平成24(ワ)33498等 賃金等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成27年1月21日 東京地方裁判所
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判決文本文51,729 文字)

平成27年1月21日判決言渡平成24年( ワ) 第33498号賃金等請求事件平成25年( ワ) 第17294号賃金請求事件主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求の趣旨 1 被告は,(1) 原告番号1ないし278,281及び282の原告らに対し,別紙賃金表の「減額賃金額」欄記載の各金員及びこれに対する平成24年7月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 (2) 原告番号279及び280の原告らに対し,別紙賃金表の「減額賃金額」欄記載の各金員及びこれに対する平成25年4月18日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 被告は,原告A組合に対し,220万円及びこれに対する平成24年12月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,①被告との間の雇用契約に基づき国立高等専門学校の教職員として就労している原告番号1から282までの原告ら(以下総称して「原告個人ら」という。)が,被告の行った教職員給与規則の変更(以下「本件給与規則変更」という。)は,労働契約法10条に反する就業規則の不利益変更にあたり無効であると主張して,雇用契約に基づく賃金請求として,上記変更前の給与規則に基づく賃金額と,上記変更後の給与規則に基づく賃金額の差額賃金の支払及び当該請求に係る賃金の支払期日の翌日から支払済みまで,商事法定利率の年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,②原告個人らの加入する労働組合である原告A 組合(以下「原告組合」という。)において,被告による団結権及び団体交渉権の侵害行為があったと主張して,不法行為に基づ 遅延損害金の支払を求め,②原告個人らの加入する労働組合である原告A 組合(以下「原告組合」という。)において,被告による団結権及び団体交渉権の侵害行為があったと主張して,不法行為に基づく損害賠償として220万円(無形損害200万円及び弁護士費用相当額20万円)及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成24年12月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるものである。 1 前提となる事実以下の事実は,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認めることができる。 (1) 当事者ア被告は,独立行政法人通則法(平成11年7月16日法律第103号。 以下「通則法」という。)及び独立行政法人国立高等専門学校機構法(平成15年7月16日法律第113号。以下「高専機構法」という。)の定めに基づき平成16年4月1日に設立された独立行政法人であり,国立高等専門学校(以下「高専」という。全国に51校設置されている。)を設置すること等により,職業に必要な実践的かつ専門的な知識及び技術を有する創造的な人材を育成するとともに,我が国の高等教育の水準の向上と均衡ある発展を図ることを目的としている(高専機構法3条)。 イ原告個人らは,いずれも,被告が設立される前から高専の教職員として勤務しており,その当時は国家公務員の身分を有していたが,高専機構法附則3条の規定に基づき,被告の設立の日をもって機構の職員となった者であり,かつ,原告組合に加盟する単位組合の組合員である。 ウ原告組合は,国公立大学,高専及び大学共同利用機関において各設立されている組合(単位組合)が加盟する全国組織であり,高専全51校のうち26校において原告組合に加盟する単位組合が存在し,高専の全教職員約6000人のうち,約1000人が原 同利用機関において各設立されている組合(単位組合)が加盟する全国組織であり,高専全51校のうち26校において原告組合に加盟する単位組合が存在し,高専の全教職員約6000人のうち,約1000人が原告組合に加盟する単位組合の組合員である。 (甲共27) (2) 被告の運営体制の概要ア主務官庁等被告に係る通則法における主務大臣,主務省及び主務省令は,それぞれ文部科学大臣,文部科学省(以下「文科省」という。)及び文部科学省令と定められている(高専機構法14条)。 イ運営費交付金国は,独立行政法人の事業の運営のため,年度ごとに「運営費交付金」という名目の金員を交付している。運営費交付金は,渡し切りの交付金として交付されるものであり,国の事前の関与を受けることなく,予定の使途以外の使途に充てることができ,年度内に残金が生じた場合,翌年度に繰り越すことができる。 被告に対して平成22年度から平成24年度までの各年度において交付された運営費交付金の額(ただし,平成24年度については内示額である。)は次のとおりであり,収入に占める運営費交付金の割合(ただし,予算段階での割合である。)は平均82.3%に上っていた。なお,被告における運営費交付金以外の主な収入費目は,授業料及び入学金検定料である。 (ア)平成22年度(括弧内の数値は,総収入額のうち運営費交付金の占める割合。以下,(イ)及び(ウ)で同じ。)総収入額800億3874万8000円に対し,運営費交付金は662億8075万5000円(82.3%(小数点第二位以下四捨五入。以下同じ))である。 (イ)平成23年度総収入額775億1140万7000円に対し,運営費交付金は638億544 62億8075万5000円(82.3%(小数点第二位以下四捨五入。以下同じ))である。 (イ)平成23年度総収入額775億1140万7000円に対し,運営費交付金は638億5444万6000円(82.3%)である。 (ウ)平成24年度 総収入額764億6340万2000円に対し,運営費交付金は630億0578万7000円(82.4%)である。 (乙12,25)ウ被告の業務実績に関する評価等被告は,通則法の定めに基づき,主務大臣たる文部科学大臣が定める中期目標を達成するために必要な中期計画を策定し,同大臣の認可を得た上で,毎事業年度の開始前に,事業計画を定めることとされ,各事業年度及び中期目標期間の業務の実績について,同法の定めに基づき設置される評価委員会の評価を受けなければならない。被告の主務大臣たる文部科学大臣は,被告の中期目標の期間の終了時において,当該独立行政法人の業務を継続させる必要性,組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い,その結果に基づき,所要の措置を講ずるものとされている(通則法29条から35条まで)。 (3) 被告の教職員の賃金に関する定め被告は,その設立時に就業規則を制定しており,原告個人らと被告の間においては,原告個人らの就業内容を高専運営に必要な教育,学校運営管理事項としながら,同規則の定めるところによる労働契約関係が成立した(原告個人らは賃金に係る遅延損害金について商事法定利率により請求しているところ,被告は商人ではなく,また,上記労働契約関係に商行為性は認められない。)。 そして,同規則31条において,教職員の給与については,いわゆる無期雇用教職員については独立行政法人国立高 ているところ,被告は商人ではなく,また,上記労働契約関係に商行為性は認められない。)。 そして,同規則31条において,教職員の給与については,いわゆる無期雇用教職員については独立行政法人国立高等専門学校機構教職員給与規則(以下「本件給与規則」という。),有期雇用教職員については独立行政法人国立高等専門学校機構有期雇用教職員給与規則(以下「本件有期雇用教職員給与規則」という。)の定めるところによるとされているが,後者については,本件給与規則の定めに倣う旨が規定されている。 本件給与規則による被告の教職員の給与の定めのうち,本件に関するものは次のとおりである。 ア給与の種類教職員の給与は,基本給及び諸手当とし,それぞれ次の各号に定める区分により支給する。 (ア)基本給は,本給とする。 (イ)諸手当は,管理職手当,地域手当,広域異動手当,期末手当,勤勉手当扶養手当,住居手当,通勤手当,単身赴任手当,専攻科長等手当,衛生管理者手当,教員特殊業務手当,超過勤務手当,休日給,宿日直手当,管理職員特別勤務手当,寒冷地手当及び極地観測手当とする。 イ給与の支給日(ア)本給,管理職手当,扶養手当,地域手当,広域異動手当,住居手当,単身赴任手当,専攻科長等手当,衛生管理者手当及び寒冷地手当については,当該月の分を当月17日に支給する(月末締め当月17日払い)。 (イ)期末手当及び勤勉手当については,毎年6月30日及び12月10日に支給する。 ウ本給の額本給は,本給表に定める級号給と本給月額により支給すると定められ,本給表には,一般職員本給表( 一) ,同( 二) ,教育職員本給表,海事職員本給表( 一) ,同( 二) ,医療職員本給表( 一) ,同( 二) 及び指定職 給と本給月額により支給すると定められ,本給表には,一般職員本給表( 一) ,同( 二) ,教育職員本給表,海事職員本給表( 一) ,同( 二) ,医療職員本給表( 一) ,同( 二) 及び指定職員本給表がある。なお,被告は,教職員の給与水準を決定するに際して,国家公務員の給与水準を考慮するとしており,本件給与規則に定めている本給表の内容は,被告の本給表のうち一般職員本給表( 一) ,同( 二) は国家公務員の本給表のうち行政職俸給表( 一) ,同( 二) におおむね対応する水準となっていた。 (甲共1,2,24,弁論の全趣旨) (4) 国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律の成立平成24年2月29日,国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律(以下「給与特例法」という。)が成立した。同法は,「人事院の勧告に係る国家公務員の給与の改定」について定めた章と「国家公務員の給与の臨時特例」について定めた章からなるが,後者は,我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み,一層の歳出の削減が不可欠であることから設けられたものとされ,その概要(ただし,一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年4月3日法律第95号)適用者に対する部分)は次のとおりである。 (給与特例法の第3章「国家公務員の給与の臨時特例」の概要)平成24年4月から平成26年3月31日までの間,次のとおり給与の引下げを行う。 (ア)俸給月額a 本省課長室長相当職以上 9.77%減額b 本省課長補佐・係長相当職員 7.77%減額c 係員 4.77%減額その他の俸給表適用職員については行政職俸給表( 一) .77%減額b 本省課長補佐・係長相当職員 7.77%減額c 係員 4.77%減額その他の俸給表適用職員については行政職俸給表( 一) に準じた支給減額率とする。 (イ)俸給の特別調整額(管理職手当) 一律10%の減額(ウ)期末手当及び勤勉手当一律9.77%の減額(エ)地域手当等の俸給月額に連動する手当の月額は,減額後の俸給月額等の月額により算出する。 (5) 本件給与規則変更ア被告は,平成24年6月25日付けで,本件給与規則を次のとおり改訂した。改訂後の本件給与規則は,平成24年7月1日に施行された。 (ア)施行日から平成26年3月31日までの間(以下「特例期間」とい う。)においては,被告の教職員に対する本給月額の支給に当たっては,本給月額に,当該教職員に適用される以下の表の本給表欄に掲げる本給表及び職務の級又は号給欄に掲げる職務の級又は号給の区分に応じそれぞれ同表の割合欄に定める割合(以下「支給減額率」という。)を乗じて得た額に相当する額を減ずる。なお,原告個人らに関係する本給表は,一般職員本給表( 一) ,同( 二) 及び教育職員本給表である。また,一般職員本給表( 一) の3級から6級までは主任から課長,7級以上は事務部長,教育職員本給表の1級は助教及び助手,2級及び3級は講師及び准教授,4級以上は教授及び校長の職位に相当する。 本給表職務の級又は号給割合一般職員本給表( 一)2級以下100分の4.773級から6級まで100分の7.777級以上100分の9.77一般職員本給表( 二)3級以下100分の4.774級以上100分の7.77教育職員本 分の4.773級から6級まで100分の7.777級以上100分の9.77一般職員本給表( 二)3級以下100分の4.774級以上100分の7.77教育職員本給表1級100分の4.772級及び3級100分の7.774級以上100分の9.77海事職員本給表( 一)2級以下100分の4.773級から5級まで100分の7.776級以上100分の9.77海事職員本給表( 二)3級以下100分の4.774級以上100分の7.77医療職員本給表( 一)2級以下100分の4.773級の7級まで100分の7.77 8級100分の9.77医療職員本給表( 二)2級以下100分の4.773級から6級まで100分の7.777級100分の9.77指定職員本給表全ての号給100分の9.77(イ)特例期間については,教職員に対する諸手当につき,次の額を減額する。 a 管理職手当当該教職員の管理職手当の月額に100分の10を乗じて得た額b 地域手当当該教職員の本給月額に対する地域手当の月額に当該職員の支給減額率を乗じて得た額及び当該教職員の管理職手当に対する地域手当の月額に100分の10を乗じて得た額c 広域異動手当当該教職員の本給月額に対する広域異動手当の月額に当該教職員の支給減額率を乗じて得た額及び当該教職員の管理職手当に対する広域異動手当の月額に100分の10を乗じて得た額d 期末手当当該教職員が受けるべき期末手当の額に,100分の9. 77を乗じて得た額e 勤勉手当当該教職員が受けるべき勤勉手当の額に,100分の9. 77を乗 分の10を乗じて得た額d 期末手当当該教職員が受けるべき期末手当の額に,100分の9. 77を乗じて得た額e 勤勉手当当該教職員が受けるべき勤勉手当の額に,100分の9. 77を乗じて得た額(甲共2,24,弁論の全趣旨)イ本件有期雇用教職員給与規則についても,平成24年6月25日付けで本件給与規則と同様の改訂がなされ,同年7月1日に施行された。しかし,当該施行日前から被告に雇用されている有期雇用教職員等で,当該雇用に係る雇用契約の期間が上記施行日以後にも続く者については,期末手当及び勤勉手当の減額に関する規定を除き,適用しないことができるとの定めが置かれた(平成24年6月25日改正附則5項)。そのため,原告番号 279及び同280の各原告については,平成25年3月までの間,本件給与規則変更による賃金の引下げは実施されなかった。 (甲共2,甲279の1,弁論の全趣旨)ウ原告個人ら(原告番号279及び同280の各原告を除く。)における平成24年6月分の本給及び地域手当と同年7月分の本給及び地域手当との差額並びに原告番号279及び同280の各原告の平成25年3月分の本給及び地域手当と同年4月分の本給及び地域手当との差額は,別紙賃金表の「減額賃金額」欄各記載の金額である(以下,本件給与規則変更によって本給及び地域手当の減額を行った措置を「本件給与減額支給措置」という。)。 (当事者間で争いがない)(6) 原告組合と被告との団体交渉ア被告と原告組合との間では,教職員の労働条件その他待遇に関する事項等を団体交渉の対象となる事項と定め,相手方から団体交渉の申入れがあった場合には,これに応 6) 原告組合と被告との団体交渉ア被告と原告組合との間では,教職員の労働条件その他待遇に関する事項等を団体交渉の対象となる事項と定め,相手方から団体交渉の申入れがあった場合には,これに応じること等を定めた平成17年4月1日付け労働協約が平成24年当時有効に存在していた(以下「本件労働協約」という。)。 イ被告は,平成24年5月17日,本件労働協約に基づき,原告組合に対し,本件給与減額支給措置の実施を議題とする団体交渉を申し入れた。原告組合はこれに応じ,同月28日,6月13日及び6月22日に,本件給与減額支給措置を議題とする団体交渉(以下,総称して「本件団体交渉」という。)が実施された。 ウ本件団体交渉において,原告組合と被告との間で,本件給与減額支給措置の実施について合意は形成されなかった。 エ被告は,各国立高等専門学校の学校長に,平成24年6月25日付け文書をもって,同年7月1日から,本件給与減額支給措置を実施する旨通告 した。 (甲共9,14から17まで,乙2から4まで,7)(7) 被告に対する平成24年度運営費交付金の減額被告に対する平成24年度の運営費交付金は,当初文科省が内示し,被告において予算で計上していた額(630億0578万7000円)よりも41億2849万9000円減額して交付されることとなり,このことは,平成25年2月26日付けの,文科省高等教育局専門教育課発出の「給与改定臨時特例法に基づく国家公務員の給与削減と同等の給与削減相当額について」と題する事務連絡文書で被告に通知された。 (減額の内訳)・給与減額支給措置分 39億1706万5000円・人事院勧告に係る給与改定分 相当額について」と題する事務連絡文書で被告に通知された。 (減額の内訳)・給与減額支給措置分 39億1706万5000円・人事院勧告に係る給与改定分平成23年度分 1億0571万7000円平成24年度分 1億0571万7000円(乙16)(8) 被告に対する平成25年度運営費交付金の減額被告に対する平成25年度の運営費交付金の額は,580億5087万9000円とされ,前年度の予算時点の金額と比べると,49億5490万8000円の減額となった。うち,給与特例法に基づく国家公務員の給与削減と同等の人件費削減相当額は,40億2278万2000円とされた。 (乙17,弁論の全趣旨) 2 争点及びこれに対する当事者の主張(1) 争点ア本件給与規則変更の有効性(争点①)イ被告による原告組合の団結権ないし団体交渉権の侵害行為の有無(争点②) ウ被告による原告組合の団結権ないし団体交渉権の侵害行為があった場合,当該行為による原告組合の被った損害の有無及び金額(争点③)(2) 争点①(本件給与規則変更の有効性)について(被告の主張)ア本件給与規則変更の必要性について次の各事実に照らせば,本件給与規則変更は,本件給与減額支給措置を実施すべき高度の必要性に基づいて行われたものであったというべきである。 (ア)被告の財政状況a 被告の,平成24年度の当初予算における被告の収入額は約76 則変更は,本件給与減額支給措置を実施すべき高度の必要性に基づいて行われたものであったというべきである。 (ア)被告の財政状況a 被告の,平成24年度の当初予算における被告の収入額は約765億円であり,うち運営費交付金は約630億円と,被告の収入のうち82%を運営費交付金が占めている。また,被告の予算における運営費交付金対象事業費のうち,人件費の占める割合は約72.5%から74.5%で推移している。 さらに,被告に対する運営費交付金は,被告の設立以降,物件費が年3%,人件費が年1%の効率化係数が掛けられ,それぞれ毎年削減されている。このため,被告においては,人件費以外の物件費及び機構戦略経費を継続的に削減せざるを得ない状況であった。 b こうした状況下にあって,被告は,平成24年度の予算の編成に当たり,使途特定経費を除く総額約704億円のうち,前年度実績相当額である約490億円を常勤教職員人件費として確保し,残り214億円を物件費とした上で,教職員数,学生数,学科数等の一定の基準に基づき,物件費のうち約165億円を,平成24年度当初に各高等専門学校に配分していた。 このため,平成24年度当初の物件費配分後,被告として状況に応じて執行することが可能な経費は,予備費を含む「機構戦略経費」 である約35億円のみであったが,「機構戦略経費」からの支出を予定している事業は,被告の中期計画を達成するために必要不可欠な事業や,中央教育審議会の平成20年12月24日付け答申「高等専門学校教育の充実について」で指摘された施設・設備の老朽化・陳腐化を改善するための事業であり,これらの事業を中止あるいは縮小して人件費に充てるための財源を捻出することは極めて困難であった。 c このような事情から,被告に対する平成24年度の運 備の老朽化・陳腐化を改善するための事業であり,これらの事業を中止あるいは縮小して人件費に充てるための財源を捻出することは極めて困難であった。 c このような事情から,被告に対する平成24年度の運営費交付金が削減された場合には,被告において人件費の削減を回避するための予算(財源)を確保することは極めて困難であった。 (イ)平成24年度運営費交付金削減の蓋然性次の事実が示すように,被告において,平成24年度の運営費交付金が削減されることが十分に見込まれる状況となっていた。 a 平成23年12月,被告が文科省から平成24年度の予算内示を受けた際,文科省から「給与特例法の状況によっては,東日本大震災に対処するための経費として給与改定の影響相当額の運営費交付金削減を求められる場合があるため,その対応について留意する必要がある」との指摘を受けていた。 b 平成24年3月8日,文科省官房長が,文科省の所管する独立行政法人の長等に対し,「国家公務員の給与見直しの動向を見つつ,貴法人の役職員の給与について必要な措置を講ずるよう要請いたします。」との事務連絡文書を発出した。 c 平成24年5月11日,政府の閣僚懇談会において,当時の岡田克也副総理(以下「岡田副総理」という。)が,「独立行政法人等にあっても,閣議決定に基づき,給与特例法に準じた適切な対応を求める」と発言し,当時の安住淳財務大臣(以下「安住財務大臣」という。)も「運営費交付金等により人件費が賄われている独立行政法人 等について,給与特例法による国家公務員の給与削減と同等の給与削減相当額を算定し,運営費交付金から減額する」との発言があった。 d 平成24年5月29日付けの文科省高等教育局長からの連絡文書により,役職員の給与についても必要な 家公務員の給与削減と同等の給与削減相当額を算定し,運営費交付金から減額する」との発言があった。 d 平成24年5月29日付けの文科省高等教育局長からの連絡文書により,役職員の給与についても必要な措置を講ずるように,という要請があった。 (ウ)平成24年度運営費交付金削減の影響仮に,被告において,給与特例法による国家公務員の給与削減と同等の平成24年度運営費交付金の削減が実施された場合,被告の試算では,削減額は約39億8800万円にも達し,1月当たり約2億5000万円(賞与月である6月及び12月には約5億円)の人件費が不足するという結果であった。 そのため,被告は,本件給与減額支給措置の実施に向け,原告組合と団体交渉を実施する傍ら,交渉が難航することを想定し,平成24年3月の予算編成時点で,本来実施すべき教育研究設備の整備予算等を必要最小限のものに限定するなどして,例年2億ないし3億円である予備費を6億6600万円計上した。さらに,当初の予算配分案で6億5300万円計上していた厚生補導施設充実費(寄宿舎環境整備)などを3億6500万円に減額し,予備費を9億5400万円まで増額したほか,各高専に1学科当たり300万円相当の物件費の執行留保を指示し,別途合計7億1240万円を確保した。 被告において,1学科当たり300万円相当の物件費の執行留保による各高専への影響は少なくなく,しかも他に削減することの可能な物件費も思い当たらない実態にあり,予備費及び物件費の執行留保分をもって本件給与減額支給措置の実施を先送りにすることは不可能な状態であった。このように,被告としては,削減が見込まれる運営費交付金の額に対応すべく,人件費の削減を目的とした措置をとる必要に迫られてい た。 (エ)運営費交付金の削減が見込まれる段階で った。このように,被告としては,削減が見込まれる運営費交付金の額に対応すべく,人件費の削減を目的とした措置をとる必要に迫られてい た。 (エ)運営費交付金の削減が見込まれる段階で給与を削減するべき必要性運営費交付金の支給は,平成24年度については,年度内の各月に分割して行われることになった。かつ,支給額は月により異なっており,年度の後半になって1年間分の給与減額支給措置に相当する額を削減されてしまうことも想定されたため,運営費交付金の削減が決定した段階で給与の削減措置を決定するのでは,予算措置を講じることができなくなってしまう懸念があった。そのため,被告はやむを得ず平成24年7月1日から平成26年3月31日までの間,本件給与減額支給措置を実施することとした。 イ本件給与規則変更の内容の合理性次の各事実に照らせば,被告が実施した本件給与規則変更は,その内容において合理的なものであったというべきである。 (ア)本件給与減額支給措置は,平成24年7月から平成26年3月までの間,被告の教職員の給与を平均7.8%減額するものであるが,この減額率は,給与特例法による国家公務員の給与削減と同様の給与削減相当額を算定し運営費交付金から減額されたものとした場合,被告においては,平均7.8%の賃金の切下げが必要となり,総額約40億円の運営費交付金が減額される旨算出されたことを踏まえて決定されたものである。 (イ)前記ア(ウ)のとおり,被告は予備費を9億5400万円まで増額し,かつ,各高専1学科当たり300万円相当額の予算執行留保を通知し,これにより約7億円の予算を確保し,本件給与減額支給措置による給与減額の内容を必要最小限に留めている。その結果,被告における給与減額の措置はその実施を平成24年7月まで先 額の予算執行留保を通知し,これにより約7億円の予算を確保し,本件給与減額支給措置による給与減額の内容を必要最小限に留めている。その結果,被告における給与減額の措置はその実施を平成24年7月まで先送りすることができ,同年4月から給与減額の措置をとった場合と比べ,減額額が約12億500 0万円(賞与分を含む。)少ない。 (ウ)本件給与減額支給措置は,平成24年7月1日から平成26年3月31日までの約1年9か月の間に限定されており,現に,同年4月以降の原告個人らの給与額は,本件給与減額支給措置を実施する前の水準に戻っている。 (エ)被告と同様に運営費交付金を削減された国立大学法人等の中には,平成24年4月1日や同年5月1日に給与の減額支給措置を実地している法人もあるところ,これらと比較して,被告が実施した本件給与減額支給措置の内容はより限定的なものにとどまっている。 ウ団体交渉の状況(ア)被告は,原告組合との間で,本件団体交渉を実施するに当たり,平成24年5月7日,同月10日,同月17日,同年6月8日,同月20日の合計5回,事前交渉ないし予備協議を行い,このとき,被告は原告組合に対し,予算に関する資料を交付した上で本件給与減額支給措置の必要性について説明した。また,被告と原告組合との間では,平成24年3月21日に実施した団体交渉の際も,給与特例法を踏まえた被告の提案により,本件給与減額支給措置を実施することが話題になっている。 (イ)本件団体交渉においては,被告は原告組合に対し,平成24年度の運営費交付金が削減される見込みであること,運営費交付金の削減見込額が大きく,物件費等他の経費を削減することによる対応は困難であること,そもそも物件費等の費目は,ここ数年減少し続けており,これ以上削減すると教育,研究機 る見込みであること,運営費交付金の削減見込額が大きく,物件費等他の経費を削減することによる対応は困難であること,そもそも物件費等の費目は,ここ数年減少し続けており,これ以上削減すると教育,研究機関としての被告の運営に著しい支障が生じる可能性のあることを説明している。しかし,これに対し原告組合は,運営費交付金の削減が見込みにすぎないとした上で,不要不急の物件費を削減すべきであり,給与の減額には応じられないとの姿勢を崩さなかった。 (ウ)本件団体交渉が継続している間,被告は各高専に対し,既に配分した 平成24年度予算のうち,1学科当たり300万円の物件費の執行を留保するよう指示するとともに,予備費のうち約9億5400万円を運営費交付金の削減に備えて確保した。 しかし,給与特例法による国家公務員の給与削減と同様の給与削減相当額をもって運営費交付金が減額された場合,平成24年6月末日の時点で約12億5000万円の人件費が不足し,予備費を充てることでは対応できない見込みとなり,同年7月1日からの給与を削減する措置をとることが必要であり,不可避であった。しかも,同月22日の本件団体交渉の席において,原告組合からは,前記(イ)の主張以上に,具体的な要望事項は出ておらず,交渉を継続して検討すべき事項もあげられていなかった。そして,かかる給与を減額する措置の実施のためには,被告は就業規則を変更する必要があったが,各高専に対する周知期間を考慮すると,平成24年6月22日には就業規則の変更を決定する必要があった。被告が,同日以後,原告組合との団体交渉を続行できなかったのは,そのためである。 (原告個人らの主張)ア本件給与規則変更により被告の労働者が被る不利益の程度もともと,原告個人らのうち教員である者は,高等学校教員と大 体交渉を続行できなかったのは,そのためである。 (原告個人らの主張)ア本件給与規則変更により被告の労働者が被る不利益の程度もともと,原告個人らのうち教員である者は,高等学校教員と大学教員との2つの性格を併せ持つ教員職であり,職員である者についても,高専を支えるために日夜業務に邁進している。そのような中にあって,本件給与規則変更前の被告の給与水準は,対国家公務員ラスパイレス指数(国家公務員のうち,事務・技術職員(行政職( 一) )の年額給与水準を100とした場合の当該比較対象組織の比較指数をいう。)で84.6と低く,原告個人らにおいて,給与水準が業務の内容に釣り合っているという実感を伴うことは少なかった。その賃金が大きく減額されるということは,仕事をしている誇りを傷つけられ,業務を行うモチベーションを大いに損な う措置である。 本件給与規則変更によって,被告の教職員は,低い場合で4.77%,最も程度の重い者で9.77%,平均すれば7.8%の賃金引下げを受けた。この減額率は,労基法が懲戒処分としての減額処分で許容する上限10%の数値に近く,かかる減額率自体が相当性を欠くものであり,かかる相当性を欠く賃金減額の結果,被告の職員のうち,少ない者でも2万円前後,多い者になると5万円弱の賃下げとなったところ,被告の教職員の月例給は,低い水準の者については20万円強,高い水準の者でも40万円強である。こうした月例給の者にとって,2万円から5万円弱という賃下げ額は,絶対額として極めて大きな収入ダウンをもたらした。その結果,原告個人らは,家計が全体的に圧迫されたり,ローン負担や子の就学ないし教育の費用の支出に苦慮したり,幼児の幼稚園入園を諦めたり,年老いた両親から生活支援を受けざるを得なくなったり,自分や家族が病気を 原告個人らは,家計が全体的に圧迫されたり,ローン負担や子の就学ないし教育の費用の支出に苦慮したり,幼児の幼稚園入園を諦めたり,年老いた両親から生活支援を受けざるを得なくなったり,自分や家族が病気を抱えているため,これに関する費用の支出を削ることができず苦慮したりするという被害を受けた。そればかりでなく,原告個人らのうち教員については,日本の技術を支えることに強い責任感を有し,教育,課外活動及び研究に十二分の努力をしていたところ,本件給与減額支給措置の結果,学会の参加や書籍の購入に支障が出るようになり,仕事に対する誇りを奪われた。職員についても同様に,仕事への高い誇りを奪われた。 以上のとおり,本件給与規則変更により原告個人らの受けた不利益は,極めて甚大なものである。 イ本件給与規則変更の必要性が存在しないこと(ア)本件給与規則変更は,賃金という,労働者にとって最も重要な労働条件について,平均7.8%切り下げるという重大な不利益をもたらすものであって,その受忍が許容されるだけの高度の必要性が求められる。 (イ)しかし,そもそも,本件給与規則変更が平仄を合わせようとした給与 特例法については,「我が国の厳しい財政状況及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み,一層の歳出削減が不可欠である」ことが立法事実であると説明されているが,そのような厳しい財政状況は,歴代政権が無秩序な公債発行を前提とした財政出動により景気を浮上させようとする政治を継続してきた結果であり,法案の内容は,その結果ないしそのようになった責任を公務員に転嫁しようとするものにほかならないし,また,東日本大震災に対処する必要をあげるが,復興を口実として東日本大震災に関係のない予算支出を行うための財源確保を図るものであり,その財源確保においても,大企業 しようとするものにほかならないし,また,東日本大震災に対処する必要をあげるが,復興を口実として東日本大震災に関係のない予算支出を行うための財源確保を図るものであり,その財源確保においても,大企業向け補助金や新幹線の延長工事予算等から捻出すべきであったのに,それをせずに公務員の給与を削減して約2900億円を捻出しようという合理的ではない内容のものとなっているのであって,立法事実は存在しない。 また,政府等は,運営費交付金の減額が行われた場合の給与に関する措置について,各法人の自律的・自主的な労使関係の中で対応することを要請するものに過ぎず,国家公務員と同等の給与の減額支給措置をとることを義務付けるものでも,強制するものでもなかった。さらに,被告は,運営費交付金が削減されることを押しとどめるよう文科省に具体的な要請を行うなどの努力をしておらず,また,被告の理事ら自身において,運営費交付金が削減されたことに伴い,教職員の賃下げを回避するため,一定の借入れを起こすとか,自らの報酬の削減率を上げるといった努力をした形跡もない。 (ウ)被告は運営費交付金の削減を本件給与規則変更の合理性の根拠としてあげるが,現実には削減されるかどうか明らかではなかったし,仮に被告に対する運営費交付金が減額されたとしても,被告の予算内でやりくりをすることが不可能であったとはいえない。すなわち,被告は,平成24年度当初予算において計上していた人件費540億8045万円の うち,49億9249円を物件費等に流用していたが,これについて,被告の裁量により,物件費への流用を保留又は見直して,本来の使途である人件費に充てることにより,給与の減額を回避することは当然に可能であった。しかし,被告は,各高専の物件費の支出状況や執行状況などの情報を集 により,物件費への流用を保留又は見直して,本来の使途である人件費に充てることにより,給与の減額を回避することは当然に可能であった。しかし,被告は,各高専の物件費の支出状況や執行状況などの情報を集約し,その集約した情報に基づいて不要不急の物件費がないかを検討した上で,物件費の具体的な額を決定するという手法を一切とっていない。 また,予備費についても,各高専・各学科の物件費について調査検討すれば,不要不急の項目が発見される可能性は高く,物件費の削減を行うことで40億円以上の予算を作ることは可能であった。しかし,被告は,各高専の物件費の執行状況を調査検討することなく,始めに9億円余,その後1学科あたり300万円の執行留保を指示して合計16億円ほどの予備費を計上したにすぎなかった。 (エ)以上のとおり,本件給与規則変更には,これを行うべき高度の必要性がない。 ウ本件給与規則変更に相当性がないこと次の点に照らせば,本件給与規則変更に相当性はない。 (ア)少なくとももう1か月は給与の減額支給措置の延期が可能であったこと被告が講じたとする予算措置は,予備費約9億5400万円及び物件費予算の執行を1学科当たり300万円ずつ留保することによって捻出した約7億1340万円の合計16億6740万円であった。 したがって,被告において平成24年4月から6月までの間,給与の減額支給措置を回避するために約12億5000万円の財源が必要であったとしても,まだ,約4億1740億円(=約16億6740万円-約12億5000万円)ほど財源に余裕があったのであり,少なくとも あと一月,すなわち平成24年8月までは,給与の減額支給措置を先送りすることが可能であった(なお,平成24年8月まで給与の減額支給措置の実施を先送りした があったのであり,少なくとも あと一月,すなわち平成24年8月までは,給与の減額支給措置を先送りすることが可能であった(なお,平成24年8月まで給与の減額支給措置の実施を先送りした場合,残る予備費は約1億6740万円(=約4億1740万円-約2億5000万円)となり,例年の予備費の額が2億円から3億円程度であるのに比べ,特に少ないというわけではない。)。 しかるに,被告は,給与の減額支給措置の実施を先送りすることに関する努力や配慮を一切せず,同年7月1日をもって,本件給与減額支給措置に踏み切った。この点だけをもってしても,本件給与規則変更に相当性はない。 (イ)代償措置の不存在本件給与減額支給措置については,特別休暇の付与,労働時間の短縮,福利厚生施策の充実等,人件費とは関わりなく実施可能な代償措置も様々にあり得たが,被告は,こうしたことを検討すらしなかった。他の国立大学法人における,自主的・自律的な経営判断により,職員に対する給与の減額支給措置の影響を緩和ないし縮小しようという真摯な努力がなされている実例と比較すると,一切の代償措置を実施せず,その検討すら行わなかった被告の対応に,本件給与規則変更の相当性を認めることはできない。 (ウ)平成25年度における給与の減額支給措置の回避努力の不存在平成24年度補正予算では,被告に対する運営費交付金の削減額が確定した一方,被告に対し,設備整備経費として,総額約325億円が配分されることになった。これは,中央教育審議会の答申で指摘された施設設備の老朽化・陳腐化を改善するための事業費であり,全額が平成25年に繰り越して執行されている。 本来,施設設備の老朽化・陳腐化を改善するための事業費は,通常の 予算上の物件費(機構戦略経費)からの支出 を改善するための事業費であり,全額が平成25年に繰り越して執行されている。 本来,施設設備の老朽化・陳腐化を改善するための事業費は,通常の 予算上の物件費(機構戦略経費)からの支出が予定されているものであった。平成25年においては,約325億円もの補正予算により,施設設備の改善事業費を支出できるようになったのであるから,遅くとも,平成25年度においては,通常の予算上の物件費を人件費に充てることは可能であった。 しかし,被告は,平成25年度において,物件費の一部を人件費に充てて本件給与減額支給措置を少しでも回避すること,又は一時金を支給することのいずれについても,その検討すら行わなかった。かかる被告の対応は極めて理不尽であり,本件給与規則変更に相当性はない(なお,平成25年2月に補正予算として約325億円の設備整備経費が配分されることは,本件給与減額支給措置を決定し実施した平成24年6月ないし7月の時点では,被告として想定しえない事態であったが,もともと,被告は,同月の時点では運営費交付金の削減が決定していなかったにも関わらず,いわゆる見切り発車で本件給与規則変更を強行し,運営費交付金の削減が正式に決定した段階で削減幅が見通しと異なった場合等には,一時金として職員に還元する等の対応を協議することを原告組合や被告の職員に提案していた。したがって,本件給与規則変更の相当性を判断するに当たっては,運営費交付金の削減が正式に決定するのと同時に約325億円の設備整備経費が被告に追加配分された事実及びその後の経過等を踏まえて判断されなければならない。)。 エ団体交渉等の状況(ア)事前交渉被告は,本件給与減額支給措置について原告組合に対し団体交渉の協議を申し入れ,これを契機に3回(平成24年5月7日,同月10日及 ければならない。)。 エ団体交渉等の状況(ア)事前交渉被告は,本件給与減額支給措置について原告組合に対し団体交渉の協議を申し入れ,これを契機に3回(平成24年5月7日,同月10日及び同月17日)の事前交渉を行った。しかし,被告は,なぜ教職員の給与の7.8%削減を平成24年6月分の給与から実施しなければならな いのかということに関しては,「物件費は削れない,予備費は3か月分しかない」と述べるだけで,平成24年度の予算について,約50億円の人件費名目で予算を獲得して物件費に流用している事実や,増加させた予備費の財源などの説明もなく,人件費を削減すべき根拠は不明であった。 特に,原告組合は,運営費交付金が削減されたとしても,賃金の減額幅を少なくするための努力,運営費交付金削減がされた場合を想定したシミュレーションを行い,賃下げの幅に応じて,給与の引下げを実施しなければならない時期などを被告が検討し提示することは最低限必要であるとし,この点について精緻なシミュレーションを求めた。しかし,被告からは,精緻なシミュレーションのレベルに達する資料や説明は示されず,被告は,使用者が果たすべき説明義務を全く果たさず,不誠実な態度に終始した。 (イ)件団体交渉が不誠実なものであったこと本件団体交渉の経緯は次のとおりであり,教職員の給与を引き下げるという重大な内容の提案をしておきながら,原告組合との間で真摯かつ誠実な団体交渉を行わず,そればかりか,原告組合から,引き続き協議が必要であるとして団体交渉の申入れを受けながら,これを無視して,本件給与規則変更を強行した。こうした経緯からすれば,本件給与規則変更に至る経緯,交渉の経緯の内容に,本件給与規則変更の合理性を基礎づけるものはない。 a 被告は,平成24年5 れを無視して,本件給与規則変更を強行した。こうした経緯からすれば,本件給与規則変更に至る経緯,交渉の経緯の内容に,本件給与規則変更の合理性を基礎づけるものはない。 a 被告は,平成24年5月28日及び6月13日の団体交渉において,①5月11日に副総理が独立行政法人等について各大臣に対し「適正な対応をいただくようお願いする」と発言したこと,②同日,財務大臣が「運営費交付金等により人件費が賄われている独立行政法人等については,国家公務員の給与削減と同等の給与削減相当額を算定し, 運営費交付金等から減額したいと考えている」との発言があったこと,及び③5月29日付け文科省高等教育局長が発出した事務連絡文書,を給与削減の根拠として示したが,これらのいずれも,運営費交付金の具体的な減額を明示するものではなかった。 そこで,原告組合は,被告に対し,財務内容を開示し,繰越金や余剰金の内容が分かる資料,すなわち,予算ではなく決算ベースのデータを揃えた上で交渉をすることを求めた。これに対し,被告は,決算ベースの資料提出は難しいとして,平成23年度の被告の貸借対照表を平成24年度国立高等専門学校機構予算,平成24年度予算配分・平成24年度機構戦略経費配分予定事項と共に示しただけで,被告において人件費を削減しなければならない財政上の明確な根拠を示さず,原告組合として納得できる具体的な説明も行わなかった。 b 被告は,平成24年6月22日の団体交渉では,人件費削減が不可避であるという説明を抽象的に繰り返すのみで,原告組合の求めた説明に必要な資料や文書を一切提出することなく,同年7月1日からの給与削減の実施を一方的に求め,同時に,人件費7.8%の削減が必要であり不可避であることに関し,具体的な説明を行わなかった。これに対 明に必要な資料や文書を一切提出することなく,同年7月1日からの給与削減の実施を一方的に求め,同時に,人件費7.8%の削減が必要であり不可避であることに関し,具体的な説明を行わなかった。これに対し,原告組合は,運営費交付金の削減はまだ未確定であり,削減されないように努力していくべきであること,原告組合としてもその努力を前提として様々な提案を行っていきたいこと,そのために同月30日までにもう一度交渉を持つことを申し入れた。しかし,被告は,同月1日からの給与削減を原告組合が認めない限り,団体交渉を行わないとして,明確に団体交渉を拒否した。その後,本件給与減額支給措置に関する団体交渉は再開されなかった。 オ以上の事情を総合考慮すれば,本件給与規則変更が合理性を有しているということは到底できない。しかも,手続的にみても,被告は通則法30 条に基づき予算(人件費の見積りを含む。),収支計画及び資金計画等を定めた中期計画と呼ばれる計画を策定する必要があるため,本件給与規則変更を行うには,賃金計画の変更をする必要があることになるが,そのような中期計画における賃金計画の変更を行っていない。 したがって,本件給与規則変更は,労働契約法9条及び10条に反して行われたものであり,違法,無効である。よって,被告は,原告個人らに対し,本件給与減額支給措置に基づき支給をしていない減額分の賃金について,これを支払う義務を負う。 (2) 争点②(被告による原告組合の団結権ないし団体交渉権の侵害行為の有無)について(原告組合の主張)被告は,平均7.8%もの大幅な給与削減を自ら提案したにもかかわらず,次のとおり,①わずか1か月足らずの間になされた3回の団体交渉において,人件費を削減しなければならない具体的な根拠を示さず(以下「本件不 ,平均7.8%もの大幅な給与削減を自ら提案したにもかかわらず,次のとおり,①わずか1か月足らずの間になされた3回の団体交渉において,人件費を削減しなければならない具体的な根拠を示さず(以下「本件不当労働行為1」という。),②原告組合が団体交渉の継続を求めているにも関わらず,原告組合との団体交渉を一方的に打ち切り,本件給与減額支給措置を一方的に実施した(以下「本件不当労働行為2」といい,本件不当労働行為1と併せて「本件各不当労働行為」という。)。被告の上記各行為は,被告が原告組合に対して負う誠実交渉義務に違反し,正当な理由なく団体交渉を拒否するものであり,原告組合の団結権及び団体交渉権を侵害したものとして,不当労働行為となるものであり,不法行為を構成する。 ア本件不当労働行為1について被告は,原告組合に対し,国家公務員並の給与削減を行うべき必要性について,客観的な資料を示した上で原告組合が納得できるだけの説明を行うべき義務があった。 しかし,被告は,原告組合が団体交渉を通じ開示を求めた①予算の妥当 性や余剰金の存在等について検証するための決算ベースの資料,及び②不要不急の予算を検証するための具体的予算配分資料,のいずれも提示しなかった。 また,被告は,①平成24年度に予算として配分されていた人件費相当額のうち,物件費に流用した約50億円について,その存在を秘匿し,②物件費削減の全体額・実施方法・実施時期等に関し原告組合と具体的な協議ができたはずであり,さらなる物件費の削減ができた可能性もあったが,被告はこれを一切せず,③平成24年度当初予算時点の予備費6億6600万円と増額後の予備費9億5400万円の差額分(増額分)の財源が厚生補導施設充実費であったことについても説明せず,④機構戦略経費を削減できない 切せず,③平成24年度当初予算時点の予備費6億6600万円と増額後の予備費9億5400万円の差額分(増額分)の財源が厚生補導施設充実費であったことについても説明せず,④機構戦略経費を削減できない理由についても一切説明しなかった。 このように,事実を隠匿して抽象的な説明に終始し,必要な資料提供も行わず,短期間で団体交渉を打ち切った被告の対応は,極めて不誠実であった。 イ本件不当労働行為2について本件においては,本件給与減額支給措置を平成24年7月1日に強行実施する必要性及び相当性がなく,他方で,本件団体交渉は,被告の申入れによる給与の一方的切下げが議題であるから,被告には,原告組合の理解と納得を得るだけの説明と協議を行うべき高度の義務が課せられていた。 しかし,被告は,実質的な協議交渉に至らず,質疑応答も尽くされていない段階にあった平成24年6月22日の団体交渉において,原告組合の求めた資料を開示しないまま,団体交渉を打ち切った。 また,仮に被告において給与の減額措置を平成24年7月1日から実施することが必要やむを得ないことであったとしても,被告は,同年6月22日で団体交渉を打ち切るのではなく,せめて,原告組合が求めた同月30日までの間にもう一度団体交渉を行うべきであったが,被告は,同年7 月1日から本件給与減額支給措置を実施することを原告組合が受け入れるという,原告組合の受け入れ難い前提条件を交渉継続の条件として,結局,一方的に団体交渉を打ち切った。 被告のかかる対応は,極めて不誠実である。 (被告の主張)不当労働行為の主張については,争う。 ア被告は,本件団体交渉及び予備協議において,平成24年度の運営費交付金が削減される可能性が相当に高いことから,給与の減額支給措 (被告の主張)不当労働行為の主張については,争う。 ア被告は,本件団体交渉及び予備協議において,平成24年度の運営費交付金が削減される可能性が相当に高いことから,給与の減額支給措置の実施を早急に行わなければならないこと,及び運営費交付金削減見込額と実際の削減額との間に差額が生じた場合には調整もあり得ることを再三説明し,原告組合の理解を求めていた。 イ本件団体交渉が3回に留まったのは,各学校の行事等もあって日程調整が難しいという原告組合側の要因によるものであり,被告が団体交渉の実施に消極的だったということではない。かつ,被告は,予備協議を平成24年5月7日,同月10日,同月17日,6月8日,同月20日の5回実施し,原告組合に対し,運営費交付金削減額の試算や算出根拠などを示しながら,本件給与減額支給措置の必要性を再三にわたり具体的に説明している。また,この予備協議においても,団体交渉における交渉事項に関わる実質的具体的なやりとりが行われている。 ウ原告組合は,被告が行ってきた具体的な説明に対し,予備協議及び本件団体交渉を通じ,一般論を繰り返すばかりで,何一つ具体的な提案を行わなかった。そのような中,被告としては,平成24年7月に給与の減額支給措置を実施しなければ,予備費等により人件費の不足分を補うことが不可能になることが明白であったため,本件給与減額支給措置を実施することを決定せざるを得なかった。 以上のとおり,被告は,原告組合との交渉を不当に拒絶して本件給与規 則の変更をしたわけではない。 (3) 争点③(被告による原告組合の団結権ないし団体交渉権の侵害行為があった場合,当該行為による原告組合の被った損害の有無及び金額)について(原告組合の主張)ア被告は,本件各不当 3) 争点③(被告による原告組合の団結権ないし団体交渉権の侵害行為があった場合,当該行為による原告組合の被った損害の有無及び金額)について(原告組合の主張)ア被告は,本件各不当労働行為により,原告組合の団結権及び団体交渉権を侵害した。これによって原告組合が被った損害は次のとおりである。 (ア)社会的信用の毀損による損害について原告組合は,被告から平均7.8%もの給与減額の提案を受けながら,被告による本件各不当労働行為により,団体交渉を通じて労働者の経済的地位向上を図るという,労働組合の機能を果たすことができない状況に追い込まれた。その結果,原告組合は,労働組合としての機能を果たし得ない存在であるとの認識を組合員等から受けることになり,社会的信用が著しく毀損された。 (イ)積極損害について原告組合は,本件各不当労働行為により,本件訴訟の提起,東京都労働委員会に対する救済申立て,全国に分散する組合員による会議の開催等,様々な取組みと出費を余儀なくされた。特に,会議の開催に要した費用は173万0396円に上り,これ以外にも様々な会議や動員を余儀なくされた。 イ以上の事実に照らせば,原告組合が本件各不当労働行為によって被った無形の損害は200万円を下ることはなく,更に,原告組合がこれに対して法的対応を行うために必要な弁護士費用は,本件の事案の特殊性及び専門性にかんがみ,上記無形の損害額200万円の1割に相当する20万円を下らない。 ウしたがって,被告は,原告組合に対し,民法709条及び710条に基づき,本件各不当労働行為により被った損害の賠償として,220万円を 支払う義務を負う。 (被告の主張)事実は否認し,評価は争う。 第3 当裁判所の判断 づき,本件各不当労働行為により被った損害の賠償として,220万円を 支払う義務を負う。 (被告の主張)事実は否認し,評価は争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実前記前提となる事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 (1) 被告における運営費交付金の取扱いア運営費交付金の金額決定過程(ア)被告に対する運営費交付金は,年度毎に,新年度における事業内容及び必要となる予算額等を,被告が文科省に要望し,文科省において財務省に概算要求を行うなどして,最終的に政府の閣議決定をもって,毎年1月頃に文科省から被告に対し,次年度の予算案が内示される。 (イ)被告は,文科省に予算額を要望するに当たり,被告における第2期中期計画に基づき,平成21年度から平成24年度まで,運営費交付金の希望額を次の方法で算出し,同金額を文科省に要望していた。 a 運営費交付金の総額は,毎事業年度の教育研究経費にかかる教育等標準運営費交付金及び特定運営費交付金の金額と,毎事業年度の一般管理費等にかかる教育等標準運営費交付金及び特定運営費交付金の合計額とする。 b 毎事業年度の教育研究経費にかかる教育等標準運営費交付金及び特定運営費交付金の金額は,次の各経費の合計から,入学料,授業料及びその他収入を控除した金額とする。なお,次の各経費のうち,学科等教育研究経費及び付属施設等経費については,文科省から使途を特定されることがない。そのため,当該経費として配分された予算をいかなる使途に用いるかについては,被告が裁量を有している。 ・学科等教育研究経費( 学科等の教育研究活動の実態に応じ必要となる教職員の人件費相当額及び教育研究経費の総額)・附 に用いるかについては,被告が裁量を有している。 ・学科等教育研究経費( 学科等の教育研究活動の実態に応じ必要となる教職員の人件費相当額及び教育研究経費の総額)・附属施設等経費(附属施設の教育研究活動に必要となる教職員の人件費相当額及び事業経費の総額)・教育等施設基盤経費(教育研究等を実施するための基盤となる施設の維持保全に必要となる経費)・特別教育研究経費(当該事業年度において,特別教育研究経費として措置する経費)c 毎事業年度の一般管理費等にかかる教育等標準運営費交付金及び特定運営費交付金の金額は,次の各項目の合計金額とする。なお,次の各経費については,文科省から使途を特定されることがなく,当該経費として配分された予算をいかなる使途に用いるかについては,被告が裁量を有している。 ・一般管理費(人件費相当額)(管理運営に必要な役職員の人件費相当額。直前の事業年度における金額に,効率化係数(被告の設立以降,運営費交付金の削減のために毎年予算に乗じることとされている係数をいう。)1%を乗じた金額とする。)・一般管理費(人件費相当額を除く)(管理運営費用。直前の事業年度における金額に,効率化係数3%相当額を控除した金額とする。)・特殊要因経費(当該事業年度において,特殊要因経費として措置する経費)(乙26,33,証人B,弁論の全趣旨)イ前記ア(イ)cのとおり,一般管理費の中でも,人件費相当額と人件費相当額を除く経費とでは,効率化係数が異なっており,人件費相当額を除く一般管理費の方が,効率化係数が多く,その結果毎事業年度の控 除割合が多くなっていた。被告においては,かかる状況を考慮し,一般管理費(人件費相当額を除く経 っており,人件費相当額を除く一般管理費の方が,効率化係数が多く,その結果毎事業年度の控 除割合が多くなっていた。被告においては,かかる状況を考慮し,一般管理費(人件費相当額を除く経費)については,運営費交付金の額を算出する際に算出する金額のみを実際の予算における執行額とするのではなく,一般管理費(人件費相当額)のうち一部を一般管理費(人件費相当額を除く経費)に流用することを前提として,実際の当該年度の予算編成を行うことを慣例としていた。平成24年度予算における上記一般管理費(人件費相当額)から一般管理費(人件費相当額を除く経費)への割り振りのあった額は,予算案段階における人件費相当額合計540億8045万8000円のうち,49億9249万4000円であった。 (甲共18,乙18,19,32〔44頁〕,33)ウ運営費交付金の配分方法被告に対する運営費交付金は,平成24年度においては,年度の全期間を通じ,各月に分割して交付されることとなった。各月の具体的な支給額は,被告の支出見込額と(運営費交付金以外の)収入見込額の差額とされている。 (乙14)(2) 文科省は,平成23年12月27日,被告に対し,平成24年度の運営費交付金の予定額が630億0578万7000円であることを内示した。また,このとき文科省は,被告に対し,国家公務員における給与特例法の成立状況によっては,運営費交付金についても国家公務員の給与削減に準拠した形での削減が想定されること,及び,かかる事態に対する準備が必要になる旨指摘した。 (乙32〔4頁〕)(3) 平成24年3月8日付け事務連絡 での削減が想定されること,及び,かかる事態に対する準備が必要になる旨指摘した。 (乙32〔4頁〕)(3) 平成24年3月8日付け事務連絡平成24年3月8日,文科省は,被告を含む所管の独立行政法人の長,国立大学法人学長及び大学共同利用機関法人機構長に対し,文科省大臣官房長 名の「独立行政法人における役職員の給与の見直しについて」と題する事務連絡文書を発出した。同事務連絡の趣旨は,独立行政法人,国立大学法人及び大学共同利用機関法人に関する共通的な制度の企画及び立案を所管する総務省からの同年3月6日付け事務連絡を受け,「法人の自律的・自主的な労使関係の中で,国家公務員の給与見直しの動向を見つつ,貴法人の役職員の給与について必要な措置を講ずるよう要請」するものであった。 被告は,平成24年2月ころ,役員を文科省に往訪させ,運営費交付金の削減を行わないでほしい旨の申入れを数回行った。これに対し,文科省の被告の所管部署は,国家公務員の給与削減率を見ながら被告教職員の給与の減額を検討するように述べるにとどまった。 (甲共3,乙33,証人B)(4) 平成24年度当初予算の編成ア被告は,文科省から内示を受けた運営費交付金の金額を前提に,平成24年度の予算編成作業を行い,平成24年3月14日には予算編成のための役員会を実施し,同年度の予算を決定した。予算の概要は次のとおりである。 (ア)収入 764億6340万2000円うち運営費交付金 630億0578万7000円授業料等 128億7197万2000円雑 764億6340万2000円うち運営費交付金 630億0578万7000円授業料等 128億7197万2000円雑収入 5億8564万3000円(イ)支出 764億6340万2000円うち人件費 490億8796万4000円使途不特定経費(物件費相当)213億9197万1000円使途特定経費 59億8346万7000円機構戦略経費 38億5852万6000円 イ被告における平成24年度予算配分の概要は次のとおりであり,うち92.37%に当たる706億3000万円を年度当初に各高専に配分した。 (ア)予算額 764億6300万円(イ)当初配分額(概算) 706億3000万円(ウ)未配分額 58億3300万円うち追加配分事項経費 9億3100万円うち教育等施設基盤経費(営繕経費) 14億0800万円(エ)機構戦略経費(当初配分で配分済みの3億6500万円を控除した額として) 34億9400万円ウ前記イの各費目のうち,機構戦略経費は,マスタープラン(各高専からの設備整備要求を基に策定する設備整備計画をいう。)に基づく設備整備,寄宿舎・職員宿舎整備,高専改革関連,教員研修,メンタルヘルス,共通的事業経費,予備費を含む臨時経費等に充てられることが想定されていた。 被告が,平成24年度において 計画をいう。)に基づく設備整備,寄宿舎・職員宿舎整備,高専改革関連,教員研修,メンタルヘルス,共通的事業経費,予備費を含む臨時経費等に充てられることが想定されていた。 被告が,平成24年度において機構戦略経費を配分することを予定していた事業及び事業ごとの金額は,別紙「平成24年度機構戦略経費配分予定事項( 事業) 」記載のとおりである。 エ被告は,平成24年度の予算を編成するに際し,仮に運営費交付金が国家公務員の給与削減に準拠した形で削減されるとした場合,削減の予想される金額は39億8800万円で,一月当たりの不足額は約2億5000万円になると試算した(期末手当及び勤勉手当を支給する月については5億円の不足になると試算している。)。なお,平成24年度の運営費交付金がいつ,どの程度減額されるのか,文科省から具体的な通知等はなく,したがって,例えば年度末に1年分の減額が行われた場合,教職員の給与の支払に充てるべき資金が直ちに不足する事態も想定された。 被告は,文科省からの前記(2) の指摘及び前記(3) の事務連絡を受け,平成24年度中に本件給与減額支給措置を実施する必要があると考えてい たが,そのために行う原告組合との団体交渉が難航した場合の資金的手当として,教育研究設備の整備予算等及び厚生補導設備の充実に要する費用を限定ないし削減し,予備費を9億5400万円計上した。なお,被告における平成23年度の予備費は2億1000万円(予算総額775億1140万7000円),平成22年度の予備費は2億9400万円(予算総額800億3874万8000円)であった。 (乙10,11から13まで,33,証人B)(5) 独立行政法人の役職員の給与に関する副総理らの発言ア平成24年5月11日,岡 874万8000円)であった。 (乙10,11から13まで,33,証人B)(5) 独立行政法人の役職員の給与に関する副総理らの発言ア平成24年5月11日,岡田副総理は,同日実施された閣僚懇談会後の記者会見において,同懇談会で「独立行政法人等の役職員等の給与の見直し」について発言をしたと述べた上で,次のとおり述べた。 (発言内容)「国家公務員の給与につきましては,給与改定臨時特例法が施行されたところでもあります。7.8%,独法,それから国立大学法人,特殊法人などの役職員の給与についても,既にこれらの独法などに対して必要な措置を講ずるよう要請するという閣議決定がなされているところであります。 しかし,現実には対応が遅れておりますので,そのことについて改めて私のほうから,独法等を所管される大臣に対して,各所管法人の対応の状況について,よく確認をし,自ら大臣が確認をして,適切な対応をいただくようお願いしたい(略)独法102の中に既に対応済みが45,国立大学法人が90のうちの10,その他特殊法人などは12のうちの3に過ぎず,その他はまだ対応できてないということでありますので,早急に対応していただきたい」(甲共5)イまた,同日,安住財務大臣は,閣議後記者会見において次のとおり述べた。 (発言内容)「独立行政法人の人件費について,(略)国家公務員が法律改正を行って引き下げたわけですけれども,公的部門全体でこれに倣ってもらいたいということで,減額分を今それぞれの法人と管理側で話をしておりますけれども,これを是非急いでほしいということと同時に,次の予算編成の際には,運営費交付金により人件費が賄われている独法等については,国家 うことで,減額分を今それぞれの法人と管理側で話をしておりますけれども,これを是非急いでほしいということと同時に,次の予算編成の際には,運営費交付金により人件費が賄われている独法等については,国家公務員の給与削減と同等の給与削減相当額を算定し運営費交付金等から減額をしたい(略)」,「(対象となる)102法人全てでお願いをしております。ですから労使交渉も行って組合側にもご理解をいただくようなことを是非急いでやっていただきたいと。(略)」(甲共4)ウさらに同日,平野博文文部科学大臣(当時。以下「平野文部科学大臣」という。)も,記者会見において,次のとおり述べた。 (発言内容)「(労使交渉の結果に関わらず運営費交付金を人件費分だけ削減していくという考えはあるのか,との質問に対し)そうならないように,そういうことにならないように,自主的に労使交渉の中で解決をしていただきたいと私は思っています。」「(独立行政法人に対し,文科省が給与の返納ないし削減を求めることが越権行為のような印象を受ける,との質問に対して)越権というよりも,お願いをすると。交付金を,やっぱり税金を使って運営をしている,独法といえども税金を使ってお願いをしているわけで,国家公務員も経費削減ということに対したわけですから,それに準じてお願いということであります。」「(応じなかった場合のペナルティーがあるというわけではないのか,との質問に対し)そうならないように努力していただきたい。(略)まだ 8つだったかな,今朝段階では合意をして削減をしていただいた法人は。 御理解いただけると期待しています。」 。(略)まだ 8つだったかな,今朝段階では合意をして削減をしていただいた法人は。 御理解いただけると期待しています。」(甲共6)エ前記ア,イの各発言の後,文科省高等教育局専門教育課は,情報提供の趣旨で,前記アの岡田副総理及び前記イの安住財務大臣の発言の骨子を記載した書面を被告に送付した。 (甲共7)(6) 平成24年5月29日,文科省は,国立大学法人学長及び文科省高等教育局の所管する独立行政法人(被告を含む。)の長に対し,文科省高等教育局長名で「国立大学法人及び関係独立行政法人における役職員の給与の見直しについて」と題する事務連絡文書を発出した。同事務連絡においては,平成24年3月8日付け事務連絡において,法人の自律的・自主的な労使関係の中で法人の役職員の給与について必要な措置を講ずるよう要請したことを確認した上で,同年5月11日の閣僚懇談会後の岡田副総理の発言(前記(5)ア)の要旨を記載し,「貴職におかれましては,これらを踏まえ,貴法人における役職員の給与の見直しの状況について御確認いただき,すみやかに対応いただきますようお願いします。」としている。 また,文科省は,平成24年4月頃,被告をはじめとする所管の独立行政法人に対して,給与引下げに関する労使交渉等の進捗状況を問い合わせるなどしており,同月16日頃,被告はこれに対し,現在検討中である旨回答した。 (甲共8,乙31〔14頁から17頁まで〕,32[30頁])(7) 被告と原告組合との団体交渉等の経緯被告と原告組合は,本件給与減額支給措置に関して,次のとおり団体交渉及び予備協議を実施した。 頁から17頁まで〕,32[30頁])(7) 被告と原告組合との団体交渉等の経緯被告と原告組合は,本件給与減額支給措置に関して,次のとおり団体交渉及び予備協議を実施した。 ア平成24年2月27日実施の団体交渉 この団体交渉は,原告組合からの申入れにより実施されたものであり,人事院勧告に準じた給与改定をどのように行うかを主な議題としたものであるが,国家公務員の給与特例法が成立した場合の被告の対応についても議論の対象とされた。被告は,現時点での考えは白紙であり,同法が成立してからの検討となる旨述べるとともに,仮に同法が成立した場合は,独立行政法人等への運営費交付金の削減等がなされることを予測しており,仮にかかる削減が行われた場合は,被告の教職員の給与を引き下げることも検討する必要がある旨説明した。 原告組合は,被告に対し,高専の人件費を含めた運営費が削減されることは,高専の担っている中堅技術者の育成にマイナスとなる旨述べ,文科省等に運営費交付金の削減を行わないよう要請することを求めた。被告は,今後の動向を注視し,運営費交付金が減額されないよう努力する,と述べた。 (甲共30)イ平成24年3月21日実施の団体交渉この団体交渉は,被告からの申入れにより実施された(以下のすべての予備協議及び団体交渉も同じ。)ものであり,平成24年2月27日の団体交渉に続き,人事院勧告に準じた給与改定をどのように行うかを主な協議事項としていたが,被告において,同月29日に給与特例法が成立していたことを受け,国家公務員の給与減額支給措置に準じた措置を講ずることについて,総務省及び文科省から要請を受けていることや,運 な協議事項としていたが,被告において,同月29日に給与特例法が成立していたことを受け,国家公務員の給与減額支給措置に準じた措置を講ずることについて,総務省及び文科省から要請を受けていることや,運営費交付金の減額が見込まれることを理由として,同年4月分の給与から減額を行うことを提案した。 これに対し,原告組合は,運営費交付金が削減されるかどうかわからない現時点においては,給与減額の提案を受け入れることはできないと述べた。被告は,運営費交付金の削減に伴う被告の教職員の給与減額について は,運営費交付金の取扱等の情報を引き続き収集した上で,改めて提案することとした。 その後,人事院勧告に準じた給与改定については,同年4月6日の団体交渉により妥結した。 (甲共31,32,乙1,31,32〔2頁から59頁まで〕,33,証人B,原告C)ウ被告による平成24年4月27日の団体交渉申込み平成24年4月27日,被告は原告組合に対し,同年3月21日の団体交渉以降,現時点で文科省から運営費交付金に関する新たな情報は示されていないが,仮に給与特例法による国家公務員の給与削減率に準じて,人件費総額の7.8%相当額の運営費交付金が削減されるとすると,対応が遅れるほど,被告が予算上厳しい事態に陥ると想定されること,及び,他の独立行政法人や一部の国立大学法人においては,既に教職員の給与の減額を実施していることから,被告においても早期に給与の減額支給措置を実施する必要があるとして,同年6月から給与の減額支給措置を実施することについての協議を申し入れた。 (甲共33)エ平成24年5月7日実施の予備協議被告は,原告組合に を実施することについての協議を申し入れた。 (甲共33)エ平成24年5月7日実施の予備協議被告は,原告組合に対し,仮に平成24年4月から,給与特例法に準じて被告の教職員給与の減額を行った場合の運営費交付金の削減見込額は約40億円と試算していること,給与減額の時期が遅れると,被告内で予算の調整が必要となること,できる限り早期の,6月からの給与減額を実施したいことを述べ,併せて,減額する給与の額と実際の運営費交付金の削減額との間に差額(前者の方が多額に上った場合)には,一時金という形で被告の教職員に還元することも考えられると述べた。 原告組合は,前回交渉以降に運営費交付金に関する新しい状況は発生し ておらず,運営費交付金の削減が現時点では見込みにすぎない現状では,交渉すべき段階ではないとした上で,交渉するための前提として,人件費ではなく物件費の削減で対応すべきことなどを述べたほか,仮に運営費交付金の削減が行われた場合の被告の財務状況等について,精緻なシミュレーションをもって説明することを被告に求めた。 (甲共34,乙5,32〔2頁から59頁まで〕)オ平成24年5月10日実施の予備協議被告は,原告組合に対し,給与の減額支給措置に伴う影響額を試算した書面(乙10。運営費交付金の削減見込額は39億8800万円,1月当たりの削減額は2億5000万円となる旨の記載がある。)を提供した。 併せて,平成24年度の予算のうち,92%を既に各高専に配分していること,予備費は9億5400万円計上しているが,仮に国家公務員の給与減額支給措置相当額の運営費交付金が削減される場合,予備費では3か月程度 平成24年度の予算のうち,92%を既に各高専に配分していること,予備費は9億5400万円計上しているが,仮に国家公務員の給与減額支給措置相当額の運営費交付金が削減される場合,予備費では3か月程度しか対応することができないとして,平成24年6月1日からの給与の減額支給措置の実施を求めた。また,原告組合の質問に応じ,被告の教職員全体の給与削減率は8.2%となる旨回答した。 原告組合は,被告からの説明が十分でなく,期限が近付いてから提案をすることは誠実でないとして,運営費交付金が削減されることがはっきり決まらない限り,協議にならないと述べ,被告において文科省に運営費交付金の遡及的削減には問題があると訴えてほしいと求めた。被告は,文科省への要請を行うことには,他の独立行政法人ができて高専は何故できないのかという話になりかねないとして難色を示し,給与の減額支給措置を実施することについて団体交渉を行いたいと求めた。 (甲共35,乙6,10,32〔2頁から59頁まで〕,証人B)カ平成24年5月17日実施の予備協議平成24年5月17日,被告は原告組合に対し,同月11日の岡田副総 理及び安住財務大臣の発言(前記(5) のア及びイ)があったことを受け,被告の教職員の給与の減額支給措置を同年6月から実施することについて,団体交渉を申し入れた。また,このとき被告は,被告の平成24年度予算配分の内容を記載した資料(乙11)及び平成23年度予算と平成24年度予算とを対比して記載した資料(甲共11)を原告組合に示した。 原告組合は,運営費交付金を削減されないようにするための被告の姿勢を見せてほしい,運営費交付金の削減に対して,人件費を減額するだけの対応は間違っていると述べ,また,1回の団体交渉で合意に至らない 原告組合は,運営費交付金を削減されないようにするための被告の姿勢を見せてほしい,運営費交付金の削減に対して,人件費を減額するだけの対応は間違っていると述べ,また,1回の団体交渉で合意に至らないことは明らかであり,現時点になってから同年6月1日に給与の減額支給措置の実施を行うという提案をすることには誠意がない,などと述べた。 (甲共11,乙7,11,32〔2頁から59頁まで〕)キ平成24年5月28日実施の団体交渉被告は,原告組合に対し,今後,運営費交付金の削減が見込まれることから,平成24年6月1日からの給与の減額支給措置を実施することについて協議を申し入れるとともに,文科省に対して運営費交付金の削減をしないようにとの要請は行っているが,既に政治的な話となっており,これ以上の働きかけは難しく,今回の運営費交付金の削減については,経営合理化だけでは対応することができないと説明した。また,各高専に配分する予算も毎年減額されており,大幅な物件費の減額は難しいと述べ,文科省所管の独立行政法人の給与減額支給措置の実施状況について,原告組合の質問に対して,23法人のうち13法人が実施を決定していると回答した。 原告組合は,被告は,ラスパイレス指数の改善等,被告の教職員の損失を減らす努力をせず,単に国家公務員に準ずる措置を行おうとしているにすぎないとした上で,予算の見直しや事業計画の見直しを含めた経営努力をすべきであるとして,人件費のみにしわ寄せが行くのは不当である旨述 べるなどした。 結局,この団体交渉では被告と原告組合との間で給与の減額支給措置について合意に至らなかったことから,交渉を続行することとして,被告は,平成24年6月1日からの同措置実施を見送った。 た。 結局,この団体交渉では被告と原告組合との間で給与の減額支給措置について合意に至らなかったことから,交渉を続行することとして,被告は,平成24年6月1日からの同措置実施を見送った。被告は,原告組合に対し,平成24年度の被告の予算及び予算配分を資料として提示したが,原告組合は,被告に対し,次回の交渉時に①繰越金・積立金等を含めた被告の予算全体の分かる資料(決算ベースの資料),②被告設立後の高専の教職員給与の推移がわかる資料,及び,③5月11日の安住財務大臣発言の趣旨,について資料を用意するよう求めた。 (甲共14,28,乙2,31,32〔2頁から58頁まで〕,証人B,原告C)ク平成24年6月8日実施の予備協議被告は,原告組合に対し,平成24年5月29日付け文科省高等教育局長発出の事務連絡により,改めて給与の引下げに関する要請が来ているとして,運営費交付金が試算どおり約40億円削減された場合,予備費では6月分の給与までしかカバーすることができないと再度説明した。また,前年度の積立金は存在するが,現金の裏付けのあるものは1億円強でしかなく,しかも,平成23年度は東日本大震災による被災学生支援等の理由によって赤字となることが見込まれており,当該年度に発生していることが見込まれる赤字は今後2年間で解消する必要があること,機構戦略経費をこれ以上削減するのは難しいことなどを述べた。 原告組合は,上記事務連絡には何らの意味もないと認識している,被告には,文科省や外部に向け,運営費交付金の削減をしないように主張してほしい,運営費交付金の削減が決まっていない段階での給与減額支給措置の提案はおかしく,削減額をすべて人件費で対応するということでは交渉にならない,と従前と同様の主張をした。 主張してほしい,運営費交付金の削減が決まっていない段階での給与減額支給措置の提案はおかしく,削減額をすべて人件費で対応するということでは交渉にならない,と従前と同様の主張をした。 (乙8,32〔2頁から58頁まで〕,証人B)ケ平成24年6月13日実施の団体交渉被告は,原告組合に対し,教職員の6月の期末勤勉手当から減額する措置を実施することについて協議を申し入れた。併せて,被告は,原告組合が前回の団体交渉で要求していた決算ベースの資料は提出が難しいこと,第2期中期目標及び中期計画中に発生した積立金のうち,被告において使用可能となっている積立金は1億0700万円あるが,平成23年度において1億6800万円の赤字が発生する見込みであり,上記積立金を同赤字解消のために使い切ってなお赤字が残る予定であるとの説明をした。また,被告からは,平成22年度から平成24年度までの予算額の推移をまとめた表(乙12),当初予算配分時における機構戦略経費による実施予定事項一覧表(乙13)及び平成23年3月31日時点の被告の貸借対照表(甲共13)等が提示された。 原告組合は,決算ベースの資料が出せない理由がわからない,6月の期末勤勉手当の基準日は給与規則上6月1日であり,既に支給額は確定しているのであるからこれを遡及的に減額することはできないはずであると述べた。さらに,仮に運営費交付金が人件費の7.8%分削減されるとしても,被告全体として予算の見直しを行うべきである旨主張した。 また,原告組合は,被告の公表資料である平成23年度事業報告書(甲共19)に記載されている同年度資金計画の中に,前年度からの繰越金135億円との記載がある点をとらえて,詳細の説明を求めた。被告は, また,原告組合は,被告の公表資料である平成23年度事業報告書(甲共19)に記載されている同年度資金計画の中に,前年度からの繰越金135億円との記載がある点をとらえて,詳細の説明を求めた。被告は,同繰越金の中には,運営費交付金事業ではなく,対象事業以外に使用できない施設整備補助金のほか,退職金や物件費の支出先である業者への未払金も含まれていると説明した。 結局,この団体交渉でも給与減額支給措置の実施について被告と原告組合との間で合意に至らなかったことから,被告及び原告組合は交渉を続行 することとした。 (甲共13,15,19,28,乙3,12,13,31,32〔2頁から58頁まで〕,証人D,同B,原告C)コ被告は,平成24年6月18日付けで,全高専に対し,1学科当たり300万円の配分済み予算(物件費)の執行を留保する旨通知した。当該留保額の合計は7億1340万円となり,被告の判断において同額を支出することが可能な状態となった。 なお,前記配分済み予算の執行留保要請は,原告組合に事前の通知なく行われたものであった。 (甲共27,乙15,33,証人B,原告C)サ平成24年6月20日実施の予備協議被告は,原告組合に対し,予算はぎりぎりまで切り詰めており,これ以上の合理化は困難であるため,給与の減額支給措置をできるだけ早期に実施したい旨説明した。 これに対し,原告組合は,運営費交付金の削減額が決まっていない段階での給与の減額支給措置の提案が続けられていることについて,非常に不誠実であると述べた。 (乙9)シ平成24年6月22日の団体交渉(ア)被 の提案が続けられていることについて,非常に不誠実であると述べた。 (乙9)シ平成24年6月22日の団体交渉(ア)被告は,給与減額支給措置の対象について,平成24年6月の期末勤勉手当からではなく,7月分の給与からとするよう見直した旨説明した。 その上で,就業規則の不利益変更の要件(労働契約法10条)について,本件給与減額支給措置の不利益の程度はかなり大きいものであるが,必要性については,いわゆる東日本大震災の復興財源となること,公的機関全体で取り組むべきものであること,国からの要請があることを考慮し,妥当であると考えており,団体交渉においても誠意をもって対応し ており,給与の減額支給措置の実施時期や配布済み物件費の執行留保等の緩和の努力もしていると考えていると述べたうえで,この団体交渉で合意を得たいが,合意に至らない場合,最終的には経営判断により給与の減額支給措置を同年7月1日から実施することとすると告げた。 (イ)原告組合は,運営費交付金が削減されるとの想定を根拠に給与の減額支給措置を実施することには到底納得できないとした。他方,平成24年度の赤字決算を覚悟し,翌年度以降で補填すればよいのではないかとの意見も出されたが,被告からは,既に平成23年度は赤字決算の見込みであり,これを平成24年度及び平成25年度で補填すべく,平成25年度の概算要求を増額要求していきたいが,要求すべきは教育研究に係る経費であり,人件費について赤字が出たことを理由に増額要求を行うことはできないとの考えを示した。 また,原告組合からは,仮に運営費交付金が40億円削減されるとしても,平成24年度は給与の減額支給措置の実施を7月まで見送ることができたのであるから,平成 を行うことはできないとの考えを示した。 また,原告組合からは,仮に運営費交付金が40億円削減されるとしても,平成24年度は給与の減額支給措置の実施を7月まで見送ることができたのであるから,平成25年度も7月からの実施とすれば良いのではないかとの意見も出たが,被告は,平成25年度については予算がどうなるかわからないため,国家公務員と同様に2年間(平成25年度末まで)実施したいとの回答にとどまった。 (ウ)原告組合は,平成24年6月30日にもう一度団体交渉を実施するよう求めた。これに対し,被告は,同年7月1日に給与の減額支給措置を実施することを前提とするのであれば団体交渉に応じる,同日に同措置を実施するための手続は進める,と回答した。原告組合は,被告の回答を団体交渉の拒否と受け止め,以後,給与の減額支給措置に関する団体交渉は行われなかった。 (甲共16,27,28,乙4,31,32〔2頁から58頁まで〕,33,証人D,証人B,原告C) (8) 被告による本件給与規則変更平成24年6月25日,被告は,本件給与規則変更の手続を履践した。 また,同日付けで,各高専の学校長に対し,被告の理事長名で「教職員の給与の臨時減額支給措置について」と題する文書を発出した。同文書は,①同日実施した役員会における審議等を踏まえ,本件給与減額支給措置を同年7月1日から実施すべく,被告の教職員給与規則等を改正したので過半数代表者等への意見聴取の対応を求める,②やむを得ず物件費の一部留保を行いつつ,原告組合に対して給与減額措置について理解を得るために労使交渉を重ねたが,原告組合の理解を得ることができなかったところ,給与減額支給措置をとるのが遅れれば遅れるほど,被告の財政状況が厳しくなることが想定されるため,やむを得ず同年7月1日から るために労使交渉を重ねたが,原告組合の理解を得ることができなかったところ,給与減額支給措置をとるのが遅れれば遅れるほど,被告の財政状況が厳しくなることが想定されるため,やむを得ず同年7月1日から本件給与減額支給措置を実施することとした,という趣旨のものであった。 (甲共17)(9) 平成24年度補正予算平成25年1月15日,政府の閣議により平成24年度政府補正予算案が決定された。その結果,被告への同年度運営費交付金の額が41億2849万9000円減額された(前提となる事実(7) )が,これとは別に,被告に対しては,次の各補助金が追加的に支給されることとなった。なお,各補助金はいずれも使途を特定されており,人件費等への流用は認められていない。 被告は,これらの補助金を平成25年度に繰り越し,同年度内に執行した。 ア高専の高度化に必要な設備整備等に関する補助金285億2319万2000円イ耐震化・老朽化対策等に関する補助金 39億9505万円 (乙20,24,32〔2頁から59頁まで〕,証人B)(10) 被告の事務・技術職員の給与水準に関する状況平成23年度の独立行政法人103法人の事務・技術職員の対国家公務員 のラスパイレス指数の平均値は105.7であったところ,被告の事務・技術職員(教員は含まれていない。)のラスパイレス指数は,84.6であった。なお,国立大学法人86法人及び大学共同利用機関4法人における事務・技術職員の同年度におけるラスパイレス指数の平均値は87.5であった。 他方,平成23年度の被告の教員(教育職員)のラスパイレス指数は,98.7であった。 用機関4法人における事務・技術職員の同年度におけるラスパイレス指数の平均値は87.5であった。 他方,平成23年度の被告の教員(教育職員)のラスパイレス指数は,98.7であった。 (甲共24,乙22) 2 争点①(本件給与規則変更の有効性)について(1) 本件給与規則変更は,被告の教職員の本給及び各種手当(管理職手当,地域手当,広域異動手当,期末手当及び勤勉手当)を平成24年7月1日から平成26年3月31日までの間減額して支給することを内容とするものであり,就業規則を被告の教職員の不利益に変更するものである。したがって,本件給与規則変更による変更後の条件を被告の教職員に適用するには,労働契約法10条の定める要件を充足する必要があり,具体的には,本件給与規則変更について,①労働者の受ける不利益の程度,②労働条件の変更の必要性,③変更後の就業規則の内容の相当性,④労働組合等との交渉の状況,及び⑤その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものと認められなければならない。そこで,以下,前記各要素について検討する。 (2) 本件給与規則変更により原告個人らの受ける不利益の程度についてア本件給与規則変更によって,被告の教職員の本給及び各種手当(管理職手当,地域手当,広域異動手当,期末手当及び勤勉手当)は,本給について削減幅の小さい者でも4.77%,もっとも削減幅の大きい者は9.77%であるところ,これは,国家公務員に対する人事院勧告に準拠して平成24年5月1日から実施されることになった本給の引下げの引下げ幅平均0.23%(甲共32)を大きく上回るものである。特に,削減幅の大 きい者にとっては,就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合において,その減給総額が 本給の引下げの引下げ幅平均0.23%(甲共32)を大きく上回るものである。特に,削減幅の大 きい者にとっては,就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合において,その減給総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならないとする労働基準法91条の定める限度に匹敵するほどの減額割合となる。 イ実際に,原告個人らの中には,本件給与減額支給措置による収入減に伴い,次のような困難に直面した者が少なからず認められる。そして,このような状況は,原告個人らすべてに,程度の差こそあれ見られるものと推察される。 (ア)日々の生活費,医療費,交際費,その他の支出を切り詰めたり,居宅購入の計画変更や断念に至ったり,貯蓄を切り崩したりすることを余儀なくされた者(甲1の1(以下,原告個人の提出に係る証拠については枝番号を省略する。),10,12から14まで,15,19,24,33から37まで,40,53,60,61,63,129,180,183,190,192,197,200,202,205,206,209,228,230,234,236,238,239,242,243,245,276,277,280,乙32,原告E,同F,同G,同H,同I)(イ)子の教育にかかる費用を従前通りねん出することができなくなった者(甲12,34,43,186,204,224,240,242,原告J)(ウ)高専における教育水準の維持を図るべく自己研鑽に努める費用を削減し,あるいは,学生の部活動等の活動に要する費用を私費で援助していたが私費を割く余裕がなくなった者(甲14,39,54,156,200,204,209,237,243,245,278,原告H)。 ウ加えて,原告個人らにおいては,いずれも 私費を割く余裕がなくなった者(甲14,39,54,156,200,204,209,237,243,245,278,原告H)。 ウ加えて,原告個人らにおいては,いずれも高専の教職員としての職務を各自の職責の下で全うしつつ,主に地方都市において生活をしているものであるところ,全国の高専51校のうち,36校は,国家公務員の給与における地域手当が全く支給されない地域に所在している(乙22)。また,原告個人らは,もともと原告個人らを含めた高専職員の給与水準が低いものであったのであり,その低い賃金水準は,被告の職員の給与に係る平成23年度のラスパイレス指数が84.6という低い水準にあることからも明らかであると認識していた(被告の職員の給与に係るラスパイレス指数の84.6という数値には,管理職の員数割合,地域手当受給対象者の多寡などに影響されていると考えられること,また,被告の教員の給与はラスパイレス指数の数値計算の基礎データとなっていないことを併せ考えると,原告個人らの認識が実態に合致するといえるかは別である。)ところ,そのような低い水準にある給与が本件給与規則変更により更に低いものとなったと認識している(弁論の全趣旨)。こうした諸事情を総合考慮すれば,原告らの主張するとおり,本件給与規則変更に基づく給与引下げの減額幅が,原告個人らをして,被告における自らの就労について,正当な評価を受けていないのではないかとの疑問を抱かせ,その就労意欲を削ぎかねない程度に大きいものであったことは否定し難い。 エ以上のとおり,本件給与規則変更は,削減幅自体からしても,また,これによる原告個人らへの影響という観点からみても,本件給与規則変更によって原告個人らの被る不利益は相当に大きいといえる。 (3) 本件給与規則変更の必要性 則変更は,削減幅自体からしても,また,これによる原告個人らへの影響という観点からみても,本件給与規則変更によって原告個人らの被る不利益は相当に大きいといえる。 (3) 本件給与規則変更の必要性についてア本件給与規則変更は,労働者にとって重要な権利である賃金に関する定めを,被告の労働者の不利益に変更するというものであるから,当該変更を行うことについては,そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである 場合において,その効力を生ずるものというべきである(最高裁判所平成8年(オ)第1677号平成12年9月7日第一小法廷判決・民集54巻7号2075頁参照)。 イここで被告の目的,業務,組織の在り様と通則法上の主務大臣である文部科学大臣との関係等についてみるに,被告は通則法及び高専機構法に基づき設立された独立行政法人であり,その目的は,高専を設置すること等により,職業に必要な実践的かつ専門的な知識及び技術を有する創造的な人材を育成するとともに,我が国の高等教育の水準の向上と均衡ある発展を図ることにあることは既にみたとおりである(前提となる事実(1) ア)。 のみならず,前提となる事実(2) ウで略述したように,独立行政法人たる被告は,主務大臣たる文部科学大臣の定める,3年以上5年以下の期間において独立行政法人が達成すべき業務運営に関する目標(以下「中期目標」という。)に関する指示を受け(通則法29条),これを達成するべく,業務運営の効率化に関する目標を達成するためとるべき措置,国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置,予算(人件費の見積りを含む。),収支計画及び資金計画等を定めた計画(以下「中期計画 するためとるべき措置,国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置,予算(人件費の見積りを含む。),収支計画及び資金計画等を定めた計画(以下「中期計画」という。)を作成し,主務大臣の認可を受けなければならず(通則法30条),毎事業年度の開始前に,中期計画に基づき,その事業年度の業務運営に関する計画(以下「年度計画」という。)を定め,これを主務大臣に届け出るとともに,公表しなければならない(通則法31条)とされている。また,被告は,毎事業年度終了時及び中期目標の期間の終了時に,通則法12条の定めに基づき,主務官庁たる文科省の下に設置された評価委員会の評価を受けなければならず(通則法32条,34条),これらの結果を踏まえ,主務大臣たる文部科学大臣において,中期目標の期間の終了時には,当該独立行政法人の業務を継続させる必要性,組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわ たる検討を行い,その結果に基づき,所要の措置を講ずるものとされている(通則法35条)。 このように,独立行政法人たる被告については,設立の目的を十全に果たすことができるように,通則法により種々の手当がなされており,被告においては,中期計画で定めた事業等を実施し,中期目標の達成に向けて各高専を運営管理していくことが,その存在意義に関わる極めて重要な課題であり,そして,その課題の遂行状況に関する評価及び評価に相応する所要の措置を行う権限を文部科学大臣が有しているということができる。 証人Bが「(中期計画等で予定されている事業を縮小する場合)中期計画に予定されている事業が行われないということになりますと,総務省であるとか,文部科学省の評価委員会における評価が悪化して,ひいては運営費交付金への悪影響も考えられます。」と を縮小する場合)中期計画に予定されている事業が行われないということになりますと,総務省であるとか,文部科学省の評価委員会における評価が悪化して,ひいては運営費交付金への悪影響も考えられます。」と供述した(証人B)のも,かかる認識に基づくものであると解される。 したがって,被告における本件給与規則変更の必要性について検討するに際しては,営利企業等とは異なる被告の果たすべき責務等についても考慮に入れることが必要である。 ウ以上を踏まえて本件給与規則変更の必要性について検討する。 (ア)被告においては,収入のうち約82.3%と,その大部分を運営費交付金が占めるという構造になっており,かつ,その他の主な収入は,授業料及び入学金検定料(前提となる事実(2) イ)であるから,被告の経営努力によって直ちに大幅な増収が期待できるものでもないという財務体質を有していた。 (イ)そして,平成24年当初から同年6月にかけての独立行政法人の運営費交付金に関する政府当局の態度をみるに,文科省が,被告に対し,平成24年度の運営費交付金の額を内示したとき,すなわち,給与特例法が成立する前から一貫して,国家公務員における給与特例法による給与 減額支給措置と同様の割合による運営費交付金(被告の試算によれば約40億円)の削減があり得ることを暗に示しつつ,これに対する備えを行うよう要請してきたことや,被告の役員が文科省に対して運営費交付金の減額を行わないよう要請をしても,文科省からは,国家公務員の削減率を見ながら教職員の給与減額支給を行うことを検討するようにと言われるに留まっており(前記1(3) ),同年5月11日の段階では,政府の方針として,運営費交付金の削減を行う意向であることが,岡田副総理の発言(前記1(5) ア)及び安住財務大臣の発 るようにと言われるに留まっており(前記1(3) ),同年5月11日の段階では,政府の方針として,運営費交付金の削減を行う意向であることが,岡田副総理の発言(前記1(5) ア)及び安住財務大臣の発言(前記1(5) イ)により具体的に明らかになり,同日,被告の主務大臣である平野文部科学大臣も,所管する独立行政法人及び国立大学法人について,労使交渉による自主的な解決を望むが,独立行政法人といえども税金を使って運営をしているのであるから,国家公務員の経費削減に準じて給与の削減をお願いしている旨を述べた上で,仮に給与削減ができない場合には,運営費交付金の削減もやむない旨を暗に述べている(前記1(5) ウ)こと等を踏まえると,平成24年6月末の段階では,いまだ運営費交付金が削減されるか否か,されるとしてどの程度削減されるのか,確定していなかったとはいえ,国家公務員の給与特例法に準拠した規模での運営費交付金の削減がなされる蓋然性は非常に高かったものと認められる(当時の被告の事務局長であったBは,平成24年4月16日頃,文科省に対して,その求めに応じて給与の引下げに関する労使交渉の状況を報告している(前記1(6) ウ)が,その際も,給与の引下げに対する文科省からの圧力を感じたと述べている(乙32〔30頁〕)。 (ウ)上記(イ)で説示したとおり,国家公務員の給与特例法に準拠した規模の運営費交付金の削減がなされる蓋然性は非常に高かったものと認められることを踏まえて更に考察するに,そもそも,被告が平成21年4月に策定した第2期中期計画においては,「国民に対して提供するサー ビスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するために取るべき措置」のうち「教育に関する事項」として,「優れた教員の確保」等の事項に並び,「教育環境の整備・活用」に て提供するサー ビスその他の業務の質の向上に関する目標を達成するために取るべき措置」のうち「教育に関する事項」として,「優れた教員の確保」等の事項に並び,「教育環境の整備・活用」について定め,「施設・設備のきめ細やかなメンテナンスを実施する。」,「産業構造の変化や技術の進展に対応できる実験・実習や教育用の設備の更新,実習工場などの施設の改修をはじめ,耐震性の確保,校内の環境保全,(略)など安全で快適な教育環境の充実を計画的に推進することとし,特に,施設の耐震化率の向上に積極的に取り組む。」との事項も定められており(乙26),これらに対応するべく,機構戦略経費が計上されている(前記1(4)ウ)。 このような中にあって,運営費交付金が当初の内示額よりも減額されることは,当該年度の被告の事業計画に大きな影響を与えるものであり,具体的には,被告においては,当該年度の支出の見直しを余儀なくされることとなり,かつ,被告の予算における支出項目のうち,人件費がその大部分を占めている(前記1(4) ア(イ))ことからすると,中期計画を達成するという観点からは,物件費のみならず,人件費の削減をも考慮せざるを得ない状況にあったというべきである。 また,運営費交付金は,平成24年度についてみれば,年度初めにまとめて交付されるのではなく,月毎に必要額が交付される方式( 前記1(1) ウ) がとられていたところ,同年度の終わり頃に1年分の減額がまとめてなされる可能性もあり,その場合,大半の予算が執行済みで,被告に手元資金が残っていないことが想定されるため,被告において人件費・物件費の支払に窮したり,最終的には赤字決算をせざるを得なくなったりすることは容易に予測されるところである。仮に,赤字決算に陥った場合,被告においては,翌年度の概算要求 るため,被告において人件費・物件費の支払に窮したり,最終的には赤字決算をせざるを得なくなったりすることは容易に予測されるところである。仮に,赤字決算に陥った場合,被告においては,翌年度の概算要求において増額要求を行うなどして赤字の補填に努めることになるが,上記のとおり,当局におい て独立行政法人の運営費交付金を,給与特例法に基づく給与削減幅に準じて削減することを企図している状況下においては,物件費の削減を人件費の削減に優先して行ったような場合に,その後の増額要求に対応した手当が行政当局によりなされるかについては,相当に疑問があると考えざるを得ない状況にあったといわざるを得ない。 (エ)以上検討したところによれば,平成24年度の運営費交付金の額が内示額よりも減額されることがほぼ確実であるといえる以上,被告において教職員の賃金の引下げを行わなければならない高度の必要性があったと解すべきである。 エ以上を踏まえると,被告において,本件給与規則変更を行うべき高度の必要性があったと認められる。 この点について,原告個人らは,被告の当初予算案から人件費相当額の一部である49億9249万円について,物件費に流用されていたことを前提として,当該人件費を本来の人件費として用いていれば,本件給与減額支給措置をとる必要がなかった旨主張するが,ここで物件費に「流用」された人件費名目の金員は,その適否等は別として,前記1(1) イの事実関係に照らすと,被告において,運営費交付金を取得する都合上,慣行として,便宜的に人件費に振り分けられていたという以上の意味はなく,もとより人件費に充てることを予定していないものであったと認められる。 したがって,この点に関する原告個人らの主張には,理由がない(その他,平成24年6月末当時の被告の財政状 という以上の意味はなく,もとより人件費に充てることを予定していないものであったと認められる。 したがって,この点に関する原告個人らの主張には,理由がない(その他,平成24年6月末当時の被告の財政状況については,次項(4) において本件給与規則変更の内容の相当性と関連して検討することとする。)。 (4) 本件給与規則変更の内容の相当性及び団体交渉時の状況についてア前記(3) のとおり,被告に対する平成24年度の運営費交付金が,国家公務員における給与減額支給措置による削減割合と同程度削減される蓋然性が高く,そのために被告において人件費を削減(給与の引下げ)する高 度の必要性があるとしても,その故をもって,直ちには,被告において給与特例法による減額幅を単純に被告の教職員に当てはめて給与の減額を行うことの合理性を肯定することとなるものではない。このことは,文科省において,運営費交付金削減の可能性を述べつつも,飽くまで労使交渉により解決することを要請するのみであったこと(前記1(3) )に照らしても明らかである。前記(2) で述べたように,本件給与規則変更によって被告の教職員に生じる不利益が相当に大きいことにも照らせば,本件給与規則変更の内容が,同不利益を回避するために必要やむを得ない相当なものであったといえるかという観点,及び,労働組合等に十分な説明や妥結の試みを行ったかという観点から,慎重に検討する必要がある。 イ本件給与規則変更の内容の相当性について(ア)本件給与規則の変更は,平成24年7月分の給与から平成26年3月分の給与までを引き下げるというものであった。他方,文科省からは,国家公務員における給与特例法の給与減額幅に相当する運営費交付金の減額を要請されていたのであり,後に,運営費交付金はほぼその要請内 月分の給与までを引き下げるというものであった。他方,文科省からは,国家公務員における給与特例法の給与減額幅に相当する運営費交付金の減額を要請されていたのであり,後に,運営費交付金はほぼその要請内容のとおり減額された上で被告に交付された(前提となる事実(7) )。 ここで,被告は,平成24年度予算配分を決定するに際し,あらかじめ物件費を削り,例年の4倍近い額である9億5400万円の予備費を計上し( 前記1(4) エ) ,その上で,本件給与規則変更を実施するまでの間は,運営費交付金が減額の上で支給されたとしても,同予備費をもって従前の給与額と引下げ後の給与額との差額を吸収することができるような準備をした上で,原告組合との団体交渉を行っていたものである。 その結果,被告は,平成24年4月分の給与から同年6月分の給与及び賞与までを,従前の(引下げ前の)水準で支給するに至っており,平成24年度の運営費交付金の減額額(本件給与減額支給措置分)39億1806万5000円に対して,本件給与規則変更に基づく給与及び賞 与の減額額は,これよりも12億5000万円少ない額にとどまっている。このように,被告においても,国家公務員における給与特例法に準拠した給与の削減を,単純に平成24年4月から行うという対応に出ているものではなく,多額の予備費をあらかじめ計上することにより,原告組合との団体交渉を行うべき時間的余裕を確保したり,被告の教職員の不利益を緩和したりするための策を講じたものとみることができる。 その後,平成24年6月の段階で,運営費交付金が減額された場合の一月当たりの人件費不足額(月当たり2億5000万円)の総額が約12億5000万円に達し,同年7月分の給与は,もはや予備費をもって対応することができない見通しとなったため,被告に が減額された場合の一月当たりの人件費不足額(月当たり2億5000万円)の総額が約12億5000万円に達し,同年7月分の給与は,もはや予備費をもって対応することができない見通しとなったため,被告において本件給与規則変更に踏み切ったものであるところ,既に述べたとおり,被告は,平成24年度の予備費を計上する際,例年であれば計上されるはずの物件費を既に削減していた。また,被告は,各高専に対し,同年4月の段階で平成24年度の予算の大半を分配したことから,平成24年6月末時点で被告が使途を自由に定められる費用は機構戦略経費のみであったところ,機構戦略経費についても,マスタープランに基づく設備整備,寄宿舎・職員宿舎整備,高専改革関連,教員研修,メンタルヘルス,共通的事業経費,予備費を含む臨時経費等に充てられることが想定されているものであった(前記1(4) )。したがって,かかる費用を人件費に回した結果,中期計画等,被告に期待される事業を達成することができない場合には,高専機構法に定める目的を達成するために設立された独立行政法人たる被告の存在意義が,評価委員会の評価等を通じて問われかねないともいうことができるのであり,被告において,機構戦略経費を人件費に用いることもまた期待しえない状況であったし,かかる措置を取ることが相当であったともいえない。そうすると,これまでに計上した予備費が尽きることをもって本件給与規則の変更を実施したことにつ いては,やむを得ないものとして相当性を認めることができる。 (イ)なお,被告は,平成24年6月18日,各高専に分配済みの予算について,1学科当たり300万円の執行留保を指示することにより,合計7億1340万円の費用を新たに確保するに至っている(前記1(7) コ。 なお,当該執行留保の指示は被告から各 高専に分配済みの予算について,1学科当たり300万円の執行留保を指示することにより,合計7億1340万円の費用を新たに確保するに至っている(前記1(7) コ。 なお,当該執行留保の指示は被告から各高専に対し予告なく行われたものであり,そのため,各高専の現場は少なからぬ混乱を来しており(甲共28,証人C),事実上,さらなる執行留保の指示を行うことは著しく困難であったと言わざるを得ない。)。被告による係る取組みは,平成24年6月の給与及び賞与の支給を行うことにより,運営費交付金が減額された場合に被告の持ち出しとなる額がすでに12億5000万円に上っており,当初計上分の予備費9億5400万円では不足することになるため,これを補う目的で行われたものであった(証人B)。 この結果,被告の予備費及び前記執行留保分の総額は16億6740万円に上っており,計算上は,当該資金により平成24年7月分の給与までは減額分を填補することができる(その場合,填補額は約15億円に上り,残額は約1億6740万円となる。)状態ではあったが,同時に,①平成24年度においては既に被告において例年以上の物件費の切り詰めを行っており(前記1(4) エ),今後,物件費の急な支出が必要となる場面が生じないとも言い切れず,その場合には予備費をもってこれに対応せざるを得ないと考えられること,②被告に対する平成24年度運営費交付金の削減額は当時確定しておらず,あくまで削減見込み額を前提にした議論を行っていたところ,仮に運営費交付金の削減額が当初の見込み額よりも大きい場合に予備費による補填もできないといった場合には,独立行政法人たる被告にとって最も避けるべき事態である赤字決算に陥る危険性も想定されることに照らすと,これらの想定される事態への対応能力を残すべく,予備費に例年以上の余裕 できないといった場合には,独立行政法人たる被告にとって最も避けるべき事態である赤字決算に陥る危険性も想定されることに照らすと,これらの想定される事態への対応能力を残すべく,予備費に例年以上の余裕を持たせて本件 給与規則変更の実施に踏み切った被告の判断が相当性を欠くとまではいえない。 ウ団体交渉時の状況について本件給与規則の変更に関する原告組合と被告との団体交渉(予備協議を含む。)の状況は前記1(7) のとおりであるところ,一連の経緯に照らすと,本件給与規則の変更を求める被告に対し,原告組合は,運営費交付金が削減されることが確定されるまでは給与の引下げを行う必要はないとの主張を堅持して,具体的な妥結ラインを探る協議に至る前に団体交渉が終了している。 被告は,団体交渉及び予備協議において,原告組合の求める資料について,すべてではないにせよ,平成24年度の予算配分に関する資料や,機構戦略経費に実施予定事項一覧表等,ある程度の資料は提示した上で,資料を提出できないものについては,職員に説明させるなどの対応をとっており,本件給与規則変更について,原告組合の理解を得るべく一定の試みを行っていたことが認められる(原告個人らは,被告が,運営費交付金削減がされた場合を想定したシミュレーションを行い,賃下げの幅に応じて,給与の引下げを実施しなければならない時期などを検討して提示することが最低限必要であったところ,これを行わなかった旨主張するが,被告は平成24年5月10日の予備協議の時点で,「給与減額支給措置に伴う影響額試算(平成24年度分)」との標題の書面(乙10)を原告組合に提供し,運営費交付金が減額された場合の毎月の人件費不足額見込みについて説明を行っている。その結果,少なくとも,既に計上してある予 影響額試算(平成24年度分)」との標題の書面(乙10)を原告組合に提供し,運営費交付金が減額された場合の毎月の人件費不足額見込みについて説明を行っている。その結果,少なくとも,既に計上してある予備費では3か月程度しか賄うことができないことは原告組合において認識し得たといえるから,この点についての原告個人らの主張には理由がない。)。 なお,原告組合及び被告が実際に本件給与規則の変更に関する団体交渉を開始したのは,平成24年度に入って約2か月が経過した平成24年5 月28日であるところ,本件給与規則変更の重要性(被告の教職員に与える不利益の大きさ)にかんがみると,より早い段階で団体交渉を開始することが相当であったとも考えられる。もっとも,被告において,同年2月27日の団体交渉時に,給与特例法の成立可能性について触れた上で,被告においてもこれに準じた給与の引下げを行うことを検討する必要があるとした(前記1(7) ア)経緯があった上で,同年3月21日の団体交渉時に運営費交付金の削減に伴う給与引下げについて協議を提案したにもかかわらず,原告組合において,運営費交付金が削減されるかどうかわからない段階であることを理由にこれに応じなかったという経緯(前記1(7)イ)があったことに照らすと,この点について被告にのみ責任があるということはできない。 以上検討したところによれば,本件給与規則の変更については,内容等の相当性が認められ,団体交渉の過程に照らしても,被告の対応が特段不誠実であったとまではいうことができない。 (5) その他の本件給与規則変更に係る事情についてその他の本件給与規則変更に係る事情として,原告らは,国立大学法人の中には代償措置を執るものがあったのに,被告においては何らの代償措置も取られ その他の本件給与規則変更に係る事情についてその他の本件給与規則変更に係る事情として,原告らは,国立大学法人の中には代償措置を執るものがあったのに,被告においては何らの代償措置も取られなかったことを主張するところ,確かに,被告において本件給与規則変更に関連する代償措置が執られていないこと,しかるに,原告らが調査した69の国立大学法人のうち,減額実施期間における引下げ率の圧縮を行ったのは34法人(うち10法人は平成25年度の措置のみ),手当面における増額等の措置を行ったのは10法人であることが認められる(甲共20,37,証人D)。しかしながら,前記1(7) の被告及び原告組合の間の団体交渉の経緯に照らすと,本件給与減額支給措置に係る代償措置を協議する状況にはなかったと考えるのが素直であり,また,減額実施期間における引下げ率の圧縮を行った法人,実施しなかった法人と被告との具体的な財務基盤 の違いは明らかでなく,また,手当面における増額等の措置を取った法人についても,そのうち少なくとも7法人は地域手当,1法人は豪雪手当を設けているものであるところ(甲共37),被告は全国的に51校の高専を設置し,そのうち36校については国家公務員の給与における地域手当が全く支給されない地域に所在していること(乙22)にかんがみると,被告において,同種ないし類似の代償措置を工夫して執らなかったことをもって不合理な対応とまでいうことはできないというべきである。 (6) 小括以上のとおり,本件給与規則変更については,これにより被る原告個人らの不利益は相当に大きいといえるものではあるが,変更を行うべき高度の必要性が認められ,内容も相当であり,団体交渉時の状況も,被告の態度が特段不誠実であったとまではいうことができない。したがって,本件 の不利益は相当に大きいといえるものではあるが,変更を行うべき高度の必要性が認められ,内容も相当であり,団体交渉時の状況も,被告の態度が特段不誠実であったとまではいうことができない。したがって,本件給与規則変更に当たり,特段の代償措置が設けられていないことを考慮しても,なお,本件給与規則変更は,合理的なものであったと認められるので,当該変更後の給与規則は,労働契約法10条の要件を満たすものとして有効である。 なお,原告個人らは,本件給与規則変更の相当性を判断するに当たっては,運営費交付金の削減が正式に決定するのと同時に約325億円の設備整備経費が被告に追加配分された事実及びその後の経過等を踏まえて判断されなければならないと主張する。しかし,原告らの指摘する設備整備経費は,そもそも直接又は間接に人件費に流用することを前提として追加配分されたものではないのであり(前記1(9) ),そのことを措くとしても,その追加配分は,補正予算の成立に伴うものであって,本件給与規則変更の後に決定されたことであるところ,かかる事後的な事情を考慮することは,著しく法的安定性を害するものであり,相当でない。 よって,原告個人らの請求には理由がない。 3 争点②(被告による原告組合の団結権ないし団体交渉権の侵害行為の有無) について(1) 本件不当労働行為1についてア原告組合は,被告は,原告組合に対し,賃金減額の必要性について,客観的な資料を示して原告組合が納得できるだけの説明を行うべき義務があったにも関わらずこれを怠ったとして,これが労働組合法7条の規定する不当労働行為及び不法行為に該当すると主張する。 イ本件団体交渉の経緯(前記1(7) )に照らすと,確かに,被告は,運営費交付金が削減される見込みであるから,本 これが労働組合法7条の規定する不当労働行為及び不法行為に該当すると主張する。 イ本件団体交渉の経緯(前記1(7) )に照らすと,確かに,被告は,運営費交付金が削減される見込みであるから,本件給与規則変更を速やかに実施したい旨述べ続け,原告組合の求める資料のうち,決算時点の数字を基にした被告の財務状況に関する資料は開示しないといった対応に出ているのであって,被告が,本件団体交渉において原告組合の要望に十全に答えているとは必ずしもいえない。しかし,他方で被告は,平成24年5月17日に実施した予備協議において,同月11日の岡田副総理及び安住財務大臣の発言に触れ,運営費交付金削減の蓋然性が高いとの認識の下に団体交渉を申し込んでいたり,それに先立つ同月10日の予備協議においては,運営費交付金が削減された場合の1月当たりの人件費不足額を試算した結果(乙10)を開示し,給与引下げを実施しない限り,運営費交付金が削減されることによって被告が財政的に窮する状況に陥ること自体については説明を行っていたりする(前記1(7) オ)のであって,被告として最も説明を行うべき点については一定の説明を行っているということができるし,平成24年度の予算配分状況のわかる資料(乙11)や,前年度予算との比較を行った資料(乙12)を開示するなどして,被告における人件費以外の費用の支出状況について,原告組合が認識しうる程度の資料の提示は行っているというべきである。 ウこの点について,原告組合は,被告が①予算の妥当性や余剰金の存在等について検証するための決算ベースの資料,及び②不要不急の予算を検証 するための具体的予算配分資料のいずれも提示しなかった点や,平成24年度に当初予算として配分されていた「人件費」の一部を「物件費」に流用していた件について 及び②不要不急の予算を検証 するための具体的予算配分資料のいずれも提示しなかった点や,平成24年度に当初予算として配分されていた「人件費」の一部を「物件費」に流用していた件について説明しなかったことなどについても論難する。しかし,本件団体交渉が,平成24年度に入った後の平成24年5月28日から実施されていること,当時計上していた予備費の額からして,被告において早期給与の引下げを行うことが不可避といってよい状況の下で,原告組合は,基本的に,運営費交付金の削減が行われるとの想定を根拠とした給与の引下げには応じることができないとの対応に終始していたのであって,かかる交渉態度や時間的制約といった点を考慮すれば,前記の点について資料を提示しない,あるいは説明を行わなかったということをもって,当該対応が,原告組合の団体交渉権を侵害し,不当労働行為と直ちに評価されるとまではいうことができない。 エ以上のとおりであるから,本件団体交渉における被告の対応が,不誠実な団体交渉に当たるとの原告組合の主張には,理由がない。 (2) 本件不当労働行為2についてア原告組合は,被告は,原告組合の理解と納得を得るだけの説明と協議を行うべき高度の義務が課せられていたにもかかわらず,これを怠り,実質的な協議交渉に至る前の質疑応答の段階にあった平成24年6月22日の団体交渉において,原告組合の求めた資料を開示しないまま,団体交渉を打ち切ったこと,及び同年6月30日までの間にもう一度団体交渉を実施するよう原告組合が求めたにもかかわらず,これに応答せず本件給与規則変更を強行したとして,これらの被告の対応が,労働組合法7条の規定する不当労働行為及び不法行為に該当すると主張する。 イ前記(1) で既に指摘したとおり,本件団体交渉における原告組合 件給与規則変更を強行したとして,これらの被告の対応が,労働組合法7条の規定する不当労働行為及び不法行為に該当すると主張する。 イ前記(1) で既に指摘したとおり,本件団体交渉における原告組合の態度は,基本的に,運営費交付金が削減されることが確定するまでは給与引下げを行う必要がないというものであって,平成24年6月22日実施の団 体交渉の段階でも原告組合と被告の見解は平行線をたどっており,交渉は膠着状態に陥っていた。そのような状況において,給与引下げの具体的な在り方や,代償措置の在り方等について具体的な協議交渉に至る前に,被告において,予備費等で人件費の不足額を補填する余地もなくなり,本件給与規則変更を断行せざるを得なくなったものである。このような経緯や,労働契約法10条所定の措置として被告が本件給与規則変更を行うに当たって必要な周知を実施する必要があったことにかんがみれば,被告において同月30日までの間にもう1度団体交渉を実施すべき義務があったとまでは認められない。 ウ以上のとおりであるから,被告が,平成24年6月22日の団体交渉以降,原告組合との団体交渉を行わずに本件給与規則変更を実施したことが違法な団体交渉の拒否に当たるとの原告組合の主張には,理由がない。 (3) 小括原告組合が本件各不当労働行為として主張する被告の行為は,いずれも違法に原告組合の団結権ないし団体交渉権を侵害する不当労働行為とは認められないから,原告組合の損害賠償を求める主張は,争点③について判断するまでもなく理由がないことになる。 3 結論以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がない。 よって,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第11部 裁判長裁判官佐々 結論 以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がない。よって、主文のとおり判決する。 主文 東京地方裁判所民事第11部 裁判長裁判官佐々木宗啓 裁判官五十嵐浩介 裁判官吉岡あゆみ

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