- 1 -令和5年2月28日判決言渡令和4年(ネ)第10056号特許権侵害損害賠償請求控訴事件(原審・東京地方裁判所令和2年(ワ)第29604号事件)口頭弁論終結日令和4年12月19日判決 控訴人・被控訴人(以下「一審原告」という。)株式会社DAPリアライズ 被控訴人・控訴人(以下「一審被告」という。)ソフトバンク株式会社 一審被告補助参加人シャープ株式会社 上記両名訴訟代理人弁護士生田哲郎同佐野辰巳主文 1 一審原告の控訴及び一審被告の控訴をいずれも棄却する。 2 控訴費用は各自の負担とする。 事実 及び理由第1 控訴の趣旨 1 一審原告⑴ 原判決中、一審原告敗訴部分を取り消す。 ⑵ 一審被告は、一審原告に対し、原審認容額に加えて、2294万2229 - 2 -円及びこれに対する令和2年12月5日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 一審被告⑴ 原判決中一審被告敗訴部分を取り消す。 ⑵ 前記取消しに係る部分について、一審原告の請求を棄却する。 第2 事案の概要等 1 事案の概要(以下において略称を用いるときは、別途定めるほか、原判決に同じ。)本件は、発明の名称を「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」とする登録番号第4555901号の 特許(本件特許)に係る特許権(本件特許権)の特許権者である一審原告が、被告製品が本件 信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」とする登録番号第4555901号の 特許(本件特許)に係る特許権(本件特許権)の特許権者である一審原告が、被告製品が本件発明の技術的範囲に属するものであると主張して、特許権侵害に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求として、22億4500万円のうち3000万円及びこれに対する不法行為又は利得後の日である令和2年12月5日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3パー セントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 原判決は、被告製品が本件発明の技術的範囲に属することを認め、最終的に、不当利得返還請求として、被告製品1、2を併せて705万7771円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却したところ、当事者双方が敗訴部分を不服として控訴を提起した。 2 「前提事実」、「争点」及び「争点に関する当事者の主張」は、原判決を以下のとおり補正し、後記3のとおり当審における当事者の補充主張を加えるほか、原判決の「事実及び理由」欄の第2の2及び3並びに第3に記載するとおりであるから、これを引用する。 原判決8頁4行目末尾の次に改行して「これに対し、一審被告補助参加 人は、審決取消訴訟を提起したところ(知的財産高等裁判所令和3年(行 - 3 -ケ)第10139号)、同裁判所は、令和4年12月19日、請求棄却の判決をした。」を加える。 原判決9頁5行目の「提起し」から6行目末尾までを「提起したところ、東京地方裁判所は、令和4年6月30日、一審被告補助参加人に対し、実施料相当額819万9458円の支払等を命じる判決(未確定)をした。」と 改める。 3 当審における当事者の補充主張⑴ 争 東京地方裁判所は、令和4年6月30日、一審被告補助参加人に対し、実施料相当額819万9458円の支払等を命じる判決(未確定)をした。」と 改める。 3 当審における当事者の補充主張⑴ 争点2-1(乙1発明による新規性又は進歩性の欠如)のうち、訂正の再抗弁に関し、被告製品2が本件訂正発明の技術的範囲に属するか否かについて ア一審被告の主張構成要件G’構成要件G’は「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像」を受信し、処理し、表示する機能を有するというものである。 これに対し、被告製品2はモバイルプロセッサ内で画像データを間引きして内蔵ディスプレイパネル用の表示用データを生成し、これを補間して、内蔵ディスプレイパネルより大きい画面解像度を有する外部ディスプレイ用の表示データを生成している。そのため、外部ディスプレイには、画質の粗い拡大画像が全画面に表示されることにしかならない。 したがって、被告製品2は、本来解像度の画像を表示する機能を有さないから、構成要件G’の「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有していない。 構成要件H’本件訂正では、構成要件Hに「前記携帯情報通信装置が前記高解像度 画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」との限定が追加された。 - 4 -また、本件訂正は、テレビ用受信アンテナでテレビ放送を受信した場合が訂正の根拠とされている。 これに対して、被告製品2は、テレビ放送では画面解像度が内部ディスプレイの解像度よりも大きい解像度のものを受信することはできない。 したがって、被告製品2では、本件訂正の根拠とされたテレビ放送 の受信では、「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合」が存在しないから、構成要件H’ のものを受信することはできない。 したがって、被告製品2では、本件訂正の根拠とされたテレビ放送 の受信では、「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合」が存在しないから、構成要件H’の「前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」の要件を充たさない。 イ一審原告の主張 構成要件G’被告製品2はスマートフォンであり、インターネットに接続してウェブサーバーにアクセスし、ウェブサーバーから本来解像度が内蔵ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データを読み出し、これを処理して、内蔵ディスプレイパネル又は外部表示装置に表示する ことができるのであるから、構成要件G’を充足する。 構成要件H’本件訂正発明において、「「本来解像度が付属ディスプレイの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号」には、テレビ放送信号だけではなく、インターネットプロトコルに準拠した電波信号 も含まれるのであるから、本件訂正の際、テレビ放送受信アンテナでテレビ放送を受信した場合が訂正の根拠とされているからといって、本件訂正発明において、「高解像度画像受信・処理・表示機能を受信する場合」が「テレビ放送を受信した場合」に限定される理由はなく、一審被告の主張は前提を欠くものである。 ⑵ 争点2-1(乙1発明による新規性又は進歩性の欠如)のうち、訂正の - 5 -再抗弁に関し、本件訂正による無効理由の解消の成否についてア一審被告の主張原判決は、当業者が、乙1発明及び周知技術に基づき、相違点④を容易に想到し得たといえない旨判断した。 しかし、乙1公報の【0103】及び【0083】の記載から、乙1 発明において、「無線通信手 原判決は、当業者が、乙1発明及び周知技術に基づき、相違点④を容易に想到し得たといえない旨判断した。 しかし、乙1公報の【0103】及び【0083】の記載から、乙1 発明において、「無線通信手段」を設け、「無線通信手段」で受信した「画像データ」を処理して画像を表示するように構成することは、当業者が容易に想到し得たことであり、「画像データ」として【0005】ないし【0007】で示唆されている「より広い画面表示サイズを有効に利用する」ことができる画像データ、すなわち「内蔵した表示デバイスの解像 度よりも高解像度の画像データ」を選択することは当業者が容易になし得たことである。 また、内蔵した表示デバイスの解像度よりも高解像度の画像データを外部表示装置に表示させるという課題及び解決手段は、本件特許の優先日当時、特開2001―197167号公報(乙17。以下「乙17文献」 という。)、特開2003-108472号公報(乙18。以下「乙18文献」という。)、特開2002-116843号公報(乙19。以下「乙19文献」という。)及び特開2001-352373号公報(乙20。以下「乙20文献」という。)により周知技術であったから、相違点④は当該周知技術に基づいて当業者が容易に想到できたものである。 イ一審原告の主張仮に、一審被告の主張するとおり、乙1発明において画像データとして「内蔵した表示デバイスの解像度よりも高解像度の画像データ」を選択することは当業者が容易になし得たことであり、内蔵した表示デバイスの解像度よりも高解像度の画像データを外部表示装置に表示させるという課題 及び解決手段は、本件特許の優先日当時の周知技術だったとしても、一審 - 6 -被告は相違点④に係る他の構成を主張立証しな よりも高解像度の画像データを外部表示装置に表示させるという課題 及び解決手段は、本件特許の優先日当時の周知技術だったとしても、一審 - 6 -被告は相違点④に係る他の構成を主張立証しないのであるから、失当である。 争点2-2(乙5発明による進歩性の欠如)のうち、訂正の再抗弁に関し、本件訂正による無効理由の解消の成否についてア一審被告の主張 原判決は、本件訂正発明と乙5発明には相違点⑧があると認定した上で、本件訂正発明と副引用例である乙1発明との間には、本件訂正発明と乙5発明との相違点⑧に対応する相違点④が認められるから、仮に、乙5発明に乙1発明を適用し得たとしても、相違点⑧に至るといえない旨判断した。 しかし、乙5公報には「本体の携帯性を考慮して表示部の設置面積を 大きくとれないため、表示内容の視認性や臨場感が乏しい上、ユーザの視力低下を招くおそれがあった。また、携帯電話機での閲覧が意図されていないWebコンテンツについては、正常に表示することすらできなかった。」(【0005】)という課題を解決するために「入力された情報を外部表示装置で読取可能な画像信号形式に変換して出力する画像 出力部を有して成り、前記外部表示装置への情報出力を行う構成としている」(【0008】)という手段を採ることが記載されている。そのため、乙5発明を、「携帯電話機の内蔵ディスプレイ装置の画面解像度より大きい画像データを含むコンテンツ」を外部表示装置に情報出力する場合に適用することは当業者が容易に想到できたことである。 また、前記⑵アのとおり、乙17文献ないし乙20文献により本件特許の優先日当時、内蔵した表示デバイスの解像度よりも高解像度の画像データを外部表示機器に表示させるという課題及 たことである。 また、前記⑵アのとおり、乙17文献ないし乙20文献により本件特許の優先日当時、内蔵した表示デバイスの解像度よりも高解像度の画像データを外部表示機器に表示させるという課題及び手段は周知であった。 以上のことから、本件訂正発明と乙5発明の相違点⑧は当業者が容易に想到できたものであり、本件発明は特許無効審判により無効とされるべ きものである。 - 7 -イ一審原告の主張仮に、一審被告の主張するとおり、「携帯電話機の内蔵ディスプレイ装置の画面解像度より大きい画像データを含むコンテンツ」を外部表示装置に情報出力する場合に適用することを容易に想到することができ、内蔵した表示デバイスの解像度よりも高解像度の画像データを外部表示装置に表 示させるという課題及び解決手段が、本件特許の優先日当時の周知技術だったとしても、一審被告は相違点⑧に係る他の構成を主張立証しないから、上記主張は失当である。 争点3-1(一審原告に生じた損害又は損失)についてア一審原告の主張 実施料算定の基礎となる売上高について原判決は、本件契約において被告製品に使用される特許については一審被告補助参加人の製造販売の段階で実施料が負担され、一審被告の販売の段階で実施料が支払われることは想定されていなかったことを理由として、実施料算定の基礎となる売上高を、一審被告補助参加人 の売上高としているが、本件契約の内容がそのようなものであったとしても、一審被告と一審被告補助参加人の間の内部事情にすぎないから、実施料算定の基礎となる売上高は、一審被告の売上高とすべきである。 業界における実施料等の相場について a 原判決は、スマートフ 参加人の間の内部事情にすぎないから、実施料算定の基礎となる売上高は、一審被告の売上高とすべきである。 業界における実施料等の相場について a 原判決は、スマートフォンのように多数の特許が関連する分野では、クロスライセンスによる場合に限らず、特許1件当たりで計算した実施料率が0.01%を下回ることも通常である旨判示し、甲第26号証(「知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書」。以下「甲26報告書」という。)の記載を指摘す るが、同報告書79頁は、デバイスに関して、クロスライセンスの方 - 8 -式による場合において、相場が1%未満であることを示すにすぎない。 また、相場が1%未満であるということは、せいぜい0.数%を意味するはずである。 b 原判決は、一審被告補助参加人と、被告製品の製造、販売に関連する10社との間のライセンス契約について、標準必須特許のライ センスを含めず、パテントファミリー単位で1件当たりのライセンス料率を算定するという一審被告補助参加人従業員の陳述書(乙14。以下「乙14陳述書」という。)を基礎として、特許発明の実施に対し受けるべき料率を算定した。 しかし、ライセンス契約によって算定をするとしても、甲26報 告書によれば、互いに「代表特許」を出し合って交渉が行われるのであるから、ライセンス料は、主として「代表特許」の価値によって決まるので、乙14陳述書の計算における標準必須特許を除く「全ての特許の件数で除した1件当たりのライセンス料率」は不当にディスカウントされたものである。 c さらに、乙14陳述書には、実施料率の算定に関連して、ランニング方式であるC社とのライセンス契約について記載されているとこ のライセンス料率」は不当にディスカウントされたものである。 c さらに、乙14陳述書には、実施料率の算定に関連して、ランニング方式であるC社とのライセンス契約について記載されているところ、一時金方式に比べ料率が高くなるランニング方式によっているC社との契約内容は、あるべき実施料率の算定において重要である。 また、乙14陳述書において一審被告補助参加人がクロスライセンス契約を締結した外国企業が保有する「特許」の数は、これらの企業がライセンス契約時に保有していた日本特許の数より多く(甲46ないし50)、多数の外国特許も含まれていると推認されることから、国内特許1件当たりの料率を算定する資料としては問題が大きい。 このようなことから、一審原告は、これらのライセンス契約の内容 - 9 -を明らかにするために、同契約書につき文書提出命令の申立てを行ったのに対し、一審被告は、これらのライセンス契約の実施料率は本件における要証事実ではないとして提出を拒んでいるのであるから、結局、乙14陳述書には証拠価値がないというべきである。 他のものによる代替可能性について 被告製品が発売された時期には、本件訂正発明によらずに、本件訂正発明の効果を奏することは経済的に現実的ではなかった。 イ一審被告の主張争う。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も、一審原告の請求は、原判決が認容した限度で理由があるものと判断する。 その理由は、後記2のとおり原判決の補正をし、後記3のとおり当審における当事者の補充主張に対する判断を付加するほか、原判決の第4の説示のとおりであるから、これを引用する。 2 原判決の補正⑴ 原判決59頁17行目の「次のとおり」の次 おり当審における当事者の補充主張に対する判断を付加するほか、原判決の第4の説示のとおりであるから、これを引用する。 2 原判決の補正⑴ 原判決59頁17行目の「次のとおり」の次に「及び別紙本件明細書等(抜粋)のとおり」を加える。 ⑵ 原判決91頁5行目の「付属」から9行目末尾までを、「携帯情報通信装置において、付属ディスプレイに係る「ディスプレイ制御手段」(構成要件 E)のためと、外部ディスプレイに係る「インターフェース手段」(構成要件F)のための両機能それぞれに専用のVRAMがあるのではなく、1つのVRAMが存在することと、これにより両機能において共に前記1つのVRAMからのビットマップデータの読出しを行うことを意味すると解釈できる。」と改める。 ⑶ 原判決91頁22行目の「すぎず、」から24行目末尾までを「すぎな - 10 -い。」と改める。 ⑷ 原判決92頁19行目から20行目の「これとは物理的に別個の部品からなるVRAMを備えないことは、」を「付属ディスプレイに係る「ディスプレイ制御手段」のためと、外部ディスプレイに係る「インターフェース手段」のための両機能それぞれに専用のVRAMがあるのではないこと は、」と改める。 ⑸ 原判決93頁1行目から2行目の「物理的に別個の部品とまでいうことはできないから、」を「付属ディスプレイに係る「ディスプレイ制御手段」のためと、外部ディスプレイに係る「インターフェース手段」のための両機能それぞれに専用のVRAMがあるとはいえないから、」と改める。 ⑹ 原判決93頁7行目の「物理的に」から9行目の「ないから、」までを「付属ディスプレイに係る「ディスプレイ制御手段」のためと、外部ディスプレイに係る「インターフェース手段」のための る。 ⑹ 原判決93頁7行目の「物理的に」から9行目の「ないから、」までを「付属ディスプレイに係る「ディスプレイ制御手段」のためと、外部ディスプレイに係る「インターフェース手段」のための両機能それぞれに専用のVRAMがあるとはいえないから、」と改める。 ⑺ 原判決111頁11行目の「乙5発明」を「乙1発明」と改める。 ⑻ 原判決127頁20行目冒頭から128頁1行目末尾までを次のとおり改める。 「本件発明における「単一のVRAM」とは、携帯情報通信装置において、付属ディスプレイに係る「ディスプレイ制御手段」のためと、外部ディスプレイに係る「インターフェース手段」のための両機能それぞれに専用の VRAMがあるのではなく、1つのVRAMが存在することと、これにより両機能において共に前記1つのVRAMからのビットマップデータの読出しを行うことを意味すると解釈できることは前記3エにおいて説示したとおりである。 そして、本件明細書等においては、第1の実施形態を示す図1、第2の実 施形態を示す図6、第3の実施形態を示す図8には、それぞれVRAMと - 11 -してVRAM1(10C)のみが記載され、第1の実施形態に関する【0117】、【0123】、第3の実施形態に関する【0153】には、上記「単一のVRAM」に関する事項が記載されている。」⑼ 原判決127頁26行目の「物理的に」を削る。 ⑽ 原判決128頁17行目冒頭から23行目末尾までを次のとおり改める。 「しかし、本件明細書等も参酌すれば、「単一のVRAM」が、付属ディスプレイに係る「ディスプレイ制御手段」のためと、外部ディスプレイに係る「インターフェース手段」のための両機能において1つのVRAMによってされることを意味する れば、「単一のVRAM」が、付属ディスプレイに係る「ディスプレイ制御手段」のためと、外部ディスプレイに係る「インターフェース手段」のための両機能において1つのVRAMによってされることを意味すると理解できることは前記3エにおいて説示したとおりであって、本件訂正発明の特許請求の範囲の記載は明確である。」 ⑾ 原判決150頁末尾に頁を改めて、本判決別紙のとおり加える。 3 当審における当事者の補充主張に対する判断⑴ 争点2-1(乙1発明による新規性又は進歩性の欠如)のうち、訂正の再抗弁に関し、被告製品2が本件訂正発明の技術的範囲に属するか否かについて ア構成要件G’一審被告は、前記第2の3⑴アのとおり、被告製品2は、本来解像度の画像を表示する機能を有さないから、構成要件G’の「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有しない旨主張する。 しかし、本件訂正発明は、構成要件Jにあるように、「前記外部ディス プレイ手段に、「前記ディスプレイバネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした」ものであり、必ずしも、本来解像度の画像を表示する機能を有するものではない。被告製品2はモバイルプロセッサ内で画像データを間引きして内蔵ディスプレイパネル用の表示用データを生成し、これを補間して、内蔵ディスプレイパネルより大きい 画面解像度を有する外部ディスプレイ用の表示データを生成しているので - 12 -あるから、高解像度画面を表示する機能を有する。したがって、一審被告の主張は採用できない。 イ構成要件H’一審被告は、前記第2の3⑴アのとおり、被告製品2では、本件訂正の根拠とされたテレビ放送の受信の場合には、「高解像度画像受信・ 処理・表示機能を実現する場合」が存在しないか イ構成要件H’一審被告は、前記第2の3⑴アのとおり、被告製品2では、本件訂正の根拠とされたテレビ放送の受信の場合には、「高解像度画像受信・ 処理・表示機能を実現する場合」が存在しないから、構成要件H’の「前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」の要件を充たさない旨主張する。 しかし、「高解像度画像受信・処理・表示機能」が、テレビ用受信アンテナでテレビ放送を受信した場合に限る旨の特定は、本件訂正発明に はない。また、引用に係る原判決第4の6⑵アにおける説示のとおり、本件訂正発明の「無線通信手段」は、本件明細書の、テレビ受信用アンテナ、テレビチューナ、AD/DA変換部、通信用アンテナ、RF送受信部、ベースバンドプロセッサを合わせたものと考えることができる。 そうすると、被告製品2は、内蔵ディスプレイパネル用の表示用データ を補間して、これより大きい画面解像度の外部ディスプレイ用の表示データを生成しているのであるから、「前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイバネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした」との事項を充足するものである。 争点2-1(乙1発明による新規性又は進歩性の欠如)のうち、訂正の 再抗弁に関し、本件訂正による無効理由の解消の成否について一審被告は、前記の第2の3アのとおり、相違点④は、乙1公報の【0005】ないし【0007】における示唆及び優先日当時の周知技術(乙17文献ないし乙20文献)に基づいて当業者が容易に想到できた旨主張する。 確かに、乙17文献ないし乙20文献によれば、携帯電話機において、 - 13 -携帯電話機のディスプレイによりそのままでは表示できないデータを外部の表示装置に表示する 旨主張する。 確かに、乙17文献ないし乙20文献によれば、携帯電話機において、 - 13 -携帯電話機のディスプレイによりそのままでは表示できないデータを外部の表示装置に表示する技術は、周知技術であるといえる。 しかし、乙1公報には、プログラムやデータの解像度に関する記載は一切なく、乙1発明の「画像データ」が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」であることについて、何らの開 示や示唆もない。 また、上記認定の周知技術も、携帯電話機において、携帯電話機のディスプレイによりそのままでは表示できないデータを外部の表示装置に表示する技術を開示するのにとどまり、「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信すると の点や、携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、グラフィックコントローラが、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機 能を実現するとの点まで具体的に示唆するものではないから、当該周知技術を加味しても、当業者が相違点④に係る構成を容易に想到できたとはいえない。 ⑶ 争点2-2(乙5発明による進歩性の欠如)のうち、訂正の再抗弁に関し、本件訂正による無効理由の解消の成否について 一審被告は、前記第2の3⑷アのとおり、相違点⑧は、乙5公報の【0005】及び【0008】の記載並びに優先日当時の周知技術(乙17文献ないし乙20文献)に基づいて、当業者が容易に想到できた旨主張する。 しかし、乙5公報には「携帯 おり、相違点⑧は、乙5公報の【0005】及び【0008】の記載並びに優先日当時の周知技術(乙17文献ないし乙20文献)に基づいて、当業者が容易に想到できた旨主張する。 しかし、乙5公報には「携帯電話機の内蔵ディスプレイ装置の画面解像度より大きい画像データを含むコンテンツ」を受信することや、これを基 に、表示部12及び外部表示装置2に画像を表示するための信号を生成す - 14 -ることについては何ら記載されていない。 また、乙17文献ないし乙20文献により認定される周知技術は、前記において判示したとおり、「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信するとの点や、グラフィックコントローラは、携帯情報通信装置が前記高解像度画像受 信・処理・表示機能を実現する場合に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能を実現するとの点まで具体的に示唆するものではないから、当該周知技術を加 味しても、当業者が相違点⑧に係る構成を容易に想到できたとはいえない。 ⑷ 争点3-1(一審原告に生じた損害又は損失)についてア実施料算定の基礎となる売上高について一審原告は、前記第2の3⑷アのとおり、原判決が、実施料算定の基礎とする売上高を、一審被告でなく一審被告補助参加人のものとした ことを不当である旨主張する。 しかし、引用に係る原判決第4の11⑵ア及びイにおける説示のとおり、本件契約において、一審被告補助参加人は、被告製品の製造販売のために必要な特許ライセンスを取得しており、一審 当である旨主張する。 しかし、引用に係る原判決第4の11⑵ア及びイにおける説示のとおり、本件契約において、一審被告補助参加人は、被告製品の製造販売のために必要な特許ライセンスを取得しており、一審被告が第三者からその権利を侵害するものとして訴えが提起された場合には、一審被告補助 参加人の責任と費用で第三者との紛争を解決することとされていたこと、そのため、被告製品に使用される特許については、一審被告補助参加人の製造販売の段階で実施料が負担され、一審被告の販売の段階で実施料が支払われることは想定されていなかったこと、一審原告の主張する一審被告の一般消費者に対する販売台数及び売上高の数値については、こ れを認めるに足りる証拠はないこと(一審原告の主張する上記販売台数 - 15 -は、一審被告補助参加人の一審被告への販売数が全て一般消費者に販売されたことを前提とするものであり、採用できない。)等の諸事情が本件には存在しており、このような具体的事実関係の下では、被告製品が販売されたことによって一審原告が本来受領できたはずの実施料相当額を算出するために、一審被告補助参加人の売上高を基礎とすることにも 相応の理由があるというべきであるから、原判決の判断に誤りがあるとはいえない。 イ業界における実施料等の相場について一審原告は、前記第2の3⑷アaのとおり、甲26報告書の79頁は、デバイスに関して、クロスライセンスの方式による場合において、 実施料率の相場が1%未満すなわち0.数%であることを示すにすぎないから、原判決のこの点に係る認定には誤りがある旨主張する。 しかし、甲26報告書の79頁によれば、デバイス等においては、製品が数百ないし数千の要素技術で成り立っていること、互いの代表特許をライセンスし合い のこの点に係る認定には誤りがある旨主張する。 しかし、甲26報告書の79頁によれば、デバイス等においては、製品が数百ないし数千の要素技術で成り立っていること、互いの代表特許をライセンスし合い、実施料率の相場は1%未満であることといっ た一般的な事情が認められところ、これに加えて、引用に係る原判決第4の11⑶イ及びのとおり、一審被告が被告製品の製造販売のためにした複数のライセンス契約におけるアプリ特許(標準必須特許以外の特許)に係るパテントファミリー1件当たりのライセンス料率は平均●●●●●●●%であり、これを画像処理に関連する発明に限 定すると1件当たりのライセンス料率は、平均●●●●●●●●%となること等、本件特有の事情も考慮すれば、原判決の相当実施料率の認定に誤りがあるとはいえない。 一審原告は、前記第2の3⑷アbのとおり、ライセンス料は、主として「代表特許」の価値によって決まるので、乙14陳述書の計算 における標準必須特許を除く「全ての特許の件数で除した1件当たり - 16 -のライセンス料率」は不当にディスカウントされたものである旨主張する。 しかし、乙14陳述書は、代表特許(甲26の79頁にいう「相互の代表的な特許」)ではなく、標準必須特許(携帯電話事業分野の標準規格の実施に不可欠な特許)と、アプリ特許(通信規格に適合する ために不可欠とはいえない特許)を分けて扱っているのであり、それ自体は合理的なことであって、このような方式を採ることが不当なディスカウントに当たるともいえないから、一審原告の主張は採用できない。 一審原告は、前記第2の3⑷アcのとおり、乙14陳述書におけ る実施料相当額の算定には信用性がない旨主張する。 しかし、仮にそのような不明点が から、一審原告の主張は採用できない。 一審原告は、前記第2の3⑷アcのとおり、乙14陳述書におけ る実施料相当額の算定には信用性がない旨主張する。 しかし、仮にそのような不明点があるとしても、乙14陳述書は、具体的な数値自体に意味があるというよりは、一つの算出手法を示したものと理解すべきであるから、個々のライセンス契約の内容自体を吟味する必要があるものとは解し得ないし、優先権主張を伴う出願や 分割出願制度等を利用した出願を全てまとめて1パテントファミリーとして、パテントファミリー当たりのライセンス料率を算定するなど、1件当たりのライセンス料率が過少にならない工夫をしていること等に鑑みると、その信用性が否定されるべきものとはいえない上、そもそも原判決は、乙14陳述書における料率をそのまま採用しているの ではなく、その他の各種事情を総合勘案した上で、料率を決定しているのであるから、一審原告の主張は採用できない。 ウ代替品の不存在について一審原告は、前記第2の3⑷アのとおり、本件訂正発明によらずに、本件訂正発明の効果を奏することは経済的に現実的ではなかった旨主張 する。 - 17 -しかし、引用に係る原判決第4の11⑶イ及びエ等における説示のとおり、スマートフォンにおいて比較的大きなディスプレイを搭載した上、液晶パネルの画素数を高精細化してHDTV対応するなどの方法も検討されていたところであるし、その他の各種事情を総合考慮すると、そもそもこの点のみをもって本件結論が左右するとはいい難いから、一審原 告の上記主張は採用できない。 ⑸ その他一審原告は、不法行為に基づく損害賠償請求権に係る消滅時効の抗弁が成立しないことにつき、更に主張するが、そもそも、原審においては、不法行 ら、一審原 告の上記主張は採用できない。 ⑸ その他一審原告は、不法行為に基づく損害賠償請求権に係る消滅時効の抗弁が成立しないことにつき、更に主張するが、そもそも、原審においては、不法行為に基づく損害額と不当利得に基づく損失額が同額となる(遅延損害金につ いても同額となる)ことを認定した上で、不当利得に基づく利得金返還請求を認容しているのであるから、不法行為に基づく損害賠償請求権に係る消滅時効の抗弁について判断する必要はなかったというべきであり、この点については、前示のとおりの判断に照らせば、当審においても同様である。したがって、一審原告のこの点に係る主張は、当を得ないというほかない。 また、一審被告は、「本来解像度」の用語の意義について、本件明細書等【0032】に「「本来解像度」とは「本来画像」の解像度を意味する。」と定義されているので、「本来画像」の意義が問題となるところ、「本来画像」の用語の意義、内容は不明確であるから、本件特許明細書には、構成要件G’における「本来解像度」の意義を理解するための記載がなく、サポー ト要件に反する旨、当審において新たに主張するが、本件明細書等の「本来画像」及び「本来解像度」に関する関係記載(【0006】、【0032】、【0079】、【0115】、【0118】、【0119】、【0124】ないし【0126】、【0128】ないし【0130】等)を総合すれば、当業者は、「本来画像」及び「本来解像度」が何を意味するかにつき十分に 理解できるというべきであるから、本件訂正発明は本件明細書等の発明の詳 - 18 -細な説明に記載したものといえる。 その他にも、両当事者はるる主張するが、いずれも本件結論を左右し得ない。 第4 結論以上によれば、一審原告の請 件明細書等の発明の詳 - 18 -細な説明に記載したものといえる。 その他にも、両当事者はるる主張するが、いずれも本件結論を左右し得ない。 第4 結論以上によれば、一審原告の請求は、不当利得返還請求権に基づき705万7 771円及びこれに対する令和2年12月5日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり、その余は理由がないから棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であり、一審原告及び一審被告の控訴はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 菅野雅之 裁判官本吉弘行 裁判官岡山忠広 - 19 -(別紙)(別紙)本件明細書等(抜粋)【0079】このうち特に第2の発明によれば、携帯情報通信装置のインターフェース手段A 1に、高解像度外部表示信号の本来解像度を水平方向でも垂直方向でも下回らない画面解像度を有する外部ディスプレイ手段を含む周辺装置を接続することにより、該外部ディスプレイ手段に水平画素数と垂直画素数の比率が5:4から16:9までの範囲にあるような高解像度の全画面画像を表示することができる。この際、外部ディスプレイ手段の画面解像度 することにより、該外部ディスプレイ手段に水平画素数と垂直画素数の比率が5:4から16:9までの範囲にあるような高解像度の全画面画像を表示することができる。この際、外部ディスプレイ手段の画面解像度が高解像度外部表示信号の本来解像度より大きい 場合には、画面の中央部分、又は四隅のいずれかに偏った部分だけが表示領域となって、それ以外の部分は非表示領域となることがあるが、外部ディスプレイ手段の画面解像度が高解像度外部表示信号の本来解像度と等しい場合には、高解像度画像を外部ディスプレイ手段の画面全体にわたって(非表示領域を生じることなく)表示される。また、外部ディスプレイ手段として、マルチスキャン機能を有し、画面 解像度が外部表示信号の本来解像度より大きい高性能外部ディスプレイ手段を使用する場合にも、高解像度画像が外部ディスプレイ手段の画面全体にわたって表示される。 例えば、付属ディスプレイパネルの画面解像度がQVGAサイズであり、本来解像度がXGAサイズ(水平画素数:垂直画素数=4:3)であるような高解像度外 部表示信号を送信する機能が実現される携帯情報通信装置においては、該携帯情報通信装置のインターフェース手段A1に、マルチスキャン機能を有し画面解像度が例えばSXGA(SuperXGA) サイズ(水平画素数×垂直画素数=1280×1024画素)であるような高性能外部ディスプレイ手段を含む周辺装置、及び/又は、外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続することにより、付属 ディスプレイパネルの画面解像度(QVGAサイズ)より解像度の大きいXGAサ - 20 -イズの画像を、該高性能外部ディスプレイ手段の画面全体にわたって(非表示領域を生じることなく)表示することができる。 【0153】その際、中 ズ)より解像度の大きいXGAサ - 20 -イズの画像を、該高性能外部ディスプレイ手段の画面全体にわたって(非表示領域を生じることなく)表示することができる。 【0153】その際、中央演算回路1_10A1は、外部入出力ユニット4が接続していることを検知する接続検知信号に基づき、グラフィックコントローラ1_10Bに対し て、生成したビットマップデータを、LCDドライバ15BとTMDSトランスミッタ13Aのいずれかに送信することを命じる送信命令も合わせて送信する。 これに基づき、グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から受信した描画命令に基づき、仮想画面におけるビットマップデータを生成しVRAM1_10Cに書き込むとともに、LCDパネル15Aの画面解像度又は 外部入出力ユニット4における外部LCDタッチパネル456の画面解像度に対応する部分をVRAM1_10Cから切り出し、それぞれLCDドライバ15B又はTMDSトランスミッタ13Aに送信する。そして、このビットマップデータを必要なインターフェースを介して受信することにより、携帯電話機1のLCDパネル15A又は外部入出力ユニット4の外部LCDタッチパネル456に、自らの現在 位置が中心部に示された地図画像に、必要に応じて画面の上部・下部に表示されるメニュー表示等を組み合わせた全画面画像が表示される。 - 21 -【図6】 - 22 -【図8】 申し訳ありませんが、提供されたテキストには整形すべき内容が含まれていないため、整形を行うことができません。別のテキストを提供していただければ、整形を行います。
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