昭和24(控)1700 窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和25年2月9日 名古屋高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。          理    由  弁護人志貴三示の控訴趣意は別紙記載の通りであつて、之に対し当裁判所は次の 通り判断する。  控訴趣意の第三点について  

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判決文本文1,990 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 理由 弁護人志貴三示の控訴趣意は別紙記載の通りであつて、之に対し当裁判所は次の通り判断する。 控訴趣意の第三点について原審公判調書に依れば立会の検察官事務取扱検察事務官は所謂冐頭陳述を為すことなく直ちに証拠の取調べを求めたのに、訴訟関係人に於て何等の異議もなく、その請求に係る証拠の取調の決定があつて、取調が施行されたものであることは明らかである。故に刑事訴訟法第二百九十六条本文に違反して訴訟手続が進められたも<要旨第一>のであることは所論の通りである。然しながら検察官の所謂冐頭陳述が必要とされる所以は、新刑事訴訟法で</要旨第一>は裁判官は事件の詳細に通じないで法廷に臨むものであるから、先づ以て証拠調の冐頭に於て検察官より立証方針を明かにすることが爾後の手続の進行上必要とされたからである。従つて所謂冐頭陳述を為すことなくして即ち刑事訴訟法第二百九十六条本文の規定に違反して検察官が直ちに証拠の取調を求めたとしても、手続の進行上何等の支障なく、且つ被告人の防禦にも何等の影響のない場合には、その手続違背は判決に影響を及ぼさないものといわねばならない。今本件に於ては公訴事実は何れも窃盗として事案が複雑でなく而も公訴事実につき被告人は何等争わないのであつて、検察官が所謂冐頭陳述なくして直ちに証拠の取調べを請求したのに対し訴訟関係人に於て何等の異議もなく訴訟手続が進められているし又爾後の手続進行の経過から見て検察官の冐頭陳述がないけれどもその為めに手続進行上何等がの支障があつたとは認められない。而も右冐頭陳述のなかつた為めに被告人の防禦に不利益を来したと認められる廉は毫末もないのであるから、検察官の冐頭陳述のなかつたという訴訟手続上の違背は本件判決に影響を及ぼすものでな は認められない。而も右冐頭陳述のなかつた為めに被告人の防禦に不利益を来したと認められる廉は毫末もないのであるから、検察官の冐頭陳述のなかつたという訴訟手続上の違背は本件判決に影響を及ぼすものでないといわねばならない。 次に原審公判調書の記載に依れば原審公判立会検察官事務取扱検察事務官は最初の証拠調請求に当り被告人の自由を内容とする司法警察官作成の被告人の第一、二回供述調書につき、他の証と共に同時にその取調を請求して居り、之に対し被告人は証拠とすることに同意し且つ証拠調請求に異議はないと述べている。そこで右の如き証拠調の請求方法が刑事訴訟法第三百一条に達反するものであることは所論の通りであるが、元来本条は、何等の証拠の取調べもないのに、真先に被告人の自白を内容とする供述を取調べることにより、裁判官を<要旨第二>して予断を抱かしめることのないようにとの顧慮に出ずるものと解する。本件にあつては、検察官事務取扱は</要旨第二>A作成名義の盗難届謄本外五通の盗難届謄本に続いて検察事務官作成のBの供述調書、次に司法警察員作成の被告人の第一、二回供述調書を順次掲げて之等の書証の取調べを請求し、その順序に右書証の取調べがなされた事は第二回公判調書中の記載(記録第二十四丁)と本件記録中右各書証の編綴順序により容易に之を覗うことが出来る。故に右被告人の供述調書の取調は即ち他の証拠(前記盗難届謄本五通、Bの供述調書一通)が取調べられた後に行われたものであると認められるから結局刑事訴訟法第三百一条の目的とするところは害せられなかつたものというべく右の訴訟手続法の違背は之亦本件判決に影響を及ぼさないものといわねばならない。 尚お原審公判調書には検察官より請求に係る各証拠を取調べた後並に弁護人より請求に係る各証拠を取調べた後夫々裁判官は訴訟関係人に対し「反証 背は之亦本件判決に影響を及ぼさないものといわねばならない。 尚お原審公判調書には検察官より請求に係る各証拠を取調べた後並に弁護人より請求に係る各証拠を取調べた後夫々裁判官は訴訟関係人に対し「反証の取調の請求等により証拠の証明力を争うことが出来る旨を告げた」との記載があり、又第三回公判調書を精査するも弁護人が公判期日の続行を求めた旨の記載がない。故に原審訴訟手続には刑事訴訟法第三百八条刑事訴訟規則第二百四条に違反した廉はなく、又原審が被告人の立証を押付けて結審したという非難は全然当を得ない。 第三点を除くその余の控訴趣意について。 所論は要するに原審が被告人を懲役二年に処したのは量刑が不当であるというに帰する。然しながら本件訴訟記録に現われた諸般の事情を斟酌するに原判決の犯罪事実につき被告人に科した原審の刑は決して重過ぎるとは考えられない。論旨は理由がない。 以上本件控訴は理由がないから刑事訴訟法第三百九十六条に則り主文の通り判決する。 (裁判長裁判官杉浦重次裁判官若山資雄裁判官石塚誠一)

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