令和6年5月28日宣告令和6年(わ)第297号 判決 主文 被告人を懲役2年に処する。 この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、福岡県弁護士会に所属する弁護士であったものであり、令和元年7月9日、福岡家庭裁判所久留米支部からAの成年後見人に選任され、同人の財産管理等の業務に従事していたものであるが、株式会社B銀行C支店に開設された「A成年後見人D」名義の普通預金口座の預金を、前記Aのために業務上預かり保管中、別表(省略)記載のとおり、令和3年11月9日から令和4年9月29日までの間、23回にわたり、福岡市a区bc丁目d番e号の株式会社B銀行E支店ほか2か所において、自己の用途に費消する目的で、前記口座から現金合計547万8000円を出金し、もって横領した。 (証拠の標目)省略(法令の適用)省略(量刑の理由)被告人は、弁護士として高度の信頼関係に基づいて家庭裁判所から被害者の成年後見人に選任され、本人の利益のためにその財産を管理し、これを守るべき責務を負う立場にありながら、その立場を利用し、11か月近くの期間で23回にもわたって横領を繰り返したものである。その総額は547万円余りと高額に上り、本人 の財産を侵害して本人やその関係者の信頼を大きく損ねただけでなく、弁護士という職業や専門職を利用した成年後見制度に対する社会一般の信頼をも揺るがす悪質な犯行である。心身に変調を来し、弁護士事務所の経営不振により生活に行き詰まっていた等の事情があることを踏まえても、厳しい責任非難を免れない。 こうした事情に照らせば、被告人の刑事責任を軽く見ることは到底できないが、他方で、本件が 士事務所の経営不振により生活に行き詰まっていた等の事情があることを踏まえても、厳しい責任非難を免れない。 こうした事情に照らせば、被告人の刑事責任を軽く見ることは到底できないが、他方で、本件が公に発覚する前に被告人自ら家庭裁判所に対して横領行為を行った旨を申告していること、親族の助力も得て被害額の全額を弁償し、新たに選任された成年後見人との間で和解が成立していること、弁護士会から業務停止6月の懲戒処分を受けるなど、一定の社会的制裁を受けている上、弁護士業務を廃業し、反省の言葉を述べていること、当然ながら前科前歴がないこと等の酌むべき事情も存在する。こうした事情も十分に考慮し、被告人に対しては、主文の懲役刑を定めてその刑事責任を明確にした上で、その刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。 (求刑懲役3年)令和6年5月28日福岡地方裁判所第1刑事部 裁判官志 田 健太郎
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