【DRY-RUN】主 文 原判決を左のとおり変更する。 東京地方裁判所が、同庁昭和四八年(ケ)第一四〇号不動産競売事件に つき作成した昭和五三年一一月一〇日付原判決添付第一売却代金交付計算書の
主文 原判決を左のとおり変更する。 東京地方裁判所が、同庁昭和四八年(ケ)第一四〇号不動産競売事件につき作成した昭和五三年一一月一〇日付原判決添付第一売却代金交付計算書のうち控訴人に対する交付額五四八九万三九〇二円とあるを八五二八万六二五〇円に、被控訴人Aに対する交付額二四四六万〇七一七円とあるを一〇六万八三六九円に、被控訴人B、同C、同D、同Eに対する交付額七〇〇万円とあるを〇に変更する。 控訴人のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。 事実 控訴代理人は、「一、原判決を取消す。二、東京地方裁判所が、同庁昭和四八年(ケ)第一四〇号不動産競売事件につき作成した昭和五三年二月一〇日付原判決添付第一売却代金交付計算書のうち控訴人に対する交付額五四八九万三九〇二円とあるを八五九九万三二〇〇円に、被控訴人Aに対する交付額二四四六万〇七一七円とあるを三六万一四一九円に、被控訴人B、同C、同D、同Eに対する交付額七〇〇万円とあるを〇に変更する。三、訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人らは、控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の主張、証拠関係は左に付加、訂正するほか、原判決の事実摘示と同一であるから、ここにこれを引用する。 (原判決の訂正、削除)原判決四枚目表五、六行目の「株式会社ケイエム国際」の次に「(以下、ケイエム国際という)」を加入し、同裏五行目の「六五〇〇万円」を「六五五〇万円」と訂正し、同五枚目裏七行目の「(二)」以下同六枚目裏三行目までを削除し、同裏七行目の「貸し渡し」を「貸し渡したとして」と、同七枚目表三行目の「(一)の」以下同五行目までを「つねが、昭和四二年八月八日第一興業に対し七 裏七行目の「(二)」以下同六枚目裏三行目までを削除し、同裏七行目の「貸し渡し」を「貸し渡したとして」と、同七枚目表三行目の「(一)の」以下同五行目までを「つねが、昭和四二年八月八日第一興業に対し七〇〇万円を貸し渡したことがないのに、恰もこれあるように装い、架空の抵当権設定契約を締結し、本件土地、建物につき前記の抵当権設定登記を経由した。」と各訂正し、同一〇枚目表一行目から同裏六行目までを削除し、同一一枚目表九行目から同裏一行目までを、「原告は、昭和四七年一〇月二三日、本件土地、建物につき照美及び第一興業に対し本件代物弁済予約完結権を行使したうえ、同四八年三月二三日、仮登記の本登記手続を求めて、ミクニ交通が右両名を被告として提起していた本登記手続請求の訴(東京地方裁判所昭和四三年(ワ)第六〇八号)に参加した(同庁昭和四八年(ワ)第二一三〇号)が、」と訂正し、同一二枚目表六行目の「同区」を削除し、同裏三行目の「被告区及び同A」を「被告A」と訂正し、原判決添付第一売却代金交付計算書中順位一番の債権者欄の「大東京信用組合」を「大東京信用組合及びE外三名」と、同債権額欄及び交付額欄の「二四五万一五二六円」を「二五二万二七七〇円」とそれぞれ訂正する。 (当事者の主張)一、 控訴人控訴人がケイエム国際から譲受けた代物弁済予約上の権利は仮登記担保権であるところ、仮登記担保権は、抵当権と併用されている場合でも目的不動産を適正な評価額により換価処分してその換価金から債権の満足を得ることを内容とする担保権として抵当権とは独立に存在するものであるから、その債権は、目的不動産の適正な評価額の限度において担保されるものである。それ故、控訴人の本件仮登記担保権によつて担保される債権は、利息、損害金を含め八五九九万三二〇〇円であるから、本件土地、建物の売却 権は、目的不動産の適正な評価額の限度において担保されるものである。それ故、控訴人の本件仮登記担保権によつて担保される債権は、利息、損害金を含め八五九九万三二〇〇円であるから、本件土地、建物の売却代金一億三九九六万四二六七円から、競売手続費用、控訴人に優先する債権者大東京信用組合の債権額及び判決によつて確定された訴外(第一審共同被告)東京都、同都渋谷区の各債権額を差引いた残額八六三五万四六一九円のうち控訴人に交付さるべき金額は、債権の全額八五九九万三二〇〇円であり、被控訴人手に交付さるべき金額は右の残金三六万一四一九円、同Bらに交付さるべき金額は〇となる。よつて本件売却代金交付計算書は、控訴人と被控訴人らに関する限り右のとおり変更さるべきである。 仮に、本件の場合にも民法三七四条が準用されるものとしても、被控訴人AがFより譲受けた確定債権の譲渡額は、二〇三〇万九八五〇円であり、根抵当権移転仮登記の原因にその旨記載されているから先順位の担保権利者である控訴人に対しては右の限度においてのみ対抗することができるにすぎない。然るに競売裁判所は被控訴人Aの代金交付額決定の基礎となる債権を三八一五万五五一〇円とし、関係各債権者(但し、被控訴人Bらを除く)に対し元金及びこれに対する二年分の利息、損害金を交付する計算をした残額四五七八万七八〇四円を、大東京信用組合、控訴人及び被控訴人手の各残存債権額に応じて按分した結果、控訴人は按分額として二二八九万三九〇二円、被控訴人Aは一〇〇七万三三一七円の交付を受ける計算となり、結局原判決添付第一売却代金交付計算書のとおり合計で控訴人は五四八九万三九〇二円、被控訴人Aは二四四六万〇七一七円とされたのである。しかし、前述のように被控訴人手の債権を二〇三〇万九八五〇円とすると、その元金及びこれに対する二年分の利息 おり合計で控訴人は五四八九万三九〇二円、被控訴人Aは二四四六万〇七一七円とされたのである。しかし、前述のように被控訴人手の債権を二〇三〇万九八五〇円とすると、その元金及びこれに対する二年分の利息、損害金を控除した残存債権額は五九二万二四五〇円であるから、前記の方法によつて算出される按分額は三二五万八六九三円、控訴人のそれは二九七〇万八五二六円となる。したがつて前記売却代金交付計算書のうち控訴人と被控訴人らに関する部分の交付額は、控訴人が六一七〇万八五二六円、被控訴人Aが一七六四万六〇九三円、被控訴人Bらは〇となる。よつて前記交付計算書は、少なくとも右のように変更されなければならない。 二、 被控訴人A控訴人は、仮登記担保権の被担保債権の範囲は目的不動産の適正な評価額をその額とする旨主張するが、本件は任意競売であり、かつ控訴人は仮登記担保権を行使していないのであるから、控訴人の優先債権については、民法三七四条の適用がある。 三、 被控訴人Bら本件控訴人の有する担保権は、特定の貸金を担保するための普通抵当権と仮登記担保権であり、且つ、本件は仮登記担保権の私的実行の場合ではないから、最高裁判所の昭和四七年一〇月二六日、同五二年三月二五日の各判決とは事案を異にするものである。本件のような競売手続の中における仮登記担保権の被担保債権の範囲については、民法三七四条が準用されると解すべきである。 理由 一、 東京地方裁判所が、債権者大東京信用組合、債務者第一興業間の本件土地、建物に対する同庁昭和四八年(ケ)第一四〇号不動産競売事件において、昭和五三年一一月一〇日付原判決添付第一売却代金交付計算書を作成したことは当事者間に争いがない。 二、 (控訴人の債権並びに担保権) 1 控訴人と被控訴人Aとの間では、原判決 産競売事件において、昭和五三年一一月一〇日付原判決添付第一売却代金交付計算書を作成したことは当事者間に争いがない。 二、 (控訴人の債権並びに担保権) 1 控訴人と被控訴人Aとの間では、原判決記載請求原因2の事案は争いがなく、控訴人と被控訴人Bらとの間では、右2のうち本件土地、建物につき控訴人主張の各登記が経由されていることは争いがなく、その余の事実については、成立に争いのない甲第三号証の一、二、第一一、及び第一三号証の各二、三、原本の存在及びその成立に争いのない第一五号証の一、第一六号証の一、三、官署作成部分については成立に争いがなく、その余の部分については前記甲第一六号証の一によつて真正に成立したものと認める甲第一一、第一三号証の各一、控訴人と被控訴人Bらとの間においては原本の存在及びその成立に争いがなく、控訴人と被控訴人Aとの間においては前記甲第一六号証の一、原審における被控訴人B本人尋問の結果及び弁論の全趣旨により原本の存在及びその成立を認めうる甲第七、第八号証、第九号証の一ないし三、前記甲第一六号証の一によつて真正に成立したものと認められる甲第一二号証並びに原審における被控訴人B本人尋問の結果(後記措信しない部分を除く)を綜合して、これを認めることができる。 原審における被控訴人B本人の供述中右認定に反する部分は前記各証拠と対比して措信できず、他に右認定を覆すに足る証拠はない。 2 (債権及び担保権消滅の抗弁について)(一) 弁済の抗弁(原判決記載抗弁5)被控訴人Bらは、第一興業がもとの債権者(控訴人の前々主)ミクニ交通から昭和四二年九月一日二〇〇〇万円を借受けた際、利息二六〇万円を天引された旨主張するが、右主張に副う原審における被控訴人B本人の供述は措信し難く、他にこれを認めるに足る証拠はない。しかし、成立に争 ら昭和四二年九月一日二〇〇〇万円を借受けた際、利息二六〇万円を天引された旨主張するが、右主張に副う原審における被控訴人B本人の供述は措信し難く、他にこれを認めるに足る証拠はない。しかし、成立に争いのない乙第一号証並びに前掲被控訴人B本人尋問の結果によると、債務者たる第一興業は、昭和四二年一〇月二八日、ミクニ交通に対し借受金二〇〇〇万円に対する利息として八〇万円を支払つたことが認められ、右認定を覆えすに足る証拠はない。 而して右貸金に対する約定利息は七五万円(利率年一割五分、期間三か月)であるから、前記弁済金八〇万円は、利息の全額と元本に対する五万円の弁済に充当さるべきこととなる。したがつて、控訴人の第一興業に対する債権は、元本一九九五万円、及びこれに対する昭和四二年一二月一日から同五三年一〇月三一日までの年三割による約定遅延損害金六五三三万六二五〇円であるから、債権合計額は、八五二八万六二五〇円というべきてある。 (二) 時効の抗弁(同抗弁3、4)被控訴人らは控訴人の右債権の、同Aは控訴人の代物弁済予約完結権の各時効消滅を主張するのであるが、右被控訴人らは、控訴人の債権ないしは担保権が時効により消滅すれば自己の債権に対し交付額(配当額)の増加を来たすべき間接の利益を受けるにすぎないものであることは弁論の全趣旨により明らかなところであるから、右被控訴人らは控訴人の前記債権及び担保権に関する時効利益の援用権者でないと解すべきである(大審院昭和一一年二月一四日判決、法律新聞三九五九号八頁参照)。 よつて、被控訴人らの時効の主張は採用の限りでない。 (三) 予約完結権の放棄(同抗弁1)控訴人が昭和四七年一〇月一三日訴外G及び第一興業に対し本件土地、建物につき代物弁済予約完結の意思表示をなした上、仮登記の本登記手続を求めて、ミクニ ない。 (三) 予約完結権の放棄(同抗弁1)控訴人が昭和四七年一〇月一三日訴外G及び第一興業に対し本件土地、建物につき代物弁済予約完結の意思表示をなした上、仮登記の本登記手続を求めて、ミクニ交通が右訴外人らを被告として提起していた被控訴人ら主張の訴訟に参加したが、同五三年一〇月五日右訴(参加請求)を取下げたことは当事者間に争いがない。 しかしながら、前掲甲第三号証の一、二、成立に争いのない甲第二一号証並びに弁論の全趣旨を綜合すると、控訴人が右訴(参加請求)を取下げたのは、同訴訟の係属中であつた昭和五一年九月一六日、本件土地、建物の一審抵当権者である大東京信用組合から申立てられた前記一の不動産競売手続において右物件が訴外共栄企業株式会社によつて競落され、同五三年三月一七日控訴人の仮登記が職権により抹消されたため、前記訴訟を維持することができなくなつたことによるものであることが認められるから、右訴の取下げを以つて予約完結権の放棄と解することはできない。被控訴人らの右抗弁は失当である。 (四) 仮登記担保権の失効(同抗弁2)原本の存在及びその成立に争いのない甲第五、第六号証並びに弁論の全趣旨を綜合すると、控訴人は、競売裁判所に対しおそくとも代金交付期日である昭和五三年一一月一〇日までに第一興業に対する債権は元本二〇〇〇万円、利息、損害金六五九九万三二〇〇円である旨記載した計算書とともに本件仮登記担保権を証する証書を提出していることが認められるから、配当手続の関係においてはこれをもつて権利の届出の実質を具えているものというべきであり、したがつて、控訴人の権利の届出を欠くことを理由とする被控訴人らの右抗弁は、失当といわざるを得ない。 三、 (被控訴人Aの債権及び担保権)請求原因7の(一)の事実は当事者間に争いがない。 控訴人は、第 て、控訴人の権利の届出を欠くことを理由とする被控訴人らの右抗弁は、失当といわざるを得ない。 三、 (被控訴人Aの債権及び担保権)請求原因7の(一)の事実は当事者間に争いがない。 控訴人は、第一興業はFから六〇〇万円しか借りておらず、しかもFに対し二〇〇万円ほど弁済しており、昭和四三年一月当時借受金元本は五〇〇万円を下廻つていたものであり、また、本件土地、建物につきFのためにされた根抵当権設定仮登記は所有者である第一興業及びGの意思に基づかないものであつた旨主張するが、右主張に副うような原審における被控訴人B本人の供述は後掲証拠に照らし措信し難く、他に右主張を認めるに足る証拠はなく、かえつて、前掲甲第三号証の一、二、原審証人Hの証言により真正に成立したものと認められる丙第一号証の一ないし六、第二号証、官署作成部分の成立は争いなく、その余の部分については弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる丙第三号証の一並びに原審証人Hの証言を綜合すれば、丸三商事ことFは第一興業に対し、昭和四二年一二月五日一五〇万円、同月八日一五〇万円、同月一五日二〇〇万円、同月一九日三〇〇万円、同月二三日一〇〇万円を、弁済期は右各貸付日から一か月後、利息日歩四銭一厘、遅延損害金日歩八銭二厘の約定で貸し渡し、同年一二月五日同会社との間で金銭消費貸借、手形割引契約を締結し、同日同会社から本件建物につき、Gから本件土地につき元本極度額一〇〇〇万円の根抵当権の設定を受け、同月一九日根抵当権設定仮登記を経由したこと、その後、Fと第一興業間の根抵当取引は終了し、Fは昭和四七年三月二五日確定債権の全部を被控訴人Aに譲渡したこと、右譲渡に随伴して根抵当権も被控訴人Aに移転したため、被控訴人Aは「昭和四七年三月二五日確定債権譲渡譲渡額二三一〇万九八五〇円」を原因とする根 七年三月二五日確定債権の全部を被控訴人Aに譲渡したこと、右譲渡に随伴して根抵当権も被控訴人Aに移転したため、被控訴人Aは「昭和四七年三月二五日確定債権譲渡譲渡額二三一〇万九八五〇円」を原因とする根抵当権移転仮登記を経由したことを認めることができる。 もつとも、前掲丙第二号証及び原審証人Hの証言によると、Fが被控訴人Aに譲渡した債権は前記合計九〇〇万円の貸金であつて、これ以外にはないことが明らかであるから、右仮登記は譲渡額九〇〇万円の範囲においてその効力を有するものというべきである。 控訴人は、Fから被控訴人Aに対する債権の譲渡が昭和四八年四月二日であることを前提とし、右債権の譲渡に伴う根抵当権の移転に関しては、昭和四六年法律第九九号によつて追加された民法第二編第一〇章第四節(第三九八条の二ないし二二)の適用があるから、元本確定の登記を経由しないで、なされた被控訴人Aの根抵当権移転仮登記は全部無効である旨主張するか、債権譲渡の日は前認定のとおりであるから、右主張は前提において失当である。 しかして前掲甲第四、第六号証によると、被控訴人AがFから譲渡を受けた債権元本九〇〇万円に対する代金交付期日までの利息、損害金は、二九一五万五五一〇円であることが認められる。 したがつて、被控訴人Aの前記根抵当権によつて担保される債権の範囲は、元本九〇〇万円とこれに対する二年分の利息、損害金五三八万七四〇〇円であるということができる。 四、 (被控訴人Bらの債権及び担保権)請求原因6の(一)については当事者間に争いがなく、前掲甲第三号証の一、二及び同被控訴人B本人尋問の結果を綜合すると、訴外亡Iは、昭和四二年八月八日、第一興業に対し金七〇〇万円を貸渡し、右債権担保のため本件土地、建物につき抵当権設定契約を締結し、同四三年一月八日抵当権設定登記を 控訴人B本人尋問の結果を綜合すると、訴外亡Iは、昭和四二年八月八日、第一興業に対し金七〇〇万円を貸渡し、右債権担保のため本件土地、建物につき抵当権設定契約を締結し、同四三年一月八日抵当権設定登記を経由したことが認められる。 右消費貸借契約並びに抵当権設定契約が通謀虚偽表示であることを認めるに足る証拠はなく、また、つねが死亡した際、同人の相続人たる被控訴人Bらが、つねの第一興業に対する前記債権を放棄した事実を認め得べき証拠もない。 五、 控訴人と被控訴人らの債権の優劣債権者が金銭債権の満足を確保するために債務者との間に、債務の不履行があつたときは債権者において債務者所有の不動産の所有権を取得して自己の債権の弁済に代えることができる旨の代物弁済の予約を締結し、かつ、右予約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記をしたときは、その仮登記担保関係における権利(以下、仮登記担保権という)の内容は、当事者が特段の意思を表示し、しかもそれが諸般の事情に照らし合理的と認められる特段の場合を除いては、債務者に履行遅滞があつた場合に権利者が予約完結の意思表示をしたときは、権利者において目的不動産を処分する権能を取得し、これに基づいて、当該不動産を適正に評価された価格で確定的に自己の所有に帰せしめること又は相当の価格で第三者に売却等をすることによつて、これを換価処分し、その評価額又は売却代金等から自己の債権の弁済を得ることにあり、もし第三者からの申立により目的不動産について競売手続が進行している場合には、仮登記担保権者は改正前の民訴法六四八条または旧競売法二七条四項四号に基づき、当該権利が仮登記担保権であること及び被担保債権とその金額を明らかにして競売裁判所に届け出る方法により、目的不動産の競売手続に参加して競売代金から配当を受けることができるのである( 四項四号に基づき、当該権利が仮登記担保権であること及び被担保債権とその金額を明らかにして競売裁判所に届け出る方法により、目的不動産の競売手続に参加して競売代金から配当を受けることができるのである(最高裁判所大法廷昭和四九年一〇月二三日判決、民集二八巻七号一四七三<要旨>頁参照)。そして債権の担保のために抵当権と仮登記担保権が併用された場合においては、債権者が単に前者</要旨>の実行方法として後者を特約したものにすぎないものと認めるべき特段の事情がない限り、右両者のいずれかの担保権の選択的実行を許す趣旨であると解されるが、仮登記担保権による被担保債権の額(したがつて、後順位債権者に対する関係での優先弁済権の範囲)は、これについて特段の定めがないときは、目的不動産の適正な評価額と同額と定める趣旨であると解するのが相当である(最高裁判所第一小法廷昭和四七年一〇月二六日判決民集二六巻八号一四六九頁、同第二小法廷昭和五二年三月二五日判決、民集三巻二号三二〇頁参照。もつとも、後者の判決は根仮登記担保権と根抵当権が併用された事案に関するものであるが、通常の仮登記担保権が抵当権と併用されている場合も同様に解することができる)。そしてこの理は、債権者が債権の満足を得るため自ら目的不動産を評価取得し、もしくはこれを売却する等の方法により所有権取得権能を行使する場合であると、第三者の申立により開始された目的不動産の競売手続に参加し、価値取得権能を行使する場合であるとによつて異なるものではないというべきである。けだし、前示判例の挙示する、仮登記担保権の被担保債権の範囲に関する当事者の通常の合理的意思とこれに依拠する仮登記担保権の内容が該権利を実行する手段の差異によつて変容を受けるべき筋合いのものではなく、むしろ、右差異にかかわらず同一のものと把握することが 囲に関する当事者の通常の合理的意思とこれに依拠する仮登記担保権の内容が該権利を実行する手段の差異によつて変容を受けるべき筋合いのものではなく、むしろ、右差異にかかわらず同一のものと把握することが望ましいところであるのみならず、このように解しても併用仮登記担保権の性質上後順位権利者等の第三者としては先順位の仮登記の存在によつて、仮登記権利者が当該不動産によつて全額の優先弁済を受け、自己の権利の実現ができなくなる危険性を容易に予測できるのであり、余剰担保価値を正確に計測できない点は甘受すべきだからである。 (なお、仮登記担保契約に関する法律((昭和五三年六月二〇日法律第七八号))では、目的不動産の強制競売等の場合において担保仮登記の権利者が利息及び遅延損害金債権を有するときは、「その満期となつた最後の二年分についてのみ」後順位債権者に優先する趣旨の規定を設けている((同法一三条二、三項))が、同法は昭和五四年四月一日から施行されたものであるから、本件に適用のないことは明らかであり(附則二条参照)、また、右法律が制定された故を以つては、同法施行前の仮登記担保権に関する前叙の解釈を左右できるものではない)。 してみると、控訴人は前認定のように債権元本を二〇〇〇万円、昭和五三年一〇旦三日までの利息、損害金を六五九九万三二〇〇円とする計算書を競売裁判所に提出するとともに仮登記担保権者である旨の届出をなしているのであるから、同人はその有する全債権につき後順位の債権者である被控訴人A及び同Bらに優先して売却代金の交付を受くべき地位にあるものということができる。そして前示の事実によれば、控訴人と被控訴人らに交付さるべき売却代金額は八六三五万四六一九円であり、控訴人の債権は元本、損害金合計八五二八万六二五〇円であるから同人に対し交付さるべき代金額は る。そして前示の事実によれば、控訴人と被控訴人らに交付さるべき売却代金額は八六三五万四六一九円であり、控訴人の債権は元本、損害金合計八五二八万六二五〇円であるから同人に対し交付さるべき代金額は右債権と同額の八五二八万六二五〇円であるというべきである。しからば交付残余金一〇六万八三六九円は、次順位で被控訴人Bらに優先する被控訴人A(同人の届出債権は前示のとおり三八一五万五五一〇円である)に対し全額交付さるべく、被控訴人Bらに対する交付金は〇ということにならざるを得ない。 六、 以上のとおりであるから、原判決添付第一売却代金交付計算書は、そのうちの控訴人に対する交付額五四八九万三九〇二円とあるのを八五二八万六二五〇円と、被控訴人Aに対する交付額二四四六万〇七一七円とあるのを一〇六万八三六九円と、被控訴人Bらに対する交付額七〇〇万円とあるのを〇と変更さるべきであるから、控訴人の請求は右の限度で理由があるが、その余の請求は失当として排斥を免れない。 よつて本件控訴は一部理由があるから原判決を主文のとおり変更することとし、訴訟費用の負担につき民訴法九六条、九二、九三条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官蕪山厳裁判官浅香恒久裁判官安國種彦)
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