて以上によれば、本件義務付けの訴えは行訴法37条の3の1項2号の要件を欠くことになるから、不適法であることに帰する。 第4結論よって、本件訴えのうち本件義務付けの訴えは不適法であるからこれを却下し、その余の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決をする。 広島地方裁判所民事第2部裁判長裁判官橋本良成裁判官佐々木亘裁判官相澤聡

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