平成19(む)96

裁判年月日・裁判所
平成19年2月20日 大阪地方裁判所
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判決文本文3,772 文字)

19む96大阪地裁平成19・2・20316条の20第1項一部開示命令 主文 検察官に対し,別紙「開示命令対象証拠一覧」記載の各証拠の開示を命ずる。 弁護人のその余の請求を棄却する。 理由 第1本件請求の趣旨及び理由本件請求の趣旨及び理由は,弁護人作成の証拠開示命令請求書に記載のとおりであるが,要するに,同請求書中の「【裁定を求める開示請求証拠】」欄に記載の各証拠(以下,同書面中の請求証拠番号に従い,個々の証拠をそれぞれ「開示請求証拠1」などと呼称する。)は,刑事訴訟法316条の20第1項により検察官が開示をしなければならない証拠であるのに,検察官がこれをしないので,その開示命令を求めるというものである。 第2当裁判所の判断そこで,当裁判所は,本件請求後,公判前整理手続期日を開いて当事者双方から更なる意見聴取を行うとともに,双方の同意を得て,検察官に対し,その保管する本件の証拠のうち,既に開示済みのものを除く全証拠の提示を求め,その内容を精査した。その結果に基づく当裁判所の認定・判断は,以下のとおりである(なお,開示請求証拠3については,本件請求後に検察官が弁護人に対して任意に開示したことから,判断は示さない。)。 開示請求証拠1(本件に関する知能犯情報報告書及び広聴相談カードもしくはこれらについての捜査報告書),同2(本件募金者を特定していった経過に関する捜査報告書等)について弁護人は,募金者の中には,他の募金団体と混同して被告人らの団体に募金した者や,被告人らが掲げる募金の趣旨と異なる意図で募金した者がいるほか,被害者とされる者の中には被告人の募金活動に関する報道に便乗し被害者と偽って名乗り出た者もいる等の主張を予定しているところ,開示請求証拠1及び2には,どのような被害者がどのような被害を訴え るほか,被害者とされる者の中には被告人の募金活動に関する報道に便乗し被害者と偽って名乗り出た者もいる等の主張を予定しているところ,開示請求証拠1及び2には,どのような被害者がどのような被害を訴え出たのかが具体的に記載されており,被害者の特定経過に関する内容も含んでいて,上記主張と関連性を有しており,防御準備のために開示の必要性も高いから,主張関連証拠として開示を命ずべきであると主張している。 しかしながら,検察官が提示した未開示証拠の全てを精査しても,弁護人の上記主張に関連するような内容を有するものは全く見当たらないから,開示請求証拠1及び2に関する弁護人の開示請求は失当である。 開示請求証拠4(Aの平成15年分の日記帳)について弁護人は,詐欺及び組織犯罪処罰法違反の各公訴事実において,検察官は被告人を単独犯として起訴しているところ,職業安定法違反の公訴事実における共犯者であるAらは本件以前から本件募金活動の内情を知りながらこれを手伝っており,このことは本件の犯情にも影響する旨の主張を予定しているところ,開示請求証拠4には,本件以前に募金の両替を手伝ったことなど,Aの知情性を裏付ける記載があって,上記主張と関連性を有しており,防御準備のために開示の必要性が高いから,主張関連証拠として開示を命ずべきであると主張している。 そこで,検察官が提示した開示請求証拠4を子細に検討すると,―判読に困難を来す部分が少なくないものの―確かにそこには被告人のことについて記載したと思われる部分が散見される。しかし他方,私人の日記帳は,元来外部への公開は予定されていないものであって,訴訟準備のためとはいっても,これを不必要に公開すると,作成者のみならずそこに記載された他人のプライバシーをも侵害するおそれが高いことから,その証拠開示の可否・当否を検討するに いないものであって,訴訟準備のためとはいっても,これを不必要に公開すると,作成者のみならずそこに記載された他人のプライバシーをも侵害するおそれが高いことから,その証拠開示の可否・当否を検討するに当たっても,開示に伴うプライバシー侵害の程度に比してもなおこれを上回るだけの防御上の必要性が認められる部分に限定してこれを行うのが相当である。 そして,このような観点から,改めて本件日記帳の開示の当否を検討すると,別紙「開示命令対象証拠一覧」(1)記載の証拠部分に関しては,Aが被告人と一緒に硬貨の両替を行ったことを端的に示す記載があって,これは弁護人の上記主張と関連し,防御準備のために開示すべき必要性も高いと認められるが,本件日記帳のその余の部分については,(ア)弁護人が主張するような両替に関する記載は見当たらないし,(イ)被告人に関する記載も本件との関連性が希薄であって開示の必要性が高いとは認められない。よって,本件日記帳に関しては,上記(1)部分に限って開示を命ずるのが相当である。 開示請求証拠5(本件の全ての両替にかかる全ての証拠)について弁護人は,検察官が銀行における両替の総額から本件詐取金額を推計する主張を行っているのに対し,両替の一部についてはその存在を争い,また,両替の総額は必ずしも募金総額を反映したものではないとの主張を予定しているところ,本件両替に関する証拠は,その防御準備のために開示すべき必要性が高いから,主張関連証拠として開示を命ずべきであると主張している。 そこで検討するに,検察官の未開示証拠のうち,まず,別紙「開示命令対象証拠一覧」(2)~(11)の各証拠は,銀行等における本件両替に関する証拠物や鑑定書等の客観的証拠又はその派生証拠であって上記主張と関連し,その防御準備のための開示の必要性も一応認められ,それらはそ 拠一覧」(2)~(11)の各証拠は,銀行等における本件両替に関する証拠物や鑑定書等の客観的証拠又はその派生証拠であって上記主張と関連し,その防御準備のための開示の必要性も一応認められ,それらはその証拠としての性質上開示に伴う弊害も特に想定できないから,これらの証拠の開示を命ずるのが相当である。 他方,その余の未開示証拠に関しては,これを精査しても,弁護人が証拠開示請求書の「5開示請求証拠5について」において存在するはずであると具体的に主張する証拠も含め,弁護人が主張するような証拠は見当たらない。 開示請求証拠6(共同募金,ユニセフ,NPO法人及びその他募金関係団体における収支関係についての捜査報告書等)について弁護人は,募金関係団体においては募金の中から団体の人件費等を支出することは珍しいことではないなどとして,被告人の犯行動機や故意を争う主張を予定しているところ,他の募金関係団体等の収支関係を内容とする証拠は,その防御準備のために開示すべき必要性が高いから,主張関連証拠として開示を命ずべきであると主張している。しかしながら,検察官が提示した未開示証拠の全てを精査しても,弁護人主張のような内容の証拠は全く見当たらないから,開示請求証拠6に関する弁護人の開示請求は失当である。 第3 結論 よって,刑事訴訟法316条の26第1項により,主文のとおり決定する。 (裁判長裁判官・杉田宗久,裁判官・鈴嶋晋一,裁判官・小畑和彦)別紙開示命令対象証拠一覧(1)「平成15年日記」と題するノートの「5月26日(月)」の項の1行目の「5月26日(月)」の記載部分と3行目全部(2)平成17年6月21日付け司法警察員B作成の「C信用金庫4支店から提出を受けた両替票の指紋検出及び被疑者「甲」の被疑者指紋との対照結果について」と題する捜査報告書(3) 記載部分と3行目全部(2)平成17年6月21日付け司法警察員B作成の「C信用金庫4支店から提出を受けた両替票の指紋検出及び被疑者「甲」の被疑者指紋との対照結果について」と題する捜査報告書(3)平成17年7月4日付け司法警察員D作成の「C信用金庫E支店から領置した「両替票1綴」の指紋検出及び同検出指紋と被疑者甲との照合結果対照不能について」と題する捜査報告書(4)平成17年8月12日付け司法警察員F作成の「G銀行から提出を受けた両替票の指紋検出及び被疑者甲の指紋との対照結果について」と題する捜査報告書(5)平成17年6月21日付け司法警察員B作成の「C信用金庫4支店から提出を受けた両替票の指紋検出について」と題する捜査報告書(6)平成17年8月26日付け司法警察員H作成の「筆跡紙の写しの作成について」と題する捜査報告書(7)平成17年9月22日付け大阪府警察本部刑事部科学捜査研究所技術吏員I作成の鑑定書(10通)(8)平成17年6月3日付け司法警察員B作成の「募金によると思料される硬貨類の両替を行ったC信用金庫の支店の判明について」と題する捜査報告書(9)平成17年8月9日付け司法警察員J作成の「未記入の両替依頼書の入手について」と題する捜査報告書(10)平成17年8月12日付け司法警察員K作成の「詐欺被疑者甲が募金で得た現金を両替したと思料される「G銀行L支店」の写真撮影結果について」と題する捜査報告書(11)平成17年8月16日付け司法警察員M作成の「未記入の両替票の入手について」と題する捜査報告書

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