令和2(わ)389 殺人、死体遺棄被告事件

裁判年月日・裁判所
令和3年10月8日 熊本地方裁判所
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判決文本文1,355 文字)

主文 被告人を懲役18年に処する。 未決勾留日数のうち270日を刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は,第1 令和2年4月頃,清掃作業員として働いていたマンションで,同マンションに住みながらB大学の研究員として働いていたCに声をかけ,資産家のふりをして近づき,寄付や支援を匂わせながらCを食事や買い物に同伴させていたが,同年▲月▲日,それらが嘘であることを知ったCから強く叱責されると,逆に激しく立腹して,Cを殺害して黙らせてやろうなどと考え,同日午後4時20分頃から同日午後6時7分頃までの間に,被告人が当時住んでいた熊本市(住所省略)ビル北側出入口付近において,殺意をもって,C(当時35歳)の頸部をひものようなもので絞め付け,その場で,Cを絞頸によって窒息死させた。 第2 引き続き,Cの死体を,その両足を引っ張るなどして前記出入口付近から出入口に設置された鉄製通路の西側端に移動させ,通路下の堀に投棄して遺棄した。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)被告人は,被害者の首を背後から,ひものようなもので,少なくとも3分以上にわたって,被害者が抵抗したり苦しむ様子を見せたりしたのに,意識を失い崩れ落ち死に至るまで絞め続けた。被害者を確実に殺害しようとしたもので,強い殺意に基づく悪質な犯行といえる。被告人は被害者を黙らせようと思って犯行に及んだと 供述するが,単に黙らせようと考えていたにしては度が過ぎており,その犯行態様からすれば,殺意は強かったと評価するほかない。 殺害に至った経緯や動機は,被告人の供述にあいまいな部分が多く,判然としない部分が残る。しかし,被告人は,資産家のふりをして被害者に近づき,研究員としての任期満了や更新を心配してい するほかない。 殺害に至った経緯や動機は,被告人の供述にあいまいな部分が多く,判然としない部分が残る。しかし,被告人は,資産家のふりをして被害者に近づき,研究員としての任期満了や更新を心配していた被害者の弱みにつけこみ,寄付や支援を匂わせながら,何度も食事や買い物に同伴させていた中,それらが嘘であることを知った被害者から強く叱責され,激しく立腹してとっさに犯行に及んだものと認めることができる。したがって,被告人は,殺害を周到に準備したわけではない。もっとも,被害者が多少強く叱責したとしても,その原因は,あくまでも被害者に嘘をついてだまし続けてきた被告人にあるから,被害者に落ち度があるとはいえず,本件の経緯や被告人が犯行に及んだことに同情できる点は全くない。このように理不尽に被害者の命を奪われた遺族の喪失感や無念さは察するに余りがあり,被告人に対する処罰感情が厳しいのは当然である。 以上によれば,本件は,同種事案の中で,殺害を入念に準備し計画していた事案ではないという点で,検察官が主張するような最も重い部類に属するとはいえないものの,相当に重い部類に属する事案である。 以上の犯行に関する事情に加え,被告人が,罪を認め,謝罪の態度を示していることなど被告人に有利な事情も考慮した。 (求刑懲役20年)令和3年10月13日 熊本地方裁判所刑事部 裁判長裁判官平島正道 裁判官杉原崇夫 裁判官安曇大智

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