昭和54(行ウ)4 町長選挙の当選の効力に関する裁決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和54年9月3日 福島地方裁判所 選挙
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【DRY-RUN】○ 主文 1 本件各訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実及び理由 一 請求の趣旨及び請求原因は別紙(一)記載のとおりであり、請求の趣旨に対す る答弁及びその理由は別紙(

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判決文本文4,553 文字)

○ 主文 1 本件各訴えをいずれも却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実及び理由 一 請求の趣旨及び請求原因は別紙(一)記載のとおりであり、請求の趣旨に対す る答弁及びその理由は別紙(二)記載のとおりである。 二 ところで、原告は、被告のした田島町長Aが地方自治法一四二条に該当しない 旨の本件決定の取消しを求めているが、この訴えは、原告の固有の法律的利益の侵 害を理由とするものでなく、被告が同法一四三条に定める権限を適法に行使しなか つたことを理由としていることは、原告の主張自体から明らかである。 そうすると右訴えは行訴法五条所定の民衆訴訟に該り、法律で出訴を認めない限り 許されないと解されるところ、地方自治法一四三条三項の「第一項の規定による決 定に不服がある者」とは同条一項の決定をうけた普通地方公共団体の長を指し、普 通地方公共団体の住民を含まないことは同条項の文言上明らかであり、他に右出訴 資格を定めた法律は存しないから、原告は本件決定の取消しを求めるにつきその適 格を有しない。 次に、原告は田島町長Aが地方自治法一四二条の規定に該当することを理由として 同法一四三条により、同町長の当選無効の裁判を求めているが、この訴えは普通地 方公共団体の長の選挙の効力に関する訴訟に該り、公職選挙法二〇七条の規定によ つてのみ認められているものであつて、地方自治法一四三条を根拠に右当選無効の 裁判を求めることはできない。 三 そうすると、本件各訴えは、いずれも不適法であるからこれをすべて却下する こととし、訴訟費用の負担につき行訴法セ条、民訴法八九条を適用して主文のとお り判決する。 (裁判官 佐藤貞二 石井義明 平井治彦) 別紙(一) 請求の趣旨 一 原告の被告に対する、田島町町長Aの当選に関する、審査申立て事件につい て、被告が、昭和五二年一〇月一三日なした却下 り判決する。 (裁判官 佐藤貞二 石井義明 平井治彦) 別紙(一) 請求の趣旨 一 原告の被告に対する、田島町町長Aの当選に関する、審査申立て事件につい て、被告が、昭和五二年一〇月一三日なした却下裁決は、これを取消す。 二 昭和五一年七月一一日執行の田島町町長選挙における候補者Aの当選は、これ を無効とする。 三 訴訟費用は被告の負担とする。 請求原因 一 被告は、昭和五一年七月四日、田島町町長の選挙を告示し、同年七月一一日、 これを執行した上、同選挙の候補者Aが無競争当選した旨告示し、且つ、同人にこ れを告知した。 原告は、右選挙における選挙人であるが、原告は、被告に対し、Aの当選は無効で ある旨主張して審査請求をした。これに対し被告は、昭和五二年一〇月一三日、右 請求を却下する旨の裁決をなした。 二 しかしながら、右裁決は違法でありAの当選は無効であるから、本訴をもつて 右裁決の取消しを求め、且つ、右当選の無効宣言を求める。その理由は次のとおり である。 Aは、公職選挙法一〇四条の規定によつてその当選を失つたものである。即ち、田 島町森林組合は本店を福島県南会津郡<地名略>におき、植林、林産の販売、木材 加工、林道の設置、債権の取立、債務の保証、交付金請求の手続代行を営業目的と し、且つ、田島町に対する請負代金又は町からの交付金によつて運営されている組 合である。そして、Aは、昭和五一年五月、同組合の組合長に就任し、爾来昭和五 二年六月までその地位にあつた。従つて、右は地方自治法一四二条に該当し、公職 選挙法一〇四条により当選の告知を受けた日から五日以内にその関係を有しなくな つた旨を届出ない限り、当選を失うものである。しかるにAは、右関係を有しなく なつた旨を五日以内に届出なかつたのみでなく、昭和五二年六月まで引続き右組合 の組合長の地位にあつたから、右当選を失つ なくな つた旨を届出ない限り、当選を失うものである。しかるにAは、右関係を有しなく なつた旨を五日以内に届出なかつたのみでなく、昭和五二年六月まで引続き右組合 の組合長の地位にあつたから、右当選を失つた。 原告は、昭和五二年七月二五日、被告に対し異議の申立てをしたところ、被告はこ れを放置しておいたので、原告は同年一一月一日、翌五三年一月一三日の二回に亘 り照会した後、昭和五三年四月三日、福島県選挙管理委員会に対し不服審査の申立 をした。その結果、被告から、請負に該当しない旨の決定書写しが、五月一日、原 告代理人に到達した。 以上の次第で、異議申立ては申立て以来被告の怠慢により時間を空費した。 三 右組合は地方自治法一四二条の団体に該当する。 1 田島町は町の林業振興という行政上の目的達成の手段として田島町森林組合の 「再建整備事業促進対策事業実施要綱」に基づく整備事業に対する補助金及び貸付 け、あるいは出資等の財政援助をしている。 2 (一)森林組合は理事、職員の不正行為によつて莫大な赤字となり倒産に瀕し ている。 (二) 町と森林組合の間柄が私的団体と同じなら、森林組合が倒産しても町には 関係のないことである。町が無関係の私的団体に倒産防止のために多額の補助金、 又は無利息貸付金を交付することは違法である。 (三) ところが、町は昭和五二年中に森林組合に対し、貸付金二、〇〇〇万円 (無利息)、補助金五〇〇万円、出資金三六〇万円合計二、八六〇万円の多額の町 有金員を交付した。森林組合は右交付金によつて倒産を免れ、経営されている。 3 町は、昭和四五年一二月二〇日、森林組合の財政立直しの一環として木工部を 開設し、木工加工業務に必要な建物数棟(変電所を含む)を機械設備と共に無料で 使用させる目的で「委託管理契約」を締結した。 森林組合は建物の引渡しを受けると、昭和四六年五月 政立直しの一環として木工部を 開設し、木工加工業務に必要な建物数棟(変電所を含む)を機械設備と共に無料で 使用させる目的で「委託管理契約」を締結した。 森林組合は建物の引渡しを受けると、昭和四六年五月、天昇電機工業株式会社から 仕事を請負い、これを株式会社サンキヨウキヤビネツトに委託する旨の加工委託契 約を締結し、管理料名目で月一三万円の金員の支払いを受け、右会社が倒産した後 は、株式会社アマダがこれを引継いで今日に至つている。議会の議決を経ずして建 物を貸すことは地方自治法二三七条に違反するから、右委託管理契約は右条文に違 反するところであるが、それは別としても、右の通り管理料名目で同組合が月一三 万円の補助金を町から得ていることに変りはない。 以上 別紙(二) 請求の趣旨に対する答弁 一 本件各訴えをいずれも却下する。 二 訴訟費用は原告の負担とする。 訴えの却下を求める理由 一 請求の趣旨第一項について 1 取消されるべき裁決の不存在 (一) 請求の趣旨第一項は、田島町長の当選に関する審査申立て事件について、 被告が、昭和五二年一〇月一三日なした却下裁決の取消しを求める。ものであると ころ、かゝる裁決は存在しない。凡そ取消しを求めるには裁決の存在を前提とする ものであるが、裁決が不存在である以上、訴えの前提を欠き、訴えは不適法であ る。 (二) 原告は、昭和五二年七月二五日付、町長資格喪失申立書なる文書を被告に 提出し、被告の昭和五二年一〇月一三日付資格決定を以て自己の異議に対する決定 と解するものゝ如くであるが、誤りである。蓋し、原告がなした町長資格喪失申立 ては、その申立ての理由に明らかな如く、地方自治法一四三条による町長の資格喪 失の宣言を求めるものである。同条の規定は、選挙管理委員会の職権発動を規定し たもので、何人かに町長の資格について異議の申立ないし審査請 申立ての理由に明らかな如く、地方自治法一四三条による町長の資格喪 失の宣言を求めるものである。同条の規定は、選挙管理委員会の職権発動を規定し たもので、何人かに町長の資格について異議の申立ないし審査請求の権限を付与し たものではない。(公職選挙法二四条が選挙人名簿の登録に関し選挙人の、同法二 〇二条が選挙の効力に関し、又同法二〇六条が当選の効力に関し、それぞれ選挙人 又は公職の候補者の異議申立ないし審査申立の権能を付与するのと規定の対比上明 らかである。) 従つて、原告の上記町長の資格喪失の申立てがなされても、これは選挙管理委員会 の職権発動を促す端緒たる意味を有するに止まり、被告においてこれに対して容認 とも却下とも決定をなすべき限りでなく、現に本件においても原告の申立て却下の 処分をしていない。乙四号証の資格決定は、地方自治法一四三条の規定による職権 発動の結果を本人町長Aに交付したもので(同条二項)、権限ある申立人の異議申 立てに対する決定とは全く異質のものである。 2 原告の適格について 行政処分の取消しを求め得る者は、取消しによつて直接の損害を蒙る者に限られ る。自動車運転免許の取消し処分の取消しを求め得る者はその取消し処分を受けた 者に限られ、任命権者の懲戒処分の取消しを求め得る者は懲戒処分を受けた者に限 られる。 従つて、地方自治法一四三条に定める選挙管理委員会の決定が有つた場合にはその 決定に対する不服は、ひとり資格喪失を決定された普通地方公共団体の長が申立て 得るところであつて(同法三項)、選挙管理委員会の職権発動を促した者ではな い。 原告は、処分を受けた者に非ずして、敢て取消しを求める者で訴えの利益なく、そ の訴えは却下されるべきものである。 3 仮に百歩を譲つて、被告が、昭和五二年一〇月一三日なした資格決定が処分上 して存在し、然も原告が、この取消し に非ずして、敢て取消しを求める者で訴えの利益なく、そ の訴えは却下されるべきものである。 3 仮に百歩を譲つて、被告が、昭和五二年一〇月一三日なした資格決定が処分上 して存在し、然も原告が、この取消しを求める適格を有すると仮定しても、右請求 は、出訴期間を徒過したもので不適法である。即ち、行訴法一四条によれば取消し の訴は処分を知つた日から三か月以内の出訴期間の制限があるところ、原告が始め て本件請求を明かにしたのは、昭和五四年四月二〇日付準備書面であり、(これは 明らかに被告の変更に留まらず、当選無効の訴えを処分取消しに変更する訴えの変 更である。)、原告が、右決定のあつたことを知つた日、即ち、遅くとも昭和五三 年四月二七日ころから三か月を遙に超えている。 二 請求の趣旨第二項について 1 請求の趣旨第二項は、町長Aの当選の無効宣言を求めるものであるが、当選の 効力は公職選挙法二〇七条の定めるところによつてのみこれを争うことが可能であ るところ、原告は、本訴の前提となるべき同二〇六条所定の当選の効力に関する異 議申立て、審査申立てを経由していないから、 訴訟の前提を欠き不適法である。 2 更に原告には、高等裁判所の専属管轄をも誤る不適法があり救済の余地はな い。 以上

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