令和6年12月20日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和元年(行ウ)第577号事業計画変更取消請求事件口頭弁論終結日令和6年9月6日判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告が令和元年5月20日付けでしたA都市計画事業B駅西口土地区画整理 事業の事業計画の変更決定を取り消す。 第2 事案の概要本件は、原告らが、被告が令和元年5月20日付けでしたA都市計画事業B駅西口土地区画整理事業の事業計画の変更決定(後記2⑸の本件第3次変更決定)は違法であるとして、その取消しを求める事案である。 1 関係法令本件に関係する土地区画整理法、土地区画整理法施行規則、地方自治法及び地方財政法の定めは、別紙2記載のとおりである。なお、別紙2ないし5において定める定義又は略称は、以下の本文においても用いることがある。 2 前提事実(証拠等を掲記した事実を除いて、当事者間に争いがない。) ⑴ 本件事業計画決定被告は、平成15年4月14日、東京都知事から設計の概要の認可を得て、同月16日、土地区画整理法(平成17年法律第34号による改正前のもの)52条1項に基づき、B駅西口地区における土地区画整理事業(以下「本件事業」という。)について、以下の事業計画を決定し(以下、この決定を 「本件事業計画決定」といい、その事業計画を「本件事業計画」という。)、 羽村市長は、同日、これを公告した。 ア事業の名称A都市計画事業B駅西口土地区画整理事業イ施行者の名称被告(羽村市) ウ施行地区の区域(乙1)羽村市C、D、E、F、G、H及びI各地内エ施行 した。 ア事業の名称A都市計画事業B駅西口土地区画整理事業イ施行者の名称被告(羽村市) ウ施行地区の区域(乙1)羽村市C、D、E、F、G、H及びI各地内エ施行地区の面積約42.4haオ事業施行期間 本件事業計画決定の公告の日(平成15年4月16日)から平成34年3月31日までカ事業費355億円⑵ 第1次変更決定 被告は、平成20年3月14日、土地区画整理法55条12項括弧書きにいう軽微な変更として、本件事業計画について、一部区画道路の変更に係る事業計画の変更決定をし、羽村市長は、同日、これを公告した(乙1、3)。 ⑶ 本件第2次変更決定被告は、平成26年12月15日、東京都知事から設計の概要の変更の認 可を得て、同月17日、土地区画整理法55条12項に基づき、本件事業計画について、道路等の公共施設の配置見直しに伴う設計の概要及び資金計画の変更に係る事業計画の変更決定(以下、この決定を「本件第2次変更決定」といい、その変更後の事業計画を「本件第2次変更後事業計画」という。)をし、羽村市長は、同日、これを公告した。 本件第2次変更決定により、本件事業の事業費は370億円に変更された。 (以上につき、乙4)⑷ 前件訴訟本件事業の施行地区(以下「本件施行地区」という。)内の宅地について所有権を有する者等は、被告を相手に、本件第2次変更決定の取消しを求める訴えを提起したところ(以下、この訴訟を「前件訴訟」という。)、東京 地方裁判所は、平成31年2月22日、本件第2次変更決定は資金計画及び事業施行期間の点において土地区画整理法54条、6条9項、11項、土地区画整理法施行規則10条1号、2号に反し、地方 、東京 地方裁判所は、平成31年2月22日、本件第2次変更決定は資金計画及び事業施行期間の点において土地区画整理法54条、6条9項、11項、土地区画整理法施行規則10条1号、2号に反し、地方自治法2条14項、地方財政法4条1項の趣旨にも反して違法であるなどとして、本件第2次変更決定を取り消す旨等の判決をした。 なお、東京高等裁判所は、後記⑸の本件第3次変更決定がされた後である令和4年8月8日、上記判決を取り消し、本件第2次変更決定の取消請求を棄却する旨の判決をし、同判決は、後に確定した。 ⑸ 本件第3次変更決定ア被告は、令和元年5月20日、土地区画整理法55条13項括弧書きに いう軽微な変更として、本件事業計画について、事業施行期間の延伸及び資金計画の変更に係る事業計画の変更決定(以下、この決定を「本件第3次変更決定」といい、その変更後の事業計画を「本件第3次変更後事業計画」という。)をし、羽村市長は、同日、これを公告した。 本件第3次変更決定により、本件事業の事業施行期間は令和19年3月 31日までに変更され、また、その事業費は436億円に変更された。本件第2次変更後事業計画と本件第3次変更後事業計画の主な差異は、別表のとおりである。(以上につき、甲1の1・2、乙4、弁論の全趣旨)イ別表の「資金計画(収入)」欄のうち「国庫補助金(社会資本整備総合交付金)」欄記載の各交付金(道路事業及び都市再生土地区画整理事業に 係るもの)は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律2条1項 に規定する「補助金等」であり(同項4号、令和元年政令第8号による改正前の補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令2条102号。以下では便宜上、上記各交付金についても「補助金」ということがあ 規定する「補助金等」であり(同項4号、令和元年政令第8号による改正前の補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律施行令2条102号。以下では便宜上、上記各交付金についても「補助金」ということがある。)、社会資本整備総合交付金交付要綱(平成22年3月26日付け国官会第2317号国土交通事務次官通知別添。以下「本件要綱」という。 乙6、7、9)において、その交付は、同法、本件要綱等に定めるところにより行うものと定められている。本件要綱の定めのうち、本件に関係するものは、別紙3のとおりである。 また、別表の「資金計画(収入)」欄のうち「東京都補助金」欄記載の各補助金のうち、道路事業に係るものは、本件施行地区内の都市施設であ るA都市計画道路3・4・15号線及び7・5・1号線に関する、東京都土地区画整理事業助成規程(平成6年東京都告示第347号。以下「本件規程」という。乙15)3条1項所定の補助金であり、都市再生土地区画整理事業に係るものは、本件規程5条1項所定の補助金である。本件規程の定めのうち、本件に関係するものは、別紙4のとおりである。 ⑹ 原告ら原告らのうち、別紙原告目録記載の原告番号(以下、単に「原告番号」という。)4、27、45、48、53、57、59及び60の原告ら以外の者は、本件施行地区内の宅地について所有権(共有持分を含む。以下同じ。)又は借地権を有する者(以下、併せて「地権者」という。)である(弁論の 全趣旨)。 3 争点⑴ 本案前の争点原告番号4、27、45、48、53、57、59及び60の原告らの原告適格の有無(争点1) ⑵ 本案の争点 ア本件第3次変更後事業計画の事業施行期間の定めが土地区画整理法54条、6条9項に反して違法か否か(争 び60の原告らの原告適格の有無(争点1) ⑵ 本案の争点 ア本件第3次変更後事業計画の事業施行期間の定めが土地区画整理法54条、6条9項に反して違法か否か(争点2)イ本件第3次変更後事業計画の資金計画の定めが土地区画整理法54条、6条11項、土地区画整理法施行規則10条、地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に反して違法か否か(争点3) 4 争点に関する当事者の主張争点に関する当事者の主張は、別紙5のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(原告番号4、27、45、48、53、57、59及び60の原告らの原告適格の有無)について ⑴ 判断枠組みについて行政事件訴訟法9条は、取消訴訟の原告適格について規定するが、同条1項にいう当該処分の取消しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれのある者をいうと解すべきである。そして、処分 の名宛人に限らず、処分の法的効果により自己の権利又は法律上保護された利益の制限を受ける者は、当該処分により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者として、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たり、その取消訴訟における原告適格を有するものというべきである(最高裁平成24年(行ヒ) 第156号同25年7月12日第二小法廷判決・裁判集民事244号43頁参照)。 ⑵ 本件施行地区内の宅地上の建物の所有者についてア市が施行する土地区画整理事業の事業計画の決定が公告されると、換地処分の公告がある日まで、施行地区内において、土地区画整理事業の施行 の障害 本件施行地区内の宅地上の建物の所有者についてア市が施行する土地区画整理事業の事業計画の決定が公告されると、換地処分の公告がある日まで、施行地区内において、土地区画整理事業の施行 の障害となるおそれがある建築物その他の工作物の新築、改築、増築等を 行おうとする者は、市長の許可を受けなければならず(土地区画整理法76条1項4号)、市長は、これに違反した者等に対し、当該土地の原状回復等を命ずることができ(同条4項)、この命令に違反した者に対しては刑罰が科される(同法140条)。このほか、施行地区内の宅地についての所有権以外の権利で登記のないものを有し又は有することとなった者は、 書面をもってその権利の種類及び内容を施行者に申告しなければならず(同法85条1項)、施行者は、その申告がない限り、これを存しないものとみなして、仮換地の指定や換地処分等をすることができる(同条5項)。 また、土地区画整理事業の事業計画が決定されると、設計の概要に係る 設計説明書及び設計図の記載(土地区画整理法54条、6条1項、土地区画整理法施行規則6条参照)により、当該土地区画整理事業の施行によって施行地区内の宅地所有者等の権利にいかなる影響が及ぶかについて、一定の限度で具体的に予測することが可能になる。そして、土地区画整理事業の事業計画について一旦その決定がされると、特段の事情のない限り、 その事業計画に定められたところに従って具体的な事業がそのまま進められ、その後の手続として、施行地区内の宅地について換地処分が当然に行われることになる。前記の建築行為等の制限は、このような具体的な事業の施行の障害となるおそれのある事態が生ずることを防ぐために法的強制力を伴って設けられているのであり、しかも、施行地区内の宅地所有者等 ることになる。前記の建築行為等の制限は、このような具体的な事業の施行の障害となるおそれのある事態が生ずることを防ぐために法的強制力を伴って設けられているのであり、しかも、施行地区内の宅地所有者等 は、換地処分の公告がある日まで、その制限を継続的に課され続ける。 そして、施行地区内の宅地上に、借地権以外の権原に基づいて建物を所有する者も、事業計画の決定がされることによって、上記のような規制を伴う土地区画整理事業の手続に従って、当該建物の改築や増築を制限され、また、当該宅地使用権について換地処分による影響を受けるという地位に 立たされることとなり、事業計画の決定の法的効果により自己の権利若し くは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれがあるということができるから、土地区画整理法85条1項に基づく権利の申告の有無にかかわらず、事業計画の決定及びその変更決定の取消しを求める原告適格を有するものというべきである。 イ原告番号4、45及び48の原告らは、本件施行地区内の宅地上の建物 の所有者であり(甲4、5の1、6の1)、同原告らの敷地使用が不法占有であることをうかがわせる事情もないから、正当な権原に基づいて本件施行地区内の宅地を使用しているものと認められる。 したがって、同原告らは、本件第3次変更決定の取消しを求める原告適格を有するものというべきである。 ⑶ 本件施行地区内の宅地上の建物の居住者についてア施行地区内の宅地上の建物の居住者は、事業計画の決定がされることによって、土地区画整理事業の施行による仮換地指定等に伴い、同建物を移転・除却する場合(土地区画整理法77条1項)には、①その者が同建物の賃借人及び使用借主であるときは、当該建物を使用できなくなり、又は 区画整理事業の施行による仮換地指定等に伴い、同建物を移転・除却する場合(土地区画整理法77条1項)には、①その者が同建物の賃借人及び使用借主であるときは、当該建物を使用できなくなり、又は 建物の賃借権若しくは使用借権を失うという不利益を受ける地位に立たされることとなり、また、②その者が同建物の賃借人及び使用借主でなくても、建物の正当な占有権原を有する者の占有を補助し、当該建物を平穏に自己の居住の用に供しているときは、居住の利益が損なわれるという不利益を受ける地位に立たされることとなる(なお、建物の正当な占有権原を 有する者の占有を補助し、当該建物を平穏に自己の居住の用に供している者の居住の利益は、法律上保護された利益に当たると解される。)。 したがって、施行地区内の宅地上の建物の居住者は、事業計画の決定の法的効果により自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれがあるということができ、事業計画の決定及 びその変更決定の取消しを求める原告適格を有するものと解するのが相当 である。 イ原告番号27、53、57、59及び60の原告らは、本件施行地区内の宅地の地権者の妻、子、その妻又は義母であり、本件施行地区内に居住していることからすると(甲7、9~11、弁論の全趣旨。なお、甲90によれば、原告番号57の原告は、本件訴え提起後、相続により、地権者 となったことがうかがわれる。)、同宅地上の建物の賃借人又は使用借主であるか、少なくとも建物の正当な占有権原を有する者の占有を補助し、当該建物を平穏に自己の居住の用に供しているものと認められる。 したがって、同原告らは、本件第3次変更決定の取消しを求める原告適格を有するものというべきである。 ⑷ 小括 当該建物を平穏に自己の居住の用に供しているものと認められる。 したがって、同原告らは、本件第3次変更決定の取消しを求める原告適格を有するものというべきである。 ⑷ 小括以上のとおり、原告番号4、27、45、48、53、57、59及び60の原告らは、いずれも、本件第3次変更決定の取消しを求める原告適格を有するものというべきである。 2 争点2(本件第3次変更後事業計画の事業施行期間の定めが土地区画整理法 54条、6条9項に反して違法か否か)について⑴ 判断枠組み土地区画整理法は、土地区画整理事業に係る事業計画においては、施行地区、設計の概要、事業施行期間及び資金計画を定めなければならない旨を規定しているところ(6条1項。なお、同条は、市が施行する場合にも54条 により準用される。)、同法が、上記事業計画において、環境の整備改善を図り、交通の安全を確保し、災害の発生を防止し、その他健全な市街地を造成するために必要な公共施設及び宅地に関する計画が適正に定められていなければならない旨を規定していること(6条8項)などに鑑みれば、上記事業計画を定めるに当たっては、当該土地区画整理事業の施行等に関する諸般 の事情を総合的に考慮した上で、政策的、技術的な見地から判断することが 不可欠であるといわざるを得ず、このような判断は、これを決定する行政庁の広範な裁量に委ねられているというべきである。そうすると、裁判所が上記事業計画の決定又はその変更決定の適否を審査するに当たっては、当該決定又はその変更決定が裁量権の行使としてされたことを前提として、その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこ ととなる場合、又は、事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、 変更決定が裁量権の行使としてされたことを前提として、その基礎とされた重要な事実に誤認があること等により重要な事実の基礎を欠くこ ととなる場合、又は、事実に対する評価が明らかに合理性を欠くこと、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しないこと等によりその内容が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限り、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるとすべきものと解するのが相当である。土地区画整理事業の事業計画のうち事業施行期間についてみ ても、土地区画整理法6条9項において、適切に定めなければならないものとされているほか、具体的な基準等の定めはなく、以上と異なる解釈を採用すべき理由は見当たらない。 ⑵ 認定事実原告らは、本件第3次変更後事業計画における事業施行期間が、本件第3 次変更決定に先立って作成された本件報告書の移転実施計画に係る事業期間より短いことなどをもって、本件第3次変更決定が事業施行期間を適切に定めたものとはいえない旨を主張するところ、前記前提事実、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ア本件事業計画においては、本件事業の事業施行期間は、本件事業計画決 定の公告の日(平成15年4月16日)から平成34年3月31日までの19年間と定められ、道路等の公共施設の配置見直しに伴う設計の概要等に係る事業計画の変更決定である本件第2次変更決定(平成26年12月15日付け)においても、事業施行期間の変更はされていなかった(前提事実⑴ないし⑶)。 イ被告は、平成27年度に本件事業の移転工事に本格的に着手するのに先 立ち、玉野総合コンサルタント株式会社に対し、本件事業に係る移転実施計画作成業務を委託し、同社は、平成27年2月、本件報 告は、平成27年度に本件事業の移転工事に本格的に着手するのに先 立ち、玉野総合コンサルタント株式会社に対し、本件事業に係る移転実施計画作成業務を委託し、同社は、平成27年2月、本件報告書(甲3、乙36、43、45、46、52~62)を作成した(争いがない)。 本件報告書には、次の記載がある(甲3、乙36、43)。 (ア) 業務の目的及び内容 本件報告書に係る業務の目的は、本件事業について、最適な整備着手箇所を決定するとともに、地区全体の整備手順を総合的かつ具体的に計画することなどであり、その計画の立案に当たり、事業期間の短縮と事業費の縮減を検証し、予算規模に応じた計画の最適化を検証することなどに留意する。また、その業務の内容は、資料収集及び現地調査、基本 工程表の作成、地区のエリア分け、優先エリアの選定、優先エリアの実施工程表の作成、事業費の算定等である。 (イ) 検討案2本件報告書において検討された移転実施工程のうち検討案2における要移転建物951棟のうち、移転方法別の棟数は、①曳家工法167棟、 ②再築工法772棟(うち通常移転216棟、中断移転(仮換地が使用できない状態で建築物等を解体撤去して、従前地と仮換地先の両方が使用できない(中断)期間を経た後に、仮換地が使用可能となった時点で建築物を再築する方法)556棟)、③除却工法12棟である。 検討案2によると、その事業期間は30年間となる。 (ウ) 移転実施計画検討案2の事業期間につき、更なる事業期間の圧縮を図るべきか、関係部署と協議を行った結果、単年度における事業費及び建物移転棟数がこれ以上増加する計画は執行が現実的ではないため、検討案2を基に、課題となっている優先区域の早期築造、事業費の平 圧縮を図るべきか、関係部署と協議を行った結果、単年度における事業費及び建物移転棟数がこれ以上増加する計画は執行が現実的ではないため、検討案2を基に、課題となっている優先区域の早期築造、事業費の平準化等を図り、移転 実施計画とした。 ウ被告は、本件報告書が作成された後、都市再生土地区画整理事業に係る社会資本整備総合交付金等を受けることができるか否かについて検討を開始し(乙14、弁論の全趣旨)、国土交通省の担当者に都市再生土地区画整理事業に係る社会資本整備総合交付金について、東京都の担当者に都市再生土地区画整理事業に係る補助金(本件規程5条1項)について、それ ぞれ事前に相談をした上で(乙18~20、24の2)、令和元年5月20日、上記各補助金計107億4600万円を資金計画の収入に計上する(収入を差引66億円増額する)とともに、事業施行期間を平成15年4月16日から令和19年3月31日までの34年間とする本件第3次変更決定をした(前提事実⑸ア)。 本件第3次変更決定がされた令和元年当時、要移転建物は970棟とされ(弁論の全趣旨)、その移転方法別の棟数は、①曳家工法168棟、②再築工法782棟(うち通常移転10棟、中断移転772棟)等であり、853棟について集団移転(一団のまとまった地域について、従前地上の建築物等を一斉に取り壊し、続いて道路築造工事や宅地造成工事を行い、 工事完了後、一斉に仮換地を引き継いで再建してもらう移転方法)とすることが予定されていた(争いがない)。また、上記970棟のうち平成30年度までの移転予定棟数74棟を除く896棟を、令和元年度から令和15年度頃までに移転することが予定されていた(甲21、41、弁論の全趣旨)。 ⑶ 判断上記⑵の認定事 棟のうち平成30年度までの移転予定棟数74棟を除く896棟を、令和元年度から令和15年度頃までに移転することが予定されていた(甲21、41、弁論の全趣旨)。 ⑶ 判断上記⑵の認定事実によれば、本件第3次変更後事業計画は、本件報告書作成時点では考慮に入れていなかった補助金が交付されることを見込んだ上で、これを前提に、本件報告書の移転実施計画においては、30年間の事業期間で939棟(要移転建物951棟から除却工法によることとされた12棟を 除いた棟数)を移転することとされていたのに対し(単年度の移転棟数は平 均約31棟となる。)、本件第3次変更後事業計画は、本件第3次変更決定がされた令和元年度から令和15年度頃までに上記896棟を移転することとするなど(単年度の移転棟数は平均約60棟となり、事業施行期間の終期である令和18年度までで計算すると平均約50棟となる。)、上記補助金の導入や集団移転手法の活用等により、年度ごとの事業量を増加させ、事業 施行期間を本件報告書の移転実施計画における事業期間よりも短縮したものであることが認められる。 そうすると、本件第3次変更後事業計画における事業施行期間が、本件報告書の移転実施計画に係る事業期間よりも短いことをもって、前記⑴の見地から、被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるというこ とはできない。 なお、これまで述べたところに照らせば、本件報告書に、単年度の移転棟数に上限があることなどから事業期間を30年間から更に短縮することが現実的でない旨の記載があることは、上記の判断を左右するものではない。 原告らは、本件第3次変更後事業計画は、要移転建物の大半を集団移転の 対象とするものであるところ、本件事業については多数の地権者等が 旨の記載があることは、上記の判断を左右するものではない。 原告らは、本件第3次変更後事業計画は、要移転建物の大半を集団移転の 対象とするものであるところ、本件事業については多数の地権者等が反対しており、特に中断移転の対象となる地権者等との交渉に時間を要することなどから、単年度の移転棟数には上限がある旨を主張するが、原告らの主張するところを踏まえても、本件第3次変更決定がされた時点において、本件第3次変更後事業計画における事業施行期間で本件事業が終了することがおよ そ不可能であるなどということはできず、本件第3次変更後事業計画の事業施行期間の定めについて、被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるということはできない。 ⑷ 小括以上によれば、本件第3次変更後事業計画の事業施行期間の定めが土地区 画整理法54条、6条9項に反して違法であるということはできない。 3 争点3(本件第3次変更後事業計画の資金計画の定めが土地区画整理法54条、6条11項、土地区画整理法施行規則10条、地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に反して違法か否か)について⑴ 土地区画整理法54条、6条11項、土地区画整理法施行規則10条違反の有無について ア判断枠組み市が定める土地区画整理事業の事業計画においては、資金計画を定めなければならず(土地区画整理法54条、6条1項)、その設定についての技術的基準として、その資金計画のうち収入予算においては、収入の確実であると認められる金額を収入金として計上しなければならず(土地区画 整理法54条、6条11項、土地区画整理法施行規則10条1号)、支出予算においては、適正かつ合理的な基準によりその経費を算定し、これを支出金として計上しなければな しなければならず(土地区画 整理法54条、6条11項、土地区画整理法施行規則10条1号)、支出予算においては、適正かつ合理的な基準によりその経費を算定し、これを支出金として計上しなければならない(同条2号)とされているところ、上記事業計画のうち資金計画の定めも、前記2⑴の見地から判断することが相当である。 イ本件第3次変更後事業計画の資金計画のうち収入予算について(ア) 本件第3次変更後事業計画の資金計画のうち収入予算は、別表の本件第3次変更後事業計画欄のとおり、計436億円のうち、①国庫補助金が84億8360万円、②東京都補助金が42億3720万円、③東京都交付金が85億9948万4000円、④羽村市負担金が220億4 671万6000円、⑤保留地処分金が2億3300万円である(前提事実⑸ア)。 (イ) 上記(ア)のうち①国庫補助金及び②東京都補助金について、原告らは、補助金の交付が確実でないとして、収入の確実であると認められる金額が計上されていない旨を主張する。 上記各補助金のうち、国庫補助金は、別表のとおり、道路事業及び都 市再生土地区画整理事業に係る社会資本整備総合交付金から成るところ、これらは、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づき交付されるものであり、具体的な交付要件等は、本件要綱(乙6、7、9)等において定められている(前提事実⑸イ)。 また、上記各補助金のうち、東京都補助金は、別表のとおり、道路事 業に係るものと都市再生土地区画整理事業に係るものから成るところ、これらの交付要件等は、本件規程(乙15)において定められている(前提事実⑸イ)。 しかるところ、原告らの上記主張は、これらの補助金の交付要件等の定めの該当性について、具体的に争うものでは ころ、これらの交付要件等は、本件規程(乙15)において定められている(前提事実⑸イ)。 しかるところ、原告らの上記主張は、これらの補助金の交付要件等の定めの該当性について、具体的に争うものではなく、交付がされない可 能性があることを抽象的に指摘するにとどまり、本件全証拠によっても、本件第3次変更決定の時点において、これらの補助金等が交付要件に該当しないなどと判断されるおそれがあるような事情は見当たらない。原告らが主張するような抽象的な可能性をもって、被告がこれらの補助金を収入の確実であると認められるものとして本件第3次変更後事業計画 の資金計画において収入金として計上したことが、前記2⑴の見地からして被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものということはできないから、原告らの上記主張は採用することができない。 (ウ)a 次に、原告らは、上記(ア)④の羽村市負担金について、多額の市債を起こすことが必須であり、被告の財政の破綻を招来するとして、収入 の確実であると認められる金額が計上されていない旨を主張するところ、掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 (a) 羽村市負担金について前記(ア)④の羽村市負担金のうち、本件第3次変更決定がされた令和元年度から事業施行期間が終了する令和18年度までに係る分は 179億0900万円であり、その財源の内訳は、㋐都市計画税が 計80億5100万円(単年度では1億3500万円ないし7億1300万円)、㋑基金が計4億9500万円(令和元年度及び令和2年度のみ。他の年度は0円。)㋒市債が計93億6300万円(令和元年度から令和15年度まで。単年度では2億円ないし10億8400万円)と予定されている。また、本件事業に係る公債費 及び令和2年度のみ。他の年度は0円。)㋒市債が計93億6300万円(令和元年度から令和15年度まで。単年度では2億円ないし10億8400万円)と予定されている。また、本件事業に係る公債費 は、令和35年度まで支出することが予定されている。(甲21、41)(b) 被告の歳入及び歳出について本件第3次変更決定の前年度である平成30年度の被告の歳入総額は234億7000万円(概数。以下同じ。)、歳出総額は22 9億円である(甲29の2)。 被告においては、平成10年度以降、市税収入が減少傾向にある一方で、社会福祉、児童福祉等に係る費用は増加しているため、基金残高が減少している(甲27、28、58、66)。 本件事業計画決定がされた平成15年度から平成30年度までの 推移についてみると、まず、歳入総額のうち市税収入は、平成15年度が103億1000万円(うち土地区画整理事業等に要する費用に充てるための目的税である都市計画税収入が9億1000万円)、平成20年度が113億4000万円(うち都市計画税収入が8億3000万円)、平成25年度が101億7000万円(う ち都市計画税が8億1000万円)、平成30年度が105億2000万円(うち都市計画税収入が8億2000万円)であった(甲29の2~5)。次に、基金残高は、減少しており、平成15年度末は68億6000万円であったのに対し、平成30年度末は27億4000万円(うちB駅西口都市開発整備基金は5億円)であっ た(甲29の2・5、甲38)。また、地方債現在高は、平成15 年度が107億円、平成20年度が125億2000万円、平成25年度が121億1000万円、平成30年度が104億5000万円であった(甲29の2~5)。そして、経常収支 、平成15 年度が107億円、平成20年度が125億2000万円、平成25年度が121億1000万円、平成30年度が104億5000万円であった(甲29の2~5)。そして、経常収支比率(経常的な経費に、経常的な一般財源がどのくらい使われたかを表す比率。 高いほど財政が硬直的であると判断される。甲30、58)は、平 成15年度は93.9%、平成20年度は96.6%、平成25年度は94.9%、平成30年度は100.7%であった(甲29の2~5、甲67)。 b 上記a(a)の認定事実によれば、本件第3次変更後事業計画の資金計画においては、羽村市負担金が収入予算の半額以上を占めているとこ ろ、そのうち本件第3次変更決定がされた令和元年度から事業施行期間が終了する令和18年度までに係る分の主な財源としては、都市計画税収入及び市債が予定されている。 このうち都市計画税収入については、被告の都市計画税収入が年8億円を超える水準で推移していることに照らせば(上記a(b))、その 一部が本件事業以外の事業の経費に充てられる可能性があることを考慮しても、18年間で計80億5100万円を上記財源として予定し、単年度では1億3500万円ないし7億1300万円を上記財源として予定したことが、不合理であるということはできない。 次に、市債については、被告における平成29年度の実質公債費比 率(地方公共団体の財政の健全化に関する法律2条3号)は2.0、将来負担比率(同条4号)は5.3であって、早期健全化基準(同条5号。実質公債費比率は25.0、将来負担比率は350.0)を大幅に下回っており(乙39)、被告の平成30年度の歳入の総額(上記a(b))に照らしても、令和元年度から令和15年度まで、計93億 公債費比率は25.0、将来負担比率は350.0)を大幅に下回っており(乙39)、被告の平成30年度の歳入の総額(上記a(b))に照らしても、令和元年度から令和15年度まで、計93億 6300万円の市債を発行したとしても、そのことから直ちに被告の 財政が破綻する状況にあるということはできず、上記額の市債の発行を予定したことが、不合理であるということはできない。なお、経常収支比率は、経常的な経費に、経常的な一般財源がどのくらい使われたかを表す比率であり(上記a(b))、社会経済や行政需要の変化に適切に対応していくための施策に充てる財源の確保に係る指標であるか ら、被告における経常収支比率が増加しており、平成30年度には100.7%となっていたこと(上記a(b))は、上記の判断を左右するものではない。 ウ本件第3次変更後事業計画の資金計画のうち支出予算について原告らは、本件第3次変更後事業計画の資金計画について、収入予算に おいて市債を計上している一方で、支出予算において上記市債の償還金を計上していない旨を指摘するが、被告において、上記市債の償還の財源を本件事業に係る収入に限定することとされていることはうかがわれず、また、本件事業のために市債を起こしたとしても、本件事業の事業施行期間後にその償還をすることを可能とするため、上記市債の償還の財源を本件 事業に係る収入に限定しないことは合理的であるということができるから、被告が支出予算において上記市債の償還金を計上していないとしても、不合理であるということはできない。 エ小括以上によれば、本件第3次変更後事業計画の資金計画の定めについて、 前記2⑴の見地から、被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があると あるということはできない。 エ小括以上によれば、本件第3次変更後事業計画の資金計画の定めについて、前記2⑴の見地から、被告の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があるということはできず、上記定めが土地区画整理法54条、6条11項、土地区画整理法施行規則10条1号、2号に違反するということはできない。 ⑵ 地方自治法2条14項、地方財政法4条1項違反の有無についてこれまで述べたところによれば、本件第3次変更後事業計画の資金計画の定めが地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に反して違法であるということもできない。 第4 結論よって、原告らの請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官鎌野真敬 裁判官志村由貴 裁判官都築健太郎 (別紙2) 関係法令の定め ○土地区画整理法 (定義) 第二条 この法律において「土地区画整理事業」とは、都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、この法律で定めるところに従つて行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関 を図るため、この法律で定めるところに従つて行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業をいう。 略 この法律において「施行者」とは、土地区画整理事業を施行する者をいう。 この法律において「施行地区」とは、土地区画整理事業を施行する土地の区域をいう。 この法律において「公共施設」とは、道路、公園、広場、河川その他政令で定める公共の用に供する施設をいう。 この法律において「宅地」とは、公共施設の用に供されている国又は地方公共団体の所有する土地以外の土地をいう。 この法律において「借地権」とは、借地借家法(平成三年法律第九十号)にいう借地権をいい、「借地」とは、借地権の目的となつている宅地をいう。 この法律において「施行区域」とは、都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第十二条第二項の規定により土地区画整理事業について都市計画に定められた施行区域を 四十三年法律第百号)第十二条第二項の規定により土地区画整理事業について都市計画に定められた施行区域をいう。 (土地区画整理事業の施行) 第三条 都道府県又は市町村は、施行区域の土地について土地区画整理事業を施行することができる。 (事業計画) 第六条 第四条第一項の事業計画においては、国土交通省令で定めるところにより、施行地区(施行地区を工区に分ける場合においては、施行地区及び工区)、設計の概要、事業施行期間及び資金計画を定めなければならない。 事業計画においては、環境の整備改善を図り、交通の安全を確保し、災害の発生を防止し、その他健全な市街地を造成するために必要な公共施設及び宅地に関する計画が適正に定められていなければならない。 事業計画においては、施行地区は施行区域の内外にわたらないように定め、事業施行期間は適切に定めなければならない。 施行地区は施行区域の内外にわたらないように定め、事業施行期間は適切に定めなければならない。略 事業計画の設定について必要な技術的基準は、国土交通省令で定める。 (施行規程及び事業計画の決定) 第五十二条 都道府県又は市町村は、第三条第四項の規定により土地区画整理事業を施行しようとする場合においては、施行規程及び事業計画を定めなければならない。この場合において、その事業計画において定める設計の概要について、国土交通省令で定めるところにより、都道府県にあつては国土交通大臣の、市町村にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。略 (事業計画) 第五十四条 第六条の規定は、第五十二条第一項の事業計画について準用する。 (事業計画の決定及び変更) 第五十五条 都道府県又は市町村が第五十二条第一項の事業計画を定めようとする場合においては、都道府県知 第五十五条 都道府県又は市町村が第五十二条第一項の事業計画を定めようとする場合においては、都道府県知事又は市町村長は、政令で定めるところにより、事業計画を二週間公衆の縦覧に供しなければならない。 この場合においては、市町村長は、あらかじめ、その事業計画を都道府県知事に送付しなければならない。 ~ 略 都道府県又は市町村が第五十二条第一項の事業計画を定めた場合においては、都道府県知事又は市町村長は、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、施行者の名称、事業施行期間、施行地区その他国土交通省令で定める事項を公告しなければならない。 ・ 略 都道府県又は市町村は、第五十二条第一項の事業計画において定めた設計の概要の変更をしようとする場合(政令で定める軽微な変更をしようとする場合を除く。 )においては、その変更について、都道府県にあつては国土交通大臣の、市町村にあつては都道府 場合を除く。 )においては、その変更について、都道府県にあつては国土交通大臣の、市町村にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。 第一項から第七項までの規定は、第五十二条第一項の事業計画を変更しようとする場合(政令で定める軽微な変更をしようとする場合を除く。 )について、第八項の規定は、設計の概要の変更の認可をした場合について、第九項から第十一項までの規定は、同条第一項の事業計画の変更をした場合について準用する。 (後段略) (建築行為等の制限) 第七十六条 次に掲げる公告があつた日後、第百三条第四項の公告がある日までは、施行地区内において、土地区画整理事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更若しくは建築物その他の工作物の新築、改築若しくは増築を行い、又は政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、国土交通大臣が施行する土地区画整理事業にあつ 動の容易でない物件の設置若しくは堆積を行おうとする者は、国土交通大臣が施行する土地区画整理事業にあつては国土交通大臣の、その他の者が施行する土地区画整理事業にあつては都道府県知事(市の区域内において個人施行者、組合若しくは区画整理会社が施行し、又は市が第三条第四項の規定により施行する土地区画整理事業にあつては、当該市の長。 以下この条において「都道府県知事等」という。 )の許可を受けなければならない。 一~三 略 四 市町村、都道府県又は国土交通大臣が第三条第四項又は第五項の規定により施行する土地区画整理事業にあつては、事業計画の決定の公告又は事業計画の変更の公告 五 略 ・ 略 国土交通大臣又は都道府県知事等は、第一項の規定に違反し、又は前項の規定により付した条件に違反した者がある場合においては、これらの者又はこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物又は物件についての権利を承継し においては、これらの者又はこれらの者から当該土地、建築物その他の工作物又は物件についての権利を承継した者に対して、相当の期 限を定めて、土地区画整理事業の施行に対する障害を排除するため必要な限度において、当該土地の原状回復を命じ、又は当該建築物その他の工作物若しくは物件の移転若しくは除却を命ずることができる。 略 (建築物等の移転及び除却) 第七十七条 施行者は、第九十八条第一項の規定により仮換地若しくは仮換地について仮に権利の目的となるべき宅地若しくはその部分を指定した場合、第百条第一項の規定により従前の宅地若しくはその部分について使用し、若しくは収益することを停止させた場合又は公共施設の変更若しくは廃止に関する工事を施行する場合において、従前の宅地又は公共施設の用に供する土地に存する建築物その他の工作物又は竹木土石等(以下これらをこの条及び次条において「建築物等」と総称 土地に存する建築物その他の工作物又は竹木土石等(以下これらをこの条及び次条において「建築物等」と総称する。 )を移転し、又は除却することが必要となつたときは、これらの建築物等を移転し、又は除却することができる。 項以下 略 (権利の申告) 第八十五条 施行地区(個人施行者の施行する土地区画整理事業に係るものを除く。 )内の宅地についての所有権以外の権利で登記のないものを有し、又は有することとなつた者は、当該権利の存する宅地の所有者若しくは当該権利の目的である権利を有する者と連署し、又は当該権利を証する書類を添えて、国土交通省令で定めるところにより、書面をもつてその権利の種類及び内容を施行者に申告しなければならない。 ~ 略 個人施行者以外の施行者は、第一項の規定により申告しなければならない権利でその申告のないもの(中略)については、その申告がない限り、これを存しないものとみなして、 らない権利でその申告のないもの(中略)については、その申告がない限り、これを存しないものとみなして、次条第五項、第八十五条の三第四項、第八十五条の四第五項及び本章第二節から第六節までの規定による処分又は決定をすることができる(以下略) 略 第百四十条 第七十六条第四項の規定による命令に違反して土地の原状回復をせず、又は建築物その他の工作物若しくは物件を移転し、若しくは除却しなかった者は、六月以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。 ○土地区画整理法施行規則 (設計の概要に関する図書) 第六条 法第六条第一項に規定する設計の概要(中略)は、設計説明書及び設計図を作成して定めなければならない。 前項の設計説明書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当該土地区画整理事業の目的 二 施行地区内の土 書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。 一 当該土地区画整理事業の目的 二 施行地区内の土地の現況 三 土地区画整理事業の施行後における施行地区内の宅地の地積(保留地の予定地積を除く。)の合計の土地区画整理事業の施行前における施行地区内の宅地の地積の合計に対する割合 四 保留地の予定地積 五 公共施設の整備改善の方針 六 法第二条第二項に規定する工作物その他の物件の設置、管理及び処分に関する事業又は埋立て若しくは干拓に関する事業が行われる場合においては、その事業の概要 七 住宅先行建設区の面積 八 市街地再開発事業区の面積 九 高度利用推進区の面積 第一項の設計図は、縮尺千二百分の一以上とし、土地区画整理事業の施行後における施行地区内の公共施設並びに鉄道、軌道、官公署、学校及び墓地の用に供する宅地の位置及び形状を、土地区画整理事業の施行により新設し、又は変更される部分と既設の 墓地の用に供する宅地の位置及び形状を、土地区画整理事業の施行により新設し、又は変更される部分と既設のもので変更されない部分とに区別して表示したものでなければならない。 (資金計画に関する基準) 第十条 法第六条第一項に規定する資金計画に関する同条第十一項(法第十六条第一項、第五十一条の四、第五十四条、第六十八条及び第七十一条の三第二項において準用する場合を含む。)に規定する技術的基準は、次に掲げるものとする。 一 資金計画のうち収入予算においては、収入の確実であると認められる金額を収入金として計上しなければならない。 二 資金計画のうち支出予算においては、適正かつ合理的な基準によりその経費を算定し、これを支出金として計上しなければならない。 ○地方自治法 第二条 ~ 略 地方公共団体は、その事務を処理するに当たっては、住民の福祉の 方自治法 第二条 ~ 略 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。 ~ 略 ○地方財政法 (予算の執行等) 第四条 地方公共団体の経費は、その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて、これを支出してはならない。 略 (別紙3) 社会資本整備総合交付金交付要綱(平成22年3月26日付け国官会第2317号国土交通事務次官通知別添。本件要綱。乙6、7、9)等の定め 1 本件要綱において、社会資本整備総合交付金の交付に関しては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律等のほか、本件要綱に定めるところにより行うものとされている(第1)。 2 本件要綱において、社会資本整備総合交付金の交付対象は、地方公共団体等とされ(第4)、また、その交付対象事業は、本件要綱第6に掲げる基幹事業及び 関連事業のうち、地方公共団体等が作成した社会資本の整備その他の取組に関する計画に記載されたものであり、基幹事業のうちいずれか一以上を含むことを要するものとされている(第3、第6)。そして、本件要綱第6においては、基幹事業として、道路事業(一般国道、都道府県道又は市町村道の新設、改築、修繕等に り、基幹事業のうちいずれか一以上を含むことを要するものとされている(第3、第6)。そして、本件要綱第6においては、基幹事業として、道路事業(一般国道、都道府県道又は市町村道の新設、改築、修繕等に関する事業)、市街地整備事業(土地区画整理事業等の市街地の整備改善に 関する事業)等が掲げられている。 3 上記2の道路事業の要件は、地方公共団体が実施する一般国道、道路法56条の規定による国土交通大臣の指定を受けた主要な都道府県道又は市道等の新設、改築又は修繕に関する事業等であって、次に掲げる基準に適合するものとされている(本件要綱附属第Ⅱ編第1章イ-1-⑴)。 「1. 地域住民の日常生活の安全性若しくは利便性の向上を図るために必要であり、又は快適な生活環境の確保若しくは地域の活力の創造に資すると認められるものであること。 2. 公共施設その他の公益的施設の整備、管理若しくは運営に関連して、又は地域の自然的若しくは社会的な特性に即して行われるものであること。」 なお、平成15年5月27日付け国都市第67号国土交通省都市・地域整備局 長通知(乙8)は、市町村等が施行する土地区画整理事業に要する経費を当該市町村等に対し、国が補助する事業について、①同通知別紙第1第6により定められる補助基本額が3億円以上であること、②施行地区の面積が5ha以上であること、③街路事業の採択基準に適合する都市計画道路の新設又は改築を含む地区であること、④主要駅付近又は中心市街地で、交通の隘路打開又は土地の高度利 用を図るため整備を必要とする地区等であることの全てに該当する土地区画整理事業とする旨を定めている。 4 上記2の市街地整備事業のうち、都市再生土地区画整理事業には、本件要綱附属第Ⅱ編第1章イ-13-⑹の「 め整備を必要とする地区等であることの全てに該当する土地区画整理事業とする旨を定めている。 4 上記2の市街地整備事業のうち、都市再生土地区画整理事業には、本件要綱附属第Ⅱ編第1章イ-13-⑹の「1.」の2項イに掲げる事業(防災上危険な密集市街地及び空洞化が進行する中心市街地等都市基盤が脆弱で整備の必要な既成 市街地の再生を推進するため施行する土地区画整理事業及び住宅街区整備事業)が含まれるところ(同項)、同項イに掲げる事業の要件は、同⑹の「3.」の2項において定められている要件に該当する地区において地方公共団体が施行する都市再生土地区画整理事業等とされている(同⑹の「5.」の2項1号)。 そして、①公共用地率が15%未満であること(本件要綱附属第Ⅱ編第1章イ -13-⑹の「3.」の2項1号)、②㋐直前の国勢調査の結果に基づく人口集中地区内に存し、かつ、都市計画法6条の2に規定する整備、開発及び保全の方針又は同法18条の2第1項に規定する基本方針に定められた区域等に存する都市基盤の整備水準が低い地区であること、㋑震災時に延焼又は建物倒壊による危険性が高い木造住宅等が密集している市街地に存する地区であって、地域防災計 画に定められ、かつ、三大都市圏の既成市街地等の区域内に存する地区であること、㋒地区内の老朽住宅棟数が50棟以上であり、かつ、建築物棟数密度の区分に応じた老朽住宅棟数率が所定の割合(建築物棟数密度が30以上40未満の場合には7割)以上であること(②㋐~㋒につき、本件要綱附属第Ⅱ編第1章イ-13-⑹の「3.」の2項2号ロ)、③面積に当該地区に係る都市計画において 定められた容積率を乗じて得た値が2ha以上であること(同項3号)に該当す る場合には、同項において定められている要件を満たすこと 号ロ)、③面積に当該地区に係る都市計画において 定められた容積率を乗じて得た値が2ha以上であること(同項3号)に該当す る場合には、同項において定められている要件を満たすこととなる。 また、本件要綱附属第Ⅱ編第1章イ-13-⑹の「3.」の2項2号ロの要件に該当する地区(以下「安全市街地形成重点地区」という。)において行う事業に係る当該年度の国費算定の基礎額は、当該事業に要する所定の費用の2分の1とされており(本件要綱附属第Ⅲ編イー13-⑹の「1.」の2項2号)、安全 市街地形成重点地区に該当する場合における補助率(2分の1)は、該当しない場合における補助率(3分の1)と差異が設けられている(乙5、弁論の全趣旨)。 (別紙4) 東京都土地区画整理事業助成規程の定め(平成6年東京都告示第347号。本件規程。乙15) 1 本件規程1条は、本件規程は、土地区画整理事業の推進及び公共施設の整備改善を図るため、土地区画整理法に基づく土地区画整理事業(以下「事業」という。)を施行する者(事業を施行しようとする者を含む。以下「施行者」という。)等に対して行う助成について、必要な事項を定める旨を定めている。 2 本件規程3条1項は、知事は、施行者(5条1項に規定する事業を施行する区 市町村を除く。)に対して、事業に係る都市計画において定められた土地区画整理法2条5項に規定する公共施設に係る物件の移転及び除却の補償費並びに工事費等について、必要な補助をすることができる旨を定めている。 3 本件規程5条1項は、知事は、本件要綱に定める都市再生土地区画整理事業等を施行する区市町村に対し、当該事業に要する経費について、必要な補助をする ことができる旨を定めている 定めている。 3 本件規程5条1項は、知事は、本件要綱に定める都市再生土地区画整理事業等を施行する区市町村に対し、当該事業に要する経費について、必要な補助をする ことができる旨を定めている。 4 本件規程9条は、施行者は、3条又は5条の補助金に係る事業が完了したときは、知事に事業の報告を行い、検査を受けなければならない旨を定め、本件規程10条は、知事は、9条の規定による検査の結果、事業の額が適正なものであると認めた場合は、3条又は5条の補助金を交付する旨を定めている。 (別紙5) 争点に関する当事者の主張 1 原告番号4、27、45、48、53、57、59及び60の原告らの原告 適格の有無(争点1)(原告らの主張)土地区画整理事業の施行地区内の宅地上の建物の所有者(共有者を含む。以下同じ。)及び居住者は、いずれも、事業計画の決定により、自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され、又は必然的に侵害されるおそれがある 者として、原告適格を有すると解するべきである。 原告番号4、45及び48の原告らは、本件施行地区内の宅地上の建物の所有者であり、原告番号27、53、57、59及び60の原告らは、本件施行地区内の宅地上の建物の居住者であるから、いずれも本件第3次変更決定の取消しを求める原告適格を有する。 (被告の主張)土地区画整理事業の施行地区内の宅地上の建物の所有者及び居住者は、事業計画の決定により、事実上の影響を受けるにすぎないから、事業計画の決定の取消しを求める原告適格が認められない。 したがって、原告番号4、27、45、48、53、57、59及び60の 原告らは、本件第3次変更決定の取消しを求める原告適格を有しない。 2 本件第 取消しを求める原告適格が認められない。 したがって、原告番号4、27、45、48、53、57、59及び60の 原告らは、本件第3次変更決定の取消しを求める原告適格を有しない。 2 本件第3次変更後事業計画の事業施行期間の定めが土地区画整理法54条、6条9項に反して違法か否か(争点2)(原告らの主張)本件第3次変更決定は、前件訴訟の第1審判決が、本件第2次変更決定につ いて、事業施行期間等の点において土地区画整理法54条、6条9項に反し、 違法であると判断したことを受けて、十分な根拠なく、事業施行期間を延長するものであり、また、その事業施行期間は、東京都から補助金を得るために東京都からの指導を受けて決められたにすぎず、次のとおり、本件第3次変更後事業計画における事業施行期間では、本件事業を完遂することは不可能である。 すなわち、玉野総合コンサルタント株式会社が被告から委託を受けて平成2 7年2月に作成した「平成26年度B駅西口地区移転実施計画作成業務報告書」(以下「本件報告書」という。)には、本件事業の事業期間について、30年間(平成57年度[令和27年度]まで)に短縮することができるが、単年度の事業費及び移転棟数に上限があるため、これを更に短縮することは現実的ではないことから、移転実施計画の事業期間を30年間とする旨の記載がある。 そして、羽村市長も、平成27年9月3日の市議会において、本件事業の事業期間について、今後30年間程度を要するものと見込んでいる旨述べるなどしていた。 これに対し、本件第3次変更決定は、事業施行期間を令和18年度までとするものである。被告は、補助金の導入に伴い集団移転(一団のまとまった地域 について、従前地上の建築物等を一斉に取り壊し、続いて道路築造工 本件第3次変更決定は、事業施行期間を令和18年度までとするものである。被告は、補助金の導入に伴い集団移転(一団のまとまった地域 について、従前地上の建築物等を一斉に取り壊し、続いて道路築造工事や宅地造成工事を行い、工事完了後、一斉に仮換地を引き継いで再建してもらう移転方法。以下同じ。)の規模を大きくしたことにより、本件報告書よりも事業施行期間の短縮が可能となった旨を主張するが、①本件事業については多数の地権者等が反対していること、②同時並行で行うことができる工事には上限があ ること、③被告は、本件第3次変更決定に際し、移転工法を再築工法とする棟数を782棟とし、そのうち98%を占める772棟について中断移転(仮換地が使用できない状態で建築物等を解体撤去して、従前地と仮換地先の両方が使用できない(中断)期間を経た後に、仮換地が使用可能となった時点で建築物を再築する方法。以下同じ。)とすることを見込んでおり、中断期間中は仮 住居を要するところ、同時に使用することができる仮住居に上限があり、また、 中断移転の対象となる地権者との合意形成は特に容易でないことから、集団移転の規模を大きくすれば事業施行期間が短縮できるものではない。そうすると、本件報告書から9年も事業期間を短縮することは不可能である。このことは、本件報告書において、単年度の移転棟数に上限があることなどから、事業期間を30年間から更に短縮することが現実的でないとされたことや、本件第3次 変更決定後に現実に移転を終えた棟数が、本件第3次変更決定における年度別の移転棟数よりも少ないことからしても、明らかである。 以上からすれば、本件第3次変更後事業計画における事業施行期間は、適切に定められたものとはいえないから、土地区画整理法54条、6条9項に反す 別の移転棟数よりも少ないことからしても、明らかである。 以上からすれば、本件第3次変更後事業計画における事業施行期間は、適切に定められたものとはいえないから、土地区画整理法54条、6条9項に反する。 (被告の主張)⑴ 土地区画整理事業の事業施行期間は、適切に定めなければならないとされているが(土地区画整理法54条、6条9項)、土地区画整理事業は多分に不確定要素を含んでいるものであるから、事業計画作成当時に行政庁が収集し得た情報に基づき、同作成当時において一応の合理性があると認められれ ば、事業計画における事業施行期間の定めに裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はないものというべきである。 ⑵ 被告は、平成27年度に本件事業の工事等に本格的に着手したことから、本件事業計画決定後の事情をも考慮して改めて事業施行期間の検討を進めてきたのであり、前件訴訟の第1審判決の判断内容を理由として本件第3次変 更決定をしたものではない。そして、本件報告書は、工事手順を整理することに主眼を置く、上記の検討過程において作成された検討資料の一つであり、平成27年度以降約30年間の毎年度の市負担額を平均して10億円程度とすることを想定して作成されたものである。 他方、本件第3次変更後事業計画は、本件報告書記載の工事手順を基礎と して、工事進捗状況等を加味しつつ調整を行った工事手順を前提とし、本件 第2次変更決定以後、新規に予算に組み入れた補助金を反映させて、資金計画及び事業施行期間を編成したものである。すなわち、本件第3次変更後事業計画は、本件報告書が作成された後、新規に補助金を導入したことによって101億3368万4000円の収入の増加が見込めることとなった結果、本件第3次変更決定以降の毎年度の市負担 本件第3次変更後事業計画は、本件報告書が作成された後、新規に補助金を導入したことによって101億3368万4000円の収入の増加が見込めることとなった結果、本件第3次変更決定以降の毎年度の市負担額を本件報告書における想定額と 同程度に抑えつつ、単年度における事業量を増加させることにより(移転棟数を例にとると、本件報告書の移転実施計画では、平成27年から30年間で年平均約32棟の移転を行う工程案としていたのに対し、本件第3次変更後事業計画では、集団移転の規模を大きくし、令和元年から18年間で年平均約50棟の移転を計画するものである。)、事業施行期間を本件報告書の それよりも短縮することが可能になったものである。 これに対し、原告らは、集団移転の規模を大きくしても事業施行期間を短縮することができない旨を主張するが、一般論として、集団移転を伴う工事に制約が生じることはあるものの、施行者である被告において、本件第3次変更後事業計画の完遂が不可能になる具体的な工事の制約は認識していない。 また、原告らは、移転交渉に期間を要する旨を主張するが、土地区画整理事業においては、移転交渉が成立した箇所について工事を進めつつ、同時に他の箇所で移転交渉を行うことができるから、事業施行期間の算定に当たり、工事等の工程と別個に交渉に要する期間を算入する必要はない。 したがって、本件第3次変更後事業計画における事業施行期間の定めは、 事業計画作成当時に行政庁が収集し得た情報に基づき、同作成当時において一応の合理性があるものといえ、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用はない。 3 本件第3次変更後事業計画の資金計画の定めが土地区画整理法54条、6条11項、土地区画整理法施行規則10条、地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に反して違法か否 逸脱又はその濫用はない。 3 本件第3次変更後事業計画の資金計画の定めが土地区画整理法54条、6条11項、土地区画整理法施行規則10条、地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項に反して違法か否か(争点3) (原告らの主張) ⑴ 本件第3次変更後事業計画の資金計画のうち収入予算についてア本件事業の主な財源である国庫補助金、東京都補助金、東京都交付金及び羽村市負担金のうち、羽村市負担金は、基金、都市計画税収入及び市債で賄われている。 イ本件事業のための特定目的基金であるB駅西口都市開発整備基金は、平 成29年以降、激減し、今後、底をつくことが予想される。上記基金が底をついた後、羽村市負担金の財源は、都市計画税収入及び市債しかない。 ウしかしながら、被告の都市計画税収入は、本件事業の事業施行期間が開始して以降、8億円台で推移しており、増加することは見込まれない。また、都市計画税収入の全額を本件事業に充てることはできない(令和4年 度は、約8億3000万円の都市計画税収入のうち、本件事業に充てられたのは約4億3000万円にすぎなかった。)。 エ被告は、本件第3次変更後事業計画の資金計画のうち収入予算において、国庫補助金及び東京都補助金の交付を受けることを見込んでいるが、これらの補助金が交付要件を満たすかは明らかでなく、また、都市再生土地区 画整理事業に係る社会資本整備総合交付金については、その額を本件事業に要する費用の2分の1とすることができる要件を満たしているかは明らかでないし、仮にこれらの要件を満たすとしても、毎年度、これらの補助金の交付がされるかは不確実である。現に、これまでの交付決定の実績をみると、被告が交付を受けたこれらの補助金は低額であり、歳入に占める 割合 これらの要件を満たすとしても、毎年度、これらの補助金の交付がされるかは不確実である。現に、これまでの交付決定の実績をみると、被告が交付を受けたこれらの補助金は低額であり、歳入に占める 割合も小さい。 オ本件事業には、羽村市負担金から、今後年間12億円程度の支出が必要であるとされているところ、上記イないしエからすれば、本件事業を維持するためには、都市計画税収入から本件事業に年間約3~4億円を充てるとしても、今後、年間約8~9億円分の市債を起債するほかない。 カ羽村市の財政状況は、市税収入の大幅な減少、少子高齢化の進展に伴う 社会保障費の増加等のために悪化し、基金(財政調整基金及び特定目的基金)が急激に減少し、また、市債の残高は約100億円程度で推移しているところ、上記オのとおり本件事業を維持するために多額の市債を起債し続けた場合には、被告の財政が破綻することが必至である。 キ以上からすれば、本件第3次変更後事業計画の資金計画の収入予算は、 「収入の確実であると認められる金額を収入金として計上し」(土地区画整理法施行規則10条1号)たものであるとはいえない。 ⑵ 本件第3次変更後事業計画の資金計画のうち支出予算について本件第3次変更後事業計画の資金計画は、収入予算において市債を計上している一方で、支出予算において市債の返済額を計上していない。このこと に加え、前記のとおり、上記資金計画と実際の歳入歳出との間に乖離があることに照らせば、上記資金計画の支出予算が「適正かつ合理的な基準によりその経費を算定し、これを支出金として計上し」(土地区画整理法施行規則10条2号)たものであるとはいえない。 ⑶ 小括 以上のとおり、本件第3次変更後事業計画の資金計画は、土地区画整理法 その経費を算定し、これを支出金として計上し」(土地区画整理法施行規則10条2号)たものであるとはいえない。 ⑶ 小括 以上のとおり、本件第3次変更後事業計画の資金計画は、土地区画整理法54条、6条11項の委任を受けて定められた土地区画整理法施行規則10条に反し、また、地方自治法2条14項及び地方財政法4条1項にも反するというべきである。 (被告の主張) ⑴ 本件第3次変更後事業計画の資金計画のうち収入予算についてア原告らが指摘するB駅西口都市開発整備基金の残高の減少は、平成29年度から本件事業の事業量が増加してきたため、同基金をその目的に沿って活用したためにすぎない。被告が本件第3次変更決定の際に検討した財源計画(甲41)の中でも、同基金の活用は令和2年度までとし、その後 は別の財源を充てる予定とされていたものであり、同基金の残高の減少は、 本件第3次変更後事業計画の資金計画の不確実性を基礎付けるものではない。 イ都市計画税収入については、被告は、裁量により、その収入の範囲内で本件事業への充当額を増減させることが可能である上、被告には都市計画税収入以外の一般財源等もある。 ウ本件第3次変更後事業計画の資金計画(収入)において国庫補助金及び東京都補助金の交付を受けることを見込んでいることは、次のとおり、非現実的なものではない。 (ア) 国庫補助金のうち、道路事業に係る社会資本整備総合交付金は、本件要綱附属第Ⅱ編第1章イ-1-⑴(乙6、7)及び土地区画整理事業に ついて準ずることとされている平成15年5月27日付け国都市第67号国土交通省都市・地域整備局長通知(乙8)において定められている交付要件を満たす。また、都市再生土地区画整理事業に係る社会資本整備総合交付金は、 ととされている平成15年5月27日付け国都市第67号国土交通省都市・地域整備局長通知(乙8)において定められている交付要件を満たす。また、都市再生土地区画整理事業に係る社会資本整備総合交付金は、同章イ-13-⑹(乙6、9)において定められている交付要件を満たし、また、本件事業は、同⑹の「3.」の2項2号ロ の要件に該当する安全市街地形成重点地区において行われるから、補助率は、当該事業に要する所定の費用の合計の2分の1である(本件要綱附属第Ⅲ編第1章イ-13-⑹の「1.」の2項2号)。 (イ) 東京都補助金のうち、道路事業に係るものは、本件規程(乙15)3条の交付要件を満たし、また、都市再生土地区画整理事業に係るものは、 本件規程5条1項の交付要件を満たす。 (ウ) 被告は、本件第3次変更決定に先立ち、国土交通省及び東京都に相談をし、東京都都市整備局市街地整備部長から支障がない旨の書面を得た上で、本件第3次変更決定を行った。また、本件第3次変更後事業計画において新たに導入した国庫補助金のうち都市再生土地区画整理事業に 係る社会資本整備総合交付金及び東京都補助金のうち都市再生土地区画 整理事業に係るものについては、本件第3次変更決定後、国土交通大臣や東京都知事から令和2年度分について交付決定を受けている。すなわち、本件第3次変更後事業計画における資金計画の内容は、事前及び事後に国土交通省及び東京都に認められているものといえる。 エ被告が、今後、本件事業のために起債をしたとしても、被告の財政の健 全性を揺るがすことにはならず、まして本件事業の資金計画に支障をきたす事態も想定できない。このことは、被告の実質公債費比率(公債費が一般財源等の使途の自由度をどの程度制約しているのかを示す指標)、将来負担 るがすことにはならず、まして本件事業の資金計画に支障をきたす事態も想定できない。このことは、被告の実質公債費比率(公債費が一般財源等の使途の自由度をどの程度制約しているのかを示す指標)、将来負担比率(一般会計等が将来負担すべき実質的な負債の標準的な収入に対する割合比率であり、将来の財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標) 等の財務指標には、問題が生じていないことから、明らかである。 オ上記アないしエのとおり、原告らが本件第3次変更後事業計画の資金計画の違法性について主張する事項は、いずれもその根拠を欠くものであって、本件事業を継続することによって被告の財政破綻を招くことはない。 ⑵ 本件第3次変更後事業計画の資金計画のうち支出予算について 被告は、被告の羽村市A都市計画事業B駅西口土地区画整理事業会計(特別会計)に公債費(市債の償還金)を計上しているが、市債の償還は本件事業に係る収入により行う必要があるものではなく、また、本件事業の完了後も市債の償還を継続することは当然にあり得ることであるから、被告においては、市債の償還金を事業外経費として扱っており、本件第3次変更後事業 計画の資金計画の支出予算に計上することはしていない。したがって、上記資金計画の支出予算に市債の償還金が計上されていないことによって、上記資金計画が違法となるものではない。 ⑶ 小括以上のとおり、本件第3次変更後事業計画の資金計画に裁量権の範囲の逸 脱又はその濫用があるということはできず、上記資金計画は、原告が指摘す る各法令の規定に違反するものではない。 (別表) 本件第2次変更後事業計画本件第3次変更後事業計画事業施行期間平成15 年4 月16 る各法令の規定に違反するものではない。 (別表) 本件第2次変更後事業計画 本件第3次変更後事業計画 事業施行期間 平成15年4月16日~平成34年3月31日(19年間) 平成15年4月16日~令和19年3月31日(34年間) 資金計画(収入) 国庫補助金(社会資本整備総合交付金) (内訳) ①道路事業に係る交付金 ②都市再生土地区画整理事業に係る交付金 14億9720万円 (内訳) ①14億9720万円 ②- 84億8360万円 (内訳) ①13億1960万円 ②71億6400万円 東京都補助金 (内訳) ①道路事業に係る補助金 ②都市再生土地区画整理事業に係る補助金 6億7690万円 (内訳) ①6億7690万円 ②- 42億3720万円 (内訳) ①6億5520万円 ②35億8200万円 東京都交付金 90億1250万円 85億9948万4000円 羽村市負担金 255億8040万円 220億4671万6000円 保留地処分金 2億3300万円 2億3300万円 合計 370億円 436億円 別紙1原告目録については、記載を省略。
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