昭和22(上)106 窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
昭和23年3月11日 大阪高等裁判所 棄却
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【DRY-RUN】主    文      本件上告はこれを棄却する。          理    由  辯護人平田奈良太郎の上告趣旨は末尾添付の上告趣意書に記載のとおりであつて これに對して當裁判所はつぎのとおり判斷を

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判決文本文1,348 文字)

主    文      本件上告はこれを棄却する。          理    由  辯護人平田奈良太郎の上告趣旨は末尾添付の上告趣意書に記載のとおりであつて これに對して當裁判所はつぎのとおり判斷をする。  第一點について  <要旨第一>他人から窃盗を勸誘せられてこれを一旦拒絶したが、これに參加しな ければ前の窃盗行爲を暴露する旨脅迫せ</要旨第一>られて前の犯行の發覺をおそれ これに同意し、さらに窃盗を敢行するにいたつた場合といえども、その窃盗事實の 認識がある以上は犯意がないとはいえないし、また、不可抗力によつて全然精神の 自由を喪失したものとも解せられないから犯人の責任を阻却する理由もない。しか らば、被告人が原判示第二の窃盗を決意するにいたつた動機が所論のごとくである としても、これを有罪と認定しても法律を不當に適用した違法があるとはなし難 い。  第二點について  <要旨第二>刑法第五十四條の規定は、日本國憲法の施行後も、なお、現存してお り、牽連犯にあつては處罰上一罪として</要旨第二>取り扱うべきものであつて、盗 罪についての公訴の提起があつた以上起訴の效力はこれと牽連する住居侵入罪に及 ぶとの從來の解釋は日本國憲法の基本的人權尊重の精神に牴觸するものと認め難い から、今もとれを變更すべき理由がない。したがつて、起訴の公訴事實が窃盗に限 られているにかかわらずその手段たる建造物侵入の行爲についても審理判決したと しても、所論のように審判の請求を受けない事件について判決をした違法があると の非難は當らない。  第三點について  刑事訴訟法(大正十一年法律第七十五號)は、上告は原判決の法令違反を理由と するときに限り許されるとする從來の主義に變更を加え特に第四百十二條乃至第四 百十四條の規定を設け法令違反のほかに量刑不當、再審事由、事實誤認の場合をも 上告理由と )は、上告は原判決の法令違反を理由と するときに限り許されるとする從來の主義に變更を加え特に第四百十二條乃至第四 百十四條の規定を設け法令違反のほかに量刑不當、再審事由、事實誤認の場合をも 上告理由となし得ることとしたのであつたが、日本國憲法の施行に伴う刑事訴訟法 の應急的措置に関する法律第十三條第二項によつて右特例規定はこれを適用しない こととなり今や量刑不當をも<要旨第三>つて上告理由とすることは許されなくなつ た。しかして、犯人に對して刑の言渡をするときその刑の執行猶豫</要旨第三>を言 渡すや否やは、もとより當該裁判官がその事件の情状によつて自由に判斷すべき實 質的な裁量行爲であつて、右にいわゆる量刑の觀念に包含されるから、それが刑法 の關係規定に形式的に違反するところのない限り法令違反の問題を惹起する關係に はないものといわねばならぬ。さらば、原判決は被告人に對して刑の執行猶豫を言 渡すを相當とする諸般の事情があるにかかわらず實刑を科した不當があるとの論旨 は上告の理由としてとうてい採用するを得ない。  以上説明したように論旨はすべて理由がないから刑事訴訟法第四百四十六條によ り主文のとおり判決をする。  (裁判長判事 荻野益三郎 判事 大野美稻 判事 態野啓五郎)

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