令和4(ワ)1010 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年9月18日 大阪地方裁判所 堺支部
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判決文本文25,605 文字)

主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 被告は、原告に対し、165万円及びこれに対する令和元年7月18日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は、原告(平成▲年▲月生まれの女子)が、令和2年3月まで通っていたM市 内の公立小学校(以下「本件小学校」という。)の3年生、4年生の時(平成30年度、令和元年度)に、同じクラスのB(女子)、C(女子)からいじめを受けたところ、本件小学校教員ら及びM市教育委員会職員ら(以下、M市教育委員会を「本件教育委員会」という。)が当該いじめに対して適切な調査をすることや適切な措置を講じることを怠り、これにより原告が精神的苦痛を被ったなどと主張して、本件小学校及び本 件教育委員会の設置者である被告に対し、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、慰謝料等の損害賠償金165万円及び遅延損害金の支払を求める事案である。 2 関連する法令等の定め⑴ 「いじめ」の定義 いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号)2条(定義)は、同法において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう旨定める。 また、「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学 大臣決定)第1の5(いじめの定義)は、個々の行為が「 等が心身の苦痛を感じているものをいう旨定める。 また、「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成25年10月11日文部科学 大臣決定)第1の5(いじめの定義)は、個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめられた児童生徒の立場に立つことが必要であり、また、具体的な「いじめ」の態様として、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」、「仲間はずれ」、「集団による無視をされる」、「嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする」などがある旨定 める。 ⑵ 学校いじめ防止基本方針いじめ防止対策推進法13条(学校いじめ防止基本方針)は、学校は、いじめ防止基本方針(同法11条)又は地方いじめ防止基本方針(同法12条)を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめ防止等のための対策に関する基本的な方 針を定めるものとする旨定める。同法13条に基づき、本件小学校は、「いじめ防止基本方針」(平成30年4月)を定め、いじめ対応の中心を担う組織として「いじめ対策委員会」を設置する旨定める。(甲8)⑶ 重大事態への対処いじめ防止対策推進法28条(学校の設置者又はその設置する学校による対処)は、 学校の設置者又はその設置する学校は、「いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき」、「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」は、その事態(重大事態)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置す る学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方 るとき」は、その事態(重大事態)に対処し、及び当該重大事態と同種の事態の発生の防止に資するため、速やかに、当該学校の設置者又はその設置す る学校の下に組織を設け、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする旨定める。 また、「いじめの防止等のための基本的な方針」第2の4(重大事態への対処)⑴(学校の設置者又は学校による調査)は、いじめの重大事態については、同方針及び「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン(平成29年3月文部科学省)」に より適切に対応する旨定める。 ⑷ 発達障害のある児童に対する教育支援体制文部科学省は、平成29年3月、「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」を定め、発達障害を含む障害のある児童等に対する教育支援体制に関する具体的な指針を示している(甲6)。 3 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに弁論の全趣旨及び掲記の証拠によ り容易に認められる事実)⑴ 当事者等ア原告は、原告の父母(以下、それぞれ「原告父」、「原告母」という。)の長女として平成▲年▲月に出生した。原告は、平成28年4月に本件小学校に入学し、平成30年度(小学3年生)及び令和元年度(小学4年生)に本件小学校に通学していた が、令和2年4月にM市内の別の小学校に転校した。原告は、平成29年3月頃、発達検査を受けたところ、発達障害があると言われ、自閉症スペクトラム障害及びADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けた。原告母(昭和▲年生まれ)は、令和元年頃、原告の親権者であり、原告と同居し、原告を監護養育していた。(甲1、15、16、原告本人、原告母本人) イ被告は、本件小学校及び本件教育 受けた。原告母(昭和▲年生まれ)は、令和元年頃、原告の親権者であり、原告と同居し、原告を監護養育していた。(甲1、15、16、原告本人、原告母本人) イ被告は、本件小学校及び本件教育委員会を設置する普通地方公共団体である。 F(以下「F校長」という。)は、令和元年頃当時、本件小学校の校長であった。G(昭和▲年生まれ。以下「G教頭」という。)は、同年頃当時、本件小学校の教頭であった。 H(以下「H教諭」という。)は、同年頃当時、本件小学校の原告(小学4年生)の担任教諭であった。I(以下「I教諭」という。)は、同年頃、本件小学校の原告(特別 支援学級)の担任教諭であった。J(以下「J教諭」という。)は、同年頃当時、本件小学校の少人数授業担当の教諭で、原告を担当していた。K(以下「K元校長」という。)は、本件小学校の元校長であり、同年頃当時、スクールサポーター(子どもたちの学校生活等をサポートする人)の1人であった。L(昭和▲年生まれ。以下「L指導主事」という。)は、令和元年頃当時、本件教育委員会の生徒指導主事であった。(乙 79、証人G教頭、証人L指導主事) ウ B、C、D、Eは、いずれも令和元年頃当時、原告の同級生(女子)であった。 Bの父、Cの母は、いずれも本件訴訟で相被告とされていたが、両名に対する訴訟は訴訟上の和解により終局した。 ⑵ 本件小学校でのB、Cから原告へのいじめに関する外形的事実平成31年3月~令和元年7月、本件小学校でのB、Cから原告へのいじめに関す る外形的事実として、次のア~エの出来事があった(甲1)。 ア本件出来事1(平成31年3月18日、4時間目の体育の時の出来事)平成31年3月18日、4時間目の体育の時に、Bとチーム分けのやり方などをめぐって口論になるなど 出来事があった(甲1)。 ア本件出来事1(平成31年3月18日、4時間目の体育の時の出来事)平成31年3月18日、4時間目の体育の時に、Bとチーム分けのやり方などをめぐって口論になるなどのトラブルが生じた(甲1、15、16、原告本人、原告母本人、証人G教頭。以下、この出来事を「本件出来事1」という。)。 本件小学校教員らは、平成31年3月18日、本件出来事1を認識した(乙79、証人G教頭)。 イ本件出来事2(令和元年5月20日、「こそこそ話」の出来事)令和元年5月20日、原告がCに「遊ぼう。」と話しかけたところ、Bが遮るようにCに話しかけ、原告の面前で遊びの誘いを断るように「こそこそ話」をした(甲1、 15、16、原告本人、原告母本人。以下、この出来事を「本件出来事2」という。)。 本件小学校教員らは、令和元年5月20日、本件出来事2を認識した(乙79、証人G教頭)。 ウ本件出来事3(令和元年5月30日、交換ノートに関する出来事)令和元年5月30日、Bが原告との交換ノートの原告の名前等を塗りつぶした(甲 1、2、15、16、原告本人、原告母本人。以下、この出来事を「本件出来事3」という。)。 本件小学校教員らは、令和元年5月31日、本件出来事3を認識した(乙79、証人G教頭)。 エ本件出来事4(令和元年7月18日、原告の下校時に靴の中に小石と小枝数本 が入れられていた出来事) 令和元年7月18日、原告の下校時に靴の中に小石等が入れられていた(その後である同年9月2日頃、小石等を入れたのがB、Cであることが判明した。)(甲1、15、16、原告本人、原告母本人。以下、この出来事を「本件出来事4」という。)。 本件小学校教員らは、令和元年7月18日、本件出来事 日頃、小石等を入れたのがB、Cであることが判明した。)(甲1、15、16、原告本人、原告母本人。以下、この出来事を「本件出来事4」という。)。 本件小学校教員らは、令和元年7月18日、本件出来事4を認識した(乙79、証人G教頭)。 ⑶ 本件調査報告書の作成・提出本件小学校は、令和元年8月、原告に生じた一連の事象がいじめ防止対策推進法28条所定の重大事態に当たると判断して調査を開始し、同年10月、本件教育委員会に対し、原告に関する重大事態があったとして、いじめ防止対策推進法及びM市いじめ防止基本方針に基づき、いじめ事象の報告をした(甲1、乙1、19)。 令和2年1月にM市いじめ防止等対策推進委員会から委嘱を受けたいじめ重大事態調査委員会は、同年10月、「いじめ重大事態調査報告書」(以下「本件調査報告書」という。)を作成・提出した。本件調査報告書の概要は、別紙のとおりである。(甲1)⑷ 本件訴訟の提起原告は、令和3年9月に民事調停を申し立てたが、令和4年6月に調停不成立とな った。原告は、同年10月、本件訴訟を提起した。(甲4) 4 争点⑴ 本件小学校教員ら及び本件教育委員会職員らの対応等の国賠法1条1項の違法性の有無(争点1)⑵ 損害の発生及びその数額、因果関係(争点2) 5 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(本件小学校教員ら及び本件教育委員会職員らの対応等の国賠法1条1項の違法性の有無)(原告の主張)ア注意義務の内容 (ア) 本件小学校教員らの注意義務の内容 本件小学校教員らは、次の①~⑤の事情に照らせば、令和元年頃当時、原告に対し、発達障害の特性を踏まえた、いじめ報告義務・調査義務・防止義務を負っていたというべきである。 注意義務の内容 本件小学校教員らは、次の①~⑤の事情に照らせば、令和元年頃当時、原告に対し、発達障害の特性を踏まえた、いじめ報告義務・調査義務・防止義務を負っていたというべきである。 ①学校いじめ防止基本方針において、学校いじめ対策委員会設置の定めがある。 ②原告は、小学1年生から小学3年生までの間にも、いじめを訴えていた。 ③本件小学校教員らは、小学3年生以前の事案から靴に小石が入れられた事案(本件出来事4)まで、事実を認識していた。 ④原告母は、平成30年8月、本件小学校に対し、「学校生活での要望書」(甲9)を提出した。 ⑤本件小学校教員らは、遅くとも平成30年8月には、原告がいじめを受ける背景 に原告の発達障害があることを認識していた。 (イ) 本件教育委員会職員らの注意義務の内容本件教育委員会職員らは、次の①~③の事情に照らせば、令和元年頃当時、原告に対し、学校に対する指導・助言義務、独自の調査義務、越境通学を認めていじめを防止する義務を負っていたというべきである。 ①本件教育委員会は、平成30年頃、本件小学校から、原告と同級生とのトラブルについて初めて報告・相談を受けた。 ②原告母は、平成30年頃から、本件教育委員会に対し、本件小学校を通さずに直接的に問題解決を求めていた。 ③原告母は、令和元年9月頃、原告の校区外通学(転校)を求めた。 イ注意義務違反(ア) 本件小学校教員らの注意義務違反本件小学校教員らは、上記ア(ア)の注意義務に違反した。すなわち、本件小学校教員らは、令和元年頃当時、①いじめに対する認識が不十分であった、②組織として十分な機能を構築していなかった、③外部専門家との連携をしていなかった、④原告の発 達障害を踏まえた対 、本件小学校教員らは、令和元年頃当時、①いじめに対する認識が不十分であった、②組織として十分な機能を構築していなかった、③外部専門家との連携をしていなかった、④原告の発 達障害を踏まえた対応をしていなかった、⑤いじめ防止の措置をしていなかった。 なお、原告とD、Eとのトラブルは、本件小学校教員らの注意義務違反を基礎付ける事実である、すなわち、原告とD、Eとのトラブルがあったにもかかわらず、本件小学校教員らが適切に対応しなかったため、B、Cによる原告に対するいじめを防止できなかったといえる。 (イ) 本件教育委員会職員らの注意義務違反 本件教育委員会職員らは、上記ア(イ)の注意義務に違反した。すなわち、本件教育委員会職員らは、令和元年頃当時、①いじめの解決に向けての原告母と十分に連携をとれていなかった、②本件小学校に対する適切な助言・指導をしていなかった(㋐本件小学校のいじめ報告についての精査が不十分であった、㋑発達障害を踏まえた助言をしていなかった、㋒専門家の派遣の検討をしなかった、㋓教員に対する研修が不十分 であった)。 (被告の主張)ア注意義務の内容について(ア) 本件小学校教員らの注意義務の内容について原告の主張は、観念的な教育論に終始しており、個別の場面の具体的な義務(結果 回避と結び付いたもの)の主張となっていない。また、個別の注意義務の有無・内容については争う。 (イ) 本件教育委員会職員らの注意義務の内容について個別の注意義務の有無・内容については争う。 イ注意義務違反について (ア) 本件小学校教員らの注意義務違反について原告の主張は、観念的な教育論に終始しており、個別の場面の具体的な義務(結果回避と結び付いたもの)の主張となっ イ注意義務違反について (ア) 本件小学校教員らの注意義務違反について原告の主張は、観念的な教育論に終始しており、個別の場面の具体的な義務(結果回避と結び付いたもの)の主張となっていない。また、甲1号証が指摘する4つの事象等について、本件小学校教員らは、十分な指導・支援を行い、外部専門家との連携も行い、原告の発達障害を踏まえて対応していたから、注意義務を尽くした。なお、 原告とD、Eとのトラブルは、B、Cによる原告に対するいじめとは何ら関係がなく、 本件小学校教員らの注意義務違反とは無関係である。 (イ) 本件教育委員会職員らの注意義務違反について本件教育委員会職員らは、本件小学校教員らから、常にいじめ問題等に関する報告を受け、それについて必要な助言・指導を行い、教員と一緒になって対応していたから、注意義務を尽くした。 ⑵ 争点2(損害の発生及びその数額、因果関係)(原告の主張)本件小学校教員ら及び本件教育委員会職員らの違法行為により、原告は、精神的苦痛を被った。その損害額は、次のとおり合計165万円である。 ア慰謝料 150万円 イ弁護士費用 15万円(被告の主張)原告の主張は否認し、又は争う。 第3 争点に対する判断 1 認定事実 前提事実並びに掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ⑴ 原告の小学1年生時(平成28年度)、小学2年生時(平成29年度)ア小学1年生時(2クラス編成)平成28年11月頃、原告は普通学級に在籍していたところ、原告の帽子がクラスのごみ箱から発見される出来事があった。原告母は、同月頃、担任の教諭に原因の調 査を求めたが、後日、担任の教諭から、原告が間違って投げ入れた 告は普通学級に在籍していたところ、原告の帽子がクラスのごみ箱から発見される出来事があった。原告母は、同月頃、担任の教諭に原因の調 査を求めたが、後日、担任の教諭から、原告が間違って投げ入れたのであろうとの説明を受けた。(甲15、16、原告本人、原告母本人)イ発達障害の診断と伝達原告は、平成29年3月頃、発達検査を受けたところ、発達障害があると言われ、自閉症スペクトラム障害及びADHD(注意欠如・多動症)の診断を受けた。原告母 は、その頃、本件小学校に対し、上記診断結果を伝えた。(前提事実⑴、甲1、15、 原告母本人)ウ小学2年生時(2クラス編成)原告は、平成30年1月頃(3学期頃)から、普通学級に在籍しながら週に1日程度体験的に特別支援学級に行くようになった。同年3月、Dの防犯ブザーが壊れたことがあり、原告が壊したとして担任の指示により原告母がDの保護者に謝罪したが、 後になって、Dが原告のランドセルをつかみ、原告を地面に倒したため、原告がDの手を払いのけようとした際に原告の手がDの防犯ブザーに当たり、防犯ブザーが外れて下に落ちて壊れたことが判明したことがあった。また、原告の体育帽子がDによってごみ箱に捨てられたことがあった。(甲15、16、原告本人、原告母本人)⑵ 原告の小学3年生時(平成30年度) ア小学3年生時(1クラス編成)原告は、小学3年生時から、支援学級に入級し、国語と算数を支援学級で学習するようになった。もっとも、原告は、学校生活の大半を、通常学級で生活していた。(甲15、原告母本人)(ア) 原告に関する対人関係の問題 平成30年4月以降も、原告に関する対人関係の問題が度々発生した(甲15、16、乙2~4、原告本人、原告母本人)。 。(甲15、原告母本人)(ア) 原告に関する対人関係の問題 平成30年4月以降も、原告に関する対人関係の問題が度々発生した(甲15、16、乙2~4、原告本人、原告母本人)。 (イ) 本件小学校本件小学校教員らは、遅くとも平成30年6月頃には、原告に関する対人関係の問題があることを認識していた(乙2~4、79、証人G教頭)。 本件小学校教員らは、平成30年11月から、継続的に、原告の支援等に関する会議を行った(乙57、59、60、75、79、証人G教頭)。 (ウ) 本件教育委員会本件教育委員会職員らは、平成30年6月頃、原告について、F校長から相談を受け、原告の発達障害のことは途中から認識した。本件教育委員会は、スクールソーシ ャルワーカー(児童・生徒を取り巻く環境に働きかけることにより子どもたちが抱え る問題を解決すべく支援を行う専門職)の本件小学校への訪問の調整を行ったり、F校長やJ教諭が相談等できるようにしたり、平成31年2月の原告の支援等に関する会議にスクールソーシャルワーカーが出席できるように調整したりした。その後も、本件教育委員会職員らは、原告について、本件小学校教員らから適時報告を受け、本件小学校教員らに対し、指導・助言等を行った。(乙52、53、59、60、証人L 指導主事)イ 「学校生活での要望書」の提出(平成30年8月)原告母は、本件小学校の対応について、次第に不信感を強めるようになった。そのような中で、原告母は、平成30年8月27日、本件小学校に対し、「学校生活での要望書」を提出した。上記要望書において、原告母は、本件小学校に対し、原告が小学 3年生の1学期にあったいじめやトラブルで相手方と関係修復ができないまま夏休みに入り精神的なダメ 「学校生活での要望書」を提出した。上記要望書において、原告母は、本件小学校に対し、原告が小学 3年生の1学期にあったいじめやトラブルで相手方と関係修復ができないまま夏休みに入り精神的なダメージを受けていること、再び不登校にならないために、①特定の同級生とは今後も関係修復は望まないこと、②別の特定の同級生とは現在も関係修復ができていないので最大限距離を置いてほしいこと、③2学期も原告の勉強の遅れや理解不足が解消されるよう指導してほしいこと、④原告の発達障害について公表は 控えていくつもりであるが、原告が差別されることなく個性として受け入れられて安全で安心して学校生活を過ごすことができるよう環境づくりに取り組んでほしいこと、⑤二度と学校で帽子がごみ箱から発見されるといった陰湿なことが起きないよう厳しく指導してほしいこと、を要望した。(甲9、15、原告母本人)原告の主治医は、平成30年10月、本件小学校教員らと面談し、原告に対する声 かけの仕方等の助言をした(甲15、乙79、証人G教頭、原告母本人)。 原告母は、平成30年12月頃までに、本件小学校教員らに対し、上記④の方針を修正して公表してほしいと要望したと認識していた。しかし、本件小学校教員らは、上記④の方針の修正があったとは認識していなかった。(甲15、乙21、79、証人G教頭、原告母本人) 原告母は、平成30年頃、担任の教諭に対する不信感を有していた(甲14の1・ 2、15、原告母本人)。 ウ原告母らの本件教育委員会来訪(平成31年1月)原告母は、平成31年1月15日、原告を連れて、本件教育委員会の事務室を訪れ、原告のことや本件小学校の対応について相談した。相談時間は2時間以上に及び、途中で強い口調でのやり取りになることもあった 原告母は、平成31年1月15日、原告を連れて、本件教育委員会の事務室を訪れ、原告のことや本件小学校の対応について相談した。相談時間は2時間以上に及び、途中で強い口調でのやり取りになることもあった。(甲15、16、証人L指導主事、原 告本人、原告母本人)エ本件出来事1(平成31年3月18日)とその対応平成31年2月、原告のハンカチが教室のごみ箱から発見されたことがあった。その後のやり取りの中で、本件小学校教員らは、原告母に対し、自作自演の可能性もあるなどと話した。(甲15、16、乙16、79、証人G教頭、原告本人、原告母本人) 平成31年3月18日、4時間目の体育の時に、Bとチーム分けのやり方などをめぐって口論になるなどのトラブルが生じた(本件出来事1)。本件小学校教員らは、同日、本件出来事1を認識した。すなわち、J教諭は、本件出来事1を認識して、すぐにメンバーの並び直しをさせたり、Bらに対して指導したり、原告をなだめたりした。 (前提事実⑵、乙79、証人G教頭) 原告母は、平成31年3月18日、J教諭に対し、「原告が今日はみにされたと泣いて帰ってきた。」などと話した。これに対し、J教諭は、原告母に対し、上記の事情を説明するとともに、翌日に詳しく聴き取りを行って指導をすると話した。(乙11、12、79、証人G教頭)J教諭は、平成31年3月19日、Bを始めとする本件出来事1に関係のある児童 から個別に聴き取りをした上で、原告に対して謝罪をさせた。原告は、「納得した。」と話した。(乙11~13、79、証人G教頭)オ転校の話(平成31年3月頃)平成31年3月頃、原告の転校の話があったが、結果的には、原告の転校は実現されなかった。(甲12の1・2、15、乙17、証人L指導主事、原告母本人 人G教頭)オ転校の話(平成31年3月頃)平成31年3月頃、原告の転校の話があったが、結果的には、原告の転校は実現されなかった。(甲12の1・2、15、乙17、証人L指導主事、原告母本人) ⑶ 原告の小学4年生時(令和元年度)(1クラス編成) ア平成31年4月、令和元年5月の状況原告は、平成31年4月は本件小学校に登校せず、令和元年5月の連休明け頃から本件小学校に登校するようになった。本件小学校教員らは、その頃、原告に対する今後の支援態勢を検討するなどした。(甲1、15、16、乙17、18、24、76、79、証人G教頭、原告本人、原告母本人) 原告の代理人弁護士(2名)は、令和元年5月15日頃、本件小学校及び本件教育委員会に対し、原告に対するいじめ、登校支援に係る本件小学校及び本件教育委員会に対する交渉について依頼を受けて代理人に就任した旨の通知をした。その後、原告の代理人弁護士又は原告母は、本件小学校及び本件教育委員会に対し、複数回にわたり、申入れ等を行った。(乙27、29、32、35、38、42) イ本件出来事2(令和元年5月20日)とその対応令和元年5月20日、原告がCに「遊ぼう。」と話しかけたところ、Bが遮るようにCに話しかけ、原告の面前で遊びの誘いを断るように「こそこそ話」をした(本件出来事2)。本件小学校教員らは、同日、本件出来事2を認識した。すなわち、H教諭は、同日、原告側から、苦情の申立てを受けた。(前提事実⑵、甲1、乙79、証人G教頭) H教諭は、令和元年5月20日、原告に対し、Cから聴き取りをしてその聴取結果を翌日に伝えることを約束した。H教諭は、同日、B、Cから、個別に聴き取りを行った。H教諭に対し、Bは、「こそこそ話はしていない。」と述 和元年5月20日、原告に対し、Cから聴き取りをしてその聴取結果を翌日に伝えることを約束した。H教諭は、同日、B、Cから、個別に聴き取りを行った。H教諭に対し、Bは、「こそこそ話はしていない。」と述べ、Cは、「何か言われたかもしれないが、覚えていない。」と述べた。H教諭は、B、Cに対し、「自分たちにその気がなくても、耳打ちしている様子は相手を不安にさせることがあるので、今 後そのようなことはしないように。」と指導し、その後も、相手がどのように思うかを考えさせるなどの指導を継続した。(乙79、証人G教頭)H教諭は、令和元年5月20日、原告母に対し、上記の聴取結果やB、Cへの指導内容を報告したところ、原告母から、「B、Cに対する不満がある。明日は学校に行かせないし、運動会も出させない。」などと言われ、また、同月22日、原告母に対し、 上記の聴取結果やB、Cへの指導内容を報告し、原告とB、Cとの話合いをさせたい 旨伝えたところ、原告母から、「子ども同士の話合いよりも、相手の親を巻き込んで謝らせるべきである。」などと言われた。(乙79、証人G教頭)令和元年5月下旬頃からは、原告の代理人弁護士と本件小学校教員らとの間で連絡を取り合うようになった。F校長は、同月23日、原告の代理人弁護士に対し、電話で、運動会における原告支援策を説明した。(甲15、乙79、証人G教頭、原告母本 人)ウ本件出来事3(令和元年5月30日)とその対応令和元年5月30日、Bが原告との交換ノートの原告の名前等を塗りつぶした(本件出来事3)。本件小学校教員らは、同月31日、本件出来事3を認識した。すなわち、原告母は、原告を連れて、同日、本件小学校教員らに対し、「原告、B、Cほか1 名が行っている交換ノートが戻ってきたが、書かれ 。本件小学校教員らは、同月31日、本件出来事3を認識した。すなわち、原告母は、原告を連れて、同日、本件小学校教員らに対し、「原告、B、Cほか1 名が行っている交換ノートが戻ってきたが、書かれている内容がひどい。」などと話した。(前提事実⑵、甲1、2、15、16、乙79、証人G教頭、原告本人、原告母本人)原告父母、原告の代理人弁護士(2名)は、令和元年6月3日、本件小学校において、F校長、G教頭、J教諭、L指導主事らと話合いを行った。上記話合いは、主と して原告に対する今後の支援の在り方について、原告の代理人弁護士が質問し、J教諭らが回答するという形で進められたが、本件出来事3についても話し合われた。 (甲15、乙28、79、証人G教頭、原告母本人)G教頭とH教諭は、令和元年6月5日、原告と交換ノートのやり取りをしていた児童から個別に聴き取りを行った。Bは、交換ノートの記載の削除をしたことを認め、 その理由として、「以前に公園で原告から嫌なことをされたことを思い出し、自分の気持ちが交換ノートの当該記載をした当時と変わっていたことから、深く考えずに消した。」などと話した。G教頭とH教諭は、Bに対し、原告の名前等が塗りつぶされた交換ノートを見て原告がどのように思うかと問いかけ、Bから、「悲しむ。嫌な気持ちになる。原告に謝りたい。」との回答を得るとともに、そのような行為が他人を傷付け るものであることについて指導した。(乙79、証人G教頭) 原告は、令和元年6月5日~同年7月11日、本件小学校に登校しなかった(甲15、16、原告本人、原告母本人)。 原告は、令和元年6月9日、紙に「わたしの中で今は自さつをしたいです。」などと記載した。原告母は、上記紙を見つけ、同月10日、本件小学校、本件教育委 った(甲15、16、原告本人、原告母本人)。 原告は、令和元年6月9日、紙に「わたしの中で今は自さつをしたいです。」などと記載した。原告母は、上記紙を見つけ、同月10日、本件小学校、本件教育委員会に連絡した。本件小学校教員ら、本件教育委員会職員らは、上記の事実を踏まえた対応 をした。(甲3、15、16、乙62、原告本人、原告母本人)また、令和元年6月10日頃以降は、原告母が以前から相談しており信頼を置いていたK元校長にもスクールサポーターの1人として原告のクラスの教室に入ってもらい、原告母と本件小学校教員らとの橋渡し役を担ってもらうことにした(乙79、証人G教頭)。 本件小学校は、令和元年7月3日、発達障害児等専門家派遣の申請をし、同月11日、派遣の決定を受け、同年9月、実際に派遣を受けた(乙63、64)。 その後、Bが本件出来事3について原告に謝罪する場を設けることになったが、その調整が難航し、最終的には、令和元年7月10日、謝罪の場が設けられた。その際、Bは、原告に対し、本件出来事3について謝罪し、泣きながら自分の気持ちを伝え、 原告も、Bに対し、紙に「ごめんね。」などと記載して、Bへの気持ちを伝えた。そして、本件小学校教員らは、Bに対し、指導を行った。(甲15、16、乙79、証人G教頭、原告本人、原告母本人)エ本件出来事4(令和元年7月18日)とその対応原告は、令和元年7月12日から、特別支援学級に別室登校するようになった(甲 15、16、乙79、証人G教頭、原告本人、原告母本人)。 令和元年7月18日、原告の下校時に靴の中に小石等が入れられていた(本件出来事4)。本件小学校教員らは、令和元年7月18日、本件出来事4を認識した。すなわち、原告は、同日、I教諭に対し、自分の靴の中 令和元年7月18日、原告の下校時に靴の中に小石等が入れられていた(本件出来事4)。本件小学校教員らは、令和元年7月18日、本件出来事4を認識した。すなわち、原告は、同日、I教諭に対し、自分の靴の中に小石等が入れられていることを伝えた。I教諭は、同日、F校長に対し、上記内容を報告した。(前提事実⑵、甲1、1 5、16、乙79、証人G教頭、原告本人、原告母本人) 原告母は、令和元年7月18日、F校長に対し、本件出来事4について抗議し、直ちにクラス全員に事実を告げて事実確認をするよう求めた。そこで、I教諭らは、同日、同じクラスの児童全員から個別に聴き取りを行ったが、誰も事情を知らないということであった。 F校長は、令和元年7月18日、本件教育委員会に報告し、同月19日が1学期の 最後の日であるから、同日に緊急保護者会を開くことを伝えた。また、F校長は、同月18日、同月19日の終業式終了後にK元校長による緊急の道徳の授業を行うことを決定した。(乙79、証人G教頭)F校長は、令和元年7月18日、原告母に対し、児童からの個別聴き取りの結果と、同月19日に緊急の道徳の授業と緊急保護者会を開催することを伝えた。(乙79、 証人G教頭)令和元年7月19日、原告のクラスで、K元校長による緊急の道徳の授業が行われ、本件出来事4について話がされた上で、原告の気持ちを考えるように指導がされた。 また、同日、緊急保護者会が開催され、30人以上の保護者が集まり、原告母は参加しなかったが、原告父は参加した。上記保護者会において、F校長は、本件出来事4 について説明し、クラスの誰かが小石等を入れた可能性が高いことを述べ、保護者に対し家庭でも十分に子どもたちに指導することを求めた。また、K元校長は、原告の発達障害の特性を説 は、本件出来事4 について説明し、クラスの誰かが小石等を入れた可能性が高いことを述べ、保護者に対し家庭でも十分に子どもたちに指導することを求めた。また、K元校長は、原告の発達障害の特性を説明して、他の児童において原告の特性に対する理解と配慮をしていくことを求めた。(乙20、79、証人G教頭)本件小学校教員らは、令和元年7月20日~同年8月29日の夏休みの間に、原告 に対し、14回の補充授業を行った。本件小学校教員らは、同月21日には、原告とBとの関係修復を図るため、原告とBが本件小学校の調理実習室で一緒にアップルパイを作って食べる機会を設けた。(甲16、乙79、証人G教頭、原告本人)G教頭は、令和元年9月2日、ある児童から、「別の児童から、原告の靴に小石等を入れたのがB、Cであるということを聞いた。Bに確認したところ、Bがその事実を 認めた。」という話を聞いた。G教頭とJ教諭は、同日、B、Cを個別に呼んで聴き取 りをした結果、本件出来事4の加害者がB、Cであることを認めた。そこで、G教頭とJ教諭は、B、Cに対し、原告が本件出来事4で非常に悲しんでいること、本件小学校としても本件出来事4は重大ないじめ問題として認識していること等を説明し、どのような理由があってもいじめをすることは許されないことを指導し、B、Cが行った行為について反省させた。(乙79、証人G教頭) 本件小学校教員らは、令和元年9月3日、本件出来事4に関する謝罪の場を設定した。B、Bの父、C、Cの母は、その場において、原告に対し、謝罪した。もっとも、Bが謝罪の際に本件出来事4に関する理由を説明し始めたため、原告母の態度が硬化したことがあった。(乙79、証人G教頭)⑷ その後の経緯 ア小学4年生の2学期、3学期 。もっとも、Bが謝罪の際に本件出来事4に関する理由を説明し始めたため、原告母の態度が硬化したことがあった。(乙79、証人G教頭)⑷ その後の経緯 ア小学4年生の2学期、3学期原告は、令和元年9月3日~同年10月18日、本件小学校に登校せず、同月19日以降も、登校するようになったものの、別室登校をした(甲15、16、乙19、79、証人G教頭、原告本人、原告母本人)。 本件小学校は、令和元年10月2日、本件教育委員会に対し、原告に関する重大事 態があったとして、いじめ防止対策推進法及びM市いじめ防止基本方針に基づき、いじめ事象の報告をした(前提事実⑶、乙1)。 令和元年8月~令和2年3月、原告の支援等に関する会議が継続的に開催された(乙65、66、68~75)。 イ原告の転校(令和2年4月) 原告は、小学5年生に進級する令和2年4月、本件小学校からM市内の別の小学校に転校した(前提事実⑴)。 原告母は、令和2年9月以降も、本件小学校及び本件教育委員会に対し、複数回にわたり、要望等をした(乙45、48、50)。 ウ本件調査報告書(令和2年10月) M市いじめ防止等対策推進委員会から委嘱を受けたいじめ重大事態調査委員会は、 令和2年10月、別紙の内容の本件調査報告書を作成・提出した(前提事実⑶、甲1)。 2 事実認定の補足説明原告は、情報開示を受けた内容と比較して、本件小学校教員らが作成したメモ(乙2等)が証拠説明書記載の作成日に実際に作成されたものとは考えられず、その内容も信用できないと主張する。 しかし、弁論の全趣旨によれば、上記メモは、原告の氏名等をマスキングするために必要な処理がされているものの、記載内容、形状等に照らして特段不自然な点はう その内容も信用できないと主張する。 しかし、弁論の全趣旨によれば、上記メモは、原告の氏名等をマスキングするために必要な処理がされているものの、記載内容、形状等に照らして特段不自然な点はうかがわれず、原告が情報開示を受けた内容(甲11)を踏まえても、証拠説明書記載の作成日に証拠説明書記載の作成者により実際に作成されたものと認められ、その内容の信用性も肯定することができる。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 3 争点1(本件小学校教員ら及び本件教育委員会職員らの対応等の国賠法1条1項の違法性の有無)について⑴ 判断枠組み国賠法1条1項にいう違法とは、国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が、 個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することであり、当該公務員が、職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく、漫然と当該行為をしたと認め得る事情がある場合に限り、上記法的義務の違背があるものというべきである(最高裁昭和49年(オ)第419号同53年10月20日第二小法廷判決・民集32巻7号1367頁、最高裁昭和53年(オ)第1240号同60年11月21日第一小法廷判決・ 民集39巻7号1512頁、最高裁平成元年(オ)第930号、第1093号同5年3月11日第一小法廷判決・民集47巻4号2863頁参照)。 ⑵ 注意義務の内容ア本件小学校教員らの注意義務の内容本件小学校教員らの注意義務の内容についてみると、①いじめ防止対策推進法や 「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」 を始めとする関連する法令等の定め(第2の2)、②原告は、小学1年生から小学3年生までの間(本件出来事1より前)にも、本件小学校教員らに対し、いじめ被害を る教育支援体制整備ガイドライン」 を始めとする関連する法令等の定め(第2の2)、②原告は、小学1年生から小学3年生までの間(本件出来事1より前)にも、本件小学校教員らに対し、いじめ被害を訴えていたこと(認定事実⑴、⑵)、③本件小学校教員らは、本件出来事1~4について、速やかにそれらの事実を認識していたこと(認定事実⑵、⑶)、④原告母は、平成30年8月、本件小学校に対し「学校生活での要望書」(甲9)を提出しており、本件 小学校教員らは、遅くとも同月には、原告がいじめを受ける背景に原告の発達障害があることを認識していたこと(認定事実⑵)に照らせば、本件小学校教員らは、令和元年頃当時、原告に対し、原告の発達障害の特性を踏まえながら、原告に対するいじめについて調査し、いじめの再発を防止するための措置をとるべき義務を負っていたというべきである。 イ本件教育委員会職員らの注意義務の内容本件教育委員会職員らの注意義務の内容についてみると、①いじめ防止対策推進法や「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」等を始めとする関連する法令等の定め(第2の2)、②本件教育委員会は、平成30年頃、本件小学校から、原告と同級生とのトラブルについて初めて報告・相談を受けた こと(認定事実⑵)、③原告母は、同年頃から、本件教育委員会に対し、本件小学校を通さずに直接的に問題解決を求めていたこと(認定事実⑵)に照らせば、本件教育委員会職員らは、令和元年頃当時、原告に対し、本件小学校に対する指導・助言をするなど、原告に対するいじめの再発を防止するための措置をとるべき義務を負っていたというべきである。 ⑶ 注意義務違反の有無(本件出来事1)ア本件小学校教員らの注意義務違反の有無本件 、原告に対するいじめの再発を防止するための措置をとるべき義務を負っていたというべきである。 ⑶ 注意義務違反の有無(本件出来事1)ア本件小学校教員らの注意義務違反の有無本件出来事1は、平成31年3月18日、4時間目の体育の時に、Bとチーム分けのやり方などをめぐって口論になるなどのトラブルが生じたというものであるところ(前提事実⑵、認定事実⑵)、本件小学校教員らは、本件出来事1の発生後直ちに同 事実を認識し、①すぐにメンバーの並び直しをさせたりBらに対して指導したり原告 をなだめたりしたほか、②翌日にBを始めとする本件出来事1に関係のある児童から個別に聴き取りをした上で原告に対して謝罪をさせるという対応をし、③その結果、原告が「納得した。」と話した、というのである(認定事実⑵)。そうすると、その後結果的に本件出来事2~4が発生したものの本件出来事1とは異なる行為態様であったことをも考慮すると、本件小学校教員らは、原告の発達障害の特性を踏まえなが ら、原告に対するいじめについて調査し、いじめの再発を防止するための措置をとったということができるから、本件出来事1について、本件小学校教員らが上記⑵アの注意義務に違反したということはできない。 イ本件教育委員会職員らの注意義務違反の有無本件出来事1は上記アのとおりであるところ、本件教育委員会職員らは、本件出来 事1に先立ち、原告について、本件小学校教員らから相談を受け、原告の発達障害のことを途中から認識し、スクールソーシャルワーカーの本件小学校への訪問の調整を行ったり、本件小学校教員らが相談等できるようにしたりするなどの対応をしていた、というのである(認定事実⑵)。そうすると、本件教育委員会職員らは、原告の発達障害の特性を踏まえながら、本 訪問の調整を行ったり、本件小学校教員らが相談等できるようにしたりするなどの対応をしていた、というのである(認定事実⑵)。そうすると、本件教育委員会職員らは、原告の発達障害の特性を踏まえながら、本件小学校に対する指導・助言をするなど、原告に対する いじめの再発を防止するための措置をとったということができるから、本件出来事1について、本件教育委員会職員らが上記⑵イの注意義務に違反したということはできない。 ⑷ 注意義務違反の有無(本件出来事2)ア本件小学校教員らの注意義務違反の有無 本件出来事2は、令和元年5月20日、原告がCに「遊ぼう。」と話しかけたところ、Bが遮るようにCに話しかけ、原告の面前で遊びの誘いを断るように「こそこそ話」をしたというものであるところ(前提事実⑵、認定事実⑶)、本件小学校教員らは、本件出来事2の発生後直ちに同事実を認識し、①同日に原告に対しCから聴き取りをしてその聴取結果を翌日に伝えることを約束し、②同日にB、Cから個別に聴き 取りを行った上で、B、Cに対し「自分たちにその気がなくても、耳打ちしている様 子は相手を不安にさせることがあるので、今後そのようなことはしないように。」と指導し、③その後もB、Cに対し相手がどのように思うかを考えさせるなどの指導を継続し、④原告の代理人弁護士とも原告の支援策について協議した、というのである(認定事実⑶)。そうすると、その後結果的に本件出来事3・4が発生したものの本件出来事2とは異なる行為態様であったことをも考慮すると、本件小学校教員らの指導 方針と原告母の方針とが異なっていたこと(認定事実⑶)を踏まえても、本件小学校教員らは、原告の発達障害の特性を踏まえながら、原告に対するいじめについて調査し、いじめの再発を防止するための措 導 方針と原告母の方針とが異なっていたこと(認定事実⑶)を踏まえても、本件小学校教員らは、原告の発達障害の特性を踏まえながら、原告に対するいじめについて調査し、いじめの再発を防止するための措置をとったということができるから、本件出来事2について、本件小学校教員らが上記⑵アの注意義務に違反したということはできない。 イ本件教育委員会職員らの注意義務違反の有無本件出来事2は上記アのとおりであるところ、本件教育委員会職員らは、本件出来事2の頃、上記⑶イの対応をしたほか、原告について、本件小学校教員らから適時報告を受け、本件小学校教員らに対し、指導・助言等を行った、というのである(認定事実⑵、⑶)。そうすると、本件教育委員会職員らは、原告の発達障害の特性を踏まえ ながら、本件小学校に対する指導・助言をするなど、原告に対するいじめの再発を防止するための措置をとったということができるから、本件出来事2について、本件教育委員会職員らが上記⑵イの注意義務に違反したということはできない。 ⑸ 注意義務違反の有無(本件出来事3)ア本件小学校教員らの注意義務違反の有無 本件出来事3は、令和元年5月30日、Bが原告との交換ノートの原告の名前等を塗りつぶしたというものであるところ(前提事実⑵、認定事実⑶)、本件小学校教員らは、本件出来事3の翌日に同事実を認識し、①同年6月3日の原告母らとの話合いを経た上で、②同月5日、原告と交換ノートのやり取りをしていた児童から個別に聴き取りを行い、Bから交換ノートの記載の削除をしたことやその理由について聴き取り、 Bに対し指導をして、Bの内省を深めさせるとともに、Bから原告に謝罪したい旨の 回答を得て、③同年7月10日にBにおいて原告に対して謝罪をさせるという対 やその理由について聴き取り、 Bに対し指導をして、Bの内省を深めさせるとともに、Bから原告に謝罪したい旨の 回答を得て、③同年7月10日にBにおいて原告に対して謝罪をさせるという対応をし、④その結果、原告が紙に「ごめんね。」などと記載した、というのである(認定事実⑶)。また、本件小学校教員らは、⑤原告が同年6月9日に「わたしの中で今は自さつをしたいです。」などと紙に記載したことを同月10日に知り、同事実を踏まえた対応をし、⑥原告母が以前から相談しており信頼を置いていたK元校長にもスクール サポーターの1人として原告のクラスの教室に入ってもらい、原告母と本件小学校教員らとの橋渡し役を担ってもらうことにし、⑦同年7月、発達障害児等専門家派遣の申請をした、というのである(認定事実⑶)。そうすると、その後結果的に本件出来事4が発生したものの本件出来事3とは異なる行為態様であったこと(もっとも、本件出来事4は本件出来事1~3と比較して悪質なものであったといえる。)をも考慮す ると、原告が同年6月9日に自殺したい旨を記載したこと(認定事実⑶)を踏まえても、本件小学校教員らは、原告の発達障害の特性を踏まえながら、原告に対するいじめについて調査し、いじめの再発を防止するための措置をとったということができるから、本件出来事3について、本件小学校教員らが上記⑵アの注意義務に違反したということはできない。 イ本件教育委員会職員らの注意義務違反の有無本件出来事3は上記アのとおりであるところ、本件教育委員会職員らは、本件出来事3の頃、原告代理人弁護士も含む原告側と本件小学校側との話合いに立ち会い、原告が自殺したい旨を紙に記載した事実も直ちに認識してその対応をしたほか、原告について、本件小学校教員らから適時報告を受け、 事3の頃、原告代理人弁護士も含む原告側と本件小学校側との話合いに立ち会い、原告が自殺したい旨を紙に記載した事実も直ちに認識してその対応をしたほか、原告について、本件小学校教員らから適時報告を受け、本件小学校教員らに対し、指導・助 言等を行った、というのである(認定事実⑵、⑶)。また、本件教育委員会職員らは、原告が令和元年6月9日に「わたしの中で今は自さつをしたいです。」などと紙に記載したことを同月10日に知り、同事実を踏まえた各種の対応をした、というのである(認定事実⑶)。そうすると、本件教育委員会職員らは、原告の発達障害の特性を踏まえながら、本件小学校に対する指導・助言をするなど、原告に対するいじめの再発 を防止するための措置をとったということができるから、本件出来事3について、本 件教育委員会職員らが上記⑵イの注意義務に違反したということはできない。 ⑹ 注意義務違反の有無(本件出来事4)ア本件小学校教員らの注意義務違反の有無本件出来事4は、令和元年7月18日、原告の下校時に靴の中に小石等が入れられていたというものであるところ(前提事実⑵、認定事実⑶)、本件小学校教員らは、本 件出来事4の発生後直ちに同事実を認識し、①同日にクラスの児童全員から個別に聴き取りを行うとともに、同日に本件教育委員会に報告し、②同月19日、緊急の道徳の授業と緊急保護者会を開催し、上記保護者会において、原告の発達障害の特性を説明して、他の児童において原告の特性に対する理解と配慮をしていくことを求め、③夏休みの間に、原告とBとの関係修復を図るため、原告とBが本件小学校で一緒にア ップルパイを作って食べる機会を設けるなどし、④同年9月2日、本件出来事4の加害者がB、Cであることが判明したため、B、Cに対し、原告が本件 関係修復を図るため、原告とBが本件小学校で一緒にア ップルパイを作って食べる機会を設けるなどし、④同年9月2日、本件出来事4の加害者がB、Cであることが判明したため、B、Cに対し、原告が本件出来事4で非常に悲しんでいること、本件小学校としても本件出来事4は重大ないじめ問題として認識していること等を説明し、どのような理由があってもいじめをすることは許されないことであることを指導し、B、Cが行った行為について反省させ、⑤同月3日、本 件出来事4に関する謝罪の場を設定し(B、Bの父、C、Cの母は、その場において、原告に対し、謝罪した。)、⑥同年8月、原告に生じた一連の事象が重大事態に当たると判断して調査を開始し、同年10月には、本件教育委員会に対し、原告に関する重大事態があったとするいじめ事象の報告をした、というのである(認定事実⑶、⑷)。 そうすると、謝罪の場においてBが本件出来事4に関する理由を説明し始めたために 原告母の態度が硬化したことがあった(認定事実⑶)という点を踏まえても、本件小学校教員らは、原告の発達障害の特性を踏まえながら、原告に対するいじめについて調査し、いじめの再発を防止するための措置をとったということができるから、本件出来事4について、本件小学校教員らが上記⑵アの注意義務に違反したということはできない。 イ本件教育委員会職員らの注意義務違反の有無 本件出来事4は上記アのとおりであるところ、本件教育委員会職員らは、本件出来事4の頃、本件出来事4を直ちに認識し、原告について、本件小学校教員らから適時報告を受け、本件小学校教員らに対し指導・助言等を行い、本件小学校から原告に関する重大事態があったとするいじめ事象の報告を受けて所定の手続をとった、というのである(認定事実⑵~⑷)。そ 員らから適時報告を受け、本件小学校教員らに対し指導・助言等を行い、本件小学校から原告に関する重大事態があったとするいじめ事象の報告を受けて所定の手続をとった、というのである(認定事実⑵~⑷)。そうすると、本件教育委員会職員らは、原告の発達障害 の特性を踏まえながら、原告に対するいじめについて調査し、いじめの再発を防止するための措置をとったということができるから、本件出来事4について、本件教育委員会職員らが上記⑵イの注意義務に違反したということはできない。 ⑺ 注意義務違反の有無(本件出来事1~4以外の出来事)ア本件小学校教員らの注意義務違反の有無 本件出来事1~4以外にも、小学3年生まで(本件出来事1より前)のいじめ等の出来事として、①小学1年生時の帽子の出来事、②小学2年生時の防犯ブザーの出来事、③小学2年生時の体育帽子の出来事、④小学3年生時のハンカチの出来事があったこと(認定事実⑴、⑵)が認められる。 しかし、これらの出来事の内容・経緯、本件小学校教員らの対応等に照らせば、こ れらの出来事があったことから直ちに、本件小学校教員らが原告に対するいじめについて調査し、いじめの再発を防止するための措置をとるべき義務に違反したということはできない。 イ本件教育委員会職員らの注意義務違反の有無本件出来事1~4以外にも、①平成31年1月に原告母が原告を連れて本件教育委 員会を来訪した際に原告母と本件教育委員会職員らとの間でやり取りがあったこと、②同年3月頃の転校が実現されなかったこと(認定事実⑵)が認められる。 しかし、これらの出来事の内容・経緯、本件教育委員会職員らの対応等に照らせば、これらの出来事があったことから直ちに、本件教育委員会職員らが原告に対するいじめの再発を防止するための措置 められる。 しかし、これらの出来事の内容・経緯、本件教育委員会職員らの対応等に照らせば、これらの出来事があったことから直ちに、本件教育委員会職員らが原告に対するいじめの再発を防止するための措置をとるべき義務に違反したということはできない。 ⑻ 本件調査報告書と注意義務違反との関係 本件調査報告書は、別紙のとおり、原告に対するいじめに関して、本件小学校、本件教育委員会の対応には種々の問題点があったと指摘する(前提事実⑶)。 しかし、本件調査報告書は、本件小学校教員ら、本件教育委員会職員らが真摯に耳を傾けるべき、いじめの再発防止に向けた重要な指摘を多く含んでいるとはいえる(この意味において、本件の原因・背景は多面的・多角的に捉えられるべきであって、 これを一面的に捉えることは相当でないと思われる。)ものの、飽くまで、原告とB、Cとの間で生じた一連の事象の事実関係、その背景にある事情の究明、再発防止に向けた提言を目的とするものであって、民事責任の所在を明らかにするものではない(前提事実⑶)。 また、個別的にみても、本件調査報告書は、本件小学校の対応の問題点として、① いじめに対する認識不足、②本件小学校の組織としての機能が不十分であったこと、③外部専門家との連携不足、④発達障害を踏まえた対応が不足していたこと、⑤保護者との意思疎通不足、を挙げ、本件教育委員会の対応の問題点として、⑥いじめの解決に向けての保護者との連携不足、⑦本件小学校への丁寧な助言と指導がされていなかったこと、⑧専門家の派遣の検討がされていなかったこと、⑨教員に対する研修が 不十分であったこと、を挙げているが、これらの観点から判断しても次のとおり法的義務違反を肯定することはできない。すなわち、①、⑤及び⑥については、本件で結 なかったこと、⑨教員に対する研修が 不十分であったこと、を挙げているが、これらの観点から判断しても次のとおり法的義務違反を肯定することはできない。すなわち、①、⑤及び⑥については、本件で結果的にいじめ重大事態の発生等に至ったことを踏まえ、本件小学校及び本件教育委員会において、本件小学校教員らのいじめに対する認識や原告父母らとの連携の在り方等を総合的に検証し、同種事案の再発防止策を検討すべきであるとはいえるものの、 既に説示したとおり、本件小学校教員らのいじめに対する認識(認定事実⑴~⑷)や原告父母らとの連携(認定事実⑴~⑷)が不足しており法的義務に違反するとまではいえない。②、③及び⑧については、各種会議の記録化や組織共有が十分とはいえず、各種対応が個々の担当者に委ねられていた面がうかがわれ、その意味において組織的な対応に課題を残すものであったとはいえるものの、本件における本件小学校の組織 態勢(認定事実⑴~⑷)が不十分で法的義務に違反するとか、本件小学校が令和元年 7月に発達障害児等専門家派遣の申請をしたこと(認定事実⑶)が遅すぎて法的義務に違反するとまではいえない。④については、本件小学校は、本件調査報告書の指摘を重く受け止め、「発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する教育支援体制整備ガイドライン」(第2の2⑷)等を踏まえ、発達障害への理解を深めこれに応じた指導・対応に注力すべきであるとはいえるものの、既に説示したとおり、本件における 発達障害を踏まえた各種対応(認定事実⑴~⑷)が不足しており法的義務に違反するとまではいえない。⑦及び⑨については、本件で結果的にいじめ重大事態の発生等に至ったこと等に照らせば、本件教育委員会の対応等が万全なものであったとはいい難いものの、本件小学校に対する本件教育 反するとまではいえない。⑦及び⑨については、本件で結果的にいじめ重大事態の発生等に至ったこと等に照らせば、本件教育委員会の対応等が万全なものであったとはいい難いものの、本件小学校に対する本件教育委員会の助言・指導(認定事実⑵~⑷)が丁寧さを欠き法的義務に違反するとか、教員に対する本件教育委員会の研修等(認定事 実⑵~⑷)が本件出来事1~4との関係で不足しており法的義務に違反するとまではいえない。 そうすると、本件調査報告書が種々の問題点を指摘していることから直ちに、本件小学校教員ら、本件教育委員会職員らの対応等に国賠法1条1項にいう違法があったということはできない。 ⑼ まとめ以上によれば、本件小学校教員ら及び本件教育委員会職員らが上記注意義務に違反したとはいえず、本件小学校教員ら及び本件教育委員会職員らの対応等に国賠法1条1項の違法性があったとはいえない。 第4 結論 よって、その余の争点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所堺支部第1民事部 裁判長裁判官山地修 裁判官一花有香里 裁判官丹治雅文 (略語一覧表)本件小学校原告が令和2年3月まで通っていたM市内の公立小学校本件教育委員会 M市教育委員会国賠法国家賠償法原告父原告の父原告母原告の母F校長FG教頭G(昭和▲年生まれ)H教諭HI教諭IJ教諭JK元校長KL指導主事L(昭和▲年生まれ)本件出来事1平成31年3月18日、4時 F校長FG教頭G(昭和▲年生まれ)H教諭HI教諭IJ教諭JK元校長KL指導主事L(昭和▲年生まれ)本件出来事1平成31年3月18日、4時間目の体育の時に、Bとチーム分けのやり方などをめぐって口論になるなどのトラブルが生じた出来事本件出来事2令和元年5月20日、原告がCに「遊ぼう。」と話しかけたところ、Bが遮るようにCに話しかけ、原告の面前で遊びの誘いを断るように「こそこそ話」をした出来事本件出来事3令和元年5月30日、Bが原告との交換ノートの原告の名前等を塗りつぶした出来事本件出来事4令和元年7月18日、原告の下校時に靴の中に小石と小枝数本が入れられていた出来事本件調査報告書いじめ重大事態調査委員会が令和2年10月に作成した「いじめ重大事態調査報告書」(甲1) (別紙)本件調査報告書の概要 1 第Ⅰ部いじめ重大事態調査委員会の設置と活動調査の目的は、原告とB、Cとの間で生じた一連の事象の事実関係、その背景にある事情の究明、再発防止に向けた提言を目的とし、民事責任や刑事責任の所在を明らかにするものではない。 2 第Ⅱ部調査結果に基づく認定事実⑴ 前提事実(略)⑵ 認定事実(略) 3 第Ⅲ部調査結果から明らかになった問題⑴ いじめの認定と重大事態の認定(略) ⑵ 本件小学校及び本件教育委員会の対応の問題点ア本件小学校の対応の問題点本件小学校の対応の問題点としては、①いじめに対する認識不足、②本件小学校の組織としての機能が不十分であったこと、③外部専門家との連携不足、④発達障害を踏まえた対応が不足していたこと、⑤保護者との意思疎通不足、が挙げられる。 イ本件 る認識不足、②本件小学校の組織としての機能が不十分であったこと、③外部専門家との連携不足、④発達障害を踏まえた対応が不足していたこと、⑤保護者との意思疎通不足、が挙げられる。 イ本件教育委員会の対応の問題点本件教育委員会の対応の問題点としては、①いじめの解決に向けての保護者との連携不足、②本件小学校への丁寧な助言と指導がされていなかったこと、③専門家の派遣の検討がされていなかったこと、④教員に対する研修が不十分であったこと、が挙げられる。 4 第Ⅳ部再発防止に向けての提言⑴ 本件小学校への提言再発防止に向けての本件小学校への提言としては、①いじめ防止対策推進法及びいじめ防止の基本方針についての周知徹底、②発達障害に関する理解の促進、が挙げられる。 ⑵ 本件教育委員会への提言 再発防止に向けての本件教育委員会への提言としては、①教員の資質向上のための研修制度の充実、②各校への専門家の派遣と助言の仕組みの構築、③障害者理解教育への取組、④チーム学校づくりのマネジメント力の向上、が挙げられる。 5 第Ⅴ部総括本事案の背景には、原告の発達障害があったにもかかわらず、本件小学校に発達障 害についての理解の低さがあり、原告の表面的な行動だけで判断したために、それが事態を複雑化・深刻化したといえる。本事案に関して、本件小学校はいじめの解消のために様々な取組を試みたことは認められるものの、それらは場当たり的であり、本件小学校全体としてのコンセンサスがないままの対応になったことは否めない。 このように、いじめの背景を正しく把握できなかった原因としては、①保護者の訴 えに耳を傾け、気持ちに寄り添う姿勢が不十分であったこと、②教員全体に発達障害の理解が低かったこと、③ めない。 このように、いじめの背景を正しく把握できなかった原因としては、①保護者の訴 えに耳を傾け、気持ちに寄り添う姿勢が不十分であったこと、②教員全体に発達障害の理解が低かったこと、③情報を収集・分析するというアセスメントの知識・経験の不足、関係機関の機能・役割の知識不足、関係機関連携の経験不足等があり、チームとして活動できなかったこと、が挙げられる。

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