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昭和39(ネ)192 建物収去土地明渡請求事件

裁判所

昭和40年10月29日 札幌高等裁判所

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4,651 文字

主文 原判決を取り消す。被控訴人は控訴人に対し、別紙目録第一記載の建物を収去して、同目録第二記載の土地の明渡しをせよ。被控訴人は控訴人に対し、昭和三三年八月一日以降右明渡し済みまで、一ヶ月金一、〇〇〇円の割合による金員の支払いをせよ。控訴人のその余の請求を棄却する。訴訟費用は、これを一〇分し、その九を被控訴人の、その一を控訴人の負担とする。事実 控訴代理人は、主文第一、二項同旨および「被控訴人は控訴人に対し、昭和三三年八月一日以降右明渡し済みまで、一ヶ月金一、二〇〇円の割合による金員の支払いをせよ。訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。当事者双方の事実上・法律上の主張、証拠方法の提出・援用、書証文書の成立に関する陳述は、左に附加するほかは、原判決事実関係のとおりであるから、これを引用する。(控訴代理人の主張)本件建物は、昭和三三年四、五月の大修繕がなされなかつたとすれば、昭和三六年七月末には朽廃していた筈のものであつて、このような場合、同一性を失わぬ限り修繕によつて現実に朽廃することを避けられる限り朽廃の判断をなしえないとすれば、建物の朽廃による借地権の消滅ということはありえないことになり、社会的正義に反するし、昭和九年一〇月一五日(民集一九〇一頁)の大審院判決以来の判例にも反するものである。(控訴代理人の立証)当審における証人Aの証言の援用 理由 控訴人主張事実中、控訴人が別紙目録第二記載の土地(以下本件土地という。)を所有し、被控訴人が同目録第一記載の建物(以下本件建物という。)を所有していること、被控訴人が控訴人から右土地を右建 由控訴人主張事実中、控訴人が別紙目録第二記載の土地(以下本件土地という。)を所有し、被控訴人が同目録第一記載の建物(以下本件建物という。)を所有していること、被控訴人が控訴人から右土地を右建物所有の目的で賃借していることは、当事者間に争いがない。 二記載の土地(以下本件土地という。)を所有し、被控訴人が同目録第一記載の建物(以下本件建物という。)を所有していること、被控訴人が控訴人から右土地を右建 由控訴人主張事実中、控訴人が別紙目録第二記載の土地(以下本件土地という。)を所有し、被控訴人が同目録第一記載の建物(以下本件建物という。)を所有していること、被控訴人が控訴人から右土地を右建物所有の目的で賃借していることは、当事者間に争いがない。さて、本件建物築造後の経過、昭和三三年六月頃の修繕前の状況、修繕の実情、修繕当時の老朽の度合、これら諸点についての当審の判断は、原審のそれと同一であるから、これに関する原判決理由の説示(理由第二段の全部)をそのまま引用する。ただし、本件建物の修理日時につき「昭和三三年六月初旬頃から」とあるのを「昭和三三年六月初旬頃から同年七月下旬まで二ケ月間にわたり」と(原審証人B証言による。)、修理内容につき「外壁部分をラス・モルタル塗りとした内容」とあるのを「外壁部分をラス・モルタル塗りとし、軒裏・屋根を板張り、柾葺から亜鉛鍍金張りとし、玄関を板張土間から内廻り腰モルタル仕上げコンクリート土間とする等の内容」と(原審鑑定人Cの鑑定結果による。)、それぞれ附加訂正する。右認定によれば、本件建物は、この修繕をなさなかつたとすれば、修繕時である昭和三三年六・七月から三年後の昭和三六年七月(原審鑑定証人Dの「改築しなかつたとすれば三年位のうちに倒壊する」との供述は、同じくEの「建築時から二二年間使用しうる」との供述と結論において一致する。建築時は昭和一四年であるからである。)には、居住の用に耐えぬ、いわゆる朽廃状態に達したであろうと推認することができる(右E証人の供述は、これに反する趣旨では採用しない。)また、右に認定したような内容の修繕工事は、建物保存のため当然予想される通常の修繕ということはできないことも明らかである。そして、原審鑑定証人Dの証言により、本件建物は、これを放置すれば三年位しかもたな 、右に認定したような内容の修繕工事は、建物保存のため当然予想される通常の修繕ということはできないことも明らかである。そして、原審鑑定証人Dの証言により、本件建物は、これを放置すれば三年位しかもたなかつたのが修繕により耐久年数を二〇年以上に増加したものであると認めらるのであつて、このことと、前記認定の修繕内容とを総合し、本件建物の修繕を改築同様の大修繕ということができる。 放置すれば三年位しかもたな 、右に認定したような内容の修繕工事は、建物保存のため当然予想される通常の修繕ということはできないことも明らかである。そして、原審鑑定証人Dの証言により、本件建物は、これを放置すれば三年位しかもたなかつたのが修繕により耐久年数を二〇年以上に増加したものであると認めらるのであつて、このことと、前記認定の修繕内容とを総合し、本件建物の修繕を改築同様の大修繕ということができる。けだし、以下に考察しようとする建物朽廃に伴う借地権消滅の問題に関する限り、その大修繕が建物の同一性を失わしめるような「改築」であるかどうかよりも、むしろ、大修繕によつて建物の命数が著るしく延長せられる点において「改築同様」であるといいうるか否かが重視せられるべきであり、本件における前記のような建物の命数の延長は、右の意味において、同一性が維持されたか否かを問うことなく、これを改築同様のものと断じうるからである。そこで、問題は、このような通常の修繕の域を越えた大修繕が行なわれて、その結果建物の命数が著しく延長された場合、そのことが借地権は地上建物の朽廃とともに消滅するとした借地法第二条第一項但書の解釈適用上いかなる意味をもつか、換言すれば、このような大修繕の行なわれた場合、借地権は、修繕がなされなかつたならば朽廃する筈であつた時点において消滅するのか、それとも、大修繕にもかかわらず、建物の現実に朽廃する時点までは存続するのか、との法律解釈の結論いかんにかかることとなる。もとより、このような大修繕について土地所有者が積極的に承諾を与えていた場合ならば、借地権が修繕後の建物の現実朽廃時まで存続すると解すべきであるし(当裁判所昭和三九年二月二五日判決、下級民集第一五巻二号三八二頁参照)、そうでなくても、改築同様の大修繕に対して何らの異議をも述べずに修繕工事の完成を許した 実朽廃時まで存続すると解すべきであるし(当裁判所昭和三九年二月二五日判決、下級民集第一五巻二号三八二頁参照)、そうでなくても、改築同様の大修繕に対して何らの異議をも述べずに修繕工事の完成を許したような場合には、修繕なかりせば建物の朽廃すべき時期における借地権消滅の効果を主張することは許されぬものと解すべきであろう(当裁判所昭和三九年六月一九日判決、高裁判例集一七巻五号二九一頁参照)。<要旨>しかしながら、土地所有者が修繕工事に対し、その着手前から反対の意図を表明し、あるいは工事中に遅滞</要旨>なく異議を述べているのに、これを無視して改築同様の大修繕工事を完成したような場合には、民法施行法第四四条第三項の法意を類推して、当該借地権は、修繕前の建物が朽廃すべかりし時期において消滅するものと解すべきものである。 当裁判所昭和三九年六月一九日判決、高裁判例集一七巻五号二九一頁参照)。<要旨>しかしながら、土地所有者が修繕工事に対し、その着手前から反対の意図を表明し、あるいは工事中に遅滞</要旨>なく異議を述べているのに、これを無視して改築同様の大修繕工事を完成したような場合には、民法施行法第四四条第三項の法意を類推して、当該借地権は、修繕前の建物が朽廃すべかりし時期において消滅するものと解すべきものである。(大審院昭和九年一〇月一五日判決、民集一三巻一九〇一頁参照)。けだし、このように解しえぬとすれば、借地権者は、かかる大修繕を繰り返し加えることにより永久に建物を朽廃に至らしめざることを得るの結果となるのであつて、前記借地法の法条は事実上空文に帰するに至るからである。そうすると、本件においては、土地所有者である控訴人は、修繕のなされる一カ月余り前の四月二四日にハガキで被控訴人に対して土台直しなどの根本的修繕をしないよう申し入れ、更に、修繕工事完成前である七月一〇日には大改修を理由として借地契約解除の意思表示をなすことによつて異議を表明したものであることを原審における控訴本人の供述や成立に争いない甲第一号証を総合して認めうるのであるから、前段までに判示した理路に従い、本件借地契約は、建物の修繕なかりせば朽廃すべかりし昭和三三年七月の末日には、おそくとも終了したものといわざるを得ない。(被控訴人は借地契約上大修繕禁止の特約がなかつた 前段までに判示した理路に従い、本件借地契約は、建物の修繕なかりせば朽廃すべかりし昭和三三年七月の末日には、おそくとも終了したものといわざるを得ない。(被控訴人は借地契約上大修繕禁止の特約がなかつた、と主張するが、本件各証拠を通観するも、右特約の不存在に関しては、いずれとも心証を得難いので、この点につき挙証の責任ある被控訴人の不利に解するほかない。)従つて、契約終了に基き、本件建物を収去して本件土地を明け渡すべきことを求める控訴人の請求は正当として認容すべきである。そこで、進んで、地代相当損害金の請求について案ずるに、昭和三二年一一月分以降の地代が月額一、〇〇〇円であつたことについては、成立に争いない乙第一号証や原審における控訴本人の供述を総合して十分の心証を得ることができるが、控訴人主張のように金一、二〇〇円であつたことについては、これを認むるに足る証拠はない。 、本件建物を収去して本件土地を明け渡すべきことを求める控訴人の請求は正当として認容すべきである。そこで、進んで、地代相当損害金の請求について案ずるに、昭和三二年一一月分以降の地代が月額一、〇〇〇円であつたことについては、成立に争いない乙第一号証や原審における控訴本人の供述を総合して十分の心証を得ることができるが、控訴人主張のように金一、二〇〇円であつたことについては、これを認むるに足る証拠はない。従つて、地代相当損害金一、二〇〇円を借地契約終了の翌月である昭和三三年八月分以降請求する控訴人の請求は、金一、〇〇〇円の範囲においては正当であるが、これを越える部分は失当として棄却しなければならない。よつて、民事訴訟法第三八六条に従い、右と異なる原判決を取り消し、建物収去土地明渡請求の全部と損害金請求中月額金一、〇〇〇円の限度までとを認容し、その余はこれを棄却し、訴訟費用については民事訴訟法第九六条、第九二条、第八九条に従つて、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官伊藤淳吉裁判官臼居直道裁判官倉田卓次)目録第一室蘭市字a町b番地家屋番号同町第c番一、木造亜鉛鍍金剛板葺弐階建アパート建坪参拾五坪弐階参拾五坪目録第二室蘭市字a町b番地のd一、宅地弐百拾坪七勺の内 町第c番一、木造亜鉛鍍金剛板葺弐階建アパート建坪参拾五坪弐階参拾五坪目録第二室蘭市字a町b番地のd一、宅地弐百拾坪七勺の内六拾坪但し目録第一の建物所在敷地の部分

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