昭和22(れ)9 強盗傷人、住居侵入

裁判年月日・裁判所
昭和22年12月10日 最高裁判所第二小法廷 判決 棄却 広島高等裁判所
ファイル
hanrei-pdf-74643.txt
🤖 AI生成要約2026/3/13

【DRY-RUN】主    文      本件各上告を棄却する。          理    由 被告人A、B弁護人高橋武夫上告趣意書  原判決は本件事実に付被告人A同Bに対し住居侵入、強盗傷人の罪に問擬して居 るが、

タグ

キーワード(AI生成)

判決文本文4,357 文字)

主文 本件各上告を棄却する。 理由 被告人A、B弁護人高橋武夫上告趣意書原判決は本件事実に付被告人A同Bに対し住居侵入、強盗傷人の罪に問擬して居るが、住居侵入の点は異論なきも強盗傷人の点に付ては擬律錯誤の違法があると信ずる何となれば被害者Cが八畳の間のガラス障子のガラスの破片で右眼瞼部から鼻根部にかけて長さ約二糎、深さ筋組織に達する尖状裂傷等の傷害を受けたのは右被告人両名の所為に因つて生じたものではないCがD某の発射した拳銃の音に驚き(該拳銃の発射は偶々EがC家台所出入口の戸を開けて這入つて来たのに対しD某が逮捕を免れるため同人に向けて発射したもの)自分等も射たれるかも分らぬと思ひ慌てゝ八畳間の西側ガラス障子を自分の頭で自ら打ち割り後庭に飛出したのでそれに因つて招いたものであつて右被告人両名の所為によつて直接生じた傷ではない(原判決が証拠に引用したCに対する予審訊問調書、被告人Fに対する予審第二回訊問調書及び原審公判調書御参照)右被告人両名としては右傷害に付て故意が存しないのは勿論傷害の事実に付ての認識すらない。即ちCの該傷害は右被告人両名にとつては全く意外の出来事である。刑法第二百四十条に依ると「強盗人を傷したるときは云々」とあつて傷害を与ふる主体は強盗犯人それ自体であることは同条の文理解釈上極めて明白であるされば原審が右被告人両名を強盗傷人罪として刑法第二百四十条に問擬したのは擬律錯誤の違法があつて到底破毀を免れないと信ずると言うのであるが、およそ刑法第二百四十条前段に規定する罪は所定の傷人の結果につき行為者において認識がなくとも成立する。ところで、原判示事実における判示被害者Cの判示傷害の結果は判示D某の発砲行為を原因として発生したるものなること、原判決挙示の証拠によつて明かであるか 果につき行為者において認識がなくとも成立する。ところで、原判示事実における判示被害者Cの判示傷害の結果は判示D某の発砲行為を原因として発生したるものなること、原判決挙示の証拠によつて明かであるから、右D某の共犯者たる被告人等において- 1 -たとへ所論の如く右判示傷害について毫も認識する所がなかつたとしても、被告人等は前記法条所定の処罰に服さなければならない。それ故に、原判決が判示事実に対し所論の如く前記法条を適用して被告人等を処断したとて何等異とすべき筋合ではない。然らば原判決には擬律錯誤の違法ありとは言い得ないのであつて、論旨は理由がない。 被告人G弁護人丸茂忍上告趣意書第一点原判決は証拠によらずして事実を認定し審理不尽理由不備の違法あり破毀せられるものと信ずる。 (1) 原判決は「被告人(等)はD某及Hと共謀の上……」強盗傷人行為を為したる旨認定し而して証拠を挙示しあれども「被告人が……共謀し……」たる証拠は毫もあることなし即ち被告人は強盗行為をなしたることなきことは勿論強盗行為を共謀したこともないのである。 (2) 被告人には強盗の意思は毫もなかつたのである。 第一審相被告人Iの供述によれば「……Dは家族が少いから大丈夫判らぬ様に盗み出すことが出来る……」「AはCの家では金を壺の中に入れてゐる様なことを言つてゐました」相被告人Aの供述によれば「Cの家では金は壷の中にでも入れてゐるのだろうと冗談半分に言つたことはあります」Aとしては冗談半分かも知れないが被告人としてはAが有場所も知りその手引にて秘密の中に窃取する意思でC方に赴いたのである。此の被告人が窃盗をする意思に過ぎなかつたことは右供述と被告人の供述とを綜合して明瞭なところであるが被告人と強盗の意思があつた或は強盗を共謀した或は亦強盗行為を為したる証拠は遂に之を発見 たのである。此の被告人が窃盗をする意思に過ぎなかつたことは右供述と被告人の供述とを綜合して明瞭なところであるが被告人と強盗の意思があつた或は強盗を共謀した或は亦強盗行為を為したる証拠は遂に之を発見するを得ないのである。 (3) 被告人は単純に窃盗の意思を以てC方に入つた処がそこで目撃したのはD等の強盗行為である。被告人としては案に相違し忙然として何等一物を得ず逃げ出したのである。此の被告人に対して「D等と共謀の……」上として強盗を認定し- 2 -た原判決は証拠によらずして事実を認定し審理不尽理由不備の違法があり破毀ぜらるべきものと信ずるのであると言うのであるが、被告人が判示D某等と判示強盗を共謀したと言う判示事実は、原判決の挙示する証拠によつて優にこれを証明することができるのであつて、この点につき原判決はいささかも間然する所はない。原判決を目して或は審理不尽と云い、或は理由不備と言うが如きは、原判決を誣ゆるの譏を免れない。論旨は理由がない。同第二点原判決は法律の解釈適用を誤り擬律錯誤の違法があり破毀を免れないものと信ずる。 (1) 被告人Gは第一審相被告人F等の真意は知らず即ちC等に於ては強盗の意思ありたるやも知れざるも少くとも被告人Gに於ては単純なる窃盗の意思にて被害者宅に赴きたるものである。処が侵入して見れば自己の想ひと相違してそこにD等によりて暴行脅迫行為為され居るのを発見し恐怖何等為す所を知らず一物をも得ずして逃げたものである。 (2) 若し夫れ強盗罪が窃盗罪の加重犯であるならば被告人Gも窃盗に付いては共謀したのであるからD等が強盗罪乃至強盗傷人罪に問はれる以上被告人Gとしても当然その責を負うべきであらう。 而してフランス刑法に於ける様に加重罪と見る立法例もある訳であるが我が刑法上は強盗罪は独立罪である。即ち窃盗罪は単 強盗罪乃至強盗傷人罪に問はれる以上被告人Gとしても当然その責を負うべきであらう。 而してフランス刑法に於ける様に加重罪と見る立法例もある訳であるが我が刑法上は強盗罪は独立罪である。即ち窃盗罪は単純なる財物罪であるのに強盗罪は財物罪と自由に対する罪との併合したものである。されば窃盗の共謀ありとしてもその共謀者の一部に於て強盗の所為ありとするもそれを以て強盗の共謀ありとする事を得ないものである。 然るに被告人Gに強盗の共犯を認めその責を負はしめた原判決は法律の解釈適用を誤り擬律錯誤の違法あり破毀せらるべきものと信ずるのであると言うのであるが、原判決は証拠により被告人が判示D某等と判示強盗を共謀した事実を認定した上、判示事実に対し刑法二百四十条前段の規定を適用して被告人を処断したのであるか- 3 -ら原判決には毫も擬律錯誤の違法あるを見ない。所論は、被告人に窃盗の意思しかなかつたと言うが如き原判決に副わざる事実を根拠とする主張であるから、もとより適法な上告の理由とは為し難い。論旨は理由がない。 同第三点原判決は法律の解釈適用を誤り擬律錯誤の違法があつて破毀せらるべきものと信ずる。 (1) 記録上明なる如く被告人は窃盗の意思を以てC方に侵入したるところD等が為す暴行脅迫行為を目撃し恐怖何等為すところを知らず一物を得ずして逃げたその後に於てDが偶々入つて来たEに向け発砲したのでCが窓より出でんとして受けた傷を以て被告人を強盗傷人罪に問擬しているのである。 (2) 第一にDの発砲は被告人Gが既に窃盗の意思すら失つて逃げた後の行為に迄責任ありとしたるは因果関係ある行為を所罰するものたる刑法の原則を無視するものである。 (3) 第二にDの発砲はEに向けられたものでありCが仮りに恐怖狼狽して窓ガラスより逃避したとするも若し夫れCに向け発砲する程 は因果関係ある行為を所罰するものたる刑法の原則を無視するものである。 (3) 第二にDの発砲はEに向けられたものでありCが仮りに恐怖狼狽して窓ガラスより逃避したとするも若し夫れCに向け発砲する程ならばそれより以前に発砲せられるべきものであつてその時より何等特別な行動を取らないCに向けて発砲すべきことは考へられないのであるからDの発砲とCの恐怖狼狽との間には相当因果関係はないのであり従つて又Dの発砲とCが窓ガラスより出でんとして負傷したこととは相当因果関係はないのであるされば仮りに被告人Gが強盗に付いて共犯者として責を負ふべきとするも之に強盗傷人を以て問擬するのは法律の解釈適用を誤つたものであつて破毀せらるべきものと信ずるのであると言うのであるが、被告人が窃盗の意思であつたこと、並びに被告人が他の共犯者の強盗行為の実行中に判示現場を逃げさつたこと等の事実は原判決の認定しない所であるから、かかる事実を根拠とする所論はすべて採用することはできない。ところで、原判決の認定するところによれば、被告人は判示D某と判示強盗を共謀した上判示現場に於て判- 4 -示所為を分担実行したのであるから、判示被害者Cの蒙つた判示傷害が共犯者D某の発砲行為を原因とするものなること判示証拠によつて明かなる以上、被告人においても他の共犯者と共に刑法第二百四十条前段の処罰に服すべきこと、理のまさに然る所であつて、原判決が判示事実に対し判示法条を適用して被告人を処断したのは、まことに正当である。原判決には所論の如き擬律上違法の廉はない。論旨は理由がない。 同第四点原判決は擬律錯誤の違法あり破毀を免れざるものと信ずる。 (1)被告人Gは単純なる窃盗の意思を以て行動したるものたることは記録上明なる通りなりされば仮りに百歩を譲りてその行為がD等の強盗乃至強盗傷人行為の一 律錯誤の違法あり破毀を免れざるものと信ずる。 (1)被告人Gは単純なる窃盗の意思を以て行動したるものたることは記録上明なる通りなりされば仮りに百歩を譲りてその行為がD等の強盗乃至強盗傷人行為の一部を組成する結果を生じたるものとするも被告人Gに対しては刑法第三十八条第二項が適用されて然るべきものなり然かるに事茲に出でず強盗傷人罪を以て問擬し処罰したる原判決は破毀せられるべきものと信ずると言うのであるが、既に説明した如く被告人は判示D某等と判示強盗を共謀したのであるから、他の共犯者の加えた暴行の結果判示被害者Cに判示傷害を負わせた以上、被告人においても強盗傷人罪の刑責を免れることはできないのであつて、もとより刑法第三十八条第二項の規定を適用すべき余地はない。論旨は理由がない。 以上の理由により、刑事訴訟法第四百四十六条に則つて主文の如く判決する。 この判決は裁判官の全員一致の意見によるものである。 検察官宮本増蔵関与。 昭和二十二年十二月三日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官霜山精一裁判官栗山茂- 5 -裁判官小谷勝重裁判官藤田八郎- 6 -

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る