令和5(行コ)28 運転免許取消処分無効確認請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和5年9月26日 福岡高等裁判所 棄却 福岡地方裁判所 令和2(行ウ)34
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判決文本文10,625 文字)

主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 第2 事案の概要(以下、略称は、特に断らない限り、原判決の例による。)1⑴ 処分行政庁である福岡県公安委員会は、被控訴人が、その運転する普通貨物自動車(被控訴人車両)前部を、本件被害者が運転する原動機付自転車(被 害者車両)後部に衝突させる交通事故を起こしたとして、平成29年12月27日付けで、被控訴人に対し、運転免許取消処分及び運転免許を再取得できない期間を同日から平成30年12月26日までとする本件各処分をした。 本件は、被控訴人が、【Ⅰ】主位的に、本件各処分には、事故態様に関する 重大な事実誤認があると主張して、本件各処分の無効確認を、【Ⅱ】予備的に、①処分行政庁が事実誤認を前提とする本件各処分を取り消さないことは、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであると主張して、本件各処分の撤回の義務付けを、②本件各処分の無効又は撤回の義務付けにより、被控訴人が優良運転者として運転免許の更新を受ける地位にあると主張し て、その地位の確認をそれぞれ求める事案である。 ⑵ 原審は、本件各処分には事故態様に係る事実誤認と法令の定める要件への当てはめの誤りがあり、処分要件の根幹についての内容上の過誤が認められ、本件各処分は無効であるとして、被控訴人の主位的請求を認容したことから、控訴人は、これを不服として、本件控訴を提起した。 2 関連法令、前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、原判決3頁1 7行目「重傷事故」の次に「(負傷の治療に要する期間が3か月 訴人は、これを不服として、本件控訴を提起した。 2 関連法令、前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、原判決3頁1 7行目「重傷事故」の次に「(負傷の治療に要する期間が3か月以上)」を、「前提として、」の次に「交通事故が専ら当該違反行為をした者の不注意によって発生したものである場合(道交法施行令別表第2 3の表)であるとして、累積点数15点とし、」をそれぞれ加えて補正し、3のとおり当審における当事者の補充主張を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の 概要」の1から4(原判決2頁5行目から21頁14行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。 3 当審における当事者の補充主張⑴ 事故態様に関する事実認定について(控訴人の主張) Aの鑑定書(甲5の29)によれば、被控訴人主張の事故態様は起こり得ない。同鑑定書が、被害者車両の走行位置について、原判決添付別紙3の第3ラインと第4ラインであることを前提としていて、第5ラインの可能性を検討していないとしても、両車両の相対速度、停止していた被害者車両が走行を再開した時の加速度、衝突までの時間等を踏まえて検討すると、被害者 車両が第5ラインを走行していた場合にも、被控訴人が主張するような事故は発生しない。 したがって、Aの鑑定書は信用できるのであり、これによれば、被控訴人が主張するような事故態様ではない。 (被控訴人の主張) 争う。 ⑵ 本件各処分を無効とすることについて(控訴人の主張)ア本件事故について、被控訴人主張の事故態様のとおり認定できるとしても、それは処分行政庁が本件各処分を行う際に存在しなかった刑事事件の 記録や被控訴人の弁明等を基にしている。被控訴人が、意見聴 本件事故について、被控訴人主張の事故態様のとおり認定できるとしても、それは処分行政庁が本件各処分を行う際に存在しなかった刑事事件の 記録や被控訴人の弁明等を基にしている。被控訴人が、意見聴取の機会に 自ら意見を述べ、審査請求を行って本件訴訟で主張しているような事故態様であったと弁明していれば、控訴人は、当然、被控訴人の意見や弁明に耳を傾け、それらを踏まえた判断をしていたのであって、仮に本件各処分に事実誤認があるとしても、その結論について、意見聴取の機会に上記弁明等をしなかった被控訴人にその責任の一端がある。 また、処分行政庁は、警察行政とは別に政治的中立性を確保しながら独自の立場で行政処分を行っているのであるから、被控訴人の実況見分での説明や、取り調べでの供述について信用性が否定されることがあったとしても、それを理由に被控訴人の帰責性を否定することはできず、意見聴取の機会に弁明をしなかった被控訴人こそ不利益を甘受すべきである。 イ行政処分が無効か否かを検討するには、一般原則(最高裁判所昭和36年3月7日判決)によるべきであり、本件各処分に重大かつ明白な瑕疵はない。 (被控訴人の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、本件各処分は無効であると判断する。その理由は、次のとおり補正し、2のとおり当審における当事者の補充主張に対する判断を加えるほかは、原判決「第3 当裁判所の判断」欄の1から4(原判決21頁16行目から45頁13行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。 ⑴ 原判決21頁17行目から18行目にかけての「(ただし、後記のとおり信用性の認められない部分を除く。)」を削除する。 ⑵ 原判決21頁20行目「(甲5の1、」から21行目末尾 ⑴ 原判決21頁17行目から18行目にかけての「(ただし、後記のとおり信用性の認められない部分を除く。)」を削除する。 ⑵ 原判決21頁20行目「(甲5の1、」から21行目末尾までを「(前提事実⑵ア、甲4、5の4・6・22・26・29、7の3~5、8の10、11、乙12、被控訴人本人、弁論の全趣旨)」に改める。 ⑶ 原判決21頁25行目「一瞬停止した後」から26行目末尾までを「一旦 停止した後、第2車線中央付近に向けて、後方車両から見て右斜め方向に向かって進行した。」に改める。 ⑷ 原判決22頁1行目「時速約50~60㎞」を「時速60㎞を超える程度」に改める。 ⑸ 原判決22頁15行目末尾に「(前提事実⑶、甲1、乙1、弁論の全趣旨)」 を加える。 ⑹ 原判決23頁16行目冒頭から40頁4行目末尾までを次のとおり改める。 「⑴ 当裁判所は、本件事故の態様について、補正後の原判決第3の1⑴のとおりと認定する。その理由は次のとおりである。 ⑵ 被控訴人は、本件事故態様について、原判決第2の4⑴被控訴人の主張欄記載の被控訴人主張の事故態様のとおり主張し、被控訴人もこれに沿った供述等(甲11、被控訴人本人)をする。そこで、被控訴人の供述等の信用性を検討する。 ア速度と車間について (ア) 本件防犯カメラには、本件事故前後の映像が録画されている(以下「本件防犯カメラ映像」という。甲5の6)。本件防犯カメラが映像として捕捉できる本件道路の北端(本件事故現場に最も近い位置。以下「見切れ地点」という。)は、本件事故現場の手前(南側)約8から9m地点である(甲5の29、7の5)。 (イ) 本件防犯カメラ映像に被害者車両は、約2秒 故現場に最も近い位置。以下「見切れ地点」という。)は、本件事故現場の手前(南側)約8から9m地点である(甲5の29、7の5)。 (イ) 本件防犯カメラ映像に被害者車両は、約2秒間、映っている(ただし、被害者車両は映像のコマとコマの間に見切れ地点を通過していて、見切れ地点通過の正確な時間は不明である。甲5の29、7の4)。 これに対し、被控訴人車両は、約1秒間、映っている(ただし、被控訴人車両もコマとコマの間に見切れ地点を通過している。甲5の29、 7の3)。したがって、被控訴人車両の方が、被害者車両よりも、本 件事故現場の近くで、高速で走行していることが認められる。なお、被控訴人車両は、上記1 秒間に、本件道路の北向き第2車線の左寄りを約18m走行していたと認められるから(甲7の3)、被控訴人車両の速度は、時速60㎞を超える程度であったといえる。 また、見切れ地点通過時の差を見ると、被害者車両が通過した約5 秒から6秒後に被控訴人車両が通過したことも認められる(甲5の22、7の4)。 そして、本件防犯カメラ映像によれば、被害者車両は、映り始めと終わりとでは、ウィンカー(左右いずれかは不明である。)を点灯させながら速度を落としていることが認められる(甲5の4、22、2 6、弁論の全趣旨)。これに対し、被控訴人車両の速度は、映像の初めから終わりまで、ほぼ変わっていないことが認められる(甲7の3、弁論の全趣旨)。 (ウ) 前記(ア)、(イ)からすれば、本件事故現場の8から9mほど手前地点まで、被害者車両はウィンカーを点灯させ減速しながら北進したこと、 その約5秒から6秒後に被控訴人車両は被害者車両よりも速い速度(時速60㎞を超える程度)で北進したこ の8から9mほど手前地点まで、被害者車両はウィンカーを点灯させ減速しながら北進したこと、 その約5秒から6秒後に被控訴人車両は被害者車両よりも速い速度(時速60㎞を超える程度)で北進したこと、以上の事実が認められるのであって、これら事実は、被控訴人の供述等と整合するものである。 (エ) なお、本件防犯カメラ映像から認定できる事実は、前記(ウ)の程度 であって、被控訴人車両はともかくとして、被害者車両の具体的な速度については可能性をいうにとどまり、認定には限界があるといわざるを得ない。本件防犯カメラ映像は、4秒を15コマで撮影されたものであり(甲5の26、8の7)、被害者車両はコマとコマの間に映像から見切れているし(前記(イ))、本件防犯カメラは、あくまでも本 件道路の沿道にある本件コインランドリーの店内を撮影するために設 置されていて(甲5の6)、録画された映像の静止画を見ても、本件道路を走行する車両は画面の左上部にわずかに映る程度であって、画像の鮮明度は低く、夜間でもあり車両の尾灯によって被害者車両の位置を把握するにしても(甲5の22、8の6)、ヘッドライトの光度が高く、画面上大きく映っているために被写体の走行状況を正確に測 るのは難しいというべきだからである(これに比べて、被控訴人車両の場合、本件防犯カメラ映像で車体そのものを視認できるので(甲7の3)、ヘッドライトの光度の高さといった問題はなく、具体的な時速を計算しやすいとはいえるが、それでも画像の不鮮明さやコマ数という点からは正確性にも限界があり、前記(イ)のとおり、時速60㎞を 超える程度という認定にとどめた。)。これに加えて、速度は距離を時間で除して算出されるが、本件防犯カメラは定点から奥行きのある本件道路を捕捉してい 界があり、前記(イ)のとおり、時速60㎞を 超える程度という認定にとどめた。)。これに加えて、速度は距離を時間で除して算出されるが、本件防犯カメラは定点から奥行きのある本件道路を捕捉しているため、車両の走行位置(たとえば、原判決添付別紙3の第1ラインから第6ラインのどこを走行しているか)によって、本件防犯カメラが捕捉できる道路の長さが変わってしまい(奥 であればあるほど距離は長くなる。)、速度算出のために除されるべき距離が一定しないという問題もまた速度算出に限界を生じさせる原因といえる。 また、両車両の見切れ地点通過時の差も、コマ数の関係上、せいぜい約5秒から6秒と認定できるにとどまるというべきである。 イ衝突位置と被害者車両の向きについて(ア) 本件事故現場における本件事故後の被控訴人車両及び被害者車両の停止状態、遺留物及びスリップ痕の状況は、原判決添付別紙2のとおりである(甲5の3)。 被控訴人車両には、フロントガラスひび割れ、ボンネット凹損及び 前部バンパー損傷等があり、被害者車両には、テールランプ脱落、シ ート脱落及びマフラー擦過等があった(甲5の4)。これらの損傷については、①被控訴人車両のボンネット右側の凹損状況と被害者車両後部の破損状況、②被控訴人車両のフロントガラス右側部における蜘蛛の巣状の破損と被害者のヘルメットの損傷状況、③被控訴人車両の前部バンパー及び前部ナンバープレートの損傷状況と被害者車両の後部 の破損状況、④被控訴人車両の前部バンパー左下部の破損状況と被害者車両右側マフラー部の擦過等の損傷状況が一致する(乙12)。 これらからすれば、本件事故における被控訴人車両と被害者車両の衝突地点は、原判決添付別紙2の 部バンパー左下部の破損状況と被害者車両右側マフラー部の擦過等の損傷状況が一致する(乙12)。 これらからすれば、本件事故における被控訴人車両と被害者車両の衝突地点は、原判決添付別紙2の地点であると認められる。 また、被害者車両は、衝突時、被控訴人車両に対して右側に約30 度傾いていたと認められる(甲5の29)。 (イ) このように、被控訴人車両は、第2車線の中でも第1車線寄りの地点において、それも右側に約30度傾いた被害者車両と衝突しているのであって、このことは、被控訴人の供述等と整合するものである。 ウ目撃証言について (ア) 目撃者は、本件事故が発生するまで被控訴人と人的関係はなく(甲8の10)、自己の記憶に反する虚偽の証言をする理由がない。また、目撃者の視力や、周囲の明るさなどの視認状況(甲8の10)にも問題はない。その証言内容は、各車両の速度と車間(前記ア)や、衝突位置における被害者車両の向き(前記イ)と整合している。したがっ て、目撃者の証言は信用できる。 そうすると、同証言から、本件事故の直前に、被害者車両は、本件道路北向き車線の西側歩道近くにおいて、ライトを点灯させて停止していたという事実を認めることができる。 (イ) この前記(ア)の認定事実は、被控訴人の供述等と整合するものであ る。 エ判断被控訴人の供述等は、このように、各車両の車間や速度、衝突地点と被害者車両の向き及び被害者車両の停止という他の証拠から認定できる各事実によって支えられており、これらの事実は被控訴人の供述等の中心をなすものであるから、事故態様に関する被控訴人の供述等は、基本 的に信用することができる。 したがって、信用できる被控訴人の供述等 によって支えられており、これらの事実は被控訴人の供述等の中心をなすものであるから、事故態様に関する被控訴人の供述等は、基本 的に信用することができる。 したがって、信用できる被控訴人の供述等により、事故態様について、補正後の原判決第3の1⑴のとおりに認定した。 ⑶ 控訴人の主張についてア前記認定判示に対し、控訴人は、被控訴人主張の事故態様は起こり得 ないと主張し、Aの鑑定書(甲5の29)も同様である。同鑑定書は、被害者車両の走行位置について場合分けをしてその走行速度を算出し、被害者車両と被控訴人車両との相対速度等や、見切れ地点を通過してから本件事故が発生するまでの時間を想定するなどしているところ、客観的な事実からこれを判断しようとするその手法自体は相当であるもの の、本件防犯カメラ映像からの事実関係の把握に限界があるのは前記⑵ア(エ)に判示したとおりである。そのような中、小数点以下の時間を算出して車両の動きを認定することはますます困難というほかなく、Aの鑑定書は、要するに、前提となる認定事実に看過できない幅があり、証明力は高くない。したがって、控訴人の上記主張は採用することができな い。 イ(ア) 控訴人は、目撃者の証言は信用できないと主張し、その理由として、①本件事故直前に本件事故現場付近を通過した西鉄バスのドライブレコーダーには目撃者が映っていないこと、②目撃者の証言のとおりであれば、被害者車両は停車位置から衝突地点まで本件道路をほぼ 垂直に横断するような形で進行していたことになるが、これは、被控 訴人車両が被害者車両に後方から衝突したという本件事故の態様と矛盾すること、③目撃者の証言は、被害者車両の停止位置という核心部分について大きく変遷していること等を挙げる。 これは、被控 訴人車両が被害者車両に後方から衝突したという本件事故の態様と矛盾すること、③目撃者の証言は、被害者車両の停止位置という核心部分について大きく変遷していること等を挙げる。 (イ) 上記①について、本件事故直前に本件道路南行き車線を進行し、本件事故現場付近を通過した西鉄バスのドライブレコーダーの映像(乙 23の1・2)は不鮮明である上、街路樹等のために撮影の死角となっている部分もあり、目撃者が映っていないと断言することまではできない。 (ウ) 上記②について、目撃者は、被害者車両の停止位置を、幅をもって証言しているところ(甲8の10)、この幅のうち南側に近い地点で被 害者車両が停止していたのであれば、衝突地点(本件事故現場)まで本件道路を斜めに進行することになる。そのため、控訴人が主張するように、被害者車両が本件道路をほぼ垂直に横断するような形で進行するとはいえない。 (エ) 上記③について、目撃者は、本件事故の捜査を担当したB警察官に 対し、被害者車両を目撃した場所は「Cラーメンの方」であった旨の証言をしたこと(甲8の10)、Cラーメンは、本件事故現場よりも北側にあること(乙24添付の現場見取図)が認められる。しかし、目撃者がB警察官に対して上記発言をしたのは、本件事故現場ではなく警察署内で、5分間程度しか話をしていないというのであり(甲8の 10)、本件全証拠によっても、目撃者がB警察官に対してどのような文脈で上記発言をしたかは明らかでない。これらのことに照らすと、目撃者の上記発言は、被害者が停止していた大体の位置という趣旨で「Cラーメンの方」と述べた可能性も否定できないのであり、これをもって、証言の核心部分が合理的理由なく変遷しているとまではいえ ない。 の上記発言は、被害者が停止していた大体の位置という趣旨で「Cラーメンの方」と述べた可能性も否定できないのであり、これをもって、証言の核心部分が合理的理由なく変遷しているとまではいえ ない。 (オ) したがって、控訴人が目撃者の上記証言を信用することができない理由として指摘する点は、上記①から③の点以外にも主張する点も含めて、いずれも目撃者の上記証言の信用性を否定するに足りるものではないというべきである。この点に関する控訴人の上記主張は、採用することができない。 ウ控訴人は、本件被害者が一旦道路左端に寄って停止しなければならない理由は考えられないし、後続車両が来る可能性が否定できない状況下で、実際に被控訴人車両が接近してきているにもかかわらず、本件被害者が被控訴人車両の進路(第2車線)目掛けて被害者車両を進行させるのは不自然であると主張する。しかし、本件被害者が携帯電話を操作す るなど何らかの理由で一旦道路左端に寄って停止した可能性は十分にあるし、本件被害者が後続車両である被控訴人車両の存在を見落としたか、あるいは、被控訴人車両の速度又は車間距離を見誤って進行した可能性もある。また、本件被害者が本件事故現場の北側約23m地点にある本件三差路を右折する又は同地点で転回するために、あらかじめ車線変更 しておこうと考え、第1車線左端から第2車線に進行した可能性もある。 したがって、控訴人の指摘する事情のみをもって、上記認定の事故態様が不自然であるとはいえない。 エ控訴人は、本件三差路の東側交差道路には横断歩道が設置されており、本件事故現場付近にドラッグストアや本件コインランドリー等があるこ と、近隣に多数の住宅があること等に鑑みれば、本件被害者の右折方向の横断歩道に歩行者や 交差道路には横断歩道が設置されており、本件事故現場付近にドラッグストアや本件コインランドリー等があるこ と、近隣に多数の住宅があること等に鑑みれば、本件被害者の右折方向の横断歩道に歩行者や自転車がいたことも想定され、歩行者等を避けるため、又は転回しようとして、対向バイクを避けるために、被害者車両が本件事故現場で停止することは不自然ではないと主張する。 しかし、本件被害者が本件三差路を右折しようとして右折待ちのため に停止するのであれば、本件事故現場ではなく、より本件三差路に近い 地点で停止するのが自然である。もっとも、本件被害者が転回しようとしていた可能性は考えられなくはないが、信用できる目撃者の証言と相容れないし、転回する合理的な理由も見いだせない。そうすると、被害者車両が右折又は転回のために本件事故現場で停止したとは認め難い。 したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。」 ⑺ 原判決40頁12行目「2⑵のとおり、」を削除し、19行目冒頭から41頁3行目「説明しようとすれば、」までを次のとおり改める。 「 また、本件防犯カメラ映像等の客観的な証拠からすれば、被控訴人からの弁明等を経ずとも、本件事故の態様のひとつの可能性として、被害者車両の動静については、見切り地点を通過した後も、衝突地点までの約8から9m を進行するに当たって、本件防犯カメラ映像での動作と同様に、その速度を減速し方向指示器による合図が必要な動作を行い、それに少なくとも6秒程度(見切り地点の通過時の差は、上記のとおり、約5秒から約6秒である。)をかけたと考えることができる。他方で、被控訴人は、実況見分調書(甲5の3)では、別紙2の②地点で同㋐地点の被害者車両を認識し、同③地点で 被害者車両と衝突した り、約5秒から約6秒である。)をかけたと考えることができる。他方で、被控訴人は、実況見分調書(甲5の3)では、別紙2の②地点で同㋐地点の被害者車両を認識し、同③地点で 被害者車両と衝突したと説明したこととされ、各供述調書(乙3、4の1、7の1)では、前方を走行する被害者車両に追突したと供述したこととされている。そうすると、被控訴人のこの説明・供述を前提として、考え得る上記被害者車両の動静と整合的に説明しようとすれば、」⑻ 原判決42頁14行目と44頁16行目「前記2⑵イ・ウ」を「補正前の 原判決第3の2⑵イ・ウ(原判決36頁12行目冒頭から39頁26行目末尾まで。ただし、37頁19行目「(前記⑴ウ)」を削除する。)」にそれぞれ改める。 2 当審における当事者の補充主張について⑴ 事故態様に関する事実認定について 控訴人は、前記第2の3⑴控訴人の主張欄のとおり主張する。しかし、A の鑑定書を採用することができないのは、前記1⑹で判示するとおりであり、そうすると、第5ラインの走行であったとの仮定によって、同鑑定書が信用できるものとなるものではない。控訴人の上記主張は採用することができない。 ⑵ 本件各処分を無効とすることについて ア控訴人は、前記第2の3⑵控訴人の主張欄アのとおり主張する。 しかし、前記説示のとおり、そもそも本件各処分はその処分要件を欠くものであって、その取消しをすること(結果的に適法な行政処分をすること)については、被控訴人に帰責性があることが障害となるとは基本的に解されない(なお、最高裁判所第三小法廷判決昭和62年10月30日参 照)。このことに鑑みると、本件各処分を当然無効とする際に考慮すべき特段の事情の一つである被控訴人の帰責性については、 的に解されない(なお、最高裁判所第三小法廷判決昭和62年10月30日参 照)。このことに鑑みると、本件各処分を当然無効とする際に考慮すべき特段の事情の一つである被控訴人の帰責性については、慎重に判断すべきである。 そこで検討すると、被控訴人の意見聴取の機会における弁明がなくても、本件防犯カメラ映像等からすれば、本件処分庁において、被害者車両の動 静を想定し、本件被害者にも過失があったと考えることができるのは前記説示のとおりであり、本件事故は専ら当該違反行為をした者の不注意で発生したものとすることは認定できないのであるから、被控訴人が弁明の機会を放棄したことが本件各処分をすることの一つの考慮事情となったとしても、それをもって被控訴人に帰責性があるということはできない。 また、本件事故は極めて重大な結果を惹起したものであって、被控訴人は加害者として強い自責の念を抱いていたと推認され、このことと、福岡県警察本部運転免許管理課の意見聴取の日までに、複数回警察による取調べを受けて調書の作成に応じていたこと(甲7の1、乙3、4の1、7の1)を併せ考慮すると、上記意見聴取において改めて弁明をすることを放 棄したことについて、被控訴人に帰責性があるとは認められない。したが って、控訴人の上記主張は採用することができない。 イ控訴人は、前記第2の3⑵控訴人の主張欄イのとおり主張する。しかし、運転免許行政の安定とその円滑な運営が要請される一方で、本件各処分は第三者の保護を考量する必要がないものであることからすれば、本件各処分が無効といえるか判断するには、処分要件の根幹についての過誤がある ことの認定判示を前提として、原判決が指摘する特段の事情の有無を検討するのが相当である。したがって、控訴人の上記主張 本件各処分が無効といえるか判断するには、処分要件の根幹についての過誤があることの認定判示を前提として、原判決が指摘する特段の事情の有無を検討するのが相当である。したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。 3 結論 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がない。 福岡高等裁判所第1民事部 裁判長裁判官高瀬順久 裁判官野々垣隆樹 裁判官古川大吾

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