平成11(行ウ)5 公文書非公開決定処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成12年4月7日 千葉地方裁判所 情報公開
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判決文本文13,274 文字)

主文 一原告の平成一〇年一一月一一日付け文書公開請求に対し、被告が同月二五日にした決定のうち以下の部分を取り消す。 1 別表番号3、7、19ないし21、23、32、40、41、46、50、52、55、65、66及び70の文書の非公開とした部分 2 別表番号2、8ないし13、16、18、22、24ないし31、36ないし39、42、44、47ないし49、51、54、56ないし63、67ないし69、71及び72の文書の非公開とした部分(ただし、個人名及び団体名を除く。)二原告のその余の請求を棄却する。 三訴訟費用はこれを六分し、その五を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。 事実及び理由 第一請求被告が、原告に対して、平成一〇年一一月二五日付けでなした、別紙文書目録記載の文書の部分非公開決定処分を取り消す。 第二事案の概要本件は、法人格のない団体が、第一記載の被告の決定について、その取消しを求めている事案である。 なお、立証は、記録中の証拠等関係目録記載のとおりであるから、これを引用する。 一争いのない事実 1 当事者原告は、千葉県の区域内に主たる事務所を有する権利能力なき社団であり、被告は、千葉県公文書公開条例(昭和六三年千葉県条例第三号。以下「本件条例」という。)二条一項にいう実施機関である。 2 本件条例の非公開事由本件条例で公文書の非公開事由を定めたもののうち、本件に関係する部分は別紙千葉県公文書公開条例(抄)のとおりである。 3 原告は、平成一〇年一一月一一日、本件条例に基づき、被告に対し、平成一〇年六月一日から同年八月三一日までに支出の千葉県知事交際費に関する公文書(支出日と支出金額が分かる書類)の公開を請求した(以下「本件公開請求」という。)。 4 被告は、平成一〇年一一月二五日、 一〇年六月一日から同年八月三一日までに支出の千葉県知事交際費に関する公文書(支出日と支出金額が分かる書類)の公開を請求した(以下「本件公開請求」という。)。 4 被告は、平成一〇年一一月二五日、本件公開請求に対応する公文書は秘書課が管理する知事及び副知事(以下「知事等」という。)の交際費の現金出納簿(以下「本件文書」という。)であるとした上、本件文書のうち、収支の月日欄、収支、残高及び使途目的の部分を公開し、交際費支出先等の記載(別表の「摘要」欄のアミ掛け部分。以下「本件係争部分」という。)を非公開とする処分(以下「本件処分」という。)をした。 二当事者の主張 1 被告(一) 本件文書には、知事等の平成一〇年六月ないし八月に支出した知事交際費の内容が、支出月日、支出先の氏名・役職名等、支出金額などを明示して記載されている。 (二) 非公開事由の該当性について本件文書のうち非公開とされた本件係争部分には、本件条例一一条二号に該当するものと、同条八号に該当するものとがある(別表中の「非開示該当事由」欄参照。)。なお、非公開とした部分の記載内容は、別表中の「摘要欄の記載内容」のとおりである。 (1) 本件条例一一条二号該当性について本件条例一一条二号本文にいう「個人に関する情報」とは、住所、氏名、職業、家族関係、所属団体等に限らず、個人に関するすべての情報をいい、「特定個人が識別され、又は識別され得るもの」とは、当該情報のみによって特定個人を識別できる場合のみならず、他の情報と結びつけることで識別できる情報も含まれる。なお、本号は、個人が識別されるか否かのみをメルクマールとして公開・非公開を決定することとしている(いわゆる「個人識別型」)。 支出先の個人名が個人に関する情報であることは明らかである。また、役職名や肩書等も、個人の 識別されるか否かのみをメルクマールとして公開・非公開を決定することとしている(いわゆる「個人識別型」)。 支出先の個人名が個人に関する情報であることは明らかである。また、役職名や肩書等も、個人の社会活動にかかわる情報、すなわち、当該個人に関する情報といいうる。 したがって、個人名、役職名、肩書等は、本件条例一一条二号に該当し、非公開とすべき情報である。 (2) 本件条例一一条八号前段該当性について交際費は、地方公共団体の長又はその他の執行機関が、行政執行上あるいは地方公共団体の利益のために、地方公共団体を代表し、外部とその交渉をするために要する経費である。 千葉県においても、県政の適正円滑な執行のため、極めて広範囲かつ多数の関係諸団体、関係者との交際を必要としており、これを知事らが行うのに要する経費として知事交際費が支出されている。 したがって、知事等の交際が、本件条例一一条八号前段の「実施機関が行う交渉、取締り、立入検査、監査、争訟、入札、試験等の事務事業」に該当することは明らかである。 (3) 本件条例一一条八号後段該当性について交際費の支出金額と支出先が明らかになると、支出の有無、金額の多寡を知った関係者の中に、他者と比較することで自己に対する県の評価等を推し量り、不満や不快の念を抱く者が出ることは容易に予想される。そのような事態により、支出先との間の信頼関係あるいは友好関係が損なわれ、交際事務の目的が失われるおそれがある。 また、知事が、支出先が公開されることにより前記のような事態が生ずることを懸念して、必要な交際費の支出を差し控え、あるいはその支出を画一的にすることを余儀なくされるならば、知事の交際事務の公正若しくは円滑な執行に著しい障害が生ずるといえる。 具体的には、以下のとおりである。 ア御祝交際費の を差し控え、あるいはその支出を画一的にすることを余儀なくされるならば、知事の交際事務の公正若しくは円滑な執行に著しい障害が生ずるといえる。 具体的には、以下のとおりである。 ア御祝交際費の項目が「御祝」であるもの二一件は、知事等が支出先との信頼、友好等の関係の維持、向上を願う趣旨で各種の会合、式典などに出席した際の祝い金として支出したものである。 これらは、いずれも儀礼的交際としてなされるもので、公表されることが予定されていない。しかも、支出するか否か、支出する場合の金額などは個別に決定されている。したがって、支出先や金額を公表した場合、関係者の中に不平、不満を抱く者が出てくることは当然予想され、その場合、交際の相手方との信頼関係が損なわれて交際事務の実施の目的が失われ、将来の交際事務の円滑な執行に支障が生ずる。 なお、その中には報導されたものがないわけではないが、行事等が報道されうるからといって、その支出内容を公表することを予定しているとはいえない。 イ香典、仏前、生花代交際費の項目が「香典」「仏前」であるもの五件と「生花代」であるもの一八件は、知事等が支出先である本人やその家族の葬儀や式典などの際に弔意の趣旨で支出したものであり、すべて支出先として、個人名などが記載されている。 これらは、いずれも、性質上、公表されることが予定されてはいない。しかも、支出するか否か、支出する場合の金額などは個別に決定されている。したがって、支出先や金額を公表した場合、関係者の中に不平、不満を抱く者が出てくることは当然予測される事態であり、その場合、交際事務の実施の目的が失われ、将来の交際事務の円滑な執行に支障が生ずる。 なお、知事等からの献呈の事実が明らかになるとしても、葬儀法要等という限られた空間で明らかになるにすぎないものであっ 場合、交際事務の実施の目的が失われ、将来の交際事務の円滑な執行に支障が生ずる。 なお、知事等からの献呈の事実が明らかになるとしても、葬儀法要等という限られた空間で明らかになるにすぎないものであって、そのことと、公開制度によって、物故者の親族や葬儀法要の列席者と何ら関わりのない第三者に知事等から香典、仏前、生花代を受けた事実がその金額とともに明らかにされることとは、全く別のことである。 ウ見舞交際費の項目が「見舞」であるもの七件は、病気で入院した際の見舞いの趣旨で支出されたものであり、性質上、公表することが予定されていない。しかも、支出するか否か、支出する場合の金額などは個別に決定されている。したがって、支出先や金額を公開した場合、関係者の中に不満や不快の念を抱くものが出てくるなど、交際事務の実施目的が失われ、将来の交際事務の円滑な執行に支障が生ずる。 エ賛助交際費の項目が「賛助」であるもの二件は、各種団体等から協力要請等があった際に、当該団体等の活動に賛同する趣旨で支出したものである。 これらは、いずれも儀礼的交際として支出されたもので、県政と関係ある活動を行い、交際することが県にとって有益である団体に対し、単にその活動の趣旨に賛同していることを示す意味で支出している経費であり、特定の事業等の遂行を育成、助成するために交付する補助金のような財政補助の意味ではなく、その額も法令等に基づく補助金に比べれば、極めて小さい。同様の活動を行う交際の相手方であっても賛助金を出していない場合もあり、また、金額については、個別に決定している。 したがって、その性質上、支出先や金額を公表することは予定されておらず、また、個別に決定しているため、その支出先や金額を公開した場合、関係者の中に不満や不快の念を抱く者が出てくるなど、交際事務の実 したがって、その性質上、支出先や金額を公表することは予定されておらず、また、個別に決定しているため、その支出先や金額を公開した場合、関係者の中に不満や不快の念を抱く者が出てくるなど、交際事務の実施目的が失われ、将来の交際事務の円滑な執行に支障が生ずる。 オ遺児育英資金交際費の項目が「遺児育英資金」であるもの一件は、多年にわたって県政に貢献した職員が死亡して学業途中の年少の遺児が遺された場合、故人の冥福を祈るとともに、遺児家族を励まし、遺児を育英する趣旨に賛同して支出したものであり、個人名などが記載されている。 遺児育英資金の支出は、儀礼的交際としてなされたものであり、その性質上、支出先や金額を公表することは予定されていない。また、知事等と死亡した職員等との関わりなどを考慮して個別に決定しているものであるから、支出先や金額を公開した場合、関係者が不快や不満の念を抱いたり、あるいは、困惑したりして、交際事務の実施目的が失われ、将来の交際事務の円滑な執行に支障が生ずる。 カ懇談費交際費の項目が「懇談費」であるもの一件は、知事等が県政の推進に必要な各方面の理解、協力を得るため、朝食をともにしながら意見交換の場を設けるために支出したものである。 懇談費の支出は、儀礼的交際としてなされるものであり、性質上、公表されることが予定されていない。また、接待の場を設けるか否か、設ける場合でもどのような場にするかは、個別に決定されている。 したがって、支出先や金額などを公開した場合、関係者の中に、不快、不満の念を抱く者が出て、交際事務の実施目的が失われ、将来の円滑な懇談の実施に支障が生ずる。なお、懇談会の名称が明らかになれば、その構成員を明らかにしたのと同様の効果があるので、懇談会の名称の公開もまた交際事務の円滑な実施に支障が生ずるものと われ、将来の円滑な懇談の実施に支障が生ずる。なお、懇談会の名称が明らかになれば、その構成員を明らかにしたのと同様の効果があるので、懇談会の名称の公開もまた交際事務の円滑な実施に支障が生ずるものといえる。 キ会費交際費の項目が「会費」であるもの三件は、個人、団体の祝賀会、会合に出席した際の会費及び知事等として会員となっている団体の年会費として支出したものであり、支出先として個人名などが記載されている。 これらの支出は、知事等の儀礼的交際としてなされたものであり、その性質上、公開を予定されていない。 また、「会費」については、知事等がすべての会合に出席、あるいは団体に参加して支出するものではなく、交際の程度により、出欠、参加、不参加を決めることもあり、また、同程度の交際の相手方からの招待、要請であっても、日程の都合や予算の関係から出席できなかったり、参加できない場合もあって、支出の有無等は具体的事情によって決定されている。団体の年会費についても同様のことがいえる。 したがって、その支出先や金額を公開した場合、関係者が不快、不満の念を抱くなどして交際事務の実施の目的が失われ、将来の交際事務の円滑、適切な執行に支障が生ずる。 なお、原告は、いわゆるポスト指定団体の会費の支出があると主張するが、その支払の事実はない。 ク購読料交際費の項目が「購読料」であるもの十三件は、相手方団体等が新聞・機関誌等を発行している場合に、交際の一環として購読の必要があるため支出するものであるが、交際相手の発行するすべての新聞・機関誌等について購読料を支払っているわけではない。 これらは、儀礼的交際として支出されたものであり、その性質上、支出先や金額を公表することは予定されていない。しかも、購読するか否かは個別に決定しているものであるから、その支 ているわけではない。 これらは、儀礼的交際として支出されたものであり、その性質上、支出先や金額を公表することは予定されていない。しかも、購読するか否かは個別に決定しているものであるから、その支出先や金額を公開した場合、支出先が不快、不満の念を抱いたり、その同業者も県に対して不快、不満の念を抱くなどして交際事務の実施の目的が失われ、将来の交際事務の円滑な執行に支障が生ずるおそれがある。 2 原告の主張本件処分は、本件係争部分が何ら本件条例の定める非公開事由に該当しないにもかかわらず、該当するとしてなされた違法なものである。 (一) 本件条例一一条二号該当性について本号の立法趣旨は、個人のプライバシーの保護である。したがって、公開非公開の判断は、当該情報の公開により、個人のプライバシーが侵害されるか否かで決定されるべきである。 また、本件文書に記載されている事柄は、いずれも交際費という公費を用いて、知事等が公の立場で行ったものである。したがって、交際相手方も、当然交際の内容を県民の前に明らかにされること予想し、あるいは予想すべきであるから、プライバシーの侵害は問題とはならない。 さらに、知事交際費については、報道等により、あるいは、生花、香典のようにその献呈により、支出したことが明らかになるものであるから、非公開とする理由はない。 したがって、いずれも公開されるべきである。 (二) 本件条例第一一条八号該当性について千葉県知事という県政の担い手としてのいわば象徴的な立場で行う交際事務は、公表、披露が義務づけられているものもあるといわなければならない。 また、被告は、交際費の支出金額と相手方が明らかになると、関係者が不平、不満を抱き、その場合、相手方との信頼関係が損なわれ、交際事務の実施の目的が失われ、将来の交際事務の円滑な なければならない。 また、被告は、交際費の支出金額と相手方が明らかになると、関係者が不平、不満を抱き、その場合、相手方との信頼関係が損なわれ、交際事務の実施の目的が失われ、将来の交際事務の円滑な執行に支障が生ずると主張するが、仮に不平、不満を抱く者がいたとしても、そのような低次元の感情のために民主主義にとって不可欠な情報公開をないがしろにすることは許されるものではない。 現在全国の多くの自治体において、首長の交際費の内容に関する全ての情報が公開されるようになっているが、このことは、情報を公開しても何ら首長の交際事務の円滑な執行を阻害するものではないことの証左である。 本件係争部分を公開すべき理由を具体的に述べると、以下のとおりである。 (1) 各種会合、式典への祝い金、スポーツ大会への激励金については、公開された部分を報道などと照らし併せれば、非公開にされた部分が判明するのであって、公表が予定されていないということはできない。 (2) 賛助については、県が交際することが有益であると考える団体や賛同する活動は、県民の前に明らかにされなければならないので、公開すべきである。 (3) 遺児育英資金については、千葉県内部の職員の家族に対し、生活の援助的意味合いの育英資金を交際費から支出することはできないはずであるから、法的に許されない支出が実際になされたのであるかを検証するためにも公開されるべきでものである。 (4) 懇談費について公開されなかった部分は、被告によれば、懇談会自体の名称ということであるから、相手方が明らかになるわけではなく、被告の主張は失当である。また、その支出額は、二五万五四八六円という朝食の懇談会としては極めて多額のものである。このような多額の朝食会が少数の人数の者の間で開催されたとしたら、その支出のあり方自体が県民の批判の 当である。また、その支出額は、二五万五四八六円という朝食の懇談会としては極めて多額のものである。このような多額の朝食会が少数の人数の者の間で開催されたとしたら、その支出のあり方自体が県民の批判の目にさらされなくてはならず、情報公開の必要性の高い情報である。そうではなく、極めて大人数のためにそのような金額となったのであるなら、公の一種の行事として県民に知られているはずであり、非公開とする理由はない。 (5) 会費三件のうち一件が、知事等がその職務上会員となっている団体の年会費として支出されたものであるから、知事が会員であることは特に秘密になっていないところであり、会に所属すれば、その運営に要する費用を会費として負担するのは通常であるから、これらの支出に関する本件文書が公開されたとしても、その交際事務の目的が達成できなくなるとか、それを公正かつ適正に行うことに著しい支障が生ずるおそれがあるとは考えられない。 (6) 購読料については、購読料名目のもと、不正な支出がなされている可能性があるという観点からも、公開すべき情報である。 第三当裁判所の判断一本件係争部分の記載について争いのない事実、証拠(甲第一号証ないし第三号証)及び弁論の全趣旨によれば、(一)本件公開請求の対象文書は、本件文書であること、(二)本件文書のうち公開されたのは、「年月日」欄記載の月日、受領金額欄、支払金額欄、残高金額欄に記載されているすべての数字(金額)及び「摘要」欄の使途目的の部分(御祝、激励金、香典・仏前、生花代、見舞、賛助、遺児育英資金、懇談費、会費及び購読料の一〇項目)であるが、「摘要」欄のうち、本件係争部分が非公開とされ、その部分には、別表の「摘要欄の記載内容」中の[]内の事項が記載されていること、以上の事実が認められる。 そこで、以下、本件係争部 一〇項目)であるが、「摘要」欄のうち、本件係争部分が非公開とされ、その部分には、別表の「摘要欄の記載内容」中の[]内の事項が記載されていること、以上の事実が認められる。 そこで、以下、本件係争部分について、本件条例一一条二号、同条八号該当性の被告主張について検討する。 二本件条例一一条二号該当性について 1 本件条例一一条二号によると、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって特定個人が識別され、又は識別され得るもの。」が非公開事由とされている。本号の立法趣旨は、基本的人権の尊重という観点から、個人のプライバシーを最大限保障する必要があるが、プライバシーの概念や範囲について明確な外延を画することができないところから、その目的実現のため他の地方公共団体の条例で非公開事由とされていることのある「通常他人に知られたくない個人に関する情報」のような文言を非公開事由として採用することをせず、本号のような非公開事由を定めたものと解することができる。そして、当裁判所は、公文書公開請求権やその非公開事由が個々の条例の具体的な定めに基づくものであって、右の請求権が具体的な条例の文言を離れて発生消滅するような筋合いのものではないこと、及び本件条例三条が「実施機関は、個人に関する情報がみだりに公にされることのないよう最大限の配慮をしなければならない。」との解釈運用の指針を定めていることに照らせば、本号の解釈は、右の立法趣旨に従ってなされるべきものと判断する。なお、本号にいう「特定個人が識別され、又は識別され得るもの。」とは、公文書の記載それ自体によって特定個人を識別しうるもののほか、他の情報と併せて特定個人を識別しうるものも含むものと解すべきである。 右の判断に反する原告の主張は、当裁判所の採用するところではない。 2 書の記載それ自体によって特定個人を識別しうるもののほか、他の情報と併せて特定個人を識別しうるものも含むものと解すべきである。 右の判断に反する原告の主張は、当裁判所の採用するところではない。 2 そこで、本件係争部分の本号該当性について判断する。なお、本号の適用について、本号ただし書に該当することの的確な主張立証はない。 (一) 個人の氏名氏名は、個人そのものの情報であり、その氏名が公開されれば、当該個人を識別しうることはいうまでもない。したがって、本件処分のうち、本件文書中の個人の氏名を非公開とした部分は、本件条例一一条二号に照らし、正当である。 なお、原告は、生花代・香典の支払先は、献呈等によって明らかとなるので、文章を非公開とする理由はないとも主張するが、生花や香典の献呈が性質上公表を目的とするものということはできず、その他本件条例一一条二号ただし書に比肩する事情も認められない本件においては、特に生花代・香典の支出先の個人(物故者を含む)を別異に扱う理由はない。原告の右主張は採用しない。 (二) 役職名、肩書もとより、役職名や肩書(以「役職名等」という。)によって特定個人が識別される場合のあることは多言を要しないが、本件においては、その具体的可能性について的確な主張立証がないので、本件処分のうち役職名等を非公開とした部分については、これを是認することはできない。 (三) 続柄通常、続柄の部分のみでは特定個人の識別可能性はないことは明らかであるところ、本件において、この可能性についての特段の事情を窺うべき資料はないから、本件処分のうち、続柄を非公開とした部分については、これを是認することはできない。 3 以上によると、本件処分については、個人名(物故者名を含む)を非公開とした部分は是認できるものの、その他の部分については、 うち、続柄を非公開とした部分については、これを是認することはできない。 3 以上によると、本件処分については、個人名(物故者名を含む)を非公開とした部分は是認できるものの、その他の部分については、本件条例一一条二号を理由に非公開とすることはできない。 三本件条例一一条八号該当性について 1 交際事務は、地方公共団体における行政の円滑な運営をはかるために行われるものであるから、本件条例一一条八号前段所定の事務事業ということができる。そこで、以下、本件係争部分が同号後段所定の非公開事由にあたるか否かについて検討する。 知事交際費は、知事等とその交際の相手方(個人に限らず、法人その他の団体を含む。以下同じ。)との間の信頼関係ないし友好関係の維持増進を目的として行われるものであるから、その内容が公開された場合には、当該相手方が不快、不信の感情を抱くことや、公開された交際費の支出の有無、多寡等をみて、他者と比較することで自己に対する地方公共団体の評価等を推し量り、不満や不快の念を抱く者が出ることも容易に予想される。また、知事交際費の支出の要否及び内容等は、支出権者である知事が、県又は知事等と相手方との関係などの個別具体的な事情に応じ、その裁量によって決定すべきものであるところ、交際の相手方や内容等が逐一公開されることとなった場合には、知事においても、右事態に至ることを懸念して、知事等の交際事務を迅速かつ適切に行うことに著しい支障が生ずるおそれのあることは明らかである。これらの事情に照らせば、本件文書のうち、交際の相手が識別されうる情報は、その公開によって交際事務の目的が達成できなくなるおそれが生じ、また、事務を行うことに著しい支障が生ずるおそれがあるというべきであるから、本件条例一一条八号後段所定の事由があるというべきである。 なお、本件条 って交際事務の目的が達成できなくなるおそれが生じ、また、事務を行うことに著しい支障が生ずるおそれがあるというべきであるから、本件条例一一条八号後段所定の事由があるというべきである。 なお、本件条例一一条八号に該当するものであっても、これを公開するか否かは実施機関の裁量に委ねられているところ(本件条例一一条柱書)、原告指摘のような他の地方公共団体の公開の事例が、直ちに本件文書の公開の有無程度の適法、違法を決定するものではなく、その他右裁量判断を違法とすべき的確な主張立証はない。 右の判断に反する原告の主張を採用することはできない。 2 そこで、以上の判断に照らし、本件係争部分が本件条例一一条八号後段に該当するか否かについて、以下検討する(なお、「香典」、「生花代」、「見舞」及び「賛助(遺児育英)」の使途目的で支出されたものについて非公開とされたのは、別表のとおり「個人名」「物故者名」「役職名」「続柄」であり、これらについては二で説示したとおりであるから、改めての検討はしない。)。 (一) 御祝、激励金これらは、千葉県ないし知事等と相手方との関係の維持、向上を願う趣旨で、あるいは、特定分野関係者を激励することにより、千葉県の特定分野の一層の振興を図る目的で、支出されたものということができるから、その支出先が支出金額と共に公開された場合、1で説示したとおり、将来の交際事務の円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれがあるというべきである。したがって、相手方の団体名について、本件条例一一条八号後段に該当し、公開しないとする被告の判断を是認することができる。 もっとも、別表番号16、18、24、38、39、44、54、55、71及び72中の「行事名」あるいは「祝賀要因」について、また、別表番号70中の「碑名」については、その公開により交際事務に る。 もっとも、別表番号16、18、24、38、39、44、54、55、71及び72中の「行事名」あるいは「祝賀要因」について、また、別表番号70中の「碑名」については、その公開により交際事務に支障が生ずるおそれがあるか否かの点について疑問があるところ、その点についてなんら主張立証がなされないから、これを非公開とした部分は是認することができない。 (二) 賛助(遺児育英目的のものは除く。)賛助金は、補助金以外に、各種団体等から協力要請があった場合、県政と関係ある活動を行い、交際することが県にとって有益である団体に対し、単にその活動の趣旨に賛同していることを示す意味で支出されたものであるところ、同様の活動を行うものについて賛助金を出していない場合もあり、また、金額については、交際の程度、活動内容により多寡があることは、弁論の全趣旨によって認めることができる。そうすると、その支出先が支出金額と共に公開された場合、将来の交際事務の円滑な執行に著しい支障が生ずるおそれのあることは、(一)と同様である。 したがって、賛助金の支出先の団体名の記載された部分は、本件条例一一条八号後段に該当し、公開しないことが是認される。 なお、相手方から賛助の申し出があったとしても、相手方の氏名等の公表、披露が当然予定されていたものと認めることはできないから、この点をいう原告の主張を採用することはできない。 しかし、別表番号42及び47中の「行事名」については、その公開により交際事務の円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるか否かの点について疑問があるところ、その点についてなんら主張立証がなされないから、これを非公開とした部分は是認することができない。 (三) 懇談費懇談費は、知事等が県政の推進に必要な各方面の理解と協力を得るため意見交換の場を設けるために ついてなんら主張立証がなされないから、これを非公開とした部分は是認することができない。 (三) 懇談費懇談費は、知事等が県政の推進に必要な各方面の理解と協力を得るため意見交換の場を設けるために支出されるものであるところ、接遇の程度が様々であることは、その性質上明らかである。そうすると、その支払先が支出金額と共に公開された場合、将来の円滑な懇談の実施に著しい支障が生ずるおそれのあることは、(一)と同様である。 しかしながら、別表番号3の「行事名」については、その公開により交際事務の円滑な執行に支障が生ずるおそれがあるか否かの点について疑問があるところ、その点についてなんら主張立証がなされないから、これを非公開とした部分は是認することができない。 (四) 会費会費の支出が知事等の交際の程度又は日程の都合や予算上の都合に左右されることは、その性質上明らかである。そうすると、その支出先が支出額と共に公開された場合、将来の交際事務の円滑、適切な執行に著しい支障が生ずるおそれのあることは、(一)と同様である。 したがって、会費の支出先の「個人名」(別表番号51及び61)や「団体名」(別表番号35)を記載した部分は、本件条例一一条八号後段に該当し、公開しないとした被告の判断はこれを是認することができるが、それ以外の部分(別表番号51の祝賀要因)については、交際事務の円滑な執行に支障が生ずることについての主張立証がなされていないので、これを非公開とした部分を是認することはできない。 なお、原告は、知事等がその職務上会員となっている団体の年会費として支出されているものがあり、これは公開により交際事務の円滑、適切な執行に支障が生ずるおそれはないと主張するが、右主張内容を窺うような事情のない本件では、原告主張は採用できない。 (五) 購読料 支出されているものがあり、これは公開により交際事務の円滑、適切な執行に支障が生ずるおそれはないと主張するが、右主張内容を窺うような事情のない本件では、原告主張は採用できない。 (五) 購読料被告は、購読料について、交際の相手方団体等が新聞・機関紙等を発行している場合に、交際の一環として購読の必要があるため支出するものである旨主張する。しかし、この主張事実のみをもって、新聞・機関誌を購読することが交際の一環であると認めることはできず、その他、当該部分が、本件条例一一条八号後段に該当することを認めるに足りる的確な事実の立証はない。 したがって、購読料の支出先を公開しないとした部分はこれを是認することができない。 3 以上によると、本件処分については、交際費支出相手方の個人名及び団体名(購読料支払先を除く。)を非公開とした部分は是認できるが、その他の部分を非公開としたことは是認することができない。 第四結論よって、原告の本訴請求は、(一) 別表番号3、7、19ないし21、23、32、40、41、46、50、52、55、65、66及び70、並びに、(二) 別表番号2、8ないし13、16、18、22、24ないし31、36ないし39、42、44、47ないし49、51、54、56ないし63、67ないし69、71及び72の文書の非公開とした部分(ただし、個人名及び団体名を除く。)、以上(一)、(二)の非公開とした部分の取消しを求める限度で理由があるからこれを認容し、その余については理由がないからこれを棄却し、訴訟費用については行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条、六四条に従い、主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第三部裁判長裁判官園部秀穂裁判官小宮山茂樹裁判官大濱寿美は、転補のため、署名押印することができない。 裁判長裁判官 事訴訟法六一条、六四条に従い、主文のとおり判決する。 千葉地方裁判所民事第三部裁判長裁判官園部秀穂裁判官小宮山茂樹裁判官大濱寿美は、転補のため、署名押印することができない。 裁判長裁判官園部秀穂

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