- 1 -主文 原判決主文1項を取り消し,同部分に係る原告の請求を棄却する。 原告の控訴を棄却する。 訴訟費用は,第1,2審とも原告の負担とする。 事実 及び理由第1本件各控訴の趣旨 原告(1)原判決中原告敗訴部分を取り消す。 (2)被告が原告に対して平成17年1月6日付けでした原判決別紙目録の番号欄記載1から34までの公文書の一部開示決定のうち,同目録の番号欄記載2及び4の公文書について契約目途額欄を非開示とした部分並びに同目録の番号欄記載1から34までの公文書について予定価格欄を非開示とした部分を取り消す。 被告主文1項と同旨第2事案の概要 本件事案の概要は,次のとおり補正し,後記2のとおり加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中「第2事案の概要」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1)原判決3頁9行目の次に行を改めて次のように加える。 「原審は,本件決定のうち,原判決別紙目録の番号欄記載2及び4の公文書について氏名を非開示とした部分並びに同目録の番号欄記載1から34までの公文書について印影を非開示とした部分を取り消し,原告のその余の請求を棄却したので,原告及び被告がそれぞれその敗訴部分の取消しを求めて控訴した。 なお,原告は,後記本件各非開示氏名及び本件各非開示印影に含まれる情- 2 -,,報が本件条例7条2号ただし書イに該当する旨の主張をしていたが原審はこの主張について判断することなく,原告は上記情報が同号ただし書ハに該当する旨の主張を黙示的にしているものと解することができるとして,この点について判断し,本件決定のうち上記の氏名及び印影を非開示とした部分を取り消すべきものとした」。 (2)原判決42頁7行目の「ただしイ」を「ただし書イ」に改める。 原告の当 きるとして,この点について判断し,本件決定のうち上記の氏名及び印影を非開示とした部分を取り消すべきものとした」。 (2)原判決42頁7行目の「ただしイ」を「ただし書イ」に改める。 原告の当審における追加主張(1)本件各非開示氏名及び本件各非開示印影について原審は,原告は,本件各非開示氏名及び本件各非開示印影に含まれる情報が本件条例7条2号ただし書ハに該当する旨の主張を黙示的にしているものと解することができると説示しているが,原告は,原審においてそのような主張を黙示的にもしていないし,当審においても主張しない。 (2)本件各非開示金額についてア文部科学省は,平成14年度における物品購入及び工事等の調達に係る競争入札の結果,予定価格と落札価格が同額となった調達(以下「落札率1案件」という)について調査し,平成16年7月23日,その調査結。 果と改善策等を取りまとめた「平成14年度落札率が1となった競争入札案件の状況について(甲48の1~5)を公表した。これによると,落」札率1案件の多くは,供給者から徴取した参考見積価格を予定価格とした場合(当該供給者は提出した見積価格と同額で入札するため,当然に予定。),価格と一致することになる又は取引実例価格を予定価格としたところ入札者が比較的容易に当該機器の納入先,納入価格等の情報を得たため,,,同額の入札額を算定し入札したという場合に生じていることしたがって予定価格の算定方法を改善すべきであり,具体的には,幅広い市場調査の実施,特定の供給者のみからの情報入手の抑制,参考見積価格調査方法の改善(可能な限り複数の供給者から徴取するなど,取引実例価格調査方)- 3 -法の改善(十分なサンプル数の確保など)等をすべきこと,そして,個々の調達に極力多くの入札参加者を得て,競争 査方法の改善(可能な限り複数の供給者から徴取するなど,取引実例価格調査方)- 3 -法の改善(十分なサンプル数の確保など)等をすべきこと,そして,個々の調達に極力多くの入札参加者を得て,競争性の確保を図るのが不可欠であること等が指摘されている。 したがって,警視庁が,ここで指摘されているような安易な予定価格算定方法を採っているのであれば,それだけで予定価格が入札参加者に明示的又は黙示的に明らかになってしまうし,反対に,予定価格の算定を慎重に行っているのであれば,毎回予定価格は異なるはずであるから,いずれにしても,前の競争入札の予定価格を事後的に開示することによって,次の競争入札の予定価格が容易に推察されるということにはならない。 イ平成16年2月5日に内閣に設置された行政効率化関係省庁連絡会議は,同年6月15日,行政効率化推進計画(甲50)を取りまとめたが,ここでは「各府省ごとに定める一定金額以上の公共調達(予定価格を含,め当該契約に関する情報を開示することが適当でないと認めたものを除く)について,落札率を一覧表にして公表する」と定められており,。 。 その後,同年12月24日閣議決定「今後の行政改革の方針」に基づき平成18年8月29日に改定された行政効率化推進計画においても,この点はほぼ同様の記載で引き継がれている。また,同年1月31日付け行政効率化推進計画等の取組実績(甲51)においても「7落札率1事案への対応等」で「各府省ごとに定める一定金額以上の公共調達について,平,成16年度分の落札率を一覧表にして公表(平成17年度分についても。 翌年度早期に公表予定」とされている。そして,文部科学省,外務省等)は,一定金額以上の公共調達について予定価格,落札率を公表している。 以上のように,予定価格,落札率の公表は,公正な についても。 翌年度早期に公表予定」とされている。そして,文部科学省,外務省等)は,一定金額以上の公共調達について予定価格,落札率を公表している。 以上のように,予定価格,落札率の公表は,公正な競争を阻害するものではなく,落札率1案件といういわば究極の「高止まり」に対する対応策として行われているのであるから,予定価格を事後的に開示することによって,落札価格が予定価格に近接して高止まりの金額になるとか,談合を- 4 -誘発するおそれがあるとはいえない。 第3当裁判所の判断 認定事実認定事実については,原判決の「事実及び理由」中「第3争点に対する判断」の1(原判決6頁14行目から9頁18行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 争点1及び争点2(本件各非開示氏名及び本件各非開示印影に含まれる情報が本件条例7条2号所定の非開示情報に該当するか)について(1)本件各非開示氏名が本件条例7条2号所定の「個人に関する情報で特定」。 ,の個人を識別することができるものに該当することは明らかであるまた本件各非開示印影には,装備課被服係長,装備課主査及び装備課入札担当者の各職にある者の姓が顕出されており,これと上記各職及びその他の情報を照合することにより上記の者の氏名を特定することができるものと認められるから,本件各非開示印影は,同号所定の「個人に関する情報で・・・他の情報と照合することにより,特定の個人を識別することができることとなるもの」に該当する。 (2)原告は,個人のプライバシーに関係のない情報は本件条例7条2号による保護の対象とはならないから「個人に関する情報」とは,個人の私生活,ないし私的事項に関する情報を指し,公にされてしかるべき情報はこれに当たらないものと解すべきであるとし,したがって,公務に関す る保護の対象とはならないから「個人に関する情報」とは,個人の私生活,ないし私的事項に関する情報を指し,公にされてしかるべき情報はこれに当たらないものと解すべきであるとし,したがって,公務に関する職務上の公文書に記載されている公務員の氏名は,特定の個人を識別することができる,。 情報に該当するけれども本件条例7条2号本文には該当しない旨主張するしかし,同号にいう「個人に関する情報」の中核となるのが個人のプライバシーに関するものであることは肯認し得るものの,原告の主張を採用することはできない。すなわち,同号は,格別の限定を加えることなく「個人に関する情報」と定め,個人に関する情報で,それ自体又は他の情報と照合す- 5 -ることにより特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが,公にすることにより,なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについては,原則として非開示とした上(同号柱書,そ)の例外として「法令等の規定により又は慣行として公にされ,又は,公に,することが予定されている情報(同号ただし書イ「人の生命,健康,生」),活又は財産を保護するため,公にすることが必要であると認められる情報」(同ロ)及び「当該個人が公務員である場合において,当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは,当該情報のうち,当該公務員の職務及び当該職務遂行の内容に係る部分(同ハ)を非開示情報から除くものとしてい」るのであって,このような同号の規定に照らすと,同号は,公務員の職務遂,,行に係る情報のうち当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分は開示すべきものとするが,当該公務員の氏名等,個人を識別することができる情報については,法令等の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されて の職及び当該職務遂行の内容に係る部分は開示すべきものとするが,当該公務員の氏名等,個人を識別することができる情報については,法令等の規定により又は慣行として公にされ,又は公にすることが予定されている情報などに当たらない限り,開示しないこととしているものと解するのが相当である。 (3)そこで,本件各非開示氏名及び本件各非開示印影に含まれる情報が,本件条例7条2号ただし書イに該当するかについて判断するに,警視庁が,慣行として,管理職又は管理職相当職の立場にある職員(警視庁本部にあっては課長代理(管理官)以上,警察署にあっては課長以上)の氏名,役職及び配置所属を公にすることとし,人事異動の際には,その内容を主要な新聞において公表していることは,上記認定のとおりである(原判決8頁13行目から18行目まで)ものの,本件処分当時,係長,主査等の職員の氏名及び印影を公にし,又は公にすることを予定した法令等又は慣行が存在したと認めるに足りる証拠はないから,本件各非開示氏名及び本件各非開示印影に含まれる情報は,同号ただし書イには該当しないというべきである。 原告は,同号ただし書イの「公にすることが予定されている情報」には,- 6 -実施機関において公にすることが具体的に予定されている場合だけでなく,公共的な見地から公にされてしかるべき場合も含まれる旨主張するが,同号ただし書イの文理に照らし,採用することができない。 争点3(本件各非開示金額に含まれる情報が本件条例7条6号所定の非開示情報に該当するか)について(1)当裁判所も,本件各非開示金額に含まれる情報は本件条例7条6号所定の非開示情報に該当するものと判断する。その理由は,後記(2)のとおり加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3争点に対する判断」の4(),原判決14頁13 る情報は本件条例7条6号所定の非開示情報に該当するものと判断する。その理由は,後記(2)のとおり加えるほかは,原判決の「事実及び理由」中「第3争点に対する判断」の4(),原判決14頁13行目から20頁4行目までに記載のとおりであるからこれを引用する。 (2)原告の当審における追加主張についてア追加主張(2)アについて原告は,文部科学省が平成16年7月23日に公表した「平成14年度落札率が1となった競争入札案件の状況について(甲48の1~5)を」根拠に,前の競争入札の予定価格を事後的に開示することによって,次の競争入札の予定価格が容易に推察されるということにはならない旨主張する。 しかし,証拠(甲48の3・5)によれば,同省が調査の対象とした入,,札の多くは学術研究及び医療用の機器類等の調達に係る競争入札でありしかも,少数の供給者による入札,とりわけ一社入札が多いことが認められるので,本件の警察官の制服のように成果品を反復継続して購入するための入札であって,入札参加者の数も多いもの(甲3~36)とは,必ずしも同列に論ずることはできず,原告の主張を採用することはできない。 イ追加主張(2)イについて原告は,原審で主張していた平成13年3月9日閣議決定「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針(いわゆる適正化」- 7 -指針,甲39)等に加えて,平成16年6月15日に策定された行政効率化推進計画(甲50,平成18年1月31日に公表された「行政効率化)推進計画等の取組実績(甲51)等によって,予定価格や落札率を公表」することが政府の方針とされ,現に一部の省で実践されていることを根拠に,予定価格を事後的に開示することによって,落札価格が予定価格に近接して高止まりの金額になるとか,談合を誘発する 落札率を公表」することが政府の方針とされ,現に一部の省で実践されていることを根拠に,予定価格を事後的に開示することによって,落札価格が予定価格に近接して高止まりの金額になるとか,談合を誘発するおそれがあるとはいえない旨主張する。 しかし,上記適正化指針においては「予定価格を類推させるおそれが,,。」(),ないと認められる場合において公表するものとするとされ甲39上記行政効率化推進計画においても「予定価格を含め当該契約に関する,情報を開示することが適当でないと認めたもの」を除いた「各府省ごとに定める一定金額以上の公共調達」について落札率を公表するものとしている(甲50)ところ,本件の警察官の制服のように成果品を反復継続して購入するための入札については,予定価格を事後的に開示することによって,適正な競争が阻害され,落札価格が予定価格に近接して高止まりの金額になり,談合を誘発するおそれもあると考えられるから,予定価格や落札率を当然に公表すべきであるとはいえない。 以上によれば,原告の本件請求はすべて理由がないから棄却すべきであり,これと異なる原判決主文1項は相当でない。 よって,被告の控訴に基づき原判決主文1項を取り消して,同部分に係る原,,。 告の請求を棄却し原告の控訴を棄却することとして主文のとおり判決する東京高等裁判所第22民事部裁判長裁判官石川善則- 8 -裁判官倉吉敬裁判官德増誠一- 9 -
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