令和1(ワ)23125 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年1月31日 東京地方裁判所
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令和2年1月31日判決言渡同日原本交付裁判所書記官令和元年(ワ)第23125号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和元年12月11日判決原告株式会社WILL同訴訟代理人弁護士酒井康生被告A 主文 1 被告は,原告に対し,40万円及びこれに対する令和元年9月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを5分し,その3を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 第1 請求の趣旨被告は,原告に対し,112万8144万円及びこれに対する令和元年9月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,原告が,被告に対し,被告は,株式会社CA(以下「CA」という。)の著作物である訴状別紙著作物目録記載の映画の著作物(以下「本件著作物」という。)のデータをインターネット上のサーバにアップロードしてその公衆送信権を侵害し,原告は,CAの被告に対する同侵害行為による損害賠償請求権を吸収合併によりCAから承継したと主張して,民法709条及び著作権法114条3項により,損害賠償金112万8144円及びこれに対する不法行為の後の日である令和元年9月15日(訴状送達の日の翌日)から支払 済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断らない限り,枝番を含むものとする。)(1) 原告は,映画・ビデオの映像製作,編集業務,販売及びその企画営業代行業務並びに より認められる事実。なお,本判決を通じ,証拠を摘示する場合には,特に断らない限り,枝番を含むものとする。)(1) 原告は,映画・ビデオの映像製作,編集業務,販売及びその企画営業代行業務並びにそのコンサルタント業務等を業とする株式会社であり,平成28年12月1日,CAを吸収合併し,その権利義務を承継した。(甲1)(2) 別紙著作物目録記載の著作物(以下「本件著作物」という。)は,その著作者である監督が,映画製作者(著作権法2条1項10号)であるCAに対し,その製作に参加することを約束し製作したものであり,その著作権は同社に帰属したところ(著作権法29条1項),原告は,上記(1)のとおり,平成28年12月1日,本件著作物の著作権侵害行為に対する損害賠償請求権を含め,CAの権利義務を承継した。(甲2,3,弁論の全趣旨)(3) 被告は,平成27年3月24日,本件著作物の一部を動画共有サイト「FC2動画アダルト」(以下「本件サイト」という。)のサーバにアップロードし,少なくとも平成28年6月16日までの間,これを公衆に送信し得る状態に置いた。(甲4~8,弁論の全趣旨)第3 争点(損害額)についての当事者の主張 1 原告CAは,第三者に本件著作物の配信を許諾する場合,当該第三者とコンテンツ基本契約及び個別契約を締結し,当該第三者の売上総額の38%を取得するものとしている(甲10~12)。 本件著作物は,原告のグループ企業である「DMM.com」のウェブサイト上において,有料でインターネット配信されており,その最も安価な販売価格は,ストリーミングの300円である(甲2)。 被告がアップロードした本件著作物は,その再生回数が9896回であった から,原告は,本来であれば,少なくとも,料金300円に9896回を乗じ 格は,ストリーミングの300円である(甲2)。 被告がアップロードした本件著作物は,その再生回数が9896回であった から,原告は,本来であれば,少なくとも,料金300円に9896回を乗じた額の38%である112万8144円を受領できたはずである。 したがって,原告は,被告に対し,被告の著作権侵害行為に対する損害賠償金として,112万8144円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めることができる。 2 被告損害額は争う。 本件著作物の再生時間は120分であるのに対し,被告がアップロードした動画の再生時間は50分である。また,原告が損害の根拠とする再生回数は,無料視聴による再生回数であり,有料視聴であれば,ここまでの再生回数は望めなかったものと考えられる。 第4 当裁判所の判断 1 損害額について(1) 証拠(甲2,4,10~12)によれば,①本件サイトの「再生数」は「9896」との表示がされていること,②本件著作物の収録時間は120分であるが,甲4の2には,アップロードされた動画の再生時間が21分05秒であるかのような記載があり,被告が自認する限度でも,その再生時間は50分にすぎないこと,③本件著作物は,原告のグループ会社が運営するウェブサイトにおいて有料でインターネット配信されており,これをストリーミングで視聴する際の料金が300円(平成28年6月21日時点)とされていること,④原告は,第三者に対し,著作物のストリーミング配信を「売上総額(消費税抜き)」の38%で許諾した例があることの各事実を認めることができる。 (2) 原告は,被告がアップロードした動画の再生回数が9896回であることから,これに前記のストリーミング料金である300円の38%を乗じた112万8144円が使用料相当損害額で ことができる。 (2) 原告は,被告がアップロードした動画の再生回数が9896回であることから,これに前記のストリーミング料金である300円の38%を乗じた112万8144円が使用料相当損害額であると主張するが,本件サイトに表 示された「再生数」が,無料会員によるごく短い時間のサンプル動画の視聴も含まれるのかどうかも含め,どのような方法に基づいて計測されたかは明らかではない。 また,上記のとおり,本件著作物の収録時間は120分であるのに対し,被告がアップロードした動画の再生時間は,被告の自認する限りでも50分であり,その再生時間は本件著作物の収録時間より相当程度短かったものと認められる。 さらに,原告が使用料率の証拠として提出する契約書等は,平成15年4月のコンテンツ提供基本契約書に基づき平成21年3月に交わされた覚書であり,その契約時期は本件著作物のアップロードより相当程度以前のものであり,その数も1例にすぎないので,これを基礎として本件著作物の利用料率を定めることは相当ではなく,加えて,上記のストリーミング料金が消費税を含む金額かどうかも明らかではない。 以上によれば,原告が主張する再生回数,ストリーミング料金及び利用料率を基礎とし,その計算式に基づいて算定された損害が原告に生じたと直ちに認めることはできないが,他方,上記(1)の認定事実(本件サイトに表示された再生回数,被告がアップロードした動画の再生時間,ストリーミング料金の額,過去の契約例など)に加え,本件に現れた諸事情を全て総合すると,その損害額は40万円と認めるのが相当である。 なお,被告は,本件著作物は他サイトからの引用であり,著作権侵害の故意・過失がなかったようにも主張するが,被告は他人の著作物を自らアップロードしたのであるから,被告に少なくとも過失が 当である。 なお,被告は,本件著作物は他サイトからの引用であり,著作権侵害の故意・過失がなかったようにも主張するが,被告は他人の著作物を自らアップロードしたのであるから,被告に少なくとも過失があると認められることは明らかである。 2 結論以上のとおり,原告の請求は,40万円及び訴状送達の日の翌日である令和元年9月15日から民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,その限度で認容し,その余は理由がないから棄却することとし,よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第40部裁判長裁判官 佐藤達文 裁判官 三井大有 裁判官 𠮷野俊太郎 (別紙)著作物目録(省略)

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