平成25(ワ)2464 特許権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年10月31日 大阪地方裁判所
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判決文本文16,700 文字)

平成25年10月31日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成25年ワ第2464号特許権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成25年8月27日判決                    原告 P1原告株式会社ケイジェイシー                            上記両名訴訟代理人弁護士李 宇海同小林 徹同水谷繁幸同角田寛人同訴訟代理人弁理士瀬川浩一              被告      スケーター株式会社              同訴訟代理人弁護士鳥山半六同深坂俊司同訴訟代理人弁理士中野収二主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。事実及び理由第1 当事者の求めた裁判 1 原告ら(1)被告は,別紙被告製品目録記載の各製品を製造し,販売してはならない。(2)被告は,前項の製品を廃棄せよ。(3)訴訟費用は被告の負担とする。(4)仮執行宣言 2 被告主文同旨第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記がない事実は当事者間に争いがない。)(1)当事者原告P1は,後記2の特許権を有する。原告 (4)仮執行宣言 2 被告主文同旨第2 事案の概要 1 前提事実(証拠等の掲記がない事実は当事者間に争いがない。)(1)当事者原告P1は,後記2の特許権を有する。原告株式会社ケイジェイシー(以下「原告ケイジェイシー」という。)は,食料品,飲料水,酒類及び日用雑貨品の輸出入業,販売業及び問屋業並びにそれらの仲介業等を目的とする会社である。被告は,「プラスチック製品の製造販売各種」等を目的とする会社である。(2)原告P1の有する特許権原告P1は,以下の特許(以下「本件特許」といい,本件特許に係る発明を「本件特許発明」という。また,本件特許に係る明細書及び図面を「本件明細書等」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する。登録番号第3766831号発明の名称子供の知的能力を発達させる練習用箸出願日平成14年8月13日優先日平成13年8月14日登録日平成18年2月3日特許請求の範囲【請求項1】親指を挿入する親指挿入穴と固形物を掴み取る第1パッドとを有する第1箸部材であって,第1箸部材の上部に親指挿入穴を形成し,第1箸部材の下端に第1パッドを形成した第1箸部材と,人差し指および中指を挿入する保持ユニットと,保持ユニットの固定位置を調節する調節手段と,固形物を掴み取る第2パッドとを有する第2箸部材であって,この保持ユニットが人差し指を挿入する人差し指挿入穴と中指を挿入する中指挿入穴とを有し,第2パッドを第2箸部材の下端に形成した第2箸部材と,第1箸部材および第2箸部材の上部に形成され,第1箸部材および第2箸部材を所定の間隔で結合する結合手段とを有する,知的能力を発達させる練習用箸。(3)構成要 材の下端に形成した第2箸部材と,第1箸部材および第2箸部材の上部に形成され,第1箸部材および第2箸部材を所定の間隔で結合する結合手段とを有する,知的能力を発達させる練習用箸。(3)構成要件の分説本件特許発明を構成要件に分説すると,以下のとおりである。A 親指を挿入する親指挿入穴とB 固形物を掴み取る第1パッドとを有する第1箸部材であって,C 第1箸部材の上部に親指挿入穴を形成し,D 第1箸部材の下端に第1パッドを形成した第1箸部材と,E 人差し指および中指を挿入する保持ユニットと,F 保持ユニットの固定位置を調節する調節手段と,G 固形物を掴み取る第2パッドとを有する第2箸部材であって,H この保持ユニットが人差し指を挿入する人差し指挿入穴と中指を挿入する中指挿入穴とを有し,I 第2パッドを第2箸部材の下端に形成した第2箸部材と,J  第1箸部材および第2箸部材の上部に形成され,第1箸部材および第2箸部材を所定の間隔で結合する結合手段とK を有する,知的能力を発達させる練習用箸。(4)原告ケイジェイシーの商品原告ケイジェイシーは,平成15年から,別紙原告商品目録記載の各商品(以下「原告商品」という。)を製造販売している。(5)被告の行為被告は,別紙被告製品目録記載の各製品(以下「被告製品」という。)を業として,製造販売している。 2 原告らの請求① 原告P1は,被告の行為が本件特許権を侵害するものであるとして特許法100条1項及び2項に基づき,② 原告ケイジェイシーは,被告の行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たるとして同法3条1項及び2項に基づき,それぞれ,被告に対し,被告製品の製造販売の差止め及び廃棄を求めている。 3 争点(1)原告 ーは,被告の行為が不正競争防止法2条1項1号の不正競争に当たるとして同法3条1項及び2項に基づき,それぞれ,被告に対し,被告製品の製造販売の差止め及び廃棄を求めている。 3 争点(1)原告P1の本件特許権に基づく請求に関する争点被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属するか (争点1)(2)原告ケイジェイシーの不正競争行為に基づく請求に関する争点ア原告商品の形態は不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たるか (争点2-1)イ原告商品の形態は原告ケイジェイシーの商品表示として需要者の間に広く認識されているか (争点2-2)ウ被告製品の形態は原告商品の形態からなる商品表示と類似の商品表示であるか (争点2-3)エ被告の行為は原告ケイジェイシーの商品と混同を生じさせる行為であるか(争点2-4)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属するか)について【原告P1の主張】以下のとおり,被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属する。(1)被告製品の構成被告製品の構成は以下のとおりである。a 親指を挿入する親指リングとb 固形物を掴むためすべり止め加工を施した四角い箸先とを有する第1箸部材であって,c 第1箸部材の上部に親指リングを有し,d 第1箸部材の下端にすべり止め加工を施した四角い箸先を形成した第1箸部材と,e 人差し指および中指を挿入する保持ユニットと,f 保持ユニットの固定位置を調節するシリコンゴム製の筒部と,g 固形物を掴むためすべり止め加工を施した四角い箸先とを有する第2箸部材であって,h この保持ユニットが人差し 保持ユニットと,f 保持ユニットの固定位置を調節するシリコンゴム製の筒部と,g 固形物を掴むためすべり止め加工を施した四角い箸先とを有する第2箸部材であって,h この保持ユニットが人差し指を挿入する人差し指リングと中指を挿入する中指リングとを有し,i すべり止め加工を施した四角い箸先を第2箸部材の下端に形成した第2箸部材と,j 第1箸部材および第2箸部材の上部に形成され,第1箸部材および第2箸部材を所定の間隔で結合する結合手段とk を有する練習用箸である。(2)構成要件充足性上記1の構成は本件特許発明の各構成要件をいずれも充足する。 ア構成要件B,D,G及びIの充足(ア)「パッド」の意義本件特許発明の「パッド」は固形物をつかみ取ることができることに技術的意義がある。したがって,「固形物をつかみ取ることに適した形状に加工,形成された部材」をいうものである。(イ)被告製品が「パッド」に相当する構成を有すること被告製品は箸先が四角形であり,丸形やその他の形状の箸と比較すれば固形物と接触する面積が広く,固形物が落ちにくい形状である。また,被告製品の全長は,装飾部分を含めても17㎝未満であるのに対し,滑り止め加工が施され,固形物をつかむ部分として想定されている部分は4㎝もの長さがある。このように,被告製品は,固形物をつかみ取ることに適した形状に加工,形成された部材を有するから,「パッド」に相当する構成を有する。イ構成要件E及びHの充足(後記【被告の主張】2イに対する反論)本件特許発明の「保持ユニット」は,1個の箸部材に2個のリングを一体形成したものに限定されない。したがって,被告製品は,「保持ユニット」に相当する構成を有する。ウ構成要件Fの充 反論)本件特許発明の「保持ユニット」は,1個の箸部材に2個のリングを一体形成したものに限定されない。したがって,被告製品は,「保持ユニット」に相当する構成を有する。ウ構成要件Fの充足被告製品のシリコンゴム製の筒部は,下方に向けてずらすことが可能である。また,シリコン樹脂と樹脂(箸部材)の摩擦力によって,保持ユニットは第2箸部材に固定されており,箸の使用によっても容易にずれない固着力を有する。したがって,被告製品のシリコンゴム製の筒部は,保持ユニットの固定位置を調節することができるから,構成要件Fの「調節手段」に相当する。【被告の主張】 以下のとおり,被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属するものではない。(1)被告製品の構成被告製品の構成は以下のとおりである。a 親指を挿入する親指リングと,b 固形物を掴むためすべり止め加工を施した四角い先細り状の箸先とを有する第1箸部材であって,c 第1箸部材の上部に親指リングを有し,d 第1箸部材の下端にすべり止め加工を施した四角い先細り状の箸先を形成した第1部材と,e 人差し指を挿入する人差し指リングおよび中指を挿入する中指リングと,f 固定位置に対して着脱自在なシリコンゴム製の上部筒部および下部筒部と,g 固形物を掴むためすべり止め加工を施した四角い先細り状の箸先とを有する第2箸部材であって,h 上部筒部が人差し指を挿入する人差し指リングを有すると共に,下部筒部が中指を挿入する中指リングを有し,i すべり止め加工を施した四角い先細り状の箸先を第2箸部材の下端に形成した第2箸部材と,j 第1箸部材および第2箸部材の上部に形成され,第1箸部材および第2箸部材を所定の間隔で結合する結合手段と,k を有 工を施した四角い先細り状の箸先を第2箸部材の下端に形成した第2箸部材と,j 第1箸部材および第2箸部材の上部に形成され,第1箸部材および第2箸部材を所定の間隔で結合する結合手段と,k を有する練習用箸である。(2)構成要件の非充足以下のとおり,被告製品は,構成要件B及びDからIまでを充足しない。ア構成要件B,D,G及びI(ア)「パッド」の意義「パッド」は一般的に「当て物,詰め物」の意味であるが,請求項の文言自体からは意義が明らかでない。本件明細書等の記載によれば,箸を上手に使えない者でもビーズ等の極めて小さな物体を掴むことができるようにするため,箸部材が本来有する通常の形態とは異なる特別に形成された偏平部材をいうものと解される。また,内面にエンボス加工が可能なものである。(イ)被告製品は「パッド」に相当する構成を有しないこと被告製品は,第1及び第2箸部材の断面が四角形であり,下端に向けて先細り状に形成されている。先細り部分にある節状の凹凸は,エンボス加工ではなく,箸部材をプラスチックで一体成形するときに同時に成形される。したがって,被告製品は,「箸部材が本来有する通常の形態とは異なる特別に形成された偏平部材」の構成を有しない。また,被告製品の上記構成は,古くから汎用されている周知・慣用技術であり,何人も自由に実施できる自由技術である。イ構成要件E及びH(ア)「保持ユニット」の意義構成要件E及びHの文言によれば,保持ユニットは,人差し指挿入穴と中指挿入穴を備えた「1個のユニット」である。本件明細書等でも1個の筒部材に2個のリングを一体成型したものだけが示されている。(イ)被告製品は「保持ユニット」に相当する構成を有しないこと被告製品では,人差し指リングを設けた ト」である。本件明細書等でも1個の筒部材に2個のリングを一体成型したものだけが示されている。(イ)被告製品は「保持ユニット」に相当する構成を有しないこと被告製品では,人差し指リングを設けた上部筒部(人差し指挿入ユニット)と中指リングを設けた下部筒部(中指挿入ユニット)の2個のユニットがシリコンゴムで別々に成形される。したがって,「保持ユニット」に相当する構成を有しない。ウ構成要件F(ア)「調節手段」の意義構成要件Fの「調節手段」は,単に保持ユニットの位置を調節するものではなく,保持ユニットの「固定位置」を調節するものであるから,調節後にも位置がずれ動くことのない「固定状態」とすることができるものである。(イ)被告製品は「調節手段」に相当する構成を有しないこと被告製品では,第2箸部材の上方位置の正面側に反り板状の親指座があり,下方位置の背面側には突起があるから,上部筒部と下部筒部は親指座と突起によって上下を挟まれている。また,上部筒部と下部筒部の内面にはリブが形成されており,第2箸部材の側面に設けられた上部凹溝と下部凹溝に嵌着している。これらの構成によって,上部筒部及び下部筒部は第2箸部材の軸方向に摺動不能に固定されているものである。上部筒部と下部筒部はシリコンゴム製であり,弾性変形させることによって第2箸部材の下方に向かって引き抜くことは可能であるものの,第2箸部材は下端に向けて次第に細くなっており,下方にずらすと固定することができなくなる。そもそも,被告製品は,箸の使い方を練習するに当たり,練習の進行に応じ,親指リング,中指リング,人差し指リングを順次,取り外すことができる構成のものである。これらのリングを取り付けたまま上部筒部及び下部筒部の固定位置を調節することは予定し に当たり,練習の進行に応じ,親指リング,中指リング,人差し指リングを順次,取り外すことができる構成のものである。これらのリングを取り付けたまま上部筒部及び下部筒部の固定位置を調節することは予定していない。したがって,被告製品は構成要件Fの「調節手段」に相当する構成を有しない。 2 争点2-1(原告商品の形態は不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たるか)について【原告ケイジェイシーの主張】以下のとおり,原告商品の形態は不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たる。(1)特別顕著性ア原告商品の形態原告商品の形態は以下のとおりである。a 親指を挿入する親指用リングを有する第1箸部材と,b 人差し指および中指を挿入する2つのリングを有する第2箸部材と,c 第1箸部材および第2箸部材の上部に配置された装飾d を有する練習用箸。イ原告商品の形態が特別顕著性を有すること原告商品は平成15年から発売されており,現在に至るまで同様の形態を有する商品はないことからしても,原告商品の形態は非常に特徴的である。親指,人差し指,中指を箸部材の正しい位置に添わせるという機能を発揮させるためには,様々な方法,形態を採用することが可能であり,原告商品のようにリングという形態を用いる必然性はない。したがって,原告商品の形態は,同種の商品に共通して,必然的,不可避的に採用せざるを得ないような商品形態ではないから,特別顕著性を有する。(2)原告商品の形態の周知性後記3【原告ケイジェイシーの主張】のとおり(3)商品等表示性以上のとおり,原告商品の形態は,特別顕著性を有するとともに,需要者の間に広く認識されていたものであるから,出所表示機能を有するに至り,不正競争防止法2 ーの主張】のとおり(3)商品等表示性以上のとおり,原告商品の形態は,特別顕著性を有するとともに,需要者の間に広く認識されていたものであるから,出所表示機能を有するに至り,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たる。【被告の主張】以下のとおり,原告商品の形態は不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たらない。(1)原告商品の形態が商品の実質的機能を達成するための構成に由来する形態であり,商品等表示に当たらないことア前記形態a箸の正しい使用方法は,親指を第1箸部材の所定位置に沿わせ,人差し指と中指を第2箸部材の所定位置に沿わせた状態で,指の運動により両端部材の先端を開閉させることにある。練習用箸に必要とされる技術的構成又は機能は,このような正しい使用方法を習得することできるように,2本の箸部材に対して親指と人差し指及び中指を正しい位置に添わせることにある。原告商品の前記形態 は,親指を第1箸部材の正しい位置に添わせ,簡単にずれ動かないように固定することができるという機能を達成するための構成に由来する形態である。リングの位置や大きさも,箸を使用する使用者の手や指の大きさ等に応じて必然的に決定される技術的事項である。イ前記形態b前記形態bも,前記形態aと同様に,人差し指と中指を第2箸部材の正しい位置に添わせ,固定することができるという機能を達成するための構成に由来する形態である。ウ前記形態c原告商品の前記形態cは,装飾について限定がなく,箸部材の上部に装飾を位置させるというアイデアにすぎない。これが商品の出所識別機能を有するとは到底いえない。(2)原告商品の形態の周知性知らない。 3 争点2-2(原告商品の形態は原告ケイジェイシーの商品表示とし るというアイデアにすぎない。これが商品の出所識別機能を有するとは到底いえない。(2)原告商品の形態の周知性知らない。 3 争点2-2(原告商品の形態は原告ケイジェイシーの商品表示として需要者の間に広く認識されているか)について【原告ケイジェイシーの主張】以下のとおり,原告商品の形態は原告ケイジェイシーの商品表示として需要者の間に広く認識されている。(1)販売実績等原告ケイジェイシーは,平成15年から現在まで合計約700万個の原告商品を販売しており,最近では,毎年約110万個の売上げがある。原告商品の販売先は,ベビー用品専門店(日本トイザらス,赤ちゃん本舗,西松屋チェーン,しまむら等),量販店(イトーヨーカ堂,ダイエー,西友,イオン等),百貨店(高島屋,三越等),ホームセンター(オリンピック,ドン・キホーテ等),雑貨店(東急ハンズ,ロフト等),家電量販店(ヨドバシカメラ,ラオックス),書店(紀伊國屋書店,ヴィレッジヴァンガード等),ドラッグストア(マツモトキヨシ,セガミメディクス等)など約2万店にも及ぶ。これらの店舗では,ベビー用品に割り当てられた棚の相当部分を原告商品が占めている。原告商品はインターネット上のウェブサイトでも販売されており,販売数は他社商品を圧倒しており,原告ケイジェイシーの調査によれば,練習用箸の市場における原告商品の占有率は78.8%である。(2)広告・宣伝原告商品は,販売開始時に,テレビ東京(テレビ大阪)のワールドビジネスサテライト(経済ニュース番組)内の「トレンドたまご」というコーナーで取り上げられた。その後も,テレビ,新聞,雑誌等で数多く取り上げられている。原告ケイジェイシーは,主に「ひよこクラブ」などの雑誌やテレビ等を通じて )内の「トレンドたまご」というコーナーで取り上げられた。その後も,テレビ,新聞,雑誌等で数多く取り上げられている。原告ケイジェイシーは,主に「ひよこクラブ」などの雑誌やテレビ等を通じて原告商品の宣伝をしており,直近5年間で1億円近い宣伝広告費を支出している。これらの番組や雑誌,広告では,必ず原告商品の特徴的な形態を写した写真が掲載,放映されている。東京インターナショナル・ギフト・ショー,東京オモチャショー,ピップグループウェルネスフェスタなど大規模な展示会にも,毎回,出品している。【被告の主張】知らない。 4 争点2-3(被告製品の形態は原告商品の形態からなる商品表示と類似の商品表示であるか)について【原告ケイジェイシーの主張】被告製品は,前記2【原告ケイジェイシーの主張】1の形態を備えている。したがって,被告製品の形態は原告商品の形態と極めて類似するものである。【被告の主張】被告製品が原告ケイジェイシーの主張する形態を備えていることは認める。もっとも,被告製品は,原告商品と顕著に相違する形態をも具備するものであり,全体としては原告商品の形態と類似するものではない。 5 争点2-4(被告の行為は原告ケイジェイシーの商品と混同を生じさせる行為であるか)について【原告ケイジェイシーの主張】原告商品と被告製品は,ベビー用品を扱う取引先,店舗に販売され,そこから消費者に販売されるものであり,取引者,需要者(主に子供を有する家庭)が同一である。前記4【原告ケイジェイシーの主張】のとおり,被告製品の形態は原告商品の形態と極めて類似するものであり,取引者,需要者において,被告製品と原告商品の混同を生じさせるおそれが大きい。【被告の主張】否認する。前記4【 張】のとおり,被告製品の形態は原告商品の形態と極めて類似するものであり,取引者,需要者において,被告製品と原告商品の混同を生じさせるおそれが大きい。【被告の主張】否認する。前記4【被告の主張】のとおり,被告製品の形態は,全体としてみれば原告商品の形態と類似するものではないから,混同を生じさせるおそれはない。第4  当裁判所の判断被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属するものとは認めることができない(争点1に対する判断)から,原告P1の本件特許権に基づく請求には理由がない。また,原告商品の形態は不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たると認めることができない(争点2-1に対する判断)から,原告ケイジェイシーの不正競争行為に基づく請求についても理由がない。以下,詳述する。 1 争点1(被告製品は本件特許発明の技術的範囲に属するか)に対する判断以下のとおり,被告製品の構成は,少なくとも構成要件B,D,F,G及びIを充足するとは認められない。(1)構成要件B,D,G及びIの充足性ア 【特許請求の範囲】の記載構成要件B(固形物を掴み取る第1パッドとを有する第1箸部材であって,)及び同D(第1箸部材の下端に第1パッドを形成した第1箸部材と,)の文言からすると,第1パッドは第1箸部材の下端に形成されるものであり,固形物をつかみ取るための構成であることが読み取れる。同様に,構成要件G及び同Iの文言から,第2パッドは第2箸部材の下端に形成されるものであり,固形物をつかみ取るための構成であることが読み取れる。「パッド」とは,一般に,衝撃・摩擦を防ぐための「当て物,詰物」を意味するものであるから,本件特許発明における「パッド」は,固形物をつかみ取るための部材(当て物)として特 ることが読み取れる。「パッド」とは,一般に,衝撃・摩擦を防ぐための「当て物,詰物」を意味するものであるから,本件特許発明における「パッド」は,固形物をつかみ取るための部材(当て物)として特に形成されるものであり,通常の箸先とは異なるものであると解される。【特許請求の範囲】の文言を子細に検討しても,上記の他に「パッド」の具体的な構成は明らかでない。イ本件明細書等の記載(ア)本件明細書等本件明細書の【発明の詳細な説明】には以下の記載がある。【技術分野】【0001】本発明は,知的能力を伸ばす箸,特に第1箸部材と第1箸部材との間に着脱式の結合部材を形成し,第1箸部材に親指挿入穴を形成し,第2箸部材に人差し指中指挿入穴を形成し,そして第1箸部材および第2箸部材の下側に固形物を掴み取る着脱式パッドを形成した練習用箸に関する。【背景技術】【0006】韓国実用新案第2001-23369号公報には,より改善された練習用箸が開示されている。参照する図2について説明すると,箸部材50a,50bの上部をヒンジ51´を含む接合ピン51によって相互に接続する。箸部材50aに親指を掛ける穴51を形成し,もう一方の箸部材50bに人差し指を掛ける穴52および中指を掛ける穴53を形成する。これらの穴51,52,53は,指の挿入角度に合うように箸部材に対して角度を付ける。指掛けユニット55に,人差し指を掛ける穴52および中指を掛ける穴53を一体に形成する。箸部材50bの外側に雄ネジ50bを,そして指掛けユニット55の内側に雌ネジ55aを形成し,使用者の指の大きさに合わせて,指掛けユニット55の固定位置を調節できるように構成する。【0007】上記練習用箸は,箸に慣れていない者や子供にはある程度役立つが,箸 側に雌ネジ55aを形成し,使用者の指の大きさに合わせて,指掛けユニット55の固定位置を調節できるように構成する。【0007】上記練習用箸は,箸に慣れていない者や子供にはある程度役立つが,箸の使用に慣れるまで時間がかかりすぎる上に,子供に箸を使ってみよう という興味を掻き立てるものではない。【発明が解決しようとする課題】【0009】本発明の一つの目的は,箸に慣れていない者や子供に箸を簡単に使えるようにする練習用箸を提供することである。【0010】本発明のもう一つの目的は,箸の使い方を段階的に学ぶことができる練習用箸を提供することである。【課題を解決するための手段】【0011】一つの態様によると,本発明は,知的能力を伸ばす練習用箸を提供するものである。この箸は,第1箸部材,第2箸部材および結合手段で構成する。【0012】第1箸部材は,親指を挿入する親指挿入穴と,固形物を掴み取る第1パッドとを有する。親指挿入穴は第1箸部材の上部に形成し,第1パッドは第1箸部材の下端に形成する。【0013】第2箸部材は,人差し指および中指を挿入する保持ユニットと,保持ユニットの固定位置を調節する調節手段と,固形物を掴み取る第2パッドとを有する。この保持ユニットは,人差し指を挿入する人差し指挿入穴と中指を挿入する中指挿入穴とを有する。第2パッドは,第2箸部材の下端に形成する。【発明を実施するための最良の形態】【0045】さらに,使用者が固形物を容易に掴み取ることができるように,第1パッド200および第2パッド210の内面それぞれをエンボス加工する。 各パッド200,210はそれぞれ箸部材110,130に結合する結合穴201を有する。従って,使用者が箸の使い方を練習した後,パッド ド200および第2パッド210の内面それぞれをエンボス加工する。 各パッド200,210はそれぞれ箸部材110,130に結合する結合穴201を有する。従って,使用者が箸の使い方を練習した後,パッドを取り外すことができる。【0050】既に説明したように,第1箸部材110および第2箸部材130を相互に接続している本発明の箸100を使用した場合,箸になれていない者や子供でも簡単に固形物を掴み取ることができる。【0051】本発明の箸で使い方を練習すると,使用者はパッド200,210がなくても,またさらには結合手段400がなくても箸100を使うことができるようになる。【0052】すなわち,箸を使う能力に応じて,第1箸部材110および第2箸部材130からパッド200および210を取り外すことができる。【0054】以上説明したように箸の使い方に習熟するうちに,箸に慣れないものや子供でも箸の使い方を段階的に学ぶことができる。【図2】従来技術の別な例による箸を示す概略図である。 【図3】本発明の1つの実施態様による練習用箸を示す斜視図である。 (イ)検討前記アの各記載によれば,本件特許発明のパッドは,固形物をつかみ取るための部材であり,箸を使う能力に応じて取り外すことが可能とされている(同【0045】及び【0052】)。これにより,箸に慣れていない者や子供に箸を簡単に使えるようにする(同【0009】及び【0050】)とともに,箸の使い方を段階的に学ぶことができるものである(同【0010】,【0051】から【0054】まで)。また,前記従来技術(段落【0006】及び【図2】)と対比すると,本件特許発明は,① 箸部材の結合手段を取り外し可能とした点 るものである(同【0010】,【0051】から【0054】まで)。また,前記従来技術(段落【0006】及び【図2】)と対比すると,本件特許発明は,① 箸部材の結合手段を取り外し可能とした点及び②箸先に取り外し可能なパッドを設けた点においてのみ相違する(進歩性を有する)ことが認められる。ウ本件特許発明における「パッド」の意義前記ア及びイの記載によれば,本件特許発明の「パッド」とは,通常の箸先とは異なるものであり,固形物をつかみ取るための部材(当て物)として箸先に取り付けられ,取り外しが可能なものであることが認められる。エ被告製品の構成及び構成要件充足性証拠(乙7)によれば,被告製品の箸先には滑り止め加工が施されていることが認められるものの,固形物をつかみ取るための部材(当て物)として箸先に取り付けられ,取り外しが可能な構成を有しているとは認められない。したがって,被告製品は「パッド」に相当する構成を有するものとは認められないから,構成要件B,D,G及びIを充足するとはいえない。(2)構成要件Fの充足性ア 【特許請求の範囲】の記載構成要件Fは「保持ユニットの固定位置を調節する調節手段と,」というものである。したがって,位置を調節する前後において,保持ユニットを固定することができるものでなければならないと解される。イ本件明細書等の記載本件明細書等には,以下の記載がある。【課題を解決するための手段】【0013】第2箸部材は,人差し指および中指を挿入する保持ユニットと,保持ユニットの固定位置を調節する調節手段と,固形物を掴み取る第2パッドとを有する。この保持ユニットは,人差し指を挿入する人差し指挿入穴と中指を挿入する中指挿入穴とを有する。第2パッドは,第2箸部 保持ユニットの固定位置を調節する調節手段と,固形物を掴み取る第2パッドとを有する。この保持ユニットは,人差し指を挿入する人差し指挿入穴と中指を挿入する中指挿入穴とを有する。第2パッドは,第2箸部材の下端に形成する。【0015】調節手段は,第2箸部材に形成した雄ネジを有し,この雄ネジに,保持ユニットの内側に形成した雌ネジを係合する。【0016】あるいは,保持ユニットを支持するために固定溝に弾性結合したゴムパッキンと,保持ユニットの内側に形成した突出部とで調節手段を構成してもよく,この場合には,第2箸部材に複数の固定溝を等しい間隔で設け,突出部をこれら固定溝に係合し,保持ユニットの固定位置を調節できるように構成してもよい。ウ本件特許発明における「調節手段」の意義前記アの記載によれば,「調節手段」は,位置を調節する前後において,保持ユニットを固定することができるものでなければならないと解される。 前記イの本件明細書等の記載もこの解釈に沿うものである。なお,「調節手段」のうち前記段落【0015】の構成は,前記1の従来技術(段落【0006】及び【図2】)の構成と異なるものではないと解される。エ被告製品の構成及び構成要件充足性人差し指を挿入する上部筒部と中指を挿入する下部筒部が,本件特許発明の「保持ユニット」に相当するか否かについて当事者間で争いがある(前記第3の1【被告の主張】2イ)。その点はさておき,証拠(乙7)によれば,被告製品の第2箸部材は,上方位置の正面側に反り板状の親指座があり,下方位置の背面側に突起があるから,上部筒部と下部筒部は親指座と突起によって上下を挟まれている。また,上部筒部と下部筒部の内面にはリブが形成されており,第2箸部材の側面に設けられた上部凹溝と下部 ,下方位置の背面側に突起があるから,上部筒部と下部筒部は親指座と突起によって上下を挟まれている。また,上部筒部と下部筒部の内面にはリブが形成されており,第2箸部材の側面に設けられた上部凹溝と下部凹溝に嵌着していることが認められる。そうすると,原告P1が「保持ユニット」に相当する旨主張する被告製品の上部筒部及び下部筒部は,位置を移動させないことを前提とした構成のものであり,位置を調節するための構成を有するものとは認められない。したがって,被告製品は,「保持ユニットの固定位置を調節する調節手段」に相当する構成を有するものとはいえないから,構成要件Fを充足しない。なお,被告製品の上部筒部と下部筒部はシリコンゴム製であり,弾性変形させることによって第2箸部材の下方に向かって引き抜くことが可能であると認められる。これは,被告が主張するとおり,練習の進行に応じ,順次,中指リング(下部筒部),人差し指リング(上部筒部)を引き抜くことができるようにしたものであると解される。これらを引き抜くことなく,本来の固定位置から下部にずらした状態で使用を継続することは,構造上,想定しがたい使用態様である。 2 争点2-1(原告商品の形態は不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たるか)に対する判断以下のとおり,原告ケイジェイシーが被告製品と共通すると主張する原告商品の形態は,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たると認めることができない。(1)原告商品の形態原告ケイジェイシーは,原告商品が以下の形態を有し,その形態の特徴的であることをもって,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に該当する旨主張する。a 親指を挿入する親指用リングを有する第1箸部材と,b 人差し指および中指を挿入する2つのリングを有 の特徴的であることをもって,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に該当する旨主張する。a 親指を挿入する親指用リングを有する第1箸部材と,b 人差し指および中指を挿入する2つのリングを有する第2箸部材と,c 第1箸部材および第2箸部材の上部に配置された装飾d を有する練習用箸。(2)上記1の原告商品の形態a,b,dが専ら商品の機能を達成するための構成(形態)であること原告商品は,箸の正しい使い方を練習するための箸である。このことについて,原告ケイジェイシーは形態dとして主張しているものの,商品の用途,目的そのものであり,商品等表示を構成しうる形態とはいえない。上記形態aは,親指を第1箸部材の正しい位置に添わせ,固定するという機能,作用効果を生じさせるための形態であることが明らかである。これは,練習用箸としての原告商品の用途,目的を達成するための具体的な解決手段,技術的構成そのものであり,専ら商品の実質的機能を達成するための構成(形態)であるというほかない。上記形態bについても同様である。このように,専ら商品の実質的機能を達成するための構成(形態)は,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示には該当しないものと解するのが相当である。(3)上記1の原告商品の形態cの出所表示機能に与える影響上記形態cについてみると,装飾を配置するというものであり,専ら商品の機能を達成するための構成形態であるとまでは言い難いものがある。しかし,装飾の位置について限定があるものの,種類,内容に限定がなく(実際の原告商品の形態cを具体的にみると,その多くは,幼児に人気の高いキャラクターが装飾として使用されているものであり,上記キャラクターが原告商品の出所表示機能を果たしているわけではない。), く(実際の原告商品の形態cを具体的にみると,その多くは,幼児に人気の高いキャラクターが装飾として使用されているものであり,上記キャラクターが原告商品の出所表示機能を果たしているわけではない。),上記形態cに係る構成によって,出所識別機能を獲得しうるものとは認め難い。(4)これらのことからすると,その余の点について判断するまでもなく,原告商品の形態について,不正競争防止法2条1項1号の商品等表示に当たるということはできない。 3 結論以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求にはいずれも理由がない。よって,主文のとおり判決する。        大阪地方裁判所第26民事部  裁 判 長 裁 判 官山田陽三 裁 判 官松阿彌隆 裁 判 官    西田昌吾(別紙)被告製品目録 1 品名:デラックストレーニング箸品番:ADXT1DS(ケース付き),ADXT1D(ケースなし)構成:図1~図6のとおりである。図1は被告製品の正面図,図2は背面図,図3は右側面図,図4は左側面図,図5はケースに収納された状態を示した図,図6はパッケージに収納された状態を示した図である。(判決注:他の被告製品の構成や,「おやゆび」と記載された反り板状部分の位置からすると,各図中の親指リング11が付いた筒部は,上下逆転して挿入されるべきものである。)【図1】【図2】【図3】【図4】【図5】【図6】  2 品名:デラックストレーニング箸品番:ADX されるべきものである。)【図1】【図2】【図3】【図4】【図5】【図6】  2 品名:デラックストレーニング箸品番:ADXT1DS(ケース付き),ADXT1D(ケースなし)構成:前記1の製品と色彩及び装飾Aのキャラクターが異なるものであり,その他の構成は同様である。 3 品名:デラックストレーニング箸品番:ADXT1S(ケース付き),ADXT1(ケースなし)構成:図7~図10のとおりである。図7は商品の正面図,図8は背面図,図9は右側面図である。【図7】【図8】【図9】【図10】(別紙)原告商品目録 1 品名:エジソンのお箸  構成:図11~14のとおりである。図11~14は原告商品エジソンのお箸  の形態を示した図であって,図11は正面図,図12は背面図,図13は右側面図,図14は左側面図である。【図11】【図12】【図13】【図14】 2 品名:エジソンのお箸 構成:図15~20のとおりである。図15~20は原告商品エジソンのお箸  の各形態を示した正面図である。前記1記載の商品とは装飾Aの意匠が異なるだけで,他の形態は同一である。【図15】【図16】【図17】【図18】【図19】【図20】 3 品名:エジソンのお箸うさぎ構成:図21~23のとおりである。図21~23は原告商品エジソンのお箸うさぎの各形態を示した正面図である。前記1記載の商品とは装飾Aの意匠が異なるだけで,他の形態は同一である。なお,図23は左手用 構成:図21~23のとおりである。図21~23は原告商品エジソンのお箸うさぎの各形態を示した正面図である。前記1記載の商品とは装飾Aの意匠が異なるだけで,他の形態は同一である。なお,図23は左手用に鏡面対称に形成されている。【図21】【図22】【図23】 4 品名:エジソンのお箸I 構成:図24~28のとおりである。図24~28は原告商品エジソンのお箸Iの各形態を示した正面図である。前記1記載の商品とは装飾Aの意匠が異なるだけで,他の形態は同一である。【図24】【図25】【図26】【図27】【図28】

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