事件番号平成29年第2169号事件名贈賄宣告日平成30年1月12日宣告裁判所東京地方裁判所刑事第16部 主文 被告人両名をそれぞれ懲役1年に処する。 被告人両名に対し,この裁判が確定した日から3年間,それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人Aは,D市が実施した平成28年度D市職員採用資格試験(上級事務)に補欠合格したEの実父,被告人Bは,Fと親交を有するもの,Fは,平成26年2月14日から平成29年8月13日までの間,D市長として,同市職員を任命する権限を有し,同職員の採用等の事務を統括掌理する職務に従事していたものであるが,被告人両名は,共謀の上,平成29年2月8日,C県D市(以下省略)のF方において,Fに対し,EをD市職員として早期に採用されることにつき有利かつ便宜な取り計らいをされたい旨の請託をし,その謝礼として現金80万円を供与し,もってFの職務に関し賄賂を供与した。 (量刑の理由)本件で供与した賄賂の額は80万円と少なくなく,本件犯行は,D市における職員採用等の職務の公正に対する社会的信頼を害するものである。被告人両名の弁護人らは,賄賂の供与と被告人Aの長男の正式採用との間には因果関係がないことを被告人両名に有利に斟酌すべきであると主張するが,個別具体的な補欠合格者の早期採用に関して現金が授受されること自体,情実採用を排し,公正かつ公平であるべき地方公務員の任用制度に対する信頼を揺るがす悪質なものである。 被告人Bは,被告人Aから長男がD市の職員採用試験を受験していることを聞い て間もなく,市の秘書人事課長にその旨を伝えたり,同人に合否の確認をし,被告人Aに長男の補欠合格の結果を伝えたりした上,市長への賄賂 人Aから長男がD市の職員採用試験を受験していることを聞い て間もなく,市の秘書人事課長にその旨を伝えたり,同人に合否の確認をし,被告人Aに長男の補欠合格の結果を伝えたりした上,市長への賄賂の供与を助言し,市長との面談を取り次ぐなどした。このような経緯や被告人Bの言動に照らせば,被告人Bは,本件を主導し,積極的に関与した上,重要な役割を果たしたということができる。他方,被告人Aについてみても,公立中学校の校長という立場にありながら,被告人Bに市長への賄賂の供与を助言されるや,自らの息子可愛さに安易に本件犯行を決断し,賄賂の原資を用意して供与したのであるから,重要かつ不可欠な役割を果たしている。そうすると,被告人両名が本件において果たした役割や関与の程度の点において,量刑上有意な差は認められず,いずれの刑事責任も軽視できない。 以上の犯情に加え,被告人両名共に,罪を認めて反省の態度を示していること,前科前歴がないこと,被告人Aについては,教員として長年真面目に勤務してきたこと,妻が今後の監督を誓約していること,懲戒免職の処分を受けたこと,被告人Bについては,これまで地域社会の要職につき市民のために尽力したこと,長男が今後の監督を誓約していること等の事情も認められる。 そこで,これらの事情を併せ考慮し,被告人両名に対し,それぞれ主文の刑を科した上,その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 (求刑・被告人両名につき懲役1年)平成30年1月12日東京地方裁判所刑事第16部 裁判長裁判官島田一 裁判官島田環 裁判官髙野将人 一 裁判官 島田環 裁判官 髙野将人
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