昭和28(う)3022 賍物故買被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和29年2月10日 福岡高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      当審の未決勾留日数中六十日を原審の懲役刑に算入する。          理    由  弁護人鶴和夫の控訴趣意は記録に編綴されている同弁護人及び

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判決文本文1,638 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 当審の未決勾留日数中六十日を原審の懲役刑に算入する。 理由 弁護人鶴和夫の控訴趣意は記録に編綴されている同弁護人及び被告人各提出の控訴趣意書記載のとおりであるからこれを引用する。 弁護人の控訴趣意第一、二点及び被告人の控訴趣意中事実誤認の点について、原判決挙示の証拠を綜合すれば本件自転車がAの所有であること及び同人が福岡市a町食堂Bにおいて昭和二十八年八月八日頃の午後六時後何人かから該自転車を窃取されたこと並びに被告人が前回日頃の午後十時半頃自転車を盗品かも知れないとの情を知り乍ら福岡市国鉄博多駅前朝鮮人市場内において氏名不詳者からこれを買受けたことがいずれも明白である。記録を精査するも右認定を左右するに足る資料がない。原判決が原判示事実を認定し被告人を賍物故買罪に問擬したのは正当であつて原判決には事実誤認は勿論理由不備の違法も存しない。尤もAから本件自転車を窃取した犯人がどのようにこれを処分したか又如何なる経過により該自転車が被告人の前所持者である氏名不詳者の手に入つたかにつき記録上明白でないことは弁護人主張のとおりであるけれども前認定に明白な如く被告人は本件自転車をAが盗難にあつた数時間後同市内たる前示場所で氏名不詳者から買受けたものであるから時間的及び場所的関係から見ても右自転車が被告人の手中に帰する以前においてこれにつき民法第百九十二条の要件を充した占有者があつたとは思われないのみならず假に所論の如く前記のような占有者があつたとしても動産の占有者はその占有の始め平穏且公然善意無過失のときと雖も其の占有物が盗品である場合は被害者より二年以内に其の物の回復請求を受けないことによつて始めて其の動産の上に行便する権利を取得すべく右期間内の盗品の所有権は 有の始め平穏且公然善意無過失のときと雖も其の占有物が盗品である場合は被害者より二年以内に其の物の回復請求を受けないことによつて始めて其の動産の上に行便する権利を取得すべく右期間内の盗品の所有権は依然被害者に存在しその賍物性も亦失われることがないのである。所論民法第百九十三条は此の趣旨を表現したもので同条の「前条の場合において」とあるは「平穏且公然に動産の占有を始めた者が善意にして且過失なき場合において」と読み做<要旨>すべく「其の動産の上に行使する権利を取得す」とある文辞に承接する意味に解すべきではない。従つて盗品</要旨>を其の盗取の時より二年内に買受けた者は縦令民法第百九十二条の要件を充した者からこれを買取つたときと雖も苟も其の盗品であることを知つていた以上賍物故買罪が成立するものと解すべきである。故に前示の如く盗難当日盗品をその情を知つて買受けた被告人の場合において本件の自転車は被告人がこれを取得する以前に民法第百九十二条の要件を充す占有者が介在しその賍物性を喪失していたかも判らないとする弁護人の所論には賛意を表し難い。以上の次第により論旨はいずれも採用しない。 弁護人の控訴趣意第三点及び被告人の控訴趣意中量刑不当の戸について、しかし、本件記録及び原裁判所において取調べた証拠に現われた被告人の性格、年齢、境遇、並びに本件犯罪の動機、態様その他諸般の情状及び盗罪後の情況等を考究しなお各所論の情状を参酌しても原審の被告人に対する刑の量定はまことに相当で、これを不当とする事由を発見することができないので、論旨はいずれも採用することができない。 よつて刑事訴訟法第三百九十六条に従い、本件控訴を棄却し、刑法第二十一条により当審の未決勾留日数中六十日を原審の刑に算入することとし主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官下川久市裁判 ない。 よつて刑事訴訟法第三百九十六条に従い、本件控訴を棄却し、刑法第二十一条により当審の未決勾留日数中六十日を原審の刑に算入することとし主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官下川久市裁判官青木亮忠裁判官鈴木進)

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