【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を福岡高等裁判所に差し戻す。 理 由 上告代理人立石六男、同復代理人春山九州男の上告理由第一について 所論の点に関
主文 原判決を破棄する。 本件を福岡高等裁判所に差し戻す。 理由 上告代理人立石六男、同復代理人春山九州男の上告理由第一について所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認することができ、その過程に所論の違法はない。そして、原審が確定した事実関係のもとにおいて、本件振込指定の合意により被上告人が上告人に対し、所論の振込をすべき債務を負つたとはいえない旨の原審の判断は、正当として是認することができる。所論は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原審の認定にそわない事実を前提として、原判決を論難するものにすぎない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 同第二について本件記録によると、(一) 第一審において、上告人は被上告人に対し、(1) 不法行為に基づく損害賠償として三九六六万五四〇〇円並びに内金三〇〇〇万円について昭和五四年七月二日から、内金九六六万五四〇〇円について同月一一日から各完済まで年一四パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める請求(以下「不法行為に基づく請求」という。)と、(2) 債務不履行に基づく損害賠償として二三三一万五一〇〇円及びこれについての同年一〇月一三日から完済まで年六分の遅延損害金の支払を求める請求(以下「債務不履行に基づく請求」という。)とを選択的併合として申し立てたところ、第一審は、債務不履行に基づく請求を一三九二万〇一〇〇円及びこれについての右同日から完済まで年六分の金員の限度で認容し、上告人のその余の請求を棄却する旨の判決をした、(二) 右第一審判決に対し、被上告人が控訴の申立をしたが、上告人は控訴及び附帯控訴の申立をしなかつたとこ- 1 -ろ、原審は、債務不履行に基づ し、上告人のその余の請求を棄却する旨の判決をした、(二) 右第一審判決に対し、被上告人が控訴の申立をしたが、上告人は控訴及び附帯控訴の申立をしなかつたとこ- 1 -ろ、原審は、債務不履行に基づく請求のみがその審判対象であるとしたうえ、右請求は理由がなく棄却すべきであることのみを理由として、第一審判決の被上告人敗訴の部分を取り消し、右部分につき債務不履行に基づく請求を棄却していることが認められる。 しかしながら、原告が甲請求と乙請求とを選択的併合として申し立てている場合、原告の意思は、一つの申立が認容されれば他の申立はこれを撤回するが、一つの申立が棄却されるときには他の申立についても審判を求めるというものであることは明らかであつて、この意思は、原告が併合形態を変更しない限り、全審級を通じて維持されているものというべきであり、選択的併合の申立が訴訟法上適法なものと認められるべきものである以上、原告の意思に右のような内容の効力を認めるべきものであるから、甲請求につきその一部を認容し、原告のその余の請求を棄却した第一審判決に対し、被告が控訴の申立をし、原告が控訴及び附帯控訴の申立をしなかつた場合でも、控訴審としては、第一審判決の甲請求の認容部分を取り消すべきであるとするときには、乙請求の当否につき審理判断し、これが理由があると認めるときには第一審判決の甲請求の認容額の限度で乙請求を認容すべきであり、乙請求を全部理由がないと判断すべきときに至つてはじめて原告の請求を全部棄却しうるものと解すべきである。 しかるに、原判決は、前示のように、第一審判決の被上告人敗訴の部分を取り消し、右部分について上告人の債務不履行に基づく請求を棄却すべきものとしながら、不法行為に基づく請求については、これを棄却した第一審判決に対して上告人から控訴及び附帯控訴 の被上告人敗訴の部分を取り消し、右部分について上告人の債務不履行に基づく請求を棄却すべきものとしながら、不法行為に基づく請求については、これを棄却した第一審判決に対して上告人から控訴及び附帯控訴の申立がないとの理由のみをもつて原審の審判対象でないとし、その当否について判断をしていないが、右原審の判断は、選択的併合訴訟における控訴審の審判対象についての法令の解釈適用を誤つた違法なものというべきであり、その違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。したがつて、論旨は- 2 -右の違法をいう趣旨において理由があるから、原判決を破棄し、不法行為に基づく請求について審理を尽くさせる必要があるから、本件を原審に差し戻すこととする。 よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官中村治朗裁判官団藤重光裁判官藤崎萬里裁判官谷口正孝裁判官和田誠一- 3 -
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