平成16(行コ)180 障害年金再裁定処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成15年(行ウ)第34号)

裁判年月日・裁判所
平成16年9月7日 東京高等裁判所 その他
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判決文本文8,996 文字)

主文 1 原判決中,控訴人ら敗訴部分を取り消す。 2 被控訴人の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,第1,2審とも,被控訴人の負担とする。 事実及び理由 第一当事者の求めた裁判一控訴人ら主文と同旨の判決を求める。 二被控訴人 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人らの負担とする。 との判決を求める。 第二事案の概要本件は,昭和52年5月2日に厚生年金保険法(昭和60年法律第34号による改正前のもの。以下,同改正後のものを「法」という。)に基づく障害年金の支給裁定(以下「前裁定」という。)を受け,その支給を受けていた被控訴人が,控訴人社会保険庁長官が平成13年9月13日に至って前裁定を取り消して年金額を昭和50年11月にさかのぼって減額する再裁定処分(以下「本件再裁定」という。)をしたことに違法があると主張して,同控訴人に対し,これらの処分(以下「本件各処分」という。)の取消しを求め,控訴人国に対し,本件各処分前5年間の年金の過払分109万0033円との内払調整として本件各処分後に支払期の到来した年金から控除された額56万4279円の追加支給と上記過払分のうち内払調整未了の分の不当利得返還債務の不存在確認を求める事案である。 なお,原判決は,被控訴人の控訴人国に対する不当利得返還債務の不存在確認請求について,上記過払分109万0033円のうち内払調整未了の分のみの返還債務の不存在確認ではなく,前裁定から本件再裁定までの間の過払分の返還債務全体の不存在確認を求めているものと解して,これを全部認容した。 事案の概要は,次のとおり訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」の第2に記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決3頁4行目から6行目にかけての「内払調整により支払った過払金相当額(この法的趣旨 要は,次のとおり訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」の第2に記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決3頁4行目から6行目にかけての「内払調整により支払った過払金相当額(この法的趣旨をいかに解するかについては下記第3,2(1)参照)及び遅延損害金の返還」を「内払調整として本件各処分後に支払期の到来した年金から控除された額及び遅延損害金の支払」に改める。 2 原判決6頁8行目の「平成16年」から10行目末尾までを「内払調整の額は,平成15年10月16日までに支払期が到来した年金について合計53万0313円,同年12月15日を支払期とする年金について3万3966円であり,総合計56万4279円である(甲12,乙10,11,弁論の全趣旨)」に改める。 3 原判決12頁23行目の「原告」から24行目の「参照)」までを「被控訴人に支払われるべきであるし」に改める。 4 原判決13頁23行目の「49万1788円」の次に「(平成15年12月15日時点では52万5754円)」を加える。 第三当裁判所の判断一本件各処分の適否について 1 一般に,行政処分は適法かつ妥当なものでなければならないから,いったんされた行政処分も,後にそれが違法又は不当なものであることが明らかになった場合には,法律による行政の原理又は法治主義の要請に基づき,行政行為の適法性や合目的性を回復するため,法律上特別の根拠なくして,処分をした行政庁が自ら職権によりこれを取り消すことができるというべきであるが,ただ,取り消されるべき行政処分の性質,相手方その他の利害関係人の既得の権利利益の保護,当該行政処分を基礎として形成された新たな法律関係の安定の要請などの見地から,条理上その取消しをすることが許されず,又は,制限される場合があるというべきである。 そして,授益的な行政 利利益の保護,当該行政処分を基礎として形成された新たな法律関係の安定の要請などの見地から,条理上その取消しをすることが許されず,又は,制限される場合があるというべきである。 そして,授益的な行政処分がされた場合において,後にそれが違法であることが明らかになったときは,行政処分の取消しにより処分の相手方が受ける不利益と処分に基づいて生じた効果を維持することの公益上の不利益とを比較考量し,当該処分を放置することが公共の福祉の要請に照らし著しく不当であると認められるときには,処分をした行政庁がこれを職権で取り消し,遡及的に処分がされなかったのと同一の状態に復せしめることが許されると解するのが相当である。 2(一) これを前裁定(前裁定は,法33条の規定に基づく社会保険庁長官の支給裁定であり,それにより受給権が具体化し,現実に給付を受け得るに至るものであるから,授益的な行政処分ということができる。)についてみると,そもそも法は,労働者の老齢,障害又は死亡について保険給付を行い,労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし(法1条),被保険者及び事業主が拠出する保険料によって保険給付がまかなわれる社会保険制度である(法82条1項)。このような厚生年金保険制度の目的や仕組みに照らすと,これを所管する政府としては,年金財源が限られていることを踏まえ,無駄のない効率的な制度の運営を行い,年金の過誤払によって受給権者間の平等,公平が害されることがないようにすることを強く要請されているものというべきである。 法においては,乙年金の受給権者が甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅し,又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合であるにもかかわらず,乙年金の支払が行われたときは,その支払われた乙年金は,甲年 甲年金の受給権を取得したため乙年金の受給権が消滅し,又は同一人に対して乙年金の支給を停止して甲年金を支給すべき場合であるにもかかわらず,乙年金の支払が行われたときは,その支払われた乙年金は,甲年金の内払とみなすとされ(同法39条1項),年金の支給を停止すべき事由又は年金を減額して改定すべき事由が生じたにもかかわらず,その後も同額の年金が支払われたときは,支給を停止又は減額すべきであった部分は,その後に支払うべき年金の内払とみなすことができるとされ(同条2項),さらに,年金の受給者が死亡して受給権が消滅した後も年金の過誤払がされた場合において,その返還債務の弁済をすべき者に支払うべき年金があるときは,その年金の金額を過誤払による返還債務の弁済に充当することができるとされている(法39条の2)。これらの規定も,上記のような法の趣旨の表れであるということができる。 このような,法の趣旨にかんがみると,法は,年金の過誤払があった場合には,年金財源確保の見地から,可及的に返還を求めるべきことを公益上の必要としていることが明らかである。したがって,年金給付の裁定に当たって年金額決定の基礎に誤りがあり,本来の年金額よりも多額の裁定がされて支給された場合に,そのような年金の支給を容認することは,法の趣旨に反することが明らかであり,かかる違法な裁定の効果をそのまま維持することは,不当,不公平な結果を招来し,公益に著しく反するものといわなければならない。 (二) もっとも,支給裁定が取り消されれば,その効力が遡及的に失われるから,受給権者は,それに基づいて支給を受けた利益が現存する限り,これを返還しなければならない立場に立たされ,あるいは,将来支給を受け得る年金額についての期待を裏切られることになって,不測の損失を被る場合があり得ることは否定できない。 受けた利益が現存する限り,これを返還しなければならない立場に立たされ,あるいは,将来支給を受け得る年金額についての期待を裏切られることになって,不測の損失を被る場合があり得ることは否定できない。 本件においても,前裁定が取り消されれば,被控訴人には,支給が開始された昭和50年11月から平成13年7月までの間に431万1602円の過払が生じることになり,被控訴人は,その利益が現存している限りこれを返還しなければならず,将来の年金額に対する期待を裏切られることになる。 しかし,前裁定に基づく年金の支給を受け得たという被控訴人の利益が害されることになるとはいっても,それは,本来被控訴人において保持することが許されない利益が奪われることを意味するにすぎないのであり,そのような利益は,本来的には法的な保護に値しないものである。そして,控訴人国は,被控訴人に対して,前記過払金のうち本件再裁定からさかのぼって5年間の分109万0033円について,内払調整による返還を求めているところ,控訴人国が,上記金額の限度で,しかも,本来過払金は一括返還をするのが原則であるにもかかわらず,内払調整という分割返済の方法による返還を求めるに止めていることは,返還請求を受ける被控訴人の不利益,生活への影響に配慮したものということができ,被控訴人が前裁定の取消しによって受ける不利益を緩和する措置の一つであるということができる。また,保険給付を受ける権利についての控訴人社会保険庁長官の支給裁定は,法の規定に基づき発生した受給権を確認する確認的処分であり,それによって受給権が新たに発生するものではないし,これにより第三者との間で新たな法律関係が形成されるものではないから,既得権の侵害や第三者との間の新たな法律関係が害されることはあり得ない。 (三) 以上によれば,前裁定 たに発生するものではないし,これにより第三者との間で新たな法律関係が形成されるものではないから,既得権の侵害や第三者との間の新たな法律関係が害されることはあり得ない。 (三) 以上によれば,前裁定を取り消すことなくその効果をそのまま維持することによって生ずる公益上の不利益は,前記のとおり極めて大きいといわなければならないのに対して,これを取り消すことによる不利益は,上記の範囲にとどまるのであって,両者を比較考量すれば,前裁定を取り消すことなく放置することは,公共の福祉の要請に照らし著しく不当であるといわなければならない。 3(一) 被控訴人は,控訴人社会保険庁長官が前裁定後長期間取消権を行使せず,特に,被控訴人が昭和53年7月に大津社会保険事務所に職歴調査を申し出た時点又は遅くとも昭和55年1月に同事務所に電子情報システムを利用しての被保険者記録検索装置が整備された時点において年金の再裁定をすることが可能となったのに,その後21年以上もこれを放置していたのであるから,平成13年9月13日に至って前裁定を取り消したことは行政権を濫用したものであり,信義則上許されないと主張する。 (二) しかし,本件再裁定に至った経緯は,引用に係る第1審判決が認定するとおりであるところ,前裁定がされる過程において,被控訴人が意図的にその有する年金番号のうちの最後の一つのみを選択して裁定の請求をしたとまでは認められないとしても,被控訴人は,前裁定の時点において,自らの就労歴から,申告した期間以前にも被保険期間があることを当然に認識し得たはずである。そして,証拠(乙18)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人が前裁定を受けた当時の障害年金裁定請求書の定型用紙においては,最初の職歴から順次現在に至るまでの職歴を記載すべきものとされ,「職歴欄の記入方法」として「職歴は 8)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人が前裁定を受けた当時の障害年金裁定請求書の定型用紙においては,最初の職歴から順次現在に至るまでの職歴を記載すべきものとされ,「職歴欄の記入方法」として「職歴は,昭和17年6月1日以後に勤務した事業所について記入してください。」という注記がされていたこと,ところが,被控訴人は,最後の事業所である光運油における職歴及び年金番号のみを記入したこと,一方,前裁定当時,控訴人社会保険庁長官は,被控訴人のように複数の年金番号を有する者について,被保険者の年金番号又は職歴の申告によらなければ正しい被保険者期間を把握することができない状況にあり,そのため,被保険者が自らの被保険者期間を正しく申告して裁定請求しているものと信頼するほかなかったこと,前裁定の裁定請求の際,控訴人社会保険庁長官の側で,被保険者期間や職歴の申告について何らかの誤った指導を行う等,誤った裁定請求を誘発し,相手方の信頼や誤解を生じさせる原因となるような行為をした事実はないことが認められる。そうすると,前裁定において誤った年金額が裁定されたことについては,不正確な申告をした被控訴人の側に主たる原因があったものというべきである。 (三) また,証拠(甲5)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人が昭和53年7月に大津社会保険事務所に対して照会した趣旨は,前裁定時の年金額の裁定の基礎となったのとは別の年金番号に係る被保険者期間の教示を求めるというものにすぎず,被控訴人において,前裁定の基礎となったのとは別に被保険者期間があることを理由として再裁定を求めたものでなかったことが認められるから,その時点で直ちに控訴人社会保険庁長官が再裁定をすべきであるとの判断ができたものとはいい難い。また,証拠(乙9)及び弁論の全趣旨によれば,昭和55年における電子情報シス かったことが認められるから,その時点で直ちに控訴人社会保険庁長官が再裁定をすべきであるとの判断ができたものとはいい難い。また,証拠(乙9)及び弁論の全趣旨によれば,昭和55年における電子情報システムを利用しての被保険者検索装置の導入は,年金相談体制の整備等を図ることを目的としたものであり,複数の基礎年金番号を有する者の年金を自動的に統合することを目的としたものではなかったことが認められるから,同システムの導入が直ちに再裁定を可能にするものであったものということはできない。そうすると,上記の各時点において,被控訴人から再裁定の申し出もないのに,控訴人社会保険庁長官において,被控訴人の年金額の再裁定をすべきであったということはできず,被控訴人から申し出がされた平成13年に至って本件再裁定をしたことに信義則違反があるとは言えない。 4(一) さらに,被控訴人は,本件再裁定が信義則に違反する事情として,被控訴人が平成13年8月10日に大津社会保険事務所に障害年金から老齢年金への切り替えの相談に赴いた目的は,障害年金算定の基礎とされていない加入期間を含めて再計算することにより老齢厚生年金が有利に裁定されることを期待したからであるにもかかわらず,控訴人社会保険庁長官が,上記加入期間を含めて障害年金を再計算し,その結果,障害年金が減額されることになるのに,被控訴人にそのことを説明しないまま,再裁定の申立てをさせて,本件再裁定をしたことを指摘する。 (二) しかしながら,被控訴人が大津社会保険事務所に相談に赴いた目的が上記主張のとおりであったとしても,その時点で前裁定に違法があることが明らかになった以上,前記のような法の趣旨に照らし,控訴人社会保険庁長官が本来の年金額を再裁定することは当然許容されるものというべきである。また,大津社会保険事務所の担当 で前裁定に違法があることが明らかになった以上,前記のような法の趣旨に照らし,控訴人社会保険庁長官が本来の年金額を再裁定することは当然許容されるものというべきである。また,大津社会保険事務所の担当職員が意図的に被控訴人を欺罔したり,年金額が減額する可能性を秘匿したりして被控訴人に再裁定の申出書(乙2の2)を提出させたことを認めるに足る証拠もない。したがって,控訴人社会保険庁長官が上記申出書に基づいて前裁定を取り消して本件再裁定をしたことに信義則違反があるものとはいえない。 5 以上のとおり,前裁定を取り消して本件再裁定をした控訴人社会保険庁長官の処分に違法はなく,その取消しを求める被控訴人の請求は理由がないというべきである。 二不当利得返還請求権の存否について 1 前裁定が取り消されて本件再裁定がされたことにより,控訴人国は,被控訴人に対して,過払の年金額について不当利得返還請求権を有することになるところ,被控訴人が過払の事実について悪意であったことを認めるに足る証拠はないから,被控訴人は,その利益の現存する限度においてこれを返還する義務を負うものというべきである。 2 金銭の交付によって生じた不当利得の利益は現存するものと推定されるから,それが存しないことについては,不当利得返還請求権の消滅を主張する者が主張,立証すべきである(最高裁平成3年11月19日第三小法廷判決・民集45巻8号1209頁)。そして,民法703条の「利益の存する」場合とは,単に利益が有形的に現存する場合だけでなく,その利益が利得者のために有益に費消された結果,減少すべき財産がその減少を免れたような場合も含むと解すべきである。そして,生活費は,利得の有無にかかわらず,自己の財産をもって支弁せざるを得ないのであるから,それに必要な資金を自己の財産から支出したり,また, 産がその減少を免れたような場合も含むと解すべきである。そして,生活費は,利得の有無にかかわらず,自己の財産をもって支弁せざるを得ないのであるから,それに必要な資金を自己の財産から支出したり,また,他から借り入れたりすることなく利得した金銭をもって充当したときは,利得者の財産はその範囲において減少すべきものが減少しなかったことになるのであって,なおその利益は現存するものと認めるのが相当である。 3 これを本件についてみると,証拠(乙11,14ないし16)及び弁論の全趣旨によれば,被控訴人は,昭和50年11月分から前裁定による障害年金を受給していたほか,労働者災害補償保険法による障害補償給付も受給し,平成13年当時の年金額は416万1232円に達していたこと,被控訴人は,平成6年4月15日,これらの収入と債権額2800万円の住宅ローンによって妻との共有名義で自宅マンションを購入して保有していること,被控訴人は,月々5万円の自動積立による定期預金をしているほか,平成13年9月時点で少なくとも120万円余りの普通預金残高を有していることが認められる。 これらの事実に,被控訴人が前裁定に基づいて年金の過払がされたことにより被控訴人が浪費等の余分の支出をしたとの事実も認め難いことからすれば,少なくとも,控訴人国が返還を求めている本件再裁定からさかのぼって5年間の過払分(甲12によれば,平成8年6月分から平成13年9月分までの既払の年金額845万6200円と本件再裁定に基づき支払うべき年金額736万6167円との差額109万0033円)については,被控訴人にそれによる利得が現存しないとは認められないというべきである。 4 ところで,前記のとおり,原判決は,被控訴人の控訴人国に対する不当利得返還債務の不存在確認請求について,前裁定から本件再裁定までの にそれによる利得が現存しないとは認められないというべきである。 4 ところで,前記のとおり,原判決は,被控訴人の控訴人国に対する不当利得返還債務の不存在確認請求について,前裁定から本件再裁定までの間の過払分の返還債務全体の不存在確認を求めているものと解した上,これを全部認容した。しかしながら,記録によれば,上記請求は,控訴人国が被控訴人に対して返還を求めている本件再裁定からさかのぼって5年間の過払分109万0033円のうち内払調整未了分(その額は,平成15年12月15日の時点で52万5754円である。)の限度で不当利得返還債務の不存在確認を求める趣旨であることが明らかである。 そうすると,上記限度を超えて被控訴人の上記請求を認容した原判決には,当事者の申し立てていない事項について判決をした違法があるというべきである。 そして,上記説示したところによれば,控訴人国は,被控訴人に対して,上記109万0033円の過払金の不当利得返還請求権を取得したものというべきであるから,そのうち内払調整未了の分について不当利得返還債務の不存在確認を求める被控訴人の請求は理由がないというべきである。 三内払調整の許否について法39条は,本来支給すべきではなかった年金が支給された場合において,その後に支給すべき年金があるときに,すでに支払った給付を返納させ,改めて別の給付を行うことが保険者,受給者双方にとって煩雑であるため,それまでに支払われた従前の年金は,新しく支給すべき年金の内払とみなし,その差額のみを追給するという簡便な方法によって処理することを目的とするものである。 このような同条の趣旨からすると,同条2項後段にいう「年金を減額して改定すべき事由」に,算定の基礎とされていなかった被保険期間が存在することが判明し,再裁定処分によって年金額が減額さ ものである。 このような同条の趣旨からすると,同条2項後段にいう「年金を減額して改定すべき事由」に,算定の基礎とされていなかった被保険期間が存在することが判明し,再裁定処分によって年金額が減額されるべきであったという事由も含まれるものというべきである。 したがって,控訴人国は,法39条2項の規定に基づく内払調整として,本件再裁定後に支払期の到来する年金から調整額を控除して年金の支給をすることが許されるものというべきであるから,その控除された額の年金の追加支給を求める被控訴人の請求も理由がないというべきである。 第四結論以上のとおり,被控訴人の請求はいずれも理由がないというべきであるから,原判決中,被控訴人の請求を認容した部分は失当というべきである。よって,原判決中同部分を取り消した上,被控訴人の請求を全部棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第8民事部裁判長裁判官村上敬一裁判官矢尾渉裁判官岡崎克彦

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