平成16年(ワ)第3369号損害賠償請求事件主文 被告は,原告に対し,2万円及びこれに対する平成18年7月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は,これを20分し,その19を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,同判決が被告に送達された後14日間経過したときは,1項に限り仮に執行することができる。 ただし,被告が1万円の担保を供するときは,その仮執行を免れることができる。 事実 第1当事者の求めた裁判 請求の趣旨(1) 被告は,原告に対し,41万円及びこれに対する平成18年7月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 訴訟費用は,被告の負担とする。 (3) 仮執行宣言 請求の趣旨に対する答弁(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は,原告の負担とする。 (3) 仮執行免脱宣言第2当事者の主張 請求原因(1) 原告は,平成12年4月17日,名古屋拘置所に収容され,平成17年1 月21日,死刑が確定した者である。 (2) 本件処分1,2ア原告は,平成18年7月ころ,本人訴訟により提起した別件の民事訴訟事件(当庁平成17年(ワ)第2430号事件,以下「別件事件1」という)について,同事件が係属していた当庁民事5部に対し,同事件の被。 告の主張に対する反論の準備書面を送付しようとした。 上記準備書面は,同裁判所からの平成18年7月3日付けの事務連絡によれば「同月11日に当庁必着で提出せよ」とのことであった。 ,イ原告は,領置金は2円しかなく,所持している郵券も22円分しかなかったので,平成18年7月5日付けで,名古屋拘置所に対し,上記準備書面の送付に要する郵券の恵与願いを提出した。 名古屋拘置 。 ,イ原告は,領置金は2円しかなく,所持している郵券も22円分しかなかったので,平成18年7月5日付けで,名古屋拘置所に対し,上記準備書面の送付に要する郵券の恵与願いを提出した。 名古屋拘置所は,同月6日,上記郵券の恵与願いについて不許可処分とした(以下「本件処分1」という。 。)ウ原告は,名古屋拘置所に対し,平成18年7月7日付けで,本件処分1に係る恵与の再考を願い出た。 名古屋拘置所は,同月10日,上記郵券の恵与願いについて,不許可処分とした(以下「本件処分2」という。 。)(3) 本件処分3ア原告は,平成18年6月22日付けで,名古屋簡易裁判所に,訴訟費用請求事件(同庁平成18(ハ)第4270号事件,以下「別件事件2」という)を提起したが,同庁より「同事件を取り下げた上で,訴訟費用確。 ,定処分の申立てをすべき」との事務連絡を受けた。 イ原告は,別件事件2の取下げの申立てをするために要する郵券も領置金も枯渇していたので,平成18年7月10日付けで,名古屋拘置所に対し,80円切手1枚の恵与願いを提出した。 これに対し,名古屋拘置所は,同月11日,郵券の恵与願いについて, 不許可処分とした(以下「本件処分3」という。 。)(4) 本件処分4ア原告は,本人訴訟により提起した別件の民事訴訟事件(当庁平成18年(行ウ)第24号事件,以下「別件事件3」という)について,同事件が。 係属していた当庁民事9部から,平成18年7月4日付けで「同月25,日までに準備書面を提出せよ」との連絡を受けた。 イ原告は,領置金も所持している郵券も枯渇していたので,平成18年7月10日付けで,名古屋拘置所に対し,上記準備書面の送付に要する郵券の恵与願いを提出した。 これに対し,名古屋拘置所は,同月11日,上記郵券の恵与願いについ いる郵券も枯渇していたので,平成18年7月10日付けで,名古屋拘置所に対し,上記準備書面の送付に要する郵券の恵与願いを提出した。 これに対し,名古屋拘置所は,同月11日,上記郵券の恵与願いについて不許可処分とした(以下「本件処分4」という。 。)(5) 本件処分5ア原告は,本人訴訟により提起した別件の民事訴訟事件(当庁平成18年(ワ)第686号事件,以下「別件事件4」という)について,同事件が。 係属していた当庁民事7部から,平成18年6月9日付けで「同年8月,2日までに準備書面を提出せよ」との連絡を受けた。 イ原告は,領置金も所持している郵券も枯渇していたので,平成18年7月10日付けで,名古屋拘置所に対し,上記準備書面の送付に要する郵券及び封筒1枚の恵与願いを提出した。 これに対し,名古屋拘置所は,同月11日,上記郵券及び封筒の恵与願いについて不許可処分とした(以下「本件処分5」という。 。)(6) 本件処分の違法性ア本件処分1ないし5は,以下のとおり,刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の施行に伴う関係省令の整備に関する省令(平成18年法務省令第58号)により改正された刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律施行規則(明治41年司法省令第18号。以下「規則」とい う)134条1項に明らかに抵触し,かつ,拘置所の裁量権の濫用であ。 る。 (ア) 民事訴訟手続のための通信費についても,規則134条1項の適用がある。 同規則同条項には,上記費用の恵与を刑事事件に限定する文言は何ら規定されていない。また,名古屋拘置所では,平成19年6月1日から施行となった「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平」成18年法律第58号。以下「新法」という)に基づき「所内生活の。 しおり遵守事項」と題するしおりが差替 は,平成19年6月1日から施行となった「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(平」成18年法律第58号。以下「新法」という)に基づき「所内生活の。 しおり遵守事項」と題するしおりが差替えになったが,同しおりの第6の項目2の(11)には「書留,内容証明,配達証明等の取扱いを希望す,るとき,郵券が無くて発信できないとき,又はその他困ったことがあったときは,その旨を職員に申し出て下さい。業務上支障のない範囲で対応します」と記載され,発信内容を刑事事件のための信書に限定する。 文言は何ら存在していない。新法は規則の精神を引き継ぐものであるから,同しおりの文言からも,発信内容を刑事事件のための信書に限定することは規則の精神に反することは明らかである。 (イ) 別件事件1ないし4のための書面の提出は,規則134条1項の「裁判所其他公務所ニ対シ返信ヲ要スル場合」に該当する。 同条項の「返信」には,原告として訴えを提起した場合における反論書面の提出や訴訟費用確定申立ての手続のため誤った申立てを取り下げることも含まれる。 また,被告として訴えを提起された場合と原告として訴えを提起した場合とで,反論や手続のための書面の送付の必要性は異ならない。 (ウ) 原告に領置金等の濫費はなく,恵与願いは相当である。 a原告の平成18年7月11日までの領置金の収支明細は,別紙1領置金収支明細書のとおりであり,原告には領置金の濫費は全くない。 b原告は,刑事再審事件の弁護人との連絡のための郵券,便せん及び封筒等については官給されないため自弁するしかなく,これらについて領置金を支出することが濫費といえないことは明らかである。 c被告が主張する①平成17年11月24日の1万1000円及び②平成18年2月22日の3万円の差入金については,以下のとおり,本来 ついて領置金を支出することが濫費といえないことは明らかである。 c被告が主張する①平成17年11月24日の1万1000円及び②平成18年2月22日の3万円の差入金については,以下のとおり,本来の差入金ではなく,原告には資金調達手段はなかった。 (a) ①については,原告が刑事再審事件の弁護人にお歳暮を贈る目的でいとこに1万1000円を送金したところ,いとこに拒否され,そのまま返金されてきたものであり,これは差入金の類ではない。 なお,いとこから金員ないし物品の差し入れがあったことは一度もない。 (b) ②については,弁護人から3万円の差し入れがあったことは事実であるが,これは原告が弁護人から借り受けたものであり,本来の差入金ではない。 d拘置所においては,達示42号(平成18年5月24日付け「死)刑確定者処遇規程の制定について」に基づき処遇が行われているところ,同規程の15条によれば,死刑確定者は未決被収容者と同様の間食品の購入のほかに月1回間食等の特別購入ができることになっており,これは死刑確定者の心情安定のための措置である。したがって,死刑確定者である原告にとって,心情安定のための間食は必要不可欠といえ,これに領置金を支出することが恵与の相当性を否定するものでないことは明らかである。 イ本件処分1ないし5は,憲法32条に定める裁判を受ける権利の侵害である。 ウ憲法25条1項は「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営,む権利を有する」と定めて,国がその責務として,すべての国民が尊厳。 ある人間にふさわしい生活を営むことができるようにすべきことを宣言している。死刑確定者であれど,刑に処せられるまでは,人として否定されるものではなく,法律の利益を得る立場にある。 すなわち,国若しくは拘置所は,収容者が健康で文化的な ができるようにすべきことを宣言している。死刑確定者であれど,刑に処せられるまでは,人として否定されるものではなく,法律の利益を得る立場にある。 すなわち,国若しくは拘置所は,収容者が健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な措置を講ずる義務を負っている。 裁判所へ準備書面等を送付することは,裁判を受ける権利の一つであり,裁判を受ける権利は,健康で文化的な最低限度の生活のカテゴリーである。 したがって,本件処分1ないし5は,この見地からも裁量権の濫用であり,憲法25条1項に反する。 エ本件処分1ないし5は,憲法11条に定める基本的人権の享有を妨げ,憲法13条で定める幸福追求権の侵害でもある。 オ原告が多数の民事訴訟を提起していることを根拠とする本件処分1ないし5は,合理的理由のない差別であり,憲法14条の平等原則に明らかに抵触する。 (7) 故意・過失名古屋拘置所長の本件処分1ないし5は,上記のとおり違法であり,これは名古屋拘置所長の故意又は過失に基づくものである。 (8) 損害ア(ア) 本件処分1,2について,原告は,自己の刑事事件の弁護人弁護士から,郵券の差入れを受け,平成18年7月13日,当庁民事5部に準備書面を提出することができたが,後に,同準備書面は受理されなかったことが判明した。 (イ) 同年8月1日,別件事件1について判決があり,原告は敗訴した。 (ウ) 敗訴の原因は,原告が上記準備書面を提出期限までに提出できなかったこと,すなわち,被告の主張に反論しなかったが故に,被告の主張が事実として認定されてしまったことが大きな要因として存在すること は明白である。 (エ) また,原告は,平成18年7月6日の昼過ぎに,本件処分1の告知を受け,暗澹たる思いで食欲が全くなくなり,同日の夕食と同月7日の朝食及び昼食を食べることがで て存在すること は明白である。 (エ) また,原告は,平成18年7月6日の昼過ぎに,本件処分1の告知を受け,暗澹たる思いで食欲が全くなくなり,同日の夕食と同月7日の朝食及び昼食を食べることができなかった。また,同月7日は入浴日だったが,本件処分1により消沈し入浴する気力さえ失った。 イ本件処分3について,原告は,別件事件2において名古屋簡易裁判所からの指示に従い速やかに訴状等の取下げ及び訴訟費用確定処分の申立てをする必要があったにもかかわらず,本件処分3によりこれを阻止された。 ウ本件処分4について,原告は,別件事件3において裁判所に主張を認めてもらうためには被告の答弁書に対する反論の書面を提出する必要があったにもかかわらず,本件処分4によりこれを阻止された。 エ本件処分5について,別件事件4における裁判所からの事務連絡には原告に対し釈明を求める事項が記載され,原告は,同事項について準備書面を作成し送付しなければならなかったにもかかわらず,本件処分5によりこれを阻止された。 オ以上のように,原告は,本件処分1ないし5により,著しい精神的苦痛を強いられた。 これによる損害は,少なくとも,本件処分1,2については合計20万円を,本件処分3ないし5についてはそれぞれ7万円を下らない。 (9) よって,原告は,被告に対し,国家賠償法1条1項の損害賠償請求権に基づき,41万円及びこれに対する各処分の日又は各処分の日の後である平成18年7月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 請求原因に対する認否(1) 請求原因(1)ないし(5)の事実は認める。 (2) 請求原因(6)は争う。 ア恵与制度とは,被収容者からの願い出に基づき,願い出にかかる物品及び恵与の必要性を勘案し,一定の品目について,真に 請求原因(1)ないし(5)の事実は認める。 (2) 請求原因(6)は争う。 ア恵与制度とは,被収容者からの願い出に基づき,願い出にかかる物品及び恵与の必要性を勘案し,一定の品目について,真に必要かつやむを得ない場合に限り,刑事施設が恩恵的に当該物品を与える制度である。 イ自弁の原則について規則134条1項は,信書の発送については被収容者がその費用を負担するという原則(自弁の原則)を規定しているところ,同原則は,同項後段の場合にも妥当するから,恵与には,裁判所等に対して返信を要する場合または必要があると認められる場合であり,かつ,自弁ができない場合であることを要する。 名古屋拘置所では,規則の規定を受け,平成8年1月16日付け所長指示第1号「被収容者の恵与品の取り扱いについて(以下「本件内規」と」いう)を定めており,本件内規に従い,被収容者からの恵与願いについ。 て,その物品及び恵与の必要性を勘案し,原則として,恵与する品目は,①郵券類(切手・はがき(国際郵便はがき・郵便書簡(国際航空書簡,))②事務用品(封筒・便簾・罫紙・白紙・カーボン紙)とし,予算の制約等の関係から,真に必要かつやむを得ない範囲で恵与する方法で運用している。 ウ(ア) 民事訴訟手続のための通信等について,刑事施設においてこれを支弁することは,規則第134条には該当しない。 規則134条の趣旨は,刑事施設の被収容者は,刑事訴訟法上,強制的に身柄を拘束され,防御権の行使や刑事訴訟の追行といった必要上,資力を全く有しない者であっても,これに必要な範囲において,その通信に係る費用を刑事施設において支弁することが求められており,これは,刑事訴訟法第366条等の刑事施設に収容されている者に対する特則の趣旨に準じた扱いといえる。また,処遇上その他の必要性による支 信に係る費用を刑事施設において支弁することが求められており,これは,刑事訴訟法第366条等の刑事施設に収容されている者に対する特則の趣旨に準じた扱いといえる。また,処遇上その他の必要性による支弁についても,所持金を有しない者が逮捕等によって身柄を拘束され, この通信手段のために緊急に通信費用を要する場合や被収容者が釈放後の帰住先までの交通費を得たいとする場合などが挙げられるところであり,いわばこの規定は,身柄を拘束された被収容者に対する身柄を勾留する側の応急的あるいは恩恵的救済制度といえる。 これに対し,民事訴訟のための通信費の支弁は,そもそもこれが個人の紛争であることから,これについて国の機関が関与するべきものではないのは当然である。しかるに,当事者間の一方に,本件のような通信費等を刑事施設が支弁することは,当該当事者に加担することを意味し,例え僅少な文房具,郵券であっても,国費を使用することは許されないのである。この理は,すべての民事訴訟について妥当するところであり,訴訟の相手方が国である場合に別異に解すべき理由はない。 (イ) 訴訟追行上必要な費用は訴訟の当事者が捻出すべきものである。 民事訴訟の提起は,個人の意思にほかならないところ,ましてや本件でいう別訴に係る原告は,いずれも本件原告である。したがって,原告が,訴訟を提起するのであれば,その費用を原告が負担するのは当然である。 原告には,別訴の進行状況を把握する必要があるといえ,そのために必要な費用についても準備するのは当然である。しかし,原告は,①日用品等の物品の購入を差し控え,②郵券が不足する前に外部交通を許可された者に対して差入れを依頼するといった方法を選択せず,その費用を自ら消費した上で,同所長にその支弁を求めているのであり,このような身勝手極まりない行動によっ ,②郵券が不足する前に外部交通を許可された者に対して差入れを依頼するといった方法を選択せず,その費用を自ら消費した上で,同所長にその支弁を求めているのであり,このような身勝手極まりない行動によって国税をもって,自己の提起した訴訟の追行のために,その費用を支弁するなどということは,社会正義にも反するものであることは明らかである。 (ウ) 上記のとおり,本件恵与の出願については,個人の紛争である民事訴訟に係る通信費の支弁を求めるものであり,規則第134条に規定す る支弁の事由にあたるものではなく,また,民事訴訟の追行については,国の機関が関与するべきものではないことから,これを支弁する義務は発生しない。 エ返信の必要性及びその判断について仮に,規則134条1項後段により支弁される場合が刑事事件に限定されないとしても「返信ヲ要スル場合」であると刑事施設の長が判断すべ,き場合にあたることが必要であり,以下のとおり,本件恵与の出願はこれに当たらない。 (ア) 被収容者が自ら民事訴訟を提起する場合,その提起段階においては何ら返信の必要性がないことは明らかであるが,訴訟の進展に伴い裁判所から書面の提出等を求められたとしても直ちに返信を要すると判断すべきことにはならない。 (イ) すなわち,①訴訟を提起する被収容者は,訴訟提起時に,当該事件の被告が認諾するとの安易な想定の下にこれを行うべきではなく,②上記自弁の原則の下で相応の計画的な訴訟遂行を行うべきであり,③刑事施設の長は,原告となろうとする被収容者が自らコントロールしうる訴訟提起及び郵券について,上記のような相応の計画をもってしても,なお国費による支弁を行うことがやむを得ない場合に限り,返信を要する場合に当たると判断すべきこととなる。 (ウ) また,上記判断にあたっては,訴訟救助の制 いて,上記のような相応の計画をもってしても,なお国費による支弁を行うことがやむを得ない場合に限り,返信を要する場合に当たると判断すべきこととなる。 (ウ) また,上記判断にあたっては,訴訟救助の制度を比較的容易に利用しうる我が国においては,必ずしも衣食住のための支出をすることを要しない被収容者は,無資力を疎明することにより事実上無制限に訴訟を提起することも可能であり,かかる場合に準備書面等の送付について「返信」の名目で費用支弁をことごとく認めるのは,上記自弁の原則とその例外を逆転させ,規則134条1項の趣旨を没却することにもなりかねないことも考慮されなければならない。 (エ) 本件郵券恵与願いは,原告が原告として訴訟提起した事件に関する書面の送付のためのものであり,下記オのとおり,原告が計画的な訴訟遂行を行えばその郵券を自弁することは十分可能であったといえるから,「返信ヲ要スル場合」であると刑事施設の長が判断すべき場合にあたらないことは明らかである。 オ恵与の相当性(ア) さらに,恵与対象物の恵与は,その財源は国庫すなわち国民の税金によるものであるから,恵与する必要性を個別具体的かつ厳正に審査し,相当と認められる場合にのみ許される。 (イ) そして,この相当性の判断にあたっては,規則134条1項に基づき,自弁の原則にのっとり,恵与の必要性(返信用郵券については当該返信を要するに至った経緯及び切迫性の程度)及び恵与を願い出た被収容者の資力を十分に検討する必要があるが,実質的には自弁の能力があるのに潜脱的に恵与を受ける行為を防止するためには,資力の検討において,恵与を願い出た時点における領置金残高のみならず,郵券等の物品を必要とするに至った原因の発生時期から願い出の時点までの領置金残高の推移,外部からの資金調達の可否等の総合的 には,資力の検討において,恵与を願い出た時点における領置金残高のみならず,郵券等の物品を必要とするに至った原因の発生時期から願い出の時点までの領置金残高の推移,外部からの資金調達の可否等の総合的な資力の有無及びその程度を参酌することが不可欠である。 (ウ) 本件について,以下の事情からすれば,恵与の相当性は認められない。 a原告は,平成12年4月に名古屋拘置所に入所して以来,24件もの民事訴訟を提起し,それぞれについて相当回数の書面の送付を要する状況を自ら作り上げてきた。 b原告は,訴訟救助を多用した上,敗訴した場合に裁判所から送付される訴訟費用等の支払命令などは,刑事施設に収容され定期的な収入がないことを理由にこれを支払っていない。しかし,実際には,実父 の後見人であった弁護士に現金を保管させ必要に応じて送金を受けられる立場にあり,それを秘匿して訴訟救助を受けていた。 c原告は,平成17年11月24日に原告のいとこから1万1000円の差し入れを受け,平成18年2月22日には弁護士から3万円の送金を受けた。また,本件処分1ないし5以後のものではあるが,原告は,名古屋家庭裁判所一宮支部に対し,再審請求及び係属中の民事訴訟の各準備のための費用として,成年被後見人である実父からの6万円の贈与の許可を願い出て,平成19年1月19日,裁判所の意向を受けた原告の実父の後見人である弁護士から借入金として6万円が原告に送金されている。かかる事実から,原告に資金調達の手段が存在し,無資力状態になかったことは明白である。 d刑事施設においては,甘味品は祝日や年末年始などに祝祭日菜としてその都度支給されており,領置金を使用して購入しなければ喫食できないものではないにもかかわらず,原告は,本件の郵券のような特定の物品が必要となることが想定され 品は祝日や年末年始などに祝祭日菜としてその都度支給されており,領置金を使用して購入しなければ喫食できないものではないにもかかわらず,原告は,本件の郵券のような特定の物品が必要となることが想定される状況下において,菓子類,コーヒー,砂糖等の嗜好品や調味料の購入という,必要不可欠とは言い難い支出行為に及んでいた。 カ本件各郵券恵与に関する判断にあたり,名古屋拘置所長は上記のような観点から,まず原則どおり自弁できるよう,同所職員をして原告に対し,外部交通許可対象者からの差し入れによる対処を教示した上で,不許可としたものであり,規則134条1項に抵触するものではなく,適法である。 (3) 請求原因(7)の事実は否認する。名古屋拘置所長の本件処分1ないし5の判断は正当であり,故意はおろか過失も認められない。 (4)ア請求原因(8)ア(ア)及び(イ)の事実は認め,同(ウ)の事実は否認する。 イ同(8)ア(エ)の事実は,原告が平成18年7月6日に本件処分1を受けたこと,同日の夕食と翌7日の朝食及び昼食を食べなかったこと並びに同 月7日の入浴をしなかったことは認め,その余は不知。 ウ同(8)イないしオの事実は否認ないし争う。 理由 請求原因(1)ないし(5),(8)ア(ア)及び(イ)の事実は,当事者間に争いがない。 上記争いのない事実と証拠(乙1ないし6,8,13,15,25,26,27,29,30,31)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 名古屋拘置所における恵与品の取扱い名古屋拘置所においては,規則の規定を受けて定められた本件内規に従い,被収容者からの恵与願いについて,規則134条の規定する場合に,①郵券類(切手・はがき(国際郵便はがき・郵便書簡(国際航空書簡,②事務))用品(封筒・便簾・罫紙・白紙・ められた本件内規に従い,被収容者からの恵与願いについて,規則134条の規定する場合に,①郵券類(切手・はがき(国際郵便はがき・郵便書簡(国際航空書簡,②事務))用品(封筒・便簾・罫紙・白紙・カーボン紙)を恵与する取扱いとされていた(乙8。 )(2) 本件処分1,2についてア別件事件1の係属する当庁民事5部裁判所書記官より,原告に対し,平成18年7月3日付けでそのころ到達した書面により,同事件について「主張・立証があれば,その書面を平成18年7月11日当庁必着でご提出下さい」との通知があった(乙25。 。 )イ上記通知を受けた原告は,同月5日,名古屋拘置所に対し「発送する,にあたり,領置金も郵券もありませんので,80円切手1枚若しくは90円分の郵券の恵与願います」との恵与願いを提出した(乙1。 ),,ウ上記恵与願いに対し,名古屋拘置所長は同月6日「民事訴訟は,原則誰でも提起できるが,訴訟を遂行する上で必要な費用は,たとえ僅少な郵券といえども訴訟を提起した本人が負担すべきであり,当該郵券が負担できなければ,本人が許可されている外部交通許可者に援助を依頼すればこ と足りるところである。また,領置金の残額,郵券の管理は本人自身が行っており,残額については,把握していることからも,郵券が急に無くなったものではなく,前もって対策を取っていれば恵与を願い出ることも無かったと思料される。仮に出願を認めた場合,現在係属している民事訴訟についても,出願の都度,恵与を認めなければならず,一個人の利益のために国の予算を割く必要性は極めて薄いと言わざるを得ず,恵与は,国の予算を使用して一個人に利益をもたらすものであって,本人の郵券代を恵与する理由はない」旨の理由で不許可とし,同日,同拘置所副看守長を。 通じてこれを原告に告知した( いと言わざるを得ず,恵与は,国の予算を使用して一個人に利益をもたらすものであって,本人の郵券代を恵与する理由はない」旨の理由で不許可とし,同日,同拘置所副看守長を。 通じてこれを原告に告知した(本件処分1。乙1。 )エ上記告知を受けた原告は,同月7日,名古屋拘置所に対し,本件処分1により不許可とされた郵券恵与について再考願いを提出した(乙2。 )オ上記再考願いに対し,名古屋拘置所長は同月10日,恵与を認めなければならない新たな理由がないとの理由で不許可とし,同日,同拘置所副看守長を通じてこれを原告に告知した(本件処分2。乙2。 )カ別件事件1について,当庁民事5部裁判所書記官より,原告に対し,同年6月30日付け期日呼出状の送付があり,原告は,同年7月6日付で,名古屋拘置所に対し,出頭願いを提出したが,名古屋拘置所は,同月7日,)。 これを不許可処分とし,同月10日これを原告に告知した(乙3,27キ原告は,自己の刑事事件の弁護人弁護士から,郵券の差し入れを受け,平成18年7月13日,当庁民事5部に準備書面を提出をすることができたが,後に,同準備書面は受理されなかったことが判明した(争いがない。 。)ク別件事件1について,同年8月1日,判決の言渡しがあり,原告は同事件について敗訴した(乙26。 )(3) 本件処分3についてア別件事件2について,名古屋簡易裁判所裁判所書記官より,原告に対し, 平成18年7月3日付けでそのころ到達した書面により,訴状及びこれに伴う訴訟上の救助付与の申立ては取り下げた上,別途訴訟費用額確定処分の申立てを検討される必要がある旨の通知があった(乙29。 )イ上記通知を受けた原告は,同月10日,名古屋拘置所に対し,発送するための郵券も領置金もないので80円切手1枚の恵与を求める旨の恵与願 の申立てを検討される必要がある旨の通知があった(乙29。 )イ上記通知を受けた原告は,同月10日,名古屋拘置所に対し,発送するための郵券も領置金もないので80円切手1枚の恵与を求める旨の恵与願いを提出した(乙4。 )ウ上記恵与願いに対し,名古屋拘置所長は同月11日,本件処分1と同様の理由で不許可とし,同日,同拘置所副看守長を通じてこれを原告に告知した(本件処分3。乙4。 )(4) 本件処分4についてア別件事件3について,当庁民事9部より,原告に対し,平成18年7月,,4日付けでそのころ到達した書面により「答弁書に対する反論があれば準備書面として正副2通を提出すること,同提出期限を平成18年7月25日と定める」旨の通知があった(乙30。 )イ上記通知を受けた原告は,同月10日,名古屋拘置所に対し「現在郵,券も領置金もありませんので,借用できない場合,若しくは,借用出来たとしても準備書面提出(7/21発信)までに間に合わない場合,80円切手1枚又は90円分の切手の恵与願います」との恵与願いを提出した(乙5。 )ウ上記恵与願いに対し,名古屋拘置所長は同月11日,本件処分1と同様の理由で不許可とし,同日,同拘置所副看守長を通じてこれを原告に告知した(本件処分4。乙5。 )(5) 本件処分5についてア別件事件4の係属する当庁民事7部裁判所書記官より,原告に対し,平成18年6月9日付けでそのころ到達した書面により,同事件について,「裁判所からあなたに対して次の点について釈明を求めます。8月2日 (水)までに書面に記載し,準備書面として提出して下さい。(1)『死中に活路ありⅡ』のパンフレットを入手した目的と経緯,(2)上記パンフレットの抹消を違法とする法的論拠」との通知があった(乙31。 )イ上記通知を受けた ,準備書面として提出して下さい。(1)『死中に活路ありⅡ』のパンフレットを入手した目的と経緯,(2)上記パンフレットの抹消を違法とする法的論拠」との通知があった(乙31。 )イ上記通知を受けた原告は,同年7月10日,名古屋拘置所に対し「現,在郵券も領置金もありませんので,借用できない場合,若しくは,借用出来たとしても準備書面提出(7/31発信)までに間に合わない場合,80円切手1枚又は90円分の切手及び封筒1枚の恵与願います」との恵与願いを提出した(乙6。 )ウ上記恵与願いに対し,名古屋拘置所長は同月11日,本件処分1と同様の理由で不許可とし,同日,同拘置所副看守長を通じてこれを原告に告知した(本件処分5。乙6。 )(6) 原告の,平成12年4月19日から平成19年2月9日までの領置金の増減及び使用状況は,別紙2領置金基帳記載のとおりであり,平成18年6月12日に茶封筒を購入したことにより同領置金は2円となり,同年7月12日に現金書留で1万円が入金されるまで原告の領置金は2円のままであった(乙13。 )(7) 原告に対しては,平成17年11月24日,原告のいとこから1万1000円が入金され(乙14,平成18年2月22日,原告の刑事再審事件の)受任弁護人から3万円の送金があった(乙15。また,平成19年1月1)9日,原告の実父の成年後見人である弁護士から6万円の送金があった(乙17。 ) 請求原因(6)について(1)アまず,本件処分1ないし5が規則134条1項に反するか否かにつき検討する。 イ規則134条1項は「被収容者ノ発送スル信書ノ送付ニ要スル費用ハ,自弁トス裁判所其他公務所ニ対シ返信ヲ要スル場合及ビ処遇上其他必要ア リト認ムル場合ニ於テ送付ニ要スル費用ヲ自弁トスルコト能ハサルトキハ刑事施設ニ於テ之 者ノ発送スル信書ノ送付ニ要スル費用ハ,自弁トス裁判所其他公務所ニ対シ返信ヲ要スル場合及ビ処遇上其他必要ア リト認ムル場合ニ於テ送付ニ要スル費用ヲ自弁トスルコト能ハサルトキハ刑事施設ニ於テ之ヲ支弁ス可シ,同2項は「書信用紙及ヒ封筒ハ刑事施」設ニ於テ之ヲ給与スルコトヲ得」と規定する。 上記規定は,身柄を拘束され,接見交通の制限された被収容者に対する恩恵的制度であって,被収容者の信書の送付に要する費用は,自弁を原則としつつも,①「裁判所其他公務所」に対し,②「返信ヲ要スル場合」で,③「送付ニ要スル費用ヲ自弁トスルコト能ハサルトキ」は,刑事施設においてこれを支弁しなければならないとするものである。以下,この①ないし③の要件の存否につき検討する。 ウ①の要件について別件事件1ないし4のための書面の提出は,裁判所に対する書面の提出であるから,上記①の「裁判所其他公務所ニ対シ」の要件が存在することは明らかである。 この点,被告は,同規則による費用の恵与は,刑事訴訟手続のための通信費に限定される旨主張する。 しかし,同規則が「裁判所其他公務所」に対し返信を要する場合と規定し,文言上,刑事訴訟手続のための通信費に限定していないこと,およそ「裁判所其他公務所」が返信を要求しているにもかかわらず,費用が自弁できないといった理由で返信できないという事態が生ずることは,刑事事件,民事事件,その他を問わず,是認しがたいことからすれば,同規則による費用の恵与が刑事訴訟手続のための通信費に限定されると解することは相当ではなく,被告の同主張は採用できない。 エ②の要件について,(ア) 「裁判所其他公務所」への「返信ヲ要スル場合」に当たるか否かは「裁判所其他公務所」から送付された文書の内容を踏まえて「裁判所,其他公務所」が具体的に返信を要求しているか の要件について,(ア) 「裁判所其他公務所」への「返信ヲ要スル場合」に当たるか否かは「裁判所其他公務所」から送付された文書の内容を踏まえて「裁判所,其他公務所」が具体的に返信を要求しているか否かによって,判断され るべきである。 (イ) 本件処分1,2について上記2(2)アの事実によれば,別件事件1について裁判所から送付された通知文書は,原告に主張・立証があれば期限までに提出するよう通知する文書にすぎないから,裁判所が返信を要求しているとまではいえず「返信ヲ要スル場合」には当たらないというべきである。 ,(ウ) 本件処分3について上記2(3)アの事実によれば,別件事件2について裁判所から送付された通知文書は,訴状及びこれに伴う訴訟上の救助付与の申立てを取り下げた上,別途訴訟費用額確定処分の申立てを検討するよう促した文書であるから,裁判所が返信を要求しているということができ「返信ヲ,要スル場合」には当たるというべきである。 (エ) 本件処分4について上記2(4)アの事実によれば,別件事件3について裁判所から送付された通知文書は,答弁書に対する反論がある場合には準備書面を提出するよう通知する文書にすぎないから,裁判所が返信を必要としているとはいえず「返信ヲ要スル場合」には当たらないというべきである。 ,(オ) 本件処分5について上記2(5)アの事実によれば,別件事件4について裁判所から送付された通知文書は,裁判所から原告に対し具体的事項について釈明を求め,それに対する回答を準備書面として提出することを求める内容の文書であるから,裁判所が返信を要求しているということができ「返信ヲ要,スル場合」には当たるというべきである。 オ③の要件について上記2(6)で認定したとおり,平成18年6月12日から同年7月12日まで原告 ,裁判所が返信を要求しているということができ「返信ヲ要,スル場合」には当たるというべきである。 オ③の要件について上記2(6)で認定したとおり,平成18年6月12日から同年7月12日まで原告の領置金は2円であったのであり,本件処分3,5当時「送, 付ニ要スル費用ヲ自弁トスルコト能ハサルトキ」であったと認められる。 この点,被告は「資力の検討において,恵与を願い出た時点における,領置金残高のみならず,郵券等の物品を必要とするに至った原因の発生時期から願い出の時点までの領置金残高の推移,外部からの資金調達の可否等の総合的な資力の有無及びその程度を参酌することが不可欠であり,これらを斟酌すれば,原告には資力があった」旨主張し,確かに,上記2。 (6)及び(7)のとおり,原告は,平成12年4月19日から平成19年2月9日まで,その領置金を別紙2領置金基帳記載のとおり使用し,原告に対しては,平成17年11月24日,原告のいとこから1万1000円が入金され,平成18年2月22日,原告の刑事再審事件の受任弁護人より3万円の送金があったこと,平成19年1月19日,原告の実父の成年後見人弁護士より6万円の送金があったことが認められる。 しかし,原告の上記領置金の使用状況は,日常生活の範囲内で,不合理なものとはいえない。また,本件処分3,5がなされるまで,平成17年11月24日からは7か月以上,平成18年2月22日からは4か月以上が経過しており,また上記年月日に入金された金員の使途も別紙2領置金基帳記載のとおり,日常生活の範囲内のものであったといえる。さらに,平成19年1月19日の入金は本件処分3,5の6か月後の入金である。 そうとすれば,被告の同主張によっても,本件処分3,5当時「送付,ニ要スル費用ヲ自弁トスルコト能ハサルトキ」であったと 。さらに,平成19年1月19日の入金は本件処分3,5の6か月後の入金である。 そうとすれば,被告の同主張によっても,本件処分3,5当時「送付,ニ要スル費用ヲ自弁トスルコト能ハサルトキ」であったとの上記認定判断を左右しないというべきである。 カ以上によれば,本件処分1,2,4は規則134条1項に反しないが,本件処分3,5は同規則に反するというべきである。 この点,被告は「恵与対象物の恵与は,その財源は国庫すなわち国民,の税金によるものであるから,恵与する必要性を個別具体的かつ厳正に審査し,相当と認められる場合にのみ許される」とも主張するが,規則1。 34条1項の要件がある以上,恵与しなければならないと解されるから,被告の同主張は採用できない。 (2) 次に,名古屋拘置所長の本件処分3,5が国家賠償法上違法であるか否かにつき検討する。 名古屋拘置所長は,本件処分3,5について「民事訴訟は,原則,誰で,も提起できるが,訴訟を遂行する上で必要な費用は,たとえ僅少な郵券といえども訴訟を提起した本人が負担すべきであり,当該郵券が負担できなければ,本人が許可されている外部交通許可者に援助を依頼すればこと足りるところである。また,領置金の残額,郵券の管理は本人自身が行っており,残額については,把握していることからも,郵券が急に無くなったものではなく,前もって対策を取っていれば恵与を願い出ることも無かったと思料される。仮に出願を認めた場合,現在係属している民事訴訟についても,出願の都度,恵与を認めなければならず,一個人の利益のために国の予算を割く必要性は極めて薄いと言わざるを得ず,恵与は,国の予算を使用して一個人に利益をもたらすものであって,本人の郵券代を恵与する理由はない」との。 理由で,郵券等の恵与願いを不許可としたものである(上記2 要性は極めて薄いと言わざるを得ず,恵与は,国の予算を使用して一個人に利益をもたらすものであって,本人の郵券代を恵与する理由はない」との。 理由で,郵券等の恵与願いを不許可としたものである(上記2(2)ないし(5)の認定事実)が,名古屋拘置所長が,裁判所から送付された通知文書の具体的な内容及び裁判所が返信を要求しているか否かについて考慮せずに同各処分を行ったことは明らかである。 そうとすれば,名古屋拘置所長が行った本件処分3,5は,規則134条1項に違反するのみならず,国家賠償法上も違法というべきである。 (3) 本件処分1,2,4が,憲法32条,25条1項,11条,13条,14条に反するものであるか否かにつき検討する。 資力のない被収容者に対し裁判所へ準備書面等を送付するための費用を恵与しないとしても,直ちに憲法32条,25条1項,11条,13条に違反するものとは解されず,本件処分1,2,4が同条に違反するとはいえない。 また,本件処分1,2,4が原告が多数の民事訴訟を提起していることを根拠としているとは認められず,本件処分1,2,4が憲法14条に違反するとも認められない。 請求原因(7)について名古屋拘置所長は,上記3(2)のとおり,裁判所から送付された通知文書の具体的な内容及び裁判所が返信を要求しているか否かについて考慮せずに,本件処分3,5をしたのであるから,同人には過失がある。 請求原因(8)について本件処分3,5により原告が被った精神的苦痛を慰謝するには,裁判所から送付された通知文書の具体的な内容等本件に現れた一切の事情を勘案し,2万円をもってするのが相当である。 結論 以上によれば,原告の請求は2万円及びこれに対する平成18年7月11日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由が を勘案し,2万円をもってするのが相当である。 結論 以上によれば,原告の請求は2万円及びこれに対する平成18年7月11日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は棄却すべきである。 よって,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第6部裁判長裁判官内田計一裁判官安田大二郎裁判官高橋正典
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