【DRY-RUN】主 文 本件各上告を棄却する。 当審における訴訟費用は被告人宮崎康洋の負担とする。 理 由 被告人A、同Bの各上告趣意について。 各所論は、それぞ
主 文 本件各上告を棄却する。 当審における訴訟費用は被告人宮崎康洋の負担とする。 理 由 被告人A、同Bの各上告趣意について。 各所論は、それぞれ陳弁するところがあるけれども、要するに事実誤認ないし単 なる法令違反の主張であつて、いずれも適法な上告理由に当らない。 右被告人両名の弁護人坂本泰良の上告趣意第一点について。 所論は、事実誤認ないし単なる法令違反の主張に止まるものであつて、適法な上 告理由に当らない。 同第二点について。 所論は、原判決の憲法三八条二項違反をいうが、原判決の是認する第一審判決は、 所論被告人らの検察官に対する各供述調書を、被告人らに対する証拠としては挙示 していないものであること、判文上明白であるから、違憲の主張として前提を欠く ものであり、上告適法の理由とならない。 なお、記録によれば、所論のとおり、右被告人らにかかる、本件宅地建物の最低 価格の合計は一、二一九、〇〇〇円であるのに、被告人C名義で競落した競落価格 は合計一、二五〇、〇〇〇円であることが認められる。しかしながら、刑法九六条 ノ三、二項にいわゆる「公正ナル価格」とは、競り又は入札の観念を離れて、客観 的に測定せらるべき公正な価格ではなく、競売又は入札において公正な自由競争に より形成せらるべき競落ないし落札価格をいうものと解すべきことは、当裁判所の 屡次の判例(昭和三〇年(あ)第八三八号、同年一〇月六日第一小法廷判決、集不 登載のほか、昭和二八年(あ)第一一七一号、同年一二月一〇日第一小法廷決定、 刑集七巻一二号二四一八頁、昭和二九年(あ)第二五〇二号、同三一年四月二四日 - 1 - 第三小法廷判決、刑集一〇巻四号六一七頁、昭和二九年(あ)第三一九八号、同三 二年一月二二日第三小法廷判決、刑集一一巻一号五〇頁、昭和三〇 、昭和二九年(あ)第二五〇二号、同三一年四月二四日 - 1 - 第三小法廷判決、刑集一〇巻四号六一七頁、昭和二九年(あ)第三一九八号、同三 二年一月二二日第三小法廷判決、刑集一一巻一号五〇頁、昭和三〇年(あ)第二八 号、同三二年一月三一日、刑集一一巻一号四三五頁、昭和二九年(あ)第四八四号、 同二二年七月一九日第二小法廷判決、刑集一一巻七号一九六六頁等多数)の趣旨と するところであり、原判決がこれと同様の趣旨で、被告人らは刑法九六条ノ三、二 項前段の刑責を免れない旨判示したのは正当である。 また、所論の、被告人Dが本件競売につき競売申出人として届け出られた者でな いとの点も、記録上明らかなところであるが、いわゆる談合罪の成立要件として、 被告人が競売申出人ないし入札者であることを要すると解しなければならない法律 上の根拠はないのみならず、原判示によれば、同被告人は、被告人Cと共に、設立 準備中の、宅地建物仲介業を目的とする有限会社Eの社員五名中の一員であつて、 右会社の手始めの仕事として、全社員協議の上、本件宅地建物を競落取得すること を取り決め、代表取締役たるべき被告人C名義を使用することとし、同被告人のみ を競売申出人として届出はしたが、被告人Dも、競り値の申出並びに本件談合には、 被告人Cと共同してあたつていたものであるというのであり、右事実認定は記録上 優に肯認しうるところであるから、原判決が、被告人Dも本件談合罪の主体たるに 欠けるところはない旨判示した点も相当として是認することができる。 被告人Fの弁護人龍宮慎一の上告趣意第一点、第二点について。 所論は、原審において、主張、判断のない、単なる訴訟法違反の主張であつて、 適法な上告理由に当らない。(なお、G、H両名の検察官に対する各供述調書に、 それぞれの作成者である検察事務官の契印を欠いており、右各調書が において、主張、判断のない、単なる訴訟法違反の主張であつて、 適法な上告理由に当らない。(なお、G、H両名の検察官に対する各供述調書に、 それぞれの作成者である検察事務官の契印を欠いており、右各調書がその点におい て刑訴規則五八条二項に違反していることは所論のとおりである。しかし、右規定 は、公文書の作成上の公正を期するための訓示規定に過ぎないものと解されるから、 文書の形式及び内容に照らし正常な連絡があり、その間に落丁又は後日の剥脱等の - 2 - ないことが認められるときは、契印遺脱の一事をもつて直ちに該文書を無効とすべ きいわれはない。右各調書につき検討するに、以上の如きかしのみるべきものは存 しないから、原判決の是認した第一審判決がこれらを有効な公文書であるとの前提 の下に本件被告人に対する罪証に供したことをもつて、違法と目することはできな い。昭和二三年(れ)第一三一二号、同二四年二月二四日言渡、昭和三四年(あ) 第二二九号、同三五年三月三日言渡の各第一小法廷判決ならびに決定、刑集三巻二 号二三八頁、同一四巻三号二四四頁参照) 同第三点について。 所論は、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。 よつて同四一四条、三八六条一項三号のほか、被告人宮崎康洋につき同一八一条 一項本文により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。 昭和三九年一月二九日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 奥 野 健 一 裁判官 山 田 作 之 助 裁判官 草 鹿 浅 之 介 裁判官 城 戸 芳 彦 裁判官 山 田 作 之 助 裁判官 草 鹿 浅 之 介 裁判官 城 戸 芳 彦 裁判官 石 田 和 外 - 3 -
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