平成21(行ウ)28 政務調査費返還請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年1月21日 福岡地方裁判所
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判決文本文20,606 文字)

主文 被告は,B(福岡県直方市a町b番c号,代表者J)に対し,2万7600円を支払うよう請求せよ。 被告は,D(福岡県直方市a町b番c号,代表者L)に対し,9万円を支払うよう請求せよ。 被告は,G(福岡県直方市a町b番c号,代表者O)に対し,1万円を支払うよう請求せよ。 被告は,H(福岡県直方市a町b番c号,代表者P)に対して2万7600円を支払うよう請求せよ。 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用はこれを10分し,その9を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求被告は,別紙第1の請求等一覧表「請求の相手方」欄記載の者に対し,同「請求額」欄記載の金員及びこれに対する平成20年5月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払うようそれぞれ請求せよ。 第2事案の概要等 事案の概要本件は,福岡県直方市(以下「直方市」という。)の住民である原告が,平成19年度当時の直方市議会(以下「市議会」という。)における会派であった別紙第1の請求等一覧表「請求の相手方」欄記載の者ら(以下「相手方ら」という。)が,同市から平成19年度に交付を受けた政務調査費(以下「本件政務調査費」という。)の一部について使途基準に違反する違法な支出を行っており,相手方らは同市に対して上記支出額に相当する金員を不当利得として返還すべきであるのに,被告はその返還請求を違法に怠っているとして,被告 に対し,地方自治法(以下「法」という。)242条の2第1項4号に基づき,相手方らに対して,別紙第1の請求等一覧表「請求額」欄記載の不当利得金及びこれに対する上記支出に係る収支報告書の提出日の翌日である平成20年5月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による法定利息金の支 に対して,別紙第1の請求等一覧表「請求額」欄記載の不当利得金及びこれに対する上記支出に係る収支報告書の提出日の翌日である平成20年5月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による法定利息金の支払を請求することを求める住民訴訟である。 前提事実(1)原告は,直方市の住民であり,被告は,同市の執行機関であり,相手方らは,同市議会における会派であり,権利能力なき社団である。 (争いがない事実)(2)直方市では,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの。 以下「旧法」という。)100条13項の規定を受けて,直方市議会政務調査費の交付に関する条例(平成13年直方市条例第19号,平成14年直方市条例第20号。平成20年直方市条例第29号による改正前のもの。以下「本件条例」という。)を制定し,議会における会派及び議員(以下「会派ら」という。)に対し政務調査費を交付することとしている。 本件条例7条は,会派又は議員は,政務調査費を別に定める使途基準に従って使用するものとし,市政に関する調査研究に資するため必要な経費以外のものに充ててはならないと定めている。 また,これを受けて,直方市議会政務調査費の交付に関する規則(平成13年直方市規則第8号。以下「本件規則」といい,本件条例と併せて「本件条例等」という。)が定められており,同規則7条及び別表により,前記使途基準として,別紙第2の会派又は議員に係る政務調査費使途基準(以下「本件使途基準」という。)に掲げるとおり規定している。 (争いがない事実,乙3(枝番号を含む))(3)相手方らは,平成19年度において,政務調査費として,別紙第1の請求等一覧表「政務調査費交付額」欄記載の金員を交付され,そのうち,別紙第 3の政務調査費等一覧表「使途」欄記載の使途に充てるため,同「金額」欄記 成19年度において,政務調査費として,別紙第1の請求等一覧表「政務調査費交付額」欄記載の金員を交付され,そのうち,別紙第 3の政務調査費等一覧表「使途」欄記載の使途に充てるため,同「金額」欄記載の金額を支出したとして(以下「本件支出」という。),その旨直方市議会議長に報告した(なお,別紙第3の政務調査費等一覧表記載B③,同④,同⑩及び同⑪(以下,各支出については,単に「A①」のように表記する。)については,「金額」欄記載の金額と「原告の主張」「違法支出額」欄記載の金額との間で齟齬が生じているが,合計額は一致しており,原告がその内訳を誤認して主張しているものと思われる。)。 (争いがない事実,乙1,同2,同7ないし同10)(4)原告は,平成21年3月30日,直方市監査委員に対し,本件支出には違法な支出が含まれているとして,法242条1項に基づく住民監査請求を行ったが,同監査委員は,同年5月29日,同請求は理由がないとして,これを棄却したため,原告らは同年6月29日本件訴訟を提起した。 (争いがない事実,甲1,顕著な事実) 争点及び当事者の主張(1)本件支出の本件使途基準適合性の判断基準及びその主張立証責任の所在(争点1)ア原告の主張(ア) 適法な政務調査費の支出であるためには,支出の対象となった活動に調査研究の実質が必要である。 ある支出について,政務調査費の使途基準に合致する部分とそうでない部分がある場合,これらを合理的に区分できるのに,それをしておらず,その金額や使途等からみて,その大半が政務調査以外の活動に使用されていると社会通念上推認される場合には,支出額全体が使途基準と合致せず違法である。 上記の場合に合理的区分が困難な場合には社会通念上相当な割合による按分をして政務調査活動に資する費用の金額を確定すべきである 社会通念上推認される場合には,支出額全体が使途基準と合致せず違法である。 上記の場合に合理的区分が困難な場合には社会通念上相当な割合による按分をして政務調査活動に資する費用の金額を確定すべきである。 会派らの活動が政務調査とそれ以外の活動の2面性を有する場合にも,上記と同様の区分を行い,又は按分をすべきである。 (イ) 原告が,本件支出につき,政務調査費の支出としての合理性ないし必要性を欠いていることを疑わせるに足りる外形的,客観的事情を主張立証すれば,当該支出の違法性が事実上推認され,これに対し,被告が上記推認を妨げる反証を行わなければ,当該支出は違法と判断されるべきである。 イ被告の主張(ア) 政務調査費の支出の適法性の審査は,これが使途基準に合致するかどうかを判断すれば足り,政務調査費の使途基準に合致する部分とそうでない部分がある場合や会派らの活動が政務調査とそれ以外の活動の2面性を有する場合を考慮することは実益がない。 (イ) 政務調査費の制度趣旨,旧法及び本件条例等の規定に照らし,政務調査費の使途が広範に及ぶこと,会派又は議員の裁量が尊重されるべきこと,市長の審査が,市議会議長による詳細な審査後に行われる事後的な確認にすぎないこと等に鑑みれば,諸般の事情から,当該支出が,議員の広範な裁量を逸脱し,市政との関連性又は調査研究における必要性を欠くことが一見して明らかな場合に限り,「調査研究に資するため必要な経費」とは認められず,返還義務が生じるものというべきである。したがって,原告が,上記関連性又は必要性を欠くことが一見して明らかであることを主張立証しなければならない。 (2)本件支出の本件使途基準適合性(争点2)別紙第3の政務調査費等一覧表「当事者の主張」欄記載のとおり。以下,同表における略語を本文中にも用いる。 ( であることを主張立証しなければならない。 (2)本件支出の本件使途基準適合性(争点2)別紙第3の政務調査費等一覧表「当事者の主張」欄記載のとおり。以下,同表における略語を本文中にも用いる。 (3)「違法な怠る事実」の有無(争点3)ア原告の主張 地方公共団体が有する債権の管理について定める法240条,地方自治法施行令171条ないし同条の7の規定によれば,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり,免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はない。 そうであるところ,本件支出については,別紙第3の政務調査費一覧表記載「原告の主張」欄記載のとおり,違法な支出が認められるのであるから,それにもかかわらず,公金を管理する被告が,相手方らに対し,不当利得返還請求権を行使しないことは,「違法な怠る事実」に当たる。 イ被告の主張政務調査費の適正な使用の確保については,第一次的には,交付対象者である会派や議員に,第二次的には議長に委ねる体系が採用されており,また,市長と議会とは一定の牽制関係にあり,むやみに政務調査費の使途について調査を行うべきでないから,市長が調査権を行使するのは,政務調査費の使途に合理的な疑問がある場合に限られるというべきである。 そして,本件支出については,上記のような合理的疑問はないのであるから,被告が,不当利得返還請求を違法に怠っているということはできない。 (4)附帯請求の起算日及び相手方らが悪意の受益者(民法704条)に当たるか否か(争点4)ア原告の主張本件条例には,交付を受けた政務調査費の残余を返還すべき期限について具体的な定めはないが,収支報告書の提出によって政務調査費の収支金額が確定することに照らし,附帯請求の起算日は収支報告書の提出期限の翌日で には,交付を受けた政務調査費の残余を返還すべき期限について具体的な定めはないが,収支報告書の提出によって政務調査費の収支金額が確定することに照らし,附帯請求の起算日は収支報告書の提出期限の翌日である平成20年5月1日とすべきである。 また,相手方らは悪意の受益者に当たる。 イ被告の主張 争う。 第3当裁判所の判断 争点1(使途基準適合性の判断基準及びその主張立証責任)について(1)判断基準についてア 判断 前記前提事実記載のとおり,直方市では,旧法100条13項の規定を受けて,本件条例等が制定され,本件使途基準が定められているところ,原告はこれらが違法であると主張するものではなく,本件条例等や本件使途基準が旧法等に違反する点も見当たらないから,本件支出が政務調査費として適法な支出であるか否かは,それらが本件使途基準に適合するか否かによって決せられるべきである。 そして,ある支出について,本件使途基準に合致する部分とそうでない部分がある場合には,本件使途基準に合致する部分のみが適法な支出となり,その余の支出は違法な支出となることはいうまでもないし,これらの区分が明らかにできない場合にも,本件使途基準に合致する範囲においては,適法な支出とみられるものの,その余の部分は違法な支出であるものと考えられる。もっとも,一見,当該支出が本件使途基準に合致する部分を含むとみられる場合であっても,支出の目的,実質等に照らし,社会通念上,一体の支出として,およそ政務調査費としての支出とすることが許されないと考えられる場合には,全体として,本件使途基準に合致しないと判断すべき場合があり得るというべきである。 イ被告の主張についてこれに対して被告は,政務調査費の使途基準に合致する部分とそうでない部分がある場合等について考慮する実益はない等と 準に合致しないと判断すべき場合があり得るというべきである。 イ被告の主張についてこれに対して被告は,政務調査費の使途基準に合致する部分とそうでない部分がある場合等について考慮する実益はない等と主張するが,本件使途基準は,支出の一部でもこれに合致すればよいとするものとは到底解されず,本件使途基準に一部は適合するが,その余の部分は適合しない支出 等について検討すべき場合は存在するものと認められ,被告の上記主張は採用できない。 (2)主張立証責任についてア 判断 (ア) 住民訴訟において,法242条の2第1項4号に基づく請求を行うためには,「違法な怠る事実」を原告側で主張,立証することを要すると解するべきである。 (イ) 本件において,「違法な怠る事実」があるというためには,直方市が相手方らに対し,不当利得返還請求権を有することが前提となるところ,一般に不当利得返還請求の「法律上の原因がないこと」については,これを請求する者が主張立証すべき責任を負うものと解される(最高裁判所昭和59年12月21日第二小法廷判決・裁判集民事143号503頁参照)。 そして,原告は,政務調査費としてされた本件支出につき,その本件使途基準不適合を理由に不当利得返還請求をすべきことを請求しているのであるから,当該支出が本件使途基準に適合しないことを主張立証する必要がある。 (ウ) もっとも,立証の程度が,当事者双方の立証活動によって定まることは当然であり,立証責任を負う者が相当程度の立証を行い,さらなる証拠の利用可能性が低いのに対し,相手方が容易になし得る反証を行わないような場合には,立証ありと認められる場合もあり得るというべきである。 本件においては,本件支出の具体的使途に関する証拠の大部分を被告ないし相手方らが保有しており,原告が相手方らの内部事情 行わないような場合には,立証ありと認められる場合もあり得るというべきである。 本件においては,本件支出の具体的使途に関する証拠の大部分を被告ないし相手方らが保有しており,原告が相手方らの内部事情を知り得る立場にはないことが明らかであり,これらのことに鑑みると,原告側の立証が本件使途基準に適合した政務調査費の支出がされなかったことを 一応推認させる程度に達しており,被告側が何ら反証を行わない場合には,当該政務調査費の支出は本件使途基準に適合しない違法な支出であると推認されるというべきである。 (エ) なお,会派らの行う調査研究活動は多岐にわたるし,特に,議会は,長その他の執行機関を監視する責務を負い,上記調査研究も,その多くが執行機関やこれを政治的に支える与党に対する批判や監視という性質を帯びた内容になることからすれば,当該会派らの独立性及び自主性は尊重されるべきものであり,個々の経費の支出が調査研究の必要性の要件を満たすかどうかについて,会派らの合理的判断に委ねられている部分があることは否定できない。 また,このような会派らの行う政務調査の性格に照らし,行政や当該会派らと対立する者らが,政務調査費の支出を問題とし,会派らに反証等を行わせることを通じて調査研究の内容や会派らの行う会合の内容に立ち入ろうとすることもあり得ることからすれば,これらの内容に安易に立ち入ることは許されないというべきであり,少なくとも,これらの点については,前記の本件使途基準への不適合を一応推認させる程度という立証の程度を余りに低くすることは相当でないというべきであり,一般的,外形的にせよ,具体的な不適合の立証がなされない限り,被告側の反証がなかったとしても,立証があったとは認められないと解するべきである。 イ被告の主張について(ア) 被告は,政務調査 り,一般的,外形的にせよ,具体的な不適合の立証がなされない限り,被告側の反証がなかったとしても,立証があったとは認められないと解するべきである。 イ被告の主張について(ア) 被告は,政務調査費の制度趣旨,地方自治法の規定及び本件条例等によれば,政務調査費の使途が広範に及ぶこと,会派らの裁量が尊重されるべきこと,市長の審査が,市議会議長による詳細な審査後に行われる事後的な確認にすぎないこと等に鑑みれば,諸般の事情から,当該支出が,議員の広範な裁量を逸脱し,市政との関連性又は調査研究における 必要性を欠くことが一見して明らかな場合に限り,「調査研究に資するため必要な経費」とは認められず,返還義務が生じるものと解するべきであり,原告は,上記関連性又は必要性を欠くことが一見して明らかであることを主張立証しなければならない旨主張する。 (イ) この点,調査研究の必要性等の判断に関し,会派らの合理的判断に委ねられる部分があることや,安易に被告側の立証を必要とすべきでない場合のあることは前記のとおりである。 しかしながら,公金を使用する以上,会派らがこれを適正に使用すべきことは当然のことであり,また,公私混同は厳に慎むべきものである。また,会派らは,基本的には,政務調査費の使途を議長ないし住民に説明すべき義務を負うことは本件条例等の規定からも明らかである。 したがって,会派らの裁量等が認められるとしても,前記の程度にとどめるべきものであって,これを超えて,本件使途基準に該当するかどうかについて,会派らの広範な裁量が認められるとすべき根拠はないというべきであり,被告の前記主張は採用することができない。 個別の支出に関する争点について以下,前述の判断基準及び主張立証責任に基づいて,個別の支出について検討する。 (1)争点2の1(研究研修費 べきであり,被告の前記主張は採用することができない。 個別の支出に関する争点について以下,前述の判断基準及び主張立証責任に基づいて,個別の支出について検討する。 (1)争点2の1(研究研修費)についてア政治資金パーティーの参加費並びにこれに参加するための旅費及び日当(A⑤ないし⑨,同⑫,⑭ないし⑯)(ア) 判断B,D,G及びHは,いずれもRセミナー又は励ます会の参加費等に関する支出をしているところ,上記会合が,政治資金規正法8条の2により規定されている政治資金パーティーであることについては,当事者間に争いがない。 政治資金パーティーは,対価を徴収して行われる催物であるが,当該催物の対価に係る収入の金額から当該催物に要する経費の金額を差し引いた残額を,当該催物を開催した者又はその者以外の者の政治活動等に関し支出することとされているものであり(政治資金規正法8条の2),少なくとも,その部分については,市政に関する調査研究のために必要であるとはいえず,明らかに本件使途基準に該当しない。 また,政務調査費をもって,政治資金パーティへの参加に支出することは,そもそも本来法で認められた場合でないのに,公金をもって,特定の者の政治活動の資金に当てることになるのであるから,極めて不適切というほかなく,これらに当てられる部分が主となっている場合はもとより,それに至らない場合であっても,社会通念上,一体の支出としておよそ政務調査費としての支出とすることが許されないというべきである。 よって,B及びHの支出したRセミナーの参加費等各合計2万7600円,Gの支出した同セミナーの参加費1万円並びにDの支出した同セミナーの参加費3万円及び励ます会のパーティー券購入費用6万円は,いずれも違法な支出であるというべきである。 (イ) 被告の主張につ 0円,Gの支出した同セミナーの参加費1万円並びにDの支出した同セミナーの参加費3万円及び励ます会のパーティー券購入費用6万円は,いずれも違法な支出であるというべきである。 (イ) 被告の主張についてaこれに対し,被告は,政治資金パーティーに参加することで,政治や社会情勢に関する講演を聴取し,また,他の参加者と意見交換することができ,そこで得られた知識や情報を市政に反映することができるのであるから,同参加費用が当然に違法支出となるわけではないとした上で,Rセミナーは,自動車関連企業の企業誘致を目的に産業団地造成事業に着手する直方市にとって,自動車業界の動向などの最新の情報が得られるものであり,市政の調査研究に係るものであるとし,また,励ます会は,直方市の重要施策の一つである環境行政につ いて今後の国の動向を知る機会であり,企業誘致を含めた直方市の経済浮揚策について様々な情報を得ることができるものであり,市政の調査研究に係るものである旨主張する。 bしかしながら,前記のとおり,政治資金パーティーの参加費は,特定人に対する政治資金の供与の趣旨を含むものであり,政党の助成等公に制度上認められている場合でないのに,間接的ではあっても,公金から特定人等の政治資金を支出することは到底許されないものと考えられ,他の地方公共団体においても,明示的に政治資金パーティへの参加費を政務調査費から支出することは不適切であるとされている(甲10)など,許されないものと考えられているのであって,当該パーティにおいて市政調査と関連性を有する講演等がなされたかどうかを問わず,全体として違法であるというべきであり,被告の主張は採用できない。 イその余の研究研修費(A①ないし④,同⑩,同⑪,同⑬)(ア) A及びEの各支出(A①ないし④,同⑪)について原 うかを問わず,全体として違法であるというべきであり,被告の主張は採用できない。 イその余の研究研修費(A①ないし④,同⑩,同⑪,同⑬)(ア) A及びEの各支出(A①ないし④,同⑪)について原告は,A及びEの上記研究研修費の支出は,議員が,個人的に参加する団体,会合への参加費,資料代等であり,市政に関する調査研究とはいえない旨主張する。 しかしながら,原告が上記主張において「個人的に参加する」としているのは,議員ないし会派の立場を離れて私人としての立場で参加するものを指す趣旨と解されるところ,上記各支出は,「Qネットワーク」,「福岡県地方議員交流会」及び「人権問題研究集会」に出席するための費用であるとされており,その名称をみても,少なくとも前2者はむしろ議員としての立場で参加するものであると考えられる名称であるし,後者についても,その名称のみから,議員ないし会派の立場を離れて私人の立場でこれらに参加したものであると推認する根拠となるも のということはできない。 また,被告は,これらの会合と議員ないし会派としての立場における市政との関わりをそれぞれ主張しており,これを排斥するに足りる立証は何らなされていないところ,前記のとおり,会派らの行う市政の調査研究活動は多岐にわたるし,その独立性,自立性は十分に尊重されるべきであるから,上記会合等の内容に深く立ち入ることは原則として許されないものというべきである。 したがって,原告の上記主張及び本件全証拠によっても,前記各支出が,本件使途基準に適合しないことを推認することはできない。 (イ) Dの支出(A⑩)について次に,原告は,Dの上記支出について,寿司店における会合の目的,内容は,参加者の親睦にあるとみられ,定例会は会派活動,政治活動にほかならず,本件使途基準に該当しないと主張する。 支出(A⑩)について次に,原告は,Dの上記支出について,寿司店における会合の目的,内容は,参加者の親睦にあるとみられ,定例会は会派活動,政治活動にほかならず,本件使途基準に該当しないと主張する。 しかしながら,一般的には,公私混同ないしその疑いを避けるためにも,飲食店での会合について政務調査費を支出することは避けるべきであるということはできるものの,本件使途基準において,そのような支出が除外されているものではなく,会合の内容を問わず,そのことのみをもって直ちに違法であるとまではいえない。 また,一般に,政党活動や後援会活動については,政務調査費の支出の対象外であると考えられるものの,会派の定例会であったとしても,その内容が政党活動等であって,市政の調査研究でなかったと直ちにいえるものではない。 そして,原告は,上記主張のほかには,上記会合の内容が市政の調査研究に当たらないとする具体的立証を何らしておらず,本件全証拠によっても,前記支出が,本件使途基準に適合しないことを推認することはできないというべきである。 (ウ) Gの支出(A⑬)について原告は,Gの上記支出について,これは資料購入費ではなく,セミナー参加費等とされていることからして,書籍の購入費であるとは考え難く,他に,具体的かつ合理的説明がされない限り,政治資金パーティー券購入費用等目的外支出と推認するのが相当である旨主張する。 しかしながら,被告は,同支出について,Tセンターが販売する「△△」という雑誌の年間購読料であり,同センターのホームページを確認したところ,確かに年間購読料7000円で同雑誌が販売されていた旨主張しているところ,原告はこれを覆すに足りる立証を何ら行っていない。 そして,雑誌の購入費用であれば資料購入費として報告すべきものであったとは考えられるが, 料7000円で同雑誌が販売されていた旨主張しているところ,原告はこれを覆すに足りる立証を何ら行っていない。 そして,雑誌の購入費用であれば資料購入費として報告すべきものであったとは考えられるが,そのような収支報告書上の費目の誤りをもって,支出自体が本件使途基準に違反するものということはできず,原告の上記主張は採用することができない。 したがって,原告の上記主張及び本件全証拠によっても,前記各支出が,本件使途基準に適合しないことを推認することはできない。 (2)争点2の2(調査旅費)についてア日当の支出(B①,同④ないし⑥,同⑧,同⑨,同⑪,同⑫)について原告は,上記日当の支出に関し,調査研究活動は議員の自発的意思に基づいて行われるのであるから,調査先での昼食費等の諸経費及び交通費等の現地経費を賄うための日当については,その実費分のみが,政務調査費の目的に適合するところ,前記支出を行った各会派は,定額で日当を支払っているのであるから,同支出は政務調査費の目的に適合しない違法なものであると主張する。 しかしながら,本件使途基準は,調査旅費について,直方市職員の旅費に関する条例(昭和37年直方市条例第3号)に基づく算定によるものと 定めているところ(乙3の2),同条例9条は,日当は,1日当たりの定額により支給するものとしている(乙3の3)のであるから,同条例に従って定額の日当を支出することは何ら本件使途基準に反するものではないと解される。 また,原告は,議員には,日当の外に目的地における交通費が支給されており,日当支給は経費の二重支出であると主張するが,一般に,旅費と日当はその対象となる費用を異にするものであり,上記条例の規定も同様の趣旨で規定されているものと考えられるのであって,旅費が支給されているからといって,直ちに日当の支 ると主張するが,一般に,旅費と日当はその対象となる費用を異にするものであり,上記条例の規定も同様の趣旨で規定されているものと考えられるのであって,旅費が支給されているからといって,直ちに日当の支給が二重支出として違法となるものではなく,むしろ,目的地に到着した後の交通費など,条例に規定されている以外の旅費を誤って支給した場合にこれが違法となることがあるとしても,日当の支給が違法となるものではない。そして,原告は何ら具体的な旅費の支出が違法である旨の主張,立証を行っていない。 よって,原告の上記各主張は採用することができない。 イその余の調査旅費について(ア) Aの支出(B②)について原告は,上記支出について,調査の目的が不明であり,政務調査費とは認められないと主張するが,被告は同支出は,PFI事業に関するU組への視察のため,Bで研究するために事前調査を行った1人分の旅費であり,市政の調査研究に資する旨主張しており,原告はこれに対して,何ら的確な反論反証をしていない。 そうすると,原告の上記主張は採用することができず,同支出が,本件使途基準に適合しないと認めるに足りる証拠はないというべきである。 (イ) B,F及びHの各支出(B③,同⑦,同⑩)について原告は,上記各支出について,調査旅費を政務調査費から支出するた めには,①調査の目的が市政の調査研究という政務調査費の趣旨に適合すること及び②調査先において直方市の事務や行政に関した中身のある説明や質疑がされることが必要であり,また,③視察が客観的に調査研究の実質を有すること,④出張に先立って調査項目等を準備すること,⑤視察によって得られた聴き取り等の結果をその後の利用に供するため視察報告書として保存すること及び⑥視察中にどのような事項について聴き取りをし,聴取対象者からどのよ 立って調査項目等を準備すること,⑤視察によって得られた聴き取り等の結果をその後の利用に供するため視察報告書として保存すること及び⑥視察中にどのような事項について聴き取りをし,聴取対象者からどのような情報を得たのか明らかにすることが重要であるとした上で,B及びHの各視察等は,直方市政に関する調査研究とは関連性が乏しく,市議会議員としての見識や教養を高めるためのものであるというべきであり,上記②及び④ないし⑥を欠くものであるとし,また,Fの上記研修会等については,その目的が,市政の調査研究との関連性がないものであるし,上記④ないし⑥を欠くため,市政に関する調査研究の実質を欠くとして,いずれも適法な政務調査費とはいえない旨主張する。 しかしながら,本件使途基準において調査旅費については,「市政調査研究活動のために必要な先進地調査又は現地調査に要する旅費」とのみ規定されており,原告の主張する前記①及び③の要件は必要であるとしても,必ずしも前記②及び④ないし⑥を具備しなければならないというような限定はされていないのであって,これらを欠くからといって,直ちに本件使途基準に反することにはならない。 また,原告は,B及びHの上記視察等と市政の調査研究との関連性が乏しいことの根拠として,上記の外,同視察等の名称やテーマが直方市の市政との具体的関わりを示すものではないことを挙げているところ,これらの視察等の名称やテーマは,それ自体,市政の調査研究との関連性がないことを積極的に疑わせるものではないし,原告は,他に,各支出と市政の調査研究との関連性がないことの具体的な根拠について主 張,立証をしていない。 そうすると,原告の上記主張は採用することができず,上記各支出が,本件使途基準に適合しないと認めるに足りる証拠はないというべきである。 (3)争 体的な根拠について主 張,立証をしていない。 そうすると,原告の上記主張は採用することができず,上記各支出が,本件使途基準に適合しないと認めるに足りる証拠はないというべきである。 (3)争点2の3(資料作成費)についてア原告は,C①ないし⑨の各支出について,議員の活動は,議会活動,会派及び政党活動,選挙活動,後援会活動,私的活動等多様であることから,コピー機のインク代や,コピー用紙等については,政務調査費に当たる費用とそうでない費用とが渾然一体となっており,その合理的区分が困難であるから,それが市政の調査研究活動のためにのみ使用されていることの具体的事実や証拠が示されない限り,2分の1を目的外支出と考えるのが相当であるとし,また,パソコンやデジタルカメラ等については,市政に関する調査研究活動以外のために使用されることが大半であるから,主として政務調査活動に供されていることの補足的説明が相当の根拠をもって示されない限り,社会通念上,政務調査費支出の合理性ないし必要性を欠く旨主張する。 イしかしながら,そもそも,コピー機のインク代や,コピー用紙等の代金であることをもって,本件使途基準に該当しないといえないことは当然のことであるし,当該会派らの上記各支出に,市政の調査研究以外の目的で使用した費用が実際に含まれていることを具体的に疑わせる事情については,何ら主張,立証がない。 また,一般的にいって,会派らの有するパソコンやデジタルカメラ等が,市政に関する調査研究活動以外のために使用されることが大半であるという経験則があるということはできないし,むしろ,上記各物品の機能や一般的用途に鑑みれば,これらが上記各会派らの市政の調査研究活動に用いられたとしても何ら不合理ではない。 そして,原告は,上記各物品が,他の目的で使用された可 ないし,むしろ,上記各物品の機能や一般的用途に鑑みれば,これらが上記各会派らの市政の調査研究活動に用いられたとしても何ら不合理ではない。 そして,原告は,上記各物品が,他の目的で使用された可能性があるというような抽象的可能性を指摘するにとどまっており,何ら具体的立証をしていないのであるから,被告の反証がなかったとしても,これだけで前記支出が本件使途基準に違反すると推認することはできず,原告の上記主張は採用することができない。 (4)争点2の4(広報費)についてアAの撮影機代及びアンプ代(E①及び②)について(ア) 原告は,上記各支出は,本件使途基準における広報費に該当しないし,実質的にも,上記撮影機やアンプは,高額であり,市政調査研究活動のみに使用するために購入されたとは考え難く,主として,会派活動や議員活動のために購入されたものというべきであって,市政の調査研究に必要な経費とはいえない旨主張する。 (イ) しかしながら,撮影機やアンプは,その一般的機能や用途からして,多人数の者に,映像又は音声で情報を伝達することに用いられるものであって,本件使途基準に定める「市政調査研究活動,議会活動及び市の政策について市民に報告するために要する経費」におよそ該当しないということはできないし,本件において,これらの目的で支出されたことを否定すべき事情も何ら立証されていない。 また,本件使途基準は,広報費に関し,「広報紙,報告書印刷費,会場使用料等(ただし,後援会で作成,発行する会報代には充当できない。)」と規定しているが,その規定ぶりからも明らかなように,これは例示であって,これらに含まれないからといって,上記経費に該当しないということもできない。 さらに,原告は,上記各物品が,高額であることを指摘するが,本件使途基準は物品の価格の上 かなように,これは例示であって,これらに含まれないからといって,上記経費に該当しないということもできない。 さらに,原告は,上記各物品が,高額であることを指摘するが,本件使途基準は物品の価格の上限を定めるなどした規定を置いておらず,物品の価格によって当然に本件使途基準に反するということはできない し,その他,原告は,当該物品が主として他の目的で購入された旨の主張をしているが,これを裏付ける具体的立証を何らしていないのであるから,被告の反証がなかったとしても,これだけで前記支出が本件使途基準に違反すると推認することはできず,原告の上記主張は採用することができない。 イ印刷代等の各支出(E③ないし⑥,同⑨)について(ア) 原告は,上記各支出について,市政に関する意見及び要望を吸収することを目的にしたものか判然とせず,市政の調査研究活動との関連性が何ら明らかにされていないし,「議会報告」,「議会報告ニュース」,「議会便り」等の上記経費の使途からして,そこに市政の調査研究活動の報告以外の議会活動,会派又は政党活動,後援会活動等の報告が含まれていることが通常であることは社会通念上認められるのであるから,上記経費の支出には,市政の調査研究活動に関係しない部分が混在していると推認されるとして,それぞれ支出額の半額が違法な支出である旨主張する。 (イ) しかしながら,本件使途基準は,広報費について,前記のとおり規定しているのであって,その文理上,広報費を市政に関する意見及び要望を吸収することを目的にしたものに限定していると解することは困難である。 また,実質的にみても,政務調査費の制度趣旨に照らし,本件使途基準が,「市政調査研究活動,議会活動及び市の政策について市民に報告するために要する経費」を広報費として政務調査費をもって当てることと また,実質的にみても,政務調査費の制度趣旨に照らし,本件使途基準が,「市政調査研究活動,議会活動及び市の政策について市民に報告するために要する経費」を広報費として政務調査費をもって当てることとしたのは,議員が行う議会活動及び市政に関する政策等を市民に広報し,これを周知させ,理解させることが,議会の審議能力を強化し,議員の調査研究活動の基盤の充実を図ることにつながるものであるとの考えに基づくものであると解するのが相当である。 よって,仮に,前記各広報費に係る広報活動が,市政に関する意見及び要望を吸収することを目的にしたものか判然としないものであったとしても,そのことから,当然に違法な支出を含むものであるということはできない。 (ウ) また,本件使途基準は,広報費を「市政調査研究活動,議会活動及び市の政策について市民に報告するために要する経費」と定めているのであるから,その文理上,市政調査研究活動と直接関係がない議会活動についての広報費を含むことを規定していると解するほかないのであり,前記広報費の使途が,「議会報告」,「議会報告ニュース」,「議会便り」等であることはむしろ,本件使途基準に合致していることを推認させるものである。 そして,これらが市政調査研究活動,議会活動及び市の政策以外の事項の広報であることを具体的に示す証拠は何ら見当たらず,原告の上記主張は採用することができない。 ウGの本件報告会に関する各支出(E⑦及び⑧)について(ア) 原告は,本件報告会は,1 人当たり約4000円の飲食を伴う会合,宴会であり,また,あらかじめ特定の市民に対して葉書を送付し,出席者をマイクロバスで送迎していることからして,同報告会が支持者,後援会員を対象とした後援会活動であることは明らかであり,市政の調査研究に必要な経費には当たらないし 定の市民に対して葉書を送付し,出席者をマイクロバスで送迎していることからして,同報告会が支持者,後援会員を対象とした後援会活動であることは明らかであり,市政の調査研究に必要な経費には当たらないし,また,そもそも,御精算書(甲8の2)によれば,会場費等合計額9万円と同額の値引きがされており,同経費の支出は認められない等と主張する。 (イ) しかしながら,上記各支出は,飲食費等を含むものではなく,葉書代,会場費,スクリーンプロジェクター費及び送迎バス費とされているところ,多数の住民らに出席を促して,市政調査研究活動,議会活動及び市の政策について報告を行うことは,前記広報費の規定に合致するも のであるから,特に違法とみられるものではない。 確かに,上記会合が後援会活動であったものであれば,少なくとも,一部は違法であった疑いがあるというべきであるが,被告は,さらに多数の者にはがきを送付したものと主張しており,後援会の会員にのみ送付されたとする具体的立証もないし,同じ機会に飲食等を行ったものとしても,もとよりその費用は政務調査費から支出されたものでもなく,これらのことから,当然に本件報告会が後援会活動であったことを推認することまではできない。 そして,前記のとおり,政務調査の必要性や会合の内容自体に安易に立ち入ることは許されないというべきであり,原告は,本件報告会が後援会活動であったことを具体的に示す立証を何ら行っておらず,被告の反証がなかったとしても,これだけで前記支出が本件使途基準に違反すると推認することはできない。 また,値引きの金額と,上記各支出の金額が一致したといっても,原告は値引きの趣旨について何ら具体的立証をしておらず,そのことをもって支出がなされなかったことを推認させるものではない。 以上のとおり,原告の前記主張は採用する 記各支出の金額が一致したといっても,原告は値引きの趣旨について何ら具体的立証をしておらず,そのことをもって支出がなされなかったことを推認させるものではない。 以上のとおり,原告の前記主張は採用することができない。 (5)争点2の5(事務所費)についてア原告は,直方市議会の各会派において,市政に関する調査研究のためにのみ事務所を設置し,同事務所で調査研究活動をしている会派は存在しないこと,前記事務所費に係る領収証の大半が,Aに所属する議員宛であることから,同経費は議員個人の自宅や議員個人が営む他の業務における事務所に係る費用であることが推認され,被告の側で,当該事務所で調査研究活動をしていることについて合理的に説明がされない限り,当該事務所費を政務調査費から支出することはできないというべきであるところ,そのような説明はされていないから,Fの支出は違法な支出である旨主張す る。 イしかしながら,被告は,上記支出は,議員の自宅とは別に,会派のために使用している事務所での費用であると主張するところ,原告は何らこれを否定するに足りる立証をしていない。 また,確かに,前記事務所費に係る領収証の大半は,Aの所属議員宛であるものの(乙10),その内容は,別紙第3の政務調査費等一覧表に記載されているとおり,コピー機リース代等であって,これらに,同議員個人の自宅等で使用されたものが含まれることについても,原告は何ら具体的な立証をしていない。 したがって,被告の反証がなかったとしても,前記支出が本件使途基準に違反すると推認すべき事情は認められず,原告の上記主張は採用することができない。 (6)争点2の6(事務費)についてア原告は,Gの各支出のうち,電話料金及びインターネット回線使用料につき,特定の政務調査研究活動のために,固定電話を設置し, 記主張は採用することができない。 (6)争点2の6(事務費)についてア原告は,Gの各支出のうち,電話料金及びインターネット回線使用料につき,特定の政務調査研究活動のために,固定電話を設置し,毎月継続して携帯電話やインターネットを使用する必要があるとは考え難く,これらは,会派活動,議員の個人的活動,議員の政治活動,後援会活動等に使用されているものと考えるのが合理的であるところ,これに対して,被告は,これらがどのような特定の調査研究活動のために使用されたのかについて具体的な主張立証をしていないのであるから,上記使用料等は全額目的外支出であるというべきである旨主張し,また,コピー用紙等のその他の事務費について,調査研究のための事務所が設置されていないことからすれば,多くの事務経費が調査研究に関連しないものと見るのが合理的であり,政務調査費から支出できる経費は3割程度であって,その余の7割は違法な支出である旨主張する。 イしかしながら,被告は,これらについて,相手方らはいずれも他の活動 とは分離した機器の使用を行っているか,あるいは,他の活動による支出が混在しているため,政務調査に用いた範囲内でその一部を政務調査費から支出したものである旨の主張をしているところ,固定ないし携帯電話等であっても,政務調査に専用されることは十分あり得ることであり,上記各費目のみをもって,他の用途の支出を含むことを推認することはできないし,他に,具体的な支出について市政の調査研究以外の目的でなされたことを示す証拠は何ら提出されていない。 また,被告が相手方らの他の活動による支出が混在していることを自認している支出についても,それぞれ,政務調査費から支出されたとされる額が,適法な支出の額を超えるものであることを示唆する具体的な証拠は何ら提出されていない 他の活動による支出が混在していることを自認している支出についても,それぞれ,政務調査費から支出されたとされる額が,適法な支出の額を超えるものであることを示唆する具体的な証拠は何ら提出されていない。 したがって,被告の上記以上の反証がなかったとしても,前記各支出が本件使途基準に違反すると推認することはできず,原告の上記主張は採用することができない。 争点3(「違法な怠る事実」の有無)について(1) 判断 地方公共団体が有する債権の管理について定める法240条,地方自治法施行令171条から同条の7までの規定によれば,客観的に存在する債権を理由もなく放置したり,免除したりすることは許されず,原則として,地方公共団体の長にその行使又は不行使についての裁量はないと解すべきである(最高裁判所平成16年4月23日第二小法廷判決・民集58巻4号892号)。 そうであるところ,本件においては,前記のとおり,相手方らがした本件支出のうち,Bは研究研修費として支出した2万7600円を,Dは研究研修費として支出した9万円を,Gは研究研修費として支出した1万円を,Hは研究研修費として支出した2万7600円を,それぞれの不当利得として 直方市に返還すべき債務を負っているものというべきであり,他方,被告が,上記不当利得の返還を請求しないことにつき例外的に許容されるべき「債権金額が少額で,取立てに要する費用に満たないと認められるとき」等,前記各条項所定の特段の事情も認められない。 よって,被告は,上記各不当利得返還請求権の行使を違法に怠っているものというべきである。 (2)被告の主張についてこれに対し,被告は,市長が調査権を行使するのは,政務調査費の使途に合理的な疑問がある場合に限られるところ,本件においては,このような合理的疑問はないのであるから,被 。 (2)被告の主張についてこれに対し,被告は,市長が調査権を行使するのは,政務調査費の使途に合理的な疑問がある場合に限られるところ,本件においては,このような合理的疑問はないのであるから,被告が,不当利得返還請求権を違法に怠っているということはできない旨主張する。 しかしながら,前記違法性は,必ずしも,市長がこれまでに調査権を行使していなかったことに過失があったかどうかということを問うものではなく,前記のとおり,不当利得返還請求権が客観的に存在するのに,これを行使しておらず,かつ,法条によって認められる除外事由がなければ,違法に怠っていると評価されるものなのであって,仮に,被告主張のような事情があったとしても,前記結論が左右されるものではない。 よって,被告の上記主張は採用することができない。 争点4(相手方らが悪意の受益者に当たるか)について原告は,相手方らが民法704条の悪意の利得者に当たる旨主張し,前記のことからすれば,本件では,B,D,G及びHの政治資金パーティに関する支出について,同人らが違法であることを認識していたとすれば,その悪意を認めることができるというべきであり,原告は,上記会派に対し,本件訴訟について訴訟告知をしているが,被告も本件口頭弁論終結に至るまでこれを適法であるとして争っていたものであり,これによって,同人らが違法性を認識したものとまではいえず,他に,同人らの上記認識を認めるに足りる的確な証拠も ないのであって,上記相手方らが悪意であったとは認めるに足りない。 よって,原告の同条に基づく利息金の支払に関する請求は理由がない。 結論 以上によれば,原告は,法242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,Bに不当利得金2万7600円の,Dに不当利得金9万円の,Gに不当利得金1万円の,Hに不当利得金2 る請求は理由がない。 結論 以上によれば,原告は,法242条の2第1項4号に基づき,被告に対し,Bに不当利得金2万7600円の,Dに不当利得金9万円の,Gに不当利得金1万円の,Hに不当利得金2万7600円の各支払を請求することを求めることができるというべきである。 よって,原告の請求は,上記の限度で理由があるから認容し,その余の請求は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所第3民事部裁判長裁判官裁判官裁判官 (別紙第1)請求等一覧表請求の相手方請求額政務調査費交付額A(福岡県直方市a町b番c号,代表者I)59万1541円75万円B(福岡県直方市a町b番c号,代表者J)40万2730円50万円C(福岡県直方市a町b番c号,代表者K)36万9383円50万円D(福岡県直方市a町b番c号,代表者L)21万5890円75万円E(福岡県直方市a町b番c号,代表者M)45万0081円50万円F(福岡県直方市a町b番c号,代表者N)46万4609円50万円G(福岡県直方市a町b番c号,代表者O)38万0015円50万円H(福岡県直方市a町b番c号,代表者P)44万1600円50万円 (別紙第2)会派又は議員に係る政務調査費使途基準項目内容研究研修費市政調査の目的で行う研究会,研修会に必要な経費又は他の団体の開催する研究会,研修会に参加するために要する経費( 会場使用料,講師謝金,講師宿泊費,講師交通費,会議茶菓子代,出席者負担金等)調査旅費市政調査研究活動のために必要な先進地調査又は現地調査に要する旅費( 直方市職員の旅費に関する条例( 昭和37年直方市条例第3号) に基づく算定による旅費とする。)資料作成費 担金等)調査旅費市政調査研究活動のために必要な先進地調査又は現地調査に要する旅費( 直方市職員の旅費に関する条例( 昭和37年直方市条例第3号) に基づく算定による旅費とする。)資料作成費市政調査研究活動のために必要な資料の作成に要する経費( 印刷製本費,翻訳料,事務機器購入,リース代等)資料購入費市政調査研究活動のために必要な図書,資料等の購入に要する経費広報費市政調査研究活動,議会活動及び市の政策について市民に報告するために要する経費( 広報紙,報告書印刷費,会場使用料等。ただし,後援会で作成,発行する会報代には充当できない。)広聴費市政調査研究活動のため,市民からの市政及び政策等に対する要望,意見を吸収するための会議等に要する経費( 会場使用料,印刷費,茶菓子代等)人件費市政調査研究活動を補助する職員を雇用する経費事務所費市政調査研究活動のために必要な事務所の設置,管理に要する経費( 事務所の賃借料,維持管理費,備品,事務機器購入,リース代等)事務費上記以外の経費で市政調査研究のために必要な経費( 通信運搬費,消耗品費,印刷費等)

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