令和6年4月23日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(ワ)第535号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和6年2月8日判決 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告滋賀県は、原告に対し、500万円及びこれに対する令和2年11月3日 から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 被告Aは、原告に対し、100万円及びこれに対する令和2年11月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は、被告滋賀県(以下「被告県」という。)の設置するB高校に在学してい た原告が、原告母において原告に対するいじめがあることを申告したにもかかわらず、B高校の教員らが同申告に対して適切な対応をしなかったことにより、原告が不登校に至り、その後もB高校の教員らが不登校解消に向けた適切な対応をしなかったため、原告が精神的苦痛を被ったと主張して、被告県に対し、国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づき、慰謝料500万円及びこれに対する不 法行為後の日である令和2年11月3日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法(以下「改正前民法」という。)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、B高校に在学していた被告Aが、原告の通学用鞄にパンやゴミを入れたり、原告の自転車のサドルを前後逆にして下げたり、原告の左足を踏みつけたりしたため、原告は精神的苦痛を被っ たと主張して、被告Aに対し、民法709条に基づき、慰謝料100万円及びこれ に対する不法行為後の日である令和2年11月1日(訴状送達の日の翌日)から したため、原告は精神的苦痛を被っ たと主張して、被告Aに対し、民法709条に基づき、慰謝料100万円及びこれ に対する不法行為後の日である令和2年11月1日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実、後掲各証拠(枝番号のあるものは枝番号を含む。 以下同じ。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実) ⑴ 当事者等(甲1)ア原告原告は、平成29年4月にB高校に入学し、空手道部(以下「本件空手道部」という。)に入部した。 イ被告A 被告Aは、幼稚園時代に地元の空手道場で原告と知り合い、原告と同じ小学校及び中学校に進学し、平成29年4月にB高校に入学し、本件空手道部に入部した。被告Aは、B高校において、原告とは別のクラスに所属していた。 ウ被告県 被告県は、B高校を設置する公共団体である。 エ B高校の教員C教諭は、原告がB高校在校時に在籍していたクラス(以下「本件クラス」という。)の学級担任である。 D教諭は、原告在校時における本件空手道部の顧問である。 ⑵ B高校における出来事原告には、平成29年5月から同年7月、次のような出来事があった。 ア本件空手道部における原告の先輩にあたる生徒は、平成29年5月から同年7月にかけて、原告のスマートフォンから、原告になりすまして、本件クラスのグループラインにおいて、「今日から俺に全員服従な?」、「あー覚 醒剤楽し」などの投稿をした(甲1、乙2)。 イ被告Aは、平成29年5月頃、空手部のロッカーに置いてある原告の通学用鞄に、未開封のパンや、パンを食べた後のラップか袋を丸めたようなゴミを入れた(甲1)。 投稿をした(甲1、乙2)。 イ被告Aは、平成29年5月頃、空手部のロッカーに置いてある原告の通学用鞄に、未開封のパンや、パンを食べた後のラップか袋を丸めたようなゴミを入れた(甲1)。 ウ原告の本件空手道部の先輩にあたる生徒と、被告Aは、平成29年5月頃、原告が通っていた塾の前に停めてあった原告の自転車のサドルを、前後逆に して一番下に下げた(甲1)。 エ被告Aは、平成29年6月5日、本件空手道部の練習中に、原告の左足を踏みつけ、原告は、加療約5日間の左第5足趾関節捻挫の傷害を負った(甲1。以下、前提事実⑵イないしエの被告Aによる各行為を「本件各行為」という。)。 ⑶ 被告Aへの対応ア原告母は、平成29年6月10日、被告Aの母親に対し、本件各行為に関するメールを送り(乙39)、被告A及び被告Aの両親は、原告の自宅へ向かい、原告母に対して謝罪をした(乙40、被告A5及び6頁)。 イ原告母は、D教諭に対して、平成29年6月中旬頃、被告Aが原告に対し て本件各行為を行ったことについて電話で相談した。D教諭は、かかる相談を受けて、被告Aに対して事情聴取を行ったところ、被告Aは上記⑵イ及びウの行為について認める一方、同エの行為は故意によるものではないこと、本件各行為を行ったことについては既に原告に対して謝罪を行ったことを述べた。D教諭は、被告Aに対し、上記⑵イ及びウのような行為を行っては ならないこと指導した(D教諭4及び5頁)。 ⑷ 原告母の申告原告は、平成29年6月26日から同月28日にかけて、B高校を欠席した。 原告母は、同月28日、C教諭と電話し、原告に代わって提出物を持参しにB高校を訪れ、C教諭と面談した。 ⑸ 原告の不登校及び退学 原告は、以下のとおりB けて、B高校を欠席した。 原告母は、同月28日、C教諭と電話し、原告に代わって提出物を持参しにB高校を訪れ、C教諭と面談した。 ⑸ 原告の不登校及び退学 原告は、以下のとおりB高校を欠席し、平成29年11月21日にB高校を退学した。 平成29年4月欠席日数1日(25日)同年5月欠席日数0日同年6月欠席日数4日(8、26、27、28日) 同年7月欠席日数2日(3、10日)(同年7月21日から同年8月31日までは夏休み)同年9月欠席日数11日(4、5、8、13、14、15、19、20、23、24、25、30日)同年10月欠席日数14日(3、4、5、6、16、17、18、 19、20、23、24、25、30、31日)同年11月欠席日数14日(1、2、6、7、8、9、10、13、14、15、16、17、20、21日) ⑹ いじめ調査原告母は、平成31年4月26日、滋賀県教育委員会に対して、B高校における原告に対するいじめの調査をするよう求める要望書を提出した。同委員会は、滋賀県立学校いじめ問題調査委員会(以下「本件調査委員会」という。)を設置し、本件調査委員会は、調査を行った上で、令和2年3月24日、調査 報告書を作成した(甲1)。 同いじめ調査において、本件クラスの生徒に対してアンケートが行われ、1名の生徒の回答の中にLINEのなりすまし投稿(前提事実⑵ア)の事実が触れられていたため、B高校の教員らは同事実の存在を初めて認識した。本件調査委員会が原告に対して同事実について事情聴取したところ、原告はぼんやり と覚えている程度であった(甲1)。 ⑺ 提訴原告は、令和2年10月16日、当裁判所に訴訟を提起し、同訴訟 査委員会が原告に対して同事実について事情聴取したところ、原告はぼんやり と覚えている程度であった(甲1)。 ⑺ 提訴原告は、令和2年10月16日、当裁判所に訴訟を提起し、同訴訟の訴状は、令和2年10月31日に被告Aに、令和2年11月2日に被告県に送達された(当裁判所に顕著な事実)。 2 争点 ⑴ 本件各行為は不法行為に当たるか(被告Aに対する請求に関し)⑵ B高校に、安全配慮義務違反があるか(被告県に対する請求に関し) 3 争点に対する当事者の主張⑴ 争点⑴(本件各行為は不法行為に当たるか)について【原告の主張】 本件各行為は、原告に精神的苦痛を与える違法な行為であるとともに、被告Aは本件各行為を故意に行った。 本件空手道部の練習中に原告の左足を踏みつけたことについて、相手の身体に対して怪我を負わせないようにするべき注意義務があるにもかかわらず、これを怠って原告を負傷させているのであるから、注意義務に反する違法性があ り、少なくとも過失がある。 【被告Aの主張】原告の通学用鞄にパンを入れたことは認めるが、被告A自身の鞄と間違えて入れたものである。ゴミについては不知。パンを入れる際にティッシュくらいは入れたかもしれないが、そうだとしても被告A自身の鞄と間違えて入れたも のである。 本件空手道部の先輩や複数の友達と原告の自転車のサドルをいじったことは認めるが、どっきりのつもり(いたずら)で、原告を驚かせようという気持ちしかなく、原告をいじめる認識はなかった。 本件空手道部の練習中に原告の左足を踏みつけたこと自体は認めるが、故意 に行った行為ではない。注意義務違反は認められず、違法性も過失も認められ ない。 ⑵ 争点⑵(B高校 た。 本件空手道部の練習中に原告の左足を踏みつけたこと自体は認めるが、故意 に行った行為ではない。注意義務違反は認められず、違法性も過失も認められ ない。 ⑵ 争点⑵(B高校に、安全配慮義務違反があるか)について【原告の主張】ア平成29年6月中旬頃、原告母がD教諭に対して、被告Aの本件各行為について電話で相談したこと、同月26日から28日にかけて、原告がB高校 を欠席したこと、同月28日に原告母がB高校に赴いてC教諭と面談した際、原告が「クラスになじめない」「クラスの生徒からよけられている」という相談をしたことからすると、遅くとも同日までには、被告県は、原告に対するいじめが存在するかの調査をし、組織的対応をすることにより、原告に対するいじめを発見した上で、原告をいじめから守り、いじめの続発を防止する ことにより、原告の不登校を防止する義務があった。被告県は上記義務を履行しなかったため、LINEのなりすましいじめ(前提事実⑵ア)を見逃し、ひいてはこれを原因とするクラスメイトが原告に話しかけることを避ける状況や、本件空手道部内におけるその他のいじめを放置することとなり、原告の不登校を招来するに至った。 イ上記アの事情に加え、平成29年9月以降、原告はほとんど不登校となっていたのであるから、遅くとも同月中旬頃には、被告県は、原告に対するいじめが存在するかの調査をし、組織的対応をすることにより、原告に対するいじめを発見した上で、原告をいじめから守り、いじめの続発を防止することにより、原告の不登校を解消する義務があった。被告県は上記義務を履行 しなかったため、LINEのなりすましいじめ(前提事実⑵ア)を見逃し、ひいてはこれを原因とするクラスメイトが原告に話しかけることを避ける状況 校を解消する義務があった。被告県は上記義務を履行 しなかったため、LINEのなりすましいじめ(前提事実⑵ア)を見逃し、ひいてはこれを原因とするクラスメイトが原告に話しかけることを避ける状況や、本件空手道部内におけるその他のいじめを放置することとなり、原告の不登校を解消しないまま、安易に退学という選択肢を提示し、原告をして退学との決断をする心理状態に追い込んだ。 ウ B高校は、平成29年6月28日頃に原告母がいじめ被害を申告した時点 で、事実調査を十分に実施した上で、校長の指揮監督の下、関係する教員が情報を共有して、事案解決に向けて、事実確認の方法や再発防止のための手立て、保護者への連絡等について様々な角度から検討し、生徒理解に基づく重層的な対応を図るという、生徒及び保護者との信頼関係を構築する義務を負っていた。しかし、B高校はこれらの義務を履行しなかったため、原告は 精神的苦痛を受けた。 【被告県の主張】ア D教諭は、平成29年6月中旬頃、原告母から被告Aの本件各行為について電話で相談を受けているが、その後に被告Aに対して事実確認を行い、被告Aは事実を認めたことから、そのようなことをしてはいけない旨厳しく指 導した。その際、被告Aは、本件各行為については原告母へ謝罪しており、原告母からは「今後も仲良くしてやってほしい」旨言われたなどと述べていたこと、その後、被告Aと原告は本件空手道部の部活動の時などにごく普通につきあっていたことから、D教諭が本件各行為については既に解決されたものと判断し、いじめ重大事態としてとらえず、そのため調査を行わなかっ たとしても、注意義務違反はない。 イ平成29年6月28日に原告母がC教諭に対して話した内容は、原告がクラスになじめない、他の生徒と話が合わない、 としてとらえず、そのため調査を行わなかっ たとしても、注意義務違反はない。 イ平成29年6月28日に原告母がC教諭に対して話した内容は、原告がクラスになじめない、他の生徒と話が合わない、本件空手道部の生徒のみが話のできる相手であるということだったものであり、「クラスの生徒からよけられている」といった、本件クラスの生徒が原告に対し仲間外れにするとか、 疎外する行為をするなどといった、原告に対して何かをするというものではなかった。原告の悩みは、あくまでもクラスになじめない等といった原告の内面的な問題だったのであるから、C教諭が原告のクラスの生徒に対して何かを聴取するなどという行動をとることにつながる余地はない。 ウ原告母は、平成29年11月5日、D教諭に対し、秋季総合大会の後で原 告だけ食事に誘ってもらえなかったと申告したが、本件空手道部の部員らは、 原告を含めて特定の誰かを疎外して食事に誘わないなどということをすることはなく、部員らは、原告から本件クラスになじめないと悩みを打ち明けられ、一緒に弁当を食べようと誘いに行ったり、部活動に出てきた原告に対し普段と変わりなく接したりするなど、様々に配慮をしていた状況だったのであるから、原告を疎外するような扱いをすることはありえない状況だった。 そのため、D教諭にいじめの調査義務などはなかった。 エ平成29年9月以降、原告が欠席を続けた際にも、原告や原告母から、いじめられている旨の申告はなかったのであり、繰り返し原告と面談したり、原告母と連絡を取り合ったりして原告の状況を確認するようにしていたB高校の行為に、注意義務違反はない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実⑴ 平成29年6月5日、本件空手道部において、試合形式の練習が行われ、原告 状況を確認するようにしていたB高校の行為に、注意義務違反はない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実⑴ 平成29年6月5日、本件空手道部において、試合形式の練習が行われ、原告と被告Aが試合をしている中で、被告Aが原告の左足を踏みつけたが、他の部員や顧問であるD教諭が見ている中で試合形式の練習が行われていたとこ ろ、当該試合は、審判が試合を止めることなく、原告に特に変わった様子も見られず、中断されることなく進行しており、試合を見ていた者の中に、被告Aが故意に原告に怪我をさせたという認識を持っている者はいなかった(D教諭3及び4頁)。 ⑵ B高校において、平成29年6月7日、生活アンケートが実施されたが、原 告の回答も含めて、本件クラスにおいて生徒間のいじめなどがあるとする回答や、そのおそれを感じさせるような回答はなかった(乙41・2頁、C教諭33頁)。 ⑶ B高校において、平成29年6月19日から同月23日にかけて、1学期期末考査が行われ、原告はその全てに出席した。 同月26日から同月28日にかけて、午前中にテスト返却、午後に学園祭の 準備が行われたが、原告は3日連続で欠席した。 同月29日から同年7月3日までは学園祭の準備が行われ、同月4日から6日にかけて、学園祭が行われた。原告は、同年6月29日(金)には出席したものの同年7月3日(月)は欠席し、同月4日から6日にかけての学園祭には全日出席した(乙41・2ないし4頁)。 ⑷ 原告母は、平成29年6月28日、C教諭に対し、原告が、学校に行きたくない、クラスになじめない、クラスの男子生徒はゲームの話ばかりするが、原告はゲームの話はわからないので世間話がしたい、本件空手道部の生徒のみが話の出来る相手で 、C教諭に対し、原告が、学校に行きたくない、クラスになじめない、クラスの男子生徒はゲームの話ばかりするが、原告はゲームの話はわからないので世間話がしたい、本件空手道部の生徒のみが話の出来る相手である、体育祭は頑張ろうと思っている旨述べていることを相談し(乙34、C教諭2頁、原告母10頁)、原告が、クラスの生徒からよけら れている旨述べていることについても相談した(甲9、乙21の1ないし2、原告母10及び11頁)。C教諭は、原告母に対し、文化祭の準備のうちステンドグラス制作に原告も参加することを提案した(C教諭5及び6頁、原告母12頁)。 ⑸ C教諭は、平成29年6月29日、登校してきた原告と小会議室で面談し、 C教諭は、原告に対し、学園祭の準備をしながら本件クラスの生徒と人間関係を作っていけばよいことや、部活動を頑張りながら学校生活を作っていけばよいことを話した。原告は、クラスになじみにくいことや、他の生徒と話題が合わないことを述べたが、本件クラスの生徒から仲間外れにされているとか、からかわれているといった趣旨の発言はなかった(C教諭3及び4頁)。 ⑹ 学園祭の準備期間において、C教諭は、合唱の練習のために音楽室で練習する際や、体育祭の練習のためにグラウンドで練習する際は常に顔を出し、教室等で作業する際にも、本件クラスの様子を見に行き、生徒がどのように過ごしているかを確認していた。その際、原告は、他の生徒とかかわりあっている様子で、孤立しているような状態ではなかった(C教諭4ないし7頁)。 ⑺ C教諭は、平成29年6月28日に原告母から相談を受けて以降、D教諭と 原告の様子について情報交換をしていた(C教諭10頁、D教諭8頁)。 ⑻ C教諭は、平成29年7月10日、1学年による学年会議で、原告 9年6月28日に原告母から相談を受けて以降、D教諭と 原告の様子について情報交換をしていた(C教諭10頁、D教諭8頁)。 ⑻ C教諭は、平成29年7月10日、1学年による学年会議で、原告がクラスになじみにくいと悩んでいることを報告し、教員らで情報共有した(乙41・5頁、C教諭27及び28頁)。 ⑼ C教諭は、平成29年7月14日、保護者会において、原告母と二者面談を 行った。この際、C教諭は、原告の1学期の成績について話をするとともに、2学期の初めを休まず登校して上手く滑り出してくれたらいいですねという内容の話をし、原告母は原告がクラスに溶け込めるよう配慮を求めたが、それ以外の話は特に出なかった(乙41・5及び6頁、原告母14頁)。 ⑽ 原告は、平成29年7月21日から同年8月31日までの夏休み期間中、本 件空手道部の練習に全て参加した(D教諭5及び6頁)。 ⑾ C教諭は、平成29年9月以降、原告が登校してきたときには、声をかけ、調子が悪ければ無理して登校しなくてもよいこと、部活動だけ参加することでもよいことなどを伝えた(C教諭11及び12頁)。 ⑿ C教諭は、平成29年9月頃、本件空手道部の1年生キャプテンに対し、部 活動での様子を聞くとともに、昼休みに原告を誘って一緒に弁当を食べたり時間を過ごしてやったりしてほしい旨依頼し、実際に、当該生徒は原告にお昼ご飯を一緒に食べるよう誘うなどしていた(乙8の2、C教諭13頁、乙41・6頁)。 ⒀ C教諭は、平成29年9月12日、同年10月16日及び同年11月16日、 B高校の教育相談・特別教育委員会(以下「教育相談委員会」という。)において、原告がクラスに友人がいないため教室にいづらく、そのことから欠席することがあることを報告し、教員間で情報共有した(乙 B高校の教育相談・特別教育委員会(以下「教育相談委員会」という。)において、原告がクラスに友人がいないため教室にいづらく、そのことから欠席することがあることを報告し、教員間で情報共有した(乙33の1ないし3、乙41)。 ⒁ 原告母は、平成29年9月19日、B高校に電話し、電話に出た教員に対し、 C教諭から原告宅への連絡がないが、原告を放置するのかといった内容を訴え た。C教諭は、スクールカウンセラーが来校することになっているので、同カウンセラーに相談することを提案した(乙41・7頁、C教諭14及び18頁)⒂ 原告及び原告母は、平成29年9月22日、B高校へ来校し、原告母がスクールカウンセラーと面談している間、原告とC教諭が面談した(乙41・7及び8頁、原告母26頁)。その際、原告は、家ではごろごろしたりしているとい うこと、中学校の友達と遊んでいるということ、木曜日と土曜日に塾へ行っていることなどを話し、C教諭は、無理をしなくてもいいこと、部活動だけ参加することで良いことなどを話した(乙41・8頁)。 ⒃ B高校において、平成29年10月13日、生活アンケートが実施されたが、原告の回答も含めて、本件クラスにおいて、いじめの被害申告や、いじめられ ている状況を見たことがあるなどとする回答、いじめの存在を疑わせるような回答はなかった(乙41・9頁、C教諭33頁)。 ⒄ C教諭は、平成29年10月及び11月頃、原告や原告母に対し、出席すべき日数の3分の1以上を欠席すると原則として進級することができないこと、B高校に在籍する以外にも、通信制高校へ転学することや、退学して高校入試 を再受験すること、高卒認定試験を受験することなど、様々な選択肢があることを説明した(乙41・10頁、C教諭15頁)。 ⒅ 校に在籍する以外にも、通信制高校へ転学することや、退学して高校入試 を再受験すること、高卒認定試験を受験することなど、様々な選択肢があることを説明した(乙41・10頁、C教諭15頁)。 ⒅ 原告母は、平成29年11月5日、D教諭に対し、同年10月26日及び27日に行われた秋季総合体育大会の後、原告だけ食事に誘われなかった旨の相談をし、これに対してD教諭は、部員は原告を仲間外れにするといったことは 考えていないので、安心してくださいといった趣旨の回答をした(原告母21頁、D教諭13及び14頁)。 ⒆ 本件空手道部では、大会後にご飯を食べに行くことはよくあるが、その時そばにいる者と声を掛け合ってラーメンを食べに行くといったことをしており、メンバーは毎回バラバラという状況だった(乙7)。 2 争点⑴(本件各行為は不法行為に当たるか)について ⑴ 高校における生徒間の行為について、それが特定の生徒に不愉快な思い等をさせるものであったとしても、そのことをもって直ちに不法行為を構成するものとはいえず、当該行為の具体的な性質、当該行為により当該生徒が被る不利益の程度、当該行為の組織性や継続性、当該行為の前後の状況などの諸事情を総合的に考慮し、社会通念上不相当な逸脱行為と認められる場合に限り、不法 行為上の違法性を有すると解するのが相当である。 ア鞄にパンやゴミを入れた行為(前提事実⑵イ)についてまず、被告Aの鞄にパンやゴミを入れた行為は、確かに原告に不愉快な思いをさせる行為ではあるが、態様は軽微といわざるを得ず、原告が多大な精神的苦痛を負ってしまうような性質の行為であるとは認められない。また、 原告自身も、当時は「ちょっとしたいたずら」と捉えていたことが認められる(乙4・1頁)。 といわざるを得ず、原告が多大な精神的苦痛を負ってしまうような性質の行為であるとは認められない。また、 原告自身も、当時は「ちょっとしたいたずら」と捉えていたことが認められる(乙4・1頁)。そして、原告母は2回以上は確実にあったと供述しているところ(原告母48頁)、鞄にパンやゴミを入れた行為が複数回行われたという原告の供述はないのであり、同様の行為が、継続的に、執拗に行われたとは認められない。 そのため、鞄にパンやゴミを入れた行為については、当該行為が故意になされた否かの判断を要するまでもなく、その態様等からして、社会通念上不相当な逸脱行為とは認められず、不法行為上の違法性を有するとは認められないし、金銭をもって賠償しなければならないほどの精神的苦痛が原告に生じたものとも認められない。 イ自転車のサドルを下げた行為(前提事実⑵ウ)についてまず、被告A及び本件空手道部の部員が原告の自転車のサドルを下げた行為は、確かに原告に不愉快な思いをさせる行為ではあるが、態様は軽微といわざるを得ず、原告が多大な精神的苦痛を負ってしまうような性質の行為であるとは認められない。原告自身も「LINEで被告Aにやったかどうか尋 ねると認めた。パンのこともあったので、また?と思ったが、犯人が分かっ てよかったと思ったのでそれ以上深く考えなかった。」と供述している(乙4・1頁)。そして、自転車のサドルを下げた行為が複数回行われたことを認めるに足りる証拠はなく、鞄にパンやゴミを入れた行為及び自転車のサドルを下げた行為が平成29年5月に行われていることをもってしても、被告Aによる原告に対する不快な行為が、継続的に、執拗に行われていたとは認め られない。 そのため、自転車のサドルを下げた行為については、その態様等 29年5月に行われていることをもってしても、被告Aによる原告に対する不快な行為が、継続的に、執拗に行われていたとは認め られない。 そのため、自転車のサドルを下げた行為については、その態様等からして、社会通念上不相当な逸脱行為とは認められず、不法行為上の違法性を有するとは認められないし、金銭をもって賠償しなければならないほどの精神的苦痛が原告に生じたものとも認められない。 ⑵ 空手の練習中に左足を踏みつけた行為(認定事実⑵エ)について原告は、被告Aが空手の練習中に原告の左足を踏みつけた行為は、競技の相手の身体に対して怪我を負わせない注意義務に違反しているため、違法であり、少なくとも過失は認められると主張する。 この点について、空手の練習中に左足を踏みつけた行為は、他の部員や顧問 であるD教諭が見ている中で、試合形式の練習中に行われた行為であるところ、当該試合は、審判が試合を止めることなく、原告に特に変わった様子も見られず、中断されることなく進行しており、試合を見ていた者の中に、被告Aが故意に原告に怪我をさせたという認識を持っている者はいなかったのであるから(認定事実⑴)、被告Aが、試合を見ていた者から見て危険な行為を行ってい たとはいえない。そして、原告の負った怪我は、加療約5日間の左第5足趾関節の捻挫であるところ(前提事実⑵エ)、身体的接触が想定される空手道においては比較的軽微な怪我といえる。また、相手の足を踏んでしまい怪我をさせてしまうことは、空手道の練習においては通常想定されるものである。そのため、被告Aの行為が、空手道の練習中に通常想定される範囲を超えた危険な行 為であったと認めるに足りる証拠はなく、被告Aが、競技の相手の身体に対し て怪我を負わせない注意義務に違反したとは認 告Aの行為が、空手道の練習中に通常想定される範囲を超えた危険な行 為であったと認めるに足りる証拠はなく、被告Aが、競技の相手の身体に対し て怪我を負わせない注意義務に違反したとは認められない。 これに対して、原告は、本件空手道部の部員らが、本件調査委員会の聞き取りに対して、「被告Aは格好をつけようとして無駄な事をするなど、しなくてもいいようなことをしてしまうことがある」(甲1・10頁)、「チームの中で被告Aがヒートアップしてしまうと他の部員に怪我をさせてしまうので、そうい うことはやめるように言っていた」(甲1・11頁)、「被告Aが反則したり、(人名)が被告Aに試合であたって足を骨折したこともある」(乙9の1)と述べていることや、被告Aは、令和▲年▲月▲日から同月▲日にかけて開催された、▲大会の男子個人組手の部において、反則負けしており、同組手の部に出場した▲名の選手のうち、反則負けしたのは被告Aのみであることから(甲8)、 被告Aは、空手の競技を行う際に、平素から競技の相手に怪我をさせることがないようにする注意を通常より欠いていたのであり、本件においても、競技の相手の身体に対して怪我を負わせない注意義務に違反していたことが認められると主張する。しかし、他の部員が被告Aについて危険な反則行為をしてしまうという印象を持っていることや、実際に大会で反則をしていることのみで は、本件において問題となっている行為が危険な行為であったことを認定できない。また、競技のルールにより反則行為という判定を受けたとしても、直ちに不法行為上違法と評価されるわけではない。そのため、原告の上記主張は採用できない。 また、原告は、原告が被告Aによって負傷させられた時期に、原告以外に被 告Aによって負傷させられた部 不法行為上違法と評価されるわけではない。そのため、原告の上記主張は採用できない。 また、原告は、原告が被告Aによって負傷させられた時期に、原告以外に被 告Aによって負傷させられた部員は存在しないところ、その負傷させられた一人が、被告Aが普段からいじめのターゲットにしていた原告であることから、被告Aは、原告に対するいじめの一環として、空手道の練習をいじめの機会として利用し、殊更に原告を負傷させたものであると主張する。しかし、前提事実⑵エ記載の被告Aの行為は、空手道の練習中に通常想定される範囲を超えた 危険な行為であるとはいえないだけでなく、被告Aが故意に原告に対して怪我 を負わせたことを認めるに足りる証拠もないのであって、いじめの機会として殊更に原告を負傷させたとは認められない。そして、本件以外に、空手道の練習中に被告Aが原告に怪我をさせたことは認められず、被告Aによる原告に対する悪質な身体的接触が継続的に、執拗に行われていたことは認められないのであって、いじめの一環として行われた行為とは認められない。そのため、原 告の上記主張は採用できない。 ⑶ 以上のとおり、本件各行為は不法行為に当たらない。 3 争点⑵(B高校に、安全配慮義務違反があるか)について⑴ 原告は、原告母がC教諭に対し、原告が「クラスになじめない」、「クラスの生徒からよけられている」といった相談をしたこと等を契機として、B高校は、 いじめの調査義務、組織的対応義務、不登校防止義務、不登校解消義務、信頼関係構築義務を負っていたにもかかわらず、適切な対応を欠き、原告を不登校及び退学に至らしめたことによって、これらの安全配慮義務に違反したと主張する。 ⑵ 学校の教員は、学校のおける教育活動に伴って生ずるおそれのある危険か にもかかわらず、適切な対応を欠き、原告を不登校及び退学に至らしめたことによって、これらの安全配慮義務に違反したと主張する。 ⑵ 学校の教員は、学校のおける教育活動に伴って生ずるおそれのある危険から 生徒を保護すべき義務を負っており、その一環として、生徒に対するいじめ等の加害行為の存在が疑われる状況を認識した場合には、その早期の発見や再発防止等のため、適切かつ迅速に、必要かつ相当な調査や指導監督等の措置を講ずる義務を負うものと解される。 もっとも、いじめ等の内容や加害者及び被害者の性格、状況心情等は様々で あるし、環境調整を行う場合の範囲や手法はさらに多様なものとなるため、個々の場面において具体的にいかなる措置をとるべきかは、一義的に定まるものではなく、基本的には教育の専門家たる各教員の合理的な裁量に委ねられるというべきであり、教員らがその裁量の範囲を逸脱しており、明らかに不十分・不合理な対応であると認められる場合に限り、安全配慮義務に違反し国賠法上 違法となるものと解するのが相当である。 ⑶ 原告母が、D教諭に対して、平成29年6月中旬頃、被告Aが原告に対して本件各行為を行ったことについて電話で相談したこと(前提事実⑶イ)についてD教諭が、上記相談を受けて、被告Aに対して事情聴取を行ったところ、被告Aは、前提事実⑵イ及びウの行為について認める一方、同エの行為は故意に よるものではないこと、本件各行為を行ったことについては既に原告に対して謝罪を行ったことを述べ、D教諭は、被告Aに対し、同イ及びウのような行為を行ってはならないと指導したことが認められる(前提事実⑶イ)。前提事実⑵イ及びウについては、原告を不快にさせる行為であり、D教諭が被告Aを指導したのは妥当といえる。そして、同エについては うな行為を行ってはならないと指導したことが認められる(前提事実⑶イ)。前提事実⑵イ及びウについては、原告を不快にさせる行為であり、D教諭が被告Aを指導したのは妥当といえる。そして、同エについては、D教諭自身がその行為を 見ており、被告Aが故意に危険な行為を行っていたと認識していなかったこと(認定事実⑴)、上述のとおり、被告Aは空手道の練習中に通常想定される範囲を超えた危険な行為を行っていたとはいえないことから、練習中の事故に留まるものと判断することは妥当といえ、この行為について被告Aにいじめを前提とした指導をしなかったとしても不合理とはいえない。さらに、被告Aは、 本件各行為を行ったことについて既に原告に対して謝罪を行ったことを述べていたのであるから、同イないしエについては既に解決済みと判断することは妥当といえ、更に事実聴取等を行わなかったとしても不合理とはいえない。 したがって、上記相談に対するD教諭の対応に不合理な点はなく、裁量の範囲を逸脱していたものとはいえない。 ⑷ 原告母が、C教諭に対して、平成29年6月28日、原告が「クラスになじめない」、「クラスの生徒からよけられている」旨の相談をしたこと(認定事実⑷)についてアまず、原告及び原告母から、原告が本件クラスにおいて具体的にいじめに遭っているとの申告があったと認めるに足りる証拠はない。 次に、C教諭は、上記相談を受けて、その翌日に原告と面談しているとこ ろ、原告は、本件クラスになじみにくいことや、他の生徒と話題が合わないことを述べたが、本件クラスの生徒から仲間外れにされているとか、からかわれているといった趣旨の発言はしておらず(認定事実⑸)、原告から事情を聴く中でいじめの存在をうかがわせる事情はなかったといえる。 そして、 が、本件クラスの生徒から仲間外れにされているとか、からかわれているといった趣旨の発言はしておらず(認定事実⑸)、原告から事情を聴く中でいじめの存在をうかがわせる事情はなかったといえる。 そして、同月7日の生活アンケートには、本件クラスにおいて生徒間のい じめがあるとする回答や、そのおそれを感じさせる回答もなく、原告の回答も同様であったことや(認定事実⑵)、上記相談直後の学園祭には、原告は全て出席し、C教諭から見て原告は孤立しているような状況ではなかったのであり(認定事実⑹)、原告がクラスの生徒からよけられている状況をC教諭は認識していなかったといえることから、C教諭自身が直接認識した事実の うち、原告に対するいじめの存在をうかがわせる事情はなかったといえる。 さらに、原告母から、原告は「クラスの生徒からよけられている」との相談があったことが認められるものの(認定事実⑷)、そのような事情を窺わせる原告の言動はないことからすると、そのような相談があったことでいじめの調査を行わなかったとしても、不合理とまではいえない。 また、上記相談により、抽象的に原告に対するいじめの存在を認識し得たとしても、本件クラスにおいて原告に対するいじめの調査を行った場合には、原告に精神的負担をかけさせてしまう可能性や、さらに本件クラスになじめなくさせてしまう可能性もあることから、「クラスになじめない」という相談がある中で、いじめの存在すら不明確な状況において、本件クラスにおけ るいじめの調査を行う義務があったとまではいえない。 イ以上を踏まえて、上記相談を受けたC教諭の対応が合理的であるか否かを検討すると、上記相談の翌日である平成29年6月29日から同年7月3日までは学園祭の準備が行われ、同月4日から同月6日にかけて学園祭が行われ えて、上記相談を受けたC教諭の対応が合理的であるか否かを検討すると、上記相談の翌日である平成29年6月29日から同年7月3日までは学園祭の準備が行われ、同月4日から同月6日にかけて学園祭が行われているところ(認定事実⑶)、C教諭は、上記相談の際、原告母に対し、学 園祭の準備のうちステンドグラス制作に原告も参加することを提案し(認定 事実⑷)、同年6月29日に原告と面談した際には、学園祭の準備をしながら本件クラスの生徒と人間関係を作っていけばよいことを助言し(認定事実⑸)、学園祭準備期間中には、音楽室やグラウンド、教室での活動中の原告の様子を確認しているのであって(認定事実⑹)、学園祭を通じて原告が本件クラスになじむことができるよう行動しているといえる。そして、C教諭は、 上記相談を受けて、原告が所属する本件空手道部の顧問であるD教諭と、原告の様子について情報交換し(認定事実⑺)、同年7月10日には、1学年による学年会議で、原告が本件クラスになじみにくいと悩んでいることを報告し、教員らで情報共有をしており(認定事実⑻)、原告が本件クラスになじみにくいという問題について、C教諭個人に留まらず、複数の教員によって対 応をしようと試みている。さらに、同月14日のC教諭と原告母との二者面談において、原告に対するいじめの存在が疑われる事情は窺われなかった(認定事実⑼)。したがって、上記相談以降、夏休みの開始である同月21日(前提事実⑸)までの間におけるC教諭の対応は、原告が本件クラスになじみにくいことに対する対応として不合理であったとはいえない。 次に、原告は、同日から同年8月31日までの夏休み期間中、本件空手道部の練習に全て参加するなど(認定事実⑽)、部活動に関しては意欲を見せていたことから、C教諭は、 あったとはいえない。 次に、原告は、同日から同年8月31日までの夏休み期間中、本件空手道部の練習に全て参加するなど(認定事実⑽)、部活動に関しては意欲を見せていたことから、C教諭は、同年9月以降、原告に対して部活だけ参加することでもよいことを伝えるだけでなく(認定事実⑾及び⒂)、本件空手道部の1年生キャプテンに対し、昼休みに原告を誘って一緒に弁当を食べたり時 間を過ごしてやったりしてほしい旨依頼しており(認定事実⑿)、部活動を通じて原告がB高校に通い続けられるよう行動している。そして、C教諭は、同年9月12日、同年10月16日及び同年11月16日、教育相談委員会において、原告がクラスに友人がいないため教室にいづらく、そのことから欠席することがあることを報告し、教員間で情報共有を行っているのであり (認定事実⒀)、複数の教員による対応も試みている。さらに、原告母に対し て、スクールカウンセラーに相談することを提案するなど(認定事実⒁)、第三者の関与も試みている。また、同年9月22日の面談において、原告母及び原告から、原告に対するいじめの存在が疑われる事情は窺われず(認定事実⒂)、同年10月13日に実施された生活アンケートには、原告の回答も含めて、本件クラスにおけるいじめの存在を疑わせるような回答はなかった (認定事実⒃)。したがって、二学期が開始する同年9月1日から、原告が退学する日である同年11月21日(前提事実⑸)までの間におけるC教諭の対応は、原告が本件クラスになじみにくいことに対する対応として不合理であったとはいえない。 なお、C教諭は、平成29年10月及び同年11月頃、原告や原告母に対 し、出席すべき日数の3分の1以上を欠席すると原則として進級することができないこと、B高校に在 理であったとはいえない。 なお、C教諭は、平成29年10月及び同年11月頃、原告や原告母に対 し、出席すべき日数の3分の1以上を欠席すると原則として進級することができないこと、B高校に在籍する以外にも、通信制高校へ転学することや、退学して高校入試を再受験すること、高卒認定試験を受験することなど、様々な選択肢があることを説明したが(認定事実⒄)、原告に対して不利益にならないよう制度の説明をすることは必要な手続であり、注意義務に反す る行為と評価することはできない。 ウしたがって、上記相談に対するC教諭の対応に不合理な点はなく、裁量の範囲を逸脱していたものとはいえない。 ⑸ 原告母が、平成29年11月5日、D教諭に対し、同年10月26日及び27日に行われた秋季総合体育大会の後、原告だけ食事に誘われなかった旨の相 談をしたこと(認定事実⒅)について本件空手道部の部員の供述によると、本件空手道部では、大会後にご飯を食べに行くことはよくあるが、その時そばにいる人と声を掛け合ってラーメンを食べに行くといったことをしており、メンバーは毎回バラバラという状況だったのであり(認定事実⒆)、仮に秋季総合体育大会の後に原告が他の部員と食 事に行けていなかったとしても、解散後の立ち位置や流れからたまたまそのよ うなことになってしまった可能性も考えられる。そして、本件空手道部の部員は、教員の依頼により、部活動以外の時間においても、原告とお昼ご飯を食べるなどをしていたのであって(認定事実⑿)、原告があからさまに他の部員から疎外されているといった事情はなかった。そのため、上記相談を受けた際に、本件空手道部の部員による原告に対するいじめが発生していると考えなかっ たとしても不合理とはいえず、部員は原告を仲間外れにする 外されているといった事情はなかった。そのため、上記相談を受けた際に、本件空手道部の部員による原告に対するいじめが発生していると考えなかっ たとしても不合理とはいえず、部員は原告を仲間外れにするといったことは考えていないので安心してくださいといった趣旨の回答をしたD教諭の対応は、不合理とはいえない。 したがって、上記相談に対するD教諭の対応に不合理な点はなく、裁量の範囲を逸脱したものとはいえない。 ⑹ 以上より、C教諭及びD教諭の原告に対する対応は、裁量の範囲を逸脱していたものとはいえず、明らかに不十分・不合理な対応であるとはいえないから、B高校に安全配慮義務違反があるとはいえず、その対応が国賠法上違法であるとは認められない。 4 結論 以上の次第であって、原告の請求は、いずれも理由がないから棄却することとし、主文のとおり判決する。 大津地方裁判所民事部 裁判長裁判官池田聡介 裁判官島田正人 裁判官高橋唯
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