平成14(ワ)172 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成17年11月29日 岐阜地方裁判所 多治見支部
ファイル
hanrei-pdf-7838.txt

判決文本文68,264 文字)

主文 1 被告Aは原告に対し,70万円及びこれに対する平成14年12月10日から支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告の被告Aに対するその余の請求及び被告Bに対する請求を棄却する。 3 訴訟費用は,被告Aに生じた費用の5分の4と被告Bに生じた費用の全部を原告の負担とし,その余を各自の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは原告に対し,連帯して550万円及び,これに対する,(a)被告Aが平成14年12月10日から,(b)被告Bが同月7日から各支払済まで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,下記1(3)の原告の少年事件に関する検察官及び警察官の捜査等につき,原告が後示2(1)①ないし③の不法行為を主張して,被告らに国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を請求する事案である(以下平成11年中の日にちは,単に月日のみで表示する。また,甲号証と同内容の乙,丙号証は,原則的に摘示を省略する)。 1 争いのない事実及び証拠により容易に認められる事実(1) 当事者及び関係者等① 原告(昭和56年8月23日生)は,C中学を卒業後,後示(2)ないし(5)当時,D高校の3年生だった者である。原告は,小学校以来下記⑥のEクラブに入っていた経験があり,クラブ内では「F」のあだ名で呼ばれていた(クラブ経験につき甲71)。 ② Gは,後示(2)(3)(4)当時,岐阜地方検察庁H支部の副検事だった。 ③ 後示(2)(3)(4)当時,IとJは,いずれも岐阜県警K警察署の警部補であり(以下一括して本件警察官らという),Lは,同署の巡査部長だった。 ④ M(昭和59年3月25日生)は,N中学を卒業後,後示(2)ないし(5)当時,O高校の1年生だった者である。Mは,8月末頃下記 (以下一括して本件警察官らという),Lは,同署の巡査部長だった。 ④ M(昭和59年3月25日生)は,N中学を卒業後,後示(2)ないし(5)当時,O高校の1年生だった者である。Mは,8月末頃下記⑥のEクラブに入会し,クラブ内では「P」のあだ名で呼ばれていた(上記及び前示①のあだ名につき甲59,60,70,130)。 ⑤ Qは,N中学を卒業後,後示(2)(3)当時,会社勤めをしていた者であり,同中学ではMの1年先輩だった。 ⑥ R協議会(通称Eクラブ。以下本件クラブという)は,子供会活動の援助等のボランティア活動を行なっている団体であり,瑞浪市a町b番地のc公園区民会館2階に,クラブ室があった(以下それぞれ本件会館,本件クラブ室という)。 ⑦ S,T,U,V,W及びXは,後示(2)(3)当時,本件クラブに入会していた高校生らであり,Sは,Yジュニアリーダーの会長だった。また,Tは,N中学でMと同級生であり,Uは,MやQ,Tと友人だった(甲48,49,69)。 (2) Mの捜査機関に対する供述等(ただし,下記②の供述の真偽及び,12月15日前にMが下記(5)と同趣旨の供述をしていたかなどにつき争いがある)① Mは,11月8日,ナイフ(以下本件ナイフという)を使ってQから3000円を強取する強盗事件(以下別件事件ないし別件犯行という)を起こし,11月29日逮捕された。 ② 同事件の捜査中,Mは,12月1日から15日にかけて別紙調書等目録記載のとおり,原告に現金3000円を喝取され,更に金員を恐喝されそうになった旨を供述をした(ただし,同目録4,5は,岐阜県K警察署長宛の被害届,上申書で,同8は,下記(3)の事件の参考人としての供述である。なお,同目録では,下記(3)の本件事実1,2に直接関連する以外の調書等の記載内容を原則として省略 4,5は,岐阜県K警察署長宛の被害届,上申書で,同8は,下記(3)の事件の参考人としての供述である。なお,同目録では,下記(3)の本件事実1,2に直接関連する以外の調書等の記載内容を原則として省略し,同目録以外の部分は,必要に応じて別個に記載する。また,各記載の段落冒頭の括弧付番号は,各調書の項数を表わす《なお,同目録8掲記の調書〔甲51〕には,『3項』が2カ所存在するので,後のものを4項とし,以下順次1項ずつ番号を繰り下げて表示する》。 以下,別紙調書等目録記載の供述等を一括して本件供述等といい,個別に同記載の番号ないし調書の項数で本件供述1とか,本件供述1(2)などという。また,同目録掲記以外の各調書の記載内容を含め同様に表示することがある。更に,これら供述を記載した調書自体を,同様に本件調書1などと表示し,上記被害届,上申書についても,本件被害届,本件上申書という)。 (3) 原告に対する少年事件(ただし,下記①②③の被疑事実・非行事実の存否や,下記①②の逮捕,勾留延長請求,裁判所送致の違法性に争いがある)① 原告は,12月1日,身体等の捜索差押を受けた後,同月6日,別紙記載の恐喝・同未遂の被疑事実(以下本件事実1という)で逮捕されて,翌7日勾留され,同月16日勾留が延長されて(以下それぞれ本件逮捕,本件勾留,本件延長という),更に同月24日岐阜家庭裁判所から観護措置を受けて,平成12年1月11日まで少年鑑別所に収容された(勾留,同延長及び収容の終期等につき甲80,84,130)。 ② この間,原告は,12月7日,本件事実1に基づき岐阜地方検察庁H支部に送致され,更に同一事実に基づき,同月24日,岐阜地方検察庁Z検事によって岐阜家庭裁判所に送致された(以下本件家裁送致という)。 ③ 岐阜家庭裁判所は,原告の少年事件(平 づき岐阜地方検察庁H支部に送致され,更に同一事実に基づき,同月24日,岐阜地方検察庁Z検事によって岐阜家庭裁判所に送致された(以下本件家裁送致という)。 ③ 岐阜家庭裁判所は,原告の少年事件(平成11年(少)第2046号恐喝・恐喝未遂保護事件。以下本件保護事件といい,上記①②の逮捕勾留等と一括して単に本件事件という)につき,平成12年3月31日,別紙記載の恐喝・同未遂の非行事実を認定したうえで(以下本件事実2といい,本件事実1と一括して単に本件事実という。また,これら事実中,(a)原告からMの携帯電話へとかけられた3万円を要求する電話を本件脅迫電話といい,(b)11月10日又はその頃の現金3000円の喝取を本件喝取という),原告を保護処分に付さない旨の決定をした(以下本件決定という)。 ④ 本件決定に対し,原告は,抗告及び再抗告を申し立てたが,いずれも不処分決定に対しては不服申立できないとの理由で却下された。 (4) G副検事及び本件警察官らの捜査等(ただし,その違法性に争いがある)① G副検事は,(a)本件事件で原告の検察官取調を担当し,(b)家庭裁判所に請求書と意見書(甲84,86)を提出して本件延長を請求し,(c)Z検事に家裁送致相当の意見を提出したほか(以下それぞれ本件請求書,本件意見書,本件延長請求,本件意見提出という),(d)12月15日,別件事件でMを取り調べ,本件調書9を録取した(以下12月15日M取調という)。 ② 本件警察官らは,(a)本件事件で原告の警察官取調を担当し,(b)本件逮捕の手続に関与したが,(c)12月10日と14日の甲警察署での取調はJ警部補が,(d)12月3日付捜査報告書(甲33)の作成はI警部補が行なった(以下それぞれ12月10日取調・14日取調,12月3日報告書という)。 ③ 一方,別 10日と14日の甲警察署での取調はJ警部補が,(d)12月3日付捜査報告書(甲33)の作成はI警部補が行なった(以下それぞれ12月10日取調・14日取調,12月3日報告書という)。 ③ 一方,別件事件のMの警察官取調は,L巡査部長が担当した。 (5) 家庭裁判所におけるMの供述(ただし,その真偽に争いがある)Mは,(a)12月16日岐阜家庭裁判所に送致され,同月28日,別件事件の審判期日において,本件供述等のうち,11月5日午後6時15分頃,本件脅迫電話を受けた旨の部分は(以下本件電話供述といい,同電話の時期を本件架電時期という),日にち等が間違っており,実際は10月中だった旨を供述し,(b)平成12年1月11日,本件保護事件の証人尋問では,10月の初めかそこら,ないし同月10日くらいだった旨を述べた(甲130,189)。 (6) 別件民事訴訟及び本訴におけるMの供述等Mは,(a)原告から提起された損害賠償請求訴訟において(当庁平成13年(ワ)第54号。以下別件民事訴訟という),本件架電時期は10月13日が正しいと思われる旨を供述等したが,主張に一貫性がないなどと判断されて賠償を命じられ,(b)平成16年10月12日,本訴の証人尋問では,同架電時期は,やはり11月5日だった旨を証言した(上記(a)につき甲192)。 2 争点本件の主な争点は,原告主張の不法行為の成否(下記(1)①ないし③。請求原因)であり,(a)本件事実の存否と本件供述等の真偽,(b)G副検事と本件警察官らの捜査,本件逮捕,本件延長請求,本件意見提出の違法有責性が争いになっている。 (1) 原告の主張① Mは,前示1(2)のとおり本件供述等をしたが,原告が同人を脅迫したり,金員を喝取等した事実はなく,同供述等は,いずれも虚偽の内容であった。 ② 性が争いになっている。 (1) 原告の主張① Mは,前示1(2)のとおり本件供述等をしたが,原告が同人を脅迫したり,金員を喝取等した事実はなく,同供述等は,いずれも虚偽の内容であった。 ② しかるに,本件警察官らは,本件供述等を軽信し,以下のとおり,違法に本件逮捕をなし(下記ア),更に違法な取調を行なったが(同イ),これは,少年法,刑事訴訟法,犯罪捜査規範(国家公安委員会規則2号)に違反する違法な公権力の行使である。 ア 12月6日,本件警察官らがした本件逮捕は,違法なものであった。 a すなわち,同警察官らは,目撃証言や物的証拠がないにもかかわらず,共謀のうえ,高校生の原告を逮捕して締め上げれば,簡単に自白すると見込んで,本件供述等に基づき,一方的に原告を逮捕をしたものであって,捜査規範4条,166条で禁止された見込み捜査に当たる。 b 特に,I警部補は,逮捕の必要性に関し12月3日報告書に下記記載をして,違法に逮捕状を請求したが,原告の本件ナイフの所持所有についてはなんら証拠がなく,勝手な思込みによるものであった。 (ア) 本件ナイフは,原告の所有物である。 (イ) 本件ナイフを証拠隠滅している事実がある。 (ウ) 本件ナイフについて銃砲刀剣類等取締法違反の事実がある。 イまた,J警部補のした12月10日取調と同月14日取調も,以下のとおり違法なものであった。 a 当時,原告は,捜査規範202条ないし217条の特則が適用される少年であったにもかかわらず,J警部補は,12月10日取調の際,手錠を外しただけで,原告の両手を紐で縛り,これを腰に回し原告を座らせたパイプ椅子に括り付けて,取調を行なった。 b そのうえ,同警部補は,いくら原告が,やっていないと弁解しても,威圧感のある恐い言い方で,「やったんだろう」と を紐で縛り,これを腰に回し原告を座らせたパイプ椅子に括り付けて,取調を行なった。 b そのうえ,同警部補は,いくら原告が,やっていないと弁解しても,威圧感のある恐い言い方で,「やったんだろう」と一方的に決めつけて睨みつけ,そのため,原告が下を向くと,「なんで下を向いているんや」と注意し,顔を上げて同人を見ると,今度は,「なんで睨んでいるんや」と言って,原告を困惑と恐怖に陥れた。 c そして,同警部補は,午後1時半から5時まで長時間にわたり原告を上記姿勢で座らせて,ほとんど無言で睨みつけ,原告が同じ姿勢に耐え切れず身体をねじったりすると,「動くな」「誰が動いていいと言った」などと言って威圧したが,以上は,予断に基づき,少年である原告に極度の緊張と不安,身体的疲労を与えて,自白を強要しようとしたものであって,捜査規範166条,165条,204条に違反する。 d 更に,同警部補は,同日原告を取り調べたのに,供述調書や取調状況報告書を作成せず,捜査規範177条,182条の2に違反した。 e また,12月14日取調の際にも,J警部補は,午後1時半から2時半頃まで,「吐けば楽になる」「お前には良心はないのか」「親のところに早く帰りたくないのか」などと,悪口雑言に近い言葉を浴びせ,自白を強要しようとしたものであり,黙秘権の侵害であって,捜査規範166条,168条に違反する。 なお,「良心はないのか」との発言は,上司のI警部補が12月16日付取調状況報告書(甲57)で明確に認めるところである。 f 本訴において,J警部補は,「彼の態度を見ておって,自分は,心情的にはやったんだと,犯行はしているというふうにとっていました」「取調の態度です」と証言しており,捜査規範4条,166条に反する,先入観に基づく見込み捜査だったことは明らかである。 ③ 自分は,心情的にはやったんだと,犯行はしているというふうにとっていました」「取調の態度です」と証言しており,捜査規範4条,166条に反する,先入観に基づく見込み捜査だったことは明らかである。 ③ また,以下のとおり,(a)G副検事と本件警察官らは,Mの本件電話供述が事実に反することを知りながら,不法に証拠を隠滅したうえ(下記イ),(b)更にG副検事において,必要な捜査を遂げないまま,内容虚偽の本件請求書と本件意見書を裁判所に提出して,本件延長の手続を受け,本件意見提出により,Z検事に本件家裁送致の手続をさせたものであり(同ウ,エ),いずれも違法な公権力の行使であって許されない。 アすなわち,12月5日ないし8日頃,警察で自分の携帯電話の着信履歴(以下本件着信履歴という)を見せられたMは,本件脅迫電話に該当する1分間もの通話記録がなかったため,従前供述していた本件架電時期は間違っていた旨を,その頃本件警察官らに告げた(以下本件供述変更1という)。 イしかるに,本件警察官ら及び,同人等から本件供述変更1の報告を受け,12月15日M取調時にも同変更を知ったG副検事は,本件事実1が崩れることを恐れ,共謀のうえ,「もう時間だから早くしろ」など言って,本件供述変更1を調書にせず,もって不作為による証拠隠滅を行なった。 ウそして,G副検事は,前示1(3)①⑤のとおり12月16日,本件延長請求をして本件延長を得たが,これは,以下のとおり違法である。 a すなわち,G副検事は,上記ア,イのとおりMが本件供述変更1をなし,あるいは本件架電時期につき揺れ動いているのを知りながら,その事情を秘して,同人が信用性のある詳細な供述をしているなどと虚偽の事実を記載した本件請求書及び本件意見書を裁判所に提出した。 b また,同副検事には,検察官として警 れ動いているのを知りながら,その事情を秘して,同人が信用性のある詳細な供述をしているなどと虚偽の事実を記載した本件請求書及び本件意見書を裁判所に提出した。 b また,同副検事には,検察官として警察官の捜査をチェックする義務があり,本件では,Mの非行歴や,本件喝取当日の本件クラブの例会の開催状況・会場の様子,本件喝取時の関係者の位置関係等を,原告が犯行をしていない可能性を含めて捜査しなければならなかったにもかかわらず,これを怠り,おざなりな捜査だけで本件延長を請求した。 c 実際には,同副検事は,12月16日の本件延長請求より以前には,(ア)Mにつき,11月30日付弁解録取書と本件調書7,9録取の際の取調,(イ)原告につき,12月7日付弁解録取書と同月15日付供述調書録取の際の取調をしただけであり,そのうち本件事実に関する捜査は,(a)前者では,本件供述9(5)の聴取のみで,(b)後者では,弁解録取書の「今読み聞かせてもらった事実は,まったく身に覚えがありません」などわずか調書2行分の取調をしたにすぎない。 エ更に,G副検事は,前示1(3)②,(4)①(c)のとおり,本件意見提出に基づきZ検事に本件家裁送致の手続をさせたが,以下のとおり,検察官としての義務を怠る杜撰な捜査に基づくものであって,違法である。 a すなわち,G副検事は,上記ア,イのとおり,本件事実1の構成要件である脅迫行為の日付が崩れ,あるいはMの供述が揺れ動いているのを知りながら,その事情を秘して,本件家裁送致の手続をさせた。 b また,同副検事には,検察官として十分な捜査を行なう義務があり,上記ウbの事情のほか,(a)本件供述等の一貫性,(b)本件供述等にかかる黒色つばつき帽子及びカンゴールの帽子(以下それぞれ本件帽子A’,B’という)や,従前の本件ナ 十分な捜査を行なう義務があり,上記ウbの事情のほか,(a)本件供述等の一貫性,(b)本件供述等にかかる黒色つばつき帽子及びカンゴールの帽子(以下それぞれ本件帽子A’,B’という)や,従前の本件ナイフの所在についても慎重に捜査を行なう義務があったのに,15歳のMが年上の原告を陥れるはずがないなどという典型的な先入観に基づき,原告を犯人と決めつけ,その弁解を真面目に吟味せず,本件意見提出をしたものである。 c 実際には,同副検事が適正な捜査を行なっていれば,(ア)本件供述等に一貫性が欠如していることのほか,(イ)本件喝取があったとされる11月10日当時,上記b(a)の各帽子が原告の手元になく,(ウ)別件事件以前に,本件クラブ室内に本件ナイフが実在した点につき目撃証人がいないことなども容易に判明したはずであって,G副検事の行為は,検察官として通常行なうべき捜査を怠る違法なものというべきである。 ④ G副検事及び本件警察官らの以上の不法行為によって,原告は,前示1(3)のとおり,違法に逮捕勾留等されて長期間身柄を拘束されたうえ,虚偽の自白を強要されそうになり,筆舌に尽くしがたい精神的苦痛を味わったが,その慰謝料は,500万円が相当である。また,本訴の弁護士費用中50万円は,上記不法行為による損害というべきである。 ⑤ よって,原告は被告らに対し,国家賠償法1条1項による損害賠償として合計550万円及び訴状送達の翌日以降の遅延損害金の連帯支払を求める。 ⑥ 本件供述等が虚偽であるのは,本件供述変更1により本件架電時期が一貫性を失っている点のほか,前示1(5)(6)のとおり,(a)家裁でも,同供述変更と同様の供述をしながら(以下本件脅迫電話に関する同供述と本件供述等との差異を,本件供述変更2という),(b)本訴では,11月5日と更に変更する 前示1(5)(6)のとおり,(a)家裁でも,同供述変更と同様の供述をしながら(以下本件脅迫電話に関する同供述と本件供述等との差異を,本件供述変更2という),(b)本訴では,11月5日と更に変更するなど(以下本件脅迫電話に関する同供述と前示1(5)の供述との差異を,本件供述変更3という),供述内容が転々としている点からも明らかである。 ⑦ 後示(2)③,同(3)②ないし⑤は,いずれも否認ないし争う。 ア特に,被告らは,原告がTに証言を依頼した点を口裏合わせと主張しているが,実際には,J警部補らは,12月9日午後5時から5,6時間にわたってTを取り調べ,言うとおりにならないと,大声を出したり,机を叩いたり,おまえも罪になるなどと脅して,口裏合わせした旨の調書(甲48)を作成したものであって,原告の供述に虚偽はない。 イまた,本件クラブでは,メンバーをあだ名で呼び合っており,原告は,Mの本名をすぐに思い出せなかったにすぎないし,同クラブでは携帯電話番号を記載した名簿が配布されていたが,それだけで,全員の電話番号を知っているといえるか疑問である。 ウ更に,本件喝取時に原告が被っていたとMが供述する本件帽子A’は,実際には11月13日名古屋で購入したものであって,本件喝取があったとされる同月10日当時,原告の手元には存在しなかった。 (2) 被告Aの主張① 前示(1)①のうち,本件供述等の内容が虚偽であるとの点は否認し,同④の損害も否認する。 ② 前示(1)③のうち,平成17年3月8日口頭弁論期日において新たに追加された新主張は,下記アのとおり,時機に遅れた攻撃方法であって許されない。 前示(1)③のその余の部分のうち,同冒頭の主張は争い,同アないしエは,下記イ,ウのとおり争う。 ア本訴では,弁論準備手 新主張は,下記アのとおり,時機に遅れた攻撃方法であって許されない。 前示(1)③のその余の部分のうち,同冒頭の主張は争い,同アないしエは,下記イ,ウのとおり争う。 ア本訴では,弁論準備手続が実施され,平成16年1月29日の弁論準備期日に原告の主張及び争点が確認されて,同年7月5日同手続は終結した。 したがって,本件ナイフの所在や本件クラブの例会の開催状況についての捜査,あるいは原告のアリバイ捜査を尽くさなかった過失など,上記の後原告が追加した過失に関する主張は,時機に遅れた攻撃方法に当たるが,これらは,原告の重大な過失に基づくもので,かつ訴訟を遅延させるものであるから,却下されるべきである。 イ前示(1)③ア,イの事実は否認する。Mが,別件事件の家裁送致前に,本件電話供述を変更した事実はなく,そのことは,同人の証言からも裏付けられている。 ウ前示(1)③ウ,エのうち,本件請求書及び本件意見書の提出を含む本件延長請求と,本件家裁送致の事実は認め,法的主張は,下記③のとおり争う。 ③ G副検事の本件延長請求と本件意見提出,及びこれに関連する捜査にはなんら違法性はなく,不法行為は成立しない。 ア本件延長請求についてa 刑訴法208条2項は,勾留延長の要件を,やむを得ない事由があると認めるときと定めており,勾留延長請求が国賠法上違法となるのは,同事由に関する検察官の判断に明白な過誤があった場合に限られるが,本件におけるG副検事の判断は,正当であって,明白な過誤はない。 b すなわち,本件事件では,原告が黙秘しており,真実を把握し難い状況にあったため,G副検事は,更に原告の取調が必要であり,また本件クラブの会員名簿の配布状況の確認や,ワン切りの件で原告がMの携帯電話に電話をかけた事実に関しSからの事情聴取等の捜 実を把握し難い状況にあったため,G副検事は,更に原告の取調が必要であり,また本件クラブの会員名簿の配布状況の確認や,ワン切りの件で原告がMの携帯電話に電話をかけた事実に関しSからの事情聴取等の捜査を遂げる必要性があると考え,本件延長請求をなし,本件延長の決定を受けたものであって,その後実際に上記捜査が実施されているのであるから,本件延長請求には,なんらの違法性もない。 c 原告は,G副検事が本件供述変更1を知っていた旨を主張するが,上記②イのとおり,Mが別件事件の家裁送致前に本件電話供述を変更した事実はなく,同副検事がこれを認識していた事実もない。 仮に,本件架電時期につき本件電話供述と異なる供述が得られたとしても,本件喝取の嫌疑はなんら否定されるものではなく,その時期を,「10月初旬から11月初旬頃」と広く訂正等したうえ,勾留延長を請求することになるだけであって,原告の言い分は,主張自体失当である。 イ本件家裁送致についてa 一般に,検察官の公訴提起は,検察官が現に収集した証拠資料及び,通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料を総合勘案して,合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑が存在していれば,国賠法上の違法性を欠くものと解されている。 一方,少年法42条と45条5号の規定の仕方の差異等からすれば,同法42条前段に基づく事件の家裁送致において必要な犯罪の嫌疑は,必ずしも公訴提起と同程度のものが要求されるわけではなく,少なくとも公訴提起に必要な嫌疑を上回るものではないことは明らかである。 したがって,家裁送致が国賠法上違法となるのは,検察官が,事案の性質上当然になすべき捜査を故意又は過失により怠り,その結果,収集した資料の証拠評価を誤る等して,経験則上,到底首肯し得ない程度の不合理な心証を形成 裁送致が国賠法上違法となるのは,検察官が,事案の性質上当然になすべき捜査を故意又は過失により怠り,その結果,収集した資料の証拠評価を誤る等して,経験則上,到底首肯し得ない程度の不合理な心証を形成し,客観的に犯罪の嫌疑が認められないにもかかわらず,家裁送致を行なった場合に限られると解するのが相当であるが,本件におけるG副検事の判断に上記のような不合理性はない。 b すなわち,G副検事は,Mの本件供述等が一貫しており,内容も具体的かつ詳細であること,15歳の少年が嘘をつき,18歳と年上の者を陥れるとは通常考えられないことなどから,本件供述等に信用性を認めたものである。 一方,本件事件を否認する原告の供述は,(a)当初,Mの携帯電話の番号は知らない,同人に電話したこともない旨供述していたのが,後に番号を知っていたと変遷させ,また実際には,MがSにワン切りのいたずらをした件で,Mの携帯電話に苦情の電話を入れており,虚偽の供述をしていたこと,(b)この際,「いいかげんにしろ,うっとおしい,やめろ」と叱りつけるように言っており,Mを恫喝し得る立場にあったこと,(c)原告は,原告宅で発見された本件帽子B’は,Mからもらったもので,Tがこれを見ていた旨供述していたが,Tの取調の結果,原告が口裏合わせを依頼し,虚偽の供述をさせた疑いがあることなどから信用性がないと判断したものである。 c なお,原告の携帯電話及び自宅の電話の発信履歴には(以下一括して本件発信履歴といい,個別に本件携帯発信履歴とか,本件自宅発信履歴という),本件脅迫電話に対応する記録が存在しないが,G副検事は,公衆電話や他人の携帯電話等から本件脅迫電話をかけた可能性が否定できないと判断し,犯罪の嫌疑ありと認めたものである。 また,Mに本件供述変更1の事実はなく,仮にこれがあ 在しないが,G副検事は,公衆電話や他人の携帯電話等から本件脅迫電話をかけた可能性が否定できないと判断し,犯罪の嫌疑ありと認めたものである。 また,Mに本件供述変更1の事実はなく,仮にこれがあっても本件喝取が否定されるものでないことは,前示アcのとおりであり,以上は,経験則に則った判断であって,家裁送致の必要性を認めたG副検事の本件意見提出が不合理といえないことは明らかである。 d これに対し,原告は,Mの非行歴,本件クラブの例会の開催状況,原告のアリバイの有無,本件ナイフや本件帽子A’,B’の所在等の捜査を怠った違法を主張するが,前示a冒頭の検察官が通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た資料とは,(a)家裁送致時に検察官が現に収集した証拠資料に照らし,その存在を予想することが可能な証拠資料であって,(b)通常の検察官において家裁送致の可否を決定するに当たり,当該証拠資料が必要不可欠と考えられ,かつ,(c)当該証拠資料について捜査が可能だったことを要するものに限られると考えるべきである。 本件では,上記b,cのとおり,家裁送致に必要な客観的嫌疑が認められることは,明らかであって,G副検事に更に捜査を尽くすべき義務はなかった。そのことは,家庭裁判所によって,非行事実ありの判断が示され,本件決定が下されたことにより裏付けられている。 e 原告主張の各点を個別にみても,まず本件ナイフは,原告宅の捜索で発見に至らず,原告からの聴取でも知らないとの返答であり,それ以上所在調査の手掛かりがなかった。 次に,原告は,Mの非行歴を問題にしているが,供述の信用性は,まず供述が出た契機,供述内容の流れが自然であるか,客観的裏付けがあるかといった点から検討されるべきものであって,供述者の非行歴の有無・内容とは直接関わりがない。また, しているが,供述の信用性は,まず供述が出た契機,供述内容の流れが自然であるか,客観的裏付けがあるかといった点から検討されるべきものであって,供述者の非行歴の有無・内容とは直接関わりがない。また,非行歴の有無が少年ら間の力関係に必ずしも反映されるとも限らないから,Mの非行歴は,上記d(b)(c)の証拠資料に該当しない。 更に,本件喝取の行なわれた11月10日には,本件クラブの例会が開催されていたが,一般に捜査機関は,申立のない限りアリバイを認識できるものではなく,アリバイ捜査の欠如が違法となるのは,被疑者から一義的に明白なアリバイ主張があった場合に限られるところ,本件家裁送致前に原告からその主張はなく,これを捜査する必要性もなかった。 (3) 被告Bの主張① 前示(1)①のうち,本件供述等の内容が虚偽であるとの点は否認し,同④の損害も否認する。本件供述等には,下記②ないし④のとおり信用性がある。 ②ア前示(1)②冒頭の主張は争い,同アも否認ないし争う。 本件供述等は,具体的かつ詳細で,迫真性に富んでおり,本件逮捕は,同供述等の信憑性等を十分吟味して行なったものである。なお,本件事実は目撃者の裏付けがなく,本件ナイフも未発見であるが,原告の恐喝自体,人前で行なわれておらず,目撃者の不在は当然であり,本件ナイフも容易に隠蔽可能であって,本件逮捕の必要性が否定されるものではない。 イ前示(1)②イ冒頭の主張も争う。J警部補は,取調を通じ,原告を叱りつけたりしたことは一度もなく,情理を尽くした取調をしたものである。 a 同aないしdの事実は否認し,法的主張は争う。 12月10日取調は,午後1時20分頃から午後4時10分頃までの約2時間50分であり,J警部補は,少年だった原告の心情に配慮した取調を行なったが,原告は, dの事実は否認し,法的主張は争う。 12月10日取調は,午後1時20分頃から午後4時10分頃までの約2時間50分であり,J警部補は,少年だった原告の心情に配慮した取調を行なったが,原告は,捜査当初から事実を否認するばかりか,明らかに知っている事実まで否認することから,その一つ一つについて説明を求めると,その間はむしろ原告が同警部補を無言で睨みつけ,「僕はやっていない」と一言発した後は,必死に供述を拒んでいる様子で,質問にも反応せず,ひたすら無言で俯いたままの姿勢をとり続け,真実を語るよう説得を続けたにもかかわらず,これに答えることもなく,結局当日は,供述調書を作成できなかった。 この間,双方無言で向き合う時間も多少はあったが,それはもっぱら原告の態度に起因するものであり,J警部補に,緊張や苦痛を与えて自白を強要する意図はなく,捜査規範に違反する行為もなかった。 b 同eは否認ないし争い,同fの評価も争う。 12月14日取調は,午後1時30分から午後4時45分頃までの約3時間15分であったが,この日も原告は,事実関係を否定しており,「Mが強盗事件を起こしたことを知ったのは12月1日の自宅の捜索の機会である。」とだけ供述した。しかし,J警部補は,裏付捜査で,11月中旬頃,原告が別件事件のことを知っていた事実をつかんでいた。 また,Mから本件帽子B’を喝取した事実に関し,原告は,12月13日の取調の際,同帽子をもらったことはTが証明してくれる旨を供述したが,これも友人に口裏合わせを依頼し,同人が更に別の関係者等に無根の事実を流布していた経過を既に把握していた。 このように,原告が明らかに虚偽の事実をあたかも真実のごとく供述するため,J警部補は原告に対し,「良心というものがあるだろう。」「自分に正直になれ。」 実を流布していた経過を既に把握していた。 このように,原告が明らかに虚偽の事実をあたかも真実のごとく供述するため,J警部補は原告に対し,「良心というものがあるだろう。」「自分に正直になれ。」と諭したり,必死に供述を拒んでいる原告に「そんなに頑張るな。」と言って,真実の供述を促した事実はあるが,これは,原告主張の悪口雑言に当たらないばかりか,取調が違法だとか,自白の強要などの誹りを受けるいわれはまったくない。 c そのほか,本訴において,原告は,手錠をかけられたまま取り調べられたとか,逮捕事実を告知されなかったなどとも供述するが,いずれも事実に反し,主張自体,荒唐無稽といわざるを得ない。 ③ 前示(1)③冒頭の主張は争い,同ア,イの事実はいずれも否認する。 ア別件事件の取調において,Mは,本件脅迫電話のあった日を具体的に供述し,L巡査部長もカレンダーや学校行事等からMの記憶を辿って,11月5日に同電話があったと特定した。 イ一方,(a)Mの携帯電話本体に記録された着信履歴は,保存件数に限りがあり,約1か月前の11月5日の着信履歴は,保存されておらず,確認することができなかった。なお,(b)携帯電話の着信履歴は,システムの性質上電話会社にも保存されておらず,原告主張の本体着信履歴なるものは存在しないし,Mにこれを示した事実もない。また,(c)原告の携帯電話や自宅の電話についても,電話会社保存の本件発信履歴の裏付捜査をしたが,11月5日当時に,本件脅迫電話に対応する記録はなかった。 ウそこで,L巡査部長はMに対し,本件架電時期が間違いではないかなどと,別の日に本体脅迫電話があった可能性について何度も確認したが,Mは,「おかしいな,別の日だったのだろうか。」と言いながらも,「自分の記憶から11月5日に間違いない。」と説 が間違いではないかなどと,別の日に本体脅迫電話があった可能性について何度も確認したが,Mは,「おかしいな,別の日だったのだろうか。」と言いながらも,「自分の記憶から11月5日に間違いない。」と説明し,同人から本件架電時期を訂正して欲しいとの申出は一度もなく,結局本件供述変更1の事実は,なかったのであって,本件警察官らが,これを隠蔽した事実もない。 エ Mが本件電話供述を変更したのは,前示1(5)のとおり,家庭裁判所の審判期日における本件供述変更2以降であるが,そもそも本件着信履歴なる証拠自体が存在しないにもかかわらず,当時少年で,経験のないMに対し,原告の弁護人から,ありもしない着信履歴をもって,本件脅迫電話をかけた事実が存在しないと執拗に追求されれば,動揺して記憶が混乱することは明らかであり,供述の変遷があっても当然である。 オ Mは,本訴において,前示1(6)(b)のとおり,本件脅迫電話があったのは11月5日である,警察で言ったことは今でもそのとおりであると明確に証言し,最初の供述に戻っており,現時点で本件供述等に変遷はない。 ④ 本件供述等の信用性は,以上のほか,(a)Mは,原告より年下の気弱な性格であって,本件クラブのOBで,右翼関係者と知合いの原告に強い恐怖心を抱いており,これを陥れる危険はないこと,(b)高価な本件帽子B’を,Mが無償で原告に譲渡するとは考えられないこと,(c)本件決定においても,本件事実2が明確に認定されていることなどからも明らかである。 ⑤ 仮に,本件供述等が虚偽であって,本件事実を認定することができないとしても,当時本件警察官らにおいて,Mの供述を疑う材料はまったくなく,当時の職務行為基準に則って捜査した結果であり,本件警察官らに不法行為は成立しない。 第3 争点に対する判断 1 不処分決定の しても,当時本件警察官らにおいて,Mの供述を疑う材料はまったくなく,当時の職務行為基準に則って捜査した結果であり,本件警察官らに不法行為は成立しない。 第3 争点に対する判断 1 不処分決定の基礎となった捜査等の違法を理由とする賠償請求の可否① 本件保護事件においては,前示第2の1(3)③のとおり,岐阜家庭裁判所から本件決定が下され,その理由中で本件事実を認定したうえ,原告を保護処分に付さない旨のいわゆる不処分決定がなされている。 そこで,一般に,かかる非行事実を認定した不処分決定の基礎となった捜査機関の捜査等の違法を理由に,非行事実の不存在を前提とする損害賠償を請求することが法的に可能であるか一応問題となる。 ② これを検討するに,少年法上,いわゆる不処分決定に対しては,理由中で非行事実が認定された場合であっても,抗告は許されないものと解されているが(最判昭和60年5月14日・判例解説登載),これは,主文に着目する限り,かかる決定も少年にとって不利益な裁判に当たらず,理由中の判断は,格別の法的効力を有するものではないとの解釈に基づくものである。 したがって,本件決定の法的効力もまた,その限度に止まり,同理由中でなされた本件事実の認定に,後続の損害賠償訴訟に対する法的拘束力等が生ずるものではなく,原告が同決定の基礎となった捜査等の違法性を主張して,被告らに損害賠償を請求することに格別の法的制約はないというべきである。 ③ 以上を前提に,次項以下で原告主張の不法行為の成否について判断する。 2 判断の前提となる事実(a)前示第2の1(1)(2)(5)(6)の各事実,(b)甲12ないし15,18ないし25,37ないし40,44,49,50,64,66ないし71,73,77,96,127ないし129,131の2,13 )前示第2の1(1)(2)(5)(6)の各事実,(b)甲12ないし15,18ないし25,37ないし40,44,49,50,64,66ないし71,73,77,96,127ないし129,131の2,133,136,145,149,154,155,159,165ないし169,192,(c)原告本人尋問の結果,(d)後示採用できない部分を除く甲26,29,30,51,53,130,150の1ないし3,170,189ないし190,証人Mの証言によれば,原告及びMの経歴,別件事件の経過等について,以下の事実が認められる。 (1) 原告(昭和56年8月24日生)は,C中学を卒業後,D高校普通科に進学し,本件当時,同校の3年生だった者である。原告は,両親共稼ぎのサラリーマン家庭に育ち,土,日曜日に高速道路の売店のアルバイトで小遣い月1,2万円を稼ぎ,カラオケ代等に当てていた。原告は,中学時代,副室長や体育祭の団リーダー等を務め,本件当時も上記高校で級長をしており,本件以前に,犯罪や無断外泊など格別の非行歴は見当たらない。 (2) M(昭和59年3月25日生)は,N中学を卒業し,本件当時,O高校の1年生だった者である。Mは,父親が働くサラリーマン家庭に育ったが,中学時代,友人と近くの温泉に忍び込む事件を起こしたり,後示(6)のQらと無断で他人の車を動かす,いわゆる泥棒運転の前歴があった。また,Mは,平成11年の夏休み頃,宗教団体戊に入会して,信者を勧誘するなどし,両親の制止に対しても,「親も大人も悪い。」などと言って,その監督に服さなくなっており,しばしば外泊や高校の早退を繰り返していた(なお,別件事件の身上調書の写である甲167からかなりの部分が削除されているため,Mの前歴等については,以上より詳細に認定することができない)。 (3) 本件クラブは,子供 の早退を繰り返していた(なお,別件事件の身上調書の写である甲167からかなりの部分が削除されているため,Mの前歴等については,以上より詳細に認定することができない)。 (3) 本件クラブは,子供会活動の援助等のボランティア活動を行なう団体である。本件当時,同クラブには会員が24名いて,高校1,2年生を中心に活動しており,演劇の準備で,毎週月,水,金曜日の放課後に例会が開かれていた。同クラブでは,メンバーは,互いに決まったあだ名で呼び合うことになっており,原告とMのあだ名は,それぞれ「F」と「P」であった。 一方,同クラブでは,メンバーの本名とあだ名,電話番号を記載した連絡表が作成されており,平成11年度分は,9月中旬から10月初旬頃に作成され,例会の際に各クラブ員に順次配布されていた。 (4) 原告は,小学校以来,本件クラブの経験があり,高校進学後,部活動で一時離れていたが,平成10年頃から再び同クラブに関与するようになった。本件当時,原告の立場は,OBだったが,例会には頻繁に参加していた(甲69)。 他方,Mは,同級生のTらとともに,8月末頃本件クラブに入会し,原告と知り合った。Mも例会にはよく出席していたが,本件会館の電話を無料で使うのが大きな目的であり(甲69,190),これで私用電話をしたり,例会中に飲食したりしたため,原告や他のOBからしばしば叱責されていた。また,Mは,11月頃学校を早退してクラブ室で寝ていたところを,偶然授業が早く終了し,用事で例会に出られないと書き置きするため,午後3時頃本件クラブ室を訪れた原告から,同室はクラブ活動の場であり,学校をサボって居るような所ではないと注意されたこともあった(甲129)。 (5) ところで,本件クラブ員の間には,クラブ活動以外にも交友があり,10月9日(甲69・3 ,同室はクラブ活動の場であり,学校をサボって居るような所ではないと注意されたこともあった(甲129)。 (5) ところで,本件クラブ員の間には,クラブ活動以外にも交友があり,10月9日(甲69・3項,甲136),原告の自宅で焼肉パーティーが開かれて,Yジュニアの会長でもあったSや他のクラブ員,あるいはOB等が参加し, 一部の者は,原告宅に宿泊もした。 他方,Sから上記パーティーの開催を聞いたMは,これに参加したがっていたが,結局同女に断られ参加できなかった(甲69,甲130・73項)。すると,Mは,電話をかけて相手が出る直前に切ってしまう,いわゆるワン切りのいたずらしようと考え,Sが原告宅にいるのを知りながら,同日午後11時過ぎ頃から,同女の携帯電話に頻繁にワン切りを繰り返した。 そのため,これに怒った原告は,Sから相手と推測される者の電話番号を聞くと,番号非通知で,自宅の電話から同電話にかけ,「おい,おまえ誰や。いいかげんにしろ。うっとおしい。やめろ。」と叱りつけて,ワン切りを止めさせた。この際,原告は,事前に相手がMだと認識しておらず,後で,相手が 「P」,すなわちMだと聞かされたが,その認識は,かならずしもMという,同人の姓名とは強く結び付いていなかった。 これに対し,Mも,原告の上記叱責を聞いて不満を抱き,後日Sに電話の主を尋ねたが,相手が誰かを聞くと,「むかつく奴やで。」と,原告に対し不服な様子を示していた(甲69)。 (6) Qは,Mと同じN中学を卒業後,本件当時就職していた者である。Qは,身長約175センチメートル,太りぎみで,Mより大柄な体格であり,中学時代は,Mの一年先輩だったが,養護学級に通っていた。 その当時,Mは,養護学級に通っている同人を疎んじていたが,前示(2)のとおり平成11年の夏休 ,太りぎみで,Mより大柄な体格であり,中学時代は,Mの一年先輩だったが,養護学級に通っていた。 その当時,Mは,養護学級に通っている同人を疎んじていたが,前示(2)のとおり平成11年の夏休み頃,戊に入ると,信者集めにQを勧誘して入会させたり,一緒にゲームセンター等で遊んだりしていた。 ところが,Mは,8月13日頃から,「気にいらん」などとQに因縁を付け初め,ゲームセンターで遊ぶ金や飲食代等を恐喝するようになり,更に,「昔のことを言い触らすぞ。家を放火するぞ。」などとQの中学時代の非行を周囲にふれ回わり,同人や家族に危害を加える旨述べて脅迫し,8月13日頃から下記(7)までの間に約9回にわたって,合計約1万2000円を喝取した。このため,Qは,凶暴な男として,Mを避けるようになっていった。 (7) しかるところ,11月8日,Uからの呼出しで遊びに出かけたQは,途中JR瑞浪駅でUのほか,同人に付いてきたMと出会って,多治見市内で女の子らと遊んだ後,午後9時頃3人でJR瑞浪駅に戻った。その後,Uは,用事があると言って,本件会館で落ち合う約束をして一旦2人と別れ,MとQだけが,午後9時30分頃,同会館に到着して本件クラブ室に入った。 すると,最初Mは,同日の日中会った相馬某女に携帯から電話をかけて,「好きやよ」などとしゃべったりし,更には,その電話で,Qに相手の女の子と話をさせようとしたりしたが,15分ほどで電話が終わると,本件クラブ室内の鉛筆を手に取って,「3000円出せ。」とQを怒鳴りつけた。これに対し,同人が,「どうして。」などと口答えすると,Mは,いきなり全長十数センチメートルの折畳み式の本件ナイフを取り出し,相手の顔前で刃を出して見せた後,背後に回り込み,Qの上着を左手でつかみながら,同ナイフを20回あまりも同人 どと口答えすると,Mは,いきなり全長十数センチメートルの折畳み式の本件ナイフを取り出し,相手の顔前で刃を出して見せた後,背後に回り込み,Qの上着を左手でつかみながら,同ナイフを20回あまりも同人の首の後などに当てて,「3000円出せ。昔のことを言い触らすぞ。」などと,上記(6)と類似の趣旨を述べて脅迫した。 そのため,恐怖で抵抗できなくなったQが財布を差し出すと,Mは,在中の現金1万円近くの中から3000円を抜き取り,本件会館を出て行った。 (8) その後11月12日,Qが警察に被害を申告し,Mは,11月29日,強盗の被疑事実で逮捕された。(a)逮捕直後,Mは,「そんなナイフはない。恐喝なんて知らん。」などと別件犯行を否認し,(b)同日犯行を自白した後も,本件ナイフは,本件クラブのOBで名前を知らない金髪の先輩とか,19歳の男の人とかに渡したなどと供述していたが,(c)12月1日以降,原告から恐喝を受けており,それが別件犯行の要因となっている,本件ナイフも原告にとられたとの旨を供述し始め,前示第2の1(2)②のとおり本件供述等を行なった。 (9) 一方,12月1日実施の捜索差押により,原告の自室から本件帽子B’が発見された。 同帽子は,ブランド名カンゴールの黒色帽子で,もとMの長兄が所有していたものであるが,実際には同人は使っておらず,Mが使用していた。これに対し,Mは,次兄の所有と思っており,Uには,同人にもらった旨を述べていた。本件帽子B’は,少なくとも原告とMの間で授受される1週間前からクラブ室に放置されており(本件供述8(4),甲95),その間,Mがこれを取りに行ったりした形跡はない。 (10) Mは,(a)12月16日岐阜家庭裁判所に送致され,同月28日,別件事件の審判期日において,裁判官及び自分の付添人の質問に対し,本件 5),その間,Mがこれを取りに行ったりした形跡はない。 (10) Mは,(a)12月16日岐阜家庭裁判所に送致され,同月28日,別件事件の審判期日において,裁判官及び自分の付添人の質問に対し,本件供述等中,本件電話供述は,日にち等が間違っており,実際は10月中だった旨を供述し,(b)平成12年1月11日,本件保護事件の証人尋問の際,原告の付添人等の審問に対し,本件架電時期は10月の初めかそこら,ないし同月10日くらいだった旨を供述した。更に,Mは,(c)原告から提起された別件民事訴訟では,本件架電時期は10月13日が正しいと思われる旨を主張等したが,裁判所から,主張に一貫性がないなどと判断されて,賠償を命じられた。 その後,Mは,平成16年10月12日,本訴の証人尋問において,本件架電時期は11月5日である旨証言し,上記(a)ないし(c)の供述等を撤回した。 3 本件事実の存否及び本件供述等の信用性(1) 独立した客観的証拠の存否等① まず,本件供述等の内容から独立した客観的証拠中に,同供述等の真偽や本件事実の存否を確定的に識別せしめるに足りる資料が存在するか否かを検討する。 本件供述等に類する供述証拠の信用性の判断に慎重さが求められるのはいうまでもないことであって,上記のような独立した客観的証拠が存在するのであれば,これを最優先に検討するのが妥当だからである。 この点について,(ア)被告らは,本件帽子B’が原告宅から発見されたことが,原告によるMの恐喝を裏付ける客観的証拠に当たる旨を主張している。 他方,前示第2の2(1)⑦ウ及び甲192のとおり,原告は,本訴及び別件民事訴訟において,(イ)本件喝取当時,本件帽子A’は,原告の手元に存在せず,(ウ)原告は,当日の例会には私服で参加していたから,これらの事実が 2(1)⑦ウ及び甲192のとおり,原告は,本訴及び別件民事訴訟において,(イ)本件喝取当時,本件帽子A’は,原告の手元に存在せず,(ウ)原告は,当日の例会には私服で参加していたから,これらの事実が,当時,原告がD高校の制服姿であり,またMから取り上げた本件ナイフを本件帽子Aの中に放り投げて入れていた旨をいう本件供述等の虚偽性を示す決定的物証である旨を主張している。 ② そこで,まず上記①(ア)の点から検討するに,Mは,本件供述2,7ないし9において,11月19日に本件クラブ室内で原告に本件帽子B’を喝取されたと供述しており,この供述に関し,甲1,86などにも,上記①(ア)と同趣旨の捜査機関の見解が記載されている。 しかしながら,(a)本件帽子B’は,本件事実の被害品ではなく,本件喝取と同一機会に原告とMとの間で授受された物品等でもないのであって,論理的に,その喝取が本件事実を直接裏付ける関係にあるとは認め難い。 更に,(b)原告の入手以前の本件帽子B’の管理状況は,前示2(9)認定のとおりであって,Mや兄らがこれを大切に使用していたとは認められず,かえってMの本件供述8(4),9(3)を精査しても,1週間もクラブ室に放置していたのに,そのことが兄らとの間で問題となった形跡もないのである。 そうすると,新品のときの本件帽子B’に相応の財産的価値があったか否かはともかく,本件当時,Mがこれに高い主観的価値を認めていたかは疑問というべきであって,本件事実の認定上,本件帽子B’の存在を過大視することはできない。 したがって,そのほか,後示6(3)②ア判示の事情も考慮すれば,本件帽子B’をMから譲り受けた旨の原告の供述を直ちに排除することができないというべきであって,被告らの上記①(ア)の主張は採用できない。 ③ ,そのほか,後示6(3)②ア判示の事情も考慮すれば,本件帽子B’をMから譲り受けた旨の原告の供述を直ちに排除することができないというべきであって,被告らの上記①(ア)の主張は採用できない。 ③ 次に,前示①(イ)(ウ)の点についてみるに,以下のとおり,原告の主張を全面的に採用して,これらの点だけから,本件供述等が偽りであって,本件事実が存在しないと結論づけるのは困難といわなければならない。 すなわち,甲139によって,11月13日ロフト名古屋で販売されたと認められる黒色スウェットハット・番号12363が,問題の本件帽子A’と同一物であるとは,直ちに断定できず,原告が11月10日以前に同店ないし他所でこれを購入したことがないとはいえないし,甲71・7項によれば,原告の母親が,以前からかかる帽子が存在した旨を供述している事実も認められるから,原告に有利なその他の証拠を考慮しても,本件喝取時に本件帽子A’が原告の手元に不存在だった事実を客観的に確定することは困難である。 また,本件喝取時に原告が制服姿だったか否か等の点の評価について検討するに,甲137,138によれば,11月10日午後6時頃からの例会に出席したときの原告は,制服姿ではなかった可能性が高いと考えられるが,(a)原告が当時制服姿だった旨のMの供述部分が,本件供述等の決定的に重要な部分を構成しているとまではいえず,(b)この点が,Mの単純な記憶違い等にすぎない可能性も排除できないのであって,その場合,直ちに本件供述等が全体として虚偽であるという結論が導かれるものとはいえない。 そうすると,以上の事実だけから,本件供述等の真偽を判定することはできないというのが相当である。 ④ 更に,前示①以外の客観的証拠の存否についても検討する。 a まず,本件事実にかかる 。 そうすると,以上の事実だけから,本件供述等の真偽を判定することはできないというのが相当である。 ④ 更に,前示①以外の客観的証拠の存否についても検討する。 a まず,本件事実にかかる被害金員は,捜査によっても原告宅等から発見されず,原告がこれを費消等したと認めるだけの客観的証拠も存在しない。 b また,本件喝取時,現金と一緒に原告に取られたとされる本件ナイフも,同様に捜査によっても発見には至っていない。一方,本件供述等によれば,本件ナイフは,もともと原告の所持品だったのが,本件クラブ室の小物入れないし棚の引出しの中に入れたか忘失するなどして,以前から同所に置いてあったものであるところ,たまたまMが見つけて,所有者を知らないまま持ち出し(本件供述2,6,9),原告からの脅迫に起因する別件犯行に使用したものの,その後,当該脅迫にかかる金員喝取の被害を受ける直前,偶然に,自転車のシールを剥がすため使用し手に持っていたのを,やはり偶然,加害者となるべき原告に発見されて取り上げられ,結局本来の所持人の手元に戻ったという極めて特異な経過を辿った物品ということになるが,Mの持出しより以前に本件ナイフが本件クラブ室内に存在した事実については(以下同事実を本件ナイフのクラブ室内所在という),(a)Mの供述以外には,これに沿う証拠が存在せず,(b)本件警察官ら及びL巡査部長などが,本件クラブ員からの事情聴取その他の方法で,この点に関する捜査を行なった形跡も存在しない。 c 更に,本件事実にかかる脅迫ないし本件喝取の現場に居合わせた目撃証人や,直後に被害の実情を聞いた関係者らも存在していない(M自身,Uら友人にも相談しなかった旨を供述している-本件供述8(1))。 d 他方,原告のアリバイについては,捜査時に格別の申出は出ていないが(そ 後に被害の実情を聞いた関係者らも存在していない(M自身,Uら友人にも相談しなかった旨を供述している-本件供述8(1))。 d 他方,原告のアリバイについては,捜査時に格別の申出は出ていないが(その経過は,後示5(4)③ウ,エのようなものであったと認定できる),本件喝取があったとされる11月10日は,水曜日で,前示2(3)(4)のとおり本件クラブの例会が開かれ,演劇の練習等が行なわれたことが判明しており,原告の参加等も十分考えられる状況だったのであるから,通常なら,(ア)当日の例会の開催時間帯や,特にその終了時刻,(イ)同例会への原告の参加の有無,(ウ)本件会館入り口階段付近で行なわれたという本件喝取を聞知等可能な本件クラブ員の存否などが問題になるところであるが,この点についても上記b(b)と同様,捜査機関による格別の調査,確認が行なわれた形跡はなく,確たる客観的証拠の有無は,未確認のままとなっている。 e 以上によれば,本件供述等から独立した客観的事情によって,本件事実の有無を確定することは困難といわざるを得ず,その基礎となっているM供述内容の合理性や矛盾点の有無等を検討する方法によって判定するほかないというのが相当であるから,次項以下で,この点につき判断する。 (2) 本件供述等の信用性に関する判断① まず,判断の前提となる本件供述変更1の存否から検討するに,以下のとおり,本件発信履歴とは別に本件携帯電話の着信内容を記録した着信履歴は存在せず,Mが捜査官に本件着信履歴を見せられた事実もないのであって,12月16日に別件事件で家裁送致される直前の段階において,(a)Mは,いまだ本件電話供述を変更するには至っておらず,明確に本件供述変更1をした事実は存在しなかったものの,(b)同人には,本件架電時期に関する供述内容・態度に著しい動 れる直前の段階において,(a)Mは,いまだ本件電話供述を変更するには至っておらず,明確に本件供述変更1をした事実は存在しなかったものの,(b)同人には,本件架電時期に関する供述内容・態度に著しい動揺が認められたというのが相当である。 アすなわち,原告主張に沿うMの供述等をみるに,甲130,150の1ないし3,189,Mの当法廷での証言によれば,Mは,本訴や,下記a以下の少年事件,別件民事訴訟において,要旨以下のとおり,本件架電時期については,捜査当初から11月5日という明確な記憶な記憶があったわけではなく,警察官の誘導等によって本件電話供述をしたもので,捜査途中で自分の携帯電話の着信履歴を見て,本件電話供述の日にち等が間違いであることに気づき,その旨取調官に話したが,調書が作成されなかったとの趣旨を供述等し,また本件供述変更2についても,同様の経過でなしたものである旨を供述している事実が認められる。 a 12月28日・別件事件の審判期日(a)本件脅迫電話を受けたのは,別件犯行よりも大分前のことである。(b)自分の記憶で,学校を早退した日のことだと思い込んでいた,(c)警察官に自分の携帯電話の着信履歴を調べてもらったところ,11月5日には,本件脅迫電話に該当する1分間もの通話がなかった。(d)もう一度,記憶を辿ったところ,昭和病院の駐車場で本件脅迫電話を受けたことを思い出した。 b 平成12年1月11日・本件保護事件の審判期日(a)10月の初め,昭和病院にいたときに本件脅迫電話がかかってきた。(b)原告宅でパーティーがあったより少し後のことで,10月10日くらいである。(c)11月5日と供述していた頃は,明確な記憶がなく,学校を早退したときだったという記憶だけで供述してしまった。(d)警察に自分の携帯電話の着信履歴を調べ 少し後のことで,10月10日くらいである。(c)11月5日と供述していた頃は,明確な記憶がなく,学校を早退したときだったという記憶だけで供述してしまった。(d)警察に自分の携帯電話の着信履歴を調べてもらったところ,11月5日頃の午後5時から7時頃の通話は,30秒から1分間くらいしか話していないものばかりであり,これは違うということになった。(e)同日には本件脅迫電話に該当する着信記録がないことがはっきりしたのは,別件事件が家裁送致される前の12月8日頃のことであり,本件架電時期が間違っているのを思い出したのは,12月14日かそこらである。(f)同月15日の取調で警察官にその話をしたが,本件ナイフのことばかり話しており,「もう時間だから早くしろ。」と言われて,どうなったのか分からないまま家庭裁判所に送致されてしまった。 c 平成14年7月23日・別件民事訴訟の口頭弁論期日(a)本件電話供述の11月5日という日にちに確信はなかったが,警察官に「もうここ出ていかなあかんで,早く日にち決めろ。」と言われ,最近Q君にたかった,大体その近辺やろと言われ,「あり得る日にちを今から言うで,その日にしとけ。」と脅されるというか,責められて,11月5日にしてしまった。(b)留置所にいるときが長く,警察官から上記のように迫られ,気が動転しており,昭和病院のことを思い出せずに,11月5日にしてしまった。(c)11月5日が間違いであることは,自分の携帯電話の履歴で明確に分かった。(d)その後,本件架電時期は10月の10日か11日ということを,家裁で供述している。(e)(警察では言っていませんか,警察でも後半に何か……との質問に対し)警察に後半言われている。 d 平成14年10月24日・別件民事訴訟の口頭弁論期日(a)警察から,本当架電時期を今 。(e)(警察では言っていませんか,警察でも後半に何か……との質問に対し)警察に後半言われている。 d 平成14年10月24日・別件民事訴訟の口頭弁論期日(a)警察から,本当架電時期を今すぐ決めろと言われ,大体この日ごろかということできつく言ってきて,「じゃ,11月5日頃でいいな。」と言われたので11月5日にした。(b)逮捕から3日くらい後のことだが,お前も本当のこと言って早く出たいやろうと警察官に言われ,当時高校1年生で,留置場などに入るのは初めてで,本当に長く感じていたし,警察官に怒られるような感じで気が動転しており,ストーリー,話を作ったの言っていけと言われたので,これに従った。 e 平成15年1月23日・別件民事訴訟の口頭弁論期日(a)警察で自分の携帯電話の着信履歴を見せてもらった。(b)11月5日に本当脅迫電話に該当する着信記録がないことがはっきりしたのは,12月8日頃ということでよい。(c)12月15日の取調で,そのことをしゃべったのは間違いない。多分L巡査部長にしゃべったと思う。(d)自分の携帯電話の上記着信履歴もL巡査部長に見せてもらい,11月5日に本件脅迫電話がなかったことは同部長も分かっているはずだが,本件ナイフの話題に移ってしまい,調書は作られなかった。 f 平成16年10月12日・本訴口頭弁論期日(a)本件架電時期は,別件犯行の前からそんなに日にちが経っていないことから,11月5日で間違いないだろうと思って,自分で11月5日にした。(b)しかし,L巡査部長から見せられた自分の携帯電話の発信と着信を記録した紙に,本件脅迫電話に該当する記録がなかったため,本件脅迫電話があったのは10月13日ぐらいだと思いますと同巡査部長に言っている。(c)(11月5日は絶対違って,10月13日の方だという を記録した紙に,本件脅迫電話に該当する記録がなかったため,本件脅迫電話があったのは10月13日ぐらいだと思いますと同巡査部長に言っている。(c)(11月5日は絶対違って,10月13日の方だというふうに,警察官にはっきり話した覚えはありますかとの質問に対し)はっきりはしゃべっていないと思う。(d)検察庁で検事と話をした覚えはあるが,3万円を要求された日は,11月5日とは違ったかもしれないという話をしたと思うか,話さなかったと思うか,ちょっと分からない。 イこれに対し,L巡査部長は,当法廷において,要旨以下のとおり証言し,これと同趣旨の陳述書(丙10)を提出している。 (a)本件発信履歴を取り寄せたが,11月5日の発信履歴は確認できず,Mの携帯電話の着信履歴も確認したが,当時のものは残っていなかった。(b)そのことをMに伝え,本件脅迫電話は,違う日ではなかったかと確認したところ,動揺してしまった。困ったな,どうしてだろうなというような反応があった。(c)(Mからその日付が違うのかもというような話はなかったと思うと,そういうことですねとの質問に対し)はっきりした記憶がない。(d)取調の結論として,別の日だったという供述はなかったので,Mに,発信履歴の裏付けがないからといって,供述が嘘になるわけではないので,事実11月5日なら,その供述に自信を持てばいいよと話した。(e)(一番肝心なのは,はっきりした別の日ではなくて,ぼんやりとでもいいが,やっぱり11月5日は違うのかなというような話が出ていたのかどうかということなんですとの質問に対し)当初はぐらつきはあった。自分の方で日にちが違うんでないのと,これでいいのかというふうに聞いたら,どうしてなんだろう,どうして出てこないんだろう,なぜ発信履歴で証明されないのかなというふうな話があったと思う らつきはあった。自分の方で日にちが違うんでないのと,これでいいのかというふうに聞いたら,どうしてなんだろう,どうして出てこないんだろう,なぜ発信履歴で証明されないのかなというふうな話があったと思う。自分の方で違う日にちじゃないのかというふうに質問を向けたので,Mの方も,え,違うのかなというふうな話はあった。(f)しかし,違うので訂正してほしい,少なくとも11月5日ではなかったので訂正してほしいという申立はなかった。 ウまた,G副検事(現在は正検事。証人としての同人につき以下同じ)は,要旨以下のとおり本件変更供述1を否定する内容の証言をし,同趣旨の陳述書(乙22)を提出している。 (a)Mから自分の方に,本件脅迫電話がかかってきた日は11月5日ではなく,違う日だったかもしれない,違う日だったという話はなかった。(b)警察からもその旨連絡はなかった。(c)本件携帯発信履歴に11月5日頃,Mの携帯電話に架電した記録がなかったことを警察官から聞いた時期は,はっきり記憶しておらず,12月15日M取調前に知っていたか記憶がないが,本件家裁送致前に認識していたのは間違いない。(d)12月15日M取調の際,本件携帯発信履歴に本件脅迫電話に該当する通信記録がないのは分かっていたかもしれないが,多分Mには確認しなかったのかもしれない。(e)本件発信履歴には,11月5日に該当する通話記録はなかったが, 友達などの携帯電話や公衆電話を使うことも十分考えられるので家裁送致という結論になった。(f)本件発信履歴に本件脅迫電話に該当する記録がないことが問題になるかもしれないという意識はあった。 エ以上に基づき,本件変更供述1に関する前示アのMの供述の信用性について検討するに,まず最初に本件脅迫電話を11月5日と特定した本件供述2は,Mの逮捕後,間もない もしれないという意識はあった。 エ以上に基づき,本件変更供述1に関する前示アのMの供述の信用性について検討するに,まず最初に本件脅迫電話を11月5日と特定した本件供述2は,Mの逮捕後,間もない12月1日になされたものであって,取調の終了が迫っていたというような事情は存在しないうえ,同電話を受けた状況について,本件供述2(3)のとおり,極めて具体的な供述がなされており,記憶が減退していたとも認め難いのであって,同時点で,脅迫電話の時期が,実際より1か月近くも齟齬するというのは,不合理といわざるを得ず,前示アa(b)(d),b(c)(e),c(a)のMの弁解は,いずれも容易に採用することができない。 また,前示アd(a)(b)のMの言い分は,別件民事訴訟の前示アdの期日に,原告代理人から上記の不合理を追及された後になって,従前していた上記弁解を変更してなしたものであって,内容に一貫性が認められない。 更に,Mは,別件民事訴訟において,11月5日という日付は,自分から言い出した旨を認めているし(甲150の3・32頁),本件保護事件や別件事件の審判の記録を精査しても,自分の記憶で11月5日と思い込んでいたとか(前示アa(b)等),11月5日に例会があったという記憶だったので,その旨述べたとかの供述をしているだけで(甲130・98項以下),その後別件民事訴訟において展開したような警察官から供述の誘導・教唆があった等の事情についてはなんら触れていないのであって,前示アb(f),c(a)(b)等の弁解は,容易に真実とは認められない。 そのほか,本件事件では,下記オb,fのとおり12月13日から20日にかけて本件発信履歴の差押がなされているが,仮にMの供述にあるように,捜査機関が同月8日頃すでに同人の携帯電話の着信履歴を入手し, そのほか,本件事件では,下記オb,fのとおり12月13日から20日にかけて本件発信履歴の差押がなされているが,仮にMの供述にあるように,捜査機関が同月8日頃すでに同人の携帯電話の着信履歴を入手し,11月5日頃には本件脅迫電話に該当する通話記録がないのを確認していたというなら,上記差押手続は,まったく不必要なのが明らかであって,この点からもMの前示供述には疑問があるというべきである。 オ以上によれば,前示アのMの供述等には容易に信用性が認められないといわねばならず,かえって,(a)前示イ,ウの証言,甲99ないし101ないし108,111ないし117,119ないし124,(b)本件供述等の存在のほか,(c)甲189のとおり,裁判所の関係者以外は,Mの父母と付添人の弁護士だけが出席して開かれた別件事件の審判期日において,格別の追及を受けた形跡がないにもかかわらず,Mが前示アaのとおり本件電話供述を変更している点も考慮すれば,本件架電時期に関するMの供述や捜査の経過は,以下のようなものだったと認められ,Mが明確に本件変更供述1をした事実は認定できないというのが相当である。 a 11月29日逮捕されたMは,12月1日に本件事実を供述し始めて以降,同月9日に警察官取調での最終調書である本件調書8が録取されるまで,L巡査部長らに対し,11月5日午後6時15分頃,本件会館に到着した頃に本件脅迫電話を受けた旨を供述しており,その旨の本件供述2,6ないし8が調書に作成され,本件上申書が提出された。そのため,L巡査部長らは,まず12月3日にMから,同月6日には原告から,各自の携帯電話の任意提出を受け,各本体に保存された着信発信の履歴を確認して,本件電話供述の裏付けを得ようとしたが,約1か月前の11月5日当時の履歴は,いずれも消去されており,確認するこ 原告から,各自の携帯電話の任意提出を受け,各本体に保存された着信発信の履歴を確認して,本件電話供述の裏付けを得ようとしたが,約1か月前の11月5日当時の履歴は,いずれも消去されており,確認することができなかった。 b また,電話会社には,Mと原告の携帯電話及び原告宅の電話の通話の記録が保存されており,警察官らは,12月10日,まずMの携帯電話と,本件脅迫電話に利用された可能性の高い原告の携帯電話の通話明細書の差押を裁判所に請求し,同月13日には,各明細書を入手した。しかし,(a)上記通話明細書は,対象電話の使用により賦課される通話料の明細であって,当該電話からの発信通話の通話時間や相手方しか記録されておらず(なお番号非開示の場合,相手方は不明となる),Mの携帯電話の通話明細書からは本件脅迫電話の裏付けが得られなかった。一方,(b)原告の携帯電話の通話明細書(本件携帯発信履歴)によって,11月5日当時,同電話からは,M供述の本件脅迫電話に該当する1分を超える長い通話はなされていないことが確認された。 c そこで,L巡査部長は,12月13日ないし14日Mを取り調べ,本件携帯発信記録を示して,本件脅迫電話は11月5日とは違う日ではなかったかと確認したところ,Mは,上記日にちが間違いであるとの明確な供述こそしなかったものの,動揺してしまい,困ったな,どうしてだろうという反応を示し,また「どうしてなんだろう,どうして出てこないんだろう」「なぜ発信履歴で証明されないのかな」等と供述するなど,その供述態度にもぐらつきが見られた。 しかし,L巡査部長は,以上の取調内容やMの動揺などについて取調調書等を作成せず,かえって,動転して自信を失った様子のMに,本件携帯発信履歴の裏付けがないからといって,供述が嘘になるわけではないので,事実,本件脅 長は,以上の取調内容やMの動揺などについて取調調書等を作成せず,かえって,動転して自信を失った様子のMに,本件携帯発信履歴の裏付けがないからといって,供述が嘘になるわけではないので,事実,本件脅迫電話が11月5日なら,供述に自信を持てばいいなどと言って励ました(当時動転していたことは,Mも証言するところである-平成16年10月12日付同証人調書7頁)。 d その後12月15日,G副検事は,別件事件の被疑者としてMを取り調べたが,別紙調書等目録9(本件調書9の内容の全文)のとおり,本件事件に関しては,(a)本件クラブ員の電話番号を記載した連絡名簿が原告にも配布されていること,(b)Sへのワン切りの件で,留守電に「おい,電話に出ろ。」等と吹き込まれるなど,原告から電話された経験があること,(c)本件クラブ室で一人で暖房をつけていた件などで原告から目をつけられ,その際本件帽子B’を取られたことなど,もっぱら本件事実の立証に資する点を尋問しただけであって,本件架電時期につき,たとえば後示②イbないしdの観点から,Mの供述等の一貫性や信用性に疑問を差し挟む余地があるか否かなどの点に関しては,格別取調をしなかった。そして,Mは,12月16日家裁に送致された。 e ところで,前示b(b)の事実は,12月14日又は15日,警察官からG副検事に連絡された。その正確な時期は不明であるが,(ア)これが上記dの取調の前だったとしても,同副検事は,この点を重視しておらず,本件架電時期に関しては,上記dの取調をしただけで,本件携帯発信履歴に本件脅迫電話に該当する通信記録がない点について,Mに格別確認をしなかった。また,(イ)上記連絡が上記dの取調後だったとしても,同副検事は,この点を後でMに再確認したりしなかった。 f その後12月20日,警察官らは,更に 記録がない点について,Mに格別確認をしなかった。また,(イ)上記連絡が上記dの取調後だったとしても,同副検事は,この点を後でMに再確認したりしなかった。 f その後12月20日,警察官らは,更に原告の自宅の電話の通話明細書の差押を裁判所に請求し,同日その明細書(本件自宅発信履歴)を入手したが,これにも11月5日頃には,本件脅迫電話に該当する発信の記録はないことが確認され,その頃G副検事に連絡された。 しかし,G副検事は,やはりこの事実を重視せず,本件発信履歴に本件脅迫電話の記録がないことが問題になる可能性を意識しながらも,本件架電時期の確実性をMに再確認するなどの捜査は行なわなかった。結局,同副検事は,本件脅迫電話には他人の携帯電話や公衆電話の使用も考えられるとの判断に基づき,上記の点につき再捜査をしないまま,本件意見提出をし,Z検事が本件家裁送致の手続を取った。 g 一方,Mは,上記cで,本件携帯発信履歴に本件脅迫電話に該当する通話記録がないのを知って著しく動揺していたが,後示⑦のとおり,このままでは不利になると考え,自発的に本件電話供述の変更を決意し,前示アのとおり,12月28日の別件事件の審判期日以降,10月前半に本件脅迫電話を受けた旨の本件変更供述2を始めるようになった。 ② 次に,本件供述変更2について検討する。 アまず,同供述変更の内容をみるに,(a)本件供述等での本件電話供述は,本件供述2(3),6(2),7(3),8(3),本件被害届,本件上申書にあるとおりであって,11月5日金曜日の午後6時15分頃,例会に出るため本件会館に着いた頃,携帯電話にかかってきた本件脅迫電話を受けたというものだったところ,甲130,150の1,2によれば,(b)Mは,前示①アbの本件保護事件の証人尋問において,「10月の初め ため本件会館に着いた頃,携帯電話にかかってきた本件脅迫電話を受けたというものだったところ,甲130,150の1,2によれば,(b)Mは,前示①アbの本件保護事件の証人尋問において,「10月の初めかそこら」ないし「10月の10日くらい」に,友人のXが入院していた昭和病院でUらと車椅子で遊んでいるときに本件脅迫電話がかかってきたと,上記(a)より約1か月近く前の時点において,別の場所で電話を受けた旨を供述するようになり,更に,(c)前示①アc,dの別件民事訴訟では,場所は同一ながらも,ワン切りの一件の後で,かつ例会のあった日であるから,10月13日水曜日ということになる,ただしこの日は例会には出なかったと,更に日付を訂正する旨の供述をしているところ,(ア)本件脅迫電話は,本件事実の構成要件たる脅迫行為に当たるだけでなく,(イ)本件供述等を精査しても,原告からの約10回の恐喝被害中,3万円の要求は,その1回だけなのが前提となっていることが明らかであって,他に現金3000円の本件喝取に結び付くだけの脅迫行為の存在を窺わせる部分はない。 したがって,以上によれば,本件脅迫電話の事実は,法律上も実質上も本件事実の重要部分を構成するものであって,本件供述変更2は,このような重要部分の変遷に当たると認めるのが相当である。 イそこで,本件供述変更2に合理的理由があるか否かについて検討するに,以下のとおり,同供述変更は,極めて合理性に乏しいといわざるを得ない。 a すなわち,Mは,本件供述変更1と同じく,同供述変更2の理由についても,前示①アa以下のとおり供述等しているものの,これを採用できないことは,前示①エ,オに判示したところから明らかである。 b のみならず,本件電話時期の変更は,本件供述等の中核的部分に関して,以下のとおり,単なる供 とおり供述等しているものの,これを採用できないことは,前示①エ,オに判示したところから明らかである。 b のみならず,本件電話時期の変更は,本件供述等の中核的部分に関して,以下のとおり,単なる供述の一部の変更に留まらない重大な影響を与えるものと評価することができる。 まず,本件供述変更2より以前のMの供述における本件脅迫電話と別件犯行との関係についてみるに,同供述では,結果的に前者が後者の要因となったというにととまらず,11月5日に本件脅迫電話があって,翌6日にクラブ室から本件ナイフを持ち出し,11月8日に別件犯行に及んだという,時期的に近接した一連の行動として供述されていると認められる(なお,Mは,捜査段階や別件事件の審判時では否認しているが,別件民事訴訟において,本件ナイフの持出しが別件犯行の計画的な準備行為だった旨も主張,供述している-甲150の1・30頁等)。 また,本件供述2,6,8,甲53によれば,Mは,要旨,(a)「本件脅迫電話が終わり,『どうして金を作ろうか。またアンジュンを脅すしかない。』と考えました。」「近いうちに機会を見つけて,Q君を脅して金を取ろうと考えていました。」(本件供述2(3)ほか,甲53・5項),(b)「別件犯行時,僕の頭にあったのは,原告から要求のあった3万円であり,『原告が最後にしてくれるなら,Q君から脅し取る金と自分の金を足して3万円作ろう。Q君から脅し取る金は,いままでのような額ではすまない。これまでのような脅しでは,Q君は拒むかもしれない。』と考え,」「『鉛筆の先を突きつければ,怖がって財布ごと渡すだろう。』と考えました。」(本件供述6(2)),(c)「別件犯行の際には,『原告から要求された3万円を3000円と聞き間違えたことにして,原告をごまかそう。』と考えました。それで って財布ごと渡すだろう。』と考えました。」(本件供述6(2)),(c)「別件犯行の際には,『原告から要求された3万円を3000円と聞き間違えたことにして,原告をごまかそう。』と考えました。それで,3000円だけを奪い取ったのです。」「その金は,原告から要求があれば渡すため,自分の財布の中にしまっておきました。」(本件供述2(4)ほか)などと,以上のとおり,(ア)本件脅迫電話を受けて思いつめていたことが,別件犯行に至ったほとんど唯一の動機であり,(イ)別件犯行の態様や強取した金額,あるいは事後の行動も,3万円を要求された同電話の内容に大きく影響されたものであるとの趣旨を供述している事実が認められる。 c しかるに,本件供述変更2によって本件脅迫電話が10月10日ないしその前後まで遡った結果,Mは,要旨,(a)「本件脅迫電話では期限を切られていなかったので,『貯めて,お金を作ればいいのかな。』とも考えたりしました。」(甲130・14項以下),(b)「本件脅迫電話の後,ショックは受けましたが,僕は,なんとかなるだろうと思っていました。相手も忘れてくれるんじゃないかなと思ったりして」(甲150の1・26頁),(c)「そのときは,MDのコンポを買うため,X君から借りた金が8万円かそこらあり,要求された3万円を払えばいいや,とも思っていた」(同号証26頁以下)などと,上記b(ア)とは,まったく隔絶した内容を供述するに至っている。 d そのうえ,Mは,本件供述変更2で,本件脅迫電話の時期を1か月近くも遡らせながら,10月中旬以降も原告から複数回金員を喝取され,かつその際には3万円を出せという要求はなかった旨を述べており(甲150の1・2,189・58項以下),この点は本件供述等でもほぼ同趣旨であるが(前示ア(イ)),これでは,原告は,(ア)本件 され,かつその際には3万円を出せという要求はなかった旨を述べており(甲150の1・2,189・58項以下),この点は本件供述等でもほぼ同趣旨であるが(前示ア(イ)),これでは,原告は,(ア)本件脅迫電話で「3万円作ってこい。親の小切手でも作ってこい。」などと特定の金額や金員の捻出方法をあげてMを脅していたにもかかわらず,その後,本件喝取以前の恐喝行為においては,あたかも自分の上記脅迫内容を忘れたかのように,これにはるかに及ばない金額を喝取するだけで満足していたのに,(イ)本件脅迫電話から1か月近くも経ってから,「違うやろう。とぼけんのもいい加減にしろ。」などと,急に思い出したかのように,再度3万円の要求を持ち出してきたことになるし,(ウ)Mの側においても,上記(ア)のような経過であったにもかかわらず,11月10日の3万円の要求の前になると,あたかもこれを予期していたかのように,11月6日に本件ナイフを持ち出し,翌々日の8日に,本件脅迫電話で要求された3万円に関連する金額として,3000円をQから強取したという経過になるのであって,以上のような経過の変遷やあり得ないような両者の行動の符合は,到底真実とは評価できない。 ③ そして,本件供述変更3をみるに,これは,前示②アのとおり本件事実の重要部分を変更した本件供述変更2を撤回する内容であって,やはり供述の重要部分の変遷に当たると認められるが,甲150の2によれば,Mは,別件民事訴訟で,原告代理人から「本当はあなたの今の心の中でも,11月5日の午後6時15分に電話があったと思っておるんじゃないの。」と質問されたのに対し,「いや,それはないです。」等と,本件電話供述が明確な間違いである旨を断言していたのに,同訴訟の判決で,上記②と同様の指摘を受けて賠償を命じられた後に,上記供述を撤回し いの。」と質問されたのに対し,「いや,それはないです。」等と,本件電話供述が明確な間違いである旨を断言していたのに,同訴訟の判決で,上記②と同様の指摘を受けて賠償を命じられた後に,上記供述を撤回して本件供述変更3をしたものであって,まったく一貫性が認められず,容易に措信できない。 ④ 更に,Mの供述中には,以上のほかにも,軽微とはいえない矛盾,変遷が存在すると認めることができる。 すなわち,(a)従前Mは,本件供述7(2),同8(5)のとおり,11月10日の本件喝取の後も,本件帽子B’を喝取された11月19日金曜日の前の月曜日ないし水曜日の,Vが本件会館の階段踊り場で泣いていた日に,そのことにかこつけて,原告から1000円を喝取された旨を供述していたが(別件事件での供述も同様である-甲189・93項),(b)Vの供述(甲46)によれば,同女が泣いていた日とは,恋人と別れた11月9日の直後の同月10日頃の例会開催日だったことがほぼ確実な事実と認められるのであって,これでは,上記1000円の喝取は,本件喝取と同じ日の出来事になってしまう蓋然性が極めて高いと認められる(現に,Mは,本件保護事件以降,上記二つの喝取行為が同一日に実行されたと供述し始め,別件民事訴訟に至っている-甲130・41項,甲150の1ないし3)。 しかしながら,供述された内容からして,上記二つの喝取行為が同一日に併存していたとは容易に考え難いうえ,(c)本件供述3(6),同9(7)のとおり,Mは,「本件喝取の後は,金銭の要求は受けていない。」とか,「逮捕されなければ,本件喝取後も,金の要求が続いていたと思う。」などと,上記1000円の喝取を否定する趣旨の供述もしているのであって,以上の供述の変遷や客観的事実との矛盾は,不合理であり,また容易に軽微なものと ば,本件喝取後も,金の要求が続いていたと思う。」などと,上記1000円の喝取を否定する趣旨の供述もしているのであって,以上の供述の変遷や客観的事実との矛盾は,不合理であり,また容易に軽微なものと評価することができない(本件事実の「また作ってこい。」という脅迫文言にもかかわらず,同部分が恐喝既遂ではなく,前示第2の1(3)②のとおり未遂として家裁送致されたのは,上記1000円の喝取に関する担当検察官の最終的な判断が,上記(c)に沿う内容だったことを推測させるものである)。 ⑤ 更に,Mの畏怖の原因となるべき原告の経歴,性向等について検討する。 ア一般に,恐喝罪における脅迫行為が相手を畏怖させるに足りるものであるかについては,恐喝行為の内容・態様のほか,被害者の経歴や,恐喝者にこれを畏怖させるだけの前歴や優越的地位その他の人的属性が認められるかなどの点についても,十分検討のうえ,慎重に判断する必要があるといわねばならない。 イこれをみるに,(a)Mには,前示2(2)の非行前歴があり,両親の監督にも服しない状況だったうえ,(b)前示2(6)のとおり,原告から最初の恐喝を受けたとするより以前の8月13日から,遊興費を目的に,自分より年長で大柄なQへの恐喝を開始して,継続反復しており,その脅迫の態様も,家に放火する,昔の非行をばらすと脅すなど慣れた手口というべきである。また,(c)別件事件の経過をみても,前示2(7)認定のとおり,Mは,まず余裕をもって女友達と電話し,更にQに同女と話をさせてから犯行にかかっており,これに躊躇や反対に不慣れ等からくる焦りがあった様子も窺えない。更に,本件ナイフの使用も的確であって,短時間でQの反抗を抑圧しており,以上によれば,Mは,けっして犯罪性向が低いとはいえず,現にQから「凶暴な男」と形容されている事実 焦りがあった様子も窺えない。更に,本件ナイフの使用も的確であって,短時間でQの反抗を抑圧しており,以上によれば,Mは,けっして犯罪性向が低いとはいえず,現にQから「凶暴な男」と形容されている事実が認められる。 ウしかるに,他方このようなMを恐喝したとされる原告の経歴をみても,Mを畏怖させるだけの相当の資質を有していたとは容易に認め難い。 すなわち,この点につき,Mは,原告を右翼やその関係者とつながりがあるかのように供述しているが(本件供述8(5),甲189・81項以下ほか),原告の経歴は,前示2(1)認定のようなものであって,Mの上記供述を裏付ける客観的証拠がないばかりでなく,Mが上記情報を聞いたとする丁(甲47)や他のクラブ員の供述等を精査しても,Mの供述に沿う箇所を見い出すことができないし,この点について,捜査機関による裏付け捜査が行なわれた形跡も見当たらないのである。 そのうえ,Mは,(a)前示2(4)のとおり,本件当時,同認定のような状況から,もっぱら原告との遭遇の場となっていた本件クラブの例会への出席を控えようとした形跡がないばかりか,(b)前示2(5)のとおり,原告宅で開かれたパーティーへの参加を希望し,Sが同宅にいるのを知りながら,同女の携帯電話にワン切りのいたずらを繰り返すなど,原告との接触を回避しようとした様子も窺えないのであって,以上は,真実Mが原告を畏怖していたとしたら,容易に考え難い経過といわねばならない。 エそうすると,そのほか甲130・25項,甲189・108項のとおり,Mの供述(本件供述等もほぼ同趣旨である)によっても,再三の恐喝時に,同人を畏怖させるに足りる暴行があったとも認め難い点も考慮すれば,本件では,Mが原告を畏怖するだけの相当な客観的状況があったとはいえないし,現実にMが原告 ぼ同趣旨である)によっても,再三の恐喝時に,同人を畏怖させるに足りる暴行があったとも認め難い点も考慮すれば,本件では,Mが原告を畏怖するだけの相当な客観的状況があったとはいえないし,現実にMが原告を畏怖していたとも認められない。 ⑥ したがって,以上のほか,本件ナイフのクラブ室内所在に関して,他のクラブ員の中に,同ナイフの存在に気づいた者がいた形跡もないなど,この点にかかるMの供述にも疑問がある点も考え併せれば,本件供述等を含むMの供述内容には,真実の体験を述べたものとしては,容易に考えられない不合理な供述の変遷や矛盾があるというべきであって,到底信用性がないと評価するのが相当である。 ⑦ 更に,本件供述変更2は,前示①オcのとおり,本件携帯発信履歴には,11月5日頃,本件脅迫電話に該当するような通話記録の存在しないことを知らされたMが,著しく動揺し,この点が発端となって自己の虚偽の供述が暴露されてしまうことへの焦りから,上記弱点を糊塗する意図で,みずから本件架電時期を変更してなしたものであって,Mは,最初に通信記録の欠如を知らされた12月13日ないし14日頃から,別件事件で本件供述変更2を開始した同月28日まで,ほぼ一貫して,上記のように容易に供述を変更し得る態勢にあったものと認めるのが相当である。 4 G副検事に関する任務懈怠の成否(1) 以上を前提に,原告が問題とする各行為の当時を基準として,G副検事に職務の懈怠等に基づく違法有責な不法行為が認められるか否かを判断するに,次項以下のとおり,(a)同副検事には,必要な捜査を怠って,違法に本件意見提出をなし,これに基づき,Z検事をして本件家裁送致をさせた任務懈怠が認められるが,(b)本件供述変更1を隠蔽した事実は認められず,(c)本件延長の請求については,格別不法行為は成立 違法に本件意見提出をなし,これに基づき,Z検事をして本件家裁送致をさせた任務懈怠が認められるが,(b)本件供述変更1を隠蔽した事実は認められず,(c)本件延長の請求については,格別不法行為は成立しないというのが相当である。 (2) 本件意見提出に関する判断(前示第2の2(1)③エの主張について)① まず,少年保護事件における犯罪の嫌疑についてみるに,少年法42条前段による事件の家庭裁判所送致は,客観的な犯罪の嫌疑を要件とするところ,検察官が最終的に家裁送致相当の意見を提出した当時,現に収集された証拠資料及び,通常要求される捜査を遂行すれば収集し得た証拠資料に基づき,通常求められる合理的判断を行なえば,客観的には犯罪の嫌疑が認められないにもかかわらず,これを怠り,家裁送致相当の意見を提出して,事件を家庭裁判所に送致させた場合,当該意見提出は,国賠法1条1項上の違法有責な任務懈怠に該当すると解するのが相当である。 ② そこで,本件意見提出の前提となる証拠資料について検討するに,同当時,前示2(1)から(9)認定の各事実は,(a)同(4)のうちMが例会に頻繁に出席していた真の理由と,(b)同(5)のうちワン切りの件でMに架電した際,原告が相手はMなのを十分認識していなかった点を除き,いずれもG副検事に明らかになっていたと認めることができ,上記(b)の点も,前示2(3)第2段認定のとおりあだ名で呼び合うことになっていた本件クラブの実情からすれば,これを認識するのに格別の困難があったとは認められない。 また,前示3(1)②(a)(b)に判示したような本件帽子B’の管理状況や,同帽子と本件喝取との論理的関連性の欠如,同④認定の構成要件事実に関する客観的証拠の不存在や,同b,d認定のとおり本件ナイフのクラブ室内所在や原告のアリバイの存 したような本件帽子B’の管理状況や,同帽子と本件喝取との論理的関連性の欠如,同④認定の構成要件事実に関する客観的証拠の不存在や,同b,d認定のとおり本件ナイフのクラブ室内所在や原告のアリバイの存否に対する客観的裏付け捜査が欠落している事情も,G副検事には十分明らかだったと認めることができる。 更に,前示3(2)①オa,bの捜査の経過も,G副検事の当然知るところであり,同dないしfのMに対する取調の実情は,直接体験等して知悉していたと認められる(同cについては,後示⑥(ウ)に判示するとおりである)。 そして,(ア)前示3(2)②b,dに判示したMの供述の内容・特質,特に同d判示のとおり,本件架電時期が11月5日より一定以上遡及する場合には,関連するMの他の供述内容との間に矛盾,齟齬が生じる関係にあることや,(イ)前示3(2)④判示の現金1000円の喝取に関するMの供述に変遷,矛盾が存在している事実,(ウ)前示3(2)⑤認定の原告の経歴や,反対にMの犯罪性向等の事情も,G副検事には十分認識可能だったと認めることができる。 以上を前提に,次項以下,同副検事の任務懈怠の有無について検討する。 ③ ところで,一般に,少年事件や刑事事件等において問題とされる具体的な被疑事実や公訴事実は,背景となる事情を含めると,関連する複数の事実が複合して構成されているものであり,各事実の関係やその関連の仕方には,事件毎に特有の個性があるが,その中で一連の諸事実が特に強い論理的関連性を有する場合には,当該諸事実の中から一つの事実だけを切り離して,他の事実と自由に入れ替えることが困難な基本的制約の存在する場合がある。このように置換困難な事実の特別な論理的関連性は,当該事件に固有の構造と呼ぶことができるが,かかる事件固有の構造に注意を払い,捜査や少年審 由に入れ替えることが困難な基本的制約の存在する場合がある。このように置換困難な事実の特別な論理的関連性は,当該事件に固有の構造と呼ぶことができるが,かかる事件固有の構造に注意を払い,捜査や少年審判,あるいは刑事公判等で具体的に問題とされる個々の事実の内容・存否が,これに矛盾,背馳するものでないかを検討,判定することこそ,少年事件,刑事事件等に関与する法曹実務家に課せられた最大の責務の一つであって,少年事件の家裁送致や刑事事件の公訴提起の権限が検察官の独占するところとされている所以も,この点における法曹実務家としての能力発揮を期待してのことであると理解することができる。 上記を本件についてみるに,本件供述等を含むMの捜査段階の供述では,(ア)中学校高校が別々のMと原告との間には,両者のほとんど唯一の接点である本件クラブに関する場面において,継続的な恐喝行為が存在していたが,(イ)同恐喝中,本件喝取の特徴である現金3000円の被害と結びつくのは,本件脅迫電話での3万円の要求のみであって,それ以外は,9月10日頃あったという1万円の恐喝を除き,いずれもこれより少額の金員の要求だったとされているのであって(G副検事もかかる関係を認める-同証人調書27頁),(ウ)これらを前提とすれば,前示3(2)②イdのとおり,本件架電時期が11月5日よりも一定期間以上以前に遡及する場合には,Mの他の供述内容との間に矛盾,齟齬が生じる関係にあることを指摘できるが,以上の諸事情こそ本件事件に固有の構造であって,個々の証拠資料の評価に当たり最も注意を要する点の一つだったといわねばならない。 ④ 次に,本件供述等を含むMの供述の性格について検討するに,前示第2の1(2)の事実及び本件供述等の内容から明らかであるが,同供述等は,別件犯行で逮捕されたMが,捜査 だったといわねばならない。 ④ 次に,本件供述等を含むMの供述の性格について検討するに,前示第2の1(2)の事実及び本件供述等の内容から明らかであるが,同供述等は,別件犯行で逮捕されたMが,捜査過程で追及を受けて,(a)自己の別件犯行やその他のQに対する恐喝の大半が,原告から受けた別の恐喝被害を原因ないし縁由としており,(b)別件犯行で凶器として使用した本件ナイフも,原告の所持品を偶然持ち出しただけであるとの趣旨を述べるものであり,実際にそのような事実が認められれば,Mの刑責は大幅に軽減され,情状も良好なものとなる関係にあることが認められ,これを例えていえば,被疑者の被害者的立場に基づく供述ということができる。 ところで,一般に,いわゆる共犯者の自白は,補強法則との関係では,憲法38条3項所定の自白には該当しないものの,かかる供述は,自己の刑事責任の軽減を目的として,犯罪者が共犯者に責任転嫁を図る危険が構造的に高いため,信用性に問題があって,いわゆる疑わしい供述の範疇に属することは,裁判官,検察官その他の刑事裁判に関与する関係者らにとって公知の事実であり,事実認定の過誤防止のため,この種の供述の信用性を特に慎重に吟味する必要性のあることは,広く共通認識となっているところである。そして,前示のような被疑者の被害者的立場に基づく供述にも,同様の危険性が存在していることは明らかである。 したがって,かかる疑わしい範疇の供述については,一般に厳格な審査を行なうことが必要というべきであって,(ア)相応の客観的証拠の裏付けなしに,このような被疑者の被害者的立場に基づく供述を採用することは問題があり,また,(イ)このような供述に内容的矛盾や不合理な変遷が認められる場合には,それ以外の部分を含めた当該供述全体について,特に綿密に信用性を 疑者の被害者的立場に基づく供述を採用することは問題があり,また,(イ)このような供述に内容的矛盾や不合理な変遷が認められる場合には,それ以外の部分を含めた当該供述全体について,特に綿密に信用性を点検・検討する必要があるというのが相当である。 ⑤ これを本件についてみるに,(a)本件供述等を含む本件事件についてのMの供述は,上記④のとおり,別件犯行の被疑者であるMの被害者的立場に基づく供述と認められるが,一方で,前示3(1)④aないしc認定のとおり,(b)被害金員の存在等の本件事実1の構成要件自体や,(c)本件ナイフのクラブ室内所在のように密接な関連性の認められる事実につき,裏付けとなる客観的証拠がなく,(d)上記(b)(c)の事実や原告のアリバイの存否等の重要事項についても,警察の明確な裏付け捜査が行なわれていないことが認識できる状況であったと認められるが,以上は,G副検事が本件供述等の信用性を吟味するに当たり,慎重な注意を要請する事情だったということができる。 そして,(e)捜査過程において本件警察官らが重視していた本件帽子B’の存在は,本件事実1の客観的証拠とならないこと,(f)原告とMの間に,前者が後者を畏怖させるに足りる相応の人的関係が認められず,この点に関する客観的裏付け証拠の得られていないことは,それぞれ前示3(1)①②と同3⑤に判示したとおりであり,上記(a)ないし(d)とともに,G副検事にとって,Mの供述の信用性や,本件警察官ら捜査官の取調の結果を慎重に吟味する必要性の存在することを指し示す客観的徴憑であったと認められる。 しかるに,(g)前示3④認定のとおり,Mの供述には,本件喝取と密接な関連性の認められる現金1000円の恐喝被害に関して,けっして軽微とはいえない内容の変遷や客観的事実との矛盾が存在し れる。 しかるに,(g)前示3④認定のとおり,Mの供述には,本件喝取と密接な関連性の認められる現金1000円の恐喝被害に関して,けっして軽微とはいえない内容の変遷や客観的事実との矛盾が存在し,この点について直ちに合理的説明が困難だったのであるから,以上の状況において,G副検事には,この点及びMの供述のその余の部分について,裏付けとなる客観的証拠が存在するか否かを特に慎重に検討し,不十分な場合には,みずから又は他の捜査官をして,他の部分を含むMの供述の問題点につき,同人を再度取り調べるなどの補充捜査をなす必要があったと認めることができる。 また,(h)前示3(1)④b認定のとおり,本件ナイフの所持人の変転等に関するMの供述が特異な内容を含むものであることに鑑みれば,本件ナイフのクラブ室内所在を裏付けるに足りる客観的証拠の存在しないことは,同様に同供述は慎重な検討を要するとの懸念を抱かせる事情だったと認められる。 ⑥ 以上を前提に本件電話供述につき検討するに,同供述は,本件事実1の構成要件をなす本件脅迫電話の拠りどころとなる重要証拠であり,一方,前示③(ア)ないし(ウ)のとおり,本件事件固有の構造の下では,本件架電時期が11月5日より一定以上遡及する場合には,Mの他の供述内容との間に矛盾,齟齬が生じる関係にあることは見易い道理であるから,上記⑤判示の状況において,本件電話供述に対する裏付け証拠や逆にその存在に疑念を抱かせる証拠の有無は,G副検事にとり,本件意見提出の際,Mの再度の取調等を行なうか否かの判断に当たり,極めて重要な事情だったというべきである。 他方,通常,携帯電話を所持している若年者の場合,電話での連絡の大半がこれに依存していることは,一般に常識的な事柄であり,自己の携帯電話や自宅の電話に通話の記録がないという事 たというべきである。 他方,通常,携帯電話を所持している若年者の場合,電話での連絡の大半がこれに依存していることは,一般に常識的な事柄であり,自己の携帯電話や自宅の電話に通話の記録がないという事実は,それだけでは本件脅迫電話の存在を否定するに足りる事情とはいえないとしても,少なくとも捜査段階において,本件電話供述の信用性につき,特に綿密な点検・吟味を要請する事情だということができる。 しかるに,G副検事は,前示3(2)①オaないしf認定のとおり,(a)Mや原告の携帯電話本体に,本件脅迫電話に関する通話記録が保存されていないことを認識し,(b)12月15日M取調の前後に,本件携帯発信履歴中に,本件電話供述に沿う本件脅迫電話の存在を窺わせる通話記録の存在しない事実を,また,(c)12月24日の本件家裁送致前に,本件自宅発信履歴中にも,同様に本件電話供述に沿う通話記録がない事実を知らされたにもかかわらず,前示3(2)①オdのとおり,(ア)12月15日M取調の際には,本件架電時期につき,同人の供述等の一貫性や信用性に疑問を差し挟む余地があるかなどの点について格別の取調を行なわず,あるいは,(イ)同取調の後にも,本件架電時期の確実性につき,Mの再度取調などの捜査を行なわなかったうえ,(ウ)同副検事の証言や陳述書その他の証拠等を精査しても,Mを取り調べたL巡査部長らに,前示3(2)①オcのような取調時のMの供述内容・態度やその著しい動揺の有無について確認した形跡も窺われないのである。 ⑦ したがって,以上⑤⑥のほか,Mの供述には,当初,(a)本件ナイフは,本件クラブの金髪の名前を知らない先輩に返したと,原告と容貌等の異なる別の人物をあげていた点で変遷があり,(b)本件クラブに入った後の9月下旬以降,原告に恐喝被害を受けたため,Qへの恐喝 ナイフは,本件クラブの金髪の名前を知らない先輩に返したと,原告と容貌等の異なる別の人物をあげていた点で変遷があり,(b)本件クラブに入った後の9月下旬以降,原告に恐喝被害を受けたため,Qへの恐喝を開始したと,明らかに客観的事実に反する供述をしていたなどの点も考慮すれば,G副検事には,本件事実1に基づく本件意見提出の時点において,上記⑤(g)及び⑥の諸点,特に本件脅迫電話の存否や本件電話供述の信用性につき,直接又は間接に,Mを本件事件の参考人として再度取り調べ,少なくとも本件電話供述に関する同人の供述内容や態度に十分な一貫性が確認されない限り,家裁送致相当の意見の提出を差し控える義務があったと認めるのが相当である。 しかるに,G副検事は,上記⑥(ア)ないし(ウ)のとおり,検察官として通常なすべき捜査を怠り,本件意見提出を行なったのであって,同意見提出は,その職務上の注意義務を怠る違法有責なものであったといわねばならない。 ⑧ そして,前示3(2)①オc,g,同3(2)⑦認定のとおり,当時Mには本件架電時期に関する著しい動揺が存在し,容易に本件電話供述を変更し得る状況にあったなどの事情の下では,G副検事が上記捜査を実施していれば,本件電話供述の内容や供述態度には容易に一貫性が認められないことが判明する状態だったと認めるのが相当であり,本件家裁送致の結果につき回避可能性も認められるから,被告Aには,国賠法1条1項に基づき,同副検事の前示任務懈怠による原告の損害を賠償する責任があるというべきである。 (3) 本件供述変更1の隠蔽に関する判断(前示第2の2(1)③ア,イの主張について)12月16日の別件事件の家裁送致以前に,Mに本件供述変更1の事実が認められないことは,前示3(2)①冒頭判示のとおりであり,その余の点につき検討するまで 示第2の2(1)③ア,イの主張について)12月16日の別件事件の家裁送致以前に,Mに本件供述変更1の事実が認められないことは,前示3(2)①冒頭判示のとおりであり,その余の点につき検討するまでもなく,原告の上記主張は,前提を欠き採用することができない。一方,当時本件架電時期に関するMの供述内容・態度に著しい動揺が認められたことも同判示のとおりであり,これがG副検事の別の任務懈怠を肯定せしめる基礎事情の一つとなることは,上記(2)に判示のとおりである。 (4) 本件延長請求に関する判断(前示第2の2(1)③ウの主張について)同請求をなした12月16日当時,G副検事は,(ア)前示(2)⑥(a)(b)のとおり,Mや原告の携帯電話に本件脅迫電話関係の通話記録が保存されておらず,本件携帯発信履歴中に同脅迫電話の存在を窺わせる通話記録の存在しない事実を認識していたと認められ,また,(イ)前示3(2)①オcのとおり,本件電話供述に関するMの供述内容等には著しい動揺が認められたが,他方,(ウ)前示(2)⑥(c)の本件自宅発信履歴中の通話記録の不存在は,前示3(2)①オfのとおり12月20日以降に同副検事に連絡されたのが明らかであって,この点を考慮すれば,本件延長請求当時,いまだ同副検事に前示(2)⑦と同等の捜査をなすべき職務上の義務があったとは認められない。 したがって,本件延長請求に関する原告の主張は,前提を欠き採用できない。 5 本件警察官らに関する任務懈怠の成否(1) 同警察官らの行為については,次項以下のとおり,(a)本件逮捕につき,格別任務懈怠は存在せず,(b)本件供述変更1を隠蔽した事実もないと認められるが,(c)J警部補の12月10日取調と14日取調については,その客観的経過を明確に認定することができず,結局立証責任の適用の 務懈怠は存在せず,(b)本件供述変更1を隠蔽した事実もないと認められるが,(c)J警部補の12月10日取調と14日取調については,その客観的経過を明確に認定することができず,結局立証責任の適用の結果,不法行為の成立は認められないとの結論に帰着するというのが相当である。 (2) 本件逮捕に関する判断(前示第2の2(1)②アの主張について)同逮捕の基礎となった本件供述等は,前示3,4認定のとおり,現在客観的にみて信用性がなく,その内容を真実と認めることはできず,I警部補が12月3日報告書に記載した原告の本件ナイフの所持等についても,これを認めるに足りる証拠は存在しないというべきである。 しかしながら,本件逮捕の請求時点において,Mの供述の信用性を疑わしめるに足りる前示各証拠が本件警察官らに明らかだったとは認められず,同人らに具体的な任務懈怠があるとまではいえないから,この点に関する原告の主張は,直ちに採用できないというのが相当である。 (3) 本件供述変更1の隠蔽に関する判断(前示第2の2(1)③ア,イの主張について)前示4(3)判示の内容によれば,本件警察官らとの関係においても,本件供述変更1の隠蔽をいう原告の主張が前提を欠くことは明らかであり,同主張は,容易に採用することができない。 (4) 12月10日取調及び14日取調に関する判断(前示第2の2(1)②イの主張について)① この点につき,まず原告の供述をみるに,同供述中には,上記取調に関し, (a)J警部補は,「やったんだろう」と決めつけて,自分の弁解にまったく耳を傾けてくれず,(b)弁解に疲れて,下を向いていると,「なんで下向いているんや」と言われ,顔を上げると,今度は「なんでにらんでおるんや」と言われて,困惑したまま下を向いていた,(c)手錠は外されたが, てくれず,(b)弁解に疲れて,下を向いていると,「なんで下向いているんや」と言われ,顔を上げると,今度は「なんでにらんでおるんや」と言われて,困惑したまま下を向いていた,(c)手錠は外されたが,両手は,紐で前に結わえられて,パイプ椅子に縛られており,体がすごく痛くなって動くと,「動くな」と言われた,(d)同警部補は,大声ではないが,すごく威圧感のあるしゃべり方で,二人の間にはまったく会話のない状態が続いていた,(e)別の日には,「お前に良心はないのか」「お前の親は,『やったと言って,さっさと出て来い』と言っている」「お前がやったと言えば,すぐ出してやる」などと,同警部補から凄みのあるしゃべり方で言われたとの部分がある。そのほか原告の供述中には,その他の捜査に関し,(f)本件逮捕時には,パジャマ姿のまま連行された,(g)12月6日は,1日中手錠をかけられたまま取調を受けた等の部分があり,甲151にも同趣旨の部分がある。 しかしながら,原告の供述中の他の部分を検討すると,上記(f)の部分は,むしろ真実に反する内容であると認められる。また,甲85,88によれば,本件延長の前後には,原告代理人から,12月16日付で多治見簡易裁判所及び岐阜地方裁判所宛に上申書と準抗告申立書が提出されて,その中で警察官の取調につき種々抗議がなされている事実が認められるが,上記書面の中にも上記(g)の内容に沿う記載は見い出すことができない。 したがって,以上によれば,原告の上記供述等には,時間の経過や被害感情等に基づく記憶の変容などが存在していると認めるのが妥当であって,直ちにこれを全面的に採用することは困難である。 ② 一方,甲36,37,52,72,73,95,129など本件事件の過程で録取された原告の供述調書を検討すると,本件事実1 認めるのが妥当であって,直ちにこれを全面的に採用することは困難である。 ② 一方,甲36,37,52,72,73,95,129など本件事件の過程で録取された原告の供述調書を検討すると,本件事実1に関しては,本件逮捕直後に,本件ナイフも本件喝取も知らないなどの内容が録取されているだけで,前示3(1)④掲記のように通常なら捜査の対象となる事項に関してもほとんど記載がないと認められるが,その事情につき,J警部補は,原告のアリバイ等については聞いたはずであり,本件喝取時の行動も聞いたが,答えなかった,僕はやっていませんと言うだけだったなどと供述している。 しかしながら,甲95によれば,原告は,本件延長直前の12月15日,G副検事に対し,「私は今,身柄を拘束されていますが,今回の事件について,白黒をはっきりさせたいと思っていますので,白黒をはっきりさせるためなら,もうしばらく身柄を拘束されても仕方がないと思っています。」と,勾留延長を受けてでも明確な取調がなされるよう求める旨の供述までしているのであるから,J警部補の証言のように,アリバイ等の点について同警部補が具体的質問をしたにもかかわらず,原告が一方的に供述を拒否するという状況だったとは容易に考え難い。この点に関しては,本件警察官らから具体的な質問等がなかった旨をいう原告の供述の方に,むしろ信用性があると認めるのが妥当である。 ③ したがって,以上の事実のほか,前示第2の1(2)(3)の各事実,前示2(8)ないし(10)認定の事実,甲10,14,36,37,52,57,72,73,95,129,149,証人Jの証言,原告本人尋問の結果を総合すれば,12月10日取調・14日取調前後の原告に対する本件警察官らの捜査等の実情は,以下のようなものだったと認めるのが相当であり,証人Jの証言, 9,149,証人Jの証言,原告本人尋問の結果を総合すれば,12月10日取調・14日取調前後の原告に対する本件警察官らの捜査等の実情は,以下のようなものだったと認めるのが相当であり,証人Jの証言,原告本人の供述のうち,この認定に反する部分は,直ちに採用することができない。 ア 11月29日,別件犯行によって逮捕されたMは,12月1日から本件事実等の供述を開始し,これに基づき,同日原告の自宅の捜索が行なわれ,同人の居室から本件帽子B’が発見された。 原告は,(a)上記捜索の当初,捜査員に対し「M…誰や…知らん」などとしゃべり(甲10),(b)同帽子はMからもらったものだとの旨を供述し(甲36ほか),(c)J警部補及びG副検事の尋問に対し,Mには電話したことがなく,同人の電話番号も知らないなどと供述した(甲62,95)。また,(d)原告は,Tに対し,本件帽子B’はMからもらったものであることについて,証人となるよう依頼していた。 イ実際には,原告は,前示2(3),後示6(3)②イのとおり,あだ名で呼び合っていた本件クラブの実情から,上記ア(a)の際,とっさにMの本名を思い出せなかっただけであって,同日,直後に行なわれた本件帽子B’の任意提出手続時には,交付を受けた相手方を思い出し,同帽子の処分意見についてはMに聞いてもらいたい旨を述べていた(甲14)。また,上記ア(c)については,前示2(5),後示6(3)②イ認定のとおり,原告の記憶の中では,ワン切りの件でMの携帯電話に架電した際の出来事は,Mという同人の本名とは強く結び付いていないにすぎなかった。 しかし,当時本件クラブにおける上記実情等を正確に認識していなかった本件警察官らは,原告が故意にMとの関係を否認しようとしているもの とは強く結び付いていないにすぎなかった。 しかし,当時本件クラブにおける上記実情等を正確に認識していなかった本件警察官らは,原告が故意にMとの関係を否認しようとしているものと考え,Mの供述もあって,前示ア(a)ないし(d)の原告の供述や行動を,その犯人性を示す有力な証拠であると捉えていた。 ウまた,原告は,本件事実1や他の恐喝については,当初から一貫して,これを否定していたが,本件警察官らは,上記イの事情やMの供述から,原告の犯人性を確信する先入観を抱いており,他方Mは素直に真実を供述していると考えていたため,原告の上記供述を信用しなかったばかりか,Mの供述態度と比較して,原告の方は,虚偽の供述によって,その責任を逃れようとしているものと考え(平成16年12月7日付J証人調書12頁),これに強い不信感を抱いてその取調に臨むようになり,「やったんだろう」「ナイフはどこだ」などの概括的な質問は行なっても,たとえば,(a)本件喝取があったとされる11月10日の本件クラブの例会の開催時間帯や参加者,(b)同日の原告のアリバイの有無,(c)11月5日に本件脅迫電話をかけたか否かなど,通常なら捜査上問題とされるような事項についても,具体的な質問や確認を行なわなかった。 エかかる状態で,J警部補は,12月10日取調及び14日取調を行なったが,上記ウのとおり,原告に対する不信感等から,その言い分をまったく信用せず,「良心はないのか」「素直になれ」などと,もっぱら本件事実1を認めない原告を非難する態度を示していたが,その反面,たとえば本件喝取があったとされる当時の原告の行動など,本件事実1に関連する客観的事実について,個々に事情を聴取することなく,逆に原告が同事実1を認めることもなかった。そ を示していたが,その反面,たとえば本件喝取があったとされる当時の原告の行動など,本件事実1に関連する客観的事実について,個々に事情を聴取することなく,逆に原告が同事実1を認めることもなかった。そのため,両日とも取調中は,双方が無言で過ごす時間が長く続き,調書も作成されなかった。 ④ 以上認定の事実に基づき検討するに,J警部補は,原告が犯人であるとの予断を抱いて12月10日取調と14日取調に臨んだ可能性が高く,実際の取調状況も,事案の真相解明という点からは,けっして適切なものではなかったと認めることができる。 しかしながら,一般に,捜査官が犯罪事実の存否や被疑者の犯人性について,間違った観念を抱いていたとしても,それが内心のものに留まる場合は,まったく不必要な取調等を行なったなどの特段の事情が認められない限り,格別の不法行為を構成するものではないといわねばならない。本件において,J警部補の上記予断は,適正な捜査の実施を求める捜査規範等との関係では問題があるが,上記特段の事情を認めるだけの証拠はなく,もっぱら同警部補のした取調の客観的態様いかんを検討することが重要である。 他方,J警部補がMに対してした取調の客観的な態様・方法・内容が違法なものといえるか否かは,その程度に大きく依存する問題であるところ,12月10日取調についても14日取調についても,ビデオテープその他による取調経過の客観的記録化はなされていない。そのため,現在同警部補が上記③エ認定のような発言を行ない,同認定の状況で取調をした事実は認められるものの,これが適法な捜査としての限度を超えた違法なものといえるかは,なお不明であるといわねばならない。 そうすると,上記各取調の違法性については,真偽不明といわざるを得ず,結局立証責任の点から,原告の主張は認め 査としての限度を超えた違法なものといえるかは,なお不明であるといわねばならない。 そうすると,上記各取調の違法性については,真偽不明といわざるを得ず,結局立証責任の点から,原告の主張は認められないというのが相当である。 6 当事者の主張に対する判断(1) 以上の認定に対し,被告Aは,まず本訴の弁論準備手続終結後に追加された,原告のアリバイや本件ナイフのクラブ室内所在,あるいは11月10日の例会の開催状況についての捜査を尽くさなかった点についての過失に関する主張は,時機に遅れた攻撃方法であって許されない旨を主張しているので,この点から検討するに,現在捜査機関が上記諸点の捜査を尽くしていたと認めるに足りる証拠はなく,被告Aも,かかる捜査につき,法律上その必要性がないことを中心とする主張を展開している(前示第2の2(2)③イe)。 したがって,原告主張の上記諸点について,更に格別の証拠調が必要な状態にあるとは認められず,同主張により本訴の終結が遅延するとは考え難いから,これを不許とする必要性はないというのが相当であって,被告Aの前示主張は,直ちに採用できない。 (2) 次に,(ア)被告らは,(a)Mの本件供述等が一貫しており,内容も具体的かつ詳細であること,(b)当時15歳のMが,18歳と年上の原告を陥れることは通常考えられないこと,(c)本件決定でも同人の供述に信用性が認められていることなどの事情をあげて,本件供述等の真実性及び本件事実の存在を主張し,更に,(イ)被告Aは,同様の事情を基礎として行なったG副検事の本件意見提出には具体的な任務懈怠が認められない旨を主張している。 ① しかしながら,本件供述等を含むMの供述が虚偽の内容であることは,前示3(2)②③のとおり,同人が現在までに本件供述変更2,3をなし,合理的な 具体的な任務懈怠が認められない旨を主張している。 ① しかしながら,本件供述等を含むMの供述が虚偽の内容であることは,前示3(2)②③のとおり,同人が現在までに本件供述変更2,3をなし,合理的な理由もなく供述内容を変転させている点から明らかであって,被告らの上記(ア)の主張は,容易に採用できないといわねばならない。 したがって,被告ら主張の上記(a)ないし(c)の事情は,本件意見提出時のG副検事の任務懈怠の存否にのみ関連する事項だというのが相当である。 なお,本件架電時期に関するMの供述の変更,変遷につき,被告Aは,前示第2の2(2)③アcのとおり,本件電話供述に変遷が認められたとしても,本件架電時期を10月下旬頃ないし11月初旬頃と広く訂正すればすむと,同変更等の重要性を否定する趣旨の主張をしているが,前示4(2)③判示の本件事件固有の構造を等閑視するものであって,容易に採用できない。 また,被告Bは,前示第2の2(3)③エのとおり,本件供述変更2は,原告代理人の不当な追及により,Mが錯誤に陥ってなしたものであり,実際は,同人の供述にはなんらの変遷も存在しない旨も主張しているが,同供述変更の経緯は,前示3(2)①オ冒頭(c)のとおりであって,Mは,まず別件事件の審判期日において,自分の付添人や裁判官からの質問に答えて自発的に本件電話供述を変更しているのであるから,被告Bの上記主張も,前提を欠き,容易に採用できない。 ② そこで,上記①第2段の観点から前示(a)の点について検討するに,一般に,供述の信用性を判断するに当たって,一貫性や詳細さといった要素を過度に重視することは安定性に欠ける危険な手法であって,経験則上容易にこれを支持することができないというべきである。一貫性を欠く供述やあいまいな供述を排斥することの って,一貫性や詳細さといった要素を過度に重視することは安定性に欠ける危険な手法であって,経験則上容易にこれを支持することができないというべきである。一貫性を欠く供述やあいまいな供述を排斥することの当否はともかく,少年事件や刑事訴訟等に携わる法曹実務家は,供述に具体性や詳細さが認められるからといって,安易にこれに信用性を認めるようなことは厳に慎まねばならない。 本件供述等を含むMの捜査段階の供述が,一般に疑わしい範疇に属するものであり,裏付けとなる客観的証拠が存在せず,少なくともその一部に軽微とはいえない矛盾や変遷があって,その信用性を慎重に吟味すべき状態にあったことは,前示4(2)④⑤のとおり,本件意見提出当時においても明らかだったというべきである。そのうえ,前示4(2)⑥のとおり,本件事件固有の構造にかかわる本件脅迫電話につき,裏付けとなる客観的証拠が得られず,本件電話供述の確実性,一貫性につき再検討を必要とする状況が生じていたのであるから,Mの供述の一貫性,具体性等を理由に,本件意見提出に関するG副検事の任務懈怠を否定できないというのが相当である。 また,本件決定は,上記の諸事情につき,十分な検討を行なっているとは認め難いのであって,その決定内容を尊重することはできず,前示(c)の主張も採用できない。 ③ 次に,前示(b)の主張についてみるに,前示4(2)④判示のような被疑者の被害者的立場に基づく供述の危険性は,被疑者が年少であるがゆえに否定されるものではなく,一般に15歳程度の者が年長の人間を陥れる危険が少ないという推論が成立するものではない。更に,Mは,前示2(6)(7)のとおり,年長のQに対する恐喝,強盗に出ている事情も認められるのであるから,少なくとも同人に関する限り,年長の人間を陥れる危険が少ないなどの が成立するものではない。更に,Mは,前示2(6)(7)のとおり,年長のQに対する恐喝,強盗に出ている事情も認められるのであるから,少なくとも同人に関する限り,年長の人間を陥れる危険が少ないなどの判断は,具体的事情に沿わない不適切なものというべく,被告らの上記主張も容易に採用することができない。 (3) 更に,被告らは,原告の供述には信用性がないことを根拠に,本件供述等に信用性が認められ,またG副検事に任務懈怠がないとの趣旨を主張しており,(a)原告は,本件事件後,Tに虚偽の供述を依頼し,口裏合わせを行なっていた,(b)前示2(5)第3段のとおり,Sに対するワン切りの件でMに電話していたのに,取調当初これを否定し,Mの電話番号も知らないと虚偽の供述をした,(c)上記電話の際,Mを叱りつけており,同人を恫喝し得る立場にあったなどの諸点を指摘して,自己に有利に援用している。 ① しかしながら,被疑者は,犯罪の嫌疑の不存在について証明責任を負うものではなく,本件供述等のMの供述に信用性が認められなければ,それだけで本件事実の嫌疑は否定されるのであって,原告の供述の信用性自体は,犯罪の嫌疑の消長に格別の影響を及ぼすものではないといわねばならない。被告らの主張は,原告の供述の信用性の欠如が示されれば,客観的証拠の有無や供述内容の一貫性などの点について検討を加えるまでもなく,Mの供述に信用性が認められるというがごときものであり,事件の積極証拠と消極証拠との差異を没却した主張であって,容易に採用できない。 ② そればかりでなく,そもそも被告ら指摘の上記諸事情は,本件事実自体に直接関連するものではなく,本件事件においてかならずしも重要な内容とはいい難いうえ,以下のとおり,これを個別に検討しても,直ちに,その前提事実が認められないか,原告の供述の信用性 は,本件事実自体に直接関連するものではなく,本件事件においてかならずしも重要な内容とはいい難いうえ,以下のとおり,これを個別に検討しても,直ちに,その前提事実が認められないか,原告の供述の信用性を全面的に喪失せしめるようなものではないというべきである。 アすなわち,まず本件帽子B’の授受に関し原告がTに証言を依頼した点について検討するに,甲149のとおり,別件民事訴訟においてMの反対尋問を経た証人Tの証言によれば,Tは,実際に本件帽子B’の授受の場に居合わせたという自己の記憶に基づき,原告に証人として証言することを承諾し,他のクラブ員にも同趣旨の説明をしたと認めるのが相当であって,原告ないしその関係者からTに偽証その他の不当な依頼がなされた事実を認めることはできないから,被告らの前示(a)の主張は,前提を欠くというべきであって,直ちに採用できない。 なお,Tの上記証言内容については,本訴で被告らに反対尋問の機会は与えられていないが,Tは,宣誓のうえ法廷で証言を行なったものであり,また別件民事訴訟の被告となったMは,自己の法的権利を防御するため,被告らと同等ないしそれ以上の熱意と真剣さで,十分な反対尋問を行なったと認められるから,同証言の内容については,その真実性を担保するに足りる十分な法的保障があると認めるのが相当である。 したがって,同反対尋問によっても否定することができないTの上記証言内容は,本訴においても,有効な証拠として採用することができると認められる。 イまた,原告が,当初捜査機関に,Mを知らないとか,その電話番号を知らないとか,同人に電話したことがないと述べた点については,(ア)前示2(3)認定のとおり,互いにあだ名で呼び合うのが通常だった本件クラブの状況や,(イ)原告が,同認定の ないとか,その電話番号を知らないとか,同人に電話したことがないと述べた点については,(ア)前示2(3)認定のとおり,互いにあだ名で呼び合うのが通常だった本件クラブの状況や,(イ)原告が,同認定の連絡表に記載されたMの電話番号を,自分の携帯電話に入力していたとまでは認め難いこと(携帯電話を常用している者にとって,携帯電話に入力している電話番号とそうでない電話番号との間には,極めて大きな価値の差があるというべきであって,原告が後者の電話番号を重要視していなかったとしても不合理ではない),(ウ)前示2(5)認定のワン切りに対する原告の叱責の電話は,極めて短時間のもので,事前にMが相手と分かってもおらず,同認定のとおり原告の認識に結びつきにくかったことなどの事情を考慮のうえ,適切な評価を行なう必要があるのであって,そのほか逮捕勾留という未経験の状況の中で,原告が十分な記憶を喚起できていたか疑問があるなどの点も考え併せれば,前示5(4)③イのとおり認定するのが適切であり,前示(b)の点は,いずれも原告供述の信用性を大きく損なうようなものとは評価できない。 ウそして,上記イ(ウ)の状況に照らしてみれば,前示(c)の点に関する被告らの主張も,容易に採用できない。 (4) そのほか,被告Aは,前示第2の2(2)③イaのとおり,G副検事の判断が経験則上,到底首肯できない程度の不合理なものでないかぎり,本件意見提出に違法性は存しない旨の主張も行なっているが,このような主張は,容易に採用することができない。 (5) 他方,原告は,(a)G副検事や本件警察官らによる本件供述変更1の隠蔽の事実を主張し,(b)本件意見提出以前の,本件逮捕や本件延長請求についても,上記捜査官らに過失がある旨を主張している。 しかしながら,前示のとおり本件供述等を含む よる本件供述変更1の隠蔽の事実を主張し,(b)本件意見提出以前の,本件逮捕や本件延長請求についても,上記捜査官らに過失がある旨を主張している。 しかしながら,前示のとおり本件供述等を含むMの供述は,全体として信用性に乏しいものであって,これに基礎を置く本件供述変更1の事実は,前示3(2)①のとおり容易に認めることができない。 また,検察官に前示4(2)③ないし⑥に判示のような高度の判断が求められるのは,少年事件の家裁送致など,捜査段階を通じ収集された全証拠に基づき,検察官として事件に関する最終的判断をなすべき段階に達していることが重要な前提となっているというべきである。本件で判明した全事情を総合しても,いまだ捜査途中の本件逮捕や本件延長請求の段階において,G副検事や本件警察官らに,なんらかの職務上の義務違反があったとは認めることができず,原告の上記主張は採用することができない。 (6) なお,事案の性質に鑑み,本件事件における捜査のあり方について,若干付言する。 我国では,戦後の一時期,一連の冤罪事件が発生し,(a)捜査官による被疑者の素行やそれに関する風評の過度の重視,(b)自白の獲得を捜査の最重要目標と位置付け,これに均衡を失した努力を払うなどの不当な姿勢や,その一方で,(c)事案の重要部分とそうでない部分の適切な区別を知らず,(d)客観的証拠の重要性にほとんど考慮を払わないなどの不適切な捜査が横行していることが,大きな社会的問題となった歴史が存在する。 本件の捜査においても,これと同様,原告や本件クラブの構成員の素行を悪くいうMやその母親の供述を軽信し(甲25,33末尾,本件供述8(5)),Mの供述の信用性に疑いを抱くべき諸事情が存在していたにもかかわらず(前示4(2)⑤⑥),本件事実と直接の関係を持 の素行を悪くいうMやその母親の供述を軽信し(甲25,33末尾,本件供述8(5)),Mの供述の信用性に疑いを抱くべき諸事情が存在していたにもかかわらず(前示4(2)⑤⑥),本件事実と直接の関係を持たない本件帽子B’の証拠価値を過大に評価し,あるいは捜査の一場面における原告の重要とはいえない発言に対し,均衡を失した証拠評価を行ない(前示(3)),事件を家庭裁判所へと送致するという不当な結果を生ぜしめたものであるが,警察・検察全体において,上記のような不適切な捜査への反省が徹底されたはずである点を勘案すると,数十年が経過した現在,これら冤罪事件と同様の問題が残存している事態に,当裁判所は強い憂慮を覚えずにはいられない。最終的に本件事件が上記冤罪事件と異なる結果に終わったのは,もっぱら原告が自白に至らなかったという幸運に基づくものにすぎず,捜査の本質において,両事件の間に根本的な差異は認められないのであって,関係諸機関には,本件保護事件における不処分決定という判断に目を奪われることなく,同様の事件の再発防止のために猛省を求めるものである。 特に,自白した被疑者と捜査官との間には,心理的距離の異常な接近という現象がみられる場合がままあり,これが自白内容の吟味の軽視等の問題につながることが従前から指摘されているが,本件でも,自白した(そのように捜査官が欺かれた)Mの供述の信用性を過大に評価したことが,捜査上重大な失敗だったことは明らかである。この点でも,警察・検察には,捜査官に対する組織的教育の必要性について再認識を求めねばならない。 そのほか,本件において,12月10日取調・14日取調に関する不法行為の成立が否定される結果に終わったのは,前示5(4)④判示のとおり,もっぱら取調過程が客観的に記録化されていないことに起因するものであ ほか,本件において,12月10日取調・14日取調に関する不法行為の成立が否定される結果に終わったのは,前示5(4)④判示のとおり,もっぱら取調過程が客観的に記録化されていないことに起因するものであるところ,捜査段階における黙秘権その他の被疑者の人権が高度の保護を要するものである点に鑑みれば,今後も同様の事態によって,疑いの残る捜査が違法の評価を免れることはあってはならないのであって,このような状況が放置されること自体,問題といわねばならない。かかる記録化の遅れた段階で,今後も疑問とされる捜査が繰り返されるのであれば,取調過程の記録化の措置を取らないこと自体が別の違法行為を構成する余地もあるというべきであって,被告Bなどに対しては,将来的な措置を含めた検討を要請するものである。 7 原告の損害(前示第2の2(1)④の主張について)本件事案の性質・内容や,本件家裁送致後の原告の身柄拘束期間その他の本件に現れた一切の事情を総合考慮すると,G副検事の前示任務懈怠によって原告が被った精神的苦痛に対する慰謝料は,60万円をもって相当と認めることができる。 また,本訴の提起,追行に要した弁護士費用のうち,10万円をもって,上記任務懈怠と相当因果関係のある損害と認めるのが適切である。 8 結論以上の次第で,原告の請求は,被告Aに対し,国賠法1条1項による損害賠償70万円及びこれに対する同被告に対する訴状送達の日の翌日である平成14年12月10日から支払済まで年5分の割合の遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,被告Bに対する請求は,すべて理由がない。また,仮執行宣言は,必要ではないから,これを付さないこととする。 岐阜地方裁判所多治見支部 り,被告Bに対する請求は,すべて理由がない。また,仮執行宣言は,必要ではないから,これを付さないこととする。 岐阜地方裁判所多治見支部裁判官夏目明徳被疑事実「原告は,Mから平成11年9月初め頃から金員を喝取している者であるが,平成11年11月5日午後6時15分頃,瑞浪市a町b番地のc公園区民会館にいた同人の携帯電話に電話をかけ,『3万円作ってこい。親の小切手でも作ってこい。今まで俺に払ってきたやろ。』等と申し向け,もし右要求に応じなければ,どのような危害を加えるかもしれない気勢を示して脅迫して,同人を畏怖させ,よって,同月10日午後6時25分頃,右公園区民会館において,同人から現金3000円を喝取したうえ,更に,『違うやろう,とぼけんのもいい加減にしろ。また作ってこいよ。』等と金員を要求したが,同人が右要求を応じようと強盗をし,警察に逮捕されたため,その目的を遂げなかったものである。」非行事実「原告は,平成11年10月10日頃,Mの携帯電話に電話をかけ,『3万円作ってこい。親の小切手でも作ってこい。今まで俺に払ってきたやろ。』等と申し向け,もし右要求に応じなければ,どのような危害を加えるかもしれない気勢を示して脅迫して,同人を畏怖させ,よって,同年11月10日頃,瑞浪市a町b番地のc公園区民会館において,同人から現金3000円を喝取したうえ,更に,『違うやろう。とぼけんのもいい加減にしろ。また作ってこいよ。』等と金員を要求したが,同人が前記要求に応じようと敢行した強盗事件により警察に逮捕されたため,その目的を遂げなかったものである。」 ,『違うやろう。とぼけんのもいい加減にしろ。また作ってこいよ。』等と金員を要求したが,同人が前記要求に応じようと敢行した強盗事件により警察に逮捕されたため,その目的を遂げなかったものである。」(以上の各事実のうち,原告の表記は,「原告」とし,その他の用字法は,原則として,判決本文中で用いるものに統一する)調書等目録(以下のうち,原告の表記は,あだ名によるもの以外,「原告」とし,その他の用字法は,原則として,判決本文中で用いるものに統一する) 1 平成11年12月1日付司法警察員Lに対する供述調書(甲27)(2)「僕は,ジュニアリーダーに入ってすぐに,Fからお金をたかられるようになり,お金をFに渡して,くさくさした気分からQ君から,僕がお金をたかるようになったのです。」(3)「11月10日の夕方,ジュニアリーダーの事務所のある建物の駐車場に面した外階段で,Fにナイフを渡しました。僕がナイフを持っていることをFに知られ,『俺のナイフや,返せ。』と言われ渡しました。そのとき,僕は,Fに財布の中に入れていた準一君から奪った3000円を渡しました。実は,僕は,Fから『3万円作ってこい。』と,たかられていたのです。」 2 平成11年12月1日付司法警察員Lに対する供述調書(甲28)(2) 「今年8月末頃,僕がジュニアリーダーに入ってすぐから,原告から恐喝を受けるようになりました。原告はD高校の3年生の先輩で,逆らうことはできませんでした。」(3) 「今年11月5日金曜日,僕は学校帰り,午後5時着の電車に乗って瑞浪駅に着き,しばらくU君たちと自転車置場で話をして,ジュニアリーダーの事務所に向かいました。午後6時のチャイムを聞いて15分くらい経ち,ジュニアリーダーの事務 は学校帰り,午後5時着の電車に乗って瑞浪駅に着き,しばらくU君たちと自転車置場で話をして,ジュニアリーダーの事務所に向かいました。午後6時のチャイムを聞いて15分くらい経ち,ジュニアリーダーの事務所のある建物に着いた頃,僕の携帯電話に非通知で電話がありました。電話の相手は,『おい,おまえなんで出んのや。』といきなり言ってきました。相手の声で原告であることが分かりました。」「僕は,原告に謝ると,『金貸してくれ。』と言われました。僕は,この言葉で,僕からまたたかる気だと分かりました。原告からは,『金くれ』と脅されることもあれば,『金貸してくれ』とたかられることもあり,これまで一度も返してくれたことはありません。それで嫌ですと断ったのですが,『なんで今日だけ断るんや。3万円作ってこい。親の小切手でも作ってこい。今まで俺に払ってきたやろ。』と次第に乱暴な口調になって僕を脅したのです。僕は,もう怖くなり,断り切ることはできませんでした。断れば暴力を受けるだろうと思いました。」(5) 「11月10日水曜日,学校帰りにジュニアリーダーの事務所に向かっていました。駅前にいるとき,午後6時のチャイムを聞いています。僕は,事務所に入る前,すぐ近くの駄菓子屋でコーラを買い,このとき鞄の中から財布を取り出し,鞄に入れていたナイフが目についたので,これを取り出して,僕が瑞浪駅から乗ってきていた自転車に付いていたブリジストンのシールを格好悪いと思い,このナイフで剥がしました。そして,そのまま折り畳んだ状態で手に持って,事務所がある建物に向かうと,入り口の階段のところに原告がいました。 僕と目が合うと,原告は,手招きをしたので,僕が近づくと,原告は,『なんで,そのナイフを持っとるんや,俺のナイフやろ。』と言いました。僕は,そのときになり, の階段のところに原告がいました。 僕と目が合うと,原告は,手招きをしたので,僕が近づくと,原告は,『なんで,そのナイフを持っとるんや,俺のナイフやろ。』と言いました。僕は,そのときになり,初めてそのナイフが原告の物と分かりました。原告は,僕の手からナイフを取りあげると,被っていた黒色のつば付きの帽子を左手に持ち,ナイフを右手に持って,ナイフを何回も帽子の中に放り投げて,いじっていました。」「原告は,『そういや,金は。』と僕に金を要求してきました。僕が黙って財布の中から千円札3枚,3000円を渡すと,『なんやこの金額は。3万円って言ったやろ。』と言ってきたので,『3000円じゃなかったですか。』と,とぼけると,『違うやろ,とぼけんのもいい加減にしろ。』と言われ,困ってしまって,なにも言い返すこともできずに,下をうつむいていました。すると,原告から『また作ってこいよ。』と言われ,僕は,そのまま逃げるように事務所に入って行きました。」僕は,駅前からのんびりと20分くらいかけて事務所まで行きましたので,原告に出会った時間が午後6時20分頃,それからやりとりがあって,金を渡したのは,午後6時25分頃だと思います。 僕の服装は,O高校の制服姿,上・紺色ブレザー,下・チェックのズボン。 原告の服装は,D高校の制服姿,上・緑色ブレザー,下・灰色ズボンで,原告の隣には,D高校指定の緑色の鞄が置いてありました。」(6) 「僕は,以前から原告に恐喝を受けており,原告に帽子を取られたこともあります。それは,11月半ばのことで,例会のあった日のことです。 僕は,その日学校をさぼって早退し,行くところもないのでジュニアリーダーの事務所に行きました。午後3時前に事務所に着くと,当然誰もおらず,僕は,鍵を開けて中に入りま 会のあった日のことです。 僕は,その日学校をさぼって早退し,行くところもないのでジュニアリーダーの事務所に行きました。午後3時前に事務所に着くと,当然誰もおらず,僕は,鍵を開けて中に入りました。そして,時計を見て,『3時か,まだ誰も来んから寝よ。』と思い,備付けのエアコンの暖房のスイッチを入れ,30分タイマーを設定して寝ていました。 すると,そこに原告がやってきて,『なんで勝手に暖房を使うんや。調子に乗るんやないぞ。』と文句を言われ,僕がそばに置いていた黒色つば付きカンゴールの帽子を原告が見て,『これ誰のや。』と聞かれ,僕のですと答えると,『よこせ。』と勝手に取り上げられてしまいました。僕は,おもしろくなくて,事務所を出ていきました。 これは30分のタイマーが切れる頃のことだったので,午後4時頃のことだと思います。 日付は,学校の早退の記録ではっきりすると思います。」 3 平成11年12月2日付司法警察員Lに対する供述調書(甲29)(4) 「僕がジュニアリーダーに入り,9月初め頃,原告から恐喝を受けることになったのです。 最初は,9月10日の金曜日の夜,例会の帰り,事務所の建物の裏で,僕がジュースを買うつもりで財布を開いていたら,原告に呼び止められました。原告は,僕の財布をのぞき込んで,財布の中に入れていた水色の薄い封筒を取り上げて,『なんやこれ』と言って中身を見られました。僕は,その中に,ラジコンのプロポを買うために1万円を入れていたのです。原告は,『けっこうな金持っとるやないか。これよこせ。』と言いました。僕は,当然嫌で,『これはだめ。』と言うと,原告は,僕の胸倉をつかんできました。僕は,怖くなったのですが,取り返そうと手を伸ばしたら,更に力を入れて胸倉をつかんできて,『なんやその手は。これは俺のもんや。』 然嫌で,『これはだめ。』と言うと,原告は,僕の胸倉をつかんできました。僕は,怖くなったのですが,取り返そうと手を伸ばしたら,更に力を入れて胸倉をつかんできて,『なんやその手は。これは俺のもんや。』と言ってズボンのポケットに封筒ごとしまってしまいました。僕は怖くて,それ以上どうすることもできませんでした。 日付については,翌日が学校が休みだった覚えですので,9月10日の第2金曜日と分かり,事務所は,午後8時まで借りてあり,いつも午後7時半頃帰りますので,午後7時半から8時までの間のことと思います。 そしてそれからは,目を付けられてしまって,何度もたかりを受けるようになってしまったのです。僕は,原告が怖くて,たかりを受けても逆らうことはできませんでした。」(6) 「僕が原告から受けた被害は,僕の財布の中身次第で,500円のときもありましたが,これまでに10回くらい,合わせて2万円くらいになると思います。反対に,僕がQ君から金をたかったのは,小さな額も入れると10回くらい,合わせて1万円くらいだと思いますが,僕が原告からの被害を覚えているように,Q君の覚えの方が確かだと思います。 僕は,原告から3万円を要求され,Q君から脅し取った3000円を渡して,僕の聞き違いとしてごまかそうとしましたが,原告は,『とぼけんのもいい加減にしろ。また作ってこいよ。』と脅してきましたので,僕がこうして逮捕されずにいたら,きっと原告から,その後も金の要求が続いていたと思います。」 4 平成11年12月3日付岐阜県K警察署長に対する被害届(甲31)「僕は,D高校3年生の原告に恐喝されています。11月5日に,原告が僕の携帯電話にかけてきて,『3万円作ってこい。』等と脅迫しました。恐ろしいので,Qを脅して金を用意しました。用意したのは3000 「僕は,D高校3年生の原告に恐喝されています。11月5日に,原告が僕の携帯電話にかけてきて,『3万円作ってこい。』等と脅迫しました。恐ろしいので,Qを脅して金を用意しました。用意したのは3000円でしたが,この金は,11月10日に原告に渡しました。この際には,『また作ってこい。』と言われ,更に金を要求されました。」 5 平成11年12月3日付岐阜県K警察署長に対する上申書(甲32)「僕は,D高校2年生の原告から何回も恐喝されていました。最初は,今年9月10日午後7時30分から午後8時までの間に,瑞浪市寺a町1043番地の2公園区民会館の東側駐車場で,僕の1万円入りの水色封筒を『俺によこせ。』などと胸倉をつかまれて脅され,僕は恐くなって封筒ごと1万円を取られてしまいました。それから何回も恐喝されるようになってしまいました。 今年11月5日の夕方,原告が僕の携帯電話にかけてきて,『3万円作ってこい。今まで俺に払ってきたやろ。』などと脅され,僕はQ君からナイフを使って奪った3000円を,今年11月10日午後6時25分頃までに,公園区民会館の正面入口のあたりで原告に渡しました。そのとき,ナイフも原告に渡しました。」 6 平成11年12月6日付司法警察員Lに対する供述調書(甲30)(2) 「僕が,今年11月8日の夜,Q君をナイフを使って脅し,3000円を奪ったことは,間違いありません。これは,今年11月5日に,以前から何度か恐喝を受けていた,D高校3年生原告から,『3万円作ってこい。』と脅されたので,これまで何回か僕が恐喝をした相手,Q君を脅して金を作ろうと考えていたところ,都合よくジュニアリーダーの事務所で,僕とQ君と二人きりになったのでやりました。」 7 平成11年12月7日付検察官Gに対する供述調書(甲93)(2) 「私 君を脅して金を作ろうと考えていたところ,都合よくジュニアリーダーの事務所で,僕とQ君と二人きりになったのでやりました。」 7 平成11年12月7日付検察官Gに対する供述調書(甲93)(2) 「私が最初に原告からお金を脅し取られたのは,9月10日の金曜日だと思いますが,私が1万円持っていたところ,『けっこうな金持っとるやないか。これよこせ。』などと言われ,1万円を取られました。それ以降,10回ほど原告から脅されて金を渡しています。 なお,11月初め頃,ジュニアリーダーの事務所の階段の踊り場に原告とVという高校1年生の女性がいたとき,私がそこへ行くと,原告が『ちょっと来い。』と言って,外へ連れて行かれ,そこで1000円を取られました。したがって,Vは,私が原告により外に連れて行かれるところを目撃していると思います。 (3) 私は,11月5日午後6時15分頃,ジュニアリーダーの事務所のある建物の中に着いた頃,私の携帯電話に原告から電話があり,『3万円貸してくれ。』と言われました。私は一旦断ると,原告は,『何で今日だけ断るんや。3万円作ってこい。親の小切手でも作ってこい。今まで俺に払ってきたやろ。』と次第に乱暴な口調となり,私を脅してきたのです。私は,これまで原告から胸元を持たれ,足の腿あたりを蹴られたことが何度もあったので,断ると同じような暴行を受けるかもしれないと怖くなり,3万円渡すことを了解しました。」(4) 「なお,私は,11月半ば頃の午後4時頃,ジュニアリーダーの事務所で,原告に帽子を取られたことがありますが,そのとき,事務所内には,私と原告だけで,ほかに誰もいませんでした。」 8 平成11年12月9日付司法警察員Lに対する供述調書(甲51)(1) 「原告とは,ジュニアリーダーに入ってから知り合い,今年9月から恐喝を受けるよう と原告だけで,ほかに誰もいませんでした。」 8 平成11年12月9日付司法警察員Lに対する供述調書(甲51)(1) 「原告とは,ジュニアリーダーに入ってから知り合い,今年9月から恐喝を受けるようになりました。最初に怖くて1万円を渡してしまってからは,僕は原告になめられてしまって,これまでに10回くらい合計2万円くらいを恐喝されています。僕にとっては,例会で原告に会うたびに恐喝されていたような印象です。」(2) 「最初の1万円の被害について,これまでに話しましたが,もう少し詳しく話します。それは,今年9月上旬の金曜日例会があった日の夜のことです。その翌日土曜日は,学校が休みだった覚えですので,9月10日と分かります。 その日例会が終わってから,僕が公園区民会館の東側裏口のあたりで恐喝を受けました。被害の時間は,午後7時30分から午後8時までの間と思います。僕は例会が終わって事務所を出て,公園区民会館の東側駐車場で,持っていた茶色の偽物のビトンの二つ折の財布から小銭を出そうとしていたら,後ろから原告に,『おい待て。』と呼び止められました。振り返った僕に原告が近づいてきて,『どこに行くんや。』等と聞かれ,僕が財布の中に入れていた1万円札1枚入りの薄い水色の紙封筒を見つけると,いきなり,『なんやこれ。』と取り上げてしまいました。原告は,その封筒を公園区民会館の窓明かりに透かして見て,更に封筒の中から1万円札を少し出して見ると,僕に,『結構な金持っとるやないか。これよこせ。』と言ってきました。僕は,『それ駄目やで,返してください。』と言って,原告が持っていた封筒をつかんだのです。すると,原告は,『なんや,その手は。離せ。これは俺のもんや。』と横目でにらんで凄んできました。それでも僕が封筒から手を離さなかったら,左手で僕の胸倉をつかんでき 告が持っていた封筒をつかんだのです。すると,原告は,『なんや,その手は。離せ。これは俺のもんや。』と横目でにらんで凄んできました。それでも僕が封筒から手を離さなかったら,左手で僕の胸倉をつかんできました。 僕は,原告に殴られるかもしれないと思い,封筒から手を離しました。原告は,そのまま胸倉をつかんで,『おい,おい。』と怖い口調で言ってきたので,僕は怖くて後ろに下がると,そのまま胸倉をつかんだ原告に押されるような形で,公園区民会館の裏口まで追い詰められてしまいました。そこで,原告が,『なんでや。』と凄んだので,僕は,もう怖くて仕方なく,『もういいです。』と答えると,原告は,封筒ごとズボンのポケットに入れてしまい,『誰にも言うなよ。』と脅して,建物の正面の方に歩いていきました。このとき,あたりには僕たちのほかに誰もいませんでした。 (3) 僕がQ君を強盗することとなった原告からの3万円の要求については,すでに話してあるとおりです。要求を受けたのは,今年11月5日金曜日午後6時15分前後,僕が例会に出るために事務所に着いた頃,携帯電話に原告から非通知で電話があり,金貸してくれとの要求に僕が断ると,『何で今日だけ断るんや。3万円作ってこい。親の小切手でも作ってこい。今まで俺に払ってきたやろ。』と乱暴な怖い口調で僕を脅しました。僕には『小切手』の意味がわかりません。ですが,『どうしても作ってこい。』と,その要求が強いものであることは分かりました。」「11月10日水曜日,僕が例会に出るために事務所に行くと,正面玄関にいた原告に呼ばれ,午後6時25分頃,3000円とナイフを渡したのです。」(4) 「次に,僕がカンゴールの帽子を脅し取られたことを話します。取られた帽子は,もともとは僕のお兄ちゃんの真士の持ち物だったのですが,お兄ちゃんが使っていな ,3000円とナイフを渡したのです。」(4) 「次に,僕がカンゴールの帽子を脅し取られたことを話します。取られた帽子は,もともとは僕のお兄ちゃんの真士の持ち物だったのですが,お兄ちゃんが使っていなかったので,僕が使っていたのです。帽子は,原告に取られた日の1週間くらい前の日曜日,U君と2人で事務所に入り込んで遊んでいて,そのまま事務所に置きっ放しになっていました。 取られた日は今年11月19日金曜日のことで,高校のマラソン大会の前日で,高校を早退した日です。僕は,午後から早退したのですが,家に帰っても暇でやることもないので,事務所に行けば誰かメンバーが来るだろうと思って,事務所に行きました。いつも午後4時30分頃から,メンバーが集まるのですが,僕は,午後3時前に事務所に着いたので,誰もいませんでした。そして,備付けのエアコンの暖房のスイッチを入れ,30分タイマーを設定して床の上に寝ていました。黒色の通学鞄を頭のあたりに置き,そばにカンゴールの帽子を置いていました。するとそこに原告がやってきて,起き上がった僕に,『なんで勝手に暖房を使うんや。調子に乗るんやないぞ。』と文句を言いました。 原告は,持っていたお菓子とジュースが入っていたローソンのビニール袋と,被っていた黒色つば付きの帽子を机の上に置きました。原告の帽子は僕がナイフを渡したときに被っていた帽子です。そして,僕のカンゴールの帽子に気がつくと,それを手に取り,『これ誰のや。』と聞いてきたので,『僕のです。』と答えると,『おい,よこせ。』と怖い口調で言ってきました。僕は,『駄目です。帽子あるじゃないですか。』と言うと,『もう知らん。』と言って被ってしまったので,僕は,怖くて,それ以上なにも言い返せなく,自分から事務所を出ていきました。原告は,他に人がいるときは僕を恐喝 目です。帽子あるじゃないですか。』と言うと,『もう知らん。』と言って被ってしまったので,僕は,怖くて,それ以上なにも言い返せなく,自分から事務所を出ていきました。原告は,他に人がいるときは僕を恐喝せずに,僕を呼び付けたりした2人きりのときに恐喝をします。僕は,原告と会うことが嫌で,そのときも2人きりだったので,逃げ出したくて事務所を出たのです。 これは,セットした暖房の30分のタイマーが切れる頃のことだったので,午後3時30分から4時までの間のことだと思います。 (5) 帽子を取られた日と同じ週の月曜日か,水曜日の例会にも1000円を恐喝されています。これは,ジュニアリーダーのメンバーのVさんが,階段踊り場で泣いていた日です。 僕は,いつものように,午後5時30分頃事務所に着き,例会が終わって皆が帰り出した午後7時を過ぎた頃,暇だったので事務所に置いてあった前回話した鉄パイプを持って,ぶらぶらとしていました。そして,外に出ようかなとしたら,1階と2階の階段の踊り場のところに,Vさんと原告がいました。Vさんは,そこに泣いて立っていて,原告となにか話していました。僕は,どうして泣いているのか気になり,『どうしたの。』と話しかけると,原告が,『ちょっと来て。』と僕に手招きをしたので,僕がついて行くと,1階のトイレの扉の前あたりで,原告が,『なんで泣いとるか分かるか。』と僕に言いました。僕は,『なにがあったの。』と聞くと,『Vは,キヨと別れたで泣いとるんや。』と言いました。 キヨとは,同じジュニアリーダーのメンバーのT君のことで,2人が交際していることは,メンバーは皆知っていました。原告は,『俺が直接,Vから情報を得たで,慰謝料ってどうやって書くかわかるか。』と聞いてきて,僕が分かりませんと答えると,原告は,『謝るという字に……』な ていることは,メンバーは皆知っていました。原告は,『俺が直接,Vから情報を得たで,慰謝料ってどうやって書くかわかるか。』と聞いてきて,僕が分かりませんと答えると,原告は,『謝るという字に……』なんとかと書いて等と教えてくれました。僕は,それでも慰謝料の意味は分かりませんでした。 その後で原告は,『ということで財布。』と言い,僕は財布を出してしまいました。財布を出してから,『やばい。たかりだ。』と気づきましたが,相手に乗せられてしまった形で財布を出したのです。原告は,『札見せろ。』と言いました。僕は,財布を出してしまったので,もう逃げれないと思い,自分で財布を開き原告に見えるようにしました。僕の財布の中身は,千円札3枚でした。原告は,『2000円くれ。』と要求しましたが,『それは勘弁してください。』と言うと,『じゃあ1000円でいいわ。』と言い,僕が『じゃあ,それで勘弁してください。』と言ったら,原告は,開いていた僕の財布から,千円札1枚を抜き取り,自分の財布にしまいました。」「僕は,それまで原告から恐喝されたとき,『釜戸の俺の連れは右翼やで,なめんなよ。』とも脅されていましたので,怖くて逆らうことはできませんでした。」「金を取られたのは,踊り場で僕が声をかけてから15分くらいした頃だったので,午後7時10分から20分の間のことと思います。」 9 平成11年12月15日付検察官Gに対する供述調書(甲94)(1) 「私は,9月半ば頃のジュニアリーダーの例会でメンバーの住所と電話番号と名前が入った連絡名簿をもらいました。その名簿には,私の電話番号も入っていますし,原告の電話番号も入っています。その名簿を配った例会には,原告も来ていました。というのは,私の右隣には,乙君が座っていて,その隣に原告が座っていたので覚えていますし ,私の電話番号も入っていますし,原告の電話番号も入っています。その名簿を配った例会には,原告も来ていました。というのは,私の右隣には,乙君が座っていて,その隣に原告が座っていたので覚えていますし,またその日は,大人の人が来ることもあり,全員が集まったからです。したがって,原告もその名簿をもらっているはずなので,私の携帯電話の電話番号は分かっていると思います。 原告から,私の携帯電話に電話があったのは,これまで2,3回ありました。1回は,3万円作ってこいという脅迫の電話で,他には名簿をもらった9月半ば頃,「丙と一緒にいるんだけど,例会始まってる。T君に電話したけど通じないので,電話した。己いるか。」などと電話してきました。 また,私の携帯電話の留守電に,9月半ばから9月終わり頃にかけて,原告から「おい,電話に出ろ。おい,殴られたいか。おい,殺されたいか。」などと入っていました。このことは,私がSさんに,ワン切りといって,電話をかけてすぐに切ることを繰り返していたときに留守電に入っていたので,そのときSと一緒にいる人からの留守電だと思い,次の例会のとき,Sさんに,留守電を誰がかけたか聞いたところ,原告だと言っていたので,原告からの電話だということが分かりました。 (2) 私は,これまでに10回ほど原告から脅されて金を取られていますが,そのように脅されるようになったのは,私がジュニアリーダーの例会の時間に遅れたり,作業を怠けたりしていたので,目をつけられたからではないかと思います。 (3) 私は,11月半ば頃,学校を早退し,午後3時頃ジュニアリーダーの事務所に行きました。事務所内には誰もいませんでした。私は,1週間ほど前から事務所に置いていた自分の帽子を鞄の上に置いて,それを枕代わりにして床の上で寝ていました。すると,午後4時頃 ニアリーダーの事務所に行きました。事務所内には誰もいませんでした。私は,1週間ほど前から事務所に置いていた自分の帽子を鞄の上に置いて,それを枕代わりにして床の上で寝ていました。すると,午後4時頃原告が一人でやってきました。なお,通常午後4時頃には,学校があるので,ジュニアリーダーのメンバーが事務所に来ることはなく,早くても午後4時半頃にならないと,メンバーが事務所に来ることはありません。私は,ドアの開く音で目が覚め,起き上がろうと肘を床につけると,原告が『なんで暖房つけとるんや。調子こいとるんやないぞ。』と言いました。それに対し,私は謝りました。 原告は,鞄の上に置いてあった帽子に目が止まり,『その帽子誰のや。』と聞いてきました。それに対し,私は,『僕のです。』と答えました。すると,原告は,『その帽子よこせや。』と言いました。私は,『いや。』と言いましたが,原告は,すでに帽子を手に持っていました。私は,『返して。』と言いましたが,原告は,『もう知らんわ。』と言ったので,もう仕方がないと思い,事務所から外に出ました。 (4) 私は,11月6日午後3時頃,ジュニアリーダーの事務所に行くと,事務所内には誰もいませんでした。暇だったので,なにがあるかなと思い,棚の引出しを開けていると,以前から棚の引出しに入っていることを知っていたナイフが目に止まりました。私は,そのナイフを持っていき,家で遊んだり,クラスの人に見せびらかしたり,万が一の護身用のため,そのナイフを持ち出すことにし,鞄の中に入れました。 そして11月8日午後9時40分頃,ジュニアリーダーの事務所内で,床に座っていたQ君に対し,私は椅子に座ったまま,その胸元に鉛筆を突きつけ,「財布をよこせ。」と脅しましたが,拒否されました。そこで,鞄の中から,11月6日にジュニアリーダーの リーダーの事務所内で,床に座っていたQ君に対し,私は椅子に座ったまま,その胸元に鉛筆を突きつけ,「財布をよこせ。」と脅しましたが,拒否されました。そこで,鞄の中から,11月6日にジュニアリーダーの事務所から持ち出したナイフを取り出し,最初は,Q君の後ろから首筋に刃の背中の方を突きつけながら,財布の中身を確認すると,1000円札3枚が入っているのを確認しました。そこで私は,原告から3万円を要求されていましたが,3000円に聞き違えたと言ってごまかすことにし,Q君の背中にそのナイフを突きつけながら,『3000円を出せ。』と言いました。私は,Q君の背中にナイフを突きつけていたとき,Q君は,反抗できない状態にあったということは,そのとき分かっていました。するとQ君は,分かったというように首を縦に振ったので,私が左手に持っていた財布から3000円を抜き取りました。 (5) 11月10日午後6時25分頃,ジュニアリーダーの事務所のある建物の正面玄関の前で立っていた原告に呼び止められました。私は,ジュニアリーダーの事務所から持ち出したナイフをメンバーに見せて,元に戻そうと思い,手に持っていたところ,原告が,『どうして俺のナイフを持っているんだ。』と言いました。私は返答に困っていると,『それ返せ。』と言ったので,そのナイフを原告に渡しました。 そして,原告は,『3万円は。』と聞いてきたので,私は,『3000円じゃなかったですか。』と言うと,原告は,『違うやろ。3万円と言ったやろ。』と言いました。私は,返答に困り,財布から3000円を出して原告に渡すと,原告は,『とぼけるのもいい加減にしろ。また作ってこいよ。』と言いました。 (6) そして,私は,事務所に入っていきました。 (7) その後,原告からお金の要求は受けていません。 (8) Q君に対しては 告は,『とぼけるのもいい加減にしろ。また作ってこいよ。』と言いました。 (6) そして,私は,事務所に入っていきました。 (7) その後,原告からお金の要求は受けていません。 (8) Q君に対しては,申し訳ないことをしたと思っています。原告から脅されたことについては,例会に遅れたりして,目を付られるようなことをしていたので,自分も悪いと思いますが,たかられたら親などにきちんと言えばよかったと思います。 (9) 今後は,二度と人を脅して金を取ることはしません。」

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る