令和3(行ケ)10010 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和3年6月30日 知的財産高等裁判所 1部 判決 請求棄却
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判決文本文11,174 文字)

令和3年6月30日判決言渡令和3年(行ケ)第10010号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和3年5月26日判決原告炭プラスラボ株式会社同訴訟代理人弁理士福地武雄被告御木本製薬株式会社同訴訟代理人弁理士中村知公前田大輔伊藤孝太郎朝倉美知 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求特許庁が無効2020-890052号事件について令和2年12月15日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等⑴ 被告は,以下のとおりの登録第5387228号商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である(甲1,2)。 商標の構成パールアパタイト(標準文字)登録出願日平成22年10月7日登録査定日平成23年1月6日設定登録日平成23年1月28日 指定商品第1類「化学品」第3類「化粧品,せっけん類,香料類,つけづめ,つけまつ毛」⑵ 原告は,令和2年6月19日,本件商標の指定商品中,第1類「化学品」及び第3類「化粧品,せっけん類」の商標登録について,商標登録無効審判を請求した(甲19)。 特許庁は,上記請求を無効2020-89005 令和2年6月19日,本件商標の指定商品中,第1類「化学品」及び第3類「化粧品,せっけん類」の商標登録について,商標登録無効審判を請求した(甲19)。 特許庁は,上記請求を無効2020-890052号事件として審理を行い,令和2年12月15日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月24日,原告に送達された。 ⑶ 原告は,令和3年1月21日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。 2 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。その要旨は,①本件商標は,「パールアパタイト」の文字を標準文字で表してなり,「パール」の片仮名と「アパタイト」の片仮名を結合した構成からなるものと理解されるところ,このうち「パール」の文字は,「真珠」の意味を有する語として,一般に広く親しまれているのに対し,「アパタイト」の文字は,特定の意味合いを理解させるとはいえないものである,②このように「真珠」の意味を有する「パール」の文字と,特定の意味合いを理解させるとはいえない「アパタイト」の文字を結合させた「パールアパタイト」からなる本件商標は,構成全体をもって一体不可分の一種の造語として認識,把握されるものであり,特定の商品又は商品の品質,用途等を具体的に表示するものとして直ちに理解されるものとはいい難く,商品の品質を認識させるものとはいえない,③したがって,本件商標を本件審判の請求に係るいずれの指定商品に使用しても商品の品質の誤認を生ずるおそれはないというべきであるから,本件商標は,商標法4条1項16号に該当せず,同号に違反して登録されたものではないというものである。 3 取消事由本件商標の商標法4条1項16号該当性の判断の誤り第3 るから,本件商標は,商標法4条1項16号に該当せず,同号に違反して登録されたものではないというものである。 3 取消事由本件商標の商標法4条1項16号該当性の判断の誤り第3 当事者の主張 1 原告の主張⑴ 「パールアパタイト」の語の意味の認定の誤り本件審決は,本件商標は,「真珠」の意味を有する「パール」の文字と,特定の意味合いを理解させるとはいえない「アパタイト」の文字を結合させた構成からなるから,構成全体をもって一体不可分の一種の造語として認識,把握されるものであり,商品の品質を認識させるものとはいえない旨認定したが,以下のとおり,「アパタイト」の語は,本件商標の登録査定時において,取引者,需要者の間で,特定の意味合いを有する語として,一般的に広く知られていたから,本件審決の上記認定は,その前提において誤りがある。 ア甲23の1ないし145の2のウェブサイトの記事等は,本件商標の登録査定時において,歯科の分野,化粧品の分野,せっけんの分野等において,「アパタイト」の語が,特定の化学物質「ハイドロキシアパタイト」を意味する語として使用されてきたことを示している。 イ甲146ないし205の新聞記事,雑誌等から,本件商標の登録査定時において,①「薬用ハイドロキシアパタイト」が配合された歯磨き剤(商品名「アパガードM」)が,歯垢を吸着し,歯を白くする効用があると一般的に認識されており,歯磨き剤の取引者,需要者の間で,「アパタイト」の語が,歯の再石灰化を促し美白効果のある「ハイドロキシアパタイト」を意味すると認識されていたこと,②「アパタイト」が光触媒として有用であることが一般的に認識されており,化学品の取引者,需要者の間で,「アパタイト」の語が,光触媒応用製品に適用可能な「アパタイト」を意味す ると認識されていたこと,②「アパタイト」が光触媒として有用であることが一般的に認識されており,化学品の取引者,需要者の間で,「アパタイト」の語が,光触媒応用製品に適用可能な「アパタイト」を意味すると認識されていたことが理解される。 ウ前記ア及びイによれば,本件商標の登録査定時において,「アパタイト」 の語が,取引者,需要者の間で,歯の再石灰化を促し美白効果のある「ハイドロキシアパタイト」又は光触媒応用製品に適用可能な「アパタイト」を意味する語として,一般的に広く認識されており,「アパタイト」という成分に着目して商品の購入に及ぶといった取引の実情があったものといえる。 したがって,本件商標の構成中の「アパタイト」の文字が特定の意味合いを理解させるとはいえないとした本件審決の認定は誤りである。 そして,このような取引の実情を考慮すると,「パール」と「アパタイト」とが結合した「パールアパタイト」の語から構成される本件商標は,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」という物質(化学物質)を想起させるものであるから,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有するという商品の品質を表示するものである。 ⑵ 商品の品質の誤認を生ずるおそれの判断の誤り前記⑴のとおり,本件商標は,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有するという商品の品質を表示するものである。 そうすると,本件商標を「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有しない「化学品」又は「化粧品,せっけん類」に使用した場合,取引者,需要者において,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有する商品であるとの商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから,本件商標は,商標法4条1項16号に 用した場合,取引者,需要者において,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有する商品であるとの商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから,本件商標は,商標法4条1項16号に該当するというべきである。 これを否定した本件審決の判断は誤りである。 ⑶ 小括以上のとおり,本件審決における本件商標の商標法4条1項16号該当性の判断に誤りがあるから,本件審決は取り消されるべきである。 2 被告の主張⑴ 「パールアパタイト」の語の意味の認定の誤りの主張に対し ア 「パールアパタイト」の語は,辞書に掲載されていない,被告による造語である。 「パール」の語は,英単語「PEARL」の音訳として認識されるものであり,当該英単語から即座に認識できる意味合いは,一般的に「真珠」である。しかし,「パール」の語は,真珠が持つ色合いや光沢感などにより,色彩の名称として「パールホワイト」,化粧品に用いられる顔料として「パール剤」など,多様な意味合いで使用されているから(甲11ないし13),「パール」の語から,特定の商品の品質に関する具体的かつ単一の特性を理解できない。 次に,「アパタイト」の語は,英単語「apatite」又は「appetite」のいずれかの語に通じることから,「燐灰石」又は「本能的欲望,(特に)食欲」等の意味合いを有する(甲14ないし18)。また,「アパタイト」は,リン酸カルシウム類の一般名称(総称)であり(甲45,48,114等),これには,水酸アパタイトやチタンアパタイトなど様々な「アパタイト」が含まれ,必ずしも「ハイドロキシアパタイト」その他の具体的なリン酸カルシウム化合物と同一視されるものではない。 そうすると,「アパタイト」の語から,特定の商品の品質に関する具体的な特性を理解できない。 れ,必ずしも「ハイドロキシアパタイト」その他の具体的なリン酸カルシウム化合物と同一視されるものではない。 そうすると,「アパタイト」の語から,特定の商品の品質に関する具体的な特性を理解できない。 このように「パール」及び「アパタイト」のそれぞれの文字からは,商品の品質に関係する特定の意味合いは生じないから,これらの語を結合した構成からなる造語である本件商標「パールアパタイト」は,特定の商品の特性を表示するものとはいえない。 したがって,本件商標は,取引者,需要者において,特定の商品の品質を認識させるものとはいえないとした本件審決の認定に誤りはない。 イ原告が挙げる甲号各証は,歯磨き粉など歯科に関するものや,触媒化学,生化学,地質学,分析化学,物理化学等,アパタイトの中の特定の物質に 関連する研究に関する論文等であり,本件審判の請求に係る指定商品とは異なる分野の情報である。また,これらの文献は,歯科医業など特定分野の専門的な知識を有しないと理解が困難な内容で,高度かつ専門性が非常に高いものであるから,上記指定商品の一般的な取引者,需要者が,これらの文献に接し,当該内容についての知識を有することは通常ではない。 また,これらの文献のほとんどは,ヒドロキシアパタイトやフッ素アパタイト,チタンアパタイト等,リン酸カルシウム類としての「アパタイト」に含まれる個別の物質名についてのものであり,中にはリン酸カルシウム類の総称としての「アパタイト」の解説も含まれるが,「アパタイト」が上記指定商品との関係で特定の意味合いを持つことを示すものではない。 したがって,原告が挙げる甲号各証から,本件商標の登録査定時において,「アパタイト」が上記指定商品との関係で特定の意味合いを持ち,その意味合いに通じる特性が,取引者,需要者において商品 はない。 したがって,原告が挙げる甲号各証から,本件商標の登録査定時において,「アパタイト」が上記指定商品との関係で特定の意味合いを持ち,その意味合いに通じる特性が,取引者,需要者において商品の特定の品質に関するものとして理解されていたとはいえない。 ⑵ 商品の品質の誤認を生ずるおそれの判断の誤りの主張に対し前記-1 のとおり,本件商標は,特定の商品の特性を表示するものとはいえず,取引者,需要者において,特定の商品の品質を認識させるものとはいえないから,本件商標を本件審判の請求に係る指定商品のいずれに使用しても,商品の品質について誤認を生ずるおそれはない。 したがって,本件商標は商標法4条1項16号に該当しないとした本件審決の判断に誤りはない。 ⑶ 小括以上のとおり,本件審決における本件商標の商標法4条1項16号該当性の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由は理由がない。 仮に原告が主張するように本件商標が「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有するという商品の品質を表示するとしても,本件 審判の請求に係る指定商品中,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有する「化学品」,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有する「化粧品,せっけん類」については,商品の品質の誤認を生ずるおそれはないから,本件審決中,これらの指定商品に係る部分は維持されるべきである。 第4 当裁判所の判断 1 本件商標の商標法4条1項16号該当性について商標法4条1項16号が「商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないと規定している趣旨は,商標を構成する文字,図形等が直接的に特定の商品の品質を表示するものであるため,当該商標が特定の商品以外の商品に 生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができないと規定している趣旨は,商標を構成する文字,図形等が直接的に特定の商品の品質を表示するものであるため,当該商標が特定の商品以外の商品に使用された場合に,取引者,需要者が商品の品質を誤認して,商品を購入することがないように取引者,需要者の保護を図ることにあるものと解される。 そうすると,本件商標が同号に該当するというためには,本件商標の登録査定時である平成23年1月6日の時点において,本件商標の構成が直接的に表示する品質を有する特定の商品と指定商品とが関連し,かつ,本件商標の構成が表示する特定の商品の品質と指定商品が有する品質が異なるため,指定商品の取引者又は需要者において,本件商標を指定商品に使用した場合に,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあることを要するものと解される。 以上を前提に,本件商標が同号に該当するかどうかについて判断する。 ⑴ 本件商標の構成本件商標は,「パールアパタイト」の文字を標準文字で表してなり,「パール」の文字部分と「アパタイト」の文字部分とから構成される結合商標である。 本件商標を構成する各文字は,外観上まとまりよく一体的に表されており,その構成全体から,「パールアパタイト」の称呼が自然に生じる。 (2) 本件商標の構成が表示する商品の品質についてア 「パールアパタイト」の語が,一般の辞書等に掲載されていることを認めるに足りる証拠はない。 一方で,本件商標を構成する「パール」の文字部分は,「真珠」の意味を有するものと認められる(甲3,11,12)。 イ原告は,本件商標の登録査定時において,「アパタイト」の語が,取引者,需要者の間で,歯の再石灰化を促し美白効果のある「ハイドロキシアパタイト」又は光触媒応用製品に適用可能な「アパタイ 12)。 イ原告は,本件商標の登録査定時において,「アパタイト」の語が,取引者,需要者の間で,歯の再石灰化を促し美白効果のある「ハイドロキシアパタイト」又は光触媒応用製品に適用可能な「アパタイト」を意味する語として,一般的に広く認識されていた旨主張するので,以下において判断する。 (ア) 証拠(甲23ないし205(枝番のあるものは枝番を含む。特に断りのない限り,以下同じ。)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 a 株式会社サンギ(以下「サンギ」という。)は,平成5年2月,歯を白くする美白効果のある歯磨き剤として,「薬用ハイドロキシアパタイト」を含有する「アパガードM」を発売した。 「アパガードM」は,1995年(平成7年)に放映を開始した「芸能人は歯が命」のキャッチコピーのテレビCMの効果等によって,ヒット商品となり,1996年(平成8年)には,年間売上げが140億円を記録した。 「アパガードM」の発売後,同年中には,歯磨き業界大手の他の事業者(サンスター,ライオン)も,美白効果のある歯磨き剤として,「ハイドロキシアパタイト」又は「フルオロアパタイト」を配合する歯磨き剤を製造,販売するようになった(甲146ないし155)。 また,「アパガードM」は,FRIDAY,プレジデント,WEDGE等の雑誌(甲175ないし181)において,「薬用ハイドロキ シアパタイト」配合のヒット商品として,取り上げられた。 このほか,「アパガードM」及びその後発品に関する記事が,平成17年6月14日付けの読売新聞(甲160),平成21年9月14日付け及び平成22年5月3日付けの日経流通新聞(甲169,170),同年6月5日付けの朝日新聞(甲171)や,週刊東洋経済,日経ヘルス等の雑誌(甲182,183等)に掲載された。 成21年9月14日付け及び平成22年5月3日付けの日経流通新聞(甲169,170),同年6月5日付けの朝日新聞(甲171)や,週刊東洋経済,日経ヘルス等の雑誌(甲182,183等)に掲載された。 b 「ハイドロキシアパタイト」の語の意義に関し,平成21年7月27日付けの朝日新聞(甲27)に,「ハイドロキシアパタイト」は,「骨や歯,貝殻などの成分。人体への害が少なく,なじみやすいことから,人工骨や人工歯根などの医用材料に使われている。」,平成22年5月29日付けの加藤歯科医院のウェブサイト(甲29)に,「ハイドロキシアパタイトとはリン酸カルシウムでできた歯や骨を構成する成分のことで,エナメル質は97%,象牙質の70%がハイドロキシアパタイトで構成されています。」などと掲載された。 また,香粧品科学研究開発専門誌フレグランスジャーナル2008年(平成20年)6月号(甲204)に,「ハイドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH) 2)は,リン酸カルシウムの一種であり,歯牙や骨といった硬組織の主成分であって,化学合成品においても生体に対する安全性の高い化合物である。…工業的には,…広範囲な用途に利用されている。化学合成したハイドロキシアパタイトがそのような用途に利用されるのは,生体硬組織と直接結合するといった高い生体親和性やタンパク質,核酸および配糖体との吸着特性を有するためである。」(20頁右欄)などと掲載された。 さらに,日本化粧品工業連合会作成の医薬部外品の成分表示名称リストにおいて,「成分名ヒドロキシアパタイト」,「別名ハイドロキシアパタイト」,「本品は,主としてヒドロキシアパタイト(…)」 と記載されている(甲139,140)。 c 「アパタイト」の語の意義に関し,材料開発・応用専門誌「 別名ハイドロキシアパタイト」,「本品は,主としてヒドロキシアパタイト(…)」 と記載されている(甲139,140)。 c 「アパタイト」の語の意義に関し,材料開発・応用専門誌「ニューセラミックス」1990年(平成2年)7月号(甲59)に,「アパタイトはアパタイト構造(六方晶系…)をもつ結晶群の総称であるか,単にアパタイトといった場合は最も代表的なリン酸カルシウムを意味することが多い。水酸アパタイト(以下,単にアパタイトと略称する。)といえば,Ca10(PO4)6(OH)2 であり,生体アパタイトのモデル物質である。フッ素アパタイトはCa10(PO4)6(PO4)F2 となる。」(96頁左欄),「PHOSPHORUSLETTER 2000年6月第38号」(甲135)に,「アパタイトはM10(ZO4)6X2 の組成を持つ結晶鉱物の総称であり,次の各元素が単独あるいは複数M,ZO4,Xの位置に入る。M:Ca,Ba,Sr,Mg,Na…,ZO4:PO4,AsO4…,X:F,OH,Cl…このようにアパタイト構造には多くの種類の元素が入り得るために,さまざまな固溶体が生成する。」(8頁左欄),「PHOSPHORUSLETTER 2010年2月第67号」(甲138)に,「アパタイトはカルシウムヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2 :Hap)に代表される塩基性金属リン酸塩の一種である。」(22頁左欄)などと掲載されている。 d 応用化学,環境化学,触媒化学,生化学等の各種化学分野の文献等において,「アパタイト」を含む用語が,ハイドロキシアパタイト(ヒドロキシアパタイト)のほかに,フッ化アパタイト二酸化チタン光触媒(甲35),可視光応答型アパタイト被覆二酸化チタンハーフメタル(甲39),水酸アパタイ ト」を含む用語が,ハイドロキシアパタイト(ヒドロキシアパタイト)のほかに,フッ化アパタイト二酸化チタン光触媒(甲35),可視光応答型アパタイト被覆二酸化チタンハーフメタル(甲39),水酸アパタイト(甲47,58,64,71,111),フッ素アパタイト(甲50),ハロゲン固溶アパタイト(甲53),Pb2+~Ag+交換水酸アパタイト(甲56),フッ素アパタイト結晶(甲60),チタンアパタイト(甲86),カルシウムヒドロキシ アパタイト粒子(甲88)などと使用されている。 (イ) 前記(ア)の認定事実によれば,①歯を白くする美白効果のある歯磨き剤として広告宣伝された,「薬用ハイドロキシアパタイト」を含有する「アパガードM」がヒット商品となり,新聞,雑誌等で取り上げられた結果,「薬用ハイドロキシアパタイト」又は「ハイドロキシアパタイト」の語は,一般消費者の間でも,歯や骨を構成する成分であることはある程度知られるようになったこと,②「ハイドロキシアパタイト」は,Ca10(PO4)6(OH)2 の化学式で表される,リン酸カルシウムの一種であること,③「アパタイト」は,M10(ZO4)6X2 の組成をもつ結晶鉱物の総称であり,M,Z及びXには複数の種類の元素が入り得るため,特定の化合物を指すものではなく,「ハイドロキシアパタイト」は,アパタイトの一種(Mがカルシウム(Ca),Zがリン(P),Xが水酸基(OH)のもの)ではあるが,アパタイトそのものを意味するものではないことが認められる。 加えて,「アパタイト」の文字は,その称呼から,英単語「appetite」(「本能的欲望,(特に)食欲」)(甲17)又は「apatite」(「燐灰石。ハイドロキシアパタイト」)(甲16)に通じるものである。 以上の認定事実に照らすと,前記(ア)の冒頭掲 petite」(「本能的欲望,(特に)食欲」)(甲17)又は「apatite」(「燐灰石。ハイドロキシアパタイト」)(甲16)に通じるものである。 以上の認定事実に照らすと,前記(ア)の冒頭掲記の証拠(甲23ないし205)から,「アパタイト」の語が,本件商標の登録査定時において,取引者,需要者の間で,歯の再石灰化を促し美白効果のある「ハイドロキシアパタイト」又は光触媒応用製品に適用可能な「アパタイト」を意味する語として,一般的に広く認識されていたものと認めることはできず,他にこれを認めるに足りる証拠はない。かえって,「アパタイト」は,M10(ZO4)6X2 の組成をもつ結晶鉱物の総称であって,具体的な特定の物質を表するものではなく,このことからしても「アパタイト」が特 定の意味合いを理解させるものとはいえない。 したがって,原告の前記主張は,採用することができない。 ウ前記ア及びイによれば,本件商標は,「真珠」の意味を有する「パール」の文字と,特定の意味合いを理解させるものとはいえない「アパタイト」の文字とからなる結合商標であり,その構成全体から,特定の意味合いを認識することはできないから,特定の商品の品質を直接的に表示するものと認めることはできない。 したがって,これと同旨の本件審決の認定に誤りはない。 エこれに対し原告は,本件商標の登録査定時において,「アパタイト」の語が,取引者,需要者の間で,歯の再石灰化を促し美白効果のある「ハイドロキシアパタイト」又は光触媒応用製品に適用可能な「アパタイト」を意味する語として,一般的に広く認識されており,「アパタイト」という成分に着目して商品の購入に及ぶといった取引の実情があったことを考慮すると,「パール」と「アパタイト」とが結合した「パールアパタイト」の語から構成される 的に広く認識されており,「アパタイト」という成分に着目して商品の購入に及ぶといった取引の実情があったことを考慮すると,「パール」と「アパタイト」とが結合した「パールアパタイト」の語から構成される本件商標は,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」という物質(化学物質)を想起させるものであるから,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有するという商品の品質を表示する旨主張する。 しかしながら,前記イで説示したとおり,「アパタイト」の語が,取引者,需要者の間で,歯の再石灰化を促し美白効果のある「ハイドロキシアパタイト」又は光触媒応用製品に適用可能な「アパタイト」を意味する語として,一般的に広く認識されていたものと認めることはできない。 また,「パールアパタイト」の語は,一般の辞書等に掲載されていない造語であって,具体的な特定の商品を示すことを認めるに足りる証拠はないのみならず,「パールアパタイト」の語から,「真珠」そのものと「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」とを成分に含有する具体的な商品 を一般に想起することを認めるに足りる証拠はない。 したがって,本件商標の構成が直接的に特定の商品の品質を表示するものと認めることはできないから,原告の上記主張は採用することができない。 (3) 商品の品質の誤認を生ずるおそれについてア前記(2)ウのとおり,本件商標の構成が直接的に特定の商品の品質を表示するものと認めることはできないから,本件商標は,取引者,需要者において,特定の商品の品質を認識させるものとはいえない。 したがって,本件商標を本件審判の請求に係る指定商品のいずれに使用しても,商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものと認められないから,本件商標は商標法4条1項16号に該当しないとし えない。 したがって,本件商標を本件審判の請求に係る指定商品のいずれに使用しても,商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものと認められないから,本件商標は商標法4条1項16号に該当しないとした本件審決の判断に誤りはない。 イこれに対し原告は,本件商標は,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有するという商品の品質を表示するものであることからすると,本件商標を「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有しない「化学品」又は「化粧品,せっけん類」に使用した場合,取引者,需要者において,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有する商品であるとの商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるから,本件商標は,商標法4条1項16号に該当する旨主張する。 しかしながら,前記(2)ウのとおり,本件商標の構成が,「真珠」及び「アパタイト(ハイドロキシアパタイト)」を含有するという商品の品質を直接的に表示するものと認めることはできないから,原告の上記主張は,その前提において採用することができない。 (4) 小括以上のとおり,本件商標が商標法4条1項16号に該当しないとした本件 審決の判断に誤りはないから,原告主張の取消事由は理由がない。 2 結論以上のとおり,原告主張の取消事由は理由がなく,本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。 したがって,原告の請求は棄却されるべきものである。 知的財産高等裁判所第1部 裁判長裁判官大鷹一郎 裁判官小林康彦 裁判官小川卓逸 一郎 裁判官小林康彦 裁判官小川卓逸

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