平成14(行コ)54 日通岐阜運輸救済命令取消

裁判年月日・裁判所
平成15年6月27日 名古屋高等裁判所 棄却 岐阜地方裁判所 平成12(行ウ)17
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判決文本文24,712 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 控訴人(1) 原判決を次のとおり変更する。 (2) 被控訴人が岐阜県地方労働委員会平成11年(不)第2号日通岐阜運輸不当労働行為救済申立事件について,平成12年8月29日付けでした救済命令を取り消す。 (3) 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 2 被控訴人主文同旨第2 事案の概要 1 本件は,控訴人が,控訴人のコンテナ班に所属する運転手のうち補助参加人(本件組合)の組合員である4名の運転手(組合員。ただし,1名はその後に本件組合を脱退した。)に対し,平成11年1月5日から自宅待機となる勤務指示,土曜日の通常勤務指定など本件組合に所属しない他の運転手(非組合員)と異なる取扱いをしたこと(本件措置)が労働組合法7条1号の不当労働行為に当たるとして,平成12年8月29日付けで被控訴人が発した,岐阜県地方労働委員会平成11年(不)第2号日通岐阜運輸不当労働行為救済申立事件についての救済命令(本件命令)について,控訴人がその取消しを求めた事件である。 原審は,本件措置が不当労働行為であるが,Aについては本件組合を脱退し別に控訴人に対し損害賠償請求訴訟を提起したから,本件命令中Aに係る部分は救済を求めることができないものであるとしてこれを取り消し,その余の請求を棄却したところ,控訴人が控訴したものである(したがって,控訴審における審理の対象はA以外の3名に係る部分である。)。 2 争いのない事実等,争点及び当事者の主張は,以下に付加するほか,原判決「第2 事案の概要」の各該当欄に記載のとおりであるから,これを 控訴審における審理の対象はA以外の3名に係る部分である。)。 2 争いのない事実等,争点及び当事者の主張は,以下に付加するほか,原判決「第2 事案の概要」の各該当欄に記載のとおりであるから,これを引用する(但し,原判決4頁11行目の「8年」を,「8月」と改める。)。 3 控訴人の当審主張(1) 本件措置の相当性ア本件措置をとった原因控訴人が本件措置をとったのは,受注先の日本通運から控訴人に対する平日分の発注が2台分減ったため,やむなくそれに対する対応として行ったことであり,このような減車の原因が,Bら4名が長期にわたって休日割当出勤の拒否を続けたことや,平成10年12月には出勤拒否の意思を一方的に撤回して出勤するなどして,配車の混乱を招いたことにあることをふまえて行ったことである。 (ア) Bら4名の休日割当出勤の拒否a 原判決は,Bら4名の休日割当出勤の拒否について,「Bら4名が,休日割当出勤に協力するかどうかは自由であり控訴人の業務命令ではないと考えたことには無理からぬものがある」(34頁),「控訴人が上記回答をしていないことを無視して本件組合の休日割当出勤拒否を一方的に非難することはできない」(35頁)などとしているが,当時の状況を正確に捉えていない。 控訴人は,C副班長,D総務部長などから,Bら4名に対して,何度も,休日割当出勤への協力を要請した(甲3,甲4,原審証人Cの証言,乙64)が,これに応じないとする同人らの態度,考えは極めて強固なものであった。 b 控訴人の回答また,控訴人は,休日割当出勤についての扱いに関して,回答をしていないことはなく,Bら4名の,休日割当出勤の拒否は,そうしたことには係わらない,明確で強硬なものであった。 c 時季変更権を行使しなかったこと控訴人が,Bら4名の休 扱いに関して,回答をしていないことはなく,Bら4名の,休日割当出勤の拒否は,そうしたことには係わらない,明確で強硬なものであった。 c 時季変更権を行使しなかったこと控訴人が,Bら4名の休日割当出勤についての年休申請を認めず時季変更権を行使した場合,当日,同人らがこれに応じず,勤務に就かない可能性が十分予想され,そのような事態になった場合は,急遽別の従業員に当たってみなければならなくなるし,仮にそのような従業員がいなければ業務に穴をあけることとなり,業務の円滑な遂行のうえで,危険性の高いことであったのである。従って,控訴人は,あえてBら4名に対し,時季変更権を行使しなかった。 (イ) E,F,Aが,勝手に出勤拒否の意思表示を撤回して出勤してきたため,当日の配車が混乱したこと控訴人は,休日割当表により,Eに平成10年12月13日の勤務を割り当てたが,Eは勝手に休日割当表に「×」印を付し,その後勝手に「出」と記入し直して出勤したことから,当日の配車が混乱した。また,同月20日のF,同月23日のAも,同様に勝手に出勤拒否の意思表示を撤回して,出勤したため,配車が混乱した。これらの混乱も大きな理由となって,受注先の日本通運から平成11年1月以降減車されることとなった。 原判決は,これらの事実の評価も誤っている。 イ平成12年9月7日控訴人が本件措置を取りやめたことその後,控訴人は,発注元の日本通運に対して,できる限り多くの業務の発注をしてくれるよう,働きかけを続け,努力を続けた。 その結果,業務の発注量が回復したので,控訴人は,平成12年9月7日をもって,Bら4名に対して,本件措置を取り止めた。 (2) 不当労働行為意思についてア控訴人が,Bら4名に対して,本件措置をしたのは,同人らが,組合員であることを理由に行 は,平成12年9月7日をもって,Bら4名に対して,本件措置を取り止めた。 (2) 不当労働行為意思についてア控訴人が,Bら4名に対して,本件措置をしたのは,同人らが,組合員であることを理由に行ったことではない。 原判決は,控訴人の不当労働行為意思について,「控訴人と本件組合の従前からの紛争の経過,控訴人がBら4名の組合員に対して本件措置を行った経緯及び本件措置の内容によれば,本件措置はBら4名が組合員であることを理由になされたもので不当労働行為に該当するものと認めるのが相当である。」(原判決35~36頁)としているが,その指摘は,非常に概括的なものにとどまり,十分な根拠を示していない。 イ控訴人は,Aが平成11年1月1日付けで本件組合に再加入したことは全く知らなかったものであり,組合を意識して,本件措置をしていない。 Aについては,平成8年に本件組合を脱退した後,平成11年1月1日付けで本件組合に再加入したとのことである(その後,同年8月3日に本件組合を脱退したとのことである)が,Aが平成11年1月1日付けで組合に加入したとのことは控訴人に通知されたわけでもなく,控訴人は同日の加入の事実を知っていなかったところである。 (3) 不利益取扱いの外形的事実についてア原判決は,「平成11年1月以降,控訴人が組合員に対して非組合員と異なる勤務指示を行い,それに伴って組合員に経済的不利益が生じたことについては,別紙『命令書』の第3の3の(1)に記載されているとおりである」とする(原判決32~33頁)。 しかし,自宅待機となる勤務を命じた場合にも,控訴人はBら4名に対して賃金を支払っている。すなわち,控訴人は,自宅待機となる勤務についてBら4名がいずれも8時間の所定労働時間の勤務に就いているものとして取扱っている。勤務 務を命じた場合にも,控訴人はBら4名に対して賃金を支払っている。すなわち,控訴人は,自宅待機となる勤務についてBら4名がいずれも8時間の所定労働時間の勤務に就いているものとして取扱っている。勤務の事実がないことにより支給されない各手当があるとしてもこれは当然のことであって,経済的不利益は生じていない。 イまた,原判決は,本件命令が,(ア) 時間外手当,休日出勤手当の各手当について,コンテナ班運転手8名が平等な勤務を行ったものとして,各組合員における「時間あたりの単価」に,班員8名の1人あたりの平均時間外勤務(平均休日出勤)時間から各組合員の時間外勤務(休日出勤)時間を控除した時間を乗じて得た額(イ) 大型乗務手当について,コンテナ班運転手8名が平等な勤務を行ったものとし,班員8名の1人あたりの平均支給額から各組合員の実際の支給額を控除した額(ウ) 2個積ワンマン手当について,同手当の支給対象となるコンテナ班運転手4名の1人あたりの平均支給額から,組合員Bおよび組合員Eの2名のそれぞれの実際の支給額を控除した額の支払を命じているのを容認し(ただし,Aに係る部分を除く),上記の計算による各金額が,本件における不利益取扱いの内容であるとの判断をしている。 しかし,以下に述べるように,金額の算出においての考え方の点からも,上記の計算による金額が,不利益取扱いの内容であるということはできない。 ウ時間外手当について(ア)  時間外手当は,実際の時間外勤務の時間に応じてその支給がなされるものである。各従業員がそれぞれどの程度の時間外勤務を行うかについては,各従業員それぞれの対応による部分も多い。控訴人のコンテナ班においても,その配送業務を行うと時間外勤務となる業務があった場合に,手のあいた従業員に対してその配送業務につくことを打診 うかについては,各従業員それぞれの対応による部分も多い。控訴人のコンテナ班においても,その配送業務を行うと時間外勤務となる業務があった場合に,手のあいた従業員に対してその配送業務につくことを打診するが,その従業員の都合で,応じなければ,別の従業員にその配送業務につくことを打診するというようなやり方をしていた。そして,その結果,各従業員において,どの程度の時間外勤務についているかは,それぞれの従業員により明らかに異なっていた。 ところが,原判決ないし本件命令は,こうした事情を全く無視し,班員8名の1人あたりの平均時間外勤務時間と各組合員の時間外勤務時間の差に対する時間外手当の額の計算をするものと判断しているが,上記の実態を考慮しないものであって,失当である。 甲17は,平成11年1月から平成12年9月までの間について,Bら4名がコンテナ業務に実際に従事した日の時間外勤務時間の数値をもとに,自宅待機であった日についてもコンテナ業務に実際に従事した日と同様の時間的割合での時間外勤務がなされていたと仮定して,各月の時間外勤務の時間を算出して,表を作成したものである。つまり,仮に自宅待機の勤務指示がなされず,それらの日についてもコンテナ業務に従事していたと想定したときの,上記の期間の各月における,想定時間外勤務時間の状況が示されているものである。 上記甲17によれば,Bら4名の(想定した)時間外勤務時間が上記4名以外の平均時間外勤務時間に対する割合(Ⅰ),コンテナ班全体のそれに対する割合(Ⅱ)は以下のとおりである。 Ⅰ Ⅱ平成11年1月約66.6%  約80.0 %2月約55.2%  約71.1 %3月約49. Ⅰ Ⅱ平成11年1月約66.6%  約80.0 %2月約55.2%  約71.1 %3月約49.0%  約65.8 %4月約66.9%  約80.1 %5月約70.3%  約82.6 %6月約61.8%  約76.4 %7月約46.0%  約63.0 %8月約71.4%  約83.3 %9月約50.9%  約67.5 %10月約61.0%  約75.8 %11月約59.8%  約74.8 %12月約57.1%  約72.7 %平成12年1月約63.2%  約77.4 %2月約65.8%  約79.4 %3月約57.0%  約72.6 %4月約62.3%  約76.8 %5月約59.9%  約74.9 %6月約77.3%  約87.2 %7月約52.5%  約68.8 %8月約75.3%  約85.9 %9月約69.0%  約81.7 %このように,Bら4名については,自宅待機の勤務指示の点を別として考えても,時間外勤務が比較的少ないという実態があったのである。しかも,その程度は,上記のように,決して無視して考察 1.7 %このように,Bら4名については,自宅待機の勤務指示の点を別として考えても,時間外勤務が比較的少ないという実態があったのである。しかも,その程度は,上記のように,決して無視して考察することができるような微小なものではなく,明確な傾向があったといわなければならない(なお,自宅待機の勤務指示が出される前1年間の平成10年1月から同年12月の期間においても,Bら4名の平均時間外勤務時間は,上記4名以外のそれに対して約80.9%であり(甲9より計算),上記の傾向は明らかである。)。 そして,不利益取扱いの内容を検討するにあたっても,上記の点はこれを捨象することができるような些事ではなく,安易に「班員全員の平均数値」を算定の基礎とした,原判決ないし本件命令は相当でない。 (イ) そして,原判決ないし本件命令の矛盾は,次のような点に,より一層明確に表れる。 例えば,平成11年11月に,Bはコンテナ業務に21日従事し,30.00時間の時間外勤務をしたが,同人について,この月は自宅待機となる勤務指示となった日はなかった(甲17)。従って,この月については,同人に関して,清算されるべき時間外手当はないはずであるが,同人の同月の時間外手当についても,原判決ないし本件命令の算定方法である,「Bの時間外勤務における『時間あたりの単価』に,班員8名の1人あたりの平均時間外勤務時間からBの時間外勤務時間を控除した時間を乗じて得た額」で計算すると,控訴人が支払うことになる金額が算出されてしまうのである。上記のような矛盾は,上記の1回だけのことではなく,何回も生じるのである。 (ウ) また,時間外手当に関して,原判決は,「自宅待機となる勤務指示がなされた以後の平成11年1月から平成12年3月までの期間では,その(組合員の1人1月当たりの時間 く,何回も生じるのである。 (ウ) また,時間外手当に関して,原判決は,「自宅待機となる勤務指示がなされた以後の平成11年1月から平成12年3月までの期間では,その(組合員の1人1月当たりの時間外労働時間の非組合員の時間外労働時間に対する)割合が約36.5パーセントと(なっている)」(原判決33頁)と判示しているが,上記の36.5%の算出根拠は不明である。 エ休日出勤手当について原判決ないし本件命令が,班員全員の平均数値とBら4名の各人の数値との差に対する金額を,不利益取扱いの具体的な金額としている点は失当である。 Bら4名は,休日割当出勤の拒否を重ねてきたものである。そして,同人らが年休の申請という形式において,これに応じないようになった時期もあるが,その勤務の状況は,次のとおりであった(乙42)。 (ア) 平成9年4月から平成10年3月までBら4名は,日曜日,祝日の勤務割当に対して勤務したのが,合計で2回(割当は28回)である(この間,上記4名以外は,58回の割当に対して全て勤務している。)。 (イ) 平成10年4月から平成10年10月までBら4名は,日曜日,祝日の勤務割当に対して1日も勤務しなかった(割当は11回で,うち5回は年休申請がある。この間,上記4名以外は,35回の割当に対して全て勤務している。)。 上記4名については,従前から休日出勤手当の対象となる勤務が極めて少なかったという実態があった。 また,平成11年1月以降,Bら4名について,土曜日は,原則として,2名が通常出勤日,2名が休日と指定されたが,休日となった2名は,その土曜日について休日出勤としての勤務をすることがなかった。 原判決ないし本件命令が,コンテナ班の班員全員の平均数値との差を計算基礎としているのは,上記実態と矛盾する が,休日となった2名は,その土曜日について休日出勤としての勤務をすることがなかった。 原判決ないし本件命令が,コンテナ班の班員全員の平均数値との差を計算基礎としているのは,上記実態と矛盾するものであって,相当でない。 オ大型乗務手当や2個積ワンマン手当についてコンテナ班の班員全員(または,手当の対象となる班員全員)の平均数値をもとに計算することは,実態に背反するおそれのある,安易かつ不相当な算定方法であることは,上記の時間外手当や休日出勤手当についてと同様である。 (4) その他の失当な判断ア休日出勤に関する日本通運の操配者による都合聴取について平成9年3月以前の操配状況は,日本通運の操配担当者が,前日に翌日の全体の貨物量を想定し,何台のトラックが必要であるかどうか判断し,控訴人を含めた下請業者に使用台数を指示し,その指示に基づき,控訴人において,各従業員に対して勤務を命じていたのである。 イ平成9年8月27日から10月28日までのBら4名の休日割当出勤状況について原判決は,「組合員は,Gの団体交渉における説明及び警告から,休日割当出勤が通常出勤であることを認識し,…平成9年9月7日にFが,同年10月10日にEが,同月26日にBが,それぞれ休日割当出勤に応じた(乙63)」(原判決28~29頁)とする。 しかし,平成9年8月27日の団体交渉後,乙42のとおり,(ア) 8月31日(日)Eが出勤を割り当てられていたが,Eは休み,代わりにCが出勤している。 (イ) 9月14日(日)Aが出勤を割り当てられていたが,Aは休み,代わりにHが出勤している。 (ウ) 9月15日(祝日)Bが出勤を割り当てられていたが,Bは休み,代わりにIが出勤している。 (エ) 10月19日(日)Aが出勤を割り当てら いたが,Aは休み,代わりにHが出勤している。 (ウ) 9月15日(祝日)Bが出勤を割り当てられていたが,Bは休み,代わりにIが出勤している。 (エ) 10月19日(日)Aが出勤を割り当てられていたが,Aは休んでおり,代わりにCが出勤している。 上記のように,休日割当出勤に応じていない日も多い。 ウ C発言について原判決は,平成9年9~10月ころのこととして,「すると,Cは,そのころ,Aに対し,『君らは日曜日に出勤するのか。』と尋ね,Aが,『出勤する。』と答えると,『君らが日曜日出勤することは困る。』旨述べた(乙63)」(原判決29頁)とする。 しかし,Cの発言の趣旨は,前記の出勤したりしなかったりの勤務実態から「自分勝手な判断で日曜日に出勤したり,出勤しなかったりでは困る。きちんと休日出勤表に従って出勤してほしい。」ということである。 エ Hの暴力について原判決は,平成9年10月28日の件について,「また,平成9年10月28日,HがFに対して,『いっぺん出たくらいで偉そうな顔をするな。』などと述べて同人に暴力を振るう事件が発生した(甲6,乙63,丙2)」(原判決29頁)とする。 しかし,甲6のD総務部長の控訴人社長に対する報告書にあるとおり,公平に双方より事情を聴取したところ,「個人の口げんかの域を出ない」ものであり,「暴力を振るう事件」ではないと思われるものである。 4 被控訴人の当審主張(1) 本件措置の相当性についてア控訴人の主張は,控訴人が本件措置をとったのは相当で合理的であると主張する。 しかし,①平成9年8月の2度の団体交渉において,本件組合が休日割当出勤問題を取り上げ,控訴人も早急に回答する旨述べたにもかかわらず,結果的に明確に回答しないまま,平成10年8月12日の団体交渉において, ,①平成9年8月の2度の団体交渉において,本件組合が休日割当出勤問題を取り上げ,控訴人も早急に回答する旨述べたにもかかわらず,結果的に明確に回答しないまま,平成10年8月12日の団体交渉において,この問題は解決済みであるとして,十分な説明をしなかったこと,②本件組合が平成10年12月10日に警告書の交付を受け,同月13日の日曜日から休日割当出勤に従ったにもかかわらず,控訴人は非組合員と異なった勤務指示をしたこと,③コンテナ班における8名体制を維持し,減少分の2台の業務を班員全員に平等に割り当てる勤務体制を組むことも可能であったと思料されることなどを勘案すると,控訴人の行った措置は「相当かつ合理的」であるということはできず,控訴人の主張は失当である。 (ア)a 控訴人は,C副班長,D総務部長などから,Bら4名に対して,何度も,休日割当出勤への協力を要請していたと主張する。 控訴人が,Bら4名に行った休日割当出勤の協力要請は,職場会議において行ったとされるところ,甲1,2により,平成9年2月8日の職場会議で協力要請したのが,明らかとなった。しかし,この職場会議の出席者は,コンテナ班運転手7名のうち,C,A,Hの3名にとどまり,F,E,Aはこの協力要請に対して同意していない(甲1,12)。 その後,命令書(乙67の5頁)にあるように,班長または副班長が,休日割当表に基づき休日割当出勤の該当者に対して,当日の都合を聞きに廻っていたものの,本件組合は,控訴人が無断で年次有給休暇を振替休日として処理すること及び休日割当出勤問題について不明確であったことなどの不満から,休日割当出勤に応じなかった。 また,控訴人は,Bら4名が休日割当出勤に応じないとする態度,考えは極めて強固なものであったと主張しているが,平成9年8月27日の団体交渉 ったことなどの不満から,休日割当出勤に応じなかった。 また,控訴人は,Bら4名が休日割当出勤に応じないとする態度,考えは極めて強固なものであったと主張しているが,平成9年8月27日の団体交渉においてG総務部長が,休日割当出勤問題について速やかに回答することを約束したため,その後の平成9年9月7日にFが,同年10月10日にEが,同月26日にBが休日割当出勤に応じている。 これをみても,本件組合は休日割当出勤に絶対協力しないという姿勢ではない。むしろ控訴人が団体交渉で約束したことを誠実に実行する必要があったというべきである。 b 休日割当出勤についての扱いに関する控訴人の回答控訴人の約束した回答については,控訴人は明確に答えなかった。このことは,平成10年8月12日団体交渉における本件組合の「休日割当出勤が未解決であり,この問題が解決すれば出勤に応じる。」旨の発言,及びその後の年次有給休暇提出による休日割当出勤拒否の事実から裏付けられる。 さらに,控訴人は,本件組合の強固な姿勢を強調しているが,控訴人の姿勢は,それ以上に強固であり,被控訴人が同一の当事者で係属した岐労委平成8年(不)第1号日通岐阜運輸不当労働行為救済申立事件において,平成9年7月29日に発した「会社の説明は,誠意を尽くして組合に理解を得るよう努力しているとは看做し難く,不当労働行為であると判断せざるを得ない。」との命令(乙38の12頁)を受けて,労使関係の改善に努めた形跡は認められない。 c 控訴人が時季変更権を行使しなかったことについて控訴人は,組合員が年次有給休暇を申請して休日割当出勤の要請に応じないことは,あらかじめ計算してそのための従業員の手配も事前に済ませており,何ら業務に不都合は生じていない。かえって,後記控訴人の主張のとおり ,組合員が年次有給休暇を申請して休日割当出勤の要請に応じないことは,あらかじめ計算してそのための従業員の手配も事前に済ませており,何ら業務に不都合は生じていない。かえって,後記控訴人の主張のとおり,組合員が休日割当表に従い出勤することが,配車の混乱を来すこととなる。 また,控訴人は,休日割当出勤問題に明確に回答していないにかかわらず解決済みとしたため,組合員が休日割当出勤日に年次有給休暇を申請することとなったという経緯から,控訴人としても強硬に時季変更権の行使ができなかったと思料される。 (イ) Eらが休日割当表を記入し直し,休日割当出勤したことについて控訴人が組合員に交付した平成10年12月10日の警告書には「…是正しない場合は,懲戒処分の対象にすることがある。」とか「…あなた自身の職場がなくなるという問題を十分認識し,…」などの文言が記載されていたため,本件組合は控訴人が強い態度で臨んでくるものと判断し,一方的な処分を避けるため休日割当出勤に応じたのである。 それにもかかわらず,配車が混乱したとすれば,控訴人は組合員が出勤しないものとして,あらかじめ他の従業員を手配していたためである。控訴人は,一方的に警告書を発し出勤を命じておきながら,その後の手配をしていなかったことが窺われる。 なお,控訴人は,組合員が勝手に休日割当表に「×」印を付し,その後,「出」と記入し直し,勝手に出勤したとしているが,本件組合は,Aが12月11日に葉書でその旨を控訴人に通知して,さらに日本通運のコンテナ課の操配係に報告したとの証拠(丙4)を提出している。 イ本件措置の取りやめについて控訴人は,発注元の日本通運に対して,できる限り多くの業務を発注してくれるよう,働きかけを続けた結果,平成11年末ないし平成12年初めころから業務 提出している。 イ本件措置の取りやめについて控訴人は,発注元の日本通運に対して,できる限り多くの業務を発注してくれるよう,働きかけを続けた結果,平成11年末ないし平成12年初めころから業務が増加したとして,控訴人の努力を強調している。しかし,この業務の増加は,組合員が配車を混乱させたとして減車された分が元に戻ったのではなく,発注元の日本通運の取扱量が増加し,その増加分を控訴人が受注したとも考えられる。 このことから,被控訴人は,発注元の日本通運が控訴人に対し,2台を減車したのは,組合員が休日割当出勤を拒否して配車に混乱を来したことによるものか,日本通運の取扱量が減少したことによるものか,疑問を抱かざるを得ない。 (2) 不当労働行為意思についてア控訴人は,自宅待機となる勤務指示等をしたのは,組合員であることを理由に行ったことではないと主張する。 控訴人は,自宅待機となる勤務指示等を行ったもともとの原因は,Bら4名による休日割当出勤拒否としている。しかし,この行動は,本件組合が控訴人の労働条件,休日の与え方に対して不満があり,最終的に本件組合で判断して組合活動として行ったことは,原審証人E証言(9頁から10頁)でも明らかである。 さらに,本件組合は,控訴人との団体交渉においても休日割当出勤には絶対に協力しないという姿勢ではなく,休日割当出勤問題が解決すれば,出勤に応じるとの態度を示していた。これに対して,控訴人はこの問題に明確に答えることなく,平成10年8月12日の団体交渉では,控訴人が解決済みであるとしたため,話し合いは進展しなかった。 その後,控訴人は,平成10年12月10日に警告書を交付した後,本件組合は休日割当出勤に協力することを決定し,同月13日から出勤に応じたにもかかわらず,組合員が配車を混乱 は進展しなかった。 その後,控訴人は,平成10年12月10日に警告書を交付した後,本件組合は休日割当出勤に協力することを決定し,同月13日から出勤に応じたにもかかわらず,組合員が配車を混乱させたとして,平成11年1月5日から不利益取扱いとなる自宅待機となる勤務指示等をした。 以上の経過から,被控訴人は,控訴人が自宅待機となる勤務指示等を行うに至った大きな原因は,控訴人が団体交渉等で本件組合の主張を理解し,十分な説明を行うという姿勢に欠けていたことにあると思料する。 イ原判決が不当労働行為意思について十分な根拠を示していないとのことについて不当労働行為意思は,控訴人が行った客観的事実を証明して,それらを総合して判断することとなることから,原判決「不利益取扱いの外形的事実について」(32頁から35頁)においてその事実を証明しており,また,被控訴人の命令書「不当労働行為の成否について」(乙67の16頁から18頁)の項でも,総合的に判断し根拠を示している。 ウ Aに関する控訴人の認識について控訴人は,Aが平成13年6月12日,控訴人を被告として損害賠償請求訴訟を提起したことにより,本件組合が休日割当出勤拒否をしていた平成9年4月から平成10年12月の間は,Aが組合員でなかったことを知ることとなった。このため,「組合を意識」して自宅待機となる勤務指示等を行っていない旨を主張する。 しかし,休日割当出勤拒否は,前記のとおり,最終的に本件組合で判断して組合活動として行ったことであり,この問題は,控訴人と本件組合との団体交渉においても議論となっている。控訴人が,平成9年8月27日の団体交渉において「日曜日について,休日割当出勤命令をしているが,出勤していない従業員がいることを把握しており,これは業務命令違反でもあるか おいても議論となっている。控訴人が,平成9年8月27日の団体交渉において「日曜日について,休日割当出勤命令をしているが,出勤していない従業員がいることを把握しており,これは業務命令違反でもあるから,会社としても重大に考えている。」(乙67の5頁)と,本件組合に警告したのは,休日割当出勤拒否が組合活動と認識していたためである。 また,Aは,本件組合に対する同調者として,行動を共にしたものであり,Aが組合員でなかったことをもって,「組合を意識」していないとの控訴人の主張は失当である。 (3) 不利益取扱いの外形的事実についてア控訴人の自宅待機となる勤務についても賃金(基本給)を支給しており,勤務の事実がないことにより支給されない各手当があるとしても当然であり,経済的不利益は生じていないとの主張について平成11年1月以降,控訴人が行った自宅待機となる勤務指示等により,組合員は非組合員と比べて,本件命令(乙67の15頁から16頁)のとおり,明らかに経済的不利益を生じている。 これは,控訴人の一方的な勤務指示により,組合員が乗務の機会を減少させられ,それにより得るべき各種手当が減少したことにより,非組合員との給与格差が生じたためである。 控訴人は,減車の原因を一方的に組合員のみに帰して勤務の機会を奪いながら,組合員に経済的不利益はないとしているが,本件の不利益取扱いの判断は,コンテナ班の組合員と非組合員とを比較すべきである。被控訴人は,コンテナ班での8名体制を維持し,減少した2台分の業務を班員全員に平等に割り当てる勤務体制を組むことも可能であったと思料する。 イ本件命令における時間外勤務の計算方法について控訴人は,平成11年1月から平成12年9月までの,組合員と非組合員の時間外勤務時間 割り当てる勤務体制を組むことも可能であったと思料する。 イ本件命令における時間外勤務の計算方法について控訴人は,平成11年1月から平成12年9月までの,組合員と非組合員の時間外勤務時間を示して,組合員はもともと時間外勤務が少ないという実態を指摘する。また,原審において,控訴人は,「時間外手当については,Bら4名は,以前から時間外勤務を命じても拒否し続け,もともと時間外勤務が他の従業員より少なかった…」とも主張している。 これに対し,被控訴人は,甲9により,「平成9年4月から同年7月までは,むしろ組合員の時間外勤務の平均時間が非組合員よりも上回っていた。確かに同年8月以降は組合員の平均が非組合員の平均を上回ることは一度もなかった。しかし,このことは組合員が時間外勤務を拒否していたことにはならない。給与に占める基本給の割合が低い会社にあっては,割り増しとなる時間外勤務を拒否する理由はない。時間外勤務命令を発するのは会社であることから,休日割当出勤問題が団体交渉で議題となった8月以降,非組合員に比して組合員には,時間外勤務を命じなかったことが窺われる。」と反論した。 仮に,控訴人が組合員はもともと時間外勤務時間が少なかったことを主張するなら,本件組合が控訴人の休日割当出勤の要請を拒否して,控訴人と本件組合との間で休日割当出勤問題が団体交渉の議題となる以前のそれと比較すべきである。 組合員が,非組合員に比べ差別取扱いとなる自宅待機の勤務指示等を行った平成11年1月以降の時間外手当が少なくなっていることは当然であり,このことが組合員に対する経済的不利益である。 ウ休日出勤手当の計算方法について控訴人は,組合員はもともと休日出勤手当の対象となる勤務が少なかった旨を主張する。仮にそう主張するならば,時間外手当と が組合員に対する経済的不利益である。 ウ休日出勤手当の計算方法について控訴人は,組合員はもともと休日出勤手当の対象となる勤務が少なかった旨を主張する。仮にそう主張するならば,時間外手当と同様に,控訴人と本件組合との間で休日割当出勤問題が団体交渉の議題となる以前のそれと比較すべきである。 被控訴人が認定した控訴人が組合員に対して行った不利益取扱いは,平成11年1月以降,土曜日に同じ勤務に就いても,組合員は土曜日の勤務が,組合員4名のうち2名が通常勤務となっているのに対して,非組合員はおおむね休日出勤手当の対象となる勤務指示であったことである。 エ本件命令における各種手当の計算方法について控訴人は,本件命令における各種手当の計算方法がコンテナ班全員の平均数値をもとに計算することは,安易かつ不相当な算定方法であることを主張する。しかし,もともと本件組合が被控訴人に申立てた救済の内容は「被申立人は,申立人組合組合員であるB・E・F・Aに対し,平成11年1月以降第1項の不利益取扱を解消するまでの間,その他手当,時間外手当,休日出勤手当について,不利益取扱前の平均賃金と実際の支給額との差額を支払わなければならない。」(乙4)であった。この請求する救済内容に対して,被控訴人は,平成11年1月以降,2台の減車となったことからコンテナ班で取り扱う業務量が減少しているため,このことを考慮して,不利益取扱いとなる平成11年1月以降のコンテナ班全員の平均数値をもとに計算したのである。 (4) その他の判断についてア休日出勤に関する日本通運の操配者による都合の聴取について控訴人は,平成9年3月以前の休日における操配状況について,日本通運の操配者は,控訴人の従業員に順番に都合を聴取していたのでなく,前日に翌日の貨物量を想定し, の操配者による都合の聴取について控訴人は,平成9年3月以前の休日における操配状況について,日本通運の操配者は,控訴人の従業員に順番に都合を聴取していたのでなく,前日に翌日の貨物量を想定し,何台のトラックが必要であるかを判断し,控訴人を含め下請業者に使用台数を指示し,その指示に基づき,控訴人は従業員に対して勤務を命じていたと主張する。 しかし,乙63,64及び原審証人Cの証言においてもそのような事実は認められない。日本通運の操配者が直接,控訴人の従業員に都合の聴取をしていた。 乙63(15頁),64(36頁から37頁)の証言からも,原判決及び本件命令の認定は正しい。 イ 8月27日の団体交渉から10月28日の事件までのBら4名の休日割当出勤状況について本件命令(乙67の5頁)では,「組合は,8月27日の団体交渉を踏まえて会社からの回答があると考え,平成9年9月7日(日)にF,10月10日(祝)にE,10月26日(日)にBが,休日割当出勤に応じた。」と認定した。 ウ Cの発言の趣旨は,「自分勝手な判断で日曜日に出勤したりしなかったりでは困る。きちんと休日割当表に従って出勤してほしい。」との控訴人の主張について「君ら」とは,休日割当出勤に応じない組合員を指すものと考える。 エ平成9年10月28日のHとFとの間の事件について本件命令(乙67の6頁)では,「コンテナ班運転手HがFに対して,「一遍出たくらいで偉そうな顔をするな。」と発言するとともに組合を誹謗,中傷するようなことを述べた事件が発生した。」と認定した。 5 本件組合(補助参加人)の当審主張(1) 原判決が,被控訴人がなした本件命令につき,控訴人の行為は不当労働行為に当たるとして,請求を棄却した判断は正当であり,取り消されるべき理由はない。 (2) 控訴 件組合(補助参加人)の当審主張(1) 原判決が,被控訴人がなした本件命令につき,控訴人の行為は不当労働行為に当たるとして,請求を棄却した判断は正当であり,取り消されるべき理由はない。 (2) 控訴人の対応は不当なものである。 ア控訴人は,本件措置は正当であると主張するが,これは救済申立事件の段階から主張していたことと何ら変わるものではなく,これについては不当労働行為であるとした被控訴人や原審の判断で厳しく指弾されているところである。 イ控訴人のコンテナ班における配車は,控訴人の親会社であり唯一の荷主である日本通運のコンテナ課の配車係において行っていることは,過去から現在に至るまで変わらない。 これについては,現在でも「日本通運㈱岐阜支店コンテナ課」名義の書式の「乗務員集配表」が使用されており,その書式は,年月日と曜日が記載されるようになっており,乗務員氏名欄には控訴人従業員の氏名が不動文字で印刷され,「傭車」等の区別も同様に不動文字で記載され,さらに作業開始・終了時間が記載されるようになっており,また,「乗務記録」が記載されるようになっている。 本件組合は,原審において控訴人に対し,その配車表の提出を求めたが,控訴人はこれに応えていない。 そして,その書式に従って,日本通運岐阜支店コンテナ課配車係が,控訴人従業員の各欄に上記事項を記載し,その日その日の配車を行っているのである。休日等の乗務についても,同係員が都合を聞きながら指定していくのである。 このように,本件組合の組合員らが休日乗務を断っても,配車はスムーズに行われてきたのであって,何ら混乱は生じていなかった。 ウ控訴人は,本件組合の組合員らが年休取得により対応した場合に時季変更権を行使しなかったことについて,これを行使しても組合員らがこれに応じず混乱が生じ きたのであって,何ら混乱は生じていなかった。 ウ控訴人は,本件組合の組合員らが年休取得により対応した場合に時季変更権を行使しなかったことについて,これを行使しても組合員らがこれに応じず混乱が生じることが予想されたから行使しなかったことはやむを得なかった旨主張する。 しかし,控訴人が時季変更権を行使したことは一度もなかった。 また,組合員は,平成9年8月27日の団体交渉の後一旦は休日出勤に応じたこともあるし,警告が発せられた平成10年12月には年休を取得せずに勤務についたこともある。もとより,本件組合は,休日出勤等について控訴人が団体交渉の席で約束した回答をしなかったから休日出勤を拒否していたのであって,これが解決すれば従う旨を明確にしていた。 このように,時季変更権を行使することによって混乱することは現実に予想されるものではなかったのであり,実際に行使をしないで危険性を主張するのは不当である。 なお,控訴人は,組合員が年休取得で対処していることについて,団体交渉の席で問題としたことはなく,平成10年12月になって突然警告を発したのである。 平成10年12月の「×」を「出」に記載したのは,出勤する旨報告を受けた日本通運岐阜支店の配車係である。 エ控訴人は団体交渉において,本件組合が休日出勤等について明確にするよう求めたのに対し,後日の団体交渉で明らかにする旨明確に述べている。 ところが,これが明らかにならないまま推移したのである。 この点,本件命令も原判決も明確に指摘しているが,控訴人はこのことについての説明を避けている。 (3) Aの組合帰属についてAが本件組合からいつ脱退し,さらにいつ再加入し,そして再度脱退したかについては,いちいち控訴人に報告しているわけではない。そして,Aが,組合員として けている。 (3) Aの組合帰属についてAが本件組合からいつ脱退し,さらにいつ再加入し,そして再度脱退したかについては,いちいち控訴人に報告しているわけではない。そして,Aが,組合員として団体交渉に出席した事実は控訴人は知っているし,日常的にも組合員と行動をともにしていたことも知っている。従って,同人が,現に組合員であるか否かを明確に認識した上で対処していたわけではないことは,控訴人の指摘するとおりであり,この点,原判決が「君ら」「君たち」ということを組合員を指すことを一部変更している判断には,本件組合としても異議がある。 しかしながら,控訴人の対応は,Aが組合員であるとの認識の基に行っているのであり,Aの現実の組合所属によって不当労働行為意思なしとする控訴人の主張は,事実に反している。 (4) 不利益取扱いの外形的事実についてア控訴人は,自宅待機の日にも賃金は支払っているから,各手当の支給がないことは当然であるとする。 自宅待機を命じられた日も,組合員は労務の提供を行っているのであって,基本賃金が支払われるべきことは当然である。問題は,実際に乗務しなければ各種手当が支給されないことであり,控訴人の賃金体系では各種手当の不支給は経済的に多大な不利益をもたらすものであって,そのような重大な不利益を与える「勤務指定」がなされていることがまさしく不利益取扱いなのである。 イ控訴人は,本件命令が時間外手当や休日出勤手当の支給について平均時間外(休日)勤務時間に基づき計算していることを非難している。そして,仮定の数値をもとにこれを論難しようとしている。 しかし,現実に控訴人は組合員らの通常乗務の機会を奪ったのであり,時間外勤務の実績を奪ったのである。 また,平成9年4月から平成10年10月までの実績についても れを論難しようとしている。 しかし,現実に控訴人は組合員らの通常乗務の機会を奪ったのであり,時間外勤務の実績を奪ったのである。 また,平成9年4月から平成10年10月までの実績についても,前記のとおり,この期間は団体交渉で問題が解決されていない時期であって,休日割当表が勤務日の指定とは確定していないのであり,この時期の勤務は「強制」ではなく「任意」なのであり,これを比較対象とすることは不適当である。 しかも,週40時間制となったあと,土曜日の「休日」は法定休日ではなく時短休日となったが,これを通常出勤日と指定された組合員は時間外手当がつかず,時短休日とされた非組合員の出勤は時間外勤務となるなど,当初から制度上組合員は同じ時間働いても時間外勤務とならないような措置まで講じられているのである。 このように,もともと不平等な取扱いを強いられた上での仮定の議論で自ら行った不平等取扱いを正当化するのは認められない。 時間外勤務時間の差があるなどというのであれば,実際に平等な勤務指定や配車を行った上で行うべきであり,そのようなことをせず不利益取扱いを行う使用者は,あるべき正常な取扱いを命じられるのは,不当労働行為を禁ずる法の趣旨からして当然のことである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,Aに係る部分を除き,控訴人の請求を棄却すべきものと判断するが,その理由は,次のとおり原判決を訂正し,次項に控訴人の当審主張に対する判断を付加するほか,原判決の「第3 争点に対する判断」のとおりであるから,これを引用する。 (1) 原判決31頁24行目の「を答えた」を「と答えた」と改める。 (2) 同32頁6行目冒頭から15行目末尾までを,次のように改める。 「 控訴人は,Bら4名の年休申請に対し時季変更権を行使しなかったことを自認し,現 24行目の「を答えた」を「と答えた」と改める。 (2) 同32頁6行目冒頭から15行目末尾までを,次のように改める。 「 控訴人は,Bら4名の年休申請に対し時季変更権を行使しなかったことを自認し,現場段階での混乱を避ける必要があったから時季変更権を行使しなかった旨主張するが,控訴人主張の理由で時季変更権を行使しなかったとしても,本件措置の相当性の判断を左右するものではない。」(3) 同33頁19行目の「85パーセント」を「95パーセント」に,同頁21行目の「36.5パーセント」を「48.7パーセント」といずれも改める。 2(控訴人の当審主張について)(1) 本件措置の相当性についてア控訴人は,本件措置をとったのは,受注先の日本通運から控訴人に対する平日分の発注が2台分減ったためにやむなくそれに対する対応として行ったことであり,相当で合理的であると主張する。そしてその理由とするところは,(ア) Bら4名が長期にわたって休日割当出勤の拒否を続けたことや,(イ) 平成10年12月には出勤拒否の意思を一方的に撤回して出勤するなどして,配車の混乱を招いたことにあるとする。 (ア) まず,Bらの休日割当出勤の拒否について検討するに,前記(引用にかかる原判決)のとおり,a 休日割当表の導入が,当初コンテナ班の運転手らに協力を求める形で出発し,休日割当出勤をしたくない者はしなくてもよいとされ,休日割当出勤を拒否した場合は,休日カレンダーどおりその日が休日として取り扱われていたこと等からすると,Bら4名が,休日割当出勤に協力するかどうかは自由であり控訴人の業務命令ではないと考えたことには無理からぬものがあることb また,平成9年7月から8月にかけての団体交渉において,控訴人が,休日割当表は就業規則に基づくものであって休日カレンダーに優先する 訴人の業務命令ではないと考えたことには無理からぬものがあることb また,平成9年7月から8月にかけての団体交渉において,控訴人が,休日割当表は就業規則に基づくものであって休日カレンダーに優先するものであること,休日割当出勤に応じないことは業務命令に違反するものであること等を説明したところ,本件組合は,休日割当出勤に一切応じないとするものではなく,休日割当出勤の問題点が解決されれば休日割当出勤に応ずるとの態度を示し,控訴人が上記問題点について本件組合に速やかに回答することになったことそして,同年9月から10月にかけてF,E,Bが各1回ずつ休日割当出勤に応じたものの,HのFに対する暴行事件等があったため,控訴人から正式な回答があるまで休日割当出勤には応じないとしたものであって,控訴人が上記回答をしていないことを無視して本件組合の休日割当出勤拒否を一方的に非難することはできないことc また,平成10年8月12日の団体交渉において,控訴人は,前記休日割当出勤の問題点は既に解決済みであると主張して譲らなかったため,Bら4名は,その後は休日割当出勤日に年休を申請してこれに対抗するようになったところ,控訴人は時季変更権を行使することなくこれを認めていたことd さらに,平成10年12月に控訴人がBら4名に警告書を交付した以後は,Bら4名は休日割当出勤に応ずることを決定し,その旨を控訴人や日本通運の操配担当者に連絡した上で,現実に休日割当出勤をしていることを考慮すると,Bら4名の休日割当出勤をしなかったことを非難することはできない。 (イ) 控訴人の当審主張(1)ア(ア)aないしcについてaBら4名の休日割当出勤に対する態度控訴人は,Bらの休日割当出勤拒否の態度,考えは極めて強固なものであった旨主張する。 しかし,前記(引用にか 当審主張(1)ア(ア)aないしcについてaBら4名の休日割当出勤に対する態度控訴人は,Bらの休日割当出勤拒否の態度,考えは極めて強固なものであった旨主張する。 しかし,前記(引用にかかる原判決)のとおり,① 平成9年2月8日の職場会議等で,Cが日本通運からの要請を説明し,順番に休日割当出勤することについて協力を依頼したが,その際出席していたのはA,Hらのみであり,Bら4名は反対の意思を表明したこと② IとCは,その後,コンテナ班の運転手に対し,協力要請文書等を交付するなどし,Cは,休日割当表に基づき休日割当出勤の該当者に対し,前日又は前々日にその都合を聞いていたこと③ Bら4名は休日割当出勤問題につき控訴人の態度が不明確であったことなどから休日割当出勤に応じなかったこと,しかし,同年8月27日の団体交渉において,Gが休日割当出勤問題につき速やかに回答することを約束するなどしたため,同年9月7日にFが,同年10月10日にEが,同月26日にBが,それぞれ休日割当出勤に応じたことを認めることができ,Bら4名が休日割当出勤に応じないとする態度が極めて強固なものであったとは認めることができず,控訴人の主張は採用できない。 b 控訴人の回答控訴人は,休日割当出勤についての扱いに関して,回答をしていないことはない,すなわち回答した旨主張する。 しかし,前記(引用にかかる原判決)のとおり,平成9年8月27日の団体交渉に際し,Gが組合員らに対し休日割当出勤問題につきできるだけ速やかに回答すると述べたものの,その後具体的な回答がされたことを認めるに足りる証拠はなく,平成10年8月の団体交渉において,控訴人は既に上記問題は解決済みであると主張したことは認められるが,控訴人が組合員らに対し,休日割当出勤問題(振替休日を1か月前に明確 を認めるに足りる証拠はなく,平成10年8月の団体交渉において,控訴人は既に上記問題は解決済みであると主張したことは認められるが,控訴人が組合員らに対し,休日割当出勤問題(振替休日を1か月前に明確にすること及び1日分の賃金が保証されるか否かその基準を明らかにすること)が具体的にどのように解決したかを,告げたと認めるに足りる証拠はない(控訴人が主張したように,現実に解決済みであったのならば,誠実に団体交渉すべき控訴人としては,いつどのように解決したか,その内容を具体的に本件組合に説明すべきは当然である。)。 控訴人の主張は失当である。 c 時季変更権を行使しなかったことについて前記(引用にかかる原判決,訂正後のもの)のとおり,現場段階での混乱を避ける必要があって控訴人が時季変更権を行使しなかったとしても,本件措置の相当性の判断を左右するものではない。 (ウ) 次に,Eらが,出勤拒否の意思表示を撤回して出勤したことについて検討する。 前記(引用にかかる原判決)のとおり,平成10年12月10日,控訴人が組合員に対し警告書を交付したので,本件組合は異議があったが,一方的な処分を避けるため,休日割当出勤に応じることにし,同月11日,AがBら4名を代表して,日本通運の操配担当者にBら4名が休日割当出勤に応ずることを決めた旨報告し,かつ,控訴人代表者に宛ててその旨記載したはがきを送付したこと,そして,同月13日にE,同月20日にF,同月23日にA,同月27日にBが休日割当出勤に応ずることになったことを認めることができ,Bら4名が休日割当出勤拒否の意思表示を撤回したとしても,それは控訴人が交付した警告書によるものであって,Bら4名が勝手に撤回したと評価することはできない(警告書によれば,控訴人は休日割当出勤拒否を早急に是正することを求めてお 意思表示を撤回したとしても,それは控訴人が交付した警告書によるものであって,Bら4名が勝手に撤回したと評価することはできない(警告書によれば,控訴人は休日割当出勤拒否を早急に是正することを求めており,控訴人としてはBら4名にそのように行動することを期待していたと認められる。)。 (エ) 以上によれば,控訴人の上記主張は失当である。 イ控訴人が本件措置を取りやめたことについて控訴人は,発注元の日本通運に対して,できる限り多くの業務の発注をしてくれるよう努力を続けた結果,業務の発注量が回復したので,控訴人は,平成12年9月7日をもって,Bら4名に対して,本件措置を取り止めた旨主張する。 控訴人主張のとおりの事実であったとしても,本件措置が不当労働行為であるとの認定を左右するものではない。 (2) 不当労働行為意思についてア控訴人は,原判決の,控訴人の不当労働行為意思についての指摘は,非常に概括的なものにとどまり,十分な根拠を示していない旨主張する。 しかし,前記(引用にかかる原判決)の,(ア) 控訴人と本件組合の従前からの紛争の経過(原判決2頁17行目から4頁15行目までに記載)(イ) 控訴人がBら4名の組合員に対して本件措置を行った経緯(原判決4頁16行目から8頁6行目まで,24頁18行目から30頁22行目まで等に記載)(ウ) 本件措置の内容(原判決30頁23行目から31頁9行目まで等に記載)によれば,本件措置はBら4名が組合員であることを理由になされたもので不当労働行為に該当するものと認めるのが相当であるから,控訴人の同主張は失当である。 イ控訴人は,Aが平成11年1月1日付けで本件組合に再加入したことは全く知らなかったものであり,組合を意識して,本件措置をしていない旨主張する。 しかしながら,前記(引用にかかる原 当である。 イ控訴人は,Aが平成11年1月1日付けで本件組合に再加入したことは全く知らなかったものであり,組合を意識して,本件措置をしていない旨主張する。 しかしながら,前記(引用にかかる原判決)認定の事実によれば,Aは,平成8年に本件組合を脱退後も本件組合と同調して,休日割当出勤に対する拒否的行動をしており,控訴人もこれを前提として団体交渉をしていたものと認めることができるから,控訴人の同主張は採用できない。 (3) 不利益取扱いの外形的事実についてア控訴人は,自宅待機となる勤務を命じた場合にも,控訴人はBら4名に対して賃金を支払っており,勤務の事実がないことにより支給されない各手当があるとしてもこれは当然のことであるから,経済的不利益は生じていない旨主張する。 しかしながら,控訴人の本件措置により,Bら4名が乗務する機会が減少し,そのことにより各種手当が支給される機会が必然的に減少することになり,経済的不利益が生じていることは明白であり,控訴人の主張は失当である。 イ時間外手当について(ア) 控訴人は,平成11年1月から平成12年9月までの組合員と非組合員の時間外勤務時間を示して(甲17),組合員(Bら4名)はもともと時間外勤務が少ない旨主張する。 しかしながら,前記(引用にかかる原判決)認定のとおり,平成9年7,8月の団体交渉のころから明確に休日割当出勤が問題となり,一旦Bら4名は休日割当出勤に応じることとしたが,同年9,10月のC発言やHの暴行事件により,控訴人が団体交渉で約束した回答をするまで休日割当出勤に応じないこととしたのであるから,そのころから時間外勤務が少なくなったのは休日割当出勤問題の影響であったことを推認することができ,同推認を覆すに足りる証拠はない。したがって,Bら4名がもともと時間外勤 ないこととしたのであるから,そのころから時間外勤務が少なくなったのは休日割当出勤問題の影響であったことを推認することができ,同推認を覆すに足りる証拠はない。したがって,Bら4名がもともと時間外勤務が少ないかどうかは,上記問題が発生する時点より前の状態と比較しなければならないところ,証拠(甲9)によれば,平成9年4月から同年7月までは,むしろBら4名の時間外勤務の平均時間が非組合員のそれを上回っていたことを認めることができ,控訴人の主張はその前提事実を認めることができず,採用の由なしとせざるを得ない。 (イ) また,控訴人は,本件命令における計算方法によれば自宅待機となる勤務指示がない月に時間外勤務手当を支払う矛盾が生ずる旨主張する。 控訴人指摘のようなことが生ずることはあり得ることではあるが,コンテナ班8名の1人あたりの平均時間外勤務時間に基づいて計算することは,全体としてみれば合理性のあることであり,控訴人の主張は理由がない。 ウ休日出勤手当について控訴人は,Bら4名はもともと休日出勤手当の対象となる勤務が少なかった旨主張する。 しかし,前記のとおり,Bら4名とそれ以外の者との勤務を比較するのであれば,休日割当出勤についての問題が発生する時点より前の時点における状態を比較しなければならないところ,この点につき,控訴人主張を認めるに足りる証拠はない。 また,控訴人は,本件措置において,Bら4名につき,土曜日は2名が通常出勤日,2名が休日と指定されたが,休日となった2名はその土曜日について休日出勤としての勤務をすることがなかった旨主張する。 控訴人の主張は,Bら4名に休日出勤が少なかった事情を説明するものと解されるが,控訴人の主張事実が認められるとしても,Bら4名とそれ以外の者との間で休日出勤の多少を比較する場合は,休 主張する。 控訴人の主張は,Bら4名に休日出勤が少なかった事情を説明するものと解されるが,控訴人の主張事実が認められるとしても,Bら4名とそれ以外の者との間で休日出勤の多少を比較する場合は,休日割当出勤についての問題が発生する時点より前の時点における状態を比較すべきものとする前記判示に対する有効な反論となるものではない。 エ大型乗務手当や2個積ワンマン手当について控訴人は,コンテナ班の班員全員の平均数値をもとに計算することは,実態に背反するおそれのある,安易かつ不相当な算定方法である旨主張する。 しかし,前記のとおり,平均値をもとに計算をすることには合理性があり,控訴人の主張は採用できない。 (4) その他の判断についてア休日出勤に関する日本通運の操配者による都合聴取について控訴人は,平成9年3月以前の操配状況は,日本通運の操配担当者の指示にもとづき,控訴人において,各従業員に対して勤務を命じていた旨主張する。 しかし,前記(引用にかかる原判決)のとおり,日本通運の操配担当者が直接控訴人従業員に都合を聴取していたと認められる(乙63,64,原審証人C)。 イ平成9年8月27日から10月28日までのBら4名の休日割当出勤状況について控訴人は,原判決が,組合員は,休日割当出勤が通常出勤であることを認識し,平成9年9月7日以降にFが,Eが,Bが,それぞれ休日割当出勤に応じた(乙63)と認定したことを非難して,平成9年8月27日の団体交渉後,乙42のとおり,休日割当出勤に応じていない日も多い旨主張する。 しかし,乙42によれば,控訴人主張の事実を認めることができるが,前記(引用にかかる原判決)認定は,平成9年9月から10月にかけて,Bら4名が休日割当出勤に応じようとしていたことを認定したものであって,控訴人主張 によれば,控訴人主張の事実を認めることができるが,前記(引用にかかる原判決)認定は,平成9年9月から10月にかけて,Bら4名が休日割当出勤に応じようとしていたことを認定したものであって,控訴人主張事実が認定できたとしても,結論に影響を与えるものではない。 ウ C発言について控訴人は,原判決はCの発言の趣旨を曲解したものと非難する。 しかし,Cの発言内容は原判決認定のとおりであり,仮にCの内心の意思が控訴人主張のとおりであったとしても,Aが発言と異なるCの内心の意思を理解したことを窺わせる証拠はなく,控訴人の主張は採用できない。 エ Hの暴力について控訴人は,平成9年10月28日の件について,「個人の口げんかの域を出ない」ものであり,「暴力を振るう事件」ではない旨主張する。 しかし,甲6によってもHがFを突くなどの有形力の行使をしたことが認められる(H自身が相手の挑発に乗ってしまったと暴力行為をしたことを認めている。)。 3(結語)よって,これと同旨の原判決は相当であって,控訴人の本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第3部裁判長裁判官青山邦夫 裁判官藤田敏裁判官倉田慎也は填補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官青山邦夫

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