昭和54(し)135 刑の執行猶予言渡取消請求事件についてした即時抗告棄却決定に対する特別抗告

裁判年月日・裁判所
昭和55年2月25日 最高裁判所第二小法廷 決定 棄却 大阪高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  本件抗告の趣意のうち、刑法二六条の三の規定の違憲をいう点は、同条が、憲法 一一条、一三条、三一条に違反しないことは、当裁

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判決文本文2,309 文字)

主文 本件抗告を棄却する。 理由 本件抗告の趣意のうち、刑法二六条の三の規定の違憲をいう点は、同条が、憲法一一条、一三条、三一条に違反しないことは、当裁判所の判例(昭和三一年(し)第三二号同三三年二月一〇日大法廷決定・刑集一二巻二号一三五頁、昭和三五年(し)第三四号同年一〇月四日第三小法廷決定・刑集一四巻一二号一五三三頁、昭和四一年(し)第五九号同四二年三月八日大法廷決定・刑集二一巻二号四二三頁)の趣旨に徴して明らかであるから、所論は理由がなく、その余は、違憲をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、刑訴法四三三条の抗告理由にあたらない。 なお、職権により判断すると、刑の執行と執行猶予の併存を避けようとする刑法二六条の三の趣旨に照らすと、同条による刑の執行猶予言渡の取消は、同法二六条、二六条の二の規定による刑の執行猶予言渡取消決定の確定をまたず、これと同時に行うことも許されると解するのが相当である。したがつて、原原審が、昭和五一年五月一七日大阪地方裁判所がなした刑の執行猶予(保護観察付)の言渡を、同法二六条の二第二号により取り消すと同時に、昭和五〇年一二月五日京都地方裁判所がなした刑の執行猶予の言渡を、同法二六条の三により取り消したことは、適法であり、かつ、本件記録によれば、右取消決定に対する即時抗告の申立を棄却した原決定は、後者の執行猶予期間経過前に申立人に告知され、各取消の効果が発生しているのであるから、本件特別抗告の係属中に後者の執行猶予期間に相当する期間が経過したとしても、すでに発生している取消の効果に影響はないものというべきである(当裁判所昭和四〇年(し)第二一号同年九月八日大法廷決定・刑集一九巻六号六三六頁、昭和五四年(し)第二九号同年三月二九日第一小法廷決 も、すでに発生している取消の効果に影響はないものというべきである(当裁判所昭和四〇年(し)第二一号同年九月八日大法廷決定・刑集一九巻六号六三六頁、昭和五四年(し)第二九号同年三月二九日第一小法廷決定・刑集三三巻- 1 -二号一六五頁参照)。 よつて、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官木下忠良の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり決定する。 裁判官木下忠良の反対意見は、次のとおりである。 私は、刑法二六条の三の規定が、憲法一一条、一三条、三一条に違反しないこと、弁護人のその余の抗告趣意が、刑訴法四三三条の抗告理由にあたらないことについては、多数意見に賛同するものであるが、昭和五〇年一二月五日京都地方裁判所言渡にかかる刑の執行猶予につき、その取消決定を維持し本件特別抗告を棄却すべきであるとの点に関しては、多数意見と見解を異にする。 私は、刑法二六条の三にいう「刑ノ執行猶予ノ言渡ヲ取消シタルトキ」とは、取消の裁判が確定したことをいうものと考える。同法二六条、二六条の二に定められた取消事由のうち、他の裁判のあつたことが理由となつているものについては、その裁判の確定したことが取消の要件であると解されていること(たとえば、同法二六条一号にいう「禁錮以上ノ刑ニ処セラレ」の意義に関する当裁判所昭和五四年(し)第二七号同年三月二七日第一小法廷決定・刑集三三巻二号一五五頁。)との均衡上からも、前記のように解するのが妥当である。 もつとも、私は、同法二六条の三(以下本条という。)による取消を、同法二六条、二六条の二(以下前二条という。)による取消と同時に行うことを適法とする点については、必ずしも多数意見に反対するものではない。ただ、その場合であつても、前二条による取消が確定することを条件として、同時に本条による取消をなす う。)による取消と同時に行うことを適法とする点については、必ずしも多数意見に反対するものではない。ただ、その場合であつても、前二条による取消が確定することを条件として、同時に本条による取消をなすことを認めるにすぎないのであるから、前二条による取消が確定しないかぎり、本条による取消が効力を生じることはなく(右各取消決定に対する即時抗告棄却決定が、執行猶予の言渡を受けた者に告知されただけでは、前二条による取消に執行力を生じるにとどまるから、本条による取消の効力が生じるに十分ではない。)、- 2 -また、前二条による取消が確定しないうちに、本条によつて取り消すべき執行猶予の期間が経過してしまえば、もはや本条による取消を行う余地はないと考えるものである。 本件の場合、昭和五一年五月一七日大阪地方裁判所言渡にかかる刑の執行猶予を同法二六条の二第二号により取り消すと同時に、前記京都地方裁判所言渡にかかる刑の執行猶予を同法二六条の三によつて取り消した原原決定、及びこれに対する即時抗告の申立を棄却した原決定は、その決定の各時点においては違法でなかつたのであるが、本件特別抗告が申し立てられたことにより、いずれの取消も確定しないうちに、京都地方裁判所言渡にかかる執行猶予の期間は満了したものであるから、現在では、右執行猶予の取消の要件が確定的に失われ、もはや右取消を維持することはできなくなつたといわざるをえない。したがつて、原決定及び原原決定のうち、右執行猶予の取消にかかわる部分を取り消し、右執行猶予に対する検察官の取消請求を棄却すべきものと考える。 昭和五五年二月二五日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官木下忠良裁判官栗本一夫 五五年二月二五日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官木下忠良裁判官栗本一夫裁判官塚本重頼裁判官鹽野宜慶- 3 -

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