主文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由 上告代理人早川忠孝、同大山英雄、同安西愈、同橋本勇、同河野純子、同濱口善紀の上告理由について所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らし、首肯するに足り、右事実関係によれば、Dは、昭和五五年四月一六日午前九時ころ、勤務先において、労作型の不安定狭心症を発症し、救急車で病院に運ばれたものであるところ、Dはその際、入院のうえ適切な治療と安静を必要とし、不用意な運動負荷をかけると心筋こうそくに進行する危険の高い状況にあったにもかかわらず、その日は病院から勤務先に戻り公務に従事せざるを得ず、更に翌一七日も、午前中に病院で検査を受けた後に公務に従事せざるを得なかったというのである。右事実関係の下においては、Dが四月一七日の午後四時三五分に心筋こうそくにより死亡するに至ったのは、労作型の不安定狭心症の発作を起こしたにもかかわらず、直ちに安静を保つことが困難で、引き続き公務に従事せざるを得なかったという、公務に内在する危険が現実化したことによるものとみるのが相当である。そうすると、Dの死亡原因となった右心筋こうそくの発症と公務との間には相当因果関係があり、Dは公務上死亡したものというべきであるとした原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は採用することができない。 よって、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官可部恒雄- 1 -裁判官園部逸夫裁判官大野正 裁判長裁判官可部恒雄- 1 -裁判官園部逸夫裁判官大野正男裁判官千種秀夫裁判官尾崎行信- 2 -
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