-1 -平成21年6月26日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成16年(ワ)第1216号,同1913号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成21年1月16日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり主文 被告A信用金庫,被告B,被告C及び被告Dは,連帯して,原告2,4ないし6,9,11ないし18,20ないし22,24,25,27ないし30,32,34ないし47,52ないし54に対し,別紙「請求額及び認容額一覧表」の「認容額合計」欄記載の各金員並びにこれに対する平成16年6月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ,,,,, 被告A信用金庫被告B被告C及び被告Dは連帯して原告5961,63及び64に対し,別紙「請求額及び認容額一覧表」の「認容額合計」欄記載の各金員並びにこれに対する被告A信用金庫,被告B及び被告Cについては平成16年9月4日から,被告Dについては同月5日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告2,9,13,14,18,29,30,44ないし47,52ないし54の被告A信用金庫,被告B,被告C及び被告Dに対するその,,,,,,,,,,,余の請求原告1 48ないし51,55ないし58,60,62,65及び66の上記被告らに対する請求並びに原告らの被告国に対する請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告らと被告A信用金庫,被告B,被告C及び被告Dとの間においては,これを1560分し,うち546を被告A信用金庫の負担とし,うち各182を被告B,被告C及び被告Dの各負担とし,う-2 -,,,,,,,,,,ち各18を原告1 0分し,うち546を被告A信用金庫の負担とし,うち各182を被告B,被告C及び被告Dの各負担とし,う-2 -,,,,,,,,,,ち各18を原告1 48ないし51,55ないし58,60,62,65及び66の各負担とし,うち各9を原告2,14,18,30,45ないし47,54の各負担とし,原告らと被告国との間においては,全部原告らの負担とする。 この判決は,第1,2項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 被告A信用金庫,被告B,被告C及び被告Dは,連帯して,原告1ないし57に対し,別紙「請求額及び認容額一覧表」の「請求額合計」欄記載の各金員並びにこれに対する平成16年6月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告A信用金庫,被告B,被告C及び被告Dは,連帯して,原告58ないし66に対し,別紙「請求額及び認容額一覧表」の「請求額合計」欄記載の各金員並びにこれに対する被告A信用金庫,被告B,被告Cについては平成16年9月4日から,被告Dについては同月5日から,各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告国は原告1ないし57に対し別紙請求額及び認容額一覧表の請,,「」「求額合計」欄記載の各金員及びこれに対する平成16年6月16日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 被告国は,原告58ないし66に対し,別紙「請求額及び認容額一覧表」の「請求額合計」欄記載の各金員及びこれに対する平成16年9月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,平成14年1月25日に破綻した被告A信用金庫(以下「被告A」という)に出資した原告ら66名が,被告A,被告A 6年9月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,平成14年1月25日に破綻した被告A信用金庫(以下「被告A」という)に出資した原告ら66名が,被告A,被告Aの破綻当時理事長であ。 -3 -った被告B(以下「被告B」という,専務理事であった被告C(以下「被。)告C」という,常務理事であった被告D(以下「被告D」といい,被告B。)及び被告Cと併せて「被告理事ら」という)並びに被告国に対し,出資金相。 当額及び弁護士費用の損害賠償を求める事案である。 前提事実(証拠等の記載のない事実は,当裁判所に顕著であるか,当事者間に争いがないか,明らかに争わない事実である)等(関係法令を含む)。 㨯当事者(略)㨯関係法令等(略)㨯原告らによる出資原告らは,被告Aに対し,別紙「請求額及び認容額一覧表(以下「別紙」一覧表」という)の「出資日」欄記載の日に,同「出資金額」欄記載の金。 員を出資した。 㨯被告Aの財務状況の概要等ア被告Aは,いわゆるバブル経済の崩壊に伴い,多額の不良債権を抱えつつも,平成10年度(信金法上,信用金庫の事業年度は4月1日から翌年3月31日までとされている)までは黒字決算を維持していたが,平成。 11,12年度と2期連続して赤字決算を行った(以下略)。 イ・・・前略,被告Aは,平成11年10月1日から平成12年3月()31日までの間及び同年12月1日から平成13年3月31日までの間に,それぞれ出資金の推進運動を行った(以下「出資金増強運動」とい,い,平成11年度中の出資金増強運動を「第1次出資金増強運動,平成」「」。),12年度中の出資金増強運動を第2次出資金増強運動というため平成12年3月31日時点における出資金総額は前年比2億6700 中の出資金増強運動を「第1次出資金増強運動,平成」「」。),12年度中の出資金増強運動を第2次出資金増強運動というため平成12年3月31日時点における出資金総額は前年比2億6700万円増であり,平成13年3月31日時点における出資金総額は前年比4億4400万円増であった。 㨯被告Aに対する金融検査-4 -ア金融検査マニュアル金融機関は,自ら資産の査定基準を定めて,その有する資産を検討・分析して,貸出金債権の回収の危険性や価値の毀損の危険性を分類区分する自己査定(具体的には,債務者の返済能力等に応じて債務者を5つに区分した〔以下「債務者区分」という〕上で,担保及び保証の有無等を勘案。 ,〔「」し回収の危険性に応じて貸出金債権を4つに分類し以下資産の分類という,各債権につき貸倒引当金・貸出金償却の額を算出する)を行。〕。 う必要があり,これに対し,監督当局は,金融機関による自己査定の適切性等を検証すべく,銀行法25条等に基づいて,金融機関に対する金融検査を実施することとなるところ,金融庁は,平成11年7月1日付けで,金融検査の基本的考え方及び検査に際しての具体的着眼点等を整理した通達である「金融検査マニュアル(預金等受入金融機関に係る検査マニュアル(以下「金融検査マニュアル」という)を策定・公表した。 )」。 イ日銀考査日本銀行は,平成11年10月,被告Aに対し,同年9月30日を検査基準日とする考査を実施した(以下「日銀考査」という。 。)被告Aが平成11年3月31日時点において自ら算出した自己資本比率は4.72パーセントであったが,被告Aが,日銀考査の結果を踏まえ,同年9月30日時点における自己資本比率を算出し直したところ,自己資本比率は2.38パーセントであった。 ウ平成12年検 資本比率は4.72パーセントであったが,被告Aが,日銀考査の結果を踏まえ,同年9月30日時点における自己資本比率を算出し直したところ,自己資本比率は2.38パーセントであった。 ウ平成12年検査関東財務局長は,平成12年6月,被告Aに対し,同年3月31日を検査基準日とする金融検査を実施した(以下「平成12年検査」という。 。)被告Aが平成12年3月31日時点において自ら算出した自己資本比率は4.76パーセントであったが,被告Aが,平成12年検査の結果を踏まえ,再度,平成12年3月31日時点における自己資本比率を算出し直-5 -したところ,自己資本比率は2.86パーセントであった。 エ平成13年検査関東財務局長は,平成13年12月から平成14年1月にかけて,被告Aに対し,平成13年3月31日を検査基準日とする金融検査を実施した(以下「平成13年検査」という。 。)被告Aが平成13年3月31日時点において自ら算出した自己資本比率は4.46パーセントであったが,被告Aが,平成13年検査の結果を踏,,まえ同年12月31日時点における自己資本比率を算出し直したところ自己資本比率は▲2.11パーセントであった。 㨯被告Aの破綻被告Aは,平成14年1月25日,金融庁長官に対し,破綻申請を行い,同長官は,同日,被告Aに対し,預金保険法74条に基づく管理を命ずる処分をした。 被告Aは,平成14年6月17日,E信用金庫に事業を譲渡し,これにより管理を命ずる処分が取り消され,被告Aは解散した。 本件における主要な争点㨯被告理事ら及び被告Aの責任ア被告A職員の説明義務違反の有無(争点1)イ被告A職員の優越的地位の濫用の有無(争点2)ウ被告A職員の出資金払戻協力義務違反の有無(争点3)エ被告理事らの指導監督義務違反の有無 Aの責任ア被告A職員の説明義務違反の有無(争点1)イ被告A職員の優越的地位の濫用の有無(争点2)ウ被告A職員の出資金払戻協力義務違反の有無(争点3)エ被告理事らの指導監督義務違反の有無(争点4)オ被告理事らの行為と原告らの損害との間の因果関係(争点5)㨯被告国の責任ア被告国の被告Aに対する監督権限不行使の違法性(争点6)イ平成13年検査の違法性(争点7)第3争点に関する当事者の主張-6 -(原告らの主張) 争点1(被告A職員の説明義務違反の有無)について㨯主張の要旨被告A職員は,原告らに対する出資の勧誘に際し,出資の基本的性格及びリスクに関する説明義務を怠り,また,被告Aの経営状況が悪化し,破綻する具体的な危険性があったにもかかわらず,被告Aの経営状況に関する説明義務を怠ったことにより,原告らに出資金相当額の損害を与えた。 被告A職員の上記説明義務違反は,不法行為に該当し,これは被告Aの事業の執行につきなされたものであるから,被告Aは,原告らに対し,民法715条1項に基づく損害賠償責任を負う。 㨯出資の基本的性格及びリスクに関する説明義務違反ア出資金は,預金と異なり,元本割れのおそれがあるほか,出資を受けた会社が破綻した場合には無価値となるリスクを有している。預金については,いわゆるペイオフ解禁に際しても,1000万円までは保護されているのに対し,出資金は保護の対象となっておらず,従前は,信用金庫の出資金についても,信用金庫相互援助資金制度(以下「相互援助資金制度」という)により全額が保護されていたが,平成10年10月に同制度の。 改正がなされ,平成13年4月1日からは1万円を超えては出資金を保護せず,平成14年4月1日からは一切出資金を保護しない旨改められることとなった。 また,出資金は,預 平成10年10月に同制度の。 改正がなされ,平成13年4月1日からは1万円を超えては出資金を保護せず,平成14年4月1日からは一切出資金を保護しない旨改められることとなった。 また,出資金は,預金と異なり,譲受けを希望する会員又は会員たる資格を有する者に譲渡するか,被告Aに譲受請求をしない限り,払い戻すこ,。 とができず投下資本の回収に長期間を要するというリスクを有しているこのように,出資金と預金とは相当程度性質が異なるものであるが,信用金庫は地域住民から預金を受け入れることを主な業務とする金融機関であるため,信用金庫の職員が出資を勧誘する場合,預金の勧誘と誤認され-7 -るおそれがある。 以上の点からすれば,被告A職員には,信義則上,出資の勧誘に際し,出資金とは相互扶助組織である信用金庫の会員となり,信用金庫の事業を利用するための拠出金であるという出資の基本的性格を説明するとともに,預金との誤認を防止すべく,出資金は元本が保証されていない上,払戻しに長期間を要するというリスクを説明すべき義務があったというべきである。また,これらの説明に加え,平成10年10月以降に出資を勧誘するに際しては,相互援助資金制度の改正により,将来,出資金は保護されなくなる旨を説明し,平成10年10月以前に出資した者に対しては,第2次出資金増強運動が終了した平成13年3月までの間に,相互援助資金制度が改正された旨を説明すべき義務があったというべきである。 イしかし,原告らの中に,出資の基本的性格について説明を受けた者はおらず,一部の者については「出資」という言葉さえ聞かされていなかっ,た。 また,多くの原告は「定期預金より利回りがよい」などと言われ,預,金とは払戻しの手続など若干の取扱いが異なるだけであるとの説明を受けたにすぎず,利回りのよい定 言葉さえ聞かされていなかっ,た。 また,多くの原告は「定期預金より利回りがよい」などと言われ,預,金とは払戻しの手続など若干の取扱いが異なるだけであるとの説明を受けたにすぎず,利回りのよい定期預金のような契約であると誤認して出資したものである(以下略)。 さらに,原告らの中に,相互援助資金制度の改正について説明を受けた者はおらず・・・中略,事実と異なる説明を受けた者さえいる状況で,()あった(以下略)。 㨯被告Aの経営状況に関する説明義務違反ア被告Aの経営状況㨯被告Aは,平成8,9年度に合計61億6500万円の特別損失を計上するとともに,合計62億0300万円の積立金を取り崩したことから,自己資本額を大幅に減少させた。その結果,被告Aは,長期にわた-8 -って積み立ててきた内部留保をほぼ使い果たし,それ以上の損失に耐えられない財務体質となっていた。 㨯被告Aは,平成11年10月の日銀考査の結果,多額の貸倒引当金の計上が必要である旨指摘され,同年9月30日時点における自己資本比率は2.38パーセントに低下したが,被告理事らは,日銀考査が厳しい結果となることをあらかじめ予想していたことから,自己資本比率を高めるべく,日銀考査に先立って第1次出資金増強運動を実施することを決定した。そして,第1次出資金増強運動開始から1か月程度で,日銀考査の結果が厳しいものであることが判明したことから,4パーセント台の自己資本比率を維持するための決算対策として,同運動をさらに推し進めた。 㨯被告Aは,平成12年検査の結果,多額の貸倒引当金の計上が必要である旨指摘され,同年3月31日時点における自己資本比率を算出し直したところ,2.86パーセントに低下していることが判明したが,被告理事らは,平成12年検査終了直後の同年6月28日 金の計上が必要である旨指摘され,同年3月31日時点における自己資本比率を算出し直したところ,2.86パーセントに低下していることが判明したが,被告理事らは,平成12年検査終了直後の同年6月28日時点において,多額の貸倒引当金が必要となり,自己資本比率が大幅に低下することを認識したことから,第1次出資金増強運動と同様に,自己資本比率4パーセントを維持するための決算対策として,第2次出資金増強運動を実施した。 㨯被告Aは,税効果会計(企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において,法人税等の額を適切に期間配分することにより,法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする手続)の導入に伴い,平成10年度に14億2400万円の繰延税金資産(企業会計上の費用が税務上否認され,税務上の課税所得や納付税額が増加することとなった場合に生じる将来の会計期間に帰属すべき税金費用を前払いしたと考え-9 -て,これを繰延処理することにより生じる資産)を計上し,平成12年度にはこれを20億4100万円にまで増加させた。繰延税金資産は,将来予想される課税所得の範囲内でしか計上は認められないところ,繰延税金資産14億2400万円を回収するためには約45億9300万円の課税所得が,20億4100万円の繰延税金資産を回収するためには約65億8300万円の課税所得が必要であり,これを5年間で回収するとすれば,年間約9億円ないし13億円程度の課税所得が必要とな,,るがこれは近年の被告Aの実績からして到底実現不可能な金額であり上記繰延税金資産の計上は,明らかに過大計上であった。また,繰延税金資産は3期連続赤字決算の場合には全額取り崩されることになるところ,被告Aは,平成11,12年度と2 して到底実現不可能な金額であり上記繰延税金資産の計上は,明らかに過大計上であった。また,繰延税金資産は3期連続赤字決算の場合には全額取り崩されることになるところ,被告Aは,平成11,12年度と2期連続して赤字決算の状態にあり,平成13年度が赤字決算になれば繰延税金資産全額が取り崩される状況にあった。 㨯被告Aは,貸出金の利息収入が減少したことや日銀考査の厳しい結果などを踏まえ,他の方法で収益を得るべく,株式投資の割合を増やしていき,平成12年3月31日時点では,有価証券の保有高を約100億円に拡大させており,被告Aの抱えるリスクは大きなものとなっていたところ,日経平均株価は平成12年度中に下落を続け,被告Aは,第2次出資金増強運動開始時点では,約21億円の含み損を抱え,実質的に債務超過の状態にあった。 㨯このように,被告Aは,第1次出資金増強運動の前から,積立金の取崩しや多額の繰延税金資産の計上といった対策をとってきたが,これらはすべて一過性のものであり,その反面,繰延税金資産が取り崩される危険性や有価証券の保有高の増加といったリスクは確実に増加していき,そのまま事態が推移すれば,いずれ採り得る手段がなくなり,破綻に至る具体的危険性が存在していた。 -10 -イ被告Aの経営状況に関する説明義務違反原告らに対する出資の勧誘は,上記アのとおり,被告Aの自己資本比率が低下し,破綻の具体的な危険が発生している状況下において,自己資本比率を向上させるために行われたものであり,一般人であれば投資を躊躇する状況にあった。 したがって,被告A職員には,出資の勧誘に際し,原告らに対し,出資に大きなリスクがあることを十分認識させるべく,①被告Aの自己資本比率が,被告国の金融検査により相当程度低下しており,自己資本比率の改善が急務であること, には,出資の勧誘に際し,原告らに対し,出資に大きなリスクがあることを十分認識させるべく,①被告Aの自己資本比率が,被告国の金融検査により相当程度低下しており,自己資本比率の改善が急務であること,②被告Aの経営状況が悪化した場合,出資金が返還されなくなるおそれがあることを説明した上で,③信用金庫の事業を利用するための拠出金であるという出資の性格からすれば,出資者には多額の出資を行う利益は乏しいが,それでも被告Aの経営体質改善に協力するかどうかの判断を求めるべき義務があった。 しかし,被告A職員は,出資の勧誘に際し,原告らに対し,被告Aの具体的な経営状況を一切説明しなかった(以下略)。 争点2(被告Aの優越的地位の濫用の有無)について(略) 争点3(被告A職員の出資金払戻協力義務違反の有無)について,,被告A職員には被告Aに出資した原告らが出資金の払戻しを希望した場合信義則上又は定款上,速やかにこれを実現すべく,できるだけ払戻しに協力すべき義務があった。 しかし,被告A職員は,平成13年3月から10月までの間に払戻請求をした原告らに対し,今は無理であるなどと述べて同請求を拒絶した。 また,原告らの中には,払戻請求をして手続を終えたにもかかわらず,被告Aが破綻したため,払戻しを受けられなかった者や,払戻請求をしようとしたところ,引き留められ,請求手続をとることができなかった者もいる。 被告A職員の上記行為は,いずれも原告らの払戻請求を不当に拒絶又は回避-11 -する不法行為に当たり,これは被告Aの事業の執行につきなされたものであるから,被告Aは,原告らに対し,民法715条1項に基づく損害賠償責任を負う。 争点4(被告理事らの指導監督義務違反の有無)について,,,㨯被告理事らには被告A職員に対し相互援助資金制度の存在や 被告Aは,原告らに対し,民法715条1項に基づく損害賠償責任を負う。 争点4(被告理事らの指導監督義務違反の有無)について,,,㨯被告理事らには被告A職員に対し相互援助資金制度の存在やその改変出資金の払戻手続といった出資のリスクに直結する基本的かつ重要事項について,研修等を行うなどして周知の徹底を図るとともに,出資の勧誘に際しては,これらの事項を出資者に説明するよう指導監督すべき義務があった。 また,前記1㨯アのとおり,被告Aは,出資金増強運動当時,債務超過かこれに近い状態となっていたところ,被告理事らは,これを認識し,そのまま事態が推移すれば破綻することは十分予想できたのであるから,被告A職員に対し,出資の勧誘に際しては,被告Aの厳しい経営状況及び破綻の可能性があることを説明し,それでも出資して被告Aの再建に協力してくれる者に限って出資してもらうよう指導監督すべき義務があった。 㨯しかし,被告理事らは,被告A職員に対し,相互援助資金制度の存在やその改変,出資金の払戻手続といった出資のリスクに直結する基本的かつ重要事項について教育を行わず,また,被告Aの厳しい経営状況などを全く知らせず,安易な自己資本比率のかさ上げにのみ腐心して,各支店にノルマを課し,互いに出資金の獲得額を競わせて,強力に出資金増強運動を推進し,上記指導監督義務を怠った。 その結果,被告A職員は,前記1㨯及び㨯のとおり,出資の勧誘に際し,原告らに対し,出資の基本的性格,内在的リスク,被告Aの経営状況及び破綻の危険性について一切説明せず,ときには優越的地位を濫用するなどして強引に出資させるといった違法な勧誘を続け,原告らから多額の出資金を募集した。 㨯したがって,被告理事らの上記指導監督義務違反は,不法行為に当たると-12 -ともに,理事としての職務を などして強引に出資させるといった違法な勧誘を続け,原告らから多額の出資金を募集した。 㨯したがって,被告理事らの上記指導監督義務違反は,不法行為に当たると-12 -ともに,理事としての職務を行うにつきなされた任務懈怠に当たるから,被告理事らは,原告らに対し,民法709条及び信金法35条2項(ただし,),平成17年法律第87号による改正前のものに基づく損害賠償責任を負い被告Aも,原告らに対し,民法44条1項(ただし,平成18年法律第50号による改正前のもの)に基づく損害賠償責任を負う。 争点5(被告理事らの指導監督義務違反と原告らの損害と間の因果関係)について(略) 争点6(被告国の被告Aに対する監督権限不行使の違法性)について被告国(内閣総理大臣,金融庁長官,関東財務局長)は,信用金庫の業務の健全かつ適切な運営を確保するため,報告又は資料の提出,立入検査,業務の停止,免許の取消し等により,信用金庫を監督する権限を有し,金融機関の特性に応じた指導等によって金融機関を監督する立場にあるところ,信金法1条は,同法の目的として「預金者等の保護」を掲げており,被告国は,出資者,を含む預金者等の保護を図るために,これらの監督権限を行使すべき義務を有している。 被告Aは,出資金増強運動に際し,原告らに対する説明義務を果たさず,原告らから違法に出資を募り,出資金総額を著しく増大させたが,被告国は,被告Aに対する金融検査や被告Aからの報告によって,被告Aの自己資本比率が4パーセントを大幅に下回るなどの極めて厳しい経営状況や,出資金額の異常ともいえる上昇を把握し,被告Aが近く経営的に破綻する具体的危険性があること,被告Aが,出資の勧誘に際し,出資のリスクを十分に説明せずに強引に出資を募っているであろうこと,出資金増強運動を放任すれば, もいえる上昇を把握し,被告Aが近く経営的に破綻する具体的危険性があること,被告Aが,出資の勧誘に際し,出資のリスクを十分に説明せずに強引に出資を募っているであろうこと,出資金増強運動を放任すれば,被告Aの経営破綻により,いずれ近い将来に出資金を返還できなくなるという深刻な被害が発生することを容易に予見し得た。また,被告国は,被告Aに対し,金融検査を実施したり,報告を求めたりする中で,資本充実を含む改善計画の提出を繰り返し要求し,被告Aが出資金増強運動を強引に推し進めるきっかけを作り,-13 -さらにこれをエスカレートさせる原因を作った。 これらの事情に照らせば,被告国には,上記監督権限を適切に行使して,被告Aに対し,出資の勧誘に当たっては,出資のリスクや被告Aの経営状況に関する説明を尽くし,強引な勧誘をしないよう指導監督する義務があったというべきであるが,被告国はかかる監督権限の行使を怠った。 かかる被告国の監督権限の不行使は,著しく合理性を欠き違法であるから,被告国は,原告らに対し,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負う。 争点7(平成13年検査の違法性)について㨯信用金庫は,元来,出資者に対する相互扶助を目的とし,出資者に対する融資を行うための金融機関であり,また,大銀行では融資を受けられない地域の中小・零細企業への金融を役割としている。このような信用金庫の特殊性にかんがみると,信用金庫の主要な貸出先である中小・零細企業の信用を評価するに当たっては,中小・零細企業の特性,すなわち,財務面における代表者等との一体性,企業の技術力,販売力や経営者本人の信用力等を勘案する必要があるというべきであるが,金融検査マニュアルは,本来は大企業を取引先とする銀行の資産査定を想定して策定されたものであるため,上記のような経営実態に応じ ,販売力や経営者本人の信用力等を勘案する必要があるというべきであるが,金融検査マニュアルは,本来は大企業を取引先とする銀行の資産査定を想定して策定されたものであるため,上記のような経営実態に応じた査定基準が示されておらず,金融検査マニュアルが信用金庫に対して形式的・画一的に適用された場合,現実とはかけ離れた不当な査定結果が出るおそれがあった。 ところが,関東財務局長は,平成13年検査において,被告Aの貸出先である中小・零細企業の特性を考慮することなく,金融検査マニュアルを形式・画一的に適用し,貸出先の債務者区分を大幅に引き下げる査定を行った。 㨯また,被告国は,金融検査マニュアルを形式的・画一的に適用したにとどまらず,恣意的な運用を行った。 すなわち,金融検査マニュアルでは「直近の不動産鑑定士による鑑定評,価(中略)がある場合には担保評価額の精度が十分に高いものとして当該価-14 -格を処分可能見込額と取り扱って差し支えない」とされており,不動産鑑定士による評価について疑義を差し挟むことは要しないとされているところ,関東財務局長は,平成13年検査において,不動産鑑定士の評価の精度に疑義があるとして,被告Aの貸出金債権を保全するための担保物件の処分可能見込額を不動産鑑定士による担保評価額の90パーセントとした。不動産鑑定士による評価がある場合,精度が高いことについて合理的な根拠があるか否かについて検証することは,通常の検査の手順として想定されておらず,不動産鑑定士による担保評価額の精度に疑義があるとした平成13年検査は,金融検査マニュアルの恣意的な運用であり違法である。 また,被告国は,平成12年検査までは不動産鑑定士による担保評価額の,,100パーセントを処分可能見込額として認め平成13年検査と同時期に被告Aと営業地域をほぼ の恣意的な運用であり違法である。 また,被告国は,平成12年検査までは不動産鑑定士による担保評価額の,,100パーセントを処分可能見込額として認め平成13年検査と同時期に被告Aと営業地域をほぼ同じくするF信用金庫に対して行った金融検査の際にも,被告Aと同じ鑑定事務所が行った担保評価額の100パーセントを処分可能見込額として認めていることからしても,平成13年検査において金融検査マニュアルが恣意的に運用されたことは明らかである。 さらに,被告国は,平成13年検査においては,通常の倍の人数である12人もの検査官を派遣し,当初から被告Aによる自己査定をすべて否定する態度で臨み,通常の期間の3分の1である約1か月で検査を終了したものである。 㨯被告Aは,金融検査マニュアルの形式的・画一的適用及び恣意的運用により行われた平成13年検査の結果,多額の貸倒引当金の積み増しを余儀なくされ,14億7600万円の債務超過に陥ることとなり,被告国から,自主的に破綻申請しなければ業務停止命令を下すと圧力をかけられ,破綻申請を迫られた。 よって,平成13年検査は,被告国が有する監督権限を濫用する違法な権限行使であるから,被告国は,原告らに対し,国家賠償法1条1項に基づく-15 -損害賠償責任を負う。 (被告Aの主張) 争点1(被告A職員の説明義務違反の有無)について㨯主張の要旨被告Aは,原告らが主張する説明義務を何ら負うものではなく,また,出,,資の基本的性格及びリスクについては仮に説明義務を負っているとしても原告らに対する説明を尽くしているから,被告Aが,原告らに対し,民法715条に基づく損害賠償責任を負うことはない。 㨯出資の基本的性格及びリスクに関する説明義務違反ア「出資」が事業への資金の拠出を意味し,事業が破綻した場合には返還不 告Aが,原告らに対し,民法715条に基づく損害賠償責任を負うことはない。 㨯出資の基本的性格及びリスクに関する説明義務違反ア「出資」が事業への資金の拠出を意味し,事業が破綻した場合には返還不能となることは,通常人において十分理解可能な事柄である。 また,信用金庫に対する出資金は「金融商品の販売等に関する法律」,が規定する金融商品ではなく,投機の対象となるような性質のものではない。唯一,信用金庫に対する出資について想定されるリスクは,信用金庫の破綻しかなく,先物取引や変額保険などが有するリスクとは自ずから異なるものである。 したがって,被告A職員が出資を勧誘するに当たっては,出資の勧誘をしていることを明確にすれば十分であり,それ以上に出資の基本的性格やリスクについてまで説明義務を負うものでないというべきである。 また,相互援助資金制度は,本来的に元本が保証されていない出資金について,例外的かつ政策的に恩典を与えていたにすぎないのであるから,同制度の改変によって出資金が全額保護されなくなることまでの説明義務を負うものでないことは当然である。 イ仮に,被告A職員が出資の基本的性格やリスクについて説明義務を負うとしても,被告A職員は,原告らに対し,これらについて十分な説明を行っていたものである。 -16 -すなわち,被告A職員は,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方に対し,特に預金との混同を避けるため,出資金は元本が保証されているわけではなく,万一被告Aが破綻するようなことがあれば,出資金が回収不能となる可能性がある旨説明していた。また,出資金の払戻しには時間がかかり,預金をキャッシュカードで引き出すような単純なものではないことも十分に説明していた。さらに,被告Aでは,預金の利率と出資金の配当率を比較して,配当率の良さばかりが強調されない 戻しには時間がかかり,預金をキャッシュカードで引き出すような単純なものではないことも十分に説明していた。さらに,被告Aでは,預金の利率と出資金の配当率を比較して,配当率の良さばかりが強調されないよう,営業担当者に厳しく指導しており,各営業担当者は,出資の勧誘に際し,単純に当時の配当率の説明を行うだけでなく,それが業績等によって変動し得るものであること。 ,,,の説明を行っていたそもそも出資をしようとする者は出資に際して必ず出資申込書を記載するとともに,出資金相当額の振込若しくは振替のための手続をとり,後日,出資証券を受領するのであるから,出資者において,出資と預金とを混同することは考えられない。 以上のとおり,被告A職員は,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方が出資の意味内容を十分に理解し得るように慎重に説明を行っていたのであるから,被告A職員に説明義務違反は存しない。 㨯被告Aの経営状況に関する説明義務違反ア被告Aの経営状況㨯被告Aは,いわゆるバブル経済崩壊後の厳しい情勢下においても,平成10年度までは黒字決算を続けており,同年度には2億6000万円余りの利益を計上していた。 被告Aは,平成11,12年度と2期連続して赤字決算となったもの,,のこれは多額の貸倒引当金を新たに繰り入れたことによるものであり金融機関としての本来業務による収益力の指標となる業務純益は年間10億円を超えていた。 被告Aでは,経営計画を策定し,適正な業務純益の確保,出資金の増-17 -強,不良債権の回収,経費の圧縮等により経営状況の改善を図ることとしていたが,平成11,12年度とも,業務純益の実績は計画を上回っていたのであり,人件費の削減や不良債権の回収についても順調に推移していたことから,被告Aの経営状況の改善は進んでおり,被告Aが直 していたが,平成11,12年度とも,業務純益の実績は計画を上回っていたのであり,人件費の削減や不良債権の回収についても順調に推移していたことから,被告Aの経営状況の改善は進んでおり,被告Aが直ちに経営危機に陥るようなことは全く想定されていなかった。実際上,平成13年度についても,計画では10億9800万円の業務純益を予定していたが,上半期はこれを上回る水準の実績を上げていた。また,平成12年度までに多額の貸倒引当金を計上していたことから,貸倒引当金の計上は一段落したと考えており,特に,平成12年度分については,G中央金庫(以下「G中金」という)から,被告Aによる自己査。 定が正確であるとの評価を受けていたことから,平成13年度に多額の貸倒引当金の計上を余儀なくされることなど予想していなかった。 したがって,被告理事らは,平成13年度以降,被告Aの経営状況が,. 改善するものと考えていたところであり同年9月11日のいわゆる911テロ事件の発生により景況が悪化し,平成13年検査が実施されて破綻に追い込まれるまで,被告Aが破綻に瀕した経営状況であるなどとは考えたことはなかった。まして,第1次出資金増強運動が行われた平成11年度は,被告Aが初めて経常損失を計上した年度であり,破綻の可能性など認識すべくもなかったことは明らかであり,第2次出資金増強運動が行われた平成12年度についても,多額の貸倒引当金の積み増しにより,貸倒引当金の計上は一段落し,平成13年度以降は経常収益が上がるものと考えていたのであるから,被告理事ら及び被告A職員において,被告Aの経営状況が破綻に瀕しているなどとは考えられるはずもない状況であった。 㨯原告らは,被告Aが,日銀考査や平成12年検査に起因する自己資本比率の低下を理由として出資金増強運動を実施した旨主張す 告Aの経営状況が破綻に瀕しているなどとは考えられるはずもない状況であった。 㨯原告らは,被告Aが,日銀考査や平成12年検査に起因する自己資本比率の低下を理由として出資金増強運動を実施した旨主張するが,出資-18 -金増強運動は,日銀考査や平成12年検査の前から計画されていたことであり,被告Aの経営体質を強化する種々の施策の一環として従来の計画どおりに行われたにすぎない。出資金増強については,金融庁からも指示を受けていたところであり,自己資本比率を上げる施策の一環として出資金の増強を選択することに合理性があることは明らかであり,しかも,債務超過の状態にあることを認識しつつ出資を募ったわけでもないのであるから,被告理事らの経営判断が不合理であったとは到底いえない。 㨯また,原告らは,繰延税金資産の計上が過大であった旨主張するが,多額の貸倒引当金を計上すれば,その分,繰延税金資産の計上額が増えることもやむを得ないのであり,他の金融機関と比較しても計上額が過大であるとはいえない。被告Aの場合,平成11,12年度と2期赤字決算が続いていたものの,平成13年度以降は黒字決算が可能であると考えており,会計監査人からも繰延税金資産の計上に関して問題点を指摘されたことはない。 㨯さらに,原告らは,平成11年度以降の有価証券の保有高の増加を問題視するが,当時は,本業である貸出金の伸びが非常に鈍く,それによって得られる利益は減少傾向にあったところ,日経平均株価の底値感の強まり,情報通信株や新規公開銘柄の株価の急騰,株式売買委託手数料の自由化,インターネット・トレーディングの普及等により,株式を始めとする有価証券投資に絶好の状況が整いつつあった時期であった。被告Aとしては,あくまでも長期保有により毎期安定した運用益を確保することを目的として,投 ット・トレーディングの普及等により,株式を始めとする有価証券投資に絶好の状況が整いつつあった時期であった。被告Aとしては,あくまでも長期保有により毎期安定した運用益を確保することを目的として,投資信託等の保有高を増加させたものであり,当時,有価証券以外に有望な投資先が存したとは到底いえない状況であったため,その判断自体は何ら非難されるべきことではない。 イ被告Aの経営状況に関する説明義務違反-19 -㨯出資金は市場で取引されるものではなく,投機の対象とはなり得ないものであり,元本割れをする場合とは,被告Aが破綻する場合しか想起できないところ,抽象的な破綻の可能性はすべての信用金庫について存在するものであるから,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方に対し,抽象的な破綻の可能性について説明する義務などなく,説明を要するのは,具体的に破綻が差し迫っているか,実質的に破綻状況にあると認識しているときに限られるというべきである。 㨯平成11年度中は,前年度が黒字決算であったため,客観的に経営体質が不良であるとか,破綻の可能性のある状況になかったことは明らかである。したがって,平成11年度以前の出資者に対しては,被告Aの経営状況について説明する必要がなかったことは明らかである。 平成12年度については,前年度が赤字決算であったものの,被告Aの経営状況は債務超過とはほど遠く,引き続き経営改善策を推進することによって健全化することは十分可能であった。したがって,同年度においても,被告Aは,自らが破綻する可能性を全く認識しておらず,単に,自己の経営状況をより健全化して経営基盤の強化を図るべく努めていただけであって,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方に対し,被告Aが破綻する可能性があることについて説明する必要がなかったことは明らかである。 平成13年度 り健全化して経営基盤の強化を図るべく努めていただけであって,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方に対し,被告Aが破綻する可能性があることについて説明する必要がなかったことは明らかである。 平成13年度については,前々年度,前年度と2期連続して赤字決算であったものの,不良債権処理が相当程度終了していたことなどもあって,当期からは相応な収益が上がるものと考えていた。したがって,平成13年度についても,被告Aが破綻に瀕していることを知りつつ出資。 (,を募集したことはない平成13年度中に出資した原告ら8名原告49,17,24,27,34,38,42)については,出資の時期が前年度末に近接しているか,破綻の直接の原因となったいわゆる9.1-20 -1テロ事件以前の出資であることから,同人らの出資の際,被告Aの経営は悪化している状況にはなく,前年度までと同様に,出資の際の説明事項として殊更に経営状況に言及する必要はなかったというべきである。 㨯以上のとおり,被告Aは,原告らに対する出資の勧誘時,破綻状態にあったわけではなく,また破綻の可能性すら認識できない状況にあったのであるから,原告らに対し,具体的な経営状況について何らの説明義務を負うものではない。 争点2(被告A職員の優越的地位の濫用の有無(略)) 争点3(被告Aの出資金払戻協力義務違反の有無)原告らは,具体的な事実を摘示することなく,また,どのような行為が出資金払戻義務違反に当たるのか,どのような法的根拠によりそのような義務が発生するのかを明確にしておらず,原告らの主張は失当である。 また,被告A職員が,信金法16条1項及び定款13条1項の規定に反して原告らの権利行使を妨げるなどの具体的な事情があれば格別,そのような事情もなく,単に,現況で払戻しが困難であることや,いったん 。 また,被告A職員が,信金法16条1項及び定款13条1項の規定に反して原告らの権利行使を妨げるなどの具体的な事情があれば格別,そのような事情もなく,単に,現況で払戻しが困難であることや,いったん再考を促すにとどまる行為が,原告らの権利行使を不当に拒絶又は回避したことになるはずはない。 ,,,したがって被告Aは原告らの主張する出資金払戻協力義務違反に基づき何らの不法行為責任を負うものではない。 争点4(被告理事らの指導監督義務違反の有無)について被告A職員は,新人時代から,出資金の性格について研修を積み,融資業務などを通じて各人においてその理解を深めており,各職員は出資の性格を熟知していた。また,出資金は,価格変動がなく,被告Aが破綻しない限り元本が保証されるという低リスクのものであることからすると,出資の勧誘に際しての各職員の具体的な説明義務の程度は,総じて高くないことは明らかである。 -21 -したがって,被告理事らとしては,被告A職員に対し,具体的な勧誘方法まで指示する必要はなく,妥当な注意事項を示せば理事としての注意義務を果た,,,しているというべきであるところ被告理事らは出資金増強運動に当たって業務企画部長を通じて,各支店長宛に通知を発出し,注意事項として,①広く募集するのではなく,被告Aの理解者に依頼すること,②配当率を強調しないこと,③譲渡については信金法所定の手続によること,④大口の出資金の募集は慎むこと等を指示し,妥当な注意事項を示しているのであるから,理事としての注意義務を果たしているというべきである。 また,原告らは,被告理事らには,被告Aの厳しい経営状況及び破綻の可能性があることを説明し,それでも出資して被告Aの再建に協力してくれる顧客にのみ出資してもらうよう被告A職員を指導監督すべき義務がある た,原告らは,被告理事らには,被告Aの厳しい経営状況及び破綻の可能性があることを説明し,それでも出資して被告Aの再建に協力してくれる顧客にのみ出資してもらうよう被告A職員を指導監督すべき義務がある旨主張するが,前記1㨯のとおり,被告Aは債務超過の状態にあったわけではなく,被告,,,理事らにその認識もなかったのであるから被告理事らが被告A職員に対し被告Aの経営状況等を説明する必要はなかったものである。 したがって,被告Aの理事らには,理事としての注意義務違反はなく,何らの不法行為も成立することはないから,被告Aが民法44条1項(ただし,平成18年法律第50号による改正前のもの)に基づく損害賠償責任を負うことはない。 争点5(被告理事らの指導監督義務違反と原告らの損害との間の因果関係)について(略)(被告理事らの主張) 争点4(被告理事らの指導監督義務違反の有無)について㨯出資のリスク等に関する指導監督義務違反出資金が,株式と同様に,出資先が破綻した場合には返還不能となることは一般常識に属することであるから,被告A職員が,出資の勧誘に際し,出資のリスクについて説明義務を負うことはなく,そうである以上,被告理事-22 -らが被告A職員に対する指導監督義務を負うこともない。また,出資金は,本来的に元本が保証されておらず,相互援助資金制度の改正は,この本来的な性格に戻るだけのことであるから,被告A職員が,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方に対し,同制度の改変について説明義務を負うことはなく,そうである以上,被告理事らが被告A職員に対する指導監督義務を負うこともない。 また,被告A職員は,法的な説明義務を負うものではなかったとはいえ,出資の勧誘に際し,上司の指示ないしは信用金庫職員としての実務経験に基づいて,原告らに対し,出資と 指導監督義務を負うこともない。 また,被告A職員は,法的な説明義務を負うものではなかったとはいえ,出資の勧誘に際し,上司の指示ないしは信用金庫職員としての実務経験に基づいて,原告らに対し,出資と預金との相違等の説明を尽くしていたものである。 したがって,被告A職員に説明義務違反は認められず,これを前提とする被告理事らの指導監督義務違反も認められないというべきである。 㨯被告Aの経営状況に関する指導監督義務違反ア被告Aの経営状況について㨯平成11,12年度は,多額の貸倒引当金・貸出金償却を計上したことにより赤字決算となったが,業務純益は計画以上の数字を確保していたこと,貸倒引当金・貸出金償却の計上が一段落したこと,首都圏の一部の地域の地価に下げ止まりないし上昇傾向がみられるようになってきたこと,景気が回復基調にあったことなどにより,被告理事らは,経営改善計画を着実に実行していけば,平成13年度以降,被告Aの経営状況を改善することは十分可能であると見込んでいた。現に,平成13年度に入ってからは,被告Aの業績は計画どおりに順調に推移していた。 㨯原告らは,日銀考査や平成12年検査の結果が厳しいものであると予想されたことから,4パーセント台の自己資本比率を維持するための決算対策として出資金増強運動が実施されたと主張するが,第1次出資金,,増強運動は被告Aの経営体質の強化を図るための諸施策の一環として-23 -日銀考査の実施の連絡がなされる前から計画されていたものであり,4パーセント台の自己資本比率を維持するための決算対策だけを目的として行われたものではない。このことは,平成11年度決算においては,第1次出資金増強運動による出資金の増加分を計算に入れなくとも,4パーセント台の自己資本比率を維持することができていたことからも明 て行われたものではない。このことは,平成11年度決算においては,第1次出資金増強運動による出資金の増加分を計算に入れなくとも,4パーセント台の自己資本比率を維持することができていたことからも明らかである。また,平成12年度決算においても,第2次出資金増強運動による出資金の増加分を計算に入れなくとも,4パーセント台の自己資本比率を維持していたのであるから,第2次出資金増強運動が,4パーセント台の自己資本比率を維持するための決算対策だけを目的として行われたものではないことも明らかである。 㨯原告らは,繰延税金資産の計上が過大である旨主張するが,繰延税金資産は貸倒引当金が増加すればそれに伴って増加するものである。平成13年3月ころは,大半の金融機関が,不良債権の処理に伴い多額の繰延税金資産を計上しており,被告Aが計上した繰延税金資産は,大手銀行と比較しても特に過大であったとはいえない。また,原告らは,繰延税金資産の回収可能性に疑問がある旨主張するが,会計監査人は,計算内容や利益計画等を検討した上で,被告Aの計上した繰延税金資産が妥当な金額であると承認しており,被告理事らは,平成13年度からの5か年計画を遂行することによって,繰延税金資産を十分回収可能と考えていたものである。被告理事らは,平成13年度が赤字決算であった場合には繰延税金資産が取り崩されることを理解していたが,同年度は黒字決算を計画しており,業績も順調に推移していたのであるから,繰延税金資産が取り崩される事態など全く予想していなかったものである。 㨯原告らは,有価証券の保有高の増加を問題視するが,被告Aが保有していた有価証券の大半は分散投資型の投資信託であり,個別銘柄に対する株式投資と異なりリスクは少ないものであった。また,売買差益では-24 -なく,長期保有による運 加を問題視するが,被告Aが保有していた有価証券の大半は分散投資型の投資信託であり,個別銘柄に対する株式投資と異なりリスクは少ないものであった。また,売買差益では-24 -なく,長期保有による運用益を目的とするものであったのであるから,株価が変動しても直ちに被告Aの損益に大きく影響することはない。投資信託が増加したのは,不況の影響により被告Aの本業である貸出金業,,,務が停滞していたことが背景にあるがこの当時は多くの金融機関が運用益を見込んで有価証券に対する投資を増加させていたのであり,被告Aが特に過大な投資やリスクの大きな投資を行っていたわけではない。被告理事らが有価証券投資を増加させたことは,その当時における被告Aの経営状況の下では,至極当然の経営判断であったというべきである。 㨯出資金増強運動当時の被告Aの経営が厳しかったことは事実であるが,被告Aが破綻したのは異常に厳しい平成13年検査が原因であり,被告Aは,出資金増強運動当時,破綻に至ることが予想されるような危機的状況にはなく,被告理事らには,被告Aの破綻の予見可能性はなかったものである。 イ被告理事らの経営状況に関する指導監督義務違反原告らは,被告理事らには,被告A職員に対し,被告Aの経営状況が極めて悪化しており,被告Aが破綻することにより出資金が返還不能となる可能性があることを説明した上で,それでも出資して,被告Aの再建に協力しようとする者に限って出資を勧誘するよう指導監督すべき義務があった旨主張するが,上記アのとおり,出資金増強運動当時,被告Aが破綻するような状況にはなく,被告理事らが破綻を予見することは不可能であったから,被告理事らがかかる指導監督義務を負うことはない。 争点5(被告理事らの指導監督義務違反と原告らの損害との間の因果関係)について( 況にはなく,被告理事らが破綻を予見することは不可能であったから,被告理事らがかかる指導監督義務を負うことはない。 争点5(被告理事らの指導監督義務違反と原告らの損害との間の因果関係)について(略)(被告国の主張) 争点6(被告国の被告Aに対する監督権限不行使の違法性)について-25 -㨯国家賠償法1条1項の要件とされている違法性は,国又は公権力の行使に当たる公務員が,個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反して,,,当該行為を行う場合に認められるところ信金法1条は同法の目的として「預金者等」の保護を掲げているが,同条にいう「預金者等」とは,預金者及び定期積金の積金者を指し,信用金庫の出資者は含まれない。また,信用金庫は,信用秩序の維持,預金者の保護,国民経済に対する資金供給という役割・機能を有しているため,その業務に強い公共性が認められ,この信用金庫の公共性こそが国による公的介入の根拠となっているものである。 したがって,信用金庫の公共性と無関係な出資者保護という目的のみを根拠として,信用金庫に対する検査・監督権限を行使することはできないというべきである。 㨯仮に,被告Aに対する関東財務局の監督権限の不行使が違法となる余地があるとしても,これは原告らの主張する被告A職員による違法・不当な出資勧誘行為が存在して初めて問題となるところ,被告Aは,本件訴訟において説明義務違反の有無を争っており,取調べ済みの証拠からみても被告A職員に説明義務違反があったとは認められないから,原告らの主張は前提を欠き失当である。 また,一般に,行政庁は監督権限の行使について広範な裁量を与えられているため,国による監督権限の不行使が違法となるのは,監督権限を行使すべき作為義務が発生しており,その作為義務に違反した場合に限られる。した に,行政庁は監督権限の行使について広範な裁量を与えられているため,国による監督権限の不行使が違法となるのは,監督権限を行使すべき作為義務が発生しており,その作為義務に違反した場合に限られる。したがって,金融機関に対する監督権限の不行使が違法であるといえるためには,具体的な作為義務の内容が特定される必要があるところ,原告らは,被告国の職員が被告Aの出資金の増加を把握していたことを指摘するだけで,いかなる時点で被告Aが違法な出資勧誘をしていることを認識し得たのか,いかなる時期にいかなる内容の監督権限を行使すべきだったのかにつき明らかにしておらず,作為義務の内容が十分に特定されていない。よって,原告-26 -らの主張は失当である。 原告らは,被告Aの出資金が短期間に増加していることや,被告Aの経営状況が悪化していたのに出資金を募集していたことから,関東財務局が被告Aによる違法・不当な出資勧誘を認識し得た旨主張しているが,出資金が増えること自体は何ら不自然ではなく,出資金が増加した時期に,関東財務局に対し,出資者等から勧誘方法に関して多数の苦情が寄せられていたというような特段の事情もなかったのであるから,関東財務局において,被告Aによる出資金募集が違法・不当な勧誘方法を用いてなされているとの認識を持ち得なかったというほかない。経営状況が悪化していても,出資金募集により事業が好転する場合も多く,常に破綻するわけではないし,被告Aは一定水準以上の業務純益を維持していたのであるから,配当を期待して出資することも十分あり得ることであり,関東財務局が,被告Aの経営状況の悪化を知っていたことが,違法・不当な勧誘方法を用いて出資金を募集しているとの認識につながるとはいえない。 また,原告らは,被告国による被告Aに対する行政指導を先行行為として位置付け Aの経営状況の悪化を知っていたことが,違法・不当な勧誘方法を用いて出資金を募集しているとの認識につながるとはいえない。 また,原告らは,被告国による被告Aに対する行政指導を先行行為として位置付けた上,これに基づき被告Aの出資勧誘を監督すべき作為義務を課しているが,自己資本比率改善の方策としては遊休資産の売却などの他の手段もあり,出資金増強はその一手段にすぎないため,被告Aによる個別の出資の勧誘行為を特に注意して監督すべきものではないし,そもそも,金融機関は本来独立の経済主体として,自律主義と契約自由の原則の下で自由に経済活動を行うのが原則であって,被告国による行政指導によって,被告Aの個別の出資の勧誘行為まで監督すべき義務が発生すると考えることには無理がある。 㨯したがって,被告国が,原告らに対し,監督権限の不行使を理由として,国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはない。 争点7(平成13年検査の違法性)について-27 -㨯形式的・画一的適用の違法について金融検査マニュアルは,監督当局の検査監督機能の一層の向上及び透明な行政の確立を図るとともに,金融行政全体に対する信頼を確立する観点から整備・公表された通達であり,検査官が金融機関を検査する際の手引書として位置付けられる。公務員は,通達によって裁量権行使の内部基準が定められている場合,当該基準に従って行政行為を行う職務上の義務があり,当該基準に従った職務執行が行われた場合,当該基準の内容が明白に不合理でな,。 い限り当該基準に適合した当該公務員の職務行為が違法となる余地はない原告らは,金融検査マニュアルが大企業を取引先とする銀行の資産査定を想定して策定されたものである旨主張するが,金融検査マニュアルは,預金等受入金融機関に対する金融検査の際に等しく適用される 地はない原告らは,金融検査マニュアルが大企業を取引先とする銀行の資産査定を想定して策定されたものである旨主張するが,金融検査マニュアルは,預金等受入金融機関に対する金融検査の際に等しく適用されるものであり,いわゆる大銀行の検査だけを想定したものではなく,金融機関の規模の大小等により債務者の信用リスクに差が生じるものではないことから,金融機関の規模により異なる検査マニュアルを策定することは適当ではない。また,金融検査マニュアルには「中小・零細企業等については,当該企業の財務状況,のみならず,当該企業の技術力,販売力や成長性,代表者等の役員に対する報酬の支払い状況,代表者等の収入状況や資産内容,保証状況と保証能力等を総合的に勘案し,当該企業の経営実態を踏まえて判断する」旨示されているのであって,中小・零細企業の特性をも考慮に入れた内容となっている。 ゆえに,金融検査マニュアルは,中小金融機関に対しても,査定基準としての合理性,妥当性を有しており,金融検査マニュアルの定める査定基準を用いて,検査官が被告Aの検査を行ったとしても何ら違法の問題を生じない。 なお,平成13年検査は,あくまでも被告Aの自己査定ガイドラインに照らして自己査定が適切になされているかを検証したにすぎず,検査官が一方的に被告Aの自己査定結果を否定したり,検査官の判断で被告Aの自己査定の債務者区分の変更を求めたものではない。 -28 -よって,平成13年検査に当たり,関東財務局の検査官が,中小金融機関である被告Aに対して,金融検査マニュアルの査定基準を適用して査定を行ったとしても,そのゆえをもって査定が違法と評価されるものではなく,原告らの主張は失当である。 㨯恣意的運用の違法について金融検査マニュアルにおいては,貸出金債権を保全するための担保物件の処分可能見込額に も,そのゆえをもって査定が違法と評価されるものではなく,原告らの主張は失当である。 㨯恣意的運用の違法について金融検査マニュアルにおいては,貸出金債権を保全するための担保物件の処分可能見込額について,客観的・合理的な方法で算出されているかを検証することとされている。したがって,金融機関が不動産鑑定士の算出した価格を担保評価額としている場合であっても,担保評価額の精度に疑義があれば,例えば,実際の処分価格と不動産鑑定士の算出した価格がかい離しているようであれば,合理性・客観性の観点から,掛け目を乗じた処分可能見込額を妥当と判断することがあるのであって,不動産鑑定士の評価について疑義を差し挟むことは要しないとする原告らの主張は,独自の解釈というほかない。 そもそも,被告Aの担保物件の担保評価額は,いわゆる簡易鑑定によるものにすぎず,その精度が十分に高いとは認められず,被告Aは,担保評価額に対する売却価格の割合を勘案し,自ら掛け目を90パーセントで算定するよう申し出て,検査官もそれを妥当と判断したものである。 また,原告らは,平成12年検査においては,鑑定士による担保評価額が100パーセント認められていたとか,平成13年検査と同時期に行われたF信用金庫に対する検査においては,被告Aと営業地域もほぼ同じであり,鑑定事務所も同じであるにもかかわらず,担保評価額が100パーセント認められていることなどを指摘するが,平成13年検査と時点あるいは被検査金融機関を異にすれば,前提となる事情は当然異なっているのであるから,それらと異なる取扱いとなったことのみをもって,金融検査マニュアルの恣意的な運用が行われた根拠とはなり得ないというべきである。 -29 -さらに,原告らは,平成13年検査では,通常の倍の人数の検査官が派遣され,通常の3分の1の日数で をもって,金融検査マニュアルの恣意的な運用が行われた根拠とはなり得ないというべきである。 -29 -さらに,原告らは,平成13年検査では,通常の倍の人数の検査官が派遣され,通常の3分の1の日数で終了するなど,当初から被告Aの自己査定を否定する意図で検査が行われたと主張するが,検査官の人数及び立入検査日数は,被検査金融機関の規模や検査スケジュール等により当然異なるものであるから,検査官の人数や検査期間の点は,原告らの主張の根拠となり得るものではない。 㨯なお,原告らは,被告国が,被告Aに対し,破綻申請を強要した旨主張するが,関東財務局においては,平成13年検査の結果が既に明らかになっているのであるから,被告Aに対して破綻申請を強要する必要はなく,実際に破綻申請を強要した事実はない。 㨯よって,平成13年検査及びその後の被告Aの破綻申請に関し,関東財務局の対応に何ら違法な点は存しないから,被告国が国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を負うことはない。 第4当裁判所の判断 認定事実前記第2の1の前提事実,当裁判所に顕著な事実,証拠(各認定事実ごとに。),。 末尾に掲記する及び弁論の全趣旨を総合すると次の各事実が認められる㨯バブル経済の崩壊以後の金融機関を巡る情勢等アペイオフ解禁(略)イ地価公示額及び日経平均株価の推移(略)ウ早期是正措置の導入多くの金融機関が多額の不良債権を抱えることとなった原因としては,金融自由化の進展により金融機関の抱えるリスクが増大したにもかかわらず,自己責任意識の不徹底等から金融機関自身の経営の健全性確保が必ずしも十分でなかったこと,金融環境の激動期において,従来型の事前指導を中心とする行政手法では銀行等の経営の健全性を早期にチェックして是-30 -正を求めることができなかったこ 営の健全性確保が必ずしも十分でなかったこと,金融環境の激動期において,従来型の事前指導を中心とする行政手法では銀行等の経営の健全性を早期にチェックして是-30 -正を求めることができなかったことが指摘されていたところ,これに対処するため,金融機関の自己責任原則の徹底と市場規律に立脚した透明性の高い新たな金融行政への転換が進められることとなり,その一環として,平成10年4月1日に早期是正措置が導入された。 早期是正措置とは,自己資本比率が一定の水準を下回った金融機関が講じるべき是正措置の内容をあらかじめ定めておき,金融機関が一定の自己資本比率を下回った場合には,監督当局が銀行法26条に基づいて是正措置命令を発動し,早期に金融機関の経営改善への取組を促すことを目的とする行政手法である(以下略)。 エ金融機関による自己査定及び金融検査マニュアルの策定・公表(略)オ税効果会計の導入平成10年10月30日付けで公表された企業会計審議会の意見書及びこれに伴って改正された財務諸表等規則等並びに日本公認会計士協会が公表した実務指針等を受けて,税効果会計が導入された(税効果会計の全面的な適用は平成11年4月1日以後に開始する会計年度からであるが,平成10年度から適用しても差し支えないこととされた。 。)税効果会計とは,企業会計上の資産又は負債の額と課税所得計算上の資産又は負債の額に相違がある場合において,法人税等の金額を適切に期間配分することにより,法人税等を控除する前の当期純利益と法人税等を合理的に対応させることを目的とする会計処理である。税効果会計においては,一時差異(貸借対照表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額)に係る税金の額は,将来の会計期間において回収又は支払が見込まれない税金の額を 果会計においては,一時差異(貸借対照表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額)に係る税金の額は,将来の会計期間において回収又は支払が見込まれない税金の額を除き,繰延税金資産又は繰延税金負債として計上しなければならず,将来の回収の見込みについて毎期見直しを行わなければならないとされている。 繰延税金資産の回収可能性は,将来の課税所得の十分性等により判断す-31 -ることとなるが,将来年度の会社の収益力を客観的に判断することは実務上困難な場合が多いことから,日本公認会計士協会は「繰延税金資産の,回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」を発表し,繰延税金資産の回収可能性を判断する場合の実務指針を明らかにしている。これによれば,将来減算一時差異を十分に上回る課税所得をおおむね3期以上計上している会社(十分会社)の場合には,繰延税金資産の全額について回収可能性があると判断できるとしており,当期及びおおむね過去3期以上連続してある程度の経常利益を計上し,業績は安定しているが,将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得がない会社(安定会社)の場合には,合理的なスケジューリングに基づき計上された繰延税金資産について回収可能性があると判断できるとしている。また,過去の経常的な損益が大きく増減しているなど,業績が不安定であり,将来減算一時差異を十分に上回るほどの課税所得が発生していない会社(不安定会社)の場合には,おおむね5年以内の課税所得の見積額を限度として,合理的なスケジューリングに基づき計上された繰延税金資産について回収可能性があると判断できるとしている。さらに,期末において重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社(欠損会社)の場合には,原則として,翌期に課税所得の発生が確実に見込まれる場合に限り, 産について回収可能性があると判断できるとしている。さらに,期末において重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社(欠損会社)の場合には,原則として,翌期に課税所得の発生が確実に見込まれる場合に限り,翌期の課税所得を限度として,合理的なスケジューリングに基づき計上された繰延税金資産について回収可能性があると判断できるとしているが,重要な税務上の繰越欠損金が,例えば,事業のリストラクチャリングや法令等の改正などによる非経常的な特別の原因により発生したものであり,それを除けば課税所得を毎期計上している会社の場合には,おおむね5年以内の課税所得の見積額を限度として,合理的なスケジューリングに基づき計上された繰延税金資産について回収可能性があると判断できるとしている。そして,おおむね3期以上連続して重要な税務上の欠損金を計上している会社で,当期も重要な税務上の欠損金の-32 -計上が見込まれる会社,債務超過の状況にある会社,資本の欠損の状況が長期にわたっており,短期間に当該状況の解消が見込まれない会社(債務超過等会社)の場合には,原則として繰延税金資産の回収可能性はないものと判断するとされている。 カ時価会計の全面的な導入従前,有価証券の価額を貸借対照表に計上するに際しては,大蔵省企業会計審議会が定めた企業会計原則により,原則として購入代価に一部修正を施した取得原価をもって貸借対照表価額とし,例外的に,時価が著しく下落したときは,回復する見込みがあると認められる場合を除き,時価をもって貸借対照表価額としなければならないとされていたところ,大蔵省企業会計審議会は,平成11年1月22日付けで「金融商品に係る会計,基準」を公表し,平成13年4月1日以後開始する事業年度から,売買目的有価証券,満期保有目的の債券,子会社及び関連会社株式以外の有価 業会計審議会は,平成11年1月22日付けで「金融商品に係る会計,基準」を公表し,平成13年4月1日以後開始する事業年度から,売買目的有価証券,満期保有目的の債券,子会社及び関連会社株式以外の有価証券(以下「その他の有価証券」という)は,時価をもって貸借対照表価。 額とし,評価差額の合計額を資本の部に計上するか(全部資本直入法,)時価が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額を資本の部に計上し,時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額を当期の損失として処理する(部分資本直入法)こととされた。 日本公認会計士協会は,上記会計基準を踏まえ「金融商品会計に関す,る実務指針」を発出しているが,これによれば,その他の有価証券は,長期的には売却することが想定される有価証券であり,長期的な時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券が含まれることとされている。 キ相互援助資金制度信用金庫の出資金については,従来,信用金庫業界の信用維持等を目的として,全国の信用金庫及びG中金が財源を捻出し,経営危機に陥った信-33 -用金庫の再編に際し資金援助を行う相互援助資金制度(昭和46年創設),。 により信用金庫が破綻した場合であっても出資金全額が保護されていたしかし,平成12年9月の改正により,平成13年4月1日からは,平成14年3月31日までに事業譲渡等を完了したものに限り,正常な会員に対し1万円を限度に保護されるよう改められ,平成13年11月の改正により,平成14年4月1日からは,破綻した信用金庫に係る出資金は一切保護されないこととなった。 㨯金融検査マニュアルの具体的内容ア留意事項(略)イ自己査定及び償却・引当に関する検査の方法(略)ウ自己査定基準の適切性の検証(略)エ自己査定結果の正確性の検証検査官は,次に掲げる 㨯金融検査マニュアルの具体的内容ア留意事項(略)イ自己査定及び償却・引当に関する検査の方法(略)ウ自己査定基準の適切性の検証(略)エ自己査定結果の正確性の検証検査官は,次に掲げる方法により,金融機関の自己査定が自己査定基準に則って正確に行われているかどうかを検証することとされている。 㨯債務者区分貸出先である債務者を「正常先「要注意先「破綻懸念先「実,」,」,」,質破綻先「破綻先」に区分する(以下略)」,。 債務者区分は,債務者の実態的な財務内容,資金繰り,収益力等により,その返済能力を検討し,債務者に対する貸出条件及びその履行状況を確認の上,業種等の特性を踏まえ,事業の継続性と収益性の見通し,キャッシュフローによる債務償還能力,経営改善計画等の妥当性,金融,,機関等の支援状況等を総合的に勘案し判断することとされており特に中小・零細企業については,当該企業の財務状況のみならず,当該企業の技術力,販売力や成長性,代表者等の役員に対する報酬の支払状況,代表者等の収入状況や資産内容,保証状況と保証能力等を総合的に勘案し,当該企業の経営実態を踏まえて判断するものとされている。 -34 -㨯資産の分類上記㨯の債務者区分を前提に,次に掲げる方法により,債権回収の危険性又は価値の毀損の危険性の度合いに応じて,資産をⅠ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳの4段階に区分する。Ⅰ分類とする資産は,Ⅱ分類,Ⅲ分類,Ⅳ分類としない資産であり,回収の危険性又は価値の毀損の危険性について,問題のない資産をいう。Ⅱ分類とする資産は,債権確保上の諸条件が満足に充たされないため,あるいは,信用上疑義が存する等の理由により,その回収について通常の度合いを超える危険を含むと認められる債権等の資産をいう。Ⅲ分類とする資産は,最終の回収又は価値につい 件が満足に充たされないため,あるいは,信用上疑義が存する等の理由により,その回収について通常の度合いを超える危険を含むと認められる債権等の資産をいう。Ⅲ分類とする資産は,最終の回収又は価値について重大な懸念が存し,損失の発生の可能性が高いが,その損失額について合理的な推計が困難な資産をいう。Ⅳ分類とする資産は,回収不可能又は無価値と判定される資産をいう(以下略)。 オ償却・引当基準の適切性の検証(略)カ償却・引当結果の適切性の検証(略)㨯被告Aの破綻に至る経緯ア平成10年度までの状況被告Aは,千葉県北西部地域を中心に活動していたが,取引先の大半は中小・零細企業であり,不動産,土木,建設関連の企業が多かったため,バブル経済の崩壊後,取引先の経営環境の悪化により,多額の不良債権を抱えるに至った。 被告Aは,平成8,9年度に,多額の貸出金償却及び貸倒引当金の計上により,多額の損失を計上したが,積立金を取り崩し,これを特別利益として計上することなどにより,平成8,9年度とも黒字決算を維持することができていた。 また,平成10年度についても,平成8,9年度ほどではないものの,貸出金償却を行ったが,黒字決算を維持することができていた。 -35 -もっとも,金融機関の最大の収益源である貸出金利息による収益は,平成8年度が53億9770万円,平成9年度が46億9769万3000円,平成10年度が44億9399万2000円と減少傾向にあった。 なお,被告Aの自己査定に基づく平成9年3月31日,平成10年3月,,. 31日平成11年3月31日時点における自己資本比率はそれぞれ562パーセント,5.56パーセント,4.72パーセントであった。 イ日銀考査被告Aは,平成11年7月の金融検査マニュアルの公表後間もなく,金融検査マニュアル 時点における自己資本比率はそれぞれ562パーセント,5.56パーセント,4.72パーセントであった。 イ日銀考査被告Aは,平成11年7月の金融検査マニュアルの公表後間もなく,金融検査マニュアルに基づいて自己査定基準を作成したが,日本銀行は,同年10月14日から同月29日にかけて,被告Aに対し,被告Aの自己査定基準に基づく資産査定の検証を目的として,同年9月30日を検査基準日とする日銀考査を実施した。 被告Aは,考査担当者から,自己査定基準自体に不備がある旨や適切な,,債務者区分がされていない旨を指摘されⅢ分類及びⅣ分類の債権につき自己査定では15億円としていたところを55億円と査定された。 被告Aは,日銀考査の結果を受け,他の信用金庫,G中金及び監査法人等の意見を聞き,自己査定基準を大幅に改訂し,これに基づいて平成11年9月30日時点における自己資本比率を算出し直したところ,自己資本比率は2.38パーセントであった。 ウ第1次出資金増強運動被告Aは,自己資本比率の向上を目的として,理事長,専務理事,常務理事及び常勤理事により構成される常勤理事会の決定に基づき,平成11年10月1日から平成12年3月31日までの間,第1次出資金増強運動を実施したが,これに伴い,被告Aの業務企画部長は,平成11年9月2,,,,2日付けで各営業店長に対し全店の目標総額各営業店ごとの目標額実施期間及び募集に当たっての注意事項を記載した通知文を発出した。同-36 -通知文には,募集に当たっての注意事項として,①広く募集するのではな,,,く被告Aの理解者に依頼すること②高配当である旨を強調しないこと③出資金の売却,現金化には相当の期間を要する旨を説明すること,④大口金額(100万円以上)の募集を慎むこと等が記載されていた。また,被 被告Aの理解者に依頼すること②高配当である旨を強調しないこと③出資金の売却,現金化には相当の期間を要する旨を説明すること,④大口金額(100万円以上)の募集を慎むこと等が記載されていた。また,被告Aの業務企画部長は,平成11年10月6日付けで,各営業店長に対し,募集に当たっての注意事項を訂正する旨の通知文を発出したが,同通知文には,①広く募集するのではなく,被告Aの理解者に依頼し,募集地域は営業地区内に限ること,②配当率(平成8年度ないし平成10年度は4パーセントであり,平成11,12年度は3パーセントであった)を。 強調しないこと,③出資金の譲渡については信金法上の手続による旨を説明し,譲渡には相当の期間を要する旨を説明すること,④大口金額(100万円以上)の募集を慎むこと等が記載されていた。 なお,上記のとおり,出資金増強運動については,各支店ごとに目標額が設定されているが,目標が達成された場合の報償や未達成の場合のペナルティーはなく,各職員の出資金募集件数や金額が勤務成績の評価対象になることもなかった。 ,,被告Aの出資金総額は平成9年3月31日時点では8億4809万円平成10年3月31日時点では8億6400万円,平成11年3月31日時点では8億6000万円と,ほぼ横ばいで推移していたが,第1次出資金増強運動の結果,平成12年3月31日時点では11億2700万円となり,前年に比べ2億6700万円増加した。 エ平成11年度決算被告Aの平成11年度決算は,預け金利息,有価証券利息配当金,株式等売却益の増加等により,前年比約3パーセント増の68億2608万6000円の経常収益を計上したほか,特別利益としてa支店の売却益3億1818万9000円を計上したものの,日銀考査の結果を踏まえ,貸倒-37 -引当金繰入額21億2700 ト増の68億2608万6000円の経常収益を計上したほか,特別利益としてa支店の売却益3億1818万9000円を計上したものの,日銀考査の結果を踏まえ,貸倒-37 -引当金繰入額21億2700万2000円及び貸出金償却7億5747万,,円を計上したことにより当期利益は▲8億5754万5000円となり創業以来初めての赤字決算となった。なお,金融機関の最大の収益源である貸出金利息による収益は,前年度より2億2997万8000円少ない42億6401万4000円であり,業務純益も,前年度より7億8615万9000円少ない10億1039万5000円であった。 また,上記イのとおり,被告Aの自己査定に基づく平成11年9月30日時点における自己資本比率は2.38パーセントであったが,第1次出資金増強運動による出資金の増加,株式の売却益増加,a支店の売却益などにより,被告Aの自己査定に基づく平成12年3月31日時点における自己資本比率は4.76パーセントとなった。 オ早期是正措置命令及び旧改善計画の提出金融庁長官は,上記イのとおり,平成11年9月30日時点における被告Aの自己資本比率が4パーセントを下回ったことから,平成12年3月9日付けで,被告Aに対し,3か年の経営改善計画の提出を求める早期是正措置命令を発動し,被告Aは,同年4月10日付けで,金融庁長官に対し,経営改善計画(以下「旧改善計画」という)を提出した。 。 旧改善計画は,貸出金,手数料収入の増加等による業務純益の確保,出,,,資金の増強不良債権回収の推進経費の圧縮等を内容とするものであり平成12年度の計画は,10億4700万円の業務純益の確保,4億円の出資金増強,新規不良債権発生の防止,要注意先に対する債権の管理,破綻懸念先以下の債権の早期回収,14億9000万円への物件 であり平成12年度の計画は,10億4700万円の業務純益の確保,4億円の出資金増強,新規不良債権発生の防止,要注意先に対する債権の管理,破綻懸念先以下の債権の早期回収,14億9000万円への物件費圧縮,7億4800万円への人件費圧縮を図り,自己資本比率4.58パーセントを確保するというものであった。 カ平成12年検査関東財務局長は,平成12年6月8日から同月27日にかけて,被告A-38 -に対し,同年3月31日を検査基準日とする平成12年検査を実施した。 被告Aは,検査官から,自己査定基準中の要管理先債権の定義並びに正常先,要注意先,要管理先及び破綻懸念先の引当の根拠となる将来の予想損失率の算出方法に問題があり,約30億円の貸倒引当金の計上が必要であると指摘された。 被告Aは,平成12年検査の結果を受け,自己査定基準を改訂することとし,これに基づいて平成12年3月31日時点における自己資本比率を算出し直したところ,自己資本比率は2.86パーセントであった。 平成12年9月20日に開催された理事会では,平成12年度の決算予測が議題とされたが,被告Bからは,平成12年検査において指摘された30億円の貸倒引当金について,保証人からの回収や担保の追加などによる資産分類の変更等により,債権回収を強化し,貸倒引当金の計上額の減少に努めるが,若干の赤字は覚悟しなくてはならない旨の話がなされるとともに,平成13年度以降についても,環境がより厳しくなると考えられるので,給与の一部カットや賞与削減などの人件費の削減を図り,経営基盤の強化を図っていきたい旨の話がなされた。 また,平成12年12月21日に開催された理事会では,被告Bから,同月8日付けで通知された平成12年検査の正式な検査結果(ただし,上記のとおり,遅くとも同年9月時点においては検査結果 話がなされた。 また,平成12年12月21日に開催された理事会では,被告Bから,同月8日付けで通知された平成12年検査の正式な検査結果(ただし,上記のとおり,遅くとも同年9月時点においては検査結果の概要は判明していた)について報告がなされた。また,被告Dから,平成12年度の決。 算見込み及び平成13年度から平成17年度までの経営計画(ふなしん新),。 5か年計画について説明がなされ同計画は理事会において承認されたこれによると,平成12年度決算は当期利益▲12億7200万円の見込みであり,5か年計画の初年度である平成13年度及び最終年度である平成17年度の当期利益の計画は,それぞれ2億6900万円,5億8600万円とされていた。 -39 -キ第2次出資金増強運動被告Aは,自己資本比率の向上を目的として,前年度に引き続き,平成12年12月1日から平成13年3月31日までの間,第2次出資金増強運動(目標額は4億円)を実施した。 なお,第2次出資金増強運動についても,各支店ごとに目標額が設定されているが,目標が達成された場合の報償や未達成の場合のペナルティーはなく,各職員の出資金募集件数や金額が勤務成績の評価対象になることもなかった。 被告Aの出資金総額は,平成12年3月31日時点では11億2700万円であったが,第2次出資金増強運動の結果,平成13年3月31日時,。 点では15億7100万円となり前年に比べ4億4400万円増加したク平成12年度決算被告Aの平成12年度決算は,4億4257万円の人件費削減を始めとする各種費用の圧縮に成功したものの,経常収益は前年比約15パーセント減の59億7851万3000円にとどまり,また,平成12年検査の結果を踏まえ,貸倒引当金繰入額23億5825万8000円及び貸出金償却2億4334万 功したものの,経常収益は前年比約15パーセント減の59億7851万3000円にとどまり,また,平成12年検査の結果を踏まえ,貸倒引当金繰入額23億5825万8000円及び貸出金償却2億4334万9000円を計上したことにより,当期利益は,▲9億9168万円となり,前年度に引き続き赤字決算となった。なお,金融機関の最大の収益源である貸出金利息による収益は,前年度より2億9601万2000円少ない39億6800万2000円であったが,業務純益は,前年度より3億6897万6000円多い13億7937万1000円であった。 また,後記ケのとおり,被告Aの自己査定に基づく平成12年9月30日時点における自己資本比率は3.04パーセントであったが,第2次出資金増強運動による出資金の増加,国債等債券売却益の増加,繰延税金資産の追加計上等により,被告Aの自己査定に基づく平成13年3月31日-40 -時点における自己資本比率は4.46パーセントとなった。 なお,決算直前の平成13年3月12日から同月15日にかけて,被告Aの依頼により,G中金考査部4名による実地調査が実施されたが,調査担当者から,被告Aの自己査定基準による自己査定は正確であると評価された。 ケ新改善計画の提出被告Aは,平成12年12月8日付けで,関東財務局長から,同年9月30日時点における自己資本比率について報告を求められたことから,改訂された自己査定基準に基づき自己資本比率を算出し,平成13年1月5日付けで,平成12年9月30日時点における自己資本比率が3.04パーセントである旨報告した。 金融庁長官は,被告Aの報告が旧改善計画(平成13年3月31日時点における自己資本比率を4.58パーセントとする計画)とかい離するものであったことから,平成13年4月5日付けで,旧改善計画を同 た。 金融庁長官は,被告Aの報告が旧改善計画(平成13年3月31日時点における自己資本比率を4.58パーセントとする計画)とかい離するものであったことから,平成13年4月5日付けで,旧改善計画を同年3月31日現在で見直しの上,再度提出するよう求め,被告Aは,同年5月11日付けで,新たな経営改善計画(以下「新改善計画」という)を提出。 した。 新改善計画は,旧改善計画と同様,貸出金,手数料収入の増加等による業務純益の確保,出資金の増強,不良債権回収の推進,経費の圧縮等を図り,平成13年度決算において2億2500万円の当期利益を計上し,平成14年3月31日時点における自己資本比率を4.61パーセントとすることを内容とするものであるが,具体的には,10億4600万円の業務純益を確保し(その前提として,貸出金を残高ベースで40億円増加させ,上期に年間目標の70パーセントを達成し,その他マイカーローン,カードローンを積極的に推進し,貸出金利回りの向上を指向する。また,各種手数料の見直しを図りながら増加に努める,債務者に対する出資。)-41 -金増額交渉等により1億円の出資金の自然増を図り,不良債権の回収のために,①貸出金の延滞管理の徹底を目的とする「延滞防止マニュアル」の,「」(,,,),作成②初期延滞防止特別月間5月8月11月2月の設定③破綻懸念先以下の債権を対象とする債務者ごとの回収方針の確立,④要「」(,,,注意先以下の債権を対象とする延滞債権回収月間5月6月9月10月)の設定,⑤貸出金償却を行った債権につき「債務者及び保証人訪問月間(7月,11月)の設定,⑥要注意先管理のための「要注意貸出」先チェック表「要注意貸出先管理カード」の作成等により,貸出金債」,権の期日管理を徹底 を行った債権につき「債務者及び保証人訪問月間(7月,11月)の設定,⑥要注意先管理のための「要注意貸出」先チェック表「要注意貸出先管理カード」の作成等により,貸出金債」,権の期日管理を徹底し,未収利息の回収に努めること,物件費計画は前年度実績対比で1億1300万円の削減を目指し,人件費についても前年度実績からさらに3億4700万円の削減を図ることなどを内容とするものであった。なお,新改善計画においては,平成13年度の貸倒金(個別貸倒引当金)の追加償却・引当予定額は9億円とされていた。 コ合併交渉被告Aは,平成13年3月ころから,F信用金庫との間で,合併交渉を,,,,開始したが同年10月ころに破談となりその後E信用金庫との間で合併交渉を開始したが,間もなくして,平成13年検査が実施されることとなったため,E信用金庫との合併交渉は平成13年検査が終了するまで延期となった。 サ平成13年検査関東財務局長は,平成13年12月12日から平成14年1月16日にかけて,被告Aに対し,平成13年3月31日を検査基準日とする平成13年検査を実施した。 平成13年7月から平成14年6月までの間における信用金庫に対する金融検査では,1金庫当たり,平均6.8人の検査官により,平均18. 0日間の立入検査日数で実施されたところ,平成13年検査における検査-42 -官の人数は12人であり,立入検査日数は15日間であった。 被告Aは,取引先の多くが正常先であると自己査定していたが,検査官から,債務者区分に関する自己査定が不適切である旨指摘された。 また,被告Aは,融資先に設定していた不動産担保等につき,いわゆる簡易鑑定による評価額をそのまま処分可能見込額として自己査定を行っていたところ,被告Aの平成12年1月から平成13年12月までの競売 また,被告Aは,融資先に設定していた不動産担保等につき,いわゆる簡易鑑定による評価額をそのまま処分可能見込額として自己査定を行っていたところ,被告Aの平成12年1月から平成13年12月までの競売を除く売却実例40件の売却価格が,簡易鑑定による評価額の87.59パーセントであったことから,検査官から,簡易鑑定による評価額をそのまま処分可能見込額として採用することは妥当ではないと指摘され,簡易鑑定による評価額の90パーセントを処分可能見込額とすることとなった。 ,,,最終的には被告Aの自己査定によればⅠ分類の債権が1858億円Ⅱ分類の債権が339億円,Ⅲ分類の債権が1億円,Ⅳ分類の債権が0円であったところ,検査官からは,Ⅰ分類の債権が1753億円,Ⅱ分類の債権が423億円,Ⅲ分類の債権が1億円,Ⅳ分類の債権が20億円であり,合計28億円の追加償却・引当が必要であると査定された。これに対し,被告Aからは,前記㨯エの意見申出はなされなかった。 なお,検査官による査定を前提とすると,被告Aは,平成13年3月31日時点において,18億円の資産超過の状態にあったと一応いえるものの,これは有価証券の含み損(後記シのとおり,同日時点における含み損は▲21億3000万円であった)を含まない数値であり,有価証券の。 含み損をも考慮に入れると,実質的には3億3000万円の債務超過の状態にあったこととなる。 シ有価証券の含み損について被告Aは,バブル経済崩壊後の長引く不況の影響により,金融機関の最大の収益源である貸出金利息による収益が停滞していたことから,有価証券取引を拡大させていたが,平成10年度以降,株式を対象とする投資信-43 -託の取引量を大幅に増加させた。 被告Aの投資信託を含む「その他の有価証券」の保有高は,平成9年3月31日時点では 価証券取引を拡大させていたが,平成10年度以降,株式を対象とする投資信-43 -託の取引量を大幅に増加させた。 被告Aの投資信託を含む「その他の有価証券」の保有高は,平成9年3月31日時点では39億2204万円,平成10年3月31日時点では40億9200万円,平成11年3月31日時点では61億1700万円,平成12年3月31日時点では101億4300万円,平成13年3月31日時点では94億5700万円であったが,平成10年3月31日時点では▲1億7000万円,平成11年3月31日時点では▲6億1900万円,平成12年3月31日時点では▲2億9200万円の含み損を抱えている状況であり,平成13年3月31日時点では▲21億3000万円と大幅に含み損を拡大させた。 被告Aの投資信託を含む「その他の有価証券」の保有目的は,長期保有による運用益にあったが,前記㨯カのとおり,長期保有による運用益を目的とする有価証券は,平成13年度以降,時価をもって貸借対照表価額とし,評価差額の合計額を資本の部に計上するか(全部資本直入法,時価)が取得原価を上回る銘柄に係る評価差額を資本の部に計上し,時価が取得原価を下回る銘柄に係る評価差額を当期の損失として処理する(部分資本直入法)こととされたため,被告Aは,平成13年度決算において,有価証券の含み損を資本の部に直接計上するか,当期の損失として計上しなければならない状況であった。これを踏まえ,平成13年8月27日の理事会では,被告Bから,被告Aの保有する投資信託について約30億円の含み損が発生しているが,時価会計の導入が控えているため,当時被告Aが有していた17店舗のうち,b,c,d,e,fの5店舗を売却して賃貸に切り替えて,経費節減を図りたい旨の提案がなされ,同提案は理事会で了承された。もっとも,上記 の導入が控えているため,当時被告Aが有していた17店舗のうち,b,c,d,e,fの5店舗を売却して賃貸に切り替えて,経費節減を図りたい旨の提案がなされ,同提案は理事会で了承された。もっとも,上記5店舗の売却は,実際には実現していない。 ス繰延税金資産の計上について前記㨯オのとおり,税効果会計の導入に伴い,被告Aは,平成10年度-44 -以降,前記㨯オのいわゆる不安定会社として,おおむね5年以内の課税所得の見積額を限度とする繰延税金資産を計上するようになり,平成11年3月31日時点では14億2400万円,平成12年3月31日時点では12億6000万円,平成13年3月31日時点では20億4100万円の繰延税金資産を計上したが,平成11,12年度と連続して赤字決算であったことから,平成13年度決算も赤字であった場合には,前記㨯オの債務超過等会社として,繰延税金資産の回収可能性が否定され,繰延税金資産全額が取り崩される可能性があった。 セ破綻申請被告Aは,平成13年検査を踏まえ,同年12月31日を基準日とする自己査定を行ったところ,多額の貸倒引当金・貸出金償却,有価証券の売却損の拡大により,平成13年度決算を黒字で迎えることは困難である上に,有価証券の含み損及び繰延税金資産の全額取崩しを併せると,14億7600万円の債務超過に陥っており,自己資本比率も▲2.11パーセントと低下していることが判明し,このような状況下にあって,債務超過の状態を解消する自己資本充実策の策定は困難であり,預金者はじめ取引先の信頼を維持することは困難であると判断したため,平成14年1月25日,金融庁長官に対し,破綻申請を行い,被告Aは破綻した。 なお,被告Aの金融整理管財人が,平成14年6月11日付けで,預金保険法80条の規定に基づいて金融庁長官に提出した報 ため,平成14年1月25日,金融庁長官に対し,破綻申請を行い,被告Aは破綻した。 なお,被告Aの金融整理管財人が,平成14年6月11日付けで,預金保険法80条の規定に基づいて金融庁長官に提出した報告文書では,破綻に至った要因として「融資審査面では,融資姿勢の厳正化を最優先とし,た審査体制の充実・強化,貸出金の管理・回収面では,初期延滞の発生防止と不良債権の回収強化のための体制構築を掲げ,審査能力向上に向けた研修の実施や延滞防止マニュアルを作成したものの,役職員の当金庫の厳しい経営状況に対する危機感が不足していたため,融資審査は従来通りの形式的なものにとどまり,また,延滞先に対しても回収のための努力を怠-45 -るなど,審査・管理とも十分に行われてこなかったこと「営業面では,」,実効性のある施策を打ち出すことはできず,結果として従来の預金を中心とした営業活動に終始したこと「資産運用面では,最大収益の確保を」,方針とし運用を行ったが,リスク管理への認識の甘さから,組織的なリスク管理体制も不十分のまま,国内景気の回復に大きく期待したリスクの高い投資信託等への運用を行い,含み損を拡大させたこと」が指摘されている。 また,被告Aの会計監査人を務めていた公認会計士が,平成14年4月,,25日付けで金融整理管財人に提出した監査報告書には特記事項として平成13年度中に,不良債権化した旧債務の実質肩代わりの融資が実行された事実を発見し,平成13年12月26日付けで,常勤監事に報告した旨が記載されている。 㨯原告らの出資原告らは,被告Aに対し,別紙一覧表の「出資日」欄記載の日に,同「出資金額」欄記載の金額を出資したが,被告理事らは,被告A職員に対し,日銀考査や金融検査の結果等を踏まえた被告Aの具体的な経営状況を知らせたことはなく, し,別紙一覧表の「出資日」欄記載の日に,同「出資金額」欄記載の金額を出資したが,被告理事らは,被告A職員に対し,日銀考査や金融検査の結果等を踏まえた被告Aの具体的な経営状況を知らせたことはなく,被告A職員も,原告らに対する出資の勧誘に際し,被告Aの具体的な経営状況について説明したことはなかった。 また,被告A職員は,原告らに対し,前記㨯キの相互援助資金制度の改変について説明したこともなかった(以下略)。 争点1(被告A職員の説明義務違反の有無)及び争点4(被告理事らの指導監督義務違反の有無)の検討㨯出資の基本的性格に関する説明義務について原告らは,被告A職員が,原告らに対する出資の勧誘に際し,出資金とは相互扶助組織である信用金庫の事業を利用する(信用金庫から貸付けを受ける)ための拠出金であるという出資の基本的性格を説明すべき義務があった-46 -旨主張する。 この点,信用金庫は,相互扶助の精神に基づき,地域の個人ないし事業者に対する金融の円滑を図ることなどを目的とする協同組織であり,信用金庫から貸付けを受けるためには,原則として,一定額の出資をしなければならず(信金法11条,53条1項2号,出資が信用金庫の事業を利用するた)めの拠出金であるという性格を有しているのは,原告らが主張するとおりである。 しかし,出資の上記性格は,勧誘の相手方が出資をするか否かの意思決定をするに当たって,特に,出資をしない旨の意思決定をするに当たって重要な意味を有しているとは考えがたい。すなわち,信用金庫からの貸付けを希望する者は,出資の上記性格を認識していると否とにかかわらず,一定額の出資をしなければ貸付けを受けることはできず,出資の上記性格を認識したからといって,出資を翻意することになるとは考えがたいから,出資の上記性格は,信用金庫からの していると否とにかかわらず,一定額の出資をしなければ貸付けを受けることはできず,出資の上記性格を認識したからといって,出資を翻意することになるとは考えがたいから,出資の上記性格は,信用金庫からの貸付けを希望する者にとってさしたる意味を有していないと考えられる。 ,,,また信用金庫から貸付けを受ける意思のない者は高利の配当への期待懇意にしている職員に対する貢献,地域社会の発展への寄与等,様々な目的により出資していると考えられるが,いずれにせよ,出資の上記性格を認識したからといって,出資を翻意することになるとは考えがたく,出資の上記性格は,信用金庫から貸付けを受ける意思のない者にとってもさしたる意味を有していないと考えられる。 このように,出資の上記性格は,勧誘の相手方にとってさしたる意味を有しておらず,勧誘の相手方が出資をするか否かの意思決定に大きな影響を及ぼすこととなるとは考えがたいから,被告A職員には,出資の勧誘に際し,勧誘の相手方に対し,出資の上記性格について説明すべき義務はなく,この点に関する原告らの主張は採用できない。 -47 -㨯出資のリスクに関する説明義務及び指導監督義務について一般に,信用金庫に対する出資は,公開市場で取引される株式と異なり,価格が変動するような性質のものではないため,総じてリスクの少ない投資であるということができるが,リスクが全く存在しないわけではなく,信用金庫が破綻した場合には出資金が回収不能となるというリスク(以下「回収不能のリスク」という,信用金庫が破綻に至らない場合であっても,譲。)受人が現れるか,信用金庫に対し,定款で定めるところによりその持分を譲り受けるべきことを請求しない限り,出資金を回収することができないというリスク(以下「回収長期化のリスク」という)を有している。 。 が現れるか,信用金庫に対し,定款で定めるところによりその持分を譲り受けるべきことを請求しない限り,出資金を回収することができないというリスク(以下「回収長期化のリスク」という)を有している。 。 したがって,信用金庫の職員には,信義則上,勧誘の相手方に対し,回収不能のリスク及び回収長期化のリスクについて説明すべき義務があると一応いうことができる。 もっとも,出資に回収不能のリスクがあることを認識している者に対しては,あらためてこれを説明する必要に乏しく,勧誘の相手方がこの点に関する説明を受けなかったとしても,特段の不利益を被ることはない。また,出資とは,特定の事業者に対して資金を拠出することを意味し,出資先が破綻した場合に出資金が回収不能となることは,一般通常人において十分に了解可能な事柄であると考えられるから,一般的には,信用金庫の職員が出資の勧誘である旨を明らかにして勧誘している以上は,勧誘の相手方において,回収不能のリスクを認識しているものと考えられる。したがって,これらの点を考慮すると,信用金庫の職員に回収不能のリスクについて説明義務が発生するのは,勧誘の相手方が回収不能のリスクを認識しておらず,かつ,信用金庫の職員において,これを認識し又は容易に認識し得た場合に限られ,それにもかかわらず,回収不能のリスクについての説明を行わなかった場合,。 に初めて説明義務違反による不法行為が成立すると解するのが相当であるまた,回収長期化のリスクについても,回収不能のリスクの場合と同様,-48 -勧誘の相手方においてこれを認識している場合には,この点に関する説明を受けなかったとしても特段の不利益を被ることがないということができるが,回収長期化のリスクは,回収不能のリスクと異なり,広く一般に認識さ。 ,,れている事柄であるとまではい この点に関する説明を受けなかったとしても特段の不利益を被ることがないということができるが,回収長期化のリスクは,回収不能のリスクと異なり,広く一般に認識さ。 ,,れている事柄であるとまではいいがたいしたがって信用金庫の職員には原則として,回収長期化のリスクについて説明すべき義務があり,これを怠った場合には,説明義務違反による不法行為が成立し,例外的に,勧誘時の言動等により,勧誘の相手方において回収長期化のリスクを認識していると認められるような特段の事情がある場合には,回収長期化のリスクに関する説明義務を免れると解するのが相当である。もっとも,回収長期化のリスクに関する説明がなされなかったことにより発生する損害とは,回収長期化のリスクを知らされなかったがために,払戻請求が遅れ,自己が予定していた期限内に出資金の回収ができなかったことにより発生する損害(例えば,貸金債務の返済のために払戻請求をしたところ,貸金債務の返済期限内に出資金を回収することができなかったため,貸金債務の返済が遅れ,遅延損害金),,の支払債務が発生した場合などを意味し信用金庫が破綻したことにより出資金が回収不能となったという損害は,回収不能のリスクに関する説明を怠ったことによる損害であるとはいえても,回収長期化のリスクに関する説明を怠ったことによる損害とはいいがたい。したがって,回収長期化のリスクに関する説明義務違反による損害賠償請求ができるのは,実際に所定の払戻手続をとった者に限られるというべきであり,また,賠償対象となる損害内容も,原則として上記損害に限られる(もっとも,払戻手続をとったものの,これがなされずに出資先が破綻した場合において,適時に払戻しが行われていれば出資金相当額の回収ができたであろうといえるときは,出資金相当額が賠償対象となり得る る(もっとも,払戻手続をとったものの,これがなされずに出資先が破綻した場合において,適時に払戻しが行われていれば出資金相当額の回収ができたであろうといえるときは,出資金相当額が賠償対象となり得る。 。)なお,原告らは,被告A職員には相互援助資金制度の改変について説明すべき義務があった旨主張するが,同制度は一般に広く知れ渡っているとはい-49 -いがたいから,一般的には,勧誘時の説明等を通じて,勧誘の相手方において回収不能のリスクを認識している限り,勧誘の相手方が同制度の改変につき説明を受けなかったことにより不利益を被ることはないと考えられる。 もっとも,勧誘時に同制度に関する説明を受けるなどして,信用金庫が破綻した場合であっても,出資金が全額保護されると認識して出資をする者がいる可能性も皆無ではない。 したがって,信用金庫の職員には,原則として,勧誘の相手方に対し,同制度の改変について説明すべき義務はないが,勧誘の相手方が,同制度に関する説明を受けたなどの事情から,同制度により信用金庫が破綻した場合であっても出資金の全額が保護されると信じて出資した場合であって,かつ,,,信用金庫の職員においてこのことを認識し又は容易に認識し得た場合には同制度の改変について説明すべき義務があり,それにもかかわらず,この点に関する説明を行わなかった場合には,説明義務違反による不法行為が成立すると解するのが相当である。 また,原告らは,被告理事らが,被告A職員に対し,出資のリスクに直結する重要事項について,研修等を行うなどして周知の徹底を図るとともに,出資の勧誘に際し,これらの事項を出資者に説明するよう指導監督すべき義務があったにもかかわらず,これを怠った旨主張するが,原告らが,被告理事らの指導監督義務違反を主張し得るのは,被告A職員による回収長 資の勧誘に際し,これらの事項を出資者に説明するよう指導監督すべき義務があったにもかかわらず,これを怠った旨主張するが,原告らが,被告理事らの指導監督義務違反を主張し得るのは,被告A職員による回収長期化のリスク及び回収不能のリスクに関する説明義務違反があった場合に限られるから,被告A職員に上記説明義務違反がない場合には,被告理事らが指導監督義務違反による責任を負うこともないというべきである。 㨯経営状況に関する説明義務及び指導監督義務についてア前記㨯のとおり,出資には回収不能のリスクがあり,かかるリスクを承知して出資している以上,出資先の破綻により出資金が回収不能となったという不利益は,出資者の自己責任として,出資者自身が甘受すべきであ-50 -るのが原則であるが,出資者に対し,かかるリスクの高低を判断することが可能となるだけの情報が提供されていない場合には,かかるリスクを出資者に一方的に負わせることが必ずしも公平に適うとはいいがたい。 一般に,良好な経営状況にあり又は少なくとも悪化している経営状況にはない会社等に対する出資は,回収不能のリスクが低いのに対し,経営状,,,況が悪化している会社等に対する出資は回収不能のリスクが高く特に債務超過ないしこれに近い状態にある会社等の場合には,かかるリスクが現実化する可能性が相当程度あるのであるから,出資先の経営状況(特に財務状況)に関する情報は,回収不能のリスクの高低を判断するための重要な情報であるといえる。そして,経営状況が悪化している会社等に対する出資の場合には,出資者はかかる高いリスクを引き受けることとなる一方,出資先は悪化した経営状況を改善するための資金提供を受けられることとなるのであるから,公平の観点からは,出資先自らが,悪化した経営,,状況の改善を目的として出資の勧 を引き受けることとなる一方,出資先は悪化した経営状況を改善するための資金提供を受けられることとなるのであるから,公平の観点からは,出資先自らが,悪化した経営,,状況の改善を目的として出資の勧誘を行う場合には勧誘の相手方に対し出資先の経営状況に関する正確な情報が提供されることが必要不可欠であるというべきである。もっとも,出資を求める信用金庫の経営状態が単に良くないというだけで,勧誘の相手方に対し,当該信用金庫の具体的な経営状況について説明義務を課すべきであるとした場合は,かえって外部に信用不安を広めることになり,当該信用金庫の破綻がこれにより逆に現実化しかねず,当該信用金庫のみならず,その関係者に多大な損害を発生させないとも限らない。 してみれば,これらの事情を勘案すると,出資の勧誘時において,信用金庫が実質的に債務超過の状態にあるか,近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性があり,かつ,勧誘を担当する信用金庫の職員において,これを認識し又は認識し得たような場合に限定して,こ,,,,のような場合は当該信用金庫の職員は信義則上勧誘の相手方に対し-51 -信用金庫の経営状況につき具体的かつ詳細な説明をすべき義務があり,これを怠った場合には,かかる説明義務違反は不法行為を構成すると解するのが相当である。 また,実際に勧誘に当たる信用金庫の職員において,当該信用金庫が実質的に債務超過の状態にあるか,近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性があることについて認識せず又は認識し得ない場合であっても,理事等の経営陣において,これを認識し又は認識し得た場合には,理事等の経営陣は,信用金庫の職員に対し,信用金庫の具体的な経営状況を説明の上,出資の勧誘に際しては,信用金庫の経営状況につき具体的か ,理事等の経営陣において,これを認識し又は認識し得た場合には,理事等の経営陣は,信用金庫の職員に対し,信用金庫の具体的な経営状況を説明の上,出資の勧誘に際しては,信用金庫の経営状況につき具体的かつ詳細な説明を尽くさせるよう指導監督すべき職務上の義務があり,これを怠った場合には,かかる指導監督違反は,勧誘の相手方との関係において,不法行為ないし信金法35条2項(ただし,平成17年法律第87号による改正前のもの)の任務懈怠を構成すると解するのが相当である。 以下,これを前提として,被告A職員の説明義務違反及び被告理事らの指導監督義務違反の有無について検討する。 イ平成10年度以前の出資者に対する説明義務及び指導監督義務について被告Aは,バブル経済の崩壊により,多額の不良債権を抱えるに至った,,,ものの平成10年度までは黒字決算を維持できており自己資本比率も信用金庫において自己資本の充実の状況が適当であるとされる4パーセントを上回っていた(前記1㨯ア)のであるから,平成11年3月31日までの間において,被告Aが近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体,,,的現実的危険性があったといえないことは明らかであり被告A職員が平成10年度以前の出資者に対し,被告Aの経営状況に関する説明義務を負っていたとはいえず,被告理事らが,被告A職員に対し,被告Aの経営状況に関する指導監督義務を負っていたともいえない。 -52 -この点,原告らは,平成8,9年度の合計62億0300万円の積立金(),,,の取崩し前記1㨯アを問題視するが積立金の取崩しは会計処理上何ら問題のある行為ではなく,上記のとおり,積立金の取崩し後も,4パーセント以上の自己資本比率は維持されていたのであるから,積立金の取崩しをもって,直ちに経営破綻の具体的, 金の取崩しは会計処理上何ら問題のある行為ではなく,上記のとおり,積立金の取崩し後も,4パーセント以上の自己資本比率は維持されていたのであるから,積立金の取崩しをもって,直ちに経営破綻の具体的,現実的危険性が発生したといえないことは明らかである。また,原告らは,被告Aが,平成10年度決算において,14億2400万円の繰延税金資産を計上していること(前記1㨯ス)を問題視するが,平成10年度決算当時は,日経平均株価が上昇(),,,基調にあったこと前記1㨯イなどを考慮すると今後景気も回復し収益が恒常的に改善するとの予測を立て,これを前提として比較的多額の繰延税金資産を計上することも,あながち不合理であるとはいえない。 ウ平成11年度中の出資者に対する説明義務及び指導監督義務について被告Aは,平成11年10月の日銀考査において,自己査定基準自体に不備がある旨や適切な債務者区分がされていない旨を指摘された上,Ⅲ分類及びⅣ分類の債権につき,自己査定では15億円としていたところを55億円と査定され,かかる日銀考査の結果を踏まえて,同年9月30日時点における自己資本比率を算出し直したところ2.38パーセントであったこと(前記1㨯イ,自己資本比率が4パーセントを下回ったことによ)り,金融庁長官から,早期是正措置命令を出され,3か年の経営改善計画の提出を求められるに至ったこと(前記1㨯オ,Ⅲ分類及びⅣ分類の債)権の増加により,平成11年度決算が当期利益▲8億5754万5000(),,円の赤字決算となったこと前記1㨯エ後に判明したことではあるが平成12年検査の結果を踏まえた平成12年3月31日時点における自己資本比率は2.86パーセントであったこと(前記1㨯カ)などからすれ,,。 ば被告Aは前年度よりも厳しい経営状 たことではあるが平成12年検査の結果を踏まえた平成12年3月31日時点における自己資本比率は2.86パーセントであったこと(前記1㨯カ)などからすれ,,。 ば被告Aは前年度よりも厳しい経営状況にあったことは否定できないしかし,被告Aが赤字決算となったのは平成11年度が初めてであり,-53 -(),それまでは一貫して黒字決算を続けてきたこと前記1㨯エからすれば経営体力にもいまだ余力があったとみられること,早期是正措置命令により経営改善を求められることになったものの,裏を返せば,コスト削減及び収益力向上による経営体質改善の大きな契機になったともいい得るので,,,あり組織を挙げてこれに取り組み旧改善計画を着実に実行していけば,,経営状況が改善する余地がなかったとはいえないこと前年度に引き続き日経平均株価は上昇傾向にあり(前記1㨯イ,有価証券の含み益の増加)ないしは含み損の減少が期待できる状況にあったこと,平成12年検査の結果を前提としても,平成12年3月31日時点における自己資本比率は2.86パーセントであり,健全な数値であるとはいいがたいものの,債務超過に陥っていたわけではなく,わずかではあるが,平成11年9月3(,)0日時点における自己資本比率よりも向上していること前記1㨯イカなどからすれば,被告Aは,平成11年度中についても,近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性があったとまではいえないというべきである。 したがって,被告A職員が,平成11年度中の出資者に対し,被告Aの経営状況に関する説明義務を負っていたとはいえず,被告理事らが,被告A職員に対し,被告Aの経営状況に関する指導監督義務を負っていたともいえない。 エ平成12年度以降の出資者に対する説明義務及び指導監督義務について㨯 務を負っていたとはいえず,被告理事らが,被告A職員に対し,被告Aの経営状況に関する指導監督義務を負っていたともいえない。 エ平成12年度以降の出資者に対する説明義務及び指導監督義務について㨯まず,平成13年3月31日時点における被告Aの財務状況について検討するに,被告Aは,平成13年検査において,合計28億円の貸倒引当金・貸出金償却の計上が必要であると指摘され,平成13年3月31日時点における資産超過額は18億円と査定されているが,これは有価証券の含み損を含まない数値であり,これに有価証券の含み損の▲21億3000万円を加えると,被告Aは,同日時点において,実質的に-54 -は3億3000万円の債務超過の状態にあり(前記1㨯サ,自己資本)比率は0パーセントを下回っていたと認められる(原告らは,平成13年検査が違法である旨主張しているが,後記7のとおり,平成13年検査に違法な点は存しない。なお,時価会計の全面的な導入は平成1。)3年度からであり,平成12年度決算においては,有価証券の含み損を決算上反映させる必要はなかったものであるが,平成13年度以降は,(),これを決算上反映させる必要があったこと前記1㨯カを考慮すると説明義務の有無を判断する前提として被告Aの財務状況を検討するに際しては,有価証券の含み損の金額をも考慮するのが相当である。 また,有価証券の含み損の点を除外して考えたとしても,被告Aは,平成13年3月31日時点において,少なくとも,近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性のある財務状況にあったと認めるのが相当である。すなわち,被告Aは,平成10年度以降,前記1㨯オの不安定会社として,おおむね5年以内の課税所得の見積額を限度とする繰延税金資産を計上しているところ(前記1㨯ス,平成1 と認めるのが相当である。すなわち,被告Aは,平成10年度以降,前記1㨯オの不安定会社として,おおむね5年以内の課税所得の見積額を限度とする繰延税金資産を計上しているところ(前記1㨯ス,平成1))2年度決算は,前年度に引き続いての赤字決算であったのであるから,本来は,不安定会社としておおむね5年以内の課税所得の見積額を限度とする繰延税金資産の計上は許されず,前記1㨯オの欠損会社として,翌期の課税所得の見積額を限度とする繰延税金資産の計上しか認められなかったのではないかとの疑いがある。また,仮に,おおむね5年以内の課税所得の見積額を限度とする繰延税金資産の計上自体は許されるとしても,平成12年度に計上した20億4100万円の繰延税金資産を,,回収するためには法人税実効税率を31パーセントとして計算すると約65億8000万円(年間平均13億1600万円)の課税所得が必要となるところ,直近の黒字決算年度である平成8年度ないし平成10年度までの被告Aの当期利益は年間1億円から3億円の間で推移してい-55 -た上(前記1㨯ア,被告Aの新5か年計画によれば,被告Aの当期利)益の計画は,最終年度の平成17年度でも5億8600万円にすぎなかったものであり(前記1㨯カ,平成12年度決算における20億41)00万円の繰延税金資産の計上は過大であった疑いがある。さらに,この点を措くとしても,被告Aは,平成12年度決算が前年度に引き続いての赤字決算であったため,平成13年度を赤字決算で迎えるような事態となれば,前記1㨯オの債務超過等会社として,上記繰延税金資産の全額について資産性が否認され,自己資本額20億4100万円の減少を余儀なくされる可能性のある状況に置かれていたものである(前記1㨯ス。したがって,被告Aは,平成13年度に赤字決算を 繰延税金資産の全額について資産性が否認され,自己資本額20億4100万円の減少を余儀なくされる可能性のある状況に置かれていたものである(前記1㨯ス。したがって,被告Aは,平成13年度に赤字決算を行うことは)決して許されない状況にあったということができるが,金融機関の最大の収益源である貸出金利息による収入は,平成10年度以降,一貫して減少し続けており(前記1㨯ア,エ,ク,これが平成13年度中に改)善する見込みがあったとはいいがたいこと,被告Aの取引先の多くは,景気や地価の影響を受け易い不動産,土木,建設関連の企業が多かったところ(前記1㨯ア,平成12年度中の日経平均株価や地価公示額は)(),,低迷しており前記1㨯イ景気が回復基調にあったとは認めがたく平成11,12年度に多額の貸倒引当金繰入額及び貸出金償却額を計上したからといって,平成13年度中に多額の貸倒引当金・貸出金償却が発生することはないと楽観視できる状況には到底なかったと考えられること,このことは,平成11年10月の日銀考査及び関東財務局長による平成12年検査により,被告Aの自己査定基準の不備や適切な債務者区分がされていないことなどを厳しく指摘されており,その度に,被告,,Aは場当たり的な改訂をするにとどまっておりこのような事情の下で平成13年度においても,当局の検査により同じ指摘がされないとはいえない状況にあった(被告Aの破綻後,金融整理管財人の報告中に,役-56 -職員が厳しい経営状況に対する危機感に欠けていた旨指摘されていることからも裏付けられる)ことからも一層明らかであることなどからす。 れば,被告Aが平成13年度を黒字決算で迎えられるか否かについては予断を許さない状況にあったと認められる。そうすると,被告Aは,平成12年度に赤字決算を行った らも一層明らかであることなどからす。 れば,被告Aが平成13年度を黒字決算で迎えられるか否かについては予断を許さない状況にあったと認められる。そうすると,被告Aは,平成12年度に赤字決算を行ったことにより,繰延税金資産の全額取崩しのおそれという大きなリスクを抱えるに至り,近い将来に債務超過の状態に陥る危険性を大幅に増加させたということができ,被告Aは,平成13年3月31日時点では,近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性を有する財務状況にあったと認めるのが相当である。 㨯また,平成13年3月31日以前の財務状況について検討するに,被告Aは,平成12年12月1日から平成13年3月31日にかけて,第2次出資金増強運動を実施し,出資金総額を4億4400万円増加させているため,第2次出資金増強運動開始時点における自己資本額は,平成13年3月31日時点における自己資本総額よりも4億4400万円少なかったことになるところ,本件において,平成12年度中の被告Aの業績が,第2次出資金増強運動開始後に急激に悪化したような事情は特段見受けられないことや,平成12年検査の結果を踏まえた同年9月30日時点における自己資本比率が3.04パーセントであったことなどからすれば,被告Aの第2次出資金増強運動開始時点における自己資本比率も,相当程度低い状態であったと推認できる。 この点に加え,上記㨯のとおり,被告Aは,平成12年度に赤字決算を行ったことにより,繰延税金資産の全額取崩しのおそれという大きなリスクを抱えることとなったものであるが,当期損失の金額がどの程度になるかについては,年度末まで待たなければ判明しなかったといえるが,赤字決算を行うこと自体は,平成12年12月21日に開催された-57 -理事会において,既に事実上決定されていた 金額がどの程度になるかについては,年度末まで待たなければ判明しなかったといえるが,赤字決算を行うこと自体は,平成12年12月21日に開催された-57 -理事会において,既に事実上決定されていたものと認められる(前記1㨯カ。 )したがって,被告Aの財務状況については,平成13年3月31日の平成12年度決算を待つまでもなく,遅くとも平成12年12月21日の時点では,近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性を有していたと認めるのが相当である。 㨯次に,被告理事らにおいて,被告Aが実質的に債務超過の状態にあったこと又は近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性があったことを認識し又は認識し得たか否かについて検討する。 この点,被告Aが平成13年3月31日時点において実質的に債務超過の状態にあった最大の原因は,28億円の追加の貸倒引当金・貸出金償却にあるところ,上記金額が判明したのは,平成13年検査においてである。したがって,平成13年検査以前の段階で,被告Aが既に実質的に債務超過の状態にあったことを認識することは困難であったといわざるを得ない。 次に,被告理事らにおいて,被告Aが,近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性を有していたことを認識していたといえるか否かについて検討する。まず,上記のとおり,平成13年度から時価会計が全面的に導入され,被告Aが平成13年3月31日の時点において21億3000万円の有価証券の含み損を抱えていたこと,平成13年度を赤字決算で迎えた場合には,平成12年度決算において計上した20億4100万円の繰延税金資産が取り崩される危険があった,。 ,ことについては被告理事らも当然認識していたと認められるこの点被告Aの平成13年3月31日時点におけるリスク 算において計上した20億4100万円の繰延税金資産が取り崩される危険があった,。 ,ことについては被告理事らも当然認識していたと認められるこの点被告Aの平成13年3月31日時点におけるリスクアセット(総資産中のリスクを有する資産であり,自己資本比率を算定する際の分母となるもの)は約1266億円であると認められるところ(甲A52,被告)-58 -Aの同日時点における自己資本総額は53億3700万円であり,同金額から上記有価証券の含み損21億3000万円及び繰延税金資産21億4100万円を差し引くと10億6600万円となり,これを基に被告Aの自己資本比率を算出すると1パーセントを下回ることとなる。したがって,これを前提とすると,被告理事らは,平成13年度中に有価証券の含み損が減少せず,しかも,同年度の決算を赤字で迎えた場合には,被告Aの同年度末における自己資本比率が1パーセント以下にまで低下することを認識していたといえる。この点,被告理事らにおいて,有価証券の含み損の減少の可能性及び平成13年度決算を赤字で迎える可能性をどの程度認識していたかが一応問題となるが,上記のとおり,日経平均株価は,平成12年度中,一貫して低下し続けていたのであるから,被告理事らは,平成13年度中に有価証券の含み損が減少しない事態が生ずることも十分に予想可能であったといえる。また,新改善計画によれば,被告Aの当期利益の計画は2億2500万円にすぎず(前記1㨯ケ,かかる金額は,計画を上回る貸倒引当金・貸出金償却の発)生や貸出金利息収入等の減少により,容易に赤字に転落し得る程度の数値であることからすれば,被告理事らにおいて,平成13年度決算を赤字で迎える可能性があることも十分に予想可能であったといえる。さらに,新改善計画によれば,被告Aは,平成13年 字に転落し得る程度の数値であることからすれば,被告理事らにおいて,平成13年度決算を赤字で迎える可能性があることも十分に予想可能であったといえる。さらに,新改善計画によれば,被告Aは,平成13年度中の貸倒引当金・貸出金償却の発生が9億円にとどまるものとして計画を策定しているが(前記1㨯ケ,かかる数値はあくまでも目標値にすぎず,一般に,経)営計画は,ある程度希望的観測に基づいて策定されることもあり得るのであるから,被告理事らにおいて,9億円を超える貸倒引当金・貸出金償却の発生が予想し得ないものであったとは認めがたい。被告Aは,平成8年度には合計39億3581万1000円,平成9年度には合計46億3107万1000円,平成10年度には合計9億7156万10-59 -00円,平成11年度には合計28億8454万7000円,平成12年度には合計26億0160万7000円の貸倒引当金・貸出金償却を計上しており(前記1㨯ア,エ,ク,上記㨯のとおり,被告Aの取引)先は,不動産,土木,建設関連の企業が多く,平成12年度中の景気動向からすれば,平成13年度中に多額の貸倒引当金・貸出金償却が発生することはないと楽観視できる状況にはなかったのであるから,被告理事らにおいても,具体的な金額こそ認識し得ないものの,前年度と同程度ないしはそれに近い金額の貸倒引当金・貸出金償却が発生することも予想可能であったといえる。 したがって,以上の点にかんがみれば,被告理事らには,平成13年3月31日時点において,被告Aが近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性について認識していたか,少なくとも認識可能であったと認めるのが相当である。 㨯さらに進んで,被告理事らの平成12年12月21日時点における認識について検討するに,上記㨯のとおり,被告理 実的危険性について認識していたか,少なくとも認識可能であったと認めるのが相当である。 㨯さらに進んで,被告理事らの平成12年12月21日時点における認識について検討するに,上記㨯のとおり,被告理事らは,同日の理事会において,平成12年度に赤字決算を行うことを事実上決定しているから,繰延税金資産の取崩しの危険性に関する認識は,平成13年3月31日時点における認識と変わりはないというべきである。 また,貸倒引当金・貸出金償却の点についても,平成13年3月31日と平成12年12月21日とで認識を異にするだけの事情の変更等は認められないから,平成13年3月31日時点における認識と変わりはないというべきである。 これに対し,有価証券の含み損については,日経平均株価が,平成12年12月21日以降平成13年3月31日までの間にも下落し続けていたことからすると,平成12年12月21日時点では,有価証券の含み損が21億円にまで拡大していなかった可能性がある。もっとも,上-60 -記㨯のとおり,第2次出資金増強運動開始時における出資金総額は,平成13年3月31日時点における出資金総額よりも4億4400万円少なかったこと,被告Aの平成12年度決算における当期損失額は9億9168万円であったところ(前記1㨯ク,平成12年12月21日の)理事会において報告された平成12年度決算における当期損失見込額は12億7200万円であったことを考慮すると,平成12年12月21日時点における有価証券の含み損が21億円にまで拡大していなかったとしても,同日時点における被告Aの財務状況に関する被告理事らの認識は,平成13年3月31日時点における認識と大差はなかったというべきである。 よって,被告理事らは,平成12年12月21日時点においても,被告Aが近い将来に債務超過 財務状況に関する被告理事らの認識は,平成13年3月31日時点における認識と大差はなかったというべきである。 よって,被告理事らは,平成12年12月21日時点においても,被告Aが近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性があることを認識し又は認識し得たと認めるのが相当である。 ,,,㨯もっとも被告Aが近い将来に債務超過に陥り経営破綻する具体的現実的危険性を被告理事らにおいて認識し得たとしても,業務の大幅な改善,営業店舗の廃止,合併等により,債務超過の現実的危険性を経営破綻にまで至らせず,早い時期に解消する見込みが相当程度あるとみられる場合は,被告理事らに前記指導監督義務があるとはいえないというべきであるから,この点についても検討する。 前記1㨯コによれば,被告Aは,平成13年3月ころからF信用金庫との間で,合併交渉を開始したものの,同年10月ころ破談となり,その後のE信用金庫との合併交渉も中途で延期となり,実現しなかったものであり,その他合併の具体的計画をうかがわせる証拠はない。 また,前記1㨯シによれば,被告Aの平成13年8月27日の理事会において,被告Aが当時有していた17店舗のうち5店舗を売却して賃借する提案がされたが,結局実現しなかった事情が存在するものの,平-61 -成12年12月21日当時,そのような計画が具体的に立案されていたことをうかがわせる証拠はない。 その他,平成12年12月21日当時,被告Aが現実的危険性を有していた債務超過の状態を早急に解消してその経営破綻を回避できることが相当程度期待できるような事態が進展しつつあったことを認めるに足りる証拠はない。 㨯なお,原告らの勧誘を担当した被告A職員については,被告理事ら等を通じて,被告Aの具体的な経営状況を知らされたことはなく(前記1㨯,ま な事態が進展しつつあったことを認めるに足りる証拠はない。 㨯なお,原告らの勧誘を担当した被告A職員については,被告理事ら等を通じて,被告Aの具体的な経営状況を知らされたことはなく(前記1㨯,また,時価会計や繰延税金資産に関する制度の詳細を承知してい)たと認めるに足りる証拠もないから,被告Aが実質的に債務超過の状態にあったこと又は近い将来に債務超過に陥り,経営破綻する具体的,現実的危険性があったことを認識することは困難であったといわざるを得ない。したがって,原告らの勧誘を担当した被告A職員については,被告理事ら等から被告Aの具体的な経営状況に関する情報の提供を受けていない以上,原告らに対する説明義務の発生を基礎付けることはできないというべきである。 オ以上によると,被告理事らは,平成12年12月22日以降速やかに,被告A職員に対し,被告Aの具体的な経営状況(例えば,平成13年度が赤字決算であった場合には非常に危険な経営状況に陥ることとなり,平成13年度決算を黒字で迎えられるか否かは,株価や景気回復によるところが大きいことなど)を説明の上,出資の勧誘に際しては,かかる経営状況につき具体的かつ詳細な説明を尽くさせるよう指導監督すべき職務上の義務を負っていたというべきである。 カこの点,被告A及び被告理事らは,平成12年度までに貸倒引当金・貸,,出金償却の計上が一段落し地価や景気も回復基調にあったことなどから被告理事らとしても,平成13年度以降は被告Aの経営状況が改善するも-62 -のと考えており,現に,平成13年度中は計画を上回る業務純益を上げ,被告Aの経営は順調に推移していたから,平成13年度に多額の貸倒引当金の計上を余儀なくされ,被告Aが経営危機に陥ることなど考えられるはずもなかった旨主張する。 しかし,平成12年度中 務純益を上げ,被告Aの経営は順調に推移していたから,平成13年度に多額の貸倒引当金の計上を余儀なくされ,被告Aが経営危機に陥ることなど考えられるはずもなかった旨主張する。 しかし,平成12年度中は,株価,地価ともに下落傾向にあり,必ずしも景気が回復基調にあるなどといえなかったことは前記のとおりであり,景気が回復基調になく,地価の下落が継続しているのであれば,たとえ平成12年度までに多額の貸倒引当金・貸出金償却を計上していたとしても,取引先の経営状況の悪化や貸出金債権の担保割れ等により,多額の貸倒引当金がさらに発生することも十分に予想し得たといえる。 また,平成13年度中は計画を上回る業務純益を上げ,経営が順調に推移していたという点についても,被告Aの会計監査人を務めていた公認会計士が金融整理管財人に提出した監査報告書によれば,被告Aでは,平成13年度中に,不良債権化した旧債務の実質肩代わりの融資が行われていたとのことであり(前記1㨯セ,そうであるとすれば,表面上は,計画)を上回る業務純益を確保することができていたとしても,それが果たして内実の伴ったものであったといえるか疑問がある上,金融整理管財人が金融庁長官に提出した報告文書によれば,新改善計画で掲げていた不良債権回収等のための方策(前記1㨯ケ)は,必ずしも十分に実施されていなかったとのことであるから(前記1㨯セ,平成13年度中の被告Aの経営)が必ずしも順調に推移していたとはいいがたい。 さらに,被告Aは,平成13年度における多額の貸倒引当金・貸出金償却の発生を予想できなかった根拠として,平成12年度決算の直前に,G中金考査部による実地調査を受け,被告Aの自己査定基準による自己査定が正確であると評価されたこと(前記1㨯ク)を挙げる。しかしながら,同調査は,4名の調査員により4 て,平成12年度決算の直前に,G中金考査部による実地調査を受け,被告Aの自己査定基準による自己査定が正確であると評価されたこと(前記1㨯ク)を挙げる。しかしながら,同調査は,4名の調査員により4日間実施されたにすぎず,調査の精度は-63 -金融庁による金融検査とは比べるべくもない上に,それまでに被告Aが受けてきた日銀考査や関東財務局による金融検査の各検査結果及び内容並びに当時の景気や地価等の動向等をも勘案すれば,同調査結果をもって,平成13年度中に多額の貸倒引当金・貸出金償却が発生することを予想できなかったとはいえず,仮にこれに信頼を置いたとすれば,安易に過ぎるというべきである。 したがって,被告A及び被告理事らが主張する上記事情は,いずれも,経営状況に関する指導監督義務を否定すべき根拠とはならないというべきである。 㨯個別の原告に対する説明義務違反及び指導監督義務違反の検討ア原告調査票について原告らは,本件訴訟において,原告ら又はその家族の供述内容を録取した「原告調査票(甲B1ないし66〔ただし31を除く〕の各2号証)」。 を提出しているが,同調査票は,全体的に,簡略な記載がなされているにとどまり,出資の経緯及び勧誘時の説明内容等について,不足なく,具体的かつ詳細に記載されているとはいいがたい(以下略)。 以上の事情にかんがみると,原告調査票の作成経緯や作成の状況等に問題がなかったかどうか疑問があり,したがって,その記載に高度の信頼を置くことはできず(ただし,出資日の記載については除く,原告調査。)票の記載のみをもって,直ちに被告A職員の具体的な説明内容を認定することは困難であるといわざるを得ない。 イ平成12年12月22日以降に出資した原告について(前略,前記㨯のとおり,被告理事らには,被告A職員に対し,被告 ちに被告A職員の具体的な説明内容を認定することは困難であるといわざるを得ない。 イ平成12年12月22日以降に出資した原告について(前略,前記㨯のとおり,被告理事らには,被告A職員に対し,被告)Aの具体的な経営状況を説明の上,出資の勧誘に際しては,被告Aの経営状況につき具体的かつ詳細な説明を尽くさせるよう指導監督すべき義務があったところ,前記1㨯のとおり,被告理事らは,被告A職員に対し,被-64 -告Aの具体的な経営状況を説明しておらず,被告A職員も,上記原告らに対し,被告Aの具体的な経営状況に関する説明をしていない。 したがって,被告理事らには,上記原告らとの関係において,被告A職員に対する経営状況に関する指導監督義務違反があったと認められる。 ウ原告1,3,53(ただし,平成9年10月1日の20万円の出資,)54(ただし,平成9年10月1日の20万円の出資及び平成12年2月18日の300万円の出資)及び55について㨯被告Aの経営状況及び回収長期化のリスクに関する説明義務違反について原告1,3,53,54及び55は,いずれも平成12年12月21,,,日以前に出資しておりまた払戻手続をとっているわけではないから上記原告らの被告Aの経営状況及び回収長期化のリスクに関する説明義務違反の主張は採用できない。 㨯回収不能のリスクに関する説明義務違反について原告調査票には,出資の勧誘に際し,回収不能のリスクについて説明を受けていない旨記載されているが,前記アのとおり,これのみをもっ,,,てかかる事実を認定することはできず一般論としても被告A職員が出資に関する説明を全く行わないまま,出資を勧誘したとは到底考えがたい。 また,この点を措くとしても,出資とは,特定の事業者に対して資金を拠出することを意味し,出資先が破綻し 論としても被告A職員が出資に関する説明を全く行わないまま,出資を勧誘したとは到底考えがたい。 また,この点を措くとしても,出資とは,特定の事業者に対して資金を拠出することを意味し,出資先が破綻した場合に出資金が回収不能となることは,一般通常人において十分に了解可能な事柄であると考えられる上,これらの原告が,出資当時,出資先が破綻した場合に出資金が回収不能となることを知らなかったことを認めるに足りる証拠はない。 むしろ,前掲原告調査票によれば,原告らは,被告A職員に対し「出,資金というのは,お金が必要になったときは売れるかね」と尋ねたり,-65 -被告Aが破綻しそうであるとの噂に不安を感じて,経営状況を尋ねたりしたというのであるから,上記原告らは,出資金が,預金とは異なり,当然に返還を受けられるものではなく,被告Aが破綻した場合には回収不能となることを認識していたと推認するのが相当である。 したがって,上記原告らは,被告A職員から,回収不能のリスクについて説明を受けたか,その旨の説明を受けなくとも,かかるリスクを認識していたと認めるのが相当であり,被告A職員に説明義務違反は認められないから,上記原告らの回収不能のリスクに関する説明義務違反の主張は採用できない。 エ原告2(ただし,平成12年11月29日の300万円の出資)について㨯被告Aの経営状況及び回収長期化のリスクに関する説明義務違反について原告2は,平成12年12月21日以前に出資しており,また,払戻手続をとっているわけではないから,原告2の被告Aの経営状況及び回収長期化のリスクに関する説明義務違反の主張は採用できない。 㨯回収不能のリスクに関する説明義務違反について,,原告2は母親である原告24を通じて出資手続を行っているところ回収不能のリスクに関する説明義務 スクに関する説明義務違反の主張は採用できない。 㨯回収不能のリスクに関する説明義務違反について,,原告2は母親である原告24を通じて出資手続を行っているところ回収不能のリスクに関する説明義務違反の成否については,原告24がかかるリスクについて説明を受けたか否か,又は説明を受けていないとしても,原告24においてかかるリスクを認識していたか否かにより決すべきである(本件は,原告24が原告2の代理人として出資しているものと解されるため,説明義務違反の成否は,原告24に対する説明の有無及び同人の認識を基準に判断すべきである(以下略)。)。 また,原告24に対する出資を勧誘した被告A職員は,証人尋問において,原告24に対し,回収不能のリスクを説明した旨供述していると-66 -ころ,かかる供述の信用性に疑いを差し挟むべき事情は特に見当たらない。 さらに,原告24の本人尋問の結果によれば,原告24は,過去に株式投資の経験を有していた上,長年にわたり,建築業を営む株式会社の取締役の地位にあり,夫とともに同社を経営し,後に,自らが保有していた同社の株式を同社に引き取らせた事実が認められ,かかる事実によれば,原告24が,被告A職員から説明を受けるまでもなく,回収不能,,,のリスクを認識していたことは明らかでありこのことは原告24が出資の勧誘を何度となく断った旨供述していることからも裏付けられる。 したがって,原告24は,被告A職員から,回収不能のリスクについて説明を受けたか,その旨の説明を受けなくとも,かかるリスクを認識していたと認めるのが相当であり,被告A職員に説明義務違反は認められないから,原告2の回収不能のリスクに関する説明義務違反の主張は採用できない。 オ原告7について(略)カ原告8について(略)キ原告9(ただし,平 当であり,被告A職員に説明義務違反は認められないから,原告2の回収不能のリスクに関する説明義務違反の主張は採用できない。 オ原告7について(略)カ原告8について(略)キ原告9(ただし,平成9年9月18日の10万円の出資及び平成11年12月20日の15万1000円の出資)について(略)㨯被告Aの経営状況に関する説明義務違反について(略)ク原告10について(略)ケ原告13(ただし,昭和51年3月24日の3万円の出資)について(略)コ原告14(ただし,平成9年10月1日の100万円の出資)について(略)サ原告18(ただし,平成12年2月16日の合計100万円の出資)に-67 -ついて(略)シ原告19について(略)ス原告23について(略)セ原告26について(略)ソ原告29(ただし,平成12年6月22日の1万円の出資)について(略)タ原告30(ただし,平成11年10月7日の95万円の出資)について(略)チ原告31について(略)ツ原告33について(略)テ原告44ただし平成12年6月22日の1万円の出資及び45た(,)(だし,昭和47年9月13日の3万円の出資,平成11年10月6日の3万円の出資,平成12年2月23日の100万円の出資)について(略)ト原告46(ただし,平成11年10月5日の50万円の出資)及び47(ただし,平成11年10月5日の50万円の出資)について(略)ナ原告48ないし51について(略)ニ原告52(ただし,平成12年2月8日の10万円の出資)について(略)ヌ原告56について原告調査票によれば,原告56の夫は被告Aのg支店に勤務する同被告の職員であり,原告56は,出資勧誘者である夫から「出資金増強のノ,ルマが500万円なので,預金担当者として ヌ原告56について原告調査票によれば,原告56の夫は被告Aのg支店に勤務する同被告の職員であり,原告56は,出資勧誘者である夫から「出資金増強のノ,ルマが500万円なので,預金担当者として100万円やりたいから」と言われて出資することとしたとの記載部分がある。しかし,かかる勧誘態様を前提とすると,原告56の出資は,被告A職員が同被告の事業の執行としての勧誘を行い,これに応じた結果としてなされたものではなく,出資増強に協力することによって自らの勤務先への貢献ないし上司や同僚か-68 -らの評価の向上を希望する夫に対し,妻として援助したものであるとみるのが相当であり,原告56の夫が,被告Aの事業を執行する行為の一環として,原告56を勧誘したものとは認めがたいというべきである。のみならず,前掲原告調査票中には,出資の原資が満期になった定期預金であるとの記載部分があるが,これが原告56の所有であることを認めるに足りる証拠はなく,むしろ,家計を同じくするのみならず,一家の主な収入の稼ぎ手である同原告の夫の所有である可能性も否定しがたい。 したがって,原告56の夫による出資の勧誘は,被告Aの事業の執行として行われたものであるとは認められない上に,同原告の損害が発生したと認めるには足りないことから,具体的な説明内容や同原告の出資のリスクに関する認識を問題とするまでもなく,同原告の主張は採用できない。 ネ原告57について(略)ノ原告58について(略)ハ原告60について㨯被告Aの経営状況に関する説明義務違反について(略)㨯回収長期化のリスクに関する説明義務違反について原告調査票には,被告Aが破綻する約2か月前に,被告Aに対し,払戻請求をした旨記載されているが,前記アのとおり,前掲原告調査票の記載のみをもって,原告60が払戻請求 スクに関する説明義務違反について原告調査票には,被告Aが破綻する約2か月前に,被告Aに対し,払戻請求をした旨記載されているが,前記アのとおり,前掲原告調査票の記載のみをもって,原告60が払戻請求をしたと認めることはできず,この点を措くとしても,被告A職員の陳述書によれば,払戻請求時に,出資者から,直ちに現金化できると思っていたとしてトラブルになることを避けるため,出資の勧誘に際しては,回収長期化のリスクを必ず説明するようにしていたとのことである上,前記1㨯ウのとおり,業務企画部長から各営業店長宛に,出資金募集の注意事項として,回収長期化のリスクを説明すべき旨の通知文が発出されていることからすると,被告A職員は,回収長期化のリスクについては,回収不能のリスク以上に-69 -説明を徹底していたと認めることができ,したがって,原告60に対しても,回収長期化のリスクの説明はなされていたものと推認できる。このことは,原告60の合計50万円の出資が,譲渡の容易性を図るために,30万円の出資と20万円の出資に細分化されていること,仮に,原告60が回収長期化のリスクについて何ら説明を受けていなかったのであれば,払戻請求時に,被告A職員との間でトラブルになっていてしかるべきところ,前掲原告調査票には,払戻請求をしたところ,半年以上経過した後でないとできないと言われ,払戻請求をあきらめた旨の記載があるにすぎないことからも裏付けられる(以下略)。 したがって,原告60の回収長期化のリスクに関する説明義務違反の主張は採用できない。 㨯回収不能のリスクに関する説明義務違反について(略)ヒ原告62について(略)フ原告65及び66について(略) 争点2(被告A職員の優越的地位の濫用の有無)について(略) 争点3(被告A職員の出資金払戻協力義務 る説明義務違反について(略)ヒ原告62について(略)フ原告65及び66について(略) 争点2(被告A職員の優越的地位の濫用の有無)について(略) 争点3(被告A職員の出資金払戻協力義務違反の有無)の検討(前略)この点,被告A職員が原告らの主張する出資金払戻協力義務違反の不法行為を行ったといえるためには,最低限,原告らが払戻請求を行う旨の意思表示をしたにもかかわらず,被告A職員が,原告らの意に反して,これを拒絶し又は払戻しに協力しなかった事実が認められる必要があるところ,原告62以外の原告らは,上記事実を基礎付ける証拠として,原告調査票を提出するのみであり,原告調査票のみをもってかかる事実を認定することができないことは,前記2㨯アのとおりである(以下略)。 次に,原告62について検討するに,甲B62号証の1及び弁論の全趣旨によれば,被告Aは,原告62が平成13年8月24日に払戻請求をしたにもかかわらず,払戻しに応じていない事実が認められる。 -70 -しかし,前記2㨯のとおり,信用金庫に対する出資は,もともと回収長期化のリスクを内在的に有しているのであるから,被告Aの上記対応が違法であるといえるためには,単に,払戻しまでの期間が長期にわたっているというだけでは足りず,被告A職員が,譲渡先を見つけることなく放置したり,譲渡先が見つかっているのに譲渡手続をとらなかった場合など,長期化の原因が被告A職員の不適切な対応にあったといえる必要があるところ,本件において,かかる事情を認めるに足りる証拠はない。 したがって,上記原告らの出資金払戻協力義務違反の主張はいずれも採用できない。 争点5(被告理事らの指導監督義務違反と原告らの損害との間の因果関係)(略) 争点6(被告国の被告Aに対する監督権限不行使の違法性)の検討㨯ア 協力義務違反の主張はいずれも採用できない。 争点5(被告理事らの指導監督義務違反と原告らの損害との間の因果関係)(略) 争点6(被告国の被告Aに対する監督権限不行使の違法性)の検討㨯ア国家賠償法1条1項は,国又は地方公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別に国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに,国又は地方公共団体がこれを賠償する責に任ずることを規定するものである(最高裁昭和60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁。 )したがって,公権力の行使に当たる公務員の行為が国家賠償法1条1項の適用上違法となるためには,まず,その前提として,公務員の権限行使の根拠となる規定の趣旨・目的からして,当該公務員が,賠償を求めている当該国民に対する関係で個別具体的な職務上の法的義務を負担していると認められる必要があり,本件においては,信用金庫に対する監督権限を規定する信金法の制度趣旨・目的からして,被告国の公務員が,出資者が被る損害の救済・予防の見地から,上記権限を行使すべき職務上の義務を負担していることを要するというべきである。 そこで,信金法上の被告国の信用金庫に対する監督権限が,出資者が被-71 -る損害の救済・予防のために行使されることを予定しているか否かにつき,以下検討する。 イ戦後,金融面から中小企業を支援する必要性から「中小企業等協同組,合法」及び「協同組合による金融事業に関する法律(以下「協金法」」,という)が制定された。協金法は「協同組織による金融業務の健全な。 ,経営を確保し,預金者その他の債権者及び出資者の利益を保護することに,,」より一般の信用を維持しもって協同組織による金融の発達を図ることを目的としており(1条,出資者の利益保護が明文により ,経営を確保し,預金者その他の債権者及び出資者の利益を保護することに,,」より一般の信用を維持しもって協同組織による金融の発達を図ることを目的としており(1条,出資者の利益保護が明文により掲げられてい)るが,協金法の規律を受ける信用協同組合には,業域組合や職域組合のような相互扶助的色彩の強い信用協同組合と,一般金融機関としての性格の強い信用協同組合とが混在しており,同法によってすべての中小企業専門金融機関を規律することは監督行政上無理があると考えられたことから,前者の信用協同組合については,組合員以外の者からの預金を制限するとともに,できる限り監督を簡素化して,自律的な業務の運営を行わせるようにし,後者の信用協同組合については,公共性性格の強い金融機関として,会員に限定することなく広く預金の受入業務を行うなど機能を拡大するとともに,監督を強化すべく,信金法を制定し,信用金庫制度が発足したものである。 このように,信用金庫は,公共的性格の強い金融機関として,信用協同組合とは異なる規律に服することとなったが,相互扶助の精神に基づく協同組織としての性格を失ったものではなく,信用金庫の会員たる資格を有するのは,原則として,当該信用金庫の地区内に住所,居所又は事業所を有する者,当該信用金庫の地区内において勤労に従事する者に限定されており(信金法10条1項,また,金融機関の基幹事業たる貸付事業につ)いても,原則として,会員に対するものに限定されている(信金法53条1項。 )-72 -したがって,信用金庫については,その公共的性格から,信用協同組合に比べ,会員の利益保護の要請が相対的に弱まったとはいい得るものの,信金法の制定・施行により,かかる要請が全く失われたということはできない。上記のとおり,信用金庫の会員となる資格は,原則 用協同組合に比べ,会員の利益保護の要請が相対的に弱まったとはいい得るものの,信金法の制定・施行により,かかる要請が全く失われたということはできない。上記のとおり,信用金庫の会員となる資格は,原則として,当該信用金庫の地区内の居住者又は勤労者に限定されており,基幹事業たる貸付けの相手方も,原則として,信用金庫の会員であることを要することからすれば,信用金庫としての信用は,地区内の居住者ないし勤労者との関係において維持する必要があり,そのためには,地区内の居住者ないし勤労者から拠出される出資の健全性の確保が必要不可欠であるというべきである。 ウこの点,被告国は,信金法1条が,同法の目的として「預金者等」の保護を掲げているところここでいう預金者等とは銀行法における預,「」,「金者等」と同一の概念であり,同法において「預金者等」が預金又は定期積金の積金者と定義付けられていることを根拠として,出資者の保護を目的として,信用金庫に対する監督権限を行使することはできない旨主張する。 しかし,仮に,信金法1条の「預金者等」が,銀行法上の預金者と同一概念であると解したとしても,同条は,信金法の目的として,預金者等の,「」,,保護のみならず信用の維持をも掲げているのであり上記のとおり信用金庫としての信用維持のためには,出資の健全性の確保が必要不可欠であるのであるから,信用金庫に対する監督権限は,出資者保護の観点から行使されることも期待されているというべきである。したがって,この点に関する被告国の主張は採用できない。 また,被告国は,信用金庫に対する監督権限の行使は,信用金庫の公共的性格ゆえに許容される旨主張するが,信用金庫のような公共性の認められない信用協同組合に対しても,銀行法上の監督権限を行使することが認-7 被告国は,信用金庫に対する監督権限の行使は,信用金庫の公共的性格ゆえに許容される旨主張するが,信用金庫のような公共性の認められない信用協同組合に対しても,銀行法上の監督権限を行使することが認-73 -められている(協金法6条)ことからすると,監督権限の行使は,必ずしも信用金庫の公共的性格のみを根拠として認められているとはいいがたいから,この点に関する被告国の主張も採用できない。 エ以上によれば,信金法上の被告国の信用金庫に対する監督権限に関する規定は,出資者が被る損害の救済・予防の観点から行使されることが予定されているというべきであり,かかる監督権限の不行使が,出資者である原告らとの関係において,国家賠償法1条1項の適用上,違法となる余地があるというべきである。 㨯ア次に,いかなる場合において,被告国の信用金庫に対する監督権限の不行使が国家賠償法1条1項の適用上違法となるか否かにつき検討するに,国又は地方公共団体の公務員による監督権限の不行使は,その権限を定めた法令の趣旨・目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,その不行使により被害を受けた者との関係において,国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である(最高裁平成16年10月15日第二小法廷判決・民集58巻7号1802頁。 )そして,信用金庫は,公共的性格を有しているとはいえ,本来,独立の経済主体として,自律主義と契約自由の原則の下において,自由に経済活動を行うことが許されるのが原則であり,信用金庫と出資者との間の出資契約は,まさに契約自由の原則が妥当する領域の事柄であるから,被告国が安易に監督権限を行使するのは妥当ではなく,かかる監督権限の不行使が違法となり得るの のが原則であり,信用金庫と出資者との間の出資契約は,まさに契約自由の原則が妥当する領域の事柄であるから,被告国が安易に監督権限を行使するのは妥当ではなく,かかる監督権限の不行使が違法となり得るのは,最低限,被告国において,信用金庫が違法な勧誘活動を行っていることを認識していたか,容易に認識し得たことを要すると解するのが相当である。 なお,上記のとおり,被告国に国家賠償法上の責任が発生するのは,被告Aの原告らに対する勧誘が違法であることが前提であるため,被告Aに-74 -よる勧誘が違法とはならない前記2㨯イに掲記された原告以外の原告らに,,ついては被告国による監督権限の不行使の違法性を検討するまでもなくその主張は採用できない。 イそこで,以下,前記2㨯イに掲記された原告らとの関係で,被告国において,被告Aが違法な勧誘活動を行っていることを認識し又は容易に認識し得たか否かにつき検討するに,原告らは,被告Aが,財務状況が悪化していた状況下において,出資の勧誘を行い,出資金総額を短期間のうちに増加させたことをもって,被告国の公務員において,被告Aが違法な勧誘活動を行っていることを認識し又は容易に認識し得た旨主張する。 しかし,出資金の増加という現象は,被告Aにおいて,特定の時期から出資金の増加を図る施策を講じていたことを推認することはできても,それ以上に,勧誘の方法や態様等までも推認することはできず,出資金の急増を認識したからといって,違法な勧誘行為が行われていることを認識し又は容易に認識し得たとはいえない。 また,一般に,経営状況が悪化していても,出資を募ることにより事業が好転する場合も多く,常に破綻するわけではない上,被告Aは,毎年度3パーセントないし4パーセントの配当を実施していた(前記1㨯ウ)のであり,出資のメリットを期待し いても,出資を募ることにより事業が好転する場合も多く,常に破綻するわけではない上,被告Aは,毎年度3パーセントないし4パーセントの配当を実施していた(前記1㨯ウ)のであり,出資のメリットを期待して出資することも十分あり得るのであるから,経営状況が悪化している状況下で多くの出資がなされていることを認識したからといって,違法な勧誘行為が行われていることを認識し又は容易に認識し得たとはいえない。 当時,経営状況が悪化していた信用金庫や信用協同組合による出資の勧誘の方法や態様等が,広く世間一般において問題とされていたり,出資者から,被告国に対し,被告Aの勧誘の方法や態様等について苦情が寄せられていたような事情が存在するのであれば,被告国の公務員において,被告Aの違法な勧誘行為を認識し又は容易に認識し得たといい得るが,本件-75 -において,かかる事情は特に見当たらない。 したがって,本件においては,被告国の公務員において,被告Aが違法な勧誘活動を行っていることを認識し又は容易に認識し得たとは認められない。 ウなお,原告らは,被告国が,被告Aに対し,資本充実を含む改善計画の提出を要求し,違法な勧誘活動を行うきっかけないしエスカレートさせる原因を作った旨主張するが,資本充実を含む改善計画の提出を命じることが,なぜ被告国の監督権限の不行使の違法性を基礎付けることとなるのか不明であるし,資本充実を含む改善計画の提出を命じたからといって,相当程度の確率で違法な出資の勧誘が行われるなどとはいえないのであるから,かかる事実をもって,被告国の監督権限の不行使の違法性を基礎付けることができないことは明らかである。 㨯よって,本件においては,被告国の被告Aに対する監督権限の不行使が違法であるとは認められないから,この点に関する原告らの主張は採用できない 違法性を基礎付けることができないことは明らかである。 㨯よって,本件においては,被告国の被告Aに対する監督権限の不行使が違法であるとは認められないから,この点に関する原告らの主張は採用できない。 争点7(平成13年検査の違法性)の検討㨯金融検査マニュアルの形式的・画一的適用の違法についてア原告らは,関東財務局長が,平成13年検査において,金融検査マニュアルを形式的・画一的に適用したことが違法である旨主張する。 この点,金融検査マニュアルは,監督当局の検査監督機能の一層の向上及び透明な行政の確立を図るとともに,金融行政全体に対する信頼を確立する観点から整備・公表された査定基準等を示した通達であり,検査官が金融検査を行う際の手引書としての役割を有しているところ,通達によって公務員の行政行為の内部基準が定められている場合,公務員は,当該基準に従って行政行為を行うべき職務上の義務があるため,当該基準が明白に不合理な内容であるなどの特段の事情がない限り,当該基準に適合した-76 -当該公務員の行政行為が違法となる余地はないというべきである。 イそこで,金融検査マニュアルに示された基準が明らかに不合理な内容であるか否かについて検討するに,金融検査マニュアルは,貸出先の実態に,「」,「」,「」,「」応じて債務者を正常先要注意先破綻懸念先実質破綻先及び「破綻先」に区分した上,これを前提に,優良担保,優良保証等,一般担保及び一般保証等の有無により調整を施した上で,債権回収の危険性又は価値の毀損の危険性の度合いに応じて,資産をⅠ分類ないしⅣ分類に分類し,かかる資産の分類を前提として,各債務者区分ないし各債権ごとに予想損失額を求め,必要な償却・引当額を算定するものである(詳細は前記1㨯のとおりである)が,かかる査定基準 Ⅰ分類ないしⅣ分類に分類し,かかる資産の分類を前提として,各債務者区分ないし各債権ごとに予想損失額を求め,必要な償却・引当額を算定するものである(詳細は前記1㨯のとおりである)が,かかる査定基準は,金融機関が有する貸。 出金債権の回収の危険性又は価値の毀損の危険性を合理的に見積もるものであるといえ,少なくとも,その内容が明白に不合理であるとはいえないことは明らかである。 ウこの点,原告らは,金融検査マニュアルは,本来は大企業を取引先とする銀行の資産査定を想定して策定されたものであるため,経営実態に応じた査定基準が示されていない旨主張するが,貸倒れの危険性等の債務者に係る信用リスクは,金融機関の規模の大小等により差が生じるものではないから,金融検査マニュアルは,銀行の資産査定のみを想定して策定されたものであるとはいえない。また,金融検査マニュアルには「金融機関,の規模や特性を十分に踏まえ,機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する必要があり,金融検査マニュアルのチェック項目に記述されている字義通りの対応が金融機関においてなされていない場合であっても,金融機関の業務の健全性及び適切性確保の観点からみて,金融機関の行っている対応が合理的なものであり,さらに,チェック項目に記述されているものと同様の効果がある,あるいは金融機関の規模や特性に応じた十分なものであると認められるのであれば,不適切とするものではない」旨や「債,-77 -務者区分は(中略)特に,中小・零細企業については,当該企業の財務,状況のみならず,当該企業の技術力,販売力や成長性,代表者等の役員に対する報酬の支払状況,代表者等の収入状況や資産内容,保証状況と保証能力等を総合的に勘案し,当該企業の経営実態を踏まえて判断する」旨記載されている(前記1㨯ア,エ㨯)のであ 成長性,代表者等の役員に対する報酬の支払状況,代表者等の収入状況や資産内容,保証状況と保証能力等を総合的に勘案し,当該企業の経営実態を踏まえて判断する」旨記載されている(前記1㨯ア,エ㨯)のであり,小規模な金融機関の実態に配慮した内容のものとなっていると認められる。したがって,関東財務局長が,平成13年検査において,金融検査マニュアルを形式的・画一的に適用したことが違法であるとの原告らの主張は採用できない。 㨯金融検査マニュアルの恣意的運用の違法についてア原告らは,関東財務局長が,平成13年検査において,金融検査マニュアルを恣意的に運用したことが違法である旨主張し,その根拠として,金融検査マニュアルでは「直近の不動産鑑定士による鑑定評価(中略)が,ある場合には担保評価額の精度が十分に高いものとして当該価格を処分可能見込額と取り扱って差し支えない」とされているにもかかわらず,平成13年検査では,不動産鑑定士の評価の精度に疑義があるとして,不動産鑑定士の鑑定評価の90パーセントを処分可能見込額と判断した旨を指摘する。 しかし,金融検査マニュアルでは,担保評価額及び処分可能見込額が客観的・合理的な評価方法で算出されているかを検証することとされており,担保評価額を処分可能見込額としている場合は,担保評価額の精度が高いことについて合理的な根拠があるかを検証し,具体的には,相当数の物件について,実際に処分が行われた担保の処分価格と担保評価額を比較し,処分価格が担保評価額を上回っているかどうかについての資料が存在し,これを確認できる場合は,合理的な根拠があるものとして取り扱うこととされている(前記1㨯エ㨯e。また,その一方で,金融検査マニュ)アルでは,直近の不動産鑑定士による鑑定価格がある場合には,担保評価-78 -額の精度が十分に な根拠があるものとして取り扱うこととされている(前記1㨯エ㨯e。また,その一方で,金融検査マニュ)アルでは,直近の不動産鑑定士による鑑定価格がある場合には,担保評価-78 -額の精度が十分に高いものとして当該価格を処分可能見込額と取り扱って差し支えないとされているが(前記1㨯エ㨯e,金融検査マニュアルが)「取り扱って差し支えない」との文言を使用し「取り扱うものとする」,ないし「取り扱わなければならない」との文言を使用していないことからすると,不動産鑑定士による鑑定価格の精度に疑義がある場合には,必ずしも当該価格を処分可能見込額と取り扱う必要はなく,かえって,当該価格が合理的な根拠に基づくものであるのか否かの検証を行うことが望まれているといえる。 そして,平成13年検査において検証の対象となった不動産鑑定士による鑑定価格は,不動産鑑定評価に関する法律39条にいう不動産鑑定評価書に基づくものではなく,いわゆる簡易鑑定に基づくものであった上,被告Aの平成12年1月から平成13年12月までの競売を除く売却実例40件の売却価格は,上記不動産鑑定士による簡易鑑定による鑑定価格の87.9パーセントであったのであるから(前記1㨯サ,平成13年検査)において,検査官が不動産鑑定士による鑑定価格の90パーセントをもって処分可能見込額と判断したとしても,金融検査マニュアルを恣意的に運用したといえないことは明らかである。 なお,被告Aは,上記検査官の判断に問題があると考えたのであれば,意見申出制度に基づく意見申出(前記1㨯エ)をすることができたものであるが,被告Aが同申出を行っていないこと(前記1㨯サ)からすると,被告Aは,消極的ではあるにせよ,検査官の上記判断を是認したと評価することができ,この点も検査官の上記判断の正当性を裏付けるものである るが,被告Aが同申出を行っていないこと(前記1㨯サ)からすると,被告Aは,消極的ではあるにせよ,検査官の上記判断を是認したと評価することができ,この点も検査官の上記判断の正当性を裏付けるものであるといえる。 イまた,原告らは,平成12年検査では不動産鑑定士による担保評価額が100パーセント認められていた旨,及び平成13年検査と同時期に行われたF信用金庫に対する検査では担保評価額が100パーセント認められ-79 -ていた旨をも指摘するが,平成13年検査と時点あるいは被検査金融機関を異にする金融検査を比較しても,前提となる事情が同じであるとは限らないのであるから,これらの検査が平成13年検査と取扱いを異にすることをもって,金融検査マニュアルの運用が恣意的に行われたとする根拠とはなり得ないというべきである。 ウさらに,原告らは,平成13年検査では,通常の倍の人数の検査官が派遣されたと主張するが,検査官の人数は被検査金融機関の規模や検査スケジュール等により異なったとしても何ら不自然であるとはいえない。確かに,平成13年7月から平成14年6月までの間における信用金庫に対する金融検査は平均6.8名の検査官により実施されているのに対し,平成13年検査は12人の検査官により実施されているが(前記1㨯サ,平)均を上回る人数により金融検査が実施されたという事実は,他の金融検査よりも充実した検査が実施され,検査結果の精度の高さをうかがわせる事情とはなり得ても,検査の違法性を基礎付ける事情となり得るものではない。また,原告らは,平成13年検査は通常の3分の1の日数で終了したとも主張するが,平成13年7月から平成14年6月までの間における信用金庫に対する金融検査の1金庫当たりの平均立入検査日数は18.0日間であるのに対し,平成13年検査における立入 1の日数で終了したとも主張するが,平成13年7月から平成14年6月までの間における信用金庫に対する金融検査の1金庫当たりの平均立入検査日数は18.0日間であるのに対し,平成13年検査における立入検査日数は15日間であり(前記1㨯,その差は3日間にすぎない。そもそも,平成13年検査)は,平均を上回る人数の検査官により実施されているのであるから,他の検査に比べ立入検査日数が短縮されることも何ら不自然であるとはいえない。よって,平成13年検査における検査官の人数及び立入検査日数についても,金融検査マニュアルの運用が恣意的に行われた根拠とはなり得ないというべきである。 エなお,原告らは,被告国が,被告Aに対し,自主的に破綻申請しなければ業務停止命令を下すと圧力をかけ,破綻申請を迫った旨主張するが,か-80 -かる事実を認めるに足りる証拠はなく,また,仮に,かかる事実があったとしても,自己資本比率が0パーセントを下回る金融機関に対しては業務停止命令がなされることとなるのであるから(前記1㨯ウ,債務超過に)陥り,自己資本比率が0パーセントを下回る状態にあった被告Aに対し,自主的に破綻申請しなければ業務停止命令を行う旨申し向けたとしても,違法であるとはいえない。 㨯よって,平成13年検査には何ら違法な点はなく,金融検査マニュアルの形式的・画一的適用の違法及び恣意的運用の違法に関する原告らの主張は,いずれも採用できない。 総括㨯以上のとおり,被告理事らには,平成12年12月22日以降に出資した原告2,4ないし6,9,11ないし18,20ないし22,24,25,27ないし30,32,34ないし47,52ないし54,59,61,63及び64との関係において,被告A職員に対する指導監督義務違反が認められ,かかる指導監督義務違反は,不 ないし22,24,25,27ないし30,32,34ないし47,52ないし54,59,61,63及び64との関係において,被告A職員に対する指導監督義務違反が認められ,かかる指導監督義務違反は,不法行為に当たるとともに,理事としての任務懈怠に当たり,この点につき被告理事らには重過失があったと認められる。 ,(,したがって被告理事らは民法709条ないし信金法35条2項ただし平成17年法律第87号による改正前のもの)に基づき,被告Aは民法44条1項(ただし,平成18年法律第50号による改正前のもの)に基づき,連帯して,上記原告らに対し,上記原告らが被告理事らの指導監督義務違反,,により被った損害について賠償する責任があるところ上記原告らの損害は直接的には平成12年12月22日以降の出資金相当額別紙一覧表の認,(「容額」欄中の「出資金額合計」欄記載の金額)であるが,弁護士費用についても,諸般の事情にかんがみ,上記金額の1割(別紙一覧表の「認容額」欄中の「弁護士費用」欄記載の金額)を本件と相当因果関係のある損害として-81 -認める。 よって,上記原告らの被告A及び被告理事らに対する請求は,別紙一覧表の「認容額」欄中の「認容額合計」欄記載の金額の連帯支払を求める限度で理由がある。 これに対し,平成12年12月21日以前に出資した原告らとの関係においては,被告A職員及び被告理事らに,説明義務違反及び指導監督義務違反は認められないから,同原告らの被告A及び被告理事らに対する請求はいずれも理由がない。 ,,㨯また被告国の被告Aに対する監督権限の不行使及び平成13年検査には何ら違法な点は認められないから,原告らの被告国に対する請求はいずれも理由がない。 第5 結論 以上の次第で,原告らの本訴請求は,原告2,4ないし6,9,11 る監督権限の不行使及び平成13年検査には何ら違法な点は認められないから,原告らの被告国に対する請求はいずれも理由がない。 第5 結論 以上の次第で,原告らの本訴請求は,原告2,4ないし6,9,11ないし,,,,,,, 20ないし22 27ないし30 34ないし47,,,,,52ないし54 63及び64が被告A及び被告理事らに対し別紙一覧表の「認容額」欄中の「認容額合計」欄記載の金額並びにこれに対する遅延損害金の連帯支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余の請求は理由がないからいずれも棄却し,訴訟費用の負担について,民訴法61条,64条,65条1項を,仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第3部裁判長裁判官堀内明-82 -裁判官向井宣人裁判官上田哲は,転補のため,署名押印できない。 裁判長裁判官堀内明
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