平成9(行ウ)5 土地区画整理組合設立認可処分取消請求

裁判年月日・裁判所
平成15年2月14日 静岡地方裁判所
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判決文本文24,510 文字)

土地区画整理組合の設立認可処分につき,定款及び事業計画について権利者等の3分の2以上の同意がないとして取り消された事例平成15年2月14日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成9年(行ウ)第5号土地区画整理組合設立認可処分取消請求事件口頭弁論終結日平成14年9月13日判決 主文 1 被告が平成9年2月21日付をもってなした浜松市A土地区画整理組合の設立認可処分は,これを取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要 1 本件は,被告の行った浜松市A土地区画整理組合(以下「本件組合」という)の設立認可処分(以下「本件処分」という)には,土地区画整理法(以下「法」という)18条(定款及び事業計画に関する宅地の所有者及び借地権者の同意),21条1項各号所定の要件(設立認可の基準)を満たさないにもかかわらず認可した違法があるとして,施行区域内の土地の所有者である原告らが,本件処分の取消しを求めた事案である。 2 争いのない事実等(後掲かっこ内の証拠により容易に認定できる事実を含む)(1) 当事者ア 原告らは,いずれも静岡県浜松市B町内に居住し,本件組合の施行地区の区域内に土地を所有する者である。 イ 被告は,浜松市内における土地区画整理組合の設立認可権者である。 なお,土地区画整理組合の設立認可処分は,従前は静岡県において行われており,本件処分は被告が行った初めての認可処分である。 ウ 財団法人浜松土地区画整理協会(以下「区画整理協会」という)は,土地区画整理事業の発展と推進を図り,併せて都市計画事業の促進に貢献することを寄附行為上の目的とする財団法人であって,土地区画整理事業の調査,研究,啓蒙,宣伝等の外,土地区画整理事業施行者の要請に応じて,事務を受託処理することを事業内容 て都市計画事業の促進に貢献することを寄附行為上の目的とする財団法人であって,土地区画整理事業の調査,研究,啓蒙,宣伝等の外,土地区画整理事業施行者の要請に応じて,事務を受託処理することを事業内容とする団体である。 区画整理協会は浜松市内の組合施行の区画整理事業に技術的事務的援助を行うのが通例であり,本件でも,本件組合の設立認可申請事務に関与している(乙16)。 (2) 本件施行区域本件組合が施行する西遠広域都市計画事業B土地区画整理事業(以下「本件区画整理事業」という)の施行地区の区域は,浜松市B町a1,a2,b1及びb2の各全部,B町c1,c2,c3,c4,c5,c6,c7,c8,c9,c10,c11,c12,c13,及びc14の各一部,C町d1,d2,d3及びd4の各全部,C町e1,e2,e3,e4,e5,e6,e7の各一部となっている(以下「本件施行区域」という)。本件施行区域の総面積は75万6500㎡であり,そのうち,住宅地が17.2%,農地が33.6%,商業地が5.9%,工業地が1.2%,山林が4.2%,公共用地が14.0%,その他が23.9%を占めている(甲2)。 また,本件施行区域内の宅地につき,所有権を有する者は541名,借地権を有する者は0名である(権利補正後のもの。以下両者を合わせて「権利者」という)。そのうち,浜松市B町D組(以下「D組」という)の権利者は105名,浜松市B町E組(以下「E組」という)の権利者は111名,浜松市B町F組(以下「F組」という)の権利者は160名,浜松市C町(以下「C」という)の権利者は54名であり,本件施行区域外の権利者は111名である(乙30の1,6,弁論の全趣旨)。 (3) 本件施行区域における土質・地盤の状況本件施行区域の土質は,三方原台地と砂丘列に挟まれた砂丘間 者は54名であり,本件施行区域外の権利者は111名である(乙30の1,6,弁論の全趣旨)。 (3) 本件施行区域における土質・地盤の状況本件施行区域の土質は,三方原台地と砂丘列に挟まれた砂丘間低地で,有機物(腐植物)の多い粘性土やシルト等で特徴づけられる軟弱な地盤であり,以前はそのほとんどが水田であった。そのため,浜松市が発行する浜松市防災地図において,本件施行区域の大半につき,軟弱地盤で液状化現象が発生するおそれがあるとされている。 (4) 本件施行区域における排水状況本件施行区域を含むB,C地区のG川への最大流入流量は,静岡県の規制により毎秒5.4トンと定められている。 また,現状では,本件施行区域外のB団地等からの雨水・排水は本件施行区域内の水田等をもって湛水され,直接河川に流入するものはわずかである。 (5) 本件区画整理事業の契機本件施行区域を含むA地区は上記(2)のとおり農地が多くを占めているところ,住民の中に「農業の後継者が減少しており,農地が耕作されないまま放置されている。今後は土地を開発していかなければいけない」という考えが生まれ,昭和57年,市街化区域編入の要望が浜松市に提出された。 これを契機として土地区画整理事業が浜松市(具体的には浜松市都市計画部都市計画課であり,以下「都市計画課」という)及びA地区で検討されるようになり,平成2年浜松市による土地区画整理調査,同整理事業の基本構想の作成平成3年土地区画整理準備委員会発足平成4年施行区域を確定した事業計画の素案作成平成6年第1回A土地区画整理組合設立発起人会(以下「発起人会」という)開催,施行区域内の権利調整開始という経過を経ている(乙15,証人H)。 (6) 平成7年5月6月説明会発起人会及び都市計画課は,本 1回A土地区画整理組合設立発起人会(以下「発起人会」という)開催,施行区域内の権利調整開始という経過を経ている(乙15,証人H)。 (6) 平成7年5月6月説明会発起人会及び都市計画課は,本件区画整理事業に関する説明を行うため,D組の権利者に対しては,平成7年5月29日,30日,31日の各午後6時30分からD組公民館にて,E組の権利者に対しては,D組と同じ日時に,E組公民館にて,F組の権利者に対しては,同年6月5日,6日,7日の各午後6時30分からF組公民館にて,また,Cの権利者に対しては,同年6月8日の午後7時30分からC町の公民館にて,それぞれ説明会を開催した(以下,上記各説明会を「平成7年5月6月説明会」という)。 各説明会には都市計画課の職員,区画整理協会の職員,発起人会会長Hなどが出席し,同会場において定款及び事業計画を説明する書類として別紙1(枝番を含む)が配布されたほか,都市計画における土地区画整理事業と用地買収方式との比較や建物の移動工法,移転補償制度,減歩の制度,土地区画整理用語等を説明する書面が配布され,更に別紙1の2を拡大した図面が掲示された。 別紙1の1には,本件区画整理事業計画案の概要として,事業の名称,事業の施行者,事業期間,補助事業期間,権利者数,土地利用現況及び土地利用計画,平均減歩率,総事業費,計画人口,公共施設の内容及びスケジュール(平成7年度に事業着手,平成8年度から(整地)工事と建物移転を行うこと等)が記載されているが,資金計画は総事業費の他は記載されていない。 また,別紙1の2には「(仮)西遠広域都市計画事業 B・C地区土地区画整理事業設計図」が記載され,別紙1の3には「(仮称)浜松市A土地区画整理組合定款(案)」が記載されていたが,そこには「第1章総則第1条目的,第2条 仮)西遠広域都市計画事業 B・C地区土地区画整理事業設計図」が記載され,別紙1の3には「(仮称)浜松市A土地区画整理組合定款(案)」が記載されていたが,そこには「第1章総則第1条目的,第2条組合の名称・・・」等定款の目次(項目)のみが記載されており,各条文の具体的文言(内容)は記載されていない(実際に配布されたものは,B4判の用紙3枚にそれぞれ別紙1の1,別紙1の2,別紙1の3が印刷されていた)(乙1の1)。 (7) 本件施行区域の公告被告は,平成7年8月17日,本件区画整理事業の施行地区となるべき区域の公告を行い,当該区域を表示する図面を公衆の縦覧に供した(甲4)。 (8) 考える会の設立このように本件区画整理事業が進んでいく中で,住民の中に同事業に関する説明が不十分であるなどとの考えが生まれ,このような住民たちにより,平成7年11月末ころに「区画整理を考える会」が設立された(後に「B・Cの地域づくりを考える会」と名称を変更している。以下両者を合わせて「考える会」という)。考える会は,機関誌の発行,発起人に対する公開質問状の発行等の活動を行って,地元説明会の開催を求めた(甲1,13,15,16,29ないし31,原告I)。 (9) 平成8年6月説明会発起人会及び都市計画課は,D組公民館で平成8年6月25日,E組公民館で同月26日,F組公民館で同月27日,C町公民館で同月28日に説明会を開催した(以下「平成8年6月説明会」という)。 各説明会には本件区画整理事業の事業計画を説明する書類として別紙2(枝番を含む)が配布されるとともに,同会場に別紙1の2を拡大した図面が掲示された(甲34)。 別紙2の1には,本件区画整理事業計画の概要として,事業の名称,事業の施行者,事業期間,補助事業期間,権利者数,土地利用現況及 とともに,同会場に別紙1の2を拡大した図面が掲示された(甲34)。 別紙2の1には,本件区画整理事業計画の概要として,事業の名称,事業の施行者,事業期間,補助事業期間,権利者数,土地利用現況及び土地利用計画,主な公共施設,平均減歩率,計画人口,資金計画(収入の種別・金額・摘要と支出の種別・金額),今後のスケジュール,関連事業(市別途事業)が記載され,別紙2の2には「B土地区画整理事業計画図」が記載されていた(実際に配布されたものは,B4判の用紙の表面に別紙2の1,裏面に別紙2の2が印刷されていた)(乙1の2)。 (10) 権利者の同意平成7年5月6月説明会以降,権利者から集められた同意書は本件認可申請時点で合計422名分である。 (11) 本件組合の設立認可申請発起人会は,平成8年12月6日,発起人総会を開き,本件組合の設立認可申請をする意思決定をし,同月9日,被告に対し権利者541名のうち422名(約78%)の同意を得られたとして,本件組合の設立認可申請(以下「本件認可申請」という)を行った(甲19)。 なお,その際,発起人会から同申請手続に関する事務処理委託を受けていた区画整理協会は,①一部の同意書に記入済みの平成7年という作成年月日欄の記載を平成8年に改変すると共に,②同意書に日付がないものについては平成8年11月26日と加筆したが,どの同意書についてこれらの日付の改変を行ったのかについては特定できない。 (12) 同意書の取下げ本件組合の設立に関して同意書を提出している権利者のうち,別紙目録3記載の28名は,本件認可申請に前後して発起人宛に「同意書の取り下げについて」という書類を提出し,同意の取下げと同意書の返還を求めた。 このうち,本件認可申請以前に提出されたものは4通であり,同申請後に提出されたの 認可申請に前後して発起人宛に「同意書の取り下げについて」という書類を提出し,同意の取下げと同意書の返還を求めた。 このうち,本件認可申請以前に提出されたものは4通であり,同申請後に提出されたのは24通である(甲22の1ないし13,甲28の1ないし9)。 (13) 意見書の提出本件組合の設立に関して同意書を提出している権利者のうち,別紙目録4記載の34名は,平成9年2月3日,被告に対し,説明が不十分であること,本件施行区域が軟弱地盤であること,排水対策が不十分であること,事業計画の内容に欠陥があること等の理由により現在の事業計画案には同意できない旨記載した意見書を提出した(甲13,27)。 (14) 本件組合の設立認可(本件処分)被告は,静岡県の土地区画整理事業事務処理要領(乙5)を基準にして,平成9年2月21日,本件組合の設立を認可する旨の本件処分をした。 (15) 浜松市は,土地区画整理組合に対する助成方針を拡大しており,平成5年12月当時は助成対象面積は5.0ヘクタール以上であり,市街化率20%以上の地区内の幅員6メートル以上8メートル未満の区画道路については,用地費,補償費の助成はなく工事費のうちの舗装費を助成するのみであったが,平成12年4月には助成対象面積を1.0ヘクタール以上に緩和するとともに,上記区画道路につき,用地費の3分の1と補償費の全額を助成することに助成内容を見直し変更した(乙25,26)。これに伴い,本件区画整理事業に対する補助金は平成7年当時は19億円であったが,平成12年には35億8700万円となっている(甲2,25の3。なお,更に42億円余に増加される見込みである(弁論の全趣旨))。 (16) 本件処分後に開催された本件組合の設立総会において,本件区画整理事業の事業計画書(「西遠広域都市計画 る(甲2,25の3。なお,更に42億円余に増加される見込みである(弁論の全趣旨))。 (16) 本件処分後に開催された本件組合の設立総会において,本件区画整理事業の事業計画書(「西遠広域都市計画事業B土地区画整理事業事業計画書」)が配布された。 同書面は,全15頁(表紙と目次を加えると17頁)から成り,土地区画整理事業の名称,施行者の名称,施行地区の位置,位置図,施行地区の区域,施行地区区域図,土地区画整理事業の目的,事業区域選定の理由,地区の性格及び発展状況,地区内の現況,設計の基本構想,地区外との関連,地積に関する種目別施行前後対照表,減歩率計算表,保留地の予定地積,公共施設整備改善の方針として,都市計画との関連表,道路の整備,公園の整備,都市計画以外の施設及び公共施設別調書,事業遂行のため必要な工作物その他の物件の内容,事業の施行に係わる土地の利用の促進のため必要な工作物その他物件の内容(上下水道,都市ガス),設計図,事業施行期間,資金計画として収入,支出,年度別歳入歳出資金計画表,参考図書として定款,現況図,市街化予想図,宅地所有者及び借地権者の同意書といった内容が記載されている(甲2)。 3 争点及び争点についての当事者の主張(1) 本件認可申請に当たって,権利者の同意がなされたといえるか。本件処分は,法21条1項1号につき適法(「申請手続が法令に違反している」)か否か。 ア法18条の同意を得るに際して定款及び事業計画そのものを示す必要があるか。それとも,その概要書を示し,かつ希望者に定款及び事業計画を閲覧させれば良いか。法18条の同意は何に対する同意か。 (被告の主張)法の目的は内容を周知することにあり,定款及び事業計画について同意を得たというためには,必ずしも定款や事業計画そのものを示す必要はなく,概要書を 8条の同意は何に対する同意か。 (被告の主張)法の目的は内容を周知することにあり,定款及び事業計画について同意を得たというためには,必ずしも定款や事業計画そのものを示す必要はなく,概要書を示して口頭で説明するとともに,希望者に対して定款及び事業計画を閲覧させれば足りる。 定款の記載内容は,専門的知識のない者には,一読しただけでは簡単に理解し難いものであるから,これを口頭で説明した方が分かり易いし,また,事業計画については大部で,地図や設計図を多く含むので,これらの書類を全部見ることは不可能であり,概要を抽出して記載し又は説明した方が分かり易い。 法18条の同意は事業計画に則った土地区画整理組合を設立することの同意であるから,仮に同意書の署名押印を求める前に定款及び事業計画についての説明がなかったとしても,本件組合の設立に同意する意思で同意書に署名押印したのであればそれで充分である。 (原告らの反論)法18条は,土地区画整理組合の設立についての同意を求めているのではなく,設立されるべき組合の定款及び事業計画そのものについての同意を求めているのである。すなわち,法の要求している同意の対象は,同組合の設立についてではなく,定款及び事業計画についてである。それは,定款及び事業計画の内容自体を十分承知したうえで,その可否が判断されるべきものだからである。 定款及び事業計画は組合の組織・運営・事業内容・資金計画等を示すものであり,組合設立に同意するかを決定するための前提となる資料である。したがって,法18条の同意を得るに当たっては定款及び事業計画そのものを示さなければならず,これらの概要書では足りないし,口頭での補足説明は不正確で記録に残らないから概要書を補充できるものとはいえない。 本件では,権利者に対して同意の前 は定款及び事業計画そのものを示さなければならず,これらの概要書では足りないし,口頭での補足説明は不正確で記録に残らないから概要書を補充できるものとはいえない。 本件では,権利者に対して同意の前提として示されるべき定款及び事業計画そのものは本件認可申請時及び本件処分時まで示されていないから,定款及び事業計画についての同意はないというべきである。 イ別紙1,2(枝番を含む)は定款及び事業計画の概要書といえるか。また,別紙1,2(枝番を含む)の定款及び事業計画の概要書と口頭による補足説明で本件の定款及び事業計画を示した(理解した)といえるか。 (被告の主張)本件においては,別紙1,2(枝番を含む)は定款及び事業計画の概要書として十分であり,これらを権利者に対して事前に配布し又は郵送して提示し,かつ,求めがあれば提示できるよう地図や設計図を含む事業計画書綴りを持参したうえ,平成7年5月6月説明会において概要書に基づき定款の内容及び資金計画について口頭で説明している。 したがって,同意をすべきか否かの前提としての定款及び事業計画の理解には十分であり,定款及び事業計画の内容を十分に知り得たのであるから,本件組合の設立に同意する意思で同意書に署名押印したのであれば,それで十分であり,全ての同意は,定款及び事業計画についての同意として有効である。 (原告らの反論)仮に概要書での同意が許されるとしても,別紙1の3は定款の目次の記載しかなく,別紙1の1は事業計画の法定記載事項である資金計画の記載がない。また,別紙2(枝番を含む)は年度別歳入歳出資金計画表の記載がない。 したがって,いずれも概要書としては不十分であって,これにて足りるということはできない。また,各説明会において定款の内容や資金計画についての補足説明はなされていない。し 歳出資金計画表の記載がない。 したがって,いずれも概要書としては不十分であって,これにて足りるということはできない。また,各説明会において定款の内容や資金計画についての補足説明はなされていない。したがって,本件では,定款及び事業計画についての同意があると評価できないし,少なくとも,別紙1(枝番を含む)に基づいて同意をした者は,後に別紙2(枝番を含む)に基づいて説明を受けていない限り,事業計画についての同意があるとはいえない。 (2) 本件認可申請に当たって,本件施行区域内の権利者の3分の2(361名)以上の同意があるといえるか。本件処分は,法21条1項1号につき適法(「申請手続が法令に違反している」)か否か。 ア原告らが原告ら以外の者の同意の無効を主張することは自己の法律上の利益に関係のない違法事由の主張といえるか。 イ本件認可申請前に事業計画の内容に変更があった場合,変更前の事業計画について同意をしている者から改めて変更後の事業計画について同意を取り直す必要があるか。すなわち,同意は,変更後の事業計画についてのものでなければならないか。 ウ法18条にいう同意は法19条の公告の日以降に提出されたものでなければならないか。本件ではどうか。 エ日付が改ざん(変更)された同意書は有効か。本件ではどうか。 オ条件付き同意書は有効か。本件ではどうか。 カ共有者の一部による同意書は有効か。本件ではどうか。 キ死者名義の同意書は有効か。本件ではどうか。 ク同意の撤回は有効か。本件ではどうか。 (被告の主張)ア原告らが問題視する同意書について,当該権利者から同意は無効であるという主張はなされていないのであるから,自己の法律上の利益に関係のない違法事由の主張であり,原告らがこれを主張することは許されない。 イ発起人らが個々の同意書を何年 該権利者から同意は無効であるという主張はなされていないのであるから,自己の法律上の利益に関係のない違法事由の主張であり,原告らがこれを主張することは許されない。 イ発起人らが個々の同意書を何年何月何日に交付を受けたのかについては確定できないが,別紙目録1記載の者のうち,平成8年6月説明会に出席している55名については,少なくとも別紙2(枝番を含む)を受け取ったうえで同意の撤回等を行っていないのであるから,仮に別紙1(枝番を含む)に基づいて同意書を提出していたとしても有効である。 その余の者については,別紙1(枝番を含む)に基づいて同意書を提出したのか,別紙2(枝番を含む)に基づいて同意書を提出したのか明らかではないが,同意書を提出した者のうち,別紙2(枝番を含む)に基づいて説明を受けた人数が明らかでないとしても,別紙1(枝番を含む)でもって権利者が同意すべきか否かを判断する資料として十分であり,別紙2(枝番を含む)と別紙1(枝番を含む)との間に権利者の意思決定を左右するほどの基本的で重大かつ大幅な相違はないうえ,平成7年5月6月説明会,平成8年6月説明会の各通知は全権利者に対して送付されており,平成7年5月6月説明会の後は,一旦発起人に提出した同意書を撤回する権利者や撤回したうえで再度提出する権利者が現れたり,本件区画整理事業について反対運動が展開される等の状況がありながら,本件処分までの間に,同意の撤回がなされていないから,これらの者の同意も有効である。しかも,変更後の別紙2(枝番を含む)記載の事業計画の方が別紙1(枝番を含む)のそれより,権利者にとってより望ましい内容となっているから,特に撤回をしない限り,いずれの事業計画について同意した者であっても本件組合の事業計画の同意とみて差し支えない。 ウ本件における同意書は,全 れより,権利者にとってより望ましい内容となっているから,特に撤回をしない限り,いずれの事業計画について同意した者であっても本件組合の事業計画の同意とみて差し支えない。 ウ本件における同意書は,全部,権利者に対して平成7年5,6月ころに配布した別紙1(枝番を含む)による説明がこの書面及び口頭によりなされた後に,或いは郵送された別紙1(枝番を含む)を閲読した後に作成されたものであり,法19条の公告の日である平成7年8月17日より以前に徴求した同意書は1通もない。 仮にあったとしても,法19条の趣旨は土地登記簿調査では借地権がついている者をすべて把握することが困難なため,施行地区となるべき区域の公告を行うことにより借地している者を把握しその権利を守る目的で行われるものであるから,同意の時期が公告の前か後かは同意の有効性を左右しない。 エ同意書は同意の意味を理解して作成されればよく,作成日付にさしたる重要性はないから,日付が変更,補充されたからといって同意書が有効といえなくなるわけではない。 オ本件において権利者から無効若しくは撤回の意思表示がないこと,同意書に署名押印をした者はいずれも当該土地の管理者又は占有者であり,同意を行う適格を有することからすれば,別紙目録2記載の者の同意書はいずれも有効である。 カ別紙目録2,6記載の者の同意書のうち,要望事項を記載した同意書については,同意したうえで更に要望事項を記載した趣旨であって,同意に条件を付する趣旨ではなく,単に希望を付したものにすぎず,条件付き同意ではない。 仮に条件を明記したものであるとしても,その条件部分が無効になるのみで,同意としては有効である。 キ別紙目録2記載の者の同意書のうち,共有者のうち未同意者があると思われる同意書については,同意は共有者の管理行為として であるとしても,その条件部分が無効になるのみで,同意としては有効である。 キ別紙目録2記載の者の同意書のうち,共有者のうち未同意者があると思われる同意書については,同意は共有者の管理行為として一人でもなし得るから有効である。 クまた,死者による同意書は,共同相続人の一人が管理行為として同意したものであれば有効であると解されるところ,別紙目録2,5記載の者の同意書のうち,登記名義人名(死者と明記)による同意書については,当該土地の所有名義人の共同相続人の一人が被相続人名を表示して作成したものであり,同意は共有者の管理行為として一人でもなし得るから有効である。 ケ別紙目録2記載の者の同意書のうち,登記名義人以外が同意した同意書については,家族が作成したものとして有効であり,また,登記名義人が死亡し,単独相続人又は共同相続人の一人が同意書に署名,押印したものであるから,共有者の管理行為として有効である。 コ別紙目録2記載の者の同意書のうち,相続人が同意した同意書については,いずれも単独相続人又は共同相続人の一人が同意書に署名,押印したものであり,同意は管理行為として共有者の一人でもなし得るから有効である。 サ仮に別紙目録2記載の者の同意の中に有効と認められないものがあるとしても,また,別紙目録2記載の者の同意をすべて無効とみなしても,認可の要件を満たすから,本件処分に違法はない。 シ別紙目録3記載の者について,同意の撤回の意思を表明している書面の提出先が発起人宛であり,認可申請権者の被告宛ではないから,有効な同意の撤回ではない。 (原告らの反論)ア法18条にいう3分の2以上の同意の要件は,認可申請時のみならず,現実に行政処分がなされる認可時点でも必要である。 同意書の有効,無効は提出者の主観を離れて客観的に判断され (原告らの反論)ア法18条にいう3分の2以上の同意の要件は,認可申請時のみならず,現実に行政処分がなされる認可時点でも必要である。 同意書の有効,無効は提出者の主観を離れて客観的に判断されるべきものであるから,認可処分の適法性を争う原告らが主張することに問題はない。 イ施行区域の公告は土地区画整理組合設立に当たっての法律上の要件であり(法19条),公告によって施行区域及び同意を求めるべき権利者が確定するのであるから,権利者による同意は公告の日以降でなければならず,その日までに提出されていた同意書は全て無効といわざるを得ない。 本件では,発起人が平成7年6月15日から同年8月16日までの間別紙1(枝番を含む)を持参して同意書の取りまとめを行っており,法19条の公告の日である平成7年8月17日以前に,同意書が徴求されている可能性が高い。 ウところで,別紙1(枝番を含む)の後に事業計画自体が変更され,それによる認可申請がなされているから,別紙1(枝番を含む)に基づいて同意をした者は,後に別紙2(枝番を含む)に基づいて説明を受け,改めてこれに基づく同意がなされていない限り,事業計画についての同意があるとはいえない。本件では,別紙1(枝番を含む)の事業計画概要書と別紙2(枝番を含む)のそれとでは,資金計画記載の有無(前者には記載がない。),公共用地の面積の相違(前者では11万2991㎡,後者では10万5775㎡),計画変更(後者では区画道路位置の変更等8か所の変更)等本件区画整理事業の成否を左右する重要な点で相違があり,しかも,別紙1(枝番を含む)は極めて杜撰なものであるから,同意書の日付の改ざんにより,別紙1(枝番を含む)の時期の同意書をもって別紙2(枝番を含む)の時期の同意書とすり替えることは許されない。 本件においては 枝番を含む)は極めて杜撰なものであるから,同意書の日付の改ざんにより,別紙1(枝番を含む)の時期の同意書をもって別紙2(枝番を含む)の時期の同意書とすり替えることは許されない。 本件においては,同意者のうち別紙2(枝番を含む)に基づいて説明を受けた人数が明らかではないが,これは区画整理協会によって同意書の日付の改ざんがなされたことが原因であり,被告も改ざんに気付きながら厳密な同意書の日付の特定を怠ったのであるから,被告の責めによるべきものであり,その不利益は被告において甘受すべきものである。したがって,同意書の日付が改ざんされた別紙目録1記載の者91名の同意は別紙1(枝番を含む)に基づくものとみなされるべきである。 エまた,本件では,同意書の作成日付欄の改ざん,補充がなされており,別紙目録1記載の者91名の同意書はいずれも違法無効である。そして,いずれの同意書が公告以前になされたものか不明となっているところ,これは被告の責めによるべきものであるから,日付が改ざんされた別紙目録1記載の者91名の同意書はすべて公告日以前に提出された同意書とみなされるべきであって無効である。 オところで,条件付き同意書は無効であり,共有者の同意を管理行為とみることはできないから,共有者の一人でなしえないし,死者名の同意書を一部共有者の同意書とみることもできない。そうすると,別紙目録2記載の者34名の同意書は,希望を記載した条件付き同意書,共有者のうち未同意者があると思われる同意書,登記名義人以外が同意した同意書,相続人が同意した同意書,死者と明記された登記名義人名による同意書であり,別紙目録6記載の者15名は,「同意書提出についてのお願い書」を提出しており,条件付の同意であるから,いずれも不完全で無効とならざるを得ない。 カ更に,別紙目録4記載 名義人名による同意書であり,別紙目録6記載の者15名は,「同意書提出についてのお願い書」を提出しており,条件付の同意であるから,いずれも不完全で無効とならざるを得ない。 カ更に,別紙目録4記載の者34名は,本件認可申請権者宛の意見書の中で本件に同意できないとしているから,これらの者の提出した同意書は無効であるし,別紙目録5記載の者8名はいずれも本件認可申請時に死亡しており,これらの者の同意書も無効である。 キ別紙目録3記載の者28名の同意は,発起人宛に明確に同意の撤回の意思を表明している者によるものであるから,同意書自体が返還されていなくてもその同意は無効である。 (3) 本件組合の事業計画の内容は,「災害の発生を防止し,その他健全な市街地を造成するために必要な公共施設及び宅地に関する計画が適切に定められている」といえるか。本件処分は,法21条1項2号につき適法(「定款又は事業計画の決定手続又は内容が法令に違反している」)か否か。 ア軟弱地盤対策,地震対策等の調査不足,災害予防対策について(被告の主張)「災害のおそれ」とは,明白な災害のおそれがあり,土地区画整理事業を施行しても「災害発生のおそれ」を解消することが困難な事象を指す。 浜松市の面積の相当部分は,本件区画整理事業の施行区域と同一の土質であり,既に土地区画整理事業が行われて市街化が進んでおり,事業計画上,液状化対策を組込まなければならないものではない。したがって,本件組合の設立認可に際し,必ずしも地盤の軟弱度の調査を行う必要はなく,これをしなかったとしても違法ではない。 被告は,防災地図により地盤の状況や液状化の可能性について十分認識把握していたから,調査不足があったといわれることはない。被告は,そのような土質の土地であることを知ったうえでこの地域を市街化区 被告は,防災地図により地盤の状況や液状化の可能性について十分認識把握していたから,調査不足があったといわれることはない。被告は,そのような土質の土地であることを知ったうえでこの地域を市街化区域とすることがふさわしいと判断したのである。 また,多くの区画整理事業で本件施行区域と同様の地盤でありながら軟弱地盤対策がなされていないことからすれば,軟弱地盤対策は換地指定されて所有者となった者が,その土地の地盤の程度に応じて,可能かつ必要な対策を選択すれば足りるものであり,具体的な軟弱地盤対策を事業計画において策定する必要はない。 したがって,「液状化のおそれ」のような個々の土地の属性は,本件処分における審査の対象とはならないのである。 (原告らの反論)本件施行区域内の大半の土地は,軟弱地盤で液状化現象が発生するおそれがあり,予想される東海大地震の際には甚大な被害を招くことが充分に予測されるにもかかわらず,地質調査がなされておらず,調査不足がある。また,事業計画において何ら具体的な軟弱地盤対策・地震災害防止措置が策定されていないし,災害発生防止のための対策は策定されていない。 「液状化現象のおそれ」は地域的に区域指定が可能な土地の属性ということができる。 イ本件施行区域内の土壌汚染土地と事業計画における汚染対策について(被告の主張)そもそも,土壌汚染は個別の土地の事情であって,本件処分における審査対象とならない。 しかも,本件では,廃棄物処理法に基づく埋立ての届出がないから,L㈱所有の土地に産業廃棄物が埋立てられている事実はない。 仮に,産業廃棄物が埋め立てられていたとしても,市街化を形成するうえで安全上の問題は生じないし,L㈱に除去させれば足りるから,産業廃棄物の処理計画を事業計画(資金計画を含む)において策 はない。 仮に,産業廃棄物が埋め立てられていたとしても,市街化を形成するうえで安全上の問題は生じないし,L㈱に除去させれば足りるから,産業廃棄物の処理計画を事業計画(資金計画を含む)において策定する必要はなく,本件処分の面では問題はない。 (原告らの反論)L㈱所有の土地は産業廃棄物が埋立てられ土壌汚染されている(水銀・カドミウム・鉛・ヒ素・シアン等の有害物質が多量に含まれている。)。したがって,これを放置したまま市街地化することは危険であり,これらの処理の施策がなされなければならない。にもかかわらず,事業計画では,その調査及び除去等の処理計画が策定されていない。 ウ水害発生のおそれと事業計画における防止措置について(被告の主張)事業計画においては,本件施行区域外の雨水は調整池には入らず暗渠で直接河川に放水されることになっている。 (原告らの反論)事業計画では,本件施行区域内の雨水は調整池に集め,河川に放流排出することになっているが,この調整池の設計上,本件施行区域外から雨水が流入することが考慮されていない。本件区画整理事業が実施されると,本件区域外の雨水・排水も調整池に流入することになり,大雨の際には,調整池がオーバーフローして付近を流れる新川の最大流入水量を超え,新川が氾濫し,新川沿岸住民に水害をもたらす危険が大きいにもかかわらず,その防止措置が採られていない。 エ公共用地の施行前の面積が実際より減少させられていることについて(被告の主張)別紙1(枝番を含む)を作成した際には,本件施行区域全体の面積を図面上で求積し,ここから本件施行区域内の個人所有土地の登記簿地積の合計面積を引いた残りを公共用地の面積としたが,その後,別紙2(枝番を含む)を作成した際には,個人所有地の登記簿地積を集計し,公共用地 上で求積し,ここから本件施行区域内の個人所有土地の登記簿地積の合計面積を引いた残りを公共用地の面積としたが,その後,別紙2(枝番を含む)を作成した際には,個人所有地の登記簿地積を集計し,公共用地の面積についても図上求積した結果,公共用地の面積は10万5775.56㎡となった。したがって,実際の公共用地の面積が減ったのではない。 (原告らの反論)別紙1(枝番を含む)によれば,施行前の公共用地の面積は11万2991㎡であったにもかかわらず,別紙2(枝番を含む)及び完成した事業計画においては,公共用地の面積は10万5775.56㎡となっており,公共用地の面積が約7200㎡減少している。 施行前の公共用地の面積は減歩率に直接関係する極めて重要なものであるにもかかわらず大幅に減少しているから,事業計画の内容に法令違反が存することになる。 (4) 本件施行区域には,「市街地とするのに適当でない地域」が編入されているか。本件処分は,法21条1項3号につき適法(「市街地とするのに適当でない地域(中略)が施行区域に編入されている」)か否か。 (被告の主張)本件施行区域内に地盤が軟弱であり,また,土壌汚染された土地があるとしても,個別的に対応すれば足りるから,市街地とすることに支障はない。 (原告らの反論)本件施行区域は,地盤の軟弱な土地,産業廃棄物が埋立てられて土壌汚染された土地があるから,市街地とするのに適当でない地域である。 (5) 本件区画整理事業を施行するために必要な経済的基礎は,本件組合において充分か。本件処分は,法21条1項4号につき適法(「土地区画整理事業を施行するために必要な経済的基礎及びこれを的確に施行するために必要なその他の能力が十分でない」)かどうか。 ア保留地の処分予定価格の算定評価について(被告の主 号につき適法(「土地区画整理事業を施行するために必要な経済的基礎及びこれを的確に施行するために必要なその他の能力が十分でない」)かどうか。 ア保留地の処分予定価格の算定評価について(被告の主張)本件区画整理事業の資金計画で前提としている保留地の処分予定価格は正当なものである。 本件認可申請時である平成8年度の地価公示価額調査,地価基準調査及び実勢価格に基づいて保留地の処分予定価格を適正妥当と判断したのであって,現在の時価評価が下がっていることは本件処分の適否と関係ない。 保留地をどこにどのように取るかによってその処分金額は相当に変化させ得るのであるから,保留地を定める位置・形状によって1㎡あたり11万8000円で売却処分することは不可能ではないし,浜松市は助成金を上積みするなど,認可した本件区画整理事業の遂行上の障害を排除する助成をしている。 また,浜松市内には本件施行区域と同様の地盤の地域が多数あり,保留地の価格を評価する際に参考にした地価には,軟弱地盤強化対策費用の負担が生じる土地も含まれている。したがって,保留地の処分価格を浜松市内の一般的な土地と比して特に下げなくとも,軟弱地盤強化対策費用の負担を考慮していないことにはならない。 (原告らの反論)保留地の処分予定価額が過大評価である。完成した事業計画では,保留地の処分予定価額を1㎡あたり11万8000円と評価して保留地地積10万2300㎡を平成13年度より5年間で売却するとして保留地処分金121億1600万円を計上しているが(11万8000円/㎡×10万2300㎡=120億7140万円であるが,事業計画では121億1600万円が計上されている。(甲2)),バブル経済崩壊後の土地価格の下落により,このような価格で保留地が売却される見込みは殆どない。将来 0㎡=120億7140万円であるが,事業計画では121億1600万円が計上されている。(甲2)),バブル経済崩壊後の土地価格の下落により,このような価格で保留地が売却される見込みは殆どない。将来の売却が予定されているのであれば,将来の価格を見込むべきである。 しかも,本件施行区域の大半が軟弱地盤で液状化の危険があり,軟弱地盤強化対策費用や汚染土壌の有害物質除去費用,埋蔵文化財の発掘費用等の余分な負担がかかることに照らせば,本件処分当時においても保留地の処分予定価格は過大評価である。 この保留地処分金額は本件組合の全収入198億6000万円の約61.2%に当たる。このように保留地の処分可能価額を過大に評価した上で,その評価に基づく保留地処分金の取得を予定した事業計画は経済的基礎を欠く。 イ有害物質の除去対策費用について(被告の主張)L㈱所有の土地に産業廃棄物が埋立てられているという事実はないから,その除去費用は必要がない。 仮に,産業廃棄物が埋立てられていたとしても,その土地を所有者に現地換地指定することによってL㈱に除去させれば足りるから,除去対策費用を事業計画で計上する必要はないし,本件組合にとって大きな負担となるとは予測されない。 (原告らの反論)本件施行区域内に廃棄物が埋設され人体に有害な重金属を含む土壌の土地があるが,その除去費用が事業計画で計上されていない。 ウ埋蔵文化財調査費用について(被告の主張)埋蔵文化財の発掘費用は一般的な調査設計費として11億3475万円,文化財調査費として3億円が計上されており,事業計画において費用的な対策がなされている。 (原告らの反論)本件施行区域内のかなりの土地の地中に埋蔵文化財があって,その調査と保全に費用がかかるが,その費用的な対策がなされて されており,事業計画において費用的な対策がなされている。 (原告らの反論)本件施行区域内のかなりの土地の地中に埋蔵文化財があって,その調査と保全に費用がかかるが,その費用的な対策がなされていない。なお,事業計画において埋蔵文化財の調査費として3億円が予定されているか明らかでない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)について(1) 土地区画整理組合の設立認可処分は,施行地区内の権利者にとって,組合の事業経費を分担する義務を負う(法40条)組合員としての地位を取得させられる処分であるから,申請手続が法令に違反していないこと,すなわち,同設立認可申請に当たり,定款及び事業計画についての同意が,施行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内の宅地について借地権を有するすべての者のそれぞれ3分の2以上存在することについては,認可権者である被告において立証すべきものと解するのが相当である。したがって,これが立証できなければ,土地区画整理組合設立認可処分は取消を免れないこととなる。 (2) 法18条(平成11年3月法律第25号による改正前のもの,以下同じ)は土地区画整理組合の設立認可を申請しようとする者は,「定款及び事業計画について,施行地区となるべき区域内の宅地について所有権を有するすべての者及びその区域内の宅地について借地権を有するすべての者のそれぞれの3分の2以上の同意を得なければならない。」と規定している。 そして,事業計画については,建設省令で定めるところにより,施行地区(施行地区を工区に分ける場合においては施行地区及び工区),設計の概要,事業施行期間及び資金計画を定めなければならないと規定されており(法16条,14条,6条),資金計画は,資金計画書を作成し,収支予算を明らかにして定めなけれ おいては施行地区及び工区),設計の概要,事業施行期間及び資金計画を定めなければならないと規定されており(法16条,14条,6条),資金計画は,資金計画書を作成し,収支予算を明らかにして定めなければならないとされている(法施行規則7条)。しかして,この資金計画は,当該事業遂行における財政面での健全性を検討するにつき重要な意義を有するものといわなければならない。 また,定款については,施行地区(施行地区を工区に分ける場合においては施行地区及び工区)に含まれる地域の名称,事業の範囲,参加組合員に関する事項,費用の分担に関する事項,役員の定数,任期,職務の分担並びに選挙及び選任の方法に関する事項,総会に関する事項等,一定の事項を記載しなければならない旨規定されている(法15条(平成11年7月法律第87号による改正前のもの,以下同じ)。しかして,この定款についても,人的かつ財政的な面において当該事業遂行上重要な利害関係を有するといわなければならない。 (3) したがって,法18条にいう施行地区となるべき区域内の権利者の3分の2以上の同意は定款及び事業計画についてなされることが必要であり,事業計画についての同意というためには,資金計画の定めのある事業計画についての同意でなければならず,また,定款についても,上記一定の事項を理解したうえでの同意でなければならないというべきである。 2 前記争いのない事実等に,証拠(甲2,3,12,13,15ないし19,21の1及び2,34,乙2,10,16,27,28,29の1,2,3の1ないし4,4の1ないし6,5の1ないし4,30の1ないし6,31の1ないし13,33,証人J,同K,同H,原告I)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件処分に至る経緯について以下の事実が認められる。 (1) 平成7年5月6月説明会 いし4,30の1ないし6,31の1ないし13,33,証人J,同K,同H,原告I)及び弁論の全趣旨を総合すると,本件処分に至る経緯について以下の事実が認められる。 (1) 平成7年5月6月説明会発起人会及び都市計画課は,平成7年5月15日付けで,本件施行区域内外の権利者に対し,説明会の開催通知を発送し,平成7年5月6月説明会を開催した。 D組の説明会では,平成7年5月29日,30日,31日にそれぞれ54名,46名,5名(合計105名)の権利者が出席した。 E組の説明会では,同年5月29日,30日,31日にそれぞれ31名,43名,26名(合計100名)の権利者が出席した。 F組の説明会では,同年6月5日,6日,7日にそれぞれ42名,42名,45名(合計129名)の権利者が出席した。 Cの説明会では,同年6月8日に46名の権利者が出席した。 平成7年5月6月説明会の出席者の名簿は残されておらず,各説明会の出席者の人数のみが残されているにとどまる。そのため,本件組合の設立に関し,同意者を提出した者のうち何名がこの説明会に出席しているか明らかではない。 〔証人Jは,平成7年5月6月説明会では,定款の具体的内容や本件区画整理事業の収入・支出という資金計画の内容を口頭で説明した旨供述するけれども,その裏付けはなく,かえって,証人Hの供述によれば,その当時,資金計画はできていなかったというのであり,総事業費を除くこれらの説明はなかった旨の原告Iの供述部分に照らし,採用することができない。〕(2) 平成8年6月説明会前の同意書の取りまとめ平成7年6月15日,発起人に同意書用紙が配布され,同年8月17日から同年11月1日までの間に,本件施行区域内の権利者に対し発起人ないし区画整理協会の職員が,別紙1(枝番を含む)を持参するなどし 平成7年6月15日,発起人に同意書用紙が配布され,同年8月17日から同年11月1日までの間に,本件施行区域内の権利者に対し発起人ないし区画整理協会の職員が,別紙1(枝番を含む)を持参するなどして同意書を配布すると共に同意書を集めて回った。 また,本件施行区域外の権利者に対しては平成7年11月2日,別紙1(枝番を含む)及び「同意書の日付は記載しないで下さい。」などと記載した書面を添付して同意書を郵送して,同意書の取りまとめを行ったが,この取りまとめにつき,定款及び資金計画を含む事業計画書が各権利者に交付ないし送付されることはなかった。その際,要望を述べた権利者に対しては,「同意書提出についてのお願い書」を渡してこれに要望を記載させた。 (3) 平成8年6月説明会発起人会及び都市計画課は,考える会が説明会の開催を求めていたこと,及び平成7年5月6月説明会当時とは事業計画が修正されていたことなどから,平成8年6月14日付けで,本件施行区域内外の権利者に対し説明会開催通知を発送し,平成8年8月説明会を開催したが,各説明会の参加者のうち,同意書を提出している者は別紙目録7記載のとおり219名である。 〔被告は平成8年説明会の出席者のうち同意書を提出している人数は224名であると主張するけれども,乙31の1ないし13の出席者のうちの同意者にはフェルトペンで丸印を付したとしており,フェルトペンで丸印を付された人数は別紙目録7記載のとおり219名であるから,被告の上記主張は採用しない〕。 平成8年6月説明会では,別紙2のみが配布され,それに基づく説明がなされ,原告Iは,事業計画や定款を示してもらいたい旨要請したが,応じてもらえなかった。 (4) 別紙1(枝番を含む)と別紙2(枝番を含む)の主な相違点別紙1(枝番を含む)と別紙2( づく説明がなされ,原告Iは,事業計画や定款を示してもらいたい旨要請したが,応じてもらえなかった。 (4) 別紙1(枝番を含む)と別紙2(枝番を含む)の主な相違点別紙1(枝番を含む)と別紙2(枝番を含む)の主な相違点は,①公共用地の施行前面積が,別紙1の1では11万2991㎡であるのに別紙2の1では10万5775㎡となっている点,②計画道路と公園の位置や形状が8か所にわたって変更されている点,③別紙1の1では総事業費額があるのみであったが,別紙2の1では資金計画として収入・支出の費目と金額が記載されている点である。 (5) 平成8年6月説明会後の同意書の取りまとめ状況平成8年6月説明会後は,発起人会事務所,区画整理協会事務所,都市計画課の各所において,別紙2(枝番を含む)が配布されたほか,平成8年6月説明会の後において未だ本件区画整理事業に同意をしていない者に対しては,発起人ないし土地区画整理協会の担当者が別紙2(枝番を含む)を持参ないし郵送して同意書の提出を要請していた。しかし,既に同意している者については,平成8年6月説明会後において改めて別紙2(枝番を含む)を持参ないし配布していない。 したがって,平成8年6月説明会後の時点で既に同意していた者で,平成8年6月説明会に出席せず,かつ,発起人会事務所等に別紙2(枝番を含む)を取りに行かなかった者は,別紙2(枝番を含む)を閲読していないことになるが,その具体的人数は明らかではない。 (6) 同意書の撤回と再提出平成8年6月説明会の後,説明の内容が不十分であるとして,考える会は「事業の内容がよく分からない形で同意を求められるのは相当でない」等権利者を説得する形で同意書の撤回についての働きかけを始め,平成8年7月15日に発起人から46通の同意書の返還を受けると共に,その後 事業の内容がよく分からない形で同意を求められるのは相当でない」等権利者を説得する形で同意書の撤回についての働きかけを始め,平成8年7月15日に発起人から46通の同意書の返還を受けると共に,その後も同意書の撤回に関する働きかけを行った。 これに対して,発起人らは,不安を持っている権利者に対し,不安の理由を聞き,改めて説明して誤解を解くなどの方法によって同意の取り集めを行い,上記同意書を撤回した者のうち26名から再び同意書の提出を受けた。 (7) 本件認可申請同意率は80%弱であり,発起人会が目標としていた90%には届いていなかったものの,このような状況においては,これ以上同意書の取りまとめの努力をしても同意率が増える見込みが少ないとして,平成8年12月6日,本件認可申請を行う意思決定を行い,同月9日,発起人会は被告に対し本件認可申請を行った。 その際,本件認可申請に関し発起人会から事務処理委託を受けていた区画整理協会の担当者は,同意書に加筆を行った。このうち,少なくとも別紙目録1記載の者91名の作成した同意書について改変がなされたことは認められるものの,それ以外の同意書についてどのような改変がなされたのか明らかではなく,したがって,同意書がいつ提出されたのかについても不明である。 その結果として,最終的に提出された422通の同意書のうち,平成7年5月5日から平成7年10月28日までの日付の同意書は5通,平成8年11月26日付の同意書が331通,平成8年11月26日以外の平成8年9月9日から平成8年12月27日までの日付の同意書が83通,日付の記載のないものが3通となった。 (8) 本件認可申請と本件処分発起人会が本件認可申請を行ったことに対し,考える会は平成8年12月9日,被告に対し設立認可差止願いを行った。 浜 83通,日付の記載のないものが3通となった。 (8) 本件認可申請と本件処分発起人会が本件認可申請を行ったことに対し,考える会は平成8年12月9日,被告に対し設立認可差止願いを行った。 浜松市は,平成8年12月20日,考える会に対する説明会を開催したが,本件組合の設立を延ばす方向で話し合いを進めるべきとする考える会の意見は変わらなかった。 平成8年12月24日,被告は本件認可申請を受理し,審査を開始し,平成9年2月21日,本件処分を行った。 (9) 定款及び事業計画書の配布そして,その後に開催された本件組合の設立総会において,定款及び事業計画書が出席した権利者に初めて配布された。 (10) 同意者数の推移本件土地区画整理事業に関する同意者数は,平成8年1月22日時点では,385名(補正前の権利者数528名に対する同意率72.9%),平成8年6月説明会開催直後の平成8年6月6日時点では421名(補正前の権利者数536名に対する同意率78.5%),考える会主導による同意書の返還がなされたあとの平成8年8月29日時点では375名(補正前の権利者数536名に対する同意率70.0%),平成8年10月4日時点では393名(補正前の権利者数536名に対する同意率73.3%),本件認可申請時は422名(補正後の権利者数541名に対する同意率78.0%)であった。 3 争点(1)(2)について(1) 上記の事実によれば,全ての権利者は別紙1(枝番を含む)を閲読し又はその機会が与えられており,うち219名の権利者は平成8年6月説明会に出席したことが分かるものの,平成7年5月6月説明会にはどれだけの人数の者が出席したのかを確定することはできないのである。 (2) しかして,上記第2の2(6)記載のとおり,別紙1(枝番を含む)は,定款(案) とが分かるものの,平成7年5月6月説明会にはどれだけの人数の者が出席したのかを確定することはできないのである。 (2) しかして,上記第2の2(6)記載のとおり,別紙1(枝番を含む)は,定款(案)については目次(項目)だけであって各条文の具体的文言(内容)の記載がなく(なお,甲3,12の実際の定款では「第26条業務代行方式について」の規定が新たに加えられている。),また,法が定めなければならないと規定している資金計画(前記第3の1(2))についても別紙1の1には総事業費以外,収入・支出等の具体的な定めがないから,別紙1(枝番を含む)を閲読した権利者において,定款の内容及び事業計画の重要部分を理解し得ないといわざるを得ない。したがって,別紙1(枝番を含む)は,本件組合の設立に当たり,同意をすべきか否かの前提としての定款及び事業計画を理解するうえで不十分というほかなく,定款及び事業計画の概要書としては不十分であるといわなければならない。別紙1(枝番を含む)は定款及び事業計画の概要書として十分であるとの被告の主張は採用することができない。 この点につき,被告は,法18条の同意は事業計画に則った区画整理組合を設立することの同意であるから,仮に同意書の署名押印を求める前に定款及び事業計画についての説明がなかったとしても,区画整理組合の設立に同意する意思で同意書に署名押印したのであればそれで充分である旨主張する。 しかしながら,定款及び事業計画は区画整理組合の設立に関して同意するか否かを判断するための前提となる重要な事柄であり,それゆえに,法は定款及び事業計画の両方につき同意することを要求しているものと解されるのであるから,被告の上記主張はその重要性を軽視する解釈であって採用することができない。 また,被告は,平成7年5月6月説明会 款及び事業計画の両方につき同意することを要求しているものと解されるのであるから,被告の上記主張はその重要性を軽視する解釈であって採用することができない。 また,被告は,平成7年5月6月説明会において概要書に基づき定款の内容及び資金計画について口頭で説明している旨主張するが,定款及び資金計画を含む事業計画の両方について,具体的な内容や定めを理解しうる程度に必要かつ十分な口頭の説明をしたことを認めるに足りる証拠はない(前記第3の2(1))から,被告の上記主張もまた採用することができない。 そうすると,別紙1(枝番を含む)の閲読により同意した者については,定款及び事業計画の内容を十分に知り得たうえでの同意があったとはいえないというべきである。このことは,平成7年5月6月説明会において,求めがあれば提示できるよう地図や設計図を含む事業計画書綴りを持参していたとしても,これにより左右されるものではない。 (3) しかして,本件施行区域の権利者は541名であり,その3分の2以上の同意とは361名以上の同意であるが,本件認可申請時点における全同意者は422名(ここでは有効・無効を問わない。)であるところ,同意者のうち,何名の者が平成7年5月6月説明会に出席していたかは不明であり,また,同意者のうち,平成8年6月説明会に参加したことが明らかとなっている219名を除けば,何名の者が別紙2(枝番を含む)による説明を受けたかは明らかではない。したがって,証拠上,別紙2(枝番を含む)に基づいて説明を受けたと認められる者は平成8年6月説明会に出席した219名にとどまるから,平成8年6月説明会に出席した219名全員が,別紙2(枝番を含む)の配布を受けて,定款及び事業計画について有効な同意をしたと仮定しても,この人数の同意では権利者の3分の2以上の同意 にとどまるから,平成8年6月説明会に出席した219名全員が,別紙2(枝番を含む)の配布を受けて,定款及び事業計画について有効な同意をしたと仮定しても,この人数の同意では権利者の3分の2以上の同意に満たないのである。 以上によれば,本件処分は法18条に違反していることとなる。 そうすると,本件では,その余の争点について検討するまでもなく,本件処分は無効である。 (4) 被告は,原告らが原告ら以外の者の同意の有効性を争うことは自己の法律上の利益に関係のない違法事由の主張である旨主張する。 しかし,法18条が定款及び事業計画について権利者の3分の2以上の同意を要求しているのは,土地区画整理組合の設立認可が権利者個々人の利害に密接に絡んで,それぞれの利害関係に影響を及ぼす処分であることに鑑み,一定数の同意を要求することによって権利者個々人の権利ないし利益を保護するためであると解されるから,権利者の3分の2以上の同意があるか否かに関わる主張は原告ら権利者各自にとって自己の法律上の利益に関係のあるものというべきであって,この点に関する被告の上記主張は採用することができない。 4 以上のとおりであるから,原告らの請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がある。 よって,本件処分を取り消すこととし,主文のとおり判決する。 静岡地方裁判所民事第1部裁判長裁判官笹村將文裁判官島田尚登裁判官齊藤研一郎 一郎

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